複合機に代表される画像形成装置においては、感光体に対して画像データを基に光を照射し、感光体上に静電潜像を形成する。その後、形成した静電潜像の上に帯電したトナーを供給して可視画像とする。そして、用紙にトナーを転写した後、用紙にトナーを定着させる。トナーが定着された用紙は、装置外に排出される。
オフィスに配置される画像形成装置は、複数のコンピューターとネットワークを介して接続されている。画像形成装置については、接続されたコンピューターから、消耗品の残量等、画像形成装置のその時の状態が検知され、監視されたりするものがある。このような監視を行うと、消耗品の不足等に起因して画像形成を即時に行うことができないといった状況を回避することができる。このような画像形成装置における状態の監視に関する技術が、特開2009−248527号公報(特許文献1)、特開2009−173028号公報(特許文献2)、および特開2007−268786号公報(特許文献3)に開示されている。
特許文献1に開示の画像処理装置は、自機の機器状態を監視し、機器状態の変化をクライアントに通知している。画像処理装置は、自機の機器状態を監視する監視手段と、機器状態の変化をクライアントに通知する通知手段と、機器状態に応じて、監視手段による機器状態の監視間隔を決定する決定手段とを有することを特徴としている。
特許文献2に開示のカートリッジ情報検出装置は、カートリッジ装着部と、光学式センサーと、制御部とを備えることとしている。カートリッジ装着部は、インクが収容されたカートリッジを着脱可能である。光学式センサーは、カートリッジ装着部へのカートリッジを装着するに際して、少なくともカートリッジの着脱状態を示す情報を含むカートリッジに関する情報を検出する。制御部は、時間を計測するタイマー手段を有して光学式センサーの動作を制御すると共にカートリッジに関する情報を検出可能な状態か否かを判断する。制御部は、カートリッジに関する情報を検出可能な状態からタイマー手段によって所定時間の経過を計測する間、光学式センサーを、カートリッジに関する情報を検出可能な定常的なアクティブ状態である定常モードで動作させる一方、所定時間経過後は、カートリッジの着脱のみを検出可能な間欠的なアクティブ状態である間欠モードで動作させるように構成されている。特許文献2に開示のカートリッジ情報検出装置は、このような構成を特徴としている。
特許文献3に開示の画像形成装置によると、消費電力を抑える省電力モードを有する。特許文献3に開示の画像形成装置は、装置の状態を検出する複数の検出器と、検出器電源供給部と、動作制御部と、動作部電源供給部と、情報処理部と、監視部とを備える。検出器電源供給部は、検出器に電源を供給する。動作制御部は、検出器からの出力情報に基づいて装置の動作を制御する。動作部電源供給部は、動作制御部に電源を供給する。情報処理部は、所定の情報を処理すると共に動作部電源供給部を制御する。監視部は、検出器の出力変化を監視する。検出器電源供給部は、動作制御部への電源の供給が停止されると、検出器に間欠的に電源を供給する。情報処理部は、監視部が検出部の出力変化を検出すると、動作部電源供給部から動作制御部に電源供給させる。特許文献3に開示の画像形成装置は、このような構成を特徴としている。
以下、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置を複合機に適用した場合の複合機を含む画像形成システムの外観を示す概略図である。図2は、図1に示す画像形成システムの構成を示すブロック図である。
図1および図2を参照して、画像形成システム31は、ネットワーク32に接続可能な複合機11と、ネットワーク32に接続可能なコンピューター36とを含む。外部装置としてのコンピューター36は、ネットワーク32を介して、複合機11との間でデータの送受信を行うことができる。
次に、複合機11の構成について説明する。複合機11は、制御部12と、操作部13と、画像読み取り部14と、印刷部としての画像形成部15と、給紙カセット16と、記憶部としてのハードディスク17と、ネットワーク32と接続するためのネットワークインターフェース部18と、筐体19と、カバー開閉動作検知部24と、給紙カセット着脱動作検知部25と、トナーコンテナ26と、残量検知部27と、電力供給部28とを備える。なお、理解の容易の観点から、図1において、制御部12を破線で概略的に示し、画像形成部15を一点鎖線で概略的に示している。
