JP2017213941A - ステアリング装置 - Google Patents

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Kazuhiro Watanabe
和宏 渡邉
哲次 宮野
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哲次 宮野
真 妙中
Makoto Myonaka
真 妙中
草野 裕次
Yuji Kusano
裕次 草野
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Abstract

【課題】異音の発生を抑制し、かつピニオン軸とラック軸との間の摩擦を低減することができるステアリング装置を提供する。【解決手段】付勢部材30は、ラック軸方向Xにラック軸3を摺動可能に支持するラックガイド20を介してラック軸3をピニオン軸5へ向けて付勢する。固定壁40は、付勢部材30の付勢方向F1の逆方向F2側に設けられ、ラックガイド20に対向する。弾性変形部材100は、ラックガイド20と固定壁40との間に配置され、付勢部材30の付勢力Fに抗してラックガイド20に入力される入力荷重Gに対する反発力Hを発生させる。クリアランスCが所定の距離よりも大きいときには反発力Hが小荷重であり、クリアランスCが所定の距離以下であるときには反発力Hが大荷重である。クリアランスCの変化量に対する反発力Hの変化量の割合は、反発力Hが小荷重であるときよりも反発力Hが大荷重であるときの方が大きい。【選択図】図2

Description

この発明は、ステアリング装置に関する。
ステアリングホイールを操舵することによってピニオン軸を回転させ、当該回転をピニオン軸と噛み合うラック軸の軸方向運動に変換することで車輪を転舵させるラックアンドピニオン式のステアリング装置が知られている。
下記特許文献1に記載のラックピニオン式ステアリングギヤ装置では、ラックガイドを介してピニオン軸に向けてラック軸を付勢するスプリングが設けられている。ラックガイドとラックハウジングとの間には、金属製リングの両表面にゴムをコーティングした弾性リングが介在されている。
実開昭63−137072号公報
車両が悪路を走行する際や、車両が旋回する際には、車輪からラック軸に荷重が入力されることによって、ラック軸とピニオン軸との接触部分に僅かに隙間が発生することがある。ラック軸は、スプリングに付勢されてピニオン軸に追従するので、ピニオン軸と接触する。これにより、異音が発生する。この異音の発生を抑制するために、スプリングの付勢力を大きくしてピニオン軸に対するラック軸の追従性を高め、ラック軸とピニオン軸との接触部分に隙間ができないようにすることが考え得る。
一方、異音の発生を抑制できる程度にスプリングの付勢力を大きくすると、ラック軸をピニオン軸に押し付ける力が大きくなるので、ラック軸とピニオン軸との間の摩擦が大きくなる。これにより、ステアリングホイールの操舵フィーリングが悪化する虞がある。
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、異音の発生を抑制し、かつピニオン軸とラック軸との間の摩擦を低減することができるステアリング装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、ピニオン軸(5)に噛み合うラック軸(3)と、前記ラック軸が延びるラック軸方向(X)に前記ラック軸を摺動可能に支持するラックガイド(20)と、前記ラックガイドを介して前記ラック軸を前記ピニオン軸へ向けて付勢する付勢部材(30)と、前記付勢部材の付勢方向(F1)の逆方向(F2)側に設けられ、前記ラックガイドと対向する固定壁(40)と、前記ラックガイドと前記固定壁との間に配置され、前記付勢部材の付勢力(F)に抗して前記ラック軸から前記ラックガイドに入力される入力荷重(G)に対する反発力(H)を発生させる弾性変形部材(100;100P;100Q;100R)とを含み、前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離(C)が所定の距離(C3)よりも大きいときには前記反発力が小荷重であり、前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離が所定の距離(C3)以下であるときには前記反発力が大荷重であり、前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離の変化量に対する前記反発力の変化量の割合は、前記反発力が小荷重であるときよりも前記反発力が大荷重であるときの方が大きいことを特徴とする、ステアリング装置(1)である。
請求項2に記載の発明は、前記ラックガイドおよび前記固定壁のうちの少なくとも一方には、前記弾性変形部材が受け入れられる受入部(54)が設けられており、前記弾性変形部材は、前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離が所定の距離(C3)以下であるときに前記受入部を埋めるように弾性変形することを特徴とする、請求項1に記載のステアリング装置である。
請求項3に記載の発明は、前記弾性変形部材は、前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離が所定の距離(C3)以下であるときに前記受入内への充填率が99%以上となるように弾性変形することを特徴とする、請求項2に記載のステアリング装置である。
請求項4に記載の発明は、前記弾性変形部材は、弾性変形可能な本体部(120;120Q;120R)と、前記本体部の表面から突出する付加変形部(110;110P;110R)とを有し、前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離が所定の距離(C2,C3)よりも大きいときに前記付加変形部が弾性変形し、前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離が所定の距離(C2,C3)以下であるときに前記本体部が弾性変形することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のステアリング装置である。
請求項5に記載の発明は、前記ラック軸方向における前記ラック軸のどの位置に前記ピニオン軸が噛合しているかによって、前記ピニオン軸の回転量に対する前記ラック軸方向への前記ラック軸の移動量が異なることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のステアリング装置である。
