JP2017211886A - 女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報の提供システム - Google Patents

女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報の提供システム Download PDF

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恵美 高光
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博文 山野
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隆二 中島
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純 小濱
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Abstract

【課題】SNPを利用する遺伝子検査を個々の女性のQOLをより高めるための手段として利用して、女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報の提供システムや、かかるシステムの遺伝子検査における、簡便な遺伝子検査キットを提供することにある。【解決手段】アメリカ国立衛生研究所が公開している遺伝子情報に基づき、女性の罹患者が多い乳がんを中心とするバストケアに関連する可能性のあるSNPに注目し、かかるSNPを含む増幅領域や増幅するプライマーセットの設計、増幅条件の設定、SNPを含む増幅領域を検出するために最適なプローブ配列の性能評価及び選択を行うことにより、5つのSNPの良性変異の有無を乳がんの予防にかかわる解析に利用するとともに、女性のバストケアの領域及び全般的な健康状態に関わるSNPにおける変異の有無を利用することにより、女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、女性の健康遺伝子のSNPsを解析した健康遺伝子解析データと、女性の生活習慣などの環境要因入力データとを組み合わせた、女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報の提供システムに関する。
ある集団で1%以上の遺伝子の変異が観察されるものを遺伝子多型という。多型を生じる原因は、塩基がほかの塩基に置き換わる“置換”、塩基が失われる“欠失”、塩基が追加される“挿入”や“重複”及び遺伝的組換え等を挙げることができるが、特にひとつの塩基が他の塩基に置き換わっている多型は一塩基多型(SNP;single nucleotide polymorphism)と呼ばれており、個別化マーカーとして有用視されている。
すなわち、タンパク質のコーディング領域(ORF;オープンリーディングフレーム)に存在するSNPは、タンパク質におけるアミノ酸配列の変更を伴う確率が高く、アミノ酸配列の変更を伴う変異は、当該タンパク質の機能に影響を与える可能性が高くなるため、個人の疾患の発症や悪化等に関連している可能性が高いと考えられ、特に疾患と関連のあるSNPは臨床分野での疾患の診断や薬剤の使い分けのマーカーとして有用であるとされている。そして、SNPと疾患の関係については多数の文献が存在し、例えば、以下のものを挙げることができる。
TCF7L2のrs7903146は、糖尿病と強く関連し、CCホモ接合体野生遺伝子型と比較した場合、2型糖尿病を発症するリスクは、TCF7L2のrs7903146のリスクT−アレル(CTヘテロ接合体)の保有者でほぼ45%上昇し、TTホモ接合体では少なくとも2倍になるという報告があり(非特許文献1)、TCF7L2のrs7903146においてCT遺伝子型を持っている患者やTCF7L2のrs7903146においてTT遺伝子型を持っている患者は、抗糖尿病療法で治療するのが困難である旨予想されている(特許文献1)。
FTO(fat mass and obesity-associated gene)遺伝子のSNPであるrs1421085については、被験者から取得したバイオマーカーのデータを、健常者や疾患患者からのバイオマーカーのデータと比較して、被験者における肥満や2型糖尿病のリスク評価、診断、予後を行う工程を含む肥満、2型糖尿病のリスク評価、診断、予後等のインビトロ方法(特許文献2)が提案されている。
FTO遺伝子の別のSNPであるrs9939609については、ボディマス指数(BMI)や肥満と関連することが報告されており、(非特許文献2)、FTO遺伝子のrs9939609の塩基がT/Tとなっていれば、肥満、糖尿病やメタボリックシンドロームになりにくいが、T/A、A/Aとなっていれば肥満、糖尿病やメタボリックシンドロームとなりやすいことが示唆されている(特許文献3)。
MC4R遺伝子(4型メラノコルチン受容体遺伝子)は、視床下部や脳幹部で高発現し,エネルギー代謝調節をはじめとする多くの生理作用を有していることが知られているが、MC4R異常症の症例から,ヒトにおける食欲調節やエネルギー代謝調節にMC4Rが重要な役割を有するであろうことが示唆されている(非特許文献3)。MC4RのSNPの一つであるrs2229616において、rs2229616;A/を含む多型遺伝子座又はリスク対立遺伝子に関する被験体の遺伝子型を決定することによって、より低いレベルのHDLとそれらの関連性を得るために被験体の遺伝子における多型を決定する方法や、より低いレベルのHDLとそれらの関連性を得るために被験体の遺伝子における多型を決定する方法等が提案されている。また、rs2229616;G/を含む多型遺伝子座またはリスク対立遺伝子に関する被験体の遺伝子型を決定することによって、より高いレベルのトリグリセリドとそれらとの関連性を得るために被験体の遺伝子における多型を決定する方法等が提案されている(特許文献4)。
ATP2B1遺伝子(ATP2B1(ATPase,Ca2+transporting,plasma membrane1)遺伝子)のSNPであるrs2681472は高血圧の遺伝子マーカーとして提案されており、rs2681472がGG型又はAG型の場合には低リスク群であり、AA型の場合に高リスク群であると判定する高血圧発症リスク判定方法が提案されている(特許文献5)。
