JP2017190521A - 重畳的微細粒子構造の形成方法及びこれを用いた金属とプラスチック部材の接合方法 - Google Patents

重畳的微細粒子構造の形成方法及びこれを用いた金属とプラスチック部材の接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重畳的微細粒子構造の形成に用いる複数の金属粉体からなる混合粉体の流動性と均一拡散性を向上させ、重畳的微細粒子構造の形成を簡略化し、金属とプラスチックの複合形成体の生産性を向上させる。
【解決手段】粒径を概ね同一に揃えた炭化物の粉体とチタンの粉体とを含み、これらを混合した混合粉体を付着した面に、当該面の隆起を引き起こしながらレーザクラッディングを施す重畳的微細粒子構造を金属基材面上に形成する。また、この重畳的微細粒子構造をプラスチックの接合予定面に押圧し、その界面を加熱するエネルギーを付与し両者を接合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属とプラスチック間の機械的結合による直接接合に関するものである。
金属とプラスチックの複合部材の作成において、金属とプラスチックを接着剤等の中間材を用いることなく、十分な機械的結合強度の得られる直接接合を行うためには、金属表面に複雑な微細構造を形成する必要がある。
例えば、文献1に複雑化された凹凸形状を形成する方法が記載されている。その方法は、Al−Si系アルミニウム合金板に、ハロゲン化合物が添加された酸水溶液による化学的なエッチング処理、又は当該エッチング処理とブラスト処理の併用により、合金組成(例えば単結晶部と共晶部の分布)の違いを利用し選択的に溶解させることで、その形状を複雑化するものである。
文献2には、同じく複雑な凹凸形状を形成する方法が記載されている。その方法は、金属部材の表面にレーザ光等をスキャン照射し当該表面に溝や窪みを形成するとともに、当該溝や窪みの凹形状を基礎として、前記レーザビームの熱により飛散した溶融金属飛沫等を流動又は再付着させることでその形状を複雑化するものである。
文献3には、接合におけるアンカー効果を高める、ブリッジ形状又はオーバーハング形状を有する微細構造の形成方法として、ある走査方向に、ビーム径が数100μmに集光されたレーザによりレーザスキャニング加工した後、当該走査方向とクロスする別の走査方向にレーザスキャニング加工し、これを繰り返し行い前記形状を形成する技術が開示されている。
しかし、エッチング処理は、薬液中で電気化学反応により処理を行う必要があることから、局所的な接合のための局所的な微細構造形成のためには非接合部位へのマスキング処理や、エッチング処理後の薬液の廃液処理等が必要となり、作業が煩雑且つ高価な工法となる。
また、レーザスキャニング加工による微細構造の形成においては、加工時間を短縮するためにスキャン回数を減らす必要があるものの、そうすると前記微細構造の形成が困難になるというトレードオフを有しており、接合工程の効率化が困難である。
そこで、本願出願人の発明に係る、カーボン粉体を含む複数の金属粉体からなる混合粉体が塗布された金属の接合予定面を、スポット径が数mmのレーザクラッディングにより隆起させ且つその上に重畳的微細粒子構造を形成し、当該構造を利用して金属の接合予定面とプラスチックとの強力な接合を可能にする技術がある。この技術によれば、金属とプラスチックの成形品同士を局所的に、例えばレーザによる局所加熱による接合が可能であり、その際、隆起形状を基礎としていることから接合界面同士の押圧も容易且つ十分に行え、加熱により溶融したプラスチックの流動性が低い場合であっても、これを十分に微細構造内部へ入り込ませることが可能となった。
しかし、この技術における重畳的微細粒子構造の形成においては、その好適な手段としてカーボンを含む複数の金属等の混合粉体を均一に混錬したあと、金属の接合予定面に付着する方法を用いているため、混合粉体の製造工程が別途必要である。
そこで、この工程を簡略化乃至省略し、前記技術に係る接合方法の低コスト化と生産性向上を達成するためには、前記レーザクラッディング形成の際に粉体送給装置を利用することが考えられるが、重畳的微細粒子構造の形成に用いる混合粉体の取り扱いは必ずしも容易ではなく、例えばアルミ、チタン及びカーボンの各粉体を一旦均一に混合した混合粉体は、振動を連続して与えるとカーボン粉体が分離、再凝集を起こし、粉体状態における流動性が悪くなり、前記粉体送給装置が目詰まりを起こすなど、解決すべき課題が残されている。