請求項6に記載の発明は、前記ピニオン軸を収容するハウジング(8)と、前記ハウジングに取り付けられた外輪(81)、前記ピニオン軸と一体回転可能な内輪(82)、および前記外輪と前記内輪との間に配置された複数の転動体(83)を有し、前記ハウジングに対して前記ピニオン軸が回転可能なように前記ピニオン軸を支持する軸受(80)とをさらに含み、前記外輪は、前記ピニオン軸が延びるピニオン軸方向(P)に対して傾斜し、前記ピニオン軸方向に互いに隣接する第1外輪軌道面(81A)および第2外輪軌道面(81B)を有し、前記内輪は、前記ピニオン軸方向に対して傾斜し、前記ピニオン軸方向に互いに隣接する第1内輪軌道面(82A)および第2内輪軌道面(82B)を有し、各前記転動体は、前記第1外輪軌道面、前記第2外輪軌道面、前記第1内輪軌道面および前記第2内輪軌道面のそれぞれに予圧が加えられた状態で接触していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のステアリング装置である。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
請求項1に記載の発明によれば、ラックガイドと固定壁との間に配置された弾性変形部材は、ラックガイドに入力される入力荷重に対する反発力を発生させる。ラック軸は、この反発力と、付勢部材の付勢力とによって、ラックガイドを介してピニオン軸に押し付けられる。ラックガイドと固定壁との間の距離が所定の距離よりも大きいときには反発力が小荷重であるため、ピニオン軸に対するラック軸の過度な押し付けを防止でき、ラック軸とピニオン軸との間の摩擦を低減できる。
一方、ラックガイドと固定壁との間の距離が所定の距離以下であるときには、入力荷重に対する反発力が大荷重である。また、ラックガイドと固定壁との間の距離の変化量に対する反発力の変化量の割合は、反発力が小荷重であるときよりも反発力が大荷重であるときの方が大きい。そのため、ラックガイドと固定壁との間の距離が所定の距離以下であるときには、ラックガイドと固定壁との間の距離の変化、ひいてはピニオン軸に対するラック軸の変位を抑えることができるので、ピニオン軸に対するラック軸の追従性を高め、異音の発生を抑制することができる。
よって、異音の発生を抑制し、かつ、ピニオン軸とラック軸との間の摩擦を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、弾性変形部材は、ラックガイドと固定壁との間の距離が所定の距離以下であるときに、受入部を埋めるように弾性変形する。そのため、弾性変形部材が広がらずに受入部内で圧縮される。したがって、ラックガイドと固定壁との間の距離が所定の距離以下であるときの反発力を一層大きくすることができる。よって、ピニオン軸に対するラック軸の追従性を一層高め、異音の発生を一層抑制することができる
請求項3に記載の発明によれば、ラックガイドと固定壁との間の距離が所定の距離以下であるときに、受入部内への充填率が99%以上となるように弾性変形部材が弾性変形することによって、反発力を急激に大きくすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、ラックガイドと固定壁との間の距離が所定の距離よりも大きいときに付加変形部が弾性変形し、ラックガイドと固定壁との間の距離が所定の距離以下であるときに本体部が弾性変形する。このように、弾性変形部材では、ラックガイドと固定壁との間の距離に応じて、弾性変形する部位が異なる。そのため、本体部および付加変形部のそれぞれを個別に設計することができる。したがって、弾性変形部材の設計の自由度が向上する。
請求項5に記載の発明のように、ラック軸方向におけるラック軸のどの位置にピニオン軸が噛合しているかによって、ピニオン軸の回転量に対するラック軸方向へのラック軸の移動量が異なる構成では、ピニオン軸がラック軸に噛合する位置によって、入力荷重が異なる場合がある。この場合においても、弾性変形部材が入力荷重に対して適切な反発力を発生させることによって、異音の発生を抑制し、かつピニオン軸とラック軸との間の摩擦を低減することができる。
請求項6に記載の発明によれば、第1外輪軌道面、第2外輪軌道面、第1内輪軌道面および第2内輪軌道面のそれぞれは、ピニオン軸方向に対して傾斜している。また、各転動体は、第1外輪軌道面、第2外輪軌道面、第1内輪軌道面および第2内輪軌道面のそれぞれに予圧が加えられた状態で接触している。そのため、ピニオン軸方向における各転動体と内輪および外輪との間のがたが低減されるので、ハウジングに対してピニオン軸がピニオン軸方向へ移動するのを抑制できる。したがって、ハウジングに対するピニオン軸の移動に起因してピニオン軸とラック軸とが当接するのを抑制できるので、異音の発生を抑制することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るステアリング装置の概略正面図である。 図2は、ラック軸支持装置の周辺の概略断面図である。 図3は、図2において二点鎖線で囲った部分を拡大した図であり、ラックガイドが付勢方向の逆方向に変位することによって弾性変形する弾性変形部材の状態変化を示した図である。 図4は、ラックガイドと固定壁との間の距離と、反発力との関係を示すグラフ図である。 図5は、寸法が異なる4種類の受入部内に配置されたOリングが発生させる反発力を測定した実験結果を示すグラフ図である。 図6は、本実施形態の第1変形例に係る弾性変形部材の周辺を拡大した断面図である。 図7は、本実施形態の第2変形例に係る弾性変形部材の周辺を拡大した断面図である。 図8は、本実施形態の第3変形例に係る弾性変形部材の周辺を拡大した断面図である。 図9は、図2におけるピニオン軸を支持する軸受の周辺を拡大した模式図である。 図10は、図1における第1ブッシュの周辺を拡大した模式図である。 図11は、第1ブッシュの模式的な斜視図である。 図12は、図10のXII−XII線に沿った断面の模式図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るステアリング装置1の概略正面図である。
ステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材4の回転が伝達されるピニオン軸5と、車両の幅方向に延びるラック軸方向Xに移動することで転舵輪2を転舵させるラック軸3とを含む。ラック軸3は、ピニオン軸5と噛み合っており、ピニオン軸5の回転がラック軸3のラック軸方向Xの移動に変換される。ラック軸3は、ピニオン軸5とともに転舵機構6を構成している。ラック軸方向Xは、ラック軸3の中心軸線3Cが延びる方向である。
ラック軸3は、ラック軸方向Xに並ぶラック歯3Aが形成されたラック歯形成領域3Rを有している。ピニオン軸5の一端には、インターミディエイトシャフト11およびステアリングシャフト12を介して操舵部材4が連結されている。ピニオン軸5は、ラック歯3Aに噛合可能なピニオン歯5Aを有している。ピニオン歯5Aは、ピニオン軸5の他端近傍の外周面に形成されている。
ステアリング装置1は、ラック軸3およびピニオン軸5を収容するハウジング8と、ハウジング8に対してラック軸3がラック軸方向Xに移動可能なように支持する第1ブッシュ60および第2ブッシュ70と、ハウジング8に対してピニオン軸5が回転可能なように支持する第1軸受80および第2軸受90とをさらに含む。ハウジング8は、ラック軸3が挿通される挿通孔15が形成されたラックハウジング9と、ラックハウジング9に固定され、ピニオン軸5を収容するピニオンハウジング14とを含む。ハウジング8は、単一の部材で一体に形成されていてもよい。
第1ブッシュ60および第2ブッシュ70は、ピニオン軸5を挟んでラック軸方向Xに間隔を隔てて配置されている。第1ブッシュ60は、第2ブッシュ70よりもピニオン軸5とラック軸3との噛合位置に近い位置に配置されている。
ラック軸方向Xにおけるラック軸3の各端部は、ラックハウジング9の外側へ突出している。ラック軸方向Xにおけるラック軸3の各端部には、それぞれ継手を介してタイロッド10が連結されている。各タイロッド10は、対応するナックルアーム(図示せず)を介して対応する転舵輪2に連結されている。ピニオン軸5は、他端近傍の部分がラックハウジング9に収容されている。ピニオン軸5は、ラックハウジング9よりも一端側の部分がピニオンハウジング14に収容されている。ピニオンハウジング14は、例えばボルト18によってラックハウジング9に固定されている(後述する図2参照)。
ラック軸3は、操舵部材4の操舵時にラック軸方向Xに移動される。詳しくは、操舵部材4が操舵されることによって、ステアリングシャフト12およびインターミディエイトシャフト11を介してピニオン軸5に回転が伝達される。ピニオン軸5に伝達された回転は、ピニオン歯5Aとラック歯3Aとの噛み合いによってラック軸3のラック軸方向Xの移動に変換される。これにより、ラック軸3に連結されたタイロッド10等を介して転舵輪2が転舵される。
本実施形態の転舵機構6では、ラック軸方向Xにおけるラック軸3のどの位置のラック歯3Aにピニオン歯5Aが噛み合うかによってストロークレシオが異なるバリアブルギアレシオ(VGR:Variable Gear Ratio)が達成されている。ストロークレシオとは、ピニオン軸5の回転量に対するラック軸方向Xへのラック軸3の移動量の比率である。VGRの転舵機構6に用いられるラック軸3のラック歯形成領域3Rでは、ラック軸方向Xにおける位置によってラック歯3Aの圧力角、ピッチ、捩れ角等が異なっている。ラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの中央付近のラック歯3Aの圧力角は、例えば20°である。ラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの端部付近のラック歯3Aの圧力角は、例えば35°である。ラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの端部付近のラック歯3Aの圧力角は、40°であってもよい。ラック歯3Aの圧力角は、ラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの中央付近からラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの端部側に向かうにつれて徐々に大きくなっている。
ステアリング装置1は、ラック軸3とピニオン軸5との間にがたが生じないようにラック軸3を支持するラック軸支持装置13をさらに含む。
図2は、ラック軸支持装置13の周辺の概略断面図である。図2では、断面を用いずにピニオン軸5を図示している。
図2を参照して、ラック軸支持装置13は、前述したラックハウジング9と、ラック軸方向Xにラック軸3を摺動可能に支持するラックガイド20と、ラックガイド20に付勢力Fを負荷することによって、ラックガイド20を介してラック軸3をピニオン軸5へ向けて付勢する付勢部材30とを含む。付勢力Fがラックガイド20に負荷される方向を付勢方向F1という。付勢方向F1の逆方向を逆方向F2という。ラック軸支持装置13は、ラックガイド20の逆方向F2側に設けられ、ラックガイド20に対向する固定壁40をさらに含む。
ラックハウジング9は、ラック軸方向Xに対する直交方向Yに延びる円筒状の収容部9Aを有している。ラックガイド20は、略円柱状である。ラックガイド20は、収容部9A内に収容されている。ラックガイド20は、収容部9A内で、ラック軸方向Xに対して直交する直交方向Yに移動可能である。ラックガイド20は、ラック軸3に対してピニオン軸5とは反対側に配置されている。ラックガイド20は、ラック軸3のラック歯3Aの背面3Bを摺動可能に支持している。ラック軸3に対してピニオン軸5とは反対側では、直交方向Yにおけるラック軸3側は、付勢方向F1側でもあり、直交方向Yにおけるラック軸3側とは反対側は、逆方向F2側でもある。
ラックガイド20は、付勢方向F1側に設けられた第1面21と、逆方向F2側に設けられた第2面22と、円筒面からなる外周面23とを有している。ラックガイド20の第1面21には、ラック軸3の背面3Bの形状に概ね一致する形状の凹面24が形成されている。凹面24に沿うように湾曲状の摺接板25が取り付けられており、摺接板25が、ラック軸3の背面3Bに摺接する。
ラックガイド20の外周面23に設けられた複数の環状の収容溝26のそれぞれには、Oリング27が収容されている。ラックガイド20の外径は、収容部9Aの内径よりも僅かに小さくされている。ラックガイド20が直交方向Yに収容部9A内を移動する際、Oリング27が収容部9Aの内周を摺動する。