また、2型糖尿病は、乳がんの発症を促進する旨の報告(非特許文献4)や、短時間睡眠が乳がんの発症を促進する旨の報告(非特許文献5)や、メタボリックシンドロームと乳がんの関連を示唆した報告(非特許文献6)もある。
特開2015−164964号公報 特表2010−523097号公報 特開2012−231727号公報 特開2012−506256号公報 国際公開WO2009/104730号パンフレット
Grant et al, Nature Genetics, Vol.38, 2006, p320-323 Science 2007;316:889-94 医学のあゆみ Volume 233, Issue 9, 736 - 742 (2010) Diabetes Care 2003 Jun; 26(6): 1752-1758. HealthyWoman from Bottom Line、February 7, 2013 J BUON. 2012 Apr-Jun;17(2):223-9
一般に、遺伝子の塩基配列の変異によって生じるタンパク質の変化は、ヒトの健康にとって、好ましくない方向に働くとされ、先天性心疾患の原因や、がん等の発症原因に結びつく要因としてとらえられることが多かった。現在広く行われている各種の遺伝子診断は、特定の疾患を発症する確率を算出するリスク判定に関するものであって、変異があることにより特定の疾患にかかるリスクが高いと判定された被検者は、食餌療法を行うことを余儀なくされたり、早期診断のために検査を頻繁に受けることを強いられたりする場合が多い。しかしながら、それらの措置によっても発症確率が減少するとは必ずしもいえず、極端な場合には病巣となりうる組織を事前に切除する等の侵襲性の高い処置を行うこともある等、精神的にダメージを与えるという点で、QOL(クオリティオブライフ)の点からは問題となる場合も多かった。
本発明の課題は、SNPを利用する遺伝子検査を個々の女性のQOLをより高めるための手段として利用して、女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報の提供システムを提供することにある。また、本システムのSNPにおける変異の有無を判定する遺伝子検査では、複数の項目を検査するために煩雑な作業が必要であり、簡便な遺伝子検査キットが望まれていた。
本発明者らは、病気のかかりやすさについての診断や、薬剤への応答性における変異として用いられているSNPについて、個々人のQOLを高めるための手段として用いることもできる場合もあるのではないかと考えた。また、ある特性を有する人にとっては好ましい変異であっても、別の特性を有する人にとっては好ましくない変異としてとらえることができるSNPがあるのではないかと考えた。そこでアメリカ国立衛生研究所が公開している遺伝子情報に基づき、特に女性を対象として、女性の罹患者が多い乳がんを中心とするバストケアに関連する可能性のあるSNPに注目したところ、SNPにおける変異を有することが、かえって、乳がんにかかりにくい体質であることに関連する、いわゆる「良性変異」として把握できるSNPが5種類あることを確認した。そこで、これらの5つのSNPの良性変異の有無を乳がんの予防にかかわる解析に利用するとともに、より広く女性のバストケアの領域、及び全般的な健康状態に関わるSNPにおける変異の有無を利用することにより、女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報を提供できることを見いだした。さらに、複数の検査項目を高精度に解析するために、SNPを含む増幅領域や増幅するプライマーセットの設計、これらの増幅条件設定、SNPを含む増幅領域を検出するために最適なプローブ配列の性能評価及び選択の実施によりこれらの技術を確立し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]以下のステップを備えたことを特徴とする女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報の提供システム。
1)対象女性の唾液からDNAを抽出、増幅した後に、女性の健康遺伝子のSNPを解析し、健康遺伝子解析データを得るステップ(a);
2)前記対象女性が入力した生活習慣などの環境要因入力データを得るステップ(b);
3)ステップ(a)で得られた健康遺伝子解析データとステップ(b)で得られた環境要因入力データとを組み合わせて、女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報を前記対象女性に提供するステップ(c);
[2]DNAチップを用いて女性の健康遺伝子のSNPを解析することを特徴とする上記[1]記載の提供システム。
[3]遺伝子のSNPが、良性変異を有するrs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、及びrs13333226から選ばれることを特徴とする上記[1]又は[2]記載の提供システム。
[4]環境要因入力データが、身長、体重、体温、心拍数、呼吸数、歩数/日から選ばれるデータであることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか記載の提供システム。
[5]女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報が、食事、運動、睡眠における健康管理情報であるであることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか記載の提供システム。
[6]女性の健康遺伝子のSNPを含む領域を特異的に増幅するプライマーセットであって、前記SNPがrs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、及びrs13333226から選ばれる良性変異を有するSNPを有することを特徴とするプライマーセット。
[7]女性の健康遺伝子のSNPを特異的に検出するプローブが担体上に固定化されてなるDNAチップであって、前記SNPがrs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、及びrs13333226から選ばれる良性変異を有するSNPを含むことを特徴とするDNAチップ。
