JP2017186176A - 擦傷防止膜付き基体およびその製造方法 - Google Patents

擦傷防止膜付き基体およびその製造方法 Download PDF

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英之 平社
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Abstract

【課題】優れた透明性と耐擦傷性を両立でき、かつ低コストである擦傷防止膜付き基体、およびその製造方法の提供。【解決手段】粒子分およびバインダの前駆体を含む塗布液を基体10上に塗布する工程(I)と、前記塗布液を塗布した基体10を焼成して基体10上に擦傷防止膜12を形成する工程(II)とを有し、前記粒子分は平均一次粒子径が1nm以上の粒子からなり、前記粒子分中の一次粒子径が30nm以上でモース硬度が8以上の粒子(A)の割合が60質量%以上であり、前記粒子分中の一次粒子径が30nm以上である粒子の混合物の屈折率n1と、前記粒子分中の一次粒子径が30nm未満である粒子(B)および前記バインダの前駆体の混合物を焼成した焼成物の屈折率n2との差(n1−n2)が0.4以下である、擦傷防止膜付き基体1の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、擦傷防止膜付き基体およびその製造方法に関する。
スマートフォンのディスプレイ等に用いられる保護ガラスにおいては、落下や鋭利な物品との接触により表面に傷が付いて視認性が低下することを防止するために、表面に擦傷防止膜を設けることが提案されている。
具体的には、例えば、特許文献1には、ガラス表面に、親水性アルミナ粒子をシリカマトリクス中に分散させた膜を形成して、透明性を確保しつつ耐擦傷性を得ることが開示されている。また、特許文献2には、ガラス等の基体の表面に、凝集粒子の長軸方向の平均粒子径が100〜500nmであり、かつ、短軸方向の平均粒子径が2〜100nmであるアルミナ粒子をシリカマトリクス中に分散させた膜を形成して耐擦傷性を得ることが開示されている。しかし、特許文献1、2のような膜では、優れた透明性と耐擦傷性を両立することは難しい。これらの膜に使用されるアルミナ粒子は、一次粒子径の小さいものであった。
一方、近年、ガラス表面が傷付くことを抑制する方法として、サファイアガラスを使用することも試みられている。しかし、サファイアガラスは非常に高価であり、商品価格が高騰する問題がある。
特開2003−321251号公報 特開2007−63477号公報
本発明は、優れた透明性と耐擦傷性を両立でき、かつ低コストである擦傷防止膜付き基体、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]基体上に、粒子分とバインダとを含有する擦傷防止膜が形成された擦傷防止膜付き基体の製造方法であって、前記粒子分およびバインダの前駆体を含む塗布液を前記基体上に塗布する工程(I)と、前記塗布液を塗布した基体を焼成して前記基体上に前記擦傷防止膜を形成する工程(II)とを有し、前記粒子分は、平均一次粒子径が1nm以上の粒子からなり、かつ一次粒子径が30nm以上でモース硬度が8以上の粒子(A)を含み、前記粒子分中の前記粒子(A)の割合Pが60質量%以上であり、前記粒子分中の一次粒子径が30nm以上である粒子の混合物の屈折率nと、前記粒子分中の一次粒子径が30nm未満である粒子(B)および前記バインダの前駆体の混合物を焼成した焼成物の屈折率nとの差(n−n)が0.4以下である、擦傷防止膜付き基体の製造方法。
[2]前記粒子(A)がαアルミナ粒子を含む、[1]の擦傷防止膜付き基体の製造方法。
[3]前記バインダが、シリカ、アルミナおよびジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]または[2]の擦傷防止膜付き基体の製造方法。
[4]前記工程(II)における焼成温度が150〜700℃である、[1]〜[3]のいずれかの擦傷防止膜付き基体の製造方法。
[5]基体上に、粗粒分とベース分とを含有する擦傷防止膜が形成された擦傷防止膜付き基体であって、前記粗粒分は、一次粒子径が30nm以上の粒子からなり、かつαアルミナ粒子を含み、前記粗粒分中の前記αアルミナ粒子の割合Pが60質量%以上であり、前記ベース分は、バインダ、またはバインダおよび一次粒子径が30nm未満の粒子(B)からなり、前記擦傷防止膜を膜表面に対して垂直方向に切断した切断面の総面積に対する、該切断面での直径が30nm以上のαアルミナ粒子の面積含有率をV(%)としたとき、前記擦傷防止膜の屈折率nが下式(1)の条件を満たす、擦傷防止膜付き基体。
0.37×V/100+1.35≦n≦0.22×V/100+1.50 ・・・(1)
[6]前記基体がガラス基体である、[5]の擦傷防止膜付き基体。
[7]前記粗粒分と前記ベース分の合計質量に対する前記粗粒分の質量の割合Wが30〜90質量%である、[5]または[6]の擦傷防止膜付き基体。
[8]前記擦傷防止膜を膜表面に対して垂直方向に切断した切断面における、前記粗粒分と前記ベース分の合計面積に対する、該切断面での直径が30nm以上の粗粒分の面積含有率Vが19〜83%である、[5]〜[7]のいずれかの擦傷防止膜付き基体。
[9]前記バインダが、シリカ、アルミナおよびジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[5]〜[8]のいずれかの擦傷防止膜付き基体。
[10]前記擦傷防止膜の厚さが100〜3000nmである、[5]〜[9]のいずれかの擦傷防止膜付き基体。
[11]前記[5]〜[10]のいずれかの擦傷防止膜付き基体の製造方法であって、下記工程(i−1)および(ii−1)を有する擦傷防止膜付き基体の製造方法。
(i−1)前記粗粒分および前記バインダの前駆体、または前記粗粒分、前記バインダの前駆体および前記粒子(B)を含む塗布液を前記基体上に塗布する工程。
(ii−1)前記塗布液を塗布した基体を焼成して前記基体上に前記擦傷防止膜を形成する工程。
[12]前記[5]〜[10]のいずれかの擦傷防止膜付き基体の製造方法であって、下記工程(i−2)、(ii−2)および(iii−2)を有する擦傷防止膜付き基体の製造方法。
(i−2)前記粗粒分、または前記粗粒分および前記粒子(B)を含む塗布液を前記基体上に塗布する工程。
(ii−2)前記工程(i−2)の後、前記バインダの前駆体を含む塗布液を前記基体上に塗布する工程。
(iii−2)前記工程(ii−2)後の塗布液を塗布した基体を焼成して前記基体上に前記擦傷防止膜を形成する工程。
[13]前記の塗布液を塗布した基体を焼成するときの焼成温度が150〜700℃である、[11]または[12]の擦傷防止膜付き基体の製造方法。
本発明の擦傷防止膜付き基体は、優れた透明性と耐擦傷性を両立でき、かつ低コストである。
本発明の擦傷防止膜付き基体の製造方法によれば、優れた透明性と耐擦傷性が両立された擦傷防止膜付き基体を低コストに製造できる。
本発明の擦傷防止膜付き基体の一例を示した断面図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「粒子の一次粒子径」とは、透過型電子顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡による観察により測定した粒子の最大径を意味する。
