JP2017194386A - 衝撃加振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】落下させる重錘体の重量の増大を可能にする衝撃加振装置を提供する。【解決手段】計測対象物10の表面11に衝撃を加えることによって、計測対象物10の状態を評価する衝撃加振装置1は、落下可能に配置される重錘体120と、計測対象物10の表面11上に載置され且つ重錘体120が落下する荷重計112であって、落下する重錘体120が計測対象物10に与える衝撃力を検知する荷重計112と、荷重計112の上に配置され且つ荷重計112に落下する重錘体120の衝撃を緩衝する緩衝部材114と、計測対象物10の表面11の変位を検出する加速度センサ140とを備える。緩衝部材114は、弾性を有する低反発樹脂材料で形成され、重錘体120が落下する方向に向かって末広がりになる断面形状を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、衝撃加振装置に関する。
地盤、橋梁などのコンクリート構造物の床板等の状態を、衝撃を加えることによって計測する衝撃加振装置が提案されている。例えば、特許文献1には、地盤等の計測対象物の表面上に置かれた荷重計に、上方から重錘を落下させる構成を有する衝撃加振装置としての重錘落下緩衝装置が、記載されている。荷重計には加速度センサが固定されている。この重錘落下緩衝装置では、重錘を荷重計に落下させた際の荷重計による計測荷重と、加速度センサによる検知加速度を二階積分して得られる変位とが、計測結果として得られる。つまり、重錘の衝撃力に対する計測対象物からの反力と、計測対象物の表面の撓み量とが、得られる。得られた反力と撓み量とに基づき、計測対象物の状態の評価が可能である。
特開2004−239701号公報
特許文献1に記載される重錘落下緩衝装置では、荷重計の上にコイルばねによる緩衝材が配置されている。そして、荷重計に落下する重錘の衝撃力は、緩衝材によって緩衝されつつ計測対象物に伝達する。緩衝材には、荷重計に衝突した重錘の跳ね返り動作を抑えながらも、重錘の衝撃力を荷重計に伝達することが要求される。例えば、橋梁の床板のように厚さが大きく剛性が高い計測対象物の状態を評価する場合、重錘の重量を大きくする必要がある。重錘の重量が大きい場合、コイルばねは、高い弾性係数を要し、その反発力が大きいため、コイルばねに衝突した重錘が跳ね返る可能性が高くなり、それにより、正確な計測結果が得られない。また、重錘落下緩衝装置には、重量が大きい重錘を用いた計測を容易にすることも要求される。
本発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、落下させる重錘体の重量の増大を可能にする衝撃加振装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る衝撃加振装置は、計測対象物の表面に衝撃を加えることによって、計測対象物の状態を評価するための衝撃加振装置であって、落下可能に配置される重錘体と、計測対象物の表面上に載置され、重錘体が落下する荷重計であって、落下する重錘体が計測対象物に与える衝撃力を検知する荷重計と、荷重計の上に配置され、荷重計に落下する重錘体の衝撃を緩衝する緩衝部材と、計測対象物の表面の変位を検出する変位検出装置とを備え、緩衝部材は、弾性を有する低反発樹脂材料で形成され、重錘体が落下する方向に向かって末広がりになる断面形状を有する。
低反発樹脂材料は、反発弾性率が0%以上15%以下である特性を有してもよい。
衝撃加振装置は、重錘体を吊り上げ及び吊り下げ可能な吊上げ装置をさらに備え、吊上げ装置は、重錘体を吸着して保持する永電磁マグネットを含む保持部を有し、永電磁マグネットは、非通電時に重錘体を吸着する磁力を生じ、通電時に磁力をキャンセルしてもよい。
衝撃加振装置は、重錘体、荷重計及び吊上げ装置を保持する枠体と、枠体を移動する車両とをさらに備え、枠体は、枠体を移動可能に車両の一部が係合する係合部を有し、車両は、永電磁マグネットへの通電及び非通電を制御する操作部を有してもよい。
重錘体は、ベース体と、ベース体に着脱可能な少なくとも1つの重錘とを有してもよい。
衝撃加振装置は、重錘体の昇降移動を案内する複数のガイドをさらに備えてもよい。
緩衝部材は、柱状形状を有し、柱軸方向を緩衝部材が配置される表面に沿う方向にして配置されてもよい。
複数の緩衝部材が、設けられ、複数の緩衝部材は、緩衝部材が配置される表面上で環状に配置されてもよい。
本発明における衝撃加振装置によれば、落下させる重錘体の重量の増大が可能になる。
実施の形態に係る衝撃加振装置の模式的な側面図である。 図1の衝撃加振装置を反対方向から見た衝撃加振装置の側面図である。 図1の衝撃加振装置を装置本体から移動用車両に向かって見た装置本体の側面図である。 図1の装置本体の一部を拡大して示す側面図である。 図4の緩衝部材の配置構成を示す斜視図である。 図4の装置本体における重錘体を吊り上げた状態を示す側面図である。 図4の装置本体の移動用車両で持ち上げられた状態を示す側面図である。 実施の形態に係る衝撃加振装置の実施例1及び比較例1〜3における衝撃試験実施時の衝撃力と経過時間との関係を示す図である。 実施の形態に係る衝撃加振装置の実施例1及び比較例1〜3における衝撃試験実施時の力積と経過時間との関係を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る衝撃加振装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ(工程)、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、同一又は同様な構成要素については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態の説明において、略平行、略直交のような「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、略平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を伴った表現についても同様である。
