JP2017183691A - 光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュール - Google Patents

光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、長時間光に晒されても光電変換効率の低下の少ない高い耐光性を備えた光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。【解決手段】素子基板上に、少なくとも、一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有し、前記活性層は、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物と、無機ナノ粒子と、を含有し、前記活性層の上部界面から前記活性層の1/3の深さにおける無機ナノ粒子の存在量をM1、該活性層の1/3の深さから活性層の2/3の深さにおける無機ナノ粒子の存在量をM2、該活性層の2/3の深さから活性層の下部側界面までの深さにおける前記無機ナノ粒子の存在量をM3とした場合に、M1/M2及びM3/M2が、それぞれ0.7以上1.3以下であることを特徴とする光電変換素子。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュールに関する。
近年、有機半導体を用いた電子デバイス、なかでも有機薄膜太陽電池(OPV)が盛んに検討されている。有機薄膜太陽電池は、一般的に、一対の電極と該電極間に活性層が形成された構成を有しているが、有機薄膜太陽電池の変換効率を向上させるために、活性層中に無機ナノ粒子を添加した例が報告されている。
例えば、特許文献1には、光を吸収することができる色素を有する第1の有機化合物と、電子受容性を有する第2の有機化合物と、無機ナノ粒子と、を含有する有機薄膜層を備えた有機薄膜太陽電池の例が記載されている。さらに、非特許文献1には、P3HTとPCBMと、酸化亜鉛と、を含む塗布液を用いて有機太陽電池を作製する例が記載されている。
特開2009−158730号公報
Solar Energy Materials&Solar Cells 134.(2015)291−297
有機薄膜太陽電池を屋外で使用する場合を想定すると、変換効率のみならず、光に対して光電変換効率の低下の少ない高い耐光性が求められる。しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1及び非特許文献1に記載の有機薄膜太陽電池では、高い耐光性を達成するのが困難な場合があることが判明した。
本発明は、上記問題を解決するものであり、長時間光に晒されても光電変換効率の低下の少ない高い耐光性を備えた光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明者等は上記実情に鑑み鋭意検討した結果、活性層中において、無機ナノ粒子が適度に分散されていることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を達成するに至った。即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1]素子基板上に、少なくとも、一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有し、前記活性層は、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物と、無機ナノ粒子と、を含有し、前記活性層の上部界面から前記活性層の1/3の深さにおける無機ナノ粒子の存在量をM1、該活性層の1/3の深さから活性層の2/3の深さにおける無機ナノ粒子の存在量をM2、該活性層の2/3の深さから活性層の下部側界面までの深さにおける前記無機ナノ粒子の存在量をM3とした場合に、M1/M2及びM3/M2が、それぞれ0.7以上1.3以下であることを特徴とする光電変換素子。
[2]前記活性層の断面における無機ナノ粒子の数密度が25個/μm2以上500個/μm2以下であることを特徴とする[1]に記載の光電変換素子。
[3]前記活性層中の前記無機ナノ粒子総数に対する長軸長さが10nm以上100nm以下の無機ナノ粒子の割合が70%以上であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の光電変換素子。
[4]前記n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位と前記無機ナノ粒子の伝導帯底のエネルギー差が1.0eV以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の光電変換素子。
[5]前記無機ナノ粒子が酸化亜鉛又は酸化チタンであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の光電変換素子。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の光電変換素子を有する太陽電池。
[7][6]に記載の太陽電池を有する太陽電池モジュール。
本発明により、長時間光に晒されても光電変換効率の低下の少ない、耐光性の高い光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の一実施形態としての光電変換素子の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの構成を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明に係る光電変換素子は、素子基板上に、少なくとも、一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有する。
図1に示すように、本発明に係る光電変換素子の一実施形態は、素子基板106上に、下部電極101と、下部バッファ層102と、活性層103と、上部バッファ層104と、上部電極105と、が順次形成された層構造を有する。本発明において、下部電極とは、素子基板106側に積層される電極を意味し、上部電極とは、素子基板106をボトムとした際に、下部電極よりも上部に積層される電極を意味する。なお、本発明において、下部電極101及び上部電極105を合わせて一対の電極と称す場合がある。また、下部バッファ層102及び上部バッファ層104は、必須の構成ではなく、任意で設ければよく、下部バッファ層102及び上部バッファ層104のうち一方のみを有していてもよい。また、光電変換素子は、上記以外の別の層を任意で有していてもよい。以下、光電変換素子の各構成部材について説明する。
<1−1.素子基板106>
光電変換素子107を構成する各層は、通常、支持体となる素子基板106上に形成される。素子基板106の材料に特段の制限は無い。素子基板106の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料、及びフレキシブル基材等が挙げられる。フレキシブル基材の具体例としては、限定されるわけではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル又はポリエチレン等のポリオレフィン;セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料(樹脂基材);紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料が挙げられる。
素子基板106の膜厚は、特段の制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。素子基板の膜厚が5μm以上であることは、光電変換素子の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。
