JP2017195847A - 冷凍野菜漬物の製造方法 - Google Patents

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晃弘 小川
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Abstract

【課題】解凍した後も、冷凍前と同様に良好な食感及び味を有する冷凍野菜漬物を提供する。【解決手段】冷凍野菜漬物の製造方法であって、漬物用調味液に有機酸モノグリセリドを含有する分散液を添加し、該調味液が付着した野菜を冷凍することを特徴とする冷凍野菜漬物の製造方法。好ましくは、有機酸モノグリセリドを含有する分散液と糖類とを混合した混合物を、漬物用調味液に添加する。この分散液は更にショ糖脂肪酸エステル及び/又は糖類を含有することが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は冷凍野菜漬物の製造方法に関し、解凍した後も、冷凍前と同様に良好な食感及び味を有する冷凍野菜漬物の製造方法と冷凍野菜漬物の保存方法に関する。
野菜漬物は、白菜、キュウリ、大根などの野菜を各種調味料に漬け込み、保存性を高め、また、熟成させるなどにより風味を良くした食品である。漬物の種類によっては、発酵によって、さらに保存性を高めたり、風味を向上させたりしている。
野菜漬物の中でも、韓国料理として知られるキムチは発酵させた野菜漬物であるが、キムチを密閉容器に入れて保存や輸送している間に、発酵が進み、容器内部が高圧となり容器が破裂するという問題がある。そのため、キムチは冷凍輸送されることが望ましい。
例えば、特許文献1には、キムチ貯蔵庫を特定条件に設定することで、冷凍、解凍を行い、熟成を操作する方法が開示されている。
また、特許文献2には、白菜キムチを漬けておいた甕から取り出した後、発酵菌の活動を停止させて長期保存を可能とするために、液体窒素を用いて白菜キムチを冷凍する方法が開示されている。
漬物を冷凍した後に解凍すると、冷凍前のような食感や味は得られないが、これらの従来技術では解凍後の食感や味の改良については検討されていない。
特開平11−187854号公報 特開2001−190217号公報
本発明は、解凍した後も、冷凍前と同様に良好な食感及び味を有する冷凍野菜漬物を提供することを課題とする。
本発明者らが検討した結果、漬物用調味液に有機酸モノグリセリドを含有する分散液を添加し、該調味液が付着した野菜を冷凍することにより上記課題を解決できることが分かり本発明に到達した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 冷凍野菜漬物の製造方法であって、漬物用調味液に有機酸モノグリセリドを含有する分散液を添加し、該調味液が付着した野菜を冷凍することを特徴とする、冷凍野菜漬物の製造方法。
[2] 有機酸モノグリセリドを含有する分散液と糖類とを混合した混合物を、漬物用調味液に添加する、[1]に記載の冷凍野菜漬物の製造方法。
[3] 該分散液がショ糖脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する、[1]または[2]に記載の冷凍野菜漬物の製造方法。
[4] 漬物用調味液に有機酸モノグリセリドを含有する分散液を添加し、該調味液が付着した野菜を冷凍することを特徴とする、冷凍野菜漬物の保存方法。
本発明によれば、解凍した後も、冷凍前と同様に良好な食感及び味を有する冷凍野菜漬物を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明の冷凍野菜漬物の製造方法及び冷凍野菜漬物の保存方法は、漬物用調味液に有機酸モノグリセリドを含有する分散液を添加し、該調味液が付着した野菜を冷凍することを特徴とする。
1.野菜漬物
本発明において冷凍する野菜漬物の野菜としては特に制限はなく、白菜、キュウリ、大根、カブ、ナス、キャベツ、ニンジン、野沢菜、高菜といった通常漬物に供される野菜の他、コマツナ、ミズナ、レタスなどの葉菜類、ハスなどの根菜類、トマト、ピーマン、シシトウ、カボチャ、エンドウ、インゲン、ソラマメ、トウモロコシ、オクラ、ズッキーニなどの果菜類、アスパラガス、タマネギ、ネギ、ニンニク、ショウガなどの茎菜類、ブロッコリー、カリフラワー、ミョウガ等の花菜類などが挙げられる。
これらの野菜は、必要に応じて、洗浄、皮剥き、面取り、その他不要部分の除去といった前処理を施し、また、必要に応じて適当な大きさにカットした後、漬物用調味液に漬けられる。
なお、本発明に係る野菜漬物は、野菜のみからなるものに他ならず、必要に応じて、肉、魚、貝類、コンブ等の海藻類、キノコ類、その他の食材と共に漬物としてもよい。
2.有機酸モノグリセリドを含有する分散液
本発明で使用する有機酸モノグリセリドを含有する分散液(以下、有機酸モノグリセリド含有分散液という場合がある)について説明する。
