JP2012234945A - 有機光電変換素子およびその製造方法 - Google Patents

有機光電変換素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】p型共役系高分子を光電変換層におけるp型有機半導体材料として用いた光電変換素子において、より高い光電変換効率をより安定的に達成させうる手段を提供する。また、p型共役系高分子を光電変換層におけるp型有機半導体材料として用いた光電変換素子を製造する際に、環境管理された雰囲気や不活性ガス雰囲気を採用しない場合であっても、光電変換効率の絶対値の低下やそのバラツキの発生(安定性の低下)を最小限に抑制しうる手段を提供する。
【解決手段】本発明の有機光電変換素子は、陰極と、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を含む光電変換層と、正孔輸送材料を含む正孔輸送層と、陽極とがこの順に積層されてなる構成を有する。そして、p型有機半導体材料が、主鎖に電子供与性基および電子吸引性基を有する共重合体からなるp型共役系高分子を含み、正孔輸送層が、無機材料を主成分として含む無機材料層と有機材料を主成分として含む有機材料層との少なくとも2層からなる点に特徴を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機光電変換素子およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、有機光電変換素子の光電変換効率を向上させるための手段に関する。
近年、地球温暖化に対処するため、二酸化炭素排出量の削減が切に望まれている。また、近い将来、石油、石炭、および天然ガスなどの化石燃料が枯渇することが予想されており、これらに替わる地球に優しいエネルギー資源の確保が急務となっている。そこで、太陽光、風力、地熱、原子力など利用した発電技術の開発が盛んに行われているが、なかでも太陽光発電技術は、安全性の高さから特に注目されている。
太陽光発電では、光起電力効果を利用した光電変換素子(例えば、太陽電池)を用いて、光エネルギーを直接電力に変換する。光電変換素子は、一般的に、一対の電極の間に光電変換層(光吸収層)が挟持されてなる構造を有し、当該光電変換層において光エネルギーが電気エネルギーに変換される。光電変換素子は、光電変換層に用いられる材料や、素子の形態により、単結晶・多結晶・アモルファスのSiを用いたシリコン系光電変換素子、GaAsやCIGS(銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなる半導体材料)等の化合物半導体を用いた化合物系光電変換素子、色素増感型光電変換素子(グレッツェルセル)などが提案・実用化されている。
しかしながら、これらの光電変換素子を用いて発電するコストは、依然として化石燃料を用いて発電・送電される電気の価格よりも高いものとなっており、普及の妨げとなっていた。また、基板に重いガラスを用いなければならないため、設置時に補強工事が必要であり、これらも発電コストを高騰させる一因であった。
このような状況に対し、化石燃料による発電コストよりも低い発電コストを達成しうる技術として、透明電極と対電極との間に電子供与体層(p型半導体層)と電子受容体層(n型半導体層)とが混合されてなる光電変換層を挟んだバルクへテロジャンクション型光電変換素子が提案され、5%を超える光電変換効率が報告されている(例えば、非特許文献1を参照)。なお、光電変換素子としての耐久性を向上させることを目的として、通常の有機薄膜型光電変換素子とは逆順に各層を積層し、透明電極側から電子を取り出し、仕事関数の深い安定な金属電極側から正孔を取り出す、いわゆる逆層構成の有機薄膜型光電変換素子も提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
このバルクへテロジャンクション型有機光電変換素子は、軽量で柔軟性に富むことから、様々な製品への応用が期待されている。また、構造が比較的単純であり、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を塗布することによって光電変換層を形成できることから、大量生産に好適であり、コストダウンによる太陽電池の早期普及にも寄与するものと考えられる。より具体的には、バルクへテロジャンクション型光電変換素子において、電極(陽極および陰極)や、正孔輸送層等を構成する金属酸化物層は、塗布プロセス以外の手法(例えば、真空蒸着法など)により形成される。その一方で、これら以外の層は塗布プロセスを用いて形成されうる。したがって、バルクへテロジャンクション型光電変換素子の製造は高速でかつ安価に行うことが可能であると期待され、上述した発電コストの課題を解決できる可能性があると考えられるのである。さらに、従来のシリコン系光電変換素子、化合物系光電変換素子、色素増感型光電変換素子などの製造とは異なり、160℃よりも高温の製造プロセスを必須に伴うものではないため、安価でかつ軽量なプラスチック基板上への形成も可能であると期待される。
ただし、有機光電変換素子は、他のタイプの光電変換素子と比較して、光電変換効率や、熱や光に対する耐久性が十分とはいえないことから、光電変換効率および耐久性を向上させるための各種改良が進められている。
例えば、光電変換効率および耐久性の向上を図るべく、正孔を取り出す電極と光電変換層との間に正孔輸送層を設ける技術が提案されている。この正孔輸送層を構成する材料のうち、有機材料としては、PEDOT:PSS(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)やポリチエノチオフェン等が知られている。また、無機材料としては、モリブデン、バナジウム、タングステンなどの金属を含む金属酸化物等が知られている(例えば特許文献2および特許文献3を参照)。また、非特許文献1では、主鎖に電子供与性基を含むドナー性ユニットと電子吸引性基を含むアクセプター性ユニットとを有する共重合体(p型共役系高分子)を、光電変換層を構成するp型有機半導体材料として採用することが提案されている。これによれば、長波長(〜900nm)までの幅広い太陽光を吸収することが可能となり、光電変換効率をより一層向上させることが可能とされている。
特開2009−146981号公報 特開2005−294303号公報 特開2008−91381号公報
A.Heeger et.al.,Nature Mat.,vol.6(2007),p497
しかしながら、本発明者らの検討によれば、光電変換層を構成するp型有機半導体材料として上述したp型共役系高分子を用いた場合であっても、常に満足できるレベルの光電変換効率が安定して達成されるわけではないことが判明した。また、p型共役系高分子を用いて光電変換素子を製造する際の雰囲気条件によっては、光電変換効率の絶対値の低下やそのバラツキの発生(安定性の低下)が特に顕在化しやすいということも判明した。
かような問題を解決するための一つの手段として、環境管理された雰囲気や不活性ガス雰囲気中において光電変換素子を製造するということが考えられる。しかしながら、素子の製造時の雰囲気条件を管理しながら製造を行うことは生産性の観点からいえば必ずしも好ましくない。
そこで本発明は、p型共役系高分子を光電変換層におけるp型有機半導体材料として用いた光電変換素子において、より高い光電変換効率をより安定的に達成させうる手段を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、p型共役系高分子を光電変換層におけるp型有機半導体材料として用いた光電変換素子を製造する際に、環境管理された雰囲気や不活性ガス雰囲気を採用しない場合であっても、光電変換効率の絶対値の低下やそのバラツキの発生(安定性の低下)を最小限に抑制しうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った。その結果、p型共役系高分子を光電変換層におけるp型有機半導体材料として用いた光電変換素子において、光電変換層と陽極との間に設けられる正孔輸送層について、無機材料を主成分として含む無機材料層と有機材料を主成分として含む有機材料層との少なくとも2層からなる構成とすることで、上記の課題が解決されうることを見出した。
すなわち、本発明の有機光電変換素子は、陰極と、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を含む光電変換層と、正孔輸送材料を含む正孔輸送層と、陽極とがこの順に積層されてなる構成を有する。そして、p型有機半導体材料が、主鎖に電子供与性基および電子吸引性基を有する共重合体からなるp型共役系高分子を含み、正孔輸送層が、無機材料を主成分として含む無機材料層と有機材料を主成分として含む有機材料層との少なくとも2層からなる点に特徴を有する。
本発明によれば、p型共役系高分子を光電変換層におけるp型有機半導体材料として用いた光電変換素子において、より高い光電変換効率をより安定的に達成させうる手段が提供される。また、本発明によれば、p型共役系高分子を光電変換層におけるp型有機半導体材料として用いた光電変換素子を製造する際に、環境管理された雰囲気や不活性ガス雰囲気を採用しない場合であっても、光電変換効率の絶対値の低下やそのバラツキの発生(安定性の低下)を最小限に抑制しうる手段が提供される。
本発明の他の一実施形態に係る、順層型の有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。 本発明の他の一実施形態に係る、逆層型の有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。 本発明の他の一実施形態に係る、タンデム型の光電変換層を備えた有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。