特開2011−143539号公報 特開2013−71312号公報 国際公開第2007/072603号公報
そこで、重畳的微細粒子構造の形成に用いる複数の金属粉体からなる混合粉体の流動性と均一拡散性を向上させ、重畳的微細粒子構造の形成を簡略化し、金属とプラスチックの複合形成体の生産性を向上させることを目的とする。
第一の発明は、重畳的微細粒子構造を金属基材面上に形成する方法であって、前記金属基材面上に、粒径を概ね同一に揃えた炭化物の粉体とチタンの粉体とを含み、これらを混合した混合粉体を付着する工程と、当該混合粉体の付着した面に、当該面の隆起を引き起こしながらレーザクラッディングを施す工程と、を含む重畳的微細粒子構造の形成方法である。
ここで、重畳的微細粒子構造とは、機械的結合効果であるアンカー効果を発揮する微細凹凸形状面に対し、さらなる微細凹凸形状を重畳的に有する微細構造をいう。図1に、当該重畳的微細粒子構造を模擬的に示す。この図においては、凸形状11に対し重畳的に形成された重畳的凸−凹形状13及び同様に形成された重畳的凸−凸形状14が模擬的に示されている。また、凹形状12に対し重畳的に形成された重畳的凹−凸形状15が示されている。さらに、当該重畳的微細粒子構造は、クラッディングによる隆起形状16上に形成されている。そして、当該構造には、共晶、固溶体又は金属間化合物のいずれによる合金層を形成している場合も含まれる。
また、前記金属基材面上に金属粉体を付着する工程とは、被接合対象物の形状を選ばずに利用可能なクラッディング用粉体送給装置による吹き付けが好ましいが、塗布等よる場合を含むものとし、これらに限定されない。
また、金属基材には、アルミニウム合金以外のアルミダイキャスト、ステンレススチール、SPCC等の他の金属からなる金属基材が含まれ、これらに限定されない。また、金属材料には単一の金属元素からなる金属や2以上の金属元素を含む合金や、金属基材表面に鍍金やコーティングを施した基材も含まれる。
また、「粒径を概ね同一に揃えた」とは、粒径ごとに市販されている粉体程度にその粒径・粒度を揃えることを意味し、例えばF240(JIS R6001 研削砥石用研磨材の粒度)といった単一の粒度のものを用いれば足り、コストをかけてさらにこれを粒径により分類し粒径の分布範囲を狭くすることまでは要しない。図2は、一例として、F240の炭化ホウ素、並びに粒径の分布中心が50μmのチタン及びアルミの混合粉体の粒径の分布を計測したデータを示す。(但し、混合の際に微粒化されたものを含む。)
第二の発明は、第一の発明において、前記炭化物が炭化ホウ素であることを特徴とする重畳的微細粒子構造の形成方法である。
第三の発明は、第1又は第2の発明において、前記混合粉体が、前記金属基材と同一の金属からなる粉体を含むことを特徴とする重畳的微細粒子構造の形成方法である。
第四の発明は、第一乃至第三のいずれかの発明において、前記各粉体の粒径が、1μm乃至100μmの範囲内で分布し、その分布の状態が概ね同一であることを特徴とする接合方法である。
第五の発明は、第一乃至第四のいずれかの発明において、前記レーザクラッディングが、窒素によるアシストガスを用いて施されることを特徴とする重畳的微細粒子構造の形成方法である。
第六の発明は、第一乃至第五のいずれかの発明において形成された重畳的微細粒子構造を有する前記金属基材の接合予定面と、プラスチックの接合予定面とを押圧する工程と、当該押圧された界面を加熱するエネルギーを付与する工程と、当該加熱の結果溶融した前記プラスチックが前記重畳的微細粒子構造に入り込み及び包み込むことで互いに係合する工程により、前記金属基材と前記プラスチックを接合する方法である。
ここで、界面を加熱するエネルギーを付与する工程とは、レーザ光の照射によるもののほか、ホットプレス加熱、超音波振動、インサート成形によるものも可能であり、これらに限定されない。なお、レーザ光を照射し加熱する工程においては、プラスチック側からレーザ光を入射する方法が一般的であるが、レーザ光がプラスチックを吸収する場合であって、他方の金属基材が当該レーザ光を吸収する場合は、一般的な場合と逆に当該金属基材側からのレーザ光照射で金属の伝熱によりプラスチックとの接触界面を加熱することができる。
