JP2017198731A - 調光フィルム及び調光フィルムの製造方法 - Google Patents

調光フィルム及び調光フィルムの製造方法 Download PDF

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久美子 神原
Kumiko Kanbara
久美子 神原
中村 裕介
Yusuke Nakamura
裕介 中村
憲雄 石井
Norio Ishii
憲雄 石井
川島 朋也
Tomoya Kawashima
朋也 川島
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Abstract

【課題】ラビング処理により配向層を製造して調光フィルムを製造する場合に、局所的に配向規制力の低下した部位の発生を充分に防止できるようにする。【解決手段】液晶セル4を直線偏光板2、3により挟持してなる調光フィルム1において、前記液晶セル4は、透明フィルム材による基材6、15に配向層13、17を製造してなる第1及び第2の積層体5D、5Uにより挟持された液晶層8を備え、調光フィルム1は、前記第1及び又は第2の積層体5D、5Uに設けられた電極11、16を駆動することにより透過光を制御し、前記第1の積層体5Dの前記配向層13がラビング処理による配向層であり、前記第1の積層体5Dは、柱形状によるスペーサー12を備え、隣接する前記スペーサー12間の間隔Tが160μm未満の部位では、前記配向層13におけるラビング方向と直交する方向に係る当該隣接するスペーサー12の間の間隔Dが160μm以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば窓に貼り付けて外来光の透過を制御する電子ブラインド等に利用可能な調光フィルムに関する。
従来、例えば窓に貼り付けて外来光の透過を制御する調光フィルムに関する工夫が種々に提案されている(特許文献1、2)。このような調光フィルムの1つに、液晶を利用したものがある。この液晶を利用した調光フィルムは、透明電極、配向層を製造した透明フィルム材により液晶材料を挟持して液晶セルが製造され、この液晶セルを直線偏光板により挟持して作成される。これによりこの調光フィルムでは、液晶に印加する電界の可変により液晶の配向を可変して外来光を遮光したり透過したりし、さらには透過光量を可変したりし、これらにより外来光の透過を制御する。
また画像表示パネルの1つのである液晶表示パネルは、透明電極、配向層を製造してなる1対のガラス板材により液晶を挟持して液晶セルが構成され、この液晶セルを直線偏光板により挟持して構成される。液晶表示パネルは、この透明電極のパターンニングにより、画素単位で、液晶に印加する電界を可変して所望の画像を表示する。
このような調光フィルムは、液晶セルを構成する透明フィルム材にスペーサーを設け、このスペーサーにより液晶層を所望の厚みに保持することが考えられる。またスペーサーを製造した後、ポリイミド等の薄膜を製造してラビング処理することにより配向層を製造し、この配向層により液晶材料の配向を規制することが考えられる。
しかしながらこのようにして製造する場合、配向層に充分に均一に配向規制力を設定することが困難になり、局所的に配向規制力の低下した部位が発生する問題がある。その結果、透過フィルムでは、透過率が低下することになる。
特開平03−47392号公報 特開平08−184273号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ラビング処理により配向層を製造して調光フィルムを製造する場合に、局所的に配向規制力の低下した部位の発生を充分に防止できるようにすることを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、スペーサーの配置を適切化する、との着想に至り、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1) 液晶セルを直線偏光板により挟持してなる調光フィルムにおいて、
前記液晶セルは、
透明フィルム材による基材に配向層を製造してなる第1及び第2の積層体により挟持された液晶層を備え、
前記調光フィルムは、
