JP2017203666A - 水分検出素子製造方法、水崩壊性配線膜製造方法、水崩壊性薄膜製造方法、水分検出素子 - Google Patents

水分検出素子製造方法、水崩壊性配線膜製造方法、水崩壊性薄膜製造方法、水分検出素子 Download PDF

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Abstract

【課題】水分検出素子と、水崩壊性が良好な水崩壊性薄膜と水崩壊性配線膜とを製造する製造方法を提供する。【解決手段】所定範囲で添加物を含有するアルミ合金から溶射材料を造り、溶射材料を溶射して水崩壊性溶射物を形成し、水崩壊性溶射物をスパッタリングして、成膜対象物上に水崩壊性薄膜を形成する。水崩壊性薄膜を加工し、水崩壊性配線膜を作成し、水分検出素子を得る。溶射によって添加物がアルミニウム結晶中に分散されるので、水崩壊性が良好である。【選択図】 図2

Description

本発明は、スパッタリングに用いるスパッタリングターゲットに関し、特に水崩壊性のアルミニウム合金膜を形成するためのスパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。
従来、アルミニウムにインジウム等を含有するアルミニウム合金からなる膜として、水分の存在する雰囲気中で溶解し、水崩壊性を発現するものが知られている。
この水崩壊性のアルミニウム合金からなる膜は、水を用いることによって溶解するものであることから、成膜した部材を損傷させることなく膜を剥離することができ、容易に部材の再利用を行うことができる。
このような水崩壊性の膜を形成する場合、従来は、水崩壊性のアルミニウム合金を溶融し、その微粒子を成膜対象物に吹き付ける溶射法を用いていた。
しかし、溶射法による膜は、100μm以上の厚さがあるとともに、その表面が凹凸を有するもので、成膜後に膜の表面を平坦化する必要がある。このような膜厚と表面の凹凸とから、溶射法によって形成した水崩壊性薄膜をエッチング法によってパターニングすることは困難である。
さらに、水崩壊性薄膜を、半導体プロセスに匹敵するパーティクル密度の清浄雰囲気で形成しようとすると、溶射法では、放出されるパーティクルによって清浄雰囲気を汚染するおそれがある。
従来、スパッタリング法に用いるスパッタリングターゲットは、スパッタリングターゲットの材料を溶融してインゴットを作成し、このインゴットを加工することによって作成している。
このようなスパッタリングターゲットを用いて水崩壊性のアルミニウム合金膜を成膜した場合に溶射法による膜と同等の良好な水崩壊性を有するものが作成できれば、種々の用途に使用できるので好ましい。
特開2005−256063号公報 国際公開2012−026349号公報 特開2013−140950号公報
本発明は、このような従来の技術の課題を考慮してなされたもので、その目的とするところは、水崩壊性が良好な、薄膜、配線膜や、水分を検出することができる水分検出素子を製造することができる製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するためになされた本発明は、アルミニウムに少なくともインジウム又はビスマスのいずれか一方又は両方から成る添加物が添加されたアルミニウム合金を、溶融し、投射する溶射法によって前記アルミニウム合金の溶滴を金属板上に付着させ、水崩壊性溶射物を形成する溶射工程と、成膜対象物を真空槽内に搬入し、前記真空槽内に配置された前記水崩壊性溶射物をスパッタリング雰囲気中でスパッタリングし、前記成膜対象物の表面に、水崩壊性薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記水崩壊性薄膜を部分的に除去し、残存する前記水崩壊性薄膜から所定パターンの水崩壊性配線膜を形成する加工工程と、を有し、前記水崩壊性配線膜の少なくとも一部は、水分が接触して崩壊可能にされた水分検出素子を製造する水分検出素子製造方法である。
本発明は、前記水崩壊性配線膜の表面に保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記保護膜の一部を除去して露出開口を形成し、前記露出開口の底面に前記水崩壊性配線膜を露出させる露出工程と、を有し、前記水崩壊性配線膜のうち、前記露出開口の底面に露出された部分が水分と接触可能にされた水分検出素子製造方法である。
本発明は、前記アルミニウム合金中の前記添加物は、アルミニウム100重量%に対して0.1重量%以上20重量%以下の範囲で含有された水分検出素子製造方法である。
また本発明は、アルミニウムに少なくともインジウム又はビスマスのいずれか一方又は両方から成る添加物が添加されたアルミニウム合金を、溶融し、投射する溶射法によって前記アルミニウム合金の溶滴を金属板上に付着させ、水崩壊性溶射物を形成する溶射工程と、成膜対象物を真空槽内に搬入し、前記真空槽内に配置された前記水崩壊性溶射物をスパッタリング雰囲気中でスパッタリングし、前記成膜対象物の表面に、水崩壊性薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記水崩壊性薄膜を部分的に除去し、残存する前記水崩壊性薄膜から所定パターンの水崩壊性配線膜を形成する加工工程と、を有する水崩壊性配線膜製造方法である。
本発明は、前記アルミニウム合金中の前記添加物は、アルミニウム100重量%に対して0.1重量%以上20重量%以下の範囲で含有された水崩壊性配線膜製造方法である。
