JP2017208933A - リニア振動モータ - Google Patents

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栞 石井
片田 好紀
Yoshinori Katada
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Abstract

【課題】フル振動までの立ち上がりの時間が短いリニア振動モータを得る。【解決手段】錘7とマグネット4A,4B,4Cを備える可動子10と、通電によって可動子10を一軸方向に沿って振動させる駆動力をマグネット4A,4B,4Cに付与するコイル3と、コイル3が固定される枠体2とを備え、可動子10には、可動子10の静止時には枠体2から離間しており、可動子10の振動時に枠体2から一軸方向に沿った反力を受けるバネ(第1バネ6A)が装着されている。【選択図】図1

Description

本発明は、リニア振動モータに関するものである。
振動モータ(或いは振動アクチュエータ)は、携帯電子機器に内蔵され、着信やアラームなどの信号発生を振動によって携帯者に伝える装置として広く普及しており、携帯者が身につけて持ち運ぶウエアラブル電子機器においては、不可欠な装置になっている。また、振動モータは、タッチパネルなどのヒューマン・インターフェイスにおけるハプティクス(皮膚感覚フィードバック)を実現する装置として、近年注目されている。
振動モータは、各種の形態が開発されている中で、可動子の直線的な往復振動によって比較的大きな振動を発生させることができるリニア振動モータが注目されている。従来のリニア振動モータは、可動子側に錘とマグネットを設け、固定子側に設けたコイルに通電することでマグネットに作用するローレンツ力が駆動力となり、振動方向に沿って弾性支持される可動子を一軸方向に往復振動させるものである(下記特許文献1参照)。
特開2016−13554号公報
このようなリニア振動モータは、コイルに通電する駆動信号を、可動子の質量と可動子を弾性支持するバネのバネ定数とで決まる共振周波数の信号とすることで、大きな振幅の振動を得ることができる。ここで共振周波数を高めるためには、バネのバネ定数を大きく設定する必要がある。この際、可動子を弾性支持するバネのバネ定数を大きくすると、可動子が振動を始める初期振動で可動子はバネの大きな反発力を受けながら動き始めることになるので、可動子が共振周波数でフル振動を始めるまでの立ち上がり時間が長くなってしまう問題がある。携帯電子機器やウエアラブル電子機器に装備されるリニア振動モータでは、信号発生を即座に操作者の皮膚感覚に反映させる必要があるので、信号発生後にリニア振動モータがフル振動を始めるまでの立ち上がり時間を極力短くすることが求められている。
このような課題を解決するために、本発明によるリニア振動モータは、以下の構成を具備するものである。
錘とマグネットを備える可動子と、通電によって可動子を一軸方向に沿って振動させる駆動力を前記マグネットに付与するコイルと、前記コイルが固定される枠体とを備え、前記可動子には、当該可動子の静止時には前記枠体から離間しており、当該可動子の振動時に前記枠体から前記一軸方向に沿った反力を受けるバネが装着されていることを特徴とするリニア振動モータ。
本発明の実施形態に係るリニア振動モータの全体構成を示した説明図(内部平面図)である。 本発明の実施形態に係るリニア振動モータの全体構成を示した説明図(図1におけるA−A断面図)である。 本発明の他の実施形態に係るリニア振動モータの全体構成を示した説明図(内部平面図)である。 本発明の実施形態に係るリニア振動モータを備える携帯電子機器(携帯情報端末)を示した説明図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。以下の異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。図1及び図2は、本発明の一実施形態に係るリニア振動モータの全体構成を示している。各図におけるX方向が振動方向(一軸方向)を示しており、Y方向が幅方向、Z方向が厚さ(高さ)方向を示している。
本発明の実施形態に係るリニア振動モータ1は、錘7とマグネット4A,4B,4Cを備える可動子10と、通電によって可動子10を一軸方向(図示X方向)に沿って振動させる駆動力をマグネット4A,4B,4Cに付与するコイル3と、コイル3が固定される枠体2とを備えている。
