JP2017191765A - 蓄電装置用外装材及び蓄電装置用外装材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
50%伸長時応力値:基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対し引張試験(試験片形状:JIS K7127に規定される5号型ダンベル状、チャック間距離:75mm、標点間距離:25mm、試験速度:50mm/min、温度:23℃)を行ったときの応力値の平均値である。
熱収縮率:基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対する、熱処理前後での収縮率の平均値である。
50%伸長時応力値:基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対し引張試験(試験片形状:JIS K7127に規定される5号型ダンベル状、チャック間距離:75mm、標点間距離:25mm、試験速度:50mm/min、温度:23℃)を行ったときの応力値の平均値である。
熱収縮率:基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対する、熱処理前後での収縮率の平均値である。
図1は、本発明の蓄電装置用外装材の一実施形態を模式的に表す断面図である。図1に示すように、本実施形態の外装材(蓄電装置用外装材)10は、基材層11と、該基材層11の一方の面側に設けられた易接着処理層12と、該易接着処理層12の基材層11とは反対側に設けられた接着層13と、該接着層13の易接着処理層12とは反対側に設けられた、両面に腐食防止処理層15a及び15bを有する金属箔層14と、該金属箔層14の接着層13とは反対側に設けられたシーラント接着層16と、該シーラント接着層16の金属箔層14とは反対側に設けられたシーラント層17と、が順次積層された積層体である。ここで、腐食防止処理層15aは金属箔層14の接着層13側の面に、腐食防止処理層15bは金属箔層14のシーラント接着層16側の面に、それぞれ設けられている。外装材10は、基材層11の易接着処理層12とは反対側に、さらにコーティング層18を有していてもよい。外装材10は、基材層11(あるいはコーティング層18)が最外層、シーラント層17が最内層である。すなわち、外装材10は、基材層11を蓄電装置の外部側、シーラント層17を蓄電装置の内部側に向けて使用される。以下、各層について説明する。
基材層11は、蓄電装置を製造する際における後述する加圧熱融着工程における耐熱性及び他の蓄電装置から漏れ出した電解液に対する耐電解液性を外装材10に付与し、加工又は流通の際に起こり得るピンホールの発生を抑制するための層である。
50%伸長時応力値:基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対し引張試験(試験片形状:JIS K7127に規定される5号型ダンベル状、チャック間距離:75mm、標点間距離:25mm、試験速度:50mm/min、温度:23℃)を行ったときの応力値の平均値である。
熱収縮率:基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対する、熱処理前後での収縮率の平均値である。
熱収縮率(%)=[{熱処理前に測定された各方向の長さ(A4サイズ)−熱処理後に測定された各方向の長さ}/熱処理前に測定された各方向の長さ]×100
易接着処理層12は、基材層11の一方の面側に設けられ、基材層11と接着層13との間に配置されている。易接着処理層12は、基材層11と接着層13との間の密着性を向上させ、ひいては基材層11と金属箔層14との間の密着性を向上させるための層である。蓄電装置用外装材10において、易接着処理層12は設けられていなくてもよい。その場合、基材層11と接着層13との間の密着性を向上させ、ひいては基材層11と金属箔層14との間の密着性を向上させるために、基材層11の接着層13側の面をコロナ処理してもよい。
ポリエステル樹脂としては、接着性の点から、共重合成分を導入しガラス転移温度を低下させた共重合ポリエステルが好ましい。共重合ポリエステルは、塗工性の点から水溶性もしくは水分散性を有することが好ましい。このような共重合ポリエステルとしては、スルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基が結合した共重合ポリエステル(以下、「スルホン酸基含有共重合ポリエステル」という)を用いることが好ましい。
