以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態に係る燃料電池装置10は、セルスタック110と、燃焼器130と、改質器120と、蒸発器200と、を備えている。
セルスタック110は、複数の単セル(不図示)の集合体である。それぞれの単セルは、固体酸化物形の燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)であって、平板状の固体電解質の一方側の面に燃料極(アノード)が形成され、他方側の面に空気極(カソード)が形成された構成となっている。これら燃料極及び空気極は、いずれも導電性のセラミックスで形成された多孔質体である。
セルスタック110には、配管156と、配管164とが接続されている。配管156は、後述の改質器120において生成された水素含有ガス(以下、「燃料ガス」とも称する)をセルスタック110に供給するための配管である。配管156を通ってセルスタック110に供給された燃料ガスは、それぞれの単セルの燃料極に到達し、発電に供される。
配管164は、後述の空気ブロア162から送り込まれた発電用の空気(酸化剤)をセルスタック110に供給するための配管である。配管164を通ってセルスタック110に供給された空気は、それぞれの単セルの空気極に到達し、発電に供される。
燃焼器130は、発電に寄与することなくセルスタック110から排出された残余の燃料ガス(以下、「残余燃料」とも称する)を燃焼させるためのバーナーである。燃焼器130には、配管157と、配管165と、配管191とがそれぞれ接続されている。
配管157は、セルスタック110から排出された残余燃料を燃焼器130に供給するための配管である。配管157は、一端がセルスタック110に接続されており、他端が燃焼器130に接続されている。
配管165は、発電に寄与することなくセルスタック110から排出された残余の空気を、燃焼器130に供給するための配管である。配管165は、一端がセルスタック110に接続されており、他端が燃焼器130に接続されている。
燃焼器130では、配管157を通った残余燃料と、配管165を通った残余の空気との混合気体が燃焼し、高温の燃焼排ガスが生じる。配管191は、このように生じた燃焼排ガスを外部に排出するための配管である。配管191は、その一端が燃焼器130に接続されている。また、配管191の他端側は2つの配管(配管192、配管194)に分岐している。
配管192は、配管191を通った燃焼排ガスを、改質器120及び後述の熱交換器180へと導くための配管である。配管192を通る燃焼排ガスは、改質器120における改質触媒等の加熱、及び熱交換器180における空気の加熱にそれぞれ供された後、外部へと排出される。
配管194は、配管191を通った燃焼排ガスを蒸発器200へと導くための配管である。配管194を通る燃焼排ガスは、蒸発器200における水の加熱に供された後、外部へと排出される。
改質器120は、原燃料ガス(都市ガス)及び水蒸気の供給を受けて水蒸気改質を行い、これにより燃料ガスを生成するものである。改質器120には、配管156の上流側端部が接続されている。また、改質器120には、配管154の下流側端部も接続されている。配管154は、改質器120に原燃料ガス及び水蒸気等を供給するための配管である。配管154の上流側端部は蒸発器200に接続されている。また、配管154の途中には、ガスブロア142から伸びる配管143の下流側端部が接続されている。
改質器120の内部には、アルミナの球体表面にニッケル等の触媒金属を担持させてなる改質触媒(不図示)が多数充填されている。配管154を通った原燃料ガス及び水蒸気が改質器120に供給されると、これらが改質触媒に触れることによって水蒸気改質反応が生じ、燃料ガスが生成される。既に述べたように、燃料ガスは配管156を通ってセルスタック110に供給される。
尚、改質器120において水蒸気改質反応が生じるためには、改質器120及び内部の改質触媒が高温(約700℃)となっている必要がある。また、水蒸気改質反応は吸熱反応であるため、反応を維持するためには、外部から改質器120に対して継続的に熱が加えられる必要がある。本実施形態では、燃焼排ガスが通る配管192の一部が改質器120の近傍に配置されている。具体的には、配管192の一部が改質器120の外壁に接しており、配管192を通る燃焼排ガスの熱が改質器120に伝達されるような構成となっている。燃焼排ガスの熱によって、改質器120の内部における水蒸気改質反応が維持される。
蒸発器200は、液体の水を加熱することによって水蒸気を発生させ、当該水蒸気を改質器120に供給するためのものである。本実施形態では、燃焼排ガスが通る配管194の一部が蒸発器200の近傍に配置されている。具体的には、配管194の一部が蒸発器200の外壁(図3に示される外壁211)に接しており、配管194を通る燃焼排ガスの熱が蒸発器200に伝達されるような構成となっている。燃焼排ガスの熱によって、蒸発器200に貯えられた水が加熱されて沸騰し、水蒸気が発生する。尚、蒸発器200の具体的な構成については後に詳しく説明する。
セルスタック110に供給される空気の流れについて説明する。空気は、空気供給源160から配管161を通って燃料電池装置10に供給され、空気ブロア162によってセルスタック110へと送り込まれる。本実施形態においては、空気供給源160は大気である。配管161は、空気供給源160と空気ブロア162とを繋ぐ配管である。空気ブロア162は、空気を加圧して下流側に送り出すための装置である。
空気ブロア162とセルスタック110との間には、熱交換器180が設けられている。空気ブロア162と熱交換器180との間は配管163で繋がれており、熱交換器180とセルスタック110との間は配管164で繋がれている。熱交換器180は、配管192を通る高温の燃焼排ガスと、配管163を通る空気との間で熱交換を行わせることにより、空気を加熱するための熱交換器である。空気は、熱交換器180において加熱されその温度を上昇させた後に、配管164を通ってセルスタック110に供給される。
