(発明に至る知見)
高齢化社会において、認知症高齢者の問題が顕在化すると想定される。特に、最近、認知症高齢者が運転する車が高速道路を逆走したり歩道を走行したりすること等に伴う事故が報道でも盛んに取り上げられ、認知症に関連するテレビ番組が頻繁に放映されている。
認知症には、軽度から重度まで様々なレベルがある。認知症になる前の軽度認知障害の段階で異変が発見された場合、運動トレーニングなどによって認知症の発症が抑えられる可能性がある。そのため、軽度認知障害の段階で異変を早期に発見することが注目されている。異変を早期に発見する方法として、対象者自身が異変に気づく方法、及び、対象者の周囲の人が異変に気づく方法がある。
更に、対象者の周囲の人が異変に気づく方法には、対象者の周囲の人が対象者の話し方の異変に気づく方法、及び、対象者の周囲の人が対象者の生活行動の異変に気づく方法がある。ここでは、特に、対象者の周囲の人が対象者の生活行動の異変に気づく方法を説明する。
対象者が認知症になれば、対象者の生活行動において、もの忘れが増加する。これは、対象者が認知症になれば、対象者の脳において情報を短期記憶から長期記憶に転換させる場所である海馬の働きが低下すること、又は、「ワーキングメモリ」の機能が低下することが原因であると推定される。ワーキングメモリは、例えば、情報を処理するための一時的な記憶に相当する。最近の研究において、認知症における記憶障害は、ワーキングメモリの障害に起因すると推定されている。
そのため、対象者が認知症になれば、対象者の生活行動において、入浴忘れ、水道栓の閉め忘れ、及び、電気機器の消し忘れ等のような、いわゆる「し忘れ」が、症状として発生すると想定される。例えば、対象者が認知症になれば、対象者がテレビ及び照明器具等のような電気機器を消し忘れて(つまり、電気機器の電源を切り忘れて)入眠する可能性が高くなるかもしれない。
実際に、高齢者施設に入居している認知症高齢者に対する介護記録を調査した結果、認知症高齢者がテレビを消し忘れて入眠する事象が2ヶ月強の間に2回程度発生している。一方、正常な高齢者がテレビを消し忘れて入眠する事象は発生していない。
生活行動において「し忘れ」と意図的な行動とを区別することは容易ではないが、睡眠中において使用されないテレビ等の電気機器が睡眠中に電源オン状態である事象は電気機器の消し忘れと想定される。つまり、対象者の睡眠状態と電気機器の電源オン状態とに基づいて、「し忘れ」を検知することが可能かもしれない。
ただし、対象者が認知症でなくても、「し忘れ」が発生する可能性がある。従って、一回の「し忘れ」で、対象者が認知症であると判定することは適切ではない。対象者が認知症であれば、「し忘れ」が繰り返されると想定される。
以上の知見等により、「し忘れ」の頻度に基づいて、軽度認知症等の発症の可能性を示す認知症情報を出力し得る認知症情報出力システムに係る技術思想が創出された。以下、その認知症情報出力システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
ここで示す実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序等は、一例であって本発明を限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意に付加可能な構成要素である。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施形態に係る認知症情報出力システム10について説明する。
(構成)
認知症情報出力システム10は、高齢者又は被介護者等の対象者(ユーザ)が軽度認知症等を発症しているか否かを判定し、ユーザが軽度認知症等を発生している可能性(軽度認知症等を発症しているか否か等)を示す認知症情報を出力するシステムである。例えば、認知症情報出力システム10は、ユーザが電気機器を消し忘れる頻度に基づいて、ユーザが軽度認知症等を発症しているか否かを判定する。
図1は、実施の形態1に係る認知症情報出力システム10の一例を示す概略構成図である。同図に示すように、認知症情報出力システム10は、認知症判定装置100a〜100c及び報知装置200を含んで構成される。ここでは便宜上、3つの認知症判定装置100a〜100cを示したが、認知症情報出力システム10は、1つ以上の任意の数の認知症判定装置を備え得る。
図1では、介護老人福祉施設又は介護療養型医療施設等といった介護保健施設(介護保険施設)20に適用した認知症情報出力システム10を例示している。認知症情報出力システム10では、介護保健施設20の介護居室22a〜22cで生活する各ユーザA〜Cについて、認知症判定装置100a〜100cにより軽度認知症等の発症に係る判定がなされて判定結果等を示す認知症情報が報知装置200へと送られる。
報知装置200は、例えば介護福祉士等の介護者、或いは、看護師、医師等が主に所在する管理室21に設置される。介護者等は報知装置200により、各介護居室22a〜22cで生活する各ユーザA〜Cについての認知症情報(そのユーザが軽度認知症等を発症している可能性に関する情報)を容易に知ることができ、適切に必要な措置等を行い得る。
介護居室22aは、ベッド23a及びテレビ24a等を備え、ユーザAが生活する部屋であり、介護居室22aに認知症判定装置100aが設置されている。同様に、介護居室22b、22cは、ベッド23b、23c、テレビ24b、24c、及び、認知症判定装置100b、100c等を備え、それぞれユーザB、Cが生活する部屋である。
認知症判定装置100aは、ユーザAがテレビ24aを消し忘れる頻度に基づいてユーザAが軽度認知症等であるか否か等を判定して判定結果を含む認知症情報を送信する機能を有する情報処理装置(コンピュータ)である。認知症判定装置100aは、体動センサ101、メモリ102、通信インタフェース(通信I/F)103及びプロセッサ(マイクロプロセッサ)104を備える。
ここでは、主にユーザAの介護居室22aに設置された認知症判定装置100aに着目して説明するが、認知症判定装置100b、100cも、認知症判定装置100aと同様の構成を備える。
体動センサ101は、ユーザAの体動を検知するためのセンサである。体動センサ101は、ベッド23aに居るユーザAの体動を検知することができれば、いかなるセンサであってもよい。
例えば、体動センサ101は、人体の動きを測定するために電波(例えばマイクロ波等)を発信(送信)して反射波を受信する送受信回路を含む電波センサである。体動センサ101は、ユーザAの体動を測定するため、ベッド23a(例えばマットレスの下層に位置するボトムの一部等)、或いは、介護居室22aにおけるベッド23aの上方の天井部分等に設置されてもよい。
また、体動センサ101は、ベッド23aの枕元に載置され、ベッド23aの振動を検知することにより、ユーザAの体動を検知してもよい。また、体動センサ101は、ユーザAによって携帯され、ユーザAの体動に伴う振動を検知することにより、ユーザAの体動を検知してもよい。また、体動センサ101は、介護居室22aに設置されるカメラを含んでいてもよい。そして、体動センサ101は、カメラから得られる映像に基づいて、ユーザAの体動を検知してもよい。
また、体動センサ101は、更に、ユーザAがベッド23aに居ることを検知してもよい。体動センサ101は、ユーザAがベッド23aに居ることを検知するための人感センサを含んでいてもよい。
メモリ102は、プログラム及びデータを予め保持しているROM(Read Only Memory)、プログラムの実行に際してデータ等の記憶に利用するためのRAM(Random Access Memory)等である。メモリ102は、例えば不揮発性メモリを含んでいてもよい。
通信I/F103は、報知装置200と通信するための通信回路である。認知症判定装置100aと報知装置200との通信は、無線通信であっても有線通信であってもよい。
プロセッサ104は、メモリ102に格納された制御プログラムを実行することにより通信I/F103等を制御する処理を行う。なお、認知症判定装置100aは、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを含んでもよく、そのディスプレイに認知症情報を表示することとしてもよい。
管理室21に設置された報知装置200は、通信I/F及びディスプレイを備えるモニター装置であり、例えばメモリ及びプロセッサを備えるコンピュータ端末であってもよい。
図2は、本実施の形態に係る認知症情報出力システム10における認知症判定装置100aの機能ブロック図である。認知症判定装置100aは、ユーザAが生活する介護居室22aに設置されている。なお、同図には、介護居室22aに設置された電気機器(テレビ)24a、及び、管理室21に設置された報知装置200の機能構成についても付記している。
図1に示されたハードウェア構成を備える認知症判定装置100aは、ユーザAが電気機器(テレビ)24aを消し忘れる頻度に基づいて認知症情報を出力する機能を実現する。そのため、認知症判定装置100aは、機能構成要素として図2に示すように測定部110、取得部120、判別部170、判定部140及び出力部160を備える。なお、認知症判定装置100aの各機能構成要素における主な処理内容と、取り扱われる情報(データ)とを図3に示す。
測定部110は、体動センサ101、及び、制御プログラムを実行するプロセッサ104等により実現され、体動センサ101を用いてユーザAの体動を測定する機能を有する。例えば体動センサ101が電波センサである場合において、測定部110は、ユーザAの体動を、電波センサから発信された電波に係る送信信号の波形と反射波に係る受信信号の波形とから特定することで、体動の測定結果を得る。
ドップラーの原理に基づく周知技術により、送信信号の波形と受信信号の波形との差分から、送信信号に係る電波を反射した人体等の動く速度に比例した周波数(ドップラー周波数)が得られ、また、ドップラー周波数の波形の振幅が得られる。例えば、電波センサを用いて得られたドップラー周波数が、人体の動きのうち、微振動(呼吸、心拍等)と体動とを区別する閾値(例えば2Hz)を超える場合における波形の振幅に応じて、体動の測定結果(体動量)を特定することが可能となる。
測定部110では、例えば、体動センサ101を用いて、1分毎に、体動の大きさを0(体動なし等の最小値)から9(最大値)までの10段階の値に区別した、体動の測定結果(体動量)を特定し得る。なお、測定部110は、体動センサ101を備えていなくてもよく、測定部110の外部の体動センサ101から得られる情報に基づいて、体動を測定してもよい。更に、測定部110は、体動センサ101から得られる情報に基づいて、ユーザAがベッド23aに居ることを検知してもよい。