「粒子の平均一次粒子径」とは、100個の粒子の一次粒子径の平均値を意味する。
「平均凝集粒子径」とは、一次粒子の凝集体の径の平均値であり、光散乱法により測定した凝集体の最大径の平均値を意味する。
「粒子分」は平均一次粒子径が1nm以上の粒子からなり、「粗粒分」は一次粒子径が30nm以上の粒子からなる。「ベース分」は少なくともバインダを含有し、粗粒分を含有しないが、粒子径が30nm未満の粒子を含有することがある。
「面積含有率V」は、擦傷防止膜を膜表面に対して垂直方向に切断した任意の切断面について走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した断面写真において、直径30nm以上の粗粒分の面積を擦傷防止膜の面積(粗粒分とベース分の合計面積)で除することで求めた割合を意味する。
「面積含有率V」は、擦傷防止膜を膜表面に対して垂直方向に切断した任意の切断面について走査型電子顕微鏡により観察した断面写真において、直径30nm以上のαアルミナ粒子の面積を擦傷防止膜の面積で除することで求めた割合を意味する。ただし、αアルミナ粒子の面積を求めるにあたっては、走査型電子顕微鏡観察と合わせて元素分析を行うことでアルミナ粒子を同定する。
[擦傷防止膜付き基体の製造方法]
本発明の擦傷防止膜付き基体の製造方法は、基体上に、粒子分とバインダとを含有する擦傷防止膜が形成された擦傷防止膜付き基体を製造する方法である。本発明の擦傷防止膜付き基体の製造方法は、下記の工程(I)および(II)を有する。
(I)粒子分およびバインダの前駆体を含む塗布液を基体上に塗布する工程。
(II)塗布液を塗布した基体を焼成して前記基体上に前記擦傷防止膜を形成する工程。
(工程(I))
工程(I)では、粒子分およびバインダの前駆体を含む塗布液を基体上に塗布する。工程(I)では、下記態様(a)〜(c)のいずれを採用してもよい。
(a)粒子分とバインダの前駆体の両方を含む塗布液を調製して基体上に塗布する態様。
(b)粒子分を含み、バインダの前駆体を含まない塗布液と、バインダの前駆体を含み、粒子分を含まない塗布液をそれぞれ調製し、それらを基体上に塗布する態様。
(c)粒子分の一部を含み、バインダの前駆体を含まない塗布液と、粒子分の残部およびバインダの前駆体を含む塗布液をそれぞれ調製し、それらを基体上に塗布する態様。
態様(b)、(c)の場合は、バインダの前駆体を含まない塗布液を塗布した後に、バインダの前駆体を含む塗布液を塗布することが好ましい。
塗布液を基体上に塗布する方法としては、公知の塗布方法を採用できる。例えば、ローラー塗布、手塗り、刷毛塗り、ディッピング、回転塗布、浸漬塗布、各種印刷方式による塗布、カーテンフロー、バーコート、ダイコート、グラビアコート、マイクログラビアコート、リバースコート、ロールコート、フローコート、スプレーコート、ディップコート等が挙げられる。
<塗布液>
態様(a):
態様(a)の場合は、例えば、バインダの前駆体の溶媒に粒子分を分散させて分散液を得た後、該分散液にバインダの前駆体を加えて塗布液とする。
バインダの前駆体の溶媒としては、バインダの前駆体の種類に応じて公知の溶媒を使用できる。具体的には、例えば、バインダの前駆体が金属アルコキシドの加水分解重縮合物の場合、溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。また、バインダの前駆体がポリシラザンの場合、溶媒としては、トルエン、キシレン、ジブチルエーテル等が挙げられる。
態様(b):
態様(b)の場合は、例えば、粒子分を分散媒中に分散させて分散液からなる塗布液とし、別途バインダの前駆体を溶媒に溶解して塗布液とする。
分散媒としては、例えば、水や、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、キシレン等の有機溶剤等が挙げられる。
態様(c):
態様(c)の場合、粒子分の残部およびバインダの前駆体を含む塗布液は、バインダの前駆体を溶解する溶媒に粒子分の残部を分散させて分散液を得た後、該分散液にバインダの前駆体を加えて調製する。
態様(a)〜(c)における分散液の固形分濃度は、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。分散液の固形分濃度が上限値以下であれば、分散液の安定性が高くなる。
バインダの前駆体を含む塗布液の固形分濃度は、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。塗布液の固形分濃度が上限値以下であれば、塗布液の安定性が高くなる。
塗布液中のバインダの前駆体の合計質量は、酸化物換算量で、粒子分の合計質量に対して0.1〜10倍が好ましく、0.5〜3倍がより好ましい。バインダの前駆体の合計質量が下限値以上であれば、基体との密着力が高い擦傷防止膜を形成しやすい。バインダの前駆体の合計質量が上限値以下であれば、高硬度で耐擦傷性に優れた擦傷防止膜を形成しやすい。
≪粒子分≫
粒子分は、平均一次粒子径が1nm以上の粒子からなり、かつ一次粒子径が30nm以上でモース硬度が8以上の粒子(A)を含み、粒子分中の粒子(A)の割合が60質量%以上である成分である。
粒子分に含まれる粒子の形状は、特に限定されず、例えば、球形、卵形、紡錘形、無定型、鎖状形状、針状、円柱形、棒状、偏平状、鱗片状、葉状、チューブ状、シート状等が挙げられる。なかでも、擦傷防止膜中の粒子密度を高くしやすく、優れた耐擦傷性が得られやすい点から、粒子形状は球形、卵形、紡錘形、無定型が好ましい。
粒子分の平均一次粒子径は、1nm以上であり、30〜1000nmが好ましく、30〜500nmがより好ましく、30〜400nmがさらに好ましく、50〜200nmが特に好ましい。粒子分の平均一次粒子径が前記下限値以上であれば、擦傷防止膜の表面に高硬度の粒子(A)が露出することで膜の硬度が高くなり、優れた耐擦傷性が得られる。粒子分の平均一次粒径が上限値以下であれば、透明性に優れた擦傷防止膜を形成しやすい。
粒子分は擦傷防止膜中で凝集していてもよい。この場合、粒子分が凝集していない場合に比べて擦傷防止膜の透明性が低下する傾向がある。粒子分の平均凝集粒子径は、30〜2000nmが好ましく、30〜800nmがより好ましく、40〜500nmがさらに好ましく、60〜400nmが特に好ましい。
粒子分に含まれる粒子(A)の一次粒子径は、30nm以上であり、40nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましい。粒子(A)の一次粒子径が前記下限値以上であれば、擦傷防止膜の表面に高硬度の粒子(A)が露出することで膜の硬度が高くなり、優れた耐擦傷性が得られる。
粒子(A)の一次粒子径の上限値は、透明性の点から、1000nmが好ましく、500nmがより好ましく、400nm以下がさらに好ましく、200nm以下が特に好ましい。
粒子(A)としては、例えば、モース硬度試験において硬度7の石英を傷付けることができる物質を、一次粒子径が30nm以上の粒子状態に加工したものが挙げられる。
