JP2017199023A - 偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】スジ状欠陥が低減された偏光板を提供する。【解決手段】偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に積層される熱可塑性樹脂フィルムとを含む偏光板であって、式(1)で表される二乗平均平方根RMSが0.04°以下である偏光板。【選択図】なし

Description

本発明は、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムである延伸フィルムの製造方法に関する。また本発明は、当該延伸フィルムを用いて偏光フィルムを製造する方法に関する。さらに本発明は、偏光板に関する。
偏光板を構成する偏光フィルムとして、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料のような二色性色素を吸着配向させたものが従来用いられている。偏光フィルムは通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬する工程、ホウ酸等の架橋剤を含有する水溶液に浸漬する工程、及びポリビニルアルコール系樹脂フィルムに延伸処理を施す工程を含む方法によって製造される〔例えば、特開平09−184915号公報(特許文献1)〕。偏光板は、一般に、偏光フィルムの少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂からなる保護フィルムを、接着剤層を介して積層したものである。
特開平09−184915号公報
従来の偏光フィルム又は偏光板は、後述する実施例の項に記載の方法に従ってその表面を観察したとき、偏光フィルムの吸収軸方向に延びるスジ状のムラ(以下、本明細書において「スジ状欠陥」という。)を有することがある。偏光フィルムの製造においてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して実施される上述の延伸処理としては、液中で行う湿式延伸、空中で行う乾式延伸のいずれも公知であるが、スジ状欠陥は、乾式延伸を実施した場合に特有の現象であることが本発明者らの検討により明らかとなっている。スジ状欠陥は、偏光フィルム及び偏光板の外観を悪化させるだけでなく、それらの偏光性能にも悪影響を与え得る。
本発明の目的は、スジ状欠陥が低減された偏光フィルム又は偏光板を実現することができる延伸フィルムの製造方法、及びこの延伸フィルムを用いた偏光フィルムの製造方法、並びにスジ状欠陥が低減された偏光板を提供することにある。
本発明は、以下に示す延伸フィルムの製造方法、偏光フィルムの製造方法、及び偏光板を提供する。
[1] 幅方向における面内位相差値の平均値が5nm以下であるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用意する第1工程と、
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾式延伸して、延伸フィルムを得る第2工程と、
を含む、延伸フィルムの製造方法。
[2] 前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数が4%以下である、[1]に記載の延伸フィルムの製造方法。
[3] 前記第1工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを加湿処理する工程を含む、[1]又は[2]に記載の延伸フィルムの製造方法。
[4] 前記加湿処理する工程においてポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、その水分率が8重量%以上となるように加湿処理される、[3]に記載の延伸フィルムの製造方法。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法によって前記延伸フィルムを得る工程と、
前記延伸フィルムを用いて偏光フィルムを得る工程と、
を含む、偏光フィルムの製造方法。
[6] 偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に積層される保護フィルムとを含む偏光板であって、
下記式(1):
Figure 2017199023
〔式(1)中、Nは透過軸方向に100mm間隔で測定した吸収軸角度の測定点数であり、xは透過軸方向における測定位置であり、θは測定位置xにおける吸収軸角度(°)である。aは下記式(2):
Figure 2017199023
で表される係数であり、bは下記式(3):
Figure 2017199023
で表される係数である。式(2)及び式(3)中のN、x及びθは前記と同じ意味を表す。〕
で表される二乗平均平方根RMSが0.04°以下である、偏光板。
本発明によれば、スジ状欠陥が低減された偏光フィルム又は偏光板を提供することができる。
本発明に係る延伸フィルムの製造方法の一例を示すフローチャートである。 熱ロールを用いた縦延伸処理の一例を示す概略断面図である。 熱ロールを用いた縦延伸処理の他の一例を示す概略断面図である。
<延伸フィルムの製造方法>
図1を参照して、本発明に係る延伸フィルムの製造方法は、下記の工程:
幅方向における面内位相差値の平均値が5nm以下であるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用意する第1工程S10、及び
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾式延伸して、延伸フィルムを得る第2工程S20
を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
なお、以下では、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを「PVA系樹脂フィルム」ともいう。また、フィルムの機械流れ方向を「MD」、MDに直交する方向、すなわちフィルムの幅方向を「TD」ともいう。
(1)第1工程S10
本工程は、幅方向における面内位相差値の平均値が5nm以下であるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用意する工程である。本工程で用意されるPVA系樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂で構成されたフィルムであり、通常、このフィルムは長尺である。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。その他の「(メタ)」を付した用語においても同様である。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、80.0〜100.0モル%の範囲であることができるが、好ましくは90.0〜100.0モル%の範囲であり、より好ましくは94.0〜100.0モル%の範囲であり、さらに好ましくは98.0〜100.0モル%の範囲である。ケン化度が80.0モル%未満であると、得られる延伸フィルムを用いて偏光フィルムを製造し、これを用いて偏光板を製造したとき、偏光板の耐水性及び耐湿熱性が低下し得る。
