JP2017195231A - 非水系リチウム蓄電素子 - Google Patents

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和照 梅津
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Abstract

【課題】高負荷充放電サイクル中に非水系リチウム蓄電素子の負極端部での金属リチウムの析出を抑制する。【解決手段】非水系リチウム蓄電素子について、負極活物質層9の外部20%の面積領域11よりも負極活物質層の内部80%の面積領域10において、リチウムイオンの濃度及び/又はLi3NとLi2Oの少なくとも1つの濃度を高くする。負極は、0.40≦g/f≦0.90{式中、fは、前記負極活物質層の厚み(μm)であり、かつgは、あまに油の吸油量から算出される前記負極の空隙量(cc/m2)である}で表される関係を満たすことが好ましい。【選択図】図3

Description

本発明は非水系リチウム蓄電素子に関する。
近年、地球環境の保全及び省資源を目指したエネルギーの有効利用の観点から、風力発電の電力平滑化システム又は深夜電力貯蔵システム、太陽光発電技術に基づく家庭用分散型蓄電システム、電気自動車用の蓄電システム等が注目を集めている。
これらの蓄電システムに用いられる電池の第一の要求事項は、エネルギー密度が高いことである。このような要求に対応可能な高エネルギー密度電池の有力候補として、リチウムイオン電池の開発が精力的に進められている。
第二の要求事項は、出力特性が高いことである。例えば、高効率エンジンと蓄電システムとの組み合わせ(例えば、ハイブリッド電気自動車)又は燃料電池と蓄電システムとの組み合わせ(例えば、燃料電池電気自動車)において、加速時には蓄電システムにおける高出力放電特性が要求されている。
現在、高出力蓄電デバイスとしては、電気二重層キャパシタ、ニッケル水素電池等が開発されている。
電気二重層キャパシタのうち、電極に活性炭を用いたものは、0.5〜1kW/L程度の出力特性を有する。この電気二重層キャパシタは、耐久性(サイクル特性及び高温保存特性)も高く、上記高出力が要求される分野で最適のデバイスと考えられてきた。しかし、そのエネルギー密度は1〜5Wh/L程度に過ぎない。そのため、更なるエネルギー密度の向上が必要である。
一方、現在ハイブリッド電気自動車で採用されているニッケル水素電池は、電気二重層キャパシタと同等の高出力を有し、かつ160Wh/L程度のエネルギー密度を有している。しかしながら、そのエネルギー密度及び出力をより一層高めるとともに、耐久性(特に、高温における安定性)を高めるための研究が精力的に進められている。
また、リチウムイオン電池においても、高出力化に向けての研究が進められている。例えば、放電深度(蓄電素子の放電容量の何%を放電した状態かを示す値)50%において3kW/Lを超える高出力が得られるリチウムイオン電池が開発されている。しかし、そのエネルギー密度は100Wh/L以下であり、リチウムイオン電池の最大の特徴である高エネルギー密度を敢えて抑制した設計となっている。また、その耐久性(サイクル特性及び高温保存特性)については、電気二重層キャパシタに比べ劣る。そのため、実用的な耐久性をリチウムイオン電池に持たせるためには、放電深度が0〜100%の範囲よりも狭い範囲での使用となる。実際に使用できる容量は更に小さくなるから、耐久性をより一層向上させるための研究が精力的に進められている。
上記のように高エネルギー密度、高出力特性及び耐久性を兼ね備えた蓄電素子の実用化が強く求められているが、上述した既存の蓄電素子には一長一短がある。そのため、これらの技術的要求を充足する新たな蓄電素子が求められている。その有力な候補として、リチウムイオンキャパシタと呼ばれる蓄電素子が注目され、開発が盛んに行われている。
キャパシタのエネルギーは1/2・C・V(ここで、Cは静電容量であり、かつVは電圧である)で表される。
リチウムイオンキャパシタは、リチウム塩を含む非水系電解液を使用する蓄電素子(非水系リチウム蓄電素子)の一種であって、正極においては約3V以上で電気二重層キャパシタと同様の陰イオンの吸着・脱着による非ファラデー反応、負極においてはリチウムイオン電池と同様のリチウムイオンの吸蔵・放出によるファラデー反応によって、充放電を行う蓄電素子である。
上述のように、正極・負極の双方において非ファラデー反応による充放電を行う電気二重層キャパシタにおいては、入出力特性に優れる(短時間に大電流を充放電できる)一方で、エネルギー密度が小さい難点がある。これに対して、正極・負極の双方においてファラデー反応による充放電を行う二次電池においては、エネルギー密度に優れる一方で、入出力特性に劣る難点がある。リチウムイオンキャパシタは、正極では非ファラデー反応、負極ではファラデー反応による充放電を行うことによって、優れた入出力特性と高いエネルギー密度との両立を狙う蓄電素子である。
上述のリチウムイオン電池では、負極上に電解液の還元分解による被膜が生成するためにリチウムイオンが消費され、このリチウムイオンの消費分を金属リチウムにより補填する方法が知られている。また、上述のリチウムイオンキャパシタでは、リチウム金属を予め負極にプレドープすることで優れた入出力特性と高いエネルギー密度の両立を実現している。このプレドープ方法としては、様々な方法が提案されているが、最も早く確実に負極活物質にリチウムイオンを供給する方法は、負極活物質層の表面に金属リチウムを貼り付け、非水電解液を注入することである。
この金属リチウムのプレドープ方法としては、例えば以下のようなものが提案されている。
特許文献1には、負極活物質層に金属リチウム箔を圧着し、プレドープする方法が提案されている。
特許文献2には、負極活物質層を金属リチウム箔で覆い、負極活物質層から露出した集電体部分に金属リチウム箔を接触させる方法が提案されている。
特許文献3には、負極活物質層の表面に金属リチウム箔をストライプ状、枠状、又は円盤状に貼り付ける方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の蓄電素子では、早く確実にリチウムイオンを負極活物質にプレドープすることが可能であるが、金属リチウムの溶け残りによる内部短絡の危険性については全く考慮されていないのである。
また、これらの非水系リチウム蓄電素子では、充電時に負極活物質中にリチウムイオンが挿入するが、特に高負荷充電時には前記挿入反応に追随できないリチウムイオンが金属リチウムとして析出してしまうという課題があった。
特許文献4には、負極の容量を正極の容量より小さくしたリチウムイオン電池において、負極活物質の固体Li−NMR測定における43ppm付近のピーク強度と266ppm付近のピーク強度の比率を制御することで、充電保存特性が良好になる方法が提案されている。
特許文献5には、負極活物質層の密度と、ラマンスペクトル測定における1580cm−1付近の最大ピークの半値幅及びピーク強度と、1360cm−1付近のピーク強度を制御することで、電極表面への金属リチウムの析出を抑制できる方法が提案されている。
特許文献6には、負極活物質として金属、半金属、又は酸化物のナノ粒子から成る多孔体を用いることで、リチウム金属の生成が抑制される方法が提案されている。
しかしながら、特許文献4〜6に記載の蓄電素子では、高負荷充電時における負極端部でのリチウムイオンの析出による内部短絡の危険性については全く考慮されていないのである。
また、これらの非水系リチウム蓄電素子では、充放電の繰り返しにより負極にプレドープされたリチウムイオンが電解液と反応してしまうため、徐々に失活してしまうという課題があった。
特許文献7には、負極活物質の表面にLiO等の無機化合物を含む膜を形成させて充放電サイクル特性を向上させる方法が提案されている。
特許文献8には、負極表面に保護膜としてLiOを用い、その上にリチウム膜を形成することで電池の高容量化とサイクル特性を向上させる方法が提案されている。
特許文献9には、負極炭素材料にLiO、LiN等のリチウム化合物を添加し、リチウムイオンとフッ酸との反応を抑制させることにより、充放電サイクル特性を向上させる方法が提案されている。
しかしながら、特許文献7〜9に記載の方法では、リチウム化合物を添加することに起因する抵抗上昇の抑制については全く考慮されていないのである。
特開2006−286218号公報 特開2011−243937号公報 特開2000−182671号公報 特開2001−143764号公報 特開2010−10082号公報 特開2002−8647号公報 特開2014−199791号公報 特開2003−162997号公報 特開平7−235297号公報
本発明は、以上の現状に鑑みてなされたものである。
従って、本発明が解決しようとする課題は、金属リチウムの溶け残りによる内部短絡の危険性を低減し、高負荷充放電サイクルにおける負極端部での金属リチウムの析出及び抵抗上昇を抑制し、高容量かつ出力特性の高い非水系リチウム蓄電素子を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた。その結果、負極活物質層の外部20%の面積領域よりも負極活物質層の内部80%の面積領域において、リチウムイオン濃度及び/又はLiNとLiOの少なくとも1つの濃度を高くすることで、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、この知見に基づいて為されたものである。
すなわち、本発明は、以下の通りのものである:
[1]
正極、負極及びセパレータから成る電極積層体と、リチウムイオン含有電解質を含む非水系電解液とを外装体に収納して成る非水系リチウム蓄電素子であって、
前記負極はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料を含み、かつ
前記負極中に含まれる負極活物質層の外部20%の面積領域よりも前記負極活物質層の内部80%の面積領域において、前記リチウムイオンの濃度及び/又はLiNとLiOの少なくとも1つの濃度が高い、前記非水系リチウム蓄電素子。
[2]
前記負極は、下記式:
0.40≦g/f≦0.90
{式中、fは、前記負極活物質層の厚み(μm)であり、かつgは、あまに油の吸油量から算出される前記負極の空隙量(cc/m)である}
で表される関係を満たす、[1]に記載の非水系リチウム蓄電素子。
[3]
前記負極上に金属リチウムが配置されており、かつ前記負極と前記金属リチウムは、下記式:
2.0≦abc/de≦4.0;及び
0.10≦d/c≦0.70
{式中、aは、前記負極の単位重量当たりの容量(Ah/g)であり、bは、前記負極の目付(g/m)であり、cは、前記負極の面積(m)であり、dは、前記金属リチウムの面積(m)であり、かつeは、前記金属リチウムの厚み(μm)である}
で表される関係を満たす、[1]又は[2]に記載の非水系リチウム蓄電素子。
[4]
前記金属リチウムは、15〜150μmの厚さを有し、かつ表面に炭素数10〜24の鎖状飽和炭化水素が配置されているリチウム箔である、[3]に記載の非水系リチウム蓄電素子。
[5]
前記炭素数10〜24の鎖状飽和炭化水素は、前記非水系電解液中に1〜1000ppmの比率で存在する、[4]に記載の非水系リチウム蓄電素子。
[6]
前記負極活物質層の外部20%の面積領域及び前記負極活物質層の内部80%の面積領域における固体Li−NMRスペクトルについて、ローレンツ曲線を仮定して波形分離した時に、−40〜70ppmの化学シフトの範囲に第1〜第3の3つのピークを有し、かつ前記負極活物質層の外部20%の面積領域における最も低磁場側のピークP1aと前記負極活物質層の内部80%の面積領域における最も低磁場側のピークP1bのピーク面積比P1a/P1bが、0.30以上0.95以下である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の非水系リチウム蓄電素子。
[7]
前記ピークP1aのピークトップが前記ピークP1bのピークトップより0.1ppm以上高磁場にある、[6]に記載の非水系リチウム蓄電素子。
[8]
前記固体Li−NMRスペクトルについて前記ローレンツ曲線を仮定して波形分離した時に、前記負極活物質層の外部20%の面積領域における最も高磁場側のピークP3aと前記負極活物質層の内部80%の面積領域における最も高磁場側のピークP3bのピーク面積比P3a/P3bが、0.30以上1.20以下である、[6]又は[7]に記載の非水系リチウム蓄電素子。
[9]
光電子分光分析法(XPS)の酸素1sスペクトルの分析において、前記負極活物質層の外部20%の面積領域におけるLiOのピーク面積強度C1aと前記負極活物質層の内部80%の面積領域におけるLiOのピーク面積強度C1bの比C1a/C1bが、0.001以上0.5以下である、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の非水系リチウム蓄電素子。
[10]
光電子分光分析法(XPS)の窒素1sスペクトルの分析において、前記負極活物質層の外部20%の面積領域におけるLiNのピーク面積強度C2aと、前記負極活物質層の内部80%の面積領域におけるLiNのピーク面積強度C2bの比C2a/C2bが、0.001以上0.5以下である、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の非水系リチウム蓄電素子。
