JP2017198748A - 調光フィルム及び調光フィルムの製造方法 - Google Patents

調光フィルム及び調光フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マルチドメイン化により視野角特性を向上するようにして、十分な透過光量を確保できる調光フィルムを提供する。【解決手段】液晶セル4を直線偏光板2、3により挟持してなる調光フィルム1において、液晶セル4は、透明フィルム材による基材6に透明電極11、配向層13を作製してなる第1の積層体5Dと、透明フィルム材による基材15に透明電極16、配向層17を作製してなる第2の積層体5Uと、第1及び第2の積層体5D、5Uにより挟持された液晶層8とを備え、第1及び又は第2の積層体5D、5Uの配向層13、17が、光配向層であり、光配向層の配向規制力により複数のドメインが形成され、第1の積層体5Dには、ドメインのドメイン境界に、柱形状のスペーサー12が設けられる。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば窓に貼り付けて外来光の透過を制御する電子ブラインド等に利用可能な調光フィルムに関する。
従来、例えば窓に貼り付けて外来光の透過を制御する調光フィルムに関する工夫が種々に提案されている(特許文献1、2)。このような調光フィルムの1つに、液晶を利用したものがある。この液晶を利用した調光フィルムは、透明電極、配向層を作製した透明フィルム材により液晶材料を挟持して液晶セルが作製され、この液晶セルを直線偏光板により挟持して作成される。これによりこの調光フィルムでは、液晶に印加する電界の可変により液晶の配向を可変して外来光を遮光したり透過したりし、さらには透過光量を可変したりし、これらにより外来光の透過を制御する。
このような調光フィルムは、窓に貼り付けたりして使用されることにより、入射光を遮光しない場合には、充分な透過率により外来光を透過することが望まれる。
画像表示パネルの1つのである液晶表示パネルは、透明電極、配向膜を作製してなる1対のガラス板材により液晶を挟持して液晶セルが構成され、この液晶セルを直線偏光板により挟持して構成される。液晶表示パネルは、この透明電極のパターンニングにより、画素単位で、液晶に印加する電界を可変して所望の画像を表示する。
このような液晶表示パネルは、マルチドメイン化により視野角特性を向上する工夫が種々に提案されており、特許文献3には、線状突起、点状突起等によるリブを設けて配向層を作製することにより、VA(Virtical Alignment)方式におけるマルチドメイン化方式(MVA:Multi−domain vertical alignment)が提案されている。ここでVA方式は、液晶の配向を垂直配向と水平配向とで変化させて透過光を制御する方式であり、一般的に、無電界時、液晶を垂直配向させることにより、液晶層を垂直配向層により挟持して液晶セルが構成され、電界の印加により液晶材料を水平配向させるように構成される。ここでマルチドメイン化とは、電界の可変に対して液晶分子の挙動が異なる領域を複数設けることであり、一般的に、複数領域における光学特性の平均値化(積分化)により視野角特性を向上するために適用される。
また液晶表示パネルでは、フォトレジストにより柱形状にスペーサーを作製し、このスペーサーにより液晶層の厚みを保持するように構成されえている。このような液晶表示パネルでは、画素間の遮光部であるブラックマトリックスの下に、この種のスペーサーを配置し、これによりスペーサーによる種々の影響を有効に回避して、画素単位で液晶層の厚みを保持するよう構成されている。
ところで調光フィルムは、液晶表示パネルと同様に偏光面の制御により透過光量を制御することにより、液晶表示パネルで利用されている種々の液晶駆動方式を適用できると考えられる。具体的に、MVA方式を適用して調光フィルムを作製すれば、マルチドメイン化により視野角特性を向上して調光フィルムを作製することができると考えられる。
しかしながらMVA方式の画像表示パネルでは、透明電極のパターンニング、リブの形成等によりマルチドメイン化が図られており、透明電極のパターンニングにより透明電極上における液晶材料の配向性が局所的に劣化したり、リブにより電圧印加時における透過率が低下する傾向がある。これにより単純に液晶表示パネルに係るMVA方式を適用して調光フィルムを作製した場合には、十分に透過光量を確保できない問題がある。
特開平03−47392号公報 特開平08−184273号公報 特開平11−242225号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、マルチドメイン化により視野角特性を向上するようにして、十分な透過光量を確保できるようにすることを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、光配向層の配向規制力によりマルチドメイン化することにより、視野角特性を向上し、十分な透過光量を確保できるようにする。さらにこのマルチドメインに係るドメイン境界に、スペーサーを配置し、さらに透過光量を確保する、との着想に至り、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1) 液晶セルを直線偏光板により挟持してなる調光フィルムにおいて、
前記液晶セルは、
透明フィルム材による基材に透明電極、配向層を作製してなる第1の積層体と、
透明フィルム材による基材に透明電極、配向層を作製してなる第2の積層体と、
前記第1及び第2の積層体により挟持された液晶層とを備え、
前記第1及び又は第2の積層体の配向層が、光配向層であり、
前記光配向層の配向規制力により複数のドメインが形成され、
前記第1の積層体には、前記ドメインのドメイン境界に、柱形状のスペーサーが設けられた調光フィルム。