取得部120は、制御プログラムを実行するプロセッサ104等により実現され、ユーザAの睡眠時間帯における体動の測定結果を取得する機能を有する。取得部120は、ユーザAの睡眠時間帯を、測定部110により得たユーザAの体動の測定結果に基づいて特定する。睡眠時間帯は、概ね睡眠中の時間帯であり、睡眠時を含み、一時的な非睡眠時(夜間に一時的に目覚めた状態等)を含んでもよい。
睡眠時間帯の特定方法の一例は、入眠時と起床時とをユーザAの体動の測定結果から推定して、入眠時から起床時までを睡眠時間帯として特定する方法である。例えば、取得部120は、1分毎のユーザAの体動の測定結果(体動量)の値が0である状態が一定期間(例えば数十分間等)連続したこと等により入眠時を推定する。また、取得部120は、入眠時の後において、1分毎の体動の測定結果の値が所定値(例えば1)より大きい状態が一定期間(例えば数十分間)連続したこと等により起床時を推定する。
図4に、体動の測定結果(体動量)の時間的変化を例示する。同図に模式的に示す体動量の変化の例においては、例えば23時が入眠時と推定され、例えば5時が起床時と推定される。これにより、この日のユーザAの睡眠時間帯は23時から5時までと特定される。このように体動の測定結果に基づいて睡眠時間帯を特定することは、睡眠時間帯におけるユーザAの体動の測定結果を用いた軽度認知症等の判定の精度を高めるために有用である。
体動の測定結果に対して、その他のアルゴリズムを適用することで、入眠時及び起床時が推定されてもよい。また、入眠時の推定に夜間であることを条件とし、起床時の推定に午前中であることを条件とする等の方法が用いられてもよい。
また、取得部120は、ユーザAがベッド23aに居ることを条件として睡眠時間帯を特定してもよい。そのため、取得部120は、ユーザAがベッド23aに居るか否かを示す情報を測定部110から取得してもよい。なお、ユーザAがベッド23aで生活している場合には、基本的にユーザAがベッド23aに居ると想定されるため、ユーザAがベッド23aに居ることは特に確認されなくてもよい。
また、例えば、取得部120は、睡眠時間帯を日毎に特定する。なお、ここで、日は、24時間の単位期間に相当し、必ずしも午前0時で区切られなくてもよく、例えば正午で区切られてもよい。また、取得部120は、睡眠時間帯の特定処理を必ずしも日々実行しなくてもよい。例えば、取得部120は、一週間分の測定結果を取得し、その測定結果に基づいて、一週間における日毎の睡眠時間帯を特定することにより、一週間分の睡眠時間帯の特定処理を週に一回実行してもよい。
判別部170は、メモリ102、通信I/F103、及び、制御プログラムを実行するプロセッサ104等により実現される。判別部170は、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを判別してその判別結果を時刻と対応付けて保持するオンオフ判別機能を有する。電源オン状態は、テレビ24aの電源が切られていない状態であり、具体的には消費電力が所定値(例えばゼロ、略ゼロの値、或いは、待機電力の値等)より大きい状態である。テレビ24aの電源を切るとテレビ24aは電源オフ状態になる。
判別部170は、この判別を、例えば、テレビ24aが電源オン状態になった直後及び電源オフ状態になる直前に、テレビ24aが電源オフ状態になる旨或いは電源オン状態になる旨を示す信号をテレビ24aから取得することで行うことができる。
また、判別部170は、テレビ24aが接続されている分電盤の分岐回路等に設けた電流センサから検出した電流を示す信号を取得することにより、テレビ24aの消費電力を算定してもよい。この場合には判別部170は、算定した消費電力がゼロ或いは所定の待機電力(例えば数W)以下であれば電源オフ状態であり、それ以外であれば電源オン状態であると判別し得る。
判定部140は、メモリ102、及び、制御プログラムを実行するプロセッサ104等により実現される。判定部140は、取得部120で特定された睡眠時間帯に電気機器(テレビ)24aが電源オン状態であると判別部170で判別される日の発生頻度である消し忘れ頻度を評価して軽度認知症等の発症を判定する軽度認知症等発症判定機能を有する。つまり、判定部140は、睡眠時間帯に電気機器24aが電源オン状態である日の発生頻度に相当する消し忘れ頻度に基づいて、軽度認知症等の発症の可能性を判定する。
例えば、判定部140は、取得部120で特定された睡眠時間帯に電気機器24aが電源オン状態であると判別部170で判別される日を消し忘れ日として判定してもよい。そして、消し忘れ頻度は、消し忘れ日として判定された日の発生頻度でもよい。
また、判定部140は、睡眠時間帯の全体に亘って電気機器24aが電源オン状態である日の発生頻度を消し忘れ頻度として評価してもよい。或いは、判定部140は、睡眠時間帯における1時点(例えば入眠時)において電気機器24aが電源オン状態である日の発生頻度を消し忘れ頻度として評価してもよい。
つまり、判定部140は、睡眠時間帯の全体に亘って電気機器24aが電源オン状態である日を消し忘れ日として評価してもよい。或いは、判定部140は、睡眠時間帯における1時点(例えば入眠時)において電気機器24aが電源オン状態である日を消し忘れ日として評価してもよい。
判定部140は、消し忘れ頻度を評価するため、睡眠時間帯に電気機器24aが電源オン状態であるか否かを日毎に判定し、判定結果をメモリ102等に記憶させることにより保持してもよい。
そして、例えば、判定部140は、消し忘れ頻度が所定基準頻度を超える場合に、ユーザAが軽度認知症等を発症していると判定する。所定基準頻度は、例えば、1週間のうち2日の頻度、1週間以上の期間において10%の頻度、或いは、2日連続する頻度(つまり2日以上の期間において100%の頻度)等である。消し忘れ頻度は、例えば、1週間より長い一定期間Tにおける発生頻度である。軽度認知症等であるか否かをより精度良く判定するためには、一定期間Tが長期(例えば3ヵ月等)であることが有用となる。
出力部160は、制御プログラムを実行するプロセッサ104、及び、通信I/F103等により実現される。出力部160は、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性を示す認知症情報を出力する機能を有する。
この認知症情報は、判定部140によりユーザAが軽度認知症等を発症していると判定された場合にはユーザAが軽度認知症等を発症している旨を示す。この他に、出力部160は、認知症情報に、過去一定期間における消し忘れ頻度を示す情報、消し忘れの発生日を示す情報、及び、消し忘れ頻度の推移を示す情報等を含めてもよい。
なお、判定部140によりユーザAが軽度認知症等を発症していると判定されない場合に、出力部160は認知症情報を出力しないこととしてもよい。また、判定部140によりユーザAが軽度認知症等を発症していると判定されない場合に、出力部160は、過去一定期間における消し忘れ頻度等(軽度認知症等の疑いを示す度合い等)についての指標値(例えば単位は%)を含む認知症情報を出力してもよい。
例えば、出力部160は、認知症情報を報知装置200に送信することにより認知症情報の出力を行う。報知装置200では、通信部210により受信した認知症情報に基づいて、出力部220により、認知症情報をディスプレイ等に表示する。また、認知症判定装置100aがディスプレイを備える場合においては認知症判定装置100aの出力部160は、そのディスプレイに認知症情報を表示することにより、出力し得る。
(動作)
以下、上述の構成を備える認知症情報出力システム10における認知症判定装置100aの動作について説明する。
図5は、本実施の形態に係る認知症判定装置100aにおける認知症情報出力処理を示すフローチャートである。以下、同図に即して認知症情報出力処理を説明する。
認知症判定装置100aは、体動センサ101を用いて測定部110によりユーザAの体動を測定する(ステップS11)。そして、認知症判定装置100aは、取得部120で体動の測定結果(体動量)を取得し睡眠時間帯を日毎に特定する(ステップS12)。認知症判定装置100aの判別部170は、電気機器24aが電源オン状態であるか否かを時刻毎に判別する(ステップS13)。
そして、認知症判定装置100aの判定部140は、過去一定期間における消し忘れ頻度が閾値(所定基準頻度)を超えるか否かを判別する(ステップS14)。消し忘れ頻度は、ステップS12で特定された睡眠時間帯に電気機器24aが電源オン状態であるとステップS13で判別される日の発生頻度である。過去一定期間は、例えば1週間等である。過去一定期間は、最初に電気機器24aを消し忘れた日から現在まででもよい。
ステップS14において、消し忘れ頻度が所定基準頻度を超える場合には、判定部140は、ユーザAが軽度認知症等を発症していると判定する(ステップS15)。判定部140は、消し忘れ頻度を判定に用いることで、例えば、認知症とは無関係に不注意によって消し忘れが発生した場合に軽度認知症等と誤判定する可能性を低減し得る。運用においては、この誤判定を抑制する観点で適切な所定基準頻度を定めておくことが有用となる。
ステップS15での判定結果に基づいて、出力部160は、ユーザAが軽度認知症等を発症している旨を含む認知症情報の出力(報知装置200への送信等)を行う(ステップS16)。ステップS14において、消し忘れ頻度が所定基準頻度を超えない場合には、出力部160は、認知症情報を出力しなくてもよいし、ユーザAが軽度認知症等を発症している旨を示さない認知症情報を出力してもよい。
ステップS16の処理の後、或いは、ステップS14で消し忘れ頻度が所定基準頻度を超えないと判別した場合には、認知症判定装置100aは、ステップS11での処理に戻る。例えば、ステップS11の処理は、1日毎に行われる。また、例えば、ステップS11の処理は、随時行われ、ステップS12以降の処理は、一週間分まとめて行われてもよい。
このような認知症情報出力処理により、ユーザAが入眠時等において電気機器(テレビ等)の電源を切り忘れているような場合において、そのことに基づく認知症情報が報知装置200のディスプレイに表示されるようになる。
認知症判定装置100b、100cも上述の認知症判定装置100aと同様の動作を行うので、ユーザA〜Cが軽度認知症等を発症した場合にその旨の情報が、管理室21に設置された報知装置200のディスプレイに表示されるようになる。