[11]
前記負極活物質層の外部20%の面積領域における平均厚みTと前記負極活物質層の内部80%の面積領域における平均厚みTの比T/Tが、0.90以上0.98以下である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の非水系リチウム蓄電素子。
本発明によれば、金属リチウムの溶け残りによる内部短絡の危険性を低減し、高負荷充放電サイクルにおける負極端部での金属リチウムの析出を抑制し、高容量かつ出力特性の高い非水系リチウム蓄電素子が提供される。
図1は、本実施形態に係る非水系リチウム蓄電素子の一態様を示し、非水系リチウム蓄電素子の平面方向の模式図である。 図2は、非水系リチウム蓄電素子の厚み方向の模式図を示す。 図3は、電極積層体が積層体の場合の負極活物質層の内部80%の面積領域及び外部20%の面積領域を示す。 図4は、電極積層体が捲回積層体の場合の負極活物質層の内部80%の面積領域及び外部20%の面積領域を示す。 図5は、電極積層体が捲回積層体の場合の長尺方向の電極長さを示す図である。 図6は、実施例14で得られた負極活物質層の外部20%のサンプルの固体Li−NMRの測定結果である。 図7は、実施例14で得られた負極活物質層の内部80%のサンプルの固体Li−NMRの測定結果である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
リチウム蓄電素子は、一般に、正極、負極、セパレータ、電解液及び外装体を主な構成要素として含み、特に、電解液としてはリチウム塩を溶解させた有機溶媒(以下、非水系電解液という)を用いる。
<負極>
本実施形態に係る非水系リチウム蓄電素子用負極は、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた負極活物質を含む負極活物質層とを有する。
(負極活物質)
本実施形態における負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な物質を用いることができる。中でも、負極活物質としてグラファイト、難黒鉛化性炭素材料(ハードカーボン)または活性炭の表面に炭素質材料を被着させた複合多孔質炭素材料が好適に使用できる。複合多孔質炭素材料のBET比表面積は、100m/g以上350m/g以下であることが好ましい。このBET比表面積は、好ましくは150m/g以上300m/g以下である。BET比表面積が100m/g以上であれば、リチウムイオンのプレドープ量を十分大きくできるため負極活物質層を薄膜化することができる。また、BET比表面積が350m/g以下であれば、負極活物質層の塗工性に優れる。
リチウム金属を対極に用いて、複合多孔質炭素材料を含む負極とともに電気化学セルを形成して、測定温度25℃において、電流値0.5mA/cmで電圧値が0.01Vになるまで定電流充電を行った後、電流値が0.01mA/cmになるまで定電圧充電を行った時の初回の充電容量が、該複合炭素材料単位質量当たり700mAh/g以上1,600mAh/g以下であることが好ましい。より好ましくは、700mAh/g以上1,500mAh/g以下であり、更に好ましくは、740mAh/g以上1,450mAh/g以下である。初回の充電容量が700mAh/g以上であれば、リチウムイオンのプレドープ量を十分大きくできるため、負極活物質層を薄膜化した場合であっても、高い出力特性を有することができる。また、初回の充電容量が1,600mAh/g以下であれば、複合多孔質炭素材料にリチウムイオンをドープ・脱ドープさせる際の複合多孔質炭素材料の膨潤・収縮が小さくなり、負極の強度が保たれる。
なお、上述した負極活物質は、良好な内部抵抗値を得る観点から下記の条件(1)及び(2)を満たす複合多孔質材料であることが好ましい:
(1)BJH法で算出されたメソ孔量(直径が2nm以上50nm以下である細孔の量)Vm(cc/g)が、0.01≦Vm<0.10である。
(2)MP法で算出されたマイクロ孔量(直径が2nm未満である細孔の量)Vm(cc/g)が、0.01≦Vm<0.30である。
MP法とは、「t−プロット法」(B.C.Lippens,J.H.de Boer,J.Catalysis,4319(1965))を利用して、マイクロ孔容積、マイクロ孔面積、及びマイクロ孔の分布を求める方法を意味し、R.S.Mikhail,Brunauer,Bodorらにより考案された方法である(R.S.Mikhail,S.Brunauer,E.E.Bodor,J.Colloid InterfaceSci.,26,45 (1968))。
また、BJH法は一般的にメソ孔の解析に用いられる計算方法で、Barrett,Joyner,Halendaらにより提唱されたものである(E.P.Barrett, L.G.Joyner and P.Halenda, J.Am.Chem.Soc., 73, 373(1951))。
(負極活物質層のその他の成分)
負極活物質層には、必要に応じて、負極活物質の他に、導電性フィラー、バインダー等を添加することができる。
バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、ラテックス、アクリル重合体等を使用することができる。負極活物質層におけるバインダーの使用量は、負極活物質100質量部に対して、3〜25質量部が好ましく、5〜20質量部が更に好ましい。バインダーの量が3質量部未満の場合、負極の集電体と負極活物質層に十分な密着性を確保することができず、集電体と活物質層間の界面抵抗が上昇してしまう。一方、バインダーの量が25質量部より大きい場合には、負極の活物質表面をバインダーが過剰に覆ってしまい、活物質細孔内のイオンの拡散抵抗が上昇してしまう。
負極活物質層には、負極活物質及びバインダー以外に、必要に応じて、負極活物質よりも導電性の高い導電性炭素質材料から成る導電性フィラーを混合することができる。このような導電性フィラーとしては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、気相成長炭素繊維、黒鉛、カーボンナノチューブ、これらの混合物等が好ましい。負極活物質層における導電性フィラーの混合量は、負極活物質100質量部に対して、0〜20質量部が好ましく、1〜15質量部の範囲が更に好ましい。導電性フィラーは、高入力特性の観点から負極活物質と混合することが好ましいが、混合量が20質量部よりも多くなると、負極活物質層における負極活物質の含有量が少なくなるために、体積当たりのエネルギー密度が低下するので好ましくない。
(負極の成型)
非水系リチウム蓄電素子用負極は、既知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電極成型手法を利用して製造することが可能である。例えば、負極活物質及びバインダー、並びに必要に応じて使用される導電性フィラーを溶媒に分散させたスラリーを調製し、該スラリーを、負極集電体の片面又は両面に塗布して乾燥し、必要に応じてプレスする方法;溶媒を使用せずに、上記負極活物質及びバインダー、並びに必要に応じて使用される導電性フィラーを乾式で混合し、負極活物質層をプレス成型した後、導電性接着剤等を用いて負極集電体の片面又は両面に貼り付ける方法等により、非水系リチウム蓄電素子用負極を製造することができる。前者の方法における塗布方法としては、例えば、バーコート法、転写ロール法、Tダイ法、スクリーン印刷法等を挙げることができ、スラリーの物性及び所望の塗布厚に応じた塗布方法を適宜選択できる。後者の方法におけるプレス加工方法としては、特定の温度に設定されたロールによって負極活物質層を加熱しながら加圧する方法、加熱せずに加圧する方法等を挙げることができる。
(負極活物質層の内部80%の面積領域、及び外部20%の面積領域)
本実施形態に係る非水系リチウム蓄電素子において、負極中に含まれる負極活物質層の外部20%の面積領域よりも負極活物質層の内部80%の面積領域において、リチウムイオンの濃度及び/又はLiNとLiOの少なくとも1つの濃度が高い。
本明細書では、負極活物質層の内部x%の面積領域とは、原則として、負極活物質層が配置された電極を上面視した際、領域を区切る推定線が電極のいずれの端部にも交わることなく閉じられた領域を言うが、領域を区切る推定線が、対向する一対の電極端部と重なる場合には、負極活物質層の内部x%の面積領域は、連続する電極端部の最大3辺と重なる領域も含むものとする。
例えば、電極積層体が枚葉電極の積層体である場合には、上記定義に従えば、図3に示す通り、負極端部の各4辺からの長さが5%の位置を、負極活物質層(9)の外部20%の面積領域(11)として画定することができ、それにより、負極活物質層(9)の内部80%の面積領域(10)の外周部も定まる。また、電極積層体が捲回積層体である場合には、図4に例示したように、捲回中心軸に対して垂直方向から投影視した時の電極の長尺方向の長さがxの位置で捲回積層体を切断し、開放した電極を用いて内部80%の面積領域(10)、及び外部20%の面積領域(11)を画定する。図5に示されるように、切り出された捲回積層体の長尺方向の長さxは、切り出された捲回積層体を含む非水系リチウム蓄電素子の長尺方向の電極長さと概ね対応する。
本実施形態では、負極活物質層の特定の部分と他の部分におけるリチウムイオン濃度、LiN濃度又はLiO濃度の変化は、後述される固体Li−NMR測定、光電子分光分析法(XPS)又はプレドープ後の負極活物質層厚みにより確認されることができる。
負極活物質層の厚さは、好ましくは片面当たり20μm以上60μm以下であり、より好ましくは25μm以上50μm以下である。この厚さが20μm以上であれば、良好な充放電容量を発現することができる。他方、この厚さが60μm以下であれば、セル体積を縮小することによりエネルギー密度を高めることができる。なお、後述のように集電体に孔がある場合には、負極の活物質層の厚さとは、それぞれ、集電体の孔を有していない部分の片面当たりの厚さの平均値をいう。
負極集電体の材料としては、非水系リチウム蓄電素子を形成した時に、溶出、反応等の劣化が起こらない材料であれば特に制限はない。負極集電体の材料としては、例えば、銅等が挙げられる。負極集電体の形状は、金属箔又は金属の隙間に電極を形成可能である構造体を用いることができる。金属箔は、貫通孔を持たない通常の金属箔でもよいし、エキスパンドメタル、パンチングメタル、エッチング箔等の貫通孔を有する金属箔でもよい。負極集電体の厚みは、負極の形状又は強度を十分に保持できれば特に制限はないが、例えば、1〜100μmが好ましい。
負極活物質層の嵩密度は、好ましくは0.50g/cm以上1.2g/cm以下であり、更に好ましくは0.60g/cm以上1.0g/cm以下である。嵩密度が0.50g/cm以上であれば良好な強度を保つことができるとともに、活物質間の良好な導電性を発現することができる。また、1.2g/cm以下であれば活物質層内でイオンが良好に拡散できる空孔が確保できる。
本実施形態に係る負極は、下記式:
0.40≦g/f≦0.90
{式中、fは、負極活物質層の厚み(μm)であり、かつgは、あまに油の吸油量から算出される負極の空隙量(cc/m)である}
で表される関係を満たすことが好ましい。計算値g/fが0.40以上であればリチウムイオンが拡散する経路が十分に存在し、負極上に貼り付けられた金属リチウムの負極活物質へのプレドープが促進され、金属リチウムの溶け残りを防ぐことができる。計算値g/fが0.90以下であれば、高いエネルギー密度を発現でき、蓄電素子の小型化を達成できる。計算値g/fは、より好ましくは、0.45以上0.84以下である。
粒子中の吸油量は精製あまに油法(JIS5101−13−1)により測定することが可能であり、粒子中の空隙量を評価する方法として知られている。しかしながら、電極中のイオンの拡散を考慮した場合、粒子中のみならず、粒子間に形成された空隙がイオン伝導度つまりリチウムイオンのプレドープ速度と密接に関係があるため、電極の空隙量を評価するためには精製あまに油法は不十分であった。そのため、本発明者らは精製あまに油法を改良し、電極の空隙量を測定した。改良された精製あまに油法による電極の空隙量の測定方法を以下に説明する。
まず、十分に乾燥した負極を半径3.0cm以上の面積で円形状に切り出し、切り出した負極以上(10cm×10cm以上)の面積のガラス板または大理石板に負極を置く。負極の中央部に精製あまに油(ISO150に規定する酸価が5.0〜7.0mgKOH/gのもの)をビュレット(JIS R 305に規定する容量10mLのもの)から4、5滴ずつ徐々に滴下する。その都度パレットナイフ(先が細くなった鋼製の刃が付き、長さが140〜150mm、最大幅20〜25mm、最小幅 12.5mm 以上のもの)を用いて電極に精製あまに油を練り込む。これを繰り返し、負極端部から精製あまに油が漏れたところを終点とする。ビュレットの目盛の変化量から精製あまに油の吸油量[cc]を算出し、負極面積でこの値を除することで空隙量[cc/m]を算出することができる。上記測定を3回以上行い平均値として空隙量を算出する。
(金属リチウム箔)
負極にリチウムイオンをプレドープするために、負極上に金属リチウムを貼付けることができる。この金属リチウム付き負極に、リチウム塩を含む非水系電解液を含浸させると、負極活物質へのリチウムイオンのプレドープが開始し、負極中にリチウムイオンが広く拡散する。そのため、金属リチウムを負極上に貼付けるパターンとしては特に限定されず、矩形状、ストライプ状、円形状等に貼り付けることができる。金属リチウムの形状としては特に限定されず、箔状、棒状、粉体状のリチウムを使用することができる。
