JP2017195839A - 容器詰乳含有飲料及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】安定剤を低減しながらも乳脂肪の浮きと沈殿の発生を低減し、かつ沈殿の分散性を改善し、更に乳の風味が良い容器詰乳含有飲料及びその製造方法を提供すること。【解決手段】乳脂肪球皮膜成分とモノエステルの含有比率が83質量%以上の乳化剤とを含み、安定剤を実質的に含まないことを特徴とする容器詰乳含有飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、安定剤を低減しながらも、乳脂肪の浮きと沈殿の発生が低減され、更に乳の風味が良い長期保管可能な容器詰乳含有飲料及びその製造方法に関する。
近年、飲料に関する嗜好の多様化により、種々の容器詰飲料が多数上市されており、その中でも、乳含有飲料は国内で消費される主要な飲料となっている。乳含有飲料は、食品衛生法及び「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)、全国飲用牛乳公正取引協議会にて定める「飲用乳の表示に関する公正競争規約」により牛乳・乳飲料の定義、成分規格、表示、製造、保存方法などが定められている。現在上市されている容器詰乳含有飲料は、乳含有量が多い乳飲料(乳固形分量が3.0%以上)や乳固形分量が3.0%未満の清涼飲料など多様な製品がある。
また、容器詰乳含有飲料は一般的にドライ製品と呼ばれる製造後に常温下で数か月以上保管可能な製品のほか、チルド製品と呼ばれる製造後から販売まで冷蔵下で管理され賞味期限が1か月以下の製品がある。
ドライ製品の場合、原料由来の耐熱性芽胞菌などの細菌による変敗を抑制することを目的とした乳化剤(いわゆる静菌性乳化剤)が用いられている。静菌性乳化剤は、変敗を抑制する一方で乳脂肪の浮きや沈殿の発生、沈殿の分散性の悪化の要因となるほか、特有の苦みや渋みを有するという問題があった。
更にドライ製品の製造工程では、長期保管性を高めるためにレトルト殺菌など高温・長時間の加熱殺菌処理が行われることが一般的である。そして、流通過程は常温下で保管・販売され、一部は自動販売機やホットショーケースなどで長時間加温状況に置かれる。これら加熱殺菌、常温保管、加温販売はいずれも乳脂肪の浮き、沈殿の発生、沈殿の分散性の悪化の要因となる。
乳脂肪の浮きは、例えば乳脂肪の分離が生じ液面に脂肪分の浮遊物が生じる現象(クリーミング)、容器内側の液面付近に乳脂肪が付着する現象(オイルリング)、乳脂肪の乳化破壊による容器内側への油滴付着や油分の浮きが発生する現象(オイルオフ)、乳脂肪が羽毛のように固まり液面に浮く現象(フェザーリング)などが起こり、商品価値を著しく損なう要因となっていた。
沈殿の発生は、特にコーヒーや紅茶などポリフェノールを含む植物を用いた容器詰乳含有飲料で生じやすく、特にPETボトルなど透明容器に充填した場合、沈殿が外観から認識できることから商品価値を損なう要因となっていた。また、沈殿の分散性については、沈殿が軽い撹拌などで分散しにくい場合、沈殿が飲用時に口腔内に入り舌触りの悪化や異物感を感じさせることから、商品価値を損なう要因となっていた。
このような背景から、ドライ製品であっても乳脂肪の浮きや沈殿の発生と分散性が改善され、更に乳の風味が良い容器詰乳含有飲料が求められている。例えば、特許文献1には、3種の乳化剤を特定の割合で用いた乳成分入り飲料に関する技術が開示されており、更に高い効果を得るためにカラギナンやカゼインナトリウムといった安定剤を併用する技術も開示されている。また、特許文献2には、平均HLBが8〜13となるように異なるHLBの乳化剤を組み合わせる乳飲料の安定化法に関する技術が開示されている。また、特許文献3には、乳製品を加えたコーヒー抽出液に乳化剤と微結晶セルロースを添加したコーヒー飲料の製造方法に関する技術が開示されている。また、特許文献4には、乳脂肪球皮膜由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、それら成分が特定の割合に調整された容器詰飲料用添加剤が開示されており、当該容器詰飲料用添加剤を用いることで加温販売時の乳安定性を高める技術が開示されている。
特開2002−65157 特開平8−116873 特開平6−245703 特開2015−53925
特許文献1及び特許文献2の技術は、複数の乳化剤を添加しているため、乳化剤の特有の味(苦みや渋みなど)により飲料の風味が損なわれてしまうだけでなく、製品の特性上乳化剤の添加量を増すことは好ましいとは言えなかった。特に特許文献2で用いられるHLB3〜7の乳化剤とHLB15〜16の乳化剤が持つ特有の苦みと渋みは乳の風味を大きく損なうため、乳含有飲料に用いることは好ましくなかった。しかし、HLB3〜7の乳化剤は沈殿を防止するために必須の構成であり、HLB15〜16の乳化剤も静菌効果を担保するものであるため、これを単に除くことは難しかった。