[8]対象女性由来の試料からゲノムDNAを抽出する工程と、抽出したゲノムDNAを鋳型とし、上記[6]記載のプライマーセットにより女性の健康遺伝子のSNPを含む領域を増幅する工程と、上記[7]記載のDNAチップにおける担体上に固定化されたプローブと前記増幅DNAとを接触させる工程と、各プローブにおける増幅DNAとのハイブリダイズを検出し、ハイブリダイズした核酸の比に基づいて女性の健康遺伝子のSNPを解析する工程とを含むことを特徴とする女性の健康遺伝子のSNPを解析する方法。
[9]上記[6]記載のプライマーセット、及び上記[7]記載のDNAチップを含むことを特徴とする女性の健康遺伝子のSNP解析キット。
本発明によれば、試料として唾液や、生活習慣などの環境要因入力データを提出することにより、健康増進に有用なカスタマイズ情報の提供を容易に受け取ることができる。
検体となる唾液試料から、DNAの抽出・増幅を行った後、DNAチップと反応させることにより得られる蛍光画像の例(左)と遺伝子の判別方法(右)を示す図である。この蛍光画像のパターン解析から、12種類の遺伝子を同時に解析することができる。
本発明の女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報の提供システムとしては、1)対象女性の唾液からDNAを抽出、増幅した後に、DNAチップを用いて女性の健康遺伝子のSNPsを解析し、健康遺伝子解析データを得るステップ(a);2)前記対象女性が入力した生活習慣などの環境要因入力データを得るステップ(b);3)ステップ(a)で得られた健康遺伝子解析データとステップ(b)で得られた環境要因入力データとを組み合わせて、女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報を前記対象女性に提供するステップ(c);の各ステップを備えたシステムであれば特に制限されず、SNP(Single Nucleotide Polymorphism:一塩基多型)とは、特定の集団において1%以上の頻度で認められる塩基配列中の一塩基の相違である。なお、本発明において、SNPの遺伝子中の位置は、rs番号により定義されるが、かかるrs番号は、Reference SNP ID番号を意味し、米国のNCBI(National Center for Biotechnology Information:国立生物工学情報センター)が、各SNPを定義する番号である。また、本発明においてSNPの「変異」を有する変異型は、野生型に比べて50%未満の頻度で認められる上記一塩基の相違をいう。
上記ステップ(a)において、DNAは、対象女性の唾液から抽出される。唾液は、無痛で採取可能であること、無侵襲であること、対象女性の年齢や肉体的、精神的なハンディキャップに左右されないこと、繰り返しの採取が容易であり、さらに、唾液は血液の状態をよく反映することから、全身状態のモニターに適している。そのため、唾液は不特定多数の女性を対象女性とする本発明の試料として最適である。対象女性により採取された唾液は郵送等により、SNPs検査機関に送られる。
上記ステップ(a)において、唾液からDNAを抽出する方法としては、従来公知の方法であれば特に制限されず、唾液からDNAを抽出できる市販のキットを用いて、生体試料からゲノムDNAを抽出することもできる。例えば、Norgen Biotek Corp社のSaliva DNA,Collection,Preservation,& Isolationキットを挙げることができる。
上記ステップ(a)において、DNAを増幅する方法としては、特に制限されないが、PCR法を好適に挙げることができる。PCR法では、女性の健康遺伝子の各SNP領域を含むDNA断片を増幅させるためのプライマーセットを含有するPCR反応液を用いて、DNA断片の増幅処理が行われる。PCR法を行う装置としては、一般的なサーマルサイクラー等を用いることができ、かかる装置により、DNA変性工程、アニーリング工程、DNA合成工程、及びその繰り返しを含む、PCR工程を行うことができる。
上記PCR法に用いられる反応液としては、例えば以下の組成からなるものを使用することが好ましい。すなわち、ヌクレオチド合成基質(dCTP、dATP、dTTP、dGTPを含む、dkareNTPmixture等)、プライマーセット、ヌクレオチド合成酵素(Faststart Taq DNA polymerase(ロシュ・ダイアグノスティクス株式会社製)、Nova Taq HotStart DNA polymerase等)、試料のDNA、緩衝液、及び残りの成分として水を含むPCR反応液を好適に使用することができる。なお、緩衝液としては、例えば、PCR reaction buffer、10×conc. with 20mM MgCl(ロシュ・ダイアグノスティクス株式会社製)、Ampdirect(R)(株式会社島津製作所製)等を用いることができる。
上記プライマーセットとしては、上記DNA試料中の女性の健康遺伝子の各SNP領域を含むDNA断片を増幅し、増幅DNAを得ることができるプライマーセットであれば特に制限されないが、上記SNPが、rs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、及びrs13333226から選ばれる1又は2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5つの良性変異を有するSNPを含むプライマーセットや、以下の[表1]に示すプライマーセットのうち、少なくともrs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、及びrs13333226から選ばれる良性変異を有する1又は2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5つのSNPを含むプライマーセットが好ましい。
上記増幅DNAは、蛍光標識されていることが好ましい。蛍光標識を行う方法としては、上記ヌクレオチド合成基質として蛍光標識ヌクレオチドアナログを使用することにより、上記PCR工程においてDNAを増幅すると同時に標識を行う方法を挙げることもでき、また、増幅反応に使用する5’末端側プライマーをあらかじめ標識することにより、5’末端側が蛍光色素で標識された蛍光標識増幅DNAを調製する方法を挙げることができる。
