以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、「置換基を有していてもよい」とは、「無置換の、または、置換基を有する」の意味である。また、一般式中に含まれるアルキル基や芳香族炭化水素環基等の有機基が置換基を有する場合、当該置換基を有する有機基の炭素数には、置換基の炭素数を含まないものとする。例えば、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基が置換基を有する場合、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基の炭素数には、このような置換基の炭素数を含まないものとする。
ここで、本発明の化合物およびその化合物を含む混合物は、特に限定されることなく、例えば本発明の重合性化合物を調製する際に用いることができる。
また、本発明の重合性化合物およびその重合性化合物を含む混合物は、特に限定されることなく、例えば本発明の重合性液晶組成物を調製する際に用いることができる。
更に、本発明の重合性液晶組成物は、特に限定されることなく、例えば本発明の高分子を調製する際に用いることができる。
そして、本発明の高分子は、特に限定されることなく、例えば本発明の光学フィルムの構成材料および本発明の光学異方体が有する層の構成材料として用いることができる。また、本発明の光学異方体は、特に限定されることなく、例えば本発明の偏光板に用いることができる。更に、本発明の偏光板は、特に限定されることなく、例えば本発明のフラットパネル表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置および反射防止フィルムに用いることができる。
(1)化合物
本発明の化合物は、下記式(I)で示される化合物(以下、「化合物(I)」ということがある。)であり、後述する重合性化合物(III)の製造中間体として有用である。
ここで、式(I)中、aは、1〜3の整数であり、bは、1〜20の整数であり、2〜12の整数が好ましく、4〜8の整数がより好ましく、cは、0または1である。
そして、FG1は、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基である。なお、cが0の場合、FG1は水酸基であることが好ましく、cが1の場合、FG1はカルボキシル基であることが好ましい。
また、A1は、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基である。中でも、A1は、cが0の場合には置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましく、cが1の場合には置換基を有していてもよい環状脂肪族基であることが好ましい。
なお、置換基を有していてもよい環状脂肪族基は、無置換の2価の環状脂肪族基、または、置換基を有する2価の環状脂肪族基である。そして、2価の環状脂肪族基は、炭素数が通常は5〜20である、環状構造を有する2価の脂肪族基である。
2価の環状脂肪族基の具体例としては、シクロペンタン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル、1,4−シクロヘプタン−1,4−ジイル、シクロオクタン−1,5−ジイル等の炭素数5〜20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン−1,5−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル等の炭素数5〜20のビシクロアルカンジイル基等が挙げられる。
また、置換基を有していてもよい芳香族基は、無置換の2価の芳香族基、または、置換基を有する2価の芳香族基である。そして、2価の芳香族基は、炭素数が通常は2〜20である、芳香環構造を有する2価の芳香族基である。
2価の芳香族基の具体例としては、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基等の、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素環基;フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル等の、炭素数2〜20の2価の芳香族複素環基;等が挙げられる。
そして、上述した2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;等が挙げられる。前記環状脂肪族基および芳香族基は、上述した置換基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよい。なお、置換基を複数有する場合は、各置換基は同一でも相異なっていてもよい。
また、cが1の場合、L1は、単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR21−CO−、−CO−NR22−、−O−CO−O−、−NR23−CO−O−、−O−CO−NR24−、または、−NR25−CO−NR26−であり、ここで、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、L1は、−O−、−CO−O−、または、−O−CO−であることが好ましい。
なお、前記R21〜R26の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
更に、cが1の場合、B1は、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基である。中でも、B1は置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましい。
ここで、置換基を有していてもよい環状脂肪族基は、無置換の2価の環状脂肪族基、または、置換基を有する2価の環状脂肪族基である。そして、2価の環状脂肪族基は、炭素数が通常は5〜20である、環状構造を有する2価の脂肪族基である。
B1の2価の環状脂肪族基の具体例としては、前記A1の2価の環状脂肪族基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、置換基を有していてもよい芳香族基は、無置換の2価の芳香族基、または、置換基を有する2価の芳香族基である。そして、2価の芳香族基は、炭素数が通常は2〜20である、芳香環構造を有する2価の芳香族基である。
B1の2価の芳香族基の具体例としては、前記A1の2価の芳香族基として例示したものと同じものが挙げられる。
更に、B1の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基としては、前記A1の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、Y1は、単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR21−CO−、−CO−NR22−、−O−CO−O−、−NR23−CO−O−、−O−CO−NR24−、または、−NR25−CO−NR26−であり、ここで、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、Y1は、−O−、−CO−O−、または、−O−CO−であることが好ましい。
なお、R21〜R26の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
そして、R2は、水素原子、メチル基または塩素原子であり、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。
また、R1は、水素原子、メチル基または塩素原子であり、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。なお、R1はR2と同一であることがより好ましく、R1およびR2は共に水素原子でことがさらに好ましい。
上記化合物(I)は、既知の合成反応を組み合わせて合成することができる。即ち、様々な文献(例えば、MARCH’S ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY(WILEY)、サンドラー・カロ「官能基別有機化合物合成法」稲本直樹共訳(廣川書店))に記載の方法を参照して合成できる。
ここで、cが0である化合物(I)の好ましい例としては、特に限定されることなく、下記式(Ia):
〔式(Ia)中、R1、R2、aおよびbは、前記式(I)と同じ意味を表す。〕に示される化合物(以下、「化合物(Ia)」ということがある。)が挙げられる。
そして、化合物(Ia)の製造方法としては、特に制約はないが、例えば、以下に示す方法が挙げられる。
〔各式中、R1、R2、aおよびbは、前記式(I)と同じ意味を表し、Lは、脱離基を表す。〕
具体的には、先ず、前記式(1)で示されるハイドロキノンと、前記式(2)で示される化合物(以下、「化合物(2)」という。)との反応により、前記式(3)で示されるモノエーテル化合物(以下、「モノエーテル化合物(3)」という。)を得る。
ここで、式(2)中、Lで示される脱離基は特に限定されず、有機化学の分野における一般的な脱離基が挙げられる。Lとしては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
また、ハイドロキノンと化合物(2)の使用割合は、化合物(2)1モルに対して、ハイドロキノンが、通常1.0〜5.0モル、好ましくは1.2〜1.5モルである。
ハイドロキノンの使用割合が少なすぎると、副生成物としてのジエーテル化合物の生成量が多くなり、モノエーテル化合物(3)の収率および純度が低下する傾向がある。一方、ハイドロキノンの使用割合が多すぎると、反応後に精製処理を効率よく行うことが困難になる傾向がある。
ハイドロキノンと化合物(2)との反応は、不活性溶媒中、塩基の存在下に行ってもよいし、アルカリ性水溶液と疎水性有機溶媒との二相系で行ってもよいが、目的物をより収率よく得ることができることから、後者の方法が好ましい。
この反応で用いる不活性溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;テトラヒドロフラン、1,3−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶媒;ジメチルスルホキシド等の含硫黄系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;および、これらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、化合物(2)1質量部に対し、通常1〜50質量部である。
用いる塩基としては、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、アニリン、ピコリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、イミダゾール、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコラート;水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩;等が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(2)に対して、通常1〜5当量、好ましくは1〜2当量である。
また、後者の方法で用いるアルカリ性水溶液は、無機塩基を水に溶解させることで得られる。
無機塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;炭酸水素マグネシウム;炭酸水素カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;等が挙げられる。
無機塩基は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ性水溶液中の無機塩基の含有量は、化合物(2)1モルに対して、通常1.00〜2.00モル、好ましくは1.05〜1.50モルである。無機塩基の含有量が少なすぎると、モノエーテル化物の収率が低下したり、反応速度が遅くなったり、化合物(2)が多量に残存したりするおそれがある。一方、無機塩基の使用量が多すぎると、反応後に中和する工程が別途必要になる。
アルカリ性水溶液の使用量は、ハイドロキノンおよび化合物(2)が溶解する量であれば、特に制限されない。
アルカリ性水溶液の使用量は、化合物(2)1質量部に対して、通常1〜10質量部、好ましくは3〜6質量部である。アルカリ性水溶液の使用量が多すぎると、反応速度が遅くなったり、生産性が低下したりするおそれがある。一方、アルカリ性水溶液の使用量が少なすぎると、原料化合物等が析出したり、溶液の粘度が上がり反応速度が低下したりするおそれがある。
疎水性有機溶媒は、25℃の水100gに対する溶解度が、10(g/100g−H2O)以下の有機溶媒をいう。
疎水性有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;アニソール、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;1−ブタノール、1−ヘキサノール等の炭素数4以上のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、疎水性有機溶媒としては、水との共沸点が高く、高温で反応を行うことができ、目的とするモノエーテル化合物(3)を選択的に得られ易いこと等の理由から、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、または炭素数4以上のアルコール系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、アニソール、シクロペンチルメチルエーテル、または1−ヘキサノールがより好ましい。
なお、疎水性有機溶媒は、一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
疎水性有機溶媒の使用量は、化合物(2)1質量部に対して、通常0.2〜10質量部、好ましくは0.5〜2質量部である。疎水性有機溶媒の使用量が多すぎると、反応速度が遅くなったり、生産性が低下したりするおそれがある。一方、疎水性有機溶媒の使用量が少なすぎると、疎水性有機溶媒を用いる効果が得られにくくなり、モノエーテル化物を選択的に合成することが困難になるおそれがある。
ハイドロキノンと化合物(2)との反応は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行う。
反応温度は特に限定されないが、通常20〜200℃、好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜120℃である。
反応時間は、反応温度等にもよるが、通常、1〜24時間である。
反応終了後は、反応液を冷却することで、目的とするモノエーテル化合物(3)を結晶として析出させることができる。
モノエーテル化合物(3)の純度(モノエーテル化物とジエーテル化物の合計に対するモノエーテル化物の割合)は、通常、70質量%以上、好ましくは80質量%以上である。
得られたモノエーテル化合物(3)の結晶は、精製することなく、そのまま次工程に供することもできるし、必要に応じて、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿等の公知の方法によりさらに精製し、より高純度のモノエーテル化合物として、次工程に供することもできる。
なお、モノエーテル化合物(3)の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等を測定や、元素分析を行うことで決定することができる。
次いで、得られたモノエーテル化合物(3)と、式(4)で示されるカルボン酸化合物(以下、「化合物(4)」という。)との脱水縮合反応により、目的とする化合物(Ia)を得ることができる。
ここで、脱水縮合反応は、適当な溶媒中、酸触媒の存在下に行う。
用いる酸触媒としては、特に制限されないが、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の鉱酸;リンタングステン酸等のヘテロポリ酸;パラトルエンスルホン酸等の有機酸;等が挙げられる。
酸触媒の使用量は、通常、モノエーテル化合物(3)に対して、0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。或いは、酸触媒の使用量は、モノエーテル化合物(3)1モルに対して、通常0.01〜1.0モル、好ましくは、0.01〜0.5モルである。
用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,3−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;および、これらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族炭化水素系溶媒が好ましく、トルエンがより好ましい。
上記反応においては、目的物を収率良く得るために、生成する水を系外に除去しながら、脱水縮合反応を行うことが好ましい。このような方法としては、例えば、ディーンスターク管等の装置を用いて、水を系外に除去しながら反応を行う方法等が挙げられる。
また、脱水縮合反応は、エーテル化合物を安定化するために、酸化防止剤の存在下で行ってもよい。用いる酸化防止剤としては、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、亜リン酸トリフェニル等が挙げられる。
酸化防止剤を用いる場合、その使用量は、エーテル化合物100質量部に対して、通常、0.1〜10質量部、好ましくは、0.5〜5質量部である。
反応温度は特に限定されないが、通常、20〜200℃、好ましくは40〜150℃、より好ましくは60〜150℃である。
反応時間は、反応温度等にもよるが、通常、1〜24時間である。
反応終了後においては、有機合成化学における通常の後処理操作を行い、所望により、反応生成物を、蒸留法、カラムクロマトグラフィー法、再結晶法、再沈殿法等の、公知の分離・精製方法により精製して、目的とする化合物(Ia)を効率よく単離することができる。
目的物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の分析手段を用いることにより同定し、確認することができる。
なお、化合物(4)は、アクリル酸を2〜4量化することにより得ることができる。その場合、通常、アクリル酸2−カルボキシエチル(2量体)のほか、アクリル酸自体や、アクリル酸の3量体以上のオリゴマーを含む混合物として得られる。
化合物(4)は、このようにして得られる混合物を分離精製することにより、一種単独の化合物として用いることができる。
また、後述するように、得られる混合物が、アクリル酸と、化合物(4)とを含む混合物である場合には、この混合物(以下、「混合物(D)」ということがある。)を、化合物(4)に代えて用いることができる。なお、混合物(D)は、化合物(4)を、混合物中に0.01〜20質量%含むことが好ましい。
化合物(4)としては、市販されているものを、そのまま使用することもできる。
また、cが1である化合物(I)の好ましい例としては、特に限定されることなく、下記式(IIIa):
〔式(IIIa)中、R1、R2、aおよびbは、前記式(I)と同じ意味を表す。〕に示される化合物(以下、「化合物(IIIa)」ということがある。)が挙げられる。
そして、化合物(IIIa)の製造方法としては、特に制約はないが、例えば、以下に示す方法(前記化合物(Ia)と、下記式(5)で表されるtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とを反応させる方法)が挙げられる。
〔各式中、R1、R2、aおよびbは、前記式(I)と同じ意味を表し、Rdは、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基を表す。〕
具体的には、先ず、適当な溶媒中で、化合物(5)に、式(6)で表されるスルホニルクロライド化合物を、第1の塩基の存在下で反応させる。
次いで、得られた反応混合物に、化合物(Ia)と第2の塩基とを加えて、さらに反応を行う。
ここで、スルホニルクロライド化合物の使用量は、化合物(5)1当量に対して、通常0.5〜2.1当量であり、好ましくは、0.5〜1.1当量である。
また、化合物(Ia)の使用量は、化合物(5)1当量に対して、通常0.5〜1.0当量である。
更に、第1の塩基および第2の塩基の使用量は、化合物(5)1当量に対して、通常0.5〜2.1当量であり、好ましくは、0.5〜1.1当量である。
なお、第1の塩基および第2の塩基としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等が挙げられる。
また、反応温度は、−10℃〜30℃とすることができ、反応時間は反応規模等にもよるが、数分から数時間とすることができる。
上記反応に用いる溶媒としては、前記化合物(Ia)を製造する際に用いることができる溶媒として例示したもの、並びに、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒が挙げられる。なかでも、エーテル系溶媒が好ましい。
なお、溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、化合物(Ia)1質量部に対し、通常1〜50質量部である。
反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作を行い、所望により、カラムクロマトグラフィー法、再結晶法、蒸留法、再沈殿法等の公知の分離・精製方法を用いた精製処理を施すことにより、目的物を単離することができる。
目的とする化合物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の測定、元素分析等により、同定することができる。
(2)化合物を含む混合物
本発明の混合物は、前記化合物(I)と、下記式(II)で示される化合物(以下、「化合物(II)」という。)とを含む混合物であり、例えば後述する重合性化合物(III)の製造に用いることができる。
なお、混合物を用いて調製した重合性化合物(III)を含む混合物または重合性液晶組成物を使用して光学フィルム等を形成する際にプロセスマージンを広げつつ得られる光学フィルム等の逆波長分散性を高める観点からは、混合物中の化合物(I)と化合物(II)との質量比(化合物(I):化合物(II))は、1:1000〜20:100であることが好ましく、1:100〜20:100であることがより好ましい。
ここで、式(II)中、dは、1〜20の整数であり、2〜12の整数が好ましく、4〜8の整数がより好ましく、eは、0または1である。