なお、太陽電池において、素子基板106側を受光面とする場合、素子基板106は透光性を有することが好ましい。本発明において、透光性を有するとは可視光線透過率が40%以上であることを意味する。なお、素子基板106の可視光線透過率は70%以上であるとより多くの光を活性層103に到達させることができるために好ましい。素子基板106の可視光線透過率は、JIS R3106に定義された方法により測定することができる。一方、太陽電池において、光電変換素子107の上部電極105側を受光面とする場合、素子基板106は透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。但し、窓等に太陽電池を設置する場合は、シースルー型の太陽電池とすることが好ましく、この場合、受光面に関わらず、素子基板106は透光性を有していることが好ましい。
<1−2.一対の電極(101、105)>
上述の通り、本発明に係る光電変換素子は、下部電極101及び上部電極105からなる一対の電極を有する。なお、一対の電極のうち、一方の電極は、活性層103で発生した電子を捕集する機能を有するカソードであり、他方の電極は、活性層103で発生した正孔を捕集する機能を有するアノードである。下部電極101をカソードとする場合、上部電極105をアノードとし、下部電極101をアノードとする場合、上部電極105をカソードとすればよい。
下部電極101及び上部電極105の形成材料は特段の制限はなく、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム−ジルコニウム酸化物(IZO)、酸化チタン、酸化インジウム又は酸化亜鉛等の金属酸化物;金、白金、銀、銅、鉄、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム又はコバルト等の金属あるいはその合金が挙げられる。上記のなかでも、アノードは、比較的、仕事関数の大きな材料を用いて形成することが好ましく、カソードは比較的仕事関数の小さな材料を用いて形成することが好ましい。なお、光電変換素子が、下部バッファ層102及び/又は上部バッファ層104を有する場合、これらバッファ層材料を調整することにより、下部電極101及び上部電極105を同じ材料を使用して形成することもできる。
下部電極101及び上部電極105はそれぞれ単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
また、一対の電極のうち少なくとも一方の電極は透光性を有していることが好ましい。例えば、素子基板106側を太陽光の受光面とする場合、下部電極101は透光性を有していることが好ましく、上部電極105は透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。また、上部電極105側を太陽光の受光面とする場合は、上部電極105は透光性を有していることが好ましく、下部電極101は透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。なお、光電変換素子をシースルー型とする場合は、下部電極101及び上部電極105はともに透光性を有していることが好ましい。
透光性を有する電極とする場合、上述のような金属酸化物を用いて電極を形成すればよい。また、金属酸化物を含む層と薄い金属層とを積層させた構造であってもよい。
下部電極101及び上部電極105の膜厚は特段の制限はないが、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、さらに好ましくは、20nm以上であり、一方、通常2μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。
電極のシート抵抗は、特段の制限はないが、通常0.1Ω/□以上、一方、1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。
下部電極101及び上部電極105の形成方法は、特段の制限はなく、使用する材料に合わせて公知の方法により形成することができる。例えば、蒸着法、スパッタ法等の真空成膜方法;又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法が挙げられる。
<1−3.活性層103>
活性層103は、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物と、無機ナノ粒子を含有するバルクヘテロ型の混合層である。なお、上述の通り、活性層103が光を吸収することで、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物との界面で電子及び正孔が発生し、各電極からこれらの電荷が取り出される。
p型有機半導体化合物は、特段の制限はなく、p型の低分子有機半導体化合物又はp型の有機半導体ポリマーが挙げられる。なかでも、1.0eV以上1.8eV以下のエネルギーバンドギャップを有するp型半導体ポリマーが好ましい。
具体的に、p型半導体ポリマーとしては、二種以上のモノマー単位を共重合させた半導体ポリマーであることが好ましく、具体的には、アクセプター性構成単位と、ドナー性構成単位を含むπ電子共役重合体であることが好ましい。
本発明において、ドナー性構成単位(D)とは、イオン化ポテンシャルが小さく電子を供与する傾向の強い構成単位であり、具体的に、ドナー性構成単位は、アクセプター性構成単位(A)よりもイオン化ポテンシャル及び電子親和力が小さい構成単位である。すなわち、本発明において、ドナー性構成単位(D)は、アクセプター性構成単位(A)よりも高いHOMOエネルギー準位及び高いLUMOエネルギー準位を有する構成単位である。なお、アクセプター性構成単位及びドナー性構成単位のHOMOエネルギー準位及びLUMOエネルギー準位は光電子収量分光(PYS)測定、紫外光電子分光(UPS)測定、逆光電子分光(IPES)測定及びサイクリックボルタンメトリー測定等により実験的に見積もることができる他、分子軌道法(MO法)及び密度半関数法(DFT法)等の量子化学計算により算出することができる。なお、アクセプター性構成単位及びドナー性構成単位のHOMOエネルギー準位及びLUMOエネルギー準位を算出する際は、それぞれの構成単位の末端部分を水素原子で置換させて算出することとする。
アクセプター性構成単位(A)及びドナー性構成単位(D)は特段の制限はないが、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基又は脂肪族複素環基が挙げられる。なお、これらの基は、単環式であってもよいし、縮合多環式であってもよい。置換基は、特段の制限はなく、p型半導体ポリマーの溶解性の向上、吸収波長の調整に合わせて、任意の置換基を選択することができる。例えば、脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、脂肪族複素環基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基又はハロゲン原子が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。なかでも、アクセプター性構成単位(A)及びドナー性構成単位(D)は、それぞれ、置換基を有していてもよい芳香族複素環基であることが好ましい。
アクセプター性構成単位(A)及びドナー性構成単位(D)の具体例としては、限定されるわけではないが、イミドチオフェン単位、ナフトビスチアジアゾール単位、ベンゾチアジアゾール単位、ジチエノシロール単位、ベンゾジチオフェン単位、ジチエノチオフェン単位、ジチエノピロール単位、チエノチオフェン単位、又はジケトピロロピロール単位が挙げられる。これらの基のHOMOエネルギー準位及びLUMOエネルギー順位を考慮して、アクセプター性構成単位及びドナー性構成単位を選択することができる。