本発明は、水崩壊性配線膜を形成する加工工程は、エッチング液として水、温水、または水蒸気のいずれかを使用する水崩壊性配線膜製造方法である。
また本発明は、アルミニウムに少なくともインジウム又はビスマスのいずれか一方又は両方から成る添加物が添加されたアルミニウム合金を、溶融し、投射する溶射法によって前記アルミニウム合金の溶滴を金属板上に付着させ、水崩壊性溶射物を形成する溶射工程と、成膜対象物を真空槽内に搬入し、前記真空槽内に配置された前記水崩壊性溶射物をスパッタリング雰囲気中でスパッタリングし、前記成膜対象物の表面に、水崩壊性薄膜を形成する薄膜形成工程と、を有する水崩壊性薄膜製造方法である。
本発明は、前記アルミニウム合金中の前記添加物は、アルミニウム100重量%に対して0.1重量%以上20重量%以下の範囲で含有された水崩壊性薄膜製造方法である。
また本発明は、基板上に配置された水崩壊性を有する水崩壊性配線膜と、前記水崩壊性配線膜を覆う保護膜と、前記保護膜に形成され、底面に前記水崩壊性配線膜の一部を露出させる露出開口と、を有し、前記水崩壊性配線膜の前記露出開口の底面に位置する部分は水分が接触可能にされ、前記水分と接触する部分が水崩壊可能にされた水分検出素子である。
本発明は、基板上に配置された水崩壊性を有する水崩壊性配線膜と、前記水崩壊性配線膜に設けられた第一、第二の電極と、前記水崩壊性配線膜に電流が流れる電流経路の前記第一、第二の電極の間の位置の部分には、前記水崩壊性配線膜が露出され、水分と接触可能にされ、前記水分と接触する部分が水崩壊可能にされた水分検出素子である。
アルミニウムと添加物との割合が、良好な水崩壊性を有することが知られている範囲内であっても、アルミニウムとインジウム又はビスマスである添加物とを加熱して溶融させた溶融物を、冷却させて得たアルミニウム合金は、良好な水崩壊性を有しないことが知られている。
その理由は、本発明の発明者等の研究により、溶融物の冷却速度は遅いので、溶融したアルミニウムが冷却されてアルミニウム結晶粒を形成する際に、アルミニウム合金の粒界に添加物が集まり、アルミニウム結晶粒中に分散する添加物の粒子数が少なくなるからであることが分かった。
それに対し、添加物の含有率が良好な水崩壊性を有することが知られている範囲内であっても、実際には良好な水崩壊性を有さないアルミニウム合金を溶射して形成した溶射物は、良好な水崩壊性を有することが分かった。
その理由は、溶射の際にアルミニウム結晶粒の粒界に集まった添加物は、溶射の際に溶融されたときに、溶融アルミニウムの中に分散され、その状態で溶滴となって投射され、溶滴が成膜対象物に到達すると熱伝導によって急冷され、添加物がアルミニウム中に分散された状態で固化されるから、添加物がアルミニウム中に分散された状態が維持されるからである、と考えられる。
そして、スパッタリング法は、スパッタリングターゲットを溶融させることは無いから、添加物がアルミニウム中に分散された溶射物をスパッタリングしてスパッタ膜を得れば、スパッタ膜中のアルミニウムには添加物が分散された状態が維持されており、良好な水崩壊性を有する薄膜を得ることができる。
スパッタリングによって形成されるスパッタ膜の表面は平坦であるから、表面が粗い溶射膜にはレジスト膜は使用することができないが、スパッタ膜には使用することができるから、フォトリソグラフプロセスによって、所望の平面形状にパターニングすることができる。
例えば、水崩壊性を有するスパッタ膜表面にレジスト液を塗布して硬化させてレジスト膜を形成した後、レジスト膜の所望位置を除去して開口を形成し、開口の底面にスパッタ膜を露出させれば、スパッタ膜の露出部分をエッチング除去することができるので、スパッタ膜を、レジスト膜の平面形状にパターニングすることができる。
なお、アルミニウム合金から成るインゴットを加工して溶射材料を作成し、溶射材料を溶射して水崩壊性溶射物を作成し、水崩壊性溶射物をスパッタリングして、水崩壊性薄膜を作成し、水崩壊性薄膜を加工して、水崩壊性配線膜や、ヒューズや、水分検出素子を作成する。
水崩壊性薄膜と、水崩壊性薄膜を加工して得られるものが、良好な水崩壊性を有するためには、溶射材料を構成するアルミニウム合金は、アルミニウム100重量%に対し、インジウム又はビスマスのいずれか一方又は両方から成る添加物を、0.1重量%以上20重量%以下の範囲で含有させることができる。
また、溶射材料を構成するアルミニウム合金には、シリコンを0.04重量%以上8重量%以下の範囲で含有させることができる。
また、溶射材料を構成するアルミニウム合金には、チタンを0.13重量%以上4重量%以下の範囲で含有させることができる。
本発明に用いる水崩壊性スパッタターゲットは、アルミニウムにインジウム又はビスマスのいずれか一方又は両方から成る添加物が添加されたアルミニウム合金インゴットの溶射物であり、水崩壊性を有している。
この水崩壊性スパッタターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、溶射膜より薄く且つ均一な膜厚で、しかも表面が平坦な水崩壊性のアルミニウム合金から成る水崩壊性薄膜を製造することができる。
この水崩壊性薄膜はパターニングにより、水崩壊性を有する配線膜や、水分検出素子を得ることができる。
また、本発明の水崩壊性薄膜は、水のみ、又は添加物を含有する水に接触させることで剥離させることができるので、きわめて清浄な環境で使用する部材に対する各種の膜として好適となるものであり、例えば、成膜装置の真空槽の内壁面に水崩壊性薄膜を防着膜として形成しておくと、真空槽の内壁面に付着した薄膜を、真空槽内壁面を水洗浄するだけで除去することができる。
