JP6743384B2 - 導電性基材 - Google Patents

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Description

本発明は、マイグレーション抑制剤を含む導電性基材に関するものである。
近年、導電性基材に用いられる導電材料として、金属粒子が注目されている。金属粒子を用いた導電性基材は、例えば、金属粒子が樹脂バインダ中に分散された金属含有層を有する。特許文献1には、導電材料として銀または銀合金を用いた導電性基材について開示されている。
金属粒子を用いた導電性基材は、例えば次のような形成方法により得ることができる。すなわち、図5(a)に示すように、基材1上に、金属粒子2a’を配置して、その後、金属粒子2a’を覆うように樹脂材料2b’を塗布することにより、金属含有層2を形成し、導電性基材10’を得ることができる。
ところで、従来、導電性基材のマイグレーションの発生が問題となっている。マイグレーションは、主に、導電性基材に電圧が印加されることにより、金属含有層に含まれる金属粒子が金属イオンとなって移動し、例えば絶縁領域において金属が析出するという現象である。マイグレーションが発生すると、例えば、導電性基材をタッチパネルの配線基材として用いた際に、短絡等の不具合が生じてしまう。このようなマイグレーションは、金属の中でも銀もしくは銅、特に銀の場合に発生しやすい傾向にある。
特許文献2には、マイグレーションの発生を抑制する方法として、金属含有層にマイグレーション抑制剤を含有する方法が提案されている。金属含有層にマイグレーション抑制剤を含有する場合、通常は、例えば図5(b)に示すように、金属粒子2a’を覆う樹脂材料2b’にマイグレーション抑制剤を含有する。金属含有層がマイグレーション抑制剤を有することにより、金属粒子の安定化を図ることができるため、金属粒子が金属イオンとなることを抑制し、金属の析出を抑制することができる。
特開2013−224397号公報 特開2014−32792号公報
このような導電性基材は、様々な部材として用いることができるが、例えば、タッチパネルや表示装置等の配線基材として用いられることが多い。そのため、導電性基材の多くは、基材上に形成された金属含有層を所望の形状にパターニングして用いられる。金属含有層のパターニングには、主にウェットエッチング法が採用されているが、本発明の発明者等が試みたところ、金属含有層がマイグレーション抑制剤を含む場合、金属含有層のウェットエッチング特性が低下してしまうという課題を発見した。すなわち、本発明の発明者等は、導電性基材において、マイグレーション耐性およびウェットエッチング特性の両立を図ることが困難であるという課題を発見した。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、優れたマイグレーション耐性を得ることができるとともに、ウェットエッチング特性の低下を抑制することが可能な導電性基材を提供することを主目的とする。
そこで、本発明の発明者等は、金属含有層がマイグレーション抑制剤を含む場合に、金属含有層のウェットエッチング特性が低下することについて検討を重ねた結果、次のようなことを見出した。まず、金属含有層がマイグレーション抑制剤を含むと、金属含有層に含まれる金属粒子がマイグレーション抑制剤によって安定化するため、金属粒子が金属イオンとなって移動することを抑制することができ、優れたマイグレーション耐性を得ることができる一方で、金属粒子が安定化することにより、エッチング液に対する耐性が高まり、ウェットエッチング特性が低下してしまう虞があることを見出した。次に、例えば、図5(a)、(b)に示すように、金属含有層2において、基材1側に金属粒子2a’が配置されていると、金属粒子にエッチング液が浸透するまでに時間がかかってしまい、ウェットエッチング特性が低下することを見出した。
本発明の発明者等は、このような事項を踏まえて鋭意研究を重ねたところ、金属含有層がマイグレーション抑制剤を含むことにより、金属粒子が安定化した場合であっても、金属粒子が金属含有層の表層に集中して存在することにより、ウェットエッチング法を用いて金属含有層をパターニングする際、エッチング液が金属粒子まで到達しやすくなり、ウェットエッチング特性の低下を抑制することができるという知見を得た。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明は、基材と、上記基材上に配置され、表層部を有する金属含有層とを有し、上記金属含有層は、樹脂材料中に分散された銀粒子または銅粒子、およびマイグレーション抑制剤を含み、上記表層部は、上記金属含有層の表面から30nmまでの領域であり、上記表層部に含まれる上記銀粒子または上記銅粒子の含有量が、上記金属含有層に含まれる全ての上記銀粒子または上記銅粒子に対して80体積%以上であることを特徴とする導電性基材を提供する。
本発明によれば、金属含有層がマイグレーション抑制剤を含むことにより、優れたマイグレーション耐性を得ることができるとともに、金属含有層に含まれる銀粒子または銅粒子が、金属含有層の表面にある表層部に集中して存在することにより、パターン状の金属含有層を形成する際のウェットエッチング特性の低下を抑制することが可能な導電性基材とすることができる。
本発明においては、上記マイグレーション抑制剤が、下記化学式(A)であることが好ましい。優れたマイグレーション耐性を得ることができるとともに、マイグレーション抑制剤を用いることによる導電性基材の表面抵抗値の上昇を抑えることができるからである。
本発明は、優れたマイグレーション耐性を得ることができるとともに、ウェットエッチング特性の低下を抑制することが可能な導電性基材とすることができるという効果を奏する。
本発明の導電性基材の一例を示す概略断面図である。 本発明の導電性基材を説明するための説明図である。 本発明の導電性基材の製造方法の一例を示す概略工程図である。 本発明の導電性基材の製造方法の他の例を示す概略工程図である。 従来の導電性基材の製造方法の一例を示す概略工程図である。 マイグレーション試験を説明するための説明図である。 エッチングレートに対する銀粒子の含有量を示すグラフである。
以下、本発明の導電性基材について詳細に説明する。
本発明の導電性基材は、基材と、上記基材上に配置され、表層部を有する金属含有層とを有し、上記金属含有層は、樹脂材料中に分散された銀粒子または銅粒子、およびマイグレーション抑制剤を含み、上記表層部は、上記金属含有層の表面から30nmまでの領域であり、上記表層部に含まれる上記銀粒子または上記銅粒子の含有量が、上記金属含有層に含まれる全ての上記銀粒子または上記銅粒子に対して80体積%以上であることを特徴とするものである。
このような本発明の導電性基材について図を参照して説明する。
図1は、本発明の導電性基材の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明の導電性基材10は、基材1と、基材1上に配置され、表層部を有する金属含有層2とを有し、金属含有層2は、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子、マイグレーション抑制剤を含む。また、本発明の導電性基材は、表層部は、金属含有層の表面から30nmまでの領域であり、表層部に含まれる銀粒子または銅粒子の含有量が、金属含有層に含まれる全ての銀粒子または銅粒子に対して80体積%以上であることを特徴とする。また、本発明における金属含有層2は、表層部を有する導電部2aおよび非導電部2bにより構成される。