前記第1及び又は第2の積層体に設けられた電極を駆動することにより透過光を制御し、
前記第1の積層体の前記配向層がラビング処理による配向層であり、
少なくとも前記第1の積層体は、
柱形状によるスペーサーを備え、
隣接する前記スペーサー間の間隔Tが160μm未満の部位では、前記配向層におけるラビング方向と直交する方向に係る当該隣接するスペーサーの間の間隔Dが160μm以上であるように設定された調光フィルム。
(1)によれば、隣接する前記スペーサー間の間隔Tが160μm未満の部位では、ラビング方向と直交する方向に係る当該隣接するスペーサーの間の間隔Dが160μm以上であるように設定されていることにより、スペーサーによりラビング処理が妨げられる領域の発生を充分に低減することができる。これによりラビング処理により配向層を製造して調光フィルムを製造する場合に、局所的に配向規制力の低下した部位の発生を充分に防止することができる。
(2) 液晶セルを直線偏光板により挟持してなる調光フィルムにおいて、
前記液晶セルは、
透明フィルム材による基材に配向層を製造してなる第1及び第2の積層体により挟持された液晶層を備え、
前記調光フィルムは、
前記第1及び又は第2の積層体に設けられた電極を駆動することにより透過光を制御し、
前記第1の積層体の前記配向層がラビング処理による配向層であり、
少なくとも前記第1の積層体は、
柱形状によるスペーサーを備え、
ラビング方向に並んで製造された隣接するスペーサーの間隔Tが160μm以上である調光フィルム。
(3) (1)又は(2)において、
前記スペーサーが、不規則に配置された調光フィルム。
(3)によれば、スペーサーの規則的な配置による回折光を防止できることにより、調光フィルム越しに風景等を鮮明に見て取ることができる。
(4) (1)、(2)、(3)の何れかにおいて、
前記スペーサーのビッカース硬度値Xsが16.9以上40.2以下であり、
前記スペーサーの先端が当接する前記第2の積層体の部位のビッカース硬度値Xfが、11.8以上35.9以下である調光フィルム。
(4)によれば、スペーサーのビッカース硬度値Xsが16.9以上40.2以下であり、スペーサーの先端が当接する第2の積層体の部位のビッカース硬度値Xfが、11.8以上35.9以下であることにより、使用中の押圧力等により、スペーサーの先端が対向する面に貫入したりする状況を低減して、セルギャップの不均一化、局所的な配向不良の発生を低減し、さらは液晶材料の漏出を有効に回避することができる。またさらに基材の傷つきを低減し、また全体が屈曲した際のクラックの発生を低減することができる。これらによりスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上することができる。
(5) 透明フィルム材による基材にスペーサー、配向層を製造して第1の積層体を製造する第1の積層体製造工程と、
透明フィルム材による基材に配向層を製造して第2の積層体を製造する第2の積層体製造工程と、
前記第1及び第2の積層体により液晶層を挟持して液晶セルを製造する工程とを備え、
前記第1の積層体製造工程は、
前記基材に柱形状により前記スペーサーを製造するスペーサー製造工程と、
前記スペーサーを製造した前記基材に、配向層に係る樹脂層を製造する樹脂層の製造工程と、
前記樹脂層をラビング処理して前記配向層を製造するラビング工程とを備え、
前記スペーサー製造工程は、
隣接する前記スペーサー間の間隔Tが160μm未満の部位では、前記ラビング工程のラビング方向と直交する方向に係る当該隣接するスペーサーの間の間隔Dが160μm以上であるように、前記スペーサーを製造する調光フィルムの製造方法。
(5)によれば、隣接する前記スペーサー間の間隔Tが160μm未満の部位では、ラビング方向と直交する方向に係る当該隣接するスペーサーの間の間隔Dが160μm以上であることから、スペーサーによりラビング処理が妨げられる領域の発生を充分に低減することができる。これによりラビング処理により配向層を製造して調光フィルムを製造する場合に、局所的に配向規制力の低下した部位の発生を充分に防止することができる。
本発明によれば、ラビング処理により配向層を製造して調光フィルムを製造する場合に、局所的に配向規制力の低下した部位の発生を充分に防止することができる。