(1)によれば、ドメイン境界に、柱形状のスペーサーが設けられていることにより、局所的に透過率が低下する部位を纏めて、調光フィルム全体における透過率の低下する部位の面積を低減することができる。これによりマルチドメイン化により視野角特性を向上するようにして、十分な透過光量を確保することができる。
(2) (1)において、
前記配向層は、
前記ドメイン境界の延長方向と直交する方向が、前記液晶層の液晶分子の長軸方向となるように前記液晶分子を配向させるように配向規制力が設定された調光フィルム。
(2)によれば、スペーサーにおいてディスクリネーションにより透過率が低下する部位を、ドメイン境界においてディスクリネーションにより透過率が低下する部位に効率良く配置することができ、これにより一段と透過率を向上することができる。
(3) (1)又は(2)において、
前記ドメインの繰り返し方向に任意に選択した少なくとも100mmの範囲において、前記ドメインの幅が、前記ドメインの連続する方向で、ランダムに変化する調光フィルム。
(3)によれば、ドメインの幅がランダムに変化することにより、調光フィルム越しに屋外の風景等を鮮明に見て取ることができるようにして、マルチドメイン化により視野角特性を向上するようにし、さらに十分な透過光量を確保することができる。
(4) (1)、(2)、(3)の何れかにおいて、
前記スペーサーのビッカース硬度値Xsが16.9以上40.2以下であり、
前記スペーサーの先端が当接する前記第2の積層体の部位のビッカース硬度値Xfが、11.8以上35.9以下である調光フィルム。
(4)によれば、スペーサーのビッカース硬度値Xsが16.9以上40.2以下であり、スペーサーの先端が当接する第2の積層体の部位のビッカース硬度値Xfが、11.8以上35.9以下であることにより、使用中の押圧力等により、スペーサーの先端が対向する面に貫入したりする状況を低減して、セルギャップの不均一化、局所的な配向不良の発生を低減し、さらは液晶材料の漏出を有効に回避することができる。またさらに基材の傷つきを低減し、また全体が屈曲した際のクラックの発生を低減することができる。これらによりスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上することができる。
(5) 透明フィルム材による基材に透明電極、配向層を作製して第1の積層体を作製する第1の積層体作製工程と、
透明フィルム材による基材に透明電極、配向層を作製して第2の積層体を作製する第2の積層体作製工程と、
前記第1及び第2の積層体により液晶層を挟持して液晶セルを作製する工程とを備え、
前記第1の積層体作製工程は、
前記透明電極の上に、又は前記配向層の上に、柱形状によるスペーサーを配置する工程を備え、
前記第1及び又は第2の積層工程は、
塗工液を前記基材に塗工して光配向層の材料層を作製する塗工工程と、
前記塗工工程により作製した前記光配向層の材料層に紫外線を繰り返し照射して配向規制力を設定することにより、前記液晶セルに複数のドメインが形成されるように前記配向層を作製する露光工程とを備え、
前記ドメインのドメイン境界に、前記スペーサーを配置する調光フィルムの製造方法。
(5)によれば、ドメイン境界に、柱形状のスペーサーが設けられていることにより、局所的に透過率が低下する部位を纏めて、調光フィルム全体における透過率の低下する部位の面積を低減することができる。これによりマルチドメイン化により視野角特性を向上するようにして、十分な透過光量を確保することができる。
本発明によれば、マルチドメイン化により視野角特性を向上するようにして、十分な透過光量を確保できる。
本発明の第1実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 図1の調光フィルムにおける配向層の説明に供する図である。 図1の調光フィルムにおける配向層の他の例の説明に供する図である。 図1の調光フィルムにおけるスペーサーの配置の説明に供する図である。 スペーサーと配向規制力との関係の説明に供する図である。 図5の続きの説明に供する図である。 図1の調光フィルムの製造工程を示すフローチャートである。 図7の製造工程の詳細の説明に供する図である。 図8の製造工程における露光工程の説明に供する図である。 本発明の第2実施形態に係る調光フィルムの説明に供する図である。 本発明の第3実施形態に係る調光フィルムの説明に供する図である。
〔第1実施形態〕
〔調光フィルム〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。この調光フィルム1は、建築物の窓ガラス、ショーケース、屋内の透明パーテーション等の調光を図る部位に、粘着剤層等により貼り付けて使用され、印加電圧の可変により透過光の光量を制御する。
この調光フィルム1は、液晶を利用して透過光を制御するフィルム材あり、直線偏光板2、3により調光フィルム用の液晶セル4を挟持して構成される。ここで直線偏光板2、3は、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素等を含浸させた後、延伸して直線偏光板としての光学的機能を果たす光学機能層が形成され、TAC(トリアセチルセルロース)等の透明フィルム材による基材により光学機能層を挟持して作製される。直線偏光板2、3は、クロスニコル配置により、紫外線硬化性樹脂等による接着剤層により液晶セル4に配置される。なお直線偏光板2、3には、それぞれ液晶セル4側に光学補償に供する位相差フィルム2A、3Aが設けられるものの、位相差フィルム2A、3Aは、必要に応じて省略してもよい。
液晶セル4は、後述する透明電極への印加電圧により透過光の偏光面を制御する。これにより調光フィルム1は、透過光を制御して種々に調光を図ることができるように構成される。
〔液晶セル〕