ここで、「樹脂材料」とは、特に言及しない限り、モノマー、オリゴマー、ポリマー等も包含する概念である。
また、「銀」とは、銀または銀合金を指し、「銅」とは、銅または銅合金を指す。
ここで、「銀合金」とは、銀を主成分とし、導電性基材に用いた際にマイグレーションが生じる程度に銀を含有する合金をいい、具体的には銀の元素の割合が、原子組成百分率で30at%以上であることをいう。
また、「銅合金」とは、銅を主成分とし、導電性基材に用いた際にマイグレーションが生じる程度に銅を含有する合金をいい、具体的には銅の元素の割合が、原子組成百分率で30at%以上であることをいう。
なお、銀合金または銅合金における銀または銅の元素の割合は、例えば、質量分析装置(島津製作所(株)製、ICPM−8500)を用いることにより測定することができる。
さらに、「粒子」とは、例えば、平均一次粒子径が、0.1nm以上100μm以下であり、繊維状、球状および鱗片状等の形状を有するものをいう。
なお、平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、「粒子」が繊維状である場合、透過型電子顕微鏡写真(TEM)(例えば、日立ハイテク製 H−7650)にて粒子像を測定し、ランダムに選択した100個の一次粒子の短軸の長さ、すなわち繊維径の長さの平均値を平均一次粒径とすることができる。また、「粒子」が球状や鱗片状等のその他の形状である場合、TEMにて粒子像を測定し、ランダムに選択した100個の一次粒子の最長部の長さの平均値を平均一次粒径とすることができる。
さらにまた、「表層部」とは、銀粒子または銅粒子により導電性を有する領域を指し、金属含有層の表面から30nmまでの領域をいう。また、「導電部」とは、表層部を有する領域であり、銀粒子または銅粒子により導電性を有する領域を指し、金属含有層の表面から50nmまでの領域をいう。一方、「非導電部」とは、金属含有層において、導電部以外の領域をいう。したがって、例えば、図1における符号2aに示す領域を「導電部」といい、符号2bに示す領域を「非導電部」という。なお、「導電性を有する」とは、例えば表面抵抗値が1×10Ω/□以下であることをいう。
さらにまた、「金属含有層の表面」とは、金属含有層の基材とは反対側の面を指し、例えば、図2に示すように、銀粒子または銅粒子が樹脂材料から突出している場合には、樹脂材料からなる層の表面Sを指す。
なお、図2は、図1の領域Rを拡大した拡大図である。
本発明によれば、金属含有層がマイグレーション抑制剤を含むことにより、優れたマイグレーション耐性を得ることができるとともに、金属含有層に含まれる銀粒子または銅粒子が、金属含有層の表面にある表層部に集中して存在することにより、パターン状の金属含有層を形成する際のウェットエッチング特性の低下を抑制することが可能な導電性基材とすることができる。
この理由としては、次のようなことが推測される。
従来、導電性基材においては、マイグレーションの発生が課題の一つとなっている。マイグレーションは、主に、導電性基材に電圧が印加されることにより、金属含有層に含まれる金属粒子が金属イオンとなって移動し、例えば絶縁領域において金属が析出するという現象である。
これに対し、本発明においては、金属含有層がマイグレーション抑制剤を含有することにより、優れたマイグレーション耐性を得ることができる。ここで、マイグレーション抑制剤による作用効果について説明する。まず、導電性基材に電圧が印加されると、金属含有層に含まれる金属粒子が金属イオンとなり、正の電荷を帯びる一方、金属含有層に含まれたマイグレーション抑制剤は、下記のように負の電荷を帯びる。
そのため、下記に示すイメージ図のように、金属イオンおよびマイグレーション抑制剤が配位結合し、表面錯体を形成して化学吸着する。これにより、金属含有層に含まれる金属粒子が金属イオンとなることを抑制することができ、マイグレーション耐性を得ることが可能となる。
また、本発明の発明者等は、金属含有層がマイグレーション抑制剤を含む場合、金属含有層のウェットエッチング特性が低下してしまうという課題を発見した。これは、マイグレーション抑制剤によって金属粒子が安定化するため、エッチング液に対する耐性が高まることに起因していると考えられるが、この他にも、ウェットエッチング特性は、金属含有層に存在する金属粒子の分布位置にも起因していると考えられる。すなわち、例えば、図5(b)に示すように、金属粒子2a’が金属含有層2の基材1側に集中している場合や、図示しないが、金属粒子が金属含有層の全体に偏りなく分散している場合、金属粒子にエッチング液が到達するまでに時間がかかってしまい、結果としてウェットエッチング特性が低下すると推測される。
これに対し、本発明においては、金属含有層に含まれる銀粒子または銅粒子が、金属含有層の表面にある表層部に集中して存在することにより、パターン状の金属含有層を形成する際に、銀粒子または銅粒子にエッチング液が到達するまでの時間を短縮させることができるため、銀粒子または銅粒子がマイグレーション抑制剤によって安定化していたとしても、ウェットエッチング特性の低下を抑制することが可能となる。
以下、本発明の導電性基材の各構成について説明する。
1.金属含有層
本発明における金属含有層は、基材上に配置され、表層部を有する部材である。また、金属含有層は、樹脂材料中に分散された銀粒子または銅粒子、およびマイグレーション抑制剤を含む部材である。
本発明における金属含有層は、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散されている。換言すると、樹脂材料中に、銀粒子または銅粒子が埋め込まれた構成を成す。本発明における金属含有層において、樹脂材料中に含まれる銀粒子または銅粒子の含有量は、例えば、金属含有層の表面にある表層部が、所定の量の銀粒子または銅粒子を有していれば良く、所望の導電性を達成することができる程度であることが好ましい。具体的には、樹脂材料100質量部に対して、銀粒子または銅粒子が20質量部〜3000質量部の範囲内であることが好ましく、中でも50質量部〜1000質量部の範囲内であることが好ましい。樹脂材料中に含まれる銀粒子または銅粒子の含有量が、上記範囲内であることにより、導電部における銀粒子または銅粒子の含有量を所定の範囲内とすることができ、充分な導電性を有する導電性基材とすることができる。
本発明における金属含有層は、表面から銀粒子または銅粒子が突出していることが好ましい。金属含有層をパターニングするためにウェットエッチング処理を行う際、銀粒子または銅粒子のウェットエッチング性を高めることが可能となる。本発明においては、金属含有層の表面から銀粒子または銅粒子が突出している距離が、3nm〜600nmの範囲内であることが好ましく、中でも5nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。金属含有層の表面から銀粒子または銅粒子が突出している距離が上記範囲内であることにより、銀粒子または銅粒子のウェットエッチング性を高めることができ、また、導電部の表面から銀粒子または銅粒子が脱落するといった不具合の発生を抑制することができる。
なお、「金属含有層の表面から銀粒子または銅粒子が突出している距離」とは、金属含有層の表面において、銀粒子または銅粒子が突出していない領域の表面から、金属含有層の表面から突出した銀粒子または銅粒子の先端までの垂直距離を指す。
また、上記距離は、例えば、SEMと称する走査型電子顕微鏡、TEMと称する透過型電子顕微鏡およびSTEMと称する走査透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡を用い、1000〜50万倍にて上記距離を測定した10か所の平均値として求めることができる。
