JP2017207297A - 放射性廃液の処理方法 - Google Patents

放射性廃液の処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017207297A
JP2017207297A JP2016098043A JP2016098043A JP2017207297A JP 2017207297 A JP2017207297 A JP 2017207297A JP 2016098043 A JP2016098043 A JP 2016098043A JP 2016098043 A JP2016098043 A JP 2016098043A JP 2017207297 A JP2017207297 A JP 2017207297A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkali metal
radioactive
solution
temperature
cement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016098043A
Other languages
English (en)
Inventor
洋平 佐藤
Yohei Sato
洋平 佐藤
哲郎 本橋
Tetsuo Motohashi
哲郎 本橋
寛史 岡部
Hiroshi Okabe
寛史 岡部
佐藤 龍明
Tatsuaki Sato
龍明 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2016098043A priority Critical patent/JP2017207297A/ja
Publication of JP2017207297A publication Critical patent/JP2017207297A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Heat Treatment Of Water, Waste Water Or Sewage (AREA)

Abstract

【課題】ホウ素を含む放射性廃液を、高い強度を有するセメント固化体に処理できるとともに、一度に多量の廃液をセメント固化処理できる放射性廃液の処理方法を提供する。【解決手段】ホウ素を含む放射性廃液の処理方法は、ホウ素を含む放射性廃液10にアルカリ金属またはアルカリ金属化合物11を添加するアルカリ添加工程S10と、添加された放射性廃液10を乾燥させて放射性廃液10の水分を蒸発させた濃縮物(乾燥粉体12)を得る乾燥工程S11と、乾燥粉体12と混練水13とを混合させて溶解液14にする溶解工程S12と、溶解液14に含まれるアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に溶解液14を昇温する昇温工程S13と、昇温させた溶解液14に水硬性無機固化材15を添加して、溶解液14と水硬性無機固化材15とを混練する混練工程と、を含む。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、ホウ素を含む放射性廃液の処理方法に関する。
一般に、加圧水型原子力発電所(PWR)等から発生するホウ素を主成分とする廃液の処理方法においては、水酸化ナトリウムにより中和処理後、主にセメントやアスファルトで固化されている。アスファルトによる固化処理は、加熱時の火災の危険性や放射性核種の化学的吸着性が劣る等の欠点を有するため、新規のプラントはセメント固化が主流となっている。
一方で、セメント固化処理において、廃液中に含まれるホウ素がセメントの凝結反応を妨害するため、大幅な硬化遅延やセメント固化体の強度低下が生じるおそれがあった。
従来、ホウ素含有放射性廃液を、減容性を高めながらも確実にセメント固化処理する観点から、放射性廃液を過飽和にまで濃縮した液にセメント等の固化材を固化する方法や水酸化カルシウム等を前処理剤として添加して固化する方法など、種々の廃液処理技術が検討されている。
特開平10−90490号公報 特開平11−72593号公報 特開平2−208600号公報 特開2010−2378号公報 特開2001−97757号公報
従来の技術のように、水酸化ナトリウムにより中和処理後、ホウ素含有廃液を過飽和にまで濃縮した液にセメントやスラグ等の固化材を添加して混合すると、ホウ酸塩(ホウ酸ナトリウム)が水を吸収して水和物を生成し、極短時間に流動性を喪失して疑凝結を起こす。これにより、セメントなどの固化材と水との水和反応が十分に起こらず、セメント固化体の強度が低下するという課題がある。