ケン化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基(アセトキシ基:−OCOCH3)がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式:
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)/(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、好ましくは100〜10000であり、より好ましくは1500〜8000であり、さらに好ましくは2000〜5000である。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度もJIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。平均重合度が100未満では、得られる延伸フィルムを偏光フィルムの原料として使用する場合、好ましい偏光性能を有する偏光フィルムを得ることが困難であり、10000を超えると溶媒への溶解性が悪化し、PVA系樹脂フィルムの形成(製膜)が困難となり得る。
本工程で用意されるPVA系樹脂フィルムは、延伸されたものであってもよいが、通常は上記ポリビニルアルコール系樹脂を製膜してなる未延伸フィルムである。製膜方法は、特に限定されるものではなく、溶融押出法、溶剤キャスト法のような公知の方法を採用することができる。
また本工程で用意されるPVA系樹脂フィルムは、これを支持する基材フィルムに積層されたものであってもよく、すなわち、当該PVA系樹脂フィルムは、基材フィルムとその上に積層されるPVA系樹脂フィルムとの積層フィルムとして用意されてもよい。この場合、PVA系樹脂フィルムは、例えば、基材フィルムの少なくとも一方の面にPVA系樹脂を含有する塗工液を塗工した後、乾燥させることによって製造することができる。
基材フィルムとしては、例えば、熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いることができる。当該熱可塑性樹脂の具体例は、後述する偏光板が有する熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂の具体例と同様である。
PVA系樹脂フィルムは、可塑剤等の添加剤を含有することができる。可塑剤の好ましい例は多価アルコールであり、その具体例は、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール等を含む。PVA系樹脂フィルムは、1種又は2種以上の可塑剤を含有することができる。可塑剤の含有量は、PVA系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常5〜20重量部であり、好ましくは7〜15重量部である。
本工程で用意されるPVA系樹脂フィルムは、幅方向における面内位相差値の平均値が5nm以下である。かかるPVA系樹脂フィルムを原料として延伸フィルムを製造することにより、この延伸フィルムを用いて得られる偏光フィルム又は偏光板のスジ状欠陥を効果的に低減させることができる。スジ状欠陥をより効果的に低減させる観点から、幅方向における面内位相差値の平均値は、好ましくは4.5nm以下であり、より好ましくは4nm以下であり、さらに好ましくは3.5nm以下である。幅方向における面内位相差値の平均値は、通常0.1nm以上である。幅方向における面内位相差値の平均値の具体的な測定方法は、後述する実施例の項の記載に従う。
スジ状欠陥を低減させる観点から、本工程で用意されるPVA系樹脂フィルムは、幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数が4%以下であることが好ましい。スジ状欠陥をより効果的に低減させる観点から、幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数は、より好ましくは3.5%以下であり、さらに好ましくは3.0%以下である。幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数は、通常0.1%以上である。幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数の具体的な測定方法は、後述する実施例の項の記載に従う。
スジ状欠陥を効果的に低減させる観点から、本工程で用意されるPVA系樹脂フィルムは、幅方向における面内位相差値の平均値が5nm以下であり、かつ、幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数が4%以下であることが好ましく、幅方向における面内位相差値の平均値が4.5nm以下であり、かつ、幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数が3.5%以下であることがより好ましい。
上記所定範囲の、又は好ましい範囲の面内位相差値の平均値及び/又は引張弾性率の変動係数を有するPVA系樹脂フィルムを調製する方法は特に限定されないが、例えば、上記面内位相差値の平均値及び/又は引張弾性率の変動係数が比較的高いPVA系樹脂フィルムに対して加湿処理を施すことにより、面内位相差値の平均値及び/又は引張弾性率の変動係数を低下させることが可能である。この場合、本工程(第1工程)は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを加湿処理する工程を含む。ここでいう加湿処理とは、相対湿度が比較的高い環境下にPVA系樹脂フィルムを置くことによって、PVA系樹脂フィルムの水分率を上昇させる処理をいう。PVA系樹脂フィルムの水分率の具体的な測定方法は、後述する実施例の項の記載に従う。
PVA系樹脂フィルムの加湿処理は、例えば、PVA系樹脂フィルムを加湿炉に導入することによって行うことができる。加湿炉は、好ましくは炉内の相対湿度を制御可能なものであり、より好ましくはさらに炉内温度を制御可能なものである。加湿炉は、例えば、熱風の供給などにより炉内温度を高めることができ、かつ炉内の水分調整によって炉内の相対湿度を制御できるオーブンである。