そして、FG2は、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基である。なお、eが0の場合、FG2は水酸基であることが好ましく、eが1の場合、FG2はカルボキシル基であることが好ましい。
また、A2は、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基である。中でも、A2は、eが0の場合には置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましく、eが1の場合には置換基を有していてもよい環状脂肪族基であることが好ましい。
ここで、置換基を有していてもよい環状脂肪族基は、無置換の2価の環状脂肪族基、または、置換基を有する2価の環状脂肪族基である。そして、2価の環状脂肪族基は、炭素数が通常は5〜20である、環状構造を有する2価の脂肪族基である。
A2の2価の環状脂肪族基の具体例としては、前記A1の2価の環状脂肪族基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、置換基を有していてもよい芳香族基は、無置換の2価の芳香族基、または、置換基を有する2価の芳香族基である。そして、2価の芳香族基は、炭素数が通常は2〜20である、芳香環構造を有する2価の芳香族基である。
A2の2価の芳香族基の具体例としては、前記A1の2価の芳香族基として例示したものと同じものが挙げられる。
更に、A2の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基としては、前記A1の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、eが1の場合、L2は、単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR21−CO−、−CO−NR22−、−O−CO−O−、−NR23−CO−O−、−O−CO−NR24−、または、−NR25−CO−NR26−であり、ここで、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、L2は、−O−、−CO−O−、または、−O−CO−であることが好ましい。
なお、前記R21〜R26の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
更に、cが1の場合、B2は、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基である。中でも、B2は置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましい。
ここで、置換基を有していてもよい環状脂肪族基は、無置換の2価の環状脂肪族基、または、置換基を有する2価の環状脂肪族基である。そして、2価の環状脂肪族基は、炭素数が通常は5〜20である、環状構造を有する2価の脂肪族基である。
B2の2価の環状脂肪族基の具体例としては、前記A1の2価の環状脂肪族基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、置換基を有していてもよい芳香族基は、無置換の2価の芳香族基、または、置換基を有する2価の芳香族基である。そして、2価の芳香族基は、炭素数が通常は2〜20である、芳香環構造を有する2価の芳香族基である。
B2の2価の芳香族基の具体例としては、前記A1の2価の芳香族基として例示したものと同じものが挙げられる。
更に、B2の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基としては、前記A1の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、Y2は、単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR21−CO−、−CO−NR22−、−O−CO−O−、−NR23−CO−O−、−O−CO−NR24−、または、−NR25−CO−NR26−であり、ここで、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、Y2は、−O−、−CO−O−、または、−O−CO−であることが好ましい。
なお、R21〜R26の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
そして、R3は、水素原子、メチル基または塩素原子であり、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。
上記化合物(II)は、既知の合成反応を組み合わせて合成することができる。即ち、様々な文献(例えば、MARCH’S ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY(WILEY)、サンドラー・カロ「官能基別有機化合物合成法」稲本直樹共訳(廣川書店))に記載の方法を参照して合成できる。
なお、光学フィルム等の逆波長分散性を高める観点からは、本発明の混合物では、化合物(I)のFG1、A1、L1、B1、Y1、R1、bおよびcが、それぞれ、化合物(II)のFG2、A2、L2、B2、Y2、R3、dおよびeと同じであることが好ましい。即ち、化合物(II)は、「CH2CR1COO−」と「−(CH2)b−」との間に「−(CH2CHR1COO)a−」を有さない以外は化合物(I)と同じ構造を有していることが好ましい。
そして、混合物は、例えば、化合物(I)と化合物(II)とを所望の割合で混合することにより調製することができる。
また、cが0である化合物(I)と、eが0である化合物(II)との混合物は、特に限定されることなく、下記式:
〔式中、Y1、A1、FG1およびbは、前記式(I)と同じ意味を表す。〕
で表される化合物と、前記混合物(D)とを反応させることにより得ることもできる。
更に、cが1である化合物(I)と、eが1である化合物(II)との混合物は、特に限定されることなく、下記式:
〔式中、L3は、cが0である化合物(I)のFG1およびeが0である化合物(II)のFG2と反応して−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR21−CO−、−CO−NR22−、−O−CO−O−、−NR23−CO−O−、−O−CO−NR24−、または、−NR25−CO−NR26−を形成し得る基(但し、R21〜R26はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である)を表し、A1は、前記式(I)と同じ意味を表し、FG3は、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を表す。〕
で表される化合物と、cが0である化合物(I)およびeが0である化合物(II)を含む混合物とを反応させることにより得ることもできる。
なお、cが1である化合物(I)と、eが1である化合物(II)との混合物は、更に下記式(α)で示される化合物を含んでいてもよい。その場合の、下記式(α)で示される化合物の含有量は、cが1である化合物(I)と、eが1である化合物(II)との合計量に対し、0.05〜60質量%であり、好ましくは、0.05〜50質量%であり、さらに好ましくは、0.05〜35質量%である。
〔式(α)中、Y1、B1、L1、A1、R1、R2およびbは、前記式(I)と同じ意味を表し、x、yはそれぞれ独立して、0〜3の整数を表す。〕
ここで、eが0である化合物(II)の好ましい例としては、特に限定されることなく、下記式(IIa):
〔式(IIa)中、R3およびdは、前記式(II)と同じ意味を表す。〕に示される化合物(以下、「化合物(IIa)」ということがある。)が挙げられる。
そして、化合物(IIa)は、例えば特許文献1に記載の方法などの従来公知の方法にて製造することができる。
また、例えば化合物(Ia)と化合物(IIa)とを含む混合物は、上述した化合物(Ia)と化合物(IIa)とを所望の割合で混合することにより調製することができる。
更に、化合物(Ia)と化合物(IIa)とを含む混合物は、例えば、以下に示すように、上記化合物(Ia)を得る製造方法において、化合物(4)に代えて、前記混合物(D)を使用することにより得ることもできる。
〔各式中、R1、R2、aおよびbは、前記式(I)と同じ意味を表し、R3およびd(=b)は、前記式(II)と同じ意味を表す。〕
また、eが1である化合物(II)の好ましい例としては、特に限定されることなく、下記式(IVa):
〔式(IVa)中、R3およびdは、前記式(II)と同じ意味を表す。〕に示される化合物(以下、「化合物(IVa)」ということがある。)が挙げられる。
そして、化合物(IVa)は、例えば特許文献1に記載の方法などの従来公知の方法にて製造することができる。
また、例えば化合物(IIIa)と化合物(IVa)とを含む混合物は、上述した化合物(IIIa)と化合物(IVa)とを所望の割合で混合することにより調製することができる。
更に、化合物(IIIa)と化合物(IVa)とを含む混合物は、例えば、以下に示すように、上記化合物(IIIa)を得る製造方法において、化合物(Ia)に代えて、上記化合物(Ia)と化合物(IIa)とを含む混合物を使用することにより得ることもできる。
〔各式中、R1、R2、aおよびbは、前記式(I)と同じ意味を表し、R3およびdは、前記式(II)と同じ意味を表し、Rdは、前記式(6)と同じ意味を表す。〕
(3)重合性化合物
本発明の重合性化合物は、下記式(III)で示される化合物(以下、「重合性化合物(III)」ということがある。)であり、後述する高分子、光学フィルムおよび光学異方体を調製する際に有利に用いることができる。
なお、後述するように、重合性化合物(III)と、後に詳細に説明する重合性化合物(IV)(式(IV)で示される化合物)との混合物を用いることで、液晶相をより安定に長時間維持でき、広いプロセスマージンを有し、実用的な低い融点を有し、汎用溶媒に対する溶解性に優れ、かつ、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルム等を低コストで製造することができる、重合性液晶組成物を得ることができる。
この理由は、明らかではないが、重合性化合物(III)が「−(CH2CHR5COO)f−」および/または「−(OCOCHR6CH2)k−」で示される構造を有しているため、重合性化合物(III)と重合性化合物(IV)との混合物を用いれば、重合性化合物(IV)のみを用いる場合と比較して、光学特性(特に、逆波長分散性)を確保しつつ、より低温で液晶相になり易い(即ち、室温で過冷却状態になり易い)液晶層を形成して、高分子を構成材料とした光学フィルム等を得ることができるからであると推察される。
因みに、重合性化合物(III)は、重合性化合物(IV)と混合することなく、単独で、重合性液晶組成物および高分子、並びに、高分子を構成材料とした光学フィルム等の調製に用いることもできる。
ここで、式(III)中、fおよびkは、一方が1〜3の整数で、他方が0〜3の整数であり、gおよびjは、それぞれ独立して、1〜20の整数であり、2〜12の整数が好ましく、4〜8の整数がより好ましく、hおよびiは、それぞれ独立して、0または1であり、1が好ましい。
そして、Ar1は、D1を置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、D1を置換基として有する2価の芳香族複素環基である。また、D1は、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1〜20の有機基である。
ここで、D1を置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基またはD1を置換基として有する2価の芳香族複素環基とは、D1が結合している芳香族炭化水素環またはD1が結合している芳香族複素環の環部分からD1が結合している炭素以外の炭素に結合している水素原子を2個取り除いた基である。
そして、Ar1の2価の芳香族炭化水素環基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、アントラセニル−9,10−ジイル基、アントラセニル−1,4−ジイル基、アントラセニル−2,6−ジイル基等が挙げられる。
これらの中でも、2価の芳香族炭化水素環基としては、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基または2,6−ナフチレン基が好ましい。
また、Ar1の2価の芳香族複素環基としては、ベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、1,2−ベンゾイソチアゾール−4,7−ジイル基、ベンゾオキサゾール−4,7−ジイル基、インドーニル−4,7−ジイル基、ベンゾイミダゾール−4,7−ジイル基、ベンゾピラゾール−4,7−ジイル基、1−ベンゾフラン−4,7−ジイル基、2−ベンゾフラン−4,7−ジイル基、ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ジチアゾリル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ジチアゾリル−4,8−ジイル基、ベンゾチオフェニル−4,7−ジイル基、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェニル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェニル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジフラニル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジフラニル−4,8−ジイル基、ベンゾ[2,1−b:4,5−b’]ジピロール−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジピロール−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ジイミダゾール−4,8−ジイル基等が挙げられる。
これらの中でも、2価の芳香族複素環基としては、ベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、ベンゾオキサゾール−4,7−ジイル基、1−ベンゾフラン−4,7−ジイル基、2−ベンゾフラン−4,7−ジイル基、ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ジチアゾリル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ジチアゾリル−4,8−ジイル基、ベンゾチオフェニル−4,7−ジイル基、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェニル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェニル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジフラニル−4,8−ジイル基またはベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジフラニル−4,8−ジイル基が好ましい。
Ar1の2価の芳香族炭化水素環基および2価の芳香族複素環基は、D1の他に、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ターシャリーブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよい。置換基が複数の場合は、複数の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。2価の芳香族炭化水素環基および2価の芳香族複素環基のD1以外の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、sec−ブチル基およびターシャリーブチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基が好ましい。
また、D1の、「芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する、炭素数1〜20の有機基」において、「芳香環」とは、Huckel則に従う広義の芳香族性を有する環状構造、すなわち、π電子を(4n+2)個有する環状共役構造、および、チオフェン、フラン、ベンゾチアゾール等に代表される、硫黄、酸素、窒素等のヘテロ原子の孤立電子対がπ電子系に関与して芳香族性を示す環状構造を意味する。
そして、D1が有する芳香環は、1または複数の置換基を有していてもよい。
また、前記Ar1およびD1の中に含まれるπ電子の合計数は、通常12以上であり、好ましくは12以上22以下であり、より好ましくは12以上20以下である。
なお、D1の、芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。
また、D1の、芳香族複素環としては、例えば、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロフラン環、テトラヒドロフラン環等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族複素環としては、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、チオフェン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、ピラン環、ベンゾイソオキサゾール環、チアジアゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾチアジアゾール環が好ましい。
そして、D1である、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する炭素数1〜20の有機基としては、特に限定されることなく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、または、式:−RfC(=N−NRgRh)で表される基が挙げられる。
なお、上記式中、Rfは、水素原子、または、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基を表す。
また、上記式中、Rgは、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を表す。ここで、炭素数1〜20の有機基およびその置換基としては、後述するRaの炭素数1〜20の有機基およびその置換基の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。
更に、上記式中、Rhは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数2〜20の有機基を表す。ここで、炭素数2〜20の有機基およびその置換基の具体例としては、後述するAxの炭素数2〜20の有機基およびその置換基の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。
具体的には、D1となる芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、フルオレニル基等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
また、D1となる芳香族複素環基としては、フタルイミド基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ペンゾピラノンニル基、ジヒドロピラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジヒドロフラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族複素環基としては、フラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、チアゾロピリジル基が好ましい。
D1となる芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基等の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;−C(=O)−Rb’;−C(=O)−ORb’;−SRb’;−SO2Rd’;水酸基;等から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよい。ここで、Rb’は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表し、Rd’は、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基を表す。なお、芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基が複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
Rb’の、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、および、置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラニル基、チオフェニル基等の炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアキル基等が挙げられる。Rb’の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、および、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基は、上述した置換基から選ばれる1または複数の置換基を有していてもよく、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
また、Rb’の、炭素数3〜12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。Rb’の炭素数3〜12のシクロアルキル基は、上述した置換基から選ばれる1または複数の置換基を有していてもよく、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