本発明の第1実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 図1の調光フィルムにおけるスペーサーの配置の説明に供する図である。 図2の続きの説明に供する図である。 図1の調光フィルムの製造工程を示すフローチャートである。 図4の続きの説明に供するフローチャートである。
〔第1実施形態〕
〔第1実施形態〕
〔調光フィルム〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。この調光フィルム1は、建築物の窓ガラス、ショーケース、屋内の透明パーテーション等の調光を図る部位に、粘着剤層等により貼り付けて使用され、印加電圧の可変により透過光の光量を制御する。
この調光フィルム1は、液晶を利用して透過光を制御するフィルム材あり、直線偏光板2、3により調光フィルム用の液晶セル4を挟持して構成される。ここで直線偏光板2、3は、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素等を含浸させた後、延伸して直線偏光板としての光学的機能を果たす光学機能層が形成され、TAC(トリアセチルセルロース)等の透明フィルム材による基材により光学機能層を挟持して製造される。直線偏光板2、3は、クロスニコル配置により、紫外線硬化性樹脂等による接着剤層により液晶セル4に配置される。なお直線偏光板2、3には、それぞれ液晶セル4側に光学補償に供する位相差フィルム2A、3Aが設けられるものの、位相差フィルム2A、3Aは、必要に応じて省略してもよい。
液晶セル4は、後述する透明電極への印加電圧により透過光の偏光面を制御する。これにより調光フィルム1は、透過光を制御して種々に調光を図ることができるように構成される。
〔液晶セル〕
液晶セル4は、フィルム形状による第1及び第2の積層体である下側積層体5D及び上側積層体5Uにより液晶層8を挟持して構成される。下側積層体5Dは、透明フィルム材による基材6に、透明電極11、スペーサー12、配向層13を製造して形成される。上側積層体5Uは、透明フィルム材による基材15に、透明電極16、配向層17を積層して形成される。液晶セル4は、この上側積層体5U及び下側積層体5Dに設けられた透明電極11、16の駆動により、VA(Virtical Alignment)方式により液晶層8に設けられた液晶材料の配向を制御し、これにより透過光の偏光面を制御する。なお駆動方式にあっては、TN(Twisted Nematic)方式、IPS(In−Place−Switching)方式等、種々の駆動方式を適用することができる。
基材6、15は、この種のフィルム材に適用可能な種々の透明フィルム材を適用することができるものの、光学異方性の小さなフィルム材を適用することが望ましい。この実施形態において、基材6、15は、ポリカーボネートフィルムが適用されるものの、COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム等を適用してもよい。
透明電極11、16は、この種のフィルム材に適用される各種の電極材料を適用することができ、この実施形態ではITO(Indium Tin Oxide)による透明電極材により形成される。
スペーサー12は、液晶層8の厚みを規定するために設けられ、断面円形形状による柱形状により製造される。スペーサー12は、各種の樹脂材料を広く適用することができるものの、この実施形態ではフォトレジストにより製造され、透明電極11を製造してなる基材6の上に、フォトレジストを塗工して露光、現像することにより製造される。なおスペーサー12は、上側積層体5Uに設けるようにしてもよく、上側積層体5U及び下側積層体5Dの双方に設けるようにしてもよい。またスペーサー12は、配向層13の上に設けるようにしてもよい。
配向層13、17は、ラビング処理により形成されるラビング配向層が適用される。すなわち配向層13、17は、ポリイミド等による樹脂層を製造した後、ラビング布を使用してラビング処理する。これにより配向層13、17は、この樹脂層の表面に微細なライン状凹凸形状が形成され、この微細なライン状凹凸形状により配向規制力が設定されて製造される。