制御部12は、複合機11全体の制御を行う。操作部13は、複合機11側から発信する情報やユーザーの入力内容を表示する表示画面21を含む。表示画面21は、タッチパネル型式であり、複合機11の情報を表示すると共に、入力のインターフェースとなる。操作部13は、印刷部数や階調等の画像形成の条件や電源のオンまたはオフをユーザーに入力させる。画像読み取り部14は、セット位置にセットされた原稿を読み取り位置に搬送する原稿搬送装置としてのADF(Auto Document Feeder)22を含む。画像読み取り部14は、ADF22または不図示の載置台上にセットされた原稿の画像を読み取る。給紙カセット16は、複数設けられており、それぞれ複数枚の用紙をそれらの内部に収納可能である。給紙カセット16は、筐体19に着脱可能に設けられている。画像形成部15は、画像読み取り部14により読み取られた画像データやネットワーク32を介して取得した画像データを基に、給紙カセット16から搬送されてきた用紙に画像を形成する。給紙カセット16内に収納された用紙は消耗品である。したがって、給紙カセット16内の用紙がなくなれば、ユーザーは、給紙カセット16を筐体19から取り出し、新たな用紙を給紙カセット16内に補充する。ハードディスク17は、送信された画像データや入力された画像形成条件等の記憶を行う。
複合機11は、画像読み取り部14により読み取られた原稿の画像データを用いて画像形成部15において画像を形成することにより、複写機として作動する。また、複合機11は、ネットワーク32に接続されたコンピューター36から送信された画像データを用いて、画像形成部15において画像を形成して印刷することにより、プリンターとして作動する。
筐体19は、複合機11の外形形状を構成し、画像形成部15や制御部12といった部材を覆う。筐体19は、開閉可能なカバー23を含む。カバー23は、複合機11のフロント側に配置され、フロントカバーとも呼ばれる。カバー23を開放して、紙詰まりをした用紙を装置内部から取り除いたり、トナーコンテナ26を交換することができる。すなわち、カバー23は、ユーザーの必要に応じて、ユーザーによって手動で開けたり閉じたりすることができる。なお、複合機11において、リア側からフロント側へ向かう方向は、図1中の矢印D1で示している。
カバー開閉動作検知部24は、カバー23の開閉の動作を検知する。すなわち、カバー開閉動作検知部24は、カバー23が閉じた状態から開けた状態になった時に、これを検知する。また、カバー開閉動作検知部24は、カバー23が開けた状態から閉じた状態になった時に、これを検知する。
給紙カセット着脱動作検知部25は、給紙カセット16の着脱の動作を検知する。すなわち、給紙カセット着脱動作検知部25は、給紙カセット16が装着された状態から複合機11から取り出された状態になった時に、これを検知する。また、給紙カセット着脱動作検知部25は、給紙カセット16が取り出された状態から複合機11に装着された状態になった時に、これを検知する。
トナーコンテナ26には、トナーが収容される。具体的には、トナーコンテナ26には、画像形成部15による用紙への画像形成によって消耗される消耗品であるトナーが充填されている。トナーコンテナ26に収容されたトナーは、画像形成部15による用紙への画像形成により消耗された分量に応じて、適宜画像形成部15に含まれる図示しない現像装置内に供給される。トナーコンテナ26は、トナーが消費されるにつれ、空の状態に近づく。トナーコンテナ26は、カバー23の開放時に複合機11に着脱可能に設けられている。具体的には、カバー23を開けて、トナーコンテナ26を複合機11の画像形成部15付近に装着することができる。トナーの消耗により空の状態となったトナーコンテナ26は、カバー23を開けて複合機11から取り外され、トナーが満杯に充填された新しいトナーコンテナ26と交換される。なお、図1において、トナーコンテナ26は、二点鎖線で概略的に示している。
残量検知部27は、画像形成部15による画像形成に応じて消耗する消耗品の残量を検知する。電力供給部28は、消耗品の残量の検知に要する電力を残量検知部27に供給する。すなわち、残量検知部27は、電力供給部28による電力の供給によって消耗品の残量を検知することができる。残量検知部27は、トナー残量検知センサー29と、用紙残量検知センサー30とを含む。トナー残量検知センサー29は、トナーコンテナ26内のトナーの残量を検知する。具体的には、トナー残量検知センサー29は、光学センサーや磁気センサーから構成されており、トナーコンテナ26内に残っているトナーが、満杯であった場合と比較して何分の一程度残っているかを検知する。用紙残量検知センサー30は、給紙カセット16内に収納された用紙の残量を検知する。具体的には、用紙残量検知センサー30についても光学センサー等により構成されており、給紙カセット16内に残っている用紙が、満杯であった場合と比較して何分の一程度残っているかを検知する。
