JP6710966B2 - 導電性基材および導電性基材の製造方法 - Google Patents

導電性基材および導電性基材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属含有層を有する導電性基材に関するものである。
近年、導電性基材に用いられる導電材料として、金属粒子が注目されている。金属粒子を用いた導電性基材は、例えば、金属粒子が樹脂バインダ中に分散された金属含有層を有する。特許文献1には、導電材料として銀または銀合金を用いた導電性基材について開示されている。
金属粒子を用いた導電性基材は、例えば次のような形成方法により得ることができる。すなわち、図6(a)に示すように、基材1上に、樹脂バインダから構成される樹脂層2’を形成し、その後、図6(b)に示すように、樹脂層2’の表面に金属粒子3を埋め込むことにより、導電部2aおよび非導電部2bを有する金属含有層2を形成し、導電性基材10’を得ることができる。
また、金属含有層を構成する導電部をパターン状に形成しようとするときには、例えば、導電部に含まれる金属粒子を除去する方法が用いられる。具体的には、図7(a)に示すように、金属含有層2上に、パターン状のレジスト5を形成した後、図7(b)に示すように、ウェットエッチング法等により導電部2aに含まれた金属粒子を除去する方法が用いられる。
特開2013−224397号公報
ところで、金属含有層に含まれた金属粒子を除去すると、図8に示すように、金属粒子3が除去された領域には、金属粒子3が除去された痕31が孔となって生じる。以後、金属粒子が除去された痕を、単に除去痕という場合がある。なお、図8は、図7(c)に示す領域Rを拡大した拡大図である。
本発明の発明者等は、金属含有層において、金属粒子が除去された領域に除去痕が生じた導電性基材について検討を重ねた。その結果、本発明の発明者等は、除去痕が生じた導電性基材をタッチパネルや表示素子等に用いると、マイグレーション耐性の低下により、短絡が発生してしまうという課題を発見した。そこで、このような課題について更なる検討を重ねたところ、例えば、図9に示すように、金属粒子3が除去された除去痕31を起点として金属の成長が確認された。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、金属含有層における導電部がパターン状に形成された導電性基材であって、優れたマイグレーション耐性を有する導電性基材を提供することを主目的とする。
本発明の発明者等は、種々検討を行ったところ、次のような知見を得た。まず、導電部に含まれる金属粒子を除去すると、例えば、図8に示すように、金属粒子3が除去された除去痕31が孔のように生じる。このような除去痕を有する導電性基材に電圧が印加されると、この孔に金属が析出するマイグレーションという現象が生じる。この具体的な原因については分かっていないが、例えば、除去痕と隣接する導電部の金属粒子が金属イオンに変化し、当該金属イオンが除去痕を沿って移動することにより、除去痕に金属が析出すると推測される。なお、このような金属イオンの移動による金属の析出は、除去痕に薬液等が残存した場合に顕著になると考えられる。このような課題を解決すべく、本発明の発明者等は、鋭意研究を行った結果、導電部から金属粒子を除去して生じた除去痕に対し、ドライエッチング法を用いて除去することにより、除去痕が除去された除去部とすることができ、これにより、除去痕を沿って金属イオンが移動することを防止することができ、また、除去痕に沿って金属が析出して、結果として短絡を引き起こしてしまうという課題を解決できるという知見を得た。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明は、基材、および上記基材上に配置された金属含有層を有し、上記金属含有層は、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散された導電部と、上記樹脂材料により構成された非導電部とが積層された積層体であり、上記導電部は、上記導電部が除去された除去部によりパターン状に配置されていることを特徴とする導電性基材を提供する。
本発明によれば、導電部が除去部によりパターン状に配置されていることにより、導電部が、銀粒子または銅粒子が除去されて生じる除去痕を有しないため、除去痕での金属の析出を抑制し、優れたマイグレーション耐性を有する導電性基材とすることができる。
本発明においては、上記金属含有層は、上記基材側から、上記非導電部および上記導電部の順に積層された積層体であることが好ましい。例えば、導電部にエッチング処理を施してパターン状の導電部を形成する際に、エッチング処理を容易に行うことができるからである。
本発明においては、上記基材および上記金属含有層の間に、ハードコート層を有することが好ましい。金属含有層の表層の硬度を高めて耐擦傷性を向上させることができるため、除去部の表層が傷付くことを抑制し、導電部から金属イオンが当該傷を沿って移動することにより金属が析出するマイグレーションの発生を抑制することができるからである。
また、本発明は、基材上に、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散された導電部、および上記樹脂材料により構成された非導電部が積層された金属含有層を形成する金属含有層形成工程と、上記導電部上にパターン状のレジストを配置し、上記レジストの開口領域から上記導電部に含まれる上記銀粒子または上記銅粒子を除去する金属粒子除去工程と、上記銀粒子または上記銅粒子が除去された領域のみを、上記レジストを用いたドライエッチング法により除去して除去部とするエッチング工程とを有することを特徴とする導電性基材の製造方法を提供する。
本発明によれば、エッチング工程を有することにより、金属粒子除去工程において導電部から銀粒子または銅粒子が除去された除去痕を、ドライエッチング法を用いて除去することができるため、除去痕での金属の析出を抑制し、優れたマイグレーション耐性を有する導電性基材を得ることができる。
本発明においては、上記金属含有層は、上記基材側から、上記非導電部および上記導電部の順に積層された積層体であることが好ましい。金属粒子除去工程において、導電部に含まれる銀粒子または銅粒子を容易に除去することができるからである。
本発明は、金属含有層における導電部がパターン状に形成された導電性基材であって、導電部の開口部となる除去部が、銀粒子または銅粒子が除去されることで生じる除去痕を有さず、除去痕における金属の成長を抑制することにより、優れたマイグレーション耐性を有する導電性基材とすることができるという効果を奏する。
本発明の導電性基材の一例を示す概略断面図である。 本発明の導電性基材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の導電性基材における除去部を説明するための説明図である。 本発明の導電性基材の製造方法の一例を示す概略工程図である。 本発明の導電性基材の製造方法の他の例を示す概略工程図である。 従来の導電性基材の製造方法の一例を示す概略工程図である。 従来の導電性基材の製造方法の他の例を示す概略工程図である。 除去痕を説明するための説明図である。 マイグレーションを説明するための説明図である。
以下、本発明の導電性基材および導電性基材の製造方法について詳細に説明する。
A.導電性基材