[実施の形態]
実施の形態に係る衝撃加振装置1の構成を説明する。図1及び図2を参照すると、衝撃加振装置1は、計測対象物10の表面11に衝撃を加えた際の計測対象物10の状態に関する計測結果を得る装置本体100と、装置本体100を移動する移動用車両200とを備える。なお、図1は、実施の形態に係る衝撃加振装置1の模式的な側面図である。図2は、図1の衝撃加振装置1を反対方向から見た衝撃加振装置1の側面図である。計測対象物10の表面11は、地盤の表面であってもよく、橋梁の橋桁つまり床板の路面等のいかなる構造物の表面であってもよい。
本実施の形態では、移動用車両200は、フォークリフトをベースとする自走で移動可能な車両である。移動用車両200は、装置本体100を移動可能に装置本体100と係合する2つのフォーク(爪とも呼ばれる)201を有している。移動用車両200は、その運転操作部202を介した操作を受けることによって、フォーク201の昇降動作、フォーク201の傾きを変更するチルト動作、走行動作等を実施する。さらに、移動用車両200は、そのハンドル203への操作を受けることによって、旋回することができる。これにより、移動用車両200は、任意の場所への装置本体100の設置及び撤去をすることができる。また、移動用車両200は、電源部204を有している。電源部204は、装置本体100の種々の電気的な構成要素と電気的に接続されるように構成されている。電源部204は、装置本体100の電気的な構成要素に、移動用車両200に搭載されたバッテリ205の電力を供給する。電源部204は、衝撃加振装置1の操作者による入力を受け付ける入力部204aを有している。電源部204は、入力部204aを介した指令に基づき、装置本体100の電気的な構成要素の動作を制御する。ここで、入力部204aは、操作部の一例である。
さらに、移動用車両200は、情報処理部206を備えてもよい。情報処理部206は、移動用車両200に搭載される制御コンピュータによって構成されてもよく、移動用車両200に接続される機器であってもよい。情報処理部206は、電源部204を介してバッテリ205から電力供給を受け、装置本体100の種々の計測用構成要素と電気的に接続されて信号の送受信を行う。情報処理部206は、計測用構成要素から計測結果を示す電気信号を受信し、電気信号を所定のパラメータに変換処理する。さらにまた、情報処理部206は、装置本体100及び移動用車両200と別個に設けられる外部コンピュータ207と接続され、処理結果を外部コンピュータ207に送信するように構成されてもよい。移動用車両200が、外部コンピュータ207を備えてもよく、外部コンピュータ207の機能を備えてもよい。
図1〜図3を参照すると、装置本体100は、種々の構成要素が搭載される枠体101を備えている。図3は、図1の衝撃加振装置1を装置本体100から移動用車両200に向かって見た装置本体100の側面図である。枠体101は、直方体状の外形を有する枠本体102と、枠本体102を下方から支持する4つの脚部103と、移動用車両200のフォーク201が係合する2つの筒状の係合部104と、枠本体102の上部102aに配置されるクレーン支持部105とを含む。枠本体102の上部102aと底部102bとは、互いに対向する位置にあり且つ平行である。装置本体100は、枠本体102の底部102bに対して上部102aを上方にして配置される。以下、底部102bから上部102aに向かう方向を上方向等と呼び、上部102aから底部102bに向かう方向を下方向等と呼ぶ。
4つの脚部103は、枠本体102の側部に固定して配置された係合部104に、上下方向に伸縮可能に取り付けられている。なお、脚部103は、枠本体102に取り付けられてもよい。各脚部103は、地面等に接し且つ外周面に雄ねじが形成された棒状の支持部分103aと、係合部104に固定され且つ上下方向に延びる雌ねじ孔を有する筒状の固定部分103bとを有している。支持部分103aは、雄ねじを雌ねじ孔にねじ込んで固定部分103bに取り付けられている。支持部分103aは、雄ねじのねじ回転の方向に回転されることによって固定部分103bに対して伸長又は収縮し、それにより脚部103を伸長又は収縮する。装置本体100は、4つの脚部103の長さが調節されることによって、枠本体102の底部102bを水平な状態にして、つまり上部102aから底部102bに向かう枠本体102の長手軸方向を鉛直方向にして、配置されることができる。
2つの係合部104は、枠本体102の対向する2つの側部102c及び102dに固定して設けられている。角筒状の各係合部104は、枠本体102の長手軸方向が鉛直なとき、その筒穴が側部102c及び102dに沿い且つ略水平方向に向くように、枠本体102に配置されている。さらに、2つの係合部104は、互いの筒穴が略平行に延在するように、配置されている。各係合部104の筒穴は、移動用車両200のフォーク201が挿入可能であり且つ筒穴を貫通するフォーク201と遊嵌するような形状及び寸法を有している。
各係合部104には、係合部104をフォーク201に固定する固定部104aが、設けられている。固定部104aは、外周面に雄ねじが形成された棒状部分を、係合部104の上側の壁部を貫通する雌ねじ孔にねじ込むことによって、係合部104に取り付けられている。固定部104aは、雄ねじのねじ回転の方向に回転されることによって、係合部104の雌ねじ孔に対して進退移動する。固定部104aは、係合部104の筒穴内に突出する方向に進む棒状部分でフォーク201と係合し且つ押圧することによって、棒状部分とフォーク201と係合部104とを互いに係合させ、それにより、係合部104をフォーク201に固定する。