水崩壊性配線膜製造方法の一例を示すフローチャート (a)〜(d):同水崩壊性スパッタターゲットの製造方法の一例を示す工程図 本発明に用いるスパッタリング装置の一例 (a)〜(f):本発明の製造方法を説明する工程図(1) (g)〜(j):本発明の製造方法を説明する工程図(2)
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の水崩壊性配線膜製造方法の工程を説明するためのフローチャートであり、図2(a)〜(d)は、水崩壊性スパッタターゲットの製造工程を説明するための工程図である。
<水崩壊性スパッタターゲット>
図1、図2を参照し、本発明では、まず、図1のインゴット作成工程P1に於いて、アルミニウムと、インジウム又はビスマスのいずれか一方又は両方から成る添加物とを加熱・溶融させた後、冷却し、アルミニウムに添加物が含有されたアルミニウム合金を作成する。
このアルミニウム合金は、アルミニウム100重量%に対し、添加物が、0.1重量%以上20重量%以下の範囲で含有されている。
図2(a)の符号1は、そのアルミニウム合金のインゴットを示している。
次に、図1の溶射材料作成工程P2に於いて、インゴット作製工程P1で作成されたインゴット1を加工して、図2のようなワイヤー形状の溶射材料2を得る。溶射材料2を構成するアルミニウム合金は、インゴットと同じ成分である。
なお、ワイヤー形状の溶射材料2を作成する加工法としては、伸線加工、引き抜き加工、押し出し加工等が挙げられる。
次に、図2(c)を参照し、図1の溶射工程P3に於いて、溶射材料2を溶射装置のノズル11の根元側からノズル11の内部に挿入し、ノズル11の先端13を、金属板10に向けて配置する。
ノズル11の内部で燃焼フレームを生成して先端13の内部で溶射材料2を溶融させると共に、溶射装置のノズル11の根元側から先端13側に送風する圧縮空気によって、溶射材料2の溶滴を開口14から空気中に投射(Spray)する。
符号12は、開口14から放出された溶滴を示しており、溶滴12は空気中を飛行して、金属板10に到達して付着すると、溶射材料2の材料から成る水崩壊性溶射膜が成長する。
ノズル11を所定範囲内で移動させながら、溶射材料2を溶射すると、金属板10の所定の位置に水崩壊性溶射物が形成される。
ここで、上記溶射法はフレーム溶射法であったが、本発明の場合、溶射の方式は、アーク溶射、プラズマ溶射等、他の溶射方法であってもよい。
図2(d)の符号15は、水崩壊性溶射物を示している。
水崩壊性溶射物15中の添加物は、アルミニウム結晶粒中に、粒径10nm以下の粒子にされて均一に分散されていることが観察された。
なお、水崩壊性溶射物15を形成する金属板10の表面10aは、例えばSiCを用いたブラスト処理によって金属板10を形成する前に予め粗面化しておくと、金属板10と水崩壊性溶射物15との間の接着力が増加する。
<薄膜形成工程>
次に、薄膜形成工程P4に於いて、水崩壊性溶射物15を、金属板10と共に、図3のスパッタリング装置20の真空槽34の内部に配置する。
この真空槽34には、真空排気装置35とスパッタリングガス導入装置36とが接続されており、真空槽34の内部は真空排気装置35によって真空排気され、真空雰囲気が形成されている。
次に、真空雰囲気を維持しながら、真空槽34の内部に成膜対象物を搬入し、水崩壊性溶射物15と対面させる。図3の符号16は、その成膜対象物を示している。
真空槽34の外部には、スパッタ電源37が配置され、金属板10はスパッタ電源37に電気的に接続されており、スパッタリングガス導入装置36から真空槽34の内部の真空雰囲気中にスパッタリングガスを導入し、スパッタ電源37を起動して金属板10に電圧を印加すると、金属板がバッキングプレートとなり、水崩壊性溶射膜がスパッタリングターゲットとなって、水崩壊性溶射物15の表面のスパッタリングが開始される。
このスパッタリングによって水崩壊性溶射物15の表面からスパッタリング粒子が飛び出し、真空雰囲気中を飛行したスパッタリング粒子は成膜対象物16の表面に到達すると、成膜対象物16上に水崩壊性薄膜が成長する。
水崩壊性薄膜が所定の膜厚値になると、スパッタリングを終了させる。
図4(a)の符号17は、成膜対象物16片面上に、所定膜厚に全面的に形成された水崩壊性薄膜を示している。このスパッタリングにより、水崩壊性薄膜17は、数十nm以上、数μm以下の範囲の膜厚に形成することができる。
水崩壊性溶射物15は、水分の存在する雰囲気中で溶解し、水崩壊性を発現する範囲の含有率で添加物が含有されたアルミニウム合金で構成されており、添加物がアルミニウム結晶内に分散されているから水崩壊性を発現する。
水崩壊性溶射物15をスパッタリングして得た水崩壊性薄膜17にも、水崩壊性溶射物15と同様に、アルミニウム結晶粒中に、添加物が粒径10nm以下の粒子にされて均一に分散されていることが観察された。
<加工工程>
次に、加工工程P5に於いて、水崩壊性薄膜17の表面にレジスト液を塗布し、硬化させ、図4(b)に示すように、水崩壊性薄膜17の表面にレジスト膜31を全面的に形成し、次に、フォトリソグラフプロセス等によって、レジスト膜31の一部を除去し、レジスト膜31の残存部分によってレジストパターンを形成する。