改質器120に供給される原燃料ガスの流れについて説明する。原燃料ガスである都市ガスは、原燃料供給源140から配管141を通って燃料電池装置10に供給され、ガスブロア142によって改質器120へと送り込まれる。本実施形態においては、原燃料供給源140はガスメータである。配管141は、原燃料供給源140とガスブロア142とを繋ぐ配管である。ガスブロア142は、原燃料ガスを加圧して下流側に送り出すための装置である。
既に述べたように、ガスブロア142から伸びる配管143の下流側端部は、配管154の途中に接続されている。ガスブロア142から送り出された原燃料ガスは、配管143を通って配管154に流入し、蒸発器200からの水蒸気の流れと合流する。その後、水蒸気と共に配管154を通って改質器120に供給される。
改質器120に供給される水蒸気の流れについて説明する。水蒸気の原料となる液体の水は、水供給源150から配管151を通った後、水供給ポンプ152によって蒸発器200へと送り込まれる。本実施形態では、水供給源150は燃料電池装置10に設けられた給水タンクである。本実施形態では、熱交換器180等において生じた凝縮水、すなわち燃焼排ガスに含まれていた水が回収され、当該水が給水タンク(水供給源150)に貯えられ再利用される構成となっている。尚、燃焼排ガスから凝縮水を回収して再利用するための構成としては公知のものを採用し得るので、図1においてはその図示を省略している。
配管151は、水供給源150と水供給ポンプ152とを繋ぐ配管である。水供給ポンプ152は、液体の水を加圧して下流側に送り出すための装置である。
水供給ポンプ152と蒸発器200との間には水位調整部300が配置されている。水供給ポンプ152と水位調整部300との間は配管153で接続されている。水供給ポンプ152から送り出された水は、配管153及び水位調整部300を経由して蒸発器200に供給される。水位調整部300の具体的な構成や機能については後に説明する。
蒸発器200に供給された水は、配管194を通る燃焼排ガスによって加熱されて沸騰し、水蒸気となる。既に述べたように、当該水蒸気は配管154において原燃料ガスと混合され、原燃料ガスと共に改質器120へと供給される。
蒸発器200及び水位調整部300の構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2に示されるように、蒸発器200及び水位調整部300はいずれも円筒形状の容器として構成されており、それぞれの中心軸を互いに一致させた状態で配置されている。
図3には、中心軸を含む面で切断した場合における蒸発器200及び水位調整部300のそれぞれの断面と、その周囲における構成(水供給ポンプ152等)とが模式的に示されている。尚、蒸発器200及び水位調整部300の断面は左右対称であるから、図3においてはその片側部分のみが示されている。また、図3においては、配管194のうち蒸発器200に接する部分の断面も示されている。
水位調整部300は、溜水部310と、配管320とを有している。溜水部310は円筒形状の容器であって、水位調整部300のうち大部分を占める部分である。溜水部310は、外壁311と、内壁312と、天壁313と、底壁314とを有している。
外壁311は円筒形状の壁であって、溜水部310のうち外周側に配置されている。また、内壁312は円筒形状の壁であって、溜水部310のうち内周側に配置されている。外壁311の中心軸と内壁312の中心軸とは、いずれも鉛直方向に沿っており、且つ互いに一致している。また、外壁311と内壁312とは、互いに同じ高さとなる位置に設けられている。
天壁313は、溜水部310の上方側部分を塞ぐ壁である。天壁313は水平面に沿って配置されており、外壁311の上端と内壁312の上端とを繋いでいる。底壁314は、溜水部310の下方側部分を塞ぐ壁である。底壁314は水平面に沿って配置されており、外壁311の下端と内壁312の下端とを繋いでいる。
溜水部310の内部には空間SP1が形成されている。当該空間SP1は、外壁311、内壁312、天壁313、及び底壁314によって外部から区画された空間である。溜水部310の側面、具体的には内壁312には、水供給ポンプ152から伸びる配管153の端部が接続されている。水供給ポンプ152から送り出された水は、配管153を通って空間SP1に流入する。溜水部310には当該水(以下では「水WT」と表記する)が貯えられている。図3では、溜水部310に貯えられている水WTの水面が、水面WS1として示されている。
配管320は、外壁311から更に外方に向かって伸びるように設けられた配管である。配管320は、溜水部310の空間SP1と、貯水部210(後述)の空間SP2とを連通させる配管となっている。また、外壁311のうち配管320の一端が接続されている部分の位置は、水面WS1よりも低い位置となっている。溜水部310に供給され貯えられている水WTは、配管320を通って貯水部210に供給される。配管320は、貯水部210と溜水部310とを連通させる「液体用連通部」として機能する。
尚、本実施形態における配管320は、外壁311と内壁312との間において複数本設けられている。それぞれの配管320の形状は互いに同一である。また、それぞれの配管320は、互いに同じ高さとなる位置において、外壁311の周方向に沿って等間隔に並ぶように設けられている。
蒸発器200は、貯水部210を有している。貯水部210は、溜水部310と同様の円筒形状の容器である。貯水部210は、外壁211と、内壁212と、天壁213と、底壁214とを有している。
