JP2017193662A - 軽油の精製方法およびc8芳香族炭化水素の製造方法 - Google Patents

軽油の精製方法およびc8芳香族炭化水素の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粗軽油の精製工程のエネルギー使用量を抑えつつC8芳香族炭化水素の歩留まりを改善すること。【解決手段】水添脱硫された粗軽油を抽出塔で溶剤を用いて液−液抽出し、粗軽油から脂肪族炭化水素を分離し、第1抽出油を得る、抽出塔での抽出工程と、第1抽出油を抽出蒸留塔で抽出蒸留し、第1抽出油から脂肪族炭化水素を分離し、第2抽出油を得る、抽出蒸留塔での抽出蒸留工程と、第2抽出油をアロマ回収塔で蒸留し、第2抽出油から溶剤を分離し、C6〜C8混合物を得る、アロマ回収塔での蒸留工程と、C6〜C8混合物をBTX蒸留塔で蒸留し、C6、C7、C8芳香族炭化水素を分離する、BTX蒸留塔での蒸留工程と、アロマ回収塔での蒸留工程で分離された溶剤を、抽出塔に供給する工程と、を含み、アロマ回収塔での蒸留工程において、還流比を、0.35〜0.44とする、軽油の精製方法。【選択図】図1

Description

本発明は、軽油の精製方法およびC8芳香族炭化水素の製造方法に関する。
粗軽油は、石炭のコークス化の際に生成する軽油であり、主にコークス炉ガスから捕集される。そして、粗軽油はベンゼン、トルエン、各種キシレン等の多種類の芳香族化合物の混合物であるので、粗軽油から前記芳香族炭化水素が分離精製され、化学原料として用いられる。
一般に、粗軽油は初めに前蒸留塔で炭素数9(C9)以上の成分の大部分を分離した後、金属触媒を用いる水添設備によって硫化物および窒化物の除去を行う(例えば、特許文献1参照)。
図1は、一般的な粗軽油の精製工程を示した模式図である。水添設備によって硫化物および窒化物が除去された原料油(粗軽油)は、抽出塔に供給される。その抽出塔では溶剤を用いた液−液抽出が行われ、塔頂から脂肪族炭化水素が除去され、塔底から抽出油が得られる。その抽出油は、次に抽出蒸留塔に供給される。その抽出蒸留塔では抽出蒸留によって塔頂から脂肪族炭化水素が除去され、塔底から抽出油が得られる。次いで、その抽出油は、アロマ回収塔に供給される。そのアロマ回収塔では蒸留によって塔頂からC6芳香族炭化水素であるベンゼン、C7芳香族炭化水素であるトルエン、C8芳香族炭化水素であるキシレン類の混合物(C6〜C8混合物)が得られ、塔底から溶剤が抜き出される。そのC6〜C8混合物は、次にBTX蒸留塔に供給される。BTX蒸留塔では、蒸留によって、C6芳香族炭化水素、C7芳香族炭化水素およびC8芳香族炭化水素が分離される。一方、アロマ回収塔の塔底から抜き出された溶剤は、循環利用のため、抽出塔へ供給される。これらの一般的な粗軽油の精製工程については、例えば、非特許文献1および2を参照。
特開2010−106057号公報
「新版 石油精製プロセス」、公益社団法人石油学会編、2014年、p.262−264 「芳香族及びタール工業ハンドブック(第3版)」、日本芳香族工業会編、2000年、p.37−38
抽出塔では、抽出塔の塔頂から取り出された脂肪族炭化水素中に、比較的重質なC8芳香族炭化水素が混入しやすいという問題があった。抽出塔の塔頂から取り出された脂肪族炭化水素中にC8芳香族炭化水素が混入すると、その混入したC8芳香族炭化水素は、図1に示したように、その後のBTX蒸留塔までの精製工程のフローから外れてしまい、C8芳香族炭化水素の歩留まりが低下してしまう。あるいは、水洗塔での処理後、再度抽出塔にC8芳香族炭化水素が供給されたとしても、一度行った液−液抽出を再度行い、抽出油として回収しなければならないため、精製工程のエネルギー使用量が増える。