アクリル樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基などが挙げられる);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)などのカルボキシル基、またはその塩を含有するモノマーなどを用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を用いて共重合させてもよい。更に、これらは上記以外の他のモノマーと併用することができる。
ポリウレタン樹脂としては、水系ポリウレタン樹脂が好ましい。水系ポリウレタン樹脂としては、粒子径が小さく、安定性が良好な点から、自己乳化型が好ましい。水系ポリウレタン樹脂の粒子径は、10〜100nm程度にするとよい。本実施形態に用いる水系ポリウレタン樹脂は、そのガラス転移点(Tg)が40℃〜150℃であることが望ましい。Tgが40℃以上であると塗工後ロール状に巻き取る際にブロッキングが発生することを十分に抑制できる傾向がある。一方、塗工後の乾燥温度よりTgが高すぎると均一な膜を形成し難いため、Tgは150℃以下であることが好ましい。
接着層13は、基材層11と金属箔層14とを接着する層である。接着層13は、基材層11とは易接着処理層12を介して接着する。接着層13は、基材層11と金属箔層14とを強固に接着するために必要な密着力を有すると共に、冷間成型する際において、基材層11によって金属箔層14が破断されることを抑制するための追随性(部材が変形・伸縮したとしても、剥離することなく部材上に接着層13を確実に形成するための性能)も有する。
金属箔層14としては、アルミニウム及びステンレス鋼等の各種金属箔が挙げられ、防湿性及び延展性等の加工性、並びにコストの面から、金属箔層14はアルミニウム箔であることが好ましい。アルミニウム箔は一般の軟質アルミニウム箔であってもよいが、耐ピンホール性及び成形時の延展性に優れる点から、鉄を含むアルミニウム箔であることが好ましい。
腐食防止処理層15a,15bは、電解液、又は、電解液と水分の反応により発生するフッ酸による金属箔層14の腐食を抑制する役割を果たす。また、腐食防止処理層15aは、金属箔層14と接着層13との密着力を高める役割を果たす。また、腐食防止処理層15bは、金属箔層14とシーラント接着層16との密着力を高める役割を果たす。腐食防止処理層15a及び腐食防止処理層15bは、同一の構成の層であってもよく、異なる構成の層であってもよい。なお、図1では、腐食防止処理層が金属箔層14の両面に形成されている場合を示したが、腐食防止処理層は金属箔層14の少なくとも一方の面に形成されていてもよい。
シーラント接着層16は、腐食防止処理層15bが形成された金属箔層14とシーラント層17を接着する層である。外装材10は、シーラント接着層16を形成する接着成分によって、熱ラミネート構成とドライラミネート構成に大きく分けられる。
シーラント層17は、外装材10に対し、ヒートシールによる封止性を付与する層であり、蓄電装置の組み立て時に内側に配置されて熱融着される層である。シーラント層17としては、ポリオレフィン系樹脂、又はポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸等の酸をグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。中でも、水蒸気のバリア性を向上させ、ヒートシールによって過度に潰れることなく蓄電装置の形態を構成可能なポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレンが特に好ましい。
コーティング層18は、外装材10に対し、アクリル系PSA(Pressure Sensitive Adhesive)テープとの良好な密着性を付与する層である。外装材10を容器として備える蓄電装置は、アクリル系PSAテープを介してデバイスに載置される場合があるため、外装材10表面(すなわち基材層11側の面)が当該テープと良好に密着することが好ましい。なお、アクリル系PSAテープは、PETフィルム等の基材上にアクリル粘着剤層が積層されたものである。アクリル粘着剤としては、例えば水酸基を有するアクリル共重合体を主剤とし、イソシアネート系硬化剤を含むものが挙げられる。
次に、外装材10の製造方法について説明する。なお、外装材10の製造方法は以下の方法に限定されない。
工程S11:金属箔層14の一方の面上に腐食防止処理層15aを形成し、金属箔層14の他方の面上に腐食防止処理層15bを形成する工程。
工程S12:基材層11の一方の面上に易接着処理層12を形成し、積層体を得る工程。工程S13:腐食防止処理層15aの金属箔層14とは反対側の面と、上記積層体の易接着処理層12側の面とを、接着層13を介して貼り合わせる工程。
工程S14:腐食防止処理層15bの金属箔層14とは反対側の面上に、シーラント接着層16を介してシーラント層17を形成する工程。
工程S15:基材層11の易接着処理層12とは反対側の面に、コーティング層18を形成する工程。
