JP2017217885A - 導電性基材、導電膜転写フィルム、導電性基材の製造方法、導電膜転写フィルムの製造方法、及び表示装置 - Google Patents

導電性基材、導電膜転写フィルム、導電性基材の製造方法、導電膜転写フィルムの製造方法、及び表示装置 Download PDF

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【課題】マイグレーションの発生及び硬度の低下を抑制することができる導電性基材の提供。【解決手段】基材2と、基材2上に、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子と樹脂とを含む金属含有層1とを有し、金属含有層1は、表面から30nmまでの領域1aにおいて、前記金属粒子の含有量が金属含有層1に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、領域1aがトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む、導電性基材10。【選択図】図1

Description

本開示の実施形態は、導電性基材、導電膜転写フィルム、導電性基材の製造方法、導電膜転写フィルムの製造方法、及び表示装置に関する。
近年、導電性基材に用いられる導電材料として、金属粒子が注目されている。金属粒子を用いた導電性基材は、例えば、金属粒子と樹脂とを含む金属含有層を有する。
このような導電性基材においては、従来、マイグレーションの発生が問題となっている。マイグレーションは、主に、導電性基材に電圧が印加されることにより、金属含有層に含まれる金属粒子が金属イオンとなって移動し、例えば絶縁領域において金属が析出するという現象である。マイグレーションが発生すると、例えば、導電性基材をタッチパネルの配線基材として用いた際に、短絡等の不具合が生じてしまう。
マイグレーションの発生を抑制する手段として、例えば特許文献1には、電子部品などの接続対象部材を接続するための導電性粒子を含む硬化性組成物において、エポキシ基を含んだ特定の構造を有する化合物のエポキシ基の一部又は全部に(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られる硬化性化合物と、熱ラジカル発生剤とを含有させることが提案されている。
特開2013−57018号公報
また、導電性基材においてマイグレーションの発生を抑制する手段として、金属含有層にマイグレーション抑制剤を含有させる方法も考えられる。しかし、発明者は、マイグレーション抑制剤を含有する樹脂組成物は硬化性に劣る場合があり、金属含有層の硬度が低下する場合があるという新たな課題を見出した。
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、マイグレーションの発生及び硬度の低下を抑制することができる導電性基材、マイグレーションの発生及び硬度の低下を抑制することができる導電性基材の製造方法を提供することを主目的とする。
本開示の1実施形態は、基材と、
前記基材上に、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子と樹脂とを含む金属含有層とを有し、
前記金属含有層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、前記領域がトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む、導電性基材を提供する。
本開示の1実施形態は、前述した本開示の導電性基材であって、
前記基材が剥離可能である、導電膜転写フィルムを提供する。
本開示の1実施形態は、基材と、前記基材上に、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子と樹脂とを含む第1層とを有し、前記第1層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上である、積層体を準備する工程と、
前記積層体が有する前記第1層の表面に、トコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を付着させる工程とを有し、
前記基材と、前記基材上に、前記金属粒子と前記樹脂とを含む金属含有層とを有し、前記金属含有層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、前記領域がトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む、導電性基材の製造方法を提供する。
本開示の1実施形態においては、前記積層体を準備する工程が、
剥離性基材上に、前記金属粒子を含む第1a層を形成する工程と、
前記第1a層上に、硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布する工程と、
前記硬化性樹脂の少なくとも一部が硬化した第1b層を形成する工程と、
前記剥離性基材上に前記第1a層と前記第1b層とを有する転写性積層体と、前記基材とを、前記第1b層が前記基材と対向するように貼り合わせる工程と、
前記剥離性基材を剥離する工程とを有する、導電性基材の製造方法を提供する。
本開示の1実施形態は、前述した本開示の導電性基材の製造方法であって、
前記基材が剥離可能である、導電膜転写フィルムの製造方法を提供する。
本開示の1実施形態は、導電膜を備え、
前記導電膜は、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子と樹脂とを含む金属含有層を有し、
前記金属含有層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、前記領域がトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む、表示装置を提供する。
本開示の実施形態は、マイグレーションの発生及び硬度の低下を抑制することができる導電性基材、及び前記導電性基材において基材が剥離可能である導電膜転写フィルム、マイグレーションの発生及び硬度の低下を抑制することができる導電性基材の製造方法及び導電膜転写フィルムの製造方法、並びに導電膜を備えた表示装置を提供することができる。
本開示の導電性基材の一例を示す概略断面図である。 本開示の導電膜転写フィルムの一例を示す概略断面図である。 本開示の導電性基材の製造方法に用いられる積層体を準備する工程の一例を示す概略工程図である。 本開示の導電性基材の製造方法に用いられる積層体を準備する工程の他の一例を示す概略工程図である。 本開示の導電性基材の製造方法に用いられる積層体を準備する工程の他の一例を示す概略工程図である。 本開示の表示装置の一例を示す概略断面図である。 抵抗上昇率の評価方法を説明するための説明図である。
以下、本開示の実施の形態や実施例などを、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態や実施例等の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
A.導電性基材
本開示の導電性基材は、基材と、
前記基材上に、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子と樹脂とを含む金属含有層とを有し、
前記金属含有層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、前記領域がトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む。
本開示の導電性基材について図を参照して説明する。図1は、本開示の導電性基材の一例を示す概略断面図である。図1に示す本開示の導電性基材10は、基材2と、基材2上に金属含有層1とを有する。前記金属含有層1は、前記金属粒子と樹脂とを含み、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、前記領域がトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む。また、本開示における金属含有層1は、前記表面から30nmまでの領域を含む導電部1a、及び非導電部1bにより構成される。
導電性基材におけるマイグレーションは、主に、電圧が印加され、金属含有層に含まれる金属粒子が正の電荷を帯びる金属イオンとなって移動することにより生じる。透明性及び導電性に優れる等の点から金属粒子として用いられている銀ナノワイヤ等、銀を主成分とする金属粒子を用いる場合は、マイグレーションが特に発生し易くなる。
このような導電性基材におけるマイグレーションは、例えば、負の電荷を帯びることができるマイグレーション抑制剤を用いることにより抑制することが可能である。マイグレーション抑制剤は負の電荷を帯びることによって、正の電荷を帯びる金属イオンと配位結合し、表面錯体を形成して化学吸着する。これにより、金属含有層に含まれる金属粒子が金属イオンとなることを抑制することができ、マイグレーション耐性を得ることが可能となる。中でも、フェノール系マイグレーション抑制剤を金属含有層に含有させることで、マイグレーション現象を大きく抑制できることが確認されている。
一方で、発明者は、金属含有層の形成に用いられる樹脂組成物に、フェノール系マイグレーション抑制剤を均一に分散させた場合、樹脂組成物の硬化性が劣り、金属含有層の硬度が低下する場合があるという新たな課題を見出した。硬度の低下は、金属含有層が形成される際に、フェノール系マイグレーション抑制剤が樹脂の硬化反応を阻害するためと推定された。フェノール系マイグレーション抑制剤が樹脂の硬化反応を阻害する理由は、明らかではないが、当該マイグレーション抑制剤が重合抑制剤と同様の作用をするためと考えられる。
それに対し、本開示の導電性基材は、金属含有層に含まれる金属粒子が、金属含有層の表面から30nmまでの表層の領域に集中して存在し、且つ当該領域がマイグレーション抑制剤であるトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含むことにより、金属含有層の硬度の低下を抑制しつつ、マイグレーションの発生を効率良く抑制することができる。
本開示の導電性基材は、金属含有層の表層の特定の領域に金属粒子が集中して存在することにより、金属含有層の表面の導電性に優れ、また、マイグレーションの原因となる金属粒子のイオン化が当該領域で集中して生じ易い。それにより、マイグレーション抑制剤が金属含有層全体に均一に存在していなくても、前記領域がマイグレーション抑制剤を含むことにより、金属粒子のイオン化を十分に抑制することができる。そのため、本開示の導電性基材では、効率的にマイグレーションの発生を抑制することができる。
また、金属含有層の硬度は、金属含有層に含まれる樹脂の種類及び硬化度等によって調節することができる。本開示の導電性基材は、金属含有層の表層の、金属粒子が集中して存在する領域が前記マイグレーション抑制剤を含めば良く、当該領域以外の相対的に樹脂が多く含まれる領域ではマイグレーション抑制剤の影響を受けることなく硬度を調節することができる。そのため、金属含有層全体としては、マイグレーション抑制剤の影響が小さく、硬度の低下を抑制することができる。また、本開示の導電性基材は、金属含有層として、後述する本開示の導電性基材の製造方法のように、基材上に、金属粒子と樹脂とを含む第1層を形成した後、当該第1層の表面に前記マイグレーション抑制剤を付着させた金属含有層を有することができる。この場合、マイグレーション抑制剤を付着させる前の第1層を形成する段階で、金属含有層の硬度を調節することができるため、マイグレーション抑制剤の影響による金属含有層の硬度の低下を抑制することができる。