より具体的な、p型半導体ポリマーの例としては、Nature Materials,2006,5,328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、国際公開第2008/000664号パンフレットに記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv.Mater.,2007,4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体、Nature Materials,2007,6,497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、国際公開第2011/028827号パンフレットに記載のイミドチオフェンを含む共重合体、国際公開第2011/011545号パンフレットに記載のチエノチオフェンとベンゾジチオフェンとの共重合体等が挙げられる。また、国際公開第2013/180243号パンフレット、国際公開第2013/065855号パンフレット等に記載の共役高分子化合物も挙げられる。また、これらのポリマーの誘導体や、ここに挙げたモノマーの組み合わせで合成し得るポリマーも同様に用いることができる。これらポリマーやモノマーの置換基は、溶解性、結晶性、成膜性、HOMOエネルギー準位、LUMOエネルギー準位等を制御するために適宜選択しうる。
上記のなかでも、p型半導体コポリマーの好ましい形態としては、アクセプター性構成単位として置換基を有していてもよいイミドチオフェン単位と、ドナー性構成単位として置換基を有していてもよいジチエノシロール単位とを有するπ電子共役重合体、又は、アクセプター性構成単位として置換基を有していてもよいナフトビスチアジアゾール単位と、ドナー性構成単位として置換基を有していてもよいベンゾジチオフェン単位を有するπ電子共役重合体が挙げられる。
なお、p型半導体ポリマーは、アクセプター性構成単位を2種以上有していてもよく、同様に、ドナー性構成単位を2種以上有していてもよい。また、p型半導体ポリマーは、アクセプター性構成単位及びドナー性構成単位以外に、スペーサーとして機能しうる基を有していてもよい。スペーサーとして機能しうる基としては、特段の制限はないが、置換基を有していてもチエニル基が挙げられる。
n型半導体化合物としては、特段の制限はないが、具体的には、フラーレン;フラーレン化合物;8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体;アントラセン、ピレン、ナフタセン又はペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物;単層カーボンナノチューブ、n型ポリマー(n型高分子半導体材料)等が挙げられる。
これらの中でも、n型半導体化合物は、フラーレン、フラーレン化合物、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体又はn型高分子半導体材料が好ましく、フラーレン、フラーレン化合物、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はn型高分子半導体化合物がより好ましく、フラーレン化合物が特に好ましい。フラーレン化合物としては、特段の制限はないが、例えば、国際公開第2011/016430号又は日本国特開2012−191194号公報等の公知文献に記載のものを使用することができる。フラーレン化合物のなかでも、PC61BM又はPC71BMが好ましい。なお、上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
活性層103中において、p型有機半導体化合物に対するn型半導体化合物の割合は、特段の制限はないが、電荷分離を促進するために、100質量部以上であることが好ましく、150質量部以上であることがさらに好ましく、一方、400質量部以下であることが好ましく、350質量部以下であることが特に好ましい。
活性層103は、上述の通り、無機ナノ粒子を含有する。なお、本発明において、無機ナノ粒子は活性層103中で適度に均一に存在していることが好ましい。具体的には、前記活性層の上部界面から前記活性層の1/3の深さにおける無機ナノ粒子の存在量をM1、該活性層の1/3の深さから活性層の2/3の深さにおける無機ナノ粒子の存在量をM2、該活性層の2/3の深さから活性層の下部側界面までの深さにおける前記無機ナノ粒子の存在量をM3とした場合に、M1/M2及びM3/M2は、それぞれ0.7以上1.3以下であることが好ましい。なお、上記の無機ナノ粒子の存在量は例えばX線光電子分光法(XPS)分析などにより求められる。特に、本発明において、無機ナノ粒子の存在比率M1/M2及びM3/M2は、Arスパッタをしながら深さ方向のX線光電子分光法(XPS)分析を行うことで得られるデプスプロファイルにより算出することができる。具体的に、M1/M2は、X線光電子分光法(XPS)分析により得られたスペクトルピーク強度から組成分布を求めることができ、(活性層の上部界面から1/3の深さ方向における無機ナノ粒子に由来するプロファイル面積)/(活性層の1/3の深さから活性層の2/3の深さにおける無機ナノ粒子由来のプロファイル面積)により算出することができる。同様に、M3/M2は、X線光電子分光法(XPS)分析により得られたスペクトルピークにおいて、(活性層の2/3の深さから活性層の下部界面における無機ナノ粒子に由来するプロファイル面積)/(活性層の1/3の深さから活性層の2/3の深さにおける無機ナノ粒子由来のプロファイル面積)により算出することができる。
なお、後述するように光電変換素子の耐光性をより向上させるためには、M1/M2は0.8以上であることがさらに好ましく、0.9以上であることが特に好ましく、一方、1.2以下であることがさらに好ましく、1.1以下であることが特に好ましい。
同様に、後述するように光電変換素子の耐光性をより向上させるために、M3/M2は0.8以上であることがさらに好ましく、0.9以上であることが特に好ましく、一方、1.2以下であることがさらに好ましく、1.1以下であることが特に好ましい。
また、特段の制限はないが、後述するように光電変換素子の耐光性をさらに向上させるために、(M1/M2)/(M3/M2)は、0.7以上であることが好ましく、0.8以上であることがさらに好ましく、0.9以上であることが特に好ましく、一方、1.3以下であることが好ましく、1.2以下であることがさらに好ましく、1.1以下であることが特に好ましい。
従来、日本国特開2009−158730号公報又はSolar Energy Materials&Solar cells 134(2015) 291−297に記載されるように、活性層中において濃度勾配を設けて酸化亜鉛ナノ粒子等を含有させる試みがなされてきた。
例えば、日本国特開2009−158730号公報においては、P3HTとPCBMとを含有する層を形成した後に、P3HTと、PCBMと、酸化チタンナノ粒子を含有する塗布液を塗布することにより活性層を形成することが記載されている。このように形成された活性層は、正極もしくは負極の平面からなる法線方向に対して濃度分布を持って、酸化チタンナノ粒子が存在しているために、短絡電流密度が増加し、有機薄膜太陽電池の高効率化に寄与することが記載されている。
また、Solar Energy Materials&Solar cells 134(2015) 291−297においては、下部電極上に直接、P3HTと、PCBMと、酸化亜鉛を含有した塗布液を塗布することにより、下部電極上に酸化亜鉛層が堆積し、その上にP3HTとPCBMとの混合層が形成されることが記載されている。すなわち、Solar Energy Materials&Solar cells 134(2015) 291−297に記載の方法の場合、活性層の下部に酸化亜鉛濃度の高い領域が存在している。
しかしながら、本発明者らの検討によると、活性層中における無機ナノ粒子の勾配を極力減らし、無機ナノ粒子が適度に均一に存在させることにより、驚くことに光電変換素子の耐光性が向上することが判明した。このメカニズムは明らかではないが、以下の理由によるものと考えられる。
例えば、公知のAdvanced Energy Materials 4(2014) 1300693では、活性層中にPCBMが含まれ、無機ナノ粒子が含まれていない従来の有機薄膜太陽電池では、該太陽電池が光に晒されると、PCBMの二量体が生成することが挙げられている。そして、PCBMの二量体が生成すると、トラップ形成やモルフォロジー変化、エネルギー準位の乱れ等の原因により電子移動度が低下し、活性層中における電荷の再結合が増え、その結果、有機薄膜太陽電池の変換効率の低下に繋がってしまうことが記載されている。すなわち、従来の有機太陽電池では、光電変換素子が光に晒されることにより、活性層のモロフォロジーの変化等の影響により、n型半導体化合物の電子移動度が低下してしまい、その結果、変換効率の低下が懸念される。
