JP2017201232A - オーブン装置 - Google Patents

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Kiyoshi Iwamoto
貴代志 岩本
康司 浦井
Yasushi Urai
康司 浦井
林 重貴
Shigeki Hayashi
重貴 林
佐藤 誠司
Seiji Sato
誠司 佐藤
敏宏 土井
Toshihiro Doi
敏宏 土井
一利 竹之下
Kazutoshi Takenoshita
一利 竹之下
ゆり香 紀太
Yurika Kida
ゆり香 紀太
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Abstract

【課題】油等の汚れを防ぐことができる撥液性能を有しながら、繰り返し熱負荷に対する耐久性を持つコーティング膜を備えたオーブン装置を提供する。【解決手段】被調理物が収容される収容空間を形成するオーブン内壁と、前記オーブン内壁上に成膜された所定の膜厚のコーティング膜と、を備え、前記コーティング膜が撥液性を有するようにした。【選択図】図1

Description

本発明は、内部に被調理物が収容され、内部で加熱されるオーブンに関するものである。
従来の電気オーブン装置では、被調理物から出た油等でオーブン内壁の表面が汚れた場合、使用者が洗剤とブラシなどを用いて自ら清浄するか、オーブン装置の内部を高温の加熱状態にして熱分解により油の汚れ等をパイロクリーニングと呼ばれる清浄方法により清浄している。
パイロクリーニングはオーブン装置の内部を420℃以上の高温環境で清浄する手段で、2〜4時間費やすが簡便な方法として特に欧米の消費者に受け入れられている。
ところで、使用状況、汚れの状態によって異なるが、年間1〜3回はパイロクリーニングを実施する必要があり、特に感謝祭からクリスマスの期間でホームパーティをする機会が増える時期に、清浄にかかる手間や労力が集中し、清浄に伴う故障が発生してしまうこと等が消費者にとって不満であった。
例えばオーブン内壁の表面についた汚れを落ちやすくするために、他の調理器具と同様に撥液性を有するようにオーブン内壁にテフロン(登録商標)を塗布することが考えられる。
しかしながら、テフロンは高熱に弱く、また、高温となると有害ガスを発生させるため、オーブン内壁のように250℃以上となるような温度環境では使用できない。また、ほかの撥液成分を持つ材料にしても、パイロクリーニングのような420℃に達するような温度環境にさらされると撥液性を喪失してしまい、次回以降は防汚効果を期待できなくなってしまう。したがって、撥液性能をもつコーティング膜をオーブン内壁に適用した際は、パイロクリーニング機能は搭載しないように従来は構成されている(特許文献1参照)。
一方でテフロンよりも高い耐熱性を有する撥液材料について近年報告されてきており、テフロンを使わなくても清浄の労力を低減できる調理器具の実現性が高まってきた。実際鍋やフライパンには、テフロンを使用しない撥液性のコーティングが実用化されている。
ところで、オーブン内壁に撥液性のコーティングを適用するには、実際の調理時の温度において性能を維持する必要があり、調理モードにおいては加熱ヒータに近い部分では350℃に達することがわかっている。したがって、要求される撥液性の表面は、350℃の熱負荷の繰り返しにより膜にクラックが発生せず、かつ、水の接触角に代表される所定の撥液性能を長期間保持できることである。
しかしながら、従来においては撥液性を有するコーティング膜をどのようにオーブン内壁に形成すれば、熱負荷の繰り返しに対してクラックを生じないようにできるかは知られていない。
また、オーブン内壁に上述したような特性を有するコーティング膜を成膜する方法は具体的には知られていない。特に熱負荷に対する耐久性を確保できるように膜厚を大きくするコーティング膜を成膜することは難しい。
さらに、上述したような撥液材料によりオーブン内壁に使用上問題の無いコーティング膜を成膜できたとしても、被調理物から出た油滴や水滴のうち特に体積の小さいものは自重で滑落しないものもあり、前記オーブン内壁に付着し続けてしまうことがある。
特に肉類等から出た油滴は調理による加熱が繰り返されると、変色しながら増粘し、最終的には黒く硬い小さな塊となってオーブン内壁にこびりついてしまう。すなわち、コーティング膜を有したオーブン内壁であっても小さな斑点上の汚れが残ってしまうという問題は依然として残ってしまう。
なお、特許文献2はオーブン内壁を振動させて付着物を落とすように構成されているが、これは比較的体積の大きなものを対象としており、コーティング膜があっても付着し続けるような小さな体積の油滴や水滴を除去できるようには構成されていない。
加えて、例えば使用者が適切なメンテナンスを怠り、ひどい汚れがオーブン内壁にこびりついてしまった場合でも使用者にとって行いやすく簡便な清浄方法でコーティング膜の撥液性を損なうことなくオーブン内壁を容易に清浄できることも望まれている。
また、オーブン内壁に撥液性を有するコーティング膜を形成することで、汚れに対する耐性は向上させられるが、どれだけ撥液性を高めても、非常に微小な油滴に由来する小さな油汚れは付着してしまう。その汚れが繰り返し与えられる調理ごとの熱により変性し、黒く変色することで汚れが目立つようになる。したがって、コーティング膜上に小さな油汚れが付きにくくする、あるいは簡便に清掃できることも求められている。
米国公開特許公報2013−192582号公報 特開2005−230162号公報
そこで、本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、油等の汚れを防ぐことができる撥液性能を有しながら、繰り返し熱負荷に対する耐久性を持つコーティング膜を備えたオーブン装置を提供することを目的とする。
また、本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、油等の汚れを防ぐことができる撥液性能を有しながら、繰り返し熱負荷に対する耐久性を持つオーブン装置用のコーティング膜を成膜するための方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、体積の小さい油滴や水滴であってもオーブン内壁から滑落させて、オーブン内壁に汚れがこびりつくのを防ぐことができるオーブン装置を提供することを目的とする。
加えて本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、オーブン内壁に形成されたコーティング膜の撥液性を損なうことなく、簡便な方法でオーブン内壁にこびりついてしまった汚れを落とすことができるオーブン装置を提供する事を目的とする。
また、本発明はコーティング膜に付着しまう非常に微小な油滴が堆積する事により発生する汚れを低減できる長期間にわたってコーティング膜が施されている部分の汚れをさらに抑えることができ、簡単な手入れで汚れを落とすことができるオーブン装置を提供する事を目的とする。
すなわち、本発明に係るオーブン装置は、被調理物が収容される収容空間を形成するオーブン内壁と、前記オーブン内壁上に成膜された所定の膜厚のコーティング膜を備え、前記コーティング膜が撥液性を有することを特徴とする。
このようなものであれば、被調理物から発生する油等に汚れが前記オーブン内壁に付着しにくくし、汚れをこびり付きにくくすることができる。したがって、使用者はそれほどブラシ等でこすらなくても簡単に前記オーブン内壁についた汚れを落とすことができ、その清浄に必要となる労力を少なくできる。また、前記コーティング膜により汚れが落ちやすいので従来のような420℃に至るようなパイロクリーニングを実施しなくても十分に汚れを落とすことができる。したがって、パイロクリーニングを繰り返す必要がないので、ヒータ機構等への負荷を減らしてオーブン装置の故障頻度を低減することができる。
また、被調理物から発生する油や水分による汚れが前記オーブン内壁につきにくくするには、前記コーティング膜が水の接触角が100°以上の表面特性を有するものであればよい。さらに本願発明者らは鋭意検討の結果、前記コーティング膜の膜厚が0.2μm以上3μm以下であれば、被調理物の調理が繰り返されてコーティング膜に例えば350℃に至る熱負荷が繰り返されても、その撥液性能がほとんど損なわれず、しかもコーティング膜にクラックが生じにくいことを見出した。
このように本発明に係るオーブン装置であれば、コーティング膜を用いて汚れを落としやすくしつつ、その熱負荷に対する耐久性を持たせることができる。
前記コーティング膜の撥液性能を発揮させつつ、繰り返し熱負荷に対する耐久性をより高められるようにするには、前記コーティング膜の膜厚が0.2μm以上2μm以下であることが好ましい。
前記コーティング膜の繰り返し熱負荷に対する耐久性をさらに高められるようにするには、前記コーティング膜の膜厚が0.5μm以上1.5μm以下であることがより好ましい。
例えば前記オーブン装置内の温度が350℃に至るような高温環境においても熱変性が起きにくく撥液性を保つことができ、熱負荷に対する高い耐久性によってクラック等が生じにくいコーティング膜とするには、前記コーティング膜が、シルセスキオキサンを骨格とする材料に、シリコーン系あるいはアルキル系の撥液材料を添加したものであればよい。
油を主成分とする汚れに対して好ましい防汚機能を発揮できるようにするには、前記コーティング膜が、その表面に油が接触した場合の接触角が40°以上となる表面特性を有するものであればよい。
前記コーティング膜の撥液性能を十分に発揮させつつ、前記オーブン内壁に容易に塗布できるようにするには、前記コーティング膜が、材料の固形成分が溶媒を含めた総重量に対して5%以上28%以下の割合で調合されるものであればよい。
前記オーブン内壁に前記コーティング膜を形成する工程数を減らし、当該コーティング膜の形成にかかる製造コストを低減できるようにするには、前記コーティング膜が1層で形成されていればよい。
前記コーティング膜の膜厚を前述した範囲内において厚く形成しやすくして、製造容易性を高められるようにするには、前記コーティング膜が2層で形成されていればよい。
前記コーティング膜の膜厚を所定値よりも大きく形成する場合において、硬化の際に発生する内部応力を逃がしながらクラック等が発生しないように形成できるようにするには、前記コーティング膜が前記オーブン内壁の表面に塗布された状態において第1温度で加熱された後、前記第1温度よりも高い温度である第2温度で加熱されて硬化されたものであればよい。
前記コーティング膜の膜厚を大きくしやすくするには、前記コーティング膜が、前記コーティング膜の第1層が硬化しきる前に当該第1層上に前記コーティング膜の第2層が塗布して硬化させたものであればよい。このようなものであれば、第1層が撥液性を発揮する前に第2層をさらに塗布することができ、前記コーティング膜の膜厚を大きくできる。
前記コーティング膜の具体的な塗布態様としては、前記オーブン内壁が、鋼板上に琺瑯がコーティングされたものであり、前記コーティング膜が、前記琺瑯の表面に塗布されたものを挙げることができる。
前記コーティング膜の別の塗布態様としては、前記オーブン内壁が、鋼板で形成されており、前記コーティング膜が、前記鋼板の表面に塗布されたものを上げることができる。
前記オーブン装置内部の被調理物の状態を確認するための例えばガラス窓に対しても油等による汚れが付きにくくするには、前記コーティング膜が、前記収容空間内へ被調理物を出し入れするための扉に設けられたガラス窓の内面に塗布されていればよい。
また、本発明に係るコーティング膜成膜方法は、被調理物が収容される収容空間を形成するオーブン内壁にコーティング膜を成膜する方法であって、シルセスキオサンを骨格とする材料にシリコーン系又はアルキル系の撥液材料を添加したコーティング材を溶媒で溶かした溶液をスプレーコーティングにより前記オーブン内壁に塗布することを特徴とする。
このようなものであれば、水の接触角が100°以上の表面特性を有するコーティング膜についてその膜厚が例えば0.2μm以上3μm以下で厚膜化し、しかもクラック等を生じさせずに滑らかな表面として成膜することが可能となる。したがって、350℃に至る熱負荷が繰り返されても前記コーティング膜はその撥液性を喪失せずに長期間にわたって信頼性を保つことができる。
