JP2017193684A - エラストマー組成物 - Google Patents

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八木 啓介
Keisuke Yagi
啓介 八木
丈裕 巨勢
Takehiro Kose
丈裕 巨勢
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Mitsuru Seki
満 関
智子 安田
Tomoko Yasuda
智子 安田
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Abstract

【課題】架橋反応性および押出成形性に優れたエラストマー組成物を提供する。
【解決手段】ヨウ素原子を有すると共に、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(a)と、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有し、ヨウ素原子を有さない含フッ素弾性共重合体(b)とを含有し、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(b)との質量比[(a)/(b)]が1/99〜99/1であるエラストマー組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、エラストマー組成物に関する。
含フッ素弾性共重合体は、耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐候性等の特性に優れることから、炭化水素系重合体が耐えられないような過酷な環境下での使用に適している。含フッ素弾性共重合体としては、例えば、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(FKM)、テトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体(FEPM)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体(FFKM)等が知られている。
含フッ素弾性共重合体の機械的物性(強度、伸度、圧縮永久歪特性等)を向上させるため、含フッ素弾性共重合体を架橋させ、架橋物とすることが行われている。
含フッ素弾性共重合体は一般に架橋反応性に乏しく、含フッ素弾性共重合体の架橋反応性を高めるために種々の検討がなされている。
特許文献1には、テトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体と有機過酸化物との混合物を熱処理することにより炭素−炭素不飽和結合を導入し、赤外吸収スペクトルの1640〜1700cm−1に吸収ピークを有するものとした架橋性含フッ素エラストマーが提案されている。
特許文献2〜3には、特定の連鎖移動剤の存在下で重合を行い、分子鎖末端にヨウ素原子を含有させたテトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体が提案されている。
特開2008−1875号公報 国際公開第2009/119202号 国際公開第2010/053056号
特許文献1の技術では、架橋反応性は依然として充分ではない。
また、本発明者らの検討によれば、従来汎用されているテトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体は、押出成形性が低く、押出成形して得られる成形品の表面平滑性が低い問題がある。特許文献1〜3では、押出成形性については検討されていない。
よって本発明の目的は、架橋反応性および押出成形性に優れたエラストマー組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]ヨウ素原子を有すると共に、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(a)と、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有し、ヨウ素原子を有さない含フッ素弾性共重合体(b)とを含有し、
前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(b)との質量比[(a)/(b)]が1/99〜99/1であるエラストマー組成物。
[2]前記含フッ素弾性共重合体(a)が、下記式(I)、(II)または(III)で表される単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に基づく構成単位をさらに有する[1]に記載のエラストマー組成物。
CR=CR−R−CR=CR ・・・(I)
CR=CR10−OCO−R11−COO−CR12=CR1314・・・(II)
CR1516=CR17COOCH=CH ・・・(III)
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R12、R13、R14およびR17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはメチル基を示し、RおよびR11はそれぞれ独立に、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基、またはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のフルオロアルキレン基を示し、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、またはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。)
[3]前記含フッ素弾性共重合体(b)が、その赤外吸収スペクトルの1640〜1700cm−1に吸収ピークを有する、[1]または[2]に記載のエラストマー組成物。
[4]前記含フッ素弾性共重合体(b)が、分子中に炭素原子間二重結合を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載のエラストマー組成物。
本発明によれば、架橋反応性および押出成形性に優れたエラストマー組成物を提供できる。
本明細書における下記の用語の意味は以下のとおりである。