液晶セル4は、フィルム形状による第1及び第2の積層体である下側積層体5D及び上側積層体5Uにより液晶層8を挟持して構成される。下側積層体5Dは、透明フィルム材による基材6に、透明電極11、スペーサー12、配向層13を作製して形成される。上側積層体5Uは、透明フィルム材による基材15に、透明電極16、配向層17を積層して形成される。液晶セル4は、この上側積層体5U及び下側積層体5Dに設けられた透明電極11、16の駆動により、VA(Virtical Alignment)方式におけるマルチドメイン化方式であるMVA方式により液晶層8に設けられた液晶材料の配向を制御し、これにより透過光の偏光面を制御する。
基材6、15は、この種のフィルム材に適用可能な種々の透明フィルム材を適用することができるものの、光学異方性の小さなフィルム材を適用することが望ましい。この実施形態において、基材6、15は、ポリカーボネートフィルムが適用されるものの、COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム等を適用してもよい。
透明電極11、16は、この種のフィルム材に適用される各種の電極材料を適用することができ、この実施形態ではITO(Indium Tin Oxide)による透明電極材により形成される。
スペーサー12は、液晶層8の厚みを規定するために設けられ、各種の樹脂材料を広く適用することができるものの、この実施形態ではフォトレジストにより作製され、透明電極11を作製してなる基材6の上に、フォトレジストを塗工して露光、現像することにより円柱形状等の柱形状により作製される。なおスペーサー12は、上側積層体5Uに設けるようにしてもよく、上側積層体5U及び下側積層体5Dの双方に設けるようにしてもよい。
より具体的にスペーサー12は、直径25μm以下9μm以上の断面円形形状による円柱形状により、より好ましくは直径12μm以下9μm以上の断面円形形状による円柱形状により形成され、50個/mm以上300個/mm以下の密度により配置されるものの、好ましく50個/mm以上100個/mm以下の密度により配置してもよい。
配向層13、17は、光配向層により形成される。ここでこの光配向層に適用可能な材料は、光配向の手法を適用可能な各種の材料を広く適用することができるものの、この実施形態では、例えば光2量化型の材料を使用する。この光2量化型の材料については、「M.Schadt, K.Schmitt, V. Kozinkov and V. Chigrinov : Jpn. J. Appl.Phys., 31, 2155 (1992)」、「M. Schadt, H. Seiberle and A. Schuster : Nature, 381, 212(1996)」等に開示されている。
液晶層8は、この種の調光フィルムに適用可能な各種の液晶材料を広く適用することができる。具体的に、液晶層8には、例えば、特開2003−366484号に記載の液晶化合物を用いることができる。また、上市品としては、例えばメルク社製MLC2166等の液晶材料を適用することができる。なお液晶セル4は、液晶層8を囲むように、シール材19が配置され、このシール材19により上側積層体5U、下側積層体5Dが一体に保持され、液晶材料の漏出が防止される。
〔マルチドメイン化〕
ここで調光フィルム1は、このように配向層13、17に光配向層を適用して、この光配向層の配向規制力の設定(パターンニング)によりマルチドメイン化が図られる。すなわち上側積層体5U及び下側積層体5Dは、平面視、矩形形状により形成され、上側積層体5Uに係る配向層17は、図2(A)により示すように、この矩形形状に係る短辺に沿って延長する第1及び第2の帯状の領域A、Bが、この延長方向と直交する方向に密接して順次交互に設けられる。
この第1及び第2の領域A、Bは、MVA方式の各ドメインDA、DBに係る領域であり、液晶層8の液晶材料に対してプレチルト角が異なる向きとなる領域であり、これにより配向規制力の方向が異なるように作製される。より具体的に、この実施形態では、このプレチルト角に係るプレチルトの方向(矢印A及びBにより示す)が、第1及び第2の領域で、第1及び第2の領域の境界からほぼ垂直の方向である逆向きの方向となるように設定される。なおこのプレチルト角に係るプレチルトの方向は、光配向層の露光に供する光源の方向により設定される。なお第1及び第2の領域は、方位角方向については、同一方向に配向規制力を発現するように作製される。
下側積層体5Dに係る配向層13は、この上側積層体5Uの配向層17に対応するように、同様に帯状領域A、Bが順次交互に設けられる。これにより液晶セル4において、この帯状領域A、Bに対応する帯状領域による第1及び第2のドメインDA、DBが順次交互に設けられ、これにより視野角特性を充分に確保できるように構成される。
ここでこの図2(A)の例では、領域A及びBでプレチルト角に係るプレチルトの方向を異ならせることを前提に、第1及び第2の領域の境界からほぼ垂直の方向である逆向きの方向となるようにプレチルトの方向を設定するものの、この向きにあっては、第1及び第2の領域で逆向きに設定して充分に視野角特性を向上することができ、例えば図2(B)により示すように、帯状領域A及びBに係る延長方向としてもよく、この延長方向に対して斜めに傾くようにしてもよい。
なお光配向層の配向規制力によるマルチドメイン化は、図3(A)及び(B)に示すように、配向層13及び17のうちの一方のみパターンニングして、他方の配向層については、全面に均一に配向規制力を設定するようにしてもよく、この場合、この他方の配向層は、一方の配向層の第1及び第2の領域A及びBにおけるプレチルトの方向を2分する中央の方向が、プレチルトの方向となるように設定することが望ましい。このように配向層13及び17のうちの一方のみパターンニングして、他方の配向層については、全面に均一に配向規制力を設定する場合には、上側積層体5U及び下側積層体5Dの積層時における位置合わせを簡略化することができる。
またこの他方の配向層にあっては、無電界時、近傍の液晶材料をチルト角90度により配向させる構成を適用することができる。なおこのような配向層の構成は、例えば光配向層の材料層を無偏光の紫外線により硬化させて垂直配向層として機能させる構成、光配向層の材料層を硬化させることなく、単に塗工層を乾燥させただけの状態に保持することによりこの材料層を垂直配向層として機能させる構成等を適用することができる。このように構成しても、上側積層体5U及び下側積層体5Dの積層時における位置合わせを簡略化することができる。
