JP2017198953A - 可視光メタマテリアル用の単位共振器および共振器アレイ - Google Patents

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丈也 杉田
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Abstract

【課題】光の入射角に対する反射角を制御することができる共振器及び共振器アレイを提供する。【解決手段】所定の波長を有する入射光の磁場ベクトルの方向に、所定の中心間距離で配列した少なくとも2つの導体を備え、入射光の電場ベクトルと導体との共鳴により導体に発生する、入射光の電場ベクトルとは逆位相の電界による磁界と、隣り合う導体の間に発生する磁界との結合による共振を発生させる共振器。【選択図】図1

Description

本発明は、共振器及び共振器アレイに関する。
従来、車両のフロントウィンドシールドに画像を投影して、運転者が虚像を視認できるようにしたヘッドアップディスプレイ(以下、HUDともいう)が知られている。HUDにおいては、フロントウィンドシールドが有する湾曲面形状に合わせて、画像を拡大して投影するための凹面鏡の形状を決定する発明が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、フロントウィンドシールド上で画像が投影される領域を拡大しても、運転者は必ずしもその全ての領域に表示される画像を視認することができない。そのため、運転者がHUDから投影される画像を視認できる範囲(以下、HUD視認範囲ともいう)は、より拡大することが望まれている。HUD視認範囲は、HUDの投光部の大きさと、HUDとフロントウィンドシールドとの距離と、フロントウィンドシールドに対してHUDから投射される光の反射角とにより決定される。通常、フロントウィンドシールドに対してHUDから投射される光の入射角と反射角とは等しい。また一般的な車両において、HUDとフロントウィンドシールドとの距離は大きく変更されない。よって、HUD視認範囲は、HUDの投光部の大きさによってほぼ決定される。
特開2005−3918号公報
しかし、HUD視認範囲を拡大しようとする場合、HUDの投光部の大きさは、設置スペース又はコスト等の観点から制約される。ここで、フロントウィンドシールドに対してHUDから投射される光の入射角に対する反射角を適切に制御することができれば、HUDの大型化によらず、HUD視認範囲を拡大し得る。また、車両用のHUDに限らず、光学部材への光の入射角に対する反射角を制御できれば、光学機器を従来よりも柔軟に構成することが可能になるとともに、種々の応用が期待できる。
そこで本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、光の入射角に対する反射角を制御することができる共振器及び共振器アレイを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の一実施形態に係る共振器は、所定の波長を有する入射光の磁場ベクトルの方向に、所定の中心間距離で配列した少なくとも2つの導体を備える。前記共振器は、前記入射光の電場ベクトルと前記導体との共鳴により前記導体に発生する、前記入射光の電場ベクトルとは逆位相の電界による磁界と、隣り合う前記導体の間に発生する磁界との結合による共振を発生させる。
また、上記課題を解決するために本発明の一実施形態に係る共振器アレイは、所定の波長を有する入射光の電場ベクトルの方向に配列した複数の共振器を備える。前記共振器は、前記入射光の磁場ベクトルの方向に、所定の中心間距離で配列した少なくとも2つの導体を備える。前記共振器は、前記入射光の電場ベクトルと前記導体との共鳴により前記導体に発生する、前記入射光の電場ベクトルとは逆位相の電界による磁界と、前記導体の間に発生する磁界との結合による共振を発生させる。
また、上記課題を解決するために本発明の一実施形態に係る共振器は、入射光の磁場ベクトルの方向に、所定の中心間距離で配列した少なくとも2つの導体を備える。前記共振器は、前記所定の中心間距離と前記導体の周囲を囲む誘電体の屈折率との積により定められる共振波長を有する共振を発生させる。
本発明の一実施形態に係る共振器及び共振器アレイによれば、光の入射角に対する反射角を制御することができる。
一実施形態に係る共振器アレイの斜視図である。 図1の共振器アレイの(A)平面図(B)正面図(C)側面図である。 一実施形態に係る共振器を示す平面図である。 誘電体としてガラスを備える共振器アレイの斜視図である。 導体支持部材を備える共振器アレイの斜視図である。 光の波数ベクトル、電場ベクトル及び磁場ベクトルの説明図である。 導体内部における自由電子の振動を示す図である。 電場ベクトルと内部電界と導体周囲の磁界との位相を示すグラフである。 共振器における磁界の結合による共振を説明する図である。 実施例1に係る共振器アレイの分光特性を示すグラフである。 実施例2に係る共振器アレイの分光特性を示すグラフである。 実施例3に係る共振器アレイの分光特性を示すグラフである。 比較例に係る共振器アレイの分光特性を示すグラフである。 反射角制御の概念を波数ベクトルで示した図である。 特定の波長の光の反射角を制御する概念を示した図である。 入射光の波面を説明する図である。 反射角制御の概念を円筒波の位相と波面とで表した図である。 入射光の波面と反射光の波面とを説明する図である。 Q値の異なる共振器を配列した共振器アレイの例を示す図である。 反射角を制御可能な共振器アレイの構成例を示す図である。 共振器アレイに対する光の入射角と反射角との関係を示す図である。 構成の一例に係る共振器アレイの分光特性を示すグラフである。
(実施形態)
以下、一実施形態に係る共振器及び共振器アレイについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