以下、本開示の導電性基材の各構成について説明する。
1.金属含有層
本開示における金属含有層は、基材上に位置し、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子と樹脂とを含む。
また、本開示における金属含有層は、金属含有層の表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、前記領域がトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む。
なお、本明細書において、金属含有層乃至導電部の「表面」とは、金属含有層乃至導電部が有する面のうち、基材とは反対側の面を指す。また、以下において、金属含有層の表面から厚み方向へ30nmまでの領域を「表層部」と称する。
また、本明細書においては、トコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を、単に、マイグレーション抑制剤と称する場合がある。
ここで、「樹脂」とは、特に言及しない限り、モノマー、オリゴマー、ポリマー等も包含する概念である。
また、「粒子」とは、例えば、平均一次粒子径が、0.1nm以上100μm以下であり、繊維状、球状、略球状、および鱗片状等の形状を有するものをいう。なお、略球状とは、回転楕円体や多面体等をも含めた球体に近似できる形状を意味する。
なお、平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、「粒子」が繊維状である場合、透過型電子顕微鏡写真(TEM)(例えば、日立ハイテク製 H−7650)にて粒子像を測定し、ランダムに選択した100個の一次粒子の短軸の長さ、すなわち繊維径の長さの平均値を平均一次粒径とすることができる。また、「粒子」が略球状や鱗片状等のその他の形状である場合、TEMにて粒子像を測定し、ランダムに選択した100個の一次粒子の最長部の長さの平均値を平均一次粒径とすることができる。
本開示の金属含有層に含まれる金属粒子の含有量は、例えば、前記金属含有層の前記表層部が、所定の量の金属粒子を含有していれば良く、所望の導電性を達成することができる程度であることが好ましい。具体的には、導電性に優れる点から、前記金属含有層に含まれる樹脂100質量部に対して、前記金属含有層に含まれる金属粒子の含有量が20質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましく、また、3000質量部以下であることが好ましく、1000質量部以下であることがより好ましい。
本開示の金属含有層の厚みは、導電性基材の用途や金属含有層に含まれる金属粒子の大きさ等に応じて適宜調整することができるが、表面耐擦性の点から、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましく、樹脂の硬化性の点から、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
本開示の金属含有層は、図1に示すように、基材2とは反対側の表層に導電性を有する導電部1aを有し、当該導電部1a以外の領域が非導電部1bである。ここで、「導電部」とは、金属粒子を含むことにより導電性を有する領域を指す。なお、「導電性を有する」とは、例えば表面抵抗率が1×10Ω/□以下であることをいう。
以下、本開示の金属含有層について、導電部および非導電部に分けて説明する。
(1)導電部
本開示において、導電部は、金属含有層の表面から一定の距離までの非導電部以外の領域であって、表層部を含む。導電部は、少なくとも銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子を含み、導電部が有する表層部は、トコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む。これにより、本開示の導電性基材が有する導電部は、所定の導電性を有しつつ、マイグレーションの発生を抑制することができる。また、導電部は、必要に応じて樹脂及び各種添加剤等を含有しても良い。
本開示における1実施形態においては、金属含有層における導電部が、金属粒子を所定の量以上有することにより、所望の導電性を有する導電性基材を得ることができる。導電部が有する導電性は、本開示の1実施形態における導電性基材の用途等に応じて適宜調整することができるが、所望の導電性を有する導電性基材とすることができる点から、例えば、導電部の表面抵抗率が、1000Ω/□以下であることが好ましく、中でも500Ω/□以下であることが好ましく、特に100Ω/□以下であることが好ましい。
なお、導電部の表面抵抗率は、例えば、Loresta−AX MCP−T370(Mitsubishi Chemical Analytec)を導電部の表面に接触させることにより測定することができる。
前記導電部の表面においては、金属粒子が樹脂等に埋め込まれておらず、金属粒子の一部が突出していても良い。導電部の表面から金属粒子の一部が突出している場合、当該金属粒子が突出している距離は、特に限定はされないが、ウェットエッチング性を高めることができる点から、3nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。また、当該金属粒子が突出している距離は、金属粒子の脱落等の不具合の発生を抑制する観点から、600nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。
なお、「導電部の表面から金属粒子が突出している距離」とは、導電部の表面において、金属粒子が突出していない領域の表面から、導電部の表面から突出した金属粒子の先端までの垂直距離を指す。
また、上記距離は、例えば、SEMと称する走査型電子顕微鏡、TEMと称する透過型電子顕微鏡およびSTEMと称する走査透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡を用い、1000〜50万倍にて上記距離を測定した10か所の平均値として求めることができる。
なお、導電部の表面から金属粒子の一部が突出している場合、金属含有層の表面から30nmまでの領域は、金属含有層の金属粒子が突出していない領域の表面から、厚み方向へ30nmまでの領域を「表層部」とする。
前記導電部は、導電部に所定の導電性を付与する点から、例えば、金属粒子の元素の割合が、原子組成百分率で、0.05at%以上であることが好ましく、中でも0.10at%以上であることが好ましく、特に0.15at%以上であることが好ましい。また、金属粒子の元素の割合が、原子組成百分率で、10at%以下であることが好ましく、中でも7at%以下であることが好ましく、特に5at%以下であることが好ましい。
なお、導電部に存在する金属粒子の元素の割合は、例えば、X線光電子分光分析法を用い、以下の条件により測定することができる。
・加速電圧:15kV
・エミッション電流:10mA
・X線源:A1デュアルアノード
・測定面積:300×700μmφ
・表面からの深さ10nmを測定
・n=3回の平均値
本開示の導電部の厚みは、導電性基材の用途や導電部に含まれる金属粒子の大きさ等に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。例えば、導電部に含まれる金属粒子が繊維状である場合には、導電部の厚みは当該繊維径未満であることが好ましく、金属含有層の表面から50nmまでの領域に前記導電部が含まれることが好ましい。また、前記導電部の厚みは、30nm以上であれば特に限定はされない。なお、金属粒子の繊維径については後述するため、ここでの説明は省略する。
前記導電部の厚みは、例えば、SEMと称する走査型電子顕微鏡、TEMと称する透過型電子顕微鏡およびSTEMと称する走査透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡を用い、1000〜50万倍にて、導電性基材の断面における金属粒子を含む領域の厚みを測定した10か所の平均値として求めることができる。
前記導電部は、表面から30nmまでの領域である表層部において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、且つ、前記表層部が、マイグレーション抑制剤であるトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む。
前記導電部は、導電性に優れ、マイグレーションの発生を効率良く抑制することができる点から、中でも、表面から25nmまでの領域において、更に、表面から22nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であることが好ましい。
前記表層部が含む前記金属粒子の含有量は、金属含有層に含まれる全ての金属粒子の合計に対して80体積%以上であれば良いが、導電性に優れ、マイグレーションの発生を効率良く抑制することができる点から、中でも85体積%以上であることが好ましく、90体積%以上であることがより好ましい。
前記表層部における前記金属粒子の含有量は、例えば、下記に示す条件下にてArイオンスパッタリング法によるエッチング、およびX線光電子分光装置(XPS装置)を用いた導電部の深さ方向の分析により測定することができる。
<Arイオンスパッタリング法によるエッチング>
・イオン種:Ar(3.0keV)
・加速電圧:3.0kV
・エミッション電流:6.0mA
・MAGNIFICATION:10(etch範囲:2mm□)
・入射角:45度
・Arガス導入時真空度計測値:3.0−7hPa
・スパッタエッチング時間:0〜1000s
<XPS装置を用いた分析>
・使用装置:Theta−Probe(サーモフィッシャーサイエンテイフィック(製))XPS装置
・入射X線:15kV、6・66mA(100W)
・レンズモード:Standard
・測定領域:400μmφ
・光電子取り込み角度:53°(ただし、試料法線を0°とする。)
・帯電中和:電子中和統 (+6V、0.05mA、低加速Ar照射)
また、本開示の導電性基材は、前記表層部が含むトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物の合計含有量が、前記金属含有層が含むトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物の合計に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが更により好ましい。これにより、金属含有層のマイグレーションの発生及び硬度の低下を抑制する効果を向上することができる。
前記導電部の表面におけるトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物の合計含有量は、マイグレーションの発生を抑制する観点から、0.3mg/m以上であることが好ましく、1.0mg/m以上であることがより好ましく、3.0mg/m以上であることが更により好ましい。
また、前記導電部の表面におけるトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物の合計含有量は、導電性の観点及びヘイズ値の上昇と光透過性の低下を抑制する観点から、300mg/m以下であることが好ましく、200mg/m以下であることがより好ましい。