以下、本発明の好ましい形態を説明する。本発明の第1の形態は、陰極と、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を含む光電変換層と、正孔輸送材料を含む正孔輸送層と、陽極とがこの順に積層されてなる構成を有する有機光電変換素子であって、前記p型有機半導体材料が、主鎖に電子供与性基および電子吸引性基を有する共重合体からなるp型共役系高分子を含み、前記正孔輸送層が、無機材料を主成分として含む無機材料層と有機材料を主成分として含む有機材料層との少なくとも2層からなることを特徴とする、有機光電変換素子である。
以下、添付した図面を参照しながら本形態を説明するが、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載により定められるべきものであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<有機光電変換素子>
図1は、本発明の一実施形態に係る、順層型の有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。図1の有機光電変換素子10は、後述する実施例1で作製される、例えば有機光電変換素子101等の構成に対応している。具体的には、図1の有機光電変換素子10は、基板25上に、陽極11、正孔輸送層26、光電変換層14、電子輸送層27、および陰極12がこの順に積層されてなる構成を有する。そして、正孔輸送層26は、陽極11に隣接するように配置された無機材料層26aと、光電変換層14に隣接するように配置された有機材料層26bとの2層からなっている。なお、基板25は、主に、その上の陽極11を塗布方式で形成するのを容易にするために任意に設けられる部材である。
図1に示す有機光電変換素子10の作動時において、光は基板25側から照射される。本実施形態において、陽極11は、照射された光が光電変換層14へと届くようにするため、透明な電極材料(例えば、ITO)で構成される。基板25側から照射された光は、透明な陽極11および正孔輸送層26を経て光電変換層14へと届く。
光電変換層14はp型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を含むが、この光電変換層14に光が入射されると、p型有機半導体材料の電子が最高被占軌道(以下、「HOMO」とも称する)から最低空軌道(以下、「LUMO」とも称する)に励起され、次いでこの電子はn型有機半導体材料の伝導帯に移動する。その後、当該電子は、電子輸送層27および陰極12を経た後、外部回路を経由してp型共役高分子の伝導帯に移動する。そして、p型有機半導体材料の伝導帯で生じた電子は、LUMOのレベルに移動する。
一方、光電変換層14に光が入射されると、p型有機半導体材料のHOMOのレベルに発生した正孔は、正孔輸送層26および陽極11を経た後、外部回路を経由してn型有機半導体材料の価電子帯に移動する。こうして光電変換層14において光電流が流れ、発電が行われるのである。このような光電荷分離はp型有機半導体材料とn型有機半導体材料の接触界面が大きいほど促進されると考えられていることから、本発明では、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とが一様に混合されたバルクへテロジャンクション型の光電変換層14(図示は省略する)が用いられることが特に好ましい。ただし、かような形態のみには限定されない。
なお、正孔輸送層26は、正孔の移動度が高い材料で形成されており、光電変換層14のpn接合界面で生成した正孔を効率よく陽極11へと輸送する機能を担っている。一方、電子輸送層27は、電子の移動度が高い材料で形成されており、光電変換層14のpn接合界面で生成した電子を効率よく陰極12へと輸送する機能を担っている。
図2は、本発明の他の一実施形態に係る、逆層型の有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。図2の有機光電変換素子20は、後述する実施例2で作製される、例えば有機光電変換素子201等の構成に対応している。図2の有機光電変換素子20は、図1の有機光電変換素子10と比較して、陽極11と陰極12とが逆の位置に配置され、また、正孔輸送層26と電子輸送層27とが逆の位置に配置されている点が異なる。すなわち、図2の有機光電変換素子20は、基板25上に、陰極12、電子輸送層27、光電変換層14、正孔輸送層26、および陽極11がこの順に積層されてなる構成を有している。そして、図2に示す実施形態においても、正孔輸送層26は、陽極11に隣接するように配置された無機材料層26aと、光電変換層14に隣接するように配置された有機材料層26bとの2層からなっている。このような構成を有することにより、光電変換層14のpn接合界面で生成される電子は電子輸送層27を経て陰極12へと輸送され、正孔は正孔輸送層26を経て陽極11へと輸送される。
図3は、本発明の他の一実施形態に係る、タンデム型(多接合型)の光電変換層を備えた有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。図3の有機光電変換素子30は、図1の有機光電変換素子10と比較して、光電変換層14に代えて、第1の光電変換層14aと、第2の光電変換層14bと、これら2つの光電変換層の間に介在する電荷再結合層38との積層体が配置されている点が異なる。図3に示すタンデム型の有機光電変換素子30では、第1の光電変換層14aおよび第2の光電変換層14bに、それぞれ吸収波長の異なる光電変換材料(p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料)を用いることにより、より広い波長域の光を効率よく電気に変換することが可能となる。
以下、本発明に係る有機光電変換素子の各構成について詳細に説明する。
[電極]
本形態の有機光電変換素子は、陽極11および陰極12を必須に含む。上述したように、光電変換層14で生成されるキャリア(正孔・電子)は、電極間をドリフトし、正孔は陽極11へ、電子は陰極12へと到達する。なお、本発明においては主に正孔が流れる電極を陽極と呼び、主に電子が流れる電極を陰極と呼ぶ。また、タンデム構成をとる場合には電荷再結合層(中間電極)を用いることでタンデム構成を達成することができる。さらに、電極が透光性を有するものであるか否かという機能面から、透光性を有する電極を透明電極と呼び、透光性のない電極を対電極と呼び分ける場合もある。順層構成の場合、通常、陽極は透光性のある透明電極であり、陰極は透光性のない対電極である。
本形態の電極に使用される材料は、特に制限はなく、本技術分野で使用されうる電極材料を適宜採用することができる。上述のように、順層型の有機光電変換素子においては、陽極11は仕事関数が比較的大きい材料から構成され、陰極12は仕事関数が比較的小さい材料から構成される。
上述の図1に示す順層型の有機光電変換素子10における陽極11は、比較的仕事関数が大きく(例えば、4.5eV以上)、透明な(380〜800nmの光を透過可能な)電極材料から構成されうる。一方、陰極12は、比較的仕事関数が小さく(例えば、4eV以下)、通常、透光性の低い電極材料から構成されうる。なお、透光性のある電極を透明電極と呼ぶのに対して、透光性の低い電極は対電極と呼ばれる。
このような、順層型の有機光電変換素子10において、陽極(透明電極)に使用される電極材料としては、例えば、金、銀、白金、ニッケルなどの金属;インジウムスズ酸化物(ITO)、SnO、ZnO、酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明な導電性金属酸化物;金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブなどの炭素材料などが挙げられる。また、陽極の電極材料として導電性高分子を用いることも可能である。陽極に使用されうる導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン、ポリナフタレン、およびこれらの誘導体などが挙げられる。このうち、正孔の取り出し性能、耐久性の観点から、金属などの無機物を用いることが好ましい。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。なお、陽極(透明電極)の厚さは特に制限はないが、通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmである。
一方、順層型の有機光電変換素子において、陰極(対電極)に使用される電極材料としては、仕事関数の小さい金属、合金、電子電導性化合物、およびこれらの混合物が使用されうる。具体的には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。このうち、電子の取り出し性能や、酸化などに対する耐久性の観点から、仕事関数が低い第一の金属と、第一の金属よりも仕事関数が大きく安定な金属である第二の金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物や、安定な金属であるアルミニウムなどを用いることが好ましい。また、これらの材料のうち金属を用いることも好ましく、これにより、第一の電極側から入射し光電変換層で吸収されずに透過した光を、第二の電極で反射させて光電変換に再利用することができ、光電変換効率を向上させることが可能である。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。なお、陰極(対電極)の厚さは特に制限はないが、通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmである。
また、図2に示す逆層型の有機光電変換素子では、光が入射する基板25側に陰極12が位置し、反対側に陽極11が位置する。したがって、図2に示す逆層型の形態における陽極11は、比較的仕事関数が大きく、通常、透光性の低い電極材料から構成される。一方、陰極12は、比較的仕事関数が小さく、透明な電極材料から構成される。