[共振器及び共振器アレイの構成]
図1の斜視図に示されるように、本実施形態に係る共振器アレイ1は、規則的に配列された導体10を備える。図1においてはxyzの直交座標系が定義されており、導体10は、xy平面上において、x方向及びy方向に沿って二次元配列されている。図1において、導体10は、x方向に4行、y方向に3列の計12個配列されている。しかし、導体10が配列される個数はこれに限られるものではない。
また、図2(A)の平面図は、xy平面に投影した導体10の配列を示す。図2(B)の正面図は、yz平面に投影した導体10の配列を示す。また、図2(C)の側面図は、xz平面に投影した導体10の配列を示す。図2において、導体10は、その中心間距離がd_xとなるようにx方向に配列されている。また図2において、導体10は、その中心間距離がd_yとなるようにy方向に配列されている。図2においても図1と同様に、導体10の個数は図示されている個数に限られるものではない。
図3(A)に示されるように、共振器アレイ1は、y方向に一次元に配列されている導体10を有する共振器2を備えるともいえる。共振器アレイ1は、共振器2をx方向に配列して設けることで、x方向及びy方向に沿って二次元配列される導体10を備えることとなる。また、図3(B)に示されるように、共振器アレイ1は、x方向の寸法とy方向の寸法との比率が図3(A)とは異なる導体10を有する共振器2を備えるともいえる。共振器2に備えられる少なくとも2つの導体10は、平行平板であってもよい。
図1〜図3に示される共振器アレイ1又は共振器2は、所定の中心間距離で配列された少なくとも2つの導体10を備えることにより、所定の波長を有する電磁波の入射に応じて共振を発生させる。共振が発生する条件(以下、共振条件ともいう)については後述する。図1〜図3において、導体10は、互いに直交するx方向及びy方向に延在する仮想直線に沿って二次元配列されている。しかし、共振器アレイ1又は共振器2に備えられる少なくとも2つの導体10の配列が共振条件を満たせば、互いに直交しない直線に沿って配列されてもよいし、仮想曲線に沿って配列されてもよい。
図1〜図3において導体10は直方体形状であるが、これに限られず、多角柱、円柱、楕円柱、楕円体、又は球などの種々の形状であってよい。また導体10の寸法は、例えば図1〜3において、x方向に沿った寸法がy方向又はz方向に沿った寸法よりも小さい。また導体10は、例えば金属である。しかし、これに限られるものではなく、導体10は、n型又はp型半導体であったり、導電性樹脂であったりしてもよい。
導体10の間には、誘電体3が設けられる。誘電体3は、例えばガラスであるがこれに限られるものではない。誘電体3がガラスである場合、例えば図4に示されるように、共振器アレイ1は、誘電体3と、誘電体3の内部(誘電体3中)に配列される導体10とを備える。
また誘電体3は、比誘電率がほぼ1である空気であってもよい。誘電体3が空気である場合、導体10を支持する構造が必要となる。この場合、例えば図5に示されるように、共振器アレイ1は、導体支持部材4と、導体支持部材4によって支持されて配列され、周囲を空気に囲まれる導体10とを備える。
以上、本実施形態に係る共振器2及び共振器アレイ1の構成について図1〜図5を用いて説明してきた。図1〜図5に示される構成は一例であり、種々の構成をとりうる。
[共振器の動作]
共振器アレイ1又は共振器2は、所定の波長の電磁波(例えば可視光)が入射することにより、共振を発生させる。以下、本実施形態に係る共振器2において、電磁波の入射により発生する共振について説明する。
電磁波は、図6に示されるように、互い直交する電場ベクトルE(実線矢印)と磁場ベクトルH(破線矢印)とによって表される横波であり、電場ベクトルE及び磁場ベクトルHに直交する波数ベクトルkで定められる方向へ進行していく。また、電場ベクトルEと波数ベクトルkとを含む面を偏光面(P)という。電場ベクトルE、磁場ベクトルH、及び波数ベクトルkの関係は、フレミングの左手の法則に対応づけて説明されうる。つまり、電場ベクトルEは中指(電流の方向)に対応し、磁場ベクトルHは人差し指(磁界の方向)に対応し、波数ベクトルkは親指(電磁力が働く方向)に対応する。
<自由電子の固有振動モード>
導体10の内部の自由電子は、導体10に入射する電場ベクトルEに応じた静電力を受ける。仮に導体10の内部における自由電子の移動度が無限大である場合、自由電子は、導体10に入射する電場ベクトルEの変化に完全に追従して移動する。しかし実際には、導体10の内部における自由電子の移動度は有限の値である。よって自由電子は、電場ベクトルEの変化から少し遅れて移動する。
このとき、導体10の内部の自由電子は固有振動数を有し、固有振動数と同一の振動数の電磁波の入射に応じて、固有振動モードで振動するようになる。固有振動数は、自由電子の移動度等の導体10に固有のパラメータ、又は導体10の寸法など種々のパラメータにより定められる。
以下、図7を用いて、電磁波が導体10に入射する場合における導体10の内部の自由電子が固有振動モードで振動するまでの動きについて説明する。図7においてxyz座標が定義されている。x軸の正の方向は図7の紙面上で上向きである。またy軸の正の方向は図7の紙面上で右向きである。またz軸の正の方向は図7の紙面に対して奥に向かう方向である。また図7において、電磁波はz軸の正の方向に向かって入射し(波数ベクトルkがz軸の正の方向であり)、電磁波の電場ベクトルEと磁場ベクトルHとはそれぞれx軸及びy軸に平行であるものとする。
図7(A)において、電磁波が導体10に入射すると、x軸の正の方向の電場ベクトルEにより、自由電子に静電力(F)が加わる。自由電子は負の電荷を有するから、静電力の向きは電場ベクトルEとは逆向きである。図7において、静電力の向きはx軸の負の方向である。