特許文献1、特許文献3ではカラギナン、微結晶セルロースなどの多糖類を安定剤として用いて乳脂肪の浮きや沈殿の発生を低減しているが、安定剤は特有の臭みや収斂味、えぐみがあるため飲料に不自然な風味を与えていた。特に多糖類由来の安定剤は特有の臭みと味が乳の風味と相性が悪く、乳の風味を損なっていた。そのため、安定剤を使用しないチルド製品の風味をドライ製品で達成することが困難であった。
更に特許文献1で用いられるカゼインナトリウムは乳由来の安定剤だが、特有の渋みがあるため乳含有飲料の風味が損なわれるほか、αカゼインは牛乳アレルギーの抗原として作用するなど製品の特性上、使用が好ましいとは言えなかった。
一方、特許文献4に開示されている乳脂肪球皮膜由来の容器詰飲料用添加剤は、乳の風味を損なう恐れが少ないという利点を有している。しかし、該容器詰飲料用添加剤の効果は加温販売を想定した60℃保存、3週間後における乳脂肪の浮きを低減しているものの、加熱殺菌、常温保管を行った際の効果が確認されていない。そのため、特許文献4の容器詰飲料用添加剤を用いるだけでは、他の条件下での乳脂肪の浮きの低減、並びに沈殿の発生の低減と分散性を改善した容器詰乳含有飲料を提供することは不可能であった。
そこで本発明の目的は、安定剤を低減しながらも乳脂肪の浮きと沈殿の発生を低減し、かつ沈殿の分散性を改善し、更に乳の風味が良い容器詰乳含有飲料及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは上記問題を解決すべく研究を行った結果、安定剤を低減した場合であっても、乳脂肪球皮膜成分を用い、更に静菌性乳化剤のモノエステル含有比率と構成脂肪酸のパルミチン酸比率を高めることで、乳の風味が良く、かつ加熱殺菌、常温保管、加温販売のいずれの条件下でも乳脂肪の浮きと沈殿の発生を低減し、更に沈殿の分散性を改善した容器詰乳含有飲料を得ることができることを見出した。具体的には、本発明は以下のとおりである。
すなわち本発明は、乳脂肪球皮膜成分とモノエステルの含有比率が83質量%以上の乳化剤とを含み、安定剤を実質的に含まないことを特徴とする容器詰乳含有飲料に関する。
さらに、本発明の前記乳化剤がショ糖脂肪酸エステルであり、構成脂肪酸の85%以上がパルミチン酸であることを特徴とし、更にモノパルミチン酸エステルの含有比率が70%以上であることを特徴とする。
上記構成とすることにより、安定剤を低減した場合であっても、乳脂肪球皮膜成分を用い、更に静菌性乳化剤のモノエステル含有比率と構成脂肪酸のパルミチン酸比率を高めることで、乳の風味が良く、かつ加熱殺菌、常温保管、加温販売のいずれの条件下でも乳脂肪の浮きと沈殿の発生を低減し、更に沈殿の分散性を改善した容器詰乳含有飲料を得ることができる。
以下本発明の実施形態につき説明する。なお、本発明の構成を逸脱しない限りにおいて実施形態に記載した以外の成分を添加等することも可能である。
(容器詰乳含有飲料)
本発明において、容器詰乳含有飲料とは、乳成分を含有する容器詰飲料であり、乳の風味や香味が付与された飲料が容器に充填された製品のことをいう。乳成分を容器詰飲料に添加するには、各種液状乳類(例えば牛乳、やぎ乳、加工乳、脱脂乳、乳飲料)や、粉乳類(例えば全粉乳、脱脂粉乳、調整粉乳)、練乳類(例えば無糖練乳、加糖練乳)、クリーム類、発酵乳(例えば全脂無糖ヨーグルトや脱脂加糖ヨーグルトやドリンクタイプ・ヨーグルト等のヨーグルト、乳酸菌飲料)、チーズ類(例えば各種ナチュラルチーズ、プロセスチーズ)、アイスクリーム類(例えばアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、ソフトクリーム)、シャーベットやこれらを含む組成物等を適宜用いることができる。好ましくは乳、脱脂粉乳、生クリーム及び練乳を適宜単独又は組み合わせて使用する。
本発明の容器詰乳含有飲料は、常温保管が可能であることが好ましく、更に加温販売が可能であることが好ましく、特に常温において6ヶ月以上保存できるものが好ましい。また、非アルコール性飲料であることが好ましく、更にポリフェノール含有植物を用いることが好ましく、特にコーヒー、紅茶、日本茶(緑茶、ほうじ茶、抹茶など)を用いることが好ましい。
(乳固形分)
本発明の容器詰乳含有飲料の乳固形分量は、乳の風味、濃度感とコクのバランスを向上させる観点から、飲料全体の10%未満、好ましくは0.1〜6%、さらに好ましくは0.6〜4%に調整される。
乳固形分量及び無脂乳固形分量の調整は、乳由来成分を適宜配合することにより調整可能である。乳固形分量及び無脂乳固形分量の調整は原料の選択、配合や乳固形分及び無脂乳固形分の添加など、種々の方法で可能であるが、好ましくは乳、乳原料の添加量により調整する。また、濾過工程や吸着工程等の製造加工工程でも調整することができる。