なおこのような帯状の形状に代えて、長方形形状、正方形形状、菱形形状等により第1及び第2の領域A及びBを作製してもよく、これらの場合には市松模様状にこれら第1及び第2の領域A、Bが配置される。
このように光配向層のパターンニングによりマルチドメイン化することにより、透明電極のパターンニング、リブの形成によりマルチドメイン化する場合のような透過率の低下を有効に回避することができ、これらによりマルチドメイン化により視野角特性を向上するようにして、十分な透過光量を確保することができる。
ここでこのようにして作製される第1及び第2のドメインDA、DBに係る第1及び第2の領域A及びBの幅WA、WBは、30μm以上3000μm以下により、より好ましくは100μm以上2000μm以下により作製される。ここで幅WA及びWBが大きい場合には、第1及び第2のドメインが視認されて視野角特性の向上効果を確保することが困難になるものの、幅WA、WBが小さい場合には、ドメイン境界の増大により透過率が低下することになる。これによりこの実施形態では、透過率の低下を有効に回避して、確実に視野角特性を向上できるように構成される。
〔スペーサーの配置〕
ところでこのようにして光配向層の配向規制力によりマルチドメイン化する場合、ドメイン境界ではディスクリネーションにより透過率が低下することになる。
具体的に、図4は、液晶セル4による調光フィルムを顕微鏡により観察した状態を示す模式図であり、電界の印加により入射光を透過する状態の図である。調光フィルムにおいては、ドメインDA、DBによるドメイン境界BDに、線状に、輝度レベルの低い部位が形成され、図2による配向層13、17の構成では、この線状の輝度レベルの低い部位が各境界に2本形成されるのに対し、図3による配向層13、17の構成では、この線状の部位が各境界に1本形成される。
またスペーサー12にあっては、その周囲で液晶分子の配向が乱れることにより、その周囲では透過率が低下することになる。
そこでこの実施形態では、図4に示すように、ドメイン境界BDにスペーサー12を配置することにより、ドメイン境界BDによる透過率の低下する部位とスペーサー12により透過率の低下する部位とを重ね合わせて、調光フィルム1全体における透過率の低下する部位の面積を低減し、これにより十分な透過光量を確保できるようにする。
ここで透過光量を充分に確保する観点からは、液晶セル4に配置するスペーサー12の全てを、ドメイン境界BDに配置することが望ましい。しかしながら全てを、ドメイン境界BDに配置した場合には、ドメインDA、DBの連続する方向でスペーサー12が規則的に配置されることにより、回折光が発生し、その結果、調光フィルム越しに見て取られる風景の解像度が低下する恐れがある。これによりこの実施形態では、調光フィルム1に配置したスペーサー12の全部又は一部がドメイン境界BDに配置される。またドメイン境界BDに配置されていないスペーサー12は、ランダムに配置される。またドメイン境界DBに配置されるスペーサー12にあっても、ドメイン境界BDの延長方向については、ランダムに配置される。
ここでスペーサー12の直径をWとし、ドメイン境界BDに現れる輝度レベルの小さい部位が1本であって直線状の部位であるものとし、ドメインの幅をWDとする。この場合、ランダムにスペーサー12を配置して、ドメイン境界DBに現れる輝度レベルの小さい直線状の部位に、スペーサー12が一部でも重なり合う確率は、2W/WDで表される。これによりこの実施形態では、透過光量を充分に確保する観点から、調光フィルム1に配置したスペーサー12の20%以上、好ましくは35%以上、より好ましくは50%以上がドメイン境界BDに、より具体的には、ドメイン境界BDに発生する線状の輝度レベルの低い部位に配置される。
〔スペーサーに対する配向規制力の設定〕
ここで図5(A)に示すように、配向層13の配向規制力により、液晶分子8Aは、配向規制力の方向(矢印により示す)が長軸方向となるように配向することになる。これに対してスペーサー12の周囲では、図5(B)に示すように、スペーサー12の周側面に対して垂直に液晶分子8Aが配向する。これにより図5(C)に示すように、スペーサー12の周囲では、配向層の配向規制力の方向に対して、この配向規制力の方向を横切る方向に、ディスクリネーションにより透過率が低下する領域ARが発生する。
これにより図2(B)及び図3(B)について上述したように、ドメイン境界BDに係る第1及び第2の領域A及びBの境界の延長方向に、第1及び第2の領域A及びBで交差する方向へのプレチルト方向を設定したでは、図6(A)に示すように、ドメイン境界BD上に、スペーサー12によるディスクリネーションにより透過率が低下する領域ARを効率良く配置することができなくなる。しかしながら図2(A)及び図3(A)について上述したドメイン境界BDに係る第1及び第2の領域A及びBの境界の延長方向に対して垂直方向がプレチルト方向(配向規制力の方向)となるように設定すると、図6(B)に示すように、ドメイン境界BD上に、スペーサー12によるディスクリネーションにより透過率が低下する領域ARを効率良く配置することができる。これによりこのように配向規制力の方向と直交する方向が、ドメイン境界BDの延長方向となるように設定して、透過率を一段と向上することができる。
なおこれにより例えば図6(C)により示すように、例えばドメイン境界BDを間に挟んで配向規制力の方向が直交するように設定した場合には、この直交する配向規制力に対して直交する方向を、透過率が低下する領域ARの方向とすることができ、これにより例えば4ドメインによりマルチドメイン化する場合にも適用することができる。
〔スペーサーの詳細構成〕