本発明に係る有機酸モノグリセリドは、グリセリン1分子に脂肪酸1分子と有機酸1分子が結合した構造を有し、一般的には、有機酸の酸無水物と脂肪酸モノグリセリドを反応させることにより得られる。反応は、通常、無溶媒条件下で行われ、例えば無水コハク酸と炭素数18のモノグリセリドの反応では、温度120℃前後において90分程度で反応が完了する。かくして得られた有機酸モノグリセリドは、通常、有機酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、その他オリゴマーを含む混合物となっている。本発明においては、このような混合物をそのまま使用してもよく、有機酸モノグリセリドの純度を高めたい場合は、蒸留モノグリセリドとして市販されているものを使用してもよい。また、有機酸部分が一部中和されたものを使用してもよい。
有機酸モノグリセリドを構成する有機酸としては、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸、乳酸などが挙げられる。これらの中では、食品用途に使用されるコハク酸、クエン酸、ジアセチル酒石酸が好ましく、特に風味の点からコハク酸が好ましい。
上記脂肪酸モノグリセリド由来の、有機酸モノグリセリドを構成する脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。これらの中では風味の観点からステアリン酸を主成分とする脂肪酸が好ましく、特に構成脂肪酸の70重量%以上がステアリン酸であるものが好ましい。
有機酸モノグリセリドとしては1種のみを用いてもよく、これを構成する有機酸や脂肪酸が異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
上記の有機酸モノグリセリドと水との混合物は、これらの量比、温度変化により様々な相状態をとることが可能である。これらの相状態のうち、本発明ではラメラ構造体(ラメラ液晶構造体)を利用することが好ましい。
ラメラ構造体とは、有機酸モノグリセリドを水に分散させた際に有機酸モノグリセリド2分子が親水基部分を水側に向け、疎水基部分(脂肪酸)が互いに向き合い、これが2次元的に広がった構造のことである。
有機酸モノグリセリドは低濃度から高濃度領域の広い範囲でラメラ構造を形成し易いことが知られている。例えば、コハク酸ステアリン酸モノグリセリドは、ナトリウム塩の状態において、濃度が約35〜85重量%のような高濃度領域で且つ温度が50℃以上の条件でラメラ構造体を形成する。この場合、ラメラ構造体が何層にも重なった状態が認められ、水溶液の粘度も高くなる。濃度が85重量%よりも高い場合は固体状態となり、濃度が35重量%よりも低い場合は水溶液にラメラ構造体が分散して粘性が比較的小さい状態となる。作業性などを考慮すると、低濃度かつ高温領域でラメラ構造体を形成させることが好ましい。
ラメラ構造体は、有機酸モノグリセリドを水などの分散媒中に分散させ、物理的に撹拌し加熱することにより、分散液として調製することができる。この際の加熱温度は、分散液の温度で、通常45℃以上、好ましくは50℃以上、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。上記の物理的分散には、例えば、気泡の混入を避けるため、アンカーミキサー等を使用してゆっくりと撹拌することが好ましい。
このようにして得られるラメラ構造体を製造するための分散液(以下、ラメラ構造体分散液という場合がある)中の有機酸モノグリセリドの含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、通常99.9重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。
さらに、ラメラ構造体の安定性を高めるために、又は水中での分散性を向上させるために、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤の1種又は2種以上を用いることができる。安定化されたラメラ構造体は、親水基部分の強い水和力により層間に多量の水を保持する。
乳化剤を用いる場合、具体的には、該乳化剤をエタノール、水、糖類の水溶液などの分散媒に分散させた分散液と、上記ラメラ構造体水分散液とを混合させてもよいし、直接、ラメラ構造体水分散液に該乳化剤を添加してもよい。
有機酸モノグリセリド含有分散液中の有機酸モノグリセリドの含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。有機酸モノグリセリドの含有量が過度に少ない場合は、冷凍変性防止効果が不十分となり、過度に多い場合は、有機酸モノグリセリドが水(分散媒)中に均一に分散しなくなる場合がある。
有機酸モノグリセリド含有分散液には、ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤の1種又は2種以上が含まれていてもよい。特に、有機酸モノグリセリドをラメラ構造体として使用する場合は、乳化剤を使用することで上記のとおりラメラ構造体の安定性を高めることができる。