外壁211は円筒形状の壁であって、貯水部210のうち外周側に配置されている。また、内壁212は円筒形状の壁であって、貯水部210のうち内周側に配置されている。外壁311の中心軸と内壁312の中心軸とは、いずれも鉛直方向に沿っており、且つ互いに一致している。また、外壁211と内壁212とは、互いに同じ高さとなる位置に設けられている。
天壁213は、貯水部210の上方側部分を塞ぐ壁である。天壁213は水平面に沿って配置されており、外壁211の上端と内壁212の上端とを繋いでいる。底壁214は、貯水部210の下方側部分を塞ぐ壁である。底壁214は水平面に沿って配置されており、外壁211の下端と内壁212の下端とを繋いでいる。
本実施形態では、内壁212の中心軸と外壁311の中心軸とが互いに一致している。また、内壁212と外壁311とは、互いに同じ高さとなる位置に設けられている。その結果、内壁212と外壁311とは対向しており、両者の間が複数の配管320で繋がれている。
貯水部210の内部には空間SP2が形成されている。当該空間SP2は、外壁211、内壁212、天壁213、及び底壁214によって外部から区画された空間である。既に述べたように、空間SP2は、配管320によって空間SP1と連通されている。このため、空間SP2にも水WTが貯えられている。図3では、貯水部210に貯えられている水WTの水面が、水面WS2として示されている。水面WS2の高さは、水面WS1の高さと概ね等しい。
燃焼排ガスが通る配管194は、内壁194aと外壁194bとを有している。内壁194a及び外壁194bはいずれも円筒形状の壁である。内壁194a及び外壁194bは、それぞれの中心軸を互いに一致させた状態で配置されている。また、当該中心軸は、外壁211の中心軸とも一致している。内壁194aの外径は、外壁194bの内径よりも小さい。このため、内壁194aと外壁194bとの間には空間が形成されており、当該空間を燃焼排ガスが上方から下方に向かって流れるように構成されている。
貯水部210のうち外壁211の外周面は、その全体が内壁194aの内周面に当接している。このため、配管194を高温の燃焼排ガスが流れているときには、外壁211が加熱されて高温となる。その結果、貯水部210に貯えられている水は、貯水部210の壁面(外壁211)からの伝熱によって加熱され、沸騰して水蒸気となる。その際、空間SP2のうち水面WS2よりも上方側の部分は、当該水蒸気で満たされた状態となる。
尚、水蒸気の発生量は、貯水部210に貯えられている水WTと、外壁211との接触面積に概ね比例する。このため、貯水部210の水位(つまり底壁214から水面WS2までの高さ)が高くなると水蒸気の発生量が多くなり、貯水部210の水位が低くなると水蒸気の発生量が少なくなる。このように、蒸発器200は、貯水部210の水位に応じて水蒸気の発生量を変化させる構成となっている。
例えば、セルスタック110での発電量が大きくなるときには、水供給ポンプ152から水位調整部300に供給される水の流量が大きくされる。これにより、溜水部310の水位(つまり底壁314から水面WS1までの高さ)及び貯水部210の水位がいずれも高くなり、水蒸気の発生量が増加する。逆に、セルスタック110での発電量が小さくなるときには、水供給ポンプ152から水位調整部300に供給される水の流量が小さくされる。これにより、溜水部310の水位及び貯水部210の水位がいずれも低くなり、水蒸気の発生量が減少する。このような制御は、燃料電池装置10の動作を制御する制御装置(不図示)によって実行される。
尚、溜水部310の水位は上記のように変動するのであるが、配管320は、水位が変動し得る範囲のうち最も低い位置、よりも更に低い位置に設けられている。このため、配管320の内部は常に水WTで満たされた状態となっている。
配管154のうち蒸発器200側の端部は、貯水部210の天壁213に接続されている。貯水部210の空間SP2で生じた水蒸気は、既に述べたように配管154を通って改質器120に供給され、水蒸気改質反応に供される。
ところで、蒸発器200のような水を沸騰させる装置においては、「突沸」と称される現象が生じることが知られている。突沸とは、水が突然沸騰し、一時的に水蒸気の発生量が増加してしまう現象である。突沸により生じた水蒸気がそのまま改質器120に供給されてしまうと、改質器120では、供給される水蒸気と原燃料ガスとの間における量のバランスが崩れてしまう。
本実施形態では、水供給ポンプ152と蒸発器200との間に水位調整部300が設けられており、これにより改質器120に供給される水蒸気の量の変動が抑制される構成となっている。これについて、図4を参照しながら説明する。
図4(A)に示されるのは、貯水部210における水蒸気の発生量の時間変化である。ここでいう「発生量」とは、単位時間あたりにおいて生じる水蒸気の質量、のことである。図4(B)に示されるのは、空間SP2における圧力の時間変化である。本実施形態では、当該圧力は空間SP2における水蒸気圧に等しい。図4(C)に示されるのは、貯水部210における水位の時間変化である。図4(D)に示されるのは、溜水部310における水位の時間変化である。尚、それぞれの図に示される物理量の時間変化は、実際には曲線状の変化となるのであるが、図4においては直線状の変化として模式的に示されている。
図4に示される例では、時刻t1までの期間においては突沸が生じておらず、貯水部210においては水の沸騰が安定している。このため、水蒸気の発生量は一定である(図4(A))。当該期間では、空間SP2の圧力は一定であり(図4(B))、貯水部210の水位及び溜水部310の水位も一定である(図4(C)、図4(D))。また、貯水部210の水位と溜水部310の水位とは互いに等しい。
時刻t1において突沸が生じると、当該時点から水蒸気の発生量が増加し(図4(A))、これに伴って空間SP2の圧力が上昇する(図4(B))。空間SP2と空間SP1との間で圧力差が生じるので、当該圧力差により水面WS2が押し下げられる。つまり、貯水部210の水位が低下する(図4(C))。これに伴い、貯水部210に貯えられていた水WTの一部は、配管320を通って溜水部310に移動する。その結果、溜水部310の水位は上昇する(図4(D))。