工程S11では、金属箔層14の一方の面上に腐食防止処理層15aを形成し、金属箔層14の他方の面上に腐食防止処理層15bを形成する。腐食防止処理層15a及び15bは、それぞれ別々に形成されてもよく、両方が一度に形成されてもよい。具体的には、例えば、金属箔層14の両方の面に腐食防止処理剤(腐食防止処理層の母材)を塗布し、その後、乾燥、硬化、焼付けを順次行うことで、腐食防止処理層15a及び15bを一度に形成する。また、金属箔層14の一方の面に腐食防止処理剤を塗布し、乾燥、硬化、焼き付けを順次行って腐食防止処理層15aを形成した後、金属箔層14の他方の面に同様にして腐食防止処理層15bを形成してもよい。腐食防止処理層15a及び15bの形成順序は特に制限されない。また、腐食防止処理剤は、腐食防止処理層15aと腐食防止処理層15bとで異なるものを用いてもよく、同じのものを用いてもよい。上記腐食防止処理剤としては、例えば、塗布型クロメート処理用の腐食防止処理剤等を用いることができる。腐食防止処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、例えば、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ダイコート法、バーコート法、キスコート法、コンマコート法等の方法を用いることができる。なお、金属箔層14として、未処理の金属箔層を用いてもよいし、ウェットタイプの脱脂処理又はドライタイプの脱脂処理により、脱脂処理を施した金属箔層を用いてもよい。
工程S12では、基材層11の一方の面上に易接着処理層12を形成する。ここでは、易接着処理層12の形成方法の一例として、インラインコート法について説明する。始めに、易接着処理層12の主成分となる上記樹脂を分散剤で分散させた分散体を含有する水性塗布液を準備する。次いで、結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルム(基材層11の母材)の一方の面に、上記水性塗布液を塗布する。次いで、塗布された上記水性塗布液を乾燥させ、その後、熱可塑性樹脂フィルムを少なくとも一軸方向に延伸させる。
工程S13では、腐食防止処理層15aの金属箔層14とは反対側の面と、上記積層体の易接着処理層12側の面とが、接着層13を形成する接着剤を用いてドライラミネーション等の手法で貼り合わせられる。工程S13では、接着性の促進のため、室温〜100℃の範囲でエージング(養生)処理を行ってもよい。エージング時間は、例えば、1〜10日である。
工程S13後、基材層11、易接着処理層12、接着層13、腐食防止処理層15a、金属箔層14及び腐食防止処理層15bがこの順に積層された積層体の腐食防止処理層15bの金属箔層14とは反対側の面上に、シーラント接着層16を介してシーラント層17が形成される。シーラント層17は、ドライラミネーション及びサンドイッチラミネーション等によって積層されてもよく、シーラント接着層16とともに共押出し法によって積層されてもよい。シーラント層17は、接着性向上の点から、例えばサンドイッチラミネーションによって積層される、又は、シーラント接着層16とともに共押出し法によって積層されることが好ましく、サンドイッチラミネーションによって積層されることがより好ましい。
工程S14後、基材層11、易接着処理層12、接着層13、腐食防止処理層15a、金属箔層14、腐食防止処理層15b、シーラント接着層16及びシーラント層17がこの順に積層された積層体の、基材層11の易接着処理層12とは反対側の面上に、コーティング層18が形成される。形成方法は特に限定されないが、例えば、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ダイコート法、バーコート法、キスコート法、コンマコート法等が挙げられる。
次に、外装材10を容器として備える蓄電装置について説明する。蓄電装置は、電極を含む電池要素1と、上記電極から延在するリード2と、リード2を挟持しかつ電池要素1を収容する容器とを備え、上記容器は蓄電装置用外装材10から、シーラント層17が内側となるように形成される。上記容器は、2つの外装材をシーラント層17同士を対向させて重ね合わせ、重ねられた外装材10の周縁部を熱融着して得られてもよく、また、1つの外装材を折り返して重ね合わせ、同様に外装材10の周縁部を熱融着して得られてもよい。また、蓄電装置は、外装材20を容器として備えていてもよい。蓄電装置としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタが挙げられる。