図4(c)の符号33はレジストパターンを示しており、レジストパターン33の間には、底面に水崩壊性薄膜17の一部が露出するエッチング用開口32が形成されている。水崩壊性薄膜17の他の部分の表面には、レジストパターン33が配置されている。
その状態の成膜対象物16を、水を主成分とするエッチング液に浸漬すると、露出された水崩壊性薄膜17はエッチング液と接触し、水崩壊が発生して、エッチング液と接触した部分がエッチング除去され、水崩壊により発生した反応物は洗浄によって除去される。成膜対象物16をエッチング液に浸漬せず、エッチング液を成膜対象物16に吹き付けて、エッチング用開口32の底面に露出した水崩壊性薄膜17をエッチング液に接触させてエッチング除去するようにしてもよい。水崩壊性薄膜17は水のみによってもエッチングできるので、化学物質を必要とせず環境負荷を小さくすることができる。エッチング液として、水、高温水、水蒸気を使用することができる。なお、水蒸気の場合は閉空間に充満させたり、吹き付けたりして使用することができる。
また、水に替え、水崩壊性薄膜17を溶解させることができる化合物によって、水崩壊性薄膜17のエッチング用開口32底面の露出部分をエッチング除去するようにしてもよい。
レジストパターン33が表面に配置された部分の水崩壊性薄膜17は残存し、水崩壊性薄膜17の残存部分から、一又は複数本の水崩壊性配線膜が形成される。
図4(d)は、エッチング除去後、レジストパターン33を除去した状態であり、符号18は、水崩壊性配線膜を示している。水崩壊性配線膜18の平面形状は、レジストパターン33の平面形状と同一であり、例えば、レジストパターン33の平面形状が幅狭の直線状形状である場合は、平面形状が幅狭の直線状形状の水崩壊性配線膜18が作成される。
ここで、成膜対象物16は、例えば電子部品を搭載する回路基板である場合には、水崩壊性配線膜18が形成された後、成膜対象物16上に電子部品が搭載され、水崩壊性配線膜18によって電子部品と電子部品とを電気的に接続させることができる。
その場合には、電子部品を搭載する前に、検査工程P6に於いて、各水崩壊性配線膜18毎に、導通の有無や抵抗値の測定等の電気的な配線検査を行うことができる。
そして配線検査の結果を所定の基準に従って評価し、配線検査結果が良品と評価された成膜対象物16は、後工程を行う場所に送られ、電子部品が搭載され、水崩壊性配線膜18を用いた電子回路が作成される。
他方、配線検査の結果が不良品と評価された成膜対象物16は、水崩壊性配線膜除去工程P9を行う場所に移動され、水崩壊性配線膜除去工程P9に於いて、水崩壊性配線膜18が露出された状態で水を主成分とするエッチング液に浸漬され、水崩壊性配線膜18が除去される。
そして、水崩壊性配線膜18が除去された成膜対象物16は、洗浄と乾燥とがされた後、薄膜形成工程P4に戻され、新しい水崩壊性配線膜18が形成される。
それに対し、成膜対象物16が回路基板ではなく、内部に不純物が拡散されてトランジスタやダイオード等の電子部品が内部に形成された半導体ウェハである場合は、水崩壊性配線膜18の電気的な測定を行う配線検査を行っても良いし、また、半導体ウェハの内部の電子部品間は水崩壊性配線膜18によって電気的に接続されて電子回路が形成されているので、形成された電子回路を電気的に試験することを配線検査としてもよい。
いずれにしろ、配線結果の評価が良品である場合は、成膜対象物16は後工程を行う場所に移動され、配線結果の評価が不良品である場合は、成膜対象物16は、水崩壊性配線膜除去工程P9を行う場所に移動され、水崩壊性配線膜除去工程P9に於いて水崩壊性配線膜18が除去され、薄膜形成工程P4に戻されて、新しい水崩壊性配線膜18が形成される。
<後工程>
ここでは、後工程の最初の工程として、保護膜形成工程P7が設けられている。
保護膜形成工程P7に於いて、成膜対象物16の水崩壊性配線膜18が形成された片面上に、第一の保護膜を全面的に形成する。
図4(e)は、図4(d)の水崩壊性配線膜18を異なる方向から見た断面図であり、符号19は、第一の保護膜を示している。水崩壊性配線膜18の表面と側面は、第一の保護膜19で覆われる。
成膜対象物16が半導体ウェハである場合は、第一の保護膜19は、例えばスパッタリング方法によって形成する有機の絶縁性薄膜又は無機の絶縁性薄膜である。
成膜対象物16が電子部品が搭載される回路基板である場合は、第一の保護膜19は、例えば、電子部品を搭載する前に水崩壊性配線膜18上に第一の保護膜液を塗布し、硬化させて形成する有機の絶縁性薄膜又は無機の絶縁性薄膜である。
第一の保護膜19を形成した後、フォトリソグラフプロセス等により、第一の保護膜19を部分的に除去し、第一の保護膜19の残存物から成る第一の保護パターンを形成する。
図4(f)の符号20は、第一の保護パターンであり、第一の保護パターン20には、底面に水崩壊性配線膜18の一部が露出する複数のコンタクト開口が形成されており、図4(f)中には、一本の水崩壊性配線膜18の両端側に位置する第一、第二のコンタクト開口271、272が示されている。
各水崩壊性配線膜18は、第一、第二のコンタクト開口271、272の底面以外の場所では、第一の保護パターン20によって覆われている。
