JP2017191261A - 光ファイバ保護構造及びこれを用いた光コンバイナ構造 - Google Patents

光ファイバ保護構造及びこれを用いた光コンバイナ構造 Download PDF

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Abstract

【課題】高温環境下や高湿環境下において光ファイバの光透過率の低下を効果的に防止することができる光ファイバ保護構造を提供する。
【解決手段】光ファイバ保護構造20は、光ファイバ11の一部を内部に収容するファイバ収容溝21が形成されたファイバ収容部22と、ファイバ収容溝21内に充填される第1の樹脂40Aとを備える。第1の樹脂40Aは、光ファイバ11の一部をファイバ収容溝21内に固定する。光ファイバ保護構造20は、ファイバ収容溝21を覆うようにファイバ収容部22上に配置される蓋部24と、蓋部24に向かって第1の樹脂40Aの膨張を許容して光ファイバ11に作用する応力を緩和する第2の樹脂42Aと、蓋部24をファイバ収容部22上に固定する第3の樹脂44とを備えている。第2の樹脂42Aのヤング率は第1の樹脂40Aのヤング率よりも低い。
【選択図】図9

Description

本発明は、光ファイバ保護構造に係り、特に内部に光ファイバの少なくとも一部を収容した光ファイバ保護構造に関する。
光ファイバ同士を接続する場合には、光ファイバの被覆を除去して光ファイバの素線同士を融着して接続することが多いが、このように光ファイバの被覆が除去された部分は、外力に対して弱く、衝撃や振動が加わった際に破断してしまう可能性がある。このため、融着点など光ファイバの被覆が除去された部分を、引っ張り強度が高い材料からなるファイバ収容部に収容し、樹脂などで固定することが行われる。
また、ポリマークラッドファイバの場合には、被覆が除去された部分ではエアクラッドによって光が閉じ込められるが、この被覆が除去された部分に異物が付着すると、光ファイバ内の光が付着異物に漏れ出してしまい、高出力光の場合には光ファイバが焼損してしまうおそれがある。このため、上述したファイバ収容部上に蓋部を配置し、被覆が除去された部分に異物が付着することも防止した光ファイバ保護構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
図1はこのような従来の光ファイバ保護構造800を模式的に示す正面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図2のB−B線断面図である。図1及び図2に示すように、従来の光ファイバ保護構造800は、溝810が形成されたファイバ収容部820と、ファイバ収容部820上に載置された蓋部830とを備えている。図2及び図3に示すように、この光ファイバ保護構造800の溝810には、2本の光ファイバ840,840の被覆が除去された部分と融着部860とが収容される。光ファイバ840,840は、溝810の両端部で樹脂870によりファイバ収容部820に固定されている。ファイバ収容部820上には蓋部830が固定されている。ファイバ収容部820及び蓋部830は引っ張り強度が高い材料から形成される。
このような従来の光ファイバ保護構造800においては、光ファイバ840を固定する樹脂870の上に堅い蓋部830が載置されているため、高温環境下や高湿環境下において樹脂870が膨張した場合、樹脂870の上に載置された蓋部830によって樹脂870の膨張が阻害される。その結果、図3の矢印で示すように、光ファイバ840を圧迫するように応力が作用する。これにより、光ファイバ840を導波する光がより高次のモードに結合して光ファイバ840から漏洩し、光損失が増加してしまう。例えばファイバレーザからの高出力光が光ファイバ840内を伝搬する場合には、光ファイバ840及び光ファイバ保護構造800が光損失により高温になってしてしまうおそれもある。
特許第4776420号明細書
