JP2017190786A - 密封装置 - Google Patents

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和生 濱田
Kazuo Hamada
和生 濱田
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Abstract

【課題】内輪が高速で回転するときに、シール摺接部の発熱を抑制し、耐久性を向上させた密封装置を提供する。【解決手段】密封装置10が、第1ラジアルリップ17を備えた第1シール11と、第2ラジアルリップ22を備えた第2シール12と、軸受30によって内輪及び外輪と同軸で回転自在に支持されたスリーブ14と、を備えており、第1シール11は、外輪に対して回転不能に固定されるとともに第1ラジアルリップ17がスリーブ14と接触しており、第2シール12は、スリーブ14に対して回転不能に固定されるとともに第2ラジアルリップ22が内輪と径方向に接触しており、内輪に対するスリーブ14の回転トルクが、外輪に対するスリーブ14の回転トルクと同等である。【選択図】図1

Description

本発明は、シールリップの摺動速度が高い用途に使用される密封装置であって、特に鉄鋼圧延機用ワークロールを支持する軸受装置に好適に使用される密封装置に関する。
従来より、鉄鋼圧延機用ワークロールを支持する軸受装置では、密封装置を装着したものが知られている(例えば、特許文献1)。
図2は、鉄鋼圧延機用ワークロールを支持する従来の軸受装置80を示す断面図である。軸受装置80は、4列の円すいころ軸受を組合わせた構成となっており、外輪81が図示しないハウジングの内周に固定され、内輪83が図示しないワークロール軸端の外周に嵌め合わされている。
軸受装置80には、圧延ロールを冷却する冷却水や圧延油等が多量に掛かっている。これらが軸受内部に浸入すると、グリースが劣化し、軸受寿命を大幅に短縮させる。軸受装置80が損傷すると圧延ロールの振動が大きくなり、圧延精度が劣化するので、冷却水や圧延油等が軸受内部に浸入するのを防止する必要がある。
外輪81は、単列の外輪81a、複列の外輪81b、単列の外輪81cが、軸方向に順に配置されており、互いに隣接する外輪81の間には間座82が組込まれている。間座82には、径方向に貫通する穴が設けられており、穴を通してグリースが軸受内部に給油されている。
内輪83は、複列の内輪83a,83bが軸方向に並べて配置されている。内輪83間の突当部には内シール84が装着されており、突当部からのグリースの流出を防止している。また、各内輪83には、略円筒形状のシール摺接部85が一体に形成されている。
従来の軸受装置80では、軸受装置80の軸方向両端部にプレート87が固定されており、密封装置90は、プレート87の内周に固定されている。図3は、従来の密封装置90の形態を説明するための要部拡大図である。
密封装置90は、軸方向断面がL字状の金属製の芯金91と、ゴム材で芯金91と一体に成形されたラジアルリップ92及びグリースリップ93を備えている。ラジアルリップ92は、芯金91の内周端部から軸方向外向きに突出しており、内輪83のシール摺接部85の外周面と接触している。グリースリップ93は、芯金91の内周端部から軸方向内向きに突出している。グリースリップ93は、シール摺接部85の外周面とわずかなすきまをもって対向している。
こうして、密封装置90は、ラジアルリップ92によって冷却水や圧延油等の浸入を防止するとともに、内部グリースの漏出を防止している。また、グリースリップ93を設けることによって、リップ間にグリースを保持して、ラジアルリップ92の摺接部の潤滑を確保している。
特開2001−20962号公報
近年、圧延鋼板の生産性を向上するために、圧延速度が高くなっている。このため、内輪83の回転速度が高くなっており、ラジアルリップ92と内輪83との摺動速度は毎分2800m程度になっている。
摺動速度が高くなると、ラジアルリップ92の摺接部が発熱してゴム材が劣化し、ラジアルリップ92の先端に亀裂やクラックが発生する。この結果、冷却水が軸受内部に浸入したり、軸受内部に封入したグリースが漏れ出たりすることによってころの転動面の潤滑状態が劣化して、軸受装置80が焼き付くという問題が生じている。