そして、上述したAr1およびD1の組み合わせ(Ar1−D1)としては、式:−RfC(=N−NRgRh)で表される基で置換されたフェニレン基、1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−(2−ブチル)−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4,6−ジメチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、6−メチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4,6,7−トリメチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4,5,6−トリメチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−メチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−プロピル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、7−プロピル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、フェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−フルオロフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−ニトロフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−トリフルオロメチルフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−シアノフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−メタンスルホニルフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、チオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、チオフェン−3−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−メチルチオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−クロロチオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、2−ベンゾチアゾリル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−ビフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−プロピルビフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−チアゾリル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、1−フェニルエチレン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−ピリジル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、2−フリル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、ナフト[1,2−b]フラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、フェニル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、4−ニトロフェニル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、または、2−チアゾリル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基等が挙げられる。ここで、Rf、Rg、Rhは前記と同じ意味を表す。
ここで、Ar1−D1としては、下記式(V)で表される2価の基が好ましい。
〔式(V)中、Axは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数2〜20の有機基を表し、Raは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を表す。〕
なお、本明細書において、下記式(i)で示される部分構造は、下記式(ia)および/または(iib)で示される部分構造を意味する。
ここで、Axの、「芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜20の有機基」において、「芳香環」とは、Huckel則に従う広義の芳香族性を有する環状構造、すなわち、π電子を(4n+2)個有する環状共役構造、および、チオフェン、フラン、ベンゾチアゾール等に代表される、硫黄、酸素、窒素等のヘテロ原子の孤立電子対がπ電子系に関与して芳香族性を示す環状構造を意味する。
Axの、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する炭素数2〜20の有機基は、芳香環を複数個有するものであってもよく、芳香族炭化水素環および芳香族複素環を有するものであってもよい。
なお、Axの、芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。
また、Axの、芳香族複素環としては、例えば、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロフラン環、テトラヒドロフラン環等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、チアゾール環等の単環の芳香族複素環;ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピラジン環等の縮合環の芳香族複素環が好ましい。
Axが有する芳香環は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;−C(=O)−Rb;−C(=O)−ORb;−SO2Rd;等が挙げられる。ここで、Rbは置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表す。また、Rdは、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基を表す。これらの中でも、Axが有する芳香環の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、および、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
なお、Axは、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Axが複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
Rbの、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等が挙げられる。なお、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数は、1〜12であることが好ましく、4〜10であることが更に好ましい。
Rbの、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数2〜20のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数は、2〜12であることが好ましい。
Rbの炭素数1〜20のアルキル基および炭素数2〜20のアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基等が挙げられる。これらの中でも、Rbの炭素数1〜20のアルキル基および炭素数2〜20のアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアキル基が好ましい。
なお、Rbの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基は、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Rbの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
Rbの、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
Rbの炭素数3〜12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。中でも、Rbの炭素数3〜12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましい。
なお、Rbの炭素数3〜12のシクロアルキル基は、複数の置換基を有していてもよい。Rbの炭素数3〜12のシクロアルキル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
Rbの、置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基の炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基等が挙げられる。中でも、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアキル基から選ばれる少なくとも1つの置換基が好ましい。
なお、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基は、複数の置換基を有していてもよい。炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基が複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
ここで、Axが有する芳香環は、同一の、または、相異なる置換基を複数有していてもよく、隣り合った二つの置換基が一緒になって結合して環を形成していてもよい。形成される環は単環であっても、縮合多環であってもよく、不飽和環であっても、飽和環であってもよい。
なお、Axの炭素数2〜20の有機基の「炭素数」は、置換基の炭素原子を含まない有機基全体の総炭素数を意味する。
そして、Axの、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜20の有機基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、フルオレニル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;フタルイミド基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジニル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ペンゾピラノンニル基、ジヒドロピラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジヒドロフラニル基、テトラヒドロフラニル基等の炭素数2〜20の芳香族複素環基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭化水素環基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する複素環基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数3〜20のアルキル基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数4〜20のアルケニル基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数4〜20のアルキニル基;等が挙げられる。
芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭化水素環基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する複素環基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数3〜20のアルキル基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数4〜20のアルケニル基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数4〜20のアルキニル基の、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の具体例としては、上記D1の、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。
なお、上記の有機基は、1または複数の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
かかる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;−C(=O)−Rb;−C(=O)−ORb;−SO2Rd;等が挙げられる。ここでRb、Rdは、前記と同じ意味を表す。
これらの中でも、Axの有機基が有する置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、および、炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの置換基が好ましい。
Axとしての、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する炭素数2〜20の有機基の好ましい具体例を以下に示す。但し、本発明は以下に示すものに限定されるものではない。なお、下記式中、「−」は環の任意の位置からのびるN原子(即ち、式(V)においてAxと結合するN原子)との結合手を表す。
1)芳香族炭化水素環基
2)芳香族複素環基
〔各式中、Eは、−NRz−、酸素原子または硫黄原子を表し、ここで、Rzは、水素原子;または、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;を表す。〕
〔各式中、XおよびYは、それぞれ独立して、−NRz−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO2−を表す。ここで、Rzは、水素原子;または、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;を表す。〕
〔各式中、Xは前記と同じ意味を表す。〕
3)少なくとも1つの芳香環を有する炭化水素環基
4)少なくとも1つの芳香環を有する複素環基
〔各式中、XおよびYは前記と同じ意味を表し、Zは、−NRz−、酸素原子または硫黄原子を表し、ここで、Rzは前記と同じ意味を表す(但し、各式中において酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−は、それぞれ隣接しないものとする。)。〕
5)芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、アルキル基
6)芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、アルケニル基
7)芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、アルキニル基
なお、上述したAxの好ましい具体例が有する環は、1または複数の置換基を有していてもよい。そして、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;−C(=O)−Rb;−C(=O)−ORb;−SO2Rd;等が挙げられる。
ここで、RbおよびRdは前記と同じ意味を表す。これらの中でも、Axが有する上記環が有する置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、および、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
ここで、Axの更に好ましい具体例を以下に示す。但し、Axは以下に示すものに限定されるものではない。
〔各式中、Xは前記と同じ意味を表す。〕
なお、前述した通り、上記環は1または複数の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;−C(=O)−Rb;−C(=O)−ORb;−SO2Rd;等が挙げられる。ここで、RbおよびRdは前記と同じ意味を表す。
これらの中でも、上記環が有する置換基としてはハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、および、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
そして、Axとしては、下記式(VI)で表される基が更に好ましい。
ここで、上記式(VI)中、RXは、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;または、−C(=O)−O−Rbを表し、Rbは、前記した通り、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表す。
なお、複数のRX同士は、すべて同一であっても、相異なっていてもよく、環を構成する任意のC−RXは、窒素原子に置き換えられていてもよい。
ここで、上記式(VI)で表される基のC−RXが窒素原子に置き換えられた基の具体例を下記に示す。但し、C−RXが窒素原子に置き換えられた基はこれらに限定されるものではない。
〔各式中、RXは、前記と同じ意味を表す。〕
これらの中でも、Axとしては、上記式(VI)で表される基のRXがすべて水素原子であるものが好ましい。
また、上記式(V)で表される2価の基のRaの、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基としては、特に制限されることなく、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、−C(=O)−Rb、−SO2−Rd、−C(=S)NH−Ri、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜20の芳香族複素環基が挙げられる。
ここで、RbおよびRdは、前記と同じ意味を表し、Riは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族複素環基を表す。
そして、Riの、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数1〜20のアルキル基およびその置換基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数2〜20のアルケニル基およびその置換基、並びに、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の炭素数3〜12のシクロアルキル基およびその置換基としては、Rbの炭素数1〜20のアルキル基およびその置換基、炭素数2〜20のアルケニル基およびその置換基、並びに、炭素数3〜12のシクロアルキル基およびその置換基の具体例として列記したのと同じものが挙げられる。また、Riの、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族複素環基としては、ピリジニル基、キノリル基等が挙げられる。更に、これらの芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基の置換基としては、Axの炭素数2〜20の有機基の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。
なお、Raの、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等が挙げられる。そして、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数は、1〜12であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましい。
また、Raの、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数2〜20のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数は、2〜12であることが好ましい。
更に、Raの、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基の炭素数2〜20のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、2−ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2−オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7−デカニル基等が挙げられる。
また、Raの、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
そして、Raの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、および、炭素数2〜20のアルキニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;−C(=O)−Rb;−C(=O)−ORb;−SO2Rd;−SRb;−SRbで置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。ここで、RbおよびRdは、前記と同じ意味を表す。
なお、Raの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、および、炭素数2〜20のアルキニル基は、上述した置換基を複数有していてもよく、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
また、Raの炭素数3〜12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;−C(=O)−Rb;−C(=O)−ORb;−SO2Rd;水酸基;等が挙げられる。ここで、RbおよびRdは、前記と同じ意味を表す。