本願発明によれば、重畳的微細粒子構造を低コスト且つ効率よく形成することができ、ひいては、これを用いた金属基材とプラスチックの接合方法の低コスト化と生産性向上を達成することができる。
重畳的微細粒子構造を模擬的に示した図である 混合粉体の粒径の分布の計測データである。 金属基材上に接合予定面を示した図である。 レーザの光軸と同軸のレーザクラッディング用ノズルの図である。 レーザクラッディングを施した金属基板表面の様子である。 重畳的微細粒子構造の拡大SEM写真である。 レーザ接合前の金属基材とプラスチックとを当接し押圧した様子を示す図である。 レーザ接合の様子を示した図である。 ねじりによりプラスチックが破断した複合材料を示す。 複合部材のせん断試験結果を示す。 実施例2のレーザスポットによるクラッディング位置を示した図である。 サイドアシスト用窒素ガスを用いたレーザクラッディング法の概略を示す。 重畳的微細粒子構造のSEM写真である。 図13に示す写真の拡大倍率を上げた写真及び表面構造の解析写真を示す。 走査型電子顕微鏡で観察した重畳的微細粒子構造の一部をX線回折装置により元素分析した様子を示す。 レーザ接合された複合部材を剥離したあとの状態を示す図である。 レーザクラッディングにおける窒素アシストガスの有無と接合強度の関係を示す。 実施例3のホットプレス法による接合のための装置構成の概略図である。 ホットプレス法により接合されたアルミ基材とCFRTPの様子を示す。
以下、本発明の好適な実施形態をステップに分けて図とともに説明する。なお、本明細書において特に言及している以外の事項であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
S1)金属基材の用意
本実施例においては、金属基材1として、幅20mm、長さ50mm、厚さ1mmのアルミニウム合金(A5052)の板材を用意した。この金属基材の一部に、図3において斜線を施した接合予定面2を設定した。
なお、金属基材としてはアルミニウム合金以外の、アルミダイキャスト、ステンレススチール、SPCC等の他の金属材料からなる基材を用いることができる。また、金属材料には、単一の金属元素からなる金属や二以上の金属元素を含む合金や、金属基材表面にメッキやコーティングを施したものも含まれる。
S2)金属粉体の用意
金属粉体として、金属基材と同一のアルミ金属粉体、炭化ホウ素粉体及びチタン金属粉体を用意した。各金属粉体はいずれも市販のものを用い、その粒径は1μm乃至100μmの範囲内にしている。なお、各粉体のモル比は設計事項ではあるが、本実施例においては、アルミ金属粉体、炭化ホウ素、チタン金属粉体の順に1:1:3である。
S3)粉体送給装置の設定
前記各金属粉体を、粉体送給装置であるGTV社製粉末送給装置のパウダーフィーダー装置に標準の2本のパウダーホッパーにそれぞれ同量ずつ投入する。このパウダーホッパーには、同じく撹拌用のミキサーが標準搭載されているので、投入の際各粉体をあらかじめ混合する必要はない。そして、次ステップであるレーザクラッディングの際、混合粉体31として金属基材表面に供給される。
S4)レーザクラッディング
金属基材の接合予定面にレーザクラッディングを行った。この際、ステップS3の粉体送給装置からはクラッディングノズル41と同軸の粉体送給ノズル42を介して混合粉体31が供給される。図4に示すように、本実施例では、光学系を用いて直径3mmのスポットビーム4に整形した波長970nmの半導体レーザ光を用いた。スポットビーム4の走査速度は、目的とする重畳的微細粒子構造の形状と粒子数により30mm/sから80mm/sまで可変させ、他のクラッディングパラメータとの組み合わせとしての最適値を選択した。
次表1では、本実施例1において、重畳的微細粒子構造の形成を試みたサンプルの中から、良好な結果を得たサンプル番号0314−1、0314−4及び0314−6におけパラメータの組み合わせを示す。