本開示の導電性基材は、導電部表面における前記特定のマイグレーション抑制剤の含有量を多くしても、上述したように硬度の低下を抑制することができる。そのため、本開示の導電性基材は、導電部表面における前記特定のマイグレーション抑制剤の含有量を多くすることにより、マイグレーションの発生を抑制する効果を更に向上することができる。
なお、前記表層部が含むトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物の合計含有量は、例えば、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計(熱分解GCMS)、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)等により測定することができる。
以下、本開示における導電部を構成する材料について説明する。
(a)金属粒子
本開示における導電部は、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子を含み、銀粒子及び銅粒子の両方を含んでいても良い。本開示の導電部においては、中でも銀粒子を含むことが好ましい。
ここで、「銀」とは、銀または銀合金を指し、「銅」とは、銅または銅合金を指す。
また、「銀合金」とは、銀を主成分とし、具体的には銀の元素の割合が、原子組成百分率で90at%以上であることをいう。
さらに、「銅合金」とは、銅を主成分とし、具体的には銅の元素の割合が、原子組成百分率で90at%以上であることをいう。
なお、銀合金または銅合金における銀または銅の元素の割合は、例えば、X線光電子分光分析法を用いた元素の定量を行うことにより測定することができる。
本開示の1実施形態における金属粒子の形状は、導電性を有する導電部を構成することができるような形状であることが好ましい。例えば、繊維状、球状、略球状および鱗片状等の形状が挙げられる。本開示の1実施形態においては、中でも繊維状の金属粒子を用いることが好ましい。
ここで、「繊維状」とは、例えば、短軸の長さに対する長軸の長さの比、すなわちアスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)が5以上となるような形状をいう。
また、「繊維状を有する金属粒子」は、直線状であっても曲線状であっても良く、その一部に直線部または曲線部を有していても良い。さらに、「繊維状を有する金属粒子」は、例えば、繊維状を有する金属粒子が、複数連結したものも包含する。
本開示の1実施形態において、金属粒子が繊維状である場合、例えば、短軸の長さとなる繊維径が200nm以下であることが、導電性基材のヘイズ値の上昇や、光透過性の低下を抑制する点から、好ましい。
また、金属粒子が繊維状である場合、例えば、繊維径は、10nm以上であることが、充分な導電性を有する導電部を形成する点から、好ましい。
さらに、金属粒子が繊維状である場合、例えば、長軸の長さとなる繊維長が1μm以上であることが、十分な導電性を有する導電部を形成する点から、好ましい。また、金属粒子が繊維状である場合、繊維長は、500μm以下であることが、凝集が発生することによるヘイズ値の上昇や、光透過性の低下を抑制する点から好ましい。
金属粒子が繊維状である場合の上述した事項を考慮すると、本開示の1実施形態においては、金属粒子の繊維径が15nm以上であることが好ましく、180nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
また、金属粒子の繊維長が3μm以上であることが好ましく、中でも10μm以上であることが好ましい。また、金属粒子の繊維長が300μm以下であることが好ましく、中でも30μm以下であることが好ましい。
金属粒子が繊維状を有する場合、当該繊維状の形状は、アスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)が5以上であれば特に限定はされないが、光透過性と導電性を向上する点から、前記アスペクト比が10以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましい。また、前記アスペクト比は、アスペクト比が過大になると凝集が発生することによるヘイズ値の上昇や、光透過性の低下が起きる場合があることから、10000以下であることが好ましい。
なお、金属粒子の繊維径および繊維長は、例えば、SEMと称する走査型電子顕微鏡、TEMと称する透過型電子顕微鏡およびSTEMと称する走査透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡を用い、1000〜50万倍にて繊維状の金属粒子の繊維径および繊維長を測定した10か所の平均値として求めることができる。
本開示の1実施形態における金属粒子が繊維状である場合、当該金属粒子は、いわゆる銀ナノワイヤまたは銅ナノワイヤのような金属繊維であっても良く、あるいは、アクリル繊維に、銀または銅をコーティングした金属被覆合成繊維であっても良い。なお、本開示の1実施形態においては、金属繊維または金属被覆合成繊維の1種を用いても良く、金属繊維および金属被覆合成繊維を組み合わせて用いても良い。
本開示の1実施形態における金属粒子が金属繊維である場合、金属粒子の形成方法としては、例えば、銀や銅等の金属を長く伸ばす伸線法、または切削法等が挙げられる。また、金属粒子が金属被覆合成繊維である場合、金属粒子の形成方法としては、例えば、アクリル繊維に銀や銅等の金属をコーティングする方法が挙げられる。
本開示においては、中でも、導電性の点と、本開示の導電性基材のヘイズ値の上昇及び光透過性の低下を抑制することが可能な点から、前記導電部が、アスペクト比が5以上の銀ナノワイヤを含むことが好ましく、アスペクト比が10以上の銀ナノワイヤを含むことがより好ましく、アスペクト比が100以上の銀ナノワイヤを含むことが更により好ましい。
(b)マイグレーション抑制剤
本開示の導電部においては、前記表層部がマイグレーション抑制剤であるトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む。中でも、マイグレーションを抑制する効果に優れる点から、本開示の導電部は、前記表層部が、トコフェロール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、トコフェロール化合物を含むことがより好ましい。
前記トコフェロール化合物としては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。下記一般式(I)で表される化合物の好ましい具体例としては、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール等が挙げられ、中でも、マイグレーションの発生を抑制する効果が優れる点から、α−トコフェロールが好ましい。
なお、前記トコフェロール化合物は、D体であっても良いし、DL体であっても良い。
(一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子又はメチル基である。)
前記トコトリエノール化合物としては、例えば、下記一般式(II)で表される化合物が挙げられる。下記一般式(II)で表される化合物の好ましい具体例としては、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等が挙げられる。
なお、前記トコトリエノール化合物は、D体であっても良いし、DL体であっても良い。
(一般式(II)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子又はメチル基である。)
前記チオエーテル基含有フェノール化合物としては、チオエーテル基を含有するフェノール系化合物であれば特に限定はされないが、例えば、チオジエチレンビス[3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−tert−ブチル−4−[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]フェノール、及び下記一般式(III)で表される化合物等が挙げられる。前記チオエーテル基含有フェノール化合物としては、中でも、チオジエチレンビス[3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]及び下記一般式(III)で表される化合物が好ましく、下記一般式(III)で表される化合物がより好ましい。
(一般式(III)中、R及びRは、各々独立に、炭素原子数4以上20以下のアルキル基である。)
前記一般式(III)で表される化合物において、前記一般式(III)中のR及びRは、各々独立に炭素原子数4以上20以下のアルキル基であり、RとRとは、同一であっても良いし、異なっていても良い。前記炭素原子数は、中でも、6以上15以下であることが好ましく、8以上12以下であることがより好ましい。また、前記アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであっても良いが、直鎖であることが好ましい。
前記一般式(III)で表される化合物の好ましい具体例としては、下記化学式(1)、(2)で表される化合物等が挙げられる。
なお、前記表層部は、前述したマイグレーション抑制剤を一種単独で含有しても良いし、2種以上を混合して含有しても良い。
(c)樹脂
本開示の導電部は、樹脂を含有しても良い。前記樹脂は、透明性を有する樹脂であることが好ましい。ここで、「透明」とは、特段の断りがない限り、例えば、本開示の1実施形態における導電性基材をタッチパネル表示装置等に用いた際に、操作者からの視認を妨げない程度に透明であることをいう。したがって、「透明」は、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で定義されず、本開示の1実施形態における導電性基材の用途等に応じて透明性の度合いを決定することができる。
前記樹脂としては、例えば、溶剤乾燥型樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、及びこれらの硬化物等が挙げられる。
「溶剤乾燥型樹脂」とは、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂をいう。導電部を形成する際に溶剤乾燥型樹脂を用いることにより、塗液の塗布面の被膜欠陥等の発生を有効に抑制することができる。
このような溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴムまたはエラストマー等が挙げられる。なお、上述した「(メタ)アクリル」は、メタクリル及びアクリルを指すものであり、以下においても同様である。
また、熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒等の有機溶媒に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)、シリコーン系樹脂等が好ましい。
電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂としては、具体的には、後述する非導電部に用いられる電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂と同様のものが挙げられる。
導電部に含まれる樹脂としては、前記特定のマイグレーション抑制剤による重合阻害の影響を受けにくい点から、溶剤乾燥型樹脂、熱硬化性樹脂及びこれらの硬化物の少なくとも1種が好ましい。