続いて図7(B)において、自由電子は、図7(A)において加わった静電力によってx軸の負の方向に移動している。自由電子の移動により、導体10の内部において自由電子がx軸の負の方向に偏る。そして自由電子の偏りにより、導体10の内部にはx軸の負の方向の内部電界Eiが発生する。このように自由電子が動いている間にも入射する電磁波の位相は進み、電場ベクトルEが0(E=0)となる。このとき自由電子には、内部電界Eiによりxの正の方向に静電力が加わる。
続いて図7(C)において、自由電子は、図7(B)において加わった静電力によってx軸の正の方向に移動している。自由電子の移動により、導体10の内部において自由電子がx軸の正の方向に偏る。そして自由電子の偏りにより、導体10の内部にはx軸の正の方向の内部電界Eiが発生する。そして内部電界Eiにより自由電子にx軸の負の方向の静電力が復元力として働くようになる。このように自由電子が動いている間にも入射する電磁波の位相はさらに進み、電場ベクトルEの向きはx軸の負の方向になる。
続いて図7(D)において、自由電子は、静電力が加わるx軸の負の方向に移動し始める。そして、速度(v)を有して導体10のx軸方向の中間付近を移動する。このとき、導体10の内部電界Eiは0となっている。また、入射する電磁波の位相はさらに進み、電場ベクトルEが0(E=0)となる。
続いて図7(E)において、自由電子は、図7(D)において速度(v)を有していたことによりx軸の負の方向にさらに移動し、x軸方向の負の方向に偏る。自由電子の偏りにより、導体10の内部にはx軸の負の方向の内部電界Eiが発生する。そして内部電界Eiにより自由電子にx軸の正の方向の静電力が復元力として働くようになる。このように自由電子が動いている間にも入射する電磁波の位相はさらに進み、電場ベクトルEの向きはx軸の正の方向になる。
図7(C)及び(E)について説明したように、導体10の内部において、自由電子の変位が生じると内部電界Eiが誘起され、変位に比例する復元力が働くようになる。以降、図7(C)及び(E)のサイクルを繰り返すことによって、自由電子は固有振動モードで振動するようになる。このとき、導体10に入射する電磁波の電場ベクトルEは、導体10の内部電界Eiとは逆方向となっている。つまり、導体10の内部電界Eiは、導体10に入射する電磁波の電場ベクトルEを打ち消す向きに発生する。
以上図7を用いて説明してきたように、導体10の固有振動数と同一の振動数の電磁波の入射によって、導体10の内部において自由電子が固有振動モードで振動する。この振動は、入射する電磁波の電場ベクトルEに応じて発生している。よって、この振動のことを入射する電磁波の電場ベクトルEと導体10との共鳴ともいう。
<電子の振動による磁界>
図7を用いて説明してきた振動によって導体10の内部には自由電子の移動に伴う電流が流れる。この電流の向きは、自由電子の移動する方向の逆向きである。そして、導体10の内部に流れる電流(以下、内部電流Iともいう)により、導体10の周囲に磁界が発生する。磁界は、一般的な右ねじの法則(アンペールの法則)に従い、電流の流れる方向に向かって時計回りの閉曲線に沿って発生する。
ここで、入射する電磁波の電場ベクトルEの大きさは、正弦関数に従い変化する。つまり、時間(t)を横軸とし、電場ベクトルEの大きさを縦軸としたグラフはサインカーブを描く。一方で、導体10の内部電界Eiは、電場ベクトルEを打ち消す向きに発生するので、導体10の内部電界Eiの位相と電場ベクトルEの位相とは逆位相となる。つまり、導体10の内部電界Eiの位相と電場ベクトルEの位相との間のずれはπである。
図8には、横軸を時間(t)として、縦軸を内部電界Ei及び電場ベクトルEの大きさとして、内部電界Eiと電場ベクトルEとの関係が示される。図8において、内部電界Eiと電場ベクトルEとは互いに逆位相となっている。
導体10の内部における自由電子は、固有振動モードで振動している場合において、例えば図7(D)に示されるように、電場ベクトルE及び内部電界Eiが0であるときに、速度(v)が最大となる。このとき、導体10の内部電流Iが最大となり、内部電流Iによって発生する導体10の周囲の磁界(Hi)は最大となる。つまり、導体10の周囲の磁界(Hi)は、電場ベクトルE及び内部電界Eiが0であるときに最大となる。
図7(D)において、導体10の内部電流Iはx軸の正の方向に流れる。ここで、図7(C)及び(E)も参照して、図7(D)の前後の状態を考える。導体10の内部電流Iがx軸の正の方向に流れる前の図7(C)において、電場ベクトルEはx軸の負の方向である。また、導体10の内部電流Iがx軸の正の方向に流れた後の図7(E)において、電場ベクトルEはx軸の正の方向である。つまり、導体10の内部電流Iの位相は、電場ベクトルEの位相よりもπ/2だけ進んでいる。
図8には、縦軸を電流の大きさとして、さらに導体10の内部電流Iが示される。図8において、導体10の内部電流Iの位相は、電場ベクトルEの位相よりもπ/2だけ進んでいる。また、導体10の内部電流Iの位相は、内部電界Eiの位相よりもπ/2だけ遅れているともいえる。
導体10の周囲の磁界(Hi)の位相は、導体10の内部電流Iの位相と同位相である。よって、磁界(Hi)の位相は、電場ベクトルEの位相よりもπ/2だけ進んでいる。
<磁界の結合による共振>
以上説明してきたように、導体10に入射する電磁波の電場ベクトルEにより、導体10の周囲に磁界が発生する。導体10が2つ配列されている場合、2つの導体10それぞれの周囲に磁界が発生する。以下、図9を参照して、2つの導体10と誘電体3とを備える共振器2において、2つの隣り合う導体10の周囲の磁界が結合して、共振が発生する現象について説明する。
図9においてxyz座標が定義されており、x軸の正の方向が紙面の手前方向に対応し、y軸の正の方向が右方向に対応し、z軸の正の方向が上方向に対応する。図9に示される共振器2の2つの導体10は、y軸方向に沿って配列されている。2つの導体10の中心間距離はd_yである。また導体10の周囲には、屈折率がnである誘電体3が配設されているが、図9においては表示が省略されている。また図9において、真空中における波長がλである電磁波が、共振器2に対してz軸の正の方向(波数ベクトルkの向き)に進行して入射する。また共振器2に入射する電磁波は、偏光面(P)がxz平面となるように偏光している。また共振器2に入射する電磁波は、xy平面に平行な波面を有する。また共振器2に入射する電磁波のz座標が同一の地点における位相は同一である。
