JP2017202667A - 複合成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】とくに成形体本体部の構成に使用される樹脂と、成形体本体部を補強するための補強部分の構成に使用される樹脂とが異種の樹脂からなる場合にあっても、成形体の所望の部位を連続強化繊維基材で高精度かつ高接合強度をもって容易に効率よく補強できるようにした複合成形体の製造方法を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体(A)の上に、官能基を有する熱可塑性シート材(B)を積層し、その上に、強化繊維束(C)及び成形体(A)の熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂からなるシート状物(D)を積層した後、超音波溶着により熱可塑性シート材(B)、強化繊維束(C)及びシート状物(D)を成形体(A)に接合することを特徴とする複合成形体の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、複合成形体の製造方法に関し、とくに、繊維強化樹脂を含む樹脂組成物の成形体の所望の部位を連続強化繊維基材で高精度をもって容易に効率よく補強できるようにした複合成形体の製造方法に関する。
熱可塑性樹脂と強化繊維を含む充填材とからなる樹脂組成物を成形してなる(例えば、射出成形してなる)成形体は、各種分野で広く用いられている。このような成形体においては、しばしば、その所望の部位を、連続強化繊維を用いてより補強することが求められることがある。
補強方法としては、例えば、成形体の成形時に、同一の金型内にて成形体本体部成形用樹脂組成物と、連続強化繊維を含む補強部分形成用樹脂または樹脂組成物とを実質的に同時に一体成形する方法と、成形体本体部を成形した後に、その補強すべき部位に連続強化繊維を含む補強部分形成用樹脂または樹脂組成物を接合する方法がある。
前者の方法では、成形体本体部と補強部分とが同時に一体成形されるため、両部分間が強固に一体化されて高い補強効果が得られるが、金型内の所定箇所に、高い精度をもって、成形体本体部形成用材料と補強部分形成用材料を配置あるいは注入しなければならないため、三次元形状等を有する複雑な形状の場合には、望ましい形態への成形が困難になることがある。
一方、後者の方法では、成形体本体部は先に成形されているので、例えば射出成形等により比較的容易に成形体本体部を高精度に所望形状に形成できるが、とくに、成形体本体部が三次元形状等を有する複雑な形状の場合、その所望部位に、補強部分を如何に高精度かつ高強度に接合できるかが重要になる。
上記のように成形体本体部に補強部分を接合するには、接着剤を介する方法と、成形体本体部と補強部分の樹脂成分を活用して両部分を溶着する方法等が考えられるが、接着剤を介する方法では、両部分の接合強度に限界があるとともに工程が複雑になる。高い接合強度を得るためには、両部分を溶着する方法の方が望ましいと考えられ、先に成形された成形体本体部の所望部位に、部分的に効率よく高接合強度をもって補強部分を接合するためには、超音波溶着等の局所加熱を伴う溶着方法が好適であると考えられる。
しかしながら、とくに、成形体本体部の構成に使用される樹脂と、成形体本体部を補強するための補強部分の構成に使用される樹脂とが異種の樹脂からなる場合、成形体本体部に補強部分を超音波溶着により接合するための有効な方法は未だ提案されていない。支持体の支持面上で、超音波振動する押圧体により、テープ状の樹脂含浸一方向強化繊維束を製造する方法(特許文献1)や、複数の繊維部材の一部が溶着補助剤を介して超音波溶着されている超音波溶着繊維製品(特許文献2)等は知られているが、テープ状樹脂含浸一方向強化繊維束を製造するための技術にとどまるか、超音波溶着繊維製品を製造するための別の分野に属する技術であるため、いずれも、上記のような条件下で成形体本体部に補強部分を超音波溶着により接合するために適用できる方法ではない。
そこで本発明の課題は、上記のような実情に鑑み、とくに成形体本体部の構成に使用される樹脂と、成形体本体部を補強するための補強部分の構成に使用される樹脂とが異種の樹脂からなる場合にあっても、成形体の所望の部位を連続強化繊維基材で高精度かつ高接合強度をもって容易に効率よく補強できるようにした複合成形体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る複合成形体の製造方法は、熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体(A)の上に、官能基を有する熱可塑性シート材(B)を積層し、該熱可塑性シート材(B)上に、強化繊維束(C)及び前記成形体(A)の熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂からなるシート状物(D)を積層した後、超音波溶着により前記熱可塑性シート材(B)、前記強化繊維束(C)及び前記シート状物(D)を前記成形体(A)に接合することを特徴とする方法からなる。