枠本体102の側部102cに配置された係合部104には、1つの固定部104aが配置され、枠本体102の側部102dに配置された係合部104には、2つの固定部104aが配置されている。側部102cの固定部104aは、筒穴に沿う方向での係合部104の中央付近に配置されている。側部102dの2つの固定部104aは、筒穴に沿う方向での係合部104の両端付近に配置されている。3つの固定部104aは、例えば、2つのフォーク201の間で高さ、傾き等の差異があっても、係合部104つまり枠本体102を2つのフォーク201に、ガタつきの発生を抑えて固定することができる。さらに、側部102cにある1つの固定部104aは、側部102dにある2つの固定部104aから略等距離に位置する。このため、3つの固定部104aは、枠本体102を2つのフォーク201に、ガタつきの発生を低く抑えて安定して固定することができる。
装置本体100は、枠本体102の底部102bに設けられた荷重受け部110と、枠本体102の内側に設けられた重錘体120と、クレーン支持部105に設けられた吊上げ装置130とを備えている。荷重受け部110は、枠本体102の長手軸方向が鉛直な状態のときの略鉛直方向つまり上下方向で、枠本体102の底部102bに対してスライド可能に設けられている。重錘体120は、枠本体102の上部102aから底部102bに向かう方向で昇降可能に設けられている。吊上げ装置130は、枠本体102の上部102aに固定して配置された枠状のクレーン支持部105に固定して配置されている。また、装置本体100は、枠本体102の側部102c及び102dを含む4つの開放した側部にそれぞれ、側部を塞ぐ防護板106を備えている。なお、枠本体102の各側部は、その外縁を囲む枠部材を有し、枠部材の内側で開放している。防護板106は、枠本体102の内部から外部への飛散物の発生を抑制する。防護板106は、枠本体102の内部を見ることができるように透明な材料で作製されることが望ましい。さらに、防護板106は、破損時における飛散を抑えるために、アクリル等の靱性を有する樹脂材料で作製されることが望ましい。
図4を参照すると、荷重受け部110は、計測対象物10の表面11と接触する円板状の載荷板111と、載荷板111の上部に配置される円筒状の荷重計112と、荷重計112の上部に配置される円板状の受け板部113と、受け板部113の平坦な上表面113aに配置される複数の緩衝部材114とを備える。なお、図4は、図1の装置本体100の一部を拡大して示す側面図であり、防護板106を省略して示されている。載荷板111は、可動連結部115によって、荷重計112の円筒軸方向に対する載荷板111の平坦な接触面111aの向きを可変に、荷重計112と接続されている。
荷重計112は、その円筒軸方向に作用する荷重を検知する装置である。荷重計112は、円筒軸を載荷板111の接触面111aと略垂直な方向にして、載荷板111の接触面111aと反対側の表面に、可動連結部115を介して取り付けられる。これにより、載荷板111の接触面111aが、荷重計112の円筒軸方向に対して傾斜しても、載荷板111が接触面111aを介して計測対象物10から受ける反力は、円筒軸方向の力として荷重計112に効果的に伝達する。本実施の形態では、荷重計112は、円筒軸方向に作用する荷重を電気信号に変換して出力する荷重変換器であり、ロードセルとも呼ばれる。荷重計112は、移動用車両200の電源部204の複数の端子204bの1つと電気的に接続され、電源部204を介して電力の供給を受ける。さらに、荷重計112は、情報処理部206と電気的に接続され、検知結果を示す電気信号を情報処理部206に送信する。情報処理部206は、荷重計112から受けとる電気信号を変換し、荷重を示す値を算出する。
また、円筒状の荷重計112の内側の載荷板111上には、加速度センサ140が配置されている。加速度センサ140は、載荷板111の接触面111aに垂直な方向の載荷板111の加速度を検知する。しかしながら、加速度センサ140は、互いに直交する二軸又は三軸方向の加速度を検知するセンサであってもよい。加速度センサ140は、情報処理部206と電気的に接続され、検知結果を示す電気信号を情報処理部206に送信する。なお、加速度センサ140は、装置本体100の近傍の計測対象物10の表面11上に配置されてもよい。情報処理部206は、加速度センサ140から受け取る電気信号を変換して加速度を求め、加速度をさらに時間で二階積分して変位を算出する。なお、変位の算出は、外部コンピュータ207によって実施されてもよい。ここで、加速度センサ140は、変位検出装置の一例である。
受け板部113は、円板部113bと、円板部113bと同軸上に配置される有底円筒状の接続部113cとを一体に含む。接続部113cの一方の端部は円板部113bと接合され、他方の端部は荷重計112の円筒軸方向の上端部に固定される。接続部113cは、荷重計112よりも大きい外径を有し、円板部113bは、接続部113cよりも大きい外径を有している。受け板部113は、枠本体102の底部102bを上下方向に貫通して形成された貫通孔102eを通って延在すると共に、貫通孔102eによって、支持されている。
貫通孔102eは、その途中に半径方向の段差を含む孔を形成している。つまり、貫通孔102eは、枠本体102の上部102a側に位置する大径部102e1と、大径部102e1と反対側に位置する小径部102e2とを含む。大径部102e1は、その内側の受け板部113の円板部113bを側方から支持すると共に、円板部113bを枠本体102の長手軸方向にスライド可能にする形状及び寸法を有している。小径部102e2は、その内側の受け板部113の接続部113cを側方から支持すると共に、接続部113cを長手軸方向にスライド可能にする形状及び寸法を有している。よって、受け板部113は、一体とされる載荷板111及び荷重計112と一体と共に、底部102bに対して上下方向にスライドすることができる。また、枠本体102が持ち上げられたとき、円板部113bが貫通孔102eの大径部102e1と小径部102e2との段差部分に係合するため、受け板部113の底部102bからの脱落が防がれる。