共振器2に入射する電磁波は、屈折率がnの誘電体3を通過する。このとき、誘電体3の中における電磁波の波長は、λ/nである。つまり、z座標がλ/n離れている2点において電磁波の位相は同一である。また、z座標がλ/2n離れている2点において電磁波の位相は逆になる。
図9においては、所定の時刻(t1)における電場ベクトルE、磁場ベクトルH、及び導体10の周囲に発生する磁界(Hi)が示されている。電場ベクトルEの大きさについては、z座標をパラメータとして波長がλ/nの正弦波として表されている。z座標がλ/n離れている2点において、電場ベクトルEは同位相となっており、z座標がλ/2n離れている2点において電場ベクトルEは逆位相になっている。導体10の中心座標と同一のz座標においては、電場ベクトルEは0となっている。
また図9においては、磁場ベクトルHが白抜き矢印で表されている。電場ベクトルEと同様に、z座標がλ/n離れている2点において、磁場ベクトルHは同位相となっており、z座標がλ/2n離れている2点において磁場ベクトルHは逆位相になっている。導体10の中心座標と同一のz座標においては、磁場ベクトルHは0となっている。
ここで、入射する電磁波が導体10の内部の自由電子の固有振動数と同一の振動数を有する場合、上述した通り、導体10の内部の自由電子は固有振動モードで振動する。そして、導体10の周囲に磁界(Hi)が発生する。図8に示されるように、導体10の周囲の磁界(Hi)の位相は、電場ベクトルEの位相よりπ/2だけ進んでいる。図9において、導体10が設けられているz座標における電場ベクトルEが0となる場合に、磁界(Hi)の大きさは最大となる。つまり所定の時刻(t1)において、磁界(Hi)の大きさは最大となっている。
また、所定の時刻(t1)における導体10の周囲に発生する磁界(Hi)の向きは、以下の理由により、x軸の負の方向(紙面の奥行き方向)に向かって時計回りであることがわかる。図9において、所定の時刻(t1)の前に導体10に入射する電場ベクトルEがx軸の正の向きであり、所定の時刻(t1)の後に導体10に入射する電場ベクトルEがx軸の負の向きである。そして、図8に示される電場ベクトルEと導体10の内部電流Iとの位相の関係に基づけば、所定の時刻(t1)における導体10の内部電流Iはx軸の負の向き(紙面の奥行き方向)である。よって、所定の時刻(t1)における導体10の周囲に発生する磁界(Hi)の向きは、x軸の負の方向(紙面の奥行き方向)に向かって時計回りとなる。
図9において、2つの導体10それぞれの周囲に発生する磁界(Hi)は、入射する電磁波の磁場ベクトルHの向きと同期している。つまり、導体10から見てz軸の正の方向の側における磁場ベクトルHはy軸の正の向き(紙面の右方向)であり、磁界(Hi)を強める方向となっている。また、導体10から見てz軸の負の方向の側における磁場ベクトルHはy軸の負の向き(紙面の左方向)であり、磁界(Hi)を強める方向となっている。
また図9において、導体10から見てz軸の負の方向側には、導体10の周囲に発生する磁界(Hi)とは逆周りの磁界(Hr)が発生する。この磁界(Hr)は、2つの導体10それぞれの中心の中点(M)から、z軸の負の方向にλ/2n移動した点(R)を取り囲む閉曲線に沿って発生する。この磁界(Hr)が発生する理由の一つは、点(R)から見てz軸の正の方向にy軸の負の方向の磁場ベクトルHが入射し、点(R)から見てz軸の負の方向にy軸の正の方向の磁場ベクトルHが入射していることである。理由のもう一つは、点(R)から見てz軸の正の方向において、導体10の周囲に発生する磁界(Hi)が加わり、磁界(Hr)が強められることである。
また、磁界(Hr)が発生する理由として、点(R)及びその周辺の誘電体3において電場ベクトルEにより発生する電子分極等の誘電分極の影響も挙げられる。つまり、誘電分極に伴う分極電流により発生する磁界が磁界(Hr)を強める方向に発生する。また、磁界(Hr)により、点(R)及びその周辺の誘電体3において電界が誘起され、誘電分極がさらに強められる。
このように2つの導体10の間に磁界(Hr)が発生することにより、導体10の周囲に発生する磁界(Hi)が結合されることとなる。発明者が2つの導体10と誘電体3とを備える共振器2に対して電磁波を入射するモデルにおいてシミュレーションを行った結果、次の式(1)が成立する場合に、導体10の周囲に生じる磁界(Hi)が最も強められる。式(1)は、2つの導体10の中心間距離(d_y)が入射する電磁波の波長(λ)の、導体10の周囲に配設される誘電体3の屈折率(n)に対する比であることを表す。言い換えると、式(1)は、入射する電磁波の波長(λ)が2つの導体10の中心間距離(d_y)と導体10の周囲に配設される誘電体3の屈折率(n)との積であることを表す。
d_y=λ/n (1)
以上説明してきたように、2つの導体10と誘電体3とを備える共振器2において、2つの導体10の周囲の磁界が結合して、共振が発生する。ここで導体10の数は2つに限られるものではなく、3つ以上であってもよい。発明者によるシミュレーションによれば、図9においてy軸方向に周期境界条件を設定して、導体10の数を無限大とみなした場合でも、共振が発生する。以上のことより、共振器2は少なくとも2つの導体10を備えればよい。
また、図9においてy軸方向に配列した導体10を備える共振器2を、図9のx軸方向に配列することにより共振器アレイ1が構成されうる。発明者によるシミュレーションによれば、図9においてy軸方向だけでなくx軸方向にも周期境界条件を設定して、アレイ状に配列した導体10の数を無限大とみなした場合でも、共振が発生する。このように導体10をアレイ状に配列した共振器アレイ1は、共振器2よりも広い面積で入射される電磁波に対して共振特性を示すことができる。