なお、Raの炭素数3〜12のシクロアルキル基は、上述した置換基を複数有していてもよく、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
また、Raの、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基および炭素数2〜20の芳香族複素環基、並びに、それらの置換基としては、それぞれAxの芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基、並びに、それらの置換基として列記したものと同じものが挙げられる。
上述した中でも、Raとしては、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい炭素数5〜18の芳香族複素環基が好ましく、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基がより好ましい。
また、前述した式(III)中、Z11およびZ12は、それぞれ独立して、−CO−O−、−O−CO−、−NR31−CO−、または、−CO−NR32−であり、ここで、R31およびR32は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、Z11は、−CO−O−であることが好ましい。また、Z12は、−O−CO−であることが好ましい。
更に、A11およびA12は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基である。中でも、A11およびA12は、置換基を有していてもよい環状脂肪族基であることが好ましい。
なお、置換基を有していてもよい環状脂肪族基は、無置換の2価の環状脂肪族基、または、置換基を有する2価の環状脂肪族基である。そして、2価の環状脂肪族基は、炭素数が通常は5〜20である、環状構造を有する2価の脂肪族基である。
A11およびA12の2価の環状脂肪族基の具体例としては、前記式(I)のA1の2価の環状脂肪族基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、置換基を有していてもよい芳香族基は、無置換の2価の芳香族基、または、置換基を有する2価の芳香族基である。そして、2価の芳香族基は、炭素数が通常は2〜20である、芳香環構造を有する2価の芳香族基である。
A11およびA12の2価の芳香族基の具体例としては、前記式(I)のA1の2価の芳香族基として例示したものと同じものが挙げられる。
更に、A11およびA12の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基としては、前記式(I)のA1の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、hおよび/またはiが1の場合、L11およびL12は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR21−CO−、−CO−NR22−、−O−CO−O−、−NR23−CO−O−、−O−CO−NR24−、または、−NR25−CO−NR26−であり、ここで、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、L11およびL12は、それぞれ独立して、−O−、−CO−O−、または、−O−CO−であることが好ましい。
なお、前記R21〜R26の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
また、hおよび/またはiが1の場合、B11およびB12は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基である。中でも、B11およびB12は置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましい。
ここで、置換基を有していてもよい環状脂肪族基は、無置換の2価の環状脂肪族基、または、置換基を有する2価の環状脂肪族基である。そして、2価の環状脂肪族基は、炭素数が通常は5〜20である、環状構造を有する2価の脂肪族基である。
B11およびB12の2価の環状脂肪族基の具体例としては、前記式(I)のA1の2価の環状脂肪族基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、置換基を有していてもよい芳香族基は、無置換の2価の芳香族基、または、置換基を有する2価の芳香族基である。そして、2価の芳香族基は、炭素数が通常は2〜20である、芳香環構造を有する2価の芳香族基である。
B11およびB12の2価の芳香族基の具体例としては、前記式(I)のA1の2価の芳香族基として例示したものと同じものが挙げられる。
更に、B11およびB12の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基としては、前記式(I)のA1の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、Y11およびY12は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR21−CO−、−CO−NR22−、−O−CO−O−、−NR23−CO−O−、−O−CO−NR24−、または、−NR25−CO−NR26−であり、ここで、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、Y11およびY12は、それぞれ独立して、−O−、−CO−O−、または、−O−CO−であることが好ましい。
なお、R21〜R26の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
そして、R4〜R7は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基または塩素原子であり、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。なお、R4〜R7は、全て同一であることがより好ましく、R4〜R7は全て水素原子でことがさらに好ましい。
なお、逆波長分散性に優れる光学フィルム等を得る観点からは、重合性化合物(III)は、Ar1−D1を中心として左右が概ね対称な構造を有することが好ましい。具体的には、重合性化合物(III)では、R4、gおよびhが、それぞれ、R7、jおよびiと同じであり、−Y11−[B11−L11]h−A11−Z11−(*)と、(*)−Z12−A12−[L12−B12]i−Y12−とがAr1に結合する側(*)を対称中心とした対称構造を有することが好ましい。
なお、「(*)を対称中心とした対称構造を有する」とは、例えば、−CO−O−(*)と(*)−O−CO−や、−O−(*)と(*)−O−や、−O−CO−(*)と(*)−CO−O−などの構造を有することを意味する。
上記重合性化合物(III)は、既知の合成反応を組み合わせて合成することができる。即ち、様々な文献(例えば、MARCH’S ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY(WILEY)、サンドラー・カロ「官能基別有機化合物合成法」稲本直樹共訳(廣川書店))に記載の方法を参照して合成できる。
ここで、hおよびiが1である重合性化合物(III)の好ましい例としては、特に限定されることなく、下記式(Va):
〔式(Va)中、R4〜R7、Ra、Rx、f、g、jおよびkは、前記と同じ意味を表す。〕に示される化合物(以下、「重合性化合物(Va)」ということがある。)が挙げられる。
そして、重合性化合物(Va)の製造方法としては、特に制約はないが、例えば、下記式(7)で表される2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒドと、下記式(b)で表される化合物(以下、「化合物(b)」という。)、下記式(c)で表される化合物(以下、「化合物(c)」という。)を順次反応させ、下記式(9)で表される化合物(以下、「化合物(9)」という。)を得て、得られた化合物(9)に、下記式(10)で表されるヒドラジン化合物を反応させることにより、重合性化合物(Va)を得る方法が挙げられる。
〔各式中、R4〜R7、f、g、j、k、RaおよびRXは、前記と同じ意味を表し、Lは、前記式(2)と同じく、脱離基を表す。〕
なお、化合物(b)および化合物(c)(以下、「化合物(b)等」ということがある。)において、Lがハロゲン原子である化合物(酸ハライド)は、上述した化合物(IIIa)に、活性剤の存在下、塩化チオニル等のハロゲン化剤を反応させることにより得ることができる。
ここで、用いる活性剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
そして、活性剤の使用量は、化合物(b)等1モルに対し、通常0.1〜3モルである。
また、化合物(b)等において、Lがメタンスルホニルオキシ基、または、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアルキル(アリール)スルホニルオキシ基の化合物(混合酸無水物)は、適当な溶媒中で、上述した化合物(IIIa)に、RdSO2Cl〔式中、Rdは、前記式(6)と同じ意味を表す。〕で表されるスルホニルクロライド化合物を、塩基の存在下で反応させることで得られる。
なお、塩基としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等を用いることができる。
また、上記適当な溶媒としては、前記化合物(Ia)を製造する際に用いることができる溶媒として例示したもの、並びに、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒を用いることができる。なかでも、エーテル系溶媒が好ましい。
上記式(7)で表される2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒドと化合物(b)等との反応に用いる溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;および、これらの溶媒の2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、化合物(b)等1gに対し、通常1〜50gである。
なお、目的とする重合性化合物(Va)は、得られた化合物(9)とヒドラジン化合物(10)とを、モル比(化合物(9):ヒドラジン化合物(10))で、1:2〜2:1、好ましくは1:1.5〜1.5:1の割合で反応させることにより、高選択的かつ高収率で製造することができる。
この場合、(±)−10−カンファースルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸;塩酸、硫酸等の無機酸;等の酸触媒を添加して反応を行うことができる。酸触媒を添加することで反応時間が短縮され、収率が向上する場合がある。酸触媒の添加量は化合物(9)1モルに対して、通常0.001〜1モルである。また、酸触媒はそのまま添加してもよいし、適当な溶液に溶解させた溶液として添加してもよい。
化合物(9)とヒドラジン化合物(10)との反応に用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定されない。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルルコール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒;および、これらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、アルコール系溶媒、塩素系溶媒、エーテル系溶媒、および、これらの2種以上からなる混合溶媒が好ましい。
なお、溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、ヒドラジン化合物(10)1gに対し、通常1〜100gである。
また、反応は、−10℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で円滑に進行する。各反応の反応時間は、反応規模にもよるが、通常、数分から数時間である。
(4)重合性化合物を含む混合物
本発明の混合物は、前記重合性化合物(III)と、下記式(IV)で示される重合性化合物(重合性化合物(IV))とを含む混合物であり、例えば後述する重合性液晶組成物および高分子の製造に用いることができる。
なお、混合物または混合物を用いて調製した重合性液晶組成物を使用して光学フィルム等を形成する際にプロセスマージンを広げつつ得られる光学フィルムの逆波長分散性を高める観点からは、混合物中の重合性化合物(III)と重合性化合物(IV)との質量比(重合性化合物(III):重合性化合物(IV))は、1:1000〜20:100であることが好ましく、1:100〜20:100であることがより好ましい。
なお、重合性化合物(III)と重合性化合物(IV)との混合物を使用すれば、液晶相をより安定に長時間維持でき、広いプロセスマージンを有し、実用的な低い融点を有し、汎用溶媒に対する溶解性に優れ、かつ、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルム等を低コストで製造することができる。
この理由は、明らかではないが、重合性化合物(III)が「−(CH2CHR5COO)f−」および/または「−(OCOCHR6CH2)k−」で示される構造を有しているため、重合性化合物(III)と重合性化合物(IV)との混合物を用いれば、重合性化合物(IV)のみを用いる場合と比較して、光学特性(特に、逆波長分散性)を確保しつつ、より低温で液晶相になり易い(即ち、室温で過冷却状態になり易い)液晶層を形成して、高分子を構成材料とした光学フィルム等を得ることができるからであると推察される。
ここで、式(IV)中、mおよびqは、それぞれ独立して、1〜20の整数であり、2〜12の整数が好ましく、4〜8の整数がより好ましく、nおよびpは、それぞれ独立して、0または1であり、1が好ましい。
そして、Ar2は、D2を置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、D2を置換基として有する2価の芳香族複素環基である。また、D2は、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1〜20の有機基である。
ここで、D2を置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基またはD2を置換基として有する2価の芳香族複素環基とは、D2が結合している芳香族炭化水素環またはD2が結合している芳香族複素環の環部分からD2が結合している炭素以外の炭素に結合している水素原子を2個取り除いた基である。
そして、Ar2の2価の芳香族炭化水素環基としては、前記重合性化合物(III)のAr1の2価の芳香族炭化水素環基として例記したものと同じものが挙げられる。
また、Ar2の2価の芳香族複素環基としては、前記重合性化合物(III)のAr1の2価の芳香族複素環基として例記したものと同じものが挙げられる。
なお、Ar2の2価の芳香族炭化水素環基および2価の芳香族複素環基は、重合性化合物(III)のAr1と同じく、D2の他に少なくとも1つの置換基を有していてもよい。そして、Ar2の2価の芳香族炭化水素環基および2価の芳香族複素環基が有する置換基としては、Ar1の2価の芳香族炭化水素環基および2価の芳香族複素環基が置換基を有する場合の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、D2の、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1〜20の有機基としては、前記重合性化合物(III)のD1の、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1〜20の有機基として例示したものと同じものが挙げられる。
そして、Ar2およびD2の組み合わせ(Ar2−D2)としては、式:−RfC(=N−NRgRh)で表される基で置換されたフェニレン基、1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−(2−ブチル)−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4,6−ジメチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、6−メチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4,6,7−トリメチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4,5,6−トリメチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−メチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−プロピル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、7−プロピル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、フェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−フルオロフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−ニトロフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−トリフルオロメチルフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−シアノフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−メタンスルホニルフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、チオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、チオフェン−3−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−メチルチオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−クロロチオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、2−ベンゾチアゾリル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−ビフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−プロピルビフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−チアゾリル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、1−フェニルエチレン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−ピリジル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、2−フリル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、ナフト[1,2−b]フラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、フェニル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、4−ニトロフェニル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、または、2−チアゾリル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基等が挙げられる。ここで、Rf、Rg、Rhは前記と同じ意味を表す。
これらの中でも、Ar2−D2としては、下記式(VII)で表される基がより好ましい。
〔式(VII)中、Ayは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数2〜20の有機基を表し、Rcは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を表す。〕
ここで、Ayの、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数2〜20の有機基としては、前記式(V)のAxの芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数2〜20の有機基として例示したものと同じものが挙げられる。
中でも、Ayとしては、前記式(V)のAxと同じく、下記式(VI)で表される基が好ましく、下記式(VI)で表される基のRXがすべて水素原子であるものが更に好ましい。
〔式(VI)中、RXは前記と同じ意味を表す。〕
また、Rcの置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基としては、前記式(V)のRaの置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基として例示したのと同じものが挙げられる。
また、前述した式(IV)中、Z21およびZ22は、それぞれ独立して、−CO−O−、−O−CO−、−NR31−CO−、または、−CO−NR32−であり、ここで、R31およびR32は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、Z21は、−CO−O−であることが好ましい。また、Z22は、−O−CO−であることが好ましい。
更に、A21およびA22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基である。中でも、A21およびA22は、置換基を有していてもよい環状脂肪族基であることが好ましい。
なお、A21およびA22の、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基としては、前記重合性化合物(III)のA11およびA12の置換基を有していてもよい環状脂肪族基または置換基を有していてもよい芳香族基と同じものが挙げられる。