本発明の導電性基材は、基材、および上記基材上に配置された金属含有層を有し、上記金属含有層は、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散された導電部と、上記樹脂材料により構成された非導電部とが積層された積層体であり、上記導電部は、上記導電部が除去された除去部によりパターン状に配置されていることを特徴とするものである。
このような本発明の導電性基材について図を参照して説明する。
図1は、本発明の導電性基材の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明の導電性基材10は、基材1、および基材1上に配置され、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散された金属含有層2を有し、金属含有層2は、銀粒子または銅粒子により導電性を有する導電部2aと非導電部2bとを有し、金属含有層2は、導電部2aがパターン状に除去された除去部4を有する。
また、図2は、本発明の導電性基材の他の例を示す概略断面図である。図2に示すように、本発明の導電性基材10は、金属含有層2の基材1側に導電部2aを有していても良い。このような構成を有する金属含有層2の場合、除去部4は、導電部2aとともに非導電部2bが除去されることにより形成される。なお、図2において説明していない符号については、上述した図1と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
ここで、「樹脂材料」とは、特に言及しない限り、モノマー、オリゴマー、ポリマー等も包含する概念である。
また、「銀」とは、銀または銀合金を指し、「銅」とは、銅または銅合金を指す。
ここで、「銀合金」とは、銀を主成分とし、導電性基材に用いた際にマイグレーションが生じる程度に銀を含有する合金をいい、具体的には銀の元素の割合が、原子組成百分率で90at%以上であることをいう。
また、「銅合金」とは、銅を主成分とし、導電性基材に用いた際にマイグレーションが生じる程度に銅を含有する合金をいい、具体的には銅の元素の割合が、原子組成百分率で90at%以上であることをいう。
なお、銀合金または銅合金における銀または銅の元素の割合は、例えば、X線光電子分光分析法を用いた元素の定量を行うことにより測定することができる。
さらに、「粒子」とは、例えば、平均一次粒子径が、1nm以上1000nm以下であり、繊維状、球状および鱗片状等の形状を有するものをいう。
なお、平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、「粒子」が繊維状である場合、透過型電子顕微鏡写真(TEM)(例えば、日立ハイテク製 H−7650)にて粒子像を測定し、ランダムに選択した100個の一次粒子の短軸の長さ、すなわち繊維径の長さの平均値を平均一次粒径とすることができる。また、「粒子」が球状や鱗片状等のその他の形状である場合、TEMにて粒子像を測定し、ランダムに選択した100個の一次粒子の最長部の長さの平均値を平均一次粒径とすることができる。
さらにまた、「導電部」とは、金属含有層において、銀粒子または銅粒子により導電性を有する領域を指し、「非導電部」とは、導電部のような導電性を有しない領域を指す。したがって、例えば、図1における符号2aに示す領域を「導電部」といい、符号2bに示す領域を「非導電部」という。なお、「導電性を有する」とは、例えば表面抵抗値が、1000Ω/□以下であることをいう。
また、「除去部」とは、金属含有層において、パターン状の導電部を形成するために除去された領域、すなわち、パターン状の導電部の開口部に相当する領域をいう。したがって、例えば、図1における符号4に示す領域を「除去部」という。
本発明によれば、導電部が除去部によりパターン状に配置されていることにより、導電部が、銀粒子または銅粒子のみが除去されて生じる除去痕を有しないため、除去痕での金属の析出を抑制し、優れたマイグレーション耐性を有する導電性基材とすることができる。
この理由については、次のようなことが推測される。
従来、パターン状の導電部を得ようとする際には、例えば図7(a)〜(c)に示すように、導電部に含まれる金属粒子のみが除去されていた。そのため、金属粒子が除去された領域では、導電部を構成するバインダとして含まれる樹脂材料が残存することになる。このとき、金属粒子が除去された領域は、例えば図8に示すように、金属粒子3が抜き取られた痕が、除去痕31となって生じる。
このように、除去痕は、金属粒子の形状に応じた溝のような形状を有する。
ここで、除去痕を有する導電性基材をタッチパネル等に用いると、導電性基材に印加された電圧によって、導電部に含まれる金属粒子が金属イオンに変化することがある。このとき、金属粒子が除去された領域に除去痕があると、上記金属イオンが除去痕を沿って移動し、金属が析出してしまうことがある。これが、マイグレーションを加速させる原因と推測される。
これに対し、本発明においては、導電部に含まれる金属粒子のみを除去するのではなく、導電部自体をパターニングして除去部を形成するため、銀粒子または銅粒子が除去されることにより生じる除去痕を有しない導電性基材とすることができる。
したがって、マイグレーションの発生を抑制することが可能な導電性基材とすることができると考えられる。
また、除去痕が生じると、当該除去痕に、導電性基材の製造工程で用いられる薬液等が残存してしまい、マイグレーションが発生しやすくなったり、その他にも様々な不具合が生じたりするという問題もある。
これに対し、本発明においては、上述のように除去痕を除去することができるため、除去痕に薬液等が残存するといった問題を抑制することができ、マイグレーションの発生やその他の不具合も抑制することができる。
以下、本発明の導電性基材の各構成について説明する。
1.金属含有層
本発明における金属含有層は、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散され、導電性を有する導電部と、樹脂材料により構成され、非導電性を有する非導電部とが積層された積層体である。また、導電部は、導電部が除去された除去部によりパターン状に配置されている。
以下、本発明における金属含有層の構成について説明する。
(1)除去部
本発明における除去部は、パターン状の導電部の開口部に相当する。本発明においては、例えば図1に示すように、導電部2aが金属含有層2の基材1とは反対側に配置されている場合、図3(a)に示すように、導電部2aに含まれた銀粒子または銅粒子を除去して、このときに生じた除去痕を削り取ることにより、図3(b)に示すように除去部4を得ることができる。なお、図3(a)に示す符号5は、レジストである。また、図3(b)では、除去部4が、導電部2aのみが除去された領域としているが、導電部2aとともに非導電部2bが除去された領域を除去部4とすることもできる。
また、上述した図2に示すように、導電部2aが金属含有層2の基材1側に配置されている場合においても、導電部2aがパターン状に除去された領域に対し、銀粒子または銅粒子が除去された除去痕を削り取ることにより得られる領域を除去部とすることができる。
このように、本発明における導電部では、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が埋め込まれた構成、すなわち、銀粒子または銅粒子が樹脂材料に被覆された構成を有するため、導電部に含まれる銀粒子または銅粒子を除去すると、銀粒子または銅粒子が樹脂材料から抜けた痕が除去痕となって現れる。本発明においては、この除去痕を削り取ることにより、除去痕を有しない領域、すなわち除去部を得ることができる。