時刻t2において突沸が収まると、水蒸気の発生量はその後低下し、時刻t3において元の発生量に戻る(図4(A))。空間SP2における圧力も同様に、時刻t2から時刻t3にかけて低下し、時刻t3以降は元の圧力に戻る(図4(B))。
貯水部210から溜水部310に移動していた水WTは、時刻t3以降は配管320を通って貯水部210に戻る。このため、貯水部210の水位は、時刻t2から時刻t3にかけて上昇し、時刻t3以降は元の水位に戻る(図4(C))。また、溜水部310の水位は、時刻t2から時刻t3にかけて低下し、時刻t3以降は元の水位に戻る(図4(D))。
突沸の影響により水蒸気の発生量が増加する期間、すなわち時刻t1から時刻t3までの期間では、上記のように貯水部210の水位が低下する。その際、貯水部210の内部では、水WTと外壁211との接触面積が減少するので、外壁211からの加熱に伴う水の沸騰量が減少する。その結果、貯水部210では、突沸に伴う水蒸気の増加と、水位の低下に伴う沸騰量の減少とが相殺され、蒸発器200から改質器120に供給される水蒸気の量は概ね一定に抑えられる。
以上のように、燃料電池装置10では、水供給ポンプ152と蒸発器200との間に水位調整部300が設けられている。突沸により貯水部210の内部で水蒸気の圧力上昇が生じると、水位調整部300が貯水部210からの水WTを受け入れる結果、貯水部210の水位が低下する。つまり、水位調整部300は、貯水部210における水蒸気の圧力上昇に伴って、貯水部210の水位を低下させる機能を有している。当該機能により、改質器120に供給される水蒸気の量の変動が抑制されている。
尚、上記のような機能を実現するにあたっては、例えば、空間SP2の圧力を検知するセンサと、空間SP2から水を排出するためのポンプと、をそれぞれ設け、圧力をフィードバックしながらポンプを動作させることで空間SP2の圧力を一定に保つ構成としてもよい。ただしその場合には、装置が複雑になってしまうことや、高速の制御を行う必要が生じてしまうことにより、燃料電池装置10のコストが大きくなり過ぎてしまうことが懸念される。このため、本実施形態のように、追加のセンサや制御を必要としない構成とした方が望ましい。
本発明の第2実施形態について、図5を参照しながら説明する。本実施形態では、貯水部210の内部に複数の球体BLが充填されている点において第1実施形態と異なっており、他の構成については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
球体BLは、アルミナによって形成された球体である。貯水部210では球体BLが充填されていることにより、その容積(つまり、水WTが存在し得る空間の大きさ)が小さくなっている。一方、溜水部310には球体BLが充填されていない。このため、本実施形態では、溜水部310の容積が、貯水部210の容積よりも大きくなっている。
図6には、本実施形態に係る貯水部210で突沸が生じた場合における、水蒸気の発生量の時間変化等が示されている。図6(A)乃至(D)のそれぞれが示す対象は、図4(A)乃至(D)のそれぞれが示す対象と同じである。また、図6においても、時刻t1において突沸が生じ、その影響(圧力上昇や水位の変化)が時刻t3までの期間において生じている例が示されている。
本実施形態でも、突沸が生じると、水WTの一部が貯水部210から溜水部310へと移動する。これにより、貯水部210の水位は低下し(図6(C))、溜水部310の水位は上昇する(図6(D))。ただし、貯水部210の容積は上記のように小さいので、貯水部210における水位の変化量(低下量)は、溜水部310における水位の変化量(上昇量)よりも大きくなっている。尚、図6(C)の点線L1は、図4(C)に示される時間変化、すなわち第1実施形態における貯水部210の水位の変化である。また、図6(D)の点線L2は、図4(D)に示される時間変化、すなわち第1実施形態における溜水部310の水位の変化である。
このように、本実施形態では、突沸によって生じる水蒸気の量が同じであったとしても、それに伴う貯水部210の水位の変化量が第1実施形態に比べて大きくなる。これにより、改質器120に供給される水蒸気の量の変動を更に抑制することが可能となっている。
尚、貯水部210の容積を小さくするとともに、溜水部310の容積を小さくすることも考えられる。しかしながらその場合には、突沸が生じた際における溜水部310の水位の上昇量も大きくなってしまう。つまり、溜水部310に少量の水が移動しただけで、水面WS1と水面WS2との高低差が大きくなり、ヘッド圧も大きくなってしまう。
その結果、貯水部210の容積と溜水部310の容積との両方を小さくした場合には、突沸が生じた際における貯水部210の水位は僅かしか低下しない。貯水部210における水位の低下量を大きくするには、本実施形態のように、溜水部310の容積を貯水部210の容積よりも大きくしておくことが望ましい。
尚、溜水部310と貯水部210との間で容積を異ならせるための方法としては、本実施形態のように貯水部210に球体BLを充填してもよいのであるが、貯水部210の形状自体を小さくしてもよい。例えば、外壁211と内壁212との間の隙間を狭くすることで、貯水部210の容積を小さくしてもよい。
本発明の第3実施形態について、図7を参照しながら説明する。本実施形態では、貯水部210と溜水部310との間が配管330でも繋がれている点において第1実施形態と異なっており、他の構成については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