なお、複合機11は、待機時の消費電力が所定の電力量である第一のモードと、所定の電力量よりも少ない第二のモードとを有する。第一のモードは、いわゆるスタンバイモードと呼ばれるものであり、待機時における消費電力が比較的大きい。このモードの状態下では、画像形成が要求されれば、即時に画像形成を行うことができる。具体的には、第一のモードは、トナーを用紙に定着させる際に要する図示しない定着ローラーに電力を随時供給して、トナーが定着可能な温度に常時維持されている状態である。これに対し、第二のモードは、いわゆるスリープモードと呼ばれるものであり、待機時における消費電力が比較的小さい。このモードの状態下では、定着ローラーがトナーを定着可能な温度よりも低い温度で維持されている状態であるため、画像形成が要求されても、即時に画像形成をすることができない。このモードは、画像形成の要求を受け付けた後、所定の時間を経過した後に画像形成が可能になる待機モードである。所定の時間は、定着ローラーを定着可能な温度に加温したり、撹拌によりトナーを現像可能な程度に帯電させたりするのに要する時間である。
次に、コンピューター36の構成について説明する。コンピューター36には、ディスプレイ37と、キーボード38と、マウス39とが接続されている。ディスプレイ37により、コンピューター36からの情報やデータが表示される。また、キーボード38およびマウス39を用いて、ユーザーは、コンピューター36へのデータの入力を行う。複合機11を利用して印刷を要求するユーザーは、コンピューター36に接続されたキーボード38およびマウス39を用い、ネットワーク32を介して印刷を要求する画像データと共に印刷命令を複合機11に対して送信する。複合機11は、受信した印刷命令に従い、受信した画像データを基に画像を用紙に形成して印刷し、出力する。
次に、制御部12の構成について説明する。図3は、制御部12の構成を示すブロック図である。図3を参照して、制御部12は、記憶制御部41と、受け付け部42と、送信制御部43と、電力供給間隔制御部44とを含む。記憶制御部41は、残量検知部27により検知された残量の検知結果のデータをハードディスク17に記憶するよう制御する。受け付け部42は、コンピューター36からの検知結果の通知の要求を受け付ける。送信制御部43は、受け付け部42により通知の要求を受け付ければ、コンピューター36に検知結果を送信するよう制御する。電力供給間隔制御部44は、第二のモード時において、ハードディスク17により記憶された検知結果により、消耗品の残量に応じて、電力供給部28による電力の供給の間隔を狭めるよう制御する。なお、これらの構成については、後に詳述する。
次に、コンピューター36を用いて複合機11の消耗品の状態を監視する場合について説明する。まず、ユーザーは、キーボード38やマウス39を用いて、複合機11に対し、複合機11の消耗品の状態を送信する命令を発する。そうすると、受け付け部42は、この命令を受け付ける。すなわち、受け付け部42は、コンピューター36からの検知結果の通知の要求を受け付ける。そして、送信制御部43は、受け付け部42により通知の要求を受け付ければ、ハードディスク17に格納された消耗品の残量の検知結果を送信するよう制御する。具体的には、トナーの残量のデータや、用紙の残量のデータをコンピューター36に送信する。
図4は、送信された消耗品の状態のデータを受信した場合のコンピューター36のディスプレイ37の表示の一例を示す図である。図4を参照して、ディスプレイ37に表示される画面46には、「複合機の状態」との表示47と、「トナー:満杯、用紙:1/2」との表示48とがなされている。ユーザーは、この画面46を確認することにより、複合機11における消耗品の状態を把握することができる。具体的には、ユーザーは、監視している複合機11について、トナーは満杯であって、用紙の残量が満杯の時と比較して半分程度残っている状態であることを把握することができる。
次に、トナー残量検知センサー29への電力の供給の間隔を制御する場合について説明する。なお、複合機11は、第二のモード、すなわち、スリープモード中とする。