ここでこの実施形態では、上述したようにフォトレジストを使用して円柱形状又は円錐台形状によりスペーサー12が形成される。このようにしてスペーサー12を作製して、この実施形態では、スペーサー12のビッカース硬度値Xsが16.9以上40.2以下であり、スペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfが、11.8以上35.9以下であるように設定され、これによりスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上する。なお、ビッカース硬度の値は、以下の実施例に記載の条件における測定値である。
すなわちスペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfが11.8未満の場合、使用中の押圧力により、スペーサー12の先端が対向する面に貫入し、その結果、セルギャップが不均一化したり、局所的な配向不良が発生する。またこの場合、スペーサー12の組み立て時の接触等により基材21Aにキズが発生したり、全体を屈曲した際にクラックが生じたりする。
またスペーサー12のビッカース硬度値Xsが16.9未満の場合には、外圧によりスペーサー12が潰れてセルギャップが低減し、所望のセルギャップを得られなくなる。またスペーサー12のビッカース硬度値Xsが40.2を超える場合、又はスペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfが35.9を超える場合にあっても、セルギャップが低減したり、キズ、クラックが発生したりする場合がある。
しかしながらスペーサー12のビッカース硬度値Xsが16.9以上40.2以下であり、スペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfが、11.8以上35.9以下であるように設定すれば、これらの問題を一挙に解決してスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上することができる。
〔試験結果〕
表1及び表2は、このスペーサーに関する構成の確認に供した試験結果を示す図表である。この表1及び表2における実施例、比較例は、スペーサー及びこのスペーサーが当接する配向層に関する構成が異なる点を除いて、同一に構成される。より具体的に、これら実施例、比較例の調光フィルムは、下側積層体5Dにのみスペーサー12を設けるようにし、このスペーサー12に係る熱処理の条件により、スペーサー12のビッカース硬度値Xsを変化させた。また配向層23Aを作製する際の条件により、スペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfを変化させた。
すなわちスペーサー12は、スペーサー12に係る塗工液を塗工した後、乾燥させ、その後、露光装置を使用したマスク露光により、スペーサー12を作製する部位を選択的に露光する。なおこれはポジ型のフォトレジストの場合であり、ネガ型のフォトレジストではこれとは逆にスペーサー12を作製する部位を除く部位が選択的に露光処理される。その後、スペーサー12は、現像処理により未露光の部位又は露光処理した部位が選択的に除去されてリンス等の処理が実行され、必要に応じて乾燥等の処理が実行される。
この露光処理では、事前に加熱していわゆるハーフキュアーの状態で露光処理したり、加熱した環境下で露光処理する場合があり、また現像処理において、リンス等の処理を実行した後、加熱処理して反応を促進する場合がある。スペーサー12の硬度Xsは、スペーサー12に係るフォトレジストの材料の選定、露光工程、現像工程における加熱の温度、時間の設定、露光光量及び露光時間の設定により設定することができる。
この実施形態では、この露光工程、現像工程における加熱の温度、時間の設定により、スペーサー12のビッカース硬度値Xsがそれぞれ14.8、16.9、22.2、40.2、51.4である下側積層体5Dを作製した。なおこの硬度は、スペーサー12の作成条件をそれぞれ設定して下側積層体5Dを作製し、この下側積層体5Dにより調光フィルム10を一旦作製した後、分解して計測した計測値である。またこの計測は、各調光フィルムで12点を計測し、最大値及び最小値を除いて残る10点の平均値による計測結果である。
なおスペーサー12は、直径9μm、高さ6μmの円柱形状により作製した。また基材21Bの面内方向で直交する2方向に110μmピッチにより規則的に配置した。従って基材21B上においてスペーサー12の占める割合(占有率)は、0.5%(=((9/2)×3)/(110))である。
なお占有率を大きくすると、スペーサー1個当たりに印加される応力が小さくなることにより、スペーサー12が潰れたり、先端が貫入したりする現象を軽減できるものの、占有率を大きくすると、透過率が劣化したり、遮光率が劣化したりする。しかしながら占有率が小さい場合には、透過率、遮光率等の光学特性を確保することができるものの、スペーサー12が潰れたり、先端が貫入したりする現象を避け得なくなる。これにより占有率は、0.5%以上、10%以下であることが望ましい。
これに対してこのスペーサーが当接する面である上側積層体12の配向層23Aにあっては、塗工液を塗工して乾燥、熱硬化することにより製造し、この熱硬化の条件(加熱温度、加熱時間)等の設定によりビッカース硬度値Xfを設定した。これにより実施例、比較例では、ビッカース硬度値Xfが10.2、11.8、24.8、35.9、38.5である上側積層体12を製造した(表4)。なおこの硬度Xfは、配向層23Aの作成条件をそれぞれ設定してスペーサーが当接する面である上側積層体12の配向層23Aについて硬さの異なる上側積層体12を製造し、この上側積層体12により調光フィルム10を一旦製造した後、分解して計測した計測値である。12点で計測し、最大値及び最小値を除いて残る10点の平均値による計測結果である。
