JP2017207557A - 偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、偏光子の割れが生じにくい薄型の偏光板を提供することを目的とする。さらに、本発明は、高温と低温とを繰り返すような環境下において偏光子に割れが生じる等の外観不良の発生が抑制される偏光板を提供することを目的とする。
【解決手段】第1粘着剤層と、厚さが10μm以下である偏光子と、セルロース系樹脂を含む第1保護フィルムとが積層された偏光板であって、
上記第1保護フィルムは、上記第1保護フィルムにおける上記偏光子とは反対側の面および上記第1保護フィルムにおける上記偏光子側の面の少なくとも一方に傷を有し、
上記傷は、長さ0.001〜500μm、幅0.001〜500μm、かつ深さ0.001〜10μmである傷、および深さ0.001〜10μm、かつ面積0.001〜1.0mmである傷の少なくとも一方である、偏光板。
【選択図】図1

Description

本発明は、様々な光学用途に使用できる偏光板に関する。
近年、スマートフォンのようなモバイル端末は、デザインや携帯性の面から大画面化、スリム化が急速に進みつつある。限られた厚さで長時間の駆動を実現するために、使用される偏光板についても高輝度化、薄型化が要望されている。
このような要望を解決するために、通常、偏光子の両面に貼合される透明樹脂からなる保護フィルムを片側のみに配置し、さらに輝度向上フィルムを貼合した偏光板が提案されている。例えば、特許文献1には、透明樹脂からなる保護フィルム、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向した偏光子、感圧接着剤層、輝度向上フィルムがこの順に積層された薄型で高輝度な偏光板が開示されている。
特開2010−039458号公報
しかしながら、偏光子の薄膜化が進んだ結果、引用文献1に記載されている偏光板において、高温と低温とを繰り返すような環境下で偏光板を使用すると、偏光子に割れが生じてしまう。
このような偏光子の割れは、例えば、偏光板の製造過程における保護フィルムの表面への異物の噛み込み、保護フィルム積層時の異物の噛み込み、および偏光板の取り扱いなどにより偏光板表面の端部付近に生じた傷に起因して生じ得る。
近年の偏光板の薄型化に伴い、偏光子の割れは、より発生しやすくなっていることから、解決策が求められている。
そこで、本発明は、偏光子の割れが生じにくい薄型の偏光板を提供することを目的とする。さらに、本発明は、高温と低温とを繰り返すような環境下で使用しても、偏光子の割れ、光抜け等の外観不良の発生が抑制された偏光板を提供することを目的とする。
本発明は、以下を含む。
[1]
第1粘着剤層と、厚さが10μm以下である偏光子と、セルロース系樹脂を含む第1保護フィルムとが積層された偏光板であって、
上記第1保護フィルムは、上記第1保護フィルムにおける上記偏光子とは反対側の面および上記第1保護フィルムにおける上記偏光子側の面の少なくとも一方に傷を有し、
上記傷は、長さ0.001〜500μm、幅0.001〜500μm、かつ深さ0.001〜10μmである傷、および深さ0.001〜10μm、かつ面積0.001〜1.0mmである傷の少なくとも一方である、偏光板。
[2]
上記第1粘着剤層と、上記偏光子と、上記第1保護フィルムとがこの順に積層された、[1]に記載の偏光板。
[3]
上記第1保護フィルムは、上記第1保護フィルムにおける上記偏光子とは反対側の面に傷を有する、[1]または[2]に記載の偏光板。
本発明の偏光板は、高温と低温とを繰り返すような環境下においても、偏光子の光抜け、割れなどを生じることなく良好な偏光特性を示す。
また、本発明の偏光板は、薄型であり、かつ、強度、耐久性に優れた偏光板である。
図1は本発明の偏光板における層構成の概略断面図を例示したものである。
以下、本発明に係る偏光板について適宜図を用いて説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
本発明において、偏光板は、第1粘着剤層と、厚さが10μm以下である偏光子と、第1保護フィルムとが積層されており、これらの積層順は特に限定されない。一実施態様において、図1に示すように、本発明の偏光板100は、第1粘着剤層11、偏光子12および第1保護フィルム13がこの順に積層された構成を有し得る。このように偏光子の片側にのみ保護フィルムを有する場合、高温と低温とを繰り返すような環境下において偏光子の割れが生じやすいが、本発明によれば効果的に偏光子の割れを抑制し得る。
本発明における偏光子は、厚さが10μm以下であり、自然光などの光を直線偏光に変換する機能を有する部材である。例えば、偏光子は8μm以下の厚さを有する。また、本発明における偏光子は、2μm以上の厚さを有し得る。一実施態様において、偏光子は、2μm〜8μmの厚さを有し得る。
従来は、偏光子が薄いほど、偏光板に存在する傷による偏光子の割れへの影響が顕著に出やすくなる傾向があった。しかし、本発明によって、このような問題は解決され、上記範囲の薄い偏光子であっても、偏光板は割れを生じることなく、優れた光学特性を示し得る。
本発明における第1保護フィルムは、第1保護フィルムにおける偏光子とは反対側の面および第1保護フィルムにおける偏光子側の面の少なくとも一方に傷を有する。傷は、長さ0.001〜500μm、幅0.001〜500μm、かつ深さ0.001〜10μmである傷、および深さ0.001〜10μm、かつ面積0.001〜1.0mmである傷の少なくとも一方である。
第1保護フィルムがこのようなサイズの傷を有することにより、高温と低温とを繰り返すような環境下においても、本発明の偏光板は、光抜け、割れなどを生じることなく良好な偏光特性を示すことができる。その理由は定かではないが、第1保護フィルムが、上記傷を有することにより、高温と低温とを繰り返すような環境下における第1保護フィルムの挙動と偏光子の挙動との差が小さくなり、偏光子に加わる力を小さくすることができる。さらに、偏光板における第1保護フィルムが、その表面に上記範囲の傷を有することにより、高温と低温とを繰り返すような環境下で熱衝撃が加わったときに、傷を起点に偏光板内部の応力が逃げやすくなるためであると考えられる。
第1保護フィルムがセルロース系樹脂を含むことにより、本発明の偏光板は、さらに、光抜け、割れなどを生じることなく良好な偏光特性を示すことができる。一方、上記範囲を超える傷は、それ自体が視認性悪化の原因となり得る。
ここで、本発明における「傷」は、傷の寸法が上記範囲に含まれる限り、形状は限定されない。例えば、線状の傷、多角形状の傷、曲線状の傷、複数の傷が分岐した傷(例えば擦り傷状)、凹み(例えば、円柱、多角柱、円錐、多角錘、テーパー状)などが含まれる。
また、本発明における「傷」において、傷の寸法が上記範囲に含まれる限り、傷の深さ、および幅などの寸法は、変動していてもよい。例えば、傷のある地点では6μmの深さを有し、傷の別の地点では、7μmの深さを有してもよい。
このような傷の寸法の計測は、常套の方法が用いられ、例えば、レーザー光による計測、顕微鏡による計測が挙げられる。
本発明に係る傷の寸法は、第1保護フィルムに存在する最も大きな傷における、各辺の最大値を測定したものである。例えば、本発明においては、傷の長さ、幅、厚さの合計値が最大である傷を、最も大きな傷と仮定している。
また、傷の面積とは、第1保護フィルムの平面に平行な面内における面積を意味する。すなわち、傷の面積は、傷の深さを考慮しなくてもよく、単に、第1保護フィルムの平面に観察される傷の面積を測定すればよい。また、傷の面積は、常套の方法を用いて算出できる。
傷が存在する位置は、特に限定されない。例えば、フィルム表面の全域において、ランダムに傷は存在し得る。例えば、傷は、第1保護フィルムの表面端部に存在する。