次に、電極形成工程P8に於いて、成膜対象物16の、水崩壊性配線膜18が形成された片面上に電極膜を全面的に形成した後、フォトリソグラフプロセス等により、電極膜を部分的に除去し、電極膜の残存物から、各コンタクト開口が位置する場所に、コンタクト開口の底面の水崩壊性配線膜18と接触する電極を形成する。図5(g)の符号211、212は、一本の水崩壊性配線膜18の第一、第二のコンタクト開口271、272に形成された第一、第二の電極を示している。電極膜は、異なるコンタクト開口に形成された電極が電気的に接続しないようにパターニングされており、各電極は、各電極が配置された開口の底面に位置する配線膜と接触し、電気的に接続される。第一、第二の電極211、212もそのようにされており、第一、第二のコンタクト開口271,272の底面に露出した部分の水崩壊性配線膜18と接触し、電気的に接続されている。
成膜対象物16が回路基板の場合は、電極が形成された後、電子部品を搭載することができる。また、成膜対象物16が半導体ウェハの場合は、電子回路の動作を検査した後、チップに分割して良品を選別することができる。
他方、成膜対象物16に、更に後工程を行い、水分検出素子を製造する場合を説明する。
水分検出素子では、成膜対象物16にはガラス基板を用いることができ、基板に電子部品を設けなくても良い。
その基板表面には、平面形状が線状の水崩壊性配線膜18が形成されていることが好ましく、その水崩壊性配線膜18の一端に第一の電極211を配置し、他端に第二の電極212を配置する。
そして、第一、第二の電極211、212間を、水崩壊性配線膜18を通って電流が流れるときの電流経路の途中位置の第一の保護パターン20、即ち、電流経路上での第一、第二の電極211、212間の位置の第一の保護パターン20を露出させ、第一の保護パターン20の他の部分や電極をパターニングしたレジスト等で覆う。
その状態で、ドライエッチング等により、水崩壊性配線膜18を水分と接触させずに第一の保護パターン20の露出部分を除去し、次いで、パターニングしたレジストを除去すると、図5(h)に示すように、第一の保護パターン20に露出開口30が形成され、露出開口30の底面に水崩壊性配線膜18が露出された水分検出素子5が作成される。ドライエッチングに用いるエッチングガスは、第一の保護パターン20と反応して気体を生成するが、水崩壊性配線膜18とは反応しない反応性ガスを用いる。
水崩壊性配線膜18の露出部分は大気雰囲気に露出させておき、水崩壊性配線膜18が、大気雰囲気中の水分や、液体状の水分に接触できるようにしておくと、露出開口30の底面に露出した水崩壊性配線膜18が、それら水分と接触したときに、水崩壊が発生する。
水崩壊が発生すると、水崩壊性配線膜18の抵抗値が変化する。
ここで、水崩壊性配線膜18が水分と接触する前に、水崩壊性配線膜18に流れる電流と水崩壊性配線膜18に生じる電圧降下との関係を測定しておき、水分検出素子5を、測定環境に配置して電流と電圧降下の関係を繰り返し測定すると、その関係の変化により、水崩壊の発生の有無を検出することができる。
なお、成膜対象物16の表面のうち、水崩壊性配線膜18が位置する片面上に第二の保護膜を全面的に形成した後、露出開口30の位置と、電極を外部配線に接続する位置との第二の保護膜を除去し、第二の保護膜の残存物から成る第二の保護パターンを形成することができる。
図5(i)の符号22は、第二の保護パターンを示しており、水崩壊性配線膜18は第二の保護パターン22に形成された露出開口30の底面に露出されており、露出する水崩壊性配線膜18に水分が接触すると、接触した部分の水崩壊性配線膜18は水崩壊する。
第一、第二の電極211、212は、外部配線に接続される部分(不図示)を除き、第二の保護パターン22によって覆われており、保護されている。
この水分検出素子5が、例えば液体の水の中に浸漬された場合は、水崩壊性配線膜18が水崩壊すると共に、水崩壊による生成物は洗い流されて除去されるので、図5(j)に示すように、水崩壊性配線膜18の真下に位置していた成膜対象物16の表面27が露出する。
なお、成膜対象物16が、回路基板や半導体ウェハなど、成膜対象物16に電子回路が形成される場合は、本発明の水崩壊性配線膜18を、電子回路の一部の配線として用い、水分が電子回路に接触するときに、水崩壊性配線膜18にも接触するようにしておけば、水崩壊によって水崩壊性配線膜18が断線したときに、電子回路の動作を安全に停止させるように、電子回路中の電子部品と水崩壊性配線膜18との接続を決定することができる。
例えば、電子回路に電源から電力を供給する配線の途中に、水崩壊性配線膜18を設けておけば、水崩壊性配線膜18が水崩壊によって断線したときに、電子回路への電力供給を停止することができるので、水崩壊性配線膜18を水に対するヒューズとして用いることになる。
<添加物>
溶射材料2のアルミニウム合金に於いて、アルミニウム100重量%に対するインジウムの含有量が0.1重量%より小さいと、水崩壊性薄膜17と水との反応性が低下する傾向があり、他方、アルミニウムに対するインジウムの含有量が20重量%を超えると、反応性が高過ぎて大気中の水分によって崩壊し、また溶射材料を形成することが困難になる傾向がある。
他方、溶射材料2のアルミニウム合金に於いて、アルミニウム100重量%に対するビスマスの含有量が0.1重量%より小さいと、水崩壊性薄膜17と水との反応性が低下する傾向があり、他方、アルミニウムに対するビスマスの含有量が20重量%を超えると、水崩壊性薄膜17の反応性が高過ぎて大気中の水分によって崩壊し、また、ワイヤー状の溶射材料を形成することが困難になる傾向がある。
水崩壊性薄膜17の添加物の含有率は、溶射材料2の含有率と同一であり、また、シリコンの含有率や、チタンの含有率も同一である。