[共振器及び共振器アレイの製造方法]
以上説明してきた本実施形態に係る共振器2及び共振器アレイ1は、直方体、楕円柱などの比較的簡易な構造の導体10で形成される。よって、一般的なEB(Electron Beam)リソグラフィを用いて作製できる。EBリソグラフィとは、蒸着、スパッタリング、エッチング等を用いたプロセスである。
本実施形態に係る共振器2及び共振器アレイ1は、導体10が誘電体3に埋め込まれた構造となっても共振を発生させることができる。よって、例えばフィルムに導体10を埋め込むように製造すれば、製造しやすいだけでなく、製品の使用に際して一般的なフィルムと同様に取り扱うことが可能となる。
[実施例]
以下、導体10の寸法及び中心間距離を具体的に例示して、共振器2が示す共振特性について説明する。
<実施例1:導体が直方体、誘電体がSiO2の場合>
実施例1に係る共振器アレイ1において、導体10としてAlが用いられる。また、導体10のx方向、y方向及びz方向の寸法はそれぞれ、53nm、68nm及び55nmに設定される。また、導体10のx方向及びy方向の中心間距離(d_y)は206nm及び360nmに設定される。また、導体10の周囲を取り囲み埋没させるように配設される誘電体3として、屈折率が1.46のSiO2が用いられる。この場合、上述の式(1)に基づき、共振波長は525nmであることが算出される。
実施例1に係る共振器アレイ1の分光特性は、図10に示されているように、λ=525nm付近に反射率のピークが現れている。つまり式(1)に基づき算出されたように、波長が525nm付近の光の入射により、実施例1に係る共振器アレイ1において共振が生じている。
<実施例2:導体が楕円柱、誘電体がSiO2の場合>
実施例2に係る共振器アレイ1は、実施例1に係る共振器アレイ1の導体10の形状を楕円柱としたものである。
実施例2に係る共振器アレイ1の分光特性は、図11に示されているように、λ=530nm付近に反射率のピークが現れている。つまり、波長が530nm付近の光の入射により、実施例2に係る共振器アレイ1において共振が生じている。実施例1に係る共振器アレイ1の分光特性と比較して、反射率のピークは低くなっている。これは、導体10の形状が楕円柱であることにより、導体10の内部の固有振動モードの振動が、実施例1と比べて弱くなったためである。
<実施例3:導体が直方体、誘電体が空気の場合>
実施例3に係る共振器アレイ1において、導体10としてAlが用いられる。また、導体10のx方向、y方向及びz方向の寸法はそれぞれ、45nm、70nm及び55nmに設定される。また、x方向の中心間距離(d_x)及びy方向の中心間距離(d_y)はそれぞれ、350nm及び410nmに設定される。また、導体10の周囲に配設される誘電体3は空気である。空気の屈折率は0℃、1気圧において1.000292である。この場合、上述の式(1)に基づき、共振波長は410nmであることが算出される。
実施例3に係る共振器アレイ1の分光特性は、図12に示されているように、λ=410nm付近に反射率のピークが現れている。つまり式(1)に基づき算出されたように、波長が410nm付近の光の入射により、実施例3に係る共振器アレイ1において共振が生じている。
[比較例:プラズモン共鳴]
本実施形態に係る共振器2の比較例として、プラズモン共鳴が発生する素子の特性について説明する。比較例に係る素子は、SiO2基板上に、直径120nm、高さ60nmの円柱状のAgが300nm周期でアレイ状に配列されている。
上記素子に係る分光特性は、図13に示されているように、λ=540nm付近で反射率及び吸収率が高くなっている。これは、波長が540nm付近の光の入射により上記素子において、プラズモン共鳴が発生しているためである。比較例に係る素子の反射率のピークは、実施例1〜3に係る共振器アレイ1の反射率のピークと比べて半値幅が広がっており、Q値が低くなっている。比較例に係る素子においては、金属吸収の影響が大きいものと考えられる。
また、本実施形態に係る共振器2は、上述のプラズモン共鳴以外にも、ファブリペロー共振、ウィスパリング・ギャラリーモード、フォトニック結晶などと比較されうる。しかし、ファブリペロー共振は、原理的に電磁波の波長の1/2よりも小さくすることができない。また、球状の誘電体を用いるウィスパリング・ギャラリーモードは、一般的に複数の励起モードが発生する。また、フォトニック結晶は、構造が複雑で高い加工精度が必要となり、さらに一般的には素子全体の大きさが数波長以上の大きさになる。
以上のように共振器2は所定の波長の電磁波に対して共振特性を示す。そして、プラズモン共鳴による共振特性と比較して、Q値を高くすることができる。また、導体10の寸法を小さくできることにより共振振動数から離れた振動数の電磁波を透過しやすくなる。また、比較的簡易な工程で製造できることにより製造コストを低減しうる。
[共振器及び共振器アレイによる反射角制御]
本実施形態に係る共振器2及び共振器アレイ1は、所定の波長の電磁波に対して共振を発生させることを説明してきた。共振器2において共振が発生した場合、共振器2から共振振動数に応じた電磁波が放射される。このとき共振器2は、電磁波を反射したものとみなされる。
通常、可視光等の電磁波が金属などの反射面に入射した場合、反射面の法線に対する入射角と反射角とが等しくなるように正反射する。ここで、反射角を制御することができれば、種々のデバイスへ応用でき、極めて有用である。
可視光の反射角制御手段として、例えば、ブレージング回折格子が用いられる。しかし、このような回折格子により反射される光は、スペクトルの広がりを有する。よって、このような回折格子は、所定の波長の光のみを反射することはできない。また、このような回折格子は複雑な構造を有するため、大面積化が容易ではない。
<反射角制御の概要>