従来は、抽出塔の塔頂から取り出された脂肪族炭化水素中へのC8芳香族炭化水素の混入を抑制するため、抽出塔に供給する溶剤量を増やす、または抽出溶剤の温度を高くするなどの運用を行っていた。しかし、溶剤量を増やす場合は抽出工程のエネルギー使用量が増える。また、抽出溶剤の温度を高くする場合は抽出油中に混入する脂肪族炭化水素が増え、抽出蒸留工程のエネルギー使用量が増える。
そこで、本発明は、粗軽油の精製工程のエネルギー使用量を抑えつつC8芳香族炭化水素の歩留まりを改善可能な軽油の精製方法を提供することを目的とする。また、本発明は、粗軽油の精製工程のエネルギー使用量を抑えつつC8芳香族炭化水素の歩留まりを改善可能なC8芳香族炭化水素の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、軽油の精製方法であって、
抽出塔での抽出工程であって、水添によって脱硫された粗軽油を前記抽出塔で溶剤を用いて液−液抽出し、粗軽油から脂肪族炭化水素を分離し、第1抽出油を得る、工程と、
抽出蒸留塔での抽出蒸留工程であって、前記第1抽出油を前記抽出蒸留塔で抽出蒸留し、前記第1抽出油から脂肪族炭化水素を分離し、第2抽出油を得る、工程と、
アロマ回収塔での蒸留工程であって、前記第2抽出油をアロマ回収塔で蒸留し、前記第2抽出油から前記溶剤を分離し、C6芳香族炭化水素と、C7芳香族炭化水素と、C8芳香族炭化水素とを含むC6〜C8混合物を得る、工程と、
BTX蒸留塔での蒸留工程であって、前記C6〜C8混合物を前記BTX蒸留塔で蒸留し、前記C6芳香族炭化水素と、前記C7芳香族炭化水素と、前記C8芳香族炭化水素とを分離する、工程と、
前記アロマ回収塔での蒸留工程で分離された溶剤を、前記抽出塔に供給する工程と、
を含み、
前記アロマ回収塔での蒸留工程において、式:r=L/Dで表される還流比r(式中、Dは、留出液の量を表し、Lは、アロマ回収塔に戻す液の量を表す)を、0.35〜0.44とする、軽油の精製方法である。本発明者が検討したところ、アロマ回収塔の還流比を0.35〜0.44とすることにより、アロマ回収塔の塔底から抜き出された溶剤中のC8芳香族炭化水素濃度が低下し、そのC8芳香族炭化水素濃度が低下した溶剤を抽出塔に供給する場合に、抽出塔での溶剤の単位体積当たりのC8芳香族炭化水素の抽出量が増加するため、実質的に溶剤量増加の効果が得られ、その効果によって、抽出塔での液−液抽出により抽出塔の塔頂から取り出された脂肪族炭化水素中のC8芳香族炭化水素濃度を低減可能であり、C8芳香族炭化水素の歩留まりを改善することができることを見出した。さらに、還流比を上記範囲に設定することにより、軽油の精製工程のエネルギー使用量を抑えることができる。
本発明において、2以上の実施形態を任意に組み合わせることができる。
本発明に係る軽油の精製方法では、前記アロマ回収塔での蒸留工程から分離される溶剤中のC8芳香族炭化水素の濃度が、0.14質量%以下であることが好ましい。
また、本発明は、C8芳香族炭化水素の製造方法であって、
抽出塔での抽出工程であって、水添によって脱硫された粗軽油を前記抽出塔で溶剤を用いて液−液抽出し、粗軽油から脂肪族炭化水素を分離し、第1抽出油を得る、工程と、
抽出蒸留塔での抽出蒸留工程であって、前記第1抽出油を前記抽出蒸留塔で抽出蒸留し、前記第1抽出油から脂肪族炭化水素を分離し、第2抽出油を得る、工程と、
アロマ回収塔での蒸留工程であって、前記第2抽出油をアロマ回収塔で蒸留し、前記第2抽出油から前記溶剤を分離し、C6芳香族炭化水素と、C7芳香族炭化水素と、C8芳香族炭化水素とを含むC6〜C8混合物を得る、工程と、