また、一度に多くの放射性廃液を固化処理することが望まれるが、放射性廃液を増やして固化処理した場合、廃液とセメントとを混練固化させる過程で、ホウ酸塩が水を吸水することで水分不足が起こり、セメントの混練不良が発生する。このため、一度にセメント固化処理できる放射性廃液の量には限界があった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、ホウ素を含む放射性廃液を、高い強度を有するセメント固化体に処理できるとともに、一度に多量の廃液をセメント固化処理できる放射性廃液の処理方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る放射性廃液の処理方法において、ホウ素を含む放射性廃液にアルカリ金属またはアルカリ金属化合物を添加するアルカリ添加工程と、添加された前記放射性廃液を乾燥させて前記放射性廃液の水分を蒸発させた濃縮物を得る乾燥工程と、前記濃縮物と混練水とを混合させて溶解液にする溶解工程と、前記溶解液に含まれるアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に前記溶解液を昇温する昇温工程と、昇温させた前記溶解液に水硬性無機固化材を添加して、前記溶解液と前記水硬性無機固化材とを混練する混練工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の実施形態により、ホウ素を含む放射性廃液を、高い強度を有するセメント固化体に処理できるとともに、一度に多量の廃液をセメント固化処理できる放射性廃液の処理方法が提供される。
第1実施形態に係る放射性廃液の処理方法を示すフロー図。 ホウ酸ナトリウム溶液にセメントを添加して混練した場合における、温度と混練物の粘度との関係を示すグラフ。 第2実施形態に係る放射性廃液の処理方法を示すフロー図。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1の処理フロー図に示されるように、第1実施形態に係る放射性廃液10の処理方法は、ホウ素を含む放射性廃液10(以下、「放射性廃液10」と省略する)にアルカリ金属またはアルカリ金属化合物11を添加するアルカリ添加工程S10と、添加された放射性廃液10を乾燥させて放射性廃液10の水分を蒸発させた乾燥粉体12を得る乾燥工程S11と、乾燥粉体12と混練水13とを混合させて溶解液14にする溶解工程S12と、溶解液14に含まれるアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に溶解液14を昇温する昇温工程S13と、昇温させた溶解液14に水硬性無機固化材15を添加して、溶解液14と水硬性無機固化材15とを混練する混練工程S14と、を含む。
さらに、水硬性無機固化材15の水和反応が完了するまで、溶解液14と水硬性無機固化材15とを混練させた混練物17を、アルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に保持する養生工程S15を含む。
加圧水型原子力発電所では、原子炉の出力調整等のために炉内を循環する循環水にホウ酸が注入される。以下に示す実施形態では、加圧水型原子力発電所で廃液として排出される、ホウ素を主成分とする放射性廃液10をセメント固化処理の対象とする。
アルカリ添加工程S10は、放射性廃液10を保持容器に注入して、この廃液にアルカリ金属化合物11を添加する。
アルカリ金属化合物11は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸リチウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸セシウム、アルミン酸ルビジウムが例示される。または、これらの混合物を用いても良い。なお、アルカリ金属化合物11としては、溶液中の液性をアルカリ性に移行させ易いことから、水酸化物が好ましい。
また、アルカリ金属化合物11に代えて、またはアルカリ金属化合物11とともにアルカリ金属元素を添加しても良い。アルカリ金属元素としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウムのいずれかを用いる。または、これらの混合物を用いても良い。
アルカリ添加工程S10では、放射性廃液10中の液性をアルカリ性に移行させるため、アルカリ金属化合物11の添加量を調整して、放射性廃液10中の全モル量におけるアルカリ金属/ホウ素のモル比を0.8以上に調整されることが望ましい。
ところで、放射性廃液10内のホウ酸塩(例えばホウ酸ナトリウム)は、溶液内のpHに依存してイオン形態が異なり、中性領域から弱アルカリ領域では複数種類のイオン形態(B(OH) 、B(OH) 2−、B(OH) 2−など)が混在する。そして、強アルカリ側(pH12以上)では単一のイオン形態(B(OH) )に移行する。
溶液中で複数種類のイオン形態が混在する場合、それぞれのイオンがポリマー化(重合反応)しやすい状態となる一方で、単一のイオン形態の場合、イオンのポリマー化が発生し難い状態となる。つまり、放射性廃液10にアルカリ金属化合物11を添加して、液性をアルカリ側に移行させることで、放射性廃液10内のホウ酸塩は単一のイオン形態しか取らず、イオンのポリマー化は抑制される。