このような、逆層型の有機光電変換素子において、陽極(対電極)に使用される電極材料としては、例えば、金、銀、白金、ニッケル、などが挙げられる。このうち、正孔の取り出し性能、光の反射率、および酸化等に対する耐久性の観点から、銀を用いることが好ましい。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。なお、陽極(対電極)の厚さは特に制限はないが、通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmである。
一方、逆層型の有機光電変換素子において、陰極(透明電極)に使用される電極材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウムなどの金属、金属化合物、および合金;カーボンナノ粒子、カーボンナノワイヤー、カーボンナノ構造体などの炭素材料;が挙げられる。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。このうち、カーボンナノワイヤーを用いることにより、透明で導電性の高い陰極を塗布法により形成できるため好ましい。また、金属系の材料を使用する場合、陽極(対電極)と対向する側に、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀化合物などを用いて、1〜20nm程度の厚さの補助電極を作製した後、上述の順層型の有機光電変換素子の陽極(透明電極)材料として例示した導電性高分子の膜を設けることで、陰極(透明電極)とすることができる。なお、陰極(透明電極)の厚さは特に制限はないが、通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmである。
[光電変換層および正孔輸送層]
本形態の有機光電変換素子10は、上述の陰極12と陽極11との間に、光電変換層14と、正孔輸送層26とをこの順に含む。以下、これらの具体的な構成について、説明する。
(光電変換層)
光電変換層は、光起電力効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。光電変換層は、光電変換材料として、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を必須に含む。これらの光電変換材料に光が吸収されると、励起子が発生し、これがpn接合界面において、正孔と電子とに電荷分離される。
本形態の光電変換層に使用されるp型有機半導体材料は、p型共役系高分子を必須に含む。このp型共役系高分子は、主鎖に電子供与性基(ドナー性ユニット)および電子吸引性基(アクセプター性ユニット)を有する共重合体である。より具体的には、p型共役系高分子は、ドナー性ユニットとアクセプター性ユニットとが交互に配列するように重合された構造を有する。このように、ドナー性ユニットとアクセプター性ユニットとが交互に配列することにより、p型有機半導体の吸収域を長波長域に拡大することができる。すなわち、p型共役系高分子は、従来のp型有機半導体の吸収域(例えば、400〜700nm)に加え、長波長域(例えば、700〜100nm)の光も吸収することができるため、太陽光スペクトルの広い範囲にわたる放射エネルギーを効率よく吸収させることが可能となる。
p型共役系高分子に含まれうるドナー性ユニットとしては、同じπ電子数を有する炭化水素芳香環(ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなど)よりもLUMO準位またはHOMO準位が浅くなるようなユニットであれば、制限なく使用できる。例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、シクロペンタジエン、シラシクロペンタジエンなどの複素5員環、およびこれらの縮合環を含むユニットである。
具体的には、フルオレン、シラフルオレン、カルバゾール、ジチエノシクロペンタジエン、ジチエノシラシクロペンタジエン、ジチエノピロール、ベンゾジチオフェンなどを挙げることができる。
ドナー性ユニットは、好ましくは下記化学式1で表される構造である。
式中、Zは、炭素原子、ケイ素原子、またはゲルマニウムを表し、
は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の置換されたまたは非置換のアルキル基、炭素原子数1〜20の置換されたまたは非置換のフッ化アルキル基、炭素原子数3〜30の置換されたまたは非置換のシクロアルキル基、炭素原子数6〜30の置換されたまたは非置換のアリール基、炭素原子数1〜20の置換されたまたは非置換のヘテロアリール基、または炭素原子数1〜20の置換されたまたは非置換のアルキルシリル基を表し、2つのRは互いに結合して環を形成してもよい。
また、下記化学式2で表される構造もドナー性ユニットとして好適である。
式中、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の置換されたまたは非置換のアルキル基、炭素原子数1〜20の置換されたまたは非置換のアルキルエーテル基、または炭素原子数1〜20の置換されたまたは非置換のアルキルエステル基を表し、2つのRは互いに結合して環を形成してもよい。
なお、上記化学式1および化学式2において、アルキル基、フッ化アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアルキルシリル基に場合によって存在する置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アルキル基、フェニル基、アルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシスルホニル基、アルキルチオ基、カルバモイル基、アリールオキシカルボニル基、オキシアルキルエーテル基、シアノ基などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
上記化学式1および2で表されるドナー性ユニットは、移動度の高いチオフェン構造が縮合して大きなπ共役平面を有しつつも、置換基により溶解性が付与されている。このようなドナー性ユニットは、溶解性と移動度が共に優れているため、より一層、光電変換効率を向上させることが可能となる。
一方、p型共役系高分子に含まれうるアクセプター性ユニットとしては、例えば、キノキサリン骨格、ピラジノキノキサリン骨格、ベンゾチアジアゾール骨格、ベンゾオキサジアゾール骨格、ベンゾセレナジアゾール骨格、ベンゾトリアゾール骨格、ピリドチアジアゾール骨格、チエノピラジン骨格、フタルイミド骨格、3,4−チオフェンジカルボン酸イミド骨格、イソインディゴ骨格、チエノチオフェン骨格、ジケトピロロピロール骨格、4−アシル−チエノ[3,4−b]チオフェン骨格、ピラゾロ[5,1−c][1,2,4]トリアゾール骨格などが挙げられる。なお、本形態のp型共役高分子に含まれるドナー性ユニットまたはアクセプター性は、それぞれ、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本形態において、好ましいp型共役高分子としては、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、国際公開第08/000664号パンフレットに記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv.Mater.,2007,p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体、Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBTなどのポリチオフェン共重合体などが挙げられる。なかでもPCPDTBTなどのポリチオフェン共重合体が特に好ましい。
上記p型共役高分子の分子量は、特に制限はないが、数平均分子量が5000〜500000であることが好ましく、10000〜100000であることがより好ましく、15000〜50000であることがさらに好ましい。数平均分子量が5000以上であると、曲線因子向上の効果がより一層顕著になる。一方、数平均分子量が500000以下であると、p型共役高分子の溶解性が向上するため、生産性を上げることができる。なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した値を採用する。
なお、本発明における光電変換層は、上述したp型共役系高分子を必須に含むが、その他のp型有機半導体材料を含んでもよい。かようなその他のp型有機半導体材料としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。ただし、本発明の作用効果を顕著に発現させるという観点からは、光電変換層に含まれるp型有機半導体材料に占めるp型共役系高分子の質量割合は、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
本発明において、光電変換層に含まれるp型有機半導体材料のバンドギャップは、1.8eV以下であることが好ましく、1.6〜1.1eVであることがより好ましい。バンドギャップが1.8eV以下であると、幅広く太陽光を吸収できる。一方、バンドギャップが1.1eV以上であると、開放電圧Voc(V)が出やすくなり、変換効率が向上しうる。なお、本形態において、p型有機半導体は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても勿論構わない。