(具体例)
本具体例では、実施の形態1のより詳細な例を示す。本具体例における認知症情報出力システム10は、消し忘れ頻度の評価において体動量等に関連する状態遷移を用いる。また、本具体例における認知症情報出力システム10は、消し忘れ頻度を評価するため、電気機器(テレビ等)の操作情報を用いる。
なお、本具体例における認知症情報出力システム10は、ここで示さない点について、本具体例の前に実施の形態1の本論で示した認知症情報出力システム10と同様である。また、本具体例では、特に介護居室22aにおける構成要素が示されているが、介護居室22b、22cにおける構成要素も、介護居室22aにおける構成要素と同様である。
図6は、本具体例に係る各種センサ等を示す概念図である。図6には、ユーザA、介護居室22a、ベッド23a、テレビ24a、認知症判定装置100a、体動センサ101、電力センサ105、赤外線センサ106、及び、リモコン107が示されている。本具体例では、認知症判定装置100aの外部に体動センサ101が設置されている。また、本具体例では、電力センサ105、赤外線センサ106及びリモコン107が用いられる。
認知症判定装置100aの取得部120及び判別部170等は、体動センサ101、電力センサ105及び赤外線センサ106から有線又は無線の通信によって検知結果を取得する。また、認知症判定装置100aは、検知結果に基づいて、軽度認知症等の発症の可能性を示す認知症情報を管理室21における報知装置200へ出力する。認知症判定装置100aは、検知結果を報知装置200へ出力してもよい。
体動センサ101は、実施の形態1の本論で示したように、電波、振動または映像等に基づいて体動を検知する。認知症判定装置100aの測定部110は、体動センサ101によって体動を測定し、認知症判定装置100aの取得部120は、体動の測定結果を取得する。
電力センサ105は、電力を検知するセンサである。例えば、電力センサ105は、テレビ24aに電力を供給する電力線に取り付けられ、テレビ24aの消費電力を検知する。電力センサ105は、テレビ24aの内部に取り付けられていてもよい。認知症判定装置100aの判別部170は、電力センサ105によって、テレビ24aの消費電力を示す電力情報を取得する。より具体的には、電力情報は、テレビ24aの消費電力の大きさを示す。
例えば、電力センサ105は、検知された消費電力を測定することにより、検知された消費電力を定量化する。そして、認知症判定装置100aの判別部170は、電力センサ105によって定量化された消費電力を示す情報をテレビ24aの消費電力を示す電力情報として取得する。
赤外線センサ106は、赤外線を検知するセンサである。具体的には、赤外線センサ106は、テレビ24aの付近に設置される。赤外線センサ106は、テレビ24aの内部に設置されていてもよい。そして、赤外線センサ106は、赤外線を検知することによって、リモコン107から赤外線によって送信されたリモコン信号を検知する。リモコン信号は、テレビ24aに対する操作を示す。認知症判定装置100aの判別部170は、赤外線センサ106を用いて、テレビ24aに対する操作を示す操作情報を取得する。
操作情報は、リモコン信号とは異なっていてもよい。例えば、リモコン信号は赤外線で操作を示すが、操作情報は電気的に操作を示す。また、リモコン信号が、操作情報に含まれない付加的な内容を含んでいてもよいし、操作情報が、リモコン信号に含まれていない付加的な内容を含んでいてもよい。
認知症判定装置100aの判別部170は、テレビ24aの消費電力を示す電力情報、及び、テレビ24aに対する操作を示す操作情報を取得し、取得された電力情報及び操作情報に基づいて、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを判別する。
例えば、テレビ24aは、オフにされても、待機電力を消費する場合がある。また、夜間の放送終了後においてテレビ24aがオンにされていても、テレビ24aに何も映らないため、消費電力が低下する場合がある。そして、オフにされたテレビ24aの消費電力があまり小さくない場合、または、オンにされたテレビ24aの消費電力があまり大きくない場合、電力情報のみに基づいて、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを適切に判別することは容易ではない。
また、例えば、リモコン107に含まれる単一のボタンが押下されることで発信される同じリモコン信号によって、テレビ24aのオンとオフとが切り替えられる場合がある。つまり、テレビ24aをオフにするためのリモコン信号と、テレビ24aをオンにするためのリモコン信号とが、同じ内容を示す場合がある。このようなリモコン信号に基づく操作情報のみに基づいて、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを適切に判別することは容易ではない。
したがって、判別部170は、電力情報及び操作情報の両方に基づいて、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを判別する。これにより、判別部170は、より適切に、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを判別することができる。
リモコン107は、テレビ24aの遠隔操作を行うためのリモートコントローラである。リモコン107は、テレビ24aに対する操作を示すリモコン信号を赤外線で送信する。言い換えれば、リモコン107は、テレビ24aに対する操作を赤外線で示すリモコン信号を送信する。リモコン107は、テレビ24a(電気機器24a)に対する操作装置とも表現され得る。
図7は、図6に示された体動センサ101、電力センサ105及び赤外線センサ106によって得られる値の時間変化を例示するグラフである。具体的には、電力センサ105によって得られる体動量、電力センサ105によって得られる消費電力、及び、赤外線センサ106によって得られるリモコン信号を示している。体動量、消費電力及びリモコン信号のそれぞれの状態値は、時間によって変化する。
この例では、体動量が比較的大きい期間と、体動量が比較的小さい期間と、体動量が実質的に0である期間とが存在する。体動量が比較的大きい期間において、ユーザAが活動していると推定される。また、体動量が比較的小さい期間において、ユーザAが睡眠していると推定される。さらに、体動センサ101によって得られる体動量が実質的に0である期間において、ユーザAが介護居室22aから外出していると推定される。
また、この例では、消費電力が比較的大きい期間と、消費電力が比較的小さい期間とが存在する。消費電力が比較的大きい期間において、テレビ24aの状態が電源オン状態であると推定される。また、消費電力が比較的小さい期間において、テレビ24aの状態が電源オフ状態であると推定される。
また、この例では、複数の時点において、リモコン107から送信されたリモコン信号が検知される。すなわち、複数の時点において、リモコン信号が有ることが検知される。図7におけるリモコン信号は、特に、テレビ24aをオンまたはオフに切り替えるための信号である。リモコン信号が有る時点において、テレビ24aの状態が、電源オン状態から電源オフ状態へ、又は、電源オフ状態から電源オン状態へ、遷移すると推定される。
認知症判定装置100aの判定部140又は判別部170は、上記の複数の推定を行ってもよい。特に、判別部170は、消費電力とリモコン信号との組み合わせによって、テレビ24aが電源オン状態であるか否かをより適切に推定することができる。
例えば、判定部140は、3:00〜3:30において、ユーザAが活動していると推定し、判別部170は、この期間において、テレビ24aが電源オン状態であると推定する。そして、判定部140は、この期間において、ユーザAが活動しており、かつ、テレビ24aが電源オン状態であるとの推定結果に基づいて、ユーザAがテレビ24aを視聴していると推定し得る。
図8は、図6に示された認知症判定装置100aによって推定される状態を示す関係図である。例えば、判別部170は、電力センサ105によって得られる消費電力、及び、赤外線センサ106によって得られるリモコン信号に基づいて、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを推定する。そして、判定部140は、体動センサ101で得られる体動量、及び、テレビ24aが電源オン状態であるか否かに基づいて、ユーザAの状態を推定する。
具体的には、体動量が大きく、テレビ24aが電源オン状態である場合、ユーザAがテレビ24aを視聴していると推定される(S−1)。そして、就寝したり(A−3)、退室したり(A−7)、テレビ24aをオフしたり(A−1)することにより、状態が遷移する。ここで、就寝(A−3)、及び、退室(A−7)では、リモコン信号が検知されないが、テレビ24aのオフ(A−1)において、リモコン信号が検知される。
なお、図8等において、便宜上、テレビ24aの消費電力が大きいか否かが、テレビ24aが電源オン状態であるか否かに対応付けられているが、テレビ24aが電源オン状態であるか否かは、さらに、リモコン信号が関係する。具体的には、リモコン信号が検知された際に、テレビ24aの状態が遷移する。
例えば、リモコン信号が検知され、かつ、テレビ24aの消費電力が小さくなれば、テレビ24aの状態が、電源オン状態から電源オフ状態へ遷移すると推定される。また、リモコン信号が検知され、かつ、テレビ24aの消費電力が大きくなれば、テレビ24aの状態が、電源オフ状態から電源オン状態へ遷移すると推定される。
図9は、図6に示された認知症判定装置100aによって推定される状態遷移を示す状態遷移図である。
例えば、ユーザAの体動量が小さく、テレビ24aの消費電力量が小さい場合、ユーザAがテレビ24aをオフにして睡眠している(S−4)と推定され得る。この状態から、リモコン信号が検知され、テレビ24aの消費電力が大きくなった場合、ユーザAがベッド23aでテレビ24aをオンにした(A−12)と推定される。そして、ユーザAが、テレビ24aをオンにしたまま睡眠している(S−8)と推定される。
つまり、ユーザAがベッド23aに入っていれば、体動量が小さく、ユーザAが睡眠していると判定される可能性がある。このような場合にも、ユーザAがテレビ24aをオンにして、テレビ24aの状態が電源オン状態に遷移する可能性がある。しかしながら、このような状態遷移は、消し忘れに該当しないと想定される。したがって、本具体例における判定部140は、このような状態遷移が消し忘れに該当しないと評価する。