固定壁40は、収容部9Aにおいてラック軸3側とは反対側に設けられた外部開口端9Bを封止する封止部材としてのヨークプラグ50の一部である。ヨークプラグ50は、ラックガイド20の第2面22に対向する対向面51と、円筒面からなる外周面52とを有している。対向面51は、固定壁40の付勢方向F1側の面であり、固定壁40において第2面22に対向する面でもある。ヨークプラグ50の外周面52に設けられた環状の収容溝53には、Oリング55が収容されている。
ヨークプラグ50は、収容部9Aにねじ嵌合されることによってラックハウジング9に固定されている。固定壁40は、ヨークプラグ50がラックハウジング9に固定されることによって、ラックハウジング9に固定されている。ヨークプラグ50の外周面52において収容溝53よりも外部開口端9B側の部分には、雄ねじ56が形成されている。収容部9Aの外部開口端9Bには、雄ねじ56が螺合される雌ねじ9Cが形成されている。
ラックガイド20の第2面22には、付勢部材30が収容される収容穴28が形成されている。付勢部材30は、直交方向Yに弾性変形可能であり、例えば、コイルばねである。付勢部材30は、直交方向Yに圧縮された状態で収容穴28の底面と固定壁40の対向面51との間に配置されている。この状態で、付勢部材30は、ラックガイド20を介してラック軸3をピニオン軸5へ向けて付勢力Fで付勢している。
ラック軸支持装置13は、付勢部材30の付勢力Fに抗してラック軸3からラックガイド20に入力される入力荷重Gに対する反発力Hを発生させることで入力荷重Gを吸収する弾性変形部材100をさらに含む。入力荷重Gは、逆方向F2の荷重である。入力荷重Gは、様々な条件によって発生する。具体的には、入力荷重Gは、車両が悪路を走行する際に転舵輪2からラック軸3に振動が伝達されること、すなわち逆入力や、車両を旋回させるために転舵輪2を転舵させる際にラック軸3がラック軸方向Xに移動してラック歯3Aがピニオン歯5Aに当接することによって発生する。
図3は、図2において二点鎖線で囲った部分の周辺を拡大した図である。図3(a)〜図3(c)は、ラックガイド20が逆方向F2に変位することによって弾性変形する弾性変形部材100の状態変化を示した図である。図4は、固定壁40の対向面51とラックガイド20の第2面22との間の距離と、反発力Hとの関係を示すグラフ図である。固定壁40の対向面51とラックガイド20の第2面22との間の距離をクリアランスCという。クリアランスCは、0.1mm程度である。図4のグラフ図では、横軸をクリアランスCとし、縦軸を反発力Hとしている。
図3(a)を参照して、弾性変形部材100は、例えば環状であり、NBR(nitril-butadiene rubber)等のゴムである。弾性変形部材100は、ラックガイド20と固定壁40との間に配置されている。詳しくは、弾性変形部材100は、固定壁40の対向面51に形成された受入部54に少なくとも一部が受け入れられている。受入部54は、例えば、ラックガイド20の中心軸線20Aを中心とした環状の凹部である。
弾性変形部材100は、弾性変形可能な本体部120と、本体部120の表面から突出し、本体部120よりも変形し易く本体部120が弾性変形する前に付加的に弾性変形する付加変形部110とを一体に有する。本体部120は、ラックガイド20の中心軸線20A(図2参照)まわりの周方向に垂直な平面に沿った切断面(図3(a)の断面)が円形状である。付加変形部110は、例えば一対設けられており、本体部120の表面の直交方向Yにおける両端部のそれぞれから直交方向Yにおける本体部120の両外側に突出している。付加変形部110は、先端が凸湾曲した形状を有している。
図3(a)は、ラック軸3からラックガイド20に荷重が入力されていない状態を示している。この状態で、ラックガイド20は、逆方向F2に変位しておらず、クリアランスCは、C1である。逆方向F2へのラックガイド20の変位量が大きくなれば、クリアランスCが小さくなる。クリアランスCがC1であるとき、一対の付加変形部110のそれぞれは、弾性変形しておらず、受入部54の底面54Aとラックガイド20の第2面22とのそれぞれに当接している。
ラック軸3からラックガイド20に入力荷重Gが入力され、クリアランスCが小さくなると、弾性変形部材100が弾性変形する。詳しくは、付加変形部110は、クリアランスCがC1よりも小さくC2(所定の距離)よりも大きいときに弾性変形し、本体部120は、クリアランスCがC2(所定の距離)以下であるときに弾性変形する。クリアランスCがC2(所定の距離)以下であるときには、本体部120とともに付加変形部110が弾性変形してもよい。
図3(b)は、クリアランスCがC2である状態を示している。この状態からさらにクリアランスCを小さくすると、弾性変形部材100(特に本体部120)が受入部54内で弾性変形する。弾性変形部材100は、受入部54内で弾性変形し、受入部54の底面54A、内周面54Bおよび外周面54Cに押し付けられる。
図3(c)は、クリアランスCがC3である状態を示している。この状態では、弾性変形部材100が受入部54内を埋めている。詳しくは、受入部54内での弾性変形部材100の充填率が所定の値(例えば99%)以上となっている。充填率とは、ラックガイド20の中心軸線20A(図2参照)まわりの周方向に垂直な平面に沿った受入部54の断面積に対する、当該平面に沿った弾性変形部材100の断面積の割合のことである。この状態からさらにクリアランスCを小さくすると、本体部120が受入部54内で弾性変形して、反発力Hが急激に上昇する。図4においてクリアランスCがC3以下の範囲を高剛性域といい、クリアランスCがC3よりも大きい範囲を低剛性域という。
クリアランスCがC3(所定の距離)であるときの反発力H3よりも小さい荷重を小荷重という。また、クリアランスCがC3(所定の距離)であるときの反発力H3以上の荷重を小荷重よりも大きい大荷重という。言い換えると、クリアランスCがC3よりも大きいときには反発力Hが小荷重であり、クリアランスCがC3以下であるときには反発力Hが大荷重である。
図4に示すように、クリアランスCの変化量に対する反発力Hの変化量の割合は、反発力Hが小荷重であるときよりも反発力Hが大荷重であるときの方が大きい。また、クリアランスCがC2より大きいとき(反発力HがH2よりも小さいとき)よりも、クリアランスCがC2以下でかつC3よりも大きいとき(反発力HがH2以上でかつH3よりも小さいとき)の方が、クリアランスCの変化量に対する反発力Hの変化量の割合が大きい。なお、クリアランスCがC2であるときの本実施形態の弾性変形部材100の充填率は、95%程度である。