ポリマー化が抑制されることで、放射性廃液10が半固体または固体状に変化することは無いため、後続の乾燥工程S11での取り扱いが容易となる。同様に、乾燥工程S11で生成した乾燥粉体12の溶解物を取り扱う溶解工程S12、混練工程S14においても取扱い性が容易となる。
また、放射性廃液10に添加されるアルカリ金属化合物11は、水酸化カルシウム等の難溶性成分と異なり、水に溶解する。このため、後続のプロセスで使用する保持容器、配管、乾燥機などの洗浄が容易となる。したがって、機器の交換作業などの特別な後処理を行う必要は無いため、廃液処理プロセスを安定的に運用可能となる。
放射性廃液10内を確実にアルカリ性に移行させる点、後続の工程における取扱い性を容易にする点や最終的に生成されるセメント固化体18の強度の観点からは、添加するアルカリ金属化合物11が多いほど、アルカリ金属/ホウ素のモル比がより高く設定されるため望ましい。一方で、アルカリ金属化合物11の添加量が増えると廃棄物の量も増大する。このため、アルカリ金属/ホウ素のモル比の設定範囲は0.8〜5程度が好ましい。
なお、アルカリ金属/ホウ素のモル比が0.8以上である放射性廃液10については、アルカリ添加工程S10でアルカリ金属化合物11を添加してモル比を調整する必要は無く、以下に説明する乾燥工程S11で放射性廃液10を直接乾燥処理することができる。
乾燥工程S11は、アルカリ金属化合物11が添加された放射性廃液10を、乾燥機(図示省略)内で乾燥させ、放射性廃液10の水分全てを蒸発させた乾燥粉体12を得る。なお、放射性廃液10を乾燥して得られる濃縮物は、放射性廃液10の水分の一部を蒸発させた濃縮液として得ても良い。
乾燥処理には、プラント内で汎用的に用いられている乾燥機を用いても良いが、装置の構成をコンパクトにできる点、熱効率や粒径の安定性等の観点から遠心薄膜乾燥機が好適である。
また、放射性廃液10を乾燥させて乾燥粉体12を得る場合、放射性廃液10をより均一に粉体化する観点から、乾燥処理の温度は140℃より高い温度とすることが望ましい。
溶解工程S12は、乾燥工程S11で得た乾燥粉体12と、保持容器内に保持された混練水13とを混合、溶解させて溶解液14にする。
昇温工程S13は、溶解液14に含まれるアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に溶解液14を昇温する。具体的には、添加するアルカリ金属化合物11として水酸化ナトリウムを用いた場合、乾燥粉体12の主成分はホウ酸ナトリウムとなり、溶解液14にはホウ酸ナトリウムが水を吸収した水和物(メタホウ酸ナトリウム四水和物)が存在する。昇温工程S13では、溶解液14中に含まれるメタホウ酸ナトリウム四水和物の融点(融解温度)である55℃以上に溶解液14の温度を昇温する。
溶解液14を昇温する方法としては、溶解液14を保持する保持容器の外部に設けたヒータを用いて加熱する。また、ヒータが発生する熱を、溶解液14に直接接触する機器、配管などを介して溶解液14に伝えることで溶解液14を昇温しても良い。また、乾燥粉体12と混練水13との混合時に生じる水和熱によりアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に達する場合は、外部から加熱すること無く、水和熱により昇温された溶解液14の温度を保温することで、溶解液14を昇温しても良い。
あるいは、溶解工程S12において、アルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に加熱された高温の混練水13を予め用意して、この混練水13と乾燥粉体12とを混合、溶解することで昇温させても良い。
なお、昇温工程S13は、昇温中に水分の蒸発を防止するため、密封して行うことが望ましい。
混練工程S14は、アルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に昇温させた溶解液14に水硬性無機固化材(セメント)15を添加して、溶解液14と水硬性無機固化材15とを混練させる。溶解液14と水硬性無機固化材15との混練物17を保持する保持容器として、ドラム缶等の円筒状の固化容器を用いることで良好な固化体と成し得る。
混練時は、混練物17の温度がアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上で保持されるように、ヒータを用いた混練物17の加熱、または断熱材などを用いた混練物17の保温を行う。