配管330は、配管320と同様に、空間SP1と空間SP2とを連通させる配管となっている。配管330の一端は溜水部310の外壁311に接続されており、配管330の他端は貯水部210の内壁212に接続されている。配管330は、配管320と同様に複数本設けられている。配管330の流路断面積は、配管320の流路断面積よりも小さくなっている。尚、ここでいう「配管320の流路断面積」とは、複数本設けられた配管320のそれぞれの流路断面積を、全ての配管320について合計したもの、のことである。同様に、「配管330の流路断面積」とは、複数本設けられた配管330のそれぞれの流路断面積を、全ての配管330について合計したもの、のことである。
外壁311のうち配管330の一端が接続されている部分の位置は、水面WS1や水面WS2よりも高い位置となっている。このため、貯水部210に貯えられている水WTの一部が配管320を通り溜水部310に移動すると、水面WS1よりも上方側に存在していた気体は、配管330を通って貯水部210へと移動する。配管330は、貯水部210と溜水部310とを連通させる「気体用連通部」として機能する。
尚、溜水部310の水位は突沸に伴って変動するのであるが、配管330は、水位が変動し得る範囲のうち最も高い位置、よりも更に高い位置に設けられている。このため、配管330の内部は常に気体で満たされた状態となっている。
このような構成において突沸が生じると、本実施形態でも水面WS2が低下し、水WTの一部が配管330を通って溜水部310に移動する。その際、水面WS1は上昇するのであるが、水面WS1よりも上方側に存在していた気体(水蒸気や、水WTに溶け込んでいた二酸化炭素等)は、配管320を通って貯水部210へと移動する。水面WS1が上昇しても、空間SP1における気体の圧力は上昇しないので、水面WS1の上昇が気体の圧力により妨げられることが無い。その結果、貯水部210の水位は比較的スムーズに低下するので、改質器120に供給される水蒸気の量の変動はより効果的に抑制されることとなる。
尚、突沸によって生じた水蒸気の一部は、配管330を通って溜水部310へと移動する。しかしながら、配管330の流路断面積は小さいので、上記のような水蒸気の移動が生じてもその量は僅かであり、突沸による貯水部210の圧力上昇は殆ど抑制されない。つまり、配管330によって水位調整部300の機能が妨げられてしまうことは無い。
本発明の第4実施形態について、図8を参照しながら説明する。本実施形態では、蒸発器200と水位調整部300とが一体に形成されている点において第1実施形態と異なっており、他の構成については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
本実施形態では、円筒形状の容器210Aの一部が蒸発器200となっており、残部が水位調整部300となっている。容器210Aは、外壁211Aと、内壁212Aと、天壁213Aと、底壁214Aと、区画壁215Aと、を有している。
外壁211Aは円筒形状の壁であって、容器210Aのうち外周側に配置されている。また、内壁212Aは円筒形状の壁であって、容器210Aのうち内周側に配置されている。外壁211Aの中心軸と内壁212Aの中心軸とは、いずれも鉛直方向に沿っており、且つ互いに一致している。また、外壁211Aと内壁212Aとは、互いに同じ高さとなる位置に設けられている。
天壁213Aは、容器210Aの上方側部分を塞ぐ壁である。天壁213Aは水平面に沿って配置されており、外壁211Aの上端と内壁212Aの上端とを繋いでいる。底壁214Aは、容器210Aの下方側部分を塞ぐ壁である。底壁214Aは水平面に沿って配置されており、外壁211Aの下端と内壁212Aの下端とを繋いでいる。
区画壁215Aは円筒形状の壁であって、容器210Aの内部に配置されている。容器210Aの中心軸は外壁211Aの中心軸と一致している。区画壁215Aの上端は天壁213Aの下面まで伸びており、区画壁215Aの下端は底壁214Aの上面まで伸びている。このため、容器210Aの内部空間は、区画壁215Aによって2つの空間(SP1、SP2)に区画されている。
区画壁215Aのうち下方側部分には貫通穴320A(開口)が形成されている。また、区画壁215Aのうち上方側部分には貫通穴330A(開口)が形成されている。これら2つの貫通穴により、空間SP1と空間SP2とが連通されている。
内壁212Aには、水供給ポンプ152から伸びる配管153の端部が接続されている。水供給ポンプ152から送り出された水は、配管153を通って空間SP1に流入する。このため、空間SP1には水WTが貯えられている。また、水WTは貫通穴320Aを通って空間SP2に流入するので、空間SP2にも水WTが貯えられている。
外壁211Aの外周面は、その全体が内壁194aの内周面に当接している。このため、配管194を高温の燃焼排ガスが流れているときには、外壁211Aが加熱されて高温となる。その結果、空間SP2に貯えられている水WTは、外壁211Aからの伝熱によって加熱され、沸騰して水蒸気となる。その際、空間SP2のうち水面WS2よりも上方側の部分は、当該水蒸気で満たされた状態となる。
配管154のうち蒸発器200側の端部は、天壁213Aのうち空間SP2側の部分に接続されている。空間SP2で生じた水蒸気は、配管154を通って改質器120に供給され、水蒸気改質反応に供される。
以上の説明で明らかなように、本実施形態では、外壁211A、区画壁215A、天壁213A、底壁214A、及びこれらによって区画された空間SP2が、蒸発器200の貯水部210として機能する部分となっている。また、内壁212A、区画壁215A、天壁213A、底壁214A、及びこれらによって区画された空間SP1が、水位調整部300の溜水部310として機能する部分となっている。このような構成は、貯水部210と溜水部310とが側壁(215A)を共有しており、当該側壁を介して互いに隣り合うように配置された構成、ということができる。
貫通穴320Aは、空間SP1(溜水部310)の水位が変動し得る範囲のうち最も低い位置、よりも更に低い位置に形成されている。このため、貫通穴320Aの内側は常に水WTで満たされた状態となっている。貫通穴320Aは、区画壁215Aの周方向に沿って並ぶよう、同じ高さにおいて複数個形成されている。