粒子(A)の具体例としては、例えば、ジルコニア粒子、オスミウム粒子、トパーズ粒子、タングステンカーバイド粒子、ホウ化ジルコニウム粒子、αアルミナ粒子、窒化チタン粒子、炭化タングステン粒子、炭化タンタル粒子、炭化ジルコニム粒子、クロム粒子、炭化ケイ素粒子、ホウ化アルミニウム粒子、炭化ホウ素粒子、ダイヤモンド粒子等が挙げられる。なかでも、透明性の点から、ジルコニア粒子、αアルミナ粒子、ダイヤモンド粒子が好ましく、αアルミナ粒子がより好ましい。
粒子(A)は、αアルミナ粒子を含むことが好ましく、αアルミナ粒子のみからなることがより好ましい。
粒子(A)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
粒子分における粒子(A)以外の粒子としては、一次粒子径が30nm未満の粒子(B)、一次粒子径が30nm以上で、かつモース硬度が8未満の粒子(C)が挙げられる。
粒子(B)としては、例えば、粒子(A)で挙げた粒子の中で一次粒子径が30nm未満の粒子が挙げられる。粒子(B)は、モース硬度8以上の粒子であってもよく、モース硬度8未満の粒子であってもよい。
粒子(B)としては、擦傷防止膜の屈折率調整が容易になりヘーズが低くなる点では、一次粒子径が30nm未満の酸化チタン粒子が好ましい。擦傷防止膜の導電性調整が容易になり帯電防止性能を付与しやすい点では、錫ドープ酸化インジウム粒子、錫ドープ酸化アンチモン粒子、酸化錫粒子、金属粒子(金粒子、銀粒子等)、窒化アルミニウム粒子のうち一次粒子径が30nm未満のものが好ましく、錫ドープ酸化インジウム粒子、錫ドープ酸化アンチモン粒子、酸化錫粒子、金属粒子のうち一次粒子径が30nm未満のものがより好ましく、錫ドープ酸化インジウム粒子、錫ドープ酸化アンチモン粒子、酸化錫粒子のうち一次粒子径が30nm未満のものがさらに好ましい。擦傷防止膜の紫外線吸収性調整が容易になり紫外線吸収性能を付与しやすい点では、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化セリウム粒子のうち一次粒子径が30nm未満のものが好ましい。擦傷防止膜の赤外線吸収性調整が容易になり赤外線吸収性能を付与する点では、錫ドープ酸化インジウム粒子、錫ドープ酸化アンチモン粒子、タングステン酸セシウム粒子のうち一次粒子径が30nm未満のものが好ましい。擦傷防止膜の光触媒活性調整が容易になり親水化性能を付与しやすい点では、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ニオブ粒子等の光触媒活性を有する粒子のうち一次粒子径が30nm未満のものが好ましい。
また、擦傷防止膜の空隙率調整が容易になり断熱性能を付与しやすい点では、粒子(B)は中空粒子であることが好ましい。
粒子(B)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
粒子(C)としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、石英粒子等のうち一次粒子径が30nm以上のものが挙げられる。擦傷防止膜の導電性調整が容易になり帯電防止性能を付与しやすい点では、錫ドープ酸化インジウム粒子、錫ドープ酸化アンチモン粒子、酸化錫粒子、金属粒子(金粒子、銀粒子等)、窒化アルミニウム粒子のうち一次粒子径が30nm未満のものが好ましく、錫ドープ酸化インジウム粒子、錫ドープ酸化アンチモン粒子、酸化錫粒子、金属粒子のうち一次粒子径が30nm以上のものがより好ましく、錫ドープ酸化インジウム粒子、錫ドープ酸化アンチモン粒子、酸化錫粒子のうち一次粒子径が30nm以上のものがさらに好ましい。擦傷防止膜の紫外線吸収性調整が容易になり紫外線吸収性能を付与しやすい点では、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化セリウム粒子のうち一次粒子径が30nm以上のものが好ましい。擦傷防止膜の赤外線吸収性調整が容易になり赤外線吸収性能を付与する点では、錫ドープ酸化インジウム粒子、錫ドープ酸化アンチモン粒子、タングステン酸セシウム粒子のうち一次粒子径が30nm以上のものが好ましい。擦傷防止膜の光触媒活性調整が容易になり親水化性能を付与しやすい点では、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ニオブ粒子等の光触媒活性を有する粒子のうち一次粒子径が30nm以上のものが好ましい。
また、擦傷防止膜の空隙率調整が容易になり断熱性能を付与しやすい点では、粒子(C)は中空粒子であることが好ましい。粒子(C)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
粒子分は、粒子(A)のみからなる成分であってもよく、粒子(A)と、粒子(B)および粒子(C)のいずれか一方または両方とからなる成分であってもよい。
粒子分(100質量%)中の粒子(A)の割合Pは、60質量%以上であり、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。割合Pが前記下限値以上であれば、優れた耐擦傷性が得られる。
≪バインダの前駆体≫
バインダの前駆体としては、Si、Al、Ti、Zr、Ta原子に加水分解性基が結合した加水分解縮合性化合物が好ましい。加水分解性基としては、アルコキシ基、イソシアネート基、アシルオキシ基、アミノキシ基、ハロゲン基等が挙げられる。
加水分解縮合性化合物としては、金属アルコキシド、金属アルコキシドの加水分解重縮合物、ポリシラザン、ポリシラザンの加水分解重縮合物等が挙げられる。
金属アルコキシドとしては、ケイ酸アルコキシドが好ましく、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン等のシリコンテトラアルコシドがより好ましい。ケイ酸アルコキシド以外の金属アルコキシドとしては、例えば、アルミニウムトリアルコキシド(トリメトキシアルミニウム等)、チタンテトラアルコシキド(チタンテトライソプロポキシド等)、ジルコニウムテトラアルコシキド(ジルコニウムテトラエトキシド等)が挙げられる。
また、加水分解縮合性化合物としては、テトライソシアネートシラン等も挙げられる。
加水分解縮合性化合物は、加水分解性基の他にアルキル基、アルケニル基、アリール基、ビニル基、エポキシ基、ペルフルオロポリエーテル基、ペルフルオロアルキル基等の有機基を有していてもよい。有機基の数は1〜2個が好ましい。
有機基を有する加水分解縮合性化合物としては、例えば、アルキルアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等)、ジアルキルアルコキシシラン(ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ペルフルオロポリエーテルトリエトキシシラン、ペルフルオロエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
金属アルコキシドの加水分解重縮合物としては、例えば、金属アルコキシドの硝酸部分加水分解物等が挙げられる。
ポリシラザンとしては、例えば、市販の無機シラザンコーティング材等が挙げられる。