例えば、傷は、第1保護フィルムにおける偏光子とは反対側の面に存在する。この場合において、傷は、例えば、長さ0.001〜500μm、幅0.001〜500μm、かつ深さ0.001〜10μmの寸法を有する。
また、傷は、第1保護フィルムの表面に少なくとも1つ存在すればよく、1mmあたり0.0001〜0.001個の密度で存在し得る。例えば、65mm×130mmサイズの偏光板の場合、約0.8〜約8.5個の傷が存在し得る。傷の数が、このような範囲を超えて存在すると、偏光板のヘーズ値が高くなり、偏光板の光学特性が不十分となり得る。
また、第1保護フィルムの深さ方向に形成された傷の形状は、第1保護フィルムの平面に対して垂直方向に形成されたものであってもよく、第1保護フィルムの平面に対して斜め方向に形成されたものであってもよく、これらを組合せた形状であってもよい。
傷の形成方法は特に限定されず、例えば、偏光板の製造過程における保護フィルムの表面への異物の噛み込み、保護フィルム積層時の異物の噛み込み、および偏光板の取り扱いなどにより偏光板表面の端部付近に生じた傷を利用することもできる。また、偏光板の製造時に、例えば、第1保護フィルムの表面端部に所定の傷を設けてもよい。この場合、引っ掻き式硬度計などを用いて、第1保護フィルムの表面端部に傷を設けてもよい。
本発明における傷の寸法は、上記範囲に含まれる限り、以下に記載の寸法を組合せた傷であり得る。
傷の長さは0.001〜500μmであり、別の態様では0.001〜400μmである。なお、折れ曲がった傷、曲線状の傷の場合、傷の長さは、その傷の長さの合計で示される。
傷の幅は、0.001〜500μmであり、別の態様では0.001〜400μmである。
傷の深さは0.001〜10μmであり、別の態様では1〜10μmである。
例えば、凹状の傷の場合、傷の長さ、幅等を測定せずに、傷の面積で、傷の寸法を算出してもよい。この場合、傷は、0.01〜1.0mmの面積を有し、例えば0.1〜0.50mmの面積を有し、別の態様では0.1〜0.30mmの面積を有する。
別の実施態様において、傷は、長さ0.001〜500μm、幅0.001〜500μm、かつ深さ0.001〜10μmの寸法を有する。
さらに別の実施態様において、傷は、深さ0.001〜10μmであり、かつ0.01〜1.0mmの面積を有する。
[偏光子]
本発明における偏光子は、一般に、透過軸と吸収軸とを有している。このような偏光子の透過軸方向は、偏光子に自然光を透過させたときの透過光の振動方向として理解される。一方、偏光子の吸収軸は、偏光子の透過軸に直交している。なお、偏光子は、一般に、延伸フィルムであり得、偏光子の吸収軸方向は、その延伸方向に一致する。
本発明において、用語「偏光子の透過軸方向と平行な方向」は、上述した偏光子の透過軸方向と、平行であるかまたは略平行(なす角度が±7度以内)となる方向を示す。
偏光子は、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させたものであり得る。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸、オレフィン、ビニルエーテル、不飽和スルホン酸、アンモニウム基を有するアクリルアミドなどが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、80モル%以上の範囲であり得る。例えば90モル%以上、別の態様では95モル%の範囲である。ポリビニルアルコール系樹脂は、一部が変性されている変性ポリビニルアルコールであってもよく、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂をエチレンおよびプロピレン等のオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸等の不飽和カルボン酸;不飽和カルボン酸のアルキルエステルおよびアクリルアミドなどで変性したものが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、例えば100〜10000であり、別の態様では1500〜8000であり、さらに別の態様では2000〜5000である。
偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂から構成される原反フィルムを一軸延伸し、二色性色素で染色し(染色処理)、ホウ酸水溶液で処理し(ホウ酸処理)、水洗し(水洗処理)、最後に乾燥させて製造することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、二色性色素による染色と同時に行ってもよいし、二色性色素による染色の後に行ってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色後に行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。またもちろん、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸を施すには、周速の異なるロール間を通して延伸してもよいし、熱ロールで挟む方法で延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤により膨潤した状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの最終的な延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
染色処理では、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色し、フィルムに二色性色素を吸着させる。染色処理は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬させればよい。二色性色素としては、具体的に、ヨウ素または二色性染料が用いられる。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100質量部あたり、通常0.01〜0.5質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常 0.5〜10質量部程度である。この水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、水100質量部あたり、通常1×10−3〜1×10−2質量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を含有していてもよい。この水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
ホウ酸処理は、例えば、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬させて行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100質量部あたり、通常2〜15質量部程度、例えば5〜12質量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、このホウ酸水溶液は、ヨウ化カリウムを含有し得る。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常2〜20質量部程度、例えば5〜15質量部である。ホウ酸水溶液へのフィルムの浸漬時間は、通常100〜1200秒程度であり、例えば150秒以上、別の態様では200秒以上である。一方、浸漬時間は、例えば600秒以下、別の態様では400秒以下である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上であり、例えば50〜85℃である。ホウ酸水溶液には、pH調整剤として、硫酸、塩酸、酢酸、アスコルビン酸などを添加してもよい。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムには通常、水洗処理が施される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬させて行われる。水洗後に乾燥が施され、偏光子が得られる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。その後に行われる乾燥は、通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行われる。その乾燥温度は通常40〜100℃であり、乾燥時間は通常120〜600秒程度である。