また、前記樹脂としては、シロキサンコポリマーのようなシリコーン系樹脂と、エポキシ基等の反応性基を有するシロキサンとの組み合わせも、金属粒子の分散性を向上する点から、好ましく用いられる。
前記導電部は、上述した金属粒子、マイグレーション抑制剤及び樹脂の他、本開示の効果を損なわない範囲で、導電部の硬度の向上や、硬化収縮の抑制、さらには屈折率の制御等といった目的に応じて、各種添加剤を添加したものであってもよい。前記添加剤としては、例えば、光重合開始剤、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤等を挙げることができる。
(2)非導電部
本開示において、非導電部は、金属含有層において、上述した導電部以外の領域であり、非導電性を有する。ここで、「非導電性を有する」とは、例えば、本開示の導電性基材をタッチパネル等に用いた際に、非導電部が電気的に接続されることにより短絡する等の不具合が発生しない程度に導電性を有しないことをいう。
前記非導電部は、主に樹脂により構成され、必要に応じてその他の各種添加剤を含有しても良い。
前記非導電部の固形分(溶剤以外の成分)に含まれるトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物の合計含有量は、金属含有層の硬度の低下を抑制する点から、非導電部の全成分の中で10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、中でも、前記非導電部がトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物を含有しないことが特に好ましい。
前記非導電部に含まれる樹脂としては、特に限定はされないが、透明性を有する樹脂であることが好ましい。ここで、「透明」とは、前記導電部に用いられる前記樹脂の「透明」と同様である。
前記非導電部に含まれる樹脂としては、例えば、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂及びこれらの硬化物、並びに、溶剤乾燥型樹脂等が挙げられる。前記非導電部に含まれる樹脂としては、中でも、金属含有層の硬度を高くし、強度を向上する点から、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂の硬化物を少なくとも含有することが好ましく、電離放射線硬化性樹脂の硬化物を少なくとも含有することが特に好ましい。本開示においては、前記導電部に含まれる前記表層部がマイグレーション抑制剤を含有し、非導電部ではマイグレーション抑制剤の影響を受け難いので、電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を用いても重合抑制を受けにくい。そのため、金属含有層は、硬化性樹脂の硬化物を含むことにより硬度を向上しやすいものである。
ここで、「電離放射線」とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線又は電子線が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
また、溶剤乾燥型樹脂とは、前記導電部に用いることができる溶剤乾燥型樹脂と同様である。
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、アクリレート系等の官能基を有する化合物等の1または2以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能化合物等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)が好適に用いられる。なお、上述した「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本開示の1実施形態においては、電離放射線硬化性樹脂として、上述した化合物をPO、EO等で変性したものも使用できる。
本開示の1実施形態においては、上述した化合物の他にも、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も電離放射線硬化性樹脂として使用することができる。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
前記非導電部に含まれる各種添加剤については、前記導電部に用いることができる各種添加剤と同様である。
前記非導電部の厚みは、本開示の導電性基材の用途等に応じて適宜調製することができ、特に限定はされないが、例えば、50nm以上とすることができ、3000nm以下とすることができる。
また、前記金属含有層は、パターン形状を有するものであってもよい。前記金属含有層が所望のパターン形状を有することにより、本開示の導電性基材を、例えば表示装置等の配線基材等として用いることができ、具体的には例えば、タッチパネルのセンサ電極基材等として用いることができる。
前記パターン形状は、適宜選択されれば良く、特に限定されない。例えば、タッチパネルのセンサ電極基材として使用する際、所定の位置検出機能が付与でき、かつ視認性の低下が可能な限り最小となるような形状及び配置を選択することができる。
前記パターン形状のパターンとしては、例えば、メッシュ状で、且つ、直線(電極X、電極Yともに所定のピッチで並列に配列)が略直交した形態の直線格子パターン、交差部間の導電部分が少なくとも1つの湾曲を有する波線格子パターン、ダイヤモンド状のパターン等が挙げられる。
本開示においては、前記金属含有層のマイグレーションの発生を抑制することが可能であることにより、表示画素の高精細化ならびにタッチ検出精度の高精度化に対応可能なピッチのパターンとすることができる。
2.基材
本開示における基材は、前記金属含有層を支持する部材である。
前記基材は、透明性を有していても、不透明であってもよく、可撓性を有していても、剛性を有していてもよいが、透明性を有することが好ましい。ここで、「透明」とは、例えば、本開示の導電性基材を表示装置等に用いた際に、操作者からの視認を妨げない程度に透明であることをいう。したがって、「透明」は、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で定義されず、本開示の導電性基材の用途等に応じて透明性の度合いを決定することができる。
前記基材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、シクロオレフィンポリマー等の樹脂、ソーダ硝子、カリ硝子、無アルカリガラス、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の無機材料、金属及びこれらの複合材料等が挙げられ、中でも、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
また、前記基材は、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムであっても良い。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体等が用いられる基材で、例えば、日本ゼオン社製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト社製のスミライトFS−1700、JSR社製のアートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学社製のアペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製のTopas(環状オレフィン共重合体)、日立化成社製のオプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)を用いることもできる。
前記基材の厚みは、本開示の導電性基材の用途等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、機械的強度に優れることから、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることが更により好ましい。また、所望のフレキシブル性を実現することが可能となることから、前記基材の厚みは、150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることが更により好ましく、60μm以下であることが特に好ましい。
3.ハードコート層
本開示の導電性基材は、前記基材と前記金属含有層との間に、ハードコート層を有していても良い。
本開示におけるハードコート層は、本開示の導電性基材の機械的強度を向上させるとともに、金属含有層の表面に所定の硬度を付与することができる機能を有する。ここで、「所定の硬度」とは、例えば、金属含有層の表面が傷付くことを抑制することができる程度の硬度をいう。
前記ハードコート層の硬度としては、特に限定はされないが、ハードコート層の表面のJIS K5600−5−4(1999)の鉛筆硬度が、2B以上であることが好ましく、HB以上であることが好ましい。これにより、ハードコート層が上述のような硬度を有することにより、ハードコート層としての所望の機能を充分に発揮することができる。また、前記ハードコート層の前記鉛筆硬度は、7H以下であることが好ましく、5H以下であることがより好ましい。
このようなハードコート層は、透明性を有することが好ましい。なお、「透明」とは、前述した前記基材における「透明」と同様である。
本開示におけるハードコート層を構成する材料としては、所望の機能を発揮することができる材料であることが好ましく、特に限定されない。例えば、有機材料であっても良く、無機材料であっても良いが、中でも電離放射線硬化性樹脂等の有機材料であることが好ましい。なお、電離放射線硬化性樹脂等の有機材料としては、例えば、前記金属含有層に用いられる前記樹脂と同様のものを挙げることができる。
前記ハードコート層の厚みは、上述したハードコート層としての機能を発揮することができる程度の厚みであることが好ましく、本開示の導電性基材の用途等に応じて適宜調整することができる。所望の硬度を実現することができ、ハードコート層としての機能を充分に発揮することが可能となることから、前記ハードコート層の厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることが更により好ましい。また、前記ハードコート層の厚みは、50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更により好ましい。
なお、ハードコート層の厚みは、例えば、断面顕微鏡を用いて観察することにより測定することができる。
本開示の導電性基材の全体の厚みは、特に限定はされないが、強度に優れる点から、
25μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。また、本開示の導電性基材の全体の厚みは、可撓性及び透明性に優れる点から、500μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。
4.用途
本開示の導電性基材は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)等のディスプレイや、タッチパネル、太陽電池等の透明電極として用いることができる。
B.導電膜転写フィルム
本開示の導電膜転写フィルムは、前述した本開示の導電性基材であって、前記基材が剥離可能である。