このような本発明に係る複合成形体の製造方法においては、先に成形された成形体(A)の上に、先ず、官能基を有する熱可塑性シート材(B)が積層され、その上に、強化繊維束(C)と特定のシート状物(D)が積層され(強化繊維束(C)とシート状物(D)がこの順に積層される場合と、シート状物(D)と強化繊維束(C)がこの順に積層される場合の両方とも可能)、積層された熱可塑性シート材(B)、強化繊維束(C)、シート状物(D)が超音波溶着により成形体(A)に一体的に接合されて、複合成形体に形成される。この超音波溶着では、とくに熱可塑性シート材(B)とシート状物(D)が加熱され、該熱可塑性シート材(B)とシート状物(D)を形成していた熱可塑性樹脂が、中でもとくにシート状物(D)を形成していた熱可塑性樹脂が強化繊維束(C)中に含浸された状態で、熱可塑性シート材(B)とシート状物(D)が強化繊維束(C)とともに成形体(A)に接合される。このとき、超音波溶着時の超音波振動により、強化繊維束(C)が開繊されてもよく、開繊された強化繊維束(C)中にとくにシート状物(D)を形成していた熱可塑性樹脂が含浸されてもよい。そして、シート状物(D)の熱可塑性樹脂と成形体(A)の熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂であるので、このシート状物(D)を直接成形体(A)に接合するのでは、異種の熱可塑性樹脂間の親和性が低く、良好で強固な接合状態が得られない場合が多いが、本発明では間に官能基を有する熱可塑性シート材(B)が介在され、この官能基を有する熱可塑性シート材(B)はシート状物(D)の熱可塑性樹脂と成形体(A)の熱可塑性樹脂のいずれとも高い親和性を有するので、この官能基を有する熱可塑性シート材(B)の介在により、強化繊維束(C)とシート状物(D)は、シート状物(D)を形成していた熱可塑性樹脂が強化繊維束(C)中に含浸された状態で、熱可塑性シート材(B)と良好にかつ強固に接合され、該熱可塑性シート材(B)は成形体(A)と良好にかつ強固に接合され、結局、強化繊維束(C)とシート状物(D)から形成される補強材が成形体(A)と良好にかつ強固に接合されることになる。これら熱可塑性シート材(B)と強化繊維束(C)及びシート状物(D)は、とくに、強化繊維束(C)及びシート状物(D)は、成形体(A)の所定部位のみに接合されればよく、繊維強化樹脂を形成可能な連続強化繊維基材の状態で成形体(A)の目標とする所定部位のみに接合されればよいので、該成形体(A)の所定部位が、高精度で容易に効率よく補強され、該補強部位では上記の如く、高い接合強度が得られる。さらに、補強に用いられる強化繊維が強化繊維束(C)の形態で供給されるので、成形体(A)に対し局所的に任意の形状に沿わせることが可能になり、たとえ成形体(A)が複雑な三次元形状を有する場合にあっても、強化繊維束(C)を容易にその形状に沿わせて積層することが可能になる。したがって、成形体(A)が実質的にどのような形状を有する場合にあっても、熱可塑性シート材(B)を介在させた状態で、超音波溶着手法を採用して、シート状物(D)の熱可塑性樹脂が含浸された強化繊維束(C)からなる連続強化繊維基材でもって高精度かつ高接合強度をもって容易に効率よく成形体(A)を補強できるようになる。
上記本発明に係る複合成形体の製造方法においては、上記成形体(A)の熱可塑性樹脂及び上記シート状物(D)の熱可塑性樹脂は異種の熱可塑性樹脂であればよく、異種の熱可塑性樹脂の組み合わせとしては適宜選択できる。但し、超音波溶着手法により、シート状物(D)の熱可塑性樹脂を強化繊維束(C)に容易にかつ良好に含浸させて望ましい形態の補強材としての連続強化繊維基材を形成するためには、シート状物(D)の熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂からなることが好ましいが、その場合には、成形体(A)の熱可塑性樹脂は、ポリアミド系樹脂以外の熱可塑性樹脂からなる。ポリアミド系樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアリーレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
また、上記本発明に係る複合成形体の製造方法においては、成形体(A)は射出成形により成形されていることが好ましい。射出成形であれば、成形体(A)を構成する熱可塑性樹脂組成物を容易に型に沿わせて高精度に成形できるので、高精度に成形された成形体(A)に対し、その所望部位に対して本発明に係る方法により、目標とする補強が高精度で行われ得る。
また、上記本発明に係る複合成形体の製造方法において、上記成形体(A)に使用する充填材としてはとくに限定されず、繊維状、非繊維状(板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など)いずれの充填材も使用することができ、中でも高い強度の複合成形体を製造する観点からは、充填材が強化繊維であることが好ましい。すなわち、成形体(A)が元々繊維強化複合成形体である場合、その成形体(A)の目標とする所定部位を、熱可塑性シート材(B)を介して強化繊維束(C)とシート状物(D)を超音波溶着することにより、より補強するのである。成形体(A)の充填材として用いる強化繊維としては、連続繊維、不連続繊維のいずれも使用可能であるが、とくに本発明の適用が好適であると考えられる成形体(A)が複雑な三次元形状を有する場合に対しては、成形体(A)を上述の如く射出成形するのが好ましいと考えられることから、その場合には、成形体(A)の充填材として用いる強化繊維は不連続繊維であることが好ましい。