加湿処理時の相対湿度(例えば、加湿炉内の相対湿度)は、面内位相差値の平均値及び/又は引張弾性率の変動係数を効果的に低下させる観点から、好ましくは30%超であり、より好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは50%以上であり、なおさらに好ましくは60%以上である。加湿処理時の相対湿度は、通常95%以下であり、好ましくは92%以下であり、より好ましくは90%以下である。相対湿度があまりに高いと、PVA系樹脂フィルムの温度によっては結露を生じることがある。
加湿処理時の温度は、面内位相差値の平均値及び/又は引張弾性率の変動係数を効果的に低下させる観点から、好ましくは35℃以上であり、より好ましくは40℃以上であり、さらに好ましくは50℃以上である。温度が35℃以上であることにより、加湿処理を効率良く行うことができる。一方、加湿処理時の温度があまりに高いと、PVA系樹脂フィルムの熱劣化が生じ得ることから、温度は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは90℃以下である。
面内位相差値の平均値及び/又は引張弾性率の変動係数を効果的に低下させる観点から、PVA系樹脂フィルムの加湿処理は、PVA系樹脂フィルムを1又は複数のロールの表面に接触させながら加湿処理する工程を含むことが好ましい。ロールは、ガイドロールであってもよいし、熱ロールであってもよい。
面内位相差値の平均値及び/又は引張弾性率の変動係数を効果的に低下させる観点から、PVA系樹脂フィルムは、その水分率が8重量%以上となるように加湿処理されることが好ましく、9重量%以上となるように加湿処理されることがより好ましい。加湿処理後のPVA系樹脂フィルムの水分率は、通常15重量%以下であり、より典型的には12重量%以下、さらには10重量%以下である。また上記と同様の観点から、PVA系樹脂フィルムは、加湿処理によって水分率が1重量%以上上昇することが好ましく、1.5重量%以上上昇することがより好ましい。
本工程で用意されるPVA系樹脂フィルム(第2工程S20に供されるPVA系樹脂フィルム)の水分率は、通常5重量%以上であり、また通常15重量%以下である。次工程における乾式延伸の均一性を高める観点から、本工程で用意されるPVA系樹脂フィルムの水分率は、7重量%以上であることが好ましく、8重量%以上であることがより好ましい。
本工程で用意されるPVA系樹脂フィルムの厚みは、通常10〜150μmであり、得られる延伸フィルムを用いて製造される偏光フィルムの薄膜化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは65μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは35μm以下(例えば30μm以下、さらには20μm以下)である。
(2)第2工程S20
本工程は、第1工程S10で用意したPVA系樹脂フィルム(又は上述の積層フィルム)を乾式延伸して、延伸フィルムを得る工程である。この延伸フィルムは通常、長尺フィルムである。なお、上述のように、PVA系樹脂フィルムに対して湿式延伸のみを行って延伸フィルムを作製する場合には、スジ状欠陥の問題は生じないことが本発明者らの検討により明らかとなっている。
PVA系樹脂フィルムに対する延伸処理は通常、一軸延伸であり、好ましくは縦一軸延伸である。縦延伸とは、フィルムのMD、すなわちフィルムの長手方向への延伸をいう。
乾式延伸としては、表面が加熱された熱ロールと、この熱ロールとは周速の異なるガイドロール(又は熱ロールであってもよい。)との間にフィルムを通し、熱ロールを利用した加熱下に縦延伸を行う熱ロール延伸;距離を置いて設置された2つのニップロール間にある加熱手段(オーブン等)を通過させながら、これら2つのニップロール間の周速差によって縦延伸を行うロール間延伸;テンター延伸;圧縮延伸等を挙げることができる。
スジ状欠陥を効果的に低減させる観点から、上記の中でも、乾式延伸は、熱ロールを利用した熱ロール延伸であることが好ましい。従って本工程は、例えば、長尺のPVA系樹脂フィルムを連続的に搬送しながら、熱ロールを含む熱ロール延伸装置に導入することにより、延伸フィルムを連続的に長尺物として製造する工程であることができる。熱ロール延伸は通常、縦一軸延伸であり、より典型的には自由端縦一軸延伸である。
熱ロール延伸装置は、少なくとも1つの熱ロールを含み、2以上の熱ロールを含んでいてもよい。図2に熱ロール延伸処理及びそれに用いる熱ロール延伸装置の一例を示す。図2に示される熱ロール延伸装置は、フィルム搬送の上流側から順に第1ニップロール10、熱ロール5及び第2ニップロール20を含む。熱ロール延伸装置に導入されたPVA系樹脂フィルム1は、第1ニップロール10、熱ロール5及び第2ニップロール20をこの順で含む搬送経路に沿って搬送される。すなわち、PVA系樹脂フィルム1はまず第1ニップロール10,10間を通過し、次いで熱ロール5に巻き掛けられた状態でその表面に接触しながら走行し、その後、第2ニップロール20,20間を通過し、延伸フィルム2が得られる。第1ニップロール10、第2ニップロール20及び熱ロール5はいずれも駆動ロールである。駆動ロールとは、モータ等のロール駆動源が直接又は間接的に接続されたロールなど、それに接触するフィルムに対してフィルム搬送のための駆動力を与えることができるロールをいう。第1ニップロール10と熱ロール5との間、及び/又は熱ロール5と第2ニップロール20との間にガイドロールを設けてもよい。
図2に示される熱ロール延伸装置において、縦延伸のために必要なPVA系樹脂フィルム1への張力(引張力)は、第1ニップロール10又は第2ニップロール20と、熱ロール5との間の周速差によって付与される。例えば熱ロール5の周速を第1ニップロール10の周速よりも大きくすると、熱ロール5から第1ニップロール10へ向かう方向の張力(後方張力)が付与されながら、熱ロール5による加熱下にPVA系樹脂フィルム1は縦延伸される。一方、第2ニップロール20の周速を熱ロール5の周速よりも大きくすると、第2ニップロール20から熱ロール5へ向かう方向の張力(前方張力)が付与されながら、熱ロール5による加熱下にPVA系樹脂フィルム1は縦延伸される。
縦延伸は、熱ロール5によりPVA系樹脂フィルム1が延伸可能な程度まで加熱され、かつ十分な張力が付与されたときに生じる。後方張力が付与されている場合、縦延伸は、PVA系樹脂フィルム1が熱ロール5の表面に接触した瞬間、及び/又はその前後(例えば手前)で生じ得る。前方張力が付与されている場合、縦延伸は、熱ロール5の表面に接触している間、及び/又はその直後に生じ得る。
縦延伸のために必要なPVA系樹脂フィルム1にかかる張力の好ましい範囲は、10〜25MPaであり、より好ましくは13〜22MPaである。張力が10MPaを下回る場合にはフィルムの搬送性が低下し、皺等を生じる可能性がある。また、張力が25MPaを上回る場合には均一な縦延伸を行うことが困難となる。フィルムの搬送速度は特に限定されず、例えば2〜20m/分である。
熱ロール5としては、その表面温度を高めることができるものである限り特に制限されず、熱源(例えば、温水等の熱媒、赤外線ヒーター、誘導加熱コイル、誘電加熱回路等)を内部に備え、表面が金属やステンレス等の合金で構成されたロールを用いることができる。