一方、本発明のように、活性層103中において、無機ナノ粒子が適度に均一に存在することにより、適切なモルフォロジーが形成される。そのため、活性層が光に晒されてn型半導体化合物の電子移動度が低下しても、無機ナノ粒子が電子輸送パスとして機能するために、光電変換素子の光劣化による変換効率の低下を抑制できるものと考えられる。
また、後述するような活性層の光劣化による導電性の低下を抑制するために、活性層の断面おける無機ナノ粒子の数密度は、25個/μm2以上であることが好ましく、40個/μm2以上であることがさらに好ましく、60個/μm2以上であることが特に好ましい。一方、活性層のpn接合界面の面積を確保して電荷生成量の低下を抑制したり、又は無機ナノ粒子によるリークを防止するために、活性層断面における無機ナノ粒子の数密度は、500個/μm2以下であることが好ましく、300個/μm2以下であることがさらに好ましく、200個/μm2以下であることが特に好ましい。なお、本発明において、活性層中の無機ナノ粒子の数密度は、走査型電子顕微鏡により活性層の任意の断面を観察することにより見積もることができる。具体的には、観察された活性層断面において、任意の、活性層の幅方向が2μmの範囲に存在する無機ナノ粒子数から無機ナノ粒子の数密度を見積もることができる。なお、本発明において、隣接する粒子との間隔が10nm以下に存在する粒子をまとめて一つの無機ナノ粒子とみなすこととする。
また、電子輸送性の向上のために、活性層中の無機ナノ粒子が適度な大きさであり、かつ凝集することなく、適度に分散していることが好ましい。具体的には、活性層中の無機ナノ粒子の総数に対して、長軸長さが10nm以上100nm以下である無機ナノ粒子数の割合が70%以上であることが好ましく、80%以上がさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。本発明において、活性層中の無機ナノ粒子の総数に対する長軸長さが10nm以上100nm以下の無機ナノ粒子数の割合は、無機ナノ粒子の数密度と同様に、走査型電子顕微鏡により見積もることができる。具体的には、観察された活性層断面において、任意の、活性層の幅方向が2μmの範囲に存在する無機ナノ粒子数から見積もることができる。なお、無機ナノ粒子の長軸とは、観察される断面において、無機ナノ粒子外縁上の2点を結んで形成される線分のうち、2点間の距離が最も長いものを意味する。
無機ナノ粒子を構成する化合物は、電子輸送性を有する無機ナノ粒子であれば特段の制限はないが、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物;アルミニウム、ガリウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属等によりドープした酸化亜鉛等;銅、インジウム、セレン等を含む化合物半導体等が挙げられる。これらのなかでも、電子伝導パスの補助として機能させるためには、活性層103中のn型有機半導体化合物のLUMOエネルギー準位に近い伝導帯底のバンドを有する無機ナノ粒子を使用することが好ましい。具体的には、n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位と無機ナノ粒子の伝導帯底のエネルギー差は1.0eV以下であることが好ましく、0.7eV以下であることがさらに好ましく、0.5eV以下であることが特に好ましい。具体的には、無機ナノ粒子を構成する化合物は、酸化亜鉛や酸化チタン、窒化ガリウム、リン化ガリウム、リン化インジウム、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、酸化銅(I)、硫化カドミウム、チタン酸ストロンチウムであることが好ましい。なお、n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位及び無機ナノ粒子の伝導帯底のエネルギー準位は公知の方法により見積もることができる。
活性層103中の無機ナノ粒子の割合は、良好なモルフォロジーの形成と、電子輸送パスとして機能するために、n型半導体に対して0.5質量部以上であることが好ましく、1.0質量部以上であることがさらに好ましく、2.5質量部以上であることがより好ましい。一方、n型半導体化合物に対する無機ナノ粒子の割合が大きすぎると、活性層103のpn接合界面が減少するため、電荷分離が低下し、さらには導電性の高い無機ナノ粒子を用いた場合、光電変換素子がリークしやすくなる傾向がある。そのため、活性層103中のn型半導体化合物に対する無機ナノ粒子の割合は、20質量%以下であることが好ましく、17質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。
活性層103の膜厚は、特段の制限はないが、より多くの光を吸収するために通常、5nm以上、好ましくは10nm以上、さらに好ましくは50nm以上、より好ましくは120nm以上である。一方、直列抵抗を低くするために、活性層103の膜厚は、通常、600nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下である
活性層103の形成方法は特段の制限はないが、活性層形成用組成物を用いて、湿式塗布法により形成することが好ましい。具体的には、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物と、無機ナノ粒子と、溶媒と、を含む活性層形成用組成物を調製し、この活性層形成用組成物を塗布することにより活性層103を形成することができる。
塗布法は任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、スリットダイコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法等が挙げられる。
また、活性層形成用組成物を塗布した後に、加熱乾燥を行ってもよい。加熱により、活性層の自己組織化が促進されうる。加熱温度は、通常50℃以上、好ましくは80℃以上であり、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下である。加熱する時間としては、通常1分以上、好ましくは3分以上、一方、通常3時間以下、好ましくは1時間以下である。
活性層形成用組成物が含有する溶媒は、p型有機半導体化合物、n型半導体化合物、及び無機ナノ粒子を、溶解又は分散できる溶媒であれば特段の制限はない。例えば、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;メタノール、エタノール若しくはプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル若しくは乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン若しくはトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類;又は、ジメチルホルムアミド若しくはジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。
また、溶媒は1種の溶媒を単独で用いてもよいし、任意の2種以上の溶媒を任意の比率で併用してもよい。2種以上の溶媒を併用する場合、常圧下での沸点が60℃以上150℃以下である低沸点溶媒と、常圧下での沸点が180℃以上250℃以下である高沸点溶媒とを組み合わせることが好ましい。例えば、高沸点溶媒としてはテトラリン、デカリン、又はアセトフェノン等が挙げられ、低沸点溶媒としてはトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、又はエチルメチルケトン等が挙げられる。このように高沸点溶媒と低沸点溶媒とを組み合わせて用いる場合、活性層を成膜する際に、揮発性のより低い高沸点溶媒がゆっくりと揮発することにより、半導体化合物の組織化が促進され、相分離構造が最適化されうる。また、環境負荷の観点から、これらの高沸点溶媒及び低沸点溶媒は非ハロゲン系溶媒であることが好ましい。