枠体2は、図示の例では、一軸方向に沿った底板部2Aを有する底枠体20と、一軸方向に面する側板部2B,2Cを有する一対の側枠体21とを備えている。側枠体21は底枠体20に溶接などで一体に接合されて、枠体2を構成する。底枠体20は、底板部2Aとの両側縁に一軸方向に沿った側板部2D,2Eを一体に備えている。
枠体2は、金属板を加工(プレス加工など)することで形成することができる。図示の例では、枠体2は、幅方向(図示Y方向)の寸法に対して、厚さ方向(図示Z方向)の寸法を小さく、振動方向(図示X方向)の寸法を大きくした薄厚状の略直方体形状(箱形形状)になっている。また、枠体2は、枠体2内の収容物を覆う図示省略した蓋板を必要に応じて備えている。
リニア振動モータ1は、コイル3とマグネット4A,4B,4Cを含むマグネット部4によって駆動部が構成されている。コイル3に、枠体2に設けた信号入力部2A1から振動発生電流を入力することで、マグネット部4に一軸方向(図示X方向)に沿ったローレンツ力(駆動力)が作用する。
マグネット部4は、一軸方向(図示X方向)に沿って着磁された偏平矩形状のマグネット4A,4B,4Cを互いに同極が近接するように複数配置して、スペーサ4D,4Eを間に挟んで結合したものである。ここでの、スペーサ4D,4Eは、磁性体、非磁性体のどちらであっても良く、マグネット4A,4B,4Cの近接配置される同極間の距離を適正な距離に設定できるものであればよい。図示の例では、マグネット4A,4B,4Cを3個連ねているが、2個であってもよいし、4個以上であってもよい。マグネット部4は必要に応じて補強部材5によって一体化されている。
コイル3は、磁極の向きをX方向に向けたマグネット部4の回りに、Y,Z方向に沿って電線を巻いたものであり、その上面と下面の一方又は両方、更には必要に応じて側面を、枠体2の内面に固定している。コイル3の枠体2への固定は、枠体2に直接固定してもよいし、コイル3をコイルボビンに巻いてコイルボビンを枠体2に固定してもよい。
可動子10は、錘7がマグネット部4の一軸方向(図示X方向)両端部に連結されている。錘7は、密度の高い金属材料(例えば、タングステン)などによって構成することができ、図示の例では、マグネット部4の厚さよりも大きいZ方向高さを有すると共にマグネット部4の幅より大きいY方向の幅を有する矩形断面形状を有している。マグネット部4は、補強部材5と連結部材11を介して、その一軸方向(図示X方向)両端部に錘7が連結されている。
可動子10は、図示の例では、一軸方向両側に突設したガイドシャフト8を備えている。ガイドシャフト8は、例えば、一軸方向(図示X方向)に沿って分割配置されており、その一端側が錘7に固定され、他端側が互いに逆向きに突出して自由端を形成している。ガイドシャフト8は、可動子10の重心軸と同軸に配置されることが好ましく、可動子10の振動を一軸方向に沿って案内している。図示の例では、錘7は、ガイドシャフト8を支持するためのガイドシャフト支持部7Bを備えている。ガイドシャフト支持部7Bは、錘7の端部7Aから一軸方向に沿って凹んだ部分である。
ガイドシャフト8は、枠体2に保持される軸受9に軸支される。軸受9は、側枠体21における軸受保持部2Sに保持されている。側枠体21は、この軸受保持部2Sと、軸受保持部2Sを側板部2B,2Cに連結する連結部2Qとを備えており、側板部2B(2C)と軸受保持部2Sと連結部2Qが一体に構成されている。側板部2B,2Cの内面には、ガイドシャフト8の端部が衝突したときの衝撃を吸収する緩衝部材14が設けられている。
可動子10には、バネ6が装着されている。図示の例では、バネ6は、第1バネ6Aと第2バネ6Bを備えている。ここで、第1バネ6Aは、可動子10側に一端が装着され、他端側は可動子10の静止時には枠体2から間隔Lだけ離間している。そして、可動子10の振動時には、第1バネ6Aは枠体2から一軸方向に沿った反力を受ける。また、可動子10に一端側が装着された第2バネ6Bは、可動子10の静止時に枠体2に他端部が支持され、可動子10の振動時に枠体2から一軸方向に沿った反力を受ける。