本開示の導電膜転写フィルムは、効果を損なわない範囲で他の層を有していても良く、図2に示すように、基材2と金属含有層1との間に粘着層3を有するものであっても良いし、図示はしないが、基材2と金属含有層1との間に剥離層を有するものであっても良い。
本開示の導電膜転写フィルムは、前記基材が前記金属含有層から剥離可能であるため、本開示の導電膜転写フィルムから前記基材を剥離した、少なくとも前記金属含有層を含む導電膜を、所望の物品の表面に転写することができる。本開示の導電膜転写フィルムから前記基材を剥離した導電膜は、前述した本開示の導電性基材と同様の作用により、硬度の低下及びマイグレーションの発生を抑制することができる。
また、本開示の導電膜転写フィルムにより転写される導電膜は、少なくとも金属含有層を有すれば良いため、薄膜化に対応することができ、当該導電膜を表示装置等の装置に用いる場合に、当該装置全体の薄型化に寄与する。また、本開示の導電膜転写フィルムにより転写される導電膜は、柔軟に変形可能なものとすることができるため、本開示の導電膜転写フィルムによれば、平坦な面だけでなく、湾曲形状を有する面等にも容易に導電膜を転写することができる。
本開示の導電膜転写フィルムは、前述した本開示の導電性基材において、前記基材が剥離可能な実施形態である。
剥離可能な基材の材料としては、前記基材と同様の材料が挙げられ、中でも、未処理又は表面処理を行ったポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマーが好ましく、剥離が容易な点から、未処理のポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、本開示の導電膜転写フィルムにおいて、前記基材としては、前記基材が有する面のうち、前記金属含有層側の面に剥離剤が付着しているものを用いても良い。
前記剥離剤としては、従来公知の剥離剤を用いることができ、特に限定されないが、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、各種のワックス等が挙げられる。
また、本開示の導電膜転写フィルムは、前記基材と前記金属含有層との間に粘着層を有しても良い。
前記粘着層としては、従来公知の粘着層を適宜選択して適用することができ、特に限定されない。前記粘着層を構成する粘着層形成用組成物としては、例えば、アクリル系粘着組成物、ウレタン系粘着組成物、シリコーン系粘着組成物等が挙げられ、中でも、接着力、耐熱性及び耐候性に優れ、コスト面でも優れていることから、アクリル系粘着組成物が好ましい。
前記アクリル系粘着組成物は、主剤樹脂と硬化剤とを含有する熱硬化型粘着組成物であっても良いし、主剤樹脂と電離放射線重合性モノマーまたはオリゴマーとを含有する電離放射線硬化型粘着組成物であっても良い。前記主剤樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
前記粘着層の厚さは、特に限定はされないが、粘着力に優れる点から、25μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、フレキシブル性を付与する観点から、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。
また、本開示の導電膜転写フィルムは、前記基材と前記金属含有層との間に剥離層を有しても良い。
前記剥離層としては、従来公知の剥離層を適宜選択して適用することができ、特に限定されない。前記剥離層の材料としては、例えば、前記剥離剤を添加または共重合させた樹脂等が挙げられ、当該樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
前記剥離層の厚さは、特に限定はされないが、より良い成膜が得られて剥離力が安定する点から、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。また、前記剥離層の厚さは、薄膜化の観点から、5.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましい。
C.導電性基材の製造方法
本開示の導電性基材の製造方法は、基材と、前記基材上に、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子と樹脂とを含む第1層とを有し、前記第1層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上である、積層体を準備する工程と、
前記積層体が有する前記第1層の表面に、トコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を付着させる工程とを有し、
前記基材と、前記基材上に、前記金属粒子と前記樹脂とを含む金属含有層とを有し、前記金属含有層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、前記領域がトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む、導電性基材の製造方法である。
金属含有層の形成に用いられる樹脂組成物に、フェノール系マイグレーション抑制剤を均一に分散させた場合、樹脂組成物の硬化性が劣り、金属含有層の硬度が低下する場合がある。これは、金属含有層が形成される際に、フェノール系マイグレーション抑制剤が樹脂の硬化反応を阻害するためと推定される。
それに対し、本開示の製造方法により得られる導電性基材は、前述した本開示の導電性基材と同様にして、金属含有層の硬度の低下を抑制しつつ、マイグレーションの発生を効率良く抑制することができる。
また、金属含有層の硬度は、金属含有層に含まれる樹脂の種類及び硬化度等によって調節することができる。本開示の製造方法は、基材上に、金属粒子と樹脂とを含む第1層を形成した後、当該第1層の表面に、マイグレーション抑制剤であるトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を付着させることにより、金属含有層を形成するため、マイグレーション抑制剤を付着させる前の第1層を形成する段階で、金属含有層の硬度を調節することができる。よって、本開示の製造方法では、マイグレーション抑制剤の影響による金属含有層の硬度の低下を抑制することができる。
本開示の製造方法により得られる導電性基材は、前述した本開示の導電性基材と同様であるため、ここでの説明は省略する。
以下、本開示の導電性基材の製造方法が有する各工程について説明する。なお、本明細書において、第1層の「表面」とは、前記積層体が有する前記第1層の面のうち前記基材とは反対側の面を指す。
1.積層体を準備する工程
本開示の導電性基材の製造方法は、基材と、前記基材上に、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子と樹脂とを含む第1層とを有し、前記第1層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上である、積層体を準備する工程を有する。
前記積層体を準備する工程は、前記積層体を得ることができる工程であれば良く、特に限定はされないが、剥離性基材上に、前記金属粒子を含む第1a層を形成する工程と、前記第1a層上に、硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布する工程と、前記硬化性樹脂の少なくとも一部が硬化した第1b層を形成する工程と、前記剥離性基材上に前記第1a層と前記第1b層とを有する転写性積層体と、前記基材とを、前記第1b層が前記基材と対向するように貼り合わせる工程と、前記剥離性基材を剥離する工程とを有することが好ましい。
このような前記積層体を準備する工程について図を参照して説明する。図3の(a)〜(e)は、本開示の導電性基材の製造方法に用いられる積層体を準備する工程の一例を示す概略工程図である。図3に示す工程は、図3の(a)に示すように、剥離性基材2’上に、金属粒子を含有する金属粒子層である第1a層1a’を形成する工程と、図3の(b)に示すように、第1a層1a’上に、硬化性樹脂を含有する樹脂組成物1b”を塗布する工程と、図3の(c)に示すように、前記硬化性樹脂の少なくとも一部が硬化した樹脂組成物層である第1b層1b’を形成する工程と、図3の(d)に示すように、剥離性基材2’上に第1a層1a’と第1b層1b’とを有する転写性積層体4と、基材2とを、第1b層1b’が基材2と対向するように貼り合わせる工程と、図3の(e)に示すように、剥離性基材2’を剥離する工程とを有する。これらの工程により、基材2上に金属粒子層である第1a層1a’及び樹脂組成物層である第1b層1b’から構成される第1層1’を有する積層体10’を得ることができる。なお、第1a層1a’が、概ね金属含有層の導電部に相当するようになり、第1b層1b’が、金属含有層の非導電部に相当するようになる。
以下、図3に示す工程に基づき、前記積層体を準備する工程について詳細に説明する。
(1)剥離性基材
前記積層体を準備する工程に用いられる剥離性基材としては、前記第1a層を剥離可能に形成することができる部材であれば良く、特に限定はされない。前記剥離性基材の材料としては、例えば、前述した導電膜転写フィルムに用いられる剥離可能な基材の材料と同様のものが挙げられる。
(2)第1a層を形成する工程
第1a層は、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子を含有する金属粒子層であり、本開示の製造方法により得られる導電性基材が有する金属含有層の導電部に概ね相当するようになる。
金属粒子層である第1a層を形成する工程は、例えば、金属粒子組成物を前記剥離性基材上に塗布し、必要に応じて乾燥することにより行われる。前記金属粒子組成物は、少なくとも、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子を含有し、必要に応じて、樹脂、各種添加剤及び溶剤等を更に含有するものである。前記金属粒子組成物において、溶剤以外の成分は、前述した本開示の導電性基材が有する金属含有層の導電部に含まれる成分と同様にすることができる。
前記金属粒子組成物が含有しても良い溶剤としては、特に限定はされないが、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が挙げられる。また、前記溶剤としては、1種のみを用いても良く、2種以上の混合物を用いても良い。
前記金属粒子組成物が前記溶剤を含む場合、当該金属粒子組成物に含まれる固形分(溶剤以外の成分)の含有割合は、特に限定はされないが、例えば0.1質量%以上とすることができ、0.2質量%以上であることが好ましい。また、前記金属粒子組成物に含まれる固形分(溶剤以外の成分)の含有割合は、例えば、90質量%以下とすることができ、80質量%以下であることが好ましい。
前記金属粒子組成物を調製する方法としては、各成分を均一に混合することができる方法であることが好ましく、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用した方法が挙げられる。
前記金属粒子組成物を塗布する方法としては、一般的な塗布方法を用いることができ、特に限定はされないが、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法が挙げられる。
金属粒子層である前記第1a層の形成には、前記金属粒子組成物を塗布した後、必要に応じて加熱乾燥することにより溶剤を除去しても良い。前記加熱乾燥の温度は、溶剤の種類に応じて適宜選択することができ、特に限定はされないが、例えば、例えば、50℃以上とすることができる。
(3)樹脂組成物を塗布する工程