図3に示されるように、熱ロール延伸装置は、2以上の熱ロールを含んでいてもよい。図3は、3つの熱ロール6,7,8を含む例を示している。2以上の熱ロールを含む場合、縦延伸は、2つの熱ロールの間、及び/又は熱ロールの表面に接触している間に生じ得る。
本工程における延伸処理の延伸倍率は、通常1.1〜8倍であり、好ましくは2〜6倍である。延伸フィルム2を偏光フィルムの原料として使用する場合における偏光フィルムの光学特性(特に偏光特性)の観点から、延伸倍率は、より好ましくは3.5倍以上であり、さらに好ましくは4倍以上である。スジ状欠陥の低減及び偏光フィルムの光学特性(特に偏光特性)の双方を考慮したとき、延伸倍率は、3.6〜4.2倍程度であることが好ましい。
熱ロール延伸時の熱ロールの表面温度は、例えば80〜150℃である。表面温度があまりに高いと、加熱されたPVA系樹脂フィルム1の強度が低下し、延伸時に破断する可能性がある。表面温度があまりに低いとPVA系樹脂フィルム1の延伸自体が困難となり得る。
延伸フィルムの厚みは、通常2〜40μmであり、これを用いて製造される偏光フィルムの薄膜化の観点から、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。
延伸フィルムは通常、長尺フィルムである。この場合、延伸フィルムは、その巻回物である延伸フィルムロールであってもよい。延伸フィルムの長さは、例えば1000〜40000mであり、好ましくは5000〜35000mである。また延伸フィルムの幅は、例えば1〜3mであり、好ましくは1.5〜2.5mである。
<偏光フィルム及び偏光板の製造>
本発明に係る製造方法によって得られる延伸フィルムは、偏光フィルムの原料として好適に用いることができる。偏光フィルムは、延伸フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程;二色性色素が吸着されたフィルムを架橋処理する工程;及び、架橋処理後に水洗する工程、を経て製造することができる。このようにして製造される偏光フィルムは、延伸されたPVA系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向しているものである。二色性色素としては、ヨウ素又は二色性有機染料を用いることができる。なお、PVA系樹脂フィルムが上述の積層フィルムとして用意される場合、偏光フィルムの製造に供される延伸フィルムは、上記積層フィルムを基材フィルムごと延伸してなる延伸フィルムである。この場合、得られる偏光フィルムは、基材フィルム上に積層された状態にあるが、偏光フィルムを製造した後、基材フィルムを偏光フィルムから剥離除去してもよい。
延伸フィルムは、上記第2工程後に巻き取られた延伸フィルムロールから繰り出されて偏光フィルムの製造工程に供されてもよいし、上記第2工程後巻き取られることなく偏光フィルムの製造工程に供されてもよい。
延伸フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、延伸フィルムを二色性色素が含有された水溶液(染色溶液)に浸漬する方法が採用される。延伸フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理(膨潤処理)を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、延伸フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この染色水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり通常0.01〜1重量部である。また、ヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり通常0.5〜20重量部である。染色水溶液の温度は、通常20〜40℃程度である。
一方、二色性色素として二色性有機染料を用いる場合は、通常、水溶性の二色性有機染料を含む染色水溶液に、延伸フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。染色水溶液における二色性有機染料の含有量は、水100重量部あたり通常1×10-4〜10重量部であり、好ましくは1×10-3〜1重量部である。この染色水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色水溶液の温度は、通常20〜80℃程度である。
二色性色素による染色後の架橋処理は、染色されたフィルムを架橋剤含有水溶液に浸漬することにより行うことができる。架橋剤の好適な例はホウ酸であるが、ホウ砂のようなホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等の他の架橋剤を用いることもできる。架橋剤は1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤含有水溶液における架橋剤の量は、水100重量部あたり通常2〜15重量部であり、好ましくは4〜12重量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、この架橋剤含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。架橋剤含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり通常0.1〜15重量部であり、好ましくは5〜12重量部である。架橋剤含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃である。
架橋処理後のフィルムは通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、架橋処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は通常、1〜40℃程度である。
膨潤処理、染色処理、架橋処理及び洗浄処理のいずれか1以上の処理において、必要に応じてフィルムに湿式延伸を施してもよい。
水洗後に乾燥処理を施して、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機による乾燥、熱ロールに接触させることによる乾燥、遠赤外線ヒーターによる乾燥などであることができる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃程度であり、40〜90℃が好ましい。偏光フィルムの平均厚みは、通常2〜40μmである。偏光板の薄膜化の観点から、偏光フィルムの平均厚みは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。