成形体(A)に充填材として用いる強化繊維の種類としては、とくに限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維のいずれか、あるいはこれらのいずれかの組み合わせ等を使用できる。また、強化繊維束(C)の形態は、連続強化繊維の織物であっても強化繊維が一方向に配置されたものであっても、強化繊維が一方向に配置された層を方向を変えて多層積層したものであってもよい。一方向に配向されていると、連続強化繊維が配向されている特定の方向に対して特に、複合成形体が高い機械強度を発現できるため好ましい。また、上記強化繊維束(C)を構成する強化繊維の種類としても、とくに限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維のいずれか、あるいはこれらのいずれかの組み合わせ等を使用できるが、強化繊維束(C)が成形体(A)の所定部位の効率の良い補強を目的に使用されるものであることを考慮すると、炭素繊維の使用が好ましい。
また、上記本発明に係る複合成形体の製造方法においては、上記の如く介在される熱可塑性シート材(B)は、官能基として、エポキシ基、グリシジル基、カルボキシル基、カルボニル基から選ばれる少なくとも一つを含んでいることが好ましい。熱可塑性シート材(B)がこのような官能基を有することにより、熱可塑性シート材(B)の両面側に位置する成形体(A)の熱可塑性樹脂、シート状物(D)の熱可塑性樹脂のいずれとも、高い接合強度をもって容易に接合できるようになる。
より具体的には、上記熱可塑性シート材(B)が、例えば、官能基としてエポキシ基及び/またはグリシジル基を有するポリオレフィン系樹脂、または酸変性オレフィン系共重合体、変性ビニル系共重合体から選ばれる少なくとも1種で形成されていることが好ましい形態として挙げられる。
また、上記本発明に係る複合成形体の製造方法においては、上記シート状物(D)の厚みとしては、とくに限定されないが、シート状物(D)と強化繊維束(C)が熱可塑性シート材(B)を介して成形体(A)の所定部位を部分的に効率よく補強する役目を担うことと、補強されるべき成形体(A)の全体形状を大きく変化させないことが望まれることが多いことを考慮すると、シート状物(D)の厚みが大きすぎることは望ましくない。小さな厚みでもって効率よく補強でき、かつ、強化繊維束(C)にも容易に含浸できることから、シート状物(D)の厚みとしては0.1〜1mm程度の範囲にあることが好ましい。また、このシート状物(D)は、成形体(A)の複雑な形状にも容易にかつ良好に沿わせて配置できるように、優れた柔軟性を有していることが好ましい。
また、上記本発明に係る複合成形体の製造方法においては、上記強化繊維束(C)及び上記シート状物(D)の合計に対する強化繊維束(C)の体積含有率が5〜70%の範囲にあることが好ましい。シート状物(D)と強化繊維束(C)が熱可塑性シート材(B)を介して成形体(A)の所定部位を部分的に効率よく補強する役目を担うことを考慮すれば、上記体積含有率の範囲内でも、高い体積含有率であることがより好ましい。
また、上記本発明に係る複合成形体の製造方法においては、上記熱可塑性シート材(B)自体は、上記成形体(A)の熱可塑性樹脂と上記シート状物(D)の熱可塑性樹脂の異種の熱可塑性樹脂間の接合の容易さ及び接合強度を確保するもので、直接的に成形体(A)の部分的補強を担うものではないから、異種の熱可塑性樹脂間の接合に必要な厚みを有していればよく、それほど大きな厚みは不要である。この観点からは、熱可塑性シート材(B)の厚みとしては10〜300μmの範囲であることが好ましく、10〜200μmの範囲にあることがより好ましい。さらには20〜100μmの範囲がより好ましい。
前述したように、本発明では、成形体(A)が複雑な三次元形状を有する場合にあっても、高精度かつ高接合強度をもって容易に効率よく成形体(A)を補強できるため、上記成形体(A)の熱可塑性シート材(B)、強化繊維束(C)及びシート状物(D)との接合面の少なくとも一部が曲面(三次元曲面を含む)に形成されている場合にも、本発明は問題なく適用可能である。
このように、本発明に係る複合成形体の製造方法によれば、成形体(A)が複雑な形状を有する場合にあっても、超音波溶着手法を採用して、熱可塑性シート材(B)を介してシート状物(D)の熱可塑性樹脂が含浸された強化繊維束(C)からなる連続強化繊維基材でもって高精度かつ高接合強度をもって容易に効率よく成形体(A)を補強できるようになる。
以下に、本発明について、実施の形態とともに、さらに詳細に説明する。
本発明に係る複合成形体の製造方法は、熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体(A)の上に、官能基を有する熱可塑性シート材(B)を積層し、該熱可塑性シート材(B)上に、強化繊維束(C)及び成形体(A)の熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂からなるシート状物(D)を積層した後、超音波溶着により熱可塑性シート材(B)、強化繊維束(C)及びシート状物(D)を成形体(A)に接合することを特徴とする方法からなる。
本発明に係る複合成形体の製造方法は、熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体(A)の上に、官能基を有する熱可塑性シート材(B)を積層し、該熱可塑性シート材(B)上に、強化繊維束(C)及び成形体(A)の熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂からなるシート状物(D)を積層した後、超音波溶着により熱可塑性シート材(B)、強化繊維束(C)及びシート状物(D)を成形体(A)に接合することを特徴とする方法からなる。