また、例えば、ユーザAの体動量が大きく、テレビ24aの消費電力が大きい場合、ユーザAがテレビ24aを視聴している(S−1)と推定され得る。この状態から、体動量が実質的に0になった場合、ユーザAが介護居室22aから退室した(A−7)と推定される。そして、ユーザAが、テレビ24aをオンにしたまま外出している(S−5)と推定される。
すなわち、外出時にテレビ24aがオフにされていない。このような状態遷移は、消し忘れに該当すると想定される。したがって、本具体例における判定部140は、このような状態遷移が消し忘れに該当すると評価する。
図10は、図6に示された認知症判定装置100aによって睡眠時に推定される状態遷移を例示する状態遷移図である。
認知症判定装置100aの判定部140は、テレビ24aが電源オン状態であるか否かの判別結果、及び、ユーザAの体動の測定結果に基づいて、テレビ24a及びユーザAの状態が第1組み合わせ状態から第2組み合わせ状態へ遷移したか否かを判定する。ここで、第1組み合わせ状態は、テレビ24aが電源オン状態であって、ユーザAが睡眠状態とは異なる状態である。第2組み合わせ状態は、テレビ24aが電源オン状態であって、ユーザAが睡眠状態である。
そして、判定部140は、睡眠時間帯にテレビ24aが電源オン状態である日であって、テレビ24a及びユーザAの状態が第1組み合わせ状態から第2組み合わせ状態へ遷移した日を消し忘れ日として判定する。
判定部140は、睡眠時間帯にテレビ24aが電源オン状態である日であっても、テレビ24a及びユーザAの状態が第1組み合わせ状態から第2組み合わせ状態へ遷移していない日を消し忘れ日として判定しない。つまり、テレビ24a及びユーザAの状態が第1組み合わせ状態から第2組み合わせ状態へ遷移していない日は、消し忘れ日でないと判定される。
すなわち、判定部140は、テレビ24a及びユーザAの状態が第1組み合わせ状態から第2組み合わせ状態へ遷移することによって、睡眠時間帯にテレビ24aが電源オン状態であることに至った日を消し忘れ日として判定する。さらに言い換えれば、判定部140は、睡眠時間帯の前からテレビ24aが電源オン状態であり、テレビ24aが電源オン状態のまま、睡眠時間帯が開始した日を消し忘れ日として判定する。
具体的には、第1状態遷移例において、判定部140は、ユーザAの体動量が小さく、テレビ24aの消費電力が小さい場合、ユーザAがテレビ24aをオフにして睡眠している(S−4)と推定する。この場合、判定部140は、テレビ24aが電源オフ状態であり、ユーザAが睡眠状態であると判定する。
次に、ユーザAがベッド23aでテレビ24aをオンにした場合(A−12)、判定部140は、ユーザAがテレビ24aをオンにしたまま睡眠していると推定する(S−3)。この場合、判定部140は、テレビ24aが電源オン状態であり、ユーザAが睡眠状態であると判定する。
第1状態遷移例において、テレビ24a及びユーザAの状態は、テレビ24aが電源オフ状態であって、ユーザAが睡眠状態である組み合わせ状態から、テレビ24aが電源オン状態であって、ユーザAが睡眠状態である組み合わせ状態へ遷移している。すなわち、テレビ24a及びユーザAの状態は、第2組み合わせへ遷移しているが、第1組み合わせから遷移していない。したがって、判定部140は、第1状態遷移例における状態遷移を消し忘れと評価せず、通常と評価する。
また、第2状態遷移例において、判定部140は、ユーザAの体動量が大きく、テレビ24aの消費電力が大きい場合、ユーザAがテレビ24aを視聴している(S−1)と推定する。この場合、判定部140は、テレビ24aが電源オン状態であり、ユーザAが睡眠状態とは異なる状態であると判定する。
次に、ユーザAが就寝した場合(A−3)、判定部140は、ユーザAがテレビ24aをオンにしたまま睡眠していると推定する(S−3)。この場合、判定部140は、テレビ24aが電源オン状態であり、ユーザAが睡眠状態であると判定する。
この例では、テレビ24a及びユーザAの状態が、テレビ24aが電源オン状態であって、ユーザAが睡眠状態とは異なる状態である組み合わせ状態から、テレビ24aが電源オン状態であって、ユーザAが睡眠状態である組み合わせ状態へ遷移している。つまり、テレビ24a及びユーザAの状態が、第1組み合わせ状態から第2組み合わせ状態へ遷移している。したがって、判定部140は、第2状態遷移例の状態遷移を消し忘れと評価し、第2状態遷移例のように状態が遷移した日を消し忘れ日と判定する。
図11は、図6に示された認知症判定装置100aによって外出時に推定される状態遷移を例示する状態遷移図である。
認知症判定装置100aの判定部140は、さらに、テレビ24aに対する操作を示す操作情報、及び、ユーザAの体動の測定結果等に基づいて、ユーザAの体動の状態遷移以前に行われる操作が欠落しているか否かを判定する。そして、判定部140は、ユーザAの体動の状態遷移以前に行われる操作が欠落していると判定される日を消し忘れ日として判定する。
すなわち、判定部140は、睡眠時間帯にテレビ24aが電源オン状態である日のみではなく、ユーザAの体動の状態遷移以前に行われる操作が欠落している日も消し忘れ日として判定する。ユーザAの体動の状態遷移以前に行われる操作は、ユーザAの体動の状態が遷移する時点又はその前において、テレビ24aに対して行われるべき操作であって、普段行われていた操作である。
具体的には、第3状態遷移例において、判定部140は、ユーザAの体動量が大きく、テレビ24aの消費電力が大きい場合、ユーザAがテレビ24aを視聴している(S−1)と推定する。次に、ユーザAがテレビ24aをオフにした場合(A−1)、ユーザAの体動量は大きいままであって、テレビ24aの消費電力は小さくなる。したがって、判定部140は、ユーザAがテレビ24aをオフにして活動していると推定する(S−2)。
次に、ユーザAが介護居室22aから退室した場合(A−1)、体動量は実質的に0になり、テレビ24aの消費電力は小さいままである。したがって、判定部140は、ユーザAがテレビ24aをオフにして外出している(S−6)と判定する。
第3状態遷移例における状態遷移が外出時の普段の状態遷移である。判定部140は、第3状態遷移例における状態遷移を消し忘れとは評価せず、通常と評価する。
第4状態遷移例において、判定部140は、ユーザAの体動量が大きく、テレビ24aの消費電力が大きい場合、ユーザAがテレビ24aを視聴している(S−1)と推定する。次に、ユーザAが介護居室22aから退室した場合(A−7)、体動量は実質的に0になり、テレビ24aの消費電力は大きいままである。したがって、判定部140は、ユーザAがテレビ24aをオンにしたまま外出している(S−6)と判定する。
第3状態遷移例における外出時の普段の状態遷移では、体動量が大きい状態から体動量が実質的に0である状態へ、体動量の状態が遷移する以前に、テレビ24aをオフにする操作が行われている。一方、第3状態遷移例における外出時の状態遷移では、体動量が大きい状態から体動量が実質的に0である状態へ、体動量の状態が遷移する以前に、テレビ24aをオフにする操作が行われていない。
判定部140は、第4状態遷移例において、ユーザAの体動の状態遷移以前に行われる操作が欠落していると判定する。すなわち、判定部140は、第4状態遷移例における状態遷移を消し忘れと評価し、第4状態遷移例のように状態が遷移した日を消し忘れ日と判定する。
なお、認知症判定装置100aの判定部140は、テレビ24aの操作情報、テレビ24aの電力情報、及び、体動の測定結果等に基づいて、ユーザAの体動の状態遷移以前におけるテレビ24aの状態遷移が欠落しているか否かを判定してもよい。そして、判定部140は、ユーザAの体動の状態遷移以前におけるテレビ24aの状態遷移が欠落していると判定される日を消し忘れ日として判定してもよい。
判定部140は、消し忘れ日と判定された日の発生頻度である消し忘れ頻度に基づいて、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性を判定する。この判定方法は、実施の形態1の本論で示された通りである。
図12は、図6に示された体動センサ101、電力センサ105及び赤外線センサ106によって得られる値の表示例を示すイメージ図である。図12は、具体的には、管理室21の報知装置200のディスプレイにおける表示例を示している。
例えば、複数の介護居室22a、22b、22c等において得られた情報は、管理室21の報知装置200で統合されて出力される。管理室21の報知装置200で出力される情報に、体動センサ101、電力センサ105及び赤外線センサ106によって得られる値が含まれていてもよい。これにより、認知症情報出力システム10は、複数のユーザA、B、C等の各状態に関するモニタリングシステムとして利用され得る。
具体的には、図12の第1表示例において、2017年2月24日の3:10における複数のユーザA、B、C等のそれぞれの推定状態が表示されている。例えば、201室がユーザAの介護居室22aである。第1表示例では、ユーザAがテレビ24aを視聴している状態が推定状態として表示されている。この推定状態は、ユーザAの体動量の測定結果、テレビ24aの電力情報、及び、テレビ24aの操作情報等に基づいて推定される状態であり、上述した方法により推定される。
また、第1表示例において示される情報は、GUIとして表示される。第1表示例における201室を選択することにより、第2表示例のように、201室における体動量、消費電力及びリモコン信号の検知結果が表示される。具体的には、体動量、消費電力及びリモコン信号の時間変化が表示される。また、体動量、消費電力及びリモコン信号に基づいて推定される状態が表示される。これにより、ユーザAの状態として推定される状態の確認が可能になる。
また、消し忘れ日を示す情報、消し忘れ頻度を示す情報、及び、各ユーザが軽度認知症等を発症している可能性を示す情報が、第1表示例又は第2表示例において表示されてもよいし、これらの表示例とは別に表示されてもよい。
また、本具体例において、ユーザAの状態等が、管理室21の報知装置200で表示されている。しかし、複数の介護居室22a、22b、22c等において得られた情報は、インターネットなどの通信網を介して収集され統合されてもよい。例えば、体動センサ101、電力センサ105及び赤外線センサ106で得られる各検知結果に時刻が付加されて収集され、時刻に基づいて複数の検知結果が統合されてもよい。