負極活物質の単位重量当たりにプレドープできるリチウムイオン量(単位重量当たり容量)は、各負極活物質に固有の値を持っている。そのため、負極にプレドープ可能なリチウムイオンの量には上限があり、この上限値を超えた場合には負極上に金属リチウムが溶け残ってしまう。また、負極に十分な量のリチウムイオンがプレドープされない場合には、放電または充電に使用できるリチウムイオンの量が不十分となり、非水系リチウム蓄電素子のエネルギー密度が低くなってしまう。更に、負極活物質の表面ではリチウムによる電解液の還元反応により固体電解質膜(SEI)が形成され、リチウムが消費される。つまり、負極に貼り付ける金属リチウムを非水系リチウム蓄電素子の負極の設計に合わせて選定する必要がある。
これに関連して、本実施形態では、負極と金属リチウムが、下記式:
2.0≦abc/de≦4.0
{式中、aは、負極の単位重量当たりの容量(Ah/g)であり、bは、負極の目付(g/m)であり、cは、負極の面積(m)であり、dは、金属リチウムの面積(m)であり、かつeは、金属リチウムの厚み(μm)である}
で表される関係を満たすことが好ましい。計算値abc/deが2.0以上の場合、金属リチウムの溶け残りを防止することができる。計算値abc/deが4.0以下の場合、高いエネルギー密度を実現することができる。計算値abc/deは、より好ましくは、2.10以上3.80以下である。負極の面積(c)及び金属リチウムの面積(d)は、いずれも厚み方向(すなわち、長手軸と横手軸から形成される面と概ね垂直な方向)から観察されたときの面積を意味する。
金属リチウムは任意の厚みのものを使用することができるが、厚み(e)が15μm以上150μm以下であることが好ましい。厚みが15μm以上の場合、金属リチウム箔のハンドリング性に優れる。厚みが150μm以下の場合、リチウムイオンの拡散に優れ、プレドープが促進される。
金属リチウムは厚さ15μm以上150μm以下のリール状の箔を切断し、負極に貼り付けることもできるし、厚さ100μm以上500μm以下のリール状の箔を切断し、圧延した後に負極に貼り付けることもできる。金属リチウムを圧延する方法も特に限定されず、金属リチウムを樹脂製のロールや表面をコーティングした金属ロールで圧延することもできるし、切断した金属リチウムを樹脂フィルムに挟み、金属製のロールや樹脂製のロールで圧延することもできる。表面をコーティングした金属ロールとしては特に限定されず、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)やセラミック、樹脂等を金属ロールにコーティングすることができる。圧延に使用する樹脂フィルムおよび樹脂ロールの材質としては特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ナイロン、テフロン(登録商標)、ポリアミド、ウレタン等を使用することができる。
金属リチウムを圧延する際、金属リチウムの表面に飽和炭化水素を塗布することが好ましい。飽和炭化水素としては特に限定されないが、金属リチウムと反応せず、かつ非水系リチウム蓄電素子中で他の構成要素と反応しないという観点から、鎖状飽和炭化水素を用いることが好ましい。更に好ましくは、炭素数が10〜24の鎖状飽和炭化水素を用いることが好ましい。炭素数が10以上であれば揮発性が低く、圧延後の金属リチウム箔の表面に鎖状飽和炭化水素の油膜が形成されるために安定性が高い。炭素数が24以下であれば、粘度が高いために金属リチウム表面の鎖状飽和炭化水素の油膜が保持されるために、金属リチウムと基材との圧着を抑制することができる。
リチウムイオンは負極活物質層中のリチウムイオン濃度勾配に従い拡散されるため、負極活物質層中に十分な量の電解液が含浸された場合に、リチウムイオンのプレドープが効率良く進行する。負極活物質中にリチウムオンをプレドープさせるために負極上に金属リチウムを貼り付けるが、電解液は金属リチウムを透過することができないため、負極面積に対して金属リチウムの面積が小さい方が電解液を効率良く含浸させることができる。
一方、金属リチウムを貼り付けた部位からリチウムイオンが負極中に拡散するが、負極面積に対して貼り付ける金属リチウムの面積比率を大きくすることで、プレドープが終了するまでの時間を短くすることができる。
以上を鑑みて、負極と金属リチウムは、下記式:
0.10≦d/c≦0.70
{式中、cは、負極の面積(m)であり、かつdは、金属リチウムの面積(m)である}
で表される関係を満たすことが好ましく、2.0≦abc/de≦4.0と0.10≦d/c≦0.70の両方の関係を満たすことがより好ましい。負極と金属リチウムの面積比d/cが0.10以上の場合、負極中に効率良くリチウムイオンを拡散させることができる。面積比d/cが0.70以下の場合、負極活物質層中に電解液を十分に含浸させることができる。
また、表面にC10〜24鎖状飽和炭化水素が配置されているリチウム箔を圧延してから負極に適用することにより得られた金属リチウム付き負極を含む非水系リチウム蓄電素子を作製したときには、上記で説明された観点から、C10〜24鎖状飽和炭化水素は、作製された非水系リチウム蓄電素子の非水系電解液中に1〜1000ppmの比率で存在することが好ましい。
<正極>
正極は、正極集電体上に正極活物質を形成することによって作製される。正極集電体としては、金属箔が主に利用され、特にアルミニウム箔が好適に利用される。正極活物質層は正極活物質を含有し、必要に応じてバインダー又は導電性フィラーが含有される。正極活物質としては、活性炭などの多孔性の炭素質材料、又はLiCoOなどのリチウム含有遷移金属酸化物を用いることができる。
活性炭を正極活物質として用いる際には、活性炭の種類及びその原料には特に制限はない。しかし、高い入出力特性と、高いエネルギー密度とを両立させるために、活性炭の細孔を最適に制御することが好ましい。具体的には、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV(cc/g)とするとき:
(1)高い入出力特性のためには、0.3<V≦0.8、及び0.5≦V≦1.0を満たし、かつ、BET法により測定される比表面積が1,500m/g以上3,000m/g以下である活性炭(以下、「活性炭1」ともいう。)が好ましく、また、
(2)高いエネルギー密度を得るためには、0.8<V≦2.5、及び0.8<V≦3.0を満たし、かつ、BET法により測定される比表面積が3,000m/g以上4,000m/g以下である活性炭(以下、「活性炭2」ともいう。)が好ましい。
以下、上記(1)の活性炭1及び上記(2)の活性炭2を個別に順次説明していく。
(活性炭1)
活性炭1のメソ孔量Vは、正極材料を蓄電素子に組み込んだときの入出力特性を大きくする点で、0.3cc/gより大きい値であることが好ましく、正極の嵩密度の低下を抑える点から、0.8cc/g以下であることが好ましい。上記Vは、より好ましくは0.35cc/g以上0.7cc/g以下、更に好ましくは0.4cc/g以上0.6cc/g以下である。
他方、活性炭1のマイクロ孔量Vは、活性炭の比表面積を大きくし、容量を増加させるために、0.5cc/g以上であることが好ましく、活性炭の嵩を抑え、電極としての密度を増加させ、単位体積当たりの容量を増加させるという点から、1.0cc/g以下であることが好ましい。上記Vは、より好ましくは0.6cc/g以上1.0cc/g以下、更に好ましくは0.8cc/g以上1.0cc/g以下である。
活性炭1については、マイクロ孔量Vに対するメソ孔量Vの比(V/V)が、0.3≦V/V≦0.9の範囲であることが好ましい。すなわち、高容量を維持しながら出力特性の低下を抑えることができる程度に、マイクロ孔量に対するメソ孔量の割合を大きくするという点から、V/Vが0.3以上であることが好ましく、高出力特性を維持しながら容量の低下を抑えることができる程度に、メソ孔量に対するマイクロ孔量の割合を大きくするという点から、V/Vは0.9以下であることが好ましい。より好ましいV/Vの範囲は0.4≦V/V≦0.7、更に好ましいV/Vの範囲は0.55≦V/V≦0.7である。
活性炭1の平均細孔径は、出力を最大にする点から、17Å以上であることが好ましく、18Å以上であることがより好ましく、20Å以上であることが最も好ましい。また容量を最大にする点から、活性炭1の平均細孔径は25Å以下であることが好ましい。
活性炭1のBET比表面積は、1,500m/g以上3,000m/g以下であることが好ましく、1,500m/g以上2,500m/g以下であることがより好ましい。BET比表面積が1,500m/g以上である場合には、良好なエネルギー密度が得られ易く、他方、BET比表面積が3,000m/g以下の場合には、電極の強度を保つためにバインダーを多量に入れる必要がないので、電極体積当たりの性能が高くなる。
上記のような特徴を有する活性炭1は、例えば、以下に説明する原料及び処理方法を用いて得ることができる。
本実施形態では、活性炭1の原料として用いられる炭素源としては、特に限定されるものではないが、例えば、木材、木粉、ヤシ殻、パルプ製造時の副産物、バガス、廃糖蜜等の植物系原料;泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭、石油蒸留残渣成分、石油ピッチ、コークス、コールタール等の化石系原料;フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂、セルロイド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の各種合成樹脂;ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等の合成ゴム;その他の合成木材、合成パルプ等、及びこれらの炭化物が挙げられる。これらの原料の中でも、量産対応及びコストの観点から、ヤシ殻、木粉等の植物系原料、及びそれらの炭化物が好ましく、ヤシ殻炭化物が特に好ましい。
これらの原料から上記活性炭1を得るための炭化及び賦活の方式としては、例えば、固定床方式、移動床方式、流動床方式、スラリー方式、ロータリーキルン方式等の既知の方式を採用できる。
これらの原料の炭化方法としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、一酸化炭素、燃焼排ガス等の不活性ガス、又はこれらの不活性ガスを主成分とした他のガスとの混合ガスを使用して、400〜700℃(好ましくは450〜600℃)程度で30分〜10時間程度に亘って焼成する方法が挙げられる。
上記炭化方法により得られた炭化物の賦活方法としては、水蒸気、二酸化炭素、酸素等の賦活ガスを用いて焼成するガス賦活法が好ましく用いられる。これらのうち、賦活ガスとして、水蒸気又は二酸化炭素を使用する方法が好ましい。
この賦活方法では、賦活ガスを0.5〜3.0kg/h(好ましくは0.7〜2.0kg/h)の割合で供給しながら、上記炭化物を3〜12時間(好ましくは5〜11時間、更に好ましくは6〜10時間)掛けて800〜1,000℃まで昇温して賦活することが好ましい。
更に、上記炭化物の賦活処理に先立ち、予め上記炭化物を1次賦活してもよい。この1次賦活では、通常、水蒸気、二酸化炭素、酸素等の賦活ガスを用いて、炭素材料を900℃未満の温度で焼成してガス賦活する方法が、好ましく採用できる。
上記炭化方法における焼成温度及び焼成時間と、上記賦活方法における賦活ガス供給量、昇温速度及び最高賦活温度とを適宜組み合わせることにより、本実施形態において使用でき、かつ上記の特徴を有する活性炭1を製造することができる。
活性炭1の平均粒径は、1〜20μmであることが好ましい。
活性炭1の平均粒径が1μm以上であると、活物質層の密度が高いために電極体積当たりの容量が高くなる傾向がある。ここで、平均粒径が小さいと耐久性が低いという欠点を招来する場合があるが、平均粒径が1μm以上であれば、そのような欠点が生じ難い。一方で、活性炭1の平均粒径が20μm以下であると、高速充放電には適合し易くなる傾向がある。活性炭1の平均粒径は、より好ましくは2〜15μmであり、更に好ましくは3〜10μmである。
(活性炭2)
活性炭2のメソ孔量Vは、正極材料を蓄電素子に組み込んだときの出力特性を大きくする観点から、0.8cc/gより大きいことが好ましく、蓄電素子の容量の低下を抑える観点から、2.5cc/g以下であることが好ましい。上記Vは、より好ましくは1.00cc/g以上2.0cc/g以下、さらに好ましくは1.2cc/g以上1.8cc/g以下である。
他方、活性炭2のマイクロ孔量Vは、活性炭の比表面積を大きくし、容量を増加させるために、0.8cc/gより大きいことが好ましく、活性炭の電極としての密度を増加させ、単位体積当たりの容量を増加させるという観点から、3.0cc/g以下であることが好ましい。上記Vは、より好ましくは、1.0cc/gを超え、かつ2.5cc/g以下であり、更に好ましくは1.5cc/g以上2.5cc/g以下である。