液晶層8は、この種の調光フィルムに適用可能な各種の液晶材料を広く適用することができる。具体的に、液晶層8には、例えば、特開2003−366484号に記載の液晶化合物を用いることができる。また、上市品としては、例えばメルク社製MLC2166等の液晶材料を適用することができる。なお、ゲストホスト方式による場合、液晶層8には、液晶材料と調光に供する色素とが混入されるものの、ゲストホスト方式について提案されている液晶材料と色素との混合物も広く適用することができる。なお液晶セル4は、液晶層8を囲むように、シール材19が配置され、このシール材19により上側積層体5U、下側積層体5Dが一体に保持され、液晶材料の漏出が防止される。
〔スペーサーの配置〕
この実施形態において、スペーサー12は、直径25μm以下9μm以上の断面円形形状による円柱形状により、より好ましくは直径12μm以下9μm以上の断面円形形状による円柱形状により形成される。またスペーサー12は、充分に液晶層8の厚みを一定に保持できるように、50個/mm以上300個/mm以下の密度により配置されるものの、好ましく50個/mm以上100個/mm以下の密度により配置される。
またスペーサー12を規則的に配置した場合、スペーサー12の規則性による回折光により、調光フィルム1を介して風景等を鮮明に見て取ることが困難になる恐れがある。そこでスペーサー12は不規則に配置される。
調光フィルム1は、スペーサー12を配置した後、ポリイミド等による樹脂層を製造し、この樹脂層のラビング処理により配向規制力を設定して配向層が製造される。これによりにより調光フィルム1は、スペーサー12によって局所的にラビング処理が妨げられて、配向層に均一に配向規制力を設定することが困難になり、その結果、局所的に配向規制力の低下した部位が配向層に発生する。またこれによりこのようにスペーサー12によってラビング処理が妨げられる領域を低減することができれば、局所的に配向規制力の低下した部位の発生を充分に防止して、調光フィルムにおいては、透過率を向上することができる。
図2に示すように、水平方向及び垂直方向に一定の間隔Tだけ隔ててスペーサー12を配置し、種々の方向よりラビング処理してラビング処理が妨げられる領域を確認した。なおラビング布は、YA−20−Rであり、フィラメント本数24,000本/cm、パイル径120D、パイル本数8,600本/(3.78cm)を使用した。また隣接するスペーサー12間の間隔Tは、115μm、160μm、230μm、280μmにより確認の処理を実行した。なお係る間隔Tは、スペーサー12の対向する部位(対向する周側面)間の間隔である。
この図2において矢印により示すように、スペーサー12が並んでいる方向にラビング布を移動させてラビング処理した場合にあって、間隔Tが160μm以下である場合、スペーサー12のラビング方向の下流側であって、続くスペーサー12まで連続する部位に、ラビング処理が妨げられる領域AR1の発生が確認された。しかしながら間隔Tが、160μm以上となると、このような領域AR1の発生が急激に低下することが判った。これにより何れの方向にラビング処理する場合であっても、隣接するスペーサー12間の間隔Tを160μm以上に設定すれば、ラビング処理が妨げられる領域AR1の発生を充分に抑制できることが判る。なおこれにより少なくともラビング方向に並んで製造された隣接するスペーサーの間隔Tを160μm以上に設定すれば、ラビング処理が妨げられる領域AR1の発生を充分に抑制でき、局所的に配向規制力の低下した部位の発生を充分に防止することができる。
しかしながらこの条件によりスペーサー12を配置する場合、充分な数だけスペーサー12を配置することが困難になる恐れがあり、またスペーサー12の配置の自由度が著しく低下することになる。
ここで図3に示すように、スペーサー12の並びの方向に対して斜めに傾いた方向にラビング処理する場合、上述した間隔Tが115μm以下の場合でも、ラビング処理が妨げられる領域AR1の発生を充分に抑制できることが判った。しかしながらこのようにスペーサー12の並びの方向に対して斜めに傾いた方向にラビング処理する場合、ラビング方向に直交する方向に係るスペーサー12の間の間隔(隙間)Dが、狭くなると、この間隔Dに係る部位に、ラビング処理が妨げられる領域AR2の発生が確認された。ここで間隔Tを160μmに設定した状態で、間隔Dを、115μm、160μm、230μm、280μmに設定して確認したところ、間隔Dが160μm以上である場合には、ラビング処理が妨げられる領域AR2の発生を充分抑制できることが確認された。