(乳脂肪分)
本発明の容器詰乳含有飲料の乳脂肪分は0.01〜3質量%に調整される。乳脂肪分が3質量%を超えると口の中にざらつきが残り、濃度感を感じすぎ、ポリフェノール含有植物の風味が感じにくくなり、乳脂肪分が0.01質量%を下回ると、乳本来の風味がもの足りない印象となり、コクとのバランスも悪くなるからである。容器詰乳含有飲料としての自然な風味、濃度感とコクのバランスを楽しむには、好ましくは0.05〜1.6質量%であり、更に好ましくは0.1〜1.2質量%に調整される。
乳脂肪分の調整は、原料の選択、配合及び脂質の添加など、種々の方法で可能であるが、好ましくは乳や乳原料の添加量により調整する。また、濾過工程や吸着工程等の製造加工工程でも調整することができる。乳脂肪分は、当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、ゲルベル法やバブコック法等が挙げられる。
(乳脂肪球皮膜成分)
乳脂肪球皮膜とは、乳脂肪球の表面を覆う内膜と外膜からなる二重膜から構成される膜であり、乳脂肪球のおよそ2%を構成し、タンパク質、リン脂質、糖脂質、ステロールなどを豊富に含んでいる。乳脂肪球皮膜は、一般的にバターオイルの製造過程で副産物として得られるバターセーラムやバターミルク中に含まれることが知られており、本発明の乳脂肪球皮膜成分はバターセーラムやバターミルクをそのまま用いてもよい。また、バターセーラムやバターミルクを加工して乳脂肪球皮膜を構成するタンパク質、リン脂質、糖脂質、ステロールなどを高濃度に含むように調整してもよいし、それら成分の含有量や含有比率を調整してもよい。
本発明で用いるバターセーラムはバターオイルの一般的な製法である遠心分離法、加温法などで製造すればよく、例えばバターを遠心分離して得られる水相部である。また、バターミルクはクリームからバターの一般的な製法である静置法などで製造すればよく、例えば生乳を静置した後に分離したクリームをチャーニング(撹拌)して生じさせたバター粒を除くことで得られる。
なお、本発明の乳脂肪球皮膜成分は、液状、濃縮液、ペースト状など各種の形態をとることができる。
本発明では、乳脂肪球皮膜成分を0.05〜1質量%含むことが好ましく、更に0.1〜0.7質量%含むことが好ましく、特に0.1〜0.5質量%含むことが好ましい。この範囲とすることで、乳の風味を保ちつつ、乳脂肪の浮きと沈殿の発生を低減でき、特に加熱殺菌、常温保管による沈殿の発生を低減することができる。また、乳脂肪球皮膜成分の添加量を0.05質量%以上用いることで乳の風味を高めることができ、更に0.1質量%以上用いることで乳の風味を強化することができる。なお、乳脂肪球皮膜成分の添加量を0.5質量%以下にすることで、加温販売時に乳脂肪球皮膜成分由来の劣化臭の発生を抑えることができる。
(糖類)
本発明の容器詰乳含有飲料に用いる糖類は、ぶどう糖、果糖、砂糖、乳糖、麦芽糖から選択される1種又は2種以上であり、本発明の容器詰乳含有飲料は糖類の含有量が5質量%以下であることが好ましく、更に0〜4.5質量%であることが好ましく、更に0〜3.5質量%であることが好ましく、特に0〜2.5質量%であることが好ましい。容器詰乳含有飲料の糖類の含有量は求める内容液の甘味や厚みに応じて調整可能であるが、この範囲に属するように調整することで、加熱殺菌、常温保管、加温販売による乳脂肪の浮きや沈殿の分散性を高めることができる。糖類の調整は、原料の選択、原料の配合や糖類の添加など、種々の方法で可能である。
なお甘味付与としては、上記糖類以外の糖質又は人工甘味料を使用することができ、例えば、糖質としてはオリゴ糖などの多糖類や糖アルコール、トレハロース、デキストリンが挙げられ、人工甘味料としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、サッカリン、スクラロース、ステビア、羅漢果等の高甘味度甘味料が挙げられる。ただし、飲料の風味保持や自然な甘さの観点から、高甘味度甘味料は使用しないほうが望ましい。
(乳化剤)
本発明の容器詰乳含有飲料に用いる乳化剤はモノエステルの含有比率が83質量%以上であることが好ましく、更に85質量%以上であることが好ましく、更には88質量%以上であることが好ましく、特に90質量%以上が好ましい。また、該乳化剤はショ糖脂肪酸エステルであり、構成脂肪酸の85%以上がパルミチン酸であることが好ましく、更に87%以上であることが好ましく、更には90%以上であることが好ましく、特に94%以上であることが好ましい。また、該乳化剤はモノパルミチン酸エステル比率が70%以上であることが好ましく、更に75%以上であることが好ましく、更には80%以上が好ましく、特に85質量%以上が好ましい。