また、上述の通り、活性層103中において、無機ナノ粒子を適度に均一に存在させるためには、分散剤を含有する活性層用組成物を塗布して活性層103を形成することが好ましい。特に、酸化亜鉛、酸化チタン等のナノ粒子は親水性を示すために、これらの粒子を無極性溶媒へ分散させる場合は、分散剤等で表面修飾を行うことが好ましい。あるいは粒子合成の際にこれらの粒子へ直接有機鎖を修飾させてもよい。分散剤として、例えば、水酸基やカルボキシル基、アミン基などを含む分散剤を用いることが好ましい。また、該活性層用組成物を加熱撹拌や超音波処理することにより、塗布後の活性層中の無機ナノ粒子を適度に均一にすることができる。また、活性層用組成物に対して、ビーズミル又はジェットミル等を用いることにより、無機ナノ粒子を活性層中に適度に均一化することができる。
活性層形成用組成物は、p型有機半導体化合物を含む溶液、n型半導体化合物を含む溶液、及び無機ナノ粒子を含む分散液と、をそれぞれ調製した後に混合して作製してもよいし、1種以上の溶媒に、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物と、無機ナノ粒子を同時に溶解又は分散させて調製し作製してもよい。また、あらかじめ無機ナノ粒子と、分散剤を含む無機ナノ粒子分散液を用意しておき、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物とを含む液に、当該分散液を加えて活性層用組成物を調製することが好ましい。なお、無機ナノ粒子分散液は、市販品を使用することもできる。例えば、ZNT15WT%−G0(シーアイ化成社製)、NANOBYKR―3842(ビックケミー社製)、RTIT15WT%−GO(シーアイ化成社製)などが挙げられる。
なお、活性層形成用組成物中の各化合物の割合は特段の制限はなく、所望の活性層103の組成に合わせて任意で選択すればよい。
<1−4.バッファ層(下部バッファ層102、上部バッファ層104)>
上述の通り、本実施形態に係る光電変換素子は、下部電極101と活性層103との間、及び上部電極105と活性層103との間に、それぞれバッファ層を有する。なお、本発明においては、便宜上、下部電極101と活性層103との間のバッファ層102を下部バッファ層と称する場合があり、上部電極105と活性層103との間のバッファ層104を上部バッファ層と称す場合がある。
バッファ層102及び104は、正孔取り出し層又は電子取り出し層である。正孔取り出し層とは、有機活性層103で発生した正孔の輸送効率を向上させる機能を有する層であり、電子取り出し層は、有機活性層103で発生した電子の輸送効率を向上させる機能を有する層である。そのため、アノードと活性層との間のバッファ層は、正孔取り出し層であることが好ましく、カソードと活性層との間のバッファ層は電子取り出し層であることが好ましい。具体的に、上部電極105がアノードであり、下部電極104がカソードである場合、上部バッファ層104を正孔取り出し層とし、下部バッファ層102を電子取り出し層とすることが好ましく、上部電極105がカソードであり、下部電極104がアノードである場合、上部バッファ層104を電子取り出し層とし、下部バッファ層102を正孔取り出し層とすることが好ましい。
なお、下部バッファ層102及び上部バッファ層104は、必須の構成部材ではなく、任意で設ければよい。また、どちらか一方のバッファ層のみを有していてもよい。しかしながら、本発明においては、以下の理由により、下部バッファ層が電子取り出し層であることが好ましい。本発明において、無機ナノ粒子は、活性層103中において極力均一に存在するように分散させているが、一般的に、無機ナノ粒子は有機物に比べて比重が高いために、分散性の良い塗布液を用いても、有機活性層中において、下部バッファ層側に存在し、下部バッファ層とコンタクトする無機ナノ粒子が多くなる傾向にある。そのため、下部バッファ層が正孔取り出し層の場合、電子輸送性を有する無機ナノ粒子と、正孔取り出し機能を有する正孔取り出し層とがオーミックな接触を取ることがあり、その結果、リーク電流が増大してしまう可能性がある。一方、下部バッファ層が電子取り出し層の場合、電子輸送性を示す無機ナノ粒子とコンタクトしても、オーミックな接触は形成しないためリーク電流を増大させるのを抑えることができる。この理由により、下部バッファ層は電子取り出し層であることが好ましい。
電子取り出し層の材料は、活性層103からカソードへ電子の取り出し効率を向上させる材料であれば特段の制限はないが、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
無機化合物の例としては、Li、Na、K又はCs等のアルカリ金属の塩;酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体酸化物等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の塩としては、LiF、NaF、KF又はCsFのようなフッ化物塩が好ましく、n型半導体酸化物としては、酸化亜鉛(ZnO)が好ましい。このような材料の動作機構は不明であるが、Al等で構成されるカソードと組み合わされた際にカソードの仕事関数を小さくし、太陽電池素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
有機化合物の例としては、例えば、トリアリールホスフィンオキシド化合物のようなリン原子と第16族元素との二重結合を有するホスフィン化合物;バソキュプロイン(BCP)又はバソフェナントレン(Bphen)のような、置換基を有してもよく、1位及び10位がヘテロ原子で置き換えられていてもよいフェナントレン化合物;トリアリールホウ素のようなホウ素化合物;(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のような有機金属酸化物;オキサジアゾール化合物又はベンゾイミダゾール化合物のような、置換基を有していてもよい1又は2の環構造を有する化合物;ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)又はペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)のような、ジカルボン酸無水物のような縮合ジカルボン酸構造を有する芳香族化合物等が挙げられる。
電子取り出し層は、上述のような化合物を用いて形成することができるが、電子取り出し障壁を小さくするために、電子取り出し層は、活性層中の無機ナノ粒子を構成する化合物と同じ化合物を含有することが好ましい。例えば、無機ナノ粒子が金属酸化物により構成されている場合、電子取り出し層も無機ナノ粒子を構成する金属酸化物と同じ金属酸化物を含有していることが好ましい。なお、この場合、電子取り出し層が含有する金属酸化物は金属元素によりドープされていてもよい。特に、無機ナノ粒子が酸化亜鉛により構成され、電子取り出し層が酸化亜鉛を含有していることが好ましい。
正孔取り出し層の材料に特に限定は無く、活性層103からアノードへの正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物、ナフィオン、後述のp型半導体等が挙げられる。その中でも好ましくは、スルホン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングした(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)である。また、金、インジウム、銀又はパラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。金属等の薄膜は、単独で形成してもよいし、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
下部バッファ層102及び上部バッファ層104の膜厚は、それぞれ、通常0.1nm以上である。一方、通常400nm以下、好ましくは200nm以下である。各バッファ層の膜厚が上記の範囲内であれば、活性層103から電荷が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