図4及び図5を参照すると、受け板部113の円板部113bの上表面113aに固定配置される複数の緩衝部材114はいずれも、枠本体102の上部102aから底部102bに向かって末広がりになる断面形状を有している。緩衝部材114は、物体の衝突時における受け板部113への衝撃の緩衝作用と、緩衝部材114に衝突する物体の跳ね返りを抑える特性と、物体の衝突時に受ける変形の復元力を低く抑える特性とを有している。本実施の形態では、緩衝部材114は、弾性を有する低反発樹脂材料から作製されており、例えば、低反発ゴム、低反発ウレタン、その他の低反発発泡樹脂材料等の樹脂材料から作製されている。低反発樹脂材料から作製される緩衝部材114は、物体の衝突時に受ける変形の復元力を低く抑え、復元力の発生を遅くすることができる。
緩衝部材114を形成する低反発樹脂材料は、0%以上15%以下の反発弾性率を有することが望ましく、0%以上10%以下の反発弾性率を有することがさらに望ましい。特に、低反発樹脂材料は、低反発ゴム材料である場合、0%以上10%程度以下の反発弾性率を有することが望ましい。なお、上記10%程度とは、小数点以下の桁を四捨五入した場合に10%となる場合を含む。反発弾性率は、日本工業規格JIS K 6255:2013に準ずる試験方法、又はISO 4662:2009に準ずる試験方法等によって求めることができる。また、材料の反発弾性率R(単位:%)は、荷重Wが高さH1から材料の試験片に落下して衝突し高さH2に跳ね返った場合、R=(H2/H1)×100により表わされる。
本実施の形態では、各緩衝部材114は、三角形断面を持つ三角柱の形状を有している。円板部113bの上表面113a上では、各緩衝部材114は、その柱軸方向つまり軸方向を上表面113aに沿う方向にして、配置されている。各緩衝部材114は、その1つの側面を上表面113aと接触させ、2つの側面が形成する角部を上表面113aから突出させるように配置されている。さらに、本実施の形態では、6つの緩衝部材114が、円形の上表面113aの中心を中心として環状に並べて配置されている。このとき、緩衝部材114はそれぞれ、軸方向を環の半径方向にして、つまり柱軸を放射状にして配置されている。
緩衝部材114の断面形状は、上述のような三角形に限定されるものでない。緩衝部材114は、枠本体102の上部102aから底部102bに向かって末広がりになる断面形状を有していればよい。例えば、緩衝部材114の断面形状は、半円形、半楕円形、段差を伴った凸形状、上部102aに向かって先細になる多角形、先細の多角形の角部が丸められた形状又はこれらを組み合わせたもの等であってもよい。上記のような断面形状を有する緩衝部材114がその突出端側から物体の衝突を受けた場合、緩衝部材114が生じる反力は、衝突初期では低く、緩衝部材114が圧縮変形されるに従って増加する。さらに、緩衝部材114の硬さも、衝突初期では低く、緩衝部材114が圧縮変形されるに従って増加する。これにより、物体が衝突初期に緩衝部材114によって弾かれることが低減する。つまり、緩衝部材114に衝突する物体の跳ね返りが抑えられる。さらに、衝突過程において、載荷板111、荷重計112及び受け板部113の挙動を、衝突した物体の挙動と同調させることも、可能になる。また、緩衝部材114は、物体の衝撃力を、受け板部113に効率的に伝達することができる。
また、緩衝部材114は、三角柱のように、円板部113bの上表面113a上で連続する帯状の形状を有することが望ましい。例えば、1つの連続する帯状の緩衝部材から構成される緩衝部材114の断面性能は、緩衝部材114と同一の延長にわたって配置され且つ個々の全長が短い複数の緩衝部材の断面性能全ての合計よりも大幅に高くなる。1つの連続する帯状の緩衝部材114は、硬度又は弾性係数等が低い材料から作製されても、衝撃力に対する高い耐力を有する。そして、環状に配置される緩衝部材114は、6つ超の緩衝部材114によって構成されてもよく、5つ以下の緩衝部材114によって構成されてもよい。緩衝部材114は、連続する又は一部で途切れた環状の1つの緩衝部材によって構成されてもよい。本実施の形態では、複数の緩衝部材114は、それぞれの軸方向を円板部113bの上表面113aの中心からの放射方向にして、配置されているが、軸方向を環の接線方向にして配置されてもよい。
また、緩衝部材114の配置形状は、円板部113bの上表面113aの中心を中心とする環状形状に限定されず、いかなる形状であってもよい。例えば、緩衝部材114の配置形状は、多角形であってもよい。また、緩衝部材114は、一重の環を形成するのではなく、二重以上の環を形成してもよい。
図3及び図4を参照すると、枠本体102の内部に設けられた重錘体120は、磁性を有する金属製のベース体121と、ベース体121に着脱可能な複数の重錘122とを有している。本実施の形態では、複数の重錘122は、ベース体121の両側部から延びる2つのボルトそれぞれに取り付けられる。具体的には、各重錘122は、重錘122に形成された貫通孔にボルトが通されてナットが締結されることによって、ベース体121に取り付けられる。これにより、要求される重量に応じた重錘体120の重量の調節が可能になる。本実施の形態では、例えば、ベース体121と重錘122とを含む重錘体120の重量は、150kg〜300kgの範囲内で調節可能である。
装置本体100は、枠本体102の内部に、上部102aから底部102bにわたって上下方向に延在する2つの棒状のガイド部材123を備えている。2つのガイド部材123は、重錘体120のベース体121の両端部でベース体121を貫通し、互いに平行に延在している。これにより、重錘体120は、ガイド部材123に沿って、枠本体102の上部102aから底部102bに向かう方向及びその反対方向に、つまり枠本体102の長手軸方向に沿って移動することができる。さらに、重錘体120が、互いに離れた位置にある2つのガイド部材123によって案内されるため、ガイド部材123の周りでの重錘体120の回転移動が、規制される。なお、ガイド部材123の数量は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。ここで、ガイド部材123は、重錘体のガイドの一例である。