得られた偏光フィルム(又は偏光フィルムと基材フィルムとの積層体)は、順次巻き取ってロールとしてもよいし、巻き取ることなくそのまま偏光板作製工程に供することもできる。
偏光フィルムの片面又は両面に接着剤層を介して熱可塑性樹脂フィルムを貼合することにより偏光板を得ることができる。また、偏光フィルムと基材フィルムとの積層体として偏光フィルムを製造した場合には、偏光フィルムにおける基材フィルムとは反対側の面に接着剤層を介して熱可塑性樹脂フィルムを貼合することにより、あるいはその後、必要に応じて基材フィルムを剥離除去することにより、偏光板を得ることができる。熱可塑性樹脂フィルムは、透光性を有する熱可塑性樹脂、好ましくは光学的に透明な熱可塑性樹脂で構成されるフィルムである。熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリイミド系樹脂等であることができる。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂のような鎖状オレフィンの単独重合体のほか、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。より具体的な例は、ポリプロピレン系樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体)、ポリエチレン系樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体)を含む。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称である。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物等である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
セルロース系樹脂とは、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等の原料セルロースから得られるセルロースの水酸基における水素原子の一部または全部がアセチル基、プロピオニル基及び/又はブチリル基で置換された、セルロース有機酸エステル又はセルロース混合有機酸エステルをいう。例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、及びそれらの混合エステル等からなるものが挙げられる。中でも、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが好ましい。
ポリエステル系樹脂は、エステル結合を有する、上記セルロース系樹脂以外の樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。好適なポリエステル系樹脂の例は、ポリエチレンテレフタレートを含む。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなるエンジニアリングプラスチックであり、高い耐衝撃性、耐熱性、難燃性、透明性を有する樹脂である。ポリカーボネート系樹脂は、光弾性係数を下げるためにポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、波長依存性を改良した共重合ポリカーボネート等であってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系モノマー由来の構成単位を含む重合体である。該重合体は、典型的にはメタクリル酸エステルを含む重合体である。好ましくはメタクリル酸エステルに由来する構造単位の割合が、全構造単位に対して、50重量%以上である重合体である。(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、他の重合性モノマー由来の構成単位を含む共重合体であってもよい。この場合、他の重合性モノマー由来の構成単位の割合は、好ましくは全構造単位に対して、50重量%以下である。
(メタ)アクリル系樹脂を構成し得るメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルエステルが好ましい。メタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなアルキル基の炭素数が1〜8であるメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルに含まれるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4である。(メタ)アクリル系樹脂において、メタクリル酸エステルは、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系樹脂を構成し得る上記他の重合性モノマーとしては、アクリル酸エステル、及びその他の分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物を挙げることができる。他の重合性モノマーは、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルエステルが好ましい。アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなアルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。アクリル酸アルキルエステルに含まれるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4である。(メタ)アクリル系樹脂において、アクリル酸エステルは、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
その他の分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物としては、エチレン、プロピレン、スチレン等のビニル系化合物や、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物が挙げられる。その他の分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂フィルムは、偏光フィルムを保護するための保護フィルムであることができる。また、熱可塑性樹脂フィルムは、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであることもできる。例えば、上記材料からなる熱可塑性樹脂フィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸等)したり、該フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。熱可塑性樹脂フィルムは、その表面に積層される、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を有していてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムの厚みは通常1〜100μmであるが、強度や取扱性、偏光板の薄膜化等の観点から5〜60μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。