本発明は、内輪が高速で回転するときに、シール摺接部の発熱を抑制し、耐久性を向上させた密封装置を提供することを目的としている。
本発明の一形態は、回転体である内輪および回転しないハウジングに固定された外輪と、これら内外輪間に介在させた複数の転動体とを備えた軸受装置における、前記内外輪間の環状空間を密封する密封装置が、金属製の第1芯金及び弾性体からなる第1ラジアルリップを備えた第1シールと、金属製の第2芯金及び弾性体からなる第2ラジアルリップを備えた第2シールと、軸受によって前記内輪及び前記外輪と同軸で回転自在に支持されたスリーブと、を備えており、前記第1シールは、前記第1芯金が前記外輪に対して回転不能に固定されるとともに前記第1ラジアルリップが前記スリーブと接触しており、前記第2シールは、前記第2芯金が前記スリーブに対して回転不能に固定されるとともに前記第2ラジアルリップが前記内輪と径方向に接触しており、前記内輪に対する前記スリーブの回転トルクが、前記外輪に対する前記スリーブの回転トルクと同等であることを特徴としている。
内輪が高速で回転した場合であっても、シール摺接部の摺動速度を低減できるので、シール摺接部の発熱を抑制し、耐久性を向上させた密封装置を提供することができる。
本発明の一実施形態である密封装置の軸方向断面図である。 従来の密封装置が組込まれた鉄鋼圧延機用ワークロール支持軸受の断面図である。 従来の密封装置の軸方向断面図である。
図を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態(以下「本実施形態」)である密封装置10の軸方向断面図である。密封装置10は、鉄鋼圧延機用ワークロールを回転自在に支持する軸受装置40に組付けられている。
軸受装置40は、密封装置10以外の構成については、図2に示した従来の軸受装置80と同様の構成である。このため、従来の軸受装置80と共通の構成については説明を簡単にして、密封装置10の構造と作用について詳細に説明する。なお、密封装置10以外の構成については、従来の軸受装置80と同一の符号を付して説明する。
軸受装置40は、4列の円すいころ軸受を組合わせた構成である。外輪81は、単列の外輪81aと複列の外輪81bと単列の外輪81cとが軸方向に順に配置され、隣接する外輪81の間にそれぞれ円環状の間座82が組込まれた構成となっている。このように組合わされた外輪81の軸方向両外側に、円環状のプレート87が組付けられている。
内輪83は、複列の内輪83a,83bを軸方向に並べて配置した構成である。内輪83aと内輪83bとが軸方向に当接している部分では、当接部からグリースの流出を防ぐために内シール84が組込まれている。各内輪83a,83bの軸方向外側に、略円筒形状のシール摺接部85が一体に形成されている。シール摺接部85は、プレート87と軸方向のほぼ同じ位置に設けられている。
各外輪81の内周には、テーパ面の外側軌道面が形成されており、各内輪83の外周にはテーパ面の内側軌道面が形成されている。外側軌道面と内側軌道面との間には、それぞれ複数の円すいころ88が組込まれている。円すいころ88は保持器89によって周方向に等しい間隔で保持されている。
プレート87の内周とシール摺接部85の外周との間に密封装置10が組付けられていて、内輪83と外輪81とで径方向に挟まれた環状空間25を密封している。密封装置10の構成については後述する。
鉄鋼圧延機用ワークロールでは、軸受装置40は、外輪81及びプレート87が図示しないハウジングの内周に嵌め合わされており、内輪83が図示しないワークロールの軸端の外周に嵌め合わされている。プレート87の外周にはOリング86が装着されており、ハウジングとの嵌合面からグリースが流出するのを防いでいる。
次に、図1によって、密封装置10について説明する。
密封装置10は、同軸に組合わされた第1シール11及び第2シール12と、周方向に一様な肉厚で円筒形状に形成されたスリーブ14と、スリーブ14を回転自在に支持する転がり軸受としての深溝玉軸受30とを備えている。