前記コーティング膜の膜厚を増加させて例えば0.2μm以上3μm以下の範囲、より好ましくは0.2μm以上2μm以下の範囲、さらに好ましくは0.5μm以上1.5μmの範囲で成膜しやすくするには、前記溶液の総重量に対して前記コーティング材が5%以上20%以下で調合されていればよい。また、上述した膜厚でコーティング膜を成膜できれば熱負荷に対する耐久性を大幅に向上させることができる。
クラック等がなく、滑らかな表面を有するコーティング膜を上述した膜厚で成膜するには、前記溶液をスプレーガンにより噴霧する際にその噴霧先を移動させながら噴霧し、前記オーブン内壁に対して前記噴霧先が2回又は3回通過するように前記溶液を塗布すればよい。
前記コーティング膜の表面を滑らかに成膜できるようにするには、前記溶液を琺瑯、ガラス、又は、鋼板の表面上に塗布すればよい。
前記コーティング膜を良好に成膜できる前記溶媒の具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、酢酸ブチル、PEGMEA、酢酸エチルのいずれかが挙げられる。
さらに本発明に係るオーブン装置は、被調理物が収容される収容空間を形成するオーブン内壁に成膜された撥液性を有するコーティング膜と、前記オーブン内壁を少なくとも上下方向に振動させる振動子と、前記振動子を所定の振幅域及び所定の周波数域で振動するように制御する制御部と、を備えており、前記所定の周波数域が、前記オーブン内壁に付着する液滴の大きさに応じて定まる液滴の共振周波数を含むように設定されていることを特徴とする。
このようなものであれば、前記液滴の共振周波数で前記オーブン内壁が上下方向に振動するので、前記コーティング膜があっても前記オーブン内壁から自重で滑落しないような小さな液滴であったとしてもそのような液滴を大きく上下方向に移動させ、滑落させることが可能となる。
したがって、前記コーディング膜だけでは付着し続けていた小さな液滴を少なくすることができるので、液滴に含まれる油滴が加熱により変質して黒い斑点上のこびりついた汚れに変化してしまうのを防ぐことができる。
前記コーティング膜があっても前記オーブン内壁から自重で滑落しないような小さな液滴に対して効果的に共振を起こして滑落させるには、前記所定の周波数域が、20Hz以上220Hz以下となるように設定されていればよい。
前記振動子によって発生する音を低減しつつ、前記オーブン内壁に付着する液滴を効果的に除去できるようにするには、前記所定の振幅域が、10μm以上100μm以下に設定されていればよい。
体積の小さい液滴の粘性を大きくして前記オーブン内壁を介する振動が伝達されやすくすることにより、液滴の滑落作用を高められるようにするには、前記収容空間内を加熱するヒータ機構をさらに備え、前記制御部が、前記収容空間又は前記オーブン内壁を60℃以上350℃以下に保つように前記ヒータ機構を制御している状態においてさらに前記オーブン内壁を振動させるように前記振動子を制御するように構成されていればよい。
前記液滴に対して共振を発生させて前記オーブン内壁から例えば収容空間の底面まで移動させられるようにするには、前記制御部が、前記振動子に前記オーブン内壁を10秒以上60秒以内で継続して振動させるように構成されていればよい。
前記オーブン内壁に付着する微小な液滴の中で大きさに分布があったとしてもそれぞれの液滴を共振させて滑落させられるようにするのは、前記制御部が、前記振動子の振動の周波数を毎秒10Hz以下で変化させて前記所定の周波数域内を掃引させるように構成されていればよい。
前記オーブン内壁に付着した液滴が加熱を繰り返されることにより変質してこびりついてしまう前に前記オーブン壁面から滑落させて、汚れとなってしまうのを防げるようにするには、前記制御部が、前記収容空間内の被調理物を前記ヒータ機構に加熱させる調理モードと、前記調理モード終了後に前記振動子に前記オーブン内壁を振動させるクリーニングモードを実行するように構成されていればよい。
加えて、本発明に係るオーブン装置は、被調理物が収容される収容空間を形成するオーブン内壁に成膜された撥液性を有するコーティング膜と、前記収容空間内を加熱するヒータ機構と、前記収容空間内に空気流を発生させるファンと、前記ヒータ機構、及び、前記ファンを制御する制御部と、を備え、前記制御部が、前記オーブン内壁に付着した汚れを落とすためのクリーニングモードにおいて前記オーブン内壁の温度が350℃以上400℃以下の状態を所定維持時間以上継続させるように前記ヒータ機構を駆動させながら同時に前記ファンを駆動するように構成されていることを特徴とする。
このようなものであれば、何らかの原因で前記コーティング膜上に汚れがこびりついたとしてもその汚れを熱により落とすことができる。また、前記オーブン内壁の温度は350℃以上400℃以下の状態に保たれているので、従来のパイロクリーニングよりも低い温度でよく、しかも前記コーティング膜の撥液性を高温により喪失することも防げる。また、使用者は前記オーブン内壁をブラシ等でこする等する必要もないので、清浄に係る手間や労力も低減できる。
前記オーブン内壁にひどい汚れがこびりついていても十分に落とすことができるようにするには、前記所定維持時間が1時間以上に設定されていればよい。
前記オーブン内壁にこびりついてしまった汚れを効果的に落とせるようにしつつ、コーティング膜の一部において撥液性が無くなってしまうことも防げるようにするには、前記制御部が、前記オーブン内壁のうち立設面における温度分布のばらつきが15℃以内に収まるように前記ヒータ機構及び前記ファンを制御するよう構成されていればよい。
前記オーブン内壁の温度分布を小さくし、できる限り均一にできるようにするには、前記ヒータ機構が、前記収容空間の上部を加熱する上部ヒータと、前記収容空間の下部を加熱する下部ヒータと、前記収容空間の背面部を加熱する背面ヒータとを備え、前記ファンが前記収容空間内において背面側に設けられていればよい。
前記オーブン内壁の温度をそれぞれの場所で等しくし、前記オーブン内壁への汚れは落ちるようにしながら前記コーティング膜への影響はほとんど発生しないようにするための具体的な制御態様としては、前記制御部が、前記所定維持時間内における前記ファンの稼働率を50%以上となるように駆動するとともに、前記所定維持時間内における前記背面ヒータの稼働率を30%以上80%以下、前記上部ヒータ及び前記下部ヒータの稼働率が40%以下となるように駆動するよう構成されているものが挙げられる。
前記ヒータ機構において一度に必要となる電力量を低減しながら、前記オーブン内壁の温度を前述した高温で均一に保ち続けられるようにするには、前記制御部が、前記上部ヒータ及び前記下部ヒータを交互に駆動するように構成されていればよい。
前記オーブン内壁の上部と下部とにおいて温度のばらつきを生じにくくするには、前記制御部が、前記上部ヒータ及び前記下部ヒータの1回当たりのON時間を10秒以上40秒以内となるように駆動すればよい。
前記収容空間内の空気が十分にかき混ぜられ、前記オーブン内壁の温度を均一にでき清浄効果を高められるようにするには、前記ファンにより形成される空気流が前記オーブン内壁の立設面から1cm離間した位置で1m/s以上であればよい。
また、本発明に係るオーブン装置は、被調理物が収容される収容空間を形成するオーブン内壁と、前記収容空間内に配置されたメインヒータと、前記収容空間内において前記メインヒータとは別の場所に配置されており、前記収容空間内に熱風の循環を形成するファンと、前記オーブン内壁上に成膜された所定の膜厚の撥液性を有するコーティング膜と、を備え、前記ファンにより形成される熱風の循環が衝突するオープン内壁の部位が前記コーティング膜と比較して撥液性が小さい表面により汚れ捕集部を形成していることを特徴とする。
このようなものであれば、前記オーブン内壁に形成されたコーティング膜ではじかれた油滴や循環風中に含まれている微小な油滴については前記汚れ捕集部で捕集されていくので、前記コーティング膜上に微小な油滴が堆積し、小さな汚れとして黒く変色してしまうのを低減できる。したがって、長期間に亘ってコーティング膜が形成されている部分の清浄度を保ちやすい。
オーブン装置の収容空間内において汚れの原因となる油滴が集中する前記汚れ捕集部について簡単に清掃でき、油滴の捕集効果を保って他の部分の清浄度を保ちやすくするには、前記汚れ捕集部が、前記収容空間内において脱着可能な部材に形成されていればよい。
前記汚れ捕集部に集まった油汚れの清掃をしやすくするには、前記汚れ捕集部が、前記収容空間内へ被調理物を出し入れするための扉の内壁面に形成されていればよい。また、前記汚れ捕集部が、前記収容空間内へ被調理物を出し入れするための扉の窓部分に形成されていてもよい。これらのようなものであれば、オーブン装置において手前側になるのでユーザによる清掃が行いやすい。
前記コーティング膜においては油滴が付着しにくくし、前記汚れ捕集部で油滴が捕集されやすくするには、前記コーティング膜の表面エネルギーが20mJ/m以下であればよい。
前記汚れ捕集部において微小な油滴が十分に捕集されて前記コーティング膜に小さな点状の汚れが発生しにくくするには、前記汚れ捕集部の表面エネルギーが25mJ/m以上であればよい。
前記収容空間内において全体としての小さな点状の汚れを長期間にわたって防ぐことができるようにするには、前記コーティング膜の表面エネルギーと前記汚れ集中部の表面エネルギーの差が少なくとも5mJ/mであればよい。
例えば前記ファンに前記汚れ捕集部を配置でき、前記コーティング膜に微小な油滴が到達する前に前記汚れ捕集部での捕集を可能とし、収容空間内の清浄度を全体として保つことができるとともに、簡単に汚れ捕集部の清掃やメンテナンスを行えるようにするには、前記汚れ捕集部が、金属板で形成されており、前記オーブン内壁に対して着脱可能に構成されていればよい。
汚れ捕集部としての捕集効果を期待できるとともに磁石による着脱を可能とするには、前記金属板が、SUS430、メッキ処理をした鋼板、琺瑯処理した鋼板のいずれかで形成されていればよい。
汚れ捕集部自体への汚れが許容できない程度まで進行するのを遅らせるとともに、そのメンテナンスを容易にするには、前記金属板が、前記収容空間内で立設しており、捕集された液状の汚れが自重で下方へ流れ、前記収容空間内において着脱可能に設けられた廃液だまりに集まるように構成されたものであればよい。
前記汚れ捕集部自体で汚れの分解が進み、長期間にわたってオーブン内壁の汚れが目立たない状態を保てるようにするには、前記汚れ捕集部が、触媒コーティング層を有しており、前記触媒コーティング層が、Ag, Pt, Pd, Au, Cu, Ru, Ti, Niのいずれか又はこれら金属元素を少なくとも1種類以上を含む化合物を触媒として含んでおり、MnO2, CeO2, Al2O3, Bi2O3, SnO, TiO2, Cr2O3, Co2O3, Fe2O3, CuO, ZrO2, SrO, LaO, V2O5, Li2O, ZnO, MgO, NiO, CuO, BaOのいずれか又はこれらの金属酸化物を1種類以上含む化合物を助触媒または担持材料として含むものであればよい。
前記触媒コーティング層を前記収容空間内の高温環境において長期間にわたってその汚れ分解機能を保てるように形成するには、前記触媒コーティング層と、母材である金属板との間にアンダーコート層が形成されており、前記アンダーコート層が、Silane剤、Vinyl-Siloxane, Ethoxy-Alumina phosphateおよびAlkyl-Aryl Siloxaneを含む低分子系Silane コーティング剤、又は、PerHydro-Polysilazane(PHPS)又はOrgano-Polysilazane(OPSZ)を主成分とするPolysilazane系コーティング溶液から作製したnm-orderの所定厚さのSiO2膜を有するものであればよい。
前記触媒コーティング層において汚れを効率よく分解できるようにするには、前記メインヒータを含むヒータ機構、前記ファンを制御して、制御部をさらに備え、前記制御部が、前記触媒コーティング層に堆積した汚れを分解するために前記触媒コーティング層の温度が250℃以上400℃以下の温度域となるように制御すればよい。
被調理物を適切に調理しつつ、前記触媒コーティング層における汚れの分解機能を十分に発揮できるようにするには、前記ヒータ機構が、前記触媒コーティング層を加熱する触媒加熱ヒータをさらに含み、前記制御部が、前記触媒加熱ヒータと前記ファンをON/OFF制御することで前記触媒コーティング層を前記温度域まで加熱するように構成されている。
前記触媒コーティング層が分解能力を発揮する温度を保つことができ、高い分解効率で収容空間内の微小な油滴が流入するようにするには、前記制御部が前記ファンのONデューティーを16%以上20%以下となるように制御すればよい。