なお、水硬性無機固化材15は、一般的に使用される種々のセメントを用いても良いが、固化材中のCa分が多いポルトランドセメントを適用することが望ましい。セメント固化するに際して、セメント中のCaが溶解液内に含まれるホウ酸と結合することでセメント固化に寄与するCa分が少なくなるおそれがある。ポルトランドセメントを用いることで、Ca分の不足を抑制できる。石灰、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ質材料、ポゾラン物質、アルミナセメント、リン酸セメント、またはこれらの組み合わせのセメントを用いてもよい。
ところで、通常の練り混ぜ手順、すなわちセメントペースト(水硬性無機固化材15と混練水13を練り混ぜた混合物)に、ホウ酸塩を主成分とする放射性廃液10の濃縮物を直接投入した場合、ホウ酸塩が水を吸収して水和物となる。このとき、ホウ酸塩の吸水により、セメントを攪拌するための水分が不足して、セメント混練物の粘性が極端に高まって混練不良、もしくは疑凝結を生じるおそれがある。放射性廃液10の濃縮物の量が増えるほど、混練不良はより生じやすくなる。
そこで、第1実施形態のように、溶解液14に含まれるアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に溶解液14を昇温させることで、混練水13を吸水したホウ酸塩が融解する。ホウ酸塩が融解した溶解液14中にセメントを添加した場合、セメントを攪拌するための水分が不足することは無く、混練物17の粘性は低い状態で維持されるため、混練不良の発生が防止される。
図2は、ホウ酸ナトリウム溶液にセメントを添加して混練した場合における、混練時の温度と混練物における粘度の実測値との関係を示すグラフである。縦軸は温度を示しており、横軸は混練物の粘度を示している。
ここで用いるホウ酸ナトリウム溶液は、ナトリウム/ホウ素のモル比を1.0に調整したホウ酸ナトリウムの粉体15.5kgを水200Lに溶解させたものであり、水/セメント比は1.5に調整している。なお、図2中の実線は、温度と粘度の関係を示すアンドレードの粘性式を用いて求めた理論値を示している。
図2に示されるように、ホウ酸ナトリウム溶液にセメントを投入した混練物の粘度は、混練温度の上昇とともに減少していき、ホウ酸ナトリウム溶液中に存在するメタホウ酸ナトリウム四水和物の融点である55℃を超える温度領域で急減に減少する。特に、65℃を超える温度では、ほぼ粘度は0となることが分かる。
したがって、セメント混練時にアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に設定することで、混練物の粘性は減少するため、セメントの混練は容易となる。
養生工程S15(図1)は、水硬性無機固化材15の水和反応が完了するまで、混練物17を、アルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に保持して固化させる。具体的には、添加するアルカリ金属化合物11として水酸化ナトリウムを用いた場合には、混練物17中に含まれるメタホウ酸ナトリウム四水和物の融点(融解温度)である55℃以上で保持して固化する。
混練物17の温度が低下した場合、混練物17のホウ酸塩が水分を吸水することで、セメント固化体18の表層にホウ酸塩が析出する場合がある。この場合、最終的に作製されるセメント固化体18は不均質なものとなる。
養生工程S15において、混練物17をアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に保持して固化することで、ホウ酸塩は融解しているため、ホウ酸塩の析出が防止される。これにより、混練物17を室温に静置して固化した場合と比較して、均質・均一なセメント固化体18を得ることができる。
なお、養生中の混練物17は、水和反応が完了するまでの期間、温度が低下すると疑凝結を生じ、再昇温すると粘度が低下して、液状になるという可逆的な性質を示す。この性質を利用して、混練物17の輸送時には温度を低下させて固体として取り扱い、輸送先で再昇温して液状で取扱い、任意の形状に固化することもできる。
また、上述のアルカリ添加工程S10で、アルカリ金属化合物11が添加され、アルカリ金属/ホウ素のモル比が調整されることで、溶解液14の液性はアルカリ性となる。液性がアルカリ性の場合、溶解液14に含まれるホウ酸イオンと添加されるセメント中のカルシウムの反応が抑制される。これにより、ホウ素によるセメントの固化反応阻害効果が抑制されるため、高い強度を有するセメント固化体18が生成できる。
セメント固化体18の余剰水、ならびにセメント固化体18を水に浸漬した液相はアルカリ性であり、処分の観点上望ましいものとなる。
なお、放射性廃棄物処分場の概念からは、固化体浸出液のpH値が12以上となることが望ましい。このため、必要に応じて、混練工程S14ではアルカリ性の骨材を併せて混練する。アルカリ性の骨材としては、セメント硬化体の破砕片、もしくは粒状の消石灰が適用可能であり、粒径は通常の細骨材と同等の2.5mm以下が望ましい。さらに、混練物17の流動性を高めることで廃棄物をより多く投入できる等のメリットがある。なお、当該混練物17の流動性維持時間が1時間程度得られる事が、混練や洗浄等を裕度もって操作する観点から望ましい。