これによりこの実施形態では、スペーサー12をランダムに配置するようにして、隣接するスペーサー12間の間隔Tが160μm未満の部位では、ラビング方向と直交する方向に係るこの隣接するスペーサー12の間の間隔Dが160μm以上であるように設定される。これによりこの実施の形態では、ラビング処理により配向層を製造して調光フィルムを製造するようにして、局所的に配向規制力の低下した部位の発生を充分に防止して配向層を製造する。
なおスペーサー12は、充分に回折光を低減できる場合には、規則的に配置してもよい。
〔スペーサーの硬度〕
ここでこの実施形態では、上述したようにフォトレジストを使用して円柱形状又は円錐台形状によりスペーサー12が形成される。このようにしてスペーサー12を製造して、この実施形態では、スペーサー12のビッカース硬度値Xsが16.9以上40.2以下であり、スペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfが、11.8以上35.9以下であるように設定され、これによりスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上する。なお、ビッカース硬度の値は、以下の実施例に記載の条件における測定値である。
すなわちスペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfが11.8未満の場合、使用中の押圧力により、スペーサー12の先端が対向する面に貫入し、その結果、セルギャップが不均一化したり、局所的な配向不良が発生する。またこの場合、スペーサー12の組み立て時の接触等により基材21Aにキズが発生したり、全体を屈曲した際にクラックが生じたりする。
またスペーサー12のビッカース硬度値Xsが16.9未満の場合には、外圧によりスペーサー12が潰れてセルギャップが低減し、所望のセルギャップを得られなくなる。またスペーサー12のビッカース硬度値Xsが40.2を超える場合、スペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfが35.9を超える場合にあっても、セルギャップが低減したり、キズ、クラックが発生したりする場合がある。
しかしながらスペーサー12のビッカース硬度値Xsが16.9以上40.2以下であり、スペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfが、11.8以上35.9以下であるように設定すれば、これらの問題を一挙に解決してスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上することができる。
〔試験結果〕
表1及び表2は、このスペーサーに関する構成の確認に供した試験結果を示す図表である。この表1及び表2における実施例、比較例は、スペーサー及びこのスペーサーが当接する配向層に関する構成が異なる点を除いて、同一に構成される。より具体的に、これら実施例、比較例の調光フィルムは、下側積層体5Dにのみスペーサー12を設けるようにし、このスペーサー12に係る熱処理の条件により、スペーサー12のビッカース硬度値Xsを変化させた。また配向層23Aを製造する際の条件により、スペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfを変化させた。
すなわちスペーサー12は、スペーサー12に係る塗工液を塗工した後、乾燥させ、その後、露光装置を使用したマスク露光により、スペーサー12を製造する部位を選択的に露光する。なおこれはポジ型のフォトレジストの場合であり、ネガ型のフォトレジストではこれとは逆にスペーサー12を製造する部位を除く部位が選択的に露光処理される。その後、スペーサー12は、現像処理により未露光の部位又は露光処理した部位が選択的に除去されてリンス等の処理が実行され、必要に応じて乾燥等の処理が実行される。
