JP2017216152A - 注液型電池システム - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明の目的は、停電時などのバックアップ電源に好適な注液型電池システムを提供することにある。
図1は本発明の実施形態に係る注液型電池システムを示した図である。
この注液型電池システム1は、電池ユニット10と、予め規定量の電解液を貯留したタンク30と、電池ユニット10とタンク30とをつなぐ流路を形成する配管50と、コントローラー70とを備える。この注液型電池システム1は、タンク30に貯留された電解液を電池ユニット10に供給することにより、電池ユニット10を放電させ、停電時のバックアップ電源として利用可能にするシステムである。なお、電解液は、タンク30の上部に設けられた不図示の注液口を介してタンク30内に注液される。
モーター111は、モーター111の回転軸に連結されたプーリー112を回転させることにより、電池ユニット10を上下に移動させる。このモーター111は、コントローラー70の制御の下、電池ユニット10を、図1に示す位置、つまり、タンク30よりも上方位置に移動させることができる。すなわち、モーター111及びコントローラー70は、電池ユニット10をタンク30よりも上方に移動させる移動制御部として機能する。
保持装置110は、励磁作動形の電磁ブレーキである。これにより、モーター111を介して保持装置110に通電している場合、通電によって発生する電磁力で保持装置110が作動し、吊材105の送りが規制される。吊材105の送りが規制されることによって、電池ユニット10の下方への移動(重力作用による降下)が規制される。すなわち、保持装置110は、非通電時に電池ユニット10の下方への移動を規制する制動部として機能する。なお、吊材105は、ケーブル又はチェーンなどの公知の吊材を広く適用可能である。
本構成では、保持装置110が一体のモーター111(いわゆるブレーキ付きモーター)を使用するので、保持装置110とモーター111とを別々に備える構成と比べて、省スペース化及び部品点数の削減が可能である。
また、昇降機構100の各部についても、上記構成に限定されない。例えば、電池ユニット10を、吊材105を用いて吊り下げ支持する構成に限らず、電池ユニット10を上下にスライド自在に支持するスライド機構を採用しても良い。この昇降機構100には、電池ユニット10を上下に移動可能に支持し、且つ、重力を利用して電池ユニット10が下方へ移動可能な構成を広く適用可能である。
さらに、電池ユニット10を上昇させる原動機にモーター111を用いる場合を説明したが、モーター111に限定されず、例えば、エアーシリンダー又は油圧シリンダーでも良い。
このセンサー115は、コントローラー70に接続される。そして、コントローラー70が、センサー35の出力結果に基づき電池ユニット10が上位置H1であることを検出する。なお、接触型のセンサーに限らず、非接触型のセンターでも良い。また、センサー115の数も1個、或いは3個以上でも良い。また、モーター111にパルスモーターを用い、モーター111に供給するパルス数を制御することによって、上位置H1などに制御するようにしても良い。
商用電力の供給が停止した場合には、つまり、停電した場合には、モーター111へ通電されなくなるので、電池ユニット10が重力の作用によって自動的に下位置H2(図2)へと移動する。
電池ユニット10は、複数(5個)の電槽11(外装体とも称する)を有し、各電槽11に電解液が注液されることによって発電する空気一次電池である。なお、図3には電池ユニット10の電槽11の一部を示している。
空気一次電池は電解液が注液されると放電する注液型電池の一つであり、電池ユニット10は、複数の注液型電池を収容するユニット(組電池とも称する)である。各電槽11で構成される空気電池は、直列接続、或いは並列接続され、バックアップ対象の機器に十分な電力を供給可能である。なお、電池ユニット10の電力を電力変換器で所定の電力に変換して出力しても良い。電力変換器は、DC−DCコンバーター、又はDC−ACコンバーターである。
図3中、符号21は電槽11の底面を構成する底板部であり、符号22は前面を構成する前壁部であり、この前壁部22に開口部22Kが設けられる。符号23は電槽11の後面を構成する後壁部であり、符号24は電槽11の左右側面を構成する側壁部である。また、符号25は電槽11の上面を構成する上板部である。
金属極15の支持は、電槽11内に配置される支持部材で行う方法、又は電槽11の上板部25を用いて直接支持する方法など、反応生成物が留まる残留スペースを確保できる構造であれば特に限定されるものではない。
また、金属極15に、亜鉛、鉄、アルミニウムなどの金属、又はその合金を用いることが可能である。金属極15に亜鉛を用いた場合は、電解液に水酸化カリウム水溶液を用いるようにすれば良く、金属極15に鉄を用いた場合は、電解液にアルカリ系水溶液を用いるようにすれば良い。また、金属極15にアルミニウムを用いた場合は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含む電解液を用いるようにすれば良い。なお、図3中、符号ULは、電解液を電槽11内に入れたときの電解液の液面、つまり、注液時の液面である。この液面ULを、空気極13よりも上方にすることにより、空気極13の利用面積を効率良く確保できる。