また、nおよび/またはpが1の場合、L21およびL22は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR21−CO−、−CO−NR22−、−O−CO−O−、−NR23−CO−O−、−O−CO−NR24−、または、−NR25−CO−NR26−であり、ここで、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、L21およびL22は、それぞれ独立して、−O−、−CO−O−、または、−O−CO−であることが好ましい。
なお、前記R21〜R26の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
また、nおよび/またはpが1の場合、B21およびB22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基である。中でも、B21およびB22は置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましい。
なお、B21およびB22の、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基としては、前記重合性化合物(III)のB11およびB12の置換基を有していてもよい環状脂肪族基または置換基を有していてもよい芳香族基と同じものが挙げられる。
また、Y21およびY22は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR21−CO−、−CO−NR22−、−O−CO−O−、−NR23−CO−O−、−O−CO−NR24−、または、−NR25−CO−NR26−であり、ここで、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、Y21およびY22は、それぞれ独立して、−O−、−CO−O−、または、−O−CO−であることが好ましい。
なお、R21〜R26の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
そして、R8およびR9は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基または塩素原子であり、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。なお、R8はR9と同一であることがより好ましく、R8およびR9は共に水素原子でことがさらに好ましい。
なお、逆波長分散性に優れる光学フィルム等を得る観点からは、重合性化合物(IV)は、Ar2−D2を中心として左右が対称な構造を有することが好ましい。具体的には、重合性化合物(IV)では、R8、mおよびnが、それぞれ、R9、qおよびpと同じであり、−Y21−[B21−L21]n−A21−Z21−(*)と、(*)−Z22−A22−[L22−B22]p−Y22−とがAr2に結合する側(*)を対称中心とした対称構造を有することが好ましい。
なお、「(*)を対称中心とした対称構造を有する」とは、例えば、−CO−O−(*)と(*)−O−CO−や、−O−(*)と(*)−O−や、−O−CO−(*)と(*)−CO−O−などの構造を有することを意味する。
上記重合性化合物(IV)は、既知の合成反応を組み合わせて製造することができる。即ち、様々な文献(例えば、MARCH’S ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY(WILEY)、サンドラー・カロ「官能基別有機化合物合成法」稲本直樹共訳(廣川書店))に記載の方法を参照して合成できる。
なお、特に限定されるものではないが、光学フィルム等の逆波長分散性を高める観点からは、本発明の混合物では、重合性化合物(III)のAr1、Z11、Z12、A11、A12、B11、B12、Y11、Y12、L11、L12、R4、R7、g、j、hおよびiは、それぞれ、重合性化合物(IV)のAr2、Z21、Z22、A21、A22、B21、B22、Y21、Y22、L21、L22、R8、R9、m、q、nおよびpと同じであることが好ましい。なお、D1およびD2は、互いに同一でも、異なっていてもよい。
即ち、重合性化合物(III)のD1以外の部分は、「CH2CR4COO−」と「−(CH2)g−」との間に「−(CH2CHR5COO)f−」を有さず、「−OCOCR7CH2」と「−(CH2)j−」との間に「−(OCOCHR6CH2)k−」を有さない以外は重合性化合物(IV)のD2以外の部分と同じ構造を有していることが好ましい。
そして、混合物は、例えば、重合性化合物(III)と重合性化合物(IV)とを所望の割合で混合することにより調製することができる。
また、混合物は、特に限定されることなく、下記式:
〔式中、L4は、前述した化合物(I)のFG1または化合物(II)のFG2と反応して−CO−O−、−O−CO−、−NR31−CO−、または、−CO−NR32−を形成し得る基(但し、R31およびR32は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である)を表し、L5はD1に変換可能な基を表し、Ar1は、前記式(III)と同じ意味を表す。〕
で表される化合物と、前述した化合物(I)および化合物(II)を含む混合物とを反応させ、その後、L5をD1に変換することにより得ることもできる。
ここで、nおよびpが1である重合性化合物(IV)の好ましい例としては、特に限定されることなく、下記式(VIa):
〔式(VIa)中、R8、R9、Rc、Rx、mおよびqは前記と同じ意味を表し、RXはすべて水素原子であるのが好ましい。〕に示される化合物(以下、「化合物(VIa)」ということがある。)が挙げられる。
そして、化合物(VIa)は、例えば特許文献1に記載の方法などの従来公知の方法にて製造することができる。
また、例えば化合物(Va)と化合物(VIa)とを含む混合物は、上述した化合物(Va)と化合物(VIa)とを所望の割合で混合することにより調製することができる。
更に、化合物(Va)と化合物(VIa)とを含む混合物は、例えば、上述した化合物(Va)を得る製造方法において、化合物(b)および化合物(c)に代えて、化合物(IIIa)と化合物(IVa)とを含む混合物を使用することにより得ることもできる。
(5)重合性液晶組成物
本発明の重合性液晶組成物は、上述した重合性化合物を含む混合物(重合性化合物(III)および重合性化合物(IV)を含む混合物)と、重合開始剤とを含有する。
なお、本発明の重合性液晶組成物は、後述するように、本発明の高分子、光学フィルム、光学異方体の製造原料として有用である。そして、本発明の重合性液晶組成物によれば、液晶相をより安定に長時間維持でき、広いプロセスマージンを有し、実用的な低い融点を有し、汎用溶媒に対する溶解性に優れ、かつ、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルム等を低コストで製造することができる。
ここで、重合開始剤は、重合性液晶組成物に含まれている重合性化合物の重合反応をより効率的に行う観点から配合される。
そして、用いる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、加熱することにより、重合性化合物の重合を開始し得る活性種が発生する化合物である熱ラジカル発生剤;や、可視光線、紫外線(i線など)、遠紫外線、電子線、X線等の露光光の露光により、重合性化合物の重合を開始しえる活性種が発生する化合物である光ラジカル発生剤;のいずれも使用可能であるが、光ラジカル発生剤を使用するのが好適である。
光ラジカル発生剤としては、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。これらの化合物は、露光によって活性ラジカルまたは活性酸、あるいは活性ラジカルと活性酸の両方を発生する成分である。光ラジカル発生剤は、一種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル・フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1,2−オクタンジオン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4’−モルフォリノブチロフェノン等を挙げることができる。
ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
なお、本発明においては、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度をさらに改良することができる点で好ましい。
ここで、「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、下記で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。
メルカプタン系化合物としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン等を挙げることができる。アミン系化合物としては、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等を挙げることができる。
トリアジン系化合物としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−ヘプタン−1,2−ジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1,2−ジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−〔4−(ベンゾイル)フェニル〕−オクタン−1,2−ジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン1−(O−アセチルオキシム)、1−[9−エチル−6−(3−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン1−(O−アセチルオキシム)、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−エタノン1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
また、光ラジカル発生剤として、市販品をそのまま用いることもできる。具体例としては、BASF社製の、商品名:Irgacure907、商品名:Irgacure184、商品名:Irgacure369、商品名:Irgacure651、商品名:Irgacure819、商品名:Irgacure907、および、商品名:IrgacureOXE02、並びに、ADEKA社製の、商品名:アデカオプトマーN1919等が挙げられる。
前記アニオン重合開始剤としては、アルキルリチウム化合物;ビフェニル、ナフタレン、ピレン等の、モノリチウム塩またはモノナトリウム塩;ジリチウム塩やトリリチウム塩等の多官能性開始剤;等が挙げられる。
また、前記カチオン重合開始剤としては、硫酸、リン酸、過塩素酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のプロトン酸;三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズのようなルイス酸;芳香族オニウム塩または芳香族オニウム塩と、還元剤との併用系;が挙げられる。
これらの重合開始剤は一種単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明の重合性液晶組成物において、重合開始剤の配合割合は、上述した重合性化合物を含む混合物100質量部に対し、通常、0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
また、本発明の重合性液晶組成物には、表面張力を調整するために、界面活性剤を配合するのが好ましい。当該界面活性剤としては、特に限定はないが、通常、ノニオン系界面活性剤が好ましい。当該ノニオン系界面活性剤としては、市販品を用いればよく、例えば、分子量が数千程度のオリゴマーであるノニオン系界面活性剤、例えば、ネオス社製、商品名:フタージェント208Gが挙げられる。
ここで、本発明の重合性液晶組成物において、界面活性剤の配合割合は、全重合性化合物100質量部に対し、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜2質量部である。
更に、本発明の重合性液晶組成物には、重合性化合物を含む混合物、重合開始剤、界面活性剤の他、本発明の効果に影響が出ない範囲で、他の成分が更に含まれていてもよい。他の成分としては、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等が挙げられる。
また、他の成分としては、他の共重合可能な単量体も挙げられる。具体的には、特に限定されるものではなく、例えば、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸−4’−メトキシフェニル、4−(6−メタクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸ビフェニル、4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸−4’−シアノビフェニル、4−(2−メタクリロリルオキシエチルオキシ)安息香酸−4’−シアノビフェニル、4−(2−メタクリロリルオキシエチルオキシ)安息香酸−3’,4’−ジフルオロフェニル、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸ナフチル、4−アクリロイルオキシ−4’−デシルビフェニル、4−アクリロイルオキシ−4’−シアノビフェニル、4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)−4’−シアノビフェニル、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)−4’−メトキシビフェニル、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)−4’−(4”−フルオロベンジルオキシ)−ビフェニル、4−アクリロイルオキシ−4’−プロピルシクロヘキシルフェニル、4−メタクリロイル−4’−ブチルビシクロヘキシル、4−アクリロイル−4’−アミルトラン、4−アクリロイル−4’−(3,4−ジフルオロフェニル)ビシクロヘキシル、4−(2−アクリロイルオキシエチル)安息香酸(4−アミルフェニル)、4−(2−アクリロイルオキシエチル)安息香酸(4−(4’−プロピルシクロヘキシル)フェニル)、商品名「LC−242」(BASF社製)、並びに、特開2007−002208号公報、特開2009−173893号公報、特開2009−274984号公報、特開2010−030979号公報、特開2010−031223号公報、特開2011−006360号公報および特開2010−24438号公報に開示されている化合物等の共重合可能な単量体が挙げられる。
これらの他の成分の配合割合は、全重合性化合物100質量部に対し、通常、0.1〜20質量部である。
本発明の重合性液晶組成物は、通常、重合性化合物を含む混合物、重合開始剤、および、所望により配合される他の成分等の所定量を、適当な有機溶媒に混合・溶解させることにより、調製することができる。
なお、この場合、混合物としての重合性化合物(III)と重合性化合物(IV)とは、予め混合した状態で添加してもよいし、別々に添加してもよい。
用いる有機溶媒としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;等が挙げられる。
(6)高分子
本発明の高分子は、上述した重合性化合物を含む混合物(重合性化合物(III)および重合性化合物(IV)を含む混合物)、または、上述した重合性液晶組成物を重合して得られるものである。
ここで、「重合」とは、通常の重合反応のほか、架橋反応を含む広い意味での化学反応を意味するものとする。
そして、本発明の高分子は、通常、重合性化合物(III)に由来する下記の単量体単位(繰り返し単位(III)’)と、重合性化合物(IV)に由来する下記の単量体単位(繰り返し単位(IV)’)とを有している。
〔式(III)’中のAr1、D1、Z11、Z12、A11、A12、B11、B12、Y11、Y12、L11、L12、R4〜R7、f、g、h、i、jおよびkは、式(III)と同じ意味であり、式(IV)’中のAr2、D2、Z21、Z22、A21、A22、B21、B22、Y21、Y22、L21、L22、R8、R9、m、n、pおよびqは、式(IV)と同じ意味である。〕
なお、本発明の高分子は、重合性化合物(III)および重合性化合物(IV)を含む混合物を用いて調製しているので、光学フィルム等の構成材料として良好に用いることができる。
また、本発明の高分子は、特に限定されることなく、フィルム状、粉体状、粉体が集合した層状などの用途に応じた任意の形状にして使用することができる。
具体的には、高分子のフィルムは、後述する光学フィルムおよび光学異方体の構成材料として良好に用いることができ、高分子の粉は、塗料、偽造防止物品、セキュリティ物品等に利用することができ、高分子の粉よりなる層は、光学異方体の構成材料として良好に用いることができる。
そして、本発明の高分子は、具体的には、(α)適当な有機溶媒中で、重合性化合物を含む混合物、または、重合性液晶組成物の重合反応を行った後、目的とする高分子を単離し、得られる高分子を適当な有機溶媒に溶解して溶液を調製し、この溶液を適当な基板上に塗工して得られた塗膜を乾燥後、所望により加熱することにより得る方法、(β)重合性化合物を含む混合物、または、重合性液晶組成物を有機溶媒に溶解し、この溶液を、公知の塗工法により基板上に塗布した後、脱溶媒し、次いで加熱または活性エネルギー線を照射することにより重合反応を行う方法等により好適に製造することができる。
前記(α)の方法において重合反応に用いる有機溶媒としては、不活性なものであれば、特に制限されない。例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類;等が挙げられる。
これらの中でも、取り扱い性に優れる観点から、沸点が60〜250℃のものが好ましく、60〜150℃のものがより好ましい。
また、前記(α)の方法において、単離した高分子を溶解するための有機溶媒、および、前記(β)の方法で用いる有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶剤;等が挙げられる。これらの中でも、取り扱いが容易な点から、溶媒の沸点が60〜200℃のものが好ましい。これらの溶剤は単独でも用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記(α)および(β)の方法において用いる基板としては、有機、無機を問わず、公知慣用の材質のものを使用することができる。例えば、有機材料としては、ポリシクロオレフィン〔例えば、ゼオネックス、ゼオノア(登録商標;日本ゼオン社製)、アートン(登録商標;JSR社製)、および、アペル(登録商標;三井化学社製)〕、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース、三酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン等が挙げられ、無機材料としては、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
また、用いる基板は、単層のものであっても、積層体であってもよい。
基板としては、有機材料からなる基板が好ましく、有機材料をフィルム状にした樹脂フィルムが更に好ましい。
なお、基板としては、後述する光学異方体の作製に用いられる基板等も挙げられる。
また、(α)の方法において高分子の溶液を基板に塗布する方法、および、(β)の方法において重合反応用の溶液を基板に塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、キャップコーティング法等を用いることができる。
更に、前記(α)および(β)の方法における乾燥または脱溶媒の方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等を用いることができる。
また、混合物および重合性液晶組成物を重合させる方法としては、活性エネルギー線を照射する方法や熱重合法等が挙げられるが、加熱を必要とせず、室温で反応が進行することから活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。
ここで、光の照射時の温度は、30℃以下とすることが好ましい。光照射強度は、通常、1W/m2〜10kW/m2の範囲、好ましくは5W/m2〜2kW/m2の範囲である。
上述のようにして得られた高分子は、基板から転写して使用することも、基板から剥離して単体で使用することも、基板から剥離せずにそのまま光学フィルム等の構成材料等として使用することもできる。
また、基板から剥離した高分子は、既知の方法で粉砕して粉体状にしてから使用することもできる。
以上のようにして得られる本発明の高分子の数平均分子量は、好ましくは500〜500,000、更に好ましくは5,000〜300,000である。該数平均分子量がかかる範囲にあれば、高い硬度が得られ、取り扱い性にも優れるため望ましい。高分子の数平均分子量は、単分散のポリスチレンを標準試料とし、テトラヒドロフランを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
そして、本発明の高分子によれば、液晶相をより安定に長時間維持でき、広いプロセスマージンを有し、実用的な低い融点を有し、汎用溶媒に対する溶解性に優れ、かつ、広い波長域において一様の偏光変換が可能な、性能面で満足のいく光学フィルム等を低コストで得ることができる。
(7)光学フィルム
本発明の光学フィルムは、本発明の高分子を用いて形成され、光学的な機能を有する層を含む。光学的な機能とは、単なる透過、反射、屈折、複屈折などを意味する。
ここで、本発明の光学フィルムは、配向膜を有していてもよい配向基板上に形成されたままの形態(配向基板/(配向膜)/光学フィルム)、配向基板とは異なる透明基板フィルム等に光学フィルムを転写した形態(透明基板フィルム/光学フィルム)、または、光学フィルムに自己支持性がある場合には光学フィルム単層形態(光学フィルム)のいずれの形態であってもよい。
なお、配向膜および配向基板としては、後述する光学異方体と同じ基板および配向膜を用いることができる。
そして、本発明の光学フィルムは、(A)重合性化合物を含む混合物の溶液、または、重合性液晶組成物の溶液を配向基板上に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、熱処理(液晶の配向)、並びに、光照射および/または加熱処理(重合)を行う方法や、(B)重合性化合物を含む混合物または液晶性組成物を重合して得られる液晶性高分子の溶液を配向基板上に塗布し、任意に得られた塗膜を乾燥する方法により製造することができる。