[保護フィルム]
一実施態様において、第1保護フィルムと、偏光子は、接着剤層を介して貼合されている。接着剤層の厚さは、例えば0.001μm〜10μmである。接着剤層は、当該技術分野において公知のものを使用できる。接着剤層を形成する接着剤としては、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤を使用することができる。第1保護フィルムと偏光子とを接着剤層を介して貼合することにより、高温と低温とを繰り返すような環境下においても、偏光子の光抜け、割れなどを抑制し得る。
第1保護フィルムの厚さは、5〜90μmであり、例えば60μm以下、別の態様では30μm以下である。このような範囲に厚みを有することにより、本発明の偏光板は、優れた機械的性質および光学的性質を有することができる。
例えば、第1保護フィルムは、偏光子の吸収軸方向および透過軸方向において、所定の範囲の寸法変化率を有し得る。
(偏光子の吸収軸方向における寸法変化率)
例えば、第1保護フィルムの、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向と記載する場合もある)における、85℃相対湿度5%の条件下で1時間経過後の寸法変化率を、保護フィルムのMD方向寸法変化率(85℃)としたときに、保護フィルムのMD方向寸法変化率(85℃)は、0.06〜0.25であることが好ましく、0.06〜0.20であることがより好ましく、0.06〜0.15であることがさらに好ましい。
このような範囲に寸法変化率を有することにより、高温と低温とを繰り返すような環境下における偏光子の割れを、より効果的に抑制し得る。
一方、保護フィルムの、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向)における、30℃相対湿度95%の条件下で0.5時間経過後の寸法変化率を、保護フィルムのMD方向寸法変化率(30℃)としたときに、保護フィルムのMD方向寸法変化率(30℃)は、−0.25〜0.00であることが好ましく、−0.15〜0.00であることがより好ましい。このような範囲に寸法変化率を有することにより、高温と低温とを繰り返すような環境下における偏光子の割れを、より効果的に抑制し得る。
本発明において、85℃相対湿度5%の条件下で1時間経過後におけるMD方向寸法変化率は、以下の式に従い測定される。
ここで、例えば、本発明において、保護フィルムの、偏光子の吸収軸方向と平行な方向における、85℃相対湿度5%の条件下で1時間経過後の寸法変化率を、保護フィルムのMD方向寸法変化率(85℃)と記載する場合がある。
保護フィルムのMD方向寸法変化率(85℃)=[(L0−L85)/L0]×100
[式中、L0は、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向)(長尺方向または幅方向)における、裁断されたフィルムのフィルム寸法を意味し、
L85は、85℃相対湿度5%の条件下で1時間経過後における、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向)(長尺方向または幅方向)のフィルム寸法を意味する。]
例えば、フィルム裁断時にMD方向の寸法(L0)を測定した場合、85℃相対湿度5%の条件下で1時間静置した後においても、フィルムのMD方向の寸法(L85)を測定し、寸法変化率を算出する。また、偏光板を製造した後に、偏光板から偏光子等を除き得られる保護フィルムにおける偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向)の寸法(L0)を測定した場合、85℃相対湿度5%の条件下で1時間静置した後においても、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向)の寸法(L85)を測定し、寸法変化率を算出する。
このようにして算出された、寸法変化率(85℃)は、正の値であれば収縮を意味し、負の値であれば膨張を意味する。
なお、一態様において、第1保護フィルムにおける、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向)は、第1保護フィルムの延伸方向であってもよく、さらに、長尺方向であってもよい。
上記と同様に、本発明において、30℃相対湿度95%の条件下で0.5時間経過後における寸法変化率の算出は、寸法変化率(85℃)を測定した後のフィルムに対して、以下の式に従い測定される。
例えば、本発明において、保護フィルムの、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向)における、30℃相対湿度95%の条件下で0.5時間経過後のMD方向寸法変化率を、保護フィルムのMD方向寸法変化率(30℃)と記載する場合がある。
MD方向寸法変化率(30℃)=[(L030−L30)/L0]×100
[式中、L030は、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向)(長尺方向または幅方向)における、寸法変化率(85℃)を測定した後のフィルム寸法を意味し、
L30は、30℃相対湿度95%の条件下で0.5時間経過後における、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向)(長尺方向または幅方向)のフィルム寸法を意味する。]
例えば、寸法変化率(85℃)を測定した後、温度23℃、湿度55%にて15分間放置した後、L030を測定し得る。
このようにして算出された、MD方向寸法変化率(30℃)は、正の値であれば収縮を意味し、負の値であれば膨張を意味する。
本発明における保護フィルムは、寸法変化率(85℃)の符号と寸法変化率(30℃)の符号は、共に同じ符号(正、負またはゼロ)であってもよく、異なる符号であってもよい。一態様においては、寸法変化率(85℃)の符号と寸法変化率(30℃)の符号は異なる符号である。
本発明の偏光板は、第1保護フィルムがこのような範囲に寸法変化率を有することにより、高温条件、多湿条件下において偏光子に生じる割れ、光抜けをさらに抑制でき、さらに優れた耐久性を有し得る。また、このような特性を有する保護フィルムを有する偏光板は、偏光子を薄くでき、かつ、保護フィルムの表面に凹みなどの物理的な変化が生じた場合であっても、偏光子の割れを抑制できる。
(偏光子の吸収軸方向と垂直方向における寸法変化率)
例えば、第1保護フィルムの、偏光子の吸収軸方向と垂直方向、すなわち、偏光子の透過軸方向と平行な方向(TD方向と記載する場合もある)における、85℃相対湿度5%の条件下で1時間経過後の寸法変化率を、保護フィルムのTD方向寸法変化率(85℃)としたときに、保護フィルムのTD方向寸法変化率(85℃)は、0.05〜0.25であることが好ましく、0.05〜0.20であることがより好ましい。このような範囲に寸法変化率を有することにより、高温と低温とを繰り返すような環境下における偏光子の割れを、より効果的に抑制し得る。