上述したメソ孔量及びマイクロ孔量を有する活性炭2は、従来の電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ用として使用されていた活性炭よりもBET比表面積が高いものとなる。活性炭2の具体的なBET比表面積の値としては、3,000m/g以上4,000m/g以下であることが好ましく、3,200m/g以上3,800m/g以下であることがより好ましい。BET比表面積が3,000m/g以上である場合には、良好なエネルギー密度が得られ易く、他方、BET比表面積が4,000m/g以下の場合には、電極の強度を保つためにバインダーを多量に入れる必要がないので、電極体積当たりの性能が高くなる。
上記のような特徴を有する活性炭2は、例えば以下に説明するような原料及び処理方法
を用いて得ることができる。
活性炭2の原料として用いられる炭素質材料としては、通常活性炭原料として用いられる炭素源であれば特に限定されるものではなく、例えば、木材、木粉、ヤシ殻等の植物系原料;石油ピッチ、コークス等の化石系原料;フェノール樹脂、フラン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂等の各種合成樹脂等が挙げられる。これらの原料の中でも、フェノール樹脂、及びフラン樹脂は、高比表面積の活性炭を作製するのに適しており、特に好ましい。
これらの原料を炭化する方式、又は賦活処理時の加熱方法としては、例えば、固定床方式、移動床方式、流動床方式、スラリー方式、ロータリーキルン方式等の公知の方式が挙げられる。加熱時の雰囲気は窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス、又はこれらの不活性ガスを主成分として他のガスとの混合したガスが用いられる。炭化温度は400〜700℃程度で0.5〜10時間程度焼成する方法が一般的である。
炭化物の賦活方法としては、水蒸気、二酸化炭素、酸素等の賦活ガスを用いて焼成するガス賦活法、及びアルカリ金属化合物と混合した後に加熱処理を行うアルカリ金属賦活方があるが、高比表面積の活性炭を作製するにはアルカリ金属賦活法が好ましい。
この賦活方法では、炭化物とKOH、NaOH等のアルカリ金属化合物との質量比が1:1以上(すなわち、アルカリ金属化合物の質量が、炭化物の質量と同じか、又は多い。)となるように混合した後に、不活性ガス雰囲気下で600〜900℃の範囲で、0.5〜5時間加熱を行い、その後アルカリ金属化合物を酸及び水により洗浄除去し、更に乾燥を行う。
賦活する際に炭化物の量を多めにしてKOHと混合することにより、マイクロ孔量を大きくし、メソ孔量を大きくしないことができる。賦活する際にKOHの量を多めにして炭化物と混合することにより、マイクロ孔量及びメソ孔量の双方を大きくすることができる。また、主としてメソ孔量を大きくするためには、アルカリ賦活処理を行った後に水蒸気賦活を行うことが好ましい。
活性炭2の平均粒径は、1μm以上30μm以下であることが好ましく、2μm以上20μm以下であることがより好ましい。
(活性炭の使用態様)
活性炭1及び2は、それぞれ、1種の活性炭であってもよいし、2種以上の活性炭の混合物であって上記した各々の特性値を混合物全体として示すものであってもよい。
正極活物質は、活性炭1及び2以外の材料、例えば、前記特定のV及び/若しくはVを有さない活性炭、又は活性炭以外の材料(例えば、リチウムと遷移金属との複合酸化物等)を含んでもよい。上記で例示された態様において、活性炭1の含有量、活性炭2の含有量、又は活性炭1及び2の合計含有量が、それぞれ、全正極活物質の50質量%より多いことが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
(正極活物質層のその他の成分)
正極活物質層には、必要に応じて、正極活物質の他に、導電性フィラー、バインダー等を添加することができる。
バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、ラテックス、アクリル重合体等を使用することができる。正極活物質層におけるバインダーの使用量は、正極活物質100質量部に対して、3〜20質量部が好ましく、5〜15質量部が更に好ましい。バインダーの含有量が3質量部未満である場合、正極の集電体と正極活物質層に十分な密着性を確保することができず、集電体と活物質層間の界面抵抗が上昇してしまう。一方、バインダーの含有量が20質量部より大きい場合には、正極の活物質表面をバインダーが過剰に覆ってしまい、活物質細孔内のイオンの拡散抵抗が上昇してしまう。
本実施形態で使用される正極活物質層には、活性炭及びバインダー以外に、必要に応じて、正極活物質よりも導電性の高い導電性炭素質材料から成る導電性フィラーを混合することができる。このような導電性フィラーとしては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、気相成長炭素繊維、黒鉛、カーボンナノチューブ、これらの混合物等が好ましい。正極活物質層における導電性フィラーの混合量は、正極活物質100質量部に対して、0〜20質量部が好ましく、1〜15質量部の範囲がより好ましい。高入力特性の観点からは導電性フィラーを混合することが好ましいのに対して、その混合量が20質量部よりも多くなると、正極活物質層における正極活物質の含有量が少なくなるために、体積当たりのエネルギー密度が低下するので好ましくない。
(正極の成型)
非水系リチウム蓄電素子用正極は、既知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電極成型手法を利用して製造することが可能である。例えば、正極活物質及びバインダー、並びに必要に応じて使用される導電性フィラーを溶媒に分散させたスラリーを調製し、該スラリーを、正極集電体の片面又は両面に塗布して乾燥し、必要に応じてプレスする方法;溶媒を使用せずに、上記正極活物質及びバインダー、並びに必要に応じて使用される導電性フィラーを乾式で混合し、正極活物質層をプレス成型した後、導電性接着剤等を用いて正極集電体の片面又は両面に貼り付ける方法等により、非水系リチウム蓄電素子用正極を製造することができる。前者の方法における塗布方法としては、例えば、バーコート法、転写ロール法、Tダイ法、スクリーン印刷法等を挙げることができ、スラリーの物性及び所望の塗布厚に応じた塗布方法を適宜選択できる。後者の方法におけるプレス加工方法としては、特定の温度に設定されたロールによって正極活物質層を加熱しながら加圧する方法、加熱せずに加圧する方法等を挙げることができる。
正極活物質層の厚さは、集電体の片面当たり20μm〜200μm程度であることが好ましい。正極活物質層の厚さは、より好ましくは、片面当たり25μm以上100μm以下であり、更に好ましくは30μm以上80μm以下である。この厚さが20μm以上であれば、十分な充放電容量を発現することができる。他方、この厚さが200μm以下であれば、電極内のイオン拡散抵抗を下げることができるから、十分な出力特性が得られ、かつセル体積を縮小することによってエネルギー密度を高めることができる。
なお、集電体に孔がある場合、正極活物質層の厚さとは、集電体の孔を有していない部分の片面当たりの厚さの平均値をいう。この場合、孔としては、例えば、パンチングメタルの貫通孔部分、エキスパンドメタル、エッチング箔等の開孔部分等が挙げられる。
正極集電体の材料としては、非水系リチウム蓄電素子にした時に、溶出、反応等の劣化が起こらない材料であれば特に制限はない。正極集電体の材料としては、例えば、アルミニウム等が挙げられる。正極集電体の形状は、金属箔又は金属の隙間に電極を形成可能である構造体を用いることができる。上記金属箔としては、貫通孔を持たない通常の金属箔でもよいし、エキスパンドメタル、パンチングメタル、エッチング箔等の貫通孔を有する金属箔でもよい。正極集電体の厚みは、正極の形状又は強度を十分に保持できれば特に制限はないが、例えば、1〜100μmが好ましい。
正極活物質層の嵩密度は、0.40g/cm以上であることが好ましく、より好ましくは0.45g/cm以上1.0g/cm以下である。正極活物質層の嵩密度が0.40g/cm以上であれば、高いエネルギー密度を発現でき、蓄電素子の小型化を達成できる。また、この嵩密度が1.0g/cm以下であれば、正極活物質層内の空隙における電解液の拡散が十分となり、高い出力特性が得られる。
<非水系リチウム蓄電素子>
本実施態様に係る非水系リチウム蓄電素子は、上記のように成型された正極及び負極、並びにセパレータから成る電極積層体と、リチウムイオン含有電解質を含む非水電解液とを外装体に収納して成る。
図1は、本実施形態に係る非水系リチウム蓄電素子の平面方向の模式図であり、図2は、その厚み方向の模式図である。図1で示される蓄電素子は、正極端子(1)と負極端子(2)とが、電極積層体(4)の端部より導出される態様である。図1及び2に示されるように、電極積層体(4)は、正極及び負極を、セパレータ(7)を介して積層又は捲回積層して成る積層体である。本実施態様に係る非水系リチウム蓄電素子は、この電極積層体(4)を、外装体(3)に収納し、更に外装体(3)内に非水系電解液(図示せず)を注入し、注入口を封口することにより、製造されることができる。
本実施形態に係る非水系リチウム蓄電素子は、好ましくはリチウムイオン電池又はリチウムイオンキャパシタとして、より好ましくはリチウムイオンキャパシタとして使用される。
<セパレータ>
本実施形態では、セパレータとして、リチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜若しくはポリプロピレン製の微多孔膜、又は電気二重層キャパシタで用いられるセルロース製の不織紙等を用いることができる。
セパレータの厚みは10μm以上50μm以下が好ましい。10μm以上の厚みにおいて、内部のマイクロショートによる自己放電が小さくなる傾向があるため好ましい。他方、50μm以下の厚みにおいて、非水系リチウム蓄電素子の出力特性が高くなる傾向があるため好ましい。
<非水系電解液>
本実施形態に係る非水系リチウム蓄電素子に用いられる非水系電解液は、リチウムイオン含有電解質塩を含有する非水系液体である。非水系液体は、溶媒として有機溶媒を含んでいることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)等に代表される環状炭酸エステル;炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(MEC)等に代表される鎖状炭酸エステル;γ−ブチロラクトン(γBL)等のラクトン類等、及びこれらの混合溶媒を用いることができる。
非水系液体に溶解するリチウムイオン含有電解質塩としては、例えば、LiFSI、LiBF、LiPF等を用いることができる。電解液における電解質塩濃度は、0.5〜2.0mol/Lの範囲内であることが好ましい。0.5mol/L以上の電解質塩濃度では、アニオンが十分に存在し、非水系リチウム蓄電素子の容量が維持される。一方で、2.0mol/L以下の電解質塩濃度では、塩が電解液中で十分に溶解し、電解液の適切な粘度及び伝導度が保たれる。
<外装体>
外装体としては、金属缶、ラミネートフィルム等を使用できる。金属缶としては、アルミニウム製のものが好ましい。ラミネートフィルムとしては、金属箔と樹脂フィルムとを積層したフィルムが好ましく、[外層としての樹脂フィルム/金属箔/内層としての樹脂フィルム]から成る3層構成のものが例示される。外層としての樹脂フィルムは、接触等により金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロン又はポリエステル等の樹脂が好適に使用できる。金属箔は水分及びガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等の箔が好適に使用できる。また、内層としての樹脂フィルムは、ラミネートフィルムの内部に収納する電解液から金属箔を保護するとともに、外装体のヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン、酸変成ポリオレフィン等が好適に使用できる。
<固体Li−NMRの測定>
本明細書において、負極活物質層のサンプル調製、固体Li−NMR測定、該測定により得られるNMRスペクトルからのピーク分離は以下の方法により行うことができる。
[サンプルの調製]
電圧を3.8Vに調整した非水系リチウム蓄電素子をアルゴンボックス内で解体して負極を取り出し、前記負極が十分に浸る量のジエチルカーボネートに5分以上浸漬させ、その後アルゴンボックス内で風乾させる。得られた負極端部の4辺それぞれから約5%内側の位置で切断し、負極の中央部を負極活物質層の内部80%のサンプル、負極の端部を負極活物質層の外部20%のサンプルとして採取する。
なお、電極積層体が捲回積層体である場合には、上記と同様の方法にてアルゴンボックス内で負極を取り出した後、長尺方向に伸びた負極を、図4に示されるように、電極積層体の投影図における電極長さxの長さに切り取り、ジエチルカーボネートに5分以上浸漬させ、その後風乾させる。得られた負極に対し、幅方向の両端部から約5%の位置で切断する。切断した外側(負極活物質層端部)のサンプルを負極活物質層の外部20%のサンプルとし、内側(負極活物質層内部)のサンプルを負極活物質層の内部80%のサンプルとする。上記のように切断して得られた負極から活物質を採取し、固体Li−NMR測定用のサンプルを調製する。
[固体Li−NMRの測定]