以上の結果に基づき、金属基材表面上に形成された重畳的微細粒子構造5の様子を図5にまとめて示す。この表面写真においては、レーザ照射した部位が変色し金属基材とは異なる合金領域が形成されていることが確認できる。また、図6においては、それらの5倍、20倍の顕微鏡写真である。この写真によれば、さらに重畳的微細粒子構造の形成を確認できる。
S5)プラスチック部材の用意
プラスチック部材71として、幅20mm、長さ50mm、厚み1mmのPA66からなるシートを用意した。なお、本実施例においては、プラスチック部材71上に接合予定面を厳格に定めていないが、プラスチック部材が成型品である場合は、これを定める必要がある。
S6)金属基材とプラスチック部材との当接及び押圧
ステップS4により金属基材の接合予定面上に形成された重畳的微細粒子構造面5と、前記プラスチック部材71を重ね合わせて当接し、押圧した。押圧は図7に示すように、金属基材側から金属製の裏当てプレート6により裏当てし、樹脂部材をガラス81(テンパックス、厚さ5mm)で挟み込み、油圧ポンプにてその表示上で0.12MPaの圧力を加えた。
なお、押圧の程度は、一般的に、0.1〜3MPaの圧力範囲で最適な条件を選択するとよい。選択した押圧の程度が適切で、かつその初期圧力を保持することにより、後述する溶融したプラスチックが金属基材に形成された重畳的微細粒子構造にまんべんなく入り込み、両者の接合強度が十分に高められる。逆に一部の隆起形状に押圧による圧力が集中する場合、ガラス81が破損する点に留意し最適化を図るとよい。
S7)レーザ接合
ステップS6により金属基材の接合予定面に押圧されたプラスチック部材71側からスポット状に整形した半導体レーザのレーザスポット9を照射しレーザ接合を行った。図8はその様子を示す。レーザスポット9の照射条件は平均出力を100W、繰返し周波数を1000Hz、Dutyを50%、走査速度10mm/sとした。なお、ビームの整形は、円形のスポット形状に限定されず、接合予定面の形状や総面積により、さらに使用するレーザの出力により適宜最適化することができる。なお、レーザクラッディング同様、レーザの種類は半導体レーザに限定されない。
本実施例においては、ステップS4においてクラッディングに用いたレーザ光を用いた。この波長970nmは、プラスチック部材71を透過する波長である。なお、使用するプラスチックに対し透過性を有する波長であれば、他のレーザを用いることも可能である。具体的なパラメータは次表2に示す。
ステップS4のクラッディングにより形成された重畳的微細粒子構造5を有する合金層は、前記レーザ光の波長に対し透過性を有しないため、プラスチック部材71を透過し接合予定面に照射された当該レーザ光を吸収し熱に変換される。変換された熱は、当接し押圧されたプラスチック部材71の接合予定面に伝搬しこれを溶融する。溶融したプラスチックは前記重畳的微細粒子構造5に入り込み及び包み込み、その結果、金属基材1とプラスチック部材71を強固に接合する。
以上のステップにより接合された金属基材とプラスチック部材71からなる複合部材のせん断引張強度試験結果を図9に示す。接合力が強く、プラスチック部材71が破断した様子が確認できる。同じく図10において、せん断引張強度の計測結果を示す。
本実施例2においては、粉体送給装置を用いることなく、あらかじめ混錬した混合粉体を用いた重畳的微細粒子構造の形成を試み、その形成領域とプラスチック部材をレーザ溶着の手法により、金属とプラスチックの合成部材の作成を試みた。
S1)金属基材の用意
実施例1と同様、金属基材1として幅20mm、長さ50mm、厚さ1mmのアルミニウム合金(A5052)の板材を用意した。そして、同じく接合予定面2を設定した。
S2)金属粉体の用意
金属粉体は、実施例1と同様に混合粉体32として、F240の炭化ホウ素並びにこれと同等の粒径分布を持つチタン及びアルミ金属粉体をそれぞれ用意し、あらかじめこれらを混錬した。混合の割合は、この順に、そのモル比として1:1:3としたが、他のパラメータに応じて可変すべき設計事項である。
S3)金属基材への混合粉体の付着
ステップS2において用意した混合粉体32を前記金属基材面上の接合予定面に厚さが均一になるよう塗布の方法にて付着させた。塗布厚は概ね10〜50μmとしたが、これも、次ステップのレーザクラッディングのパラメータや最終的に得られる構成部材の接合強度に照らし最適化すべき数値である。なお、3次元構造物や低コストによる塗付が困難な金属基材の接合予定面に重畳的微細粒子構造を形成する場合には、実施例1のようにクラッディング用粉体送給装置を利用するほうが望ましい。