本発明の溶射材料2には、アルミニウム100重量%に対し、添加物を0.1重量%以上20重量%以下の範囲で含有させることが好ましい。
一方、本発明の場合、溶射材料2に更にシリコンを含有させることもできる。
この場合、溶射材料2の中のシリコンの含有量については、アルミニウム100重量%に対し、シリコンを0.04重量%以上8重量%以下含有させることが好ましい。
溶射材料2のアルミニウム合金中で、アルミニウム100重量%に対するシリコンの含有量が0.04重量%より小さいと、水崩壊性薄膜17と水との反応性の制御効果が低下する傾向があり、他方、アルミニウムに対するシリコンの含有量が8重量%を超えると、水崩壊性薄膜17と水との反応性が低下する傾向がある。
なお、水崩壊性薄膜17の水崩壊性を制御する必要がない場合や、高温の水を用いて水崩壊性薄膜17を崩壊させる等の場合は、水崩壊性薄膜17に含有させるシリコンの含有量は上述した範囲外とすることができる。
本発明の場合、溶射材料2には、チタンを含有させることもできる。
この場合、溶射材料2のチタンの含有量については、アルミニウム100重量%に対し、0.13重量%以上4重量%以下含有させることが好ましい。
溶射材料2のアルミニウム合金に於いて、アルミニウム100重量%に対するチタンの含有量が0.13重量%より小さいと、アルミニウム中の不純物の影響を受け、熱履歴を経た後の水崩壊性薄膜17の溶解性が低下する傾向があり、他方、4重量%を超えると、水崩壊性薄膜17の中におけるチタンの偏析が大きくなる傾向がある。
アルミニウムにインジウムを含有する水崩壊性のアルミニウム合金の一例としては、例えば、Al−In−Si−Tiがあげられる。
このAl−In−Si−Tiは、Al100重量%に対し、2.0重量%以上3.5重量%以下、好ましくは2.5重量%以上3.0重量%以下のIn、0.2重量%以上0.5重量%以下のSi、及び0.13重量%以上0.25重量%以下、好ましくは0.15重量%以上0.25重量%以下、さらに好ましくは0.17重量%以上0.23重量%以下のTiを含有するものを、溶射材料2のアルミニウム合金として好適に用いることができる。
ここで、アルミニウム100重量%に対する添加物としてのInの含有量が2重量%未満であると、水崩壊性薄膜17と水との反応性が低下する傾向があり、3.5重量%を超えると、水崩壊性薄膜17と水との反応性が非常に高くなる傾向があり、水崩壊性薄膜17の取り扱いが難しくなる場合があるとともに、In量の増加に伴いコストが大となる。
また、アルミニウム100重量%に対するSiの含有量が0.2重量%未満であると、水崩壊性薄膜17と水との反応性の制御効果が低下する傾向があり、0.5重量%を超えると、水崩壊性薄膜17と水との反応性が低下し始める傾向があり、さらに0.6重量%を超えると水崩壊性薄膜17と水との反応性そのものが低下する傾向がある。
一方、アルミニウム100重量%に対するTiの含有量が0.13重量%未満であると、Al中の不純物の影響を受け、熱履歴を経た後の水崩壊性薄膜17の溶解性が低下する傾向があり、0.25重量%を超えると、Al合金におけるTiの偏析が大きくなる傾向がある。
さらに、アルミニウム100重量%に対するTiの含有量に関しては、Si添加量やCu等の不純物濃度を考慮すると、0.15重量%以上が好ましく、0.17重量%以上がさらに好ましく、また、Tiの偏析を考慮すると0.23重量%以下が好ましい。
本発明に用いる水崩壊性アルミニウム合金としては、例えば、Al−Bi−Si−Ti−Ce−Mgがあげられる。
このAl−Bi−Si−Ti−Ce−Mgは、Al100重量%に対し、0.2重量%以上2重量%以下、好ましくは0.5重量%以上1.5重量%以下のBiを含有し、1.5重量%以上8重量%以下、好ましくは3重量%以上5重量%以下のSiを含有し、0.2重量%以上4重量%以下、好ましくは1重量%以上2重量%以下のTiを含有し、0.2重量%以上2重量%以下、好ましくは0.2重量%以上0.5重量%以下のCeを含有し、及び0.2重量%以上2重量%以下、好ましくは0.5重量%以上2重量%以下のMgを含有するものを溶射材料2として好適に用いることができる。
ここで、アルミニウム100重量%に対するBiの含有量が0.2重量%未満であると、水崩壊性薄膜17と水との反応性が低下する傾向があり、0.2重量%以上0.5重量%未満であれば、若干水との反応性が低い傾向はあるが、0.5重量%以上であれば水との反応性は満足される傾向があり、2重量%を超えると水との反応性が高くなる傾向がある。
また、溶射材料2に於いて、アルミニウム100重量%に対するSiの含有量が1.5重量%未満であると、水崩壊性薄膜17と水との反応性の制御効果が低下する傾向があり、5重量%を超えると、インゴット状の水崩壊性アルミニウム合金をワイヤーに加工する場合、伸線加工が難しくなる傾向があり、そして8重量%を超えるとワイヤーに加工することができない傾向がある。
一方、溶射材料2に於いて、アルミニウム100重量%に対するTiの含有量が0.2重量%未満であると、水崩壊性薄膜17が熱履歴を経た場合において、水崩壊性薄膜17の溶解性が低下する傾向があり、Tiの含有量が大きいほど熱履歴を経た後の水崩壊性薄膜17の溶解性は向上する傾向があるが、インゴット状の水崩壊性アルミニウム合金をワイヤーに加工する場合に、アルミニウム100重量%に対するTiの含有量が4重量%程度より大きくなるに従い伸線加工が困難になる傾向がある。