本発明における金属含有層の厚みは、本発明の導電性基材の用途や金属含有層に含まれる銀粒子または銅粒子の大きさ等に応じて適宜調整することができるため、ここでの記載は省略する。
以下、本発明における表層部を有する導電部、および非導電部について説明する。
(1)導電部
本発明における導電部は、金属含有層の表面から50nmまでの領域であり、表層部を有する部材である。
本発明における導電部は、銀粒子または銅粒子が所定の量存在していることにより、所望の導電性を有する導電性基材とすることができる。本発明の導電性基材が有する導電性、すなわち金属含有層の表面から50nmでの領域にある導電部が有する導電性は、導電性基材の用途等に応じて適宜調整することができるが、例えば、導電部の表面抵抗値が、1000Ω/□以下であることが好ましく、中でも500Ω/□以下であることが好ましく、特に100Ω/□以下であることが好ましい。金属含有層の導電部のの表面抵抗値が上記範囲内であることにより、所望の導電性を有する導電性基材とすることができる。
また、本発明においては、導電部の表面抵抗値を、1×10Ω/□以上とすることができる。
なお、導電部の表面抵抗値は、例えば、Loresta−AX MCP−T370(Mitsubishi Chemical Analytec)を導電部の表面に接触させることにより測定することができる。
本発明における導電部の厚みは、本発明の導電性基材の用途や導電部に含まれる銀粒子または銅粒子の大きさ等に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。例えば、導電部に含まれる銀粒子または銅粒子が繊維状である場合には、導電部の厚みは当該繊維径未満であることが好ましい。なお、銀粒子または銅粒子の繊維径については後述するため、ここでの説明は省略する。
本発明における導電部は、表層部を有する。表層部は、金属含有層の表面から30nmまでの領域であり、銀粒子または銅粒子の含有量が、金属含有層に含まれる全ての銀粒子または銅粒子に対して80体積%以上であることを特徴とする。
以下、表層部について説明する。
本発明における表層部は、金属含有層の表面から30nmまでの領域であれば特に限定されないが、中でも25nmまでの領域であることが好ましく、特に22nmまでの領域であることが好ましい。表層部となる領域が、金属含有層の表面から上述した距離であることにより、金属含有層のより表面領域に銀粒子または銅粒子を集中して存在させることができるため、より効果的にエッチング特性の低下を抑制することが可能となる。
本発明における表層部は、銀粒子または銅粒子を含む。導電部に含まれる銀粒子または銅粒子の含有量は、金属含有層に含まれる全ての銀粒子または銅粒子に対して80体積%以上であれば良いが、中でも、85体積%以上であることが好ましく、特に、90体積%以上であることが好ましい。すなわち、本発明においては、銀粒子または銅粒子が、金属含有層の表面にある表層部に所定の体積以上存在していることが好ましい。金属含有層の基材とは反対側となる表面に、銀粒子または銅粒子が集中して存在しているため、マイグレーション抑制剤により銀粒子または銅粒子が安定化したとしても、ウェットエッチング特性の低下を抑制することが可能となる。
なお、表層部における銀粒子または銅粒子の含有量は、例えば、下記に示す条件下にてArイオンスパッタリング法によるエッチング、およびX線光電子分光装置(XPS装置)を用いた導電部の深さ方向の分析により測定することができる。
<Arイオンスパッタリング法によるエッチング>
・イオン種:Ar(3.0keV)
・加速電圧:3.0kV
・エミッション電流:6.0mA
・MAGNIFICATION:10(etch範囲:2mm□)
・入射角:45度
・Arガス導入時真空度計測値:3.0−7hPa
・スパッタエッチング時間:0〜1000s
<XPS装置を用いた分析>
・使用装置:Theta−Probe(サーモフィッシャーサイエンテイフイック(製))XPS装置
・入射X線:15kV、6・66mA(100W)
・レンズモード:Standard
・測定領域:400μmφ
・光電子取り込み角度:53°(ただし、試料法線を0°とする。)
・帯電中和:電子中和統 (+6V、0.05mA、低加速Ar照射)
以下、本発明における導電部を構成する材料について説明する。
(a)樹脂材料
本発明における樹脂材料は、金属含有層に含まれる材料であり、後述する銀粒子または銅粒子が分散される材料である。
本発明における樹脂材料は、銀粒子または銅粒子を分散させることができる樹脂材料であることが好ましく、例えば、透明性を有する材料であることが好ましい。
ここで、「透明」とは、特段の断りがない限り、例えば、本発明の導電性基材を表示装置等に用いた際に、操作者からの視認を妨げない程度に透明であることをいう。したがって、「透明」は、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で定義されず、本発明の導電性基材の用途等に応じて透明性の度合いを決定することができる。
このような本発明における樹脂材料は、例えば、電離放射線により硬化する電離放射線硬化型樹脂であることが好ましい。ここで、「電離放射線」とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線又は電子線が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系等の官能基を有する化合物等の1または2以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能化合物等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)が好適に用いられる。なお、上述した「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本発明においては、上記電離放射線硬化型樹脂として、上述した化合物をPO、EO等で変性したものも使用できる。
本発明においては、上述した化合物の他にも、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。
また、電離放射線硬化型樹脂は、溶剤乾燥型樹脂と併用して使用することもできる。ここで、「溶剤乾燥型樹脂」とは、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂をいう。溶剤乾燥型樹脂を併用することにより、樹脂材料を用いて金属含有層を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥等の発生を有効に抑制することができる。
このような溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴムまたはエラストマー等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒等の有機溶媒に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
さらに、樹脂材料は、熱硬化性樹脂を含有していても良い。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
(b)銀粒子または銅粒子
本発明における銀粒子または銅粒子は、金属含有層に含まれる材料であり、樹脂材料中に分散される材料である。