本発明における除去部は、上述のように、銀粒子または銅粒子が除去された領域であり、かつ、銀粒子または銅粒子が除去された除去痕を有しない領域である。ここで、「除去痕を有しない」とは、例えば、銀粒子または銅粒子が除去された際に、銀粒子または銅粒子を被覆する樹脂材料に生じた除去痕を有しないことを指す。また、除去痕を有しない除去部は、例えば、銀粒子または銅粒子を除去した後の除去部に対し、ドライエッチング等の処理を行うことにより得ることができる。
したがって、本発明における除去部の表面は、所定の平坦性を有することが好ましい。除去部の表面の具体的な平坦性は、例えば、本発明の導電性基材に優れたマイグレーション耐性を付与することができる程度の平坦性であることが好ましく、具体的には、除去部の表面の最大高低差が、100nm以下であることが好ましく、中でも30nm以下であることが好ましく、特に10nm以下であることが好ましい。
なお、除去部の表面の最大高低差は、例えば、AFMと称する原子間力顕微鏡またはSEMと称する走査型電子顕微鏡を用いて断面を観察することにより測定することができる。
(2)導電部
本発明における導電部は、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散され、導電性を有する部材である。また、本発明における導電部はパターン状に配置された部材である。
本発明における導電部は、銀粒子または銅粒子により所定の導電性を有する領域であれば特に限定されない。具体的な導電性は、本発明の導電性基材の用途等に応じて適宜調整することができるが、例えば、導電部の表面抵抗値が、1000Ω/□以下であると定義することができる。本発明においては、中でも、導電部の表面抵抗値が、300Ω/□以下であることが好ましく、特に150Ω/□以下であることが好ましい。導電部の表面抵抗値が上記範囲内であることにより、導電部に充分な導電性を付与することができる。
なお、本発明においては、導電部の表面抵抗値を、10Ω/□以上とすることができる。
本発明における導電部は、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散された構成を成す。換言すると、樹脂材料中に、銀粒子または銅粒子が埋め込まれた構成を成す。本発明における導電部において、樹脂材料中に含まれる銀粒子または銅粒子の含有量は、例えば、本発明における導電部が、所定の導電性を達成することができる程度であることが好ましく、本発明の導電性基材の用途に応じて適宜調整することができる。具体的には、樹脂材料が100質量部に対して、銀粒子または銅粒子が20質量部〜3000質量部の範囲内であることが好ましく、中でも50質量部〜1000質量部の範囲内であることが好ましい。樹脂材料中に含まれる銀粒子または銅粒子の含有量が、上記範囲内であることにより、導電部に充分な導電性を付与することができ、本発明の導電性基材の抵抗値を、所定の範囲内とすることができる。
本発明においては、金属含有層の基材とは反対側の表層に導電部が配置されている場合、導電部の表面から銀粒子または銅粒子が突出していることが好ましい。パターン状の導電部を形成するために、ウェットエッチング処理等を行う際に、銀粒子または銅粒子のエッチング性が向上し、導電部のパターニングを好適に行うことができる。本発明においては、導電部の表面から銀粒子または銅粒子が突出している距離が、5nm〜600nmの範囲内であることが好ましく、中でも10nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。導電部の表面から銀粒子または銅粒子が突出している距離が上記範囲内であることにより、銀粒子または銅粒子のエッチング性を効果的に向上させることができ、また、導電部の表面から銀粒子または銅粒子が脱落するといった不具合の発生を抑制することができる。
なお、「導電部の表面から銀粒子または銅粒子が突出している距離」とは、導電部の表面において、銀粒子または銅粒子が突出していない領域の表面から、導電部の表面から突出した銀粒子または銅粒子の先端までの垂直距離を指す。
また、上記距離は、例えば、SEMと称する走査型電子顕微鏡、TEMと称する透過型電子顕微鏡およびSTEMと称する走査透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡を用い、1000〜50万倍にて上記距離を測定した10か所の平均値として求めることができる。
本発明における導電部は、例えば、銀粒子または銅粒子の元素の割合が、原子組成百分率で、0.05at%〜10at%の範囲内であることが好ましく、中でも、0.10at%〜7at%の範囲内であることが好ましく、特に、0.15at%〜5at%の範囲内であることが好ましい。導電部における銀粒子または銅粒子の元素の割合が、上記範囲内であることにより、導電部に所定の導電性を付与することができる。
なお、導電部に存在する銀粒子または銅粒子の元素の割合は、例えば、X線光電子分光分析法を用い、以下の条件により測定することができる。
・加速電圧:15kV
・エミッション電流:10mA
・X線源:A1デュアルアノード
・測定面積:300×700μmφ
・表面からの深さ10nmを測定
・n=3回の平均値
本発明における導電部の厚みは、本発明の導電性基材の用途や導電部に含まれる銀粒子または銅粒子の大きさ等に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。例えば、導電部に含まれる銀粒子または銅粒子が繊維状である場合には、導電部の厚みは当該繊維径未満であることが好ましい。なお、銀粒子または銅粒子の繊維径については後述するため、ここでの説明は省略する。
(a)銀粒子または銅粒子
本発明における銀粒子または銅粒子は、導電部に含まれる材料であり、樹脂材料中に分散される材料である。
本発明においては、導電部が銀粒子または銅粒子の1種を有していても良く、銀粒子および銅粒子の2種を有していても良い。
本発明における銀粒子または銅粒子は、樹脂材料中に分散することができ、導電性を有する導電部を構成することができるものであれば特に限定されないが、例えば、平均一次粒子径が、1nm以上1000nm以下であるものと定義することができる。本発明においては、中でも、平均一次粒子径が、100nm以下であることが好ましく、特に50nm以下であることが好ましい。また、平均一次粒子径は、例えば、5nm以上であることが好ましく、特に、10nm以上であることが好ましい。銀粒子または銅粒子の平均一次粒子径が上述した上限を有することにより、本発明の導電性基材のヘイズ値の上昇や、光透過性の低下を抑制することが可能である。また、銀粒子または銅粒子の平均一次粒子径が上述した下限を有することにより、充分な導電性を有する導電部を形成することが可能である。
また、本発明における銀粒子または銅粒子は、樹脂材料中に分散することができ、導電性を有する導電部を構成することができるものであれば特に限定されないが、例えば、繊維状、球状および鱗片状等の形状を有するものと定義することができる。本発明においては、例えば、繊維状を有する銀粒子または銅粒子を用いることができる。
ここで、「繊維状」とは、例えば、短軸の長さに対する長軸の長さの比、すなわちアスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)が10より大きくなるような形状をいう。