貫通穴330Aは、空間SP1(溜水部310)の水位が変動し得る範囲のうち最も高い位置、よりも更に高い位置に形成されている。このため、貫通穴330Aの内側は常に気体で満たされた状態となっている。貫通穴330Aは、区画壁215Aの周方向に沿って並ぶよう、同じ高さにおいて複数個形成されている。
貫通穴330Aの流路断面積(開口面積)は、貫通穴320Aの流路断面積(開口面積)よりも小さい。尚、ここでいう「貫通穴320Aの流路断面積」とは、複数個形成された貫通穴320Aのそれぞれの流路断面積を、全ての貫通穴320Aについて合計したもの、のことである。同様に、「貫通穴330Aの流路断面積」とは、複数個形成された貫通穴330Aのそれぞれの流路断面積を、全ての貫通穴330Aについて合計したもの、のことである。
本実施形態における貫通穴320Aは、第1実施形態における配管320、すなわち「液体用連通部」として機能する。また、本実施形態における貫通穴330Aは、第1実施形態における配管330、すなわち「気体用連通部」として機能する。それぞれの機能及び効果は第1実施形態において説明したものと同じであるから、その説明を省略する。
尚、本実施形態の構成においては、貫通穴320Aを、区画壁215Aの周方向に沿ってスリット状に伸びるように形成することもできる。液体連通部として複数の配管320を設ける場合に比べて、液体連通部の流路断面積を大きくすることが可能である。この場合、貫通穴320Aの個数は1個であってもよい。
同様に、本実施形態の構成においては、貫通穴330Aを、区画壁215Aの周方向に沿ってスリット状に伸びるように形成することもできる。気体連通部として複数の配管330を設ける場合に比べて、気体連通部の流路断面積を大きくすることが可能である。この場合、貫通穴330Aの個数は1個であってもよい。
本発明の第5実施形態について、図9を参照しながら説明する。本実施形態では、配管154の途中に絞り部401が設けられている点において第1実施形態と異なっており、他の構成については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
絞り部401は、配管154のうち、配管143の接続箇所よりも下流側となる位置に設けられている。絞り部401は、当該部分における配管154の流路を絞り、その流路断面積を狭くするものである。このように、本実施形態では、蒸発器200から改質器120に向かって水蒸気が流れる流路(配管154)の途中において、当該流路を絞る絞り部401が設けられている。
図10には、本実施形態に係る貯水部210で突沸が生じた場合における、水蒸気の発生量の時間変化等が示されている。図10(A)乃至(D)のそれぞれが示す対象は、図4(A)乃至(D)のそれぞれが示す対象と同じである。また、図10においても、時刻t1において突沸が生じ、その影響(圧力上昇や水位の変化)が時刻t3までの期間において生じている例が示されている。
時刻t1において突沸が生じると、空間SP2における水蒸気の発生量が一時的に増加する。しかしながら、本実施形態では配管154に絞り部401が設けられているので、空間SP2から水蒸気がスムーズには排出されない。このため、図10(B)に示されるように、空間SP2における圧力の上昇量は、第1実施形態の場合に比べて大きくなっている。尚、図10(B)の点線L3は、図4(B)に示される時間変化、すなわち第1実施形態における空間SP2の圧力変化である。
空間SP2における圧力の上昇量が大きくなるので、貯水部210における水位の低下量も、第1実施形態の場合に比べて大きくなる(図10(C))。また、溜水部310における水位の上昇量も、第1実施形態の場合に比べて大きくなる(図10(D))。
このように、本実施形態では、突沸によって生じる水蒸気の量が同じであったとしても、それに伴う貯水部210の水位の変化量が第1実施形態に比べて大きくなる。これにより、改質器120に供給される水蒸気の量の変動を更に抑制することが可能となっている。
本発明の第6実施形態について、図11を参照しながら説明する。本実施形態では、配管330の途中に開閉弁331が設けられている点、及び開閉弁331の動作を制御する制御部350が設けられている点、において第3実施形態(図7)と異なっており、他の構成については第3実施形態と同じである。以下では、第3実施形態と異なる点についてのみ説明し、第3実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
図11においては、空間SP1と空間SP2とを連通させる配管330が(図7とは異なり)模式的に描かれている。また、図11においては、配管330の両端がそれぞれ天壁213、天壁313に接続されているように描かれているのであるが、配管330の接続箇所は、図7に示される第3実施形態の場合と同じである。
配管330の途中に設けられた開閉弁331は、内部の弁体(不図示)を電磁力によって駆動させ、その開閉を切り換えることのできる装置である。このような開閉弁331の動作は、後述の制御部350によって制御される。尚、開閉弁331の構成は、全開状態又は全閉状態のいずれかのみをとり得るような構成であってもよく、その開度を滑らかに変化させることのできる構成であってもよい。
制御部350は、CPU、ROM、RAM等を有するコンピュータシステムとして構成されている。本実施形態に係る制御部350は、燃料電池装置10の全体の動作を制御する制御装置(不図示)から送信される制御信号に基づいて、開閉弁331の動作を制御する。尚、このような態様に替えて、燃料電池装置10の全体の動作を制御する制御装置の一部として制御部350が構成されていてもよい。