工程(I)では、粒子分中の粒子(A)と粒子(C)の混合物の屈折率nと、粒子(B)とバインダの前駆体を焼成した焼成物の屈折率nとの差(n−n)を0.4以下に制御する。前記差(n−n)が0.4以下であれば、優れた透明性と耐擦傷性を両立できる。前記差(n−n)は、0.35以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。
差(n−n)は、使用する粒子分およびバインダの前駆体の種類によって調節できる。
≪界面活性剤≫
塗布液は、粒子分およびバインダの前駆体の他に、界面活性剤を含んでもよい。塗布液が界面活性剤を含むことで、基体への濡れ性が向上する。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用できる。
界面活性剤としては、−CHCHO−、−SO−、−NR−(Rは水素原子または有機基)、−NH−、−SOY、−COOY(Yは水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子またはアンモニウムイオン)で表される基を有するノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルポリオキシエチレン−ポリプロピレンエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビトールエステル、アルキルポリオキシエチレンアミン、アルキルポリオキシエチレンアミド、ポリエーテル変性のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
≪他の成分≫
また、塗布液は、前記界面活性剤の他にも各種塗料用配合剤を含んでもよい。例えば、ハードコート、着色、導電、帯電防止、偏光、紫外線遮蔽、赤外線遮蔽、防汚、防曇、光触媒、抗菌、蓄光、電池、屈折率制御、撥水、撥油、指紋除去、滑り性から選ばれる1種または2種以上の機能を付与する公知の配合剤を含んでもよい。
また、塗布液は、泡立ち防止剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防カビ剤等を含有してもよい。
<基体>
基体としては、特に限定されず、透明基体であってもよく、不透明な基体であってもよい。透明基体は、JIS K−7150の規格におけるヘーズ値が5%以下の基体であり、ヘーズ値が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
透明基体としては、例えば、ガラス基体(ガラス板等)が挙げられる。
不透明な基体としては、例えば、金属、セラミックス焼結体、不透明樹脂等が挙げられる。
基体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜決定できる。基体の形状としては、例えば、板状が挙げられ、湾曲していてもよい。
また、基体の大きさも特に限定されず、用途に応じて適宜決定できる。
塗布液を塗布する前には、擦傷防止膜の密着性をより高める目的で、基体に対して、プラズマ処理、コロナ処理、UV処理、オゾン処理等の放電処理、水、酸やアルカリ等の化学処理、または研磨剤を用いた物理的処理を施してもよい。
(工程(II))
塗布液を塗布した基体に対して、必要に応じて乾燥した後に焼成して擦傷防止膜を形成する。
乾燥方法は、特に限定されず、例えば、熱風による乾燥、真空乾燥等が挙げられる。乾燥温度は、100〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。
乾燥時間は、1〜60分間が好ましい。
焼成方法は、特に限定されず、例えば、マッフル炉を用いる方法等が挙げられる。
焼成温度は、150〜700℃が好ましく、200〜600℃がより好ましい。焼成温度が下限値以上であれば、加水分解縮合性化合物が酸化物に充分に変換される。また、より強固な擦傷防止膜が得られやすい。焼成温度が上限値以下であれば、熱による基体の変形などを抑制することができる。
焼成時間は、1〜300分間が好ましく、10〜120分間がより好ましい。
また、擦傷防止膜の機械的強度を高める目的で、必要に応じて、焼成前または焼成後に、擦傷防止膜に紫外線や電子線等を照射してもよい。
(作用効果)
本発明の擦傷防止膜付き基体の製造方法においては、一次粒子径が30nm以上でモース硬度8以上の粒子(A)を特定の比率で含む、平均一次粒子径が1nm以上の粒子分を用いるため、基体上に高硬度な擦傷防止膜が形成される。また、膜表面に粒子(A)が予め露出しているか、または露出していなくても膜表面が擦れた際に容易に粒子(A)が露出することで、他の物品が擦傷防止膜に接触する際に粒子(A)と接するため、膜表面に傷が付きにくく、優れた耐擦傷性が得られる。
また、本発明の擦傷防止膜付き基体の製造方法においては、粒子分中の粒子(A)と粒子(C)の混合物の屈折率nと、粒子(B)とバインダの前駆体を焼成した焼成物の屈折率nとの差(n−n)を0.4以下に制御しているため、優れた耐擦傷性に加えて優れた透明性を有する擦傷防止膜付き基体が得られる。
[擦傷防止膜付き基体]
以下、本発明の擦傷防止膜付き基体の一例を示して説明する。
本実施形態の擦傷防止膜付き基体1は、図1に示すように、板状の基体10上に、擦傷防止膜12が形成されたものである。
(基体)
基体10としては、特に限定されず、透明基体であってもよく、不透明な基体であってもよい。透明基体および不透明な基体としては、例えば、前記したものが挙げられ、ガラス基体が好ましい。
(擦傷防止膜)
擦傷防止膜12は、粗粒分と、ベース分とを含有する膜である。
<粗粒分>
粗粒分は、一次粒子径が30nm以上の粒子からなり、かつαアルミナ粒子を含み、粗粒分(100質量%)中のαアルミナ粒子の割合Pが60質量%以上である成分である。
粗粒分に含まれるαアルミナ粒子は、粒子(A)である。
粗粒分は、αアルミナ粒子のみからなる成分であってもよく、αアルミナ粒子以外の粒子(A)および粒子(C)のいずれか一方または両方をさらに含む成分であってもよい。
粗粒分は、αアルミナ粒子のみからなる成分であることが好ましい。
粗粒分に含まれる粒子の一次粒子径は、30nm以上であり、40nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましい。該粒子の一次粒子径が前記下限値以上であれば、擦傷防止膜12の硬度が高くなり、優れた耐擦傷性が得られる。
粗粒分に含まれる粒子の一次粒子径の上限値は、透明性の点から、1000nmが好ましく、500nmがより好ましく、400nm以下がさらに好ましく、200nm以下が特に好ましい。
粗粒分の平均一次粒径は、30〜1000nmが好ましく、30〜500nmがより好ましく、30〜400nmがさらに好ましく、50〜200nmが特に好ましい。粗粒分の平均一次粒径が下限値以上であれば、擦傷防止膜12の表面にαアルミナ粒子が露出することで膜硬度が高くなり、耐擦傷性に優れた擦傷防止膜12を形成しやすい。粗粒分の平均一次粒径が上限値以下であれば、透明性に優れた擦傷防止膜12を形成しやすい。
また、粗粒分は擦傷防止膜12中で凝集していてもよい。この場合、粗粒分が凝集していない場合に比べて擦傷防止膜12の透明性が低下する傾向がある。粗粒分の平均凝集粒子径は、30〜2000nmが好ましく、30〜800nmがより好ましく、40〜500nmがさらに好ましく、60〜400nmが特に好ましい。