一方、本形態の光電変換層に使用されるn型有機半導体材料も、アクセプター性(電子受容性)の有機化合物であれば特に制限はなく、本技術分野で使用されうる材料を適宜採用することができる。このような化合物としては、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、オクタアザポルフィリンなど、上記p型有機半導体材料の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(例えば、パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニンなど)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドなどの芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物などが挙げられる。
このうち、p型有機半導体材料と高速(〜50fs)かつ効率的に電荷分離を行うことができるという観点から、フラーレンもしくはカーボンナノチューブまたはこれらの誘導体を用いることが好ましい。より具体的には、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン(円錐型)など、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、置換されたまたは非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基などによって置換されたフラーレン誘導体が挙げられる。
特に、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nヘキシルエステル(PCBH)、[6,6]−フェニルC71−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PC71BM)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報に記載のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報に記載のメタロセン化フラーレン、米国特許第7,329,709号明細書に記載の環状エーテル基を有するフラーレンなどのような、置換基により溶解性が向上されてなるフラーレン誘導体を用いることが好ましい。なお、本形態において、n型有機半導体材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても構わない。
本形態の光電変換層における、p型有機半導体およびn型有機半導体の接合形態は、特に制限はなく、平面へテロ接合であってもよいし、バルクへテロ接合であってもよい。平面ヘテロ接合とは、p型有機半導体を含むp型有機半導体層と、n型有機半導体を含むn型有機半導体層とが積層され、これら2つの層が接触する面がpn接合界面となる接合形態である。一方、バルクヘテロ接合(バルクヘテロジャンクション)とは、p型有機半導体とn型有機半導体との混合物を塗布することにより形成され、この単一の層中において、p型有機半導体のドメインとn型有機半導体のドメインとがミクロ相分離構造をとっている。したがって、バルクヘテロ接合では、平面へテロ接合と比較して、pn接合界面が層全体に亘って数多く存在することになる。よって、光吸収により生成した励起子の多くがpn接合界面に到達できることになり、電荷分離に至る効率を高めることができる。このような理由から、本形態の光電変換層における、p型有機半導体とn型有機半導体との接合は、バルクへテロ接合であることが好ましい。
本発明において、光電変換層に含まれるp型有機半導体材料とn型有機半導体材料との混合比は、質量比で2:8〜8:2の範囲が好ましく、より好ましくは4:6〜6:4の範囲である。また、光電変換層の膜厚は、好ましくは50〜400nmであり、より好ましくは80〜300nmである。
(正孔輸送層)
本発明の有機光電変換素子は、正孔輸送層を必須に含む。正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有し、かつ電子を輸送する能力が著しく小さい(例えば、正孔の移動度の10分の1以下)という性質を有する。正孔輸送層は、光電変換層と陽極との間に設けられ、正孔を陽極へと輸送しつつ、電子の移動を阻止することで、電子と正孔とが再結合するのを防ぐことができる。
本発明において、正孔輸送層は、上述したように、有機材料を主成分とする有機材料層と、無機材料を主成分とする無機材料層との少なくとも2層からなる。有機材料層と無機材料層とをそれぞれ1層ずつ含んでいれば、その他の形態について特に制限はない。ただし、正孔輸送層を構成する層の数は、好ましくは2〜6層であり、より好ましくは2〜4層であり、最も好ましくは2層である。また、有機材料層と無機材料層との配置形態についても特に制限はなく、図1に示すように無機材料層26aが陽極11に隣接するように配置され、有機材料層26bが光電変換層14に隣接するように配置されると、優れた光電変換効率が達成されうるため、好ましい。
無機材料層26aは、無機材料を主成分とする。ここで、「主成分」とは無機材料層26aの構成材料の合計量100質量%に占める無機材料の割合が50質量%以上であることを意味する。ただし、無機材料層26aの構成材料の合計量100質量%に占める無機材料の割合は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
なお、無機材料層26aを構成する無機材料の具体的な構成について特に制限はなく、本技術分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。ただし、無機材料は、金属酸化物であることが好ましい。金属酸化物としては、例えば、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、タングステン(W)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、トリウム(Tr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)あるいは、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までのいわゆる希土類元素などの酸化物が挙げられる。なかでも、正孔輸送機能に優れるという観点からは、無機材料がモリブデン、バナジウムおよびタングステンからなる群から選択される1種もしくは2種以上の金属の酸化物またはこれらの混合物を含むことが好ましい。なお、上述した金属酸化物の他にも、銀ナノ粒子などの無機材料が用いられうる。また、これらの無機材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機材料層の膜厚(正孔輸送層が2層以上の無機材料層を含む場合には、それぞれの層の膜厚)について特に制限はないが、好ましくは1〜100nmであり、より好ましくは5〜50nmである。
一方、有機材料層26bは、有機材料を主成分とする。ここで、「主成分」とは有機材料層26bの構成材料の合計量100質量%に占める有機材料の割合が50質量%以上であることを意味する。ただし、有機材料層26bの構成材料の合計量100質量%に占める有機材料の割合は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
なお、有機材料層26bを構成する無機材料の具体的な構成について特に制限はなく、本技術分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、有機材料としては、例えば、スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP等のPEDOT:PSS、欧州特許第1647566号等に記載のポリチエノチオフェン類、特開2010−206146号に記載のスルホン化ポリチオフェン類、ポリアニリンおよびそのドープ材料、国際公開第2006/019270号パンフレット等に記載のシアン化合物などが挙げられる。
また、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどもまた、用いられうる。
また、これら以外にも、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物、およびスチリルアミン化合物などが使用可能であり、これらのうちでは、芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
さらに上記化合物に含まれる構造単位を高分子鎖に導入した、あるいは、上記化合物を高分子の主鎖とした高分子材料を正孔輸送材料として用いることもできる。また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているような、p型正孔輸送材料を用いることもできる。さらに、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送材料を用いることもできる。一例を挙げると、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載された材料が挙げられる。なお、上述したものの他にも、光電変換層に使用されるp型有機半導体材料などの有機材料が用いられうる。また、これらの有機材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機材料層の膜厚(正孔輸送層が2層以上の有機材料層を含む場合には、それぞれの層の膜厚)は、好ましくは1〜200nmであり、より好ましくは5〜100nmである。
正孔輸送層の厚さ(合計厚さ)は、特に制限はないが、通常1〜2000nmである。リーク防止効果をより高める観点からは、厚さは5nm以上であることが好ましい。また、高い透過率と低い抵抗を維持する観点からは、厚さは1000nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。なお、有機層および無機層の膜厚は同じでもよいが、好ましくは有機層>無機層の関係である。