前記触媒コーティング層の加熱に適した具体的な構成としては、前記触媒コーティング層と前記触媒加熱ヒータとの間の距離が1mm以下に設定されているものが挙げられる。
調理中に前記オーブン内壁に対して微小な油滴が堆積し、収容空間内の高温により焦げて微小な斑点状の汚れが発生するのを防ぐために調理中にも前記触媒コーティング層の作用が十分に発揮されるようにするには、前記触媒加熱ヒータの動作が通常の調理時に実施されるように構成されていればよい。
前記ファンにより形成される気流により前記汚れ捕集部が、前記ファンの外周方向に対して凸となり、当該ファンの周囲に設けられた前記オーブン内壁に対して立設する湾曲板であり、前記ファンから吐出される空気流を前記湾曲板に沿わせて遠心方向から接線方向に次第に偏向させるように構成されたものであればよい。
前記ファンにより形成される収容空間内の熱風循環により、効率よく油滴を前記湾曲板で捕集させて汚れの発生を抑えられるようにするには、前記湾曲板が前記ファンの周囲に複数放射状に配置されていればよい。
前記湾曲板の具体的な配置としては、前記湾曲板が、前記ファンを中心とする螺旋曲線に沿って形成されているものが挙げられる。
複数の前記湾曲板の少なくとも一部が、流れ方向長さが異なっていれば、前記ファンにより形成される気流に合わせて微小な油滴を捕集するのに適した配置にできる。
前記湾曲板の近傍を通過する気流が前記湾曲板に対してより衝突しやすくして、油滴の捕集効果を高められるようにするには、前記湾曲板が設けられているオーブン内壁を形成する背面板において、循環風の流れ方向に凸形状を有するボルテックスジェネレータが形成されたものであればよい。
前記汚れ捕集部の別の具体例としては、前記ファンによる熱風循環の流路中に設けられた多孔質材又は繊維材で形成されたフィルタであるものが挙げられる。
このように本発明に係るオーブン装置によれば、膜厚が0.2μm以上3μm以下である前記コーティング膜がオーブン内壁に形成されているので、前記コーティング膜の撥液性により油等による汚れが前記オーブン内壁に対して付きにくくしつつ、例えば調理が繰り返されることで350℃程度の熱負荷が繰り返されてもクラック等が生じないようにすることができる。したがって、長期間に亘って防汚効果を保って、オーブン装置内の清浄に係る手間を軽減できる。また、前記コーティング膜があることで前記オーブン装置内での汚れは簡単に落とせるので、従来のパイロクリーニングのような非常に高温となる清浄手段を用いてなくてもよい。このため、前記オーブン装置に対する負荷を軽減でき、故障の発生頻度も低減できる。
このように本発明に係るコーティング膜の成膜方法によれば、水の接触角が100°以上の表面特性を有するコーティング膜についてその膜厚が例えば0.2μm以上3μm以下で厚膜化して成膜することができる。したがって、オーブン内壁に優れた防汚効果と熱負荷に対する耐久性を持たせることが可能となる。
このように本発明に係るオーブン装置によれば、前記オーブン内壁に付着する液滴の大きさに応じて定まる液滴の共振周波数を含む周波数域で前記オーブン内壁が振動するように構成されているので、前記コーティング膜上に付着する微小な液滴であっても共振により滑落させ、こびりつく汚れへと変化してしまうのを防ぐことができる。
このように本発明に係るオーブン装置によれば、前記コーティング膜が形成された前記オーブン内壁に油等に由来する汚れがこびりついてしまったとしても、高温によって落とすことができる。より具体的には従来であればパイロクリーニングのように420℃に至るように非常に高い温度で前記収容空間及び前記オーブン内壁の温度を保たなければ油等に由来するこびりついた汚れは落とせないと考えられていた。これに対して本願発明者らが鋭意検討した結果、前記オーブン内壁に撥液性の前記コーティング膜が施されている場合には従来想定されていたのよりも低い温度で十分にその汚れを落とせることを見出したのである。そして、350℃以上400℃以下に前記オーブン内壁が保たれているので、汚れは落としつつ前記コーティング膜の撥液性は喪失されないようにできる。したがって、クリーニングモードが実施されても前記オーブン内壁には汚れがこびりつきにくい状態を長期間にわたって保つことができる。
このように本発明に係るオーブン装置によれば、前記収容空間には油滴がはじかれる撥液性を有したコーティング膜を有したオーブン内壁だけでなく、油滴を捕集する汚れ捕集部が設けられているので、前記コーティング膜にも堆積してしまい、小さな斑点状の汚れの原因となる微小な油滴については前記汚れ捕集部で捕集し、前記コーティング膜への体積を防ぐことができる。したがって、前記コーティング膜が形成されている部分の清浄度をより長期間にわたって保つことが可能となる。
本発明の第1実施形態に係るオーブン装置の構造を示す模式図。 第1実施形態におけるコーティング膜の構造について示す模式的断面図。 第1実施形態におけるコーティング膜を硬化させる際の温度プロファイルを示す模式的グラフ。 第1実施形態におけるコーティング膜による防汚効果について示す比較結果。 第1実施形態におけるコーティング膜の膜厚による水の接触角、及び、加熱時間に対する耐久性を示すグラフ。 第1実施形態の第1変形例におけるコーティング膜について示す模式的断面図。 第1実施形態の第4変形例におけるコーティング膜を硬化させる際の温度プロファイルを示す模式的グラフ。 第1実施形態の第5変形例におけるガラス窓上にコーティング膜を形成した場合の防汚効果を示す比較結果。 第1実施形態の第6変形例における鋼板上にコーティング膜を形成した場合の防汚効果を示す比較結果。 第2実施形態におけるオーブン内壁を振動させることによる水滴の移動を示す実験写真。 第2実施形態におけるオーブン内壁を振動させることによる油滴の移動を示す実験写真。 本発明の第3実施形態に係るオーブン装置の構造を示す模式図。 第3実施形態におけるヒータ機構及びファンの動作を示す模式的タイミングチャート。 第3実施形態におけるオーブン内壁の各点における温度の経時変化の測定結果を示すグラフ。 第3実施形態におけるオーブン内壁の温度分布を示すサーモグラフィ。 第3実施形態におけるクリーニングの効果を示す比較結果。 第3実施形態の変形例におけるオーブン内壁近傍における風速分布を示す模式図。 第3実施形態の変形例におけるクリーニングの効果を示す比較結果。 第3実施形態における空気流と清浄効果の関係を示す実験結果。 第4実施形態に係るオーブン装置の構造を示す模式図。 第4実施形態での汚れ捕集部を設けることによるコーティング膜上の防汚効果の向上を示す実験結果。 オーブン装置内にコーティング膜を設けていない場合の汚れを示す実験結果。 オーブン装置内にコーティング膜を全面に設けた場合の防汚効果を示す実験結果。 第4実施形態のオーブン装置の第1変形例における金属板で形成された汚れ捕集部を示す図。 第4実施形態の第1変形例における汚れ捕集部の構造を示す模式図。 第4実施形態の第1変形例における汚れ捕集部の樋及び廃液だまりを示す図。 第4実施形態の第1変形例における防汚効果を示す実験結果。 第4実施形態の第1変形例における汚れ捕集部の有無による防汚効果の違いを示す実験結果。 第4実施形態の第1変形例における汚れ捕集部の有無による外部への油煙排出量の違いを示す実験結果。 第4実施形態の第2変形例における汚れ捕集部を示す図。 第4実施形態の第2変形例における洗浄結果を示す模式図。 第4実施形態の第3変形例における汚れ捕集部を示す図。 第4実施形態の第4変形例における汚れ捕集部による防汚効果を示す実験結果。 第4実施形態の第5変形例における汚れ捕集部である湾曲板を示す図。 第4実施形態の第5変形例における湾曲板の螺旋曲線形状について示す模式図。 第4実施形態の第5変形例における湾曲板による防汚効果を示す実験結果。 第4実施形態の第5変形例における別の例の湾曲板を示す図。 第4実施形態の第5変形例における別の例の湾曲板による防汚効果を示す実験結果。 第4実施形態の第5変形例におけるさらに別の例の湾曲板を示す図。 第4実施形態の第5変形例におけるさらに別の例におけるボルテックスジェネレータの詳細を示す図。 第4実施形態の第5変形例におけるさらに別の例の湾曲板による防汚効果を示す実験結果。 第4実施形態の第5変形例におけるボルテックスジェネレータの有無による汚れ捕集効果の違いを示す実験結果。 第4実施形態の第5変形例において湾曲板に触媒コーティング層を形成した例を示す図。 第4実施形態の第5変形例において湾曲板に触媒コーティング層を形成した場合の途中の防汚効果を示す実験結果。 第4実施形態の第5変形例において湾曲板に触媒コーティング層を形成した場合の最終の防汚効果を示す実験結果。 触媒コーティング層による汚れの分解効果と温度との関係を求めるための実験構成例を示す図。 触媒コーティング層による汚れの分解効果と温度との関係を求めるための実験構時における温度プロファイルを示す図。 380℃における触媒コーティング層による汚れの分解効果を示す実験結果。 350℃における触媒コーティング層による汚れの分解効果を示す実験結果。 本発明の第4実施形態の第6変形例について示す図。 本発明の第4実施形態の第7変形例について示す図。
<コーティング膜を備えたオーブン装置>
本発明の第1実施形態に係るオーブン装置100について各図を参照しながら説明する。
前記オーブン装置100は、収容空間1内に被調理物が収容され、当該被調理物がヒータ機構5により加熱されるように構成したものである。より具体的には前記オーブン装置100は、図1に示すように前面が開口する概略中空直方体状の筐体2と、前記筐体2の前面を塞ぐように取り付けられた扉3と、前記収容空間1を形成する概略薄肉直方体状のオーブン内壁4と、前記収容空間1内又はその近傍に設けられたヒータ機構5と、前記収容空間1内の空気を対流させるためのファン61と、前記オーブン内壁4を微小振動させ、付着した汚れを当該オーブン内壁4から落とす振動子7と、前記ヒータ機構5、前記ファン61を駆動するモータ62、前記振動子7の制御を司る制御基板8と、を備えている。
各部の詳細について説明すると、前記ヒータ機構5は収容空間1内の上部に設けられた上部ヒータ51と、前記収容空間1の下部に設けられた下部ヒータ52と、前記収容空間1内において背面に前記ファン61と共に設けられた背面ヒータ53とからなる。このうち、前記上部ヒータ51と前記背面ヒータ53は前記収容空間1内に露出させてあり、前記下部ヒータ52のみが前記ヒータ内壁の外側であって前記筐体2との間に設けてある。
前記オーブン内壁4は前記収容空間1の前面を除く、その他の5つの面を形成するものであり、その内表面はコーティング膜43で覆われている。また前記オーブン内壁4の外側面と前記筐体2の内面との間には断熱材9が設けてある。また、前記収容空間1の前面を形成する扉3についてもその内側に断熱材9が設けてある。前記扉3はその中央部に収容空間1内の状態を外部から確認するためのガラス窓が設けてある。
前記ヒータ機構5、前記ファン61、前記制御基板8はそれぞれが協業して前記収容空間1内の温度やその温度分布を制御するものである。本実施形態では前記オーブン内壁4の温度が350℃程度に達する調理モードと、調理モードよりも高い温度で前記収容空間1内を所定時間保ち、前記収容空間内における空気の対流をファン61で制御することで前記オーブン内壁4に付着した汚れを落とすクリーニングモードを実行できるように構成してある。
次に前記オーブン内壁4、及び前記オーブン内壁4の内面側に形成されたコーティング膜43の詳細について説明する。
前記オーブン内壁4は、図2に示すように外側から基材となる琺瑯用鋼板41と、前記琺瑯用鋼板41の上に形成された琺瑯42とからなる。前記コーティング膜43は前記琺瑯42の上に前記収容空間1内に接するように形成してある。
前記コーティング膜43は、少なくとも外表面は撥液性を有するものであり、水の接触角が100°以上となる表面特性を有している。また、前記コーティング膜43の表面特性は、菜種油、キャノーラ油、あるいは紅花油等の植物油と鶏油を60℃にした場合に、油の接触角が40度以上となるものである。
より具体的には、前記コーティング膜43は、シルセスキオキサンを骨格とする材料に、シリコーン系あるいはアルキル系の撥液材料を添加したものである。ここで、「添加」とは、シルセスキオキサンを骨格とする材料にシリコーン系あるいはアルキル系の撥液材料を混ぜたこと、又は、前記骨格とする材料に前記撥液材料を結合させたことを少なくとも含む概念である。例えば前記骨格とする材料の一部を前記撥液材料で置換した誘導体をコーティング膜としてもよい。より具体的には、前記コーティング膜43は、表面温度が350℃に達しても熱変性がほとんど生じず、所定の撥液性を奏し続けられるものである。