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、高温環境下や高湿環境下において光ファイバの光損失の増加を抑制することができる光ファイバ保護構造を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、高温環境下や高湿環境下においても光損失が増加しにくい光コンバイナ構造を提供することを第2の目的とする。
本発明の第1の態様によれば、高温環境下や高湿環境下において光ファイバの光損失の増加を抑制することができる光ファイバ保護構造が提供される。この光ファイバ保護構造は、少なくとも1つの光ファイバの少なくとも一部を内部に収容するファイバ収容溝が形成されたファイバ収容部と、上記ファイバ収容溝内に充填される第1の樹脂とを備える。上記第1の樹脂は、上記少なくとも1つの光ファイバの少なくとも一部を上記ファイバ収容溝内に固定する。上記光ファイバ保護構造は、上記ファイバ収容溝の少なくとも一部を覆うように上記ファイバ収容部上に配置される蓋部と、上記蓋部を上記ファイバ収容部上に固定する固定手段と、上記蓋部に向かって上記第1の樹脂の膨張を許容して上記少なくとも1つの光ファイバに作用する応力を緩和する第1の応力緩和手段とを備えている。
このような構成により、光ファイバの少なくとも一部をファイバ収容溝内に固定する第1の樹脂が高温環境下や高湿環境下で膨張した場合であっても、第1の応力緩和手段によって蓋部に向かって第1の樹脂の膨張が許容されるので、第1の樹脂から光ファイバに作用する応力が緩和される。したがって、光ファイバに作用する応力によって光ファイバの光損失が増加することを効果的に抑制することができる。
上記第1の応力緩和手段は、上記第1の樹脂と上記蓋部との間に形成される第2の樹脂であって、上記第1の樹脂よりもヤング率の低い第2の樹脂により構成されていてもよい。あるいは、上記第1の応力緩和手段は、上記第1の樹脂と上記蓋部との間に形成される間隙により構成されていてもよい。
上記固定手段は、上記ファイバ収容部の上面と上記蓋部との間に形成される第3の樹脂により構成されていてもよい。この場合において、上記第3の樹脂のヤング率が、上記第2の樹脂のヤング率よりも高いことが好ましい。このように第2の樹脂よりもヤング率の高い第3の樹脂によって蓋部をファイバ収容部上に固定することによって、相対的にヤング率の低い(変形しやすい)第2の樹脂により光ファイバに作用する応力を緩和しつつ、相対的にヤング率の高い(変形しにくい)第3の樹脂によって蓋部をファイバ収容部上に強固に固定することができる。
また、上記第1の樹脂と上記蓋部との間及び上記ファイバ収容部の上面と上記蓋部との間に形成される第2の樹脂であって、上記第1の樹脂よりもヤング率の低い第2の樹脂により、上記第1の応力緩和手段及び上記固定手段を構成してもよい。このような構成によれば、同一の樹脂により応力緩和手段と固定手段とを実現できるので、製造工程を簡略化できるとともに、製造コストも抑えることができる。
上記光ファイバ保護構造は、上記ファイバ収容溝内の上記少なくとも1つの光ファイバの少なくとも一部を覆うように上記ファイバ収容溝内に設けられる第4の樹脂と、上記蓋部に向かって上記第4の樹脂の膨張を許容して上記少なくとも1つの光ファイバに作用する応力を緩和する第2の応力緩和手段とをさらに備えていてもよい。ここで、上記第4の樹脂を上記光ファイバのクラッドよりも屈折率が低い材料で形成してもよい。このような構成により、素線露出部を導波する光が外部に漏洩することが防止される。あるいは、上記第4の樹脂を上記光ファイバのクラッドよりも屈折率が高い材料で形成してもよい。この場合には、光ファイバのクラッドを伝搬する不要光を除去しつつ、この不要光により生じる発熱が光ファイバに与える影響を緩和することができる。
上記第2の応力緩和手段は、上記第4の樹脂と上記蓋部との間に形成される第5の樹脂であって、上記第4の樹脂よりもヤング率の低い第5の樹脂により構成されていてもよい。あるいは、上記第2の応力緩和手段は、上記第4の樹脂と上記蓋部との間に形成される間隙により構成されていてもよい。このような構成により、蓋部に向かって第4の樹脂の膨張が許容されるため、光ファイバに作用する応力が緩和される。