下部バッファ層102及び上部バッファ層104の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の湿式塗布法等により形成することができる。
なお、バッファ層を塗布法により形成する場合、塗布液にさらに界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤の使用により、微小な泡若しくは異物等の付着による凹み及び/又は乾燥工程での塗布むら等の発生が抑制される。界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。なかでも、ケイ素系界面活性剤、アセチレンジオール系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤としては1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<1−5.光電変換素子の製造方法>
図1に示される構成を有する光電変換素子107は、各層について説明した上述の方法に従い、素子基板106上に、下部電極101、下部バッファ層102、活性層103、上部バッファ層104、及び上部電極105を順次積層することにより作製することができる。
下部電極101及び上部電極105を積層した後に、光電変換素子を通常50℃以上、好ましくは80℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度範囲において、加熱することが好ましい(この工程をアニーリング処理工程と称する)。
アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことは、光電変換素子の各層間の密着性、例えば、下部バッファ層102と下部電極101及び/又は下部バッファ層102と活性層103の密着性が向上する効果が得られるため、好ましい。各層間の密着性が向上することにより、光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上し得る。また、アニーリング処理工程により、活性層の自己組織化が促進され得る。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、活性層103内の有機化合物が熱分解する可能性が低くなるため、好ましい。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内で段階的な加熱を行ってもよい。
加熱する時間としては、通常1分以上、好ましくは3分以上、一方、通常3時間以下、好ましくは1時間以下である。アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることが好ましい。また、アニーリング処理工程は、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することが好ましい。
加熱する方法としては、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
本発明に係る光電変換素子を構成する各層は、特段の制限はなく、シート・ツー・シート(枚葉)方式、又はロール・ツー・ロール方式で形成することができる。
<2.太陽電池>
上述の実施形態に係る光電変換素子は、太陽電池、なかでも、シースルー型の有機薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。なお、太陽電池は図2に示すように光電変換素子以外の構成を有していてもよい。
図2は、本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の薄膜太陽電池14は、対候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、光電変換素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備える。そして、薄膜太陽電池は、通常、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、光電変換素子6が発電する。なお、薄膜太陽電池は、これらの構成部材を全て有する必要はなく、各構成部材を任意で選択して設ければよい。
薄膜太陽電池を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2011/016430号又は日本国特開2012−191194号公報等の公知文献に記載のものを使用することができる。
本発明に係る太陽電池、特に上述した薄膜太陽電池14の用途に特段の制限はなく、任意の用途に用いることができる。例えば、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等が挙げられる。
本発明に係る太陽電池、特に薄膜太陽電池はそのまま用いてもよいし、例えば基材上に太陽電池を設置して太陽電池モジュールとして用いてもよい。例えば、図3に示すように、基材12上に薄膜太陽電池14を備えた太陽電池モジュール13として、使用場所に設置して用いることができる。基材12については、周知技術を用いることができ、例えば、国際公開第2011/016430号又は日本国特開2012−191194号公報等に記載のものを用いることができる。例えば、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として太陽電池パネルを作製することができる。
以下に、実施例により本発明の実施形態を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。本実施例に記載の項目は以下の方法によって測定した。
(重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法)
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた。分子量分布(PDI)は、Mw/Mnを表す。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定は以下の条件で行った。
カラム:PolymerLaboratories GPC用カラム(PLgel MIXED−B 10μm,内径7.5mm,長さ30cm)を2本直列に接続して使用 ポンプ:LC−10AT(島津製作所社製) オーブン:CTO−10A(島津製作所社製)
検出器:示差屈折率検出器(島津製作所社製,RID−10A)及びUV−vis検出器(島津製作所社製,SPD−10A)
サンプル:試料1mgをクロロホルム(200mg)に溶解させた液1μL
移動相:クロロホルム
流速:1.0mL/min
解析:LC−Solution(島津製作所社製)
(光電変換素子の評価)
光電変換素子に4mm角のメタルマスクを付け、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cm2のソーラシミュレータを用い、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)により、ITO電極と銀電極との間における電流−電圧特性を測定した。この測定結果から、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm2)、形状因子FF、光電変換効率PCE(%)を算出した。
ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm2)の際の電圧値であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度である。形状因子FFとは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力をPmaxとすると次式で表される。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCEは、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = (Pmax/Pin)×100