本実施形態とは異なり、受入部54を設けない構成では、弾性変形した弾性変形部材100は、ラックガイド20と固定壁40との間で中心軸線20Aを中心とした径方向に逃げて(広がって)しまうため、クリアランスCをC3以下にしても反発力Hが急激に上昇しない。一方、本実施形態では、弾性変形部材100が受入部54内を埋めるように弾性変形することによって、弾性変形部材100が中心軸線20Aを中心とした径方向に逃げる(広がる)ことを防止できる。そのため、クリアランスCをC3以下にすることによって反発力Hが急激に上昇すると考えられる。以下では、このことを検証するために行った実験結果について説明する。
受入部54内で充填された状態のOリングは、受入部54(凹部)内で充填された状態の本体部120と同様の特性を有するため、この実験では、準備の簡便性の観点から弾性変形部材100の代わりにOリングを用いた。この実験では、受入部54内でのOリングの充填率を複数の値に変化させ、各充填率でOリングが発生させる反発力を測定した。図5は、寸法が異なる4種類の固定壁40の受入部54内に配置されたOリングが発生させる反発力を測定した実験結果を示すグラフ図である。
具体的には、表1に示すように固定壁40の受入部54の寸法が異なるサンプル1〜4を準備し、これらの受入部54内にOリングを配置した状態で、C3<C≦C2の範囲でクリアランスCを変化させて受入部54内でのOリングの充填率を変化させ、複数の充填率においてOリングが発生させる反発力を測定した。サンプル1〜4では、線径が2.65mmで内径が23mmであるNBR製のOリング(NOK株式会社製770−23570)を用いた。
Figure 2017213941
受入部54の深さとは、底面54Aと対向面51との間の直交方向Yの寸法のことである。受入部54の幅とは、ラックガイド20の中心軸線20Aを中心とした径方向における内周面54Bと外周面54Cの間の幅のことである。
図5を参照して、サンプル1〜4のいずれにおいても、受入部54内でのOリングの充填率が99%を超えるまでは反発力が1500N以下であったのに対して、受入部54内でのOリングの充填率が99%を超えると反発力が3000Nに到達した。このように、受入部54内でのOリングの充填率を99%以上にすることで反発力を急激に上昇させることができるという結果が得られた。この結果から、本実施形態の弾性変形部材100についても、受入部54内での充填率を99%以上にすることによって、反発力Hを急激に上昇させられると推察できる。
この構成によれば、ラックガイド20と固定壁40との間に配置された弾性変形部材100は、入力荷重Gに対する反発力Hを発生させる。ラック軸3は、この反発力Hと、付勢部材30の付勢力Fとによってラックガイド20を介してピニオン軸5に押し付けられる。入力荷重Gが小さくクリアランスCがC3(所定の距離)よりも大きいときには反発力Hが小荷重であるため、ピニオン軸5に対するラック軸3の過度な押し付けを防止でき、ラック軸3とピニオン軸5との間の摩擦を低減できる。
一方、クリアランスCがC3以下であるときには、反発力Hが大荷重である。また、クリアランスCの変化量に対する反発力Hの変化量の割合は、反発力Hが小荷重であるときよりも反発力Hが大荷重であるときの方が大きい。そのため、入力荷重Gが大きくクリアランスCがC3以下であるときには、クリアランスCの変化、ひいてはピニオン軸5に対するラック軸3の直交方向Yへの変位を抑えることができるので、ピニオン軸5に対するラック軸3の追従性を高め、異音の発生を抑制することができる。
よって、異音の発生を抑制し、かつ、ピニオン軸5とラック軸3との間の摩擦を低減することができる。
また、弾性変形部材100は、クリアランスCがC3以下であるときに、受入部54を埋めるように弾性変形する。そのため、弾性変形部材100が広がらずに受入部54内で圧縮される。したがって、クリアランスCがC3以下であるときの反発力Hを一層大きくすることができる。よって、ピニオン軸5に対するラック軸3の追従性を一層高め、異音の発生を一層抑制することができる。
また、クリアランスCがC3以下であるときに、受入部54内への充填率が99%以上となるように弾性変形部材100が弾性変形することによって、反発力Hを急激に大きくすることができる。
また、クリアランスCがC2よりも大きいときに付加変形部110が弾性変形し、クリアランスCがC2以下であるときに本体部120が弾性変形する。このように、弾性変形部材100では、弾性変形する部位がクリアランスCに応じて異なる。そのため、付加変形部110および本体部120のそれぞれを個別に設計することができる。したがって、弾性変形部材100の設計の自由度が向上する。さらに、弾性変形部材100全体の剛性を向上させることなく、異音の発生を抑制し、かつ、ピニオン軸5とラック軸3との間の摩擦を低減することができる。
また、VGRの構成では、ピニオン軸5がラック軸3に噛合する位置によって、入力荷重Gが異なる場合がある。例えば、本実施形態の場合、ラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの端部付近のラック歯3Aの圧力角が、ラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの中央付近のラック歯3Aの圧力角よりも大きい。そのため、ラック歯3Aがピニオン歯5Aから受ける力の直交方向Yの分力、ひいてはラックガイド20がラック軸3から受ける入力荷重Gは、ピニオン軸5がラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの端部付近と噛み合っているときの方が、ピニオン軸5がラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの中央付近と噛み合っているときよりも大きい。
この場合において、弾性変形部材100が入力荷重Gに対して適切な反発力Hを発生させることによって、異音の発生を抑制し、かつピニオン軸5とラック軸3との間の摩擦を低減することができる。例えば、ピニオン軸5がラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの端部付近と噛み合っているときには、弾性変形部材100が大荷重の反発力Hを発生させ、ピニオン軸5がラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの中央付近と噛み合っているときには、弾性変形部材100が小荷重の反発力Hを発生させる。この場合、ピニオン軸5がラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの端部付近と噛み合っているときには異音の発生を抑制しつつ、ピニオン軸5がラック軸方向Xにおけるラック歯形成領域3Rの中央付近と噛み合っているとき、すなわち車両の直進状態(操舵中立位置付近)での操舵フィーリングを維持できる。