本発明の第2の態様によれば、高温環境下や高湿環境下においても光損失が増加しにくい光コンバイナ構造が提供される。この光コンバイナ構造は、上記光ファイバ保護構造と、第1の光ファイバと、第2の光ファイバと、上記第1の光ファイバと上記第2の光ファイバとを融着した融着部とを有する光コンバイナとを備えている。上記光ファイバ保護構造における上記ファイバ収容部の上記ファイバ収容溝内には、上記光コンバイナの上記第1の光ファイバの少なくとも一部、上記第2の光ファイバの少なくとも一部、及び上記融着部が収容される。
本発明によれば、光ファイバの少なくとも一部をファイバ収容溝内に固定する第1の樹脂が高温環境下や高湿環境下で膨張した場合であっても、第1の応力緩和手段によって蓋部に向かって第1の樹脂の膨張が許容されるので、第1の樹脂から光ファイバに作用する応力が緩和される。したがって、光ファイバに作用する応力によって光ファイバの光損失が増加することが効果的に抑制される。
従来の光ファイバ保護構造を示す正面図である。 図1のA−A線断面図である。 図2のB−B線断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る光コンバイナ構造を示す正面図である。 図4のC−C線断面図である。 図5のD−D線断面図である。 図5のE−E線断面図である。 図5のF−F線断面図である。 図6に示す光コンバイナ構造において第1の樹脂が膨張した状態を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る光コンバイナ構造を示す断面図であり、図5の断面図に対応するものである。 本発明の第2の実施形態に係る光コンバイナ構造を示す断面図であり、図6の断面図に対応するものである。 本発明の第3の実施形態に係る光コンバイナ構造を示す断面図であり、図6に断面図に対応するものである。 本発明の第4の実施形態に係る光コンバイナ構造を示す断面図であり、図5の断面図に対応するものである。 本発明の第4の実施形態に係る光コンバイナ構造を示す断面図であり、図6の断面図に対応するものである。 本発明の第5の実施形態に係る光コンバイナ構造を示す断面図であり、図5の断面図に対応するものである。 図15に示す光コンバイナ構造において第1の樹脂が膨張した状態を示す断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る光コンバイナ構造を示す断面図であり、図8の断面図に対応するものである。 図17のG−G線断面図である。 本発明に係る光ファイバ保護構造の実施例と比較例における温度と透過率の変化率との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る光ファイバ保護構造及びこれを用いた光コンバイナ構造の実施形態について図4から図19を参照して詳細に説明する。図4から図19において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図4から図19においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。
図4は本発明の第1の実施形態における光コンバイナ構造1を示す正面図、図5は図4のC−C線断面図である。図4及び図5に示すように、光コンバイナ構造1は、互いに融着された光ファイバ11,12を含む光コンバイナ10と、光ファイバ11,12の融着部19を保護する光ファイバ保護構造20とを含んでいる。光コンバイナ10は、第1の光ファイバ11と、第2の光ファイバ12と、第1の光ファイバ11と第2の光ファイバ12とを互いに融着した融着部19とを有している。光ファイバ保護構造20は、光ファイバ11,12及び融着部19を外力や衝撃、振動から保護するものである。
図6は図5のD−D線断面図、図7は図5のE−E線断面図、図8は図5のF−F線断面図である。光ファイバ保護構造20は、ファイバ収容溝21がX方向に沿って上面22Aに形成されたファイバ収容部22と、ファイバ収容部22上に配置された蓋部24とを備えている。ファイバ収容部22はX方向を長手方向とする略直方体の外形を有しており、蓋部24は、平面視においてファイバ収容部22と実質的に同一の寸法となるように構成されている。