通常時においては、開閉弁331は全開状態とされている。空間SP2で水蒸気が生じると、その一部は配管330を通って空間SP1に流入するので、空間SP1は水蒸気で満たされている。また、空間SP1と空間SP2との間が配管330及び配管320で連通されているので、貯水部210の水位と溜水部310の水位とは等しくなっている。
このような状態で開閉弁331が全閉状態に切り換えられると、空間SP1には水蒸気が流入しなくなる。空間SP1では、水面WS1の上方側の空間を満たしていた水蒸気が凝縮し始めることにより、水面WS1が上昇して行く。これに伴い、貯水部210に貯えられていた水WTの一部が、配管320を通って溜水部310側に流入するので、水面WS2は低下して行く。図12には、水面WS1及び水面WS2のそれぞれが上記のように移動した後の状態が示されている。
水面WS1が低下すると、貯水部210に貯えられている水WTと(高温の)外壁211との接触面積は低下するので、空間SP2で生じる水蒸気の量が低下する。以上のように、制御部350によって開閉弁331が全閉状態に切り換えられると、蒸発器200から改質器120に供給される水蒸気の流量が低下する。
例えば、セルスタック110における発電量を急激に小さくする場合には、改質器120に供給される水蒸気の流量を低下させる必要がある。しかしながら、水供給ポンプ152の動作を停止させただけでは、水蒸気の流量は(蒸発による水位の低下に応じて)ゆっくりとしか低下しない。
そこで、本実施形態では、セルスタック110における発電量を急激に小さくする必要が生じた場合、開閉弁331の開度を変化させるための制御信号が、燃料電池装置10の全体の動作を制御する制御装置から制御部350に向けて送信される。当該制御信号を受けて、制御部350は開閉弁331を全閉状態に切り換える。これにより、蒸発器200から改質器120に供給される水蒸気の流量が急激に低下する。
尚、開閉弁331の開度を滑らかに変化させることができる場合には、水蒸気の流量の低下速度をより細やかに調整することができる。また、開閉弁331が開閉動作を繰り返す際のデューティ比を変化させることにより、水蒸気の流量の低下速度を調整するような態様であってもよい。
本発明の第7実施形態について、図13を参照しながら説明する。以下では、第7実施形態のうち第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
本実施形態に係る燃料電池装置10Aは、図1に示される燃料電池装置10に、還流配管158とエジェクタ400とを追加した構成となっている。還流配管158は、セルスタック110から排出された残余燃料の一部を改質器120に戻すための配管である。還流配管158の一端は、セルスタック110と燃焼器130とを繋ぐ配管157の途中に接続されている。還流配管158の他端は、エジェクタ400の吸引口431(後述)に接続されている。
エジェクタ400の具体的な構成について、図14を参照しながら説明する。エジェクタ400は、駆動流体の流れを利用して被駆動流体を吸引する流体ポンプとして機能するものである。エジェクタ400は、ケース410と、ノズル420と、吸引部430と、を備えている。
ケース410は、内部に空間が形成された筒状の部材である。当該空間は直線状の流路として形成されている。ケース410は、流体の流れる方向(図14では左右方向)に対して垂直な断面の形状が円形となっている。ただし、その直径(断面の内径及び外径)は、上記方向に沿った各部において異なっている。ケース410のうち上流側(図14では左側)の端部は、壁413により塞がれている。ケース410のうち下流側(図14では右側)の端部には、流体の出口である排出口414が形成されている。
ケース410は、本体部411と、ディフューザ部412と、を有しており、これらが一体となるように形成されている。本体部411は、ケース410のうち最も上流側の部分である。本体部411のうちディフューザ部412側の部分はテーパー状に形成されており、下流側に行くほどその内径が小さくなっている。本体部411は、吸引部430を通ってエジェクタ400に吸引された被駆動流体を受け入れる部分となっている。
ディフューザ部412は、ケース410のうち本体部411よりも下流側の部分である。混合部220は円筒形状となっており、その内径は下流側の部分において大きくなっている。ディフューザ部412は、流体(駆動流体及び被駆動流体)がその圧力を上昇させながら流れる部分となっている。ディフューザ部412の下流側端部には、既に述べたように排出口414が形成されている。
ノズル420は、ケース410の内部において駆動流体を噴射するための部材である。ノズル420は略円筒形状となっており、その内部には直線状の空間が形成されている。当該空間が、駆動流体の流れる流路となっている。ノズル420の中心軸はケース410の中心軸に一致している。ノズル420は、ケース410の壁413を垂直に貫いた状態で、ケース410に対して固定されている。
ノズル420のうち上流側の端部は、ケース410の外側に向けて突出している。当該端部には、駆動流体の入口である供給口421が形成されている。ノズル420のうち下流側の端部近傍の部分はテーパー状に形成されており、下流側に行くほどその内径が小さくなっている。ノズル420の下流側の端部には、駆動流体の出口である噴射口422が形成されている。供給口421からノズル420に供給された駆動流体は、その流速を高めながらノズル420の内部を流れた後、ケース410の内部において噴射口422から噴射される。駆動流体が流れて噴射される方向は、ディフューザ部412を流体が流れる方向と同一である。
吸引部430は円筒形状の配管であって、その一端がケース410のうち本体部411の側壁に接続されている。吸引部430の内部空間と、本体部411の内部空間とは繋がっている。吸引部430は、エジェクタ400に吸引される被駆動流体をケース410の内部に導くための部分となっている。吸引部430の中心軸は、ケース410の中心軸に対して垂直に交差している。本実施形態では、吸引部430はケース410と一体に形成されている。