上記標識を行うための物質としては、フルオレセイン、リン光体、ローダミン、ポリメチン色素誘導体等の蛍光色素、具体的にはFluoredite(商品名、ミリポア社製)、FAM(ABI社製)、Cy3やCy5(アマシャムファルマシア社製)、TAMRA(モレキュラープローブ社製)、IC5(株式会社同人化学研究製)等の市販品を挙げることができ、IC5が特に好ましい。
上記ステップ(a)において、解析される女性の健康遺伝子のSNPとしては、健康遺伝子解析データを得ることができるSNPであれば特に制限されないが、良性変異を有するSNPが好ましい。
SNPにおける良性変異とは、野生型ではない変異型を有する対象女性が、健康度が高いことを示す変異を意味する。健康度が高いことを示す変異を有する対象女性とは、例えば、通常よりもDNA修復能力が高い体質である対象女性、乳がん耐性がある対象女性、肥満耐性体質である対象女性、高血圧症への耐性がある対象女性、腎臓機能が高い対象女性、活力が高い対象女性等解析したSNPにおいて悪性変異ではない変異を有する対象女性であり、かつ、野生型を有する対象女性よりも特定の疾病になりにくい対象女性などを挙げることができる。
本発明において健康遺伝子のSNPsを解析する方法としては、各SNPの変異を評価する方法を挙げることができ、具体的には対象女性は2つの対立遺伝子を有することから、2つの対立遺伝子上のある健康遺伝子のSNPの遺伝子型が2つとも野生型である場合をワイルド型(W);1つの対立遺伝子上の当該健康遺伝子のSNPの遺伝子型が野生型であって、別の対立遺伝子上のSNPの遺伝子型が変異型である場合をヘテロ型(H);2つの対立遺伝子上の当該健康遺伝子SNPの遺伝子型が2つとも変異型である場合をバリアントホモ型(V);として判定をする方法を挙げることができる。
上記良性変異によってDNA修復能力が高い体質となるSNPとしては、ヒトXRCC2遺伝子に存在するrs3218536を挙げることができる。rs3218536は、DNA修復能力に差異をもたらすSNPとして知られており、rs3218536における良性変異としては、ヘテロ型G/A及びバリアントホモ型A/Aを挙げることができる。かかる良性変異は、DNA修復能力が高めである点で、DNA修復能力が通常である野生型を有する対象女性よりも有利であって、良性変異の配列を有する対象女性に対しては、ブレストケアにおいては乳がんになりにくい、また、女性の健康度の評価においては、上皮性卵巣がんになりにくい体質である旨の評価を結果に含めることができる。
上記rs3218536におけるワイルド型G/Gは、一般的な体質とされるため、ワイルド型の配列を有する対象女性に対しては、年一回以上の婦人科検診を奨励する旨の評価を結果に含めることができる。
上記良性変異によって乳がん耐性が高い体質となるSNPとしては、ヒトCASP8遺伝子に存在するrs1045485を挙げることができる。rs1045485は、乳がん耐性に差異をもたらすSNPとして知られており、rs1045485における良性変異としては、ヘテロ型G/C及びバリアントホモ型C/Cを挙げることができる。かかる良性変異は、乳がんへの耐性が高めという点で、乳がんへの耐性が通常程度であるとされるワイルド型よりも有利であって、良性変異を有する対象女性に対しては、ブレストケア・女性の健康度の評価のいずれにおいても、乳がんになりにくい体質である旨の評価を結果に含めることができる。
上記rs1045485におけるワイルド型G/Gは、一般的な体質とされるため、ワイルド型の配列を有する対象女性に対しては、年一回以上の乳がん検診が奨励される旨の評価を結果に含めることができる。
上記良性変異によって肥満耐性体質となるSNPとしては、ヒトMC4R遺伝子に存在するrs2229616を挙げることができる。rs2229616は、食欲や肥満耐性に差異をもたらすSNPとして知られており、rs2229616における良性変異としては、ヘテロ型A/G及びバリアントホモ型A/Aを挙げることができる。かかる良性変異は、肥満に対する耐性がある点で、食欲のコントロールやメタボリックシンドロームや肥満の予防においてワイルド型よりも有利であって、良性変異の配列を有する対象女性に対しては、ブレストケアにおいては、乳がんになりにくい体質である旨、女性の健康度の評価においては、食事管理がしやすく肥満にはなりにくい体質である旨の評価を結果に含めることができるほか、過食を防ぐために体重に関する評価を特に行わないこともできる。
上記rs2229616におけるワイルド型G/Gは、食欲が通常程度であり、摂取カロリーの管理を奨励する旨の評価を結果に含めることができる。
上記良性変異によって塩分への感受性が高い、及び/又は高血圧症への耐性が高い体質となるSNPとしては、ヒトATP2B1遺伝子に存在するrs2681472を挙げることができる。rs2681472は、塩分摂取による血圧への影響度に差異をもたらすSNPとして知られており、rs2681472における良性変異としては、ヘテロ型C/T、バリアントホモ型C/Cを挙げることができる。かかる良性変異は、血圧管理においてワイルド型よりも有利であって、良性変異の配列を有する対象女性に対しては、ブレストケアにおいては、乳がんになりにくい体質である旨、女性の健康度の評価においては高血圧症になりにくいが過度の塩分摂取に対して留意することを奨励する旨の評価を結果に含めることができる。
上記rs2681472におけるワイルド型T/Tは、高血圧への耐性が通常程度であり、減塩の食事の摂取を奨励する旨の評価を結果に含めることができる。
上記良性変異によって腎臓機能が高い、及び/又は高血圧症への耐性が高い体質となるSNPとしては、ヒトUMOD遺伝子に存在するrs13333226を挙げることができる。rs13333226は、ナトリウム濃度調整能力に差異をもたらすSNPとして知られており、rs13333226における良性変異としては、ヘテロ型A/G、バリアントホモ型G/Gを挙げることができる。かかる良性変異は、血圧管理においてワイルド型よりも有利であって、良性変異の配列を有する対象女性に対しては、ブレストケアにおいては、乳がんになりにくい体質である旨、女性の健康度の評価においては高血圧症になりにくい旨の評価を結果に含めることができる。