図5及び図8に示すように、第1の光ファイバ11の被覆13は、端部から一定距離にわたって剥がされており、これにより素線15が露出した素線露出部17が形成されている。また、第2の光ファイバ12の被覆14は、端部から一定距離にわたって剥がされており、これにより素線16が露出した素線露出部18が形成されている。第1の光ファイバ11の素線露出部17と第2の光ファイバ12の素線露出部18とは融着部19において互いに融着され接続されている。
ファイバ収容部22のファイバ収容溝21には、第1の光ファイバ11の素線露出部17と第2の光ファイバ12の素線露出部18とが融着部19で融着された状態で配置される。ファイバ収容部22のファイバ収容溝21に蓋部24を被せることによって、融着部19、素線露出部17,18がファイバ収容部22及び蓋部24によって覆われ、これらが外力、衝撃、及び振動から保護される。なお、ファイバ収容部22及び蓋部24は、例えばネオセラム(商標)や石英などのガラス材料から形成することができる。
本実施形態では、第1の光ファイバ11は、コア11Aを有する単一のファイバにより構成され(図6参照)、第2の光ファイバ12は、コア12Aを有する複数の光ファイバ(図示の例では7つの光ファイバ)が束ねられてバンドル化されたバンドルファイバとして構成される(図7参照)。このように、本実施形態の光コンバイナ10は7×1の光コンバイナとして構成されている。なお、第1の光ファイバ11のコア11Aの数及び第2の光ファイバ12のコア12Aの数は適宜変更できることは言うまでもない。
図5及び図6に示すように、第1の光ファイバ11は、ファイバ収容溝21のX方向の一端部に充填された第1の樹脂40Aによりファイバ収容溝21内に固定されている。この第1の樹脂40Aは、図6に示すように、第1の光ファイバ11の被覆13の全外周を包囲している。また、同様に、図5及び図7に示すように、第2の光ファイバ12は、ファイバ収容溝21のX方向の他端部に充填された第1の樹脂40Bによりファイバ収容溝21内に固定されている。この第1の樹脂40Bも、図7に示すように、第2の光ファイバ12の被覆14の全外周を包囲している。
図5及び図6に示すように、第1の樹脂40Aと蓋部24との間には第2の樹脂42Aが形成されており、この第2の樹脂42Aにより第1の樹脂40Aと蓋部24とが互いに連結されている。同様に、図5及び図7に示すように、第1の樹脂40Bと蓋部24との間には第2の樹脂42Bが形成されており、この第2の樹脂42Bにより第1の樹脂40Bと蓋部24とが互いに連結されている。第2の樹脂42A,42Bは、第1の樹脂40A,40Bよりもヤング率の低い材料からなる。
図5から図7に示すように、ファイバ収容部22と蓋部24との間には、第2の樹脂42A,42Bが形成されている部分を除いて、ファイバ収容部22の縁部に沿って第3の樹脂44が形成されている。主にこの第3の樹脂44によってファイバ収容部22と蓋部24とが互いに固定されている。したがって、本実施形態では、第3の樹脂44が、蓋部24をファイバ収容部22上に固定する固定手段としての役割を有する。このような第3の樹脂44としては、例えばRTV(Room Temperature Vulcanizing)樹脂などを用いることができる。
このように、ファイバ収容部22の上面22Aの縁部には、第2の樹脂42A,42B及び第3の樹脂44が全周にわたって形成され、これらの樹脂の上に蓋部24が載置されている。したがって、蓋部24をファイバ収容部22に密着させた状態で固定することができ、ファイバ収容部22の内部に外部から実質的に密閉された密閉空間Sを形成することができる。本実施形態においては、この密閉空間S内の空気により光ファイバ11,12の素線露出部17,18に対するエアクラッドが構成される。
上述したように、光ファイバ11,12の素線露出部17,18及び融着部19は、ファイバ収容部22のファイバ収容溝21に収容され、ファイバ収容部22及び蓋部24によって包囲される。したがって、光ファイバ11,12の特に外力の影響を受けやすい素線露出部17,18及び融着部19が外力や衝撃、振動から保護される。また、光ファイバ11,12の素線露出部17,18は密閉空間S内に配置されるため、埃などの異物が素線露出部17,18に付着することを防止することができる。したがって、光ファイバ11,12内の光が付着異物に漏れ出して光ファイバの焼損を招いてしまうことを防止することができる。