乳化剤のモノエステルの含有比率、構成脂肪酸比率、モノパルミチン酸エステル比率をこの範囲に属するように調整することで、静菌効果を担保しつつ加熱殺菌、常温保管、加温販売のいずれにおいても乳脂肪の浮き(クリーミング、オイルリング、オイルオフ、フェザーリング)と沈殿の発生を低減することができ、また沈殿の分散性も改善する。更に乳化剤特有の苦みや渋みを感じにくいことから、乳の風味が良くなる。
更に本発明の乳化剤は、耐熱性芽胞菌などの細菌による変敗抑制効果を有する静菌性乳化剤が好ましく、添加量は0.01〜0.15質量%が好ましく、更には0.02〜0.1質量%が好ましく、特に0.03〜0.75質量%であることが好ましい。この範囲に属するように調整することで静菌効果を得ながら、乳脂肪の浮きと沈殿の発生を低減することができ、また沈殿の分散性も改善する。但し添加量は、用いる原料の種類と使用量によって適宜変更可能である。
(安定剤)
本発明における安定剤とは、食品衛生法及び関連規則などに則った添加物であり、食品の安定性に寄与するものである。具体的には、消食表第377号 消費者庁次長通知「食品衛生法に基づく添加物の表示等について」(平成22年10月20日)の別添1にて用途が増粘安定剤として規定されるカラギナン、キサンタンガム、グァーガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、微小繊維状セルロース、ペクチンなどのほか、一般的に乳含有飲料の性状の安定性改善を目的として用いられるカゼインナトリウム、ダイズ多糖類、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース塩、メチルセルロース、寒天、ゲル化剤などを言う。なお、広義には安定剤に乳化剤が含まれるが、本発明では乳含有飲料の乳脂肪の浮きや沈殿の発生の低減、沈殿の分散性の改善を主たる機能として用いられる乳化剤は安定剤として扱う。
本発明の容器詰乳含有飲料では、安定剤の特有の臭みや収斂味、えぐみによって乳含有飲料の風味を損なわないために、安定剤を実質的に含まない(0.005質量%以下)ことが好ましく、特に安定剤を含まないことが好ましい。
(pH)
本発明の容器詰乳含有飲料のpHは、4.6〜8とする。pH4.6未満では容器詰乳含有飲料に用いる乳の等電点以下となり、カゼイン由来の凝固物が発生するなど品質に問題が生じ、香味的にも酸味が強調され過ぎて不快に感じられる。また、pH8以上の場合、乳成分由来のゲル状沈殿が生じるなど品質に問題が生じる。よって、上記の範囲内であれば乳安定的を維持することができ、ポリフェノール含有植物と乳成分の親和性の保てる容器詰乳含有飲料とすることができる。かかる観点から、本発明の容器詰飲料におけるpHは好ましくは6.0〜7.5であり、更に好ましくは6.0〜7.2である。
pHの調整は、必要に応じてpH調整剤を添加することにより行うことができる。pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、乳酸、フィチン酸及びグルコン酸等の有機酸、ならびに重曹等のアルカリ金属塩等である。これらはアスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸アルカリ塩の形態で添加することが好ましい。重曹の添加量は、内容液に対して、0.01〜0.15%程度が好ましい。その他、リン酸等の無機酸も用いることができる。また、レモン、オレンジ、アセロラ及びカムカム等の果汁や発酵乳などを添加してもよい。
(ガラクトマンナナーゼ)
本発明の容器詰乳含有飲料に用いるガラクトマンナナーゼは、ポリフェノール含有植物に含まれるマンノースを主鎖とするガラクトマンナンを分解する酵素であり、本発明の容器詰乳含有飲料はガラクトマンナナーゼを0.00001〜0.1質量%含むことが好ましく、更には0.0005〜0.05質量%を含むことが好ましく、特に0.001〜0.01質量%含むことが好ましい。この範囲に属するように調整することで内容液の味に大きな影響を与えることなく、コーヒー豆由来のガラクトマンナンと乳成分が反応して生じる沈殿の低減を図ることができる。なお、本発明ではガラクトマンナナーゼによる処理は、添加量、処理時間、処理温度にて適宜調整することができる。
(殺菌)
本発明の容器詰乳含有飲料の殺菌処理は、食品衛生法に定められた殺菌条件で行われる。殺菌方法としては、UHT殺菌、レトルト殺菌等が挙げられ、例えばレトルト殺菌の場合、124℃、20分で行える。
(抗酸化剤)
本発明の容器詰乳含有飲料に添加する添加物のうち、抗酸化剤としては、アスコルビン酸又はその塩、エリソルビン酸又はその塩等が挙げられるが、このうちアスコルビン酸又はその塩等が特に好ましい。
(容器)
飲料を容器詰飲料にする場合、使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の形態で提供することができる。