粗粒分(100質量%)中の一次粒子径が30nm以上αアルミナ粒子の割合Pは、60質量%以上であり、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。割合Pが前記下限値以上であれば、優れた耐擦傷性が得られる。
<ベース分>
ベース分は、バインダ、またはバインダおよび一次粒子径が30nm未満の粒子(B)からなる成分である。粗粒分と粒子(B)とを合わせたものが前記した粒子分である。
バインダとしては、粗粒分および必要に応じて用いる粒子(B)を含みつつ基体表面に接着して膜を形成できるものであればよく、例えば、無機物が挙げられ、酸化物を主成分とする酸化物系マトリクスが好ましい。酸化物を主成分とするとは、酸化物の割合がマトリクス(100質量%)のうち90質量%以上であることを意味する。
バインダに用いる酸化物としては、例えば、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、タンタル酸化物、スズ酸化物等が挙げられる。
酸化物系マトリクスとしては、実質的に酸化物からなるものが好ましい。実質的に酸化物からなるとは、不可避不純物を除いて酸化物のみから構成されていることを意味する。
酸化物系マトリクスは、酸化物以外の成分を少量含んでもよい。該成分としては、例えば、金属イオン(Li、Na、Mg2+、K等)等が挙げられる。
酸化物系マトリクスとしては、前駆体である加水分解縮合性化合物の焼成物であることが好ましい。
バインダとしては、擦傷防止膜12の屈折率が高くなり、ヘーズが低くなる点から、シリカ、アルミナおよびジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする酸化物系マトリクスが好ましく、シリカ、アルミナおよびジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。
バインダは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ベース分は、バインダのみからなる成分であってもよく、バインダと粒子(B)とからなる成分であってもよい。
ベース分(100質量%)中のバインダの割合は、50〜100質量%が好ましく、60〜100質量%がより好ましい。前記バインダの割合が下限値以上であれば、基体10と擦傷防止膜12との密着力が高くなる。
擦傷防止膜12の屈折率nは、擦傷防止膜12を膜表面に対して垂直方向に切断した切断面の総面積に対する、該切断面での直径が30nm以上のαアルミナ粒子の面積含有率をV(%)としたとき、下式(1)の条件を満たすことが好ましく、下式(2)の条件を満たすことがより好ましい。
0.37×V/100+1.35≦n≦0.22×V/100+1.50 ・・・(1)
0.34×V/100+1.38≦n≦0.24×V/100+1.48 ・・・(2)
擦傷防止膜12の屈折率nが前記範囲であれば、反射率が低く、視認性が高いうえ擦傷防止効果が高い。
使用する粗粒分、ベース分を形成する粒子(B)およびバインダの前駆体の種類および比率によって、擦傷防止膜12の屈折率nを前記範囲に制御でき、擦傷防止膜12に様々な機能を付加することができる。
擦傷防止膜12を膜表面に対して垂直方向に切断した切断面における、粗粒分とベース分の合計面積に対する、該切断面での直径が30nm以上の粗粒分の面積含有率Vは、19〜83%が好ましく、27〜69%がより好ましい。前記面積含有率Vが下限値以上であれば、粗粒分中の主成分であるαアルミナ粒子が膜表面に露出しやすいため、高い擦傷防止効果が得られやすい。前記面積含有率Vが上限値以下であれば、基体10と擦傷防止膜12との密着力が高くなる。
擦傷防止膜12中の粗粒分とベース分の合計質量に対する粗粒分の割合Wは、30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。前記割合Wが下限値以上であれば、αアルミナ粒子が膜表面に露出しやすいため、高い擦傷防止効果が得られやすい。前記割合Wが上限値以下であれば、基体10と擦傷防止膜12との密着力が高くなる。
擦傷防止膜12(100質量%)中の粗粒分とベース分を合計した割合は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。前記粗粒分とベース分を合計した割合の上限値は100質量%である。
擦傷防止膜12の厚さは、100〜3000nmが好ましく、200〜2000nmがより好ましく、300〜1000nmがさらに好ましい。擦傷防止膜12の厚さが下限値以上であれば、優れた耐擦傷性を得やすい。擦傷防止膜12の厚さが上限値以下であれば、優れた透明性を得やすい。
なお、擦傷防止膜の厚さは平均厚さを意味し、擦傷防止膜の断面の顕微鏡観察により測定するか、または触針式膜厚計を用いて測定した5箇所の測定値の平均を意味する。
擦傷防止膜12のマルテンス硬度は、4000N/mm以上が好ましく、5000N/mm以上がより好ましい。
なお、マルテンス硬度とは、擦傷防止膜に圧子を押しつけ、その圧痕の深さから求められる値を意味し、微小硬さ試験装置を用いてインデンテーション測定を解析することで求められる。
(製造方法)
擦傷防止膜付き基体1のような態様の擦傷防止膜付き基体の製造方法としては、例えば、下記の方法(1)および方法(2)が挙げられる。
(1)粗粒分およびバインダの前駆体の両方を含む塗布液を用いる方法。
(2)粗粒分を含む塗布液と、バインダの前駆体を含む塗布液をそれぞれ用いる方法。
以下、方法(1)と方法(2)についてそれぞれ説明する。
<方法(1)>
方法(1)は、下記工程(i−1)および(ii−1)を有する。
(i−1)粗粒分およびバインダの前駆体、または粗粒分、バインダの前駆体および粒子(B)を含む塗布液を基体上に塗布する工程。
(ii−1)前記塗布液を塗布した基体を焼成して、基体上に擦傷防止膜を形成する工程。
≪工程(i−1)≫
塗布液が粒子(B)を含まない場合、粗粒分が前記した粒子分である。塗布液が粒子(B)を含む場合、粗粒分と粒子(B)を合わせたものが粒子分である。
工程(i−1)では、前記した工程(I)で説明したように、粒子(B)を用いない場合、例えば、バインダの前駆体の溶媒に粗粒分を分散させて分散液を得た後、該分散液にバインダの前駆体を加えて塗布液とし、公知の方法で基体上に塗布する。粒子(B)を用いる場合は、例えば、バインダの前駆体の溶媒に粗粒分および粒子(B)を分散させて分散液を得た後、該分散液にバインダの前駆体を加えて塗布液とし、公知の方法で基体上に塗布する。
使用する粗粒分、粒子(B)およびバインダの前駆体の種類および比率によって、擦傷防止膜12の屈折率nを前記範囲に制御できる。
≪工程(ii−1)≫
工程(ii−1)は、前記した工程(II)と同様である。
<方法(2)>
方法(2)は、下記工程(i−2)、(ii−2)および(iii−2)を有する。
(i−2)粗粒分、または粗粒分および粒子(B)を含む塗布液を基体上に塗布する工程。
(ii−2)前記工程(i−2)の後、バインダの前駆体を含む塗布液を基体上に塗布する工程。
(iii−2)前記工程(ii−2)後の塗布液を塗布した基体を焼成して、基体上に擦傷防止膜を形成する工程。
