JP2020121563A - 透明導電性積層体及びタッチパネル - Google Patents

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善正 小川
Yoshimasa Ogawa
善正 小川
岩田 行光
Yukimitsu Iwata
行光 岩田
英司 大石
Eiji Oishi
英司 大石
尚一郎 小久見
Shoichiro Okumi
尚一郎 小久見
悠司 志水
Yuji Shimizu
悠司 志水
亮太 北山
Ryota Kitayama
亮太 北山
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【課題】優れた耐候性を有するとともに、導電性と透明性とにも優れる透明導電性積層体を提供する。【解決手段】導電性繊維状フィラーを含む導電性層の一方の面上に、通電粒子を含有する樹脂層が設けられ、上記樹脂層の上記導電性層側と反対側面における抵抗値が1Ω/□以上1×106Ω/□未満であり、上記樹脂層における上記通電粒子の含有量が0.01〜1.00質量%であることを特徴とする透明導電性積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、透明導電性積層体及びタッチパネルに関する。
従来、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイや、タッチパネル、太陽電池等の透明電極として、透明かつ導電性の薄膜が用いられており、このような薄膜としては、例えば、ガラス基材上に酸化インジウムスズ(ITO)等からなる導電膜を積層した透明導電性薄板が用いられてきた。
ところが、ガラス基板を使用した透明導電性薄板は可撓性に劣るため、近年、ポリエステル(PET)フィルムやポリエチレンナフタレート(PEN)等の可撓性樹脂からなる基材フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法でITO等からなる導電膜を設けた導電性フィルムが主に使用されてきた。
ところが、ITO等からなる導電膜は柔軟性がなかったため、可撓性樹脂からなる基材フィルム上に該導電膜を設けると、ひび割れが生じやすいという問題があった。
これに対し、例えば、金属ナノワイヤーを含む透明導電性層を基板上に設けた透明導電体が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
特許文献1に記載の透明導電体は、金属ナノワイヤーを分散溶媒中に分散させた水性分散物を基板上、好ましくは基材上に設けた親水性ポリマー層上に塗設し、乾燥させることで透明導電性層を形成し製造され、当該方法で製造された透明導電体は、基材中又は親水性ポリマー層中に金属ナノワイヤーが埋め込まれた状態となっている。
しかしながら、このような従来の透明導電体は、充分な導電性能を担保するために、金属ナノワイヤーが透明導電性層表面から一部が露出していたり、該表面付近に多数存在していたりすることが必要であったため、容易に酸化やハロゲン化や硫化が生じて表面抵抗値が変動し、耐候性に劣るという問題があった。
このような問題に対して、例えば、透明導電性層の表面にオーバーコート層を形成して透明導電体の耐候性の向上を図る方法が考えられている。
しかしながら、金属ナノワイヤーが酸化や硫化されないよう厚いオーバーコート層を設けると、透明導電体の表面抵抗値が高くなり、また、モジュールに組み込む際に特殊な加工が必要となり歩留りを大きく落とすなどの問題があり、透明導電性層の表面抵抗値を充分に担保できる程度の薄いオーバーコート層を設けると、耐候性の充分な改善を図ることができなかった。
このため、例えば、特許文献2には、透明導電性層上に、導電性粒子が分散されたオーバーコート層を設ける方法が開示されている。
しかしながら、金属ナノワイヤーを含む透明導電性層の優れた導電性を、導電性粒子が分散されたオーバーコート層の表面においても維持させようとすると、該オーバーコート層に多量の導電性粒子を添加する必要があるため、透明性に劣るという問題があった。
特開2010−084173号公報 特表2010−507199号公報
本発明は、上記現状に鑑みて、優れた耐候性を有するとともに、導電性と透明性とにも優れる透明導電性積層体、該透明導電性積層体を用いてなるタッチパネルを提供することを目的とするものである。
本発明は、導電性繊維状フィラーを含む導電性層の一方の面上に、通電粒子を含有する樹脂層が設けられ、上記樹脂層の上記導電性層側と反対側面における抵抗値が1Ω/□以上1×10Ω/□未満であり、上記樹脂層における上記通電粒子の含有量が0.01〜1.00質量%であることを特徴とする透明導電性積層体である。
本発明の透明導電性積層体において、上記導電性繊維状フィラーは、繊維径が200nm以下であり、繊維長が1μm以上であることが好ましい。
上記導電性繊維状フィラーは、導電性炭素繊維、金属繊維及び金属被覆合成繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記導電性繊維状フィラーの一部は、上記導電性層の樹脂層側の面から突出していることが好ましい。
また、上記導電性層の厚みが上記導電性繊維状フィラーの繊維径未満であることが好ましい。