次に、上述した外装材10を用いて蓄電装置を製造する方法について説明する。なお、ここでは、エンボスタイプ外装材30を用いて二次電池40を製造する場合を例に挙げて説明する。図2は上記エンボスタイプ外装材30を示す図である。図3の(a)〜(d)は、外装材10を用いた片側成型加工電池の製造工程を示す斜視図である。二次電池40としては、エンボスタイプ外装材30のような外装材を2つ設け、このような外装材同士を、アライメントを調整しつつ、貼り合わせて製造される、両側成型加工電池であってもよい。また、エンボスタイプ外装材30は、外装材20を用いて形成されてもよい。
工程S21:外装材10、電極を含む電池要素1、並びに上記電極から延在するリード2を準備する工程。
工程S22:外装材10の片面に電池要素1を配置するための凹部32を形成する工程(図3(a)及び図3(b)参照)。
工程S23:エンボスタイプ外装材30の成型加工エリア(凹部32)に電池要素1を配置し、凹部32を蓋部34が覆うようにエンボスタイプ外装材30を折り返し重ねて、電池要素1から延在するリード2を挟持するようにエンボスタイプ外装材30の一辺を加圧熱融着する工程(図3(b)及び図3(c)参照)。
工程S24:リード2を挟持する辺以外の一辺を残し、他の辺を加圧熱融着し、その後、残った一辺から電解液を注入し、真空状態で残った一辺を加圧熱融着する工程(図3(c)参照)。
工程S25:リード2を挟持する辺以外の加圧熱融着辺端部をカットし、成型加工エリア(凹部32)側に折り曲げる工程(図3(d)参照)。
工程S21では、外装材10、電極を含む電池要素1、並びに上記電極から延在するリード2を準備する。外装材10は、上述した実施形態に基づき準備する。電池要素1及びリード2としては特に制限はなく、公知の電池要素1及びリード2を用いることができる。
工程S22では、外装材10のシーラント層17側に電池要素1を配置するための凹部32が形成される。凹部32の平面形状は、電池要素1の形状に合致する形状、例えば平面視矩形状とされる。凹部32は、例えば矩形状の圧力面を有する押圧部材を、外装材10の一部に対してその厚み方向に押圧することで形成される。また、押圧する位置、すなわち凹部32は、長方形に切り出した外装材10の中央より、外装材10の長手方向の一方の端部に偏った位置に形成する。これにより、成型加工後に凹部32を形成していないもう片方の端部側を折り返し、蓋(蓋部34)とすることができる。
工程S23では、エンボスタイプ外装材30の成型加工エリア(凹部32)内に、正極、セパレータ及び負極等から構成される電池要素1が配置され。また、電池要素1から延在し、正極と負極にそれぞれ接合されたリード2が成型加工エリア(凹部32)から外に引き出される。その後、エンボスタイプ外装材30は、長手方向の略中央で折り返され、シーラント層17同士が内側となるように重ねられ、エンボスタイプ外装材30のリード2を挟持する一辺が加圧熱融着される。加圧熱融着は、温度、圧力及び時間の3条件で制御され、適宜設定される。加圧熱融着の温度は、シーラント層17を融解する温度以上であることが好ましい。
工程S24では、リード2を挟持する辺以外の一辺を残し、他の辺の加圧熱融着が行われる。その後、残った一辺から電解液を注入し、残った一辺が真空状態で加圧熱融着される。加圧熱融着の条件は工程S23と同様である。
リード2を挟持する辺以外の周縁加圧熱融着辺端部がカットされ、端部からははみだしたシーラント層17が除去される。その後、周縁加圧熱融着部を成型加工エリア32側に折り返し、折り返し部42を形成することで、二次電池40が得られる。
基材層11として、表1の特性を有するポリエステルフィルム(いずれも厚さ25μm)を準備した。表1中、50%伸長時応力値及び熱収縮率は、それぞれ次のようにして測定した。
50%伸長時応力値(F50応力値):A4サイズにカットした各ポリエステルフィルムを、160〜200℃の範囲内の任意の熱処理温度に保たれたオーブン中で30分間加熱した。その後、当該ポリエステルフィルムの4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対し、引張試験(試験片形状:JIS K7127に規定される5号型ダンベル状、チャック間距離:75mm、標点間距離:25mm、試験速度:50mm/min、温度:23℃)を行った。そして、4方向に対する測定結果の平均を取ることで、50%伸長時応力値を算出した。
熱収縮率:23℃にてA4サイズにカットした各ポリエステルフィルムを、160〜200℃の範囲内の任意の熱処理温度に保たれたオーブン中で30分間加熱した。その後、当該ポリエステルフィルムの4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)の、23℃における長さを測定した。そして、下記式に従い各方向に対する熱収縮率を算出して、その平均値をとることで、熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=[{熱処理前に測定された各方向の長さ(A4サイズ)−熱処理後に測定された各方向の長さ}/熱処理前に測定された各方向の長さ]×100