「単量体」とは、重合性不飽和結合を有する化合物を意味する。重合性不飽和結合としては、炭素原子間の二重結合(C=C)、三重結合(C≡C)等が挙げられ、二重結合が好ましい。
「構成単位」とは、単量体が重合することによって形成された当該単量体に由来する単位を意味する。構成単位は、単量体の重合反応によって直接形成された単位であってもよく、重合体を処理することによって当該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「重合体」とは、単独重合体と共重合体とを含む概念であり、単独重合体であっても共重合体であってもよい。
「含フッ素弾性共重合体」は、フッ素ゴムまたは含フッ素エラストマーとも称される、融点を持たない含フッ素共重合体である。
以下においては、テトラフルオロエチレンをTFE、ヘキサフルオロプロピレンをHFP、フッ化ビニリデンをVdF、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)をPAVE、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)をPMVE、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)をPPVE、プロピレンをP、と記す。
必須の構成単位としてTFEに基づく構成単位とPに基づく構成単位とを有し、必要に応じて他の構成単位をさらに有していてもよい共重合体を「TFE/P系共重合体」とも記す。必須の構成単位が異なる他の共重合体についても同様である。
TFEに基づく構成単位とPに基づく構成単位とからなる共重合体を「TFE/P共重合体」とも記す。必須の構成単位が異なる他の共重合体についても同様である。
本発明のエラストマー組成物(以下、「本エラストマー組成物」とも記す)は、以下の含フッ素弾性共重合体(a)と含フッ素弾性共重合体(b)とを含有する。
<含フッ素弾性共重合体(a)>
含フッ素弾性共重合体(a)は、ヨウ素原子を有すると共に、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体である。
含フッ素弾性共重合体(a)中のヨウ素原子は、当該共重合体(高分子鎖)の末端にあってもよく、側基にあってもよく、それらの両方にあってもよい。架橋反応性の点で、少なくとも高分子鎖の末端にあることが好ましい。ここで、高分子鎖の末端とは、主鎖の末端及び分岐鎖の末端の両方を含む概念とする。
含本エラストマー組成物フッ素弾性共重合体(a)中のヨウ素原子の含有量は、含フッ素弾性共重合体(a)の全質量に対し、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.05〜2.0質量%がより好ましく、0.05〜1.0質量%が最も好ましい。ヨウ素原子の含有量が前記範囲にあると、架橋反応性がより一層優れ、本エラストマー組成物の架橋物の機械的物性がより一層優れる。
含フッ素弾性共重合体(a)において、TFEに基づく構成単位とPに基づく構成単位とのモル比[TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位]は、30/70〜99/1が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。この範囲にあると、架橋物の機械的物性、耐熱性、耐薬品性(耐アルカリ性等)、耐油性および耐候性がより優れる。
TFEに基づく構成単位とPに基づく構成単位との合計量は、含フッ素弾性共重合体(a)を構成する全構成単位の合計に対し、99モル%以上が好ましい。
含フッ素弾性共重合体(a)は、必要に応じて、TFEおよびP以外の他の単量体に基づく構成単位をさらに有していてもよい。他の単量体としては、例えば、以下に示す単量体(m1)、単量体(m2)等が挙げられる。
単量体(m1)は、下記式(I)、(II)または(III)で表される単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体である。
単量体(m1)をTFEおよびPと共重合させると、重合中に単量体(m1)の両末端にある重合性二重結合が反応し、分岐鎖を有する含フッ素弾性共重合体が得られる。
含フッ素弾性共重合体(a)が単量体(m1)に基づく構成単位をさらに有するものであれば、架橋反応性、架橋物の引張強さ及び高温下での圧縮永久歪特性等の機械的物性がより優れる。
CR=CR−R−CR=CR ・・・(I)
CR=CR10−OCO−R11−COO−CR12=CR1314 ・・・(II)
CR1516=CR17COOCH=CH ・・・(III)
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R12、R13、R14およびR17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはメチル基を示し、RおよびR11はそれぞれ独立に、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基、またはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のフルオロアルキレン基を示し、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、またはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。)
前記式(I)で表される単量体としては、炭素原子数1〜10のアルキレン基またはフルオロアルキレン基の両末端の各々に、エーテル性酸素を介在して、または介さずに、ビニル基、アリル基及びブテニル基から独立して選ばれる基が結合した化合物が挙げられる。エーテル性酸素が介在する場合の例として、ジビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ブテニルビニルエーテル、フルオロ(ジビニルエーテル)、フルオロ(アリルビニルエーテル)、フルオロ(ブテニルビニルエーテル)等が挙げられる。
前記式(I)においては、架橋反応性および耐熱性を高める観点から、R、R、R、R、RおよびRがそれぞれ独立にフッ素原子又は水素原子であることが好ましく、R、R、R、R、RおよびRの全てがフッ素原子であることがより好ましい。