次に、本実施形態の変形例に係る弾性変形部材100P,100Qおよび100Rについて説明する。
図6は、本実施形態の第1変形例に係る弾性変形部材100Pの周辺を拡大した断面図である。図6では、今まで説明した部材と同じ部材には、同じ符号を付して、その説明を省略する(後述する図7および図8についても同様)。
図6を参照して、弾性変形部材100Pが本実施形態に係る弾性変形部材100と主に異なる点は、ラックガイド20の中心軸線20A(図2参照)まわりの周方向に垂直な平面に沿った付加変形部110Pの切断面が略矩形状である点である。付加変形部110Pは、例えば一対設けられており、直交方向Yにおける本体部120の両端のそれぞれから直交方向Yにおける本体部120の両外側に突出している。
図7は、本実施形態の第2変形例に係る弾性変形部材100Qの周辺を拡大した断面図である。
図7を参照して、弾性変形部材100Qが第1変形例に係る弾性変形部材100Pと主に異なる点は、ラックガイド20の中心軸線20A(図2参照)まわりの周方向に垂直な平面に沿った本体部120Qの切断面が略矩形状である点である。本体部120Qは、受入部54の内周面54Bおよび外周面54Cと非接触である。また、本体部120Qは、第2変形例とは異なり、受入部54の内周面54Bおよび外周面54Cに接触していてもよい。また、本体部120Qは、第2変形例とは異なり、受入部54の内周面54Bおよび外周面54Cに部分的に接触するように、中心軸線20Aを中心とする径方向に突出する突出部121Qを含んでいてもよい(二点鎖線参照)。突出部121Qは、受入部54の内周面54Bおよび外周面54Cに接触可能な範囲で本体部120Qの内周面および外周面のうちの少なくとも一方に設けられている。
図8は、本実施形態の第3変形例に係る弾性変形部材100Rの周辺を拡大した断面図である。
図8を参照して、弾性変形部材100Rが本実施形態に係る弾性変形部材100と主に異なる点は、ラックガイド20の中心軸線20A(図2参照)まわりの周方向に垂直な平面に沿った弾性変形部材100Rの切断面が、略X字状である点である。詳しくは、弾性変形部材100Rの付加変形部110Rは、4つ設けられており、環状の本体部120Rの表面からそれぞれ突出している。付加変形部110Rは、付勢方向F1側における本体部120Rの端部に2つ連結されており、逆方向F2側における本体部120Rの端部に2つ連結されている。
付勢方向F1側における本体部120Rの端部に連結されている2つの付加変形部110Rは、本体部120Rから付勢方向F1側に突出しており、先端に向かうに従って、中心軸線20A(図2参照)を中心とした径方向に互いに離れるように設けられている。
逆方向F2側における本体部120Rの端部に連結されている2つの付加変形部110Rは、本体部120Rから逆方向F2側に突出しており、先端に向かうに従って、中心軸線20A(図2参照)を中心とした径方向に互いに離れるように設けられている。各付加変形部110Rの先端は、凸湾曲している。
次に、第1軸受80の構成について詳しく説明する。
図9は、図2における第1軸受80の周辺を拡大した図である。
図9を参照して、第1軸受80は、ラックハウジング9に取り付けられた外輪81、ピニオン軸5と一体回転可能な内輪82、および外輪81と内輪82との間に配置された複数の転動体83を有する。以下では、ピニオン軸5の中心軸線5Bが延びる方向をピニオン軸方向Pという。また、ピニオン軸5の中心軸線5Bを中心とした径方向を径方向PRという。
外輪81は、ラックハウジング9の内面に設けられた段差84と、ピニオン軸方向Pにおけるピニオンハウジング14の端部85とによってピニオン軸方向Pに位置決めされている。内輪82は、ピニオン軸5の外周面に設けられた段差86と、ピニオン軸5の外周面に固定されたフランジ部材87とによってピニオン軸方向Pに位置決めされている。フランジ部材87は、径方向PRに広がる環状である。ピニオンハウジング14の内面とピニオン軸5の外周面とには、第1軸受80にピニオン軸方向Pにおけるピニオン歯5A側とは反対側から隣接するシール部材88が設けられている(図2も参照)。
外輪81は、ピニオン軸5が延びるピニオン軸方向Pに互いに隣接して配置された第1外輪軌道面81Aおよび第2外輪軌道面81Bを有している。第1外輪軌道面81Aは、ピニオン軸方向Pにおいて第2外輪軌道面81Bよりもピニオン歯5Aとは反対側に位置している(図2も参照)。第1外輪軌道面81Aおよび第2外輪軌道面81Bのそれぞれは、ピニオン軸方向Pに対して傾斜している。詳しくは、第1外輪軌道面81Aおよび第2外輪軌道面81Bは、ピニオン軸方向Pに互いに近づくにしたがって径方向PRの外方に向かうようにピニオン軸方向Pに対して傾斜している。
内輪82は、ピニオン軸方向Pに互いに隣接して配置された第1内輪軌道面82Aおよび第2内輪軌道面82Bを有している。第1内輪軌道面82Aは、ピニオン軸方向Pにおいて第2内輪軌道面82Bよりもピニオン歯5Aとは反対側に位置している(図2も参照)。第1内輪軌道面82Aおよび第2内輪軌道面82Bのそれぞれは、ピニオン軸方向Pに対して傾斜している。詳しくは、第1内輪軌道面82Aおよび第2内輪軌道面82Bは、ピニオン軸方向Pに互いに近づくに従って径方向PRの内方に向かうようにピニオン軸方向Pに対して傾斜している。
各転動体83は、第1外輪軌道面81A、第2外輪軌道面81B、第1内輪軌道面82Aおよび第2内輪軌道面82Bのそれぞれに1点ずつ接触している。各転動体83が内輪82および外輪81に接触する点(箇所)は、合計で4点(箇所)である。
各転動体83は、径方向PRの予圧が加えられた状態で内輪82および外輪81に接触している。そのため、各転動体83は、ピニオン軸方向Pに対して傾斜する第1外輪軌道面81A、第2外輪軌道面81B、第1内輪軌道面82Aおよび第2内輪軌道面82Bによってピニオン軸方向Pにも予圧が加えられる。そのため、ピニオン軸方向Pにおける各転動体83と内輪82および外輪81との間のがたが低減されるので、ハウジング8に対してピニオン軸方向Pへピニオン軸5が移動するのを抑制できる。したがって、ハウジング8に対するピニオン軸5の移動に起因してピニオン軸5とラック軸3とが当接するのを抑制できるので、異音の発生を抑制することができる。弾性変形部材100と共に用いることで異音の発生を一層抑制することができる。