このように、リニア振動モータ1は、停止時に枠体2からの反力を受けない第1バネ6Aを備えることで、可動子10の振動が始まる初期振動では、可動子10が受ける反力を比較的小さくすることができ、可動子10がフル振動を始めるまでの立ち上がり時間を短くすることができる。ここで、第1バネ6Aは、可動子10側に片持ち支持されている。これは、可動子10における錘7の端部7Aは、第1バネ6Aの端部を受ける面積が枠体2の側板部2B(2C)に対して比較的小さいからであり、受ける面積が小さい端部7A側で第1バネ6Aを常時支持し、第1バネ6Aの自由端側を比較的面積が大きい側板部2B(2C)とすることで、第1バネ6Aは振動時に安定した反力を受けて伸縮動作することができる。これによってリニア振動モータ1は、フル振動までの立ち上がりが短く且つ安定した振動を得ることができる。
図示の例では、第1バネ6Aと第2バネ6Bは、一軸方向に沿って並列配置され、ガイドシャフト8と平行に配置されている。また、第1バネ6Aと第2バネ6Bの一端側は、可動子10における錘7の端部7Aに係止されている。また、第1バネ6Aと第2バネ6Bは、一軸方向に沿った可動子10の端部に一対配置され、第1バネ6Aと第2バネ6Bが同軸になるように配置されている。
このようなリニア振動モータ1によると、コイル3への通電で可動子10が振動し始める初期振動では、第2バネ6Bのみが枠体2からの反力を受けることになり、第1バネ6Aと第2バネ6Bの両方が枠体2から反力を受ける場合と比較すると、可動子10の弾性反力を低く抑えることができる。これによって、可動子10は、比較的早期にフル振動を行うことになり、フル振動が行われるまでの立ち上がり時間を短縮することが可能になる。
ここで、コイル3に通電される駆動信号は、第1バネ6Aのバネ定数と第2バネ6Bのバネ定数を加算したバネ定数によって求められる共振周波数の信号(パルス信号又は交流信号)にすることが好ましい。また、コイル3への通電開始直後の初期段階は、第2バネ6Bのバネ定数によって求められる共振周波数の信号にして、その後、第1バネ6Aのバネ定数と第2バネ6Bのバネ定数を加算したバネ定数によって求められる共振周波数の信号に切り替えるようにしてもよい。
図示の例では、錘7に端部7Aから凹んだガイドシャフト支持部7Bを設けて、そこからガイドシャフト8を突出させている。これにより、十分な振幅を確保しながら、リニア振動モータ1の一軸方向長さを抑え、小型化を可能にしている。錘7のガイドシャフト支持部7Bは、軸受保持部2Sを収容するだけの幅を備えており、ガイドシャフト支持部7B内に軸受保持部2Sが入り込むことで、可動子10の大きな振幅を確保している。この例では、リニア振動モータ1における可動子10の振幅は、ガイドシャフト支持部7Bの端部と軸受9の間の距離、又は個々のガイドシャフト8の突出長さによって制限されることになる。
図3には、本発明の他の実施形態に係るリニア振動モータ1Aを備えている。前述の実施形態と共通する部位は同一符号を付して重複説明を省略する。この例では、可動子10の錘7が矩形状の一体物であり、錘7の内部に空間を設けてそこにマグネット部4を取り付けている。また、ガイドシャフト8の両端は枠体2に固定されており、中間部は錘7内の図示省略した軸受に軸支されている。尚、ガイドシャフト8の一端は枠体2に固定されており、他端は、錘7内の図示省略した軸受に軸支されていてもよい。
このような実施形態において、可動子10には第1バネ6Cと第2バネ6Dが装着されている。ここでは、第1バネ6Cは、可動子10の一軸方向に沿った中心軸Oと同軸に、振動方向両側に配置され、第2バネ6Dは、可動子10の一軸方向に沿った中心軸Oと同軸に、振動方向片側のみに配置されている。第2バネ6Dは、これに限らず、振動方向両側に配置するようにしてもよい。
この例においても、第1バネ6Cは、可動子10の静止時には枠体2から距離Lだけ離間しており、可動子10の振動時に枠体2から一軸方向に沿った反力を受ける。また、枠体2の端面には、第1バネ6Cの端部が衝突したときの衝撃を緩和するための緩衝部材30が取り付けられている。第2バネ6Dは、第1バネ6Cの内側に配置され、第1バネ6Cのバネ定数が第2バネ6Dのバネ定数より大きく設定されている。
このようなリニア振動モータ1Aにおいても、コイル3への通電で可動子10が振動し始める初期振動では、第2バネ6Dのみが枠体2からの反力を受けることになり、第1バネ6Cと第2バネ6Dの両方が枠体2から反力を受ける場合と比較すると、可動子10の弾性反力を低く抑えることができる。これによって、可動子10は、比較的早期にフル振動を行うことになり、フル振動が行われるまでの立ち上がり時間を短縮することが可能になる。