無機材料層と有機材料層との積層順序について特に制限はなく、無機材料層および有機材料層のそれぞれが1層または2層以上からなるすべての場合において、任意の積層順序が採用されうる。ただし、好ましい実施形態においては、すべての無機材料層が陽極側に配置され、すべての有機材料層が光電変換層側に配置される。特に、無機材料層および有機材料層が1層ずつからなる場合には、無機材料層が陽極側に(好ましくは陽極に隣接するように)配置され、有機材料層が光電変換層側に(好ましくは光電変換層に隣接するように)配置される。かような構成とすることで、光電変換層および有機材料層を溶液塗布法等のウェットプロセスにより形成した後、無機材料層および陽極を真空蒸着法等のドライプロセスにより形成することができ、生産性の向上に寄与しうる。また、無機材料層が陽極に隣接するように構成することで、陽極をドライプロセスにより形成する際の形成速度を速くしても正孔輸送層や光電変換層の損傷が防止され、やはり生産性の向上に寄与しうるという利点もある。
正孔輸送層の導電率は、一般的に高い方が好ましいが、高くなりすぎると電子が移動するのを阻止する能力が低下し、整流性が低くなりうる。したがって、正孔輸送層の導電率は、10−5〜1S/cmであることが好ましく、10−4〜10−2S/cmであることがより好ましい。
(電子輸送層)
本発明の有機光電変換素子は、必要に応じて電子輸送層を含みうる。電子輸送層は、電子を輸送する機能を有し、かつ正孔を輸送する能力が著しく小さい(例えば、電子の移動度の100分の1以下)という性質を有する。電子輸送層は、光電変換層と陰極との間に設けられ、電子を陰極へと輸送しつつ、正孔の移動を阻止することで、電子と正孔とが再結合するのを防ぐことができる。
電子輸送層に用いられる電子輸送材料は、特に制限はなく、本技術分野で使用されうる材料を適宜採用することができる。例えば、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)を用いることができるが、同様に、光電変換層に用いられるp型有機半導体材料のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、光電変換層で生成した正孔を陰極側には流さないような整流効果を有する、正孔ブロック機能が付与される。よって、より好ましくは、n型半導体のHOMO準位よりも深い材料が電子輸送材料として用いられる。このような電子輸送材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料、および酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物およびフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等が用いられうる。また、光電変換層に用いたn型有機半導体材料単体からなる層を用いることもできる。なお、これらの電子輸送材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電子輸送層を構成することも可能である。
電子輸送層の厚さは、特に制限はないが、通常1〜2000nmである。リーク防止効果をより高める観点からは、厚さは5nm以上であることが好ましい。また、高い透過率と低い抵抗を維持する観点からは、厚さは1000nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。
電子輸送層の導電率は、一般的に高い方が好ましいが、高くなりすぎると正孔が移動するのを阻止する能力が低下し、整流性が低くなりうる。したがって、電子輸送層の導電率は、10−5〜1S/cmであることが好ましく、10−4〜10−2S/cmであることがより好ましい。
(電荷再結合層;中間電極)
図3で示すような、2以上の光電変換層を有するタンデム型(多接合型)の有機光電変換素子において、光電変換層間には、電荷再結合層(中間電極)が配置される。
電荷再結合層(中間電極)に用いられる材料は、導電性および透光性を併せ持つ材料であれば、特に制限はなく、上述の電極材料として例示した、ITO、AZO、FTO、酸化チタンなどの透明金属酸化物、Ag、Al、Auなどの金属、およびカーボンナノ粒子、カーボンナノワイヤーなどの炭素材料、PEDOT:PSS、ポリアニリンなどの導電性高分子などが用いられうる。これらの材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電荷再結合層を構成することも可能である。
電荷再結合層の導電率は、電荷輸送の観点から、高いことが好ましく、具体的には、5〜50000S/cmであることが好ましく、100〜10,000S/cmであることがより好ましい。また、電荷再結合層の厚さは、特に制限はないが、1〜1000nmであることが好ましく、5〜50nmであることが好ましい。厚さが1nm以上とすることにより、リークを抑制できる。一方、厚さが1000nm以下とすることにより、透過性を高くすることができる。
(基板)
本発明の有機光電変換素子は、必要に応じて基板を含みうる。基板は、電極を塗布方式で形成する場合における、塗布液の被塗布部材としての役割を有する。
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。
本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。
また、酸素及び水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層を転写する反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
(その他の層)
本形態の有機光電変換素子は、上記の各部材(各層)の他に、光電変換効率の向上や、素子の寿命の向上のために、他の部材(他の層)をさらに設けてもよい。その他の部材としては、例えば、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などが挙げられる。また、上層に偏在した金属酸化物微粒子をより安定にするため等にシランカップリング剤等の層を設けてもよい。さらに本発明の光電変換層に隣接して金属酸化物の層を積層してもよい。
また、本発明の有機光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していてもよい。光学機能層としては、例えば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層等が挙げられる。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物等のナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層等を挙げることができる。
<有機光電変換素子の製造方法>
上述の本形態の有機光電変換素子の製造方法は特に制限はなく、従来公知の手法を適宜参照することにより製造することができる。ただし、本発明者らの検討によれば、上述した本発明の第1の形態に係る構成を有する有機光電変換素子を製造する際に、当該素子の製造を大気中で行った場合であっても、大気中の酸素や水分に対するp型共役系高分子の不安定性に起因する光電変換効率の絶対値の低下や、素子の耐久性の低下が抑制されうることが判明した。
従って、本発明の第2の形態は、有機光電変換素子の好ましい製造方法を提供する。なお、この本発明の第2の形態に係る製造方法は、図1に示すような順層型の有機光電変換素子や、図2に示すような逆層型の有機光電変換素子のいずれにも適用可能である。ただし、好ましくは、逆層型の有機光電変換素子の製造に適用される。
具体的には、本発明により提供される有機光電変換素子の製造方法は、陰極を形成する工程と、前記陰極の上に、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を含む光電変換層を形成する工程と、前記光電変換層の上に、正孔輸送層を形成する工程と、前記正孔輸送層の上に、陽極を形成する工程とを含む。以下、本形態の有機光電変換素子の製造方法の各工程について、詳細に説明する。
本形態の製造方法では、まず、陰極を形成する。陰極を形成する方法は、特に制限はないが、操作の容易性や、ダイコータなどの装置を用いてロール・ツー・ロールで生産可能なことから、基板の上に、陰極の構成材料を含む液体を塗布し、乾燥させる方法であることが好ましい。またこれ以外にも、市販の薄膜状の電極材料をそのまま使用しても構わない。
上記で陰極を形成した後、必要に応じて、この陰極上に、電子輸送層を形成してもよい。電子輸送層を形成する手段としては、蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。溶液塗布法を用いて電子輸送層を形成する場合には、上述した電子輸送材料を適当な溶剤に溶解・分散させた溶液を、適当な塗布法を用いて陰極上に塗布し、乾燥させればよい。溶液塗布法に用いられる塗布法としては、キャスト法、スピンコート法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、グラビアコート法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法、Langmuir−Blodgett(LB)法等の通常の方法を用いることができる。なかでも、ブレードコーティング法を用いることが特に好ましい。なお、塗布法に使用する溶液の固形分濃度は、塗布方法や膜厚によっても変動しうるが、1〜15質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜10質量%である。また、塗布の際の塗布液および/または塗布面の温度は、特に制限はないが、塗布・乾燥時の温度変動による析出、ムラを防ぐといった観点から、好ましくは30〜120℃であり、より好ましくは50〜110℃である。さらに、乾燥の具体的な形態についても特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。乾燥条件の一例を挙げると90〜140℃程度の温度で、数分間〜数十分間程度といった条件が例示される。乾燥に使用する装置としては、温風乾燥、赤外線ヒーター、マイクロウエーブ、真空乾燥機などが挙げられるが、これ以外の乾燥装置を用いることももちろん可能である。