上述した構造の光コンバイナ構造1が高温環境下や高湿環境下に置かれると、図9に示すように、光ファイバ11,12をファイバ収容溝21に固定する第1の樹脂40A,40Bが膨張する。本実施形態においては、第1の樹脂40A,40Bと蓋部24との間に、第1の樹脂40A,40Bよりもヤング率の低い(すなわち変形しやすい)第2の樹脂42A,42Bが形成されているので、第1の樹脂40A,40Bが高温環境下や高湿環境下で膨張した場合であっても、第2の樹脂42A,42Bが変形することによって蓋部24に向かって第1の樹脂40A,40Bの膨張が許容される。これにより、第1の樹脂40A,40Bから光ファイバ11,12に作用する応力が緩和されるため、光ファイバ11,12の光損失の増加が抑制される。このように、本実施形態における第2の樹脂42A,42Bは、蓋部24に向かって第1の樹脂40A,40Bの膨張を許容して光ファイバ11,12に作用する応力を緩和する応力緩和手段として機能する。
この場合において、蓋部24をファイバ収容部22上に固定する固定手段としての第3の樹脂44のヤング率は、第2の樹脂42A,42Bのヤング率よりも高いことが好ましい。このように第2の樹脂42A,42Bよりもヤング率の高い第3の樹脂44によって蓋部24をファイバ収容部22上に固定することによって、相対的にヤング率の低い(変形しやすい)第2の樹脂42A,42Bにより光ファイバ11,12に作用する応力を緩和しつつ、相対的にヤング率の高い(変形しにくい)第3の樹脂によって蓋部24をファイバ収容部22上に強固に固定することができる。
なお、本実施形態では、第1の樹脂40A,40B及び第2の樹脂42A,42Bをファイバ収容溝21の両端部に形成しているが、第1の樹脂40A,40B及び第2の樹脂42A,42Bをファイバ収容溝21の端部からX方向中央側にずらして形成することも可能である。また、第1の樹脂40A,40B及び第2の樹脂42A,42Bを形成する箇所は2箇所に限られず、1箇所であってもよく、あるいは3箇所以上であってもよい。
図10及び図11は、本発明の第2の実施形態における光コンバイナ構造101を示す断面図であり、図10は図5の断面図に対応するものであり、図11は図6の断面図に対応するものである。上述した第1の実施形態においては、第2の樹脂42A,42BのY方向に沿った幅が、第1の樹脂40A,40BのY方向に沿った幅と略同一であったが、第2の実施形態では、第2の樹脂142A,142BのY方向に沿った幅が第1の樹脂40A,40BのY方向に沿った幅よりも長くなっている。図示の例では、第2の樹脂142A,142Bがファイバ収容部22のY方向に沿った全幅にわたって形成されている。このような構成によれば、第1の樹脂40A,40Bの膨張を許容する第2の樹脂142A,142Bの領域が第1の実施形態に比べて広がるため、光ファイバ11,12に作用する応力をより効果的に軽減することが可能となる。
図12は、本発明の第3の実施形態における光コンバイナ構造201を示す図であり、図6の断面図に対応するものである。本実施形態は、第2の実施形態とは逆に、第2の樹脂242A,242BのY方向に沿った幅を第1の樹脂40A,40BのY方向に沿った幅よりも小さくしている。このようにすることで、ファイバ収容部22と蓋部24とを固定するための第3の樹脂244の領域が第1の実施形態と比べて広がるため、ファイバ収容部22と蓋部24とをより強固に固定することが可能となる。