上記成形体(A)及び上記シート状物(D)における異種の熱可塑性樹脂としては、前述したように、例えば、シート状物(D)の熱可塑性樹脂が強化繊維束(C)への含浸性の点からポリアミド系樹脂であり、成形体(A)熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂以外の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアリーレンサルファイド系樹脂等であることが好ましい。
上記ポリアミド系樹脂の好ましい例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)およびこれらの混合物ないし共重合体等が挙げられる。中でもナイロン6が特に好ましい。また、ポリアミド系樹脂は単体で用いる他、2種以上を混合して用いてもよい。
上記ポリエステル系樹脂の好ましい例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリプロピレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、およびこれらの混合物ないし共重合体等が挙げられる。中でも成形性、機械特性等に優れる点で、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、ポリエステル系樹脂は単体で用いる他、2種以上を混合して用いてもよい。
上記ポリオレフィン系樹脂の好ましい例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、およびこれらの混合物ないし共重合体等が挙げられる。中でもポリプロピレン、ポリエチレンが好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂は単体で用いる他、2種以上を混合して用いてもよい。
上記ポリアリーレンサルファイド系樹脂の好ましい例としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンサルファイドスルホン、ポリフェニレンサルファイドケトン、およびこれらの混合物ないし共重合体等が挙げられる。中でもポリフェニレンサルファイドが特に好ましい。また、ポリアリーレンサルファイド系樹脂は単体で用いる他、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体(A)においては充填材を用いることができる。充填材は、機械強度その他の特性を付与するために配合するものであり、特に限定されるものでないが、繊維状、非繊維状(板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など)などのいずれの充填材も使用することができる。
繊維状の充填材としては、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー等が挙げられる。ガラス繊維あるいは炭素繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
非繊維状の充填材としては、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物(アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン等)、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフーク、鱗片状カーボン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。また、金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。
上記成形体(A)の充填材として強化繊維が用いられる場合の該強化繊維と、上記強化繊維束(C)を構成する強化繊維とは、同種であってもよく、異種であってもよい。強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アラミド繊維等の合成樹脂繊維、チタン繊維、ボロン繊維、ステンレス繊維等の金属繊維が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。強化繊維として好ましくは炭素繊維やガラス繊維である。炭素繊維やガラス繊維を用いることで、機械強度に優れる複合成形体を得ることができる。
成形体(A)の充填材として強化繊維が用いられる場合、その強化繊維の形態は、前述したように、不連続繊維であることが好ましい。不連続強化繊維含有材料であれば、とくに射出成形が可能になり、容易に成形体(A)が複雑な形状に形成されるので、本発明に係る方法の適用が好適な成形体(A)の形態となる。但し、充填材が強化繊維以外の成形体(A)や、充填材として連続強化繊維が用いられた成形体(A)に対しても、本発明に係る方法は適用できる。
成形体(A)が射出成形されている場合、成形体(A)自体が通常の成形法にて容易に高精度で良好な生産性をもって、所望の形状に形成され得、先に成形された成形体(A)に対し、本発明に係る方法を適用して、所望の部位に対してのみ、熱可塑性シート材(B)を介してシート状物(D)の熱可塑性樹脂が含浸された強化繊維束(C)からなる連続強化繊維基材でもって高精度かつ高接合強度をもって容易に効率よく成形体(A)を補強できる。