のアルキレン基またはフルオロアルキレン基は、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよく、直鎖であることが好ましい。Rの炭素原子数は、2〜8が好ましく、3〜7がより好ましく、3〜6がさらに好ましく、3〜5が特に好ましい。Rにおけるエーテル性酸素原子の数は、0〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましい。これらの好適なRであると、架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪特性等の機械的物性がより優れる。
としては、架橋物の耐熱性、ポリマー着色抑制の点から、フルオロアルキレン基が好ましく、パーフルオロアルキレン基が特に好ましい。
前記式(I)で表される単量体の好適な具体例としては、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF、CH=CH(CFCH=CH等が挙げられる。
前記式(II)で表される単量体としては、ジビニルエステル、アリルビニルエステル、ブテニルビニルエステル等が挙げられる。
前記式(II)においては、R、R、R10、R12、R13およびR14が水素原子であることが好ましい。
11としては、Rと同様のものが挙げられる。炭素原子数の好ましい範囲も同様である。R11におけるエーテル性酸素原子の数は、0〜1個が好ましく、0個がより好ましい。
前記式(II)で表される単量体の好適な具体例としては、アジピン酸ジビニルが挙げられる。
前記式(III)においては、R16およびR17が水素原子であることが好ましい。
前記式(III)の好適な具体例としては、クロトン酸ビニル、メタクリル酸ビニル等が挙げられ、クロトン酸ビニルが特に好ましい。
単量体(m1)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
含フッ素弾性共重合体(a)が単量体(m1)に基づく構成単位を有する場合、単量体(m1)に基づく構成単位の含有量は、含フッ素弾性共重合体(a)を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対し、0.01〜2モル%が好ましく、0.01〜2モル%がより好ましく、0.01〜0.5モル%がさらに好ましい。前記範囲の下限値以上であると、架橋反応性が優れ、架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪等の機械的物性がより一層優れる。前記範囲の上限値以下であると、架橋物の上記優れた物性を維持しつつ、高温下で折り曲げ等の応力が加えられた場合の割れを確実に防ぐ又はより一層低減することができる。
単量体(m2)は、TFE、Pおよび単量体(m1)以外の単量体である。
単量体(m2)としては、TFEおよびPと共重合可能なものであればよく、例えばHFP、VdF、クロロトリフルオロエチレン、PAVE、フッ化ビニル、ペンタフルオロプロピレン、パーフルオロシクロブテン、(パーフルオロアルキル)エチレン類(例えばCH=CHCF、CH=CHCFCF、CH=CHCFCFCF、CH=CHCFCFCFCF、CH=CHCFCFCFCFCF等)等の含フッ素系単量体;エチレン、イソブチレン、ペンテン等のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル等のビニルエステル類等の非フッ素系単量体;等が挙げられる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。上記のなかでも、PAVEが好ましい。
PAVEとしては、例えばCF=CF−O−R(式中、Rはエーテル性酸素原子を有してもよい炭素原子数1〜20のパーフルオロアルキル基である。)が挙げられる。
のパーフルオロアルキル基は、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよい。パーフルオロアルキル基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が特に好ましい。
パーフルオロアルキル基がエーテル性酸素原子を有する場合、パーフルオロアルキル基が有するエーテル性酸素原子の数は1つでもよく2つ以上でもよい。エーテル性酸素原子とは、炭素原子−炭素原子間に存在する酸素原子(−O−)である。したがって、Rのパーフルオロアルキル基がエーテル性酸素原子を有する場合、前記のRの炭素原子数の各範囲の下限は2となる。
PAVEの具体例としては、PMVE、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、PPVE、パーフルオロ(3,6−ジオキサ−1−ヘプテン)、パーフルオロ(3,6−ジオキサ−1−オクテン)、パーフルオロ(5−メチル−3,6−ジオキサ−1−ノネン)等が挙げられる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。上記の中でもPMVEが好ましい。
単量体(m2)として、ヨウ素原子を有する単量体を使用してもよい。ヨウ素原子を有する単量体を共重合させると、含フッ素弾性共重合体(a)の側基にヨウ素原子が導入される。
ヨウ素原子を有する単量体としては、例えばヨードエチレン、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテン、2−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロ−1−ビニロキシエタン、2−ヨードエチルビニルエーテル、アリルヨージド、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヨード−1−(パーフルオロビニロキシ)プロパン、3,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−ヨードペンテン、ヨードトリフルオロエチレン、2−ヨードパーフルオロ(エチルビニルエーテル)等が挙げられる。
単量体(m2)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
含フッ素弾性共重合体(a)が単量体(m2)に基づく構成単位を有する場合、単量体(m2)に基づく構成単位の含有量は、含フッ素弾性共重合体(a)を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対し、0.001〜2.0モル%が好ましく、0.01〜1.0モル%がより好ましく、0.01〜0.5モル%が特に好ましい。