本発明の光学フィルムは、光学異方体、液晶表示素子用配向膜、カラーフィルター、ローパスフィルター、光偏光プリズム、各種光フィルター等に用いることができる。
なお、本発明の光学フィルムは、エリプソメーターで測定した波長449.9nm、548.5nm、650.2nmにおける位相差から求められる、下記α値およびβ値が所定の範囲内にあることが好ましい。具体的には、α値は、0.70〜0.99であることが好ましく、0.75〜0.90であることがより好ましい。また、β値は、1.00〜1.25であることが好ましく、1.01〜1.20であることがより好ましい。
α=(449.9nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
β=(650.2nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
(8)光学異方体
本発明の光学異方体は、本発明の高分子を構成材料とする層を有する。
本発明の光学異方体は、例えば、基板上に配向膜を形成し、該配向膜上に、さらに、本発明の高分子からなる層(液晶層)を形成することによって、得ることができる。なお、本発明の光学異方体は、基板上に本発明の高分子からなる層(液晶層)を直接形成したものであってもよいし、本発明の高分子からなる層(液晶層)のみからなるものであってもよい。
なお、高分子からなる層は、フィルム状の高分子からなるものであってもよいし、粉体状の高分子の集合体であってもよい。
ここで、配向膜は、重合性液晶化合物を面内で一方向に配向規制するために基板の表面に形成される。
配向膜は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリマーを含有する溶液(配向膜用組成物)を基板上に膜状に塗布し、乾燥させ、そして一方向にラビング処理等することで、得ることができる。
配向膜の厚さは0.001〜5μmであることが好ましく、0.001〜1μmであることがさらに好ましい。
ラビング処理の方法は、特に制限されないが、例えばナイロン等の合成繊維、木綿等の天然繊維からなる布やフェルトを巻き付けたロールで一定方向に配向膜を擦る方法が挙げられる。ラビング処理した時に発生する微粉末(異物)を除去して配向膜の表面を清浄な状態とするために、ラビング処理後に配向膜をイソプロピルアルコール等によって洗浄することが好ましい。
また、ラビング処理する方法以外に、配向膜の表面に偏光紫外線を照射する方法によっても、面内で一方向に配向規制する機能を持たせることができる。
配向膜を形成する基板としては、ガラス基板、合成樹脂フィルムからなる基板等が挙げられる。前記合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、および、脂環式オレフィンポリマーなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
脂環式オレフィンポリマーとしては、特開平05−310845号公報、米国特許第5179171号明細書に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報、米国特許第5202388号明細書に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報(国際公開99/20676号)に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体およびその水素添加物等が挙げられる。
本発明において、配向膜上に本発明の高分子からなる液晶層を形成する方法としては、前記本発明の高分子の項で記載したのと同じ方法(前記(α)および(β))が挙げられる。
得られる液晶層の厚みは、特に制限はないが、通常1〜10μmである。
なお、本発明の光学異方体の一種としては、特に限定されることなく、位相差板、視野角拡大板等が挙げられる。
なお、本発明の光学異方体は、エリプソメーターで測定した波長449.9nm、548.5nm、650.2nmにおける位相差から求められる、下記α値およびβ値が所定の範囲内にあることが好ましい。具体的には、α値は、0.70〜0.99であることが好ましく、0.75〜0.90であることがより好ましい。また、β値は、1.00〜1.25であることが好ましく、1.01〜1.20であることがより好ましい。
α=(449.9nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
β=(650.2nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
(9)偏光板等
本発明の偏光板は、本発明の光学異方体および偏光フィルムを含むものである。
本発明の偏光板の具体例としては、偏光フィルム上に、直接又はその他の層(ガラス板等)を介して、本発明の光学異方体が積層されてなるものが挙げられる。
偏光フィルムの製造方法は特に限定されない。PVA系の偏光フィルムを製造する方法としては、PVA系フィルムにヨウ素イオンを吸着させた後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後にヨウ素イオンを吸着させる方法、PVA系フィルムへのヨウ素イオン吸着と一軸延伸とを同時に行う方法、PVA系フィルムを二色性染料で染色した後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に二色性染料で染色する方法、PVA系フィルムへの二色性染料での染色と一軸延伸とを同時に行う方法が挙げられる。また、ポリエン系の偏光フィルムを製造する方法としては、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に脱水触媒存在下で加熱・脱水する方法、ポリ塩化ビニル系フィルムを一軸に延伸した後に脱塩酸触媒存在下で加熱・脱水する方法などの公知の方法が挙げられる。
本発明の偏光板においては、偏光フィルムと本発明の光学異方体とが、接着剤(粘着剤を含む)からなる接着層を介して接していてもよい。接着層の平均厚みは、通常0.01μm〜30μm、好ましくは0.1μm〜15μmである。前記接着層は、JIS K7113による引張破壊強度が40MPa以下となる層であることが好ましい。
接着層を構成する接着剤としては、アクリル接着剤、ウレタン接着剤、ポリエステル接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、ポリオレフィ系接着剤、変性ポリオレフィン接着剤、ポリビニルアルキルエーテル接着剤、ゴム接着剤、塩化ビニル・酢酸ビニル接着剤、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS共重合体)接着剤、その水素添加物(SEBS共重合体)接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合体およびエチレン−スチレン共重合体などのエチレン接着剤、並びに、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体およびエチレン・アクリル酸エチル共重合体などのアクリル酸エステル接着剤などが挙げられる。
本発明の偏光板は、本発明の光学異方体を用いていることから、低コストで製造可能で、反射輝度が低く、かつ、広い波長域において一様の偏光変換が可能な、性能面でも優れたものである。
また、本発明の偏光板を用いることにより、液晶パネルを用いたフラットパネル表示装置や、有機エレクトロルミネッセンスパネルを用いた有機エレクトロルミネッセンス表示装置や、反射防止フィルムを好適に製造することができる。
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
(合成例1)化合物1の合成
ステップ1:中間体Aの合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸17.98g(104.42mmol)とテトラヒドロフラン(THF)180mlを加えた。そこへ、メタンスルホニルクロリド6.58g(57.43mmol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を20℃とした。次いで、トリエチルアミン6.34g(62.65mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、10分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を25℃で2時間さらに攪拌した。
得られた反応液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.64g(5.22mmol)、及び、4−(6−アクリロイルオキシ−ヘクス−1−イルオキシ)フェノール(DKSH社製)13.80g(52.21mmol)を加え、再度反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とした。そこへ、トリエチルアミン6.34g(62.65mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、10分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水1000mlと飽和食塩水100mlを加え、酢酸エチル400mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=1:9(容積比、以下にて同じ))により精製を行った。高速液体クロマトグラフィーで分析を行い、純度が99.5%以上になるまでシリカゲルカラムクロマトグラフィーでの精製を繰り返した。その結果、白色固体として中間体Aを14.11g得た(収率:65モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):12.12(s,1H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.92(d,2H,J=9.0Hz)、6.32(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,1H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,1H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.48−2.56(m,1H)、2.18−2.26(m,1H)、2.04−2.10(m,2H)、1.93−2.00(m,2H)、1.59−1.75(m,4H)、1.35−1.52(m,8H)
ステップ2:中間体Bの合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体A4.00g(9.56mmol)及びTHF60mlを入れ、均一な溶液とした。そこへ、メタンスルホニルクロリド1.12g(9.78mmol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を20℃とした。次いで、トリエチルアミン1.01g(9.99mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、5分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間攪拌した。得られた反応液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.11g(0.87mmol)、及び、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド0.60g(4.35mmol)を加え、再度反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とした。そこへ、トリエチルアミン1.10g(10.87mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、5分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃で2時間さらに攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水400mlと飽和食塩水50mlを加え、酢酸エチル750mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をTHF100mlに溶解させた。その溶液にメタノール500mlを加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、白色固体として中間体Bを2.51g得た(収率:62モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):10.02(s,1H)、7.67(d,1H,J=3.0Hz)、7.55(dd,1H,J=3.0Hz,8.5Hz)、7.38(d,1H,J=8.5Hz)、6.99−7.04(m,4H)、6.91−6.96(m,4H)、6.32(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.56−2.81(m,4H)、2.10−2.26(m,8H)、1.50−1.76(m,16H)、1.33−1.49(m,8H)
ステップ3:化合物1の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ2で合成した中間体B2.30g(2.45mmol)及びTHF25mlを入れ、均一な溶液とし、そこへ、濃塩酸0.49ml(0.25mmol)を加えた。この溶液に、2−ヒドラジノベンゾチアゾール0.40g(2.45mmol)のTHF5ml溶液を15分かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃にてさらに1時間撹拌した。反応終了後、反応液をメタノール400mlに投入して析出した固体をろ取した。ろ取した固体を真空乾燥機で乾燥させ、淡黄色固体として化合物1を2.4g得た(収率:90モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):12.63(s,1H)、8.10(s,1H)、7.80(d,1H,J=5.0Hz)、7.60(d,1H,J=3.0Hz)、7.48(s,1H)、7.21−7.35(m,3H)、7.14(t,1H,J=7.5Hz)、6.98−7.05(m,4H)、6.91−6.97(m,4H)、6.32(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.18(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.12(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.56−2.83(m,4H)、2.11−2.30(m,8H)、1.52−1.80(m,16H)、1.33−1.49(m,8H)
(合成例2)化合物2の合成
ステップ1:中間体Cの合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール2.00g(12.1mmol)を入れ、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)20mlに溶解した。この溶液に炭酸カリウム8.36g(60.5mmol)、1−ヨードヘキサン3.08g(14.5mmol)を加え、50℃で7時間撹拌した。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、反応液を水200mLに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。そして、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25)により精製し、白色固体として中間体Cを2.10g得た(収率:69.6モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.60(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.53(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.27(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、4.22(s,2H)、3.74(t,2H,J=7.5Hz)、1.69−1.76(m,2H)、1.29−1.42(m,6H)、0.89(t,3H,J=7.0Hz)
ステップ2:化合物2の合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体C697mg(2.37mmol)、及び、合成例1のステップ2で合成した中間体B2.00g(2.13mmol)を入れ、エタノール3ml及びTHF20mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、(±)−10−カンファースルホン酸55.1mg(0.237mmol)を加え、40℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を水150mlに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、白色固体を得た。この白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=90:10)により精製し、白色固体として化合物2を2.24g得た(収率:86.4モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.67−7.70(m,3H)、7.34(ddd,1H,J=1.0Hz,7.0Hz,7.5Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.12(d,1H,J=9.0Hz)、7.10(dd,1H,J=2.5Hz,9.0Hz)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.30(t,2H,J=8.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58−2.70(m,4H)、2.31−2.35(m,8H)、1.66−1.82(m,18H)、1.31−1.54(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
(合成例3)化合物3の合成
ステップ1:中間体Dの合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、2−クロロベンゾチアゾール3.00g(17.69mmol)とフェニルヒドラジン7.65g(70.74mmol)を入れ、エチレングリコール30mlに溶解させた。この溶液を140℃に加熱し5時間反応させた。その後、反応液に蒸留水300mlを加え、酢酸エチル100mlで2回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した後にTHF15mlを加えて溶解させ、その溶液を蒸留水300ml中に投入した。析出した固体をろ過し、蒸留水で洗浄後、真空乾燥させて黄色固体を得た。得られた黄色固体をフラスコに入れ、トルエン50mlを加えて30分攪拌した後に、ろ過を行うことでトルエンに不溶の固体成分を除去した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=2:50)により精製することで、黄色オイルとして中間体Dを0.94g得た(収率:22モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):8.01(dd,2H,J=1.0Hz,9.0Hz)、7.78(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.51(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.43(dd,2H,J=7.5Hz,8.5Hz)、7.28(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.08−7.16(m,2H)、6.26(s,2H)
ステップ2:化合物3の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1の化合物1の合成のステップ2で合成した中間体B1.00g(1.06mmol)を入れ、THF30mlに溶解させた。この溶液に、1N塩酸0.22ml(0.22mmol)と前記ステップ1で合成した中間体D0.38g(1.60mmol)を加え、40℃で2時間反応させた。その後、反応液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=40:1)により精製することで、淡黄色固体として化合物3を1.14g得た(収率:95モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.82(d,1H,J=2.5Hz)、7.73(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.64−7.70(m,2H)、7.60(d,2H,J=7.5Hz)、7.35−7.42(m,3H)、7.30(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.18(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.03−7.12(m,2H)、7.00(d,2H,J=9.0Hz)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.90(d,2H,J=9.0Hz)、6.89(d,2H,J=9.0Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.18(t,2H,J=6.5Hz)、4.18(t,2H,J=6.5Hz)、3.92−3.98(m,4H)、2.56−2.71(m,2H)、2.41−2.50(m,1H)、2.27−2.40(m,5H)、2.12−2.22(m,2H)、1.64−1.91(m,14H)、1.41−1.56(m,10H)、1.19−1.31(m,2H)
(合成例4)化合物4の合成