また、「繊維状を有する銀粒子または銅粒子」は、直線状であっても曲線状であっても良く、その一部に直線部または曲線部を有していても良い。さらに、「繊維状を有する銀粒子または銅粒子」は、例えば、繊維状を有する銀粒子または銅粒子が、複数連結したものも包含する。
銀粒子または銅粒子が、繊維状を有する場合、例えば、短軸の長さとなる繊維径が200nm以下であり、長軸の長さとなる繊維長が1μm以上であることが好ましい。
繊維径が上記範囲内であることにより、本発明の導電性基材のヘイズ値の上昇や、光透過性の低下を抑制することが可能である。また、例えば、繊維径は、10nm以上であることが好ましく、この場合、充分な導電性を有する導電部を形成することが可能となる。
また、繊維長が上記範囲内であることにより、充分な導電性を有する導電部を形成することが可能である。また、例えば、繊維長は、500μm以下であることが好ましく、この場合、凝集が発生することによるヘイズ値の上昇や、光透過性の低下を抑制することが可能である。
以上のことから、本発明においては、銀粒子または銅粒子が、繊維状を有する場合、繊維径が15nm〜180nmの範囲内であることが好ましく、繊維長が3μm〜300μmの範囲内、更には10μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
なお、上述した繊維径および繊維長は、例えば、SEMと称する走査型電子顕微鏡、TEMと称する透過型電子顕微鏡およびSTEMと称する走査透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡を用い、1000〜50万倍にて繊維状の銀粒子または銅粒子の繊維径および繊維長を測定した10か所の平均値として求めることができる。
本発明における銀粒子および銅粒子が繊維状を有する場合、いわゆる銀ナノワイヤおよび銅ナノワイヤのような金属繊維であっても良く、あるいは、アクリル繊維に、銀または銅をコーティングした金属被覆合成繊維であっても良い。なお、本発明においては、金属繊維または金属被覆合成繊維の1種を用いてもよく、金属繊維および金属被覆合成繊維を組み合わせて用いても良い。
本発明における銀粒子および銅粒子が金属繊維である場合、銀粒子および銅粒子の形成方法としては、例えば、銀または銅を長く伸ばす伸線法、または切削法等が挙げられる。また、銀粒子および銅粒子が金属被覆合成繊維である場合、銀粒子および銅粒子の形成方法としては、例えば、アクリル繊維に銀および銅をコーティングする方法が挙げられる。
(b)樹脂材料
本発明における樹脂材料は、導電部に含まれる材料であり、上述した銀粒子または銅粒子が分散される材料である。
本発明における樹脂材料は、上述した銀粒子または銅粒子を分散させることができる樹脂材料であることが好ましく、例えば、透明性を有する材料であることが好ましい。ここで、「透明」とは、特段の断りがない限り、例えば、本発明の導電性基材を表示装置等に用いた際に、操作者からの視認を妨げない程度に透明であることをいう。したがって、「透明」は、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で定義されず、本発明の導電性基材の用途等に応じて透明性の度合いを決定することができる。
このような本発明における樹脂材料は、例えば、電離放射線により硬化する電離放射線硬化型樹脂であることが好ましい。ここで、「電離放射線」とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線又は電子線が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系等の官能基を有する化合物等の1または2以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能化合物等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)が好適に用いられる。なお、上述した「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本発明においては、電離放射線硬化型樹脂として、上述した化合物をPO、EO等で変性したものも使用できる。
本発明においては、上述した化合物の他にも、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。
また、電離放射線硬化型樹脂は、溶剤乾燥型樹脂と併用して使用することもできる。ここで、「溶剤乾燥型樹脂」とは、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂をいう。溶剤乾燥型樹脂を併用することにより、樹脂材料を用いて導電部を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥等の発生を有効に抑制することができる。
このような溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴムまたはエラストマー等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒等の有機溶媒に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
さらに、樹脂材料は、熱硬化性樹脂を含有していても良い。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
(3)非導電部
本発明における非導電部は、樹脂材料により構成され、非導電性を有する部材である。
ここで、「非導電性を有する」とは、例えば、本発明の導電性基材をタッチパネル等に用いた際に、非導電部が電気的に接続されることにより短絡する等の不具合が発生しない程度に導電性を有しないことをいう。
本発明における非導電部に含まれる樹脂材料は、上述した導電部に用いられる樹脂材料と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明における非導電部は、樹脂材料の他にも、必要に応じてその他の材料を有していても良い。その他の材料としては、例えば、マイグレーションの抑制するためのマイグレーション抑制剤が挙げられる。非導電部がマイグレーション抑制剤を有することにより、本発明の導電性基材のマイグレーション耐性を効果的に向上させることができる。なお、マイグレーション抑制剤については、例えば、特開2014−32792号公報に記載されたものと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
本発明における非導電部の厚みは、本発明の導電性基材の用途等に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。例えば、50nm〜3000nmの範囲内とすることができる。
2.基材
本発明における基材は、上述した金属含有層を支持する部材である。
本発明における基材は、透明性を有することが好ましい。ここで、「透明」とは、特段の断りがない限り、例えば、本発明の導電性基材を表示装置等に用いた際に、操作者からの視認を妨げない程度に透明であることをいう。したがって、「透明」は、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で定義されず、本発明の導電性基材の用途等に応じて透明性の度合いを決定することができる。