固体Li−NMRの測定装置としては、市販の装置を用いることができる。本明細書においては、室温環境下において、マジックアングルスピニングの回転数を14.5khzとし、照射パルス幅を45°パルスとして、シングルパルス法にて測定した。シフト基準品として1mol/L塩化リチウム水溶液を用い、そのシフト位置を、外部標準品として別途測定したときに0ppmとなるように調整した。塩化リチウム水溶液の測定時には試料を回転させず、照射パルス幅を45°パルスとして、シングルパルス法にて測定した。
[NMRスペクトルのピーク分離]
上記の方法によって得られた負極活物質層の固体Li−NMRスペクトルについて、ローレンツ曲線を仮定して3つのピークに分離する。ここで、−40〜70ppmの化学シフトの範囲内において、低磁場側から順に第1〜第3ピーク(P、P、P)とし、各ピークのピークトップの位置及びピーク面積を求める。
非水系リチウム蓄電素子では、そのエネルギー密度を高めるために負極中のリチウムドープ密度を高めること、つまり、負極活物質層の固体Li−NMRスペクトルから得られる第1ピークPをより低磁場側かつピーク面積を大きくすることが好ましいが、高負荷充放電サイクルにおいては金属リチウムが析出する可能性が高まる。特に、正負極の電極端部では電流が集中するため、負極の電極端部ではリチウムイオンが負活物質への急速な挿入、脱離反応に追従できずに金属リチウムとして析出してしまう。
そのため、負極電極端部のリチウムドープ密度を下げること、つまり、負極活物質層の外部の第1ピークP1aを、負極活物質層の内部の第1ピークP1bよりも高磁場側かつ小さいピーク面積になるように設計することによって、高負荷充放電サイクルにおける金属リチウムの析出を抑制することができる。特に、ピーク面積比P1a/P1bを0.30以上0.95以下に制御することによって、高容量であり、かつ負極の活物質層端部での金属リチウムの析出を抑制できる非水系リチウム蓄電素子が得られる。ピーク面積比P1a/P1bが0.30以上であれば、負極活物質層端部にも十分な量のリチウムイオンがプレドープされているために高容量な非水系リチウム蓄電素子が得られ、ピーク面積比P1a/P1bが0.95以下であれば、高負荷充放電サイクルにおいて、負極活物質層端部での電流集中による過電圧を緩和できるために金属リチウムの析出を抑制することができる。ピーク面積比P1a/P1bは、より好ましくは0.35以上0.91以下である。
負極電極端部のリチウムドープ密度を下げるという観点から、負極活物質層の外部20%の面積領域における第1ピークP1aのトップは、負極活物質層の内部80%の面積領域における第1ピークP1bのトップよりも0.1ppm以上高磁場側に位置するように設計されていることが好ましい。同じ観点から、負極活物質層の外部20%の面積領域における第3ピークP3aと負極活物質層の内部80%の面積領域における第3ピークP3bのピーク面積比P3a/P3bは、0.30以上1.20以下の範囲内にあるように設計されていることが好ましい。
(リチウム化合物)
非水系リチウム蓄電素子を充放電する際、電解液中のリチウムイオンは充放電に伴い移動し、活物質と反応する。活物質へのイオンの挿入反応と脱離反応の活性化エネルギーがそれぞれ異なるため、特に充放電の負荷が大きいサイクルの場合、リチウムイオンは充放電の変化に追従できず、活物質中に蓄積されてしまう。その結果、バルク電解液中の電解質濃度が低下するため、非水系リチウム蓄電素子の抵抗が上昇してしまう。
電極端部では、その外周に余剰液として十分な量の電解液が存在しているため、高負荷充放電サイクルにおける電解質の濃度低下を抑制でき、抵抗が上昇し難い。一方、電極中央部では電解質の濃度低下による影響を大きく受けるため、抵抗が上昇し易い。負極中央部に酸化リチウム(LiO)、窒化リチウム(LiN)等のリチウム化合物を保持させることにより、高負荷充放電サイクル中にリチウム化合物が分解して電解質の濃度低下を抑制できるため、抵抗の上昇を抑制することができる。しかしながら、リチウム化合物が負極活物質表面に存在すると、リチウムイオンと負極活物質間のイオン伝導を阻害するため、負極全体にリチウム化合物を保持させてしまうと、非水系リチウム蓄電素子の出力特性が低下してしまう。そのため、負極中央部のみにリチウム化合物が存在することが好ましい。
具体的には、光電子分光分析法(XPS)の酸素1sスペクトルの分析において、負極活物質層の外部20%の面積領域におけるLiOのピーク面積強度C1aと、負極活物質層の内部80%の面積領域におけるLiOのピーク面積強度C1bの比C1a/C1bが0.001以上0.5以下であり、かつ/又は光電子分光分析法(XPS)の窒素1sスペクトルの分析において、負極活物質層の外部20%の面積領域におけるLiNのピーク面積強度C2aと、前記負極活物質層の内部80%の面積領域におけるLiNのピーク面積強度C2bの比C2a/C2bが0.001以上0.5以下であることによって、高出力であり、かつ高負荷充放電サイクルでの抵抗上昇が小さい非水系リチウム蓄電素子を作製することができる。C1a/C1b及び/又はC2a/C2bが0.001以上であれば、高負荷充放電サイクル特性を向上させることができる。C1a/C1b及び/又はC2a/C2bが0.5以下であれば、非水系リチウム蓄電素子の出力特性を向上させることができる。
1a/C1bは、より好ましくは0.006以上0.33以下である。
2a/C2bは、より好ましくは0.011以上0.46以下である。
負極上にLiO及び/又はLiNを生成する方法としては、特に限定されないが、上述の様に、負極に金属リチウムを貼り付けた後、大気圧露点温度−10℃以下の乾燥空気中で1時間以上静置することにより、負極活物質に圧着されて活性化された金属リチウムの表面と、空気中の酸素及び/又は窒素が反応して、負極上にLiO及び/又はLiNを生成させることができる。この場合、上記で説明した通り、金属リチウムと負極の面積比d/cが0.10以上0.70以下になるように、負極の中央部に金属リチウムを貼り付けることで、電極端部でのLiO及び/又はLiNの生成を抑制することができる。
[XPSの測定]
XPSの測定装置としては、市販の装置を用いることができる。上述の様に負極活物質層の外部20%のサンプル、及び内部80%のサンプルを採取することができる。得られたサンプルそれぞれに対しXPSによる測定を行い、炭素[C]、窒素[N]、酸素[O]、フッ素[F]、硫黄[S]、リン[P]、リチウム[Li]の相対元素濃度(atomic%)を求める。続いて、酸素1sスペクトルのピーク面積強度が、前記相対元素濃度に比例するようにして負極活物質層の外部20%のサンプルと、内部80%のサンプルのスペクトルとを重ね合わせ、528eV付近に現れるLiOのピーク面積強度比からC1a/C1bを求めることができる。また、窒素1sスペクトルのピーク面積強度が、前記相対元素濃度に比例するようにして負極活物質層の外部20%のサンプルと、内部80%のサンプルのスペクトルとを重ね合わせ、398eV付近に現れるLiNのピーク面積強度比からC2a/C2bを求めることができる。
(プレドープ終了後の負極活物質層厚み)
負極活物質にリチウムイオンがプレドープされると、負極活物質内の炭素網面内にリチウムイオンが挿入されるため、負極活物質の体積が膨張する。この現象を利用することで、負極中央部の厚みと負極端部の活物質層厚みを調整することができる。
上述の通り、高負荷充放電サイクルにおいて電極中央部ではバルク電解液中の電解質濃度が低下し、抵抗が上昇し易い。そのため、負極端部の厚みを中央部の厚みより薄くすることで、電極端部における電解液保液量を増やし、電極中央部への電解液拡散を促すことで、高負荷充放電サイクル特性が向上する。
具体的には、負極活物質層の外部20%の面積領域における平均厚みTと、負極活物質層の内部80%の面積領域における平均厚みTとの比T/Tが、0.90以上0.98以下になるように、負極活物質にリチウムイオンをプレドープさせることで、負極端部での金属リチウムの析出を抑制できる非水系リチウム蓄電素子が得られる。T/Tが0.90以上であれば非水系リチウム蓄電素子のエネルギー密度を高めることができる。T/Tが0.98以下であれば、高負荷充放電サイクル特性を向上させることができる。
負極中央部の厚みを負極端部より厚くする方法としては、特に限定されないが、上述のとおりに金属リチウムと負極の面積比d/cが0.10以上0.70以下になるように、負極の中央部に金属リチウムを貼り付けることで、リチウムイオンのプレドープ終了後に負極中央部と負極端部の活物質層厚みを調整することができる。
<非水系リチウム蓄電素子の製造方法>
以下の工程を含む非水系リチウム蓄電素子の製造方法も本発明の一態様である:
(a)リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料を含む負極に金属リチウムを適用して、金属リチウム付き負極を得る負極準備工程;
(b)単数又は複数の金属リチウム付き負極と単数又は複数の正極とを、単数又は複数のセパレータを介して積層又は捲回して、電極積層体を得る電極積層工程;
(c)電極積層体に正極端子、及び負極端子を溶接して、端子付き電極積層体を得る溶接工程;
(d)端子付き電極積層体を外装体に収納し、外装体内に非水系電解液を注入し、外装体の注入口を封口して、非水系リチウム蓄電素子の前駆体を得る組立工程;及び
(e)前駆体を保管して、リチウムイオンのプレドープを行うことにより、負極中に含まれる負極活物質層の外部20%の面積領域よりも負極活物質層の内部80%の面積領域においてリチウムイオン濃度及び/又はLiNとLiOの少なくとも1つの濃度が高い非水系リチウム蓄電素子を得るプレドープ工程。
工程(a)〜(e)で使用される各材料は、上記で説明された通りである。
工程(a)は、特定の寸法を有する負極の片面又は両面に、特定の寸法を有する金属リチウムを圧着し、静置することにより行われることができる。工程(a)で使用される金属リチウムは、圧延されているか、かつ/又は表面にC10〜24鎖状飽和炭化水素が塗布されていることが好ましい。
工程(e)で得られる非水系リチウム蓄電素子について、負極中に含まれる負極活物質層の外部20%の面積領域よりも負極活物質層の内部80%の面積領域においてリチウムイオン濃度及び/又はLiNとLiOの少なくとも1つの濃度が高くなるように制御される限り、工程(a)では、負極への金属リチウムの適用を任意の方法で行なってよい。
工程(b)〜(e)は、本技術分野で既知の方法により行なわれることができる。工程(e)では、負極活物質層の特定の部分と他の部分におけるリチウムイオン濃度、LiN濃度又はLiO濃度の変化を、上記で説明された固体Li−NMR測定、光電子分光分析法(XPS)又はプレドープ後の負極活物質層厚みにより確認してよい。
工程(a)〜(e)を含む非水系リチウム蓄電素子の製造方法は、リチウムイオンのプレドープ後に金属リチウムの溶け残りによる内部短絡の危険性を低減し、高負荷充放電サイクルにおける負極端部での金属リチウムの析出を抑制し、高容量かつ出力特性の高い非水系リチウム蓄電素子を提供するうえで有効である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明の特徴とするところを更に明確にするが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
[正極の作製]
フェノール樹脂について、窒素雰囲気下、焼成炉中600℃において2時間の炭化処理を行った後、ボールミルで粉砕し、分級して平均粒径7μmの炭化物を得た。得られた炭化物とKOHとを、質量比1:4.3で混合し、窒素雰囲下、焼成炉中800℃において1時間加熱して賦活化を行った。その後、濃度2mol/Lに調整した希塩酸中で、賦活化された炭化物を1時間撹拌洗浄し、さらに蒸留水でpH5〜6の間で安定するまで煮沸洗浄した後に乾燥を行うことにより、正極材料となる活性炭2を作製した。
上記で得た活性炭2について、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)を用いて細孔分布を測定し、脱着側の等温線を用いて、メソ孔量はBJH法により、マイクロ孔量はMP法により、それぞれ求めた。比表面積はBET1点法により求めた。その結果、BET比表面積は3,120m/g、メソ孔量(V1)は1.33cc/g、マイクロ孔量(V2)は1.88cc/gであり、そしてV1/V2=0.71であった。
上記で得た活性炭2を正極活物質として用い、83.4質量部の活性炭2、ケッチェンブラック8.3質量部、及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)8.3質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、固形分濃度14質量%のスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより、正極C−1を得た。得られた正極活物質層の厚さは56μmであった。正極活物質層の厚さは、小野計器社製膜厚計(Linear Gauge Sensor GS−551)を用いて、正極の任意の10か所で測定した厚さの平均値から、アルミニウム箔の厚さを引いて求めた値である。得られた正極C−1を4.9cm×9.8cmの大きさに切り出し、非水系リチウム蓄電素子用の片面正極とした。
[負極の作製]