本具体例における認知症情報出力システム10は、テレビ24aの電力情報及び操作情報を用いて、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを適切に判定することができる。また、認知症情報出力システム10は、体動量等に関連する状態遷移、又は、操作の欠落に基づいて、適切に消し忘れを評価することができる。また、認知症情報出力システム10は、ユーザA、B、C等のそれぞれの状態をモニタリングすることを可能にする。
なお、判別部170は、電力センサ105を含んでいてもよいし、赤外線センサ106を含んでいてもよいし、電力センサ105に含まれていてもよいし、赤外線センサ106に含まれていてもよい。
また、判別部170は、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを操作情報によらず電力情報に基づいて推定することができる場合がある。例えば、電源オン状態のテレビ24aの消費電力と、電源オフ状態のテレビ24aの消費電力とが大きく異なる場合等において、判別部170は、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを操作情報によらず電力情報に基づいて推定することができる。
したがって、判別部170は、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを操作情報によらず電力情報に基づいて推定してもよい。この場合、操作情報は取得されなくてもよく、赤外線センサ106は設置されなくてもよい。
また、判別部170は、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを電力情報によらず操作情報に基づいて推定することができる場合がある。例えば、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを示すリモコン信号が適切に検知される場合等において、判別部170は、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを電力情報によらず操作情報に基づいて推定することができる。
したがって、判別部170は、テレビ24aが電源オン状態であるか否かを電力情報によらず操作情報に基づいて推定してもよい。この場合、電力情報は取得されなくてもよく、電力センサ105は設置されなくてもよい。
また、テレビ24aは、ユーザAが使用する電気機器24aの一例にすぎず、電気機器24aは、テレビ24aに限らず、照明器具、オーディオ機器、或いは、その他の機器であってもよい。例えば、電気機器24aは、リモコンで操作される空調機であってもよい。
また、赤外線センサ106は、電気機器24aに対する操作を検知するセンサの一例である。電気機器24aに対する操作を示す情報を取得するため、電気機器24aに対する操作を検知する他のセンサが利用されてもよい。例えば、無線LANの信号など、赤外線とは異なる信号が電気機器24aに対する操作を示す信号として検知され、電気機器24aに対する操作を示す操作情報が取得されてもよい。
また、体動量が大きいか小さいか実質的に0であるかは、閾値に従って定められてもよい。例えば、体動量が所定の第1基準体動量よりも大きい場合に体動量は大きいと定められる。体動量が所定の第1基準体動量以下であり所定の第2基準体動量よりも大きい場合に体動量は小さいと定められる。そして、体動量が所定の第2基準体動量以下である場合に体動量は実質的に0であると定められる。
また、消費電力が大きいか小さいかも、同様に閾値に従って定められてもよい。例えば、消費電力が所定の基準消費電力よりも大きい場合に消費電力は大きいと定められる。消費電力が所定の基準消費電力以下である場合に消費電力は小さいと定められる。
(実施の形態2)
本実施の形態における軽度認知症等の判定は、消し忘れ頻度に加えて、更に、睡眠時間帯における体動の測定結果に基づいている。
認知症の症状として、睡眠が浅くなる等の睡眠障害が生じることが知られている。認知症では、睡眠及び覚醒等といった生物時計の制御を司る視床下部及び脳幹に広範かつ重度の器質障害を有するとされている。そして、アルツハイマー型認知症の患者では、夜間の入眠から翌朝の起床までの時間(睡眠時間帯)において頻繁に覚醒状態と睡眠状態とを繰り返すことが、毎日のように続く例が知られている。
即ち、アルツハイマー型認知症によって、生物時計が狂い、サーカディアンリズム障害が発生する場合がある。そして、これにより、日中の覚醒レベルが低下し、更に、サーカディアンリズム障害が増幅され、睡眠の分断、及び、夜間活動等の症状が現れる場合がある。
これらの知見に基づいて、本発明者らは実験を行い、高齢者の睡眠時間帯における体動センサによる測定結果(体動量)が、高齢者が健常者の場合と軽度認知症等を発症した者の場合とで異なることを発見した。
図13Aに、高齢の健常者(健常な状態の者)の睡眠時間帯における体動量の推移のグラフG01Aを示し、図13Bに高齢の認知症の発症者の睡眠時間帯における体動量の推移のグラフG01Bを示す。図13A及び図13Bは、実験結果を概略的なイメージとして表したものである。この例では、睡眠時間帯を固定的に23時から6時までと定めている。なお、図13A及び図13Bには、睡眠時間帯のみならず1日の総体動量の推移のグラフG02A、G02Bも付加的に示している。
この例の睡眠時間帯における体動量は、体動センサにより1分毎に、体動の大きさを0(体動なし等の最小値)から9(最大値)までの10段階の値に区別して測定し、その値を睡眠時間帯において累積したものである。また、1日の総体動量は、体動センサにより1分毎に、体動の大きさを0(体動なし等の最小値)から9(最大値)までの10段階の値に区別して測定し、その値を1日(24時間)において累積したものである。
図13Aに示すように、健常者の総体動量は日毎に、ある程度大きく変化するが、睡眠時間帯における健常者の体動量はあまり変化しない。これに対して図13BのグラフG01Bに示すように、認知症を発症した者の睡眠時間帯における体動量は、図13AのグラフG01Aに示す健常者の睡眠時間帯における体動量と比べて日毎(24時間毎)の変化が大きい。
なお、図13BのグラフG02Bに示すように、認知症を発症した者の総体動量については、図13AのグラフG02Aに示す健常者の総体動量と同様に日毎にある程度大きく変化する。従って、睡眠時間帯の体動に注目することが認知症の発症者と健常者との区別において有用となる。認知症の発症者は、発症前においては健常者であるので、軽度認知症等の発症の前後を区別(つまり健常な状態と軽度認知症等の状態との区別)するためにも睡眠時間帯の体動を測定することが有用となる。
上記に基づいて、実施の形態1における認知症情報出力システム10が部分的に変形された認知症情報出力システム11を以下に説明する。
(構成)
認知症情報出力システム11は、実施の形態1で示した認知症情報出力システム10(図1参照)の認知症判定装置を変形し、消し忘れ頻度に加えて、更に、睡眠時間帯における体動に基づいて、ユーザが軽度認知症等を発症している可能性を判定する。ここでは、主に、図2に示すユーザAの生活する介護居室22aの認知症判定装置100aを変形した認知症判定装置1100aに着目して説明する。
なお、認知症情報出力システム11では認知症判定装置100b、100cについても認知症判定装置1100aと同様な構成に変形される。本実施の形態に係る認知症情報出力システム11は、ここで示さない点については、実施の形態1で示した認知症情報出力システム10と同様であり、同じ構成については実施の形態1と同じ符号を用いて、適宜説明を省略する。また、認知症判定装置1100aは、ハードウェア面において実施の形態1で示した認知症判定装置100aと同様である。
図14は、本実施の形態に係る認知症情報出力システム11における認知症判定装置1100aの機能ブロック図である。認知症判定装置1100aは、ユーザAが生活する介護居室22aに設置されている。なお、同図には、介護居室22aに設置された電気機器(テレビ)24a、及び、管理室21に設置された報知装置200を付記している。
認知症判定装置1100aは、睡眠時間帯におけるユーザAの体動の測定結果、及び、電気機器24aの消し忘れ頻度に基づく認知症情報を出力する機能を実現する。そのため、認知症判定装置1100aは、機能構成要素として図14に示すように測定部110、取得部1120、記憶部1130、判別部170、判定部1140、更新部1150及び出力部160を備える。なお、認知症判定装置1100aの各機能構成要素における主な処理内容と、取り扱われる情報(データ)とを図15に示す。
取得部1120は、実施の形態1で示した取得部120の機能に加えて、次の機能を有する。即ち、取得部1120は、ユーザAの睡眠時間帯における体動の測定結果を単位期間(例えば24時間)毎に取得する機能を有する。ここでは、単位期間を24時間(1日)として説明する。なお、単位期間が、24時間(1日)の場合に、午前0時で必ずしも単位期間(1日)を区切る必要はなく、例えば正午で単位期間を区切り得る。
取得部1120は、測定部110により得たユーザAの体動の測定結果に基づいて1日(24時間の単位期間)におけるユーザAの睡眠時間帯を特定し、特定した睡眠時間帯におけるユーザAの体動の測定結果を取得(特定)する。そして、取得部1120は、睡眠時間帯におけるユーザAの体動の測定結果を判定部1140に伝達する。
記憶部1130は、メモリ102の一領域等により実現され、ユーザAの睡眠時間帯の体動の測定結果と比較するために用いるための、健常者の睡眠時間帯の体動に関する基準データを記憶する機能を有する。この健常者は、例えば、高齢であって軽度認知症等を発症していない者であり、ユーザA以外の健常者であってもよいし、例えば、軽度認知症等を発症していない時期におけるユーザAであってもよい。
基準データが、取得部1120により取得された睡眠時間帯のユーザAの体動の測定結果と比較されるものであるため、軽度認知症等を発症していない時期におけるユーザAについて測定された、睡眠時間帯の体動量に関するものであることは有用である。記憶部1130に記憶される基準データは、例えば、複数の単位期間(複数日)において測定された健常者の睡眠時間帯の体動量の平均値である。