有機酸モノグリセリド含有分散液に用いるショ糖脂肪酸エステルとしては、親水性が高く、水分散性に優れ、高温で高粘性の水分散液の状態となるものが好ましい。このようなショ糖脂肪酸エステルとして具体的には、構成脂肪酸として、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸などの炭素数14〜22の飽和または不飽和の脂肪酸を有するショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。これらの中では、炭素数14〜18の飽和脂肪酸を有するものが、風味や酸化安定性の観点から好ましい。また、構成脂肪酸の70重量%以上がステアリン酸である脂肪酸を有するものが、風味の点から更に好ましい。また、親水性の点では、HLB値が通常5以上、好ましくは8以上、通常18以下、好ましくは15以下のショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
有機酸モノグリセリド含有分散液に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルも、ショ糖脂肪酸エステルと同様に、親水性が高く、水分散性に優れ、高温で高粘性の水分散液の状態となるものが好ましい。斯かるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリリンの平均重合度が通常2〜20、特に3〜10のものが好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸が前記ショ糖脂肪酸エステルと同様に炭素数14〜22の飽和または不飽和の脂肪酸を有するポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。また、構成脂肪酸の70重量%以上がステアリン酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルが風味の点から更に好ましい。また、親水性の点では、HLB値が通常5以上、好ましくは9以上、通常18以下、好ましくは16以下のポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を用いる場合、有機酸モノグリセリド含有分散液中の乳化剤の含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更に好ましくは3重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。乳化剤の含有量がこの範囲にあることにより、有機酸モノグリセリドのラメラ構造体の水分散性がより向上する。
また、有機酸モノグリセリド含有分散液中において、有機酸モノグリセリドに対する乳化剤の含有量(重量比)は、通常500:1〜1:500、好ましくは100:1〜1:100、さらに好ましくは3:1〜1:3の範囲である。有機酸モノグリセリドに対する乳化剤の含有量(重量比)は、1:1であることがより好ましいが、さらには乳化剤よりも有機酸モノグリセリドが多い方が好ましく、乳化剤に対して有機酸モノグリセリドを1.5倍以上含有することが好ましく、2倍以上含有することがより好ましい。
本発明で用いる有機酸モノグリセリド含有分散液は、糖類の1種又は2種以上を含んでいてもよく、糖類を含むことにより、ラメラ構造体の分散安定性が良好となる。
糖類としては、特に制限されず、砂糖、ブドウ糖、異性化糖、マルトース、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール等の糖および糖アルコール;各種オリゴ糖;それらの混合物を使用することができる。これらの中ではオリゴ糖が好ましい。
上記のオリゴ糖としては、マルトオリゴ糖(好ましくは重合度3〜7)、ニゲロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パノースオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、それらのシラップ等が挙げられる。上記の糖類は、目的に応じ、適宜選択して使用され、冷凍耐性を向上させる場合にはオリゴ糖や糖アルコールが好ましく、該オリゴ糖の中ではマルトオリゴ糖が好ましい。
糖類は、糖類の水溶液として使用することが好ましく、例えばシラップの場合はそのまま使用することもできる。
また、上記乳化剤と糖類を用いる場合は、前述の乳化剤の分散液と糖類の水溶液を混合した後、ラメラ構造体水分散液などの有機酸モノグリセリドが分散した水分散液と混合してもよいし、乳化剤の分散液に糖類を添加または糖類の水溶液に乳化剤を添加した後に、これらの分散液または水溶液とラメラ構造体水分散液などの有機酸モノグリセリドが分散した水分散液とを混合してもよい。