図13及び図14は、本発明の第4の実施形態における光コンバイナ構造301を示す断面図であり、図13は図5の断面図に対応するものであり、図14は図6の断面図に対応するものである。図13及び図14に示すように、本実施形態においては、第1の樹脂40A,40Bと蓋部24との間に第1の樹脂40A,40Bよりもヤング率の低い材料からなる第2の樹脂342が形成されており、この第2の樹脂342は、第1の樹脂40A,40Bと蓋部24との間だけではなく、ファイバ収容部22の縁部に沿って形成されている。このように、本実施形態における第2の樹脂342は、蓋部24に向かって第1の樹脂40A,40Bの膨張を許容して光ファイバ11,12に作用する応力を緩和する応力緩和手段としてだけではなく、蓋部24をファイバ収容部22上に固定する固定手段としても機能する。本実施形態によれば、同一の樹脂により応力緩和手段と固定手段とを実現できるので、製造工程を簡略化できるとともに、製造コストも抑えることができる。
図15は、本発明の第5の実施形態における光コンバイナ構造401を示す断面図であり、図6の断面図に対応するものである。図15に示すように、本実施形態では、第1の樹脂40Aと蓋部24との間に間隙Gが形成されている。このような構成の光コンバイナ構造401が高温環境下や高湿環境下に置かれると、図16に示すように、第1の樹脂40Aが膨張するが、第1の樹脂40Aと蓋部24との間に間隙Gが形成されているので、蓋部24に向かって第1の樹脂40Aの膨張が許容される。これにより、第1の樹脂40Aから光ファイバ11に作用する応力が緩和されるため、光ファイバ11の光損失の増加が抑制される。すなわち、本実施形態では、第1の樹脂40Aと蓋部24との間に形成された間隙Gが、蓋部24に向かって第1の樹脂40Aの膨張を許容して光ファイバ11に作用する応力を緩和する応力緩和手段として機能する。
図17は、本発明の第6の実施形態における光コンバイナ構造501を示す断面図であり、図8に対応する断面図である。図18は図17のG−G線断面図である。上述した第1〜第5の実施形態においては、素線露出部17,18から光が漏洩することを防止するために、密閉空間S内の空気によりエアクラッドが形成されている例を説明したが、本実施形態では、この密閉空間Sに樹脂を充填している。
図17に示すように、光コンバイナ構造501のファイバ収容溝21のX方向における両端部には、第1の樹脂40A,40Bが設けられており、第1の実施形態と同様に、第1の樹脂40A,40Bと蓋部24との間には第2の樹脂42A,42Bが設けられている。図17及び図18に示すように、ファイバ収容溝21内には、これら第1の樹脂40A,40Bが設けられた部分を除いて、光ファイバ11,12の全周を包囲するように第4の樹脂546が充填されている。第4の樹脂546は、素線15,16のクラッドよりも屈折率の低い材料で形成されており、この第4の樹脂546と蓋部24との間には間隙Tが形成されている。
このように、光コンバイナ構造501内の光ファイバ11,12は、素線15,16のクラッドよりも屈折率の低い材料で形成された第4の樹脂546で覆われているため、素線露出部17,18を導波する光が外部に漏洩することが防止される。また、第4の樹脂546と蓋部24との間には間隙Tが形成されているため、第4の樹脂546が高温環境下や高湿環境下で膨張した場合であっても、この間隙Tが、蓋部24に向かって第4の樹脂546の膨張を許容し、光ファイバ11,12に作用する応力が緩和される。すなわち、この間隙Tは、蓋部24に向かって第4の樹脂546の膨張を許容して光ファイバ11,12に作用する応力を緩和する応力緩和手段として作用する。したがって、高温環境下や高湿環境下において光ファイバ11,12の光損失が増加することが抑制される。
また、第4の樹脂546と蓋部24との間に、間隙Tに代えて、あるいは間隙Tに加えて、第4の樹脂546よりもヤング率の低い第5の樹脂(図示せず)を応力緩和手段として形成してもよい。第2の樹脂42A,42Bのヤング率が第4の樹脂のヤング率よりも低い場合には、第2の樹脂42A,42Bをこのような第5の樹脂として用いることができる。
また、被覆13,14から光が漏洩することを軽減するために、第4の樹脂546を被覆13,14よりも屈折率の低い材料で形成してもよい。さらに、製造コストの増大を抑えるために、第1の樹脂40A,40Bと第4の樹脂546とを同じ材料で形成してもよい。また、素線露出部17,18の一部のみを覆うように第4の樹脂546を設けてもよい。