判定部1140は、実施の形態1で示した判定部140の機能に加えて、次の機能を有する。即ち、判定部1140は、記憶部1130に記憶された基準データと、ユーザAの1日の睡眠時間帯における体動の測定結果とを比較して差分(差異の大きさ)を評価することで、その1日が異変日か健常日かを判定する異変日判定機能を有する。異変日は、ユーザAが健常でないと推定される日であり、健常日は、ユーザAが健常であると推定される日である。
異変日判定機能で評価する差分(差異の大きさ)は、例えば基準データとユーザAの1日の睡眠時間帯における体動の測定結果との比、或いは、差の大きさ(絶対値)である。ここでは、差異の大きさは、差の絶対値であるものとして説明する。判定部1140は、異変日判定機能として例えば、基準データと、取得部1120で取得された測定結果(ユーザAの1日の睡眠時間帯における体動の測定結果)との差の絶対値が所定閾値(ここでは閾値σ)を超える場合にその1日は異変日であると判定する。
また判定部1140は、その差の絶対値が閾値σを超えない場合にその1日は健常日であると判定する。ここで、記憶部1130に記憶する基準データが複数日において測定された健常者の睡眠時間帯の体動量の平均値であるところ、その複数日において測定された体動量の標準偏差σが閾値σとして用いられる。
図16に、健常者の睡眠時間帯における体動量の分布と異変日判定用の閾値σとの関係を示す。基準データは、図16の体動量の分布における平均値mに相当し、ユーザAの睡眠時間帯の体動の測定結果がその平均値m+標準偏差σより大きい場合及び平均値m−標準偏差σより小さい場合に異変日と判定される。なお、上述した差の絶対値と比較する所定閾値は、必ずしも、複数日において測定された健常者の睡眠時間帯の体動量の標準偏差でなくてもよく、標準偏差に一定比率を乗じた値であってもよい。
また、判定部1140は、消し忘れ頻度に加えて、更に、睡眠時間帯における体動の測定結果に基づいて、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性を判定する機能を有する。
つまり、判定部1140は、更に、基準データとユーザAの睡眠時間帯の体動の測定結果との差異の大きさが所定閾値(閾値σ:第1閾値)を超える単位期間(つまり異変日判定機能により判定した異変日)の発生頻度を評価して軽度認知症等の発症を判定する。具体的には、判定部1140は、異変日の発生頻度が所定基準頻度を超える場合には、ユーザAが軽度認知症等を発症していると判定する。
所定基準頻度は、例えば、1週間のうち5日の頻度、1週間以上の期間において70%の頻度、或いは、5日連続する頻度(つまり5日以上の期間において100%の頻度)等である。異変日の発生頻度は、例えば、1週間より長いある一定期間Tにおける発生頻度であり、軽度認知症等であるか否かをより精度良く判定するためには、一定期間Tが長期(例えば3ヵ月等)であることが有用となる。
図17に日毎の睡眠時間帯の体動量、並びに、異変日及び健常日の判定結果の一例を示す。例えば、所定基準頻度が、過去1週間以上の期間において70%の頻度であるとすると、図17の例によれば、16日に異変日の発生頻度が所定基準頻度を超え、判定部1140は、ユーザAが軽度認知症等を発症していると判定する。
そして、判定部1140は、消し忘れ頻度が所定基準頻度(第2閾値)を超える場合、又は、異変日の発生頻度が所定基準頻度(第3閾値)を超える場合、ユーザAが軽度認知症等を発症していると判定する。
例えば、判定部1140は、ユーザAの睡眠時間帯(例えば入眠時)において判別部170によりテレビ24aが電源オン状態であると判別された場合には、ユーザAが軽度認知症等を発症していると判定する。また、例えば、判定部1140は、基準データとユーザAの1日の睡眠時間帯の体動量との差の絶対値が閾値σを超える日(異変日)の発生頻度が所定基準頻度を超える場合、ユーザAが軽度認知症等を発症していると判定する。
更新部1150は、制御プログラムを実行するプロセッサ104等により実現される。更新部1150は、基準データと取得部1120により取得された測定結果(ユーザAの睡眠時間帯の体動量)との差異の大きさが所定閾値(閾値σ)を超えない日(単位期間)内のその測定結果を反映するように基準データを更新する機能を有する。
例えば、基準データが、複数日において測定された健常者の睡眠時間帯の体動量(複数日の体動量の総和)の平均値(総和を日数で除した値)である場合において、更新部1150は、次のように基準データの更新を行い得る。
即ち、更新部1150は、判定部1140で健常日と判定された日のユーザAの睡眠時間帯の体動量を1日分として、その複数日の体動量の総和に加えてから、算定した平均値(新たな総和を合計日数で除した値)を新たな基準データ(更新後の基準データ)とする。この更新に際して、例えば、判定部1140が異変日か健常日かの判定に用いる閾値σを、その健常日と判定された日のユーザAの睡眠時間帯の体動量を含めた複数日の体動量の標準偏差に対応するように更新してもよい。
なお、更新部1150により記憶部1130に記憶された基準データが更新された後においては、判定部1140は、その更新後の基準データを用いて判定を行う。即ち、判定部1140は、更新後の基準データと更新後に取得部1120で取得された測定結果(ユーザAの睡眠時間帯の体動量)との差異の大きさが閾値を超える異変日の発生頻度が所定基準頻度を超える場合、ユーザAが軽度認知症等を発症していると判定する。
(動作)
以下、上述の構成を備える認知症情報出力システム11における認知症判定装置1100aの動作について説明する。
図18は、本実施の形態に係る認知症判定装置1100aにおける認知症情報出力処理を示すフローチャートである。以下、同図に即して認知症情報出力処理を説明する。
認知症判定装置1100aは、体動センサ101を用いて測定部110によりユーザAの体動を測定する(ステップS21)。そして、認知症判定装置1100aは、取得部1120で体動の測定結果(体動量)を取得し睡眠時間帯を日毎に特定する(ステップS22)。認知症判定装置1100aの判別部170は、電気機器24aが電源オン状態であるか否かを時刻毎に判別する(ステップS23)。認知症判定装置1100aは、取得部1120で1日の睡眠時間帯における体動の測定結果(体動量)を取得する(ステップS24)。
認知症判定装置1100aの判定部1140は、ステップS24で取得されたユーザAの1日の睡眠時間帯の体動の測定結果と記憶部1130に記憶された基準データとの差の大きさが閾値σ(第1閾値)を超えるか否かを判別する(ステップS25)。ステップS25で判別に用いられる基準データは、健常者の睡眠時間帯の体動量の平均値等であり、例えばユーザAについて健常な状態の時期に測定した睡眠時間帯の体動量の平均値であってもよい。
ステップS25において、測定結果と基準データとの差の大きさが閾値σを超える場合には、判定部1140は、その1日を異変日として判定する(ステップS26)。また、1日の睡眠時間帯の体動の測定結果と基準データとの差の大きさが閾値σを超えない場合には、判定部1140は、更新部1150にその体動の測定結果に基づいて基準データを更新させ(ステップS27)、その1日を健常日と判定する(ステップS28)。
続いて、判定部1140は、過去一定期間における消し忘れ頻度が第2閾値(所定基準頻度)を超えるか否かを判別し、過去一定期間における異変頻度が第3閾値(所定基準頻度)を超えるか否かを判別する(ステップS29)。ここで、異変頻度は、異変日の発生頻度であり、消し忘れ頻度は、ステップS12で特定された睡眠時間帯に電気機器24aが電源オン状態であるとステップS13で判別される日の発生頻度である。過去一定期間は、例えば1週間等である。
過去一定期間は、最初に消し忘れが発生した日から現在まででもよい。また、消し忘れ頻度が第2閾値を超えるか否かを判別するための過去一定期間と、異変頻度が第3閾値を超えるか否かを判別するための過去一定期間とは互いに異なっていてもよい。例えば、消し忘れ頻度が第2閾値を超えるか否かを判別するための過去一定期間は、最初に消し忘れが発生した日から現在まででもよい。また、例えば、異変頻度が第3閾値を超えるか否かを判別するための過去一定期間は、最初の異変日から現在まででもよい。
ステップS29において、消し忘れ頻度が第2閾値を超える場合、又は、異変頻度が第3閾値を超える場合には、判定部1140は、ユーザAが軽度認知症等を発症していると判定する(ステップS30)。
判定部1140は、消し忘れ頻度を判定に用いることで、例えば、認知症とは無関係に不注意によって消し忘れが発生した場合に軽度認知症等と誤判定する可能性を低減し得る。また、判定部1140は、異変日の発生頻度を判定に用いることで、例えば夏の熱帯夜等により寝苦しく睡眠時間帯に体動が大きくなる日が稀に発生した場合に軽度認知症等と誤判定する可能性を低減し得る。運用においては、これらの誤判定を抑制する観点で適切な所定基準頻度(第2閾値及び第3閾値)を定めておくことが有用となる。
ステップS30での判定結果に基づいて出力部160は、ユーザAが軽度認知症等を発症している旨を含む認知症情報の出力(報知装置200への送信等)を行う(ステップS31)。ステップS29において、消し忘れ頻度が第2閾値を超えず、かつ、異変頻度が第3閾値を超えないと判別した場合には、出力部160は、認知症情報を出力しなくてもよいし、ユーザAが軽度認知症等を発症している旨を示さない認知症情報を出力してもよい。
ステップS31の処理の後、或いは、ステップS29で、消し忘れ頻度が第2閾値を超えず、かつ、異変頻度が第3閾値を超えないと判別した場合には、認知症判定装置1100aは、ステップS21での処理に戻る。例えば、ステップS21の処理は、1日毎に行われる。また、例えば、ステップS21の処理は、随時行われ、ステップS22以降の処理は、一週間分まとめて行われてもよい。
このような認知症情報出力処理により、ユーザAが睡眠障害を発症している場合においても、そのことに基づく認知症情報が報知装置200のディスプレイに表示されるようになる。
(他の実施の形態等)
以上、実施の形態1、2により認知症情報出力システム10、11について説明したが、上述した実施の形態は一例にすぎず、各種の変更、付加、省略等が可能であることは言う迄もない。
上述の実施の形態では、認知症情報出力システム10、11が介護保健施設20で利用される例を示したがこれは一例にすぎない。例えば、認知症情報出力システム10、11は、住宅(戸建て住宅、集合住宅の個別住戸等)、高齢者向け集合住宅、病院、その他の施設等で利用され得る。