クレーン支持部105に設けられた吊上げ装置130は、クレーン支持部105の上部に取り付けられた巻き上げ装置131と、巻き上げ装置131から垂下するチェーンの先端のフック132に掛け下げられた保持部133とを有する。巻き上げ装置131のチェーン及びフック132と保持部133とは、枠本体102の板状の上部102aに形成された貫通孔を通って、枠本体102の内側に降ろされることができる。巻き上げ装置131は、チェーン、ワイヤ等を巻き取り及び引き出し可能な装置であり、本実施の形態では、ホイストで例示される電動式クレーンである。巻き上げ装置131は、移動用車両200の電源部204の複数の端子204bの1つと電気的に接続されるように構成され、電源部204を介して電力の供給を受ける。巻き上げ装置131は、巻き上げ装置131に備え付けられた操作ユニット131aに入力される操作指令に従って、フック132が取り付けられたチェーンの巻き上げ及び巻き下げを実施する。つまり、保持部133は、巻き上げ装置131によって、枠本体102の長手軸方向に吊り上げ及び吊り下げされ得る。
保持部133は、その下部に設けられた永電磁マグネット133aと、永電磁マグネット133aから下方に突出する位置合わせピン133bとを有している。永電磁マグネット133aは、移動用車両200の電源部204の複数の端子204bの1つと電気的に接続されるように構成され、電源部204を介して電力の供給を受ける。永電磁マグネット133aは、永久磁石と電磁石とを組み合わせて構成されている。永電磁マグネット133aは、電力が供給されない非通電時、永久磁石による磁気吸着力を有効にして磁気吸着力を発生し、通電時、電磁石の磁力により永久磁石の磁力をキャンセルし、磁気吸着力を無効化する。永電磁マグネット133aは、電源部204の入力部204aへの入力がなされると、通電する。入力部204aは、押しボタン等によって構成され得る。
図4及び図6を参照すると、保持部133の位置合わせピン133bは、重錘体120のベース体121の上面に形成された位置合わせ穴121a内に嵌る形状及び寸法を有している。これにより、保持部133が吊り降ろされてベース体121の上面に接触する際、位置合わせピン133bが位置合わせ穴121aに嵌り、それにより、保持部133が、ベース体121に対して所定の位置に位置決めされる。この過程において、位置合わせピン133bが位置合わせ穴121aに嵌合するまで、電源部204の入力部204aに押す等の操作をすることによって、保持部133の永電磁マグネット133aに磁気吸着力を発生させないようにすることができる。これにより、保持部133の位置決めが容易になる。そして、嵌合後に、入力部204aへの操作を解除することによって、永電磁マグネット133aがベース体121に吸着する。その後、巻き上げ装置131に巻き上げ動作させることによって、保持部133と共に重錘体120が吊り上げられ得る。
次に、本実施の形態に係る衝撃加振装置1の動作を説明する。なお、以下で説明する動作は、一例であり、各動作の内容、順序、手法等は任意に変更され得る。図1〜図4及び図6を参照すると、衝撃加振装置1は、例えば、橋梁の床板の路面上のような計測対象物10の表面11上の計測点に衝撃を加え、この際の衝撃力と表面11の変位つまりたわみ量とを計測する。計測点は複数であってもよい。計測点での計測のために、衝撃加振装置1の操作者は、衝撃加振装置1の装置本体100を計測点にまで移動する。この際、操作者は、移動用車両200に自走で移動させて、載置されている装置本体100の2つの係合部104内に2つのフォーク201を挿入する。フォーク201の挿入後、操作者は、固定部104aを用いて、係合部104をフォーク201に固定する。その後、操作者は、運転操作部202を操作して、装置本体100を持ち上げるようにフォーク201を上昇させ、計測点にまで移動用車両200を移動する。計測点付近への到着後、操作者は、移動用車両200を操作することによって、装置本体100の位置を、荷重受け部110が計測点の真上に位置するように、微調整する。装置本体100の位置調整完了後、操作者は、運転操作部202を操作してフォーク201を下降し、装置本体100を表面11上に載置する。
さらに、操作者は、4つの脚部103の長さを調節することによって、枠本体102の上部102a及び底部102bが水平になる、つまり枠本体102の長手軸方向が鉛直方向になるように、装置本体100の姿勢を調節する。脚部103が伸縮自在であるため、表面11が水平面に対して傾斜していても、装置本体100の姿勢調節が可能である。また、装置本体100の姿勢調節の際、荷重受け部110の載荷板111の略全体が表面11に接触し、且つ荷重受け部110の上下方向のスライド移動が枠本体102の底部102bによって制約を受けないように、表面11からの枠本体102の高さ位置も調節される。このとき、荷重受け部110の受け板部113の円板部113bは、枠本体102の底部102bと接触せず、底部102bの貫通孔102eの大径部102e1及び小径部102e2による段差部分よりも上方に位置する。
装置本体100の姿勢調節後、操作者は、操作ユニット131aを介して巻き上げ装置131を操作して、重錘体120のベース体121上に保持部133を降ろす。この際、操作者は、電源部204の入力部204aへ押圧等の入力を与えることによって、保持部133の永電磁マグネット133aに通電し、永電磁マグネット133aの磁気吸着力を無効化している。位置合わせピン133bがベース体121の位置合わせ穴121aに嵌り、保持部133がベース体121に対して位置決めされた後、操作者は、入力部204aへの入力を解除し、永電磁マグネット133aを非通電にする。それにより、永電磁マグネット133aは、磁気吸着力によりベース体121に吸着する。その後、操作者は、操作ユニット131aを介して巻き上げ装置131を操作して、重錘体120と共に保持部133を所定の高さにまで吊り上げる。重錘体120の所定の高さは、重錘体120の落下高さであり、荷重受け部110の受け板部113に対する重錘体120のベース体121の高さである。この場合、受け板部113に対するベース体121の高さは、ベース体121の平坦な下面と受け板部113上の緩衝部材114の突出端との間の距離としてもよい。なお、本実施の形態では、防護板106が透明であるため、ベース体121の高さ位置は、目視で確認しつつ調節されることが可能である。