また、上述した第6の実施形態では、第4の樹脂546を素線15,16のクラッドよりも屈折率が低い材料で形成することとしたが、コアと少なくとも1つのクラッドとを有する光ファイバ同士の接続においては、クラッドよりも屈折率が高い材料で第4の樹脂を形成して、該第4の樹脂を融着部19近傍に設けるようにしてもよい。このような構成により、光ファイバ11,12のクラッドを伝搬する不要光を除去しつつ、この不要光により生じる発熱が光ファイバ11,12に与える影響を緩和することができる。
上述した実施形態では、平面視におけるファイバ収容部22及び蓋部24の寸法を同一とし、蓋部24がファイバ収容溝21の全長を覆うようにファイバ収容部22上に配置されているが、蓋部24はファイバ収容溝21の全長を覆う必要はなく、ファイバ収容溝21の少なくとも一部を覆うように構成されていればよい。
上述した実施形態では、蓋部24をファイバ収容部22上に固定する固定手段として樹脂を用いた例を説明したが、このような固定手段としては様々なものが考えられる。例えば、ボルトなどの機械的な手段を用いてファイバ収容部22と蓋部24とを固定してもよいし、磁気を用いてファイバ収容部22と蓋部24とを固定することもできる。あるいは、ファイバ収容部22と蓋部24との間に大きな摩擦力が作用するように蓋部24の重量をファイバ収容部22よりも重くするなどの手段を採ることもできる。
また、上述の実施形態では、本発明に係る光ファイバ保護構造を用いた光コンバイナ構造を例として説明したが、本発明に係る光ファイバ保護構造は、光コンバイナ以外の光学要素にも適用できるものであることは言うまでもない。
発明者等は、本発明に係る光ファイバ保護構造の性能を調べるために以下のような実験を行った。具体的には、本発明に係る光ファイバ保護構造の実施例として図10及び図11に示す光ファイバ保護構造を用い、この光ファイバ構造を25℃から70℃までの温度環境下に置いて光ファイバの光透過率を測定した。また、比較例として、図13及び図14に示す光ファイバ保護構造における第2の樹脂342に代えて、第1の樹脂40Aよりもヤング率の高いRTV樹脂を用いたものについても同様の実験を行い、光ファイバの光透過率を測定した。
図19は、25℃のときの光透過率を1とした場合の各温度における光透過率の変化率を示すグラフである。図19においては、本発明に係る光ファイバ保護構造の実施例についての光透過率を実線で表し、比較例についての光透過率は破線で表している。図19に示すように、本発明に係る光ファイバ保護構造の実施例では、25℃から70℃の温度変化に対して光透過率がほとんど変化していないが、比較例においては70℃において光透過率が大きく低下していることが分かる。このことから、本発明に係る光ファイバ保護構造では、比較例の光ファイバ保護構造に比べて、高温環境下においても光透過率が低下しにくくなることが判明した。
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいものであることはいうまでもない。なお、本明細書において使用した用語「下」、「上」、「上側」、「下側」、「左」、「右」、「左側」、「右側」、その他の位置関係を示す用語は、図示した実施形態との関連において使用されているのであり、装置の相対的な位置関係によって変化するものである。
1 光コンバイナ構造
10 光コンバイナ
11 第1の光ファイバ
12 第2の光ファイバ
13,14 被覆
15,16 素線
17,18 素線露出部
19 融着部
20 光ファイバ保護構造
21 ファイバ収容溝
22 ファイバ収容部
24 蓋部
40A,40B 第1の樹脂
42A,42B 第2の樹脂
44 第3の樹脂
101 光コンバイナ構造
142A,142B 第2の樹脂
201 光コンバイナ構造
242A,242B 第2の樹脂
244 第3の樹脂
301 光コンバイナ構造
342 第2の樹脂
401 光コンバイナ構造
G 間隙

Claims (12)

  1. 少なくとも1つの光ファイバの少なくとも一部を内部に収容するファイバ収容溝が形成されたファイバ収容部と、