= (Voc×Jsc×FF/Pin)×100
<合成例1:コポリマー1の合成>
Figure 2017183691
窒素雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、公知文献(Organic Letters 2004,6,3381−3384)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−(n−オクチル)−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物B1:イミドチオフェンジブロミド),350mg,0.826mmol)、公知文献(Polymer, 1990,31,1379−1383)を参考にして得られた4,4’−ジドデシル−5,5’−ビス(トリメチルスタニル)−2,2’−ビチオフェン(化合物C1)(342mg,0.413mmol)、及びWO2013/180243に記載の方法を参考にして得られた4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物A1)(308mg,0.413mmol)を入れ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(28.6mg,3mol%)、トリフェニルホスフィン含有不均一系パラジウム錯体触媒Pd−EnCatTPP30(Aldrich社製,37.2mg,3mol%)、トルエン(24mL)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(6mL)を入れ、90℃で1時間、続いて100℃で10時間攪拌した。反応液をトルエンで4倍に希釈して100℃でさらに0.5時間加熱攪拌した後、末端処理として、トリメチル(フェニル)スズ(0.036mL)を加えて100℃で5時間加熱攪拌し、さらにブロモベンゼン(8mL)を加えて100℃で2時間加熱攪拌して、反応溶液をメタノール中に注ぎ、析出した沈殿をろ取した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、ジアミンシリカゲル(Fujiシリシア化学製)を加えて1時間室温で攪拌し、酸性シリカゲルのショートカラムを通した。溶液を濃縮し、クロロホルム/酢酸エチルを溶媒として再結晶を行い、析出した沈殿を濾別することで、目的とするコポリマー1を、収率74%で得た。得られたコポリマー1の重量平均分子量Mwは37,000であり、PDIは2.1であった。
<合成例2:コポリマー2の合成>
窒素雰囲気下、50mL二口ナスフラスコに、モノマーとして、米国特許出願公開第2012/0227812号公報に記載の方法を参考にして得られた3,7−ジ(2−ブロモ−3−ドデシルチオフェン−5−イル)−ナフト[1,2−c:5,6−c]ビス[1,2,5]チアジアゾール(60.0mg,0.066mmol)、特許5698371に記載の方法を参考にして得られた4,8−ビス−[5−(2−ヘキシルデシル)−チオフェン−2−イル]−2,6−ビス(トリメチルスタニル)−ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン(74.7mg,0.067mmol)とを用いて合成を行い、下記式により表される構成単位を含むコポリマー2を得た。得られたコポリマーの2の重量平均分子量Mwは120,000であり、PDIは5.5であった。
Figure 2017183691
<活性層形成用組成物の調製>
(活性層形成用組成物1の作製)
p型有機半導体化合物として合成例1で得られたコポリマー1及びn型半導体化合物としてフラーレン化合物であるPC61BM(フェニルC61酪酸メチルエステル)とPC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル)との混合物を、質量比が1:2となるように混合した。なお、PC61BM及びPC71BMは、Journal of Organic Chemistry,1995,60,532を参照して製造した。この混合物をトルエンとテトラリンとの混合溶媒(体積比9:1)に固形分濃度が4質量%となるように窒素雰囲気中で混合させ、混合物をよく溶解させた溶液を作製した。さらに平均一次粒径15nmの酸化亜鉛ナノ粒子を含む分散液ZNT15WT%−G0(シーアイ化成社製)をトルエンで希釈した分散液を酸化亜鉛ナノ粒子が混合物に対して4質量%となるように溶液に添加した。得られた溶液をホットスターラー上で80℃の温度にて1時間攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、活性層形成用組成物1を得た。なお、サイクリックボルタンメトリーより測定したn型半導体化合物であるPC61BM(フェニルC61酪酸メチルエステル)とPC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル)との混合物のLUMOエネルギー準位は−3.8eVであった。
Figure 2017183691
(活性層形成用組成物2の作製)
ZNT15WT%−G0(シーアイ化成社製)の代わりに、平均一次粒径100nm以下の酸化亜鉛ナノ粒子(Sigma−Aldrich社製、544906)を、固形分に対する酸化亜鉛ナノ粒子割合が4質量%となるように添加した以外は、活性層形成用組成物1と同様の方法により活性層形成用組成物2を作製した。なお、酸化亜鉛の伝導帯底のエネルギーは−4.0eVである。
(活性層形成用組成物3の作製)
ZNT15WT%−G0(シーアイ化成社製)の代わりに、平均一次粒径15nmの酸化亜鉛ナノ粒子(関東電化工業社製)を、固形分に対する酸化亜鉛ナノ粒子割合が4質量%となるように添加した以外は、活性層形成用組成物1と同様の方法により活性層形成用組成物3を作製した。
(活性層形成用組成物4の作製)
ZNT15WT%−G0(シーアイ化成社製)を添加しなかった以外は、活性層形成用組成物1と同様の方法により活性層形成用組成物4を作製した。
(活性層形成用組成物5の作製)
p型半導体化合物としてコポリマー1の代わりに合成例2により得られたコポリマー2を使用し、さらに、ZNT15WT%−G0(シーアイ化成社製)の代わりに、酸化チタン分散液であるRTIT 15WT%−G0(シーアイ化成社製)を使用した以外は、活性層形成用組成物1と同様の方法により活性層形成用組成物5を作製した。なお、酸化チタンの伝導帯底のエネルギーは−4.2eVである。
(活性層形成用組成物6の作製)
RTIT 15WT%−G0(シーアイ化成社製)を添加しなかった以外は、活性層形成用組成物5と同様の方法により活性層形成用組成物6を作製した。
<実施例1:太陽電池モジュール1の作製及び評価>
インジウム・スズ酸化物(ITO)/Ag/インジウム・スズ酸化物(ITO)からなる透明導電膜をパターニングしたPEN基板を、アセトンによる超音波洗浄、ついでイソプロパノールによる超音波洗浄の後、窒素ブローでの乾燥及びUV−オゾン処理を行った。
アクリル酸亜鉛(和光純薬製)500mgをエタノール(和光純薬製)7.77gに溶解させ、この溶液を1時間撹拌した。その後、この溶液を上記処理を行ったPEN基板の上にワイヤーバーにより塗布した。このPEN基板を150度で5分加熱することにより、電子取り出し層として酸化亜鉛含有層を成膜した。
電子取り出し層を成膜した基板上に、上述のように作製した活性層形成用組成物1をワイヤーバーにより塗布することにより活性層を形成した。その後、この基板を140度で5分間加熱した。
さらに、活性層上に、PEDOT:PSS分散液をワイヤーバーにより塗布し、正孔取り出し層を形成した。その後、この基板を150度で10分加熱した。
正孔取り出し層を形成した後に、透明電極層として厚さ30nmのIZO膜、次いで8nmの銀膜、さらに40nmのIZO膜を真空スパッタにより順次成膜し、5mmx8.5mmの光電変換素子1を作製した。