また、上述の実施の形態で示した認知症情報出力システム10、11における認知症判定装置100a、1100aがディスプレイ等の提示装置(表示装置)を含む場合、体動センサ101を除く認知症判定装置100a、1100aを管理室21に設けてもよい。この場合、認知症判定装置100a、1100aは、介護居室22a〜22cに設置された体動センサ101からユーザA〜Cの体動の測定結果を取得して、測定結果に基づいて軽度認知症等か否かの判定等を行って判定結果を含む認知症情報を出力(提示)し得る。
なお、管理室21に認知症判定装置100a、1100aを含ませた場合に、認知症判定装置100a、1100aは表示装置を含まなくても管理室21の報知装置200に認知症情報を送信して提示させてもよい。管理室21内に認知症判定装置100aを設置した構成の一例を、図19に示す。
また、認知症情報出力システム10、11で1人だけのユーザAを対象として軽度認知症等に係る情報の出力を行う場合には、1つの認知症判定装置100a、1100aを備えれば足りる。
また、上述した認知症判定装置100a、1100aの出力部160が認知症情報を送信する相手は、管理室21に設けられた報知装置200であることに限られない。認知症判定装置100a、1100aの通信I/F103は、例えば、電話網又はインターネット等の広域ネットワークと接続可能なものであってもよい。そして、報知装置200は、管理室21とは異なる場所に設けられたパーソナルコンピュータ(PC)のような通信装置等、或いは、移動体であるスマートフォンのような情報通信端末等であってもよい。
例えば、一人暮らしの高齢者の住宅に認知症判定装置100aを設置し、認知症判定装置100aに、高齢者と離れて生活する家族のスマートフォンのメールアドレス等を記憶し、出力部160で認知症情報をそのスマートフォンへ送信することは有用である。また、認知症判定装置100a、1100aは複数の送信先に認知症情報を送信することとしてもよい。
また、上述の実施の形態では認知症判定装置100a、1100aが体動センサ101を含む。しかし、認知症判定装置100a、1100aは、体動センサ101を含まなくてもよく、体動センサ101からユーザAの睡眠時間帯における体動の測定結果を取得できればよい。なお、認知症判定装置100a、1100aと体動センサ101とが分離した構成の場合において、例えば体動センサ101が測定部110及び取得部120、1120の機能を包含することとしてもよい。
また、認知症判定装置100a、1100aの各機能構成要素の機能分担は一例にすぎず、例えば取得部120、1120が測定部110を包含してもよいし、例えば出力部160が判定部140、1140を包含してもよい。
また、上述の実施の形態では、消し忘れ頻度が閾値よりも高い場合に、ユーザAが軽度認知症等を発症していると判定部140、1140が判定する動作が示されている。この動作は、消し忘れ頻度に基づいて、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性を判定する動作の一例であり、また、消し忘れ頻度が高いほど、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性が高いと判定する動作の一例である。
判定部140、1140は、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性を判定する際、ユーザAが軽度認知症等を発症しているか否かを判定してもよいし、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性の高さを判定してもよい。そして、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性を示す認知症情報は、ユーザAが軽度認知症等を発症しているか否かを示してもよいし、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性の高さをパーセンテージで示してもよい。
また、判定部140、1140は、消し忘れ頻度が高いほど、1以上の閾値に基づいて、段階的に、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性が高いと判定してもよい。或いは、判定部140、1140は、消し忘れ頻度が高ければ高いほど、閾値によらず、無段階で連続的に、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性がより高いと判定してもよい。言い換えれば、判定部140、1140は、消し忘れ頻度が高くなるにつれて、軽度認知症等の可能性を段階的に高くしてもよいし、連続的に高くしてもよい。
また、健常状態においても、ユーザAの個性等によって、消し忘れ頻度が高い可能性がある。そこで、判定部140、1140は、消し忘れ頻度の変化に基づいて、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性を判定してもよい。つまり、判定部140、1140は、第1期間における消し忘れ頻度と、第1期間よりも後の第2期間における消し忘れ頻度との差に基づいて、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性を判定してもよい。
具体的には、判定部140、1140は、消し忘れ頻度が第1頻度から第1頻度よりも高い第2頻度に上昇した場合、消し忘れ頻度が第2頻度に維持されている場合よりも、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性が高いと判定してもよい。また、判定部140、1140は、消し忘れ頻度の上昇の度合いが大きいほど、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性が高いと判定してもよい。
更に、判定部140、1140は、1以上の閾値に基づいて、段階的に、消し忘れ頻度の上昇の度合いが大きいほど、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性が高いと判定してもよい。或いは、判定部140、1140は、閾値によらず、無段階で連続的に、消し忘れ頻度の上昇の度合いが大きければ大きいほど、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性がより高いと判定してもよい。
また、実施の形態2では、消し忘れ頻度が第2閾値を超える場合、或いは、異変頻度が第3閾値を超える場合に、ユーザAが軽度認知症等を発症していると判定部1140が判定する動作が示されている。この動作は、消し忘れ頻度と異変頻度とに基づいて、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性を判定する動作の一例であり、消し忘れ頻度と異変頻度とがそれぞれ高いほど、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性が高いと判定する動作の一例である。
判定部1140は、消し忘れ頻度と異変頻度とに係る一定の条件判断に基づいて、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性を判定してもよい。例えば、判定部1140は、消し忘れ頻度が第2閾値を超え、かつ、異変頻度が第3閾値を超える場合にのみ、ユーザAが軽度認知症等を発症していると判定してもよい。
また、例えば、判定部1140は、消し忘れ頻度が高いほど、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性が高いと判定し、異変頻度が高いほど、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性が高いと判定する。判定部1140は、消し忘れ頻度に基づいて判定される可能性と、異変頻度に基づいて判定される可能性とを平均化して、ユーザAが軽度認知症等を発症している最終的な可能性を判定してもよい。
また、例えば、判定部1140は、消し忘れ頻度に基づいて判定される可能性と、異変頻度に基づいて判定される可能性とを重み付けして、ユーザAが軽度認知症等を発症している最終的な可能性を判定してもよい。判定部1140は、最終的な可能性を判定するための重み付け係数を含む関数を用いてもよい。
例えば、ユーザAが健常である期間における消し忘れ頻度が高いほど、消し忘れ頻度に基づいて判定される可能性の信頼性は低いかもしれない。従って、ユーザAが健常である期間における消し忘れ頻度が高いほど、消し忘れ頻度に基づいて判定される可能性に対する重み付け(重み付け係数)を小さくしてもよい。
同様に、ユーザAが健常である期間における異変頻度が高いほど、異変頻度に基づいて判定される可能性の信頼性は低いかもしれない。従って、ユーザAが健常である期間における異変頻度が高いほど、異変頻度に基づいて判定される可能性の重み付け(重み付け係数)を小さくしてもよい。
また、テレビ24aは、ユーザAが使用する電気機器の一例にすぎず、電気機器は、テレビ24aに限らず、照明器具、オーディオ機器、或いは、その他の機器であってもよい。
また、認知症判定装置100a、1100aは、更に、ユーザAが利用する水道の蛇口(水栓)が吐水状態であるか止水状態であるかをセンサ等で判別して、ユーザAの睡眠時間帯に吐水状態である場合にユーザAが軽度認知症等を発症していると判定してもよい。認知症になると、電気機器の消し忘れ、及び、水栓の閉め忘れ等の「し忘れ」が生じると想定されるため、認知症判定装置100a、1100aは、このような「し忘れ」に基づいて、適切にユーザAの軽度認知症等を発症している可能性を判定できる場合がある。
また、上述の実施の形態で出力部160が、認知症情報をディスプレイに表示してもよいことを示したが、表示以外の方法で認知症情報を提示してもよい。ここで情報の提示は、人間の五感により認識されるように情報を出力することである。表示以外の提示方法として、例えば、認知症情報の内容に係る音声の再生(スピーカ等からの音声出力)、或いは、軽度認知症等を発症している旨を示す認知症情報である場合における発光、又は、ブザーの鳴動等が挙げられる。
また、上述の認知症判定装置100a、1100a等における処理手順(図5及び図18に示す手順等)の実行順序は、必ずしも、上述した通りの順序に制限されるものではない。発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えたりその一部を省略したりすることが可能である。また、その処理手順(図5及び図18に示す手順等)の全部又は一部は、ハードウェアにより実現されても、ソフトウェアを用いて実現されてもよい。