BTX蒸留塔での蒸留工程であって、前記C6〜C8混合物を前記BTX蒸留塔で蒸留し、前記C6芳香族炭化水素と、前記C7芳香族炭化水素と、前記C8芳香族炭化水素とを分離する、工程と、
前記アロマ回収塔での蒸留工程で分離された溶剤を、前記抽出塔に供給する工程と、
を含み、
前記アロマ回収塔での蒸留工程において、式:r=L/Dで表される還流比r(式中、Dは、留出液の量を表し、Lは、アロマ回収塔に戻す液の量を表す)を、0.35〜0.44とする、C8芳香族炭化水素の製造方法である。アロマ回収塔の還流比を0.35〜0.44とすることにより、C8芳香族炭化水素の歩留まりを改善することができることを見出した。さらに、還流比を上記範囲に設定することにより、軽油の精製工程のエネルギー使用量を抑えることができる。
本発明に係るC8芳香族炭化水素の製造方法では、前記アロマ回収塔での蒸留工程から分離される溶剤中のC8芳香族炭化水素の濃度が、0.14質量%以下であることが好ましい。
本発明によれば、粗軽油の精製工程のエネルギー使用量を抑えつつC8芳香族炭化水素の歩留まりを改善可能な軽油の精製方法を提供すること、および粗軽油の精製工程のエネルギー使用量を抑えつつC8芳香族炭化水素の歩留まりを改善可能なC8芳香族炭化水素の製造方法を提供することができる。
図1は、一般的な粗軽油の精製工程を示した模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
(軽油の精製方法)
本発明に係る軽油の精製方法は、
抽出塔での抽出工程であって、水添によって脱硫された粗軽油を前記抽出塔で溶剤を用いて液−液抽出し、粗軽油から脂肪族炭化水素を分離し、第1抽出油を得る、工程と、
抽出蒸留塔での抽出蒸留工程であって、前記第1抽出油を前記抽出蒸留塔で抽出蒸留し、前記第1抽出油から脂肪族炭化水素を分離し、第2抽出油を得る、工程と、
アロマ回収塔での蒸留工程であって、前記第2抽出油をアロマ回収塔で蒸留し、前記第2抽出油から前記溶剤を分離し、C6芳香族炭化水素と、C7芳香族炭化水素と、C8芳香族炭化水素とを含むC6〜C8混合物を得る、工程と、
BTX蒸留塔での蒸留工程であって、前記C6〜C8混合物を前記BTX蒸留塔で蒸留し、前記C6芳香族炭化水素と、前記C7芳香族炭化水素と、前記C8芳香族炭化水素とを分離する、工程と、
前記アロマ回収塔での蒸留工程で分離された溶剤を、前記抽出塔に供給する工程と、
を含み、
前記アロマ回収塔での蒸留工程において、式:r=L/Dで表される還流比r(式中、Dは、留出液の量を表し、Lは、アロマ回収塔に戻す液の量を表す)を、0.35〜0.44とする、軽油の精製方法である。アロマ回収塔の還流比を0.35〜0.44とすることにより、粗軽油の精製工程のエネルギー使用量を抑えつつC8芳香族炭化水素の歩留まりを改善することができる。
以下、本発明に係る軽油の精製方法の各工程を例示説明する。
<抽出塔での抽出工程>
抽出塔での抽出工程では、水添によって脱硫された(以下、単に「水添脱硫された」ということがある)粗軽油を抽出塔で溶剤を用いて液−液抽出し、当該粗軽油から脂肪族炭化水素を分離し、第1抽出油を得る。
原料油となる粗軽油は、水添脱硫された粗軽油であればよい。粗軽油の水添脱硫の方法は特に限定されず、公知の水添脱硫法を用いることができる。例えば、特許文献1に記載のように、アルミナ、シリカ−アルミナなどで構成される多孔質の無機担体に水添反応活性を有するコバルト、モリブデン、ニッケル、タングステンなどを担持させた水添脱硫用触媒を用いて、硫黄化合物を水添反応によって硫化水素と炭化水素とに変えて除去する方法が挙げられる。