この配管接続部5Aの下端は、電槽11の底面から離間距離L2だけ高い位置に設けられる。これにより、電槽11内の電解液を排液した場合に、電解液が離間距離L2の高さまで残留し、電槽11内の反応生成物を内部に留め易くなる。また、電解液の液面は、金属極15及び空気極13より低くなるので、放電反応が停止すると共に自己放電が回避される。
なお、上記離間距離L1、L2は上記目的を達する範囲で適宜に変更可能である。
なお、電槽11の内部に電解質を収容する袋体を配置した場合には、タンク30に水が貯留される。
第1配管51は、各電槽11の下部とタンク30の下部とをそれぞれつなぐ可撓性を有する複数(5本)の配管であり、本構成ではゴム製のホース(いわゆるゴムホース)である。各第1配管51の一端は、電槽11の配管接続部5Aにそれぞれ接続され、他端は、タンク30の配管接続部5Bにそれぞれ接続される。
各上部空間は電解液が存在しない空間であるので、第2配管52は、電池ユニット10の上下の移動を妨げずに、各電槽11における電解液が存在しない空間と、タンク30における電解液が存在しない空間とをつなぐことができる。
この第2配管52を設けたことにより、各電槽11とタンク30との間で電解液が移動する際に、電解液が流入する各電槽11又はタンク30の空気をスムーズに排出させることができる。また、各電槽11又はタンク30から排出された空気を、電解液が排出されるタンク30又は各電槽11に流入させることができる。これらにより、電解液の流入と排出(換言すると、電解液と空気の置換(気液置換))をスムーズ化できる。なお、各電槽11及びタンク30内には、空気の他に、放電反応によって生じたガスが含まれる場合もある。
また、各電槽11からタンク30に電解液が移動する際に、タンク30内の空気が第2配管52を通って各電槽11に流入するので、各電槽11に流入した空気によって各電槽11内の電解液を押し出す効果を期待することができる。これらにより、タンク30と各電槽11との間の電解液の移動がスムーズとなり、電解液を迅速に移動させ易くなる。
なお、各電槽11には、内部の空気やガスを外部に排出させるための空気孔が設けられ、ガスによる各電槽11等の内圧の高まりを抑制している。また、タンク30にも、内部の空気や電槽11から流入したガスを外部に排出させるための空気孔が適宜に設けられる。
図4は、停電時の動作を示したフローチャートである。停電前は、コントローラー70の制御の下、モーター111により電池ユニット10が上位置H1に移動する。この場合、コントローラー70は、商用電力に基づき保持装置110に通電することによって、保持装置110を作動(ブレーキオン)させ、電池ユニット10を上位置H1に保持させる。このようにして、停電前は、通電により電池ユニット10が上位置に保持される(ステップS11)。
電池ユニット10が上位置H1に保持されるので、各電槽11に供給する適正量の電解液(図1に符号W1で示す)は、タンク30に貯留されている。
これにより、電池ユニット10がタンク30より低い位置になった時点から、タンク30に貯留された電解液W1が電池ユニット10の各電槽11に注液され、各電槽11で放電反応が開始する(ステップS14)。この場合の放電電力が所定のバックアップ対象の機器に供給されることによって、停電時でも該機器を利用可能である。
この構成によれば、停電した場合に、自然エネルギーを利用して電池ユニット10を移動させ、放電反応を自動的に開始させることができる。従って、特別なエネルギー源や、電解液を送るポンプが不要であり、構成の簡易化を図り易くなる。しかも、停電時に特別な制御を行う必要がないので、制御不良といった不具合が生じることもない。
復電すると(ステップS21)、コントローラー70は、モーター111により電池ユニット10を上位置H1に移動させる制御を行い、その後、商用電力に基づき保持装置110への通電を開始する。これにより、電池ユニット10が上位置H1に移動した後、保持装置110が作動状態(ブレーキオン)に切り替わり、電池ユニット10が上位置H1に保持される(ステップS22)。
ここで、本構成のコントローラー70は、商用電力に基づく電力を動作電力とするので、停電時は動作しない。このコントローラー70は、動作電力が供給開始されると、電池ユニット10を上位置H1に移動させる制御を実行するように予めプログラミングされている。このため、復電時に、上記ステップS22の制御を確実に実行可能である。この構成によれば、コントローラー70用の電源を、商用電力とは別に確保する必要がなく、構成の簡易化を図ることができる。
別の電源を設けた場合、コントローラー70を停電時でも動作させることができる。この場合、コントローラー70が復電を検出する機能を具備し、復電を検出した場合に上記ステップS22の制御を実行するように構成すれば良い。
これにより、復電した電力を利用して電池ユニット10を移動させ、放電反応を自動的に停止させることができる。従って、電解液を送るポンプが不要であり、放電停止の構成の簡易化を図りやすくなる。
しかも、電池ユニット10が上位置H1に保持されるので、再度、停電した場合に、上記ステップS11〜S13のステップにより放電反応を再開させることができる。従って、停電が発生する毎に放電することができ、頻繁な停電に対してもバックアップ対象の機器に電力を供給可能である。
また、モーター111およびコントローラー70(移動制御部)は、復電後、電槽11をタンク30よりも上方に移動させて、電槽11内の電解液をタンク30に排液させる。これにより、再び停電した場合に電槽11に注液でき、停電が発生する毎に放電することができる。