本発明においては、金属含有層が銀粒子または銅粒子の1種を有していても良く、銀粒子および銅粒子の2種を有していても良い。
本発明における銀粒子または銅粒子は、樹脂材料中に分散することができ、導電性を有する金属含有層を構成することができるものであれば特に限定されないが、例えば、平均一次粒子径が、0.1nm以上100μm以下であるものと定義することができる。本発明においては、中でも、平均一次粒子径が、10μm以下であることが好ましく、特に100nm以下であることが好ましい。また、1nm以上であることが好ましく、特に、10nm以上であることが好ましい。銀粒子または銅粒子の平均一次粒子径が上述した上限を有することにより、本発明の導電性基材のヘイズ値の上昇や、光透過性の低下を抑制することが可能である。また、銀粒子または銅粒子の平均一次粒子径が上述した下限を有することにより、充分な導電性を有する金属含有層を形成することが可能である。
また、本発明における銀粒子または銅粒子は、樹脂材料中に分散することができ、導電性を有する導電部を構成することができるものであれば特に限定されないが、例えば、繊維状、球状および鱗片状等の形状を有するものと定義することができる。本発明においては、例えば、繊維状を有する銀粒子または銅粒子を用いることができる。
ここで、「繊維状」とは、例えば、短軸の長さに対する長軸の長さの比、すなわちアスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)が10より大きくなるような形状をいう。
また、「繊維状を有する銀粒子または銅粒子」は、直線状であっても曲線状であっても良く、その一部に直線部または曲線部を有していても良い。さらに、「繊維状を有する銀粒子または銅粒子」は、例えば、繊維状を有する銀粒子または銅粒子が、複数連結したものも包含する。
銀粒子または銅粒子が、繊維状を有する場合、例えば、短軸の長さとなる繊維径が200nm以下であり、長軸の長さとなる繊維長が1μm以上であることが好ましい。
繊維径が上記範囲内であることにより、本発明の導電性基材のヘイズ値の上昇や、光透過性の低下を抑制することが可能である。また、例えば、繊維径は、10nm以上であることが好ましく、この場合、充分な導電性を有する導電部を形成することが可能となる。
また、繊維長が上記範囲内であることにより、充分な導電性を有する導電部を形成することが可能である。また、例えば、繊維長は、500μm以下であることが好ましく、この場合、凝集が発生することによるヘイズ値の上昇や、光透過性の低下を抑制することが可能である。
以上のことから、本発明においては、銀粒子または銅粒子が、繊維状を有する場合、繊維径が15nm〜180nmの範囲内であることが好ましく、繊維長が3μm〜300μmの範囲内、更には10μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
なお、上述した繊維径および繊維長は、例えば、SEMと称する走査型電子顕微鏡、TEMと称する透過型電子顕微鏡およびSTEMと称する走査透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡を用い、1000〜50万倍にて繊維状の銀粒子または銅粒子の繊維径および繊維長を測定した10か所の平均値として求めることができる。
本発明における銀粒子および銅粒子が繊維状を有する場合、いわゆる銀ナノワイヤおよび銅ナノワイヤのような金属繊維であっても良く、あるいは、アクリル繊維に、銀または銅をコーティングした金属被覆合成繊維であっても良い。なお、本発明においては、金属繊維または金属被覆合成繊維の1種を用いてもよく、金属繊維および金属被覆合成繊維を組み合わせて用いても良い。
本発明における銀粒子および銅粒子が金属繊維である場合、銀粒子および銅粒子の形成方法としては、例えば、銀または銅を長く伸ばす伸線法、または切削法等が挙げられる。また、銀粒子および銅粒子が金属被覆合成繊維である場合、銀粒子および銅粒子の形成方法としては、例えば、アクリル繊維に銀および銅をコーティングする方法が挙げられる。
(c)マイグレーション抑制剤
本発明におけるマイグレーション抑制剤は、金属含有層に含まれる材料である。
本発明におけるマイグレーション抑制剤は、金属含有層に含むことにより、銀粒子または銅粒子のマイグレーションを抑制するという機能を発揮する材料であることが好ましい。
このようなマイグレーション抑制剤は、例えば、含窒素複素環化合物であることが好ましい。ここで、「含窒素複素環化合物」とは、窒素原子を含み、飽和結合または不飽和結合を有する3員環以上の環状構造を有する化合物をいう。
含窒素複素環化合物に含まれる窒素原子は、1つであっても良く、2つ以上であっても良い。また、含窒素複素環化合物に含まれるヘテロ原子としては、例えば、硫黄が挙げられる。さらに、含窒素複素環化合物は置換基を有していても良く、例えば、チオール基またはアミノ基を有することが好ましい。
本発明において、マイグレーション抑制剤として用いることが可能な含窒素複素環化合物としては、例えば、以下に示す化合物(1)〜(6)等が挙げられる。
本発明においては、上述した化合物のうち、チオール基またはアミノ基を有する化合物(1)〜(4)を用いることが特に好ましく、特に化合物(1)を用いることが好ましい。このようなマイグレーション抑制剤を用いることにより、金属含有層の表面抵抗値の大幅な上昇を効果的に抑えることができる。この理由としては、次のようなことが推測される。まず、複素環に含まれる窒素または置換基のチオール基が金属と錯体を形成してイオン化を抑制するとともに、ベンゼン環による疎水効果により、マイグレーションの発生の原因の一つである水分の侵入を抑制することができることが推測される。
また、通常、S−トリアジン環を有する化合物を導電部に加えると、体積固有抵抗が大幅に上昇する傾向にある。これは、S−トリアジン環が銀粒子または銅粒子の表面に吸着して導電を阻害することに起因すると考えられる。これに対し、本発明においては、例えば、銀粒子または銅粒子同士を予め融着させた後に樹脂材料を含浸させるため、S−トリアジン環を有する化合物による導電の阻害を抑制することができ、体積固有抵抗の大幅な上昇を抑えることができる。
本発明におけるマイグレーション抑制剤としては、上述した化合物の他にも、一般的に公知のものを用いることができる。このようなマイグレーション抑制剤としては、例えば、イソシアヌル酸化合物やフェノール系化合物が挙げられる。イソシアヌル酸化合物としては、例えば、以下に示す化合物(7)が挙げられ、フェノール系化合物としては、例えば、以下に示す化合物(8)が挙げられる。なお、具体的な記載については、例えば、特開2014−32792号公報に記載されたものと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
(2)非導電部
本発明における非導電部は、金属含有層において、上述した導電部以外の領域である。
また、本発明における非導電部は、通常、非導電性を有する領域であるため、主に樹脂材料により構成されるが、銀粒子または銅粒子、マイグレーション抑制剤を含有していても良い。
なお、本発明における非導電部を構成する材料等については、上述した導電部を構成する材料と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
2.基材
本発明における基材は、上述した金属含有層を支持する部材である。