本発明の容器詰乳含有飲料には、本発明の構成を阻害しない範囲において添加して良い成分として、酸化防止剤、香料、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、甘味付与剤、保存料、調味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤等の添加剤を単独、又は併用して配合しても良い。
以下に、本発明の実施の態様について、容器詰乳含有飲料がコーヒー抽出液を含む場合を例として実施例をあげて説明するが、本願発明の構成要件を満たす限りにおいて、以下の態様例に限定されるものではない。
(原料)
ブラジル産アラビカ種の焙煎コーヒー豆から抽出したコーヒー抽出液(Bx3.2)、牛乳(乳固形分12質量%、乳脂肪分3.5質量%、乳タンパク質8.5質量%)、重炭酸ナトリウムのほか、表1に記載の原料を用いて本発明の容器詰乳含有飲料の内容液を調製した。乳脂肪球皮膜成分は、市販品(製品名 EM−1(株式会社ADEKA製))を用いた。
また、本実施例に用いた乳化剤は静菌効果を有する市販品(乳化剤A:製品名 P−1570、乳化剤B:製品名 P−1670、乳化剤C:製品名 モノエステルP(いずれも三菱化学フーズ株式会社製))を用いた。
なお、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance、親水性親油性バランス)とは親油性と親水性のバランスを表したものであり、親水基を全く持たない物質をHLB=0とし、逆に親油基をもたず親水基のみを持つ物質をHLB=20として、親水性/新油性バランスの割合を等分したものである。
従って、親油性と親水性を合せ持った乳化剤は上記範囲に属するHLB値を有する。親油性に対し親水性が大きい、即ちHLB値が大きい程、水に溶解し易く、逆の小さい場合は水に溶解し難い性質を有する。
Figure 2017195839
(内容液の調製)
実施例1
コーヒー抽出液(Bx3.2)47質量部に、重炭酸ナトリウム0.1質量部を添加した。表2に従ってグラニュー糖、乳化剤A、B、Cを添加した。そして、乳脂肪球皮膜成分0.3質量部を混合・溶解し、続いて牛乳(乳固形分12質量%、乳脂肪分3.5質量%、乳タンパク質8.5質量%)26質量部を添加し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製し、次に均質化(60℃予熱、20MPa)した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、124℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、コーヒー固形分(Bx)1.5の本発明の容器詰乳含有飲料に係る実施例試料と比較例試料を得た。
Figure 2017195839
レトルト殺菌後に各試料を室温(25℃)に戻した後、レトルト殺菌後の品質及び官能について、下記の評価基準で評価を行った。また、5℃、25℃、60℃の条件下で1週間保管し、同様に評価した。
(評価基準)
前記表1の通りに調製された実施例試料1〜9、及び比較例試料1〜4について、品質評価試験(乳脂肪の浮き、沈殿の発生、沈殿の分散性)及び官能評価試験(ミルク感)を実施した。
官能評価試験は、7人のパネラーに委託して行い、各項目を以下に示す基準において、視覚、臭覚、味覚において評価したものである。ここで、表3から表6の数値は、7人のパネラーの評価の平均値を算出(小数点以下は四捨五入)したものである。
<乳脂肪の浮き(クリーミング、オイルリング、オイルオフ、フェザーリング)>
1点:著しく生じる
2点:やや生じるが、撹拌で容易に溶解する
3点:生じない、又はわずかに生じるが品質上許容範囲
<沈殿の発生>
1点:著しく生じる
2点:やや生じる
3点:生じない、又はわずかに生じるが品質上許容範囲
<沈殿の分散性>
1点:分散しない
2点:撹拌でほとんどの沈殿が分散し、舌触りに影響なし
3点:分散性よく全て分散する
<ミルク感>
1点:あまり感じない、又は乳化剤の不快な風味がある
2点:十分味わい良く感じる
3点:非常に味わい良く強く感じる
<総合評価>
各評価項目を総合的に勘案して、商品としての適性を評価した。
×:商品としての適性が標準以下(7点以下又は1点評価項目有り)
○:商品としての適性に優れている(10点〜8点)
◎:商品としての適性に非常に優れている(11点以上)
前記の各評価項目について実施例試料及び比較例試料の評価を行った結果を表3から表6に示す。
Figure 2017195839
Figure 2017195839
Figure 2017195839
Figure 2017195839