ラメラ構造体水分散液などの有機酸モノグリセリドが分散した水分散液と、乳化剤の分散液、糖類の水溶液またはこれらの混合物とを混合する場合は、乳化剤の分散液、糖類の水溶液またはこれらの混合物を通常45℃以上、好ましくは50℃以上、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下に加熱して用いてもよい。
糖類を用いる場合、有機酸モノグリセリド含有分散液中の糖類の含有量は、通常35重量%以上、好ましくは40重量%以上、通常85重量%以下、好ましくは60重量%以下である。糖類の含有量が上記下限以上であることにより、よりラメラ構造体の分散安定性が向上し、上記上限以下であることにより、糖の種類によって結晶が析出したり、粘度が高くなるなどの問題点が生じ難くなる。
また、有機酸モノグリセリド含有分散液中において、有機酸モノグリセリドに対する糖類の含有量は、有機酸モノグリセリド:糖類(重量比)=10:7〜1:850の範囲であることが好ましく、より好ましくは1:4〜1:20の範囲である。
本発明の効果を損なわない範囲において、有機酸モノグリセリド含有分散液には、前記以外の他の乳化剤、甘味料、香料、ビタミン、抗酸化剤、アルコールなどの公知の配合剤の1種又は2種以上が含まれていてもよい。その他の乳化剤としては、レシチン、リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
有機酸モノグリセリド含有分散液中の水(分散媒)の含有量は、通常30重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下である。水の含有量が少な過ぎると、水分散液の粘度増大により作業性が悪くなり、多過ぎると、相対的にラメラ構造体の量が少なくなるため、冷凍変性防止効果が低下する場合がある。
ラメラ構造体が形成されているか否かの確認は例えば偏光顕微鏡による観察によって容易に行うことができる。ラメラ構造体が存在する場合は偏光十字が見られる。更に、ラメラ構造体の微細構造は、電子顕微鏡観察により観察することができる。例えば試料を液体窒素で凍結させ、高真空条件下で割断し、割断表面に金属を蒸着させることにより試料のレプリカを作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察する。これにより層状のラメラ構造体を観察することができる。
下記詳述するとおり、本発明では、有機酸モノグリセリド含有分散液を含む漬物用調味液を野菜に付着させて冷凍することで、野菜漬物の冷凍変性を防止でき、解凍後も、冷凍前の野菜漬物と同等の食感や風味を得ることができる。そのため、有機酸モノグリセリド含有分散液は野菜漬物の冷凍変性防止剤として使用することができる。
3.野菜漬物への適用
本発明では、有機酸モノグリセリド含有分散液を漬物用調味液に添加し、有機酸モノグリセリド含有分散液を含む調味液が付着した野菜を冷凍する。
具体的には、以下の(1)または(2)の方法を採用することができる。
(1) 漬物用調味液に野菜を漬け込んで製造された野菜漬物に、有機酸モノグリセリド含有分散液を添加して混合し、漬物野菜に有機酸モノグリセリド含有分散液を満遍なく付着させ、その後所定時間(例えば1〜12時間程度)保管した後冷凍する。
(2) 漬物用調味液に有機酸モノグリセリド含有分散液を添加して混合し、有機酸モノグリセリド含有分散液入り漬物用調味液とし、この有機酸モノグリセリド含有分散液入り漬物用調味液に野菜を漬け込んで所定時間(例えば1〜12時間程度)保管した後冷凍する。
漬物用調味液としては、漬物の種類に応じて各種のものがあり、本発明はいずれの漬物用調味液にも適用することができる。通常、漬物用調味液は、塩、醤油、味噌、酒、酢、みりん、砂糖、糠、麹、各種だしおよび各種アミノ酸などの調味料;昆布およびわかめなどの海藻およびそのエキス;唐辛子、コショウおよび山椒等の香辛料;ビタミンB群およびビタミンCなどの各種ビタミン類;生姜汁、果汁、魚介エキスなどの香味用汁などを用いて、常法に従って調合される。
上記(1)または(2)の方法において、有機酸モノグリセリド含有分散液は、有機酸モノグリセリド含有分散液と糖類とを混合した混合物として漬物用調味液に漬け込まれた野菜や漬物用調味液に添加混合してもよい。また、前述の通り、漬物用調味液には、野菜の他、魚介類、海藻類、キノコ類などがあわせて漬け込まれてもよい。
有機酸モノグリセリド含有分散液の添加量は、漬物の種類、即ち、野菜の種類、調味液の組成によっても異なるが、漬物用調味液と野菜の合計重量に対する有機酸モノグリセリド含有分散液の重量として0.1〜10重量%程度、漬物用調味液と野菜の合計重量に対する有機酸モノグリセリド含有分散液中の有機酸モノグリセリドの重量として0.0001〜2重量%となるように、漬物用調味液に添加することが好ましい。