重錘体120の吊り上げ後、操作者は、電源部204の入力部204aへ押圧等の入力を与える。これにより、永電磁マグネット133aの磁気吸着力が無効化され、重錘体120がガイド部材123に沿って枠本体102の上部102aから底部102bに向かう方向に、落下する。枠本体102が長手軸方向を鉛直方向にして配置されているため、ガイド部材123も鉛直方向に沿って延在する。このため、重錘体120は、略自由落下することができる。落下する重錘体120は、緩衝部材114に衝突し、緩衝部材114を変形させつつ、荷重受け部110を介して表面11に衝撃力を与える。緩衝部材114は、重錘体120の荷重受け部110への衝撃を緩衝して荷重受け部110の破損を抑えつつ、重錘体120の衝撃力を受け板部113に伝達する。さらに、緩衝部材114は、緩衝部材114の変形を復元する際の反発力を低く抑え且つ反発力を変形直後ではなく変形から遅れて発生するため、復元動作における跳ね返り動作を抑える。これにより、緩衝部材114による重錘体120の跳ね返り動作が抑えられる。さらに、緩衝部材114の動作と重錘体120の動作とが非同調になることが抑制される。例えば、緩衝部材114の伸縮方向と重錘体120の上下の動作方向とが逆になると、重錘体120の衝撃力は、緩衝部材114を介して荷重受け部110に、正確に反映されて伝達しない。
荷重受け部110の荷重計112は、衝撃力を受けた表面11からの反力を電気信号として検知し、情報処理部206に送信する。荷重計112が検知する反力は、重錘体120によって表面11に与えられる衝撃力に相当する。荷重受け部110の加速度センサ140は、載荷板111に垂直な方向の載荷板111の加速度を検知し、情報処理部206に送信する。本実施の形態では、情報処理部206は、受信した加速度を時間で二階積分することによって変位を算出する。算出された変位は、載荷板111の接触面111aに垂直な方向の載荷板111の変位に相当する。これにより、計測点における計測対象物10の表面11に作用する衝撃力と、上記衝撃力の作用時の表面11の変位つまりたわみ量とが、求められる。衝撃力とたわみ量との関係に基づき、計測対象物10の状態の評価が可能である。例えば、衝撃力に対する計測対象物10とたわみ量が閾値を超える場合、計測対象物10に許容を超える劣化又は破損が発生していると判断できる。
[実施例]
実施の形態に係る衝撃加振装置1の実施例1と、衝撃加振装置1と緩衝部材の構成が異なる衝撃加振装置の比較例1〜3との間で、緩衝部材の作用を以下で説明するように比較した。
実施例1では、荷重受け部110の受け板部113の円板部113bの表面113a上に、6つの三角柱形状の緩衝部材114が、それぞれの柱軸方向を円板部113bの半径方向にして環状に配置される。緩衝部材114は、直角二等辺三角形の断面形状を有している。緩衝部材114は、直角二等辺三角形の斜辺の位置に位置する側面を表面113aに接触させて配置される。緩衝部材114は、低反発ゴム材料で作製されており、低反発ゴム材料の反発弾性率は、10%である。
比較例1では、円板部113bの表面113a上に、29個の円錐状の緩衝部材が、それぞれの円形の底面を表面113aに接触させて配置される。29個の円錐状の緩衝部材は、表面113aの全体にわたって略均等に配置されている。円錐状の緩衝部材は、一般的なゴム材料で作製されており、ゴム材料の反発弾性率は、60%である。
比較例2では、円板部113bの表面113a上に、15個の円錐状の緩衝部材が、それぞれの円形の底面を表面113aに接触させて配置される。比較例2の円錐状の緩衝部材は、比較例1の円錐状の緩衝部材と同一の構成を有し同一の材料で作製されている。
比較例3では、円板部113bの表面113a上に、細長い直方体状の緩衝部材が、その長手を円板部113bの直径に沿わせるように配置される。直方体状の緩衝部材は、円板部113bの直径の略全体にわたり延在する。直方体状の緩衝部材は、実施例1の緩衝部材114と同一の材料で作製されている。
実施例1及び比較例1〜3の衝撃加振装置を用いて、計測対象物の表面に衝撃を加える衝撃試験を実施し、それぞれの衝撃加振装置から得られる計測結果を比較した。衝撃試験の実施時、各衝撃加振装置の装置本体100では、緩衝部材の頂部に対する重錘体120の落下高さを10cmとし、重錘体120の重量を220kgとした。図8には、実施の形態に係る衝撃加振装置1の実施例1及び比較例1〜3における衝撃試験実施時の衝撃力(単位:kN)と経過時間(単位:秒[s]との関係を示す図が示されている。なお、衝撃力は、装置本体100の荷重計112の計測結果であり、経過時間は、重錘体120の落下開始時点を零とする。図9には、実施例1及び比較例1〜3における衝撃試験実施時の力積(単位:kNs)と経過時間(単位:秒[s]との関係を示す図が示されている。力積は、図8の衝撃力を時間積分したものである。図9では、実施例1及び比較例1〜3における力積と、緩衝部材に衝突する直前、つまり10cm落下時における重錘体120の運動量である初期運動量とが比較されている。
図8を参照すると、直方体状の緩衝部材を備える比較例3では、衝撃力が衝突発生後の早期に急激に増加している。そして、衝撃力は、落下開始時点から約0.07秒後にピークに達している。一方、先細の断面形状の緩衝部材を備える実施例1並びに比較例1及び2では、衝撃力は、衝突発生後、緩やかに増加し、落下開始時点から約0.14秒〜約0.18秒後にピークに達している。つまり、比較例3の緩衝部材は、実施例1並びに比較例1及び2の緩衝部材よりも大幅に早く、衝突に対する抗力を生じる。衝突に対する抗力が衝突発生後の早期に急激に増加すると、重錘体120は落下速度が高い状態で大きい抗力を受けるため、緩衝部材に対して跳ね返る可能性が高くなる。重錘体120が緩衝部材に対して跳ね返ると、重錘体120の衝撃力は、その状態が正確に反映されずに荷重受け部110に伝達するため、荷重計112の計測結果の精度が低下する。