一方、保護フィルムの、偏光子の透過軸方向と平行な方向(TD方向)における、30℃相対湿度95%の条件下で0.5時間経過後の寸法変化率を、保護フィルムのTD方向寸法変化率(30℃)としたときに、保護フィルムのTD方向寸法変化率(30℃)は、−0.25〜0.00であることが好ましく、−0.20〜0.00であることがより好ましい。このような範囲に寸法変化率を有することにより、高温と低温とを繰り返すような環境下における偏光子の割れを、より効果的に抑制し得る。
例えば、保護フィルムのTD方向寸法変化率(85℃)と保護フィルムのTD方向寸法変化率(30℃)との差の絶対値は、例えば、0.20〜0.50であることが好ましく、0.03〜0.30であることがより好ましい。このような範囲に寸法変化率の差の絶対値を有することにより、高温と低温とを繰り返すような環境下における偏光子の割れを、より効果的に抑制し得る。
本発明の偏光板は、第1保護フィルムがこのような範囲に寸法変化率、寸法変化率の差の絶対値を有することにより、高温条件、多湿条件下において偏光子に生じる割れ、光抜けをさらに抑制でき、さらに優れた耐久性を有し得る。また、このような特性を有する保護フィルムを有する偏光板は、偏光子を薄くでき、かつ、保護フィルムの表面に凹みなどの物理的な変化が生じた場合であっても、偏光子の割れを抑制できる。
第1保護フィルムは、セルロース系樹脂を含むフィルムである。ある態様において、第1保護フィルムは、後述のように、セルロース系樹脂を主成分とするフィルムである。第1保護フィルムは、セルロース系樹脂などの樹脂を主成分とする単層フィルムであってもよく、セルロース系樹脂などの樹脂を主成分とする層を有する多層フィルムであってもよい。
ここで、用語「主成分」は、第1保護フィルムにおける樹脂成分100質量部に対して、50質量部超、別の態様では80質量部以上、別の態様では90質量部以上の量で、第1保護フィルムに含まれる樹脂成分を意味する。
これら単層フィルムまたは多層フィルムの両面又は片面に表面処理が施されたものであってもよい。
この表面処理は、コロナ処理、ケン化処理、熱処理、紫外線照射、電子線照射等による表面改質であってもよい。また、高分子や金属等の塗布や蒸着等による薄膜形成であってもよい。
例えば、第1保護フィルムは、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層および防汚層等の表面処理層(コーティング層)を形成することもできる。保護フィルム表面に表面処理層を形成する方法には、公知の方法を用いることができる。例えば、第1保護フィルムは、上記偏光子とは反対側の面にハードコート層を有してもよい。例えば、第1保護フィルムがハードコート層を有することにより、偏光板表面にスクラッチ傷等が発生することを抑制できる。なお、本発明においては、スクラッチ傷等の寸法が本発明の範囲内であれば、偏光板に影響は生じない。しかし、通常、スクラッチ傷は広範囲に及ぶことが多く、スクラッチ傷等の発生を抑制できることが好ましい。
一実施態様において、第1保護フィルムの、偏光子とは反対側の面に設けられたハードコート層は、1〜10μmの厚さを有する。例えば、ハードコート層の厚さは、第1保護フィルムの厚さよりも小さい。
別の態様では、第1保護フィルムの厚さに対するハードコート層の厚さの比は、0.9:1〜0.01:1の範囲である。
第1保護フィルムの厚さに対するハードコート層の厚さの比が上記の範囲であると、得られた偏光板は、高温条件と低温条件とが繰り返される環境(例えば、冷熱衝撃環境下)において、偏光子に生じる収縮等の応力が保護フィルムにより抑制され、偏光子にクラックが発生しにくくなることから、さらに耐久性に優れる偏光板となる。
第1保護フィルムがハードコート層などの表面処理層を有する場合、第1保護フィルムは、例えば、上記第1保護フィルムにおける上記偏光子とは反対側の面に配置された表面処理層表面に、例えば、表面処理層の視認側表面に、長さ0.001〜500μm、幅0.001〜500μm、かつ深さ0.001〜10μmである傷、および深さ0.001〜10μm、かつ面積0.001〜1.0mmである傷の少なくとも一方を有してもよい。
第1保護フィルムがハードコート層などの表面処理層を有する場合、ハードコート処理が行われた市販の保護フィルムを用いてもよい。この場合、本発明に係る傷は、表面処理層に設けられてもよく、例えば、表面処理層の視認側表面に傷が設けられ得る。
第1保護フィルムは、セルロース系樹脂を含む熱可塑性樹脂から構成される透明樹脂フィルムであり得る。セルロース系樹脂は、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネート等のセルロースエステル系樹脂である。
また、第1保護フィルムは、セルロース系樹脂に加えて、他の熱可塑性樹脂、例えば、ポリプロピレン系樹脂を例とする鎖状ポリオレフィン系樹脂および環状ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチルメタクリレート樹脂から選択される(メタ)アクリル系樹脂;またはこれらの少なくとも2種以上の混合物などを含んでもよい。また、上記樹脂を構成する少なくとも2種以上の単量体の共重合物を用いてもよい。一態様において、保護フィルム全体に占めるセルロース系樹脂の質量割合は、保護フィルム全体を100質量%とした場合、一例として50質量%以上、別の態様では70質量%以上、さらに別の態様では90質量%以上である。
セルロースエステル系樹脂は通常、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートなどが挙げられる。また、これらの共重合させたものや、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものを用いることもできる。これらの中でも、例えばセルローストリアセテート(トリアセチルセルロース:TAC)が選択され得る。セルローストリアセテートは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。セルローストリアセテートの市販品の例は、いずれも商品名で、富士フイルム株式会社から販売されている「フジタック(登録商標) TD80 」、「フジタック(登録商標) TD80UF」、「フジタック(登録商標) TD80UZ」および「フジタック(登録商標) TD40UZ 」、コニカミノルタ株式会社製のTACフィルム「KC8UX2M」、「KC2UA」および「KC4UY」などがある。
例えば、セルロース系樹脂を含む第1保護フィルムは、作製されたフィルムに対して延伸処理を施したものであってもよい。所望の光学特性や機械特性を有するフィルムを得るために延伸処理を要することがある。延伸処理としては、一軸延伸や二軸延伸などが挙げられる。延伸方向としては、未延伸フィルムの機械流れ方向(MD)、これに直交する方向(TD)、機械流れ方向(MD)に斜交する方向などが挙げられる。二軸延伸は、2つの延伸方向に同時に延伸する同時二軸延伸でもよく、所定方向に延伸した後で他の方向に延伸する逐次二軸延伸であってもよい。
環状ポリオレフィン系樹脂は通常、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1-240517号公報、特開平3-14882号公報、特開平3-122137 号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、エチレンおよびプロピレン等の鎖状オレフィンと環状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、およびこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物等である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