ここでも、コイル3に通電される駆動信号は、第1バネ6Cのバネ定数と第2バネ6Dのバネ定数を加算したバネ定数によって求められる共振周波数の信号(パルス信号又は交流信号)にすることが好ましい。また、コイル3への通電開始直後の初期段階は、第2バネ6Dのバネ定数によって求められる共振周波数の信号にして、その後、第1バネ6Cのバネ定数と第2バネ6Dのバネ定数を加算したバネ定数によって求められる共振周波数の信号に切り替えるようにしてもよい。
以上説明したように、本発明の実施形態に係るリニア振動モータ1,1Aは、コイルへの通電後、短い立ち上がり時間でフル振動を得ることができる。これによって、リニア振動モータ1,1Aが装備される携帯電子機器の操作者に対して振動による信号発生を効果的に知らせることができる。また、感度の高いハプティクスを実現する上で、応答性の高い皮膚感覚フィードバックを行うことができる。なお、前述した実施形態では、バネ6は第1バネ6A(6C)と第2バネ6B(6D)の両方を備える例を示しているが、バネ6の配置バランスを考慮して、第1バネ6A(6C)のみを配置したものであってもよい。
図4は、本発明の実施形態に係るリニア振動モータ1,1Aを装備した電子機器の一例として、携帯情報端末100を示している。フル振動までの立ち上がり時間が短く薄型化や小型化が可能なリニア振動モータ1,1Aを備える携帯情報端末100は、通信機能における着信やアラーム機能などの動作開始を速やかに使用者に伝えることができる。また、リニア振動モータ1,1Aの薄型化・小型化によって高い携帯性或いはデザイン性を追求した携帯情報端末100を得ることができる。更に、リニア振動モータ1,1Aは、厚さを抑えた直方体形状の枠体2内に各部を収容したコンパクト形状であるから、薄型化された携帯情報端末100の内部にスペース効率よく装備することができる。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
1,1A:リニア振動モータ,
2:枠体,20:底枠体,21:側枠体,
2A:底板部,2A1:信号入力部,
2B,2C,2D,2E:側板部,
2S:軸受支持部,2Q:連結部,
3:コイル,4:マグネット部,
4A,4B,4C:マグネット,
4D,4E:スペーサ,
5:補強部材,6:バネ,6A,6C:第1バネ,6B,6D:第2バネ,
7:錘,7A:端部,7B:ガイドシャフト支持部,
8:ガイドシャフト,9:軸受,10:可動子,
11:連結部材,14:緩衝部材,
100:携帯情報端末

Claims (8)

  1. 錘とマグネットを備える可動子と、
    通電によって可動子を一軸方向に沿って振動させる駆動力を前記マグネットに付与するコイルと、
    前記コイルが固定される枠体とを備え、
    前記可動子には、当該可動子の静止時には前記枠体から離間しており、当該可動子の振動時に前記枠体から前記一軸方向に沿った反力を受けるバネが装着されていることを特徴とするリニア振動モータ。
  2. 前記バネを第1バネとして、
    前記可動子は、当該可動子の静止時に前記枠体に端部が支持され、当該可動子の振動時に前記枠体から前記一軸方向に沿った反力を受ける第2バネが装着されていることを特徴とする請求項1記載のリニア振動モータ。
  3. 前記第1バネと前記第2バネは、前記一軸方向に沿って並列配置されていることを特徴とする請求項2記載のリニア振動モータ。
  4. 前記第1バネと前記第2バネは、前記一軸方向に沿って同軸に配置されていることを特徴とする請求項2記載のリニア振動モータ。
  5. 前記第1バネのバネ定数は、前記第2バネのバネ定数より大きいことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のリニア振動モータ。
  6. 前記第1バネと前記第2バネは、前記一軸方向に沿った前記可動子の端部に一対配置されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のリニア振動モータ。
  7. 前記コイルには、前記第1バネのバネ定数と前記第2バネのバネ定数を加算したバネ定数によって求められる共振周波数の信号が通電されることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載されたリニア振動モータ。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のリニア振動モータを備えた携帯電子機器。
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