このため、必要に応じて、水硬性無機固化材15を添加する際に、減水剤16を添加しても良い。この減水剤16としては、リグニン系、オキシカルボン酸系、ナフタリン系、メラミン系、ポリカルボン系の減水剤や無機減水剤が例示される。
以上、第1実施形態では、ホウ素を含む放射性廃液10にアルカリ金属化合物11を添加して、放射性廃液10を乾燥させて乾燥粉体12を得る。そして、得られた乾燥粉体12と混練水13との溶解液14を、アルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に昇温させた状態でセメントと混練させ固化させる。
これにより、高い強度を有するセメント固化体18に処理できるとともに、セメントを混練する際での混練不良の発生が防止されるため、一度に多量の放射性廃液10をセメント固化処理できる。また、セメント固化処理の過程において、放射性廃液10を乾燥させて濃縮することで、放射性廃液10をより減容することができる。
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る放射性廃液10の処理方法を示すフロー図である。なお、図1に示した放射性廃液10の固化処理フローと同一の工程は同一の符号を付して、説明を省略する。
第2実施形態では、第1実施形態で示した乾燥工程S11に代えて、乾燥昇温工程S20を有している。第2実施形態は、乾燥昇温工程S20において、放射性廃液10の濃縮、及びアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上への昇温を同時に行う点で第1実施形態と異なる。
乾燥昇温工程S20は、アルカリ金属化合物11が添加された放射性廃液10を、廃液を保持する保持容器の外部に設けられたヒータで加熱する。このとき、放射性廃液10中に含まれるアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上になるように放射性廃液10を加熱して、放射性廃液10の水分を蒸発させて濃縮させる。加熱により得られた濃縮物は、アルカリ金属ホウ酸塩の融点以上の温度で保持される。
そして、混練工程S14は、アルカリ金属ホウ酸塩の融点以上の温度で保持された濃縮物に水硬性無機固化材15を添加して、濃縮物と水硬性無機固化材15とを混練する。なお、セメント固化のために必要となる混練水は適宜投入する。混練工程S14以降の処理は、第1実施形態と同一となるため説明を省略する。
以上、第2実施形態では、乾燥昇温工程S20において放射性廃液10の濃縮、及びアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上への昇温を同時に行うことで、第1実施形態で示した効果を奏するとともに、固化処理のプロセスが簡潔になる。
以下に、図1に示した処理フローに基づくセメント固化処理試験の実施例を示す。なお、本発明は記載される以下の実施例に限定されて解釈されるものではない。ここでは、ホウ素を含む溶液に添加するアルカリ金属化合物11として水酸化ナトリウムを選択し、アルカリ金属(ナトリウム)/ホウ素のモル比を“Na/Bモル比”と省略して記載する。
まず、60℃程度に加温したホウ酸約12wt%の水溶液に水酸化ナトリウムを投入して、Na/Bモル比を1に調整して、ホウ酸ナトリウムの水溶液を得る(アルカリ添加工程S10)。
次に、アルカリ添加工程S10で作製したホウ酸ナトリウム水溶液を模擬廃液として、加熱温度を160℃程度に設定した遠心薄膜乾燥機に定量供給して、乾燥粉体12を得た(乾燥工程S11)。
次に、1Lポリカップに混練水13を165g注ぎ、この中に乾燥工程S11で作製した乾燥粉体を150g投入、溶解させて、溶解液の温度が80℃になるように加熱しながら卓上攪拌機で60分攪拌した(溶解工程S12及び昇温工程S13)。
そして、温度が80℃で保持された溶解液に、普通ポルトランドセメント110g(水/セメント比0.7(混練水とセメントとの重量比))を添加して、10分程度攪拌した(混練工程S14)。セメントを混練する際、混練不良が発生することは無かった。
最後に、溶解液とセメントとの混練物を50mmφ×100mHの型枠に注ぎ、セメント固化体18とした。このとき、セメントの水和反応が終了するまで、混練物の温度を80℃で保持して養生した(養生工程S15)。この結果、均質・均一なセメント固化体18が得ることができた。
以上述べた各実施形態の放射性廃液の処理方法によれば、ホウ素を含む放射性廃液にアルカリ金属化合物を添加して、乾燥させて得た濃縮物と混練水との溶解液をアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に昇温された状態でセメントと混練させ固化することで、高い強度を有するセメント固化体に処理できるとともに、一度に多量の廃液をセメント固化処理できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 ホウ素を含む放射性廃液