本発明における基材を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。中でも、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
また、本発明における基材は、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムであっても良い。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体等が用いられる基材で、例えば、日本ゼオン社製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト社製のスミライトFS−1700、JSR社製のアートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学社製のアペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製のTopas(環状オレフィン共重合体)、日立化成社製のオプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)を用いることもできる。
本発明における基材の厚みは、本発明の導電性基材の用途等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、例えば、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも20μm〜80μmの範囲内であることが好ましく、特に40μm〜60μmの範囲内であることが好ましい。基材の厚みが上記範囲内であることにより、基材に機械的強度を付与することができるとともに、所望のフレキシブル性を実現することが可能となる。
3.ハードコート層
本発明においては、基材および金属含有層の間に、ハードコート層を有していても良い。
本発明におけるハードコート層は、本発明の導電性基材の機械的強度を向上させるとともに、金属含有層の表面に所定の硬度を付与することができる機能を有する。ここで、「所定の硬度」とは、例えば、パターン状の導電部の開口領域である除去部の表面が傷付くことにより、本発明の導電性基材のマイグレーション耐性が低下しない程度の硬度をいう。具体的には、除去部の表面に傷が付くことにより溝が生じ、当該溝に沿って導電部の金属イオンが移動して、除去部の表面に金属が成長するといった現象を抑制することができる程度の硬度をいう。
本発明におけるハードコート層の硬度としては、例えば、ハードコート層の表面のJIS K5600−5−4(1999)の鉛筆硬度が、B以上であることが好ましく、中でもHB以上であることが好ましい。ハードコート層が上述のような硬度を有することにより、ハードコート層としての所望の機能を充分に発揮することができる。
このようなハードコート層は、透明性を有することが好ましい。ここで、「透明」とは、特段の断りがない限り、例えば、本発明の導電性基材を表示装置等に用いた際に、操作者からの視認を妨げない程度に透明であることをいう。したがって、「透明」は、無色透明、および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で定義されず、本発明の導電性基材の用途等に応じて透明性の度合いを決定することができる。
本発明におけるハードコート層を構成する材料としては、所望の機能を発揮することができる材料であることが好ましく、特に限定されない。例えば、有機材料であっても良く、無機材料であっても良いが、中でも電離放射線硬化型樹脂等の有機材料であることが好ましい。なお、電離放射線硬化型樹脂等の有機材料については、上述した樹脂材料に用いられる材料と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
ハードコート層の厚みとしては、上述したハードコート層としての機能を発揮することができる程度の厚みであることが好ましく、本発明の導電性基材の用途等に応じて適宜調整することができる。例えば、0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、中でも1μm〜4μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜2μmの範囲内であることが好ましい。ハードコート層の厚みが上記範囲内であることにより、所望の硬度を実現することができ、ハードコート層としての機能を充分に発揮することが可能となる。
なお、ハードコート層の厚みは、例えば、断面顕微鏡を用いて観察することにより測定することができる。
4.導電性基材の構成
本発明の導電性基材は、上述した基材および金属含有層を有していれば良く、その構成は特に限定されない。例えば、図1に示すように、基材1、非導電部2b、導電部2aが、導電性基材10の厚み方向に順に積層された構成を有していても良く、図2に示すように、基材1、導電部2a、非導電部2bが、導電性基材10の厚み方向に順に積層された構成を有していても良い。本発明においては、図1に示すような構成であることが好ましい。パターン状の導電部を形成する際に、導電部の開口領域となる除去部を形成するためのエッチング処理を、導電部に対してのみ行うことができるため、エッチング処理工程をより容易に行うことができるからである。
なお、導電性基材の製造方法については後述するため、ここでの具体的な説明は省略する。
5.用途
本発明の導電性基材は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)等のディスプレイや、タッチパネル、太陽電池等の透明電極として用いることができる。
B.導電性基材の製造方法
本発明の導電性基材の製造方法は、基材上に、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散され、導電性を有する導電部、および上記樹脂材料により構成され、非導電性を有する非導電部が積層された金属含有層を形成する金属含有層形成工程と、上記導電部上にパターン状のレジストを配置し、上記レジストの開口領域から上記導電部に含まれる上記銀粒子または上記銅粒子を除去する金属粒子除去工程と、上記銀粒子または上記銅粒子が除去された領域のみを、上記レジストを用いたドライエッチング法により除去して除去部とするエッチング工程とを有することを特徴とする。
本発明の導電性基材の製造方法について、図を参照しながら説明する。
図4(a)〜(e)は、本発明の導電性基材の製造方法の一例を示す概略工程図である。本発明の導電性基材の製造方法は、まず、図4(a)に示すように、基材1上に、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散され、導電性を有する導電部2a、および樹脂材料により構成され、非導電性を有する非導電部2bが積層された金属含有層2を形成する金属含有層形成工程と、図4(b)に示すように、導電部2a上にパターン状のレジスト5を配置し、図4(c)に示すように、レジスト5の開口領域から導電部2aに含まれる銀粒子または銅粒子を除去する金属粒子除去工程と、図4(d)に示すように、銀粒子または銅粒子が除去された領域のみを、ドライエッチング法を用いて除去して除去部とするエッチング工程とを有する。これにより、図4(e)に示すような導電性基材10を得ることができる。