環状ポリオレフィン系樹脂は種々の製品が市販されている。環状ポリオレフィン系樹脂の市販品の例としては、いずれも商品名で、TOPAS ADVANCED POLYMERS GmbH にて生産され、日本ではポリプラスチックス株式会社から販売されている「TOPAS」(登録商標) 、JSR株式会社から販売されている「アートン」(登録商標)、日本ゼオン株式会社から販売されている「ゼオノア」(登録商標)および「ゼオネックス」(登録商標)、三井学株式会社から販売されている「アペル」(登録商標)などがある。
また、製膜された環状ポリオレフィン系樹脂フィルムの市販品を保護フィルムとして用いてもよい。市販品の例としては、いずれも商品名で、JSR株式会社から販売されている「アートンフィルム」(「アートン」は同社の登録商標)、積水化学工業株式会社から販売されている「エスシーナ」(登録商標)および「SCA40」、日本ゼオン株式会社から販売されている「ゼオノアフィルム」(登録商標)などが挙げられる。
ポリメタクリル酸エステルおよびポリアクリル酸エステル(以下、ポリメタクリル酸エステルおよびポリアクリル酸エステルをまとめて(メタ)アクリル系樹脂ということがある。)は、市場から容易に入手できる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルキルエステルの単独重合体や、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体などが挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルとして具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレートなどが、またアクリル酸アルキルエステルとして具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレートなどがそれぞれ挙げられる。かかる(メタ)アクリル系樹脂には、汎用の(メタ)アクリル系樹脂として市販されているものが使用できる。(メタ)アクリル系樹脂として、耐衝撃(メタ)アクリル樹脂と呼ばれるものを使用してもよい。
(メタ)アクリル系樹脂は通常、メタクリル酸エステルを主体とする重合体である。メタクリル系樹脂は、1種類のメタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステルと他のメタクリル酸エステルやアクリル酸エステルなどとの共重合体であってもよい。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜4程度である。また、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル等のメタクリル酸シクロアルキル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸アリール、メタクリル酸シクロヘキシルメチル等のメタクリル酸シクロアルキルアルキル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アラルキルを用いることもできる。
(メタ)アクリル系樹脂を構成し得る上記他の重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステルや、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル以外の重合性モノマーを挙げることができる。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルエステルを用いることができ、その具体例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルを含む。アルキル基の炭素数は、例えば1〜4である。(メタ)アクリル系樹脂において、アクリル酸エステルは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル以外の重合性モノマーとしては、例えば、分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する単官能モノマーや、分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する多官能モノマーを挙げることができるが、単官能モノマーが好ましく用いられる。単官能モノマーの具体例は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ハロゲン化スチレン、ヒドロキシスチレン等のスチレン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸;N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド;メタクリルアルコール、アリルアルコール等のアリルアルコール;酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン、メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどの他のモノマーを含む。
また、多官能モノマーの具体例は、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリル等の不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼン等の芳香族ポリアルケニル化合物を含む。メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル以外の重合性モノマーは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系樹脂の好ましいモノマー組成は、全モノマー量を基準に、メタクリル酸アルキルエステルが50〜100質量%、アクリル酸アルキルエステルが0〜50質量%、これら以外の重合性モノマーが0〜50質量%であり、別の態様では、メタクリル酸アルキルエステル50〜99.9質量%、アクリル酸アルキルエステルが0.1〜50質量%、これら以外の重合性モノマーが0〜49.9質量%である。
また(メタ)アクリル系樹脂は、フィルムの耐久性を高め得ることから、高分子主鎖に環構造を有していてもよい。環構造は、環状酸無水物構造、環状イミド構造、ラクトン環構造等の複素環構造であることが好ましい。具体的には、無水グルタル酸構造、無水コハク酸構造等の環状酸無水物構造、グルタルイミド構造、コハクイミド構造等の環状イミド構造、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン環構造が挙げられる。主鎖中の環構造の含有量を大きくするほど(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度を高くすることができる。環状酸無水物構造や環状イミド構造は、無水マレイン酸やマレイミド等の環状構造を有するモノマーを共重合することによって導入する方法、重合後脱水・脱メタノール縮合反応により環状酸無水物構造を導入する方法、アミノ化合物を反応させて環状イミド構造を導入する方法などによって導入することができる。ラクトン環構造を有する樹脂(重合体)は、高分子鎖にヒドロキシル基とエステル基とを有する重合体を調製した後、得られた重合体におけるヒドロキシル基とエステル基とを、加熱により、必要に応じて有機リン化合物のような触媒の存在下に環化縮合させてラクトン環構造を形成する方法によって得ることができる。