11 アルカリ金属化合物
12 乾燥粉体(濃縮物)
13 混練水
14 溶解液
15 水硬性無機固化材
16 減水剤
17 混練物
18 セメント固化体
S10 アルカリ添加工程
S11 乾燥工程
S12 溶解工程
S13 昇温工程
S14 混練工程
S15 養生工程
S20 乾燥昇温工程

Claims (7)

  1. ホウ素を含む放射性廃液にアルカリ金属またはアルカリ金属化合物を添加するアルカリ添加工程と、
    添加された前記放射性廃液を乾燥させて前記放射性廃液の水分を蒸発させた濃縮物を得る乾燥工程と、
    前記濃縮物と混練水とを混合させて溶解液にする溶解工程と、
    前記溶解液に含まれるアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に前記溶解液を昇温する昇温工程と、
    昇温させた前記溶解液に水硬性無機固化材を添加して、前記溶解液と前記水硬性無機固化材とを混練する混練工程と、を含むことを特徴とする放射性廃液の処理方法。
  2. 前記水硬性無機固化材の水和反応が完了するまで、前記溶解液と前記水硬性無機固化材とを混練させた混練物を、前記アルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に保持する養生工程をさらに含む請求項1に記載の放射性廃液の処理方法。
  3. 前記アルカリ添加工程は、前記放射性廃液に添加するアルカリ金属またはアルカリ金属化合物を調整して、アルカリ金属/ホウ素のモル比を0.8以上に調整する請求項1または請求項2に記載の放射性廃液の処理方法。
  4. 前記昇温工程は、前記溶解液を保持する保持容器の外部に設けたヒータを用いて、前記溶解液を加熱して、前記アルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に昇温させる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射性廃液の処理方法。
  5. 前記昇温工程は、前記溶解液と前記混練水との混合時に生じる水和熱を用いて、前記溶解液を前記アルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に昇温させる請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射性廃液の処理方法。
  6. 加熱した前記混練水を前記濃縮物に混合することで、混合して得られる前記溶解液を前記アルカリ金属ホウ酸塩の融点以上に昇温させる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の放射性廃液の処理方法。
  7. ホウ素を含む放射性廃液にアルカリ金属またはアルカリ金属化合物を添加するアルカリ添加工程と、
    添加された前記放射性廃液を、前記放射性廃液に含まれるアルカリ金属ホウ酸塩の融点以上の温度に加熱して、前記放射性廃液の水分を蒸発させた濃縮物を得る乾燥昇温工程と、
    前記アルカリ金属ホウ酸塩の融点以上の温度で保持された前記濃縮物に水硬性無機固化材を添加して、前記濃縮物と前記水硬性無機固化材とを混練する混練工程と、を含むことを特徴とする放射性廃液の処理方法。
JP2016098043A 2016-05-16 2016-05-16 放射性廃液の処理方法 Pending JP2017207297A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016098043A JP2017207297A (ja) 2016-05-16 2016-05-16 放射性廃液の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016098043A JP2017207297A (ja) 2016-05-16 2016-05-16 放射性廃液の処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017207297A true JP2017207297A (ja) 2017-11-24

Family

ID=60415434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016098043A Pending JP2017207297A (ja) 2016-05-16 2016-05-16 放射性廃液の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017207297A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110491537A (zh) * 2019-06-20 2019-11-22 中国辐射防护研究院 一种放射性废物的水泥固化处理方法