含フッ素弾性共重合体(a)としては、下記(X1)〜(X8)のいずれかの組み合わせの構成単位からなる共重合体が好ましい。これらの共重合体はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
含フッ素弾性共重合体(a)の架橋反応性が優れ、さらに架橋物の機械的物性、耐熱性、耐薬品性(耐アルカリ性等)、耐油性および耐候性がより優れることから、(X1)、(X2)、(X4)、(X5)、(X6)、(X8)がより好ましく、(X1)、(X5)がさらに好ましく、(X8)が特に好ましい。
(X1):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位との組み合わせ。
(X2):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、VdFに基づく構成単位との組み合わせ。
(X3):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、PPVEに基づく構成単位との組み合わせ。
(X4):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、PMVEに基づく構成単位との組み合わせ。
(X5):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位の組み合わせ。
(X6):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位と、VdFに基づく構成単位との組み合わせ。
(X7):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位と、PPVEに基づく構成単位との組み合わせ。
(X8):TFEに基づく構成単位と、Pに基づく構成単位と、CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位と、PMVEに基づく構成単位との組み合わせ。
(X1)〜(X8)における共重合組成は下記のモル比であることが好ましい。下記のモル比であると、共重合体の架橋反応性がより一層優れ、さらに架橋物の機械的物性、耐熱性、耐薬品性(耐アルカリ性等)、耐油性および耐候性が優れる。
(X1):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位=40/60〜60/40(モル比)。
(X2):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/VdFに基づく構成単位=40〜59/59〜40/1〜10(モル比)。
(X3):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/PPVEに基づく構成単位=30〜60/10〜40/10〜40(モル比)。
(X4):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/PMVEに基づく構成単位=30〜60/10〜40/10〜40(モル比)。
(X5):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位=30〜60/10〜40/0.01〜3(モル比)。
(X6):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位/VdFに基づく構成単位=30〜60/10〜40/0.01〜3/1〜10(モル比)。
(X7):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位/PPVEに基づく構成単位=30〜60/10〜40/0.01〜3/10〜40(モル比)。
(X8):TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位/CR=CR−R−CR=CRに基づく構成単位/PMVEに基づく構成単位=30〜60/10〜40/0.01〜3/10〜40(モル比)。
含フッ素弾性共重合体(a)のムーニー粘度は、10〜200が好ましく、20〜180がより好ましく、30〜170がさらに好ましい。ムーニー粘度は、分子量の目安であり、大きいと分子量が大きく、小さいと分子量が小さいことを示す。ムーニー粘度が前記範囲にあれば、加工性および架橋物の機械的物性が良好となる。
ムーニー粘度は、JIS K6300−1:2013に準じて測定される値である。
含フッ素弾性共重合体(a)の貯蔵せん断弾性率G’は、100kPa〜600kPaが好ましく、200kPa〜500kPaがより好ましく、200kPa〜400kPaがさらに好ましい。貯蔵せん断弾性率G’が大きい方が、重合体の分子量が大きく、分子鎖の絡み合いの密度も高いことを示す。貯蔵せん断弾性率G’ が前記範囲にあれば、加工性および架橋物の機械的物性が良好となる。
貯蔵せん断弾性率G’は、ASTM D5289およびD6204に従い、温度100℃、振幅0.5度、振動数50回/分で測定される値である。
含フッ素弾性共重合体(a)のガラス転移温度(以下、Tgという。)は、5℃以下が好ましく、−10〜5℃がより好ましく、−10〜0℃がさらに好ましい。Tgが前記上限値以下であれば、低温特性がより優れる。
Tgは、後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
含フッ素弾性共重合体(a)は、例えば、ラジカル重合開始剤および式RI(式中、Rは炭素原子数3以上のアルキレン基又はパーフルオロアルキレン基である。)で表されるヨード化合物の存在下、TFEと、Pと、必要に応じて単量体(m1)および単量体(m2)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを共重合する製造方法により製造できる。
前記ヨード化合物は、連鎖移動剤として機能するため、前記ヨード化合物の存在下で各単量体を共重合させると、含フッ素弾性共重合体の主鎖末端にヨウ素原子を結合させることができる。また、単量体(m1)を共重合させる場合、分岐鎖を有する含フッ素弾性共重合体が得られるが、この分岐鎖末端にも同様にヨウ素原子を結合させることができる。したがって、ヨウ素原子を有する高分子鎖末端は、主鎖末端であってもよいし、分岐鎖末端であってもよい。
上記製造方法による含フッ素弾性共重合体(a)の製造は、国際公開第2009/119202号、国際公開第2010/053056号等に開示されている方法を利用して行うことができる。