本発明における基材は、透明性を有することが好ましい。ここで、「透明」とは、特段の断りがない限り、例えば、本発明の導電性基材を表示装置等に用いた際に、操作者からの視認を妨げない程度に透明であることをいう。したがって、「透明」は、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で定義されず、本発明の導電性基材の用途等に応じて透明性の度合いを決定することができる。
本発明における基材を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。中でも、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
また、本発明における基材は、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムであっても良い。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体等が用いられる基材で、例えば、日本ゼオン社製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト社製のスミライトFS−1700、JSR社製のアートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学社製のアペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製のTopas(環状オレフィン共重合体)、日立化成社製のオプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)を用いることもできる。
本発明における基材の厚みは、本発明の導電性基材の用途等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、例えば、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも20μm〜80μmの範囲内であることが好ましく、特に40μm〜60μmの範囲内であることが好ましい。基材の厚みが上記範囲内であることにより、基材に機械的強度を付与することができるとともに、所望のフレキシブル性を実現することが可能となる。
3.ハードコート層
本発明においては、基材および金属含有層の間に、ハードコート層を有していても良い。
本発明におけるハードコート層は、本発明の導電性基材の機械的強度を向上させるとともに、金属含有層の表面に所定の硬度を付与することができる機能を有する。ここで、「所定の硬度」とは、例えば、金属含有層の表面が傷付くことを抑制することができる程度の硬度をいう。
本発明におけるハードコート層の硬度としては、例えば、ハードコート層の表面のJIS K5600−5−4(1999)の鉛筆硬度が、2B〜7Hであることが好ましく、中でもHB〜5Hであることが好ましい。ハードコート層が上述のような硬度を有することにより、ハードコート層としての所望の機能を充分に発揮することができる。
このようなハードコート層は、透明性を有することが好ましい。ここで、「透明」とは、特段の断りがない限り、例えば、本発明の導電性基材を表示装置等に用いた際に、操作者からの視認を妨げない程度に透明であることをいう。したがって、「透明」は、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で定義されず、本発明の導電性基材の用途等に応じて透明性の度合いを決定することができる。
本発明におけるハードコート層を構成する材料としては、所望の機能を発揮することができる材料であることが好ましく、特に限定されない。例えば、有機材料であっても良く、無機材料であっても良いが、中でも電離放射線硬化型樹脂等の有機材料であることが好ましい。なお、電離放射線硬化型樹脂等の有機材料については、上述した樹脂材料に用いられる材料と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
ハードコート層の厚みとしては、上述したハードコート層としての機能を発揮することができる程度の厚みであることが好ましく、本発明の導電性基材の用途等に応じて適宜調整することができる。例えば、0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、中でも1μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、特に2μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。ハードコート層の厚みが上記範囲内であることにより、所望の硬度を実現することができ、ハードコート層としての機能を充分に発揮することが可能となる。
なお、ハードコート層の厚みは、例えば、断面顕微鏡を用いて観察することにより測定することができる。
4.導電性基材の製造方法
本発明の導電性基材の製造方法は、上述のような所望の導電性基材を製造することができる方法であれば良く、特に限定されない。
本発明の導電性基材の製造方法について、以下、図を参照しながら説明する。
図3(a)、(b)は、本発明の導電性基材の製造方法の一例を示す概略工程図である。本発明においては、図3(a)に示すように、基材1上に樹脂組成物を塗布し、樹脂材料2b’から構成された塗膜、すなわち樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、図3(b)に示すように、樹脂層の表面に、銀粒子2a’または銅粒子2a’を含有する金属粒子組成物を塗布し、金属粒子を含む塗膜、すなわち金属粒子層を形成する金属粒子層形成工程とを行い、最後に樹脂層および金属粒子層を硬化する硬化工程を行うことにより、基材1および金属含有層2を有する導電性基材10を得ることができる。なお、上記樹脂層は、本発明における非導電部に相当し、上記金属粒子層は、本発明における導電部に相当する。
なお、図3(a)、(b)に示す製造方法を、第1態様とする。
図4(a)〜(d)は、本発明の導電性基材の製造方法の他の例を示す概略工程図である。本発明においては、図4(a)に示すように、基材1上に樹脂組成物を塗布し、樹脂材料2b’から構成された塗膜、すなわち樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、図4(b)に示すように、転写基材1’上に、銀粒子2a’または銅粒子2a’を含有する金属粒子組成物を塗布し、金属粒子を含む塗膜、すなわち金属粒子層を形成する金属粒子層形成工程と、図4(c)に示すように、基材1上に樹脂層が形成された積層体、および転写基材1’上に金属粒子層が形成された積層体を、樹脂層および金属粒子層が対向するように貼り合せる貼合工程と、図示はしないが、樹脂層および金属粒子層を硬化させる硬化工程を行った後、図4(d)に示すように、転写基材を剥離する剥離工程とを行い、基材1および金属含有層2を有する導電性基材10を得ることができる。なお、上記樹脂層は、本発明における非導電部に相当し、上記金属粒子層は、本発明における導電部に相当する。
なお、図4(a)〜(d)に示す製造方法を、第2態様とする。
本発明においては、上述のような製造方法を用いることにより、金属含有層の表層に、銀粒子または銅粒子が集中した導電性基材を得ることができる。
以下、導電性基材の製造方法について、第1態様および第2態様の各工程について説明する。
(1)第1態様
本態様は、基材上に樹脂組成物を塗布し、樹脂材料から構成された塗膜、すなわち樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、樹脂層の表面に、銀粒子または銅粒子を含有する金属粒子組成物を塗布し、金属粒子を含む塗膜、すなわち金属粒子層を形成する金属粒子層形成工程とを行い、最後に樹脂層および金属粒子層を硬化する硬化工程を行うことにより、基材および金属含有層を有する導電性基材を製造するという態様である。