前記コーティング膜43は、前記琺瑯用鋼板41及び前記琺瑯42が前記オーブン内壁4のように概略直方体状に形成された後で、スプレーコーティングにより所定の膜厚となるように形成してある。なお、前記オーブン内壁4を形成する前の平面板の状態でスピンコーティングにより前記コーティング膜43を形成し、その後直方体状に形成するようにしてもよい。前記コーティング膜43は前記琺瑯42上に液体状のコーティング材を塗布し、その後加熱することでその撥液性を発現させるとともに硬化させている。
本実施形態では、前記コーティング膜43の膜厚を所定値よりも大きくしていく際にクラック等が生じないようにするために複数段硬化を行っている。より具体的には、図3のグラフの温度プロファイルに示すように前記コーティング膜43は、前記オーブン内壁4の表面に塗布された状態において第1温度で第1所定時間の間加熱された後、前記第1温度よりも高い温度である第2温度で第2所定時間の間加熱して硬化させてある。
前記コーティング膜43の膜厚は、調理モードが繰り返されても、前述した表面特性をほぼ維持し続け、熱負荷が所定回数繰り返されてもその表面にクラック等が生じないように設定してある。より具体的には、前記コーティング膜43の膜厚は0.2μm以上3μm以下となるように形成してある。
このようなコーティング膜43をオーブン内壁4の表面に形成した場合の汚れ方の違いについて図4を参照しながら説明する。サンプル1とサンプル2はそれぞれ異なる膜厚で形成されたコーティング膜43がオーブン内壁4に形成してある。比較例ではオーブン内壁4にコーティング膜43を形成せず、琺瑯42がむき出しになっている。前記オーブン装置100内で被調理物として鶏を丸ごと焼いた場合における羽数ごとのオーブン内壁4の状態を示す。汚れの程度のレベルは複数人による官能評価の平均値としている。
図4からわかるようにコーティング膜43の無い従来の状態を模した比較例では40羽の鶏を焼いた場合にはオーブン内壁4に油による汚れがこびりついてしまっている。これに対してサンプル1及びサンプル2では40羽の鶏を焼いた時点でも比較例と比べて汚れの付着量を少なくできている。また、オーブン内壁4に強くはこびりついていないため例えばブラシなどでこするだけでも容易に汚れを落とすことができる。言い換えると、前記コーティング膜43の水の接触角を例えば100°以上120°以下の表面特性を有するようにすることで、汚れの付着を大幅に低減でき、清浄に係る手間や労力を減らせることが分かる。また、比較例のように汚れがこびりついていないので、パイロクリーニング等の手段で清浄しなくてもよい。
次に前記コーティング膜43の膜厚と、熱負荷に対する耐久性についての試験結果について図5のグラフを示す。図5のグラフは膜厚が0.5μm、0.7μm、1.0μm、1.5μm、2.0μmで形成されたコーティング膜43に熱負荷を与え、その累積の加熱時間に対する水の接触角の変化を示すものである。前述したように水の接触角の大きさは汚れの付着のしにくさと正の相関関係がある。なお、グラフが途中で途切れているものは、その時点でクラック等が生じそれ以上の使用ができないと判断されたため、測定が打ち切られている。
図5のグラフから分かるように前記コーティング膜43の膜厚を0.5μm以上2μm以下とすれば、加熱時間が累積で50時間程度に至るまでは水の接触角が100°以上となる良好な防汚性能を得られることが分かる。このような膜厚の範囲であれば撥液性と熱負荷に対する耐久性についても好ましい。また、前記コーティング膜43の膜厚を0.7μm以上1.5μm以下とすれば水の接触角が105°から110°に保たれている時間をさらに長くすることができ、熱負荷に対する耐久性もさらに累積加熱時間で200時間以上に延ばすことができ、より好ましい。なお、本願発明者らが行った図5とは別の実験から前記コーティング膜43が所定の膜厚で均一に形成されていれば、0.7μm以下、さらには0.2μm以下であっても熱負荷に対する耐久性が向上することが分かっている。また、前記コーティング膜43は0μmよりも大きい膜厚であればよい。
次に第1実施形態の第1変形例におけるオーブン装置100について説明する。
第1実施形態の第1変形例のオーブン装置100は、オーブン内壁4に形成されるコーティング膜43が図6に示すように1層ではなく、2層で形成してある。ここで2層とは前記コーティング膜43が完全に硬化しきる前における状態又は硬化後における状態を指す。
より具体的には、第1実施形態の第1変形例では前記コーティング膜43は、琺瑯42上に前記コーティング膜43の第1層が硬化しきる前であり、第1層に撥液性が発現する前に当該第1層上に前記コーティング膜43の第2層が塗布して硬化させたものである。このようにすることで、前記コーティング膜43の膜厚を例えば2.0μm以上としても硬化過程でクラック等を生じにくくし、厚膜化を実現しやすい。また、厚膜化によって前記コーティング膜43の耐熱性も向上させることができる。
次に第1実施形態の第2変形例におけるオーブン装置100について説明する。
第1実施形態の第2変形例のオーブン装置100は、コーティング膜43が2層で形成されている点で第1変形例と共通するが、第1層が撥液成分を有さない樹脂層であり、第2層のみに撥液性を発現させる固形分が含まれている点で異なっている。
このような構成のコーティング膜43を硬化させた際の表面状態について比較結果を表1に示す。
表1に示されるように第1層に撥液成分を含まない成膜を施し、第2層において撥液性を発現させる固形成分を総重量の40%まで含ませるようにしてもクラックを発生させずに厚膜化させることができる。すなわち、この第2変形例によれば、材料の固形成分が溶媒を含めた総重量に対して28%以上40%以下の割合で調合されるコーティング膜43であっても硬化させて熱負荷に対する高い耐久性と、さらなる撥液性の向上を実現することができる。なお、最も良好な表面状態が得られるとともにオーブン内壁3に対して容易に塗布できるのは材料の固形成分が溶媒を含めた総重量に対して5%以上28以下の割合で調合されるものが挙げられる。
次に第1実施形態の第4変形例におけるオーブン装置100について説明する。
第1実施形態の第4変形例においてオーブン内壁4に形成されるコーティング膜43は、図7の温度プロファイルのグラフに示すように3段階の温度変化によりコーティング膜43を硬化させるようにしてある。すなわち、第1所定温度、第2所定温度、第3所定温度の順番で温度を上昇させ、それぞれの温度について第1所定時間、第2所定時間、第3所定時間の間その温度が一定に保たれるようにしてある。第1所定時間と第2所定時間は第3所定時間よりも短く設定してあり、その長さが同じ程度となるようにしてある。また、第1所定温度と第2所定温度との差は第2所定温度と第3所定温度との差よりも小さく設定してある。
このように硬化時における温度プロファイルの段階数を増やすことによりさらにクラック等の発生を起こりにくくして、前記コーティング膜43の厚膜化を容易化できる。なお、温度プロファイルについては図3及び図7に示したものに限られず、例えば複数段の温度差が形成されるように滑らかに温度変化を実現しても構わない。
次に第1実施形態の実施形態の第5変形例におけるオーブン装置100について説明する。
第1実施形態の第5変形例においては、扉3のガラス窓の内面側についても透明のコーティング膜43を形成してある。
図8はガラス窓の右半分にのみコーティング膜43を形成し、収容空間1内において被調理物の調理を行った際に付着する汚れの比較結果を示している。図8に示すようにコーティング膜43をガラス窓の内面に形成することで、当該ガラス窓に被調理物から発生する油等による曇り汚れを低減できていることが分かる。
次に第1実施形態の実施形態の第6変形例におけるオーブン装置100について説明する。
第1実施形態の第6実施例では、琺瑯42の表面上にコーティング膜43を形成するのではなく鋼板41の表面上に直接コーティング膜43を形成してある。図9は表面にコーティング膜43が形成されたSUS304と、コーティング膜43を形成していないガラス板のそれぞれ被調理物から抽出した汚れの原因となる油を垂らした場合の比較結果を示している。
図9から分かるように加熱されて油の粘性が低下した場合には、コーティング膜43の形成されていないガラス板では、油の液滴が広がってしまい汚れが表面にへばりつく原因となっているが、コーティング膜43を施した鋼板41では液滴の状態はほとんど変化していない。すなわち、コーティング膜43を施してあれば油の接触角に対して温度変化による変化はほとんど認められず、撥液性が保たれていることが分かる。また、鋼板41とガラス板を立てて斜めにした場合の結果からも分かるように、ガラス板では油の移動軌跡が後となり目立つ汚れとなっているのに対して、コーティング膜43により撥液性が発現されている鋼板41では油が通った後にもそのあとは残らず汚れとして留まりにくい。
このように第5変形例及び第6変形例からも分かるように、コーティング膜43は琺瑯42上に形成されていなくても、ガラスや鋼板41上に形成してもほぼ同様の防汚効果を発揮できることが分かる。
第1実施形態のその他の変形例について説明する。
本発明に係るコーティング膜は、実施形態や各変形例に示したものに限られずその他の組成を有するものであってもよい。より具体的にはコーティング膜はテフロンのようなフッ素を含まないものであればよく、調理時において到達する350℃前後となってもその撥液性が熱変性により失われないものであればよい。
また、組成によらずコーティング膜の膜厚については0.2μm以上3μm以下であれば、クラック等の発生を抑え、繰り返し熱負荷に対する耐久性を使用上問題無いレベルで実現する事が可能となる。また、本発明に係るコーティング膜は電気オーブン装置及びガスオーブン装置の何れに対しても用いることができる。
<コーティング膜の形成方法>
次に、本発明の第1実施形態に係るコーティング膜43の成膜方法について各図を参照しながら説明する。以下では、スプレーコーティング法による前記コーティング膜43の成膜方法の詳細について説明する。
本実施形態では、溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、酢酸ブチル、PEGMEA、酢酸エチルのいずれかを用いており、前記溶液に対する前記コーティング材の重量の割合が12.5%となるように調合している。そして、ノズル径が0.5mmのスプレーガンにより前記オーブン内壁4へ溶液を塗布している。この溶液を塗布する際には、スプレーガンにより噴霧する際にその噴霧先を移動させながら噴霧し、前記オーブン内壁4の各点に対して前記噴霧先が3回通過するようにしている。なお、コーティング膜43で達成した膜厚によっては2回通過するようにしてもよい。
本実施形態では、前記コーティング膜43の膜厚を所定値よりも大きくしていく際にクラック等が生じないようにするために複数段硬化を行っている。すなわち、前記コーティング膜43は、前記オーブン内壁4の表面に塗布された状態において第1温度で第1所定時間の間加熱された後、前記第1温度よりも高い温度である第2温度で第2所定時間の間加熱して硬化させてある。
以上のような成膜方法であれば、コーティング膜43について厚膜化しながら、その表面にクラックが生じないようにすることができる。
次にコーティング膜の成膜方法に関する変形例について説明する。
前記実施形態ではコーティング膜43が形成される素地は琺瑯42であったが、例えばSUS304等の鋼板の表面にコーティング膜43を形成してもよい。また、扉3に設けられたガラス板の内面上にコーティング膜43を形成してもよい。このようにコーティング膜43が形成される素地が琺瑯42以外の場合には、溶液における固形成分であるコーティング材の濃度を琺瑯42に対してコーティングする場合とは異ならせておけばよい。
その他の成膜方法に関する実施形態について説明する。
本発明に係るコーティング膜は、実施形態や各変形例に示したものに限られずその他の組成を有するものであってもよい。より具体的にはコーティング膜はフッ素を含まないものであればよく、調理時において到達する320℃前後となってもその撥液性が熱変性により失われないものであればよい。
また、組成によらずコーティング膜の膜厚については0.2μm以上3μm以下であれば、クラック等の発生を抑え、繰り返し熱負荷に対する耐久性を使用上問題無いレベルで実現する事が可能となる。また、本発明に係るコーティング膜は電気オーブン装置及びガスオーブン装置の何れに対しても用いることができる。