スリーブ14は、高炭素鋼を焼入れ硬化処理した後、外径面及び内径面が研削加工によって精密な円筒形状に仕上げられている。スリーブ14の内周には、深溝玉軸受30の外レース31の外径が締り嵌めの状態で嵌め合わされている。深溝玉軸受30の内レース32は、その内径が内輪83のシール摺接部85の外周面に締り嵌めの状態で嵌め合わされている。こうして、スリーブ14は、内輪83に対して回転自在である。
第1シール11は、金属製の第1芯金16と、第1芯金16に一体に成形された第1ラジアルリップ17及び第1グリースリップ18と、第1ばね19とで構成されている。
第1芯金16は、環状で、SPCCなどの冷間圧延鋼板をプレス加工することによって形成されている。第1芯金16は、軸方向断面がL字状であり、軸と同軸の円筒形状である第1円筒部16aと、第1円筒部16aの軸方向一端から径方向内方に延在する第1フランジ部16bとが一体に形成されている。
第1ラジアルリップ17及び第1グリースリップ18は、ニトリルゴムやアクリルゴムなどの弾性体で形成されている。第1ラジアルリップ17は、第1フランジ部16bの径方向内方端部から第1円筒部16aと同じ向きに略軸方向に延在しており、第1グリースリップ18は、第1ラジアルリップ17と同じく第1フランジ部16bの径方向内方端部から第1ラジアルリップ17とは反対向きに略軸方向に延在している。第1ラジアルリップ17及び第1グリースリップ18を形成している弾性体は、さらに、第1円筒部16aの外周と第1フランジ部16bの軸方向の一方の側面を覆うように形成されている。
第1ラジアルリップ17及び第1グリースリップ18は、第1芯金16を上記弾性体にモールドした状態で、高温の金型で加硫成型することによって形成されている。
第1ラジアルリップ17の外周には、環状の第1ばね19が装着されている。第1ばね19は、周方向に弾性的に伸びることができる。
第1シール11は、その外周がプレート87の内周に締り嵌めの状態で嵌め合わされている。プレート87の内周と第1円筒部16aの外周との間では、弾性体が径方向に圧縮された状態で組付けられている。これにより、プレート87と第1シール11の嵌合部からのグリースの流出が防止されている。
第1ラジアルリップ17の内周は、スリーブ14の外周面と全周にわたって接触している。第1シール11を装着する前の状態では、第1ラジアルリップ17の内径寸法は、スリーブ14の外径寸法より小さい。この寸法差(直径)の1/2をラジアルリップのしめしろδ1という。図1では、第1ラジアルリップ17がしめしろδ1を有する状態を示すために、スリーブ14と重なった形態で示している。第1ラジアルリップ17及び第1ばね19は径方向に弾性を有しているので、実際に組付けたときには、このしめしろδ1の分だけ第1ラジアルリップ17の先端部及び第1ばね19が拡径している。このとき、第1ラジアルリップ17の内周はスリーブ14の外周に所定の大きさの力で径方向に接触している。
第1グリースリップ18の内径寸法はスリーブ14の外径寸法よりわずかに大きい。このため、内輪83の回転中に第1グリースリップ18とスリーブ14とが接触しないので、第1グリースリップ18が滑り摩擦によって発熱することがない。第1シール11を組付けるときには、第1ラジアルリップ17と第1グリースリップ18とで軸方向に挟まれた空間にグリースが塗布されている。このグリースによって、第1ラジアルリップ17とスリーブ14との摺接部が潤滑されている。
第2シール12は、深溝玉軸受30で回転自在に支持されたスリーブ14の内周に、締り嵌めの状態で嵌め合わされている。
第2シール12は、金属製の第2芯金21と、第2芯金21に一体に成形された第2ラジアルリップ22及び第2グリースリップ23と、第2ばね24とで構成されている。第2シール12は、第1シール11と軸方向断面の形態がほぼ同一であるので、共通する形態については簡単に説明する。また、各構成の材質及び製造方法は、第1シール11における材質及び製造方法と同様であるので、説明を省略する。
第2芯金21は、軸方向断面がL字状であり、軸と同軸の円筒形状である第2円筒部21aと、第2円筒部21aの軸方向一端から径方向内方に延在する第2フランジ部21bとが一体に形成されている。