≪工程(i−2)≫
工程(i−2)では、前記した工程(I)で説明したように、粒子(B)を用いない場合は、粗粒分を分散媒中に分散させて分散液からなる塗布液とし、公知の方法で基体上に塗布する。また、粒子(B)を用いる場合は、粗粒分および粒子(B)を分散媒中に分散させて分散液からなる塗布液とし、公知の方法で基体上に塗布する。
≪工程(ii−2)≫
工程(ii−2)では、前記した工程(I)で説明したように、バインダの前駆体を溶媒に溶解して塗布液とし、公知の方法で基体上に塗布する。
≪工程(iii−2)≫
工程(iii−2)は、前記した工程(II)と同様である。
(作用効果)
擦傷防止膜付き基体1のような特定のαアルミナ粒子を必須とする態様の擦傷防止膜付き基体では、擦傷防止膜が高硬度なαアルミナ粒子を特定の比率で含むため、擦傷防止膜が高硬度である。また、膜表面にαアルミナ粒子が予め露出しているか、または露出していなくても膜表面が擦れた際に容易にαアルミナ粒子が露出することで、他の物品が擦傷防止膜に接触する際にαアルミナ粒子と接するため、膜表面に傷が付きにくく、優れた耐擦傷性が得られる。また、該擦傷防止膜付き基体は、より優れた耐擦傷性が得られる点から、方法(1)で製造されたものよりも方法(2)で製造されたものの方が好ましい。
また、該擦傷防止膜付き基体では、擦傷防止膜の屈折率nを特定の範囲に制御しているため、優れた耐擦傷性に加えて優れた透明性も得られる。
なお、本発明の擦傷防止膜付き基体は、前記した擦傷防止膜付き基体1には限定されない。例えば、本発明の擦傷防止膜付き基体は、基体の両面に擦傷防止膜を有するものであってもよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。例1〜4、12〜16は実施例、例5〜9は比較例、例10および11は参考例である。
[結晶相]
各例で得られた焼成後粒子の結晶相はX線回折装置(Rigaku社製、TTR−III)で同定した。
[体積含有率]
形成された擦傷防止膜を膜表面に対して垂直方向に切断した切断面における、前記粗粒分と前記ベース分の合計面積に対する、該切断面での直径が30nm以上の粗粒分の面積含有率Vは、以下の方法で求めた。
集束イオンビーム装置により擦傷防止膜の任意の断面を切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡による観察した断面写真(5μm×5μm)において、直径が30nm以上の粗粒分の面積を擦傷防止膜の面積で除して算出した。
[モース硬度]
粒子のモース硬度は、その物質の結晶が示す値とした。
[マルテンス硬度]
各例で得られた擦傷防止膜付き基体における擦傷防止膜のマルテンス硬度(N/mm)を、インデンテーション試験装置(フィッシャー社製、ピコデンターHM500)を用いて測定した。
[ヘーズ値]
各例で得られた擦傷防止膜付き基体について、ヘーズメーター(BYKガードナー社製、ヘイズガード プラス)を用いて、初期ヘーズ値(H)を測定した。また、テーバー試験によるヘーズ値変化(△H)を測定した。テーバー試験は、テーバー摩耗試験機(テーバーインダストリーズ社製、テーバー・アブレーザー5130)を用い、CS10F摩耗輪により、荷重500g、回転数1000回の条件で行った。
[屈折率]
各例で得られた擦傷防止膜付き基体における擦傷防止膜の屈折率nを、反射分光膜厚評価装置(大塚電子社製、FE3000)を用いて測定した。
粒子(A)と粒子(C)の混合物の屈折率n、粒子(B)とバインダの前駆体を焼成した焼成膜の屈折率nは、以下の方法で測定した。
具体的には、屈折率nについては粒子(A)と粒子(C)の混合物を屈折率基準液(島津製作所社製、屈折率評価用接触液)と混合することによって分散液を作製した。ガラス基板上にこの分散液を塗布し、塗布膜のヘーズ値を測定し、ヘーズ値が最も小さくなる分散液に使用した屈折率基準液の屈折率を粒子(A)と粒子(C)の混合物の屈折率とした。粒子(B)とバインダの前駆体を焼成した焼成膜の屈折率nは、バインダ前駆体をガラス基板に塗布し、焼成することによって焼成膜を形成し、反射分光膜厚評価装置(大塚電子社製、FE3000)を用いることで測定した。
[膜厚]
各例で得られた擦傷防止膜付き基体における擦傷防止膜の厚さを、走査型電子顕微鏡(日立ハイテック社製、S−4300)を用いて測定した。
[例1]
容量100mLのガラス製容器に、エタノール40g、αアルミナ粒子(住友化学化学工業社製、製品名:スミコランダムAA03、モース硬度:9、平均一次粒子径:300nm、一次粒子径30nm以上の粒子の割合:100質量%、一次粒子径30nm未満の粒子の割合:0質量%)1g、およびジルコニアビーズ(粒径0.5mm)20gを入れ、ビーズミルで24時間分散させた。前記αアルミナ粒子は凝集体粒子となっており、平均凝集粒子径は350nmであった。
前記の手順で得たαアルミナ分散液(固形分濃度:2.5質量%)30g、テトラエトキシシランの硝酸部分加水分解物(SiO固形分濃度:2.5質量%)15g、およびエタノール15gを室温で混合し、塗布液−1を得た。塗布液−1に含まれる固形分100体積%に対するαアルミナ粒子の体積含有率は53体積%とした。
次に、厚さ3.0mmのガラス板(ソーダライムガラス、旭硝子社製)の表面を、酸化セリウムの微粒子を用いて研磨した後、表面を水洗し、乾燥した。次に、該ガラス板の表面に塗布液−1をスピンコートにより塗布した後、200℃の熱風循環式オーブンで5分乾燥し、さらに600℃のマッフル炉で60分間焼成して擦傷防止膜付き基体を得た。該擦傷防止膜付き基体における擦傷防止膜の厚さは500nmであった。
[例2]
エタノールの代わりにキシレンを用いた以外は例1と同様にしてαアルミナ分散液(固形分濃度:2.5質量%)を得た。
得られたαアルミナ分散液30g、ポリシラザン溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、製品名:NL110A−20、SiO固形分濃度:20質量%)3.8g、およびキシレン26.2gを室温で混合し、塗布液−2を得た。塗布液−2に含まれる固形分100体積%に対するαアルミナ粒子の体積含有率は36体積%とした。
次に、塗布液−1の代わりに塗布液−2を用いた以外は、例1と同様にして擦傷防止膜付き基体を得た。
[例3]
αアルミナ粒子(住友化学化学工業社製、製品名:AKP−53、モース硬度:9、平均一次粒子径:150nm、一次粒子径30nm以上の粒子の割合:100質量%、一次粒子径30nm未満の粒子の割合:0質量%)を用いた以外は、例1と同様にしてαアルミナ分散液を得た。前記αアルミナ粒子は凝集体粒子であり、平均凝集粒子径は200nmであった。また、該αアルミナ分散液を用いた以外は、例1と同様にして塗布液−3を得た。塗布液−3に含まれる固形分100体積%に対するαアルミナ粒子の体積含有率は53体積%とした。
次に、塗布液−1の代わりに塗布液−3を用いた以外は、例1と同様にして擦傷防止膜付き基体を得た。
[例4]