市販のヤシ殻活性炭について、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)を用いて窒素を吸着質として細孔分布を測定した。比表面積はBET1点法により求めた。また、上述したように、脱着側の等温線を用いて、メソ孔量はBJH法により、マイクロ孔量はMP法によりそれぞれ求めた。その結果、BET比表面積が1,780m/g、メソ孔量が0.198cc/g、マイクロ孔量が0.695cc/g、V/V=0.29、平均細孔径が21.2Åであった。
このヤシ殻活性炭150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ(軟化点:50℃)270gを入れたステンレス製バットの上に置き、電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱反応を行った。熱処理は、窒素雰囲気下で、炉内温度を600℃まで8時間で昇温し、同温度で4時間保持することによって行い、続いて自然冷却により60℃まで冷却した後、生成物を炉から取り出し、負極材料となる複合多孔性材料1を得た。得られた複合多孔性材料1を上記ヤシ殻活性炭と同様に測定したところ、BET比表面積が262m/g、メソ孔量が0.180cc/g、マイクロ孔量が0.0843cc/g、V/V=2.13であった。
得られた複合多孔性材料1を83.4質量部、アセチレンブラックを8.3質量部、及びPVdF(ポリフッ化ビニリデン)を8.3質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合してスラリーを得た。次いで、得られたスラリーを厚さ10μmの電解銅箔の両面に塗布し、乾燥し、プレスして負極を得た。塗布時のクリアランスを変化させること、及びプレスの条件(圧力、回数、温度)を変化させることにより、負極A−1〜A−12を作製した。得られた負極A−1〜A−12を、それぞれ半径3.0cmの円形状の大きさに切断し、あまに油の吸油量から算出された空隙量、及び計算値g/fを表1に示した。
負極目付は、5.0cm×10cmの大きさに負極を切断し、銅箔の重量を差し引いた重量から得られた値を用いて、負極片面当たりの目付として算出し、表1に示した。
負極活物質層の厚みは、小野計器社製膜厚計(Linear Gauge Sensor GS−551)を用い、負極の10か所で測定した負極の厚さの平均値から、銅箔の厚さを引いて求めた値を用いて、負極片面当たりの厚さとして算出し、表1に示した。
Figure 2017195231
<負極単位重量当たり容量aの算出>
上記で得られた負極A−1を、面積3cmに切り出した。切り出された負極を作用極として用い、対極及び参照極として金属リチウムを用い、電解液としてプロピレンカーボネート(PC)にLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させた非水系溶媒を用い、アルゴンボックス中で電気化学セルを作製した。東洋システム社製の充放電装置(TOSCAT−3100U)を用いて、以下の手順で初期充電容量を測定した。
上記で得た電気化学セルに対して、温度25℃において、更に電流値0.5mA/cmで電圧値が0.01Vになるまで定電流充電を行った後、電流値が0.01mA/cmになるまで定電圧充電を行った。この定電流充電及び定電圧充電の時の充電容量を初回充電容量として評価したところ、負極単位重量当たり容量aは1.3Ah/gであった。
[非水系リチウム蓄電素子の作製]
得られた負極A−1を、50cm(5.0cm×10cm)に切り出した。30cm(4.0cm×7.5cm)に切り出した厚み20μmの金属リチウムを、切り出された負極の両面に圧着し、大気圧露点温度−40℃の乾燥空気中で5時間静置することにより、非水系リチウム蓄電素子用の負極を作製した。
負極A−1〜A−12の各々について、単位重量当たり容量a[Ah/g]、目付b[g/m]、及び面積c[m]、並びに金属リチウムの面積d[m]、及び厚みe[μm]から計算値abc/de及びd/cを算出し、非水系リチウム蓄電素子のエネルギー密度、及び負極に貼り付けた金属リチウムの状態と共に表2に示した。尚、金属リチウムの厚みeは、負極の片面当たりに貼り付けた金属リチウムの厚みとした。
Figure 2017195231
上記作製した金属リチウム付き負極、片面正極2枚及びポリエチレン製のセパレータ(旭化成イーマテリアルズ製 厚さ24μm)2枚を、片面正極、セパレータ、負極、セパレータ、片面正極の順に積層し、電極積層体を合計2個作製した。
この積層体をポリピプロピレンとアルミ箔から成るラミネートフィルムで形成された容器に入れ、プロピレンカーボネート(PC)にLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させた電解液を注入し、−90kPaの減圧環境下で電解液を含浸させた後に密閉し、非水系リチウム蓄電素子を作製した。60℃の恒温槽内に作製した非水系リチウム蓄電素子を72時間保管し、リチウムイオンのプレドープを行い、非水系リチウム蓄電素子を合計2個作製した。
[非水系リチウム蓄電素子の初期特性評価]
作製した非水系リチウム蓄電素子の1個について、25℃に設定した恒温槽内で最大電流10mA、最大電圧3.8Vで1時間定電流定電圧充電を行い、放電電流を10mAとして設定電圧が2.2Vに到達するまで定電流放電を行った。このときの放電容量は11.0mAhであり、放電時の平均電圧は3.0Vであった。これらの値から算出される電極積層体当たりのエネルギー密度は26.2Wh/Lであった。
[金属リチウムの析出有無]
上記非水系リチウム蓄電素子をアルゴンボックス中で解体し、負極表面に貼り付けた金属リチウムの状態を確認したところ、実施例1では、金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
[負極活物質層の平均厚みの測定]
負極の中央部を4.5cm×9.0cmの大きさに切り出すことで負極活物質層の内部80%のサンプルを得た。中央部を切り出した残りの負極から負極活物質層の外部20%のサンプルを得た。つまり、負極の活物質層の最外周の4辺それぞれから5%内側の距離で切断することにより、負極活物質層の内部80%のサンプル、及び負極活物質層の外部20%のサンプルを採取することができる。得られたサンプルに対し、負極活物質層の外部20%の面積領域における平均厚みTと、前記負極活物質層の内部80%の面積領域における平均厚みTを測定したところ、それぞれ26μm、28μmであり、T/Tは0.93であった。
[高負荷充放電サイクル特性]
前記作製した非水系リチウム蓄電素子の残り1個について、日置電機製のバッテリハイテスタ(3561)を用いて周波数1kHzにおける等価直列抵抗(ESR)を測定したところ28.1mΩであった。その後、非水系リチウム蓄電素子を25℃に設定した恒温槽内で、アスカ電子製の充放電装置(ACD−01)を用いて、充電電流1.0A、放電電流1.0Aとし、下限電圧2.2V、上限電圧3.8Vの間で定電流充電、定電流放電による高負荷充放電サイクルを5000回繰り返した。高負荷充放電サイクル終了後に再度ESRを測定したところ30.5mΩであり、サイクル前後でのESR変化率は1.08であった。
<実施例2>
負極A−2を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は26.8Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<実施例3>
負極A−3を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は25.7Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<実施例4>
負極A−6を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は26.5Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<実施例5>
負極A−7を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は25.4Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<実施例6>
負極A−8を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は24.3Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<実施例7>
負極A−11を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は25.0Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<実施例8>
負極A−12を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は24.5Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<実施例9>
負極A−7を50cmに切り出し、20cmに切り出した厚み30μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は25.4Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<実施例10>
負極A−7を50cmに切り出し、10cmに切り出した厚み50μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は25.4Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<実施例11>
負極A−7を50cmに切り出し、10cmに切り出した厚み75μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は26.1Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<実施例12>
負極A−7を50cmに切り出し、5cmに切り出した厚み125μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は25.4Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<実施例13>
負極A−7を50cmに切り出し、4cmに切り出した厚み150μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は25.4Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<比較例1>
負極A−4を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は22.9Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<比較例2>
負極A−5を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は24.6Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされずに溶け残っていることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<比較例3>
負極A−9を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は22.6Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<比較例4>
負極A−10を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は21.3Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<比較例5>
負極A−7を50cmに切り出し、47cmに切り出した厚み15μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は23.9Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされずに溶け残っていることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<比較例6>
負極A−4を50cmに切り出し、10cmに切り出した厚み75μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は22.2Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<比較例7>
負極A−5を50cmに切り出し、10cmに切り出した厚み75μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は24.6Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされずに溶け残っていることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<比較例8>