その水添脱硫された粗軽油を、溶剤を用いて液−液抽出する。溶剤は、公知の粗軽油の抽出溶剤を使用することができ、C6〜C8混合物などの目標化合物との親和性、目標化合物の溶解性、目標化合物と溶剤との分離の容易性、低毒性や低腐食性などを考慮して適宜選択すればよい。このような溶剤としては、例えば、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、メトキシトリグリコールエーテル、ジグリコールアミン、ジプロピレングリコール、N−ホルミルモルホリン、N−メチルピロリドン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、溶剤はスルホランが好ましい。溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
液−液抽出の条件ないし操作は、特に限定されず、公知の条件や操作を採用することができる。液−液抽出の条件ないし操作については、例えば、非特許文献1および2を参照。液−液抽出の溶剤比(水添脱硫された粗軽油の量に対する溶剤の量の比)は、特に限定されず、例えば、200〜400%、抽出温度は、例えば、40〜80℃とすればよい。
液−液抽出では、脂肪族炭化水素は分離除去対象の一つであるが、水添脱硫された粗軽油に含まれるシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素の量が少ない場合、粗軽油中の脂肪族炭化水素を分離し難いことがある。そのため、抽出塔での抽出工程では、脂肪族炭化水素の分離性をより高めるために、任意に、液−液抽出の際に、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素を溶剤と混合する前の水添脱硫された粗軽油に添加してもよい。脂肪族炭化水素の添加割合は、例えば、15〜30質量%である。この添加する脂肪族炭化水素は、後述する抽出蒸留塔の塔頂から留出する脂肪族炭化水素を用いてもよい。
抽出塔での抽出工程では、粗軽油から脂肪族炭化水素を分離(除去)し、第1抽出油を得る。第1抽出油には、C6〜C8混合物などの芳香族炭化水素と、残渣である脂肪族炭化水素と、溶剤とが少なくとも含まれる。
<抽出蒸留塔での抽出蒸留工程>
抽出蒸留塔での抽出蒸留工程では、第1抽出油を抽出蒸留塔で抽出蒸留し、第1抽出油から脂肪族炭化水素を分離し、第2抽出油を得る。
抽出蒸留では、公知の抽出蒸留の条件や操作を採用することができる。液−液抽出の条件ないし操作については、例えば、非特許文献1および2を参照。抽出蒸留では、蒸留によって分離する脂肪族炭化水素と揮発度が近く、脂肪族炭化水素と、C6〜C8混合物などの芳香族炭化水素との揮発度の差を大きく変化させる溶剤を添加して蒸留を行うことが好ましい。このような溶剤としては、例えば、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、メトキシトリグリコールエーテル、ジグリコールアミン、ジプロピレングリコール、N−ホルミルモルホリン、N−メチルピロリドン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
抽出蒸留の条件ないし操作は、特に限定されず、公知の条件や操作を採用することができる。液−液抽出の条件ないし操作については、例えば、非特許文献1および2を参照。例えば、蒸留条件は、例えば、塔頂温度が50〜100℃、塔底温度が120〜180℃、圧力が80〜140kPaとすればよい。
抽出蒸留塔での抽出蒸留工程では、第1抽出油から脂肪族炭化水素を分離(除去)し、第2抽出油を得る。第2抽出油には、C6〜C8混合物などの芳香族炭化水素と、溶剤とが少なくとも含まれる。
<アロマ回収塔での蒸留工程>