上記通電粒子の平均粒子径が、上記樹脂層の厚みよりも大きいことが好ましい。
また、上記通電粒子の平均粒子径が、上記樹脂層の厚みに対して80〜200%の範囲にあることが好ましい。
また、本発明は、上述した本発明の透明導電性積層体を用いてなることを特徴とするタッチパネルでもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「樹脂」とは、特に言及しない限り、モノマー、オリゴマー、ポリマー等も包含する概念である。
本発明者らは、上記現状に鑑み鋭意検討した結果、導電性層上に樹脂層が設けられた構成の透明導電性積層体において、上記導電性層が導電性繊維状フィラーを含有し、上記樹脂層が通電粒子を含有するものとすることで、優れた耐候性、導電性及び透明性を有する透明導電性積層体とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、導電性繊維状フィラーを含む導電性層の一方の面上に、通電粒子を含有する樹脂層が設けられた透明導電性積層体である。
ここで、本発明に係る透明導電性積層体において、「透明」とは、優れた光透過性能を有していることを意味し、より具体的には、本発明の透明導電性積層体は、全光線透過率が80%以上である。
なお、上記全光線透過率は、JIS K−7361に従って測定された値である。測定に使用する機器としては、反射・透過率計HM−150(村上色彩技術研究所)が挙げられる。
このような本発明の透明導電性積層体は、上記樹脂層の上記導電性層側と反対側面(以下、表面ともいう)における抵抗値が1Ω/□以上1×10Ω/□未満である。1Ω/□未満であると、導電性繊維状フィラーの添加量が多くなりすぎることで透明性が不充分となり、1×10Ω/□以上であると、本発明の透明導電性積層体の導電性能が不充分となる。
上記樹脂層の表面における抵抗値は、10Ω/□以上であることが好ましく、1×10Ω/□未満であることが好ましい。
なお、上述した従来の透明導電性層上に導電性微粒子が分散された樹脂層を備えた透明導電性積層体は、上記抵抗値の要件を満たす程度に上記導電性微粒子を樹脂層に含有させると、上述した透明性を満たすことができず、上述した透明性の要件を満たす程度に上記導電性微粒子を樹脂層に含有させると、上記抵抗値の要件を満たすことができないものであった。
本発明の透明導電性積層体は、樹脂層の表面の抵抗値が上記範囲にあり、優れた導電性を有するものであるが、上述したように優れた透明性を有するものでもある。
このような導電性と透明性との両立は、後述するように樹脂層が導通粒子を含む所定の構成であるため、達成することができたものである。更に、このような樹脂層を導電性層上に有することで、後述する導電性層に含まれる導電性繊維状フィラーが酸化したり硫化したりすることを好適に防止でき、本発明の透明導電性積層体は、耐候性にも優れたものとなる。
本発明の透明導電性積層体において、上記導電性層は、導電性繊維状フィラーを含むものである。
本発明において、上記導電性層は、上記導電性繊維状フィラーの他にバインダー樹脂を含有していてもよく、この場合、上記導電性繊維状フィラーの一部は、上記導電性層の樹脂層側の面(以下、単に表面ともいう)から突出していることが好ましい。
このような導電性層を有する導電性積層体を低ヘイズ値で高光透過性能を有するものとすることができる。
また、上記バインダー樹脂中に導電性繊維状フィラーを有する構成とすることで、上記導電性層の耐擦傷性が特に優れたものとなる。
上記バインダー樹脂としては特に限定されず、例えば、透明性のものが好ましく、例えば、紫外線又は電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂が紫外線又は電子線の照射により硬化したものであることが好ましい。
上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系等の官能基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能化合物等を挙げることができる。なかでも、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)が好適に用いられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本発明では、上記電離放射線硬化型樹脂として、上述した化合物をPO、EO等で変性したものも使用できる。
上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も上記電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。
上記電離放射線硬化型樹脂は、溶剤乾燥型樹脂(熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)と併用して使用することもできる。溶剤乾燥型樹脂を併用することによって、導電性層を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。
上記電離放射線硬化型樹脂と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