偏光フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとの貼合に用いる接着剤としては、水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤又は熱硬化性接着剤を用いることができ、好ましくは水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤である。
水系接着剤は、接着剤成分を水に溶解したもの又は水に分散させたものである。好ましく用いられる水系接着剤は、例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を用いた接着剤組成物である。
接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、当該ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのようなポリビニルアルコール樹脂であることができるほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体であってもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする水系接着剤は通常、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液である。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤は、接着性を向上させるために、多価アルデヒド、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物、グリオキザール、グリオキザール誘導体、水溶性エポキシ樹脂のような硬化性成分や架橋剤を含有することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸等のジカルボン酸との反応で得られるポリアミドアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を好適に用いることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、「スミレーズレジン650」(田岡化学工業(株)製)、「スミレーズレジン675」(田岡化学工業(株)製)、「WS−525」(日本PMC(株)製)等が挙げられる。これら硬化性成分や架橋剤の添加量(硬化性成分及び架橋剤としてともに添加する場合にはその合計量)は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。上記硬化性成分や架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1重量部未満である場合には、接着性向上の効果が小さくなる傾向にあり、また、当該添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して100重量部を超える場合には、接着剤層が脆くなる傾向にある。
また、接着剤の主成分としてウレタン樹脂を用いる場合の好適な例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を挙げることができる。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する接着剤である。活性エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合、偏光板が有する接着剤層は、当該接着剤の硬化物層である。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、カチオン重合によって硬化するエポキシ系化合物を硬化性成分として含有する接着剤であることができ、好ましくは、かかるエポキシ系化合物を硬化性成分として含有する紫外線硬化性接着剤である。ここでいうエポキシ系化合物とは、分子内に平均1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。エポキシ系化合物は、1種のみを使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
好適に使用できるエポキシ系化合物の具体例は、芳香族ポリオールの芳香環に水素化反応を行って得られる脂環式ポリオールに、エピクロロヒドリンを反応させることにより得られる水素化エポキシ系化合物(脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテル);脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルのような脂肪族エポキシ系化合物;脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有するエポキシ系化合物である脂環式エポキシ系化合物を含む。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、硬化性成分として、上記エポキシ系化合物の代わりに、又はこれとともにラジカル重合性である(メタ)アクリル系化合物を含有することができる。(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー;官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を挙げることができる。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、カチオン重合によって硬化するエポキシ系化合物を硬化性成分として含む場合、光カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩;鉄−アレン錯体等を挙げることができる。また、活性エネルギー線硬化性接着剤が(メタ)アクリル系化合物のようなラジカル重合性硬化性成分を含有する場合は、光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、チオキサントン系開始剤、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン等を挙げることができる。