ステップ1:中間体Eの合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流下中、シクロヘキシルヒドラジン塩酸塩2.50g(16.6mmol)を入れ、トリエチルアミン8mlに溶解した。この溶液に2−クロロベンゾチアゾール5.63g(33.2mmol)を加え、80℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液150mlに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。そして、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25)により精製し、白色固体として中間体Eを1.02g得た(収率:22.3モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.58(d,1H,J=7.8Hz)、7.52(d,1H,J=8.2Hz)、7.26(dd,1H,J=7.4Hz,8.2Hz)、7.05(dd,1H,J=7.4Hz,7.8Hz)、4.25−4.32(m,1H)、4.04(s,2H)、1.84−1.88(m,4H)、1.68−1.73(m,1H)、1.43−1.59(m,4H)、1.08−1.19(m,1H)
ステップ2:化合物4の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1の化合物1の合成のステップ2で合成した中間体B1.40g(1.49mmol)、前記ステップ1で合成した中間体E456mg(1.84mmol)、(±)−10−カンファースルホン酸38.6mg(0.166mmol)、THF16ml、及び、エタノール4mlを加え、均一な溶液とした。その後、40℃にて5時間反応させた。反応終了後、反応液を水100mlに投入し、酢酸エチル200mlで抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=97:3)により精製し、淡黄色固体として化合物4を1.24g得た(収率:71.4モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):8.15(s,1H)、7.72(d,1H,J=1.5Hz)、7.68(dd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz)、7.66(dd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz)、7.31−7.35(m,1H)、7.14−7.18(m,1H)、7.13(d,1H,J=9.0Hz)、7.10(dd,1H,J=1.5Hz,9.0Hz)、6.96−7.00(m,4H)、6.86−6.90(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.0Hz,17.0Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.62−4.70(m,1H)、4.17(t,4H,J=6.5Hz)、3.94(t,4H,J=6.5Hz)、2.55−2.74(m,4H)、2.27−2.47(m,10H)、1.90−2.00(m,4H)、1.65−1.85(m,16H)、1.42−1.55(m,10H)、1.24−1.33(m,2H)
(合成例5)化合物5の合成
ステップ1:中間体Fの合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール2.00g(12.1mmol)を入れ、DMF30mlに溶解させた。この溶液に炭酸セシウム7.88g(24.2mol)を加えて0℃に冷却し、ブチル2−クロロエチルエーテル1.98g(14.5mmol)を5分かけて滴下し、その後反応液を室温(23℃、以下にて同じ)に戻して3時間攪拌した。反応終了後、反応液に水200mlを加え、酢酸エチル100mlで2回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=75:25)により精製することで、白色固体として中間体Fを1.70g得た(収率53.0モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.61(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.50(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.27−7.29(m,1H)、7.04−7.08(m,1H)、4.70(s,2H)、4.01(t,2H,J=5.0Hz)、3.82(t,2H,J=5.0Hz)、3.44(t,2H,J=7.0Hz)、1.52−1.57(m,2H)、1.31−1.39(m,2H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
ステップ2:化合物5の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1のステップ2で合成した中間体B1.50g(1.60mmol)、前記ステップ1で合成した中間体F396mg(1.78mmol)、(±)−10−カンファースルホン酸41.4mg(0.178mmol)、THF16ml、及び、エタノール4mlを加え、均一な溶液とした。その後、40℃にて5時間反応させた。反応終了後、反応液を水100mlに投入し、酢酸エチル200mlで抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、淡黄色固体として化合物5を1.31g得た(収率:69.4モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):8.03(s,1H)、7.76(d,1H,J=1.5Hz)、7.65−7.71(m,2H)、7.34(ddd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.09−7.12(m,2H)、6.96−7.00(m,4H)、6.87−6.90(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.45(t,2H,J=5.5Hz)、4.18(t,4H,J=7.0Hz)、3.95(t,4H,J=7.0Hz)、3.79(t,2H,J=5.5Hz)、3.44(t,2H,J=7.0Hz)、2.55−2.74(m,4H)、2.28−2.40(m,8H)、1.65−1.83(m,16H)、1.42−1.55(m,10H)、1.25−1.34(m,2H)、0.85(t,3H,J=7.0Hz)
(合成例6)化合物6の合成
ステップ1:中間体Gの合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール5.04g(30.5mmol)を入れ、DMF50mlに溶解した。この溶液に炭酸セシウム14.9g(45.8mmol)、4−ブロモ−1−ブテン4.94g(36.6mmol)を加え、室温で7時間撹拌した。反応終了後、反応液を水200mLに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。そして、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=70:30)により精製し、白色固体として中間体Gを4.40g得た(収率:49.5モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.60(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.54(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.28(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、5.89(ddt,1H,J=7.0Hz,10.5Hz,17.0Hz)、5.17(ddt,1H,J=1.5Hz,3.0Hz,17.0Hz)、5.09(ddt,1H,J=1.0Hz,3.0Hz,10.5Hz)、4.26(s,2H)、3.85(t,2H,J=7.0Hz)、2.52(dddt,2H,J=1.0Hz,1.5Hz,7.0Hz,7.0Hz)
ステップ2:化合物6の合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体G195mg(1.77mmol)、及び、合成例1の化合物1の合成のステップ2で合成した中間体B:1.50g(1.60mmol)を入れ、エタノール3ml及びTHF15mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、(±)−10−カンファースルホン酸41.2mg(0.177mmol)を加え、40℃で8時間撹拌した。反応終了後、反応液を水150mlに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。そして、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=90:10)により精製し、白色固体として化合物6を1.26g得た(収率:69.3モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.76(d,1H,J=2.5Hz)、7.67−7.70(m,3H)、7.35(ddd,1H,J=1.5Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.18(ddd,1H,J=1.5Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.10−7.14(m,2H)、6.99(d,2H,J=9.5Hz)、6.98(d,2H,J=9.5Hz)、6.88(d,4H,J=9.5Hz)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.89(ddt,1H,J=6.5Hz,10.5Hz,17.0Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.18(dd,1H,J=1.5Hz,17.0Hz)、5.15(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.38(t,2H,J=7.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58−2.68(m,4H)、2.51(dt,2H,J=6.5Hz,7.0Hz)、2.31−2.35(m,8H)、1.76−1.85(m,4H)、1.65−1.74(m,12H)、1.41−1.54(m,8H)
(合成例7)化合物7の合成
ステップ1:中間体Hの合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール2.00g(12.1mmol)を入れ、DMF30mlに溶解させた。この溶液に炭酸セシウム7.88g(24.2mol)を加えて0℃に冷却し、2−ブロモヘキサン2.39g(14.5mmol)を5分間かけて滴下し、その後反応液を室温に戻して3時間攪拌した。反応終了後、反応液に水200mlを加え、酢酸エチル100mlで2回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=93:7)により精製することで、白色固体として中間体Hを1.61g得た(収率53.4モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.59(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.52(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.24−7.30(m,1H)、7.05(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、3.97(s,2H)、1.47−1.74(m,3H)、1.20−1.41(m,7H)、0.89(t,3H,J=5.5Hz)
ステップ2:化合物7の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1の化合物1の合成のステップ2で合成した中間体B1.50g(1.60mmol)、前記ステップ1で合成した中間体H444mg(1.78mmol)、(±)−10−カンファースルホン酸41.4mg(0.178mmol)、THF16ml、及び、エタノール4mlを加え、均一な溶液とした。その後、40℃にて5時間反応させた。反応終了後、反応液を水100mlに投入し、クロロホルム200mlで抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=92:8)により精製し、淡黄色固体として化合物7を1.35g得た(収率:72.4モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):8.04(s,1H)、7.73(d,1H,J=1.5Hz)、7.69(dd,1H,J=1.5Hz,7.8Hz)、7.65(dd,1H,J=1.5Hz,7.8Hz)、7.33(ddd,1H,J=1.5Hz,7.8Hz,7.8Hz)、7.07−7.19(m,3H)、6.95−7.01(m,4H)、6.85−6.91(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.54−2.73(m,4H)、2.25−2.40(m,8H)、1.65−1.83(m,16H)、1.60−1.62(m,2H)、1.57(d,3H,J=7.5Hz)、1.24−1.55(m,13H)、0.87(t,3H,J=7.5Hz)
(合成例8)化合物8の合成
ステップ1:中間体Iの合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール2.00g(12.1mmol)を入れ、DMF30mlに溶解した。この溶液に炭酸セシウム7.88g(24.2mmol)、1−ブロモ−2−ブチン1.93g(14.5mmol)を加え、室温で20時間撹拌した。反応終了後、反応液を水200mlに投入し、酢酸エチル300mlで抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、褐色固体を得た。この褐色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=85:15)により精製し、白色固体として中間体Iを1.25g得た(収率:47.5モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.63(dd,1H,J=1.3Hz,7.8Hz)、7.58(dd,1H,J=1.3Hz,7.8Hz)、7.29(ddd,1H,J=1.3Hz,7.8Hz,7.8Hz)、7.10(ddd,1H,J=1.3Hz,7.8Hz,7.8Hz)、4.56(q、2H,J=2.5Hz)、4.36(s,2H)、1.84(t,3H,J=2.5Hz)
ステップ2:化合物8の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1の化合物1の合成のステップ2で合成した中間体B1.50g(1.60mmol)、前記ステップ1で合成した中間体I387mg(1.78mmol)、(±)−10−カンファースルホン酸41.4mg(0.178mmol)、THF16ml、及び、エタノール4mlを加え、均一な溶液とした。その後、40℃にて5時間反応させた。反応終了後、反応液を水100mlに投入し、クロロホルム200mlで抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=9:1)により精製し、淡黄色固体として化合物8を1.54g得た(収率:84.9モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.90(s,1H)、7.78(d,1H,J=1.3Hz)、7.67−7.73(m,2H)、7.35(ddd,1H,J=1.3Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.18(ddd,1H,J=1.3Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.09−7.15(m,2H)、6.95−7.01(m,4H)、6.85−6.91(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.0Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.06(d,2H,J=2.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.0Hz)、3.95(t,4H,J=6.0Hz)、2.55−2.76(m,4H)、2.26−2.43(m,8H)、1.64−1.83(m,19H)、1.41−1.55(m,8H)
(合成例9)化合物9の合成
ステップ1:中間体Jの合成
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール5.00g(30.3mmol)を入れ、DMF100mlに溶解した。この溶液に炭酸カリウム20.9g(152mmol)、5−ブロモバレロニトリル5.17g(30.3mmol)を加え、60℃で8時間撹拌した。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、反応液を水500mLに投入し、酢酸エチル500mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=60:40)により精製し、白色固体として中間体Jを3.41g得た(収率:45.7モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.60(d,1H,J=7.8Hz)、7.51(d,1H,J=8.1Hz)、7.28(dd,1H,J=7.3、8.1Hz)、7.07(dd,1H,J=7.3Hz,7.8Hz)、4.23(s,2H)、3.81(t,2H,J=6.9Hz)、2.46(t,2H,J=7.1Hz)、1.88−1.95(m,2H)、1.71−1.79(m,2H)
ステップ2:化合物9の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1の化合物1の合成のステップ2で合成した中間体B1.50g(1.60mmol)、前記ステップ1で合成した中間体J438mg(1.78mmol)、(±)−10−カンファースルホン酸41.4mg(0.178mmol)、THF16ml、及び、エタノール4mlを加え、均一な溶液とした。その後、40℃にて5時間反応させた。反応終了後、反応液を水100mlに投入し、酢酸エチル200mlで抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=85:15)により精製し、淡黄色固体として化合物9を1.31g得た(収率:70.2モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.74(d,1H,J=1.5Hz)、7.64−7.72(m,3H)、7.35(ddd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.19(ddd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.10−7.14(m,2H)、6.96−7.01(m,4H)、6.86−6.91(m,4H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.12(dd,2H,J=10.5Hz,17.0Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.22(t,2H,J=6.5Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58−2.75(m,4H)、2.55(t,2H,J=6.5Hz)、2.26−2.40(m,8H)、1.96(tt,2H,J=6.5Hz,6.5Hz)、1.66−1.83(m,18H)、1.42−1.55(m,8H)
(実施例1)化合物Xの合成
ステップ1:中間体Kの合成
冷却器及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、ハイドロキノン104.77g(0.9515mol)、6−クロロヘキサノール100g(0.7320mol)、蒸留水500g、o−キシレン100gを加えた。全容を攪拌しながら、さらに、水酸化ナトリウム35.15g(0.8784mol)を、内容物の温度が40℃を超えないように20分かけて少量ずつ加えた。水酸化ナトリウムの添加終了後、内容物を加熱し、還流条件下(96℃)で、さらに12時間反応を行った。
反応終了後、反応液の温度を80℃に下げ、蒸留水200gを加えた後、反応液を10℃に冷却することで、結晶が析出した。析出した結晶をろ過により固液分離し、得られた結晶を蒸留水500gで洗浄し、真空乾燥することで、褐色結晶123.3gを得た。
この褐色結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、褐色結晶に含まれる化合物の含有量比(モル比)は(ハイドロキノン/中間体K/副生成物K=1.3/90.1/8.1)であった。この混合物を精製することなく、そのままステップ2に用いた。
ステップ2:中間体Lの合成
ディーンスターク管付き冷却器及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体Kを含む褐色結晶10.00g、トルエン100g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.105g(0.476mmol)を加え、全容を撹拌した。溶液を80℃に加熱し、アクリル酸2−カルボキシエチル20.56g(0.1427mol)、メタンスルホン酸1.37g(14.3mmol)を加え、還流条件(110℃)で、生成する水を除去しながら脱水反応を2時間行った。次いで、反応液を30℃に冷却し、蒸留水500gを加え、全容を攪拌後、静置した。有機層を分取し、得られた有機層に5%食塩水500gを加え、分液した。有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=8:1)により精製することで、ステップ1〜2のトータルで、白色固体として中間体Lを7.93g得た(収率:40モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):6.77(d,2H,J=9.0Hz)、6.76(d,2H,J=9.0Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.11(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.83(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.83(s,1H)、4.44(t,2H,J=6.5Hz)、4.13(t,2H,J=6.5Hz)、3.89(t,2H,J=6.5Hz)、2.69(t,2H,J=6.5Hz)、1.71−1.80(m,2H)、1.62−1.70(m,2H)、1.36−1.52(m,4H)