また、上記導電性層は、熱硬化性樹脂を含有していてもよい。
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
上記バインダー樹脂を含有する導電性層は、例えば、上述した導電性繊維状フィラー、溶剤、及び、バインダー樹脂のモノマー成分を含有する導電性層用組成物を、後述する基材フィルム上に塗布し、乾燥させて形成した塗膜を電離放射線照射等により硬化させることで形成することができる。
上記導電性層用組成物に含まれる溶剤としては、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
上記導電性層用組成物は、更に光重合開始剤を含有していることが好ましい。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては、上記導電性層用組成物に含まれる樹脂成分がラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。また、上記樹脂成分がカチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、上記光重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることが好ましい。
上記導電性層用組成物における上記光重合開始剤の含有量は、上記樹脂成分100質量部に対して、0.5〜10.0質量部であることが好ましい。0.5質量部未満であると、形成する導電性層の硬度が不充分となることがあり、10.0質量部を超えると、逆に硬化を阻害する可能性も出てくるため、好ましくない。
上記導電性層用組成物中における原料の含有割合(固形分)としては特に限定されないが、通常は5〜70質量%、特に25〜60質量%とすることが好ましい。
上記導電性層用組成物には、導電性層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤等を添加していてもよい。
上記レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤等が、硬化性樹脂層がベナードセル構造となることを回避することから好ましい。溶剤を含む樹脂組成物を塗工し、乾燥する場合、塗膜内において塗膜表面と内面とに表面張力差等を生じ、それによって塗膜内に多数の対流が引き起こされる。この対流により生じる構造はベナードセル構造と呼ばれ、形成する導電性層にゆず肌や塗工欠陥といった問題の原因となる。
上記導電性層用組成物の調製方法としては各成分を均一に混合できれば特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用して行うことができる。
上記基材フィルムを構成する材料としては特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。なかでも、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。
その他、上記基材フィルムとしては、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムを挙げられる。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体等が用いられる基材で、例えば、日本ゼオン社製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト社製のスミライトFS−1700、JSR社製のアートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学社製のアペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製のTopas(環状オレフィン共重合体)、日立化成社製のオプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
上記基材フィルムの厚さとしては、1〜100μmであることが好ましい。1μm未満であると、上記被転写体の機械的強度が不足することがあり、100μmを超えると、導電性フィルムの可撓性が不充分となることがある。上記基材フィルムの厚みは、より好ましい下限は20μm、より好ましい上限は80μmであり、更に好ましい下限は40μm、更に好ましい上限は60μmである。
上記基材フィルムは、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化等のエッチング処理や下塗り処理が施されていてもよい。これらの処理が予め施されていることで、上記基材フィルム上に形成される導電性層との密着性を向上させることができる。また、導電性層を形成する前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄等により、基材フィルム表面は、除塵、清浄化されていてもよい。
上記導電性層用組成物を基材フィルム上に塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法を挙げることができる。