以下、図14及び図15を参照して、所定の波長を有する光の反射角制御を実現する光学素子101(反射角度制御可透明材ともいう)の概念について説明する。図14に示されるように、光学素子101に平面波が入射すると、回折波が発生する。ここで光学素子101は、周期構造を有している。入射光の波数ベクトルをk0、入射光が正反射する場合の反射光の波数ベクトルをkr、反射光の波数ベクトルをkm、光学素子101の周期構造の波数ベクトルをkg、周期構造のピッチをd、mを整数とすると、次の式(2)の関係が成り立つ。
m=kr+mkg (ただし、kg=2π/d) (2)
つまり、光学素子101が適切なピッチの周期構造を有することで反射角を制御できる。
また、所定の波長を有する光のみを反射することについて図15を参照して説明する。例えば、図15(A)に示されるように、一般的なガラス平板100のような透明材料に赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色の光線が入射する場合、RGBの3色の光線はいずれもその大半が透過する。また、RGBの3色の光線の一部は正反射する。
一方、図15(B)に示されるように、反射角を制御可能な光学素子101にRGBの3色の光線が入射する場合、R及びBの光線は、図15(A)と同様にその大半が透過する。一方でR及びBの光線の一部は正反射する。しかしGの光線は、R及びBの光線よりも低い透過率で透過する。Gの光線の透過しないものの一部は、正反射する。一方で、Gの光線の透過しないものの一部は、光学素子101の特性により定められる角度へも反射する。
ここで、光学素子101のGの光線の透過率は、R及びBの光線の透過率よりも低いものの、ある程度高いことが好ましい。このようにすれば、光学素子101が透明であるとみなせる。また、光学素子101が反射角を制御可能なGの光線の周波数帯域幅が狭いことが好ましい。このような光学素子101は、所定の波長の光のみを反射しつつ、実質的に全ての周波数の光が透過することができる。
<反射角制御可能な構成及びその動作>
以上、図14及び図15を参照して、所定の波長を有する光の反射角を制御できる光学素子101の概要を説明してきた。以下、図16〜図18を参照して、本実施形態に係る共振器アレイ1及び共振器2を用いて、光学素子101が構成されうることを説明する。
図16〜図18において、共振器アレイ1は、共振器2a、2b及び2cと、誘電体3とを備える。誘電体3は、xy平面に平行な平面状に広がっている。また、共振器2a、2b及び2cは、それぞれy方向(紙面に垂直な方向)に配列された導体10を備える。導体10は、誘電体3に埋設される。また、共振器2a、2b及び2cをまとめて周期単位共振器2pともいう。周期単位共振器2pは、x方向に周期的に配設される。共振器2a、2b及び2cは、誘電体3に埋設されるだけに限られず、誘電体3の表面に配設されてもよい。また共振器2a、2b及び2cは、誘電体3に一部のみ埋設されてもよいし、誘電体3の内部に埋設されてもよい。
また図16〜図18において、共振器アレイ1に対して所定の波長を有する入射光51が垂直(z軸の正の方向)に入射するものとする。また、図16〜図18に示される共振器アレイ1並びに共振器2a、2b及び2cは、上記所定の波長を共振波長として共振を発生させるものとする。以下の説明において、所定の波長以外の波長の光については考慮しないものとする。
図16を参照して、xy平面に平行な面状に広がる共振器アレイ1に対して入射光51が垂直(z軸の正の方向)に入射する場合、入射光51の波面51p−1〜3(以下まとめて波面51pともいう)は、xy平面に平行である。つまり入射光51が共振器アレイ1に入射する場合、共振器2a、2b及び2cに入射した入射光51の位相は、それぞれ同一である。
続いて図17を参照して、共振器2a、2b及び2cから放射される反射光52の位相について説明する。上述のように、共振器2a、2b及び2cは、入射光51が有する所定の波長を共振波長として共振を発生させる。よって、入射光51の入射により、共振器2a、2b及び2cにおいて共振が発生する。
共振器2a、2b及び2cは、共振波長で共振を発生させている状態において、共振波長の光を放射する。入射光51が入射してきた方向に放射された光が向かう場合、放射された光は、入射光51の反射光52であるとみなされる。
ここで、共振器2に光が入射した場合、当該光は、共振器2の共振特性により定められる遅延時間の経過後、入射したときと同じ位相で放射される。つまり、共振器2に入射した光は、上記遅延時間だけ共振器2に閉じ込められる。
本実施形態においては、共振器2a、2b及び2cの共振特性により定められる遅延時間が、それぞれ異なる時間に設定される。この場合、共振器2aから光が放射されるまでの時間と、共振器2bから光が放射されるまでの時間とに差が生じる。よって、共振器2aから放射される光の位相と、共振器2bから放射される光の位相との間にずれが生じる。共振器2の遅延時間を異ならせる構成については、後述する。
図16に示される入射光51の波面51p−1〜3は順次、共振器2a、2b及び2cに入射する。そして共振器2aは、波面51p−1〜3が入射してから遅延時間(ta)の経過後、波面51p−1〜3それぞれに対応する光を放射する。共振器2bも同様に、波面51p−1〜3が入射してから遅延時間(tb)の経過後、波面51p−1〜3それぞれに対応する光を放射する。共振器2cも同様に、波面51p−1〜3が入射してから遅延時間(tc)の経過後、波面51p−1〜3それぞれに対応する光を放射する。ここで、遅延時間(ta、tb及びtc)はそれぞれ、共振器2a、2b及び2cの共振特性により定められる時間である。