<微小振動による汚れ除去>
本発明の第2実施形態に係るオーブン装置100について各図を参照しながら説明する。第2実施形態に係るオーブン装置100は、図1と機構としては同じものであるが、前記振動子7及び前記ヒータ機構5の動作が第1実施形態に係るオーブン装置100と異なっている。
以下では前記振動子7の構成、及び、当該振動子7の振動により前記オーブン内壁4に付着し、自重では滑落しない液滴の除去作用、及び、効果について詳述する。
前記振動子7は、偏心モータ71と、前記偏心モータ71の偏心重りによって一端が加振され、他端が前記オーブン内壁4の外側面に接続された駆動軸となる振動伝達板72とから構成してある。より具体的には、前記偏心モータ71は入力される電流の大きさによってその振動周波数を変化させられるものである。この偏心モータ71の偏心重りが前記振動伝達板72の面板部に対して垂直な方向に接触し、上下方向に振動させるようにしてある。また、振動伝達板72は前記オーブン内壁4には接続される一方、前記筐体2とは接触しないように設けてある。すなわち、前記振動子7で発生する振動は前記筐体2には伝達されないようにしてある。加えて、前記振動伝達板72は前記オーブン内壁4のうち上下方向に延びる背面に接続してあり、前記振動伝達板72の上下方向のたわみ振動が伝達されるようにしてある。
前記制御基板8(制御部)は、前記ヒータ機構5、前記振動子7、前記モータ62を制御して、少なくとも調理モードとクリーニングモードにおいてそれぞれ異なる動作をするように制御するものである。そして、前記制御基板8は、CPU、メモリ、A/D・D/Aコンバータ等を備えたいわゆるコンピュータであって、前記メモリに格納されたオーブン装置用プログラムが実行されることにより、各種機器と協業して少なくともヒータ機構制御部、振動子制御部、ファン制御部としての機能を発揮するようにしてある。
前記ヒータ機構制御部は、前記ヒータ機構5を構成する上部ヒータ51、下部ヒータ52、背面ヒータ53のそれぞれに流す電流を制御することで前記収容空間1内の温度を設定された温度に保つように制御するものである。前記ヒータ機構制御部は、調理モードにおいては被調理物の調理に適した温度に前記収容空間1内の温度を保つように前記ヒータ機構5を制御する。一方クリーニングモードでは前記ヒータ機構制御部は、前記オーブン内壁4に付着する液滴を前記振動子7による振動により移動させやすくする所定温度に前記収容空間1内を保つよう前記ヒータ機構5を制御する。
前記ファン制御部は、前記ヒータ機構5による加熱が行われている際に前記モータ62の回転数を制御して前記対流ファン61で生じる前記収容空間1内の風量を制御するものである。この対流ファン61で生じる収容空間1内の対流により前記収容空間1の一部のみが高温となって前記コーティング膜43の撥液性が喪失されないようにしてある。
次にクリーニングモードにおける前記制御基板8の動作について詳述する。
前記制御基板8は調理モードが終了するとクリーニングモードに移行する。
この際、前記振動子制御部は前記振動子7を所定の振幅域及び所定の周波数域で振動させ、前記オーブン内壁4を上下方向に振動させる。前記所定の振幅域は前記コーティング膜43上に付着しており、自重では滑落しない微小な液滴を移動させるのに必要な力を供給しつつ、前記筐体2から外部へ前記オーブン内壁4の振動音が所定レベル以上漏れない値に設定してある。また、前記所定の周波数域は本実施形態では前記所定の振幅域は、前記オーブン内壁4に付着する液滴の大きさに応じて定まる液滴の共振周波数を含むように設定してある。本実施形態では前記所定の振幅域は10μm以上100μm以下に設定してあり、前記所定の周波数域は20Hz以上220Hz以下に設定してある。また、前記振動制御部は、前記振動子7に前記オーブン内壁4を10秒以上60秒以内で継続して振動させるように構成してある。
クリーニングモードにおいて前記振動子7を振動させる際には前記ヒータ機構制御部も前記ヒータ機構5を稼働させ、前記収容空間1内を所定の温度に保つように温度制御を行う。本時実施形態では前記ヒータ機構5によりクリーニングモードにおいては収容空間1内の温度は室温よりも高い温度に保つようにしてある。より具体的にはクリーニングモードにおいて前記収容空間1内は60℃以上350℃以下に保たれる。
このように前記振動子7及び前記ヒータ機構5が協業することにより、前記コーティング膜43の撥液性があっても付着し続ける微小な液滴を滑落させることができる点について実験データに基づき説明する。
図10(a)に示すように前記オーブン内壁4の立設面に1.0μL、1.5μL、2.0μL、2.5μL、3.0μL、3.5μLの水滴を付着させ、その後前記振動子7により微小振動を室温において発生させた。具体的には前記振動子7により10秒間で20Hz〜120Hzへ周波数が変化する正弦波の波形を3回加えた。この結果図10(b)に示すように水滴を移動させることができた。
また、図11(a)に示すように前記オーブン内壁4の立設面に1.0μL、1.5μL、2.0μL、2.5μL、3.0μL、3.5μLの油滴を付着させ、その後前記振動子7により微小振動を室温及びヒータ機構5で60℃に保った場合のそれぞれで発生させた。具体的には前記振動子7により10秒間で20Hz〜120Hzへ周波数が変化する正弦波の波形を3回加えた。この結果、室温においては微小振動を加えても油滴を移動させることはできなかったが、60℃に収容空間1内の温度を保った場合には図11(b)に示すように油滴を移動させることができた。
これらの結果をまとめると表2のようになる。
このように第2実施形態のオーブン装置100であれば、クリーニングモードにおいて前記ヒータ機構5により前記収容空間1内の温度を60℃以上に保ったうえで前記振動子7により前記オーブン内壁4を上下方向に微小振動させることで、微小な水滴又は油滴を含む液滴を前記オーブン内壁5から移動させ滑落させることができる。
また、液滴の直径の大きいものについては前記コーティング膜43の撥液性によって自重により滑落させることができ、撥液性を有する前記コーティング膜43に付着する微小な液滴について前記ヒータ機構5及び前記振動子7の作用により移動させて滑落させることができる。
したがって、前記オーブン内壁4には留まり続ける水滴や油滴をほとんどなくすことができる。このため、微小な油滴が前記オーブン内壁4に付着し続けて調理時の熱が加えられる度に変質し、黒い微小な塊としてこびりついてしまうことも防げるようになる。このため、オーブン装置100内の清浄にかかる使用者の手間を大幅に軽減できる。また、仮に小さな汚れが残ってしまったとしても、パイロクリーニングのような収容空間1内を420℃にするような高温の清浄方法を用いてなくても十分に汚れを落とすことができるので、ヒータ機構5への負荷を小さくでき故障の頻度も低減できる。
第2実施形態の変形例について説明する。
第2実施形態ではヒータ機構により収容空間内の温度を60℃以上に保ちながら振動子によりオーブン内壁を振動させていたが、例えば調理モードの余熱が残っている段階で振動子を振動させて油滴が動くようにしてもよい。また、クリーニングモード時における収容空間内の温度は適宜設定してもよく、60℃以外の温度に設定してもよい。例えば収容空間内の温度についてはコーティング膜が熱変性によってその撥液性を喪失しない温度範囲で設定すればよい。
前記振動子としては偏心モータに限られるものではなく、電磁振動子、圧電素子等様々なものを用いることができる。また、振動子による振動方向は上下方向を少なくとも含むものであればよく、その他の振動方向成分を含んでいてもよい。また、振動子を振動させる所定の周波数域についてはオーブン内壁から滑落させたい液滴の大きさに応じて設定してもよい。例えば液滴の直径の分布全てに対してその共振周波数を含むように所定の周波数域を設定するのではなく、一部の共振周波数のみを含むように所定の周波数域を設定してもよい。また、所定の周波数域についても前記実施形態に示したものに限られず、オーブン装置の大きさ、オーブン内壁の大きさ、遮音性能、振動子を発振させる時間の長さ等のパラメータに応じて適宜設定してもよい。さらに、前記振動子による振動は連続的に加えられるものに限られず、間欠的に加えてもよい。例えば、振動子の周波数を変更するごとに休止期間を設けるようにしてもよい。
<ヒータ機構及びファンのみによるクリーニング>
次に第3実施形態に係るオーブン装置100について各図を参照しながら説明する。
第3実施形態のオーブン装置100は、図12に示すように第1実施形態及び第2実施形態のオーブン装置100と比較して振動子7を備えていない点と、クリーニングモードに関する前記制御基板8の構成において異なっている。
より具体的には前記制御基板8(制御部)は、前記オーブン内壁4に付着した汚れを落とすためのクリーニングモードにおいて前記オーブン内壁4の温度が350℃以上400℃以下の状態を所定維持時間以上継続させるように前記ヒータ機構を駆動させながら同時に前記ファン61を駆動するように構成してある。すなわち、従来のパイロクリーニングとは異なり、前記収容空間1内及び前記オーブン内壁4を高温状態にする際に前記ファン61を駆動する点で異なっている。また、従来汚れを落とす際に必要とされている420℃よりも低い温度までにしか前記収容空間1内及び前記オーブン内壁4の温度を上昇させていない。
より具体的には、図13のタイミングチャートに示すように前記ファン61及び前記上部ヒータ51、前記下部ヒータ52、前記背面ヒータ53は所定維持時間である1時間以上にわたって前記制御基板8により制御される。図13から分かるように前記ファン61は常に駆動してあり、前記収容空間1内に空気流を常に形成して温度を均一にするようにしてある。前記ヒータ機構5を構成する各ヒータは周期的なON/OFF制御を行うようにしてある。より具体的には前記上部ヒータ51と前記下部ヒータ52はそのON時が重ならないように交互に駆動されるようにしてある。より具体的には前記上部ヒータ51は、1周期においてON状態を20秒間、OFF状態を32秒間のON/OFF制御が周期的に実施されるようにしてある。一方、前記下部ヒータ52は、1周期においてON状態が10秒間、OFF状態は42秒間のON/OFF制御が周期的に実施されるようにしてある。また、前記上部ヒータ51及び前記下部ヒータ52の制御周期の位相はずらしてあり、前記上部ヒータ51のON状態が終了した時点から前記下部ヒータのON状態が開始されるようにしてある。また、前記背面ヒータは1周期においてON状態が40秒、オフ状態が12秒となるようにON/OFF制御が周期的に行われるようにしてある。この背面ヒータのON状態は前記上部ヒータ51のON状態の開始時点と同時に揃えてある。したがって前記上部ヒータ51及び前記下部ヒータ52が交互にON状態となる間は前記背面ヒータ53は常時ON状態である。また、40秒ごとに全てのヒータが12秒間OFF状態となるようにしてある。
このようなヒータ機構5及びファン61の制御を行うことによるオーブン内壁4の温度変化について図14及び図15を参照しながら説明する。図14はオーブン内壁4の各面に温度センサを設けて温度の経時変化を測定した結果を示すグラフである。図15は収容空間1及びオーブン内壁4の温度をサーモグラフィで測定した結果を示すものである。
図14及び図15から分かるようにオーブン内壁4において各立設面の温度はクリーニングモード開始時から徐々に上昇し最終的には前記オーブン内壁4の全ての面は385℃〜400℃でほぼ均一な状態に保たれることが分かる。
このような温度状態を1時間以上保つことによる清浄効果について図16に示す。図16(a)は清浄前の汚れが前記オーブン内壁4に斑点状にこびりついた状態を示す。この状態から前述したようなクリーニングモードを実施することにより図16(b)に示すようにほとんどの汚れを落とすことができる。また、このクリーニングモードは従来のパイロクリーニングの420℃よりも低い温度で汚れを落とすことができている。そして400℃までしか前記オーブン内壁4の温度は上昇しないので、前記コーティング膜43の撥液性が熱変性により喪失されないようにできる。
次に第3実施形態の変形例について説明する。
この変形例では前記ファン61により図17に示すように前記オーブン内壁4の立設面から1cm離間した位置で少なくとも1m/s以上の空気流を形成してある。