αアルミナ粒子を単独で使用する代わりに、αアルミナ粒子(住友化学化学工業社製、製品名:スミコランダムAA03、モース硬度:9、平均一次粒子径:300nm、一次粒子径30nm以上の粒子の割合:100質量%、一次粒子径30nm未満の粒子の割合:0質量%)0.67gとΘアルミナ粒子(大明化学工業社製、製品名:TM−100D、平均一次粒子径60nm、モース硬度:7)0.33gを合わせて用いた以外は、例1と同様にしてアルミナ分散液を得た。前記アルミナ粒子は凝集体粒子となっており、平均凝集粒子径は400nmであった。また、該アルミナ分散液を用いた以外は、例1と同様にして塗布液−4を得た。塗布液−4に含まれる固形分100体積%に対するアルミナ粒子の体積含有率は67体積%とした。
次に、塗布液−1の代わりに塗布液−4を用いた以外は、例1と同様にして擦傷防止膜付き基体を得た。
[例5]
容量100mLのガラス製容器に、エタノール36g、アルミナ粒子水分散液(日産化学工業社製、製品名:AS−520、モース硬度:7、平均一次粒子径30nm、一次粒子径30nm以上の粒子の割合:50質量%、一次粒子径30nm未満の粒子の割合:50質量%)5g、およびジルコニアビーズ(粒径0.5mm)20gを入れ、ビーズミルで24時間分散させた。前記アルミナ粒子は凝集体粒子であり、平均凝集粒子径は50nmであった。また、該アルミナ分散液を用いた以外は、例1と同様にして塗布液−5を得た。塗布液−5に含まれる固形分100体積%に対するアルミナ粒子の体積含有率は53体積%とした。
次に、塗布液−1の代わりに塗布液−5を用いた以外は、例1と同様にして擦傷防止膜付き基体を得た。
[例6]
アルミナ粒子の代わりにシリカ粒子(日産化学工業社製、製品名:KE−P30、平均一次粒子径300nm、モース硬度:7)を用いた以外は、例1と同様にしてシリカ分散液を得た。前記シリカ粒子は凝集体粒子となっており、平均凝集粒子径は400nmであった。また、該シリカ分散液を用いた以外は、例1と同様にして塗布液−6を得た。塗布液−6に含まれる固形分100体積%に対するシリカ粒子の体積含有率は67体積%とした。
次に、塗布液−1の代わりに塗布液−6を用いた以外は、例1と同様にして擦傷防止膜付き基体を得た。
[例7]
アルミナ粒子を単独で使用した代わりに、αアルミナ粒子(住友化学化学工業社製、製品名:スミコランダムAA03、モース硬度:9、平均一次粒子径:300nm、一次粒子径30nm以上の粒子の割合:100質量%、一次粒子径30nm未満の粒子の割合:0質量%)0.5gとΘアルミナ粒子(大明化学工業社製、製品名:TM−100D、平均一次粒子径60nm、モース硬度:7)0.5gを合わせて用いた以外は、例1と同様にしてアルミナ分散液を得た。前記アルミナ粒子は凝集体粒子となっており、平均凝集粒子径は400nmであった。また、該シリカ分散液を用いた以外は、例1と同様にして塗布液−7を得た。塗布液−7に含まれる固形分100体積%に対するアルミナ粒子の体積含有率は67体積%とした。
次に、塗布液−1の代わりに塗布液−7を用いた以外は、例1と同様にして擦傷防止膜付き基体を得た。
[例8]
アルミナ分散液を用いない以外は、例1と同様にして塗布液−8を得た。
次に、塗布液−1の代わりに塗布液−8を用いた以外は、例1と同様にして擦傷防止膜付き基体を得た。
[例9]
アルミナ分散液を用いず、テトラエトキシシランの硝酸部分加水分解物の代わりにポリシラザン溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、製品名:NL110A−20、SiO固形分濃度:20質量%)を用いた以外は、例1と同様にして塗布液−9を得た。
次に、塗布液−1の代わりに塗布液−9を用いた以外は、例1と同様にして擦傷防止膜付き基体を得た。
[例10]
参考として例1〜9で使用した厚さ3.0mmのガラス板(ソーダライムガラス、旭硝子社製)について、その表面のマルテンス硬度、初期ヘーズ値およびヘーズ値変化△Hを測定した。
[例11]
参考として厚さ1mmのガラス板(サファイアガラス、アドバンスマテリアルズテクノロジー社製)について、その表面のマルテンス硬度、初期ヘーズ値およびヘーズ値変化△Hを測定した。
擦傷防止膜の形成に用いた成分を表1、各例の評価結果を表2に示す。表1における割合Pとは、粗粒分中の粒子(A)の割合である。なお、粒子(A)が全てαアルミナ粒子である場合、割合Pは割合Pと同じである。また、割合Pとは、粒子分中の粒子(A)の割合である。また、割合Wとは、粗粒分とベース分の合計質量に対する粗粒分の質量の割合である。
また、表2の例10、11におけるマルテンス硬度は、ガラス板のマルテンス硬度である。
Figure 2017186176
Figure 2017186176
表1および表2に示すように、本発明の擦傷防止膜付き基体である例1〜4では、初期ヘーズ値が低く、優れた透明性が得られた。また、膜硬度が高く、ヘーズ値変化も小さく、優れた耐擦傷性が得られた。
粒子径が小さいアルミナ粒子を用いた例5、モース硬度が7のシリカ粒子を用いた例6、高硬度のαアルミナ粒子と低硬度のΘアルミナ粒子を半々で混合して用いた例7では、擦傷防止膜の硬度が不充分であり、ヘーズ値変化も大きく、耐擦傷性が不充分であった。また、粗粒分を用いない例8、9でも、擦傷防止膜の硬度が不充分であり、ヘーズ値変化も大きく、耐擦傷性が不充分であった。
[例12]
アルミナ製ボート内に遷移アルミナ(大明化学工業社製、製品名:TM−100D)を4g入れ、1200℃で5時間焼成した。焼成後粒子はαアルミナであった。焼成後のαアルミナ4gを、蒸留水40g、ジルコニアビーズ(粒径0.1mm)80gとともに容量100mLのガラス製容器に入れ、ビーズミルで160時間分散させ、塗布液を得た。前記塗布液中のαアルミナ粒子は、モース硬度が9、平均一次粒子径が40nm、一次粒子径30nm以上の粒子の割合が55質量%、一次粒子径30nm未満の粒子の割合が45質量%であった。また、前記αアルミナ粒子は凝集体粒子となっており、平均凝集粒子径は50nmであった。
次に、厚さ2.0mmのガラス板(ソーダライムガラス、旭硝子社製)の表面を、酸化セリウムの微粒子を用いて研磨した後、表面を水洗し、乾燥した。次に、該ガラス板の表面に前記塗布液をスピンコートにより塗布した後、150℃の熱風循環式オーブンで30分乾燥し、アルミナ付き基体を得た。
次に、ポリシラザン溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、製品名:NL110A−20、SiO固形分濃度:20質量%)15g、およびキシレン15gを室温で混合し、オーバーコート用塗布液を得た。前記アルミナ付き基体におけるアルミナ側の表面にオーバーコート用塗布液をスピンコートにより塗布した後、150℃の熱風循環式オーブンで30分乾燥し、さらに600℃のマッフル炉で60分焼成することによって、擦傷防止膜付き基体を得た。該擦傷防止膜付き基体における擦傷防止膜の厚さは500nmであった。また、擦傷防止膜の切断面における直径30nm以上のαアルミナ粒子(粗粒分)の面積含有率Vは53体積%であった。
[例13]
ビーズミルによる分散時間を80時間とした以外は、例12と同様にして塗布液を得た。前記塗布液中のαアルミナ粒子は、モース硬度が9、平均一次粒子径が70nm、一次粒子径30nm以上の粒子の割合が100質量%、一次粒子径30nm未満の粒子の割合が0質量%であった。また、前記αアルミナ粒子は凝集体粒子となっており、平均凝集粒子径は90nmであった。また、得られた塗布液を用いた以外は、例12と同様にして擦傷防止膜付き基体を得た。