図17において、共振器2aから放射された光は、円筒波52a−1、52a−2及び52a−3として示されている。つまり、共振器2aにおいてy方向に配列される導体10からそれぞれ放射される球面波が合成された波面が円筒波52a−1、52a−2及び52a−3を形成する。円筒波52a−1、52a−2及び52a−3は、入射光51の波面51p−1、51p−2及び51p−3にそれぞれ対応して放射された光の波面である。また、共振器2bから放射された光は、円筒波52b−1及び52b−2として示されている。円筒波52b−1及び52b−2は、入射光51の波面51p−1及び51p−2にそれぞれ対応して放射された光の波面である。また、共振器2cから放射された光は、円筒波52c−1として示されている。円筒波52c−1は、入射光51の波面51p−1に対応して放射された光の波面である。
入射光51の波面51p−1に対応して放射された光の位相は同位相である。つまり、波面51p−1に対応して、共振器2a、2b及び2cからそれぞれ放射された円筒波52a−1、52b−1及び52c−1は同位相である。よって図17において、円筒波52a−1、52b−1及び52c−1の包絡線は、反射光52の波面52p−1として表される。
同様に、入射光51の波面51p−2に対応して放射された光の位相も同位相である。つまり、波面51p−2に対応して、共振器2a及び2bからそれぞれ放射された円筒波52a−2及び52b−2は同位相である。よって図17において、円筒波52a−2及び52b−2の包絡線は、反射光52の波面52p−2として表される。
図18に示されるように、入射光51の波面51pは共振器アレイ1に平行な面であるのに対し、反射光52の波面52pは共振器アレイ1に対して所定の角度を有している。つまり、共振器アレイ1によって反射角が制御されている。
以上説明してきた共振器アレイ1による反射角の制御は、共振器2により反射光52の位相差を生じさせていることにより実現されている。理想的には、周期単位共振器2pは、位相差が0から2πの共振器2を備えることが好ましい。1周期の中で2πの位相差を生じさせることができれば、原理的にはどのような波面でも作り出せる。
また、ここまで説明してきたように、光の位相を制御して波面の伝播方向を操作する場合、共振器2のx方向の寸法は、反射角の制御対象とする光の波長よりも細かくする。
<共振特性と遅延時間との関係>
以上図16〜図18を参照して、本実施形態に係る共振器アレイ1及び共振器2を用いて、光学素子101が構成されうることを説明してきた。以上の説明においては、遅延時間の異なる共振器2を配列することにより反射光52に位相差を発生させた。ここで、共振器2の共振特性と遅延時間との関係について説明する。
上述の通り、共振器2a、2b及び2cを含む共振器2は、同一の共振波長を有する。しかし、共振器2a、2b及び2cは、共振特性としてそれぞれ異なるQ値を有する。
一般的に共振器2のQ値は、共振波長と光速とから定められる共振周波数とその半値幅に対する比で算出される。つまり、共振周波数をν0、半値幅をΔνとすると、次の式(3)によりQ値が算出される。
Q=ν0/Δν (3)
また共振器2のQ値は、電磁波のエネルギーを共振器2の内部に閉じ込めるという観点からも算出される。つまり、共振周波数をν0、共振器2に閉じ込められるエネルギーをE0、共振器2から単位時間当たりに放射されるエネルギーをPとすると、次の式(4)によりQ値が算出される。
Q=2πν00/P (4)
また共振器2のQ値は、共振器2の内部に電磁波を閉じ込められる時間からも算出される。つまり、共振周波数をν0、電磁波が共振器2に閉じ込められる時間(光子寿命)をτとすると、次の式(5)によりQ値が算出される。
Q=2πν0τ (5)
上記式(4)からすると、共振器2のQ値とは、共振器2における共振の強さを表すともいえる。また上記式(5)からすると、強い共振が起こっている状態において、共振器2に入射した光が共振器2から放射されるまでの時間、つまり、光が共振器2に閉じ込められる時間が長くなるともいえる。
ここで、光が共振器2に閉じ込められる時間とは、上述の遅延時間のことである。つまり、異なるQ値を有する共振器2は、異なる遅延時間を有することとなる。よって、光学素子101を構成する上述の共振器2a、2b及び2cは、それぞれ異なるQ値を有することとなる。
[共振器のQ値の制御]
本実施形態においては、共振器2a、2b及び2cのQ値を異ならせることにより、所定の波長を有する光の反射角を制御している。共振器2のQ値を異ならせることは、例えば、共振器2の導体10の寸法を異ならせることで実現される。以下、図19を参照して説明する。
図19に示されるように、共振器アレイ1の共振器2は、y方向に所定の中心間距離で配列した導体10を備える。ここでx方向に配列されている各共振器2の導体10は、y方向の寸法が異なる。発明者によるシミュレーションによれば、このように導体10の配列方向に沿った導体10の寸法を異ならせることにより、共振器2のQ値を異ならせることができる。
つまり、図19に示される共振器アレイ1は、y方向の寸法が異なる導体10を備える共振器2をx方向に配列することにより、z方向に入射する光の反射角を制御することができる。また、本実施形態に係る共振器アレイ1は、z方向に入射する光のうち、偏光面がxz平面に平行である偏光成分の光の反射角の制御をより高い精度で行うことができる。
<周期構造体の例>
図20を参照して、共振器アレイ1が周期構造体として反射角を制御可能となる構造の一例を説明する。図20において、共振器アレイ1は、x方向に配列された周期単位共振器2pを備える。周期単位共振器2pの配列ピッチはd_xである。周期単位共振器2pは、x方向に配列された共振器2を備える。周期単位共振器2pに備えられる共振器2は、異なるQ値を有する。図20においては、所定の中心間距離(d_y)でy方向に配列した導体10のy方向の寸法が互いに異なる共振器2が設けられる。これらの共振器2は異なるQ値を有する。
周期単位共振器2pは、共振器2のQ値の大きさが順番に並ぶように配列された共振器2を備えることが好ましい。このような配列であれば、共振器アレイ1による反射光52の波面52pを所望の角度に制御しやすくなる。