この露光処理では、事前に加熱していわゆるハーフキュアーの状態で露光処理したり、加熱した環境下で露光処理する場合があり、また現像処理において、リンス等の処理を実行した後、加熱処理して反応を促進する場合がある。スペーサー12の硬度Xsは、スペーサー12に係るフォトレジストの材料の選定、露光工程、現像工程における加熱の温度、時間の設定、露光光量及び露光時間の設定により設定することができる。
この実施形態では、この露光工程、現像工程における加熱の温度、時間の設定により、スペーサー12のビッカース硬度値Xsがそれぞれ14.8、16.9、22.2、40.2、51.4である下側積層体5Dを製造した(表3)。なおこの硬度は、スペーサー12の作成条件をそれぞれ設定して下側積層体5Dを製造し、この下側積層体5Dにより調光フィルム10を一旦製造した後、分解して計測した計測値である。またこの計測は、各調光フィルムで12点を計測し、最大値及び最小値を除いて残る10点の平均値による計測結果である。
なおスペーサー12は、直径9μm、高さ6μmの円柱形状により製造した。また基材21Bの面内方向で直交する2方向に110μmピッチにより規則的に配置した。従って基材21B上においてスペーサー12の占める割合(占有率)は、0.5%(((9/2)×3)/(110))である。
なお占有率を大きくすると、スペーサー1個当たりに印加される応力が小さくなることにより、スペーサー12が潰れたり、先端が貫入したりする現象を軽減できるものの、占有率を大きくすると、透過率が劣化したり、遮光率が劣化したりする。しかしながら占有率が小さい場合には、透過率、遮光率等の光学特性を確保することができるものの、スペーサー12が潰れたり、先端が貫入したりする現象を避け得なくなる。これにより占有率は、0.5%以上、10%以下であることが望ましい。
これに対してこのスペーサーが当接する面である上側積層体5Uの配向層23Aにあっては、塗工液を塗工して乾燥、熱硬化することにより製造し、この熱硬化の条件(加熱温度、加熱時間)等の設定によりビッカース硬度値Xfを設定した。これにより実施例、比較例では、ビッカース硬度値Xfが10.2、11.8、24.8、35.9、38.5である上側積層体5Uを製造した(表4)。なお、上記の例は光配向の例であるが、ラビング方式でも同様のXfの調整は可能であり、塗工液を塗工して乾燥、硬化することによりポリイミド膜を製造し、このポリイミド膜をラビング処理して製造する際の硬化時の加熱温度、及び加熱時間の設定により、ビッカース硬度値Xfを設定できる。なおラビング処理した後に改めて加熱処理してビッカース硬度値Xfを調整してもよい。なおこの硬度Xfは、配向層23Aの作成条件をそれぞれ設定してスペーサーが当接する面である上側積層体5Uの配向層23Aについて硬さの異なる上側積層体5Uを製造し、この上側積層体5Uにより調光フィルム10を一旦製造した後、分解して計測した計測値である。また、12点で計測し、最大値及び最小値を除いて残る10点の平均値による計測結果である。
なおビッカース硬度値Xs、Xfは、ヘルムートフィッシャー社製PICODENTOR HM500を使用して計測した。計測は、押し込み速度300mN/20sec、リリース速度300mN/20sec、クリープ時間5秒により、最大荷重を100mNの測定条件とした。
表1、表示2の各実施例、比較例では、このようにして製造した上側積層体5U、下側積層体5Dにより調光フィルムを製造して試験した。表1、表2の試験では、定盤による硬度の高い平滑面に調光フィルムを載置した状態で、0.8MPaに相当する加重を印加した後、セルギャップを計測してセルギャップの減少を判断した。なお加重の時間は24時間である。またこのように加重した後、上側積層体及び下側積層体を剥離してスペーサーを顕微鏡により観察して、スペーサーの潰れを観察してセルギャップの減少を観察し、またスペーサーが当接する部位を顕微鏡により観察してスペーサー先端の貫入を観察した。
ここでこの顕微鏡による観察にはSEM等の手法を用いて正面視、斜視、及び断面観察し、目視でスペーサーの変形を確認し、スペーサーの変形が確認された場合にはその状況に応じ、「セルギャップ減少、スペーサー潰れ」の有無を○×判定した。従ってこの表1、表2において「○」は、対応する項目に係る異常が見られない場合であり、「×」は対応する項目に係る異常が見られる場合である。