比較例試料1は、安定剤だけでなく乳化剤も入っていない処方で、いわゆるチルド製品に相当し、乳化剤の効果を確かめるために調製した。比較例試料1は、レトルト殺菌後及び5℃保管後については、液面の乳脂肪の浮きや沈殿が見られなかった。そしてミルク感も申し分ない状態であった。しかし、25℃保管後及び60℃保管後は、液面に油膜(オイルオフ)が多く発生した。
比較例試料2,3は、レトルト殺菌後及び25℃保管後にオイルリングが内容液の上部1/4を占めるほど発生し、5℃保管後はクリーミングが多く発生し、いずれも品質を損なっていた。沈殿については、レトルト殺菌後に膜状沈殿が発生したが撹拌によりほとんどが分散した。但し、60℃保管後は、多量の堆積沈殿が発生し、強固に固まって分散しなかった。官能評価については、比較例試料2,3,4は、いずれも乳化剤A,B特有の苦みや渋みを感じ、ミルクの風味を損ねていた。
一方で、実施例試料1〜8は、5℃保管後の実施例試料1〜5及び25℃保管後の実施例試料1〜8に薄いフェザーリングが発生し、60℃保管後の実施例試料1〜5,8に薄いオイルリングが発生した。しかし、いずれも軽い撹拌にて内容液中に溶解した。沈殿については、60℃保管後に柔らかい堆積沈殿が発生したが、撹拌にてほとんどが内容液に分散し、飲用時に固形物や異物感を感じることは無かった。
実施例試料9は、レトルト殺菌後、5℃保管後及び25℃保管後に薄いフェザーリングが発生し、60℃保管後に薄いオイルリングが発生した。しかし、いずれも軽い撹拌で内容液中に溶解した。また、沈殿については、実施例試料8と比較してレトルト殺菌後に缶底に膜状の沈殿がやや発生したが、5℃保管後及び25℃保管後はわずかに発生しただけであった。しかし、5℃保管後及び25℃保管後に発生したわずかな沈殿は、撹拌しても全て分散しなかった。
(考察)
比較例試料2〜4、実施例試料1〜9を比較すると、モノエステルの含有比率が83質量%以上であり、構成脂肪酸の85%以上がパルミチン酸であり、モノパルミチン酸エステル比率が70%以上の場合で、乳脂肪の浮きと沈殿の発生とが低減され、沈殿の分散性もよく、乳化剤による味への影響も少なかった。特にモノエステルの含有比率が85質量%以上であり、構成脂肪酸の87%以上がパルミチン酸であり、モノパルミチン酸エステル比率が75%以上の場合で、液面の乳脂肪浮き、沈殿の発生とも低減効果が高かった。また、沈殿の分散性も改善した。
また、実施例試料8と実施例試料9とを比較すると、糖類を低減することで沈殿の発生が低減されため、糖類の影響を実施例2にて詳細に検討した。
実施例2
実施例2では糖類の濃度の最適な範囲を検証する。実施例1と同様の手法で表7に従って、本発明の容器詰乳含有飲料に係る実施例試料と比較例試料を得た。なお、実施例試料8,9は実施例1にて作成したものであるが、糖類の影響について理解を容易にするために、ここに再掲する。
Figure 2017195839
実施例1と同様に各評価項目について実施例試料及び比較例試料の評価を行った結果を表8から表11に示す。
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上記の通り、糖類の含有量を6質量%にした比較例試料5は、レトルト殺菌後の沈殿が実施例試料9よりもかなり多くなり、分散性が極めて悪かった。さらに25℃保管後は膜状沈殿がやや発生し、60℃保管後は堆積沈殿がやや発生し、いずれも分散性が悪く撹拌しても固形物が多く残った。
一方で実施例試料8よりも糖類を減らして糖類2質量%とした実施例試料11は、60℃保管後に柔らかい堆積沈殿がやや発生したが、軽く撹拌することでほとんどが内容液に分散した。また、糖類を添加しなかった実施例試料10は、実施例試料8,9,11、比較例試料5と比較して全ての条件下で液面の乳脂肪浮きが最も少なかった。更に沈殿については、60℃保管後にごく僅かに発生したが撹拌によりほとんどが飲用液に分散した。
(考察)
上記の結果から、糖類の添加量が少ないほど乳脂肪の浮きと沈殿の発生が低減されることが分かった。そして、実施例1で確かめられた通り、糖類の添加量が4.5質量%以下で沈殿発生の低減効果が認められ、更に3.5質量%以下で沈殿発生の低減効果が強く認められ、無糖の場合に最も沈殿の発生が低減できた。
実施例3
実施例3では乳脂肪球皮膜成分の濃度の最適な範囲を検証する。実施例1と同様の手法で表12に従って、本発明の容器詰乳含有飲料に係る実施例試料と比較例試料を得た。なお、実施例試料8は実施例1にて作成したものであるが、乳脂肪球皮膜の影響について理解を容易にするために、ここに再掲する。
Figure 2017195839
実施例1と同様に各評価項目について実施例試料及び比較例試料の評価を行った結果を表13から表16に示す。
Figure 2017195839