高分子鎖にヒドロキシル基とエステル基とを有する重合体は、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸n−ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチル等のヒドロキシル基とエステル基とを有する(メタ)アクリル酸エステルをモノマーの一部として用いることにより得ることができる。ラクトン環構造を有する重合体のより具体的な調製方法は、例えば特開2007−254726号公報に記載されている。
上記のようなモノマーを含むモノマー組成物をラジカル重合させることにより、(メタ)アクリル系樹脂を調製することができる。モノマー組成物は、必要に応じて溶剤や重合開始剤を含むことができる。
(メタ)アクリル系樹脂は、上述した(メタ)アクリル系樹脂以外の他の樹脂を含んでいてもよい。当該他の樹脂の含有率は、例えば0〜70質量%、別の態様では0〜50質量%、さらに別の態様では0〜30質量%である。当該樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸からなるポリアリレート;ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等の生分解性ポリエステル;ポリカーボネート;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルニトリル;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミドなどであり得る。
(メタ)アクリル系樹脂は、フィルムの耐衝撃性や製膜性を向上させる観点から、ゴム粒子を含有してもよい。ゴム粒子は、ゴム弾性を示す層のみからなる粒子であってもよいし、ゴム弾性を示す層と共に他の層を有する多層構造の粒子であってもよい。ゴム弾性体としては、例えば、オレフィン系弾性重合体、ジエン系弾性重合体、スチレン−ジエン系弾性共重合体、アクリル系弾性重合体などが挙げられる。中でも、耐光性および透明性の観点から、アクリル系弾性重合体が好ましく用いられる。
アクリル系弾性重合体は、アクリル酸アルキルを主体とする、すなわち、全モノマー量を基準にアクリル酸アルキル由来の構成単位を50質量%以上含む重合体であり得る。アクリル系弾性重合体は、アクリル酸アルキルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸アルキル由来の構成単位を50質量%以上と、他の重合性モノマー由来の構成単位を50質量%以下含む共重合体であってもよい。
アクリル系弾性重合体を構成するアクリル酸アルキルとしては通常、そのアルキル基の炭素数が4〜8のものが用いられる。上記他の重合性モノマーの例を挙げれば、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸アルキル;スチレン、アルキルスチレン等のスチレン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル等の単官能モノマー、さらには、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸メタクリル等の不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;マレイン酸ジアリル等の二塩基酸のジアルケニルエステル;アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等のグリコールの不飽和カルボン酸ジエステル等の多官能モノマーである。
アクリル系弾性重合体を含むゴム粒子は、アクリル系弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であることが好ましい。具体的には、アクリル系弾性重合体の層の外側にメタクリル酸アルキルを主体とする硬質の重合体層を有する2層構造のものや、さらにアクリル系弾性重合体の層の内側にメタクリル酸アルキルを主体とする硬質の重合体層を有する3層構造のものが挙げられる。
アクリル系弾性重合体の層の外側または内側に形成される硬質の重合体層を構成するメタクリル酸アルキルを主体とする重合体におけるモノマー組成の例は、(メタ)アクリル系樹脂の例として挙げたメタクリル酸アルキルを主体とする重合体のモノマー組成の例と同様であり、特にメタクリル酸メチルを主体とするモノマー組成が好ましく用いられる。このような多層構造のアクリル系ゴム弾性体粒子は、例えば特公昭55−27576号公報に記載の方法によって製造することができる。
ゴム粒子は、(メタ)アクリル系樹脂の製膜性、フィルムの耐衝撃性、フィルム表面の滑り性の観点から、その中に含まれるゴム弾性体層(アクリル系弾性重合体の層)までの平均粒径が10〜350nmの範囲にあることが好ましい。当該平均粒径は、例えば30nm以上、別の態様では50nm以上である。一方、粒径は、例えば300nm以下、別の態様では280nm以下である。
ゴム粒子におけるゴム弾性体層(アクリル系弾性重合体の層)までの平均粒径は、次のようにして測定される。すなわち、このようなゴム粒子を(メタ)アクリル系樹脂に混合してフィルム化し、その断面を酸化ルテニウムの水溶液で染色すると、ゴム弾性体層だけが着色してほぼ円形状に観察され、母層の(メタ)アクリル系樹脂は染色されない。そこで、このようにして染色されたフィルム断面から、ミクロトームなどを用いて薄片を調製し、これを電子顕微鏡で観察する。そして、無作為に100個の染色されたゴム粒子を抽出し、各々の粒子径(ゴム弾性体層までの径)を算出した後、その数平均値を上記平均粒径とする。このような方法で測定するため、得られる上記平均粒径は数平均粒径である。
最外層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体であり、その中にゴム弾性体層(アクリル系弾性重合体の層)が包み込まれているゴム粒子である場合、それを母体の(メタ)アクリル系樹脂に混合すると、ゴム粒子の最外層が母体の(メタ)アクリル系樹脂と混和する。そのため、その断面を酸化ルテニウムで染色し、電子顕微鏡で観察すると、ゴム粒子は、最外層を除いた状態の粒子として観察される。具体的には、内層がアクリル系弾性重合体であり、外層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体である2層構造のゴム粒子である場合には、内層のアクリル系弾性重合体部分が染色されて単層構造の粒子として観察される。また、最内層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体であり、中間層がアクリル系弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体である3層構造のゴム粒子の場合には、最内層の粒子中心部分が染色されず、中間層のアクリル系弾性重合体部分のみが染色された2層構造の粒子として観察されることになる。