金属粒子層である前記1a層上に、硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布する工程において、前記樹脂組成物は、少なくとも硬化性樹脂を含有し、必要に応じて、各種添加剤及び溶剤等を更に含有するものである。前記樹脂組成物において、溶剤以外の成分は、前述した本開示の導電性基材が有する金属含有層の非導電部の成分と同様にすることができる。
また、前記樹脂組成物が含有しても良い溶剤としては、例えば、前記金属粒子組成物が含有しても良い溶剤と同様の溶剤が挙げられる。
前記樹脂組成物が溶剤を含む場合の当該樹脂組成物に含まれる固形分(溶剤以外の成分)の含有割合は、前記金属粒子組成物と同様とすることができる。
前記樹脂組成物を調製する方法としては、各成分を均一に混合することができる方法であればよく、公知の混合手段を用いて混合することにより調製することができる。
また、前記樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、前記金属粒子組成物を塗布する方法と同様の方法が挙げられる。
(4)第1b層を形成する工程
第1b層は、前記樹脂組成物の塗膜に含まれる前記硬化性樹脂の少なくとも一部を硬化することにより形成される樹脂組成物層であり、本開示の製造方法により得られる導電性基材が有する金属含有層の非導電部に相当するようになる。
なお、樹脂組成物層である前記第1b層においては、未硬化の硬化性樹脂が残存していても良いし、残存していなくても良い。前記第1b層において、未硬化の硬化性樹脂が残存する場合は、例えば後述する貼合工程又は剥離工程の後に、硬化処理を行うことにより未硬化の硬化性樹脂を硬化させることが、金属含有層の硬度を高くすることができる点及び前記第1b層と前記基材との密着性を向上する点から好ましい。
前記樹脂組成物の塗膜に含まれる前記硬化性樹脂の少なくとも一部を硬化する方法は、当該硬化性樹脂の種類により適宜選択され、特に限定はされない。
例えば、前記樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂を含む場合は、前記樹脂組成物の塗膜に電離放射線を照射することにより、前記硬化性樹脂の少なくとも一部を硬化することができる。このとき用いられる光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等が挙げられる。
電離放射線の波長域は、例えば、190nm以上とすることができ、380nm以下とすることができる。
また、電子線源の具体例としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
また、前記樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含む場合は、前記樹脂組成物の塗膜を加熱することにより、前記硬化性樹脂の少なくとも一部を硬化することができる。前記加熱の温度は、熱硬化性樹脂の種類により適宜選択され、特に限定はされないが、例えば50℃以上とすることができる。
(5)貼合工程
前記剥離性基材上に金属粒子層である前記1a層と樹脂組成物層である前記1b層とを有する転写性積層体と、前記基材とを、前記1b層が前記基材と対向するように貼り合わせる工程において、貼り合せる方法は、所定の圧力で押し当てる方法が挙げられる。このときの圧力は、前記1b層と前記基材とが十分に貼りつく程度の圧力であることが好ましく、特に限定されない。
(6)剥離工程
本工程において剥離性基材を剥離する方法は、金属粒子層である前記第1a層から前記剥離性基材を剥離することができる方法であれば特に限定されず、例えば、物理的な方法により剥離性基材を剥離する方法が挙げられる。
(7)その他の工程
本開示の導電性基材の製造方法においては、必要に応じて、例えば前記貼合工程の後、又は前記剥離工程の後に、残存する未硬化の硬化性樹脂を硬化させる工程を行っても良い。未硬化の硬化性樹脂を硬化させる方法は、当該硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択され、特に限定はされないが、例えば、電離放射線の照射及び加熱等が挙げられる。残存する未硬化の硬化性樹脂を硬化することにより、導電性基材の硬度及び層間密着性を向上することができる。
前記積層体を準備する工程としては、前述した工程の他、例えば図4に示す工程を挙げることもできる。図4の(a)〜(e)は、本開示の導電性基材の製造方法に用いられる積層体を準備する工程の他の一例を示す概略工程図である。図4に示す工程は、図4の(a)に示すように、基材2上に硬化性樹脂を含有する樹脂組成物1b”を塗布する工程と、図4の(b)に示すように、前記硬化性樹脂の一部が硬化した樹脂組成物層である第1b層1b’を形成する工程と、図4の(c)に示すように、剥離性基材2’上に、金属粒子を含有する金属粒子層である第1a層1a’を形成する工程と、図4の(d)に示すように、基材2上に第1b層1b’を有する第1積層体5と、剥離性基材2’上に第1a層1a’を有する第2転写性積層体6とを、第1b層1b’が第1a層1a’と対向するように貼り合わせる工程と、図4の(e)に示すように、剥離性基材2’を剥離する工程とを有する。これらの工程により、基材2上に金属粒子層である第1a層1a’及び樹脂組成物層である第1b層1b’から構成される第1層1’を有する積層体10’を得ることができる。
また、前記積層体を準備する工程としては、前述した工程の他、例えば図5に示す工程を挙げることもできる。図5の(a)〜(c)は、本開示の導電性基材の製造方法に用いられる積層体を準備する工程の他の一例を示す概略工程図である。図5に示す工程は、図5の(a)に示すように、基材2上に硬化性樹脂を含有する樹脂組成物1b”を塗布する工程と、図5の(b)に示すように、樹脂組成物1b”の塗膜上に金属粒子を含有する金属粒子層である第1a層1a’を形成する工程と、図5の(c)に示すように、樹脂組成物1b”が含む硬化性樹脂が硬化した樹脂組成物層である第1b層1b’を形成する工程とを有する。これらの工程により、基材2上に金属粒子層である第1a層1a’及び樹脂組成物層である第1b層1b’から構成される第1層1’を有する積層体10’を得ることができる。
図4及び図5に示す各工程は、前述の図3に示す各工程と同様にして行うことができる。
2.マイグレーション抑制剤を付着させる工程
本開示の導電性基材の製造方法は、前記積層体が有する前記第1層の表面に、マイグレーション抑制剤であるトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を付着させる工程を有する。
本工程で用いられる前記マイグレーション抑制剤は、前述した本開示の導電性基材に用いられるトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種と同様である。
前記マイグレーション抑制剤を付着させる方法としては、例えば、前記マイグレーション抑制剤及び溶剤を含有するマイグレーション抑制剤含有溶液を、前記積層体が有する前記第1層の表面に塗布し、その後前記溶剤を除去する方法が挙げられる。
前記マイグレーション抑制剤含有溶液は、前記マイグレーション抑制剤及び溶剤を含有し、更に必要に応じて各種添加剤等を含有していても良い。
前記マイグレーション抑制剤含有溶液が含有する溶剤としては、前記マイグレーション抑制剤を溶解することができる溶剤であれば特に限定されず、例えば、前記金属粒子組成物が含有しても良い溶剤と同様のものが挙げられる。前記第1層の第1a層を形成する際に溶剤乾燥型樹脂を用いる場合には、当該溶剤乾燥型樹脂が溶解しない溶剤を選択して用いることが好ましい。
前記マイグレーション抑制剤含有溶液に含まれる前記マイグレーション抑制剤の含有量は、特に限定はされないが、金属含有層の表層部が前記マイグレーション抑制剤を十分に含有することができ、マイグレーションの発生を抑制する効果が向上する点から、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更により好ましい。また、前記マイグレーション抑制剤含有溶液に含まれる前記マイグレーション抑制剤の含有量は、前記マイグレーション抑制剤を溶解するための溶剤を十分に含有させる観点から、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更により好ましい。
前記マイグレーション抑制剤含有溶液を、前記積層体が有する前記第1層の表面に塗布する方法としては、一般的な塗布方法を用いることができ、特に限定はされないが、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法が挙げられ、中でも、溶液の粘度や生産性の点から、ディップ法、ダイコート法、スピンコート法が好ましい。
前記マイグレーション抑制剤含有溶液を、前記積層体が有する前記第1層の表面に塗布した後、前記マイグレーション抑制剤含有溶液に含まれる溶剤を除去する方法としては、特に限定はされないが、例えば、加熱乾燥をする方法が挙げられる。前記加熱乾燥の温度及び時間は、溶剤の種類に応じて適宜選択することができ、特に限定はされないが、溶剤を十分に除去する観点から、前記加熱乾燥の温度は50℃以上であることが好ましく、130℃以下であることが好ましい。また、前記加熱乾燥の時間は30秒以上であることが好ましく、1時間以内であることが好ましい。
3.その他の工程
本開示の導電性基材においては、必要に応じて、金属含有層をパターン状に形成する工程を有しても良い。
前記金属含有層をパターン状に形成するためのパターニング加工の方法としては、特に限定はされず、公知の方法で行うことができ、例えばレーザー加工、フォトリソ法等が挙げられる。
レーザー加工によるパターニング加工の方法としては、例えば、金属含有層の表面からYAGやYVO4等のパルス状レーザー光を所定のパターンで照射し、不要となる金属含有層を除去することにより、金属含有層をパターン状に形成する方法が挙げられる。
フォトリソ法によるパターニング加工の方法としては、例えば、フォトレジストを金属含有層の表面に塗布し、所定パターンを有するフォトマスクを介して露光を行い、アルカリ溶液等の現像液を用い現像を行い、レジストパターンを形成し、さらにウェット又はドライエッチング法により不要となる金属含有層をエッチングした後、レジストを剥離することにより、金属含有層をパターン状に形成する方法が挙げられる。
また、本開示の導電性基材の製造方法においては、必要に応じて、例えば、基材上にハードコート層を形成する工程、金属含有層上に保護層を形成する工程等の前述した工程とは他の工程を更に有するものであっても良い。
D.導電膜転写フィルムの製造方法
本開示の導電膜転写フィルムの製造方法は、前述した本開示の導電性基材の製造方法であって、前記基材が剥離可能である。
本開示の製造方法により得られる導電膜転写フィルムは、前述した本開示の導電膜転写フィルムと同様に、導電膜転写フィルムから前記基材を剥離した、少なくとも前記金属含有層を含む導電膜を、所望の物品の表面に転写することができる。また、本開示の製造方法により得られる導電膜転写フィルムから前記基材を剥離した導電膜は、前述した本開示の導電性基材と同様の作用により、硬度の低下及びマイグレーションの発生を抑制することができる。また、前記導電膜は、前述した本開示の導電膜転写フィルムと同様に、薄膜化に対応することができ、柔軟に変形可能なものとすることができる。
本開示の導電膜転写フィルムの製造方法は、前述した本開示の導電性基材の製造方法において、前記基材が剥離可能な実施形態である。
なお、本開示の導電膜転写フィルムの製造方法に用いられる基材は、前述した本開示の導電膜転写フィルムに用いられる基材と同様である。