なおビッカース硬度値Xs、Xfは、ヘルムートフィッシャー社製PICODENTOR HM500を使用して計測した。計測は、押し込み速度300mN/20sec、リリース速度300mN/20sec、クリープ時間5秒により、最大荷重を100mNの測定条件とした。
表1、表示2の各実施例、比較例では、このようにして作製した上側積層体5U、下側積層体5Dにより調光フィルムを作製して試験した。表1、表2の試験では、定盤による硬度の高い平滑面に調光フィルムを載置した状態で、0.8MPaに相当する加重を印加した後、セルギャップを計測してセルギャップの減少を判断した。なお加重の時間は24時間である。またこのように加重した後、上側積層体及び下側積層体を剥離してスペーサーを顕微鏡により観察して、スペーサーの潰れを観察してセルギャップの減少を観察し、またスペーサーが当接する部位を顕微鏡により観察してスペーサー先端の貫入を観察した。
ここでこの顕微鏡による観察にはSEM等の手法を用いて正面視、斜視、及び断面観察し、目視でスペーサーの変形を確認し、スペーサーの変形が確認された場合にはその状況に応じ、「セルギャップ減少、スペーサー潰れ」の有無を○×判定した。従ってこの表1、表2において「○」は、対応する項目に係る異常が見られない場合であり、「×」は対応する項目に係る異常が見られる場合である。
また同様にスペーサーが当接する部位をSEM等の手法を用いて斜視した場合、窪み(凹部)が確認された場合、「フィルム貫入」を「×」判定とし、凹部が認められない場合、「フィルム貫入」を「○」判定とした。
また積層体5U及び13を積層して0.1MPaに相当する加重を印加した状態で、積層体5U及び13の相対位置を0.1cm/secにより変位させ、目視により傷の発生を確認した。ここで複数サンプルの半数以上で、傷の発生が確認された場合、「キズ(フィルム)」を「×」により示し、これとは逆に、複数サンプルの半数以上で、傷の発生が確認されない場合、「キズ」を「○」により示す。
また調光フィルムの状態で、JIS K5600−5−1の曲げ試験の規定に従って、直径2mmの円柱マンドレルに巻き付けてクラックの発生を確認した。この試験で複数サンプルの半数以上で、基材にクラックの発生が確認された場合、「クラック(フィルム)」を「×」により示し、これとは逆に、複数サンプルの半数以上で、基材にクラックの発生が確認されない場合、「クラック」を「○」により示す。
Figure 2017198748
Figure 2017198748
Figure 2017198748
Figure 2017198748
この表1、表2の計測結果では、スペーサー12のビッカース硬度値Xsが16.9未満である場合(比較例5、7)、セルギャップの減少が観察され、また比較例5では、フィルムへのスペーサー先端の貫入、キズ、クラックが観察された。またスペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfが、11.8未満である場合(比較例1、比較例3)、キズ、クラックが観察され、また比較例3では、フィルムへのスペーサー先端の貫入が観察された。
またスペーサー12のビッカース硬度値Xsが40.2を超える場合(比較例6、比較例8)、比較例6では、セルギャップの減少、フィルムへのスペーサー先端の貫入が観察され、比較例8ではキズが観察された。またスペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfが35.9を超える場合(比較例2、比較例4)、セルギャップの減少、キズが観察され、さらに比較例4では、クラックが観察された。
しかしながら実施例1〜13では、これらの現象にあっては、観察されることが無く、これにより充分にスペーサーに関して信頼性を確保できることが確認された。
〔製造工程〕
図7は、調光フィルムの製造工程の説明に供するフローチャートである。調光フィルムの製造工程は、上側積層体作製工程SP2及び下側積層体作製工程SP3において、それぞれ上側積層体5U及び下側積層体5Dが作製される。また積層工程SP4において、液晶層8を間に挟んで、上側積層体5U及び下側積層体5Dを積層した後、シール材19により一体化して液晶セルが作製される。調光フィルムの製造工程は、このようにして作製した液晶セルを直線偏光板と積層一体化して調光フィルムが作製される。
図8は、上側積層体5U及び下側積層体5Dの製造工程を示すフローチャートである。この製造工程は、電極作製工程SP12において、フォトリソグラフィーの手法を適用して、透明基材6及び15にそれぞれ透明電極11及び16をそれぞれ作成する。さらに続いて下側積層体5Dにあっては、スペーサー作製工程SP13において、透明電極11を作製した透明基材6にフォトレジスト膜を作製した後、露光、現像処理し、これによりスペーサー12を作製する。続いて製造工程は、配向層作製工程SP4において、基材6、15に配向層13、17を作製する。
ここで配向層作製工程SP4においては、塗工工程SP4−1において、基材6及び15の上に、それぞれ光配向層に係る塗工液を塗工した後、続く乾燥工程SP4−2において、この塗工液の溶剤を飛散させて塗工層を乾燥させる。これによりこの製造工程は、基材6側に垂直配向層に係る配向層13を作製する。
またこの製造工程は、続く1回目露光工程SP4−3において、基材15側に形成された配向層の材料層に紫外線を照射し、全面に、第1又は第2の領域に係る配向規制力を設定し、続く2回目露光工程SP4−4において、マスクを使用した紫外線の照射により第2又は第1の領域について配向規制力を設定し直し、これにより配向層17を作製する。
ここで図9(A)に示すように、この実施形態では、第1及び第2の領域A、Bの繰り返し方向(紙面の左右方向であり、領域A、Bの境界に直交する方向である)の一方の側に光源を配置し、この光源から基材15に直線偏光の紫外線LAを所定の入射角θAにより斜め入射して1回目の露光処理を実行し、これにより基材15の全面に領域A又はBに係る配向規制力を発現させる。