次に、第1ブッシュ60の構成について詳しく説明する。
図10は、図1における第1ブッシュ60の周辺を拡大した模式図である。図11は、第1ブッシュ60の模式的な斜視図である。図12は、図10のXII−XII線に沿った断面の模式図である。以下では、ラック軸3の中心軸線3Cを中心とした径方向を径方向RRといい、ラック軸3の中心軸線3Cまわりの周方向を周方向Sという。
図10を参照して、ラックハウジング9の挿通孔15は、ラック軸3を挿通できる程度の小さな穴径を有する小径部15Aと、小径部15Aよりも大径な大径部15Bと、大径部15Bと小径部15Aとの間に設けられた中径部15Cおよび嵌合部15Dとを含む。
第1ブッシュ60は、ラック軸方向Xに延び、ラック軸3の背面3Bに摺動可能な摺動部61と、径方向RRの外方へ突出するフランジ部62とを含む(図11参照)。
摺動部61は、嵌合部15Dに配置されており、フランジ部62は、中径部15Cに配置されている。大径部15Bの内周面には、ストッパ部材16が固定されている。中径部15Cと嵌合部15Dとの間の段差15Eと、ストッパ部材16とによって、フランジ部62が挟まれることによって、第1ブッシュ60がラック軸方向Xに位置決めされている。
図12を参照して、摺動部61は、ラック軸方向Xから見て略半円状である。フランジ部62は、半円部63と、一対の四角部64と、一対の円弧部65とを含む。半円部63の径方向RRの外方端は、ラック軸方向Xから見て半円状に凸湾曲している。半円部63は、中径部15Cに設けられた位置決め穴15Fに嵌っている。これにより、第1ブッシュ60が周方向Sに位置決めされている。
一対の四角部64は、ラック軸方向Xから見て四角形状であり、半円部63を挟んで周方向Sの両側に配置されている。一対の円弧部65のそれぞれは、周方向Sにおける摺動部61の両端のそれぞれから周方向Sに沿って互いに近づくように延びている。
図11を参照して、摺動部61は、ラック軸3の背面3Bに当接する本体部68と、本体部68よりも径方向RRの外方へ突出し、ラックハウジング9の嵌合部15Dの内周面に当接する単一または複数の突設部66とを一体に含む。この実施形態では、突設部66は、3つ設けられている。3つの突設部66は、周方向Sに間隔を隔てて配置されている。突設部66は、ラック軸方向Xに延びている。突設部66には、突設部66の内周面を本体部68の内周面よりも径方向RRの外方に窪ませる窪み67が設けられている。突設部66は、窪み67を埋めるように径方向RRの内方へ弾性変形可能である。また、径方向RRにおける突設部66の厚みT1は、径方向RRにおける本体部68の厚みT2よりも薄い。そのため、突設部66は、本体部68よりも径方向RRの内方へ弾性変形し易い。
図12を参照して、車両が悪路を走行する際に転舵輪2(図1参照)からラック軸3に振動が伝達されることや、車両を旋回させるために転舵輪2を転舵させる際にラック軸3がラック軸方向Xに移動してラック歯3Aがピニオン歯5A(図2参照)に当接することによってラック軸3が逆方向F2の荷重を受けると、ラック軸3から第1ブッシュ60に入力荷重gが入力される。入力荷重gは、逆方向F2の荷重である。第1ブッシュ60は、入力荷重gに対する反発力hを発生させることによって、入力荷重gを吸収する。
入力荷重gが比較的小さいときには、窪み67を埋めるように突設部66が弾性変形する。一方、入力荷重gが比較的大きいときには、突設部66に加えて本体部68も弾性変形する。突設部66は、本体部68よりも弾性変形し易いので、突設部66が弾性変形することによって発生する反発力hは、本体部68が弾性変形することによって発生する反発力hよりも小さい。そのため、摺動部61が径方向RRの内方へ弾性変形することによってラック軸3が逆方向F2に移動する移動量に対する反発力hの変化量の割合は、突設部66が反発力hを発生させているときよりも、本体部68が反発力hを発生させているときの方が大きい。
この構成によれば、第1ブッシュ60は、反発力hを発生させることによって、ラック軸3から第1ブッシュ60に入力される入力荷重gを吸収する。ラック軸3は、この反発力hによってピニオン軸5に押し付けられる。入力荷重gが比較的小さく突設部66が弾性変形するときは、反発力hが比較的小さい。そのため、ピニオン軸5に対するラック軸3の過度な押し付けを防止でき、ラック軸3とピニオン軸5との間の摩擦を低減できる。
一方、入力荷重gが比較的大きく本体部68が弾性変形するときは、反発力hが比較的大きい。また、摺動部61が径方向RRの内方へ弾性変形することによってラック軸3が逆方向F2に移動する移動量に対する反発力hの変化量の割合は、突設部66が反発力hを発生させているときよりも、本体部68が反発力hを発生させているときの方が大きい。そのため、入力荷重gが比較的大きいときには、ピニオン軸5に対するラック軸3の逆方向F2への変位を抑えることができるので、ピニオン軸5に対するラック軸3の追従性を高め、異音の発生を抑制することができる。
また、第1ブッシュ60全体の剛性を向上させることなく、異音の発生を抑制し、かつ、ピニオン軸5とラック軸3との間の摩擦を低減することができる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、受入部54は、ラックガイド20の第2面22に設けられていてもよいし、ラックガイド20の第2面22と固定壁40の対向面51との両方に設けられていてもよい。また、受入部54は、必ずしも凹部である必要はなく、弾性変形部材100,100P,100Q,100Rが弾性変形する際に中心軸線20Aを中心とした径方向に弾性変形部材100,100P,100Q,100R(特に、本体部120,120Q,120R)が広がることを防止できる構成であればよい。例えば、受入部54は、第2面22または対向面51から付勢方向F1に突出した突起(図示しない)によって中心軸線20Aを中心とした径方向から区画された環状の空間であってもよい。
また、弾性変形部材100は、本体部120と本体部120の表面から突出する付加変形部110とに明確に分かれた構造を有している必要はなく、クリアランスCがC3よりも大きいときに小荷重の反発力Hを発生させる部分と、クリアランスCがC3以下であるときには大荷重の反発力Hを発生させる部分とを一体に含み、クリアランスCの変化量に対する反発力Hの変化量の割合は、反発力Hが小荷重であるときよりも反発力Hが大荷重であるときの方が大きいように構成されていればよい。