また、図5(a)〜(e)は、本発明の導電性基材の製造方法の他の例を示す概略工程図である。図5(a)に示すように、基材1上に形成される金属含有層が、基材側から導電部2a、非導電部2bの順で積層されている場合、図5(b)、(c)に示す金属粒子除去工程において、銀粒子または銅粒子とともに、非導電部2bも除去されることとなる。なお、その他の工程については、図4(a)〜(e)に示す工程と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明の導電性基材の製造方法は、図4(b)〜(d)および図5(b)〜(d)に示すように、金属粒子除去工程で用いたレジスト5を、その後のエッチング工程でもそのまま用いることができる。そのため、エッチング工程において、新たにレジストを設ける必要がなくなり、さらにエッチング工程において除去部を高い精度で形成することが可能となる。
本発明によれば、エッチング工程を有することにより、金属粒子除去工程において導電部から銀粒子または銅粒子が除去された除去痕を、ドライエッチング法を用いて除去することができるため、除去痕での金属の析出を抑制し、優れたマイグレーション耐性を有する導電性基材を得ることができる。
なお、具体的な効果については、上述した「A.導電性基材」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
以下、本発明の導電性基材の製造方法における各工程について説明する。
1.金属含有層形成工程
本発明における金属含有層形成工程は、基材上に、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散され、導電性を有する導電部、および樹脂材料により構成され、非導電性を有する非導電部が積層された金属含有層を形成する工程である。
基材上に金属含有層を形成する方法としては、基材上に所望の金属含有層を形成することができる方法であれば特に限定されず、一般的な導電性基材の製造方法と同様の方法を用いることができる。例えば、基材上に、樹脂組成物を塗布して硬化させることにより非導電部を形成し、次いで、非導電部上に、銀粒子または銅粒子を含む金属含有樹脂組成物を塗布して硬化することにより導電部を形成する方法が挙げられる。この他にも、基材上に樹脂組成物を塗布して硬化させることにより非導電部を形成し、次に、転写基材上に、銀粒子または銅粒子を含む金属含有樹脂組成物を塗布して硬化することにより導電部を形成し、次いで、基材上に形成された非導電部上に、転写基材上に形成された導電部を転写させる方法が挙げられる。
樹脂組成物または金属含有樹脂組成物を塗布する方法としては、一般的な塗布方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法が挙げられる。
また、樹脂組成物または金属含有樹脂組成物を塗布した後に硬化させる方法としては、例えば電離放射線を照射する方法が挙げられる。このとき用いられる光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等が挙げられる。
さらに、紫外線の波長域は、例えば、190nm〜380nmとすることができる。
さらにまた、電子線源の具体例としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
本工程において用いられる樹脂組成物は、上記「A.導電性基材」の項に記載した樹脂材料を含有する。また、本工程において用いられる金属含有樹脂組成物は、上記「A.導電性基材」の項に記載した樹脂材料、銀粒子または銅粒子を含有する。なお、樹脂材料、銀粒子および銅粒子については、上記「A.導電性基材」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本工程において用いられる樹脂組成物および金属含有樹脂組成物は、通常、樹脂材料等の他に溶剤を有する。このとき用いられる溶剤としては、例えば、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が挙げられる。また、上述した溶剤は、1種のみを用いても良く、2種以上の混合物を用いても良い。
本工程において用いられる樹脂組成物および金属含有樹脂組成物は、溶剤の他にも光重合開始剤を含有していても良い。このとき用いられる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
光重合開始剤としては、樹脂組成物および金属含有樹脂組成物に含まれる樹脂材料がラジカル重合性不飽和基を有する場合は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。また、樹脂材料がカチオン重合性官能基を有する場合は、光重合開始剤として、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることが好ましい。
本工程において用いられる樹脂組成物および金属含有樹脂組成物が光重合開始剤を含有する場合、その含有量は、樹脂材料100質量部に対して、0.5質量部〜10.0質量部の範囲内であることが好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲内であることにより、硬化を阻害することなく、充分な硬度の導電部および非導電部を得ることができる。
樹脂組成物および金属含有樹脂組成物における原料の含有割合(固形分)は、通常、5質量%〜70質量%の範囲内とすることができ、中でも、25質量%〜60質量%の範囲内とすることが好ましい。
樹脂組成物および金属含有樹脂組成物は、この他にも、導電部および非導電部の硬度の向上や、硬化収縮の抑制、さらには屈折率の制御等といった目的に応じて、その他の材料を有していても良い。その他の材料としては、例えば、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤等が挙げられる。
レベリング剤としては、導電部または非導電部がベナードセル構造となることを回避することができるといった観点から、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等を用いることが好ましい。ここで、ベナードセル構造は、溶剤を含む樹脂組成物または金属含有樹脂組成物を塗布して乾燥させる際に、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等が生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされることにより生じる構造である。この構造を有する場合には、形成する導電部または非導電部に、ゆず肌や塗工欠陥といった問題が発生する虞がある。
樹脂組成物または金属含有樹脂組成物を調製する方法としては、上述した各成分を均一に混合することができる方法であることが好ましく、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用した方法が挙げられる。
また、本工程において用いられる転写基材は、例えば、転写基材上に金属含有組成物を塗布して導電部を形成し、当該導電部を非導電部上に転写することができる部材であること好ましい。このような転写基材としては、例えば、未処理のポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。未処理のPETは、上述した導電部を転写させた後、導電部から容易に剥離することができる。また、未処理のPETの他には、例えば、表面処理を行ったPETやCOP等が挙げられる。