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上記の通り、乳脂肪球皮膜成分を添加しなかった比較例試料6は、いずれの条件下でもゲル状沈殿が多く発生し、5℃保管後を除き分散性が極めて悪かった。一方で、乳脂肪球皮膜成分を0.05質量%添加した実施例試料12は、レトルト殺菌後、5℃保管後及び25℃保管後に薄い膜状沈殿が発生し、60℃保管後に柔らかい堆積沈殿が発生したが、いずれも撹拌することで容易に内容液に分散した。そして、乳脂肪球皮膜成分を0.1%添加した実施例試料13は実施例試料8と比較してレトルト殺菌後の沈殿の発生が若干多く、分散性もわずかに劣ったが、他の条件下では実施例試料8とほぼ同様の性状を示した。
実施例試料14,15は、実施例試料8と比較してレトルト殺菌後の沈殿の発生が増えたが、飲用液への分散は良好であった。また、乳脂肪の浮きは5℃保管後に若干多かった。そして、25℃保管後及び60℃保管後に乳脂肪球皮膜成分由来の乳の劣化臭が少しだけ発生し、ミルク感が低下した。
(考察)
上記の結果から、モノエステル含有比率と構成脂肪酸のパルミチン酸比率が高い乳化剤だけでは多くの沈殿が発生するが、乳脂肪球皮膜成分を少量でも用いることで沈殿発生を低減することができた。また、乳脂肪球皮膜成分を用いた場合、沈殿が発生しても分散性が良いため、飲用時に異物感や舌触りの悪さを感じにくくなる。
実施例4
実施例4では乳の濃度別に効果を検証する。実施例1と同様の手法で表17に従って、本発明の容器詰乳含有飲料に係る実施例試料を得た。なお、実施例試料8は実施例1にて作成したものであるが、乳の影響について理解を容易にするために、ここに再掲する。
Figure 2017195839
実施例1と同様に各評価項目について実施例試料及び比較例試料の評価を行った結果を表18から表21に示す。
Figure 2017195839
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上記の通り、乳の含有量を3質量%から35質量%まで変更して本発明の効果を検証したところ、いずれも良好であった。実施例試料16,17では60℃保管後以外でミルク感が2となっているが、これは他の実施例試料と比較して乳の含有量が少ないことが要因であり、乳化剤の苦みや渋みは感じず乳含有量を考慮すれば十分であった。
(考察)
乳の含有量が少ないものから多いものまで、乳脂肪球皮膜成分と乳化剤のモノエステルの含有比率、構成脂肪酸、モノパルミチン酸エステル比率を調整することで、乳脂肪の浮きと沈殿発生の低減ができ、かつ沈殿の分散性を改善しつつ、乳の風味を良好に保つことができた。
実施例5
実施例1で作成した実施例試料1〜9に、ガラクトマンナナーゼを添加して、その効果を確かめた。具体的には、コーヒー抽出液(Bx3.2)47質量部に、ガラクトマンナナーゼを0.01質量部添加し、25℃に調整して、30分間緩やかに撹拌した。続いて表2に従ってグラニュー糖3.5質量部、乳化剤B,Cを添加した。そして、乳脂肪球皮膜成分0.3質量部を混合・溶解し、続いて牛乳(乳固形分12質量%、乳脂肪分3.5質量%、乳タンパク質8.5質量%)26質量部を添加し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製し、次に均質化(60℃予熱、20MPa)した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、124℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明の容器詰乳含有飲料に係る実施例試料を得た。
上記で得た実施例試料を、実施例1と同様に評価した。その結果、実施例1では60℃保管後に柔らかい堆積沈殿が発生したが、本実施例ではほとんど沈殿が見られないほど沈殿の発生が低減されていた。そして、発生したわずかな沈殿も撹拌により容易に内容液に分散し、極めて性状が良かった。その他の評価は、実施例1と同様の結果であった。
実施例6
実施例試料8のコーヒー固形分(Bx)を変更して、本発明の効果を検証した。具体的には、コーヒー抽出液(Bx3.2)31質量部に、重炭酸ナトリウム0.1質量部を添加した。続いてグラニュー糖3.5質量部、乳化剤C0.035質量部を添加した。そして、乳脂肪球皮膜成分0.3質量部を混合・溶解し、続いて牛乳(乳固形分12質量%、乳脂肪分3.5質量%、乳タンパク質8.5質量%)26質量部を添加し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製し、次に均質化(60℃予熱、20MPa)した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、124℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、コーヒー固形分(Bx)1.0の本発明の容器詰乳含有飲料に係る実施例試料を得た。また、コーヒー抽出液(Bx3.2)を63質量部に変更して、コーヒー固形分(Bx)2.0の本発明の容器詰乳含有飲料に係る実施例試料を得た。