アロマ回収塔での蒸留工程では、第2抽出油をアロマ回収塔で蒸留し、第2抽出油から溶剤を分離し、C6芳香族炭化水素と、C7芳香族炭化水素と、C8芳香族炭化水素とを含むC6〜C8混合物を得る。
アロマ回収塔での蒸留工程では、式:r=L/Dで表される還流比r(式中、Dは、留出液の量を表し、Lは、アロマ回収塔に戻す液の量を表す)を、0.35〜0.44とする。好ましい上限値は0.42であり、さらに好ましい上限値は0.40である。この範囲とすることにより、アロマ回収塔の塔底から抜き出された溶剤中のC8芳香族炭化水素濃度が低下し、そのC8芳香族炭化水素濃度が低下した溶剤を抽出塔に供給する場合に、実質的に溶剤量増加の効果が得られ、その効果によって、抽出塔での液−液抽出により抽出塔の塔頂から取り出された脂肪族炭化水素中のC8芳香族炭化水素濃度を低減可能であり、C8芳香族炭化水素の歩留まりを改善することができる。さらに、還流比が0.42以下であると、抽出塔の塔頂から取り出された脂肪族炭化水素中のC8芳香族炭化水素濃度を大きく低減可能なことに加え、粗軽油の精製工程のエネルギー使用量を抑える効果がさらに高まる。
還流比が0.35未満では、C6〜C8混合物と共にC9以上の芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素などの重質な成分や溶剤が、アロマ回収塔の塔頂から留出してしまう。C9以上の重質な成分がアロマ回収塔の塔頂から留出すると、その後のBTX蒸留塔において、還流比を増加(すなわち、エネルギー使用量を増加)しなければ重質成分がC8芳香族炭化水素などの製品に混入するおそれがある。また、アロマ回収塔の塔頂から留出する溶剤が多いと、溶剤の回収が困難であり、経済的に不利となる。
一方、還流比が0.44より高いと、アロマ回収塔の塔底から抜き出された溶剤中のC8芳香族炭化水素濃度が高く、抽出塔の塔頂から取り出された(分離された)脂肪族炭化水素中のC8芳香族炭化水素濃度を低減することができず、C8芳香族炭化水素の歩留まりを十分に改善できないおそれがある。
アロマ回収塔での蒸留工程において、還流比を0.35〜0.44とするには、上述したように、式:r=L/D中の留出液の量Dおよび還流量Lの一方または両方を調節すればよい。より具体的には、例えば、アロマ回収塔に加える熱を増大させることで還流量Lが増加し、還流比rを増加させることができ、アロマ回収塔に加える熱を減少させることで還流量Lが減少し、還流比rを低減することができる。
アロマ回収塔での蒸留工程では、還流比を上記特定範囲とすること以外は、公知の蒸留の条件や操作を採用することができる。アロマ回収塔での蒸留工程の条件ないし操作については、例えば、非特許文献1および2を参照。例えば、蒸留条件は、塔頂温度が35〜90℃、塔底温度が120〜180℃、圧力が20〜80kPaが好ましい。
アロマ回収塔での蒸留工程では、第2抽出油から溶剤を分離(除去)し、アロマ回収塔の塔頂からC6〜C8混合物を得る。この他、C9以上の成分が得られてもよい。
<BTX蒸留塔での蒸留工程>
BTX蒸留塔での蒸留工程では、C6〜C8混合物をBTX蒸留塔で蒸留し、C6芳香族炭化水素と、C7芳香族炭化水素と、C8芳香族炭化水素とを分離して、これら各成分を得る。この他、残渣としては、クメン(C9芳香族)やC9以上の芳香族、その他C9以上の脂肪族炭化水素などがある。本発明では、後述するようにアロマ回収塔の塔底から抜き出された溶剤を、抽出塔に供給する。この溶剤は、実質的に溶剤量増加の効果を有するため、抽出塔での液−液抽出により抽出塔の塔頂から取り出された脂肪族炭化水素中のC8芳香族炭化水素濃度を低減可能であり、すなわち、抽出塔からの第1抽出油により多くのC8芳香族炭化水素を含ませ、より多くのC8芳香族炭化水素をBTX蒸留塔までの精製工程のフローに乗せることができ、C8芳香族炭化水素の歩留まりを改善することができる。