また、上記乾燥後の塗膜を硬化させる際の電離放射線の照射方法としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源を用いる方法が挙げられる。
また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
また、上記導電性層が上記バインダー樹脂を含む場合、該導電性層における上記バインダー樹脂の硬化物(以下、バインダー樹脂層ともいう)の厚みは、上記導電性繊維状フィラーの繊維径未満であることが好ましい。上記バインダー樹脂層の厚みが導電性繊維状フィラーの繊維径以上であると、該導電性繊維状フィラーの接点にバインダー樹脂が入る量が多くなって導電性層の導通が悪化し、目標の抵抗値を得られないことがある。
上記バインダー樹脂層の厚みとしては具体的には、200nm以下であることが好ましい。上記バインダー樹脂層の厚みが200nmを超えると、導電性繊維状フィラーの繊維径を、後述する好適な範囲を超えて太くする必要があるため、導電性積層体のヘイズが上昇し、全光線透過率が低下することがあり、光学的に不適である。上記バインダー樹脂層の厚みは50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることが更に好ましい。
なお、上記バインダー樹脂層の厚みは、例えば、SEM、STEM、TEM等の電子顕微鏡を用い、1000〜50万倍にて上記導電性層の断面を観察して厚みを測定した任意の10カ所の平均値として求めることができる。
一方、上記導電性層が上記バインダー樹脂を含有しない場合、該導電性層は、導電性繊維状フィラーにより構成されるので、その厚み方向の断面には、導電性繊維状フィラーの存在する個所と存在しない個所とが観察される。導電性繊維状フィラーの存在する個所には該導電性繊維状フィラーが単独で積層されている所と2個以上が積層された所とがあり得るが、導電性繊維状フィラーが存在しない個所(すなわち、厚みが0nmの箇所)があることから、該導電性層の厚みを上記定義に沿って測定すると、上記バインダー樹脂を含有しない導電性層の厚みも、通常、導電性繊維状フィラーの繊維径未満となる。
上記導電性繊維状フィラーは、繊維径が200nm以下であり、繊維長が1μm以上であることが好ましい。
上記繊維径が200nmを超えると、製造する透明導電性積層体の透明性が不充分となることがある。上記導電性繊維状フィラーの繊維径の好ましい下限は導電性層の導電性の観点から10nmであり、上記繊維径のより好ましい範囲は15〜180nmである。
また、上記導電性繊維状フィラーの繊維長が1μm未満であると、充分な導電性能を有する導電性層を形成できないことがあり、凝集が発生してヘイズ値の上昇や光透過性能の低下を招く恐れがあることから、上記繊維長の好ましい上限は500μmであり、上記繊維長のより好ましい範囲は3〜300μmであり、更に好ましい範囲は10〜30μmである。
なお、上記導電性繊維状フィラーの繊維径、繊維長は、例えば、SEM、STEM、TEM等の電子顕微鏡を用い、1000〜50万倍にて上記導電性繊維状フィラーの繊維径及び繊維長を測定した10カ所の平均値として求めることができる。
このような導電性繊維状フィラーとしては、導電性炭素繊維、金属繊維及び金属被覆合成繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記導電性炭素繊維としては、例えば、気相成長法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、ワイヤーカップ、ワイヤーウォール等が挙げられる。これらの導電性炭素繊維は、1種又は2種以上を使用することができる。
上記金属繊維としては、例えば、ステンレススチール、鉄、金、銀、アルミニウム、ニッケル、チタン等を細く、長く伸ばす伸線法、又は、切削法により作製された繊維が使用できる。このような金属繊維は、1種又は2種以上を使用することができる。
上記金属被覆合成繊維としては、例えば、アクリル繊維に金、銀、アルミニウム、ニッケル、チタン等をコーティングした繊維等が挙げられる。このような金属被覆合成繊維は、1種又は2種以上を使用することができる。
上記導電性層が上記バインダー樹脂を含有する場合、上記導電性繊維状フィラーの含有量としては、例えば、上記バインダー樹脂100質量部に対して20〜3000質量部であることが好ましい。20質量部未満であると、充分な導電性能を有する導電性層を形成できないことがあり、3000質量部を超えると、本発明の透明導電性積層体の透明性が不充分となることがある。また、導電性繊維状フィラーの接点にバインダー樹脂が入る量が多くなることで導電性層の導通が悪化し、本発明の透明導電性積層体が目標の抵抗値を得られないことがある。上記導電性繊維状フィラーの含有量のより好ましい下限は50質量部、より好ましい上限は1000質量部である。
上記導電性層がバインダー樹脂を含む場合、上記導電性繊維状フィラーの一部は、上記導電性層の後述する樹脂層側の面(以下、表面ともいう)から突出していてもよい。