<含フッ素弾性共重合体(b)>
含フッ素弾性共重合体(b)は、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有し、ヨウ素原子を有さない含フッ素弾性共重合体である。
含フッ素弾性共重合体(b)において、TFEに基づく構成単位とPに基づく構成単位とのモル比[TFEに基づく構成単位/Pに基づく構成単位]の好ましい範囲は、含フッ素弾性共重合体(a)と同様である。
TFEに基づく構成単位とPに基づく構成単位との合計量は、含フッ素弾性共重合体(b)を構成する全構成単位の合計に対し、99モル%以上が好ましい。
含フッ素弾性共重合体(b)は、必要に応じて、TFEおよびP以外の他の単量体に基づく構成単位をさらに有していてもよい。
他の単量体としては、例えば前述の単量体(m1)、単量体(m2)(ただしヨウ素原子を有する単量体を除く)等が挙げられる。
含フッ素弾性共重合体(b)が単量体(m1)に基づく構成単位を有する場合、その好ましい含有量は含フッ素弾性共重合体(a)と同様である。含フッ素弾性共重合体(b)が単量体(m2)に基づく構成単位を有する場合、その好ましい含有量は含フッ素弾性共重合体(a)と同様である。
含フッ素弾性共重合体(b)としては、前記(X1)〜(X4)のいずれかの組み合わせの構成単位からなる共重合体が好ましい。これらの組み合わせの中でも、(X1)、(X2)、(X4)がより好ましく、(X1)がさらに好ましい。
含フッ素弾性共重合体(b)は、その赤外吸収スペクトルの1640〜1700cm−1(より好ましくは1660〜1700cm−1、さらに好ましくは1680〜1700cm−1)に吸収ピークを有することが好ましい。この吸収ピークを有すると、架橋反応性がより優れる。また、エラストマー組成物の押出成形性、架橋物の強度がより優れる。
上記の波数範囲内に観察される吸収ピークは、炭素原子間二重結合に帰属される。したがって、この吸収ピークを有する含フッ素弾性共重合体は、分子中に炭素原子間二重結合(C=C)を有するものである。
含フッ素弾性共重合体(b)のムーニー粘度は、10〜200が好ましく、20〜180がより好ましく、30〜170がさらに好ましい。含フッ素弾性共重合体(b)のムーニー粘度が前記範囲にあれば、加工性、及び架橋物の機械的特性がより優れる。
含フッ素弾性共重合体(b)の貯蔵せん断弾性率G’は、100〜600kPaが好ましく、100〜500kPaがより好ましく、100〜400kPaがさらに好ましい。含フッ素弾性共重合体(b)の貯蔵せん断弾性率G’が前記範囲にあれば、加工性及び、架橋物の機械的特性がより優れる。
含フッ素弾性共重合体(b)のTgは、5℃以下が好ましく、−10〜5℃がより好ましく、−10〜0℃がさらに好ましい。Tgが前記上限値以下であれば、低温特性がより優れる。
含フッ素弾性共重合体(b)は、公知の製造方法により製造できる。
例えば、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有し、架橋性官能基を有さない含フッ素弾性共重合体(b’)と有機過酸化物とを混合し、110〜380℃で10秒〜3時間の条件で熱処理する製造方法が挙げられる。
架橋性官能基としては、ヨウ素原子、臭素原子、炭素原子間不飽和結合、シアノ基、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基等)等が挙げられる。
前記熱処理を行うことで、含フッ素弾性共重合体(b’)の分子中に炭素原子間二重結合が導入される。そのため、この製造方法によれば、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有し、ヨウ素原子を有さず、赤外吸収スペクトルの1640〜1700cm−1に吸収ピークを有する含フッ素弾性共重合体が得られる。
上記製造方法による含フッ素弾性共重合体の製造は、特開2008−1875号公報に開示されている方法に従って行うことができる。
<他の成分>
本エラストマー組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、前記含フッ素弾性共重合体(a)および前記含フッ素弾性共重合体(b)以外の他の成分をさらに含有してもよい。
他の成分としては、例えば、前記含フッ素弾性共重合体(a)および前記含フッ素弾性共重合体(b)以外の他のエラストマー、添加剤等が挙げられる。
他のエラストマーとしては、例えば、TFE/P系共重合体(ただし含フッ素弾性共重合体(a)および含フッ素弾性共重合体(b)を除く)、ヘキサフルオロプロピレン/VdF系共重合体、TFE/PAVE系共重合体等が挙げられる。
添加剤としては、公知の添加剤を用いることができ、例えば有機過酸化物、架橋助剤、金属酸化物、着色顔料、充填剤、補強剤等が挙げられる。
有機過酸化物は、本エラストマー組成物を架橋物とするために用いられる。
有機過酸化物としては、例えば、ジアルキルパーオキシド類、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシマレイン酸、tert−ブチルパーオキシソプロピルカーボネート等が挙げられる。これらのうち、ジアルキルパーオキシド類が好ましい。
ジアルキルパーオキシド類としては、例えば、ジtert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等が挙げられる。
架橋助剤は、本エラストマー組成物を有機過酸化物で架橋して架橋物とする際の架橋反応性をさらに高めるために用いられる。
架橋助剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリアリルトリメリテート、m−フェニレンジアミンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、N,N’,N’’,N’’’−テトラアリルテレフタールアミド、ビニル基含有シロキサンオリゴマー(ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルビニルシロキサン等)等が挙げられる。これらのうち、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートが好ましく、トリアリルイソシアヌレートがより好ましい。
金属酸化物は、架橋反応促進のために用いられる。