なお、ソフトウェアによる処理は、認知症判定装置100a、1100a等に含まれるプロセッサ104がメモリ102に記憶された制御プログラムを実行することにより実現されるものである。また、その制御プログラムを記録媒体に記録して頒布や流通させてもよい。例えば、頒布された制御プログラムを認知症判定装置(コンピュータ)100a、1100a等にインストールして、プロセッサ104に実行させることで、コンピュータに図5及び図18に示した処理手順の全部又は一部を行わせることが可能となる。
また、上述した実施の形態で示した構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の包括的又は具体的な各種態様には、装置、システム、方法等の1つ又は複数の組み合わせが含まれる。以下、本発明の一態様に係る認知症情報出力システムについての構成、変形態様、及び、効果等について示す。
(1)本発明の一態様に係る認知症情報出力システム10(又は11)は、測定部110と、取得部120(又は1120)と、判別部170と、判定部140(又は1140)と、出力部160(又は220)とを備える。測定部110は、ユーザAの体動を測定する。取得部120(又は1120)は、体動の測定結果(体動量)を取得し、測定結果に基づいて、ユーザAの睡眠時間帯を日毎に特定する。判別部170は、ユーザAにより使用される電気機器24aが電源オン状態であるか否かを判別する。
判定部140(又は1140)は、取得部120(又は1120)で特定された睡眠時間帯に電気機器24aが電源オン状態であると判別部170で判別される日を消し忘れ日として判定する。そして、判定部140(又は1140)は、消し忘れ日として判定された日の発生頻度である消し忘れ頻度に基づいて、ユーザAが軽度認知症を発症している可能性を判定する。出力部160(又は220)は、判定部140(又は1140)で判定された可能性を示す認知症情報を出力する。
これにより、この認知症情報出力システム10(又は11)は、日常の作業に対する追加の作業を必要とせずに軽度認知症等の発症の可能性を示す認知症情報を出力し得る。そして、出力される認知症情報を確認することで、ユーザAが軽度認知症等を発症している可能性が認識され得る。
(2)例えば、判定部140(又は1140)は、消し忘れ頻度が高いほど、ユーザAが軽度認知症を発症している可能性が高いと判定してもよい。
これにより、判定部140(又は1140)は、消し忘れ頻度が低い場合に比べて、消し忘れ頻度が高い場合に、ユーザAが軽度認知症を発症している可能性が相対的に高いと判定することができる。従って、判定部140(又は1140)は、ユーザAが軽度認知症を発症している可能性をより適切に判定することができる。
(3)例えば、判定部140(又は1140)は、消し忘れ頻度の変化に基づいて、ユーザAが軽度認知症を発症している可能性を判定してもよい。
これにより、判定部140(又は1140)は、ユーザAに関する状態の変化に基づいて、ユーザAが軽度認知症を発症している可能性を適切に判定することができる。
(4)例えば、判定部140(又は1140)は、消し忘れ頻度が第1頻度から第2頻度に上昇した場合、消し忘れ頻度が第2頻度に維持されている場合よりも、ユーザAが軽度認知症を発症している可能性が高いと判定してもよい。
これにより、軽度認知症とは無関係にユーザAの個性等によって消し忘れ頻度が高い場合に、ユーザAが軽度認知症を発症している可能性が高いと誤って判定されることが抑制される。
(5)例えば、判定部140(又は1140)は、消し忘れ頻度の上昇の度合いが大きいほど、ユーザAが軽度認知症を発症している可能性が高いと判定してもよい。
これにより、判定部140(又は1140)は、消し忘れ頻度の上昇の度合いが小さい場合に比べて、消し忘れ頻度の上昇の度合いが大きい場合に、ユーザAが軽度認知症を発症している可能性が相対的に高いと判定することができる。従って、判定部140(又は1140)は、ユーザAが軽度認知症を発症している可能性をより適切に判定することができる。
(6)例えば、出力部160(又は220)は、認知症情報を提示することにより、認知症情報の出力を行うこととしてもよい。
これにより、認知症情報出力システム10(又は11)によって、ユーザAの軽度認知症等の発症の可能性に係る認知症情報を知ることが可能になる。
(7)例えば、出力部160は、認知症情報を報知装置200に送信することにより、認知症情報の出力を行うこととしてもよい。報知装置200は、認知症情報出力システム10(又は11)に含まれてもよいし、認知症情報出力システム10(又は11)の外部に所在してもよい。
これにより、報知装置200において認知症情報を受信して、例えば表示等することが可能となる。このため、測定部110等を備える認知症情報出力システム10(又は11)の装置(例えば認知症判定装置100a)から離れた報知装置200を利用して、ユーザAの関係者及び介護者等がユーザAに係る認知症情報を把握することが可能となる。
また、出力される認知症情報を確認することで、ユーザAが軽度認知症等を発症していることが認識され得る。例えば、ユーザAの関係者及び介護者等は、ユーザAに常時密着して観察しなくても、認知症情報出力システム10(又は11)の報知装置200等が出力する認知症情報により、ユーザAが軽度認知症等を発症したことを認識できるようになる。
なお、認知症情報により軽度認知症等を発症したことが認識されることを契機として、例えば医師等がユーザAの詳細な状態を診断し、適切な処置等を行い得る。この診断に際しては、必要に応じて各種測定機器(CTスキャナ等)によりユーザAの人体(脳等)の状態が検査される。このように、認知症情報出力システム10(又は11)は、診断、及び、機器利用による検査実施等の契機となり得る認知症情報を出力するという効果を奏する。
(8)例えば、判定部140(又は1140)は、電気機器24aが電源オン状態であるか否かの判別結果、及び、測定結果に基づいて、第1組み合わせ状態から第2組み合わせ状態へ電気機器24a及びユーザAの状態が遷移したか否かを判定してもよい。ここで、第1組み合わせ状態は、電気機器24aが電源オン状態であって、ユーザAが睡眠状態とは異なる状態である。また、第2組み合わせ状態は、電気機器24aが電源オン状態であって、ユーザAが睡眠状態である。
そして、判定部140(又は1140)は、睡眠時間帯に電気機器24aが電源オン状態であると判別される日であり、第1組み合わせ状態から第2組み合わせ状態へ電気機器24a及びユーザAの状態が遷移したと判定される日を消し忘れ日として判定してもよい。
これにより、例えば、認知症情報出力システム10(又は11)は、電気機器24aが電源オン状態であるまま、ユーザAの体動量が小さくなり、ユーザAが睡眠状態に遷移した日を消し忘れ日として判定することができる。したがって、認知症情報出力システム10(又は11)は、状態遷移に基づいて、消し忘れ日を適切に判定することができる。
(9)例えば、判別部170は、電気機器24aの消費電力を示す電力情報を取得し、電力情報に基づいて、電気機器24aが電源オン状態であるか否かを判別してもよい。これにより、認知症情報出力システム10(又は11)は、電気機器24aの消費電力に従って、電気機器24aが電源オン状態であるか否かをシンプルに判別することができる。
(10)例えば、判別部170は、電気機器24aに対する操作を示す操作情報を取得し、操作情報に基づいて、電気機器24aが電源オン状態であるか否かを判別してもよい。これにより、認知症情報出力システム10(又は11)は、電気機器24aに対する操作に従って、電気機器24aが電源オン状態であるか否かをシンプルに判別することができる。
(11)例えば、判別部170は、電気機器24aの消費電力を示す電力情報、及び、電気機器24aに対する操作を示す操作情報を取得し、電力情報及び操作情報に基づいて、電気機器24aが電源オン状態であるか否かを判別してもよい。これにより、認知症情報出力システム10(又は11)は、電気機器24aの消費電力、及び、電気機器24aに対する操作に従って、電気機器24aが電源オン状態であるか否かを適切に判別することができる。
(12)例えば、判定部140(又は1140)は、さらに、操作情報及び測定結果(体動量)に基づいて、体動の状態遷移以前に行われる操作が欠落しているか否かを判定してもよい。そして、判定部140(又は1140)は、さらに、体動の状態遷移以前に行われる操作が欠落していると判定される日を消し忘れ日として判定してもよい。認知症情報出力システム10(又は11)は、睡眠時に限らず、操作の欠落に基づいて、消し忘れを評価することができる。
(13)例えば、出力部160(又は220)は、さらに、測定結果(体動量)、電力情報及び操作情報を出力してもよい。これにより、認知症情報出力システム10(又は11)は、ユーザAの状態に関するモニタリングシステムの役割を果たすことができる。
(14)本発明の一態様に係る制御プログラムは、プロセッサ(マイクロプロセッサ)104を備える装置(認知症判定装置100a、1100a)に、認知症情報出力処理を実行させるための制御プログラムである。この認知症情報出力処理は、測定ステップ(例えばステップS11)と、取得ステップ(例えばステップS12)と、判別ステップ(例えばステップS13)と、判定ステップ(例えばステップS14、S15)と、出力ステップ(例えばステップS16)とを含む。
測定ステップでは、ユーザ(対象者)の体動を測定する。取得ステップでは、体動の測定結果を取得し、測定結果に基づいて、ユーザの睡眠時間帯を日毎に特定する。判別ステップでは、ユーザにより使用される電気機器が電源オン状態であるか否かを判別する。
判定ステップでは、取得ステップで特定された睡眠時間帯に電気機器が電源オン状態であると判別ステップで判別される日を消し忘れ日として判定する。そして、判定ステップでは、消し忘れ日として判定された日の発生頻度である消し忘れ頻度に基づいて、ユーザが軽度認知症等を発症している可能性を判定する。出力ステップでは、判定ステップで判定された可能性を示す認知症情報を出力する。
この制御プログラムを認知症判定装置(コンピュータ)にインストールして、プロセッサ104に実行させることにより、ユーザが軽度認知症等を発症している可能性を示す認知症情報が出力され得る。