本発明の透明導電性積層体を、後述する転写法により製造する場合、離型フィルム上に設けた導電性層側面を、該導電性層と樹脂層とが対向するように積層させて押圧を加えるが、上記導電性繊維状フィラーが導電性層の表面(すなわち、導電性層の樹脂層に押圧される面)から突出していると、該突出した導電性繊維状フィラーは、樹脂層に埋め込まれた状態で転写され、その結果、得られる透明導電性積層体の導電性能が優れたものとなり、更に、上記導電性層のバリア性も向上して耐候性に優れたものとなる。
上記導電性層がバインダー樹脂を含む場合、上記導電性繊維状フィラーの一部は、上記導電性層の表面から5〜600nmの範囲で突出していることが好ましい。本発明において、上記導電性層の表面の導電性繊維状フィラーが突出していない平坦な箇所から、突出した導電性繊維状フィラーの先端までの垂直距離が600nm以下であることが好ましい。上記垂直距離が600nmを超えると、導電性層から導電性繊維状フィラーが脱落することがある。上記垂直距離のより好ましい上限は200nmである。
なお、上記導電性層の表面から突出した導電性繊維状フィラーの垂直距離は、例えば、SEM、STEM、TEM等の電子顕微鏡を用い、1000〜50万倍にて上記導電性層の表面の観察を行い、上記導電性層の表面の平坦な箇所から突出した導電性繊維状フィラーの先端までの垂直距離を測定した10カ所の平均値として求めることができる。
本発明の透明導電性積層体の製造方法としては、例えば、離型フィルム上に少なくとも上記導電性層を有する転写フィルムを用いて、上記導電性層を樹脂層に転写する転写工程を有する方法や、基材フィルム上に上述した導電性層用組成物を用いて導電性層を形成した後、該導電性層上に更に後述する樹脂層用組成物を用いて樹脂層を形成する方法等が挙げられる。
本発明の透明導電性積層体において、上記樹脂層は、通電粒子を含有する。
上記通電粒子は、上記樹脂層の表面に導電性を持たせることで、本発明の透明導電性積層体に導電性を付与する役割を果たす粒子である。
上記役割を果たすため、上記通電粒子は、上記樹脂層の上記導電性層側で、上述した導電性層の導電性繊維状フィラーと接し、該樹脂層の導電性層側と反対側面に露出するように上記樹脂層中に含有されていることが好ましい。
上記通電粒子は、平均粒子径が上記樹脂層の厚みよりも大きいことが好ましい。上記通電粒子の平均粒子径が上記樹脂層の厚み以下であると、上記樹脂層の表面の導電性が不充分となることがある。
なお、上記通電粒子の平均粒子径が上記樹脂層の厚みよりも大きいことで、上記通電粒子を上記樹脂層の表面から突出した状態で含有させることができる。
なかでも、上記通電粒子は、上記樹脂層の両面から突出した状態で上記樹脂層に含有されていることが好ましい。このようにして通電粒子が樹脂層に含有されていることで、導電性層中の導電性繊維状フィラーとの接触が良好となる一方で、上記樹脂層の表面の導電性が良好となる。
上記樹脂層の両面で通電粒子が突出させる方法としては、例えば、平均粒子径が上記樹脂層の厚みよりも大きい通電粒子を含む樹脂層上に、上述した転写法にて導電性層を形成する方法が挙げられる。
また、上記通電粒子は、平均粒子径が上記樹脂層の厚みに対して80〜200%の範囲にあることが好ましい。80%未満であると、上記樹脂層の表面の導電性が不充分であり、それを補うべく添加量を増やすことで透過率が低下するなどの不具合が発生することがある。200%を超えると、上記通電粒子が上記樹脂層から脱落することがある。上記通電粒子の平均粒子径の上記樹脂層の厚みに対する割合のより好ましい下限は101%であり、より好ましい上限は150%である。
なお、上記通電粒子の平均粒子径とは、上記樹脂層を表面側から顕微鏡観察して測定した10個の通電粒子の粒子径の平均値であり、上記樹脂層の厚みとは、本発明の透明導電性積層体を断面顕微鏡観察したときに、上記通電粒子の存在しない領域において、上記導電性繊維状フィラーが突出している場合、該突出した先端から、上記導電性層の表面までの距離を任意の10か所にて測定した平均値である。
本発明の透明導電性積層体において、上記通電粒子としては、上記導電性層中の導電性繊維状フィラーと樹脂層の表面との導通を図ることのできる導電性材料からなる微粒子であれば特に限定されず、公知の微粒子を用いることができる。なかでも、導電性能に優れ上記導電性層中の導電性繊維状フィラーと樹脂層の表面とを好適に導通させることができることから、上記通電粒子としては、使用雰囲気成分と反応して導電性が低下することを抑制すべく、安定的かつ導電性の高い金属粒子又は同特性の金属で表面処理された樹脂ビーズ等を用いることが好ましく、特に、金及びニッケルなどで表面処理されたビーズは導電性も高く、雰囲気とも使用雰囲気との反応性も低いことから好適である。
上記樹脂層における通電粒子の含有量としては、上述した抵抗値を出せる範囲で適宜調整されるが、好ましくは0.01〜5.00質量%である。0.01質量%未満であると、本発明の透明導電性積層の耐候性が不充分となることがあり、5.00質量%を超えると、透過率が低下するなどの不具合が発生することがある。上記通電粒子の含有量のより好ましい下限は0.03質量%、より好ましい上限は1.00質量%である。
上記樹脂層を構成する樹脂成分としては、絶縁性材料であることが好ましく、例えば、上述した導電性層のバインダー樹脂と同様の材料が挙げられる。
また、上記樹脂層は、上記通電粒子を含む以外は、上述した導電性層用組成物と同様の樹脂層用組成物を用いて形成することができる。