金属酸化物としては、2価金属の酸化物が好ましい。2価金属の酸化物としては、例えば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛等が挙げられる。
充填剤または補強剤としては、例えばカーボンブラック、酸化チタン、二酸化珪素、クレー、タルク、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、四フッ化エチレン/エチレン共重合体、四フッ化エチレン/フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。
<配合比>
本エラストマー組成物において、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(b)との質量比[(a)/(b)]は、1/99〜99/1であり、10/90〜90/10が好ましく、70/30〜30/70がより好ましい。含フッ素弾性共重合体(a)の配合比が前記範囲の下限値以上であれば、本エラストマー組成物の押出成形性、架橋反応性が優れる。含フッ素弾性共重合体(b)の配合比が前記範囲の下限値以上であれば、架橋物にした時の伸度が優れる。
他のエラストマーの含有量は、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(b)との合計100質量部に対して、0〜10質量部が好ましい。
本エラストマー組成物が有機過酸化物を含有する場合、有機過酸化物の含有量は、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(b)との合計100質量部に対して、0.3〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部がさらに好ましい。有機過酸化物の含有量が上記範囲にあると、架橋速度が適切で、得られた架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪特性がより優れる。
本エラストマー組成物が架橋助剤を含有する場合、架橋助剤の含有量は、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(b)との合計100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。架橋助剤の含有量が上記範囲にあると、架橋速度が適切で、得られた架橋物の引張強さ、高温下での圧縮永久歪特性がより優れる。
本エラストマー組成物が金属酸化物を含有する場合、金属酸化物の含有量は、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(b)との合計100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
<製造方法>
本エラストマー組成物は、含フッ素弾性共重合体(a)と、含フッ素弾性共重合体(b)と、必要に応じて他の成分を混合することにより製造できる。
各成分の混合は、例えば、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押し出し機等の公知の混練装置を用いて行うことができる。
<用途>
本エラストマー組成物は、架橋させて架橋物とすることができる。
本エラストマー組成物の架橋方法としては、例えば本エラストマー組成物を加熱する方法、本エラストマー組成物に放射線を照射する方法等が挙げられる。加熱により架橋させる方法の具体例としては、加熱プレス架橋、スチーム架橋、熱風架橋等が挙げられる。照射する放射線としては、電子線、紫外線等が挙げられる。電子線照射における照射量は、0.1〜30Mradが好ましく、1〜20Mradがより好ましい。架橋方法は、架橋物の形状や用途を考慮して適宜選択すればよい。
本エラストマー組成物を加熱により架橋させる場合、本エラストマー組成物は、有機過酸化物を含有することが好ましい。放射線照射により架橋する場合には、本エラストマー組成物は有機過酸化物を含有しない組成物であってもよい。
架橋物の製造方法の一例として、本エラストマー組成物の成形および一次架橋を行って成形体を得て、次いで二次架橋を行って架橋物を得る方法が挙げられる。二次架橋は必須ではないが、二次架橋を行うことにより、架橋物の機械特性、圧縮永久歪、その他の特性を安定化したり、向上させたりすることができる。
本エラストマー組成物の成形方法としては、圧縮成形法、射出成形法、押出成形法、カレンダー成形法、又は溶剤に溶かしてディッピング、コーティングして成形する方法等が挙げられる。本発明の有用性の点では、押出成形法が好ましい。
本エラストマー組成物の一次架橋方法としては、前記で挙げた架橋方法が挙げられる。一次架橋を加熱により行う場合、その加熱条件は、100〜400℃で数秒〜24時間の範囲が好ましい。
本エラストマー組成物を成形した後に一次架橋させてもよく、本エラストマー組成物を架橋させた後に成形してもよい。本エラストマー組成物を加熱プレスする方法によって、本エラストマー組成物を成形すると同時に架橋することもできる。
二次架橋方法としては、前記で挙げた架橋方法が挙げられる。二次架橋を加熱により行う場合、その加熱条件は、100〜300℃で30分間〜48時間程度が好ましい。
<作用効果>
本エラストマー組成物は、ヨウ素原子を有すると共に、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(a)と、TFEに基づく構成単位およびPに基づく構成単位を有し、ヨウ素原子を有さない含フッ素弾性共重合体(b)とを含有し、前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記パ含フッ素弾性共重合体(b)との質量比[(a)/(b)]が1/99〜99/1であることから、押出成形性および架橋反応性に優れる。
押出成形性に優れることから、本エラストマー組成物を押出成形して得られる成形品は、表面平滑性に優れる。
また、本エラストマー組成物を架橋させた架橋物は、圧縮永久歪特性、引張強さ、伸び等の機械的物性も良好である。
含フッ素弾性共重合体(a)の中でも単量体(m1)に基づく構成単位を有する共重合体は、性能がより優れる。その一方で、単量体(m1)を用いているため比較的高価になる。この場合、含フッ素弾性共重合体(b)として、単量体(m1)に基づく構成単位を有さないものを併用することで、含フッ素弾性共重合体(a)の優れた特性を保ちつつコストを低減でき、好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されない。下記の方法により含フッ素弾性共重合体の各物性を測定した。