しかも、配管50が、タンク30の上部と電槽11の上部とをつなぐと共に可撓性を有する第2配管52を有するので、電槽11の上下の移動を妨げずに、電槽11における電解液が存在しない空間と、タンク30における電解液が存在しない空間とが連通する。これにより、電槽11とタンク30との間で電解液が移動する際に、電槽11及びタンク30内の空気によって電解液を押し出す効果を期待することができる。これにより、電解液を迅速に移動させ易くなる。
さらに、第1配管51の他端は、タンク30の底面との間に、放電時に生成される反応生成物の残留スペース(底面から離間距離L3のスペース)を空けた位置に設けられるので、反応生成物をタンク30内にも留め易くなる。
また、注液型電池システム1をより簡易な構成にする場合は、第2配管52を省略しても良い。第2配管52を省略しても各電槽11とタンク30との間で電解液を移動させることが可能である。また、電池ユニット10を上昇させる原動機(モーター111)、及びコントローラー70を省略することも可能である。この場合、復電後は人手により電槽11をタンク30よりも上方に移動させれば良い。但し、タンク30よりも上方に移動させた電槽11を保持し、停電時にブレーキを解除して電槽11をタンク30よりも下方に降下させる保持装置110は必要である。
図6は、復電時の動作を示した図である。復電時、上記ステップS22及びS23が実施された後のタイミングで、コントローラー70は、洗浄サイクルを開始する(ステップS24)。
この場合、コントローラー70は、予め定めた洗浄開始条件を満たした場合に、洗浄サイクルを開始する。この洗浄開始条件は、ユーザーなどが任意に設定可能な条件であり、少なくとも上記ステップS22及びS23が実施された後であることを条件(例えば、復電後、所定の待ち時間が経過したことを条件)に含む。なお、洗浄サイクル開始までの待ち時間を長めに設定することにより、頻繁に停電が生じた場合に、その都度、洗浄サイクルを実施する事態を避けることができる。
注液が終了するまでの待ち時間が経過した後、コントローラー70は、直ちに、モーター111により電池ユニット10を上位置H1に移動させ、各電槽11の電解液をタンク30に排液させる。これにより、各電槽11への注液と排液との循環サイクルが速やかに実施される。各電槽11には、放電反応によって生成された反応生成物が存在するので、電槽11の各部(空気極13、金属極15など)に付着した反応生成物を除去することができる。
この構成によれば、電槽11の各部(例えば、空気極13や金属極15)に付着した反応生成物を洗い流すことができ、各部の状態を良好に維持し易くなる。このため、次回の注液の際に、良好に放電反応を再開することができる。
また、上述の実施形態では、本発明の注液型電池システム1を、商用電力の供給停止時のバックアップ電源に使用する場合を説明したが、商用電力に限定されず、所定の電力の供給停止時のバックアップ電源に広く適用可能である。
10 電池ユニット
11 電槽(注液型電池、空気電池)
13 空気極(正極)
15 金属極(負極)
30 タンク
50 配管
51 第1配管
52 第2配管
70 コントローラー(移動制御部、洗浄制御部)
110 保持装置
111 モーター(原動機、移動制御部)
Claims (8)
- 上下に移動自在に設けられ、正極と負極とを有する注液型電池と、
前記注液型電池の放電反応を開始させる液体を貯留するタンクと、
前記注液型電池と前記タンクとを、前記注液型電池と前記タンクとの間で前記液体を移動自在につなぐ可撓性を有する配管と、
所定の電力の供給時に、前記注液型電池を前記タンクよりも上方に移動させる移動制御部と、
上方に移動した前記注液型電池を保持し、前記所定の電力の供給停止時に、前記注液型電池の保持を解き、前記注液型電池を、重力を利用して前記タンクよりも下方へ降下させる保持装置と、
を備えることを特徴とする注液型電池システム。 - 前記保持装置は、前記所定の電力に基づく電力で作動することを特徴とする請求項1に記載の注液型電池システム。
- 前記移動制御部は、前記電力の供給開始後、前記注液型電池を前記タンクよりも上方に移動させて、前記注液型電池内の前記液体を、前記タンクに排液させることを特徴とする請求項1又は2に記載の注液型電池システム。
- 前記配管は、前記タンクの下部と前記注液型電池の下部とをつなぐと共に可撓性を有する第1配管と、前記タンクの上部と前記注液型電池の上部とをつなぐと共に可撓性を有する第2配管とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の注液型電池システム。
- 前記第1配管の一端は、前記注液型電池の底面との間に、放電時に生成される反応生成物の残留スペースを空けた位置に設けられることを特徴とする請求項4に記載の注液型電池システム。
- 前記注液型電池は、前記正極及び前記負極として空気極及び金属極を有する空気電池であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の注液型電池システム。
- 前記注液型電池は、放電時に生成される反応ガスを水に戻す触媒栓を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の注液型電池システム。
- 前記注液型電池に前記液体を注液後、排液させる洗浄サイクルを選択的に実施する洗浄制御部を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の注液型電池システム。
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