偏光フィルムに熱可塑性樹脂フィルムを貼合するに先立って、偏光フィルム及び/又は熱可塑性樹脂フィルムの貼合面に、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理のような表面活性化処理を行ってもよい。この表面活性化処理により、偏光フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとの接着性を高めることができる。
本発明に係る偏光フィルム、及び偏光フィルムとその少なくとも一方の面に積層される保護フィルムとを含む本発明に係る偏光板は、長尺フィルムであってもよいし、そこから切り出された枚葉体であってもよい。長尺フィルムである偏光フィルム及び偏光板の長さは、例えば100〜20000mであり、好ましくは1000〜10000mである。また長尺フィルムである偏光フィルム及び偏光板の幅は、例えば0.5〜3mであり、好ましくは1〜2.5mである。
本発明に係る偏光フィルム及び偏光板(より典型的には長尺の偏光フィルム及び偏光板)は、下記式(1):
Figure 2017199023
で表される二乗平均平方根RMSが0.04°以下であることが好ましく、0.03°以下であることがより好ましい。この二乗平均平方根RMSは、偏光フィルム又は偏光板における吸収軸角度と平均線との差の二乗平均平方根である。二乗平均平方根RMSとスジ状欠陥との間に相関があることは本発明者らによって初めて見出された知見である。本発明者らのさらなる知見によれば、二乗平均平方根RMSが小さいほどスジ状欠陥の低減には有利であるが、二乗平均平方根RMSが0.04°以下であれば、近年の市場要求に合わせてバックライトの輝度を大きくしてもスジ状欠陥がほとんど又は全く視認されない。二乗平均平方根RMSは、勿論ゼロであってもよいが、通常は0.001°以上であり、より典型的には0.005°以上である。
上記式(1)中、Nは偏光フィルム又は偏光板について、その透過軸方向に100mm間隔で測定した吸収軸角度の測定点数であり、xは透過軸方向における測定位置(測定点)であり、θは測定位置xにおける吸収軸角度(°)である。aは下記式(2):
Figure 2017199023
で表される係数であり、bは下記式(3):
Figure 2017199023
で表される係数である。式(2)及び式(3)中のN、x及びθは上記式(1)中における意味と同じである。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。測定方法及び評価方法は、下記に従った。
(1)ポリビニルアルコール(PVA)フィルムの幅方向における面内位相差値の平均値の測定
PVAフィルムから、MD長さ50mm×TD長さ全幅の帯状の試験片を切り出した。次いで、リタデーション測定装置〔大塚電子(株)製のリタデーション測定装置「RETS−100」〕を用いて、幅方向に100mm間隔で、全幅にわたって、波長550nmにおける面内位相差値を測定し、得られた測定値の平均として、PVAフィルムの幅方向における面内位相差値の平均値を得た。
(2)PVAフィルムの幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数の測定
PVAフィルムの幅方向の片側の端部から、MD長さ100mm×TD長さ25mmの長方形の試験片を100mm間隔で全幅にわたって切り出した。次いで、切り出した試験片のそれぞれを引張試験機〔(株)島津製作所製 AUTOGRAPH AG−1S試験機〕の上下つかみ具で、つかみ具の間隔が7cmとなるように上記試験片の長辺方向両端を挟み、温度23℃、相対湿度55%の環境下、引張速度50mm/分で試験片をMD(試験片の長さ方向)に引張り、得られる応力−ひずみ曲線における初期の直線の傾きから、23℃でのMDにおける引張弾性率〔MPa〕を算出した。得られた引張弾性率の平均値及び標準偏差から、下記式:
PVAフィルムの幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数〔%〕=(PVAフィルムの幅方向における23℃での引張弾性率の標準偏差)/(PVAフィルムの幅方向における23℃での引張弾性率の平均値)×100
に従って、PVAフィルムの幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数を求めた。
(3)PVAフィルムの水分率の測定
水分率の異なる複数のPVAフィルム試料を用いて、乾燥重量法による水分率と、赤外線吸収式の水分率計(クラボウ製の「RM−300」)の測定値との相関を示す検量線(換算式)を作成した。表1に記載の水分率は、上記水分率計を用いて測定値を得、これを上記検量線(換算式)に代入して、乾燥重量法による水分率〔重量%〕に換算したものである。乾燥重量法による水分率は、105℃で2時間乾燥させたときのPVAフィルムの重量をW1、乾燥前のPVAフィルムの重量をW0とするとき、下記式:
乾燥重量法による水分率〔重量%〕={(W0−W1)÷W0}×100
に従って求めた。上記検量線は、PVAフィルムの厚みが異なるごとに作成した。
(4)フィルムの厚みの測定
(株)ニコン製のデジタルマイクロメーター「MH−15M」を用いて測定した。
(5)熱ロールの表面温度の測定
表面温度計(安立計器株式会社製の「HFT−50」)を使用して、熱ロールの幅方向中央部を周方向に22.5°毎に16箇所測定し、これらの測定値の平均値を熱ロールの表面温度とした。
(6)偏光板の二乗平均平方根RMSの測定
得られた偏光板から、MD長さ50mm×TD長さ全幅の帯状の試験片を切り出した。次いで、リタデーション測定装置〔大塚電子(株)製のリタデーション測定装置「RETS−100」〕を用いて、幅方向に100mm間隔で、全幅にわたって、吸収軸角度を測定し、得られた測定値より上記式(1)に従って、偏光板における吸収軸角度と平均線との差の二乗平均平方根RMSを求めた。上記式(1)中、Nは透過軸方向に100mm間隔で測定した吸収軸角度の測定点数であり、xは透過軸方向における測定位置であり、θは測定位置xにおける吸収軸角度(°)である。aは上記式(2)で表される係数であり、bは上記式(3)で表される係数である。式(2)及び式(3)中のN、x及びθは上記式(1)中における意味と同じである。
(7)スジ状欠陥の評価
得られた偏光板から、MD長さ400mm×TD長さ全幅の帯状の試験片を切り出した。次いで、暗室内において、輝度が20000cd/m2のバックライト上に検査用の偏光板を配置し、さらにその上に上記偏光板試験片を配置した。この際、検査用の偏光板の透過軸と偏光板試験片の透過軸とが直交するように検査用の偏光板及び偏光板試験片を配置した。次いで、バックライトを点灯させた状態で偏光板試験片側から目視観察し、偏光板試験片の吸収軸方向に延びるスジ状のムラ(スジ状欠陥)について、次の基準により評価した。
1:スジ状欠陥が確認されない。
2:全幅において合計1〜5本のスジ状欠陥が薄く観察される。