上記シート状物(D)の厚みとしては、成形体(A)の形状に沿わせて良好に積層できることから、比較的薄い方が好ましく、好ましいシート状物(D)の厚みとしては、前述したように、0.1〜1mm程度の範囲である。また、このシート状物(D)は、前述したように、優れた柔軟性を持たせるために、未延伸のシート状物(例えば、未延伸フィルム)であることが好ましい。
また、前述したように、上記強化繊維束(C)及び上記シート状物(D)の合計に対する強化繊維束(C)の体積含有率が5〜70%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、体積含有率が20〜65%の範囲、さらに好ましくは、体積含有率が30〜60%の範囲である。強化繊維束(C)の体積含有率はJIS K 7052あるいは、K 7075に準じて測定を行って得ることができる。
上記のような範囲のシート状物(D)の厚みと強化繊維束(C)の体積含有率により、複雑な三次元曲面を有する成形体(A)にあっても、比較的薄層の熱可塑性シート材(B)を介して成形体(A)の所定部位を部分的に容易に効率よく補強することができるようになる。
本発明に係る方法は、とくに、射出成形された成形体の所望の部位を容易に効果的に補強することが望まれる場合に好適なものであり、あらゆる分野の成形体の補強に適用できる。
Claims (14)
- 熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体(A)の上に、官能基を有する熱可塑性シート材(B)を積層し、該熱可塑性シート材(B)上に、強化繊維束(C)及び前記成形体(A)の熱可塑性樹脂とは異種の熱可塑性樹脂からなるシート状物(D)を積層した後、超音波溶着により前記熱可塑性シート材(B)、前記強化繊維束(C)及び前記シート状物(D)を前記成形体(A)に接合することを特徴とする、複合成形体の製造方法。
- 前記成形体(A)が充填材を含有することを特徴とする、請求項1に記載の複合成形体の製造方法。
- 前記シート状物(D)の熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂からなり、前記成形体(A)の熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂以外の熱可塑性樹脂からなる、請求項1または2に記載の複合成形体の製造方法。
- 前記成形体(A)が射出成形により成形されている、請求項1〜3のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 前記成形体(A)が前記充填材として不連続強化繊維を含んでいる、請求項2〜4のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 前記成形体(A)に含有される強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維のいずれかを含む、請求項5に記載の複合成形体の製造方法。
- 前記強化繊維束(C)が強化繊維を一方向に配列してなることを特徴とする、請求項1〜6に記載の複合成形体の製造方法。
- 前記強化繊維束(C)の強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜7のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性シート材(B)が、官能基として、エポキシ基、グリシジル基、カルボキシル基、カルボニル基から選ばれる少なくとも一つを含んでいる、請求項1〜8のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性シート材(B)が、官能基としてエポキシ基及び/またはグリシジル基を有するポリオレフィン系樹脂、または酸変性オレフィン系共重合体、変性ビニル系共重合体から選ばれる少なくとも1種で形成されている、請求項1〜9のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 前記シート状物(D)の厚みが0.1〜1mmの範囲にある、請求項1〜10のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 前記強化繊維束(C)及び前記シート状物(D)の合計に対する前記強化繊維束(C)の体積含有率が5〜70%の範囲にある、請求項1〜11のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性シート材(B)の厚みが10〜300μmの範囲である、請求項1〜12のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 前記成形体(A)の前記熱可塑性シート材(B)、前記強化繊維束(C)及び前記シート状物(D)との接合面の少なくとも一部が曲面に形成されている、請求項1〜13のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
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JP (1) | JP2017202667A (ja) |
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2016
- 2016-05-13 JP JP2016097296A patent/JP2017202667A/ja active Pending
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