BTX蒸留塔での蒸留工程では、公知の蒸留の条件や操作を採用することができる。BTX蒸留塔での蒸留工程の条件ないし操作については、例えば、非特許文献1および2を参照。
<溶剤を抽出塔に供給する工程>
溶剤を抽出塔に供給する工程では、アロマ回収塔の塔底から抜き出された溶剤を、抽出塔に供給する。アロマ回収塔の塔底から抜き出された溶剤中のC8芳香族炭化水素濃度は、上述したように実質的に溶剤量増加の効果を得るために、低いことが好ましく、例えば、0.18質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましく、0.14質量%以下がさらに好ましい。
(その他の工程)
本発明に係る軽油の精製方法では、上述した工程以外に、必要に応じて適宜、その他の工程を含んでいてもよい。例えば、図1に示すように、抽出塔の塔頂から取り出された脂肪族炭化水素を含む流出油を水洗塔で水と向流接触させ、脂肪族炭化水素に含まれる溶剤を、水に吸収して回収する水洗工程、抽出蒸留塔の塔頂から取り出された脂肪族炭化水素を抽出塔に供給する工程などが挙げられる。
(C8芳香族炭化水素の製造方法)
本発明に係るC8芳香族炭化水素の製造方法は、
抽出塔での抽出工程であって、水添によって脱硫された粗軽油を前記抽出塔で溶剤を用いて液−液抽出し、粗軽油から脂肪族炭化水素を分離し、第1抽出油を得る、工程と、
抽出蒸留塔での抽出蒸留工程であって、前記第1抽出油を前記抽出蒸留塔で抽出蒸留し、前記第1抽出油から脂肪族炭化水素を分離し、第2抽出油を得る、工程と、
アロマ回収塔での蒸留工程であって、前記第2抽出油をアロマ回収塔で蒸留し、前記第2抽出油から前記溶剤を分離し、C6芳香族炭化水素と、C7芳香族炭化水素と、C8芳香族炭化水素とを含むC6〜C8混合物を得る、工程と、
BTX蒸留塔での蒸留工程であって、前記C6〜C8混合物を前記BTX蒸留塔で蒸留し、前記C6芳香族炭化水素と、前記C7芳香族炭化水素と、前記C8芳香族炭化水素とを分離する、工程と、
前記アロマ回収塔での蒸留工程で分離された溶剤を、前記抽出塔に供給する工程と、
を含み、
前記アロマ回収塔での蒸留工程において、式:r=L/Dで表される還流比r(式中、Dは、留出液の量を表し、Lは、アロマ回収塔に戻す液の量を表す)を、0.35〜0.44とする、C8芳香族炭化水素の製造方法である。アロマ回収塔の還流比を0.35〜0.44とすることにより、粗軽油の精製工程のエネルギー使用量を抑えつつC8芳香族炭化水素の歩留まりを改善することができる。
C8芳香族炭化水素の製造方法の各工程、すなわち、抽出塔での抽出工程、抽出蒸留塔での抽出蒸留工程、アロマ回収塔での蒸留工程、BTX蒸留塔での蒸留工程、およびアロマ回収塔での蒸留工程で分離された溶剤を、前記抽出塔に供給する工程、ならびに任意のその他の工程は、上記軽油の精製方法で説明した工程と同様である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
図1に示すような設備を有する工程において、アロマ回収塔の蒸留工程の還流比を表1に示すように変更した。その際の、アロマ回収塔の塔底からの溶剤(スルホラン)中のC8芳香族炭化水素(キシレン)濃度と、当該溶剤を抽出塔に供給し、液−液抽出して粗軽油から分離された脂肪族炭化水素中のC8芳香族炭化水素(キシレン)濃度と、精製工程での省エネ効果とをまとめた結果を表1に合わせて示す。省エネ効果の値は、比較例1を基準(0%)とした。
Figure 2017193662