ステップ3:中間体Mの合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸3.58g(0.0208mol)とTHF25mlを加えた。次に、メタンスルホニルクロリド1.25g(0.0109mol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を5℃とした。そして、トリエチルアミン1.15g(0.0114mol)を反応液内温が15℃以下となるように15分間かけて滴下した。反応液を5℃で1時間撹拌した後に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.127g(1.04mmol)、中間体L3.51g(0.0104mol)を加え、トリエチルアミン1.15g(0.0114mol)を反応液内温が15℃以下となるように15分間かけて滴下した。その後、反応液を25℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液に蒸留水300mlと飽和食塩水30mlを加え、クロロホルム200mlで2回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=95:5)により精製することで、白色固体として中間体Mを2.41g得た(収率:47モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):6.96(d,2H,J=9.0Hz)、6.86(d,2H,J=9.0Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.11(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.83(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.44(t,2H,J=6.5Hz)、4.13(t,2H,J=6.5Hz)、3.93(t,2H,J=6.5Hz)、2.69(t,2H,J=6.5Hz)、2.47−2.57(m,1H)、2.34−2.43(m,1H)、2.12−2.28(m,4H)、1.73−1.82(m,2H)、1.36−1.71(m,10H)
ステップ4:中間体Nの合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1のステップ1で合成した中間体A:3.90g(8.85mmol)、DMF0.52g(7.1mmol)、トルエン39gを加えた。溶液を5℃に冷却し、塩化チオニル1.10g(9.3mmol)を10分間かけて滴下した後、5℃で1時間反応させた。その後、反応液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥させることで白色固体を得た。
また、温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド6.10g(0.0443mol)とトリエチルアミン0.985g(9.7mmol)を入れ、THF35gに溶解させた。溶液を5℃に冷却し、上記得られた白色固体を加えて30分反応させた。その後、反応液に蒸留水200mlと飽和食塩水10mlを加え、酢酸エチル100mlで2回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:THF=95:5)により精製することで、白色固体として中間体Nを1.53g得た(収率:32モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):10.91(s,1H)、9.86(s,1H)、7.32(d,1H,J=3.0Hz)、7.24(dd,1H,J=3.0Hz,9.0Hz)、7.01(d,1H,J=9.0Hz)、6.97(d,2H,J=9.0Hz)、6.87(d,2H,J=9.0Hz)、6.40(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.12(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.17(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.51−2.65(m,2H)、2.20−2.35(m,4H)、1.75−1.83(m,2H)、1.63−1.75(m,6H)、1.36−1.55(m,4H)
ステップ6:中間体Pの合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ3で合成した中間体M:1.00g(2.04mmol)を入れ、THF15mlに溶解させた。次にメタンスルホニルクロリド0.234g(2.04mmol)を加え、反応液を5℃に冷却し、トリエチルアミン0.236g(2.33mmol)を10分間かけて滴下した。反応液を5℃で1時間反応させた後、4−ジメチルアミノピリジン0.018g(0.15mmol)、前記ステップ4で合成した中間体N0.786g(1.46mmol)を加え、トリエチルアミン0.177g(1.75mmol)を10分間かけて滴下した。その後、反応液を25℃として2時間反応させた後、反応液に蒸留水200mlと飽和食塩水20mlを加え、クロロホルム100mlで2回抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=99:1)により精製することで、白色固体として中間体Pを1.15g得た(収率:78モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):10.08(s,1H)、7.61(d,1H,J=3.0Hz)、7.37(dd,1H,J=3.0Hz,9.0Hz)、7.20(d,1H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.97(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,2H,J=9.0Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.40(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.11(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.83(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.44(t,2H,J=6.5Hz)、4.17(t,2H,J=6.5Hz)、4.13(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.53−2.74(m,6H)、2.20−2.39(m,8H)、1.60−1.83(m,16H)、1.34−1.56(m,8H)
ステップ7:化合物Xの合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ6で合成した中間体P:0.944g(0.934mmol)、合成例2のステップ1で合成した中間体C:0.279g(1.12mmol)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02gをTHF15mlに溶解させた。その溶液に(+)−10−カンファースルホン酸44mg(0.189mmol)とエタノール2mlを加え、40℃に加熱して5時間反応させた。反応終了後、反応液に蒸留水100mlと飽和食塩水15mlを加え、酢酸エチル100mlで2回抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、得られた固体をクロロホルム10mlに溶解させた。その溶液にメタノール150mlを加えて結晶を析出させてろ過を行い、結晶をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、淡黄色固体として化合物Xを0.986g得た(収率:80モル%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.65−7.71(m,3H)、7.34(dd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.17(dd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.07−7.14(m,2H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,2H,J=9.0Hz)、6.41(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.40(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.11(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.83(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.44(t,2H,J=6.5Hz)、4.30(t,2H,J=7.5Hz)、4.18(t,2H,J=6.5Hz)、4.13(t,2H,J=6.5Hz)、3.95(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.54−2.74(m,6H)、2.25−2.40(m,8H)、1.62−1.84(m,18H)、1.28−1.56(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
(実施例2)混合物Xの合成
ステップ1:中間体混合物Qの合成
ディーンスターク管付き冷却器及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記実施例1のステップ1で合成した中間体Kを含む褐色結晶10.00g、トルエン100g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.105g(0.476mmol)を加え、全容を撹拌した。溶液を80℃に加熱し、アクリル酸5.14g(71.3mmol)、メタンスルホン酸0.91g(9.51mmol)を加え、還流条件(110℃)で、生成する水を除去しながら脱水反応を3時間行った。次いで、反応液を30℃に冷却し、蒸留水500gを加え、全容を攪拌後、静置した。有機層を分取し、得られた有機層に5%食塩水500gを加え、分液した。有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=8:1)により精製することで、白色固体として混合物Qを8.2g得た。この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の含有量比(モル比)は下記の通りであった。この混合物を精製することなく、そのままステップ2に用いた。
ステップ2:中間体混合物Rの合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸10.68g(62.0mmol)とTHF90mlを加えた。そこへ、メタンスルホニルクロリド3.9g(34.1mmol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を20℃とした。次いで、トリエチルアミン3.79g(37.5mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、10分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を25℃で2時間さらに攪拌した。
得られた反応液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.38g(3.12mmol)、及び、先のステップ1で合成した混合物Q8.2gを加え、再度反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とした。そこへ、トリエチルアミン3.79g(37.5mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、10分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水1000mlと飽和食塩水100mlを加え、酢酸エチル400mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=1:9)により精製することで、白色固体として混合物Rを7.1g得た。この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の含有量比(モル比)は下記の通りであった。この混合物を精製することなく、そのままステップ3に用いた。
ステップ3:混合物Sの合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ2で合成した混合物R7.1g及びTHF100mlを入れ、均一な溶液とした。そこへ、メタンスルホニルクロリド2.39g(20.9mmol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を20℃とした。次いで、トリエチルアミン2.16g(21.3mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、5分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間攪拌した。得られた反応液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.19g(1.54mmol)、及び、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド1.07g(7.72mmol)を加え、再度反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とした。そこへ、トリエチルアミン1.95g(19.3mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、5分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃で2時間さらに攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水400mlと飽和食塩水50mlを加え、酢酸エチル750mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をTHF150mlに溶解させた。その溶液にメタノール750mlを加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、白色固体として混合物Sを4.5g得た。この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の含有量比(モル比)は下記の通りであった。この混合物を精製することなく、そのままステップ4に用いた。
ステップ4:混合物Xの合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ3で合成した混合物S4.5g及びTHF50mlを入れ、均一な溶液とし、そこへ、濃塩酸0.93ml(0.48mmol)を加えた。この溶液に、合成例2のステップ1で合成した中間体C1.25g(5.0mmol)のTHF10ml溶液を15分かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃にてさらに1時間撹拌した。反応終了後、反応液をメタノール800mlに投入して、析出した固体をろ取した。ろ取した固体を真空乾燥機で乾燥させ、淡黄色固体として混合物Xを4.2g得た。この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の含有量比(モル比)は下記の通りであった。
<相転移温度の測定>
化合物1〜9及び化合物Xをそれぞれ10mg計量し、固体状態のまま、ラビング処理を施したポリイミド配向膜付きのガラス基板(E.H.C.Co.,Ltd.製、商品名:配向処理ガラス基板)2枚に挟んだ。この基板をホットプレート上に載せ、40℃から200℃まで昇温した後、再び40℃まで降温した。昇温、降温する際の組織構造の変化を偏向光学顕微鏡(ニコン社製、ECLIPSELV100POL型)で観察し、相転移温度を求めた。
測定した相転移温度を下記表1に示す。
表1中、「C」はCrystal、「N」はNematic、「I」はIsotropicをそれぞれ表す。ここで、Crystalとは、試験化合物が固相にあることを、Nematicとは、試験化合物がネマチック液晶相にあることを、Isotropicとは、試験化合物が等方性液体相にあることを、それぞれ示す。
(実施例3〜11)
合成例1〜9で得た化合物1〜9のそれぞれを0.99g、実施例1で得た化合物Xを10mg、光重合開始剤(BASF社製、商品名:イルガキュアーOXE02)を30mg、界面活性剤(ネオス社製、商品名:フタージェント208G)の1%シクロペンタノン溶液100mgを、1,3−ジオキソラン0.3g及びシクロペンタノン2.0gの混合溶媒に溶解させた。この溶液を0.45μmの細孔径を有するディスポーサブルフィルターでろ過し、重合性組成物(重合性液晶組成物)1〜9をそれぞれ得た。
(実施例12〜20)
合成例1〜9で得た化合物1〜9のそれぞれを0.90g、実施例1で得た化合物Xを100mg、光重合開始剤(BASF社製、商品名:イルガキュアーOXE02)を30mg、界面活性剤(ネオス社製、商品名:フタージェント208G)の1%シクロペンタノン溶液100mgを、1,3−ジオキソラン0.3g及びシクロペンタノン2.0gの混合溶媒に溶解させた。この溶液を0.45μmの細孔径を有するディスポーサブルフィルターでろ過し、重合性組成物(重合性液晶組成物10〜18)をそれぞれ得た。
(実施例21)
実施例2で得た混合物Xを1.0g、光重合開始剤(BASF社製、商品名:イルガキュアーOXE02)を30mg、界面活性剤(ネオス社製、商品名:フタージェント208G)の1%シクロペンタノン溶液100mgを、1,3−ジオキソラン0.3g及びシクロペンタノン2.0gの混合溶媒に溶解させた。この溶液を0.45μmの細孔径を有するディスポーサブルフィルターでろ過し、重合性液晶組成物19を得た。
(比較例1〜9)
合成例1〜9で得た化合物1〜9のそれぞれを1.0g、光重合開始剤(BASF社製、商品名:イルガキュアーOXE02)を30mg、界面活性剤(ネオス社製、商品名:フタージェント208G)の1%シクロペンタノン溶液100mgを、1,3−ジオキソラン0.3g及びシクロペンタノン2.0gの混合溶媒に溶解させた。この溶液を0.45μmの細孔径を有するディスポーサブルフィルターでろ過し、重合性液晶組成物1r〜9rをそれぞれ得た。
<液晶相の安定性評価>
(i)重合性液晶組成物による液晶層の形成
ラビング処理されたポリイミド配向膜の付与された透明ガラス基板(E.H.C.Co.,Ltd.製、商品名:配向処理ガラス基板)に、重合性液晶組成物1〜19および1r〜9rのそれぞれを♯4のワイヤーバーを使用して塗布した。塗膜を、下記表2に示す温度で1分間乾燥した後、表2に示す温度で1分間配向処理し、液晶層(厚み約2.5μm)を形成した。
(ii)光学異方体の形成
上記(i)で作製した液晶層を表2に示す温度で1分間あるいは15分間放置した後、それぞれの液晶層の塗布面側から表2に示す温度で1500mJ/cm2の紫外線を照射して重合させ、それぞれ、透明ガラス基板付光学異方体を得た。
(iii)液晶相安定性の判定
上記(ii)で得られた透明ガラス基板付光学異方体を図1に示すように配置して積層体を得て、表面の状態を目視にて観察した。ムラの無い状態がよい状態である。ムラが少ない状態を5とし、ムラが発生している状態を1として、その程度を5段階で評価した。評価結果を表2にまとめた。
なお、図1中、偏光フィルムとしては、PVA系の偏光フィルム(住友化学社製)を使用した。また、ムラがない状態(評価指数:5)、ムラが発生している状態(評価指数:1)の写真を、それぞれ図2(a)、図2(b)に示した。
<光学特性の測定>
上記(ii)で得られた透明ガラス基板付光学異方体について、245.9nmから998.4nm間の位相差を、エリプソメーター(J.A.Woollam社製、M2000U型)を用いて測定した。また、測定した位相差を用いて以下のように算出されるα、β値から波長分散性を評価した。結果を表3に示す。
α=(449.9nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
β=(650.2nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
なお、広帯域性を示す理想的な波長分散性、即ち逆波長分散性を示す場合、α値は1より小となり、β値は1より大となる。フラットな波長分散性を有している場合、α値とβ値は同程度の値となる。一般的な(通常の)波長分散性を有している場合、α値は1より大となり、β値は1より小となる。即ち、α値とβ値が同程度の値となるフラットな波長分散性が好ましく、αが1より小となり、βが1より大となる逆波長分散性が特に好ましい。
ここで、光学異方体の膜厚は、透明ガラス基板付光学異方体の光学異方体に針で傷をつけ、その段差を表面形状測定装置DEKTAK150型(株式会社アルバック製)で測定して計測した。
表2から、化合物Xを含む重合性液晶組成物では、液晶相をより安定に長時間維持でき、塗布ムラの少ない塗膜が得られるとなることが分かる。また、化合物Xの添加量が10%の場合(実施例12〜20)には、乾燥温度を下げることが可能となり、取扱いのより容易な液晶組成物を得られることが分かる。
表3から、実施例1〜21においても、αは1より小となり、ベータは1より大となることが分かる。従って、化合物Xを添加しても、広帯域性を示す理想的な波長分散性、即ち逆波長分散性を維持していることが分かる。