また続いて図9(B)に示すように、領域A又はBを選択的に遮光するマスク21を配置し、1回目の露光時とは逆側に配置した光源から入射角θBにより無偏光の紫外線LBを斜め入射して2回目の露光処理を実行し、これにより領域A又はBに係る配向規制力を設定し直す。なおこのように配向規制力を再設定する場合は、1回目の配向規制力の設定に係る紫外線LAの照射(図3(A)による1回目の紫外線の照射である)に対して、2回目の露光処理における紫外線LBの照射光量を2倍以上に設定することが望ましい。
なお入射角θA及びθBに係る光源は、方位角方向に係る角間隔が180度であることが望ましいものの、この方位角に係る角間隔は180度±1度の範囲以内であれば、実用上十分にプレチルト角を設定することができる。また領域A及びBの境界に対して、この境界に直交する方向への光源の配置に代えて、この直交する方向から斜めに傾いた方向に光源を配置して露光処理してもよい。また少ない光量で効率良く光配向層を作製する観点から、入射角θA、θBは、45度であることが望ましいものの、40度以上50度以下であってもよい。
このようにしてマスク21を使用して露光処理する際に、この製造工程では、スペーサー12がドメイン境界と重なり合うようにマスク21を位置決めして露光処理し、これにより透過率を充分に確保する。
この実施形態によれば、ドメイン境界に、スペーサーを設けることにより、マルチドメイン化により視野角特性を向上するようにして、十分な透過光量を確保することができる。
〔実施例〕
両面にハードコート層が作製されてなる厚み100μmによるCOPフィルム材を基材6、15に適用し、上述の実施形態の構成により調光フィルムを作製した。10mJ/cmの光量により直線偏光の紫外線を照射して1回目の露光処理を実行すると共に、さらに30mJ/cmの光量による直線偏光の紫外線を使用したマスク露光により2回目の露光処理を実行し、これにより上側積層体5Uに係る配向層17を作製した。下側積層体5Dに係る配向層13は、光配向層材料層を露光処理することなく単に乾燥させるだけにして、垂直配向層により形成した。この実施例では、透過率が32.4%であった。
〔比較例〕
この比較例では、ドメイン境界を無視してスペーサーを一定のピッチで配置した点を除いて、実施例1と同様にして調光フィルムを作製した。この比較例では、透過率は、31.4%であった。
〔第2実施形態〕
図10は、図4との対比により本発明の第2実施形態に係る調光フィルムの説明に供する図である。この実施形態に係る調光フィルムは、第1実施形態と同様にして、光配向層の配向規制力により第1及び第2のドメインDA、DBの順次交互の繰り返しによりマルチドメイン化が図られ、これにより視野角特性を向上する。
この調光フィルムでは、隣接する第1及び第2のドメインDA、DBで順次ドメイン対DPを形成するようにして、各ドメイン対DPでは、第1及び第2のドメインDA及びDBの幅WA及びWBが等しくなるように設定され、これにより各ドメイン対内の第1及び第2のドメインDA及びDBで視野角特性を相互に補って、全体として充分に視野角特性を向上できるように構成される。
このようにして対を成すようにして、調光フィルム1は、ドメイン対DPによる幅W1、W2、W3が、ドメインDA、DBの連続でランダムに変化するように形成される。これにより調光フィルム1では、第1及び第2の領域A及びBの領域幅WA、WBが、このドメイン対DPの幅W1、W2、W3に対応してランダムに変化するように形成される。これにより調光フィルム1ではマルチドメインに係るドメインDA、DBの規則性が緩和される。これにより調光フィルム1では、このドメインDA、DBの規則性による回折光を低減し、この回折光により解像度の低下を有効に回避する。これによりこの実施形態では、調光フィルム越しに、呆けたり霞んだりすることなく、屋外の風景等を鮮明に見て取ることができる。
ここでドメイン対DPの幅W1、W2、W3を、ドメインDA、DBの連続でランダムに変化させる場合、第1及び第2の領域A及びBの幅WA、WBは、ばらつくことになる。ここでこのばらつきにより規則性を充分に緩和できるように、幅WA、WBのバラツキは、標準偏差(σ)が30μm以上80μm以下により、より好ましくは40μm以上70μm以下に設定される。
またこのようにバラツキを設定して、同一幅によるドメインDA、DBの連続により局所的に規則性が担保されることが無いように、ほぼ同一幅による第1及び第2の領域A及びB(幅WA、WBの差分絶対値が20μm以下の場合である)が2本以上連続しないように設定される。
ここでこのような規則性の緩和にあっては、一定範囲の領域で確保することにより、充分に屋外の風景等を鮮明に見て取ることができるようにすることができる。種々に検討した結果、この一定範囲は、ドメインの連続する方向に100mm以上の範囲であることが判った。これによりこの実施形態においては、100mm以上の繰り返しピッチで同一のパターンが繰り返すようにドメイン対Dが作製され、これによりランダム配置に係る同一のマスクを繰り返し使用したパターンニングにより、又はランダム配置に係る部位が繰り返された大面積のマスクを使用したパターンニングにより、配向層を作製できるように構成される。
これらにより調光フィルム1では、第1及び第2の領域A及びBの繰り返し方向に任意に選択した少なくとも100mmの範囲において、第1及び第2の領域幅が、第1及び第2の領域の連続する方向で、ランダムに変化するように設定され、これにより充分にドメインDA、DBの規則性による回折光を低減し、呆けたり霞んだりすることなく、屋外の風景等を鮮明に見て取ることができる。
〔スペーサーの配置〕
この実施形態では、このようにドメインDA、DBの規則性を充分に緩和してなるドメイン境界に、スペーサー12を配置する。ここでこの実施形態では、そもそもドメイン境界の規則性が充分に緩和されていることにより、第1実施形態に比して格段的に多量のスペーサー12をドメイン境界に配置するようにしても、さらにはスペーサー12の全てをドメイン境界に配置するようにしても、スペーサー12の配置に係る規則性を充分に緩和することができる。これにより充分に透過光量を確保するようにして、この規則性による回折光を防止し、呆けたり霞んだりすることなく、屋外の風景等を鮮明に見て取ることができる。