次に、バリア層として厚み0.05mmのポリエチレンテレフタレート基材の一方の面にSiO2をスパッタリングしてバリアフィルムを作成した。続いて、作成したバリアフィルムのSiO2形成面に封止層として厚み0.05mmのオレフィン樹脂を積層した積層体を2つ作製した。次に、これらの積層体を、下から順に、バリア層、封止層、光電変換素子1、封止層、バリア層となるように積層体及び光電変換素子1を重ねて、真空ラミネーター(NPC社製、NLM−270×400)に投入した。最初にラミネーター内部を減圧下で15分間保持した後、積層体を大気圧で圧着状態としつつ、140℃で15分間保持し、その後すぐに室温下まで冷却することで封止された太陽電池モジュール1を製造した。
このように作製した太陽電池モジュール1を、上述のように電流−電圧特性を測定することにより太陽電池特性を評価した。また、太陽電池モジュール1の耐光性を評価するために、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cm2のソーラシミュレータで40時間露光し、露光後の光電変換効率と露光前の光電変換効率の比(維持率)を求めた。得られた結果を表1に示す。
光電変換素子1における活性層中の酸化亜鉛ナノ粒子の分布を調べるために前述のX線光電子分光法(XPS)による分析を行った。なお、X線源にはAl−Kαを用い、Zn2p3/2に由来するピークから酸化亜鉛ナノ粒子の深さ方向分布を求めた。この深さ方向分布のプロファイルから前述の方法により、M1/M2及びM3/M2を算出した。得られた結果を表1に示す。
次に、クロスセクションポリッシャー(日本電子製)により光電変換素子1の断面を加工した後、走査型電子顕微鏡(カールツァイス製、Ultra55)にて2.4mmのワーキングディスタンス、加速電圧2kV、倍率5万倍にて反射電子像を取得し、活性層断面における酸化亜鉛ナノ粒子数密度及び酸化亜鉛ナノ粒子全数に対する長軸長さが10nm以上100nm以下の酸化亜鉛ナノ粒子の存在量を求めた。具体的には、観察された活性層断面において、活性層の幅方向が2μmの範囲に存在する酸化亜鉛ナノ粒子数から酸化亜鉛ナノ粒子の数密度及び長軸長さが10nm以上100nm以下の酸化亜鉛ナノ粒子の存在量を求めた。得られた結果を表1に示す。
<比較例1:太陽電池モジュール2の作製及び評価>
活性層形成用組成物1の代わりに活性層形成用組成物2を用いた以外は、実施例1と同様の方法により太陽電池モジュール2を作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例2:太陽電池モジュール3の作製及び評価>
活性層形成用組成物1の代わりに活性層形成用組成物3を用いた以外は、実施例1と同様の方法により太陽電池モジュール3を作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例3:太陽電池モジュール4の作製及び評価>
活性層形成用組成物1の代わりに活性層形成用組成物4を用いた以外は、実施例1と同様の方法により太陽電池モジュール4を作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例4:太陽電池モジュール5の作製及び評価>
実施例1と同様の方法で、インジウム・スズ酸化物(ITO)/Ag/インジウム・スズ酸化物(ITO)からなる透明導電膜をパターニングしたPEN基板の上に電子取り出し層として酸化亜鉛含有層を成膜した。その上に平均一次粒径15nmの酸化亜鉛ナノ粒子を含む分散液ZNT15WT%−G0(シーアイ化成社製)を酸化亜鉛ナノ粒子が4質量%になるように希釈した分散液をワイヤーバーにより塗布し、この基板を140度で10分加熱した。その後、この基板の上に活性層形成用組成物1の代わりに活性層形成用組成物4を用いて、2段階の塗布により活性層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により太陽電池モジュール4を作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例2:太陽電池モジュール6の作製及び評価>
活性層形成用組成物1の代わりに活性層形成用組成物5を用いた以外は、実施例1と同様の方法により太陽電池モジュール2を作製し、評価を行った。なお、太陽電池モジュール6の耐光性の評価に関しては、120時間露光して耐光性の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例5:太陽電池モジュール7の作製及び評価>
活性層形成用組成物5の代わりに活性層形成用組成物6を用いた以外は、実施例2と同様の方法により太陽電池モジュール2を作製し、評価を行った。
Figure 2017183691
表1の結果から、活性層中に酸化亜鉛ナノ粒子が含有されていない比較例3に係る太陽電池モジュールに対して、酸化亜鉛ナノ粒子が適度に均一に存在する実施例1に係る太陽電池モジュールは、40時間の光照射後も変換効率の低下が少ないことが確認できる。一方で、比較例1及び2に係る太陽電池モジュールも、活性層中に酸化亜鉛ナノ粒子が含有されているものの、40時間の光照射後に大幅に変換効率が低下している。これは、活性層中において、粒子が凝集して100nmを超える無機ナノ粒子が形成されてしまい、無機ナノ粒子が均一に存在していないために、無機ナノ粒子が導電性パスとして適切に機能しなかったことが原因であると考えられる。また、比較例4に係る太陽電池モジュールは、電子取り出し層側に存在する無機ナノ粒子が多く、濃度勾配ができているために、無機ナノ粒子が適切に導電性パスとして機能せず、40時間後の変換効率が大幅に低下したものと考えられる。また、p型半導体化合物としてコポリマー2を用いた実施例2及び比較例5に係る太陽電池モジュールに関しても、活性層中に酸化チタンナノ粒子が適度に均一に分散された実施例2に係る太陽電池モジュールの120時間後の露光後の変換効率の維持率は、比較例5に係る太陽電池モジュールの120時間後の露光後の変換効率の維持率よりも大きくなっていることが分かる。
以上の結果から、本発明のように、活性層中に適度に均一に無機ナノ粒子が分散していることにより光照射後変換効率の低下の少ない高い耐光性を有する光電変換素子を提供できることが分かる。
101 下部電極
102 下部バッファ層
103 活性層
104 上部バッファ層
105 上部電極
106 素子基板
107 光電変換素子
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池

Claims (7)

  1. 素子基板上に、少なくとも、一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有し、
    前記活性層は、p型有機半導体化合物と、n型半導体化合物と、無機ナノ粒子と、を含有し、
    前記活性層の上部界面から前記活性層の1/3の深さにおける無機ナノ粒子の存在量をM1、該活性層の1/3の深さから活性層の2/3の深さにおける無機ナノ粒子の存在量をM2、該活性層の2/3の深さから活性層の下部側界面までの深さにおける前記無機ナノ粒子の存在量をM3とした場合に、M1/M2及びM3/M2が、それぞれ0.7以上1.3以下であることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記活性層の断面における無機ナノ粒子の数密度が25個/μm2以上500個/μm2以下であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記活性層中の前記無機ナノ粒子総数に対する長軸長さが10nm以上100nm以下の無機ナノ粒子の割合が70%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位と前記無機ナノ粒子の伝導帯底のエネルギー差が1.0eV以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記無機ナノ粒子が酸化亜鉛又は酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する太陽電池。
  7. 請求項6に記載の太陽電池を有する太陽電池モジュール。
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