上記rs13333226におけるワイルド型A/Aは、体内のナトリウム濃度調整能力が通常程度であり、減塩の食事の摂取を奨励する旨の評価を結果に含めることができる。
前記健康遺伝子解析データを得ることができるSNPには、SNPにおける非良性変異の有無を判定するSNPを含めてもよく、非良性変異とは、野生型ではない変異型を有する対象女性が、特定の分野・性状において健康度が低いと判定される変異を意味する。健康度が低いことを示す非良性変異を有する被検女性としては、例えば、耐糖能力が低い体質である対象女性、脂肪の蓄積能力が高い対象女性、体重が増加しやすい対象女性、カフェインの代謝能力が低い対象女性、肺がんや乳がんになりやすい対象女性等を挙げることができる。
上記非良性変異があることによって耐糖能力が低い体質となるSNPとしては、いずれも耐糖能力に差異をもたらすSNPとして知られているヒトTCF7L2遺伝子に存在するrs12255372、rs7903146、rs7901695を挙げることができる。
rs12255372における非良性変異としては、耐糖能力が低いヘテロ型G/T及びバリアントホモ型T/Tを挙げることができ、これらの変異を有する対象女性に対しては、緩やかに糖の摂取をすることを奨励する旨の評価を結果に含めることができる。ワイルド型G/Gは、耐糖能力が通常程度である旨の評価を結果に含めることができる。
上記rs7903146における非良性変異としては、耐糖能力が低いヘテロ型T/C及びバリアントホモ型C/Cを挙げることができ、これらの変異を有する対象女性に対しては、緩やかに糖の摂取をすることを奨励する旨の評価を結果に含めることができる。ワイルド型T/Tは、耐糖能力が通常程度である旨の評価を結果に含めることができる。
上記rs7901695における非良性変異としては、耐糖能力が低いヘテロ型C/T及びバリアントホモ型T/Tを挙げることができ、これらの変異を有する対象女性に対しては、緩やかに糖の摂取をすることを奨励する旨の評価を結果に含めることができる。ワイルド型C/Cは、耐糖能力が通常程度である旨の評価を結果に含めることができる。
上記脂肪を蓄積しやすい体質となるSNPとしては、ヒトFTO遺伝子に存在するrs1421085とrs9939609を挙げることができる。rs1421085における非良性変異としては、ヘテロ型T/C及びバリアントホモ型C/Cを挙げることができ、これらの非良性変異を有する対象女性に対しては、脂肪蓄積能力が非常に高いため積極的な運動を奨励する旨の評価を結果に含めることができる。ワイルド型T/Tは、脂肪の蓄積能力が通常程度である旨の評価を結果に含めることができる。また、rs9939609における非良性変異としては、ヘテロ型A/T及びバリアントホモ型A/Aを挙げることができ、これらの非良性変異を有する対象女性に対しては、体重が増えやすいため、体重管理の習慣と積極的な運動を奨励する旨の評価を結果に含めることができる。ワイルド型T/Tは、体重管理が比較的容易である旨の評価を結果に含めることができる。
上記カフェイン代謝が通常より低くなる体質となるSNPとしては、ヒトCYP1A2遺伝子に存在するrs762551を挙げることができる。rs762551における変異としては、ヘテロ型C/A及びバリアントホモ型C/Cを挙げることができる。かかる変異を有する者は、カフェインを摂取することにより、覚醒効果が持続するため、労働意欲や勉強時の集中力が持続する等の効果を得ることができるという側面もあるが、本発明においては、上記変異を有する対象女性に対しては、快眠を得るために、又乳がんを予防するために、夕方以降にカフェイン摂取を控えることや一日当たりのカフェイン過剰摂取を控えることを奨励し、快眠を得ることによりバストボリュームのアップにもつながる旨の評価を結果に含めることができる。ワイルド型A/Aは、カフェインの代謝能力が通常程度であり、快眠を得やすい旨の評価を結果に含めることができる。
上記肺がんや乳がんになりやすい体質となるSNPとしては、ヒトNQO1遺伝子に存在するrs1800566を挙げることができる。rs1800566における非良性変異としては、バリアントホモ型T/Tを挙げることができ、かかる変異は、コエンザイムQ10量が高目となりリラクゼーションが容易であるが、ブレストケアにおいては、乳がんになりやすい体質である旨、女性の健康度の評価においては肺がんになりやすい旨の評価を結果に含めることができる。
rs1800566におけるワイルド型C/C及びヘテロ型C/Tは、ブレストケアにおいては、乳がんになりにくい体質である旨、女性の健康度の評価においては、肺がんになりにくい旨の評価を結果に含めることができる。
上記ステップ(a)における、SNPsを解析する方法としては、従来公知の方法を含め特に制限されず、シークエンス法、PCR−RFLP法、TaqManPCR法、DNAマイクロアレイ法等を挙げることができるが、DNAチップを用いることにより同時に多数のSNPにおける良性変異の有無を検出することが可能である点でDNAマイクロアレイ法が好ましい。
上記DNAマイクロアレイ法においては、前記PCR法により増幅されたヌクレオチドの配列における各SNPにおける野生型と変異型の配列を区別するために、ハイブリダイズできるヌクレオチドプローブ(以下、単に「プローブ」ともいう)を予め合成し、かかるプローブがそれぞれ担体上の定められた領域に固定されているDNAチップを作製し、前記蛍光標識増幅DNAを、DNAチップに接触させて、前記蛍光標識増幅DNAと前記プローブとのハイブリダイゼーションの有無を判定することにより、上記女性の健康遺伝子のSNPsを解析することが好ましい。
上記DNAチップにおける基板の材料としては、ハイブリダイゼーションに使用可能なものであればよく、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素等のシリコン;ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、セラミクス、フォルステライト等の無機材料;ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の樹脂材料を挙げることができるが、担体表面には、その後の化学修飾基の導入や分析対象物質との結合における反応に耐えることができる点でカーボン層が形成されることが好ましく、カーボン層の形成において有利な点でシリコンが好ましい。