以下、本態様における、樹脂層形成工程、金属粒子層形成工程、および硬化工程について説明する。
(a)樹脂層形成工程
本工程は、基材上に樹脂組成物を塗布し、樹脂材料から構成された塗膜、すなわち樹脂層を形成工程である。
樹脂組成物を塗布する方法としては、一般的な塗布方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法が挙げられる。
本工程において用いられる樹脂組成物は、上記「1.金属含有層 (1)導電部 (a)樹脂材料」の項に記載した樹脂材料を含有する。
本工程において用いられる樹脂組成物は、通常、樹脂材料等の他に溶剤を有する。このとき用いられる溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が挙げられる。また、上述した溶剤は、1種のみを用いても良く、2種以上の混合物を用いても良い。
本工程において用いられる樹脂組成物および金属含有樹脂組成物は、溶剤の他にも光重合開始剤を含有していても良い。このとき用いられる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
光重合開始剤としては、樹脂組成物に含まれる樹脂材料がラジカル重合性不飽和基を有する場合は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。また、樹脂材料がカチオン重合性官能基を有する場合は、光重合開始剤として、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることが好ましい。
本工程において用いられる樹脂組成物が光重合開始剤を含有する場合、その含有量は、樹脂材料100質量部に対して、0.5質量部〜10.0質量部の範囲内であることが好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲内であることにより、硬化を阻害することなく、充分な硬度の導電部および非導電部を得ることができる。
樹脂組成物における原料の含有割合(固形分)は、通常、5質量%〜70質量%の範囲内とすることができ、中でも、25質量%〜60質量%の範囲内とすることが好ましい。
樹脂組成物は、この他にも、金属含有層の硬度の向上や、硬化収縮の抑制、さらには屈折率の制御等といった目的に応じて、その他の材料を有していても良い。その他の材料としては、例えば、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤等が挙げられる。
レベリング剤としては、導電部または非導電部がベナードセル構造となることを回避することができるといった観点から、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等を用いることが好ましい。ここで、ベナードセル構造とは、溶剤を含む樹脂組成物または金属含有樹脂組成物を塗布して乾燥させる際に、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等が生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされることにより生じる構造である。この構造を有する場合には、樹脂層および金属粒子層に、ゆず肌や塗工欠陥といった問題が発生する虞がある。
樹脂組成物を調製する方法としては、上述した各成分を均一に混合することができる方法であることが好ましく、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用した方法が挙げられる。
(b)金属粒子層形成工程
本工程は、樹脂層の表面に、銀粒子または銅粒子を含有する金属粒子組成物を塗布し、金属粒子を含む塗膜、すなわち金属粒子層を形成する工程である。
金属粒子組成物を塗布する方法としては、一般的な塗布方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法が挙げられる。
本工程において用いられる金属粒子組成物は、上記「1.金属含有層 (1)導電部 (b)銀粒子または銅粒子」の項に記載した銀粒子または銅粒子を含有する。
また、本工程において用いられる金属粒子組成物は、銀粒子または銅粒子の他に、溶剤等の材料を有していても良い。このとき用いられる溶剤等の材料については、上述した樹脂組成物において用いられる溶剤等と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
(c)硬化工程
本工程は、樹脂層および金属粒子層を硬化する工程である。
樹脂層および金属粒子層を硬化させる方法としては、例えば電離放射線を照射する方法が挙げられる。このとき用いられる光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等が挙げられる。
さらに、紫外線の波長域は、例えば、190nm〜380nmとすることができる。
さらにまた、電子線源の具体例としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
(2)第2態様
本態様は、基材上に樹脂組成物を塗布し、樹脂材料から構成された塗膜、すなわち樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、転写基材上に、銀粒子または銅粒子を含有する金属粒子組成物を塗布し、金属粒子を含む塗膜、すなわち金属粒子層を形成する金属粒子層形成工程と、基材上に樹脂層が形成された積層体、および転写基材上に金属粒子層が形成された積層体を、樹脂層および金属粒子層が対向するように貼り合せる貼合工程と、樹脂層および金属粒子層を硬化させる硬化工程を行った後、転写基材を剥離する剥離工程とを行い、基材および金属含有層を有する導電性基材を製造するという工程である。
以下、本態様における、樹脂層形成工程、金属粒子層形成工程、および硬化工程について説明する。
(a)樹脂層形成工程
本工程は、基材上に樹脂組成物を塗布し、樹脂材料から構成された塗膜、すなわち樹脂層を形成工程である。
なお、本工程については、上述した第1態様における樹脂層形成工程と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(b)金属粒子層形成工程
本工程は、転写基材上に、銀粒子または銅粒子を含有する金属粒子組成物を塗布し、金属粒子を含む塗膜、すなわち金属粒子層を形成する工程である。
本工程において用いられる転写基材は、例えば、転写基材上に金属粒子組成物を塗布して金属粒子層を形成し、基材上に形成された樹脂層上に転写することができる部材であること好ましい。このような転写基材としては、例えば、未処理のポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。未処理のPETは、上述した金属粒子層を転写させた後、金属粒子層から容易に剥離することができる。また、未処理のPETの他には、例えば、表面処理を行ったPETやCOP等が挙げられる。
なお、その他の本工程の説明は、上述した第1態様における金属粒子層形成工程と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(c)貼合工程
本工程は、基材上に樹脂層が形成された積層体、および転写基材上に金属粒子層が形成された積層体を、樹脂層および金属粒子層が対向するように貼り合せる工程である。