図5は、トナーの残量に応じてトナー残量検知センサー29へ供給される電力の間隔を示すグラフである。図5において、縦軸は、電力供給部28によりトナー残量検知センサー29へ供給される電力の状態を示しており、電力が供給されている状態の時はオン、電力が供給されていない状態の時はオフで示している。横軸は、経過時間を示す。線49a、49b、49cはそれぞれ、トナーの残量が1/8の場合、トナーの残量が1/4の場合、トナーの残量が1/2の場合を示す。
図5を参照して、ハードディスク17に記憶された検知結果により、トナーの残量が1/8の場合、時間T1、時間T2、時間T3、時間T4、時間T5、時間T6のそれぞれのタイミングでトナー残量検知センサー29へ電力を供給する。このような状態は、比較的頻繁に電力を供給している状態である。一方、トナーの残量が1/4の場合、時間T1、時間T3、時間T5のそれぞれのタイミングでトナー残量検知センサー29へ電力を供給する。このような状態は、トナーの残量が1/8の場合と比較して、半分のタイミングで電力を供給していることとなる。そして、トナーの残量が1/2の場合、時間T1、時間T5のそれぞれのタイミングでトナー残量検知センサー29へ電力を供給する。このような状態は、トナーの残量が1/4の場合と比較して、半分のタイミングで電力を供給していることとなる。すなわち、トナーの残量が1/8の場合と比較して、4分の1のタイミングで電力を供給していることとなる。このようにして、トナーの残量が上記したタイミングで検知されることとなる。
このような複合機11によれば、ハードディスク17により記憶された検知結果により、トナーの残量に応じて、電力供給部28によるトナー残量検知センサー29への電力の供給の間隔を狭めるよう制御することとしている。そうすると、消耗品、具体的にはトナーが実際になくなって画像形成ができなくなってしまうおそれの少ない状況において、第二のモード時における消費電力の低減を図ることができる。また、ハードディスク17により記憶された検知結果に基づいて供給する電力の間隔を制御しているため、供給する電力の間隔の制御時において、トナー残量検知センサー29に電力を供給して検知する必要もない。したがって、このような複合機11は、効率的に消費電力の低減を図ることができる。
この場合、電力供給間隔制御部44は、消耗品の残量に応じて、段階的に間隔を狭めるよう制御しているため、制御を比較的単純化することができる。
ここで、電力供給間隔制御部44は、カバー開閉動作検知部24によりカバー23の開閉動作を検知すれば、作動するよう構成するとよい。カバー23を開閉するタイミングで、トナーコンテナ26が交換される。したがって、このタイミングで電力供給間隔制御部44を作動させることにより、トナー残量検知センサー29への電力の供給に際し、より適切なタイミングでトナー量を検知して反映させ、消費電力の低減を図ることができる。
なお、上記の実施の形態においては、トナー残量検知センサー29へ供給する電力の間隔の制御について説明したが、これに限らず、用紙残量検知センサー30へ供給する電力の間隔の制御についても適用されるものである。すなわち、用紙の残量に応じて、用紙残量検知センサー30へ供給する電力の間隔を狭めるよう構成してもよい。
ここで、電力供給間隔制御部44は、給紙カセット着脱動作検知部25により給紙カセット16の着脱動作を検知すれば、作動するよう構成してもよい。給紙カセット16の着脱のタイミングで、用紙の補充がなされる。したがって、このタイミングで電力供給間隔制御部44を作動させることにより、用紙残量検知センサー30への電力の供給に際し、より適切なタイミングで用紙の量を検知して反映させ、消費電力の低減を図ることができる。
なお、電力供給間隔制御部44は、消耗品の残量に応じて、段階的に間隔を狭めるよう制御することとしたが、これに限らず、電力供給間隔制御部44は、例えば、消耗品の残量の割合に応じて間隔を狭めるよう制御するようにしてもよい。すなわち、例えば、満杯に対する消耗品の残量の割合と反比例の関係となるよう間隔を狭める割合を調整するよう制御する。こうすることにより、よりきめ細やかに、消耗品の残量に応じた消費電力の低減を図ることができる。
また、上記の実施の形態においては、消耗品としてのトナーや用紙の残量について説明したが、これに限らず、他の消耗品、例えば、摩耗によってその膜厚が薄くなって消耗する感光体においても適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。