有機酸モノグリセリド含有分散液と糖類との混合物を漬物用調味液或いは漬物用調味液に漬け込まれた野菜に添加する場合、糖類としては、有機酸モノグリセリド含有分散液が含んでいてもよい糖類として例示したものの1種又は2種以上用いることができ、好ましくはマルトオリゴ糖(好ましくは重合度3〜7)である。
糖類は、30〜90重量%程度の糖類水溶液として用い、有機酸モノグリセリド含有分散液を添加混合して溶解させた混合物として漬物用調味液或いは漬物用調味液に漬け込まれた野菜に添加することが好ましく、糖類の使用量は、漬物の種類によっても異なるが、有機酸モノグリセリド含有分散液に対して1〜10重量倍程度用いることが好ましく、特に有機酸モノグリセリド含有分散液中の有機酸モノグリセリドに対して0.001〜2重量%程度用いることが好ましい。有機酸モノグリセリド含有分散液と糖類との混合物を用いることにより、解凍後の食感や味をより一層良好なものとすることができる。
4.冷凍
上記の野菜漬物は、常法に従って、例えば−15℃〜−30℃に冷却して冷凍し、保存する。この際、緩慢冷凍、急速冷凍のいずれをも採用することができるが、急速冷凍の方が氷晶の粗大化を抑制できることから好ましい。
5.解凍
本発明により製造された冷凍野菜漬物の解凍方法としては、漬物の種類、即ち、野菜や漬物用調味液の種類などに応じて、室温での放置による自然解凍、冷蔵庫の中で一晩から一昼夜置く庫内解凍、電子レンジによる解凍、流水による解凍などを採用することができる。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(製造例1)
HLB11のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ社製「リョートー(登録商標)シュガーエステルS−1170」)3.5部を室温で、糖類の水溶液としてマルトオリゴ糖水溶液(三和澱粉工業社製「オリゴトース」、マルトオリゴ糖固形分72重量%)60部と水8部の混合液68部に分散し、撹拌しながら加温して75℃まで昇温した(以下「オリゴ糖液」と呼ぶ)。
一方、コハク酸モノグリセリド(理研ビタミン社製「ポエムB−30」、脂肪酸としてステアリン酸を用いた)3.5部を脱塩水25部に分散し、60℃まで昇温しながら撹拌し、ラメラ構造体の水分散液を得た。
前記のオリゴ糖液を55℃まで冷却し、上記のコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の水分散液を加えて20分間撹拌した。次いで、45℃まで冷却することにより、ラメラ構造体の水分散液を調製した(以下「組成物A」と呼ぶ)。なお、組成物Aのコハク酸モノグリセリドのラメラ構造体の確認は偏光顕微鏡による観察によって行った。偏光顕微鏡の写真中に偏光十字が観察され、組成物Aがラメラ構造体を有していることがわかった。
この組成物Aは、ショ糖ステアリン酸エステルを3.5重量%、マルトオリゴ糖を43重量%、コハク酸モノグリセリドのラメラ構造体を3.5重量%含むものである。
(実施例1)
市販の白菜キムチ(ご飯がススムキムチ、ピックルスコーポレーション社製)120gに上記製造例1で製造された組成物Aを2.4gを添加して混合することにより、組成物Aが添加されたキムチ用調味液が付着した白菜キムチとした。
組成物Aが添加された白菜キムチを冷蔵庫で4時間保管した後に、冷凍した。
これを自然解凍して食したところ、白菜のしゃきしゃき感が残っていて、冷凍前と同様に美味しいものであった。
(実施例2)
マルトオリゴ糖水溶液(三和澱粉工業社製「オリゴトース」、マルトオリゴ糖固形分72重量%)7.2gに組成物A2.4gを溶解させたものを、白菜キムチに添加して混合した以外は実施例1と同様にして、冷凍白菜キムチを製造した。
これを自然解凍して食したところ、実施例1よりも更に白菜のしゃきしゃき感が残っていて、冷凍前と同様に美味しいものであった。
(比較例1)
組成物Aを白菜キムチに添加しなかった以外は、実施例1と同様にして冷凍白菜キムチを製造した。
これを自然解凍して食したところ、実施例1、2に比べて白菜のしゃきしゃき感が劣り、水っぽかった。

Claims (4)

  1. 冷凍野菜漬物の製造方法であって、
    漬物用調味液に有機酸モノグリセリドを含有する分散液を添加し、
    該調味液が付着した野菜を冷凍することを特徴とする、冷凍野菜漬物の製造方法。
  2. 有機酸モノグリセリドを含有する分散液と糖類とを混合した混合物を、漬物用調味液に添加する、請求項1に記載の冷凍野菜漬物の製造方法。
  3. 該分散液がショ糖脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する、請求項1または2に記載の冷凍野菜漬物の製造方法。
  4. 漬物用調味液に有機酸モノグリセリドを含有する分散液を添加し、
    該調味液が付着した野菜を冷凍することを特徴とする、冷凍野菜漬物の保存方法。
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