図9を参照すると、ゴム材料からなる緩衝部材を備える比較例1及び2では、力積が、重錘体120の初期運動量の2倍近くの値になる。この場合、重錘体120の反発係数が1に近い値になる。よって、重錘体120は、緩衝部材に与えた衝撃力に近い反発力を緩衝部材から受けることになり、緩衝部材に対して跳ね返る可能性が高くなる。一方、低反発ゴム材料からなる緩衝部材を備える実施例1及び比較例3では、力積は、重錘体120の初期運動量に近い値になる。よって、重錘体120は、緩衝部材から反発力をほとんど受けないことになり、緩衝部材に対して跳ね返る可能性が低くなる。
上述より、緩衝部材の断面形状を先細の形状とし且つ緩衝部材の構成材料を低反発ゴム材料とすることによって、重錘体120が緩衝部材に衝突する際に重錘体120が緩衝部材に対して跳ねる動作が大きく抑えられる。よって、荷重計112の計測結果の精度を高くすることが可能になる。
上述したように、本実施の形態に係る衝撃加振装置1は、計測対象物10の表面11に衝撃を加えることによって、計測対象物10の状態を評価する。衝撃加振装置1は、落下可能に配置される重錘体120と、計測対象物10の表面11上に載置され且つ重錘体120が落下する荷重計112であって、落下する重錘体120が計測対象物10に与える衝撃力を検知する荷重計112と、荷重計112の上に配置され且つ荷重計112に落下する重錘体120の衝撃を緩衝する緩衝部材114と、計測対象物10の表面11の変位を検出する加速度センサ140とを備える。緩衝部材114は、弾性を有する低反発樹脂材料で形成され、重錘体120が落下する方向に向かって末広がりになる断面形状を有する。さらに、低反発樹脂材料は、反発弾性率が0%以上15%以下である特性を有する。
上述の構成において、緩衝部材114は、弾性を有する低反発樹脂材料で形成されるため、重錘体120の衝突を受けて圧縮変形した際の反発力を低く抑え且つ反発力の発生を遅くすることができる。さらに、緩衝部材114は、重錘体120が落下する方向に向かって末広がりになる断面形状を有するため、緩衝部材114への重錘体120の衝突初期での衝突に対する抗力の増加を穏やかにする。これにより、重錘体120が緩衝部材114に対して跳ね返ることが抑えられる。上述のように、緩衝部材114が、衝突の際の重錘体120の跳ね返りを低く抑えるため、緩衝部材114に作用する衝撃力、つまり重錘体120の重量が増加しても、計測結果の精度は高く維持され得る。よって、衝撃加振装置1は、落下させる重錘体120の重量の増大を可能にする。
実施の形態に係る衝撃加振装置1は、重錘体120を吊り上げ及び吊り下げ可能な吊上げ装置130を備える。吊上げ装置130は、重錘体120を吸着して保持する永電磁マグネット133aを含む保持部133を有し、永電磁マグネット133aは、非通電時に重錘体120を吸着する磁力を生じ、通電時に上記磁力をキャンセルする。上述の構成において、重錘体120の重量が大きい場合でも、重錘体120の取り扱いが容易になる。さらに、永電磁マグネット133aは、通電時にのみ重錘体120を吸着する磁力をキャンセルする構成であるため、重錘体120の安全な取り扱いが可能になる。よって、落下させる重錘体120の重量の増大が可能になる。また、永電磁マグネット133aは、磁力をキャンセルする瞬間にのみ電力を消費するため、衝撃加振装置1の省電力化が可能になる。
実施の形態に係る衝撃加振装置1は、重錘体120、荷重計112及び吊上げ装置130を保持する枠体101と、枠体101を移動する移動用車両200とを備える。さらに、枠体101は、枠体101を移動可能に移動用車両200の一部が係合する係合部104を有し、移動用車両200は、永電磁マグネット133aへの通電及び非通電を制御する電源部204の入力部204aを有する。上述の構成において、移動用車両200によって、枠体101の移動が容易になる。さらに、永電磁マグネット133aへの通電及び非通電を制御する入力部204aが、枠体101とは別の位置である移動用車両200上に位置するため、重錘体120から離れた位置での重錘体120の落下動作の制御が可能になる。よって、重錘体120の重量が増大しても、安全で安定した重錘体120の落下動作の制御が可能になる。また、荷重計112及び吊上げ装置130等の衝撃加振装置1の電気的な構成要素は、その電力源として移動用車両200のバッテリ205を使用することができる。これにより、電気的な構成要素は、十分な電力供給を受けることができる。
実施の形態に係る衝撃加振装置1において、重錘体120は、ベース体121と、ベース体121に着脱可能な少なくとも1つの重錘122とを有する。上述の構成において、必要に応じた重錘122の重量の変更が可能になる。
実施の形態に係る衝撃加振装置1は、重錘体120の昇降移動を案内する複数のガイド部材123を備える。上述の構成において、複数のガイド部材123が設けられるため、ガイド部材123は、重錘体120の落下動作を安定して案内することができる。さらに、複数のガイド部材123は、重錘体120の移動を複数の位置で制限するため、ガイド部材123の周りの回転動作等の不要な重錘体120の動作を制限した状態での重錘体120の落下動作を可能にする。よって、重錘体120の重量が増大しても、安定した重錘体120の落下動作が可能になる。
実施の形態に係る衝撃加振装置1において、緩衝部材114は、柱状形状を有し、柱軸方向を緩衝部材114が配置される表面113aに沿う方向にして配置される。上述の構成において、緩衝部材114の断面性能が向上するため、衝撃に対する緩衝部材114の耐力の増加が可能になる。よって、重錘体120の重量の増大が可能になる。
実施の形態に係る衝撃加振装置1において、複数の緩衝部材114が、設けられ、複数の緩衝部材114は、緩衝部材114が配置される表面113a上で環状に配置される。上述の構成において、表面113a上での複数の緩衝部材114の略均等な配置が可能になる。これにより、複数の緩衝部材114は、重錘体120の衝撃力を略均等に分散して受け、荷重計112に伝達することができる。よって、緩衝部材114に要求される耐力の低減と、荷重計112の計測精度の向上とが、可能になる。
[その他の変形例]
以上、本発明の実施の形態係る衝撃加振装置について説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