また同様にスペーサーが当接する部位をSEM等の手法を用いて斜視した場合、窪み(凹部)が確認された場合、「フィルム貫入」を「×」判定とし、凹部が認められない場合、「フィルム貫入」を「○」判定とした。
また積層体5U及び13を積層して0.1MPaに相当する加重を印加した状態で、積層体5U及び13の相対位置を0.1cm/secにより変位させ、目視により傷の発生を確認した。ここで複数サンプルの半数以上で、傷の発生が確認された場合、「キズ(フィルム)」を「×」により示し、これとは逆に、複数サンプルの半数以上で、傷の発生が確認されない場合、「キズ」を「○」により示す。
また調光フィルムの状態で、JIS K5600−5−1の曲げ試験の規定に従って、直径2mmの円柱マンドレルに巻き付けてクラックの発生を確認した。この試験で複数サンプルの半数以上で、基材にクラックの発生が確認された場合、「クラック(フィルム)」を「×」により示し、これとは逆に、複数サンプルの半数以上で、基材にクラックの発生が確認されない場合、「クラック」を「○」により示す。
Figure 2017198731
Figure 2017198731
Figure 2017198731
Figure 2017198731
この表1、表2の計測結果では、スペーサー12のビッカース硬度値Xsが16.9未満である場合(比較例5、7)、セルギャップの減少が観察され、また比較例5では、フィルムへのスペーサー先端の貫入、キズ、クラックが観察された。またスペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfが、11.8未満である場合(比較例1、比較例3)、キズ、クラックが観察され、また比較例3では、フィルムへのスペーサー先端の貫入が観察された。
またスペーサー12のビッカース硬度値Xsが40.2を超える場合(比較例6、比較例8)、比較例6では、セルギャップの減少、フィルムへのスペーサー先端の貫入が観察され、比較例8ではキズが観察された。またスペーサー12の先端が当接する第2の積層体5Uの部位のビッカース硬度値Xfが35.9を超える場合(比較例2、比較例4)、セルギャップの減少、キズが観察され、さらに比較例4では、クラックが観察された。
しかしながら実施例1〜13では、これらの現象にあっては、観察されることが無く、これにより充分にスペーサーに関して信頼性を確保できることが確認された。
〔製造工程〕
図4は、調光フィルムの製造工程の説明に供するフローチャートである。調光フィルムの製造工程は、上側積層体製造工程SP2及び下側積層体製造工程SP3において、それぞれ上側積層体5U及び下側積層体5Dが製造される。また積層工程SP4において、液晶層8を間に挟んで、上側積層体5U及び下側積層体5Dを積層した後、シール材19により一体化して液晶セルが製造される。調光フィルムの製造工程は、このようにして製造した液晶セルを直線偏光板と積層一体化して調光フィルムが製造される。
図5は、下側積層体5Dの製造工程を示すフローチャートである。なお上側積層体の製造工程は、この図5の製造工程におけるスペーサー製造工程SP13が省略される点を除いて、この図5の製造工程と同一に構成される。
この製造工程は、電極製造工程SP12において、フォトリソグラフィーの手法を適用して、透明基材6に透明電極11を作成する。さらに続いてスペーサー製造工程SP13において、透明電極11を製造した透明基材6にフォトレジスト膜を製造した後、スペーサー12に係るマスクを使用してマスク露光する。またその後、現像処理し、これによりスペーサー12を製造する。
続いて製造工程は、配向層製造工程SP4において、配向層13を製造する。ここでこの製造工程は、塗工工程SP14−1において、ポリイミド樹脂に係る塗工液を塗工した後、乾燥工程SP14−2により乾燥させ、その後、熱処理工程SP14−3により加熱してポリイミド樹脂層を製造する。続いてラビング工程SP14−4において、ラビング布を使用したラビング処理によりポリイミド樹脂層に配向規制力を設定して配向層13が製造される。