金属箔層14として、厚さ40μmの軟質アルミニウム箔8079材(東洋アルミニウム株式会社製)を準備した。次いで、金属箔層14の両面に、グラビアコートにより、溶媒として蒸留水を使用し、かつ固形分濃度10質量%に調整したポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル(腐食防止処理剤)を塗布した。このとき、酸化セリウム100質量部に対して、リン酸は10質量部とした。
表1に記載のポリエステルフィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、蓄電装置用外装材10を作製した。
基材層11の片面をコロナ処理する代わりに基材層11の接着層13側の面に易接着処理層12を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、蓄電装置用外装材10を作製した。易接着処理層12は、インラインコート法を用いて、基材層11の片面に、以下のとおり調製した易接着処理層12の母材となる塗工剤を固形分で0.1g/m2となるように塗工し、乾燥させることで形成した。易接着処理層12の厚さは約0.1μmであった。
(易接着処理層形成用塗工剤の調製)
易接着処理層形成用塗工剤として、下記組成の塗工剤を調製した。
塗工剤:東亞合成株式会社製の水溶性ポリエステル「アロンメルトPES−1000」に、ニホンポリウレタン工業株式会社製の自己乳化型ポリイソシアネート「アクアネート100」および日本触媒化学工業株式会社製の真球状シリカ微粒子「シーホスターKE−P30」(平均粒子径0.3μm)を95/5/0.5の配合比(質量比)で加え、水で希釈した。
ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾルを用いて腐食防止処理層15a及び15bを形成する代わりに、クロメート処理を行って腐食防止処理層15a及び15bを形成したこと以外は、実施例1と同様にして、蓄電装置用外装材10を作製した。なお、クロメート処理は、金属箔層14の両面にフェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液を塗布して被膜を形成し、焼付けすることにより行った。
ポリエステルポリオールに硬化剤としてIPDIのイソシアヌレート体を配合した樹脂組成物を基材層11上に塗布し、加熱硬化することにより、基材層11上に、厚さ1.0μmのポリエステル系樹脂からなるコーティング層を形成したこと以外は、それぞれ実施例1〜4及び比較例1〜6と同様にして、蓄電装置用外装材10を作製した。
アクリルポリオールに硬化剤としてHDIのアダクト体を配合した樹脂組成物を、基材層11上に塗布し、加熱硬化することにより、基材層11上に、厚さ1.0μmのアクリル系樹脂からなるコーティング層を形成したこと以外は、それぞれ実施例1〜4及び比較例1〜6と同様にして、蓄電装置用外装材10を作製した。
コーティング層の厚さを4.0μmにしたこと以外は、それぞれ実施例5及び9と同様にして、蓄電装置用外装材10を作製した。
熱ラミネーション装置を用いたサンドイッチラミネーション法により、シーラント接着層16を介して、腐食防止処理層15bに、シーラント層17を張り合わせ、これを巻き取る際の加工適性について、以下の基準にて評価した。
A:張り合わせ及び巻取りのいずれも良好に行えた。
B:張り合わせ又は巻取りが良好に行えなかった。
C:張り合わせ及び巻取りのいずれも良好に行えなかった。
各実施例及び比較例で作製した蓄電装置用外装材10について、深絞り成型が可能な成型深度を以下の方法で評価した。まず、蓄電装置用外装材10を、シーラント層17が上方を向くように成型装置内に配置した。成型装置の成型深さを6.0mm又は6.5mmに設定し、室温23℃、露点温度−35℃の環境下で冷間成型した。なお、パンチ金型には、70mm×80mmの長方形の横断面を有し、底面に1.00mmのパンチラジアス(RP)を有し、側面に1.00mmのパンチコーナーラジアス(RCP)を有するものを使用した。また、ダイ金型には、開口部上面に1.00mmのダイラジアス(RD)を有するものを使用した。冷間成型を行った部分の破断及びピンホールの有無を、外装材10にライトを照射しながら目視にて確認し、以下の基準にて成型深度の最大値(成型限界)を評価した。結果を表2に示す。
A:成型深度6.5mmでは破断及びピンホールのいずれも生じなかった。
B:成型深度6.5mmでは破断又はピンホールが生じたものの、成型深度6.0mmでは破断及びピンホールのいずれも生じなかった。
C:成型深度6.0mmで破断又はピンホールが生じた。