第2ラジアルリップ22は、第2フランジ部21bの径方向内方端部から第2円筒部21aと同じ向きに略軸方向に延在しており、第2グリースリップ23は、第2ラジアルリップ22と同じく第2フランジ部21bの径方向内方端部から第2ラジアルリップ22とは反対向きに略軸方向に延在している。第2ラジアルリップ22及び第2グリースリップ23を形成している弾性体は、さらに、第2円筒部21aの外周と第2フランジ部21bの軸方向の一方の側面を覆うように形成されている。
第2ラジアルリップ22の外周には、環状の第2ばね24が装着されている。第2ばね24は、周方向に弾性的に伸びることができる。
第2シール12は、その外周がスリーブ14の内周に締り嵌めの状態で嵌め合わされている。スリーブ14の内周と第2円筒部21aの外周との間では、弾性体が径方向に圧縮された状態で組付けられている。これにより、スリーブ14と第2シール12の嵌合部からのグリースの流出が防止されている。
第2ラジアルリップ22の内周は、シール摺接部85の外周面と全周にわたって接触している。第2シール12を装着する前の状態では、第2ラジアルリップ22の内径寸法はシール摺接部85の外径寸法より小さい。図1では、第2ラジアルリップ22がしめしろδ2を有する状態を示すために、シール摺接部85と重なった形態で示している。実際に組付けたときには、このしめしろδ2の分だけ第2ラジアルリップ22及び第2ばね24が拡径しており、第2ラジアルリップ22の内周はシール摺接部85の外周に所定の大きさの力で径方向に接触している。
第2グリースリップ23の内径寸法はシール摺接部85の外径寸法よりわずかに大きい。このため、第2グリースリップ23はシール摺接部85の外周面と接触しないので、回転中にシール摺接部85との間で発熱することがない。第2シール12を組付けるときには、第2ラジアルリップ22と第2グリースリップ23とで軸方向に挟まれた空間にグリースを塗布している。このグリースによって、第2ラジアルリップ22とシール摺接部85外周面との摺接部が潤滑されている。
次に、図1を参照しつつ、本実施形態における密封装置10の作用を説明する。
以下の説明では、第1ラジアルリップ17及び第2ラジアルリップ22が、それぞれスリーブ14及びシール摺接部85の外周面を摺動するときのすべり抵抗を、それぞれ第1シールトルクT1、第2シールトルクT2とする。
本実施形態では、スリーブ14は、深溝玉軸受30によって回転支持されており、スリーブ14に対して内輪83を回転させるときには、第2ラジアルリップ22とシール摺接部85の外周面との間で摺動するとともに、深溝玉軸受30が回転する。このため、内輪83を回転させたときには、スリーブ14が、第2シールトルクT2と深溝玉軸受30の回転トルクとを足し合わせたトルクToで回転することになる。
プレート87に対してスリーブ14を回転させるとき(ここではスリーブ14と内輪83とが一体として回転しており、第2シールトルクT2が生じていない状態を想定している)には、第1ラジアルリップ17とスリーブ14の外周面との間のみで摺動する。したがって、スリーブ14を回転させたときには、プレート87が、第1シールトルクT1で回転することになる。
シールトルクは、ラジアルリップのしめしろが大きくなるにしたがって増大する。そこで、本実施形態では、あらかじめ、第1及び第2ラジアルリップ17,22のしめしろの大きさと第1及び第2シールトルクT1,T2との関係を測定して、第1及び第2ラジアルリップ17,22のしめしろを適正に設定している。
こうして、第1ラジアルリップ17のしめしろδ1を、第2ラジアルリップ22のしめしろδ2より小さく設定することによって、第1シールトルクT1が、第2シールトルクT2と深溝玉軸受30の回転トルクとを足し合わせたトルクToより小さくなるように設定されている。
内輪83が静止している状態から回転を開始(すなわち、ワークロールが回転を開始)した直後の、密封装置10の作動状態を説明する。
この場合には、第1シールトルクT1が、第2シールトルクT2と深溝玉軸受30の回転トルクとを足し合わせたトルクToより小さいので、第1ラジアルリップ17がスリーブ14の外周面を摺動する。スリーブ14は、トルクToによって内輪83とともに回転を開始する。