(メタ)アクリル系樹脂の製膜性、フィルムの耐衝撃性、フィルム表面の滑り性の観点から、ゴム粒子は、(メタ)アクリル系樹脂フィルムを構成する(メタ)アクリル系樹脂との合計量を基準に、例えば3質量%以上、60質量%以下の割合で配合され得、別の態様では45質量%以下、さらに別の態様では35質量%以下である。ゴム弾性体粒子が60質量%より多くなると、フィルムの寸法変化が大きくなり、耐熱性が低下する。一方、ゴム弾性体粒子が3質量%より少ないと、フィルムの耐熱性は良好であるものの、フィルム製膜時の巻き取り性が悪く、生産性が低下してしまうことがある。なお、本発明においては、ゴム弾性体粒子として、ゴム弾性を示す層と共に他の層を有する多層構造の粒子を用いた場合は、ゴム弾性を示す層とその内側の層からなる部分の質量を、ゴム弾性体粒子の質量とする。例えば、上述の3層構造のアクリル系ゴム弾性体粒子を用いた場合は、中間層のアクリル系ゴム弾性重合体部分と最内層のメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体部分との合計質量を、ゴム弾性体粒子の質量とする。上述の3層構造のアクリル系ゴム弾性体粒子をアセトンに溶解させると、中間層のアクリル系ゴム弾性重合体部分と最内層のメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体部分とは、不溶分として残るので、3層構造のアクリル系ゴム弾性体粒子に占める中間層と最内層の合計の質量割合は、容易に求めることができる。
(メタ)アクリル系樹脂フィルムがゴム粒子を含む場合において、当該フィルムの作製に用いられるゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物は、(メタ)アクリル系樹脂とゴム粒子とを溶融混練などにより混合することによって得ることができるほか、まずゴム粒子を作製し、その存在下に(メタ)アクリル系樹脂の原料となるモノマー組成物を重合させる方法によっても得ることができる。
(メタ)アクリル系樹脂フィルムの作製には従来公知の製膜方法を採用することができる。(メタ)アクリル系樹脂フィルムは多層構造を有していてもよく、多層構造の(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、フィードブロックを用いる方法、マルチマニホールドダイを用いる方法など、一般に知られる種々の方法を用いることができる。中でも、例えばフィードブロックを介して積層し、Tダイから多層溶融押出成形し、得られる積層フィルム状物の少なくとも片面をロールまたはベルトに接触させて製膜する方法は、表面性状の良好なフィルムが得られる点で好ましい。とりわけ、(メタ)アクリル系樹脂フィルムの表面平滑性および表面光沢性を向上させる観点からは、上記多層溶融押出成形して得られる積層フィルム状物の両面をロール表面またはベルト表面に接触させてフィルム化する方法が好ましい。この際に用いるロールまたはベルトにおいて、(メタ)アクリル系樹脂と接するロール表面またはベルト表面は、(メタ)アクリル系樹脂フィルム表面への平滑性付与のために、その表面が鏡面となっているものが好ましい。
保護フィルムには、通常の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、有機系染料、顔料、無機系色素、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤などを含有させてもよい。中でも紫外線吸収剤は、耐候性を高めるうえで用いられることが多い。
偏光子における第1保護フィルムが貼合される面とは反対面に、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層を有してもよい。硬化性樹脂組成物は、特に限定されないが、例えば、溶剤可溶系、水可溶系、水分散系、無溶剤系などの樹脂組成物が挙げられる。また、硬化性樹脂組成物の硬化方法としては、熱硬化型あるいは、活性化エネルギー線硬化型が挙げられる。前記硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層を有する場合、高温と低温とを繰り返すような環境下における偏光子割れをより効果的に抑制し得る。
ある態様において、本発明の偏光板は、偏光子と、第1粘着剤層の間に、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層を有し得る。
硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層の厚みは、0.1μm〜10μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μm〜5μmである。
(粘着剤層)
第1粘着剤層を形成する粘着剤としては、従来公知のものを適宜選択すればよく、偏光板がさらされる高温環境、湿熱環境または高温と低温が繰り返されるような環境下において、剥れなどが生じない程度の接着性を有するものであればよい。具体的には、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤などを挙げることができ、透明性、耐候性、耐熱性、加工性の点で、例えばアクリル系粘着剤が用いられ得る。
粘着剤には、必要に応じ、粘着付与剤、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、シランカップリング剤など、各種の添加剤を適宜に配合してもよい。
粘着剤層は、通常、粘着剤の溶液を離型シート上に粘着剤を塗布し、乾燥することにより形成される。離型シート上への塗布は、例えば、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などを採用できる。粘着剤層を設けた離型シートは、これを転写する方法等により利用される。粘着剤層の厚さは、通常3〜100μm程度であり、例えば5〜50μmである。
例えば、粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率は0.01MPa〜1MPaである。粘着剤層の貯蔵弾性率が0.01MPa未満であると、高温試験時における偏光板の収縮を抑制できずに、剥がれ等の外観不良が生じやすくなる傾向がある。また、粘着剤層の貯蔵弾性率が1MPaより大きいと、冷熱衝撃試験時にガラスと偏光板間に生じる歪を粘着剤が緩和できず、偏光板にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
一実施態様において、粘着剤層の80℃における貯蔵弾性率は0.01MPa〜1MPaである。
第1の粘着剤層を介して本発明の偏光板を液晶セルに貼合せた液晶パネルを得ることができる。また、第1の粘着剤層を介して偏光板を有機エレクトロルミネッセンスディスプレイに貼合することにより、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を得ることができる。本発明の偏光板は、液晶セルの視認側に貼合することが好ましい。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量または使用量を表す%および部は、特記ない限り質量基準である。
[偏光子の製造]
厚さ20μmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上)を、乾式延伸により約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥し、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している厚さ7μmの偏光子を得た。
[第1粘着剤層]
離型処理が施された厚さが38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(剥離フィルム)の離型処理面に厚さ20μmのアクリル系粘着剤層が積層された市販の粘着剤シートを用いた。アクリル系粘着剤に、ウレタンアクリレートオリゴマーは配合されていない。粘着剤シートから剥離フィルムを取り除いた粘着剤層の貯蔵弾性率は、23℃において0.05MPa、80℃において0.04MPaであった。
[第1保護フィルム−1]