S4)レーザクラッディング
ステップS3において金属基材の接合予定面に付着させた混合粉体32に対し、レーザクラッディングを行った。図11に示すように、本実施例2では、光学系を用いて直径1mmのスポットビーム4に整形した波長970nmの半導体レーザ光を用いた。スポットビーム4の走査速度は、目的とする重畳的微細粒子構造の形状と粒子数により30mm/sから100mm/sまで可変させた。また、スポットビーム4は幅20mmにわたり走査し、40mm以上領域をクラッディングした。
また、図12に示すとおり、窒素ガスの吹付けも5リットル/分にて行った。矢印はレーザスポットビームの走査方向を表す。なお、本実施例2においては、図12のようにサイドノズル方式で窒素ガスの供給を行ったが、実施例1において用いたレーザと同軸(同心円)で供給を行っても良い。
レーザクラッディングに用いるレーザは、本実施例において用いた半導体レーザのほか、ファイバーレーザ、Nd:YAGレーザ、炭酸ガスレーザのほか、用いる混合粉体を加熱できるものであればこれらに限定されない。次表3において、レーザクラッディングにおけるパラメータの組み合わせを示す。
ステップS4により得られた重畳的微細粒子構造5の複数の写真を図13にまとめて示す。この表面写真ではレーザ照射した部位が変色し金属基材とは異なる合金領域が形成されていることが確認できる。ここで、4つの写真は、上段がアシストガス無し、下段が窒素アシストガスを5L/min吹付けた場合を表し、左列は塗布した混合粉体32の厚みとレーザの走査速度のパラメータの組み合わせが50μm塗布厚と50mm/sであり、右列は10μm塗布厚と100mm/sの組み合わせである。なお、スケールバーは全て500μmである。
図13のうち、右列に示した上下の重畳的微細粒子構造5のそれぞれを約30倍(スケールバー:10μ)に拡大し、図14の中央列に示した。窒素アシストガスを用いた下段の図については、さらに10倍(スケールバー:1μm)に拡大しその図の右に示した(下段右)。一方、上段の窒素アシストガス無しの重畳的微細粒子構造5については、同一の倍率のまま重畳的微細粒子構造の表面の共晶状態を解析した結果を示した(上段右)。左の写真ではその円で囲んだ領域にアルミの分布が多いことを、右の写真では同じくチタンの分布が多いことを表している。
図15は、走査型電子顕微鏡で観察した重畳的微細粒子構造の一部をX線回折装置により元素分析した様子を示す。エネルギー分散型X線分析により重畳的微細構造表面にマグネシウム(Mg)シリコン(Si)が検出された。混合粉体32にはマグネシウムやシリコンのいずれも含んでいないことから、アルミニウム金属基材1に含まれるマグネシウムやシリコンが合金層に拡散分布された結果である。
S5)プラスチック部材の用意
プラスチック部材72として、幅20mm、長さ50mm、厚み2mmのPA66からなるシートを用意した。なお、本実施例2においては、プラスチック部材72上に接合予定面を厳格に定めていないが、プラスチック部材が成型品である場合は、これを定める必要がある。
S6)金属基材とプラスチック部材との当接及び押圧
ステップS4により金属基材の接合予定面上に形成された重畳的微細粒子構造面5と、前記プラスチック部材72を重ね合わせて当接し、押圧した。その方法は実施例1と同様である。
S7)レーザ接合
ステップS6により金属基材の接合予定面に押圧されたプラスチック部材72側からスポット状に整形した半導体レーザのレーザスポット9を照射しレーザ接合を行った。この方法も実施例1と同様である。
本実施例2においても、ステップS4においてクラッディングに用いたレーザ光を用いた。この波長970nmは、プラスチック部材72を透過する波長である。なお、使用するプラスチックに対し透過性を有する波長であれば、他のレーザを用いることも可能である。具体的なパラメータは次表1に示す。