2.金属粒子除去工程
本発明における金属粒子除去工程は、導電部上にパターン状のレジストを配置し、レジストの開口領域から導電部に含まれる銀粒子または銅粒子を除去する工程である。
本工程において銀粒子または銅粒子を除去する方法としては、少なくとも銀粒子または銅粒子を除去することができる方法であれば良く、例えば、ウェットエッチングが挙げられる。
ウェットエッチングに用いられるエッチング液としては、例えば、レジストパターンから露出した導電部に含まれる銀粒子または銅粒子に応じて適宜選択することができ、一般的なウェットエッチングに用いられるものと同様とすることができる。
また、ウェットエッチングが行われる時間は、少なくともレジストパターンから露出した導電部に含まれる銀粒子または銅粒子を除去することができる程度であれば良く、特に限定されない。
さらに、本工程において用いられるレジストパターンは、本発明の導電性基材の用途等に応じてパターン状に配置される。また、レジストを構成する材料は、本工程において用いられるエッチング液に対して所定の耐性を有する材料であることが好ましく、一般的に公知のものを用いることができる。中でも、本工程で用いたレジストを、後述するエッチング工程でもそのまま用いるという観点から、エッチング工程において行われるドライエッチングにおいても用いることが可能な材料を選択することが好ましい。
さらにまた、本工程において用いられるレジストの厚みとしては、本工程において用いられるエッチング液やエッチング時間等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、中でも、後述するエッチング工程でもそのまま用いるという観点から、エッチング工程おいて行われるドライエッチングの条件等も考慮して調整することが好ましい。
3.エッチング工程
本発明におけるエッチング工程は、銀粒子または銅粒子が除去された領域のみを、レジストを用いたドライエッチング法により除去して除去部とする工程である。
本工程において用いられるドライエッチング法は、上述した金属粒子除去工程により銀粒子または銅粒子が除去された領域のみを除去することができれば特に限定されない。本工程においては、例えば、酸素プラズマや大気下で真空紫外光を用いたドライエッチング法が挙げられ、中でも真空紫外光を用いたドライエッチング法を用いることが好ましい。大気中にて速いエッチング速度で行うことができるからである。
酸素プラズマを用いたドライエッチング法では、基材上に金属含有層が形成され、銀粒子または銅粒子が除去された状態の被加工基板を真空チャンバーに導入し、チャンバー内を真空状態にした後に酸素を導入し、所定の電力パターにてRFプラズマを発生させることにより、銀粒子または銅粒子が除去された領域のみをドライエッチングすることができる。
また、真空紫外光を用いたドライエッチング法では、大気下において、基材上に金属含有層が形成され、銀粒子または銅粒子が除去された状態の被加工基板に、172nmの短波長紫外線を照射することにより、銀粒子または銅粒子が除去された領域のみをドライエッチングすることができる。
本工程において用いられるレジストは、上述した金属粒子除去工程において用いられたレジストを剥離することなくそのまま用いることが好ましい。新たにレジストを設ける必要がなく、製造工程数の増加を抑制することができるからである。
なお、本工程において用いられるレジストは、本工程で行われるドライエッチングに耐えうるものであれば良く、一般的に公知のものと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
4.ハードコート層形成工程
本発明においては、上述した金属含有層形成工程の前に、基材上に、ハードコート層を形成するハードコート層形成工程を有していても良い。
本工程は、ハードコート層を形成する工程であり、具体的には、ハードコート組成物を基材上に塗布して硬化させることによりハードコート層を形成する工程である。
ハードコート組成物を塗布する方法としては、一般的な塗布方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法が挙げられる。
また、ハードコート組成物を塗布した後に硬化させる方法としては、例えば電離放射線を照射する方法が挙げられる。このとき用いられる光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等が挙げられる。
さらに、紫外線の波長域は、例えば、190nm〜380nmとすることができる。
さらにまた、電子線源の具体例としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
本工程において用いられるハードコート組成物は、例えば、上記「A.導電性基材」の項に記載した有機材料等の他に、通常、溶剤等を含む。なお、ハードコート組成物に含まれる材料については、上述した樹脂組成物および金属含有組成物に含まれる材料と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
このようなハードコート組成物を調製する方法としては、各成分を均一に混合することができる方法であることが好ましく、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用した方法が挙げられる。
5.その他の工程
本発明は、少なくとも、上述した金属含有層形成工程、金属粒子除去工程、エッチング工程を有していれば良いが、その他にも必要に応じてその他の工程を有していても良い。例えば、上述したハードコート層形成工程や、金属粒子除去工程およびエッチング工程において設けたレジストを剥離するレジスト剥離工程等が挙げられる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例]
・樹脂組成物の調製
樹脂組成物は、下記の組成により作成した。
KAYARAD PET−30(ペンタエリスリトールトリアクリレート/ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、日本化薬社製) 30質量%
イルガキュア184(BASF社製 1.5質量%
メチルエチルケトン 50質量%
シクロヘキサノン 18.5質量%
・金属含有樹脂組成物
反応容器内で160℃に保持したエチレングリコール(EG)液100mLを攪拌しながら、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0mol/L)2.0mLを、一定の流量で1分間かけて添加した。その後、160℃で10分間保持しながら銀イオンを還元して銀の核粒子を形成した。反応液は、ナノサイズの銀微粒子の表面プラズモン吸収に由来する黄色を呈しており、銀イオンが還元されて銀粒子(核粒子)が形成されたことを確認した。続いて、ポリビニルピロリドン(PVP)のEG溶液(PVP濃度:3.0×10−1mol/L)10.0mLを一定の流量で10分間かけて添加した。