[例14]
ビーズミルによる分散時間を40時間とした以外は、例12と同様にして塗布液を得た。前記塗布液中のαアルミナ粒子は、モース硬度が9、平均一次粒子径が150nm、一次粒子径30nm以上の粒子の割合が100質量%、一次粒子径30nm未満の粒子の割合が0質量%であった。また、前記αアルミナ粒子は凝集体粒子となっており、平均凝集粒子径は180nmであった。また、得られた塗布液を用いた以外は、例12と同様にして擦傷防止膜付き基体を得た。
[例15]
ビーズミルによる分散時間を20時間とした以外は、例12と同様にして塗布液を得た。前記塗布液中のαアルミナ粒子は、モース硬度が9、平均一次粒子径が300nm、一次粒子径30nm以上の粒子の割合が100質量%、一次粒子径30nm未満の粒子の割合が0質量%であった。また、前記αアルミナ粒子は凝集体粒子となっており、平均凝集粒子径は350nmであった。また、得られた塗布液を用いた以外は、例12と同様にして擦傷防止膜付き基体を得た。
[例16]
ビーズミルによる分散時間を10時間とした以外は、例12と同様にして塗布液を得た。前記塗布液中のαアルミナ粒子は、モース硬度が9、平均一次粒子径が500nm、一次粒子径30nm以上の粒子の割合が100質量%、一次粒子径30nm未満の粒子の割合が0質量%であった。また、前記αアルミナ粒子は凝集体粒子となっており、平均凝集粒子径は550nmであった。また、得られた塗布液を用いた以外は、例12と同様にして擦傷防止膜付き基体を得た。
例12〜16における擦傷防止膜の評価結果を表3に示す。表3における「割合P」は、粗粒分中の一次粒子径が30nm以上のαアルミナ粒子の質量割合を意味する。
Figure 2017186176
表3に示すように、本発明の擦傷防止膜付き基体である例12〜16では、初期ヘーズ値が低く、優れた透明性が得られた。また、膜硬度が高く、ヘーズ値変化も小さく、優れた耐擦傷性が得られた。
本発明の擦傷防止膜付き基体は、優れた透明性と耐擦傷性を両立でき、低コストであるため、スマートフォン等の電子機器用の保護ガラス(ディスプレイの保護ガラス、背面ガラス等)、自動車等の輸送機器用の窓ガラス(リヤガラス、サイドウインドガラス、ルーフガラス等)に好適に使用できる。
1 擦傷防止膜付き基体
10 基体
12 擦傷防止膜

Claims (13)

  1. 基体上に、粒子分とバインダとを含有する擦傷防止膜が形成された擦傷防止膜付き基体の製造方法であって、
    前記粒子分およびバインダの前駆体を含む塗布液を前記基体上に塗布する工程(I)と、前記塗布液を塗布した基体を焼成して前記基体上に前記擦傷防止膜を形成する工程(II)とを有し、
    前記粒子分は、平均一次粒子径が1nm以上の粒子からなり、かつ一次粒子径が30nm以上でモース硬度が8以上の粒子(A)を含み、
    前記粒子分中の前記粒子(A)の割合Pが60質量%以上であり、
    前記粒子分中の一次粒子径が30nm以上である粒子の混合物の屈折率nと、前記粒子分中の一次粒子径が30nm未満である粒子(B)および前記バインダの前駆体の混合物を焼成した焼成物の屈折率nとの差(n−n)が0.4以下である、擦傷防止膜付き基体の製造方法。
  2. 前記粒子(A)がαアルミナ粒子を含む、請求項1に記載の擦傷防止膜付き基体の製造方法。
  3. 前記バインダが、シリカ、アルミナおよびジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の擦傷防止膜付き基体の製造方法。
  4. 前記工程(II)における焼成温度が150〜700℃である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の擦傷防止膜付き基体の製造方法。
  5. 基体上に、粗粒分とベース分とを含有する擦傷防止膜が形成された擦傷防止膜付き基体であって、
    前記粗粒分は、一次粒子径が30nm以上の粒子からなり、かつαアルミナ粒子を含み、
    前記粗粒分中の前記αアルミナ粒子の割合Pが60質量%以上であり、
    前記ベース分は、バインダ、またはバインダおよび一次粒子径が30nm未満の粒子(B)からなり、
    前記擦傷防止膜を膜表面に対して垂直方向に切断した切断面の総面積に対する、該切断面での直径が30nm以上のαアルミナ粒子の面積含有率をV(%)としたとき、前記擦傷防止膜の屈折率nが下式(1)の条件を満たす、擦傷防止膜付き基体。
    0.37×V/100+1.35≦n≦0.22×V/100+1.50 ・・・(1)
  6. 前記基体がガラス基体である、請求項5に記載の擦傷防止膜付き基体。
  7. 前記粗粒分と前記ベース分の合計質量に対する前記粗粒分の質量Wの割合が30〜90質量%である、請求項5または6に記載の擦傷防止膜付き基体。
  8. 前記擦傷防止膜を膜表面に対して垂直方向に切断した切断面における、前記粗粒分と前記ベース分の合計面積に対する、該切断面での直径が30nm以上の粗粒分の面積含有率Vが19〜83%である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の擦傷防止膜付き基体。
  9. 前記バインダが、シリカ、アルミナおよびジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の擦傷防止膜付き基体。
  10. 前記擦傷防止膜の厚さが100〜3000nmである、請求項5〜9のいずれか一項に記載の擦傷防止膜付き基体。
  11. 請求項5〜10のいずれか一項に記載の擦傷防止膜付き基体の製造方法であって、下記工程(i−1)および(ii−1)を有する擦傷防止膜付き基体の製造方法。
    (i−1)前記粗粒分および前記バインダの前駆体、または前記粗粒分、前記バインダの前駆体および前記粒子(B)を含む塗布液を前記基体上に塗布する工程。
    (ii−1)前記塗布液を塗布した基体を焼成して前記基体上に前記擦傷防止膜を形成する工程。
  12. 請求項5〜10のいずれか一項に記載の擦傷防止膜付き基体の製造方法であって、下記工程(i−2)、(ii−2)および(iii−2)を有する擦傷防止膜付き基体の製造方法。
    (i−2)前記粗粒分、または前記粗粒分および前記粒子(B)を含む塗布液を前記基体上に塗布する工程。
    (ii−2)前記工程(i−2)の後、前記バインダの前駆体を含む塗布液を前記基体上に塗布する工程。
    (iii−2)前記工程(ii−2)後の塗布液を塗布した基体を焼成して前記基体上に前記擦傷防止膜を形成する工程。
  13. 前記の塗布液を塗布した基体を焼成するときの焼成温度が150〜700℃である、請求項11または12に記載の擦傷防止膜付き基体の製造方法。
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JP2017529306A (ja) * 2014-09-19 2017-10-05 コーニング インコーポレイテッド 基板上に耐擦傷性結晶化層を形成するための方法及びこれで形成された物品

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