この実施形態によれば、ドメインの繰り返し方向に任意に選択した少なくとも100mmの範囲において、ドメインの連続する方向で、ドメインの幅がランダムに変化することにより、充分に透過光量を確保するようにして、屋外の風景等を鮮明に見て取ることができる。
〔第3実施形態〕
図11(A)及び(B)は、図2(A)及び(B)及び図3(A)及び(B)との対比により本発明の第2実施形態に係る調光フィルムの説明に供する図である。この実施形態では、上側積層体5Uの配向層17及び下側積層体5Dの配向層13に、光配向層が適用され、それぞれプレチルト角に係る向きが逆向きの第1及び第2の帯状領域AA及びBA、BB及びABが形成され、この第1及び第2の帯状領域AA及びBA、BB及びABが直交するように配置される。これによりこの実施形態では、4ドメインによりマルチドメイン化する。これによりこの実施形態では、一段と視野角特性を向上する。
この実施形態では、この4ドメインに係るドメイン境界に、スペーサー12が配置される。なおこの場合、各ドメインを一定幅により作製するようにしてもよく、また第2実施形態について上述したと同様に、下側積層体5Dの配向層13及び上側積層体5Uの配向層17の双方、又は一方については、ドメインの繰り返し方向に任意に選択した少なくとも100mmの範囲において、ドメインの連続する方向で、ドメインの幅がランダムに変化するように設定してもよい。
この実施形態のように、4ドメインによりマルチドメイン化する場合にあっても、第一実施形態又は第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態を種々に組み合わせし、さらには種々に変更することができる。
すなわち上述の実施形態では、全面を露光処理した後、マスクを使用した選択的な露光処理により第1及び第2の領域の密接配置による光配向層を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、マスクを使用して第1又は第2の領域に係る部位を選択的に露光処理した後、紫外線の全面照射により第2又は第1の領域に係る未露光の部分を露光して、第1及び第2の領域の密接配置による光配向層を作製するようにしてもよい。なおこの場合、1回目及び2回目の露光処理に供する光量をほぼ等しい光量として、より具体的には、2回目の露光処理に係る光量を1回目の露光処理に係る光量の1.25倍以下0.75倍以上として、第1及び第2の領域の密接配置による光配向層を作製することができる。またこれに代えて、マスクを使用した露光処理の繰り返しにより、第1及び第2の領域の密接配置による光配向層を作製するようにしてもよい。
また上述の実施形態では、円柱形状によりスペーサーを作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、断面楕円形状等により柱形状にスペーサーを作製する場合に広く適用することができる。
1 調光フィルム
2、3 直線偏光板
2A、3A 位相差フィルム
4 液晶セル
5D 下側積層体(第1の積層体)
5U 上側積層体(第2の積層体)
6、15 基材
8 液晶層
8A 液晶分子
11、16 透明電極
12 スペーサー
13、17 配向層
19 シール材
21 マスク

Claims (5)

  1. 液晶セルを直線偏光板により挟持してなる調光フィルムにおいて、
    前記液晶セルは、
    透明フィルム材による基材に透明電極、配向層を作製してなる第1の積層体と、
    透明フィルム材による基材に透明電極、配向層を作製してなる第2の積層体と、
    前記第1及び第2の積層体により挟持された液晶層とを備え、
    前記第1及び又は第2の積層体の配向層が、光配向層であり、
    前記光配向層の配向規制力により複数のドメインが形成され、
    前記第1の積層体には、前記ドメインのドメイン境界に、柱形状のスペーサーが設けられた
    調光フィルム。
  2. 前記配向層は、
    前記ドメイン境界の延長方向と直交する方向が、前記液晶層の液晶分子の長軸方向となるように前記液晶分子を配向させるように配向規制力が設定された
    請求項1に記載の調光フィルム。
  3. 前記ドメインの繰り返し方向に任意に選択した少なくとも100mmの範囲において、前記ドメインの幅が、前記ドメインの連続する方向で、ランダムに変化する
    請求項1又は請求項2に記載の調光フィルム。
  4. 前記スペーサーのビッカース硬度値Xsが16.9以上40.2以下であり、
    前記スペーサーの先端が当接する前記第2の積層体の部位のビッカース硬度値Xfが、11.8以上35.9以下である
    請求項1、請求項2、請求項3の何れかに調光フィルム。
  5. 透明フィルム材による基材に透明電極、配向層を作製して第1の積層体を作製する第1の積層体作製工程と、
    透明フィルム材による基材に透明電極、配向層を作製して第2の積層体を作製する第2の積層体作製工程と、
    前記第1及び第2の積層体により液晶層を挟持して液晶セルを作製する工程とを備え、
    前記第1の積層体作製工程は、
    前記透明電極の上に、又は前記配向層の上に、柱形状によるスペーサーを配置する工程を備え、
    前記第1及び又は第2の積層工程は、
    塗工液を前記基材に塗工して光配向層の材料層を作製する塗工工程と、
    前記塗工工程により作製した前記光配向層の材料層に紫外線を繰り返し照射して配向規制力を設定することにより、前記液晶セルに複数のドメインが形成されるように前記配向層を作製する露光工程とを備え、
    前記ドメインのドメイン境界に、前記スペーサーを配置する
    調光フィルムの製造方法。
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