実施の形態に係る衝撃加振装置1では、装置本体100は、枠本体102に、キャスター等の車輪を備えてもよい。この場合、車輪を制止するストッパが車輪に設けられてもよく、脚部103を伸ばして車輪を計測対象物10の表面11から離すことによって、脚部103がストッパとして機能する構成であってもよい。枠本体102が車輪を備えることによって、短い距離での装置本体100の移動、計測点に対する装置本体100の位置調整等が容易になる。
実施の形態に係る衝撃加振装置1の装置本体100では、吊上げ装置130は、ホイストで例示される電動式クレーンで構成される巻き上げ装置131を備えていたが、これに限定されるものでない。吊上げ装置130は、電動式ウィンチ等で構成される任意の電動式の巻き上げ装置を備えてもよく、手動式ウィンチ、手動チェーンブロック等で構成される手動式の巻き上げ装置を備えてもよい。
実施の形態に係る衝撃加振装置1の装置本体100では、吊上げ装置130の保持部133は、重錘体120を吊り上げるために、永電磁マグネット133aを備えていたが、これに限定されるものでない。保持部133は、重錘体120を保持及び保持解除することが可能な構成を有していればよい。例えば、保持部133は、通電時に磁気吸着力を生じる電磁石を備えてもよく、重錘体120に係合及び係合解除することが可能な構成を備えてもよく、重錘体120に嵌合及び嵌合解除することが可能な構成を備えてもよく、重錘体120を把持及び把持解除する可能な構成を備えてもよい。
実施の形態に係る衝撃加振装置1の装置本体100では、加速度センサ140は、荷重計112の内側の載荷板111上に配置されていたが、これに限定されるものでない。加速度センサ140は、載荷板111と同様の挙動をする荷重計112又は受け板部113に配置されてもよい。或いは、加速度センサ140は、計測対象物10の表面11上における装置本体100の近傍に配置されてもよい。落下する重錘体120が緩衝部材114に衝突した際、荷重受け部110に発生する振動よりも、計測対象物10の表面11に発生する振動の方が小さい。このため、加速度センサ140が設置面から跳ね上がることが抑えられ、加速度センサ140の検知精度の向上が可能になる。
実施の形態に係る衝撃加振装置1の装置本体100では、計測対象物10の表面11の変位を検出する変位検出装置として、加速度センサ140が使用されていたが、これに限定されるものでない。計測対象物10の表面11の変位を検出可能であれば、ひずみセンサ等のいかなる検知機器が変位検出装置として使用されてもよい。
実施の形態に係る衝撃加振装置1では、移動用車両200は、フォークリフトで構成されていたが、これに限定されるものでない。移動用車両200は、装置本体100を持ち上げて移動できる車両であればよく、例えば装置本体100を吊り上げる構成を有する車両でもよい。さらに、移動用車両200は、移動用の動力源を備える車両であってもよく、人力で移動される車両であってもよい。
1 衝撃加振装置
10 計測対象物
11 表面
100 装置本体
101 枠体
104 係合部
112 荷重計
114 緩衝部材
120 重錘体
121 ベース体
122 重錘
123 ガイド部材(ガイド)
130 吊上げ装置
133 保持部
133a 永電磁マグネット
140 加速度センサ(変位検出装置)
200 移動用車両
204 電源部
204a 入力部(操作部)

Claims (8)

  1. 計測対象物の表面に衝撃を加えることによって、前記計測対象物の状態を評価するための衝撃加振装置であって、
    落下可能に配置される重錘体と、
    前記計測対象物の表面上に載置され、前記重錘体が落下する荷重計であって、落下する前記重錘体が前記計測対象物に与える衝撃力を検知する荷重計と、
    前記荷重計の上に配置され、前記荷重計に落下する前記重錘体の衝撃を緩衝する緩衝部材と、
    前記計測対象物の表面の変位を検出する変位検出装置と
    を備え、
    前記緩衝部材は、弾性を有する低反発樹脂材料で形成され、前記重錘体が落下する方向に向かって末広がりになる断面形状を有する
    衝撃加振装置。
  2. 前記低反発樹脂材料は、反発弾性率が0%以上15%以下である特性を有する
    請求項1に記載の衝撃加振装置。
  3. 前記重錘体を吊り上げ及び吊り下げ可能な吊上げ装置をさらに備え、
    前記吊上げ装置は、前記重錘体を吸着して保持する永電磁マグネットを含む保持部を有し、
    前記永電磁マグネットは、非通電時に前記重錘体を吸着する磁力を生じ、通電時に前記磁力をキャンセルする
    請求項1または2に記載の衝撃加振装置。
  4. 前記重錘体、前記荷重計及び前記吊上げ装置を保持する枠体と、
    前記枠体を移動する車両と
    をさらに備え、
    前記枠体は、前記枠体を移動可能に前記車両の一部が係合する係合部を有し、
    前記車両は、前記永電磁マグネットへの通電及び非通電を制御する操作部を有する
    請求項3に記載の衝撃加振装置。
  5. 前記重錘体は、ベース体と、前記ベース体に着脱可能な少なくとも1つの重錘とを有する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の衝撃加振装置。
  6. 前記重錘体の昇降移動を案内する複数のガイドをさらに備える
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の衝撃加振装置。
  7. 前記緩衝部材は、柱状形状を有し、柱軸方向を前記緩衝部材が配置される表面に沿う方向にして配置される
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の衝撃加振装置。
  8. 複数の前記緩衝部材が、設けられ、
    前記複数の緩衝部材は、前記緩衝部材が配置される表面上で環状に配置される
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の衝撃加振装置。
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