上記カーボン層としては、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化珪素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化クロム、炭化バナジウム等の炭化物;天然ダイヤモンド;ダイヤモンドとカーボンとの混合体であるダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond Like Carbon)等の軟ダイヤモンド;アモルファスカーボン;グラファイト;フラーレン;カーボンナノチューブ;これらの混合物又はこれらの積層物からなるカーボン層を挙げることができる。
上記カーボン層が形成されたチップの表面には、プローブを強固に固定化するために、従来公知の方法により化学修飾基を導入することが好ましい。上記化学修飾基としては、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ホルミル基、ヒドロキシル基を挙げることができ、さらには、化学修飾基を導入されたチップ表面を、公知の方法にて活性エステル基等により活性化をすることもできる。
かかるチップに固定化されるプローブは、DNAであってもよいし、RNAであってもよいが、プローブの安定性に優れていることからDNAプローブであることが好ましく、上記PCR法により増幅されたヌクレオチドの配列の各SNPにおける野生型と変異型の配列を区別してハイブリダイズすることができるプローブであることが必要である。
上記各SNPにおける野生型と変異型の配列を区別して、ハイブリダイズできるプローブとしては、例えば、SNPがrs3218536である場合には、野生型Gと変異型Aを区別してハイブリダイズできるプローブ、SNPがrs1045485である場合には、野生型Gと変異型Cを区別してハイブリダイズできるプローブ、SNPがrs12255372である場合には、野生型Gと変異型Tを区別してハイブリダイズできるプローブ、SNPがrs7903146である場合には、野生型Cと変異型Tを区別してハイブリダイズできるプローブ、SNPがrs7901695である場合には、野生型Tと変異型Cを区別してハイブリダイズできるプローブ、SNPがrs1421085である場合には、野生型Tと変異型Cを区別してハイブリダイズできるプローブ、SNPがrs9939609である場合には、野生型Tと変異型Aを区別してハイブリダイズできるプローブ、SNPがrs2229616である場合には、野生型Gと変異型Aを区別してハイブリダイズできるプローブ、SNPがrs2681472である場合には、野生型Tと変異型Cを区別してハイブリダイズできるプローブ、SNPがrs13333226である場合には、野生型Aと変異型Gを区別してハイブリダイズできるプローブ、SNPがrs762551である場合には、野生型Aと変異型Cを区別してハイブリダイズできるプローブ、SNPがrs1800566である場合には、野生型Cと変異型Tを区別してハイブリダイズできるプローブであれば特に制限されず、例えば、rs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、及びrs13333226から選ばれる、1又は2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5つのSNPの良性変異を有するSNPを野生型と変異型を区別して特異的に検出するプローブ(セット)や、以下の[表2]に示す配列の1又は2以上を含むプローブ(セット)のうちや、少なくともrs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、及びrs13333226から選ばれる良性変異を有する1又は2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5つのSNPを含むプローブ(セット)を挙げることができる。
上記各プローブにおいては、チップへの固定化の効率を高めるために、また、上記増幅DNAとハイブリダイズする効率を向上するために、オリゴT配列を5’末端に付加することも好ましい。
前記ワイルド型、ヘテロ型、又はバリアントホモ型を判定する方法としては、
上記各プローブとハイブリダイズした上記蛍光増幅DNAの蛍光標識を検出することにより定量化する方法を挙げることができ、具体的には、特定の蛍光標識を適切に検出できる波長光を照射することにより、各ハイブリダイズした蛍光増幅DNAにおける励起した蛍光を測定する方法を挙げることができる。例えば、蛍光標識がIC5である場合には、640nmの波長の光を各スポットに照射することにより蛍光を検出し、各スポットの蛍光強度値をもとに、例えば、以下の式1により求められた判定値を指標として、あらかじめ用意された分類表により、蛍光強度/バックグラウンド値の値が2以上であることを前提として、対象女性の各SNPがワイルド型、ヘテロ型、バリアントホモ型のいずれかであるかを判定する方法を挙げることができる。
上記判定値において、例えば、あるSNPにおける判定値が0〜0.48である場合は、対象女性の当該SNPの遺伝子型はワイルド型である旨、上記判定値が0.49〜1.45である場合はヘテロ型である旨、上記判定値が1.48以上である場合はバリアントホモ型である旨判定することができるが、かかる判定値は、SNPのプローブの種類や長さ等の条件により変動しうることから、SNP毎に修正を加えて後、上記分類表を作成することが好ましい。
上記健康遺伝子解析データの作成は、各対象女性の各SNPについて、ワイルド型、ヘテロ型、バリアントホモ型の判定がなされた後に、各SNPにおける遺伝子型の結果を照らし合わせることにより総合的に行われることが好ましい。例えば、上記良性変異を有するSNPにおいて、被検女性が、rs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、rs13333226の5つの良性変異を有する場合には、乳がん発症の可能性がきわめて低いと判定することができ、rs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472;rs3218536、rs1045485、rs2229616、rs13333226;rs3218536、rs1045485、rs2681472、rs13333226;rs3218536、rs2229616、rs2681472、rs13333226;rs1045485、rs2229616、rs2681472、rs13333226;等の組合せの4つの良性変異を有する場合は、乳がん発症の可能性がかなり低いと判定することができる。