本工程において貼り合せる方法は、樹脂層および金属粒子層を対向させ、所定の圧力で押し当てる方法が挙げられる。このときの圧力は、樹脂層の表面に金属粒子層が充分に貼りつく程度の圧力であることが好ましく、特に限定されない。
(d)硬化工程
本工程は、樹脂層および金属粒子層を硬化させる工程である。
なお、本工程については、上述した第1態様における硬化工程と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(e)剥離工程
本工程は、転写基材を剥離する工程である。
本工程において転写基材を剥離する方法は、金属粒子層から転写基材を剥離することができる方法であれば特に限定されず、例えば、物理的な方法により転写基材を剥離する方法が挙げられる。
(3)その他の工程
本発明においては、上述した第1態様および第2態様において、上述した工程以外にも、必要に応じてその他の工程を有していても良い。その他の工程としては、例えば、樹脂層層形成工程の前に、基材上に、ハードコート層を形成するハードコート層形成工程を有していても良い。
以下、ハードコート層形成工程について説明する。
本工程は、ハードコート層を形成する工程であり、具体的には、ハードコート組成物を基材上に塗布して硬化せることによりハードコート層を形成する工程である。
ハードコート組成物を塗布する方法としては、一般的な塗布方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法が挙げられる。
また、ハードコート組成物を塗布した後に硬化させる方法としては、例えば電離放射線を照射する方法が挙げられる。このとき用いられる光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等が挙げられる。
さらに、紫外線の波長域は、例えば、190nm〜380nmとすることができる。
さらにまた、電子線源の具体例としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
本工程において用いられるハードコート組成物は、例えば、上記「3.ハードコート層」の項に記載した有機材料等の他に、通常、溶剤等を含む。なお、ハードコート組成物に含まれる材料については、上述した樹脂組成物および金属粒子組成物に含まれる材料と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
このようなハードコート組成物を調製する方法としては、各成分を均一に混合することができる方法であることが好ましく、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用した方法が挙げられる。
5.用途
本発明の導電性基材は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)等のディスプレイや、タッチパネル、太陽電池等の透明電極として用いることができる。
6.導電部材
本発明においては、上述した導電性基材を用いて導電部材を得ることができる。具体的には、基材と、上記基材上にパターン状に配置され、表層部を有する金属含有層とを有し、上記金属含有層は、樹脂材料中に分散された銀粒子または銅粒子、およびマイグレーション抑制剤を含み、上記表層部は、上記金属含有層の表面から30nmまでの領域であり、上記表層部に含まれる上記銀粒子または上記銅粒子の含有量が、上記金属含有層に含まれる全ての上記銀粒子または上記銅粒子に対して80体積%以上であることを特徴とする導電部材を得ることができる。
本発明における導電部材は、上述した導電性基材における金属含有層をパターン状に形成した部材であるため、優れたマイグレーション耐性を得ることができるとともに、金属含有層に含まれる銀粒子または銅粒子が、金属含有層の表面にある表層部に集中して存在することにより、高いウェットエッチング性によりパターン状の金属含有層を形成することができるため、品質の高い導電部材とすることができる。
本発明における導電部材の用途としては特に限定されないが、例えば、タッチパネルのセンサ電極基材として好適に用いることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[サンプル1]
(金属粒子層形成工程)
基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:50μm)上に、銀ナノワイヤ(短軸の長さ:35±15nm、長軸の長さ:15μm、Blueano社(製) SLV−NW−35)を約0.01wt%、テトラキスエポキシシロキサンを0.01wt%、(n−ピロリドンプロピル)メチルシロキサンージメチルシロキサンコポリマーを0.2wt%、イソプロピルアルコールを39.78wt%、1−ブタノールを30wt%、シクロヘキサンを30wt%含有した金属粒子組成物を、ダイコート法を用いて塗布し、wetな塗膜(厚み:12μm)を形成した。その後、基材上に形成された塗膜を、70℃で1分間オーブン加熱し、金属粒子層を形成した。
(樹脂層形成工程)
次に、得られた金属含有層上に、紫外線硬化型材料であるBS−1200W(荒川化学工業(株)製)を20wt%、シクロヘキサノンを15wt%、メチルエチルケトンを65wt%含有した樹脂組成物を、ダイコート法を用いて塗布し、wetな塗膜(厚み:1μm)を形成した。その後、70℃で1分間オーブン加熱して、メタルハライドランプ(ハリソン東芝ライティング(株)製 メタルハライドランプMJ−1500L)にて365nmの波長における露光量が180mJ/cmになるように紫外線硬化させて樹脂層を形成した。
(ハードコート層形成工程)
続いて、別の基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:50μm)上に、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製 KAYARAD PET−30)を10%、Irgacure184(BASF)を0.5%、メチルイソブチルケトンを89.5%含有したハードコート組成物を、ダイコート法を用いて塗布し、wetな塗膜(厚み:20μm)を形成した。その後、基材上に形成された塗膜を、70℃で1分間オーブン加熱し、ハードコート層を形成した。
(貼合工程)
次いで、得られた金属粒子層上に形成された樹脂層と、ハードコート層とを貼り合せるようにラミネートし、その状態で、金属含有層および樹脂層が積層された基材側から、365nmの波長における露光量が400mJ/cmになるように紫外線硬化させ、基材、金属粒子層、樹脂層、ハードコート層、基材の順に積層された積層体を得た。
その後、金属粒子層側の基材を剥離し、金属粒子層、樹脂層、ハードコート層、基材の順に積層された導電性基材を得た。
[サンプル2]
樹脂層形成工程において形成された樹脂層が、マイグレーション抑制剤0.2wt%を含有すること以外は、サンプル1と同様にして導電性基材を形成した。なお、マイグレーション抑制剤は、表1に示す。
[サンプル3]
金属粒子層形成工程において形成された金属粒子層における銀ナノワイヤの含有量を1wt%としたこと以外はサンプル1と同様にして導電性基材を形成した。
[サンプル4]
樹脂層形成工程において形成された樹脂層が、マイグレーション抑制剤0.2wt%を含有すること以外は、サンプル3と同様にして導電性基材を形成した。なお、マイグレーション抑制剤は、表1に示す。
[サンプル5]
ハードコート層形成工程および貼合工程を行わなかったこと以外は、サンプル1と同様にして導電性基材を形成した。すなわち、サンプル5にて得られた導電性基材は、基材、金属粒子層、樹脂層が順に積層された構成を有する。