本開示の導電膜転写フィルムの製造方法においては、前記基材と前記金属含有層との間に粘着層を形成する工程を有していても良い。
前記粘着層を形成する方法としては、例えば、シート状の粘着層を貼合する方法、粘着層を構成する液状の材料を塗布して乾燥させる方法等が挙げられる。
シート状の粘着層は、例えば、前述した本開示の導電膜転写フィルムに用いることができる粘着層形成用組成物をシート状に成形したもの等が挙げられる。
粘着層を構成する液状の材料としては、例えば、前記粘着層形成用組成物に必要に応じて溶剤を含有させたもの等が挙げられる。
粘着層を構成する液状の材料を塗布する方法としては、公知の方法を用いればよく、例えば、前記金属粒子組成物を塗布する方法と同様の方法が挙げられる。
また、本開示の導電膜転写フィルムの製造方法においては、前記基材と前記金属含有層との間に剥離層を形成する工程を有していても良い。
前記剥離層は、例えば、剥離剤を添加または共重合させた樹脂を溶剤へ分散または溶解して塗布し、乾燥することにより溶媒を除去して形成することができる。
前記剥離層に用いられる前記剥離剤及び前記樹脂としては、前述した本開示の導電膜転写フィルムに用いられるものと同様のものが挙げられる。
前記塗布の方法としては、公知の方法を用いればよく、例えば、前記金属粒子組成物を塗布する方法と同様の方法が挙げられる。
前記剥離層の形成の際には、必要に応じて、温度30℃以上200℃以下での加熱乾燥、エイジング等を行っても良いし、前記剥離層が電離放射線硬化性樹脂を含む場合には樹脂を硬化させるために電離放射線の照射を行っても良い。
E.表示装置
本開示の表示装置は、導電膜を備え、
前記導電膜は、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子と樹脂とを含む金属含有層を有し、
前記金属含有層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、前記領域がトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む。
本開示の表示装置は、特定の金属含有層を有する導電膜を備え、当該導電膜が、前述した本開示の導電性基材と同様に、マイグレーションの発生及び硬度の低下が抑制されたものであるため、表示映像の動作不良が生じ難いものとすることができる。
本開示の表示装置としては、例えば、前述した本開示の導電性基材、または、前述した本開示の導電性基材から基材を剥離して得られる導電膜を電極基材として備えたタッチパネルを画像表示面に備えたものが挙げられる。
具体的には例えば、本開示の導電性基材乃至導電膜である電極基材の2つが、スペーサを介して互いに電極を一定間隔で対向させて配置されているタッチパネルが挙げられる。なお、当該導電性基材乃至導電膜の2つのうち、少なくとも1つが本開示の導電性基材乃至導電膜であればよい。当該タッチパネルのその他の部分は、従来公知の各種方式のタッチパネルの各種構成を採用することができる。
また、前記本開示に係る導電性基材乃至導電膜の前記金属含有層がパターニングされてなり、金属含有層形成領域と金属含有層非形成領域を有する場合には、金属含有層が、例えば座標認識用の配線として機能し、静電容量式タッチパネルに好適に用いられる。
本開示の表示装置30は、図6に示すように、本開示に係る導電性基材を電極基材として備えたタッチパネル20が、表示パネル31の画像表示面上に位置する構成を有する。本開示の表示装置30において、タッチパネル20は、表示パネル31と接着層を介して貼り合わされても良いし、LCD等のフラットパネルディスプレイによる表示パネル31との間に空隙を空けて、位置する構成であっても良い。なお、本開示の表示装置にあっては、単に表示機能のみを有する装置であっても良いし、装置の機能の一部として表示機能を有する装置であっても良い。単に表示機能のみを有する装置としては、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネッセントディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)等のFPD(フラットパネルディスプレイ)、或いは、CRT等を表示パネルに用いた装置等が挙げられる。装置の機能の一部として表示機能を有する装置としては、例えば、電子手帳等のPDA又は携帯情報端末(機器)、或いは、カーナビゲーションシステム、POS(販売時点情報管理)端末、携帯型オーダー入力端末、ATM(現金自動預金支払兼用機)、ファクシミリ、固定電話端末、携帯電話端末、デシタルカメラ、ビデオカメラ、パソコン、パソコン用ディスプレイ、テレビジョン受像機、テレビ用モニターディスプレイ、券売機、計測機器、電卓、電子楽器等の電子機器、複写機、ECR(金銭登録機)等の事務機器、或いは、洗濯機、電子レンジ等の電気製品等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本開示を具体的に説明する。
[実施例1]
(金属粒子層(第1a層)形成工程)
剥離性基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:50μm)上に、銀ナノワイヤ(短軸の長さ:35±15nm、長軸の長さ:15μm、Blueano社(製) SLV−NW−35)を0.01質量%、テトラキスエポキシシロキサンを0.01質量%、(n−ピロリドンプロピル)メチルシロキサンージメチルシロキサンコポリマーを0.2質量%、イソプロピルアルコールを39.78質量%、1−ブタノールを30質量%、シクロヘキサンを30質量%含有した金属粒子組成物を、ダイコート法を用いて塗布し、wetな塗膜(厚み:3μm)を形成した。その後、剥離性基材上に形成された塗膜を、70℃で1分間オーブン加熱し、金属粒子層(第1a層)を形成した。
(樹脂組成物層(第1b層)形成工程)
次に、得られた金属粒子層(第1a層)上に、紫外線硬化性樹脂材料であるBS−1200W(荒川化学工業(株)製)を20質量%、シクロヘキサノンを15質量%、メチルエチルケトンを65質量%含有した樹脂組成物を、ダイコート法を用いて塗布し、wetな塗膜(厚み:1μm)を形成した。その後、70℃で1分間オーブン加熱して、メタルハライドランプ(ハリソン東芝ライティング(株)製 メタルハライドランプMJ−1500L)にて365nmの波長における露光量が180mJ/cmになるように紫外線を照射して、樹脂組成物層(第1b層)を形成し、剥離性基材上に、金属粒子層(第1a層)、樹脂組成物層(第1b層)がこの順に位置する転写性積層体を得た。
(ハードコート層形成工程)
続いて、基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:50μm)上に、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製 KAYARAD PET−30)を10質量%、Irgacure184(BASF)を0.5質量%、メチルイソブチルケトンを89.5質量%含有したハードコート組成物を、ダイコート法を用いて塗布し、wetな塗膜(厚み:20μm)を形成した。その後、基材上に形成された塗膜を70℃で1分間オーブン加熱し、基材上にハードコート層を形成した。
(貼合工程)
次いで、得られた転写性積層体の樹脂組成物層(第1b層)と、基材上に形成されたハードコート層とを貼り合せるようにラミネートし、その状態で、剥離性基材側から、365nmの波長における露光量が400mJ/cmになるように紫外線照射し、ハードコート層及び樹脂組成物層(第1b層)に含まれる未硬化の硬化性樹脂を硬化させた。これにより、基材上に、ハードコート層、樹脂組成物層(第1b層)、金属粒子層(第1a層)、剥離性基材がこの順に位置する剥離性基材付き積層体を得た。
その後、剥離性基材を剥離し、基材上に、ハードコート層、樹脂組成物層(第1b層)、金属粒子層(第1a層)がこの順に位置する積層体を得た。
(マイグレーション抑制剤付着工程)
前記積層体が有する金属粒子層(第1a層)の表面に、DL−α−トコフェロール0.01質量%及びシクロヘキサノン99.99質量%を含有するトコフェロール含有溶液を、スピンコート法により塗布し、130℃で10分間加熱乾燥させることにより、金属粒子層(第1a層)の表面にDL−α−トコフェロールを付着させた。これにより、実施例1の導電性基材を得た。なお、実施例1で得られた導電性基材の層構成(基材/ハードコート層/非導電部/導電部)を構成Aとする。
実施例1で得られた導電性基材の導電部の厚みは46nmであり、非導電部の厚みは100nmであった。なお、前記導電部及び非導電部の厚みは、断面SEM観察(日立社製S4800)により確認した。
前記金属粒子層(第1a層)が概ね導電部となり、前記樹脂組成物層(第1b層)が非導電部となった。
得られた導電性基材に対し、金属含有層の表層からの銀ナノワイヤの存在量について定量分析を行い、銀ナノワイヤの含有量測定を行った。具体的には、導電性基材をArイオンスパッタリング法を用いてエッチングし、XPS装置を用いて導電性基材の表層から深さ方向に分析を行った。なお、Arイオンスパッタリング法の各条件は、前述した「A.導電性基材」の「(1)導電部」に記載した条件と同様の条件とした。
銀ナノワイヤの含有量測定結果を表1に示す。
また、実施例1で得られた導電性基材において、金属含有層の表面におけるDL−α−トコフェロールの含有量は0.35mg/mであった。
なお、実施例1で得られた導電性基材は、DL−α−トコフェロールが金属含有層の表面から30nmまでの領域に含まれるものであった。各実施例で得られた導電性基材において、金属含有層の表面から30nmまでの領域に特定のマイグレーション抑制剤が含有されていることは、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析によって、下記条件で測定することにより確認した。
使用装置:HP−6890/5973N(Agilent Technologies社製)
注入口温度:320℃
スプリット比:50:1
イオン化法:EI
検出器:四重極型
MS測定範囲:33〜650m/z
熱分解装置:PY−2020iD(フロンティア・ラボ(株)製)
熱分解温度:600℃
誘導体化温度:450℃
誘導体化試薬:TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)
クライオ時熱抽出温度:300℃
抽出時間:10分
使用カラム:UA−5(長さ30m、膜厚0.25μm、内径250μm)
流速:1.7mL/min
昇温条件:50℃で5分間保持後、10℃/minで昇温し、320℃で3分間保持した。
[実施例2]
実施例1において、前記マイグレーション抑制剤付着工程で用いるトコフェロール含有溶液のDL−α−トコフェロールの含有量を0.1質量%に変え、シクロヘキサノンの含有量を99.9質量%に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の導電性基材を得た。
実施例2で得られた導電性基材において、金属含有層の表面におけるDL−α−トコフェロールの含有量は3.5mg/mであった。
なお、実施例2で得られた導電性基材は、DL−α−トコフェロールが金属含有層の表面から30nmまでの領域に含まれるものであった。
[実施例3]
実施例1において、前記マイグレーション抑制剤付着工程で用いるトコフェロール含有溶液のDL−α−トコフェロールの含有量を5質量%に変え、シクロヘキサノンの含有量を95質量%に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の導電性基材を得た。