ここでこのラビング布は、ラビング処理に使用可能な各種の布材、天然皮革、人口皮革等を広く適用することができるものの、この実施形態では、表面に多数の纖維を植毛した布材である植毛布によりラビング処理する。なおラビング布の材料としては、一般的に用いられるセルロース、レーヨン、ポリアミド(ナイロン:登録商標))、ポリエチレン等のポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などの中から適宜選択して使用する。一般的な、パイル長1〜数mm、密度2〜4万フィラメント/cm、パイル径数十〜300ディナール、パイル本数250〜1500/cm程度の一般的なものを使用する。好ましい材料は、ラビングかすの少ないレーヨン、ナイロンなどの化学繊維を使用した植毛布が好適であり、この場合、パイル長1〜2mm、密度2.5〜3.5万フィラメント/cm、パイル径数50〜150ディナール、パイル本数600〜1000/cm、フィラメントの広がる角度は5〜20゜である。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態を組み合わせ、さらには上述の実施形態を種々に変更することができる。
1 調光フィルム
2、3 直線偏光板
2A、3A 位相差フィルム
4 液晶セル
5D 下側積層体
5U 上側積層体
6、15 基材
8 液晶層
11、16 透明電極
12 スペーサー
13、17 配向層
19 シール材

Claims (5)

  1. 液晶セルを直線偏光板により挟持してなる調光フィルムにおいて、
    前記液晶セルは、
    透明フィルム材による基材に配向層を製造してなる第1及び第2の積層体により挟持された液晶層を備え、
    前記調光フィルムは、
    前記第1及び又は第2の積層体に設けられた電極を駆動することにより透過光を制御し、
    前記第1の積層体の前記配向層がラビング処理による配向層であり、
    少なくとも前記第1の積層体は、
    柱形状によるスペーサーを備え、
    隣接する前記スペーサー間の間隔Tが160μm未満の部位では、前記配向層におけるラビング方向と直交する方向に係る当該隣接するスペーサーの間の間隔Dが160μm以上であるように設定された
    調光フィルム。
  2. 液晶セルを直線偏光板により挟持してなる調光フィルムにおいて、
    前記液晶セルは、
    透明フィルム材による基材に配向層を製造してなる第1及び第2の積層体により挟持された液晶層を備え、
    前記調光フィルムは、
    前記第1及び又は第2の積層体に設けられた電極を駆動することにより透過光を制御し、
    前記第1の積層体の前記配向層がラビング処理による配向層であり、
    少なくとも前記第1の積層体は、
    柱形状によるスペーサーを備え、
    ラビング方向に並んで製造された隣接するスペーサーの間隔Tが160μm以上である
    調光フィルム。
  3. 前記スペーサーが、不規則に配置された
    請求項1、又は請求項2に記載の調光フィルム。
  4. 前記スペーサーのビッカース硬度値Xsが16.9以上40.2以下であり、
    前記スペーサーの先端が当接する前記第2の積層体の部位のビッカース硬度値Xfが、11.8以上35.9以下である
    請求項1、請求項2、請求項3の何れかに調光フィルム。
  5. 透明フィルム材による基材にスペーサー、配向層を製造して第1の積層体を製造する第1の積層体製造工程と、
    透明フィルム材による基材に配向層を製造して第2の積層体を製造する第2の積層体製造工程と、
    前記第1及び第2の積層体により液晶層を挟持して液晶セルを製造する工程とを備え、
    前記第1の積層体製造工程は、
    前記基材に柱形状により前記スペーサーを製造するスペーサー製造工程と、
    前記スペーサーを製造した前記基材に、配向層に係る樹脂層を製造する樹脂層の製造工程と、
    前記樹脂層をラビング処理して前記配向層を製造するラビング工程とを備え、
    前記スペーサー製造工程は、
    隣接する前記スペーサー間の間隔Tが160μm未満の部位では、前記ラビング工程のラビング方向と直交する方向に係る当該隣接するスペーサーの間の間隔Dが160μm以上であるように、前記スペーサーを製造する
    調光フィルムの製造方法。
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