各実施例及び比較例で作製した蓄電装置用外装材10について、基材層11と金属箔層14との間の密着性を以下の方法で評価した。まず、蓄電装置用外装材10を、シーラント層17が上方を向くように成型装置内に配置した。成型装置の成型深さを5mmに設定し、室温23℃、露点温度−35℃の環境下で冷間成型した。なお、パンチ金型には、70mm×80mmの長方形の横断面を有し、底面に1.00mmのパンチラジアス(RP)を有し、側面に1.00mmのパンチコーナーラジアス(RCP)を有するものを使用した。また、ダイ金型には、開口部上面に1.00mmのダイラジアス(RD)を有するものを使用した。
A:4週間後でも剥離が確認されなかった。
B:4週間後には剥離が確認された。
各実施例及び比較例で作製した蓄電装置用外装材10について、基材層11(又はコーティング層18)とアクリル系PSAテープとの密着性を以下の方法で評価した。まず、支持体に、基材層11(又はコーティング層18)側が上面となるように蓄電装置用外装材10を貼り付けた。次に、基材層11(又はコーティング層18)上に、アクリル系PSAテープと剥離試験用の支持アルミニウム箔とを約20Nの力で貼り付けた。これを約1時間静置した後、基材層11(又はコーティング層18)とアクリル系PSAテープとの剥離強度(180度剥離、剥離速度は50mm/分)を測定し、以下の評価基準により評価をした。結果を表2に示す。
○:剥離強度が10N/15mm以上であった。
×:剥離強度が10N/15mm未満であった。
Claims (10)
- 少なくとも基材層、接着層、金属箔層、シーラント接着層及びシーラント層がこの順で積層された構造を有し、
前記基材層は、160〜200℃での熱処理後の、50%伸長時応力値が100〜180MPaであり且つ熱収縮率が1〜15%であるポリエステルフィルムからなる、蓄電装置用外装材。
50%伸長時応力値:基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対し引張試験(試験片形状:JIS K7127に規定される5号型ダンベル状、チャック間距離:75mm、標点間距離:25mm、試験速度:50mm/min、温度:23℃)を行ったときの応力値の平均値である。
熱収縮率:基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対する、熱処理前後での収縮率の平均値である。 - 前記ポリエステルフィルムは、160℃での熱処理後の熱収縮率が1〜5%である、請求項1に記載の蓄電装置用外装材。
- 前記基材層と前記接着層との間に設けられた易接着処理層をさらに備える、請求項1又は2に記載の蓄電装置用外装材。
- 前記易接着処理層が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びアクリルグラフトポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む層である、請求項3に記載の蓄電装置用外装材。
- 前記金属箔層の両面に設けられた腐食防止処理層を更に備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材。
- 前記腐食防止処理層が、希土類元素酸化物、及び、リン酸又はリン酸塩を含む、請求項5に記載の蓄電装置用外装材。
- 基材層上に、さらにコーティング層が積層された構造を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材。
- 前記コーティング層が、アクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む層である、請求項7に記載の蓄電装置用外装材。
- 前記コーティング層の厚さが、0.05〜3μmである、請求項7又は8に記載の蓄電装置用外装材。
- 金属箔層の一方の面に、接着層を介して基材層を貼り合わせる工程、及び
前記金属箔層の前記接着層とは反対側の面に、シーラント接着層を介してシーラント層を形成する工程、を備え、
前記基材層は、160〜200℃での熱処理後の、50%伸長時応力値が100〜180MPaであり且つ熱収縮率が1〜15%であるポリエステルフィルムからなる、
蓄電装置用外装材の製造方法。
50%伸長時応力値:基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対し引張試験(試験片形状:JIS K7127に規定される5号型ダンベル状、チャック間距離:75mm、標点間距離:25mm、試験速度:50mm/min、温度:23℃)を行ったときの応力値の平均値である。
熱収縮率:基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対する、熱処理前後での収縮率の平均値である。
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