実施例3で得られた導電性基材において、金属含有層の表面におけるDL−α−トコフェロールの含有量は175mg/mであった。
なお、実施例3で得られた導電性基材は、DL−α−トコフェロールが金属含有層の表面から30nmまでの領域に含まれるものであった。
[実施例4]
実施例1において、前記マイグレーション抑制剤付着工程で用いたトコフェロール含有溶液に代えて、IRGANOX 1035(BASF社製)0.1質量%及びシクロヘキサノン99.9質量%を含有する溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の導電性基材を得た。
実施例4で得られた導電性基材において、金属含有層の表面におけるIRGANOX 1035の含有量は3.5mg/mであった。
なお、実施例4で得られた導電性基材は、IRGANOX 1035が金属含有層の表面から30nmまでの領域に含まれるものであった。
[比較例1]
実施例1において、前記トコフェロール付着工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の導電性基材を得た。
[比較例2]
(金属粒子層形成工程)
基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:50μm)上に、銀ナノワイヤ(短軸の長さ:35±15nm、長軸の長さ:15μm、Blueano社(製) SLV−NW−35)を0.01質量%、テトラキスエポキシシロキサンを0.01質量%、(n−ピロリドンプロピル)メチルシロキサンージメチルシロキサンコポリマーを0.2質量%、イソプロピルアルコールを39.78質量%、1−ブタノールを30質量%、シクロヘキサンを30質量%含有した金属粒子組成物を、ダイコート法を用いて塗布し、wetな塗膜(厚み:12μm)を形成した。その後、基材上に形成された塗膜を、70℃で1分間オーブン加熱し、金属粒子層を形成した。
(樹脂組成物層形成工程)
次に、得られた金属粒子層上に、紫外線硬化性樹脂材料であるBS−1200W(荒川化学工業(株)製)を20質量%、シクロヘキサノンを15質量%、メチルエチルケトンを65質量%含有した樹脂組成物を、ダイコート法を用いて塗布し、wetな塗膜(厚み:1μm)を形成した。その後、70℃で1分間オーブン加熱して、メタルハライドランプ(ハリソン東芝ライティング(株)製 メタルハライドランプMJ−1500L)にて365nmの波長における露光量が180mJ/cmになるように紫外線硬化させて樹脂組成物層を形成し、基材上に、金属粒子層に相当する導電部、樹脂組成物層に相当する非導電部がこの順に位置する比較例2の導電性基材を得た。
なお、比較例2で得られた導電性基材の層構成(基材/導電部/非導電部)を構成Bとする。
[比較例3]
比較例2において、前記樹脂組成物層形成工程で、紫外線硬化性樹脂材料であるBS−1200W(荒川化学工業(株)製)を19.999質量%、DL−α−トコフェロール0.001質量%、シクロヘキサノンを15質量%、メチルエチルケトンを65質量%含有した樹脂組成物を用いたこと以外は、比較例2と同様にして比較例3の導電性基材を得た。
なお、比較例3で得られた導電性基材の非導電部表面におけるDL−α−トコフェロールの含有量は、0.035mg/mであった。
[比較例4]
比較例2において、前記樹脂組成物層形成工程で、紫外線硬化性樹脂材料であるBS−1200W(荒川化学工業(株)製)を19.99質量%、DL−α−トコフェロールを0.01質量%、シクロヘキサノンを15質量%、メチルエチルケトンを65質量%含有した樹脂組成物を用いたこと以外は、比較例2と同様にして比較例4の導電性基材を得た。
なお、比較例4で得られた導電性基材の非導電部表面におけるDL−α−トコフェロールの含有量は、0.35mg/mであった。
[比較例5]
比較例2において、前記樹脂組成物層形成工程で、紫外線硬化性樹脂材料であるBS−1200W(荒川化学工業(株)製)を19.9質量%、DL−α−トコフェロールを0.1質量%、シクロヘキサノンを15質量%、メチルエチルケトンを65質量%含有した樹脂組成物を用いたこと以外は、比較例2と同様にして比較例5の導電性基材を得た。
なお、比較例5で得られた導電性基材の非導電部表面におけるDL−α−トコフェロールの含有量は、3.5mg/mであった。
[比較例6]
比較例2において、前記樹脂組成物層形成工程で、紫外線硬化性樹脂材料であるBS−1200W(荒川化学工業(株)製)を19.0質量%、DL−α−トコフェロールを1.0質量%、シクロヘキサノンを15質量%、メチルエチルケトンを65質量%含有した樹脂組成物を用いたこと以外は、比較例2と同様にして比較例6の導電性基材を得た。
なお、比較例6で得られた導電性基材の非導電部表面におけるDL−α−トコフェロールの含有量は、35mg/mであった。
[評価]
(硬度の測定)
各実施例及び比較例1で得られた、剥離性基材上に金属粒子層、樹脂組成物層がこの順に位置する転写性積層体の樹脂組成物層(非導電部)側の表面、各実施例及び比較例1で得られた導電性基材の導電部側の表面、比較例2乃至6で得られた導電性基材の非導電部側の表面について、JIS5600−5−4に基づき、鉛筆法により引っかき硬度を測定した。測定結果を表2に示す。
(抵抗上昇率)
各実施例及び各比較例で得られた導電性基材の抵抗上昇率について評価した。抵抗上昇率の評価方法について、図を参照しながら説明する。
図7の(a)〜(d)は、抵抗上昇率の評価方法を説明するための説明図である。図7の(a)に示すように、導電性基材10を準備し、次に、導電性基材10の表面の中央部をポリエチレンテレフタレートフィルムによりマスキングし、この状態でAPC(フルヤ金属(株))をスパッタ成膜(装置:E400、キヤノンアネルバ(株)製)して図7の(b)に示すように、導電性基材10の表面に、パターン状の金属層7を形成した。その後、図7の(c)に示すように、導電性基材10をレーザー(λ=1064nm)によりパターニングし、配線7a、7bを作製した。配線7a、7bの長さTは40mm、配線幅wは3mm、配線間のギャップGは30μmであった。
抵抗上昇率は、図7の(d)に示すように一方の配線7bに6Vの電圧を印加し、その状態で60℃、95%Rhの環境下にて最長100時間保管し、配線7bの両端のパターン状の金属層に抵抗測定計の端子を接触させ、抵抗値を電圧印加前後で測定し、測定した抵抗値から算出した。
各実施例で得られた導電性基材は、金属含有層の導電部が、金属粒子が集中して存在する表層部を有し、当該表層部が特定のマイグレーション抑制剤を含む本開示の導電性基材であった。そのため、硬度が高く、電圧印加前後における抵抗上昇率は低く、マイグレーションの発生が抑制されたものであった。
比較例1で得られた導電性基材は、金属含有層の導電部の表層の領域に金属粒子が集中して存在していたが、当該表層の領域が特定のマイグレーション抑制剤を含まないものであったため、マイグレーションの発生が抑制されなかった。
比較例2で得られた導電性基材は、基材上に、導電部(金属粒子層)、非導電部(樹脂組成物層)がこの順に位置する導電性基材であり、特定のマイグレーション抑制剤を含まないものであったため、マイグレーションの発生が抑制されなかった。
比較例3で得られた導電性基材は、基材上に、導電部(金属粒子層)、非導電部(樹脂組成物層)がこの順に位置する導電性基材であり、当該非導電部に特定のマイグレーション抑制剤が均一に分散されたものであったが、当該マイグレーション抑制剤の含有量が不十分であったため、マイグレーションの発生が抑制されなかった。
比較例4で得られた導電性基材は、基材上に、導電部(金属粒子層)、非導電部(樹脂組成物層)がこの順に位置する導電性基材であり、当該非導電部に特定のマイグレーション抑制剤が均一に分散されたものであったため、硬度が低くなり、また、当該マイグレーション抑制剤の含有量は実施例1と同様であったが、マイグレーションの発生は抑制されなかった。
比較例5及び比較例6で各々得られた導電性基材は、基材上に、導電部(金属粒子層)、非導電部(樹脂組成物層)がこの順に位置する導電性基材であり、当該非導電部に特定のマイグレーション抑制剤が均一に分散されたものであったため、硬度が大きく低下した。
1 金属含有層
1’ 第1層
1a 導電部
1a’ 第1a層(金属粒子層)
1b 非導電部
1b” 樹脂組成物
1b’ 第1b層(樹脂組成物層)
2 基材
2’ 剥離性基材
3 粘着層
4 転写性積層体
5 第1積層体
6 第2転写性積層体
7 金属層
7a 配線
7b 配線
10 導電性基材
10’ 積層体
11 導電膜転写フィルム
20 タッチパネル
30 表示装置
31 表示パネル

Claims (6)

  1. 基材と、
    前記基材上に、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子と樹脂とを含む金属含有層とを有し、
    前記金属含有層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、前記領域がトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む、導電性基材。
  2. 請求項1に記載の導電性基材であって、
    前記基材が剥離可能である、導電膜転写フィルム。
  3. 基材と、前記基材上に、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子と樹脂とを含む第1層とを有し、前記第1層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上である、積層体を準備する工程と、
    前記積層体が有する前記第1層の表面に、トコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を付着させる工程とを有し、
    前記基材と、前記基材上に、前記金属粒子と前記樹脂とを含む金属含有層とを有し、前記金属含有層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、前記領域がトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む、導電性基材の製造方法。
  4. 前記積層体を準備する工程が、
    剥離性基材上に、前記金属粒子を含む第1a層を形成する工程と、
    前記第1a層上に、硬化性樹脂を含む樹脂組成物を塗布する工程と、
    前記硬化性樹脂の少なくとも一部が硬化した第1b層を形成する工程と、
    前記剥離性基材上に前記第1a層と前記第1b層とを有する転写性積層体と、前記基材とを、前記第1b層が前記基材と対向するように貼り合わせる工程と、
    前記剥離性基材を剥離する工程とを有する、請求項3に記載の導電性基材の製造方法。
  5. 請求項3又は4に記載の導電性基材の製造方法であって、
    前記基材が剥離可能である、導電膜転写フィルムの製造方法。
  6. 導電膜を備え、
    前記導電膜は、銀粒子及び銅粒子から選ばれる少なくとも一種の金属粒子と樹脂とを含む金属含有層を有し、
    前記金属含有層は、表面から30nmまでの領域において、前記金属粒子の含有量が前記金属含有層に含まれる全ての前記金属粒子の合計に対して80体積%以上であり、前記領域がトコフェロール化合物、トコトリエノール化合物及びチオエーテル基含有フェノール化合物から選ばれる少なくとも一種を含む、表示装置。
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