このような空気流を形成しながらオーブン内壁4の温度を350℃〜400℃に保つことにより、図18(a)の清浄前においてオーブン内壁4の背面に付着していた油汚れはとされ、図18(b)のように清浄な状態に戻すことができた。より具体的には図17において1m/s以上の空気流が形成されている部分では汚れを完全に除去できていることが分かる。
次に風量の影響について検証実験を行った。オーブン内壁4と同様の構成を有する試験板を2つ用意し、各試験板に鶏から抽出した油によりこびりつく汚れを再現した。そして一方の試験板にはアルミホイルで包み空気流との接触を断ち、他方の試験板の表面は空気流と接触するようにした。この状態で400℃に1時間以上保った場合、図19の左側に配置された空気流との接触を断たれた試験板と比較して図19の右側に配置された空気流と接触させた試験片は汚れが剥離し琺瑯部分が露出している面積が大きくなっている。したがって、クリーニングモード時において単純に加熱するだけよりも併せて空気流を形成したほうが汚れを良く落とせることが分かる。
第3実施形態の変形例について説明する。
前記ヒータ機構及び前記ファンの制御については前述したものに限られず、PWM制御や温度センサ等の測定センサの出力に基づいたフィードバック制御を行ってもよい。なお、第3実施形態で示したようにフィードフォワード制御を行ったほうがオーブン装置としての簡素化や低コスト化は実現しやすい。
クリーニングモードにおいて収容空間あるいはオーブン内壁の温度は350℃〜400℃の間で適宜設定すればよい。この温度の上限についてはコーティング膜の撥液性が失われない範囲でできるだけ高い温度を設定すればよい。また、第1及び第2実施形態における振動子を用いてクリーニングモード時に振動子による微小振動をオーブン内壁にさらに加えるようにしてもよい。
<コーティング膜と汚れ捕集部を備えたオーブン装置>
本発明の第4実施形態に係るオーブン装置100について各図を参照しながら説明する。なお、各実施形態で前述した部材に対応する部材には同じ符号を付すこととする。
前記オーブン装置100は、収容空間1内に被調理物が収容され、当該被調理物がヒータ機構5により加熱されるように構成したものである。より具体的には前記オーブン装置100は、図20に示すように前面が開口する概略中空直方体状の筐体2と、前記筐体2の前面を塞ぐように取り付けられた扉3と、前記収容空間1を形成する概略薄肉直方体状のオーブン内壁4と、前記収容空間1内又はその近傍に設けられたヒータ機構5と、前記収容空間1内の空気を対流させるためのファン61と、前記ヒータ機構5、前記ファン61を駆動するモータ62の制御を司る制御基板8と、を備えている。
各部の詳細について説明すると、前記ヒータ機構5は収容空間1内の上部に設けられた上部ヒータ51と、前記収容空間1の下部に設けられた下部ヒータ52と、前記収容空間1内において背面に前記ファン61と共に設けられた背面ヒータ53とからなる。このうち、前記上部ヒータ51と前記背面ヒータ53は前記収容空間1内に露出させてあり、前記下部ヒータ52のみが前記ヒータ内壁の外側であって前記筐体2との間に設けてある。本実施形態では上部ヒータ51がメインヒータに相当する。
前記オーブン内壁4は前記収容空間1の前面を除く、その他の5つの面を形成するものであり、その内表面はコーティング膜43で覆われている部分と一部にコーティング膜43で覆われていない部分である汚れ捕集部44とを形成してある。また前記オーブン内壁4の外側面と前記筐体2の内面との間には断熱材9が設けてある。また、前記収容空間1の前面を形成する扉3についてもその内側に断熱材9が設けてある。前記扉3はその中央部に収容空間1内の状態を外部から確認するためのガラス窓が設けてある。
前記ヒータ機構5、前記ファン61、前記制御基板8はそれぞれが協業して前記収容空間1内の温度やその温度分布を制御するものである。本実施形態では前記オーブン内壁4の温度が350℃程度に達する調理モードと、調理モードよりも高い温度で前記収容空間1内を所定時間保ち、前記収容空間内における空気の対流をファン61で制御することで前記オーブン内壁4に付着した汚れを落とすクリーニングモードを実行できるように構成してある。
次に第4実施形態においてコーティング膜43が形成されている部分とコーティング膜43が形成されておらず汚れ捕集部44として機能する部分との違いを説明する。コーティング膜43は、撥液性を有するものであり表面エネルギーが0mJ/mより大きく20mJ/m以下の特性を有するものである。また、汚れ捕集部44は前記コーティング膜43と比較して撥液性が小さく、25mJ/m以上の表面エネルギーを有するようにしてある。また、各表面の表面エネルギーの差は5mJ/m以上となるようにしてある。また、前記汚れ捕集部44は前記ファン61により収容空間1内に形成される熱風の循環が最初に当たる箇所に設けてある。第4実施形態では前記ファンにより収容空間1において背面側のオーブン内壁4に最初に熱風が当たるようにしてあるので、この背面を形成するオーブン内壁4の一部には被調理物から発生し飛散する微小油滴を捕集するように汚れ捕集部44を形成してある。
このように構成された第4実施形態のオーブン装置でのオーブン内壁4における表面の汚れ方の違いについて図21を参照しながら説明する。図21に示す実験例ではオーブン内壁4において背面の左半分にはコーティング膜43を形成し、右半分にはコーティング膜43を形成せずに汚れ捕集部44にして、被調理物として丸どりを230℃で1時間ローストした。この調理については合計20羽に達するまで繰り返し、その後のオーブン内壁4の汚れについて観察した。この結果、図21に示されるようにコーティング膜43が形成されている背面の左半分については油汚れはほとんど存在しないが、汚れ捕集部44には油汚れが集中していることが分かる。また、図22に示すようにオーブン内壁4にコーティング膜43を形成していない場合には、図21と同様の条件で丸どりの調理を行うと全面にわたって油汚れが発生している。また、図23に示すようにオーブン内壁4のすべてにコーティング膜43を形成すると全面にわたって清浄度は高い状態となっているが背面を形成するオーブン内壁4についてはファン61の近傍にはコーティング膜43が形成されているにも関わらず、微小な斑点状の油汚れが発生している。図21と図23の汚れ状態と比較すると分かるようにコーティング膜43が形成されている部分の清浄度は図20に示すようにコーティング膜43だけでなくコーティング膜43を施さない汚れ捕集部44を形成したほうがよい。このように第4実施形態のオーブン装置100は汚れ捕集部44が収容空間1に配置されていることにより、全ての面にコーティング膜43を形成する場合よりもさらに高い清浄度を長期間にわたってたもつことができる。
このような結果となったのは以下のような理由である。すなわち、コーティング膜43の撥液性でも十分にはじかれない微小径の油滴についてはコーティング膜43上に堆積して最終的に図23に示されるようにコーティング膜43上に微小な斑点状の汚れが形成されてしまう。一方、第4実施形態のように汚れ捕集部44がコーティング膜43と並列して設けられている場合には前記汚れ捕集部44へ微小径の油滴等が捕集され、結果としてコーティング膜43上に堆積することがなく、斑点状の汚れが発生するのが防がれる。このため、全ての面をコーティング膜43で覆った場合よりも長期間にわたってコーティング膜43上の清浄度を保つことができる。
次に第4実施形態の第1変形例について説明する。第1変形例ではオーブン内壁4にコーティング膜43を形成しないことで汚れ捕集部44を形成する代わりにコーティング膜43が形成されていない金属板を収容空間1内に着脱可能に配置するように構成してある。
より具体的には変形例1における汚れ捕集部44は、図24及び図25に示すようにファン61が配置されており、収容空間1の背面を形成するオーブン内壁4に対して磁石により着脱可能なアルミニウム板を立設させた状態で磁石により着脱可能にしてある。この汚れ捕集部44は、底面側にアルミニウム板表面に捕集され重力により下方へと集まった液状の油が流れる樋と、前記樋の下方に設けられ、油が廃液として集められる廃液だまりとを備えたものである。
このような変形例1のオーブン装置100について図21乃至図23と同様の実験を行い、オーブン装置100内の汚れについて確認を行った。図27に示されるように着脱可能に構成された汚れ捕集部44については微小な油が吸収されているため、側面部のオーブン内壁4についてはコーティング膜43上には微小な斑点状の汚れも発生しておらず、清浄度が保たれている。
一方、オーブン内壁4のすべてにコーティング膜43を形成した場合には図28に示されるようにコーティング膜43が形成されている部分にも微小な油の堆積による汚れが発生している。
このような変形例1のオーブン装置100であれば、汚れ捕集部44の微小な油の捕集効果により長期間の使用でもコーティング膜43への斑点状汚れを防げるとともに、汚れが捕集される汚れ捕集部44については収容空間1内から取り外して簡単に清浄できる。したがって、汚れ捕集部44による油の捕集効果を簡単に戻すことができ、オーブン内壁4の清浄度を保つ能力を発揮させ続けられる。
また、汚れ捕集部44について表面エネルギーの異なる材質による捕集効果の有無について上記と同様の実験により確認した。実験結果は表3のようになった
上記の比較実験から表面エネルギーが25mJ/mであれば、汚れ捕集効果を発揮して汚れ捕集部44にすることができる。また、別の表現をすると、汚れ捕集部44とコーティング膜43とで表面エネルギーの差が少なくとも5mJ/m以上であれば汚れ捕集効果によりコーティング膜43における微小汚れの発生を抑えることができる。
さらに、前述したような汚れ捕集部44があれば、被調理物から発生する油煙が吸収されるので調理途中等で扉を開放した場合でも外部に排出される油煙量を低減できる。図29に内部に汚れ捕集部44が設けられているオーブン装置100と汚れ捕集部44が設けられていないオーブン装置100とで同じ条件で調理を行い途中で同時に扉を開放した場合の油煙量の違いを示す。図28の左側の汚れ捕集部44を備えたオーブン装置100は右側の汚れ捕集部44を備えないオーブン装置100と比較して外部に排出される油煙量を少ない。
次に第4実施形態の第2変形例について説明する。図30に示すように第2変形例ではオーブン装置100の扉にある窓部分に親水性のコーティングを施し、汚れ捕集部44としての機能を発揮させるようにしている。このようなものであってもコーティング膜43の上には微小な油滴が堆積し、斑点状の汚れとして黒化するのを防ぎ、長期間にわたって内部の清浄度を保つことができる。また、図31に示すように汚れが捕集される扉の窓部分に対しては水洗いするだけでも汚れを浮かして簡単に洗浄する事ができる。
次に第4実施形態の第3変形例について説明する。これまでの実施例では汚れ捕集部44は収容空間1内において立設させてあったが、例えば図32に示されるようにオーブン装置100の収容空間1内の最下段において撥水性のオーティング膜43が形成されていない金属トレイを配置するようにしてもよい。このようなものであっても金属トレイに対して汚れを捕集させ、他のコーティング膜43が形成されたオーブン内壁4への汚れを低減できる。また、このようなものであれば、上部ヒータ51で主に調理するロースティング時には被調理物からとび跳ねた油が底面を汚すのを防ぐことができ、流れ落ちる油についても受け止めることができる。また、下部ヒータ52によるベイク調理時には取り外して邪魔にならないようにすることもできる。
次に第4実施形態の第4変形例について説明する。第4変形例は汚れ捕集部44として触媒コーティング層を形成したオーブン装置100である。触媒コーティング層はオーブン装置100において着脱可能な部品に熱触媒を塗布して汚れ捕集部44としたものである。具体的には、触媒材料としてAgと、助触媒であるMnO2を用いている。基材の金属部品の表面と触媒材料との間には、Silane coupling剤、Vinyl-Siloxane, Ethoxy-Alumina phosphateおよびAlkyl-Aryl Siloxaneを含む低分子系Silane coating剤、PerHydro-Polysilazane(PHPS)や Organo-Polysilazane(OPSZ)を主成分とするPolysilazane系coating溶液から作製した厚さnm-orderのSiO2膜を形成してある。