WO2022260207A1 (ko) * 2021-06-11 2022-12-15 포항공과대학교 산학협력단 붕소가 포함된 방사성 폐기물 고화방법 및 이에 따른 방사성 폐기물 고화체

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110491537A (zh) * 2019-06-20 2019-11-22 中国辐射防护研究院 一种放射性废物的水泥固化处理方法
CN110491537B (zh) * 2019-06-20 2023-06-23 中国辐射防护研究院 一种放射性废物的水泥固化处理方法
WO2022260207A1 (ko) * 2021-06-11 2022-12-15 포항공과대학교 산학협력단 붕소가 포함된 방사성 폐기물 고화방법 및 이에 따른 방사성 폐기물 고화체

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6672014B2 (ja) 放射性廃液の処理方法
KR101393043B1 (ko) 붕소 함유 수용액의 코팅용 시멘트계 조성물, 코팅 방법 및시멘트 그라우트 조성물
JP2009537433A5 (ja)
US5732363A (en) Solidifying material for radioactive wastes, process for solidifying radioactive wastes and solidified product
JP6318182B2 (ja) アルミニウム金属を含んだ廃棄物を調整するための結合材およびその使用法
JP2017207297A (ja) 放射性廃液の処理方法
AU2023202069A1 (en) Process for treating fluid wastes
Kim et al. Effect of Si/Al molar ratio and curing temperatures on the immobilization of radioactive borate waste in metakaolin-based geopolymer waste form
JP5231975B2 (ja) ホウ酸廃液の固化方法
JP4089269B2 (ja) 放射性廃液の固化処理方法およびその装置
JP2014106144A (ja) ホウ酸含有放射性廃液の固化処理方法
WO2014203498A1 (ja) ホウ酸含有廃液のセメント固化処理方法及びセメント固化処理装置
KR900000341B1 (ko) 방사성 폐기물 고화체 및 그 제조방법
ES2207479T3 (es) Procedimiento de co-solidificacion de residuos humedos debilmente radioactivos producidos en centrales nucleares de agua hirviendo.
RU2483375C2 (ru) Композиционный материал для иммобилизации жидких радиоактивных отходов и способ его применения
JP3107758B2 (ja) 放射性廃棄物の固化処理方法およびその装置
JPH11118990A (ja) 放射性廃液の処理方法
JP2010261907A (ja) 放射性廃棄物の固化処理方法
Milestone et al. Reactions in cemented nuclear waste forms–the need for a toolbox of different cement types
JP2013096896A (ja) ホウ酸含有廃液の処理方法及び処理装置
JP2015225026A (ja) ホウ酸含有廃液のセメント固化処理方法
JPH10197691A (ja) 放射性廃液用固化材、放射性廃液の固化処理方法
JPH02162298A (ja) 廃棄物の固化方法
JP2010223662A (ja) リン酸二水素ナトリウムを含む放射性廃液の固化処理方法
Okabe et al. Development of cement solidification process for sodium borate waste generated from PWR plants

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20171127

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20171128