ステップS4のクラッディングにより形成された重畳的微細粒子構造5を有する合金層は、前記レーザ光の波長に対し透過性を有しないため、プラスチック部材72を透過し接合予定面に照射された当該レーザ光を吸収し熱に変換される。変換された熱は、当接し押圧されたプラスチック部材72の接合予定面に伝搬し、これを溶融する。溶融したプラスチック部材72は前記重畳的微細粒子構造5に入り込み及び包み込み、その結果、金属基材1とプラスチックを強固に接合する。
以上のステップにより接合された金属基材1とプラスチック部材72からなる複合部材のせん断引張強度試験結果を図16に示す。その結果、40MPaを超える接合強度を得た。なお、アシストガスとして窒素ガスを使用した場合と未使用の場合とでは、未使用の方が接合強度が高い結果となったが、図16中のエラーバー(±3シグマ)にみられる様に接合強度のばらつきが少なくなった。
図17に前記複合部材を剥離させた後の様子を示す。剥離後のプラスチックの接合部表面には金属側の微粒子が一部付着するが、アシストガスを用いたほうが付着が少なく、隆起した重畳的微細構造が金属基材と十分に密着した合金層を形成したことを確認した。
本実施例3においては、実施例1と同一の方法、材料及びパラメータにより金属基材上に形成した重畳的微細粒子構造5と、レーザの透過性を有しないCFRTP73(炭素繊維と樹脂との複合材料である炭素繊維強化プラスチック)を、レーザ接合に代わってホットプレス法により接合した。図18はその概略装置構成図である。また、次表4はそのパラメータである。
図19において、接合の結果を示す。写真に写っている右の幅広のシートは、溶融したCFRTP73がホットプレスに付着しないための保護シートである。そして、左側の重なった二枚が接合された複合素材である。
重畳的微細粒子構造を低コスト且つ効率よく形成することができ、ひいては、これを用いて低コストと生産性の高い金属基材とプラスチックの複合部材の製造に利用できる。
1 金属基材
11 凸形状
12 凹形状
13 重畳的凸−凹形状
14 重畳的凸−凸形状
15 重畳的凹−凸形状
16 隆起形状
2 接合予定面
31 混合粉体
32 混合粉体(混錬タイプ)
4 クラッディング用レーザスポット(スポットビーム4)
41 クラッディングノズル
42 粉体送給ノズル
5 重畳的微細粒子構造
6 裏当てプレート
71 プラスチック部材(PA66、厚さ1mm)
72 プラスチック部材(PA66、厚さ2mm)
73 CFRTP
81 ガラス
82 ヒーター
83 油圧プレス
9 接合用レーザスポット(スポットビーム9)

Claims (6)

  1. 重畳的微細粒子構造を金属基材面上に形成する方法であって、
    前記金属基材面上に、粒径を概ね同一に揃えた炭化物の粉体とチタンの粉体とを含み、これらを混合した混合粉体を付着する工程と、
    当該混合粉体の付着した面に、当該面の隆起を引き起こしながらレーザクラッディングを施す工程と、
    を含む重畳的微細粒子構造の形成方法。
  2. 前記炭化物は、炭化ホウ素であることを特徴とする請求項1に記載の重畳的微細粒子構造の形成方法。
  3. 前記混合粉体は、前記金属基材と同一の金属からなる粉体を含む請求項1又は2のいずれかに記載の重畳的微細粒子構造の形成方法。
  4. 前記各粉体の粒径は、1μm乃至100μmの範囲内で分布し、その分布の状態が概ね同一であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の重畳的微細粒子構造の形成方法。
  5. 前記レーザクラッディングは、窒素によるアシストガスを用いて施されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の重畳的微細粒子構造の形成方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の重畳的微細粒子構造の形成方法を用いて形成された重畳的微細粒子構造を有する前記金属基材の接合予定面と、プラスチックの接合予定面とを押圧する工程と、
    当該押圧された界面を加熱するエネルギーを付与する工程と、
    当該加熱の結果溶融した前記プラスチックが前記重畳的微細粒子構造に入り込み及び包み込むことで互いに係合する工程により、前記金属基材と前記プラスチックを接合する方法。
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