このようなものであっても、汚れ捕集部44に微小な油滴を捕集し、オーブン内壁4においてコーティング膜43が形成されている部分には微小な油が堆積することによる黒点状の汚れが発生するのを防ぐことができる。より具体的には図33に示されるように触媒コーティング層が形成されたオーブン装置100の背面に油汚れを集中させられるため、撥液性のコーティング膜43が形成された側面部のオーブン内壁4には汚れがほとんど発生していないことが分かる。また、汚れ捕集部44の汚れ、すなわち、触媒表面の油汚れについてはヒータ機構5による加熱によって例えば収容空間1内を380℃まで昇温することで汚れを分解、清浄することができる。
なお、触媒の主成分については、貴金属や各種触媒金属(Ag, Pt, Pd, Au, Cu, Ru, Ti, Ni)ならびにこれら金属元素を少なくとも1種類以上を含む物質としてもよい。また、助触媒として金属酸化物 (MnO2, CeO2, Al2O3, Bi2O3, SnO, TiO2, Cr2O3, Co2O3, Fe2O3, CuO, ZrO2, SrO, LaO, V2O5, Li2O, ZnO, MgO, NiO, CuO, BaO)およびこれら1種類以上含む化合物が含むものであってもよい。
次に本発明の第4実施形態の第5変形例について説明する。第5変形例ではファン61が設けられ、収容空間1の背面を形成するオーブン内壁4に対して、図34に示されるように垂直に立つ湾曲板を複数設けて汚れ捕集部44としたものである。この湾曲板は前記ファンの外周方向に対して凸となり、当該ファンの周囲に設けられた前記オーブン内壁に対して立設するものであり、前記ファンから吐出される空気流を前記湾曲板に沿わせて遠心方向から接線方向に次第に偏向させるように構成してある。より具体的には図35に示されるように各湾曲板はファン61を中心とする螺旋曲線により放射状に配置してある。各湾曲板は周方向に対してほぼ等間隔で配置してある。また、各湾曲板の大きさや長さについては風量は吸い込み口の風速分布と区分面積で積算し計算することで求め、毎秒23〜26Lの条件になるように空気抵抗を考慮して設計してある。各湾曲板は図36に示されるように使用時にはケース内に収容されて使用者からは見えないようにしてある。
このように構成されたオーブン装置100であっても、図36に示されるように長期間に亘って調理を繰り返しても汚れ捕集部44である湾曲板に空気流中に含まれる微小な油滴が捕集されるので、コーティング膜43が形成されているオーブン内壁4には油が堆積せず斑点状の汚れが発生するのを防ぐことができる。
次に湾曲板の別の例について説明する。複数の湾曲板については全て同じ形状にするのではなく、図37に示すように流れ方向長さの異なる湾曲板を配置してある。より具体的には、長尺の湾曲板と短尺の湾曲板が周方向に交互に現れるように配置してある。このよなもの湾曲板を用いた場合に丸どり20羽を調理した時の汚れ具合について図38に示す。図35と図37を比較すると分かるように同一の湾曲板を放射状に配置した場合より、流れ方向の長さの異なる湾曲板を設けた方が、側面と背面のファンカバー周辺の汚れが減少している。すなわち、長さが異なる湾曲板を用いることで、捕集面積が増加すること、気流の整流効果の改善から油煙を分離効果が増加すること、中心からの距離が大きくなる外周部での湾曲板どうしの間を抜ける気流に対する捕集効果が働くことが確認できる。
次に湾曲板のさらに別の例について説明する。図39及び図40に示すように湾曲板間に流れ方向に沿ってボルテックスジェネレータとして概略酸化形状の突起を複数切り起こして設けてある。この突起により空気流中に渦を発生させて通過する空気流が前記湾曲板へと衝突して含まれている油滴が湾曲板に捕集されやすくしている。図40の左図では全体の4分の1の領域でのボルテックスジェネレータの位置を示す。中央の図は切り起こし位置を示す。右図は切り起こし部の平面寸法を示す。詳細寸法は風速、風路幅、湾曲板の螺旋曲線との関係で決まるが、加工性を考慮して図示のように決定してある。なお、図示の寸法に限定されることはない。
このようにボルテックスジェネレータが形成されたものであれば、図41に示されるようにさらに湾曲板における微小油滴等の捕集効果をさらに高めて、結果としてオーブン内壁4への油汚れの付着をさらに防ぐことができる。
図42にはボルテックスジェネレータの有無による汚れの捕集効果の違いについて示す。図42の左図ではボルテックスジェネレータが無く、支持板は平面の場合の実験例であり、右図はボルテックスジェネレータを設置した場合の実験例を示す。ボルテックスジェネレータを設置したほうが汚れを多く捕集できており、切り起こした三角板の裏側(風の下流側の面で写真では目視で確認できる面)にも汚れが付着していることから、渦流が発生したと考えられる。したがって、ボルテックスジェネレータの設置位置と設置数は最適化により変化、増減できることがわかる。
さらに前記実施例における湾曲板やその周囲に触媒コーティング層を形成して、ファンカバー内部に汚れが蓄積した場合に、加熱を伴う清浄運転モードにより、清浄できるようにした例について説明する。図43はボルテックスジェネレータと湾曲板からなる汚れ捕集部44を備えたオーブン装置100において、湾曲板とその周囲に触媒コーティング層を形成した未使用状態のものを示すものである。なお、触媒は、金属(Ag, Pt, Pd, Au, Cu, Ru, Ti, Ni)ならびにこれら金属元素を少なくとも1種類以上を含む物質としており、この例ではPt,を使用している。
図44には、丸どりを20羽調理した時点の状態を示し、図45には丸どり40羽を調理した際の状態を示す。各図から、触媒コーティング層があることにより、汚れの捕集効果が長期間にわたって低下せず、オーブン内壁4の清浄度が高まっていることが分かる。特に図44から触媒がない場合の20羽調理後の汚れよりも圧倒的に少ないことが確認できる。したがって、触媒コーティング層を設けることにより汚れの捕集能力を最低でも2倍以上向上させられることが分かる。なお、触媒コーティング層の作用を十分に発揮させるには、通常の調理温度帯である220℃においてはPtの含有が顕著な効果を示した。
次に触媒コーティング層を有した湾曲板等のクリーニング方法及びそのための構成について説明する。制御基板8は、触媒コーティング層を形成した加熱するためにヒータ機構5を動作させ、ファン61のON/OFFを制御する。その結果、触媒コーティング層を形成した部位の温度が250℃以上400℃以下の温度域まで加熱する。より具体的には制御基板8は、クリーニング時においてはファンのDutyを通常の調理時におけるファンのDutyよりも下げる機能を有している。触媒コーティング層での分解機能を発揮させるには、例えばON/OFF制御のサイクルは5秒〜60秒、ONのDutyは16%~20%にすればよい。なお、触媒としてPtを用いている場合の実験の結果、表4に示すように上記の条件では汚れ分解の効果が確認できた。
このようなものであれば、特別な清浄運転を必要としないため、使い勝手のよいものとすることができる。また、局所的に高い温度に設定できれば、前述の触媒材料、すなわち貴金属(Ag, Pt, Pd, Au, Cu, Ru, Ti, Ni)ならびにこれら金属元素を少なくとも1種類以上を含む場合、特にPtを含まなくても、通常の正常運転モードで清浄することができる。
次にAgを含み、助触媒としてMnO2を含む触媒と基材の金属部品の表面との間にPolysilazane系coating溶液から作製した厚さnm-orderのSiO2膜を有する場合で、400℃以下の温度帯で油汚れの分解が可能な例を示す。図46に示すように触媒表面と比較対象として琺瑯の表面の上に、固着した油汚れを作為的に生成した。また、図47に示すような温度プロファイルで収容空間1内の温度環境を実現し、その条件で油汚れの分解速度を比較した。図47は、収容空間1内の設定温度が350℃の場合を示す。ヒータ機構5のON/OFF制御により、高温で保持している際の温度変動は最小化して確認したが、変動があっても平均温度が同じであれば、結果に大きな差は生じないと予想される。
図48に設定温度が380℃の条件での実験結果を示す。分解率は重量測定での減少率で求めた。380℃の条件では、0.5時間(30分)で触媒表面上の汚れについては完全分解が可能である。光学顕微鏡で観察しても黒く固着した油汚れは確認できなかった。
図49に設定温度が350℃の条件での実験結果を示す。分解速度が低下した分、完全分解に2時間を要する。したがって、クリーニングモードにおいては収容空間1内の設定温度380℃にして、動作時間2時間以内でのクリーニングとすれば、従来と同等のクリーニングモードの時間長さで清浄できることが分かる。
次に本発明の第4実施形態の第6変形例について説明する。第6変形例では収容空間1内の全体を加熱するのではなく、触媒コーティング層が形成されている部分だけを加熱調理中において局所的に加熱し、汚れを分解するように構成してある。すなわち、電力消費が大きく、時間のかかるクリーニングモードを実行しなくてもオーブン内壁4の清浄度を長期にわたって保てるようにしてある。図50には実験として一部のみニクロム線により380℃に達するようにしてある。図50の左図に示されるように加熱されている部分には汚れが分化され清浄度が保たれることが分かる。したがって、第6変形例では例えば使用者の目に付く部分で汚れ捕集部44であり、触媒コーティング層が形成してある部分にはヒータを近接させて加熱調理時においても分解反応が生じるようにしてある。触媒コーティング層と触媒加熱用のヒータについては例えば、離間距離が1mm以下となるようにしてある。
次に本発明の第4実施形態の第7変形例について説明する。第7変形例では収容空間1内においてファン61により形成される空気流の流路中に比表面積が大きく、撥液性を備えない部材を配置してある。例えば図51に示すようにファン61の吸込み口にフィルタを配置して汚れ吸収部44としての機能を発揮するようにしてある。このようなものにフィルタに前述した触媒コーティング層を形成することによって、汚れ捕集部44に堆積した汚れを分解させ、長期間に亘ってコーティング膜43状に微小な油汚れが堆積する事が防げる。
なお、フィルタについては多孔質材であってもよく、触媒コーティング層については適宜選択すればよい。
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の組み合わせや、変形を行っても構わない。
100・・・オーブン装置
1 ・・・収容空間
2 ・・・筐体
3 ・・・扉
4 ・・・オーブン内壁
5 ・・・ヒータ機構
51 ・・・上部ヒータ
52 ・・・下部ヒータ
53 ・・・背面ヒータ
61 ・・・ファン
62 ・・・モータ
7 ・・・振動子
8 ・・・制御基板
9 ・・・断熱材

Claims (62)

  1. 被調理物が収容される収容空間を形成するオーブン内壁と、
    前記オーブン内壁上に成膜された所定の膜厚のコーティング膜と、を備え、
    前記コーティング膜が撥液性を有することを特徴とするオーブン装置。
  2. 前記コーティング膜が、その表面に水が接触した場合の接触角が100°以上の表面特性を有するものであり、
    前記コーティング膜の膜厚が0.2μm以上3μm以下であることを特徴とするオーブン装置。
  3. 前記コーティング膜の膜厚が0.2μm以上2μm以下である請求項1又は2記載のオーブン装置。
  4. 前記コーティング膜の膜厚が0.5μm以上1.5μm以下である請求項1又は2記載のオーブン装置。
  5. 前記コーティング膜が、撥水撥油性能と耐熱性能を有する有機無機ハイブリッド材料から構成されるコーティング材である請求項1乃至4いずれかに記載のオーブン装置。
  6. 前記コーティング膜が、シルセスキオキサンを骨格とする材料に、シリコーン系あるいはアルキル系の撥液材料を添加したコーティング材で形成されたものである請求項1乃至5いずれかに記載のオーブン装置。
  7. 前記コーティング膜が、その表面に油が接触した場合の接触角が40°以上となる表面特性を有する請求項1乃至6いずれかに記載のオーブン装置。
  8. 前記コーティング膜が、材料の固形成分であるコーティング材が溶媒を含めた総重量に対して5%以上28%以下の割合で調合されるものである請求項1乃至7いずれかに記載のオーブン装置。
  9. 前記コーティング膜が1層で形成されている請求項1乃至8いずれかに記載のオーブン装置。
  10. 前記コーティング膜が2層で形成されている請求項1乃至9いずれかに記載のオーブン装置。
  11. 前記コーティング膜が前記オーブン内壁の表面に塗布された状態において第1温度で加熱された後、前記第1温度よりも高い温度である第2温度で加熱されて硬化されたものである請求項1乃至10いずれかに記載のオーブン装置。