コニカミノルタ株式会社製のトリアセチルセルロースフィルム(厚さ20μm)を準備した。
[第1保護フィルム−2]
表面にハードコート層(厚さ7μm)を有する、トリアセチルセルロースフィルム(株式会社トッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルム製、25KCHC−TC、厚さ32μm)を準備した。
[第1保護フィルム−3]
厚さが13μmのシクロオレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製)を準備した。
[第1保護フィルム−4]
厚さが23μmのシクロオレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社)を準備した。
(寸法変化率の測定)
保護フィルムのMD方向寸法変化率(85℃)を以下の式に従い測定した。
保護フィルムのMD方向寸法変化率(85℃)=[(L0−L85)/L0]×100
[式中、L0は、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向、保護フィルムの長尺方向)における、裁断されたフィルムのフィルム寸法を意味し、
L85は、85℃相対湿度5%の条件下で1時間経過後における、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向、保護フィルムの長尺方向)のフィルム寸法を意味する。]
また、保護フィルムのMD方向寸法変化率(30℃)を以下の式に従い測定した。
MD方向寸法変化率(30℃)=[(L030−L30)/L0]×100
[式中、L030は、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向、保護フィルムの長尺方向)における、寸法変化率(85℃)を測定した後のフィルム寸法を意味し、
L30は、30℃相対湿度95%の条件下で0.5時間経過後における、偏光子の吸収軸方向と平行な方向(MD方向、保護フィルムの長尺方向)のフィルム寸法を意味する。]
また、寸法変化率(85℃)を測定した後、温度23℃、湿度55%にて15分間放置した後、L030を測定した。
同様に、保護フィルムのTD方向寸法変化率(85℃)の測定を行った。実施例および比較例においては、保護フィルムの幅方向(偏光子の透過軸方向と平行な方向)における寸法変化率(85℃)を測定した。また、同じく保護フィルムのTD方向寸法変化率(30℃)を測定した。
上記保護フィルム1〜4について得られた寸法変化率の結果を、表1に示す。
Figure 2017207557
[水系接着剤の調製]
水100部に対して、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製のKL−318)3部を溶解し、その水溶液に、水溶性エポキシ化合物であるポリアミドエポキシ系添加剤(住化ケムテックス株式会社製のスミレーズレジン(登録商標)650(30)、固形分濃度30%の水溶液)1.5部を添加して、水系接着剤とした。
[偏光板Aの作製]
上記偏光子の片面に、水系接着剤を介して、第1保護フィルム−1を積層した。積層後、80℃で5分間乾燥することにより、第1保護フィルムと偏光子とを貼合した。偏光子における第1保護フィルムとの貼合面とは反対側の面に、剥離フィルム上に積層された第1粘着剤層を貼合し、第1保護フィルム、偏光子および第1粘着剤層がこの順に積層された偏光板A−1を作製した。
なお、偏光子の透過軸方向と、保護フィルムの幅方向(TD方向)が平行となるように貼合した。
同様にして、第1保護フィルム−1の代わりに第1保護フィルム−2を用いて作製した偏光板を偏光板A−2とした。
また、第1保護フィルム−1の代わりに第1保護フィルム−3を用いて作製した偏光板を偏光板A−3とし、第1保護フィルム−4を用いて作製した偏光板を偏光板A−4とした。
作製した偏光板を100mm×60mmに裁断した。第1粘着剤層上の剥離フィルムを剥がし、第1粘着剤層を介して無アルカリガラス(コーニング社製、EAGLE XG(登録商標))に偏光板を貼合した。このガラスへ貼合した偏光板の端部から1.0mmの場所に引っ掻き式硬度計(ドイツ・エリクセン社製、モデル318 ボール直径0.75mm)により5Nの荷重を偏光板の表面に加え、押し傷を付けた。すなわち、上記第1保護フィルムにおける偏光子とは反対側の面に押し傷を付けた。押し傷の深さは2〜5μm以下であり、直径0.3mmであった(傷の面積は約0.071mmであった)。
また、ガラスへ貼合した別の偏光板の端部から1.0mmの場所に引っ掻き式硬度計により10N、及び20Nの荷重を偏光板の表面に加えた試料もそれぞれ作製した。10Nの荷重を加えて作製した押し傷の深さは5〜8μmであり、直径0.4mmであった(傷の面積は約0.13mmであった)。20Nの荷重を加えて作製した押し傷の深さは11〜15μmであり、直径0.6mmであった(傷の面積は約0.28mmであった)。
5N、10Nまたは20Nの荷重加え、表面に押し傷を有する偏光板について、温度85℃及び−40℃(各30分間で1サイクル)の冷熱衝撃環境試験(250サイクル)を実施した。
[冷熱衝撃環境試験]
冷熱衝撃環境試験は、偏光板をガラス板に貼り合わせた状態で、冷熱衝撃試験装置(エスペック株式会社から販売されている製品名「TSA-71L-A-3」)を用いて、高温条件(85℃)保持時間30分と、低温条件(−40℃)保持時間30分とを1サイクルとして行った。なお、温度移行時間を1分とし、温度移行時の温度移行時間0分において、外気を導入せず、光学部材に結露を発生させない条件を設定した。このサイクルを250サイクル繰り返して試験を実施した。判定は以下のようにした。結果を表2に示す。
[判定]
冷熱衝撃環境試験(サイクル数:250回)を行った後、光抜けの有無を目視で確認した。試験前と変化がなく、試験後にクロスニコル下で光抜けが発生しなかったものを「○」、試験後にクロスニコル下で光抜けが発生したものを「×」とした。
Figure 2017207557
この結果より、本発明の偏光板は、冷熱衝撃環境試験において、優れた効果を有することが分かる。すなわち、本発明によれば、高温と低温とを繰り返すような環境下においても、本発明の偏光板は、偏光子に割れなどを生じることなく良好な外観を保ち、また本発明の偏光板を視認側に組み込んだ液晶表示装置は光抜けが生じることがない。
本発明によれば高温と低温とを繰り返すような環境下においても、本発明の偏光板は、光抜け、割れなどを生じることなく良好な偏光特性を示すことができる。また、本発明の偏光板は、薄型であり、かつ、強度、耐久性に優れた偏光板である。
11 第1粘着剤層
12 偏光子
13 第1保護フィルム
100 偏光板

Claims (3)

  1. 第1粘着剤層と、厚さが10μm以下である偏光子と、セルロース系樹脂を含む第1保護フィルムとが積層された偏光板であって、
    前記第1保護フィルムは、前記第1保護フィルムにおける前記偏光子とは反対側の面および前記第1保護フィルムにおける前記偏光子側の面の少なくとも一方に傷を有し、
    前記傷は、長さ0.001〜500μm、幅0.001〜500μm、かつ深さ0.001〜10μmである傷、および深さ0.001〜10μm、かつ面積0.001〜1.0mmである傷の少なくとも一方である、偏光板。
  2. 前記第1粘着剤層と、前記偏光子と、前記第1保護フィルムとがこの順に積層された、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記第1保護フィルムは、前記第1保護フィルムにおける前記偏光子とは反対側の面に傷を有する、請求項1または2に記載の偏光板。
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