また、rs3218536、rs1045485、rs2229616;rs3218536、rs1045485、rs2681472;rs3218536、rs1045485、rs13333226;rs3218536、rs2229616、rs2681472;rs3218536、rs2229616、rs13333226;rs3218536、rs2681472、rs13333226;rs1045485、rs2229616、rs2681472;rs1045485、rs2229616、rs13333226;rs1045485、rs2681472、rs13333226;rs2229616、rs2681472、rs13333226;等の組合せの3つの良性変異を有する場合は、乳がん発症の可能性が低いと判定することができる。
そしてまた、rs3218536、rs1045485;rs3218536、rs2229616;rs3218536、rs2681472;rs3218536、rs1333322;rs1045485、rs2229616;rs1045485、rs2681472;rs1045485、rs13333226;rs2229616、rs2681472;rs2229616、rs13333226;等の組合せの2つの良性変異を有する場合は、乳がん発症の可能性がすこし低いと判定することができる。
さらに、rs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、又はrs13333226の1つの良性変異を有する場合は、乳がん発症の可能性がやや低いと判定することができる。
上記SNPにおける良性変異を用いる判定に加えて、上記SNPにおける非良性変異の有無を判定することを含めることができ、非良性変異に関するSNPとしては、rs12255372、rs7903146、rs7901695、rs1421085、rs9939609、rs762551、rs1800566等を挙げることができる。
上記ステップ(b)における生活習慣などの環境要因入力データは、例えば判定機関のパソコン等から送付されたフォーマットにしたがって、対象女性が身長、体重、体温、心拍数、呼吸数、歩数/日等の生活習慣などを自ら入力し、スマホ等により判定機関に送信される。かかる環境要因入力データは、上記SNPs検査機関から判定機関に送付された健康遺伝子解析データと組み合わせることにより、女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報を提供することができる。
上記ステップ(c)において、対象女性に提供するカスタマイズ情報としては、ステップ(a)で得られた健康遺伝子解析データと、ステップ(b)で得られた環境要因入力データとを組み合わせることにより、上記健康遺伝子解析データと組み合わせることにより、女性の健康増進に有用な情報を、例えば判定機関から対象女性にパソコン送信等により提供することができる。これらの健康増進に有用な情報は、個々の女性にカスタマイズされていることからカスタマイズ情報であり、例えば対象女性の生活習慣などの環境要因入力データの変更に伴い、適宜更新されていく。
本発明の女性の健康遺伝子のSNPを解析する方法としては、対象女性由来の試料からゲノムDNAを抽出する工程と、抽出したゲノムDNAを鋳型とし、女性の健康遺伝子のSNPを含む領域を増幅する工程と、DNAチップにおける担体上に固定化されたプローブと前記増幅DNAとを接触させる工程と、各プローブにおける増幅DNAとのハイブリダイズを検出し、ハイブリダイズした核酸(DNA)の比に基づいて女性の健康遺伝子のSNPを解析する工程とを含む方法を挙げることができ、上記SNPを含む領域を増幅する工程においては、例えば、女性の健康遺伝子のSNPを含む領域を特異的に増幅するプライマーセットであって、SNPがrs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、及びrs13333226から選ばれる良性変異を有するSNPを有するプライマーセットを用いることによりSNPを含む領域を増幅することができ、また、rs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、及びrs13333226から選ばれる良性変異を有するSNPにおける野生型と変異型の配列を区別することができるプローブが固定化されたDNAチップを用いることにより、増幅DNAとのハイブリダイズを検出することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[DNA試料の調製]
女性の被検者40人について唾液を0.5〜2mL採取し、Saliva DNA,Collection,Preservation,& Isolationキットを用いて、DNAを抽出し、各被検者のDNA試料を調製した。
[プローブの作製]
12種類のSNPの遺伝子配列について、試料中の増幅DNAが野生型かバリアント型かを判別するために、野性型検出用DNAプローブには各SNPにおいて野生型の配列を有する由来の蛍光増幅DNAがハイブリダイズし、変異型検出用DNAプローブにはバリアント型配列を有する蛍光増幅DNAがハイブリダイズするようにプローブを作製した。プローブ塩基長の調整及びプローブ性能評価による選別を実施し、以下の[表3]に示す12種類のプローブを作製した。
(DNAチップの作製)
2種類ずつのプローブ(合計24種類)及び位置プローブを、それぞれジーンシリコン(東洋鋼鈑社製)上に、1つのプローブに付き2箇所ずつスポッターを使用して固定化したDNAチップを作製した。また、固定化プローブの模式図を図1に示す。図1に示した女性の健康遺伝子のSNPを解析するキット(BCGチップキット)は、女性の健康遺伝子のSNPを増幅するプライマーセット、増幅した女性の健康遺伝子のSNPを検出するためのプローブ、当該プローブを備えるDNAチップ、これらを使用して女性の健康遺伝子のSNPを解析する方法を含む。なお、具体的なチップの単体基板材料、固定化に使用した試薬、固定化方法等についてはWO2009/130797の実施例に記載した方法に準じた。