また、ヨークプラグ50が設けられておらず、逆方向F2における収容部9Aの端部は、ラックハウジング9の一部によって塞がれていてもよい。この場合、対向面51を有する固定壁40は、ラックハウジング9の一部である。
また、付加変形部110は、クリアランスCがC1よりも小さく所定の距離C3よりも大きいときに弾性変形し、本体部120は、クリアランスCが所定の距離C3以下であるときに弾性変形するように構成されていてもよい(図4の二点鎖線参照)。この場合、本体部120は、弾性変形していない状態で、受入部54内での弾性変形部材100の充填率が所定の値(例えば99%)以上となっている
また、ステアリング装置1は、操舵部材4の操舵が補助されないマニュアルタイプのステアリング装置に限られず、電動モータの動力をステアリングシャフト12に与えて操舵部材4の操舵を補助するコラムタイプの電動パワーステアリング装置であってもよい。また、ステアリング装置1は、電動モータの動力をピニオン軸5に与えて操舵部材4の操舵を補助するピニオンタイプの電動パワーステアリング装置であってもよい。また、ステアリング装置1は、ピニオン軸5とは別の位置でラック軸3と噛み合う別のピニオン軸をさらに含み、電動モータの動力を当該別のピニオン軸に与えて操舵部材4の操舵を補助するデュアルピニオンタイプの電動パワーステアリング装置であってもよい。
その他、本発明は、本発明の請求項記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
1…ステアリング装置、3…ラック軸、5…ピニオン軸、8…ハウジング、20…ラックガイド、30…付勢部材、40…固定壁、80…第1軸受、81…外輪、81A…第1外輪軌道面、81B…第2外輪軌道面、82…内輪、82A…第1内輪軌道面、82B…第2内輪軌道面、83…転動体、100;100P;100Q;100R…弾性変形部材、110;110P;110R…付加変形部、120;120Q;120R…本体部、C…クリアランス、C2…所定の距離、C3…所定の距離、F…付勢力、F1…付勢方向、F2…逆方向、G…入力荷重、H…反発力、P…ピニオン軸方向、X…ラック軸方向

Claims (6)

  1. ピニオン軸に噛み合うラック軸と、
    前記ラック軸が延びるラック軸方向に前記ラック軸を摺動可能に支持するラックガイドと、
    前記ラックガイドを介して前記ラック軸を前記ピニオン軸へ向けて付勢する付勢部材と、
    前記付勢部材の付勢方向の逆方向側に設けられ、前記ラックガイドと対向する固定壁と、
    前記ラックガイドと前記固定壁との間に配置され、前記付勢部材の付勢力に抗して前記ラック軸から前記ラックガイドに入力される入力荷重に対する反発力を発生させる弾性変形部材とを含み、
    前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離が所定の距離よりも大きいときには前記反発力が小荷重であり、前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離が所定の距離以下であるときには前記反発力が大荷重であり、
    前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離の変化量に対する前記反発力の変化量の割合は、前記反発力が小荷重であるときよりも前記反発力が大荷重であるときの方が大きいことを特徴とする、ステアリング装置。
  2. 前記ラックガイドおよび前記固定壁のうちの少なくとも一方には、前記弾性変形部材が受け入れられる受入部が設けられており、
    前記弾性変形部材は、前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離が所定の距離以下であるときに前記受入部内を埋めるように弾性変形することを特徴とする、請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記弾性変形部材は、前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離が所定の距離以下であるときに前記受入部内への充填率が99%以上となるように弾性変形することを特徴とする、請求項2に記載のステアリング装置。
  4. 前記弾性変形部材は、弾性変形可能な本体部と、前記本体部の表面から突出する付加変形部とを有し、
    前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離が所定の距離よりも大きいときに前記付加変形部が弾性変形し、前記ラックガイドと前記固定壁との間の距離が所定の距離以下であるときに前記本体部が弾性変形することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のステアリング装置。
  5. 前記ラック軸方向における前記ラック軸のどの位置に前記ピニオン軸が噛合しているかによって、前記ピニオン軸の回転量に対する前記ラック軸方向への前記ラック軸の移動量が異なることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のステアリング装置。
  6. 前記ピニオン軸を収容するハウジングと、
    前記ハウジングに取り付けられた外輪、前記ピニオン軸と一体回転可能な内輪、および前記外輪と前記内輪との間に配置された複数の転動体を有し、前記ハウジングに対して前記ピニオン軸が回転可能なように前記ピニオン軸を支持する軸受とをさらに含み、
    前記外輪は、前記ピニオン軸が延びるピニオン軸方向に対して傾斜し、前記ピニオン軸方向に互いに隣接する第1外輪軌道面および第2外輪軌道面を有し、
    前記内輪は、前記ピニオン軸方向に対して傾斜し、前記ピニオン軸方向に互いに隣接する第1内輪軌道面および第2内輪軌道面を有し、
    各前記転動体は、前記第1外輪軌道面、前記第2外輪軌道面、前記第1内輪軌道面および前記第2内輪軌道面のそれぞれに予圧が加えられた状態で接触していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のステアリング装置。
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