当然ながら、第2シール12は内輪83及びスリーブ14と一体となって回転しており、第2ラジアルリップ22とシール摺接部85外周面との間では互いに静止した状態で接触している。したがって、第2シール12から冷却水等が浸入することがなく、密封装置10がワークロールの冷却水等を被水したときには、環状空間25への冷却水等の浸入は、第1ラジアルリップ17によって制止されている。
次に、内輪83の回転速度が上昇するときの密封装置10の作動状態を説明する。
このとき、第2シール12は内輪83とともに回転しているので、第2ラジアルリップ22及び第2ばね24に遠心力が作用して、第2ラジアルリップ22の直径が拡大する。こうして、内輪83の回転速度の上昇に伴って、第2ラジアルリップ22のしめしろδ2が減少し、第2シールトルクT2が減少する。その結果、内輪83の回転速度が所定の回転速度に到達したときには、第1シールトルクT1が、第2シールトルクT2と深溝玉軸受30の回転トルクとを足し合わせたトルクToより大きくなる。
この場合には、第1シールトルクT1によってスリーブ14の回転速度が減少するとともに、第2ラジアルリップ22がシール摺接部85外周面で摺動するようになる。
スリーブ14の回転速度が減少することによって、第2ラジアルリップ22に作用する遠心力が小さくなる。このため、第2ラジアルリップ22の直径が再び減少して、第2ラジアルリップ22のしめしろδ2が増加して、第2シールトルクT2が増大する。この結果、再び、第1シールトルクT1が、第2シールトルクT2と深溝玉軸受30の回転トルクとを足し合わせたトルクToより小さくなる。
こうして、再び、スリーブ14及び第2シール12が内輪83とともに回転し、第1ラジアルリップ17がスリーブ14の外周面を摺動するようになる。
以上説明したように、本実施形態の密封装置10では、スリーブ14の回転速度が大きいときには、第2シールトルクT2と深溝玉軸受30の回転トルクとを足し合わせたトルクToが、第1シールトルクT1より小さくなるので、スリーブ14を回転させる力が小さくなる。したがって、第1シールトルクT1が、スリーブ14の回転速度を減少するように作用する。
逆に、スリーブ14の回転速度が小さいときには、第2シールトルクT2と深溝玉軸受30の回転トルクとを足し合わせたトルクToが、第1シールトルクT1より大きくなるので、スリーブ14を回転させる力が大きくなる。したがって、第2シールトルクT2が、スリーブ14の回転速度を増加するように作用する。
こうして、スリーブ14は、内輪83が所定の回転速度Roで回転したときに、第2シールトルクT2と深溝玉軸受30の回転トルクとを足し合わせたトルクToと、第1シールトルクT1とが同等になる回転速度Rsで回転するようになる。
スリーブ14の回転速度Rsは、第2シールトルクT2と深溝玉軸受30の回転トルクとを足し合わせたトルクToと、第1シールトルクT1とを適宜選択することによって、任意の値に設定することができる。
例えば、第2シールトルクT2と深溝玉軸受30の回転トルクとを足し合わせたトルクToが、第1シールトルクT1よりわずかに小さいときには、内輪83の回転速度が少し上昇するだけで、スリーブ14の回転が停止する。一方、第2シールトルクT2と深溝玉軸受30の回転トルクとを足し合わせたトルクToを、第1シールトルクT1より格段に大きくしたときには、内輪83の回転速度が格段に上昇するまで、スリーブ14が回転し続けることとなる。
第1シールトルクT1及び第2シールトルクT2は、第1及び第2ラジアルリップ17,22のしめしろを適宜選択することによって任意の値に設定することができる。
本実施形態では、スリーブ14の回転速度Rsは、内輪83の定常回転速度Roのほぼ1/2となるように設定している。定常回転速度とは、例えば、鉄鋼圧延機で圧延する時に、ワークロールが定常回転しているときの回転速度である。こうすることにより、プレート87とスリーブ14との相対的な回転速度、及び、スリーブ14と内輪83との相対的な回転速度は、いずれも内輪83の回転速度Roの約1/2とすることができる。このため、第1シール11及び第2シール12の摺動速度は、内輪83の回転速度のほぼ半分に減少する。