上記樹脂層の厚さとしては、0.2〜10μmであることが好ましい。0.2μm未満であると、本発明の透明導電性積層の耐候性が不充分となることがあり、10μmを超えると、カールが発生することがある。上記樹脂層の厚みのより好ましい下限は0.5μm、より好ましい上限は7μmであり、更に好ましい下限は1μm、更に好ましい上限は6μmである。
上記転写工程を有する方法で本発明の透明導電性積層体を製造する場合、離型フィルム上に少なくとも導電性層を有する転写フィルムを使用する。
上記転写フィルムの離型フィルムとしては特に限定されず、例えば、未処理のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等、従来公知のものが挙げられる。
上記転写フィルムを用いて樹脂層に導電性層を転写する方法としては、上述した転写フィルムを導電性層側面が樹脂層側となるように積層させて押圧をかけた後、離型フィルムを剥離させる方法が挙げられる。
このようにして製造した本発明の透明導電性積層体は、上述したように全光線透過率が80%以上であり、好ましくは88%以上であり、より好ましくは89%以上である。また、本発明の透明導電性積層体は、ヘイズ値が5%以下であることが好ましい。ヘイズ値が5%を超えると、本発明の透明導電性積層体の光学的性能が不充分となり、透明性が不充分となることがある。上記ヘイズ値の好ましい上限は1.5%、より好ましい上限は1.2%である。
なお、上記ヘイズ値は、内部ヘイズ値と表面ヘイズ値との合計であり、JIS K−7136に従って測定された値である。測定に使用する機器としては、反射・透過率計HM−150(村上色彩技術研究所)が挙げられる。
また、上記導電性繊維状フィラー由来のへイズ値は、4%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%以下であり、更に好ましくは0.8%以下である。なお、上記導電性繊維状フィラー由来のヘイズ値は、導電性繊維状フィラーを含まない以外は上述した導電性層と同様のフィルムの両面に、高透明性接着剤転写テープ(Optically Clear Adhesive Tape:OCA)を用いてガラスに貼り合わせて作製したサンプル0について測定したヘイズをH0とし、導電性繊維状フィラーを含む上述した導電性層の両面にOCAを用いてガラスに貼り合わせて作製したサンプル1について測定したヘイズをH1とし、H1−H0で求められるヘイズを導電性繊維状フィラー由来へイズ値とした。
この導電性繊維状フィラー由来へイズ値の測定の際のガラスは、1.1mm厚のソーダガラスを用い、OCAは3M社製のOCA、8146−2(テープ厚50μm)を使用してサンプルを用いる。
また、本発明の透明導電性積層体は、耐候性に優れたものである。例えば、本発明の透明導電性積層体を、温度60℃湿度95%、又は、温度85℃の条件下で耐候性試験を行ったとき、樹脂層の表面の抵抗値の変化率が、耐候性試験の前後で−10%〜+10%であることが好ましい。
また、本発明の透明導電性積層体は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイや、タッチパネル、太陽電池等の透明電極として用いることができる。このような本発明の透明導電性積層体を用いてなるタッチパネルもまた、本発明の一つである。
本発明の透明導電性積層体は、上述した構成からなるものであるため、極めて高い耐候性を有するとともに、導電性と透明性とを有するものとなる。このため、本発明の透明導電性積層体は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイや、タッチパネル、太陽電池等の透明電極に好適に使用することができ、なかでもタッチパネルに特に好適である。
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例及び比較例のみに限定されるものではない。
なお、文中、「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
(実施例1)
(透明導電性積層体の作製)
基材フィルムとして、厚さ50μmのポリエステルフィルム(A4100、東洋紡社製)を用い、該ポリエステルフィルムの未処理面に、下記導電性層用組成物を10mg/mとなるよう塗布して塗膜を形成し、70℃で1分乾燥後、導電性層を形成し、その上に下記樹脂層用組成物を乾燥後の厚みが4μmとなるよう塗布して塗膜を形成し、70℃で1分乾燥後UV350mJで紫外線照射を行い、樹脂層を形成し透明導電性積層体を作成した。
(導電性層用組成物の調製)
還元剤としてエチレングリコール(EG)を、形態制御剤兼保護コロイド剤としてポリビニルピロリドン(PVP:PVP:平均分子量130万、アルドリッチ社製)を、それぞれ使用し、下記に示した核形成工程と粒子成長工程とを分離して粒子形成を行って導電性繊維状フィラーを得た。得られた導電性繊維状フィラーを用いて導電性層用組成物を調製した。
(核形成工程)
反応容器内で160℃に保持したEG液100mLを攪拌しながら、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0モル/L)2.0mLを、一定の流量で1分間かけて添加した。