図21には、図20に示される共振器アレイ1をy軸の負の方向から見た場合の構造が図示されている。図21において、波長がλである光は、z軸に対してθinの角度で入射し、z軸に対してθoutの角度で反射する。この時、周期単位共振器2pの配列ピッチ(d_x)は、入射角(θin)、反射角(θout)、及び共振器アレイ1に入射する光の波長(λ)を用いて、次の式(6)によって算出される。mは、利用する回折光の次数を表す整数である。
d_x=mλ/(sinθout−sinθin) (6)
例えば、波長が532nmの光を30度の入射角で入射し、1次回折光を利用して、垂直に反射(0度の反射角)させたい場合、周期単位共振器2pの配列ピッチ(d_x)は、1.06μmとなる。図21においては、x軸方向に対してのみ位相変化を施した周期構造になっているので、xz平面内の波数ベクトル成分を有する光について反射角度制御が可能となる。
また、正反射角度からの差異がより大きい角度での回折作用を持たせるためには、周期単位共振器2pの配列ピッチ(d_x)をより狭くすればよい。例えば、波長が532nmの光を30度の入射角で入射し、1次回折光を利用して、入射してきた方向に反射(−30度の反射角)させたい場合、周期単位共振器2pの配列ピッチ(d_x)は、532nmとなる。
また、図20及び図21に示される共振器アレイ1において、誘電体3としてSiO2が用いられ、導体10として直方体形状のAlが用いられる構成を考える。この場合、共振器2は、SiO2の屈折率とy方向に配列された導体10の中心間距離(d_y)とから、上述の式(1)に示される関係によって決定される共振波長で共振を発生させる。
構成の一例として各部の寸法を示す。配列について、周期単位共振器2pの配列ピッチ(d_x)は、1050nmに設定され、共振器2の導体10の中心間距離(d_y)は354nmに設定される。また、周期単位共振器2pの中における導体10のx方向の中心間距離は、140nmに設定される。また、導体10のx方向及びz方向の寸法は、55nmと設定される。また、導体10のy方向の寸法は、周期単位共振器2pに含まれる共振器2ごとに異なり、長いものより順に、250nm、205nm、165nm、120nm、80nmと設定される。
図22において、系列のRは反射を、Tは透過を示し、カッコ内の数字は回折次数を表す。例えば、(1,0)Rは、X方向への+1次の反射回折を意味している。図22によれば、532nmの波長を中心に、狭帯域で+1次の回折光が生じていることが分かる。つまり、このケースの場合、垂直入射した光は、反射角(θout)が30度の方向に反射されることが分かる。
以上、一実施形態に係る共振器アレイ1及び共振器2について説明してきた。本実施形態に係る共振器アレイ1によれば、入射する電磁波の反射角を制御することができる。また本実施形態に係る共振器アレイ1は、大面積化が容易である。また本実施形態に係る共振器2によれば、プラズモン共鳴と比較して、Q値の高い共振を発生させることができる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部などに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部などを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
1 共振器アレイ
2 共振器
3 誘電体
4 導体支持部材
10 導体
51 入射光
52 反射光
100 ガラス基板
101 光学素子(反射角度制御可透明材)

Claims (11)

  1. 所定の波長を有する入射光の磁場ベクトルの方向に、所定の中心間距離で配列した少なくとも2つの導体を備え、
    前記入射光の電場ベクトルと前記導体との共鳴により前記導体に発生する、前記入射光の電場ベクトルとは逆位相の電界による磁界と、隣り合う前記導体の間に発生する磁界との結合による共振を発生させる共振器。
  2. 前記共振器の形状は平行平板である、請求項1に記載の共振器。
  3. 前記所定の中心間距離は、前記導体の周囲を囲む誘電体の屈折率に対する前記所定の波長の比である、請求項1又は2に記載の共振器。
  4. 前記所定の波長は、前記所定の中心間距離と前記導体の周囲を囲む誘電体の屈折率との積である、請求項1又は2に記載の共振器。
  5. 誘電体をさらに備え、
    前記導体は誘電体中に配列され、
    前記所定の中心間距離は、前記誘電体の屈折率に対する前記所定の波長の比である、請求項1又は2に記載の共振器。
  6. 誘電体をさらに備え、
    前記導体は誘電体中に配列され、
    前記所定の波長は、前記所定の中心間距離と前記誘電体の屈折率との積である、請求項1又は2に記載の共振器。
  7. 所定の波長を有する入射光の電場ベクトルの方向に配列した複数の共振器を備えた共振器アレイであって、
    前記共振器は、前記入射光の磁場ベクトルの方向に、所定の中心間距離で配列した少なくとも2つの導体を備え、前記入射光の電場ベクトルと前記導体との共鳴により前記導体に発生する、前記入射光の電場ベクトルとは逆位相の電界による磁界と、前記導体の間に発生する磁界との結合による共振を発生させる共振器アレイ。
  8. 前記導体の、前記入射光の磁場ベクトルの方向の寸法を異ならせた共振器を周期的に配列してなる、請求項7に記載の共振器アレイ。
  9. 可視光に対して透明である、請求項7又は8に記載の共振器アレイ。
  10. 入射光の磁場ベクトルの方向に、所定の中心間距離で配列した少なくとも2つの導体を備え、
    前記所定の中心間距離と前記導体の周囲を囲む誘電体の屈折率との積により定められる共振波長を有する共振を発生させる共振器。
  11. 前記導体の、前記入射光の磁場ベクトルの方向の寸法に応じて定められるQ値を有する共振を発生させる、請求項10に記載の共振器。
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