[サンプル6]
樹脂層形成工程において形成された樹脂層が、マイグレーション抑制剤0.2wt%を含有すること以外は、比較例1と同様にして導電性基材を形成した。なお、マイグレーション抑制剤は、表1に示す。
[評価]
1.エッチングレート
サンプル1〜6により得られた導電性基材のエッチングレートを評価した。エッチングレートの評価は、導電性基材の表面をエッチング処理し、エッチング処理後の導電性基材の表面抵抗値が、測定装置Loresta−AX MCP−T370(Mitsubishi Chemical Analytec)の測定限界である1×10Ω/□以上となるまでの時間を測定することにより行った。なお、エッチング処理は、エッチング液として混酸SEA−NW02(関東化学株式会社)を使用し、常温下で当該エッチング液に導電性基材を浸漬させることにより行った。
結果は、表1に示す。
2.マイグレーション試験
サンプル1〜6により得られた導電性基材に対し、マイグレーション試験を行った。マイグレーション試験について、図を参照しながら説明する。
図6(a)〜(d)は、マイグレーション試験を説明するための説明図である。
図6(a)に示すように、導電性基材10を準備し、次に、導電性基材10の表面の中央部をポリエチレンテレフタレートフィルムによりマスキングし、この状態でAPC(フルヤ金属(株))をスパッタ成膜(装置:E400、キヤノンアネルバ(株)製)して図6(b)に示すように、導電性基材10の表面に、パターン状の金属層6を形成する。その後、図6(c)に示すように、導電性基材10における金属粒子層をフォトリソグラフィ法によりパターニングし、図6(d)に示すように配線6a、6bを作成した。配線6a、6bの長さTは4mm、配線幅Wは3mm、配線間のギャップGは30μmであった。なお、フォトリソグラフィ法は、次のような手順で行った。まず、ポジ型レジスト(ALC 1350、ロームアンドハーズ電子材料)を1000回転10秒にてスピンコートした後、90℃で3分間ホットプレートにより加熱し、55mJ/cmの露光量でマスク越しに露光した。その後、disperse CRMA(ヘンケルジャパン)を純水で28倍に希釈した現像液で処理した後、エッチング液(SEA−NW02(関東化学社))により先のエッチングレートの時間分だけ処理してパターン加工し、最後に、disperse CRMA(ヘンケルジャパン)を純水で5倍に希釈した剥離液で処理してレジストを剥離した。このような手順によりフォトリソグラフィ法を行った。
マイグレーション試験は、図6(d)に示すように、一方の配線6aに6Vの電圧を印加し、その状態で、60℃、95%Rhの環境下にて最長100時間保管して行った。なお、マイグレーション試験中は、配線間の抵抗値を常時測定し、配線間の抵抗値が1×10Ω以下となった場合には短絡したものと判断し、マイグレーション試験が終了するように設定した。具体的には、以下のように判断した。
○:100時間短絡せずにマイグレーション試験を終了
×:短絡してマイグレーション試験を終了
結果は、表1に示す。
表1に示すように、エッチングレートを評価したところ、サンプル1〜4のエッチングレートはいずれも1minであった。一方、サンプル5エッチングレートは9minであり、サンプル6のエッチングレートは10minであった。この結果から、サンプル1〜4のように金属粒子層が最表面に配置された構成を有することにより、サンプル5、6のように金属粒子層が最表面に配置された構成を有しない場合と比較して、優れたエッチングレートが得られることが分かった。具体的には、サンプル5、6では、最表面に配置された樹脂層の下層に金属粒子層が配置されているため、樹脂層にエッチング液が浸透するまでの時間を要したが、サンプル1〜4のように金属粒子層が最表面に配置されている場合には、銀ナノワイヤがエッチング液により処理されやすいことが分かった。
また、サンプル1〜4のように金属粒子層が最表面に配置された構成を有することにより、マイグレーション抑制剤の有無に関わらず、優れたエッチングレートが得られることが分かった。通常、マイグレーション抑制剤を有する場合には、マイグレーション抑制剤により銀ナノワイヤが安定化し、エッチング液に対する耐性が高まると考えられるが、サンプル1〜4の構成上、銀ナノワイヤがエッチング液に浸漬し易いので、エッチングレートに影響を与えないと考えられる。これに対し、サンプル1〜4のように金属粒子層が最表面に配置された構成を有しない場合、すなわち、サンプル5、6のような構成を有する場合、マイグレーション抑制剤を有するサンプル6の方が、エッチングレートが遅くなることが分かった。これは、マイグレーション抑制剤により銀ナノワイヤが安定化し、エッチング液に対する耐性が高まることに起因すると考えられる。
表1に示すように、マイグレーション抑制剤を有するサンプル2、4、6では、100時間短絡せずにマイグレーション試験を終了することができたが、マイグレーション抑制剤を有しないサンプル1、3、5では、短絡してしまった。この結果から、マイグレーション抑制剤を有することにより、優れたマイグレーション耐性が得られることを確認できた。
3.銀ナノワイヤの含有量測定
サンプル2、4、6により得られた導電性基材に対し、表層からの銀ナノワイヤの存在量について定量分析を行い、銀ナノワイヤの含有量測定を行った。具体的には、導電性基材をArイオンスパッタリング法を用いてエッチングし、XPS装置を用いて導電性基材の表層から深さ方向に分析を行った。なお、Ar+イオンスパッタリング法の各条件は、上述した「1.金属含有層 (1)導電部」の項に記載した条件と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
サンプル2の結果は、図7(a)および表2に示し、サンプル4の結果は、図7(b)および表3に示し、サンプル6の結果は、図7(c)および表4に示す。
図7(a)〜(c)および表2〜4に示すように、サンプル2、4では、銀ナノワイヤの含有量に関わらず、導電性基材の表層に銀ナノワイヤが集中して存在していることが分かった。具体的には、導電性基材(金属含有層)の表面から深さ21nmで全ての銀粒子または銅粒子の90体積%が存在していた。一方、サンプル6では、導電性基材(金属含有層)の表面から42nmの深さで全ての銀粒子または銅粒子の90体積%が存在していた。この結果から、サンプル2、4のように金属粒子層が最表面に配置された構成を有することにより、表面に銀粒子または銅粒子が集中して存在した導電性基材とすることができることが分かった。
1 … 基材
2 … 金属含有層
2a … 導電部
2b … 非導電部
10 … 導電性基材

Claims (2)

  1. 基材と、前記基材上に配置され、表層部を有する金属含有層とを有し、
    前記金属含有層は、樹脂材料中に分散された銀粒子または銅粒子、およびマイグレーション抑制剤を含み、
    前記表層部は、前記金属含有層の表面から30nmまでの領域であり、
    前記表層部に含まれる前記銀粒子または前記銅粒子の含有量が、前記金属含有層に含まれる全ての前記銀粒子または前記銅粒子に対して80体積%以上であり、
    前記金属含有層の表面から前記銀粒子または前記銅粒子が突出している距離が、3nm〜600nmの範囲内であることを特徴とする導電性基材。
  2. 前記マイグレーション抑制剤が、下記化学式(A)であることを特徴とする請求項1に記載の導電性基材。
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