[DNA試料の増幅]
上記各被検者のDNA試料について、上記24種類のプローブとハイブリダイズしうるDNA配列領域を含む核酸断片を増幅した。
(蛍光標識プライマーの作製)
5’末端をアミノ基で標識した以下の[表4]中の各SNP領域増幅用フォワードプライマー又はリバースプライマー12種類と、IC5−Osu(株式会社同仁化学研究所製)とを、リン酸ナトリウム緩衝液中で4℃にて一晩反応させた後精製することにより、12種類の蛍光標識プライマーを作製した。
上記蛍光標識プライマー12種類と上記表4に示される未標識プライマー12種類を含む以下のPCR反応液を上記各被検者のDNA試料(5μL)に加え、マルチプレックスPCRを行い、蛍光標識増幅DNAを得た
サーマルサイクラーにおける増幅のプログラムとしては、95℃にて5分の後、95℃にて30秒、60℃にて60秒、72℃にて90秒を1サイクルとして、40サイクル行った後、4℃に冷却した。
(プローブとのハイブリダイゼーション)
上記蛍光標識増幅DNA4μLと、ハイブリダイズ反応用緩衝液2μL(2.25×SSC/0.23%SDS/1.8nM IC5標識オリゴDNA)の混合液とを調製し、この溶液を3μLとり、ハイブリダイズカバーの中央凸部の上に滴下して、これをチップの上に被せ、53℃にて60分間静置することによりハイブリダイズ反応を行った。
(DNAチップの洗浄)
ハイブリダイズ反応後、非特異的にDNAプローブとハイブリダイズしている増幅DNAを0.5×SSC/0.1%SDS溶液に浸し、その後、チップの蛍光強度を検出するまで1×SSC溶液(室温)に浸した。
(DNAチップの蛍光検出)
上記DNAチップにカバーフィルムを被せ、遺伝子解析装置BIOSHOT(A&T株式会社製)にセットした。波長640nmのレーザー光を照射することにより各ハイブリダイズしたDNA蛍光増幅産物中の励起した蛍光を測定した。
(遺伝子解析)
上記蛍光測定の結果を基に、12種類の遺伝子のSNPの遺伝子型を解析した。ハイブリダイズの有無の検出には、遺伝子解析装置研究用BIOSHOTを用い、露光時間を7秒に設定した。各スポット径内の画素の数値から、同じプローブがスポットされている2つのスポットの蛍光強度の平均値を求めた。SNPの変異の評価については、各スポットの蛍光強度値から上記式1により求められた判定値を指標として、ワイルド型、ヘテロ型、バリアントホモ型の判定を行った。
ワイルド型、ヘテロ型、バリアントホモ型の判定を行うための分類表を以下の表6に示す。
検体となる唾液試料から、DNAの抽出・増幅を行った後、DNAチップと反応させることにより得られる蛍光画像の例(左)と遺伝子の判別方法(右)を示す図である。この蛍光画像のパターン解析及び上記分類表から、各被検者における12種類の遺伝子を同時に解析した。

Claims (9)

  1. 以下のステップを備えたことを特徴とする女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報の提供システム。
    1)対象女性の唾液からDNAを抽出、増幅した後に、女性の健康遺伝子のSNPを解析し、健康遺伝子解析データを得るステップ(a);
    2)前記対象女性が入力した生活習慣などの環境要因入力データを得るステップ(b);
    3)ステップ(a)で得られた健康遺伝子解析データとステップ(b)で得られた環境要因入力データとを組み合わせて、女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報を前記対象女性に提供するステップ(c);
  2. DNAチップを用いて女性の健康遺伝子のSNPを解析することを特徴とする請求項1記載の提供システム。
  3. 遺伝子のSNPが、良性変異を有するrs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、及びrs13333226から選ばれることを特徴とする請求項1又は2記載の提供システム。
  4. 環境要因入力データが、身長、体重、体温、心拍数、呼吸数、歩数/日から選ばれるデータであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の提供システム。
  5. 女性の健康増進に有用なカスタマイズ情報が、食事、運動、睡眠における健康管理情報であるであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の提供システム。
  6. 女性の健康遺伝子のSNPを含む領域を特異的に増幅するプライマーセットであって、前記SNPがrs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、及びrs13333226から選ばれる良性変異を有するSNPを有することを特徴とするプライマーセット。
  7. 女性の健康遺伝子のSNPを特異的に検出するプローブが担体上に固定化されてなるDNAチップであって、前記SNPがrs3218536、rs1045485、rs2229616、rs2681472、及びrs13333226から選ばれる良性変異を有するSNPを含むことを特徴とするDNAチップ。
  8. 対象女性由来の試料からゲノムDNAを抽出する工程と、抽出したゲノムDNAを鋳型とし、請求項6記載のプライマーセットにより女性の健康遺伝子のSNPを含む領域を増幅する工程と、請求項7記載のDNAチップにおける担体上に固定化されたプローブと前記増幅DNAとを接触させる工程と、各プローブにおける増幅DNAとのハイブリダイズを検出し、ハイブリダイズした核酸の比に基づいて女性の健康遺伝子のSNPを解析する工程とを含むことを特徴とする女性の健康遺伝子のSNPを解析する方法。
  9. 請求項6記載のプライマーセット、及び請求項7記載のDNAチップを含むことを特徴とする女性の健康遺伝子のSNP解析キット。
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