上記で得た実施例試料を、実施例1と同様に評価した。その結果、コーヒー固形分(Bx)1.0の実施例試料では60℃保管後に薄いオイルリングが発生したが、撹拌で容易に溶解した。そして、その他の評価は3点であった。一方、コーヒー固形分(Bx)2.0の実施例試料では、実施例試料8と同様の結果であった。
実施例7
(ミルクティー)
紅茶抽出液を用いて、本発明の効果を検証した。具体的には、紅茶抽出液(Bx1.2)50質量部に、重炭酸ナトリウム0.1質量部を添加した。続いてグラニュー糖3.5質量部、乳化剤C0.035質量部を添加した。そして、乳脂肪球皮膜成分0.3質量部を混合・溶解し、続いて牛乳(乳固形分12質量%、乳脂肪分3.5質量%、乳タンパク質8.5質量%)26質量部を添加し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製し、次に均質化(60℃予熱、20MPa)した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、124℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、紅茶固形分(Bx)0.6の本発明の容器詰乳含有飲料に係る実施例試料を得た。
上記で得た実施例試料を、実施例1と同様に評価した。その結果、60℃保管後は液面にわずかなオイルリングが発生したが、撹拌で容易に溶解した。そして、その他の条件下では、液面の乳脂肪浮きが認められなかった。また、沈殿については、60℃保管後に微量の堆積沈殿が発生したが、撹拌で容易に分散した。そして、他の条件下では、沈殿の発生が認められなかった。なお、内容液のpHは、加熱殺菌後:6.8、5℃保管後:6.8、25℃保管後:6.7、60℃保管後:6.5であった。
本発明によれば安定剤を低減した場合であっても、乳脂肪球皮膜成分を用い、更に静菌性乳化剤のモノエステル含有比率と構成脂肪酸のパルミチン酸比率を高めることで、乳の風味が良く、かつ加熱殺菌、常温保管、加温販売のいずれの条件下でも乳脂肪の浮きと沈殿の発生を低減し、更に沈殿の分散性を改善した容器詰乳含有飲料を得ることができる。

Claims (13)

  1. 乳脂肪球皮膜成分と
    モノエステルの含有比率が83質量%以上の乳化剤とを含み、
    安定剤を実質的に含まないことを特徴とする容器詰乳含有飲料。
  2. 前記乳化剤がショ糖脂肪酸エステルであり、構成脂肪酸の85%以上がパルミチン酸であることを特徴とする請求項1に記載の容器詰乳含有飲料。
  3. 前記乳化剤は、モノパルミチン酸エステルの含有比率が70%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の容器詰乳含有飲料。
  4. 前記乳脂肪球皮膜成分の含量が0.01〜1質量%であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の容器詰乳含有飲料。
  5. 前記乳化剤の含量が0.15質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の容器詰乳含有飲料。
  6. 糖類の含有量が5質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の容器詰乳含有飲料。
  7. ポリフェノールを含む植物由来の原料を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の容器詰乳含有飲料。
  8. コーヒー由来の原料を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の容器詰乳含有飲料。
  9. 安定剤を含まないことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の容器詰乳含有飲料。
  10. 乳脂肪球皮膜成分を添加し、
    モノエステルの含有比率が83質量%以上の乳化剤を添加し、
    安定剤を実質的に添加しないことを特徴とする容器詰乳含有飲料の製造方法。
  11. ガラクトマンナナーゼを添加することを特徴とする請求項10に記載の容器詰乳含有飲料の製造方法。
  12. 乳脂肪球皮膜成分を添加し、
    モノエステルの含有比率が83質量%以上の乳化剤を添加し、
    安定剤を実質的に添加しないことを特徴とする容器詰乳含有飲料の品質向上方法。
  13. ガラクトマンナナーゼを添加することを特徴とする請求項12に記載の容器詰乳含有飲料の品質向上方法。

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