また、溶射材料2に於いてCeが未添加であると、熱履歴を経た後の水崩壊性薄膜17の溶解性が劣る傾向があり、溶射材料2に於いて、アルミニウム100重量%に対する含有量が0.5重量%を超えると格別の溶解性の向上は得られなくなり、2重量%を超えると、インゴット状の水崩壊性アルミニウム合金をワイヤーに加工する場合、伸線加工が難しくなる傾向がある。
さらに、溶射材料2に於いて、Mgが未添加であると、熱履歴を経た後の水崩壊性薄膜17は安定性が低く、大気中の水分と反応し、粉化現象が発生する。溶射材料2に於いて、アルミニウム100重量%に対するMgの含有量が0.2重量%未満であると、熱履歴後の水崩壊性薄膜17の表面に若干の粉化現象が観察されるが、0.5重量%以上ではこのような粉化現象は発生しない。溶射材料2に於いて、アルミニウム100重量%に対するMgの含有量が2重量%を超えると、インゴット状の水崩壊性アルミニウム合金をワイヤーに加工する場合、伸線加工が難しくなる傾向がある。
本発明の場合、水崩壊性薄膜17と水との反応性を向上させる観点からは、上述した溶射工程において、インジウム、ビスマスを、上述した水崩壊性溶射物15のアルミニウム合金のアルミニウム結晶粒中に粒径10nm以下の粒子が分散されるように溶射することが好ましい。
この場合、水崩壊性溶射物15のアルミニウム合金中に粒径10nmより大きいインジウム、ビスマスの粒子が存在していたり、インジウム、ビスマスの粒子の一部が結晶粒中に存在している場合であっても、アルミニウム結晶粒中に、粒径10nm以下のインジウム、ビスマスの粒子が分散していれば、水崩壊性薄膜17の水崩壊性は発現する。
本発明の場合、水崩壊性のアルミニウム合金からなる水崩壊性溶射物15の厚さは、1mm〜20mmに設定することが好ましい。
水崩壊性溶射物15は、アルミニウムに少なくともインジウム又はビスマスのいずれかを含有する水崩壊性のアルミニウム合金からなるものであることから、この水崩壊性溶射物15を用いてスパッタリングを行うことにより、溶射膜より薄く(1μm程度)、かつ、均一な膜厚で、しかも表面が平坦な水崩壊性薄膜17を形成することができる。
また、小型の部材に対して水崩壊性薄膜17を形成することや、基板上に形成された水崩壊性薄膜17を微細なパターンに加工する処理を施すことができる。
さらに、水崩壊性溶射物15をスパッタリングして形成した水崩壊性薄膜17は、水のみで剥離することができるので、きわめて清浄な環境で使用する部材に対する各種の膜として好適となるものである。
一方、水崩壊性溶射物15は、溶射材料2を溶射して金属板10上に設けられたものであることから、上述した水崩壊性溶射物15は、簡素な工程で作成することができると言える。
特に、添加物を所定の含有率で含有するアルミニウム合金からなるインゴット1を加工してワイヤー状にした溶射材料2を用いて溶射を行うことから、溶射によって得られた水崩壊性溶射物15は、溶射法によって形成した水崩壊性アルミニウム合金膜と同等の良好な水崩壊性を有している。
すなわち、所定の含有率で添加物を含有するアルミニウム合金の溶融物を冷却してインゴットを形成すると、溶融物を固化させるときの冷却速度が遅いため、インゴット中のアルミニウム合金の粒界にインジウム等の添加物が集まり、アルミニウム結晶粒中に分散するインジウム等の粒子数は少なくなる。
他方、水崩壊性のアルミニウム合金からなるインゴット1を加工して得られた溶射材料2を溶射すると、溶射材料2を構成するアルミニウム合金は、溶射によって溶融し、添加物がアルミニウム中に分散され、次いで、溶融物は溶滴となって投射され、成膜対象物に到達して成膜対象物に接触すると、熱伝導によって急速に冷却されて固化し、水崩壊性溶射物15が得られる。その水崩壊性溶射物15を構成するアルミニウム合金では、アルミニウム結晶粒中では、添加物はアルミニウム結晶粒中に粒子となって分散されており、アルミニウム結晶粒中に添加物が多量に含有されているから、良好な水崩壊性が発現する。
水崩壊性溶射物15をスパッタリングして薄膜を得ると、スパッタ成膜された膜に、アルミニウムの結晶粒中にインジウム等の添加物の粒子が多く分散した状態が転写される。スパッタリングによって添加物がアルミニウム結晶粒の粒界に凝集するということはないから、水崩壊性溶射物15と同程度の水崩壊性を有する水崩壊性薄膜17を得ることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施の形態では、金属板10の表面に水崩壊性のアルミニウム合金の溶射膜からなる水崩壊性溶射物15を形成する場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、所定の基板上に、水崩壊性のアルミニウム合金の溶射膜からなる水崩壊性溶射物15を形成すればよい。
<スパッタ膜の形成>
Al100重量%に対し、Inを3重量%、Siを0.4重量%、Tiを0.2重量%含有する水崩壊性のアルミニウム合金からなるインゴットを作成し、このインゴットをスライス加工してワイヤー状の溶射材料を作成した。
なお、このアルミニウム合金の全体の配合比(重量%)は、Al:96.53、In:2.90、Si:0.39、Ti:0.19である。
このワイヤー状の溶射材料を用い、銅(Cu)からなり、SiCを用いたブラスト処理によって表面が予め粗面化されたバッキングプレートの表面に、フレーム溶射法によって厚さ1.5mmの溶射膜からなる水崩壊性スパッタターゲットを形成した。
この水崩壊性スパッタターゲットを、DCマグネトロンスパッタリング法によってスパッタリングし、ガラス基板(コーニング#7059 無アルカリガラス)上に直径120mm、厚さ1μmのスパッタ膜を形成した。