続いて、上記で形成した陰極または電子輸送層上に、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を含む光電変換層を形成する。ここで、本発明の第2の形態における製造方法においても、当該p型有機半導体材料は、上述したp型共役系高分子を必須に含む。かような光電変換層を形成するための具体的な手法について特に制限はないが、好ましくは、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料をそれぞれ、または一括して、適当な溶剤に溶解・分散させた溶液を、適当な塗布法(具体的な形態については、上述した通りである)を用いて陰極上に塗布し、乾燥させればよい。なお、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を一括して溶剤に溶解・分散させた溶液を、塗布法により塗布し、乾燥させることで、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料が一様に混合され、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子とすることができる。
次に、上記で形成した光電変換層上に、正孔輸送層を形成する。ここで、本発明の第2の形態における製造方法において、正孔輸送層を形成する工程は、無機材料を主成分として含む無機材料層と有機材料を主成分として含む有機材料層との少なくとも2層からなる正孔輸送層を形成することを含む。
無機材料層および有機材料層をそれぞれ形成する手法については、蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよい。また、これらの層をそれぞれ1層または2層以上形成する際の形成順序についても特に制限はなく、製造される有機光電変換素子における所望の構成を考慮して、形成すればよい。なお、有機材料層の形成については、好ましくは溶液塗布法である。また、無機材料層の形成については、好ましくは蒸着法(例えば、真空蒸着法)である。真空蒸着法等の蒸着法の具体的な形態についても特に制限はなく、従来公知の知見を適宜参照しつつ、実施することが可能である。
最後に、上記で形成した正孔輸送層上に、陽極を形成する。陽極を形成するための手段についても特に制限はなく、蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは蒸着法(例えば、真空蒸着法)が用いられる。
本発明の第2の形態に係る製造方法は、上述した「光電変換層を形成する工程」(当該工程も含む)以降の少なくとも1つの工程を、酸素濃度1体積%以上または水分含量0.03体積%以上の雰囲気下で行う。ここで、本発明に係る製造方法において、「光電変換層を形成する工程」以降のいずれの工程を上述した雰囲気下で行うこととするかについては、特に制限はない。ただし、少なくとも溶液塗布法である光電変換層、有機材料からなる正孔輸送層を形成する工程を上述した雰囲気下で行うこととすると、作業性向上の観点から好ましい。なお、最も好ましい形態は、「光電変換層を形成する工程」(当該工程も含む)以降のすべての工程を上述した雰囲気下で行うことである。かような構成とすることにより、本願発明の作用効果をより顕著に発現させることができる。
なお、上述した特定の雰囲気条件について、雰囲気の酸素濃度は、好ましくは1体積%以上であり、より好ましくは5体積%以上であり、さらに好ましくは10体積%以上であり、特に好ましくは19体積%以上である。また、雰囲気の水分含量は、好ましくは0.03体積%以上であり、より好ましくは0.1体積%以上であり、さらに好ましくは0.5体積%以上であり、特に好ましくは1体積%以上である。
上述したように、本発明者らの検討によれば、光電変換層を構成するp型有機半導体材料として上述したp型共役系高分子を用いた場合であっても、常に満足できるレベルの光電変換効率が安定して達成されるわけではないことが判明した。また、p型共役系高分子を用いて光電変換素子を製造する際の雰囲気条件によっては、光電変換効率の絶対値の低下やそのバラツキの発生(安定性の低下)が特に顕在化しやすいということも判明した。
これを受けて、本発明の第2の形態に係る有機光電変換素子の製造方法によれば、光電変換層を構成するp型有機半導体材料として上述したp型共役系高分子を用い、かつ、上記のように大気に近い雰囲気条件の下で有機光電変換素子の製造を行った場合であっても、大気中の酸素や水分に対するp型共役系高分子の不安定性に起因する光電変換効率の絶対値の低下や、素子の耐久性の低下が抑制されうる。なお、本発明において、光電変換効率の絶対値の低下や素子の耐久性の低下が抑制されるメカニズムについては明らかではないが、無機材料層を設けることで、この層が有機材料層や光電変換層に対する酸素や水分の影響を緩和し、安定した性能を引き出しているのではないかと推定されている。
以上のことから、本発明の第2の形態に係る製造方法によれば、環境管理された雰囲気や不活性ガス雰囲気の下で素子の製造を行う必要がない。このため、本発明により提供される製造方法は、工業的な大量生産を念頭に置いた場合には、極めて優位性が高く工業的価値の大きい製造方法であるといえる。
また、上述したように、本発明の第2の形態に係る製造方法によれば、正孔輸送層を構成する層のうち無機材料層が陽極に隣接するように構成される場合には、陽極を蒸着法等のドライプロセスにより形成する際の形成速度を速くしても正孔輸送層や光電変換層の損傷が防止され、生産性の向上に寄与しうるという利点が得られる。従って、本発明の第2の形態に係る製造方法の好ましい実施形態においては、陽極を形成する工程を、正孔輸送層を構成する無機材料層の上に当該陽極の構成材料を蒸着することにより行い、その際の蒸着速度が10nm/秒以上である。また、この蒸着速度は、好ましくは15nm/秒以上であり、より好ましくは20nm/秒以上であり、さらに好ましくは30nm/秒以上である。なお、蒸着速度の上限値について特に制限はないが、生産性の観点からは、好ましくは40nm/秒以下である。
本発明に係る有機光電変換素子において、電極や光電変換層、正孔輸送層、電子輸送層等は必要に応じてパターニングされていてもよいが、これらの層をパターニングする手法について特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。例えば、光電変換層、輸送層等の可溶性の材料であれば、ダイコーティング、ディップコーティング等の全面塗布後に不要部だけ拭き取ってもよいし、インクジェット法やスクリーン印刷法等の方法を使用して塗布時に直接パターニングしてもよい。一方、電極材料等の不溶性の材料の場合は、電極を真空蒸着する際にマスク蒸着を行ったり、エッチングまたはリフトオフ等の公知の方法によってパターニングすることができる。また、別の基板上に形成したパターンを転写することによってパターンを形成してもよい。
また、作製した有機光電変換素子が環境中の酸素、水分等で劣化しないようにするために、有機光電変換素子だけでなく有機エレクトロルミネッセンス素子等で公知の手法によって封止することが好ましい。例えば、アルミニウムまたはガラスでできたキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機光電変換素子上を接着剤で貼合する手法、ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコール等)をスピンコートする方法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)または有機膜(パリレン等)を真空下で堆積する方法、およびこれらを複合的に積層する方法等が挙げられる。
以上、本発明の第2の形態の好ましい実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲はかような形態のみには限定されない。例えば、上述した各種の層以外の層が含まれる場合には、これらの層を形成するための工程を、溶液塗布法や蒸着法などを用いることで適宜追加して行うことができる。
<有機光電変換素子の用途>
本発明の他の形態によれば、上述の第1の形態に係る有機光電変換素子や、第2の形態に係る製造方法により得られる有機光電変換素子を有する太陽電池が提供される。本形態の有機光電変換素子は、優れた光電変換効率、耐熱性、耐光性を有するため、これを発電素子とする太陽電池に好適に使用されうる。
また、本発明のさらに他の形態によれば、上述した有機光電変換素子がアレイ状に配列されてなる光センサアレイが提供される。すなわち、本形態の有機光電変換素子は、その光電変換機能を利用して、光センサアレイ上に投影された画像を電気的な信号に変換する光センサアレイとして利用することもできる。
本発明の作用効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
[実施例1]
〔有機光電変換素子101の作製〕
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を110nm堆積したもの(シート抵抗13Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅にパターニングして、透明電極を形成した。
パターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次に、この透明基板を真空蒸着装置内に設置した。10−3Pa以下にまで真空蒸着機内を減圧した後、MoOを蒸着速度0.5nm/秒の速度で15nm蒸着して、無機物(金属酸化物)からなる正孔輸送層(無機材料層)を形成した。
この無機材料層を形成した基板上に、導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック製PEDOT−PSS(poly(3,4−ethylenedioxythiophene)−poly(styrenesulfonate))の水分散液)を30nmの膜厚でスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥して、有機物からなる正孔輸送層(有機材料層)を形成した。
これ以降は基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。まず、窒素雰囲気下で上記基板を140℃で3分間加熱処理した。
次いで、o−ジクロロベンゼンに、p型有機半導体材料であるPCDTBTを0.6質量%、n型有機半導体材料であるPC71BM(フロンティアカーボン製nanom spectra E110)を1.2質量%で混合した溶液を調製し、オーブンで100℃に加熱しながら撹拌(60分間)してPCDTBTとPC71BMを溶解した後、0.20μmのフィルタでろ過をかけながら、700rpmで60秒、次いで2000rpmで2秒間のスピンコートを行い、100nmの膜厚の光電変換層を得た。その後120℃、5分のアニール処理を施して、光電変換層を形成した。
次に、上記光電変換層を成膜した基板を真空蒸着装置内に設置した。そして、2mm幅のシャドウマスクが透明電極と直交するように素子をセットし、10−3Pa以下にまでに真空蒸着機内を減圧した後、フッ化リチウムを0.5nm蒸着し、Alを80nm蒸着して、第2の電極を形成した。蒸着速度はいずれも2nm/秒とした。
得られた有機光電変換素子を、窒素雰囲気下でアルミニウムキャップとUV硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、UV RESIN XNR5570−B1)を用いて封止を行った後に大気下に取り出し、受光部が2mm角のサイズの有機光電変換素子101を得た。
〔有機光電変換素子102の作製〕
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を110nm堆積したもの(シート抵抗13Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅にパターニングして、透明電極を形成した。
パターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次に、この透明基板上に導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック製PEDOT−PSS(poly(3,4−ethylenedioxythiophene)−poly(styrenesulfonate))の水分散液)を30nmの膜厚でスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥して、有機物からなる正孔輸送層(有機材料層)を形成した。
これ以降は基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。まず、窒素雰囲気下で上記基板を140℃で3分間加熱処理した。
次に、この有機材料層を形成した基板を真空蒸着装置内に設置した。そして、10−3Pa以下にまで真空蒸着機内を減圧した後、MoOを蒸着速度0.5nm/秒の速度で15nm蒸着して、無機物(金属酸化物)からなる正孔輸送層(無機材料層)を形成した。
光電変換層の形成以降は、有機光電変換素子101の作製と同様にして、有機光電変換素子102を得た。
〔有機光電変換素子103の作製〕
無機材料層を形成しなかったこと以外は、有機光電変換素子102の作製と同様にして、有機光電変換素子103を得た。
〔有機光電変換素子104の作製〕
有機材料層を形成しなかったこと以外は、有機光電変換素子102の作製と同様にして、有機光電変換素子104を得た。
〔有機光電変換素子105〜108の作製〕
p型有機半導体材料を下記の表1に示す化合物(PSBTBT−08)に変更したこと以外は、有機光電変換素子101〜104と同様にして、有機光電変換素子105〜108を得た。
〔有機光電変換素子109〜112の作製〕
p型有機半導体材料を下記の表1に示す化合物(MEH−PPV)に変更したこと以外は、有機光電変換素子101〜104と同様にして、有機光電変換素子109〜112を得た。
〔有機光電変換素子113〜116の作製〕
p型有機半導体材料を下記の表1に示す化合物(P3HT)に変更したこと以外は、有機光電変換素子101〜104と同様にして、有機光電変換素子113〜116を得た。
〔有機光電変換素子117〜132の作製〕
封止以外の窒素雰囲気下の操作を大気下で行ったこと以外は、有機光電変換素子101〜116と同様にして、有機光電変換素子117〜132を得た。
〔有機光電変換素子の評価〕
(光電変換効率の評価)
上記作製した封止した有機光電変換素子に、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)の100mW/cmの強度の光を照射し、有効面積を4.0mmにしたマスクを受光部に重ね、短絡電流密度Jsc(mA/cm)及び開放電圧Voc(V)、曲線因子(フィルファクター)FFを、同素子上に形成した4箇所の受光部についてそれぞれ測定し、平均値と最大値と最小値の差を求めた。また、Jsc、Voc、FFから下記数式1に従ってエネルギー変換効率η(%)を求めた。
評価の結果を下記の表1に示す。平均値の数字が大きい程エネルギー変換効率(光電変換効率)が良好であることを示す。また最大値と最小値の差が小さいほど安定な変換効率が得られていることを示す。
(光電変換効率の耐久性評価)
光電変換効率の評価を行った有機光電変換素子を、陽極と陰極との間に抵抗を接続したまま80℃に加熱し、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を10倍の1000mW/cmの照射強度で100h暴露し続けた。その後、有機光電変換素子を室温に冷却し、上記と同様に同素子上に形成した4箇所の受光部についてそれぞれ光電変換効率η(%)を求めた。下記数式2に従って変換効率の相対効率低下を算出し、平均値と最大値と最小値の差を求めた。
評価の結果を下記の表1に示す。平均値の数字が小さい程、エネルギー変換効率の耐久性(光電変換効率の耐久性)が良好であることを示す。また最大値と最小値の差が小さいほど安定な変換効率が得られていることを示す。
表1に示す結果から、主鎖に電子供与性基と電子吸引性基を有するp型共役系高分子をp型有機半導体材料として含む光電変換層と、有機材料層と無機材料層とを含む正孔輸送層とを有する本発明の光電変換素子は、大気中で製造した場合であっても、窒素雰囲気下で製造した場合と比べて、光電変換効率および耐久性の低下が抑えられることが分かる。また、本発明の光電変換素子は、窒素雰囲気下で製造した場合であっても、本発明の構成を備えていない光電変換素子と比較して、光電変換効率および耐久性に優れることも判明した。特に本実施例では、無機材料層および有機材料層を含む正孔輸送層を形成した後、その上に光電変換層を形成する形態において、上述した効果が発揮されることが示された。これに対し、主鎖に電子供与性基および電子吸引性基の両基を有しないp型有機半導体材料を用いて作製した光電変換素子ではこれらの効果は見られなかった。
[実施例2]
〔有機光電変換素子201の作製〕
PET基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(シート抵抗12Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と湿式エッチングとを用いて10mm幅にパターニングし、第1電極を形成した。パターン形成した第1電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。これ以降は基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。
この第1電極上に、イソプロパノールに溶解したポリエチレンイミンと、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテルの混合溶液を乾燥膜厚が約5nmになるようにブレードコーターを用いて塗布乾燥した。その後、ホットプレート上で120℃1分間加熱処理をして、電子輸送層を製膜した。
次いで、o−ジクロロベンゼンに、p型有機半導体材料であるPCDTBTを0.6質量%、n型有機半導体材料であるPC71BM(フロンティアカーボン製nanom spectra E110)を1.2質量%で混合した溶液を調製し、オーブンで100℃に加熱しながら撹拌(60分間)してPCDTBTとPC71BMを溶解した後、0.20μmのフィルタでろ過をかけながら、乾燥膜厚が約100nmになるようにブレードコーターを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥して、光電変換層を製膜した。
続いて、正孔輸送層として、導電性高分子およびポリアニオンからなるPEDOT−PSS(CLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083、ヘレオス株式会社製、導電率1×10−3S/cm)、イソプロパノールを含む液を調製し、乾燥膜厚が約30nmになるようにブレードコーターを用いて塗布乾燥した。その後、90℃の温風で20秒間加熱処理して、有機物からなる正孔輸送層(有機材料層)を形成した。