こうして、本実施形態の密封装置10では、近年のように圧延速度が上昇し、内輪83が高速で回転した場合であっても、第1及び第2ラジアルリップ17,22の摺動速度を概ね半分に減少させることができる。このため、第1及び第2シール11,12のいずれにおいてもリップの発熱を抑制することができるので、耐久性を向上させた密封装置10を提供することができる。
なお、本実施形態では、スリーブ14を回転支持する深溝玉軸受30が、内輪83に固定されているが、これに限定されない。
例えば、図示を省略するが、プレート87の内周に外レース31を圧入し、内レース32の内周にスリーブ14を圧入してもよい。こうすることによって、深溝玉軸受30の外レース31が常に静止しているので、深溝玉軸受30のメンテナンスを容易にすることが出来る。この場合には、スリーブ14は、内輪83が所定の回転速度Roで回転したときに、第1シールトルクT1と深溝玉軸受30の回転トルクとを足し合わせたトルクToが、第2シールトルクT2と同等になる回転速度Rsで回転する
また、スリーブ14を支持する転がり軸受として、本実施形態では、深溝玉軸受30を使用しているがこれに限定されない。例えば、ころ軸受、もしくは、針状ころ軸受であってもよいし、滑り軸受であってもよい。また、転がり軸受の径方向寸法によって、スリーブ14の軸方向断面の形状を段付きの円筒形状等に適宜変更することが出来る。
10:密封装置、11:第1シール、12:第2シール、14:スリーブ、16:第1芯金、16a:第1円筒部、16b:第1フランジ部、17:第1ラジアルリップ、18:第1グリースリップ、19:第1ばね、21:第2芯金、21a:第2円筒部、21b:第2フランジ部、22:第2ラジアルリップ、23:第2グリースリップ、24:第2ばね、25:環状空間、30:深溝玉軸受、31:外レース、32:内レース、40:軸受装置、80:軸受装置、81:外輪、82:間座、83:内輪、84:内シール、85:シール摺接部、87:プレート、90:密封装置、91:芯金、92:ラジアルリップ、93:グリースリップ

Claims (4)

  1. 回転体である内輪および回転しないハウジングに固定された外輪と、これら内外輪間に介在させた複数の転動体とを備えた軸受装置における、前記内外輪間の環状空間を密封する密封装置が、
    金属製の第1芯金及び弾性体からなる第1ラジアルリップを備えた第1シールと、
    金属製の第2芯金及び弾性体からなる第2ラジアルリップを備えた第2シールと、
    軸受によって前記内輪及び前記外輪と同軸で回転自在に支持されたスリーブと、を備えており、
    前記第1シールは、前記第1芯金が前記外輪に対して回転不能に固定されるとともに前記第1ラジアルリップが前記スリーブと接触しており、
    前記第2シールは、前記第2芯金が前記スリーブに対して回転不能に固定されるとともに前記第2ラジアルリップが前記内輪と径方向に接触しており、
    前記内輪に対する前記スリーブの回転トルクが、前記外輪に対する前記スリーブの回転トルクと同等であることを特徴とする密封装置。
  2. 前記内輪の回転開始時には、前記内輪に対する前記スリーブの回転トルクが、前記外輪に対する前記スリーブの回転トルクより大きく設定されており、前記内輪の回転速度が上昇したときに、前記第2ラジアルリップが遠心力によって拡径し、前記内輪に対する前記スリーブの回転トルクが、前記外輪に対する前記スリーブの回転トルクと同等になることを特徴とする請求項1に記載する密封装置。
  3. 前記内輪が定常回転するときの回転速度に対して、前記スリーブがその1/2の回転速度で回転するときに、前記内輪に対する前記スリーブの回転トルクが、前記外輪に対する前記スリーブの回転トルクと同等になることを特徴とする請求項2に記載する密封装置。
  4. 前記スリーブは、前記内輪に嵌め合わされた転がり軸受で回転支持されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載する密封装置。
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