その後、160℃で10分間保持しながら銀イオンを還元して銀の核粒子を形成した。反応液は、ナノサイズの銀微粒子の表面プラズモン吸収に由来する黄色を呈しており、銀イオンが還元されて銀の微粒子(核粒子)が形成されたことを確認した。
続いて、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10−1モル/L)10.0mLを一定の流量で10分間かけて添加した。
(粒子成長工程)
上記核形成工程を終了した後の核粒子を含む反応液を、攪拌しながら160℃に保持し、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0×10−1モル/L)100mLと、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10−1モル/L)100mLを、ダブルジェット法を用いて一定の流量で120分間かけて添加した。
本粒子成長工程において、30分毎に反応液を採取して電子顕微鏡で確認したところ、核形成工程で形成された核粒子が時間経過に伴ってワイヤ状の形態に成長しており、粒子成長工程における新たな微粒子の生成は認められなかった。最終的に得られた導電性繊維状フィラー(銀ナノワイヤー)について、電子顕微鏡写真を撮影し、300個の導電性繊維状フィラー像の長軸方向及び短軸方向の粒径を測定して算術平均を求めた。短軸方向の平均粒径は100nm、長軸方向の平均長さは40μmであった。
(脱塩水洗工程)
粒子形成工程を終了した反応液を室温まで冷却した後、分画分子量0.2μmの限外濾過膜を用いて脱塩水洗処理を施すとともに、溶媒をエタノールに置換した。最後に液量を100mLまで濃縮して導電性繊維状フィラーのEtOH分散液を調製した。
得られた銀ナノワイヤーEtOH分散液に、希釈溶剤を加え、銀ナノワイヤー濃度0.1質量%の導電性層用組成物を調製した。なお、希釈溶剤は、70質量%IPA、30質量%シクロヘキサノンとした。
(樹脂層用組成の調整)
KAYARAD PET−30(ペンタエリスリトールトリアクリレート/ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、日本化薬社製) 30質量%
イルガキュア184(BASF社製) 1.5質量%
MEK 50質量%
シクロヘキサノン 18.45質量%
通電粒子 ブライト20GNR−4.6EH 日本化学工業(株) 0.05質量%
(実施例2)
透明導電性積層体の作製において、導電性層用組成物の塗布量を12mg/mとなるよう変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を得た。
(実施例3)
透明導電性積層体の作製において、導電性層用組成物の塗布量を15mg/mとなるよう変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を得た。
(実施例4)
透明導電性積層体の作製において、導電性層用組成物の塗布量を25mg/mとなるよう変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を得た。
(実施例5)
透明導電性積層体の作製において、導電性層用組成物の塗布量を50mg/mとなるよう変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を得た。
(比較例1)
透明導電性積層体の作製において、樹脂層用組成物を下記組成に変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を得た。
(樹脂層用組成の調整)
KAYARAD PET−30(ペンタエリスリトールトリアクリレート/ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、日本化薬社製) 30質量%
イルガキュア184(BASF社製) 1.5質量%
MEK 50質量%
シクロヘキサノン 18.5質量%
(比較例2)
透明導電性積層体の作製において、樹脂層用組成物の乾燥後の厚みを6.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性積層体を得た。
(比較例3)
厚さ50μmのポリエステルフィルム(A4100、東洋紡社製)を用い、該ポリエステルフィルムの未処理面に、実施例1と同じ樹脂層用組成物を乾燥後の厚みが4μmとなるよう塗布して塗膜を形成し、70℃で1分乾燥後UV350mJで紫外線照射を行い、樹脂層を形成し透明導電性積層体を作成した。
(参考例1)
透明導電性積層体の作製において、樹脂層用組成物の乾燥後の厚みを100nmに変更した以外は、比較例1と同様にして透明導電性積層体を得た。
(参考例2)
透明導電性積層体の作製において、樹脂層用組成物を下記組成に変更した以外は、比較例3と同様にして透明導電性積層体を得た。
(樹脂層用組成の調整)
KAYARAD PET−30(ペンタエリスリトールトリアクリレート/ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、日本化薬社製) 29質量%
イルガキュア184(BASF社製) 1.5質量%