3:全幅において合計1〜5本のスジ状欠陥が明確に観察される。
4:全幅において合計6本以上のスジ状欠陥が明確に観察される。
<実施例1>
(1)延伸フィルムの作製
平均重合度が約2400、ケン化度が99.9モル%以上、厚みが30μm、水分率が8.1重量%、幅方向における面内位相差値の平均値が1.5nm、幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数が2.6%である長尺のポリビニルアルコール(PVA)フィルムを準備した。このPVAフィルムを連続的に巻き出しながら、表面温度が119℃の熱ロールを用いて乾式で4.1倍に一軸延伸して、厚み8μmの長尺の延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムは巻取りロールに巻き取って延伸フィルムロールとした。
(2)偏光フィルムの作製
延伸フィルムロールから延伸フィルムを連続的に巻き出しながら、延伸フィルムを、緊張状態を維持しつつ30℃の純水に滞留時間1分で浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.1/5/100である28℃の水溶液に滞留時間45秒で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が15/5.5/100である69℃の水溶液に滞留時間200秒で浸漬した。引き続き、20℃の純水で5秒間洗浄した後、60℃で60秒間乾燥させて、ヨウ素が吸着配向された長尺の偏光フィルムを連続的に製造した。
(3)偏光板の作製
得られた長尺の偏光フィルムを連続的に搬送するとともに、長尺の第1熱可塑性樹脂フィルム〔コニカミノルタオプト(株)製のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムである商品名「KC2UAW」、厚み:25μm〕及び長尺の第2熱可塑性樹脂フィルム〔JSR(株)製の環状ポリオレフィン系樹脂フィルムである商品名「FEKB015D3」、厚み:15μm〕を連続的に搬送し、偏光フィルムと第1熱可塑性樹脂フィルムとの間、及び偏光フィルムと第2熱可塑性樹脂フィルムとの間に水系接着剤を注入しながら、1対の貼合ロール間に通して第1熱可塑性樹脂フィルム/水系接着剤層/偏光フィルム/水系接着剤層/第2熱可塑性樹脂フィルムからなる積層フィルムを得た。引き続き、得られた積層フィルムを搬送し、熱風乾燥機に通して80℃、300秒間の加熱処理を行うことにより水系接着剤層を乾燥させて、長尺の偏光板を得た。上記の水系接着剤には、ポリビニルアルコール粉末〔日本合成化学工業(株)製の商品名「ゴーセファイマー」、平均重合度1100〕を95℃の熱水に溶解して得られた濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液に架橋剤〔日本合成化学工業(株)製のグリオキシル酸ナトリウム〕をポリビニルアルコール粉末100重量部に対して10重量部の割合で混合した水溶液を用いた。スジ状欠陥の評価結果を表1に示す。
<実施例2>
幅方向における面内位相差値の平均値が3.1nm、幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数が3.3%であるPVAフィルムを使用したこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。スジ状欠陥の評価結果を表1に示す。
<実施例3>
PVAフィルムを、表面温度が119℃の熱ロールを用いて乾式で3.6倍に一軸延伸したこと以外は実施例2と同様にして偏光板を作製した。スジ状欠陥の評価結果を表1に示す。延伸フィルムの厚みは、9μmであった。
<比較例1〜3>
平均重合度が約2400、ケン化度が99.9モル%以上、厚みが30μm、水分率が8.1重量%であり、幅方向における面内位相差値の平均値及び幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数がそれぞれ表1に示したとおりであるPVAフィルムを使用したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルム、偏光フィルム及び偏光板を作製した。スジ状欠陥の評価結果を表1に示す。
<実施例4>
平均重合度が約2400、ケン化度が99.9モル%以上、厚みが30μm、水分率が8.1重量%であり、幅方向における面内位相差値の平均値が8.9nm、幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数が4.8%であるPVAフィルムを準備した。このPVAは、比較例1で用いたものと同じPVAフィルムである。このPVAフィルムを温度60℃、相対湿度90%の恒温恒湿炉内で、複数のガイドロールの表面に接触させながら1分間加湿処理した。得られたPVAフィルムの水分率は9.8重量%であり、幅方向における面内位相差値の平均値は4.9nmであり、幅方向における23℃での引張弾性率の変動係数は3.8%であった。次いで、この恒温恒湿炉で処理した後のPVAフィルムを使用したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルム、偏光フィルム及び偏光板を作製した。スジ状欠陥の評価結果を表1に示す。延伸フィルムの厚みは、8μmであった。
Figure 2017199023
1 ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(PVA系樹脂フィルム)、2 延伸フィルム、5,6,7,8 熱ロール、10 第1ニップロール、20 第2ニップロール。

Claims (3)

  1. 偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に積層される熱可塑性樹脂フィルムとを含む偏光板であって、
    下記式(1):
    Figure 2017199023

    〔式(1)中、Nは透過軸方向に100mm間隔で測定した吸収軸角度の測定点数であり、xは透過軸方向における測定位置であり、θは測定位置xにおける吸収軸角度(°)である。aは下記式(2):
    Figure 2017199023

    で表される係数であり、bは下記式(3):
    Figure 2017199023

    で表される係数である。式(2)及び式(3)中のN、x及びθは前記と同じ意味を表す。〕
    で表される二乗平均平方根RMSが0.04°以下である、偏光板。
  2. 前記偏光フィルムは、乾式延伸フィルムである、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記偏光フィルムと前記熱可塑性樹脂フィルムとの間に接着剤層を有する、請求項1又は2に記載の偏光板。
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