負極A−7を50cmに切り出し、3cmに切り出した厚み200μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は21.0Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされずに溶け残っていることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<比較例9>
負極A−7を50cmに切り出し、25cmに切り出した厚み15μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は19.6Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<比較例10>
負極A−7を50cmに切り出し、20cmに切り出した厚み15μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は16.7Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<比較例11>
負極A−7を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み40μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は25.4Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされずに溶け残っていることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
<比較例12>
負極A−7を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み50μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は25.4Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされずに溶け残っていることを確認した。
実施例1と同様の方法で負極活物質層の平均厚みを測定し、高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表3に示す。
Figure 2017195231
表2に示した結果より、計算値abc/deが2.0以下の場合には、金属リチウムは負極に完全にドープされずに溶け残ってしまう。一方、計算値abc/deが4.0以上の場合には、非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度が低下してしまう。また、表3に示した結果より、T/Tが0.90未満の場合、非水系リチウム蓄電素子のエネルギー密度が低下してしまう。T/Tが1.00の場合、高負荷充放電サイクルにより非水系リチウム蓄電素子の抵抗が上昇してしまう。
<実施例14>
[負極の作製]
上記で得られた複合多孔性材料1を83.4質量部、アセチレンブラックを8.3質量部、及びPVdF(ポリフッ化ビニリデン)を8.3質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合してスラリーを得た。次いで、得られたスラリーを厚さ10μmの電解銅箔の片面に塗布し、乾燥し、プレスして負極A−13を得た。得られた負極活物質層の厚さは50μmであった。
[金属リチウム付き負極の作製]
得られた負極A−13を5.0cm×10cmの大きさに切断した。4.0cm×8.0cmに切断した厚さ20μmの金属リチウムを、切り出された負極A−13の中央部に貼り付け、大気圧露点温度−40℃の乾燥空気中で20時間静置することにより、実施例14の非水系リチウム蓄電素子用の金属リチウム付き負極を作製した。
[リチウム蓄電素子の作製]
上記で作製した正極C−1を5.0cm×10cmの大きさに1枚切り出し、上記金属リチウム付き負極1枚、及びポリエチレン製のセパレータ(旭化成イーマテリアルズ製 厚さ24μm)1枚を用意し、正極、セパレータ、金属リチウム付き負極の順に積層し、電極積層体を2個作製した。
2個の電極積層体を個別にポリピプロピレンとアルミ箔から成るラミネートフィルムで形成された容器に入れ、エチレンカーボネート(EC)及びメチルエチルカーボネート(EMC)を質量比1:2で混合した溶媒に、LiPFを濃度1.5mol/Lになるように溶解させた電解液を注入し、非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。60℃の恒温槽内に作製した非水系リチウム蓄電素子を48時間保管し、リチウムイオンのプレドープを行った。
[非水系リチウム蓄電素子の評価]
作製した非水系リチウム蓄電素子1個につき、25℃に設定した恒温槽内で最大電流10mA、最大電圧3.8Vで1時間定電流定電圧充電を行い、放電電流を10mAとして設定電圧が2.2Vに到達するまで定電流放電を行った。このときの放電容量は5.5mAhであった。続いて、0℃に設定した恒温槽内で、アスカ電子製の充放電装置(ACD−01)を用いて、充電電流1.0A、放電電流1.0Aとし、下限電圧2.2V、上限電圧3.8Vの間で定電流充電、定電流放電による高負荷充放電サイクルを3000回繰り返した。高負荷充放電サイクル終了後、非水系リチウム蓄電素子をアルゴンボックス内で解体し、負極表面に金属リチウムが析出していないことを確認した。
[固体Li−NMRの測定]
上記で作製した非水系リチウム蓄電素子の残り1個について、アスカ電子製の充放電装置(ACD−01)を用いて、環境温度25℃の下で、1mAの電流で3.8Vまで定電流充電した後、3.8Vの電圧を印加する定電流定電圧充電を2時間行った。続いて、アルゴンボックス内で負極活物質層の採取を行った。まず、上記非水系リチウム蓄電素子を解体し、負極を取り出した。得られた負極をジエチルカーボネートに5分間浸漬してリチウム塩等を除去した後、風乾し、負極から負極活物質層を採取した。
得られた負極の中央部を4.5cm×9.0cmの大きさに切り出し、負極活物質層を採取することで負極活物質層の内部80%のサンプルを得た。中央部を切り出した残りの負極から負極活物質層を採取することで、負極活物質層の外部20%のサンプルを得た。上述の通り、負極の活物質層の最外周の4辺それぞれから5%内側の距離で切断することにより、負極活物質層の内部80%のサンプル、及び負極活物質層の外部20%のサンプルを採取することができる。
上記得られた負極活物質層の内部80%のサンプル、及び負極活物質層の外部20%のサンプルを試料として、固体Li−NMR測定を行った。測定用ローター中における試料高さを同一にして各試料の測定を行った。測定装置としてJEOL RESONANCE社製ECA700(Li−NMRの共鳴周波数は272.1MHzである)を用い、室温環境下において、マジックアングルスピニングの回転数を14.5khz、照射パルス幅を45°パルスとして、シングルパルス法により測定した。シフト基準品として1mol/L塩化リチウム水溶液を用い、そのシフト位置を、外部標準品として別途測定したときに0ppmになるように調整しておいた。塩化リチウム水溶液の測定時には試料を回転させず、照射パルス幅を45°パルスとして、シングルパルス法により測定した。
得られた固体Li−NMRスペクトルについて、得られたピーク面積値を測定試料重量で除すことにより、負極活物質層単位質量当たりのピーク面積値を得た。ついで、得られたスペクトルについてローレンツ曲線を仮定して3つのピークに分離した。ここで、Liの化学シフトについて低磁場側から順に第1〜第3ピーク(P、P、P)とし、各ピークのピークトップの位置及び負極活物質層単位質量当たりのピーク面積の相対値を求めた。実施例14で得られた負極活物質層の内部80%のサンプル、及び負極活物質層の外部20%の第1〜第3ピークはそれぞれ以下の通りであった。
[負極活物質層の外部20%のサンプルのピークトップ位置]
1aのピークトップの位置が8.0ppm、P2aのピークトップの位置が1.8ppm、P3aのピークトップの位置が0.4ppmであった。
[負極活物質層の内部80%のサンプルのピークトップ位置]
1bのピークトップの位置が8.8ppm、P2bのピークトップの位置が2.5ppm、P3bのピークトップの位置が0.3ppmであった。
[ピーク面積の相対値]
の負極活物質層単位質量当たりのピーク面積比(以下、「面積比」と記す)P1a/P1bは0.67、Pの面積比P2a/P2bは0.55、Pの面積比P3a/P3bは1.13であった。
図6及び図7に負極活物質層の固体Li−NMRスペクトルを示す。図6は負極活物質層の外部20%のサンプルであり、図7は負極活物質層の内部80%のサンプルのである。それぞれ、実線はNMRスペクトルであり、破線、点線、及び一点鎖線は該スペクトルについてローレンツ曲線を仮定して分離した3つのピークを示す図である。なお、図6及び図7に示されるスペクトルの縦軸(図示せず)は、任意単位(arbitrary unit)である。
<比較例13>
負極A−13を5.0cm×10cmの大きさに切断し、5.0cm×10.0cmに切断した厚さ13μmの金属リチウムを貼り付けたこと以外は実施例14と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例14と同様の条件下で、作製した非水系リチウム蓄電素子1個の放電容量を測定したところ、5.5mAhであった。その後、実施例14と同様の条件にて高負荷充放電サイクルを実施し、アルゴンボックス内で解体したところ、負極の活物質層端部に金属リチウムが析出していることを確認した。
[固体Li−NMRの測定]
非水系リチウム蓄電素子の残り1個に対し、実施例14と同様の方法にてサンプルを採取し、固体Li−NMRを測定した結果を以下に記載する。
[負極活物質層の外部20%のサンプルのピークトップ位置]
1aのピークトップの位置が6.3ppm、P2aのピークトップの位置が1.9ppm、P3aのピークトップの位置が−0.3ppmであった。
[負極活物質層の内部80%のサンプルのピークトップ位置]
1bのピークトップの位置が6.3ppm、P2bのピークトップの位置が1.9ppm、P3bのピークトップの位置が−0.3ppmであった。
[ピーク面積の相対値]
の面積比P1a/P1bは0.98、Pの面積比P2a/P2bは1.01、Pの面積比P3a/P3bは0.99であった。
<実施例15>
リチウムイオンのプレドープを45℃、48時間の条件で実施したこと以外は、実施例14と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<実施例16>
リチウムイオンのプレドープを45℃、72時間の条件で実施したこと以外は、実施例14と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<実施例17>
リチウムイオンのプレドープを60℃、96時間の条件で実施したこと以外は、実施例14と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<実施例18>
2.5cm×6.4cmに切断した厚さ40μmの金属リチウムを負極の中央部に貼付け、リチウムイオンのプレドープを60℃、72時間の条件で実施したこと以外は、実施例14と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<実施例19>
リチウムイオンのプレドープを60℃、96時間の条件で実施したこと以外は、実施例18と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<実施例20>
リチウムイオンのプレドープを45℃、72時間の条件で実施したこと以外は、実施例18と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<実施例21>
リチウムイオンのプレドープを45℃、96時間の条件で実施したこと以外は、実施例18と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<実施例22>
2.0cm×5.4cmに切断した厚さ60μmの金属リチウムを負極の中央部に貼付け、リチウムイオンのプレドープを60℃、72時間の条件で実施したこと以外は、実施例14と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<実施例23>
リチウムイオンのプレドープを60℃、96時間の条件で実施したこと以外は、実施例22と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<実施例24>
リチウムイオンのプレドープを45℃、96時間の条件で実施したこと以外は、実施例22と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<比較例14>
リチウムイオンのプレドープを45℃、48時間の条件で実施したこと以外は、比較例13と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<比較例15>
リチウムイオンのプレドープを45℃、72時間の条件で実施したこと以外は、比較例13と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<比較例16>