MEK 50質量%
シクロヘキサノン 18.5質量%
通電粒子 ブライト20GNR−4.6EH 日本化学工業(株) 1.0質量%
実施例、比較例及び参考例で得られた導電性フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(全光線透過率)
村上色彩技術研究所製のヘイズメーター(HM150)を用い、JIS K7105に準拠する方法で、導電性フィルムの全光線透過率を測定した。
(ヘイズ)
村上色彩技術研究所製のヘイズメーター(HM150)を用い、JIS K7105に準拠する方法で、導電性フィルムのヘイズを測定した。
(導電性繊維状フィラー由来へイズ)
比較例5で作製した導電性繊維状フィラーを含まない透明導電性積層体の両面をOCAを用いてガラスに貼り合わせて測定したヘイズをH0、その他で作製した透明導電性積層体の両面をOCAを用いてガラスに貼り合わせて測定したヘイズをH1とし、H1−H0で求められるヘイズを導電性繊維状フィラー由来へイズH2とした。
この際ガラスは1.1mm厚のソーダガラス、OCAは3M社製OCA8146−2を使用してサンプルを作製した。
(接触式抵抗値)
JIS K7194:1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に準拠して、三菱化学社製ロレスターGP(MCP−T610型)を用いて、各透明導電性積層体の導電性層側の抵抗値を測定した。
(非接触式抵抗値)
napson社製非破壊抵抗測定器(EC−80P)を用いて、各透明導電性積層体の導電性層側の抵抗値を測定した。
(導通試験)
各透明導電性積層体を5cm×10cm長さに切断し、短辺側の両端部の樹脂層最表面に銀ペーストを幅2mm×長さ5cm、厚み100〜120μmで塗布後、1時間自然乾燥させて評価サンプルを作製した。銀ペースト部にテスターの端子をあてて、樹脂層の最表面から導通が取れているかを確認した。なお、銀ペーストは、藤倉化成社製、型番D−550を使用した。
(耐候性試験)
各透明導電性積層体を10cm×10cmのサイズに切断し、基材フィルムの導電層を含む面と反対面側と、ガラスとを貼り合わせてサンプルを作製した。各サンプルの非接触式抵抗値を測定した後、85℃dry環境と、65℃90%の環境に500h放置する保管試験を行った後、再度非接触式抵抗値の測定を行った。保管試験後の抵抗値上昇率=(試験後の非接触式抵抗値)/(試験前の非接触式抵抗値)として試験前後の非接触式抵抗値の上昇率を算出する耐候性試験を行った。
Figure 2020121563
表1に示したように、実施例に係る透明導電性積層体は、優れた耐候性を有するとともに、導電性と透明性とにも優れていた。
一方、比較例1に係る透明導電性積層体は、樹脂層に通電粒子を含まなかったため、また、比較例2に係る透明導電性積層体は、樹脂層の厚みが厚かったため、また、比較例3に係る透明導電性積層体は、導電性層を設けなかったため、それぞれ導電性に劣っていた。
また、参考例1に係る透明導電性積層体は、樹脂層の厚みが薄かったため、耐候性に劣っており、参考例2に係る透明導電性積層体は、樹脂層の厚みが厚かったが、通電粒子の含有量が多かったため導電性は優れていたが、全光線透過率が低く透明性に劣っていた。
本発明の透明導電性積層体は、優れた耐候性と導電性及び透明性に優れるものであり、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイや、タッチパネル、太陽電池等の透明電極に、特にタッチパネルの透明電極に好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. 導電性繊維状フィラーを含む導電性層の一方の面上に、通電粒子を含有する樹脂層が設けられ、
    前記樹脂層の前記導電性層側と反対側面における抵抗値が1Ω/□以上1×10Ω/□未満であり、
    前記樹脂層における前記通電粒子の含有量が0.01〜1.00質量%である
    ことを特徴とする透明導電性積層体。
  2. 導電性繊維状フィラーは、繊維径が200nm以下であり、繊維長が1μm以上である請求項1記載の透明導電性積層体。
  3. 導電性繊維状フィラーは、導電性炭素繊維、金属繊維及び金属被覆合成繊維からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の透明導電性積層体。
  4. 導電性繊維状フィラーの一部は、導電性層の樹脂層側の面から突出している請求項1、2又は3記載の透明導電性積層体。
  5. 導電性層の厚みが導電性繊維状フィラーの繊維径未満である請求項1、2、3又は4記載の透明導電性積層体。
  6. 通電粒子の平均粒子径が、樹脂層の厚みよりも大きい請求項1、2、3、4又は5記載の透明導電性積層体。
  7. 通電粒子の平均粒子径が、樹脂層の厚みに対して80〜200%の範囲にある請求項1、2、3、4、5又は6記載の透明導電性積層体。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の透明導電性積層体を用いてなることを特徴とするタッチパネル。
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