上述した核形成工程を終了した後の核粒子を含む反応液を、攪拌しながら160℃に保持し、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0×10−1mol/L)100mLと、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10−1mol/L)100mLを、ダブルジェット法を用いて一定の流量で120分間かけて添加した。30分毎に反応液を採取して電子顕微鏡で確認したところ、核形成工程で形成された核粒子が時間経過に伴って繊維状の形態に成長しており、粒子成長工程における新たな粒子の生成は認められなかった。最終的に得られた繊維状の銀粒子、いわゆる銀ナノワイヤについて、電子顕微鏡写真を撮影し、300個の銀ナノワイヤ粒子像の長軸方向及び短軸方向の粒径を測定して算術平均を求めた。短軸方向の平均粒径は100nm、長軸方向の平均長さは40μmであった。
次いで、粒子成長工程を終了した反応液を室温まで冷却した後、分画分子量0.2μmの限外濾過膜を用いて脱塩水洗処理を施すとともに、溶媒をエタノールに置換した。最後に液量を100mLまで濃縮して銀ナノワイヤのEtOH分散液を調製した。
上述のように得られた銀ナノワイヤのEtOH分散液に、PET−30(日本化薬社製)とイルガキュア184(BASF社製)と希釈溶剤とを加え、銀ナノワイヤ濃度0.1質量%、PET−30 0.1質量%、イルガキュア184(PET−30の5%)になるように配合し、金属含有樹脂組成物を調製した。なお、希釈溶剤の30質量%はシクロヘキサノンとした。
(金属含有層形成工程)
離型フィルムとして、厚さ50μmのポリエステルフィルム(A4100、東洋紡社製)を用い、該ポリエステルフィルムの未処理面に、上記にて調製した金属含有樹脂組成物を10mg/mとなるよう塗布して塗膜を形成し、70℃で1分乾燥後、UV50mJで紫外線照射を行い、導電部を形成した。
次いで、別の新たな基材フィルムとして、厚さ50μmのポリエステルフィルム(A4100、東洋紡社製)を用い、該ポリエステルフィルムのプライマー処理面に、上記にて調製した樹脂組成物を、乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布して塗膜を形成し、該塗膜を70℃で1分乾燥させ、基材フィルム上に非導電部を形成した。
上述のように離型フィルム上に形成された導電部と、基材フィルム上に形成された非導電部とを、導電部および非導電部が対向するように貼り合せてラミネートし、その状態で基材フィルム側から紫外光を照射(600mJ)した。その後、離型フィルムを剥離させ、導電部と非導電部とが積層された金属含有層を得た。なお、得られた金属含有層の表面抵抗値を、三菱化学アナリテック社製Loresra−EP MCP−T360を用いて測定したところ100Ω/□であった。また、得られた金属含有層の断面を、SEMを用いて観察したところ、金属含有層の表面から深さ30nmの領域に銀ナノワイヤが存在していた。すなわち、金属含有層の表面から深さ30nmまでの領域が導電部であった。
(金属粒子除去工程)
得られた金属含有層上に、ポジ型フォトレジストとして、ALC1350(ダウ・ケミカル社製)を、スピンコート法を用いて塗布(1000rpm、10秒保持)し、100℃のホットプレートにて3分間乾燥させてフォトレジスト層を形成した。
次いで、形成したフォトレジスト層の表面に、電極パターンが形成されたフォトマスク介して50mJ/□@365nmの紫外線を照射し、その後、ディスパースSAW(ヘンケル社製)を用いて現像処理を行い、フォトレジスト層をパターニングしたレジストパターンを得た。
次に、エッチング液としてSEA−5(関東化学)を40℃に加温し、上レジストパターンを形成した金属含有層を3分間浸漬させて、銀ナノワイヤをウェットエッチングにより除去し、その後純水で1分間リンスした。
(エッチング工程)
続いて、レジストパターンをマスクとして、172nmの真空紫外線(3mW/□)を90秒照射し、銀ナノワイヤが除去された領域をドライエッチングし、銀ナノワイヤが除去された除去痕を除去した。これにより、除去部を形成した。
最後に、レジストパターン全面に100mJ/□@365nmの紫外線を照射した後、ディスパースSAW(ヘンケル社製)を用いてレジストパターンの剥離処理をした。
以上の工程により、金属含有層がパターニングされた2対の電極(3mm×40mm)を得た。この2対の電極は、電極間が30μmで長辺が対向するように配置されている。また、レーザー干渉顕微鏡により電極間高さを観察すると、除去部にはドライエッチング工程により40nmの段差が生じており、銀ナノワイヤが埋包されていた樹脂材料が除去されていた。これにより、銀粒子または銅粒子が除去されることにより生じる除去痕を有しない導電性基材を形成することができた。
[比較例]
エッチング工程を有しないこと以外は、実施例と同様にして導電性基材を形成した。得られた導電性基材に対し、レーザー干渉顕微鏡により電極間高さを観察すると、電極間領域の段差は生じていないことが確認された。また、断面をSEM観察したところ、金属粒子除去工程におけるウェットエッチングにて除去された銀ナノワイヤの除去痕(段差約30nm)が存在していることが確認された。
[評価]
(マイグレーション試験)
マイグレーション条件として、温度60℃、相対湿度90%の環境下で、上記実施例および比較例により得られた導電性基材に対し、DC6Vの電圧を100時間印加し、電極間の抵抗値を観察した。
その結果、100時間経過後、実施例の電極では電極間抵抗は10MΩ以上であり絶縁性が確保されていた。
一方、比較例の電極では100時間経過後、電極間抵抗は20KΩ以下となった。また、顕微鏡で電極間の領域を観察すると、銀ナノワイヤの除去痕を埋めるように銀のマイグレーション現象で生じるデンドライドが、+6Vに設定した電極に向かって成長し、電極間が短絡した。
1 … 基材
2 … 金属含有層
2a … 導電部
2b … 非導電部
3 … 金属粒子
4 … 除去部
5 … レジスト
10 … 導電性基材

Claims (5)

  1. 基材、および前記基材上に配置された金属含有層を有し、
    前記金属含有層は、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散された導電部と、前記樹脂材料により構成された非導電部とが積層された積層体であり、
    前記導電部は、前記導電部が除去された除去部によりパターン状に配置されており、
    前記除去部の表面の最大高低差が、100nm以下であることを特徴とする導電性基材。
  2. 前記金属含有層は、前記基材側から、前記非導電部および前記導電部の順に積層された積層体であることを特徴とする請求項1に記載の導電性基材。
  3. 前記基材および前記金属含有層の間に、ハードコート層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性基材。
  4. 基材上に、樹脂材料中に銀粒子または銅粒子が分散された導電部、および前記樹脂材料により構成された非導電部が積層された金属含有層を形成する金属含有層形成工程と、
    前記導電部上にパターン状のレジストを配置し、前記レジストの開口領域から前記導電部に含まれる前記銀粒子または前記銅粒子を除去する金属粒子除去工程と、
    前記銀粒子または前記銅粒子が除去された領域のみを、前記レジストを用いたドライエッチング法により除去して除去部とするエッチング工程とを有することを特徴とする導電性基材の製造方法。
  5. 前記金属含有層は、前記基材側から、前記非導電部および前記導電部の順に積層された積層体であることを特徴とする請求項4に記載の導電性基材の製造方法。
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