このスパッタ膜の表面を目視で観察したところ、金属光沢が確認された。
また、そのスパッタ膜を蛍光X線分析法によって分析したところ、Inを2.50重量%含有することが確認された。
このスパッタ膜は、Al100重量%に対し、Inを2.6重量%含有するものであり、成膜に用いた水崩壊性スパッタターゲットにおけるアルミニウム100重量%に対するInの含有量と殆ど変化がないことが確認された。
<水崩壊性の確認>
上記アルミニウム合金からなるスパッタ膜が形成されたガラス基板を、温度70〜80℃の一般水道水に10分間浸漬してスパッタ膜の水崩壊性を観察した。
その結果、アルミニウム合金からなるスパッタ膜は、ガラス基板上から消失し、これによりこのスパッタ膜の水崩壊性が確認された。
2…溶射材料
5…水分検出素子
10…金属板
15…水崩壊性溶射物
16…成膜対象物
17…水崩壊性薄膜
18…水崩壊性配線膜
20…保護膜(第一の保護パターン)
30…露出開口

Claims (10)

  1. アルミニウムに少なくともインジウム又はビスマスのいずれか一方又は両方から成る添加物が添加されたアルミニウム合金を、溶融し、投射する溶射法によって前記アルミニウム合金の溶滴を金属板上に付着させ、水崩壊性溶射物を形成する溶射工程と、
    成膜対象物を真空槽内に搬入し、前記真空槽内に配置された前記水崩壊性溶射物をスパッタリング雰囲気中でスパッタリングし、前記成膜対象物の表面に、水崩壊性薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    前記水崩壊性薄膜を部分的に除去し、残存する前記水崩壊性薄膜から所定パターンの水崩壊性配線膜を形成する加工工程と、
    を有し、
    前記水崩壊性配線膜の少なくとも一部は、水分が接触して崩壊可能にされた水分検出素子を製造する水分検出素子製造方法。
  2. 前記水崩壊性配線膜の表面に保護膜を形成する保護膜形成工程と、
    前記保護膜の一部を除去して露出開口を形成し、前記露出開口の底面に前記水崩壊性配線膜を露出させる露出工程と、
    を有し、
    前記水崩壊性配線膜のうち、前記露出開口の底面に露出された部分が水分と接触可能にされた請求項1記載の水分検出素子製造方法。
  3. 前記アルミニウム合金中の前記添加物は、アルミニウム100重量%に対して0.1重量%以上20重量%以下の範囲で含有された請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の水分検出素子製造方法。
  4. アルミニウムに少なくともインジウム又はビスマスのいずれか一方又は両方から成る添加物が添加されたアルミニウム合金を、溶融し、投射する溶射法によって前記アルミニウム合金の溶滴を金属板上に付着させ、水崩壊性溶射物を形成する溶射工程と、
    成膜対象物を真空槽内に搬入し、前記真空槽内に配置された前記水崩壊性溶射物をスパッタリング雰囲気中でスパッタリングし、前記成膜対象物の表面に、水崩壊性薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    前記水崩壊性薄膜を部分的に除去し、残存する前記水崩壊性薄膜から所定パターンの水崩壊性配線膜を形成する加工工程と、
    を有する水崩壊性配線膜製造方法。
  5. 前記アルミニウム合金中の前記添加物は、アルミニウム100重量%に対して0.1重量%以上20重量%以下の範囲で含有された請求項4記載の水崩壊性配線膜製造方法。
  6. 水崩壊性配線膜を形成する加工工程は、エッチング液として水、温水、または水蒸気のいずれかを使用する請求項4または5記載の水崩壊性配線膜製造方法。
  7. アルミニウムに少なくともインジウム又はビスマスのいずれか一方又は両方から成る添加物が添加されたアルミニウム合金を、溶融し、投射する溶射法によって前記アルミニウム合金の溶滴を金属板上に付着させ、水崩壊性溶射物を形成する溶射工程と、
    成膜対象物を真空槽内に搬入し、前記真空槽内に配置された前記水崩壊性溶射物をスパッタリング雰囲気中でスパッタリングし、前記成膜対象物の表面に、水崩壊性薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    を有する水崩壊性薄膜製造方法。
  8. 前記アルミニウム合金中の前記添加物は、アルミニウム100重量%に対して0.1重量%以上20重量%以下の範囲で含有された請求項7記載の水崩壊性薄膜製造方法。
  9. 基板上に配置された水崩壊性を有する水崩壊性配線膜と、
    前記水崩壊性配線膜を覆う保護膜と、
    前記保護膜に形成され、底面に前記水崩壊性配線膜の一部を露出させる露出開口と、
    を有し、
    前記水崩壊性配線膜の前記露出開口の底面に位置する部分は水分が接触可能にされ、前記水分と接触する部分が水崩壊可能にされた水分検出素子。
  10. 基板上に配置された水崩壊性を有する水崩壊性配線膜と、
    前記水崩壊性配線膜に設けられた第一、第二の電極と、
    前記水崩壊性配線膜に電流が流れる電流経路の前記第一、第二の電極の間の位置の部分には、前記水崩壊性配線膜が露出され、水分と接触可能にされ、前記水分と接触する部分が水崩壊可能にされた水分検出素子。
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