ノズル420の噴射口422から駆動流体が噴射されると、駆動流体の流れに起因して、ケース410の内部における圧力は低下する。これにより、吸引部430から被駆動流体が吸引され、本体部411の内部に流入する。吸引された被駆動流体は、ケース410の内部において駆動流体と合流し、駆動流体と混合されながら下流側に向かって流れる。その際、混合流体の圧力は、下流側に行くに従って次第に大きくなる。混合流体は、圧力を上昇させながらディフューザ部412を流れた後、排出口414から外部へと排出される。
図13に戻って説明を続ける。燃料電池装置10Aでは、蒸発器200から伸びる配管154の端部がエジェクタ400の供給口421に接続されている。また、エジェクタ400の排出口414と改質器120との間が配管155によって接続されている。
このような構成においては、水蒸気と原燃料ガスとの混合気体がノズル420に供給され、駆動流体としてノズル420の噴射口422から噴射される。これに伴い、吸引部430から残余燃料が被駆動流体として吸引され、本体部411の内部に流入する。エジェクタ400の排出口414からは、水蒸気、原燃料ガス、及び残余燃料の混合気体が排出され、当該混合気体が配管155を通って改質器120に供給される。蒸発器200で生じた水蒸気の流れを利用して、残余燃料を回収し再利用することができるので、燃料電池装置10を高い発電効率で運転させることが可能となっている。
その他の構成について、図15を参照しながら説明する。本実施形態では、第6実施形態(図11)と同様に、配管330、開閉弁331、制御部350が設けられている。本実施形態においても、通常時においては開閉弁331が全開状態とされている。また、配管143の途中には圧力センサ402が設けられている。圧力センサ402は、配管143の内部の圧力、すなわち原燃料ガスの圧力を測定するためのセンサである。圧力センサ402によって測定された圧力は、制御部350に入力される。
既に述べたように、本実施形態においては、貯水部210と改質器120との間を繋ぐ配管(154、155)の途中にエジェクタ400が設けられている。貯水部210で生じた水蒸気は、エジェクタ400のノズル420を通って改質器120に供給される。このため、本実施形態においては、水蒸気の流れる流路の途中が、ノズル420によって絞られている。つまり、エジェクタ400のノズル420が、第6実施形態(図11)の絞り部401と同様の機能を発揮する。その効果については第6実施形態と同じである。
本実施形態においては、駆動流体として用いられる水蒸気の流量変動が抑制されるので、還流配管158を介して吸引(再利用)される残余燃料の流量変動も合わせて防止される。
制御部350は、第6実施形態において説明したような制御を行うことに加えて、圧力センサ402で測定された圧力に基づいて開閉弁331の動作を変化させる制御をも行う。当該制御のために行われる処理の流れを、図16を参照しながら説明する。図16に示される一連の処理は、燃料電池装置10が動作している間、所定の周期が経過する毎に、制御部350によって繰り返し実行される。
最初のステップS01では、圧力センサ402の測定値、すなわち原燃料ガスの圧力が取得される。ステップS01に続くステップS02では、上記圧力が所定の閾値TH(図17(B)を参照)以上であるか否かが判定される。圧力が閾値TH以上であればステップS03に移行する。ステップS03では、開閉弁331が全閉状態に切り換えられる。
ステップS02において圧力が閾値TH未満であった場合には、ステップS04に移行する。ステップS04では、開閉弁331が全開状態に切り換えられる。すなわち、開閉弁331の状態が通常時の状態に戻される。
図17には、上記のような制御が行われる際における、水蒸気の発生量の時間変化等が示されている。図17(A)乃至(D)のそれぞれが示す対象は、図4(A)乃至(D)のそれぞれが示す対象と同じである。また、図17(E)には、開閉弁331の状態の変化が示されている。
図17の例では、時刻t11において原燃料ガスの圧力が閾値THを上回っている(図17(B))。このため、時刻t11においては、開閉弁331が全開状態から全閉状態に切り換えられる(図17(E))。
時刻t11以降においては、空間SP1には配管330からの水蒸気が流入しなくなる。このとき、図11及び図12を参照しながら説明した現象と同じ原理により、溜水部310の水位は上昇して行き(図17(D))、貯水部210の水位は低下して行く(図17(C))。その結果、空間SP2のうち水面WS2よりも上方側の空間が広くなるので、原燃料ガスの圧力は低下する。その後、時刻t12において閾値THを下回る。
時刻t12以降は、開閉弁331が再び全開状態に戻される(図17(E))。貯水部210の水位は時刻t12以降において上昇し、時刻t13以降は概ね一定となる(図17(C))。また、溜水部310の水位は時刻t12以降において低下し、時刻t13以降は概ね一定となる(図17(D))。
以上のように、本実施形態では、圧力センサ402で測定された圧力が上昇して所定の閾値THに到達すると、制御部350が開閉弁331の開度を小さくする。このような制御が行われることにより、配管143の内部における原燃料ガスの圧力が、概ね閾値THよりも低い状態に維持される。これにより、可燃性の原燃料ガス(都市ガス)の圧力が上昇し過ぎてしまい、例えば法規で定められた上限値を上回ってしまうようなことが確実に防止される。法規で定められた上限値よりも僅かに低い値が、閾値THとして設定されればよい。
尚、開閉弁331がその開度を滑らかに調整し得るように構成されている場合には、図16のステップS03において、開閉弁331の開度が小さくなるように(ただし全閉ではない)調整されてもよい。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。