表1に示すように、還流比を0.35〜0.44とすることで、アロマ回収塔の塔底からの溶剤中のキシレン濃度が低下し、その溶剤を使用した液−液抽出による抽出塔の塔頂からの脂肪族炭化水素中のキシレン濃度も低下した。さらに、還流比を0.35〜0.44とすることで、2.5%〜8.8%もの省エネ効果があった。また、これらの還流比(実施例1〜4)では、比較例1の還流比に比べてC8芳香族炭化水素の歩留まりを約1%も改善することができた。
本発明によれば、粗軽油の精製工程のエネルギー使用量を抑えつつC8芳香族炭化水素の歩留まりを改善可能な軽油の精製方法を提供すること、および粗軽油の精製工程のエネルギー使用量を抑えつつC8芳香族炭化水素の歩留まりを改善可能なC8芳香族炭化水素の製造方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. 軽油の精製方法であって、
    抽出塔での抽出工程であって、水添によって脱硫された粗軽油を前記抽出塔で溶剤を用いて液−液抽出し、粗軽油から脂肪族炭化水素を分離し、第1抽出油を得る、工程と、
    抽出蒸留塔での抽出蒸留工程であって、前記第1抽出油を前記抽出蒸留塔で抽出蒸留し、前記第1抽出油から脂肪族炭化水素を分離し、第2抽出油を得る、工程と、
    アロマ回収塔での蒸留工程であって、前記第2抽出油をアロマ回収塔で蒸留し、前記第2抽出油から前記溶剤を分離し、C6芳香族炭化水素と、C7芳香族炭化水素と、C8芳香族炭化水素とを含むC6〜C8混合物を得る、工程と、
    BTX蒸留塔での蒸留工程であって、前記C6〜C8混合物を前記BTX蒸留塔で蒸留し、前記C6芳香族炭化水素と、前記C7芳香族炭化水素と、前記C8芳香族炭化水素とを分離する、工程と、
    前記アロマ回収塔での蒸留工程で分離された溶剤を、前記抽出塔に供給する工程と、
    を含み、
    前記アロマ回収塔での蒸留工程において、式:r=L/Dで表される還流比r(式中、Dは、留出液の量を表し、Lは、アロマ回収塔に戻す液の量を表す)を、0.35〜0.44とする、軽油の精製方法。
  2. 前記アロマ回収塔での蒸留工程から分離される溶剤中のC8芳香族炭化水素の濃度が、0.14質量%以下である、請求項1に記載の軽油の精製方法。
  3. C8芳香族炭化水素の製造方法であって、
    抽出塔での抽出工程であって、水添によって脱硫された粗軽油を前記抽出塔で溶剤を用いて液−液抽出し、粗軽油から脂肪族炭化水素を分離し、第1抽出油を得る、工程と、
    抽出蒸留塔での抽出蒸留工程であって、前記第1抽出油を前記抽出蒸留塔で抽出蒸留し、前記第1抽出油から脂肪族炭化水素を分離し、第2抽出油を得る、工程と、
    アロマ回収塔での蒸留工程であって、前記第2抽出油をアロマ回収塔で蒸留し、前記第2抽出油から前記溶剤を分離し、C6芳香族炭化水素と、C7芳香族炭化水素と、C8芳香族炭化水素とを含むC6〜C8混合物を得る、工程と、
    BTX蒸留塔での蒸留工程であって、前記C6〜C8混合物を前記BTX蒸留塔で蒸留し、前記C6芳香族炭化水素と、前記C7芳香族炭化水素と、前記C8芳香族炭化水素とを分離する、工程と、
    前記アロマ回収塔での蒸留工程で分離された溶剤を、前記抽出塔に供給する工程と、
    を含み、
    前記アロマ回収塔での蒸留工程において、式:r=L/Dで表される還流比r(式中、Dは、留出液の量を表し、Lは、アロマ回収塔に戻す液の量を表す)を、0.35〜0.44とする、C8芳香族炭化水素の製造方法。
  4. 前記アロマ回収塔での蒸留工程から分離される溶剤中のC8芳香族炭化水素の濃度が、0.14質量%以下である、請求項3に記載のC8芳香族炭化水素の製造方法。
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