リチウムイオンのプレドープを60℃、166時間の条件で実施したこと以外は、実施例14と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<比較例17>
リチウムイオンのプレドープを45℃、12時間の条件で実施したこと以外は、実施例14と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<比較例18>
リチウムイオンのプレドープを60℃、24時間の条件で実施したこと以外は、実施例18と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
<比較例19>
リチウムイオンのプレドープを60℃、24時間の条件で実施したこと以外は、実施例22と同様の方法にて非水系リチウム蓄電素子を作製した。実施例14と同様の方法にて、放電容量、高負荷充放電サイクル後の負極上の金属リチウムの析出の有無、及び固体Li−NMRを測定した。
表4に実施例14〜24、比較例13〜19の非水系リチウム蓄電素子の測定結果を示す。P1a/P1bが0.95以上の場合、高負荷充放電サイクル後に負極端部に金属リチウムが析出してしまった。P1a/P1bが0.30以下の場合、負極端部にリチウムイオンが十分にドープされていないために放電容量が低くなってしまった。
Figure 2017195231
<実施例25>
負極A−7を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
[XPSの測定]
作製した非水系リチウム蓄電素子の1個について、実施例14の固体Li−NMRの測定と同様の方法で負極活物質層の内部80%のサンプル、及び負極活物質層の外部20%のサンプルを採取し、XPS測定を行った。測定装置としてV.G.Scientific社製ESCALAB220i−XLを用い、ターゲットをAlとし、10kV、15mAで分析した。得られた測定結果より、C1a/C1bが0.02であり、C2a/C2bが0.06であった。
[高負荷充放電サイクル特性]
残りの非水系リチウム蓄電素子について、実施例1と同様の方法で高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<実施例26>
負極A−7を50cmに切り出し、40cmに切り出した厚み15μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<実施例27>
負極A−7を50cmに切り出し、20cmに切り出した厚み30μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<実施例28>
負極A−7を50cmに切り出し、15cmに切り出した厚み40μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<実施例29>
負極A−7を50cmに切り出し、10cmに切り出した厚み60μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<実施例29>
負極A−7を50cmに切り出し、6cmに切り出した厚み100μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<実施例30>
負極A−6を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<実施例31>
負極A−8を50cmに切り出し、30cmに切り出した厚み20μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<比較例20>
負極A−7を50cmに切り出し、50cmに切り出した厚み12μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<比較例21>
負極A−7を50cmに切り出し、48cmに切り出した厚み12μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<比較例22>
負極A−6を50cmに切り出し、50cmに切り出した厚み12μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<比較例23>
負極A−6を50cmに切り出し、48cmに切り出した厚み12μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<比較例24>
負極A−8を50cmに切り出し、50cmに切り出した厚み12μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
<比較例25>
負極A−8を50cmに切り出し、48cmに切り出した厚み12μmの金属リチウムを圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を2個作製した。
実施例25と同様の方法でXPS、及び高負荷充放電サイクル特性を評価した結果を表5に示す。
Figure 2017195231
表5に示した結果より、C1a/C1b及び/またはC2a/C2bが0.5以下の場合、作製直後の抵抗が低く、高負荷充放電サイクルでの抵抗上昇を抑制することができる。一方、C1a/C1b及び/またはC2a/C2bが0.5を超える場合、負極の全面に絶縁物であるLiO及び/又はLiNが存在するために抵抗が高くなってしまう。
<実施例32>
厚み200μmの金属リチウムを3cmに切り出し、金属リチウムの表面の全体にn−ドデカン(C1226、東京化成工業株式会社製)を塗布した。その後、金属リチウムをポリプロピレン製のフィルムで挟み、ロールプレス機で30cmの面積になるまで圧延した。圧延された金属リチウムを、50cmに切り出した負極A−7に圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は25.4Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
この時、電解液について、以下の条件でガスクロマトグラフィーを用いた検量線法による定量を行ったところ、200ppmのn−ドデカンを検出した。
[ガスクロマトグラフィー測定条件]
ガスクロマトグラフィー測定装置の本体:GC−2010(株式会社島津製作所製)
カラム:ZB−5(株式会社島津GLC製)
気化室温度:300℃
カラム温度:50℃
内部標準:クロロベンゼン(100ppm)
<実施例33>
厚み500μmの金属リチウムを1cmに切り出し、金属リチウムの表面の全体にn−ドデカン(C1226、東京化成工業株式会社製)を塗布した。その後、金属リチウムをポリプロピレン製のフィルムで挟み、ロールプレス機で10cmの面積になるまで圧延した。圧延された金属リチウムを、50cmに切り出した負極A−7に圧着したこと以外は実施例1と同様の方法で非水系リチウム蓄電素子を作製した。この非水系リチウム蓄電素子の電極積層体当たりのエネルギー密度は25.4Wh/Lであり、負極表面に貼り付けた金属リチウムが負極に完全にプレドープされて消失していることを確認した。
実施例32と同様に電解液のガスクロマトグラフィーを測定したところ、100ppmのn−ドデカンを検出した。
<比較例26>
厚み200μmの金属リチウムを3cmに切り出し、金属リチウムの表面にn−ヘキサン(C14、東京化成工業株式会社製)を塗布して金属リチウムを圧延しようとしたところ、金属リチウム表面のn−ヘキサンの油膜は揮発してしまい、圧延することができなかった。
<比較例27>
厚み200μmの金属リチウムを3cmに切り出し、金属リチウムの表面にn−トリアコンタン(C3062、東京化成工業株式会社製)を塗布して金属リチウムを圧延しようとしたところ、金属リチウムの表面にn−トリアコンタンの油膜は形成されず、圧延することができなかった。
実施例32及び33と比較例26及び27の対比から、以下の内容が明らかである。
金属リチウムを圧延するためには、金属リチウムの表面に鎖状飽和炭化水素による油膜を形成することで圧延が容易になる。
揮発性の高い鎖状飽和炭化水素を用いると、鎖状飽和炭化水素が直ぐに蒸発してしまい圧延ができない。一方、凝固点が高い鎖状飽和炭化水素を用いると、金属リチウム表面に油膜が形成されず圧延ができない。
本発明の非水系リチウム蓄電素子は、例えば、自動車のハイブリット駆動システムの分野用途、瞬間電力ピークのアシスト用途等における蓄電素子として、好適に利用できる。
本発明の非水系リチウム蓄電素子は、リチウムイオン二次電池又はリチウムイオンキャパシタとして好適に適用することができ、特に、リチウムイオンキャパシタとして適用したときに、本発明の効果が最大限に発揮されるため、好ましい。
1 正極端子
2 負極端子
3 外装体
4 電極積層体
5 正極集電体
6 正極活物質層
7 セパレータ
8 負極集電体
9 負極活物質層
10 内部80%の面積領域
11 外部20%の面積領域

Claims (11)

  1. 正極、負極及びセパレータから成る電極積層体と、リチウムイオン含有電解質を含む非水系電解液とを外装体に収納して成る非水系リチウム蓄電素子であって、
    前記負極はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料を含み、かつ
    前記負極中に含まれる負極活物質層の外部20%の面積領域よりも前記負極活物質層の内部80%の面積領域において、前記リチウムイオンの濃度及び/又はLiNとLiOの少なくとも1つの濃度が高い、前記非水系リチウム蓄電素子。
  2. 前記負極は、下記式:
    0.40≦g/f≦0.90
    {式中、fは、前記負極活物質層の厚み(μm)であり、かつgは、あまに油の吸油量から算出される前記負極の空隙量(cc/m)である}
    で表される関係を満たす、請求項1に記載の非水系リチウム蓄電素子。
  3. 前記負極上に金属リチウムが配置されており、かつ前記負極と前記金属リチウムは、下記式:
    2.0≦abc/de≦4.0;及び
    0.10≦d/c≦0.70
    {式中、aは、前記負極の単位重量当たりの容量(Ah/g)であり、bは、前記負極の目付(g/m)であり、cは、前記負極の面積(m)であり、dは、前記金属リチウムの面積(m)であり、かつeは、前記金属リチウムの厚み(μm)である}
    で表される関係を満たす、請求項1又は2に記載の非水系リチウム蓄電素子。
  4. 前記金属リチウムは、15〜150μmの厚さを有し、かつ表面に炭素数10〜24の鎖状飽和炭化水素が配置されているリチウム箔である、請求項3に記載の非水系リチウム蓄電素子。
  5. 前記炭素数10〜24の鎖状飽和炭化水素は、前記非水系電解液中に1〜1000ppmの比率で存在する、請求項4に記載の非水系リチウム蓄電素子。
  6. 前記負極活物質層の外部20%の面積領域及び前記負極活物質層の内部80%の面積領域における固体Li−NMRスペクトルについて、ローレンツ曲線を仮定して波形分離した時に、−40〜70ppmの化学シフトの範囲に第1〜第3の3つのピークを有し、かつ前記負極活物質層の外部20%の面積領域における最も低磁場側のピークP1aと前記負極活物質層の内部80%の面積領域における最も低磁場側のピークP1bのピーク面積比P1a/P1bが、0.30以上0.95以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水系リチウム蓄電素子。
  7. 前記ピークP1aのピークトップが前記ピークP1bのピークトップより0.1ppm以上高磁場にある、請求項6に記載の非水系リチウム蓄電素子。
  8. 前記固体Li−NMRスペクトルについて前記ローレンツ曲線を仮定して波形分離した時に、前記負極活物質層の外部20%の面積領域における最も高磁場側のピークP3aと前記負極活物質層の内部80%の面積領域における最も高磁場側のピークP3bのピーク面積比P3a/P3bが、0.30以上1.20以下である、請求項6又は7に記載の非水系リチウム蓄電素子。
  9. 光電子分光分析法(XPS)の酸素1sスペクトルの分析において、前記負極活物質層の外部20%の面積領域におけるLiOのピーク面積強度C1aと前記負極活物質層の内部80%の面積領域におけるLiOのピーク面積強度C1bの比C1a/C1bが、0.001以上0.5以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水系リチウム蓄電素子。
  10. 光電子分光分析法(XPS)の窒素1sスペクトルの分析において、前記負極活物質層の外部20%の面積領域におけるLiNのピーク面積強度C2aと、前記負極活物質層の内部80%の面積領域におけるLiNのピーク面積強度C2bの比C2a/C2bが、0.001以上0.5以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の非水系リチウム蓄電素子。
  11. 前記負極活物質層の外部20%の面積領域における平均厚みTと前記負極活物質層の内部80%の面積領域における平均厚みTの比T/Tが、0.90以上0.98以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の非水系リチウム蓄電素子。
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