・含フッ素弾性共重合体の共重合組成:
含フッ素弾性共重合体の共重合組成(各構成単位のモル比)は、19F−核磁気共鳴(NMR)分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析により求めた。
・含フッ素弾性共重合体のヨウ素含有量:
含フッ素弾性共重合体中のヨウ素含有量は、ダイアインスツルメンツ社製の自動試料燃焼装置イオンクロマトグラフ用前処理装置AQF−100型とイオンクロマトグラフを組み合わせた装置で定量した。
・含フッ素弾性共重合体の貯蔵せん断弾性率G’:
Alpha Technologies社製RPA2000を用いて、ASTM D5289およびD6204に従い、温度100℃、振幅0.5度、振動数50回/分で測定した値を貯蔵せん断弾性率G’とした。
・含フッ素弾性共重合体のムーニー粘度:
含フッ素弾性共重合体のムーニー粘度は、JIS K6300−1:2013に準じて、直径38.1mm、厚さ5.54mmのL型ローターを用い、100℃で、予熱時間を1分間、ローター回転時間を4分間に設定して測定した。
・含フッ素弾性共重合体のガラス転移温度(Tg):
示差走査熱量計(セイコーインスツルメント社製DSC220型)を用いて、10±0.1mgの含フッ素弾性共重合体を−50℃から10℃/分で150℃まで昇温させ、10℃/分で−50℃まで冷却させた際の吸熱ピーク変化の中心温度をガラス転移温度とした。
後述の各例で用いた含フッ素弾性共重合体を以下に示す。
各含フッ素弾性共重合体における単量体の略称は以下のものを示す。
TFE:テトラフルオロエチレン。
P:プロピレン。
C4DVE:CF=CFO(CFOCF=CF
C3DVE:CF=CFO(CFOCF=CF
(含フッ素弾性共重合体(a))
・含フッ素弾性共重合体A:
高分子鎖末端にヨウ素原子を有するTFE/P共重合体。TFE/P=56/44(モル比)、ヨウ素含有量0.3質量%、ムーニー粘度80、Tg−3℃。国際公開第2009/119202号の実施例1に従って合成した合成品。
・含フッ素弾性共重合体B:
高分子鎖末端にヨウ素原子を有するTFE/P/C4DVE共重合体。TFE/P/C4DVE=56/43.8/0.2(モル比)、ヨウ素含有量0.5質量%、ムーニー粘度95、Tg−3℃。下記の製造例1で合成した合成品。
・含フッ素弾性共重合体C:
高分子鎖末端にヨウ素原子を有するTFE/P/C3DVE共重合体。TFE/P/C3DVE=56/43.8/0.2(モル比)、ヨウ素含有量0.5質量%、ムーニー粘度95、Tg−3℃。下記の製造例2で合成した合成品。
(含フッ素弾性共重合体(b))
・含フッ素弾性共重合体D:
ヨウ素原子を有さず、赤外吸収スペクトルの1640〜1700cm−1に吸収ピークを有する(炭素原子間二重結合を有する)TFE/P共重合体。TFE/P=56/44(モル比)、ムーニー粘度60、Tg−3℃。下記の製造例3で合成した合成品。
・含フッ素弾性共重合体E:
ヨウ素原子を有さず、赤外吸収スペクトルの1640〜1700cm−1に吸収ピークを有さない(炭素原子間二重結合を有さない)TFE/P共重合体。TFE/P=56/44(モル比)、ムーニー粘度140、Tg−3℃。国際公開第2009/119202号の比較例2に従って合成した合成品。
(製造例1)
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製の耐圧反応器の内部を脱気した後、該反応器に、イオン交換水の1500g、リン酸水素二ナトリウム12水和物の59g、水酸化ナトリウムの0.7g、tert−ブタノールの197g、ラウリル硫酸ナトリウムの9g、1,4−ジヨードパーフルオロブタンの9g、C4DVEの11.2gおよび過硫酸アンモニウムの6gを加えた。さらに、100gのイオン交換水に0.4gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物(以下、EDTAと記す。)および0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液を、反応器に加えた。このときの反応器内の水性媒体のpHは9.5であった。
ついで、25℃で、TFE/P=88/12(モル比)の単量体混合ガスを、反応器の内圧が2.50MPaGになるように圧入した(Gはゲージ圧であることを示す)。アンカー翼を300rpmで回転させ、その後、水酸化ナトリウムでpHを10.0に調整したヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム2水和物(以下、ロンガリットと記す。)の2.5質量%水溶液(以下、ロンガリット2.5質量%水溶液と記す。)を反応器に加え、重合反応を開始させた。以降、ロンガリット2.5質量%水溶液を、高圧ポンプを用いて連続的に反応器に加えた。
TFE/Pの単量体混合ガスの圧入量の総量が1000gとなった時点で、ロンガリット2.5質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素弾性共重合体Bのラテックスを得た。ロンガリット2.5質量%水溶液の添加量は68gであった。重合時間は6時間であった。
上記ラテックスに塩化カルシウムの5質量%水溶液を添加して、含フッ素弾性共重合体Bのラテックスを凝集し、含フッ素弾性共重合体Bを析出させた。含フッ素弾性共重合体Bをろ過により回収し、イオン交換水により洗浄して、白色の含フッ素弾性共重合体Bの980gを得た。
(製造例2)
C4DVEを、C3DVEの9.8gに変更した以外は実施例1と同様にして、含フッ素弾性共重合体Cを得た。
(製造例3)
含フッ素弾性共重合体Eを、300℃のオーブンを用いて15時間熱処理して含フッ素弾性共重合体Dを得た。
得られた含フッ素弾性共重合体Dについて、特開2008−1875号公報に記載の測定方法に従い、赤外吸収スペクトルを測定した。該赤外吸収スペクトルは、1640〜1700cm−1に吸収ピークを有していた。熱処理前にはこの吸収ピークは観測されず、熱処理により炭素原子間二重結合が形成されたことが確認された。
(実施例1)