  12. 前記コーティング膜が、前記コーティング膜の第1層が硬化しきる前に当該第1層上に前記コーティング膜の第2層が塗布して硬化させたものである請求項1乃至11いずれかに記載のオーブン装置。
  13. 前記オーブン内壁が、鋼板上に琺瑯がコーティングされたものであり、
    前記コーティング膜が、前記琺瑯の表面に塗布された請求項1乃至12いずれかに記載のオーブン装置。
  14. 前記オーブン内壁が、鋼板で形成されており、
    前記コーティング膜が、前記鋼板の表面に塗布された請求項1乃至13いずれかに記載のオーブン装置。
  15. 前記コーティング膜が、前記収容空間内へ被調理物を出し入れするための扉に設けられたガラス窓の内面に塗布されている請求項1乃至14いずれかに記載のオーブン装置。
  16. 被調理物が収容される収容空間を形成するオーブン内壁に成膜されるコーティング膜であって、
    前記コーティング膜が、撥液性を有し、その表面に水が接触した場合の接触角が100°以上の表面特性を有するものであり、
    前記コーティング膜の膜厚が0.2μm以上3μm以下であることを特徴とするオーブン装置用コーティング膜。
  17. オーブン装置のコーティング膜を成膜するための方法であって、
    前記コーティング膜の第1層が硬化しきる前に当該第1層上に前記コーティング膜の第2層が塗布して硬化させることを特徴とするコーティング膜成膜方法。
  18. 被調理物が収容される収容空間を成膜するオーブン内壁にコーティング膜を成膜する方法であって、
    シルセスキオサンを骨格とする材料にシリコーン系又はアルキル系の撥液材料を添加したコーティング材を溶媒で溶かした溶液をスプレーコーティングにより前記オーブン内壁に塗布することを特徴とするコーティング膜成膜方法。
  19. 前記溶液の総重量に対して前記コーティング材が5%以上20%以下で調合されている請求項18記載のコーティング膜成膜方法。
  20. 前記溶液をスプレーガンにより噴霧する際にその噴霧先を移動させながら噴霧し、
    前記オーブン内壁に対して前記噴霧先が2回又は3回通過するように前記溶液を塗布する請求項18又は19記載のコーティング膜成膜方法。
  21. 前記溶液を琺瑯、ガラス、又は、鋼板の表面上に塗布する請求項18乃至20いずれかに記載のコーティング膜成膜方法。
  22. 前記溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、酢酸ブチル、PEGMEA、酢酸エチルのいずれかである請求項18乃至21いずれかに記載のコーティング膜成膜方法。
  23. 請求項18乃至22いずれかに記載のコーティング膜成膜方法で成膜されたコーティング膜。
  24. 請求項23記載のコーティング膜がオーブン内壁に成膜されたオーブン装置。
  25. 前記オーブン内壁を少なくとも上下方向に振動させる振動子と、
    前記振動子を所定の振幅域及び所定の周波数域で振動するように制御する制御部と、をさらに備えており、
    前記所定の周波数域が、前記オーブン内壁に付着する液滴の大きさに応じて定まる液滴の共振周波数を含むように設定されていることを特徴とする請求項1乃至15いずれかに記載のオーブン装置。
  26. 前記所定の周波数域が、20Hz以上220Hz以下となるように設定されている請求項25記載のオーブン装置。
  27. 前記所定の振幅域が、10μm以上100μm以下に設定されている請求項25又は26記載のオーブン装置。
  28. 前記収容空間内を加熱するヒータ機構をさらに備え、
    前記制御部が、前記収容空間又は前記オーブン内壁を60℃以上350℃以下に保つように前記ヒータ機構を制御している状態においてさらに前記オーブン内壁を振動させるように前記振動子を制御するように構成されている請求項25乃至27いずれかに記載のオーブン装置。
  29. 前記制御部が、前記振動子に前記オーブン内壁を10秒以上60秒以内で継続して振動させるように構成されている請求項25乃至28いずれかに記載のオーブン装置。
  30. 前記制御部が、前記振動子の振動の周波数を毎秒10Hz以下で変化させて前記所定の周波数域内を掃引させるように構成されている請求項25乃至29いずれかに記載のオーブン装置。
  31. 前記制御部が、前記収容空間内の被調理物を前記ヒータ機構に加熱させる調理モードと、前記調理モード終了後に前記振動子に前記オーブン内壁を振動させるクリーニングモードと、を実行するように構成されている請求項25乃至30いずれかに記載のオーブン装置。
  32. 前記収容空間内を加熱するヒータ機構と、
    前記収容空間内に空気流を発生させるファンと、
    前記ヒータ機構、及び、前記ファンを制御する制御部と、をさらに備え、
    前記制御部が、前記オーブン内壁に付着した汚れを落とすためのクリーニングモードにおいて前記オーブン内壁の温度が350℃以上400℃以下の状態を所定維持時間以上継続させるように前記ヒータ機構を駆動させながら同時に前記ファンを駆動するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至15いずれかに記載のオーブン装置。
  33. 前記所定維持時間が1時間以上に設定されている請求項32記載のオーブン装置。
  34. 前記制御部が、前記オーブン内壁のうち立設面における温度分布のばらつきが15℃以内に収まるように前記ヒータ機構及び前記ファンを制御するよう構成されている請求項32又は33記載のオーブン装置。
  35. 前記ヒータ機構が、前記収容空間の上部を加熱する上部ヒータと、前記収容空間の下部を加熱する下部ヒータと、前記収容空間の背面部を加熱する背面ヒータとを備え、
    前記ファンが前記収容空間内において背面側に設けられている請求項32乃至34いずれかに記載のオーブン装置。
  36. 前記制御部が、前記所定維持時間内における前記ファンの稼働率を50%以上となるように駆動するとともに、前記所定維持時間内における前記背面ヒータの稼働率を30%以上80%以下、前記上部ヒータ及び前記下部ヒータの稼働率が40%以下となるように駆動するよう構成されている請求項35に記載のオーブン装置。
  37. 前記制御部が、前記上部ヒータ及び前記下部ヒータを交互に駆動するように構成されている請求項35又は36記載のオーブン装置。
  38. 前記制御部が、前記上部ヒータ及び前記下部ヒータの1回当たりのON状態を10秒以上40秒以内となるように駆動する請求項37記載のオーブン装置。
  39. 前記ファンにより形成される空気流が前記オーブン内壁の立設面から1cm離間した位置で1m/s以上である請求項32乃至38いずれかに記載のオーブン装置。
  40. 被調理物が収容される収容空間を形成するオーブン内壁と、
    前記収容空間内に配置されたメインヒータと、
    前記収容空間内において前記メインヒータとは別の場所に配置されており、前記収容空間内に熱風の循環を形成するファンと、
    前記オーブン内壁上に成膜された所定の膜厚の撥液性を有するコーティング膜と、を備え、
    前記ファンにより形成される熱風の循環が衝突するオープン内壁の部位が前記コーティング膜と比較して撥液性が小さい表面により汚れ捕集部を形成していることを特徴とするオーブン装置。
  41. 前記汚れ捕集部が、前記収容空間内において脱着可能な部材に形成されている請求項40記載のオーブン装置。
  42. 前記汚れ捕集部が、前記収容空間内へ被調理物を出し入れするための扉の内壁面に形成されている請求項40記載のオーブン装置。
  43. 前記汚れ捕集部が、前記収容空間内へ被調理物を出し入れするための扉の窓部分に形成されている請求項40又は42記載のオーブン装置。
  44. 前記コーティング膜の表面エネルギーが20mJ/m以下である請求項40乃至43いずれかに記載のオーブン装置。
  45. 前記汚れ捕集部の表面エネルギーが25mJ/m以上である請求項40乃至44いずれかに記載のオーブン装置。
  46. 前記コーティング膜の表面エネルギーと前記汚れ集中部の表面エネルギーの差が5mJ/m以上である請求項40乃至45いずれかに記載のオーブン装置。
  47. 前記汚れ捕集部が、金属板で形成されており、前記オーブン内壁に対して着脱可能に構成されている請求項40乃至46いずれかに記載のオーブン装置。
  48. 前記金属板が、SUS430、メッキ処理をした鋼板、琺瑯処理した鋼板のいずれかで形成され、磁石で着脱可能に構成されている請求項47記載のオーブン装置。
  49. 前記金属板が、前記収容空間内で立設しており、捕集された液状の汚れが自重で下方へ流れ、前記収容空間内において着脱可能に設けられた廃液だまりに集まるように構成された請求項47又は48記載のオーブン装置。
  50. 前記汚れ捕集部が、触媒コーティング層を有しており、
    前記触媒コーティング層が、
    Ag, Pt, Pd, Au, Cu, Ru, Ti, Niのいずれか又はこれら金属元素を少なくとも1種類以上を含む化合物を触媒として含んでおり、
    MnO2, CeO2, Al2O3, Bi2O3, SnO, TiO2, Cr2O3, Co2O3, Fe2O3, CuO, ZrO2, SrO, LaO, V2O5, Li2O, ZnO, MgO, NiO, CuO, BaOのいずれか又はこれらの金属酸化物を1種類以上含む化合物を助触媒または担持材料として含む請求項40乃至49いずれかに記載のオーブン装置。
  51. 前記触媒コーティング層と、母材である金属板との間にアンダーコート層が形成されており、
    前記アンダーコート層が、Silane剤、Vinyl-Siloxane, Ethoxy-Alumina phosphateおよびAlkyl-Aryl Siloxaneを含む低分子系Silane コーティング剤、又は、PerHydro-Polysilazane(PHPS)又はOrgano-Polysilazane(OPSZ)を主成分とするPolysilazane系コーティング溶液から作製したnm-orderの所定厚さのSiO2膜を有することを特徴とする請求項50記載のオーブン装置。
  52. 前記メインヒータを含むヒータ機構、前記ファンを制御して、制御部をさらに備え、
    前記制御部が、前記触媒コーティング層に堆積した汚れを分解するために前記触媒コーティング層の温度が250℃以上400℃以下の温度域となるように制御すること請求項51記載のオーブン装置。
  53. 前記ヒータ機構が、前記触媒コーティング層を加熱する触媒加熱ヒータをさらに含み、
    前記制御部が、前記触媒加熱ヒータと前記ファンをON/OFF制御することで前記触媒コーティング層を前記温度域まで加熱するように構成されている請求項52記載のオーブン装置。
  54. 前記制御部が前記ファンのONデューティーを16%以上20%以下となるように制御する請求項53記載のオーブン装置。
  55. 前記触媒コーティング層と前記触媒加熱ヒータとの間の距離が1mm以下に設定されている請求項53又は54記載のオーブン装置。
  56. 前記触媒加熱ヒータの動作が通常の調理時に実施されるように構成されている請求項53乃至55のイいずれかに記載のオーブン装置。
  57. 前記汚れ捕集部が、前記ファンの外周方向に対して凸となり、当該ファンの周囲に設けられた前記オーブン内壁に対して立設する湾曲板であり、
    前記ファンから吐出される空気流を前記湾曲板に沿わせて遠心方向から接線方向に次第に偏向させるように構成された請求項40乃至56のいずれかに記載のオーブン装置。
  58. 前記湾曲板が前記ファンの周囲に複数放射状に配置されている請求項57記載のオーブン装置。
  59. 前記湾曲板が、前記ファンを中心とする螺旋曲線に沿って形成されている請求項57記載のオーブン装置。
  60. 複数の前記湾曲板の少なくとも一部が、流れ方向長さが異なっている請求項57記載のオーブン装置。
  61. 前記湾曲板が設けられているオーブン内壁を形成する背面板において、循環風の流れ方向に凸形状を有するボルテックスジェネレータが形成された請求項57記載のオーブン装置。
  62. 前記汚れ捕集部が、前記ファンによる熱風循環の流路中に設けられた多孔質材又は繊維材で形成されたフィルタである請求項40乃至61記載のオーブン装置。
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