次に、この透明基板を真空蒸着装置内に設置した。10−3Pa以下にまで真空蒸着機内を減圧した後、MoOを蒸着速度0.5nm/秒の速度で15nm蒸着して、無機物(金属酸化物)からなる正孔輸送層(無機材料層)を形成した。
次に、10mm幅のシャドウマスクが透明電極と直交するように素子をセットし、1×10−3Pa以下にまで真空蒸着装置内を減圧した後、蒸着速度0.5nm/秒でAgメタルを200nm積層して、第2電極を形成した。得られた積層体を窒素チャンバーに移動し、2枚の凸版印刷製透明バリアフィルムGX(水蒸気透過率0.05g/m/d)の間に挟みこみ、UV硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、UV RESIN XNR5570−B1)を用いて封止を行った後に大気下に取り出し、受光部が約10×10mmサイズの有機光電変換素子201を得た。
〔有機光電変換素子202〜203の作製〕
無機材料層を構成する材料を下記の表2に示す化合物に変更したこと以外は、有機光電変換素子201の作製と同様にして、有機光電変換素子202〜203を作製した。
〔有機光電変換素子204の作製〕
無機材料層を形成しなかったこと以外は、有機光電変換素子201の作製と同様にして、有機光電変換素子204を得た。
〔有機光電変換素子205の作製〕
有機材料層を形成しなかったこと以外は、有機光電変換素子201の作製と同様にして、有機光電変換素子205を得た。
〔有機光電変換素子206〜210の作製〕
p型有機半導体材料を下記の表2に示す化合物(PSBTBT−08)に変更したこと以外は、有機光電変換素子201〜205の作製と同様にして、有機光電変換素子206〜210を得た。
〔有機光電変換素子211〜214の作製〕
p型有機半導体材料を下記の表2に示す化合物(P3HT)に変更したこと以外は、有機光電変換素子201〜204の作製と同様にして、有機光電変換素子211〜214を得た。
〔有機光電変換素子215〜228の作製〕
封止以外の窒素雰囲気下の操作を大気下で行ったこと以外は、有機光電変換素子201〜214の作製と同様にして、有機光電変換素子215〜228を得た。
〔有機光電変換素子229〜231の作製〕
第2電極の作製時におけるAgメタルの蒸着速度を50nm/秒に変更したこと以外は、有機光電変換素子215、218および219の作製と同様にして、有機光電変換素子229〜231を得た。
〔有機光電変換素子232〜234の作製〕
第2電極の作製時におけるAgメタルの蒸着速度を50nm/秒に変更したこと以外は、有機光電変換素子220、223および224の作製と同様にして、有機光電変換素子232〜234を得た。
〔有機光電変換素子235〜237の作製〕
第2電極の作製時におけるAgメタルの蒸着速度を50nm/秒に変更したこと以外は、有機光電変換素子225および228の作製と同様にして、有機光電変換素子235〜237を得た。
〔有機光電変換素子の評価〕
(光電変換効率の評価)
上記作製した封止した有機光電変換素子に、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)の100mW/cmの強度の光を照射し、有効面積を1cmにしたマスクを受光部に重ね、短絡電流密度Jsc(mA/cm)及び開放電圧Voc(V)、曲線因子(フィルファクター)FFを、同素子上に形成した4箇所の受光部についてそれぞれ測定し、平均値と最大値と最小値の差を求めた。また、Jsc、Voc、FFから下記数式1に従ってエネルギー変換効率η(%)を求めた。
評価の結果を下記の表2に示す。平均値の数字が大きい程エネルギー変換効率(光電変換効率)が良好であることを示す。また最大値と最小値の差が小さいほど安定な変換効率が得られていることを示す。
(光電変換効率の耐久性評価)
実施例1におけるのと同様の評価を行った。
評価の結果を下記の表2に示す。平均値の数字が小さい程、エネルギー変換効率の耐久性(光電変換効率の耐久性)が良好であることを示す。また最大値と最小値の差が小さいほど安定な変換効率が得られていることを示す。
表2に示す結果から、主鎖に電子供与性基と電子吸引性基を有するp型共役系高分子をp型有機半導体材料として含む光電変換層と、有機材料層と無機材料層とを含む正孔輸送層とを有する本発明の光電変換素子は、大気中で製造した場合であっても、窒素雰囲気下で製造した場合と比べて、光電変換効率および耐久性の低下が抑えられることが分かる。また、本発明の光電変換素子は、窒素雰囲気下で製造した場合であっても、本発明の構成を備えていない光電変換素子と比較して、光電変換効率および耐久性に優れることも判明した。特に本実施例では、光電変換層を形成した後、その上に無機材料層および有機材料層を含む正孔輸送層を形成する形態において、上述した効果が発揮されることが示された。さらに本実施例では、第2電極を蒸着によって形成する場合に、その際の蒸着速度をより速めた場合にも、依然として光電変換効率および耐久性に優れることが判明した。これに対し、主鎖に電子供与性基および電子吸引性基の両基を有しないp型有機半導体材料を用いて作製した光電変換素子ではこれらの効果は見られなかった。
[実施例3]
〔有機光電変換素子238〜240の作製〕
欧州特許第1647566号明細書の実施例1のDispersion Bに記載のpoly(thieno[3,4-b]thiophene)/ Nafion(登録商標)dispersion(PTT:Nafion)を、有機材料層を構成する材料として使用し、かつ、第2電極の作製時におけるAgメタルの蒸着速度を50nm/秒に変更したこと以外は、実施例2における有機光電変換素子201、204および205と同様にして、有機光電変換素子238〜240を得た。
〔有機光電変換素子241〜243の作製〕
欧州特許第1647566号明細書の実施例1のDispersion Bに記載のpoly(thieno[3,4-b]thiophene)/ Nafion(登録商標)dispersion(PTT:Nafion)を、有機材料層を構成する材料として使用したこと以外は、上述した実施例2における有機光電変換素子215、218および219と同様にして、有機光電変換素子241〜243を得た。
上記で得られた有機光電変換素子について、上述した実施例2と同様の評価を行った。
表3に示す結果から、実施例3においても、上述した実施例2と同様に、主鎖に電子供与性基と電子吸引性基を有するp型共役系高分子をp型有機半導体材料として含む光電変換層と、有機材料層と無機材料層とを含む正孔輸送層とを有する本発明の光電変換素子は、大気中で製造した場合であっても、窒素雰囲気下で製造した場合と比べて、光電変換効率および耐久性の低下が抑えられることが分かる。また、本発明の光電変換素子は、窒素雰囲気下で製造した場合であっても、本発明の構成を備えていない光電変換素子と比較して、光電変換効率および耐久性に優れていた。特に本実施例では、光電変換層を形成した後、その上に無機材料層および有機材料層を含む正孔輸送層を形成する形態において、実施例2とは異なる材料を用いて有機材料層を形成した場合であっても上述した効果が発揮されることが示された。さらに本実施例においても、第2電極を蒸着によって形成する場合に、その際の蒸着速度をより速めた場合に、依然として光電変換効率および耐久性に優れることが判明した。
10、20、30 有機光電変換素子、
11 陽極、
12 陰極、
14 光電変換層、
14a 第1の光電変換層、
14b 第2の光電変換層、
25 基板
26 正孔輸送層、
26a 無機材料層、
26b 有機材料層、
27 電子輸送層、
38 電荷再結合層。

Claims (6)

  1. 陰極と、
    p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を含む光電変換層と、
    正孔輸送材料を含む正孔輸送層と、
    陽極と、
    がこの順に積層されてなる構成を有する有機光電変換素子であって、
    前記p型有機半導体材料が、主鎖に電子供与性基および電子吸引性基を有する共重合体からなるp型共役系高分子を含み、
    前記正孔輸送層が、無機材料を主成分として含む無機材料層と有機材料を主成分として含む有機材料層との少なくとも2層からなることを特徴とする、有機光電変換素子。
  2. 前記無機材料層が前記陽極に隣接しており、前記有機材料層が前記光電変換層に隣接している、請求項1に記載の有機光電変換素子。
  3. 前記無機材料が、モリブデン、バナジウムおよびタングステンからなる群から選択される1種もしくは2種以上の金属の酸化物またはこれらの混合物を含む、請求項1または2に記載の有機光電変換素子。
  4. 陰極を形成する工程と、
    前記陰極の上に、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を含む光電変換層を形成する工程と、
    前記光電変換層の上に、正孔輸送層を形成する工程と、
    前記正孔輸送層の上に、陽極を形成する工程と、
    を含む、有機光電変換素子の製造方法であって、
    前記p型有機半導体材料が、主鎖に電子供与性基および電子吸引性基を有する共重合体からなるp型共役系高分子を含み、
    前記正孔輸送層を形成する工程が、無機材料を主成分として含む無機材料層と有機材料を主成分として含む有機材料層との少なくとも2層からなる正孔輸送層を形成することを含み、
    前記光電変換層を形成する工程以降の少なくとも1つの工程を、酸素濃度1体積%以上または水分含量0.03体積%以上の雰囲気下で行う、
    ことを特徴とする、製造方法。
  5. 前記陽極を形成する工程を、前記無機材料層の上に前記陽極の構成材料を蒸着することにより行い、その際の蒸着速度が10nm/秒以上である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子、または請求項4もしくは5に記載の製造方法により得られる有機光電変換素子を有する、太陽電池。
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