含フッ素弾性共重合体Aの50質量部、含フッ素弾性共重合体Dの50質量部、カーボンブラックの30質量部、トリアリルイソシアヌレートの5質量部、および1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ社製、商品名「パーカドックス14」)の1質量部を2本ロールにより、室温下にて10分間混練し、エラストマー組成物を得た。
(実施例2〜7、比較例1〜2)
配合する含フッ素弾性共重合体の種類および配合量(質量部)を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、エラストマー組成物を得た。
(評価)
実施例1〜7、比較例1〜2の各例で得られたエラストマー組成物について、以下の手順で押出成形性、架橋特性および物性を評価した。結果を表1に示す。
[押出成形性]
ゴム押出機(三葉製作所製、型式:40G−12D−HB)を使用し、以下の条件でエラストマー組成物を押出成形し、チューブ状の成形品を得た。
スクリュー径:φ40mm。
ダイス出口径:φ6mm。
温度:ヘッド80℃、シリンダ80℃、スクリュー75℃。
スクリュー回転:20rpm。
得られた成形品の表面を目視で観察し、以下の基準で表面平滑性を評価した。表面平滑性が高いほど押出成形性が優れる。
「表面平滑性の評価基準」
◎:表面に凹凸がない。
○:表面に少量ではあるが局所的に凹凸が観られる。
△:表面全体に凹凸が観られる。
[架橋特性]
得られたエラストマー組成物について、架橋特性測定機(アルファーテクノロジーズ社製、商品名「RPA2000」)を用いて、170℃で12分間、振幅3度の条件にて架橋特性(M−M、T90)を測定した。
はトルクの最大値を示し、Mはトルクの最小値を示し、M−Mは架橋度を示す。M−Mはエラストマー組成物の架橋反応性の指標となり、M−Mの値が大きいほど、架橋反応性が優れることを示す。トルクの単位は、dN・mである。
90は、90%架橋時間であり、架橋特性測定中に示す最大トルクの90%に達するのに要する時間(分)を表す。T90が小さいほど、架橋が速いことを示す。
測定したM−MおよびT90を以下の基準で評価した。
「M−Mの評価基準」
◎:60dN・m≦M−M
○:30dN・m≦M−M<60dN・m。
△:M−M<30dN・m。
「T90の評価基準」
◎:T90<4分。
○:4分≦T90<6分。
△:6分≦T90
[物性]
上記エラストマー組成物を130℃×20分の条件で加熱成形して厚さ1mmのシート状の一次架橋物を得た。次いで、250℃×4時間の条件で二次架橋を実施し架橋物を得た。得られた架橋物を、JIS K6251(2004年)に準じ、4号ダンベル形状に打ち抜いて試験片を得て、上島製作所社製試験機(製品名:クイックリーダー)を用いて、室温で引張試験を行い引張強さおよび切断時の伸びを測定した。
別途、上記エラストマー組成物について、JIS K6262(1997年)に準じ、200℃で72時間の圧縮永久歪試験を行い、圧縮永久歪率(C/S)を測定した。
測定した引張強さ、伸びおよびC/Sを以下の基準で評価した。
「引張強さの評価基準」
◎:18MPa≦引張強さ。
○:10MPa≦引張強さ<18MPa。
△:引張強さ<10MPa。
「伸びの評価基準」
◎:300%≦伸び。
○:150%≦伸び<300%。
△:伸び<150%。
「C/Sの評価基準」
◎:C/S<15%。
○:15%≦C/S<40%。
△:40%≦C/S。
Figure 2017193684
上記の通り、実施例1〜7のエラストマー組成物は、押出成形性および架橋反応性に優れていた。また、その架橋物は、引張強さ、伸びが良好であった。特に、含フッ素弾性共重合体(a)として単量体(m1)に基づく構成単位を有するものを含み、配合比[(a)/(b)]が70/30〜30/70である実施例1〜2、4〜5、7では、圧縮永久歪特性も良好であった。
一方、エラストマーとして含フッ素弾性共重合体(b)を単独で用いた比較例1〜2のエラストマー組成物は、架橋反応性が劣っていた。特に赤外吸収スペクトルの1640〜1700cm−1に吸収ピークを有さないものを用いた比較例2では、押出成形性にも劣っていた。

Claims (4)

  1. ヨウ素原子を有すると共に、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有する含フッ素弾性共重合体(a)と、テトラフルオロエチレンに基づく構成単位およびプロピレンに基づく構成単位を有し、ヨウ素原子を有さない含フッ素弾性共重合体(b)とを含有し、
    前記含フッ素弾性共重合体(a)と前記含フッ素弾性共重合体(b)との質量比[(a)/(b)]が1/99〜99/1であるエラストマー組成物。
  2. 前記含フッ素弾性共重合体(a)が、下記式(I)、(II)または(III)で表される単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に基づく構成単位をさらに有する請求項1に記載のエラストマー組成物。
    CR=CR−R−CR=CR ・・・(I)
    CR=CR10−OCO−R11−COO−CR12=CR1314・・・(II)
    CR1516=CR17COOCH=CH ・・・(III)
    (式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R12、R13、R14およびR17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはメチル基を示し、RおよびR11はそれぞれ独立に、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基、またはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のフルオロアルキレン基を示し、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、またはエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。)
  3. 前記含フッ素弾性共重合体(b)が、その赤外吸収スペクトルの1640〜1700cm−1に吸収ピークを有する、請求項1または2に記載のエラストマー組成物。
  4. 前記含フッ素弾性共重合体(b)が、分子中に炭素原子間二重結合を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエラストマー組成物。
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