    前記ファイバ収容溝内に充填され、前記少なくとも1つの光ファイバの少なくとも一部を前記ファイバ収容溝内に固定する第1の樹脂と、
    前記ファイバ収容溝の少なくとも一部を覆うように前記ファイバ収容部上に配置される蓋部と、
    前記蓋部を前記ファイバ収容部上に固定する固定手段と、
    前記蓋部に向かって前記第1の樹脂の膨張を許容して前記少なくとも1つの光ファイバに作用する応力を緩和する第1の応力緩和手段と、
    を備えたことを特徴とする光ファイバ保護構造。
  2. 前記第1の応力緩和手段は、前記第1の樹脂と前記蓋部との間に形成される第2の樹脂であって、前記第1の樹脂よりもヤング率の低い第2の樹脂により構成されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ保護構造。
  3. 前記固定手段は、前記ファイバ収容部の上面と前記蓋部との間に形成される第3の樹脂であって、前記第2の樹脂よりもヤング率の高い第3の樹脂により構成される
    ことを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ保護構造。
  4. 前記固定手段は、前記ファイバ収容部の上面と前記蓋部との間に形成される第3の樹脂により構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ保護構造。
  5. 前記第1の応力緩和手段及び前記固定手段は、前記第1の樹脂と前記蓋部との間及び前記ファイバ収容部の上面と前記蓋部との間に形成される第2の樹脂であって、前記第1の樹脂よりもヤング率の低い第2の樹脂により構成されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ保護構造。
  6. 前記第1の応力緩和手段は、前記第1の樹脂と前記蓋部との間に形成される間隙により構成されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ保護構造。
  7. 前記ファイバ収容溝内の前記少なくとも1つの光ファイバの少なくとも一部を覆うように前記ファイバ収容溝内に設けられる第4の樹脂と、
    前記蓋部に向かって前記第4の樹脂の膨張を許容して前記少なくとも1つの光ファイバに作用する応力を緩和する第2の応力緩和手段と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光ファイバ保護構造。
  8. 前記第4の樹脂は、前記光ファイバのクラッドよりも屈折率が低い材料からなることを特徴とする請求項7に記載の光ファイバ保護構造。
  9. 前記第4の樹脂は、前記光ファイバのクラッドよりも屈折率が高い材料からなることを特徴とする請求項7に記載の光ファイバ保護構造。
  10. 前記第2の応力緩和手段は、前記第4の樹脂と前記蓋部との間に形成される第5の樹脂であって、前記第4の樹脂よりもヤング率の低い第5の樹脂により構成されることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の光ファイバ保護構造。
  11. 前記第2の応力緩和手段は、前記第4の樹脂と前記蓋部との間に形成される間隙により構成されることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の光ファイバ構造。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の光ファイバ保護構造と、
    第1の光ファイバと、第2の光ファイバと、前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとを融着した融着部とを有する光コンバイナと、
    を備え、
    前記光ファイバ保護構造における前記ファイバ収容部の前記ファイバ収容溝内には、前記光コンバイナの前記第1の光ファイバの少なくとも一部、前記第2の光ファイバの少なくとも一部、及び前記融着部が収容される
    ことを特徴とする光コンバイナ構造。
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