JP2017183547A - リワーク方法 - Google Patents

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【課題】裏面保護フィルムの各種性能を良好に維持しつつ、リワーク性を向上させることが可能なリワーク方法を提供する。【解決手段】リワーク方法は、半導体ウエハ10の回路が形成された面の反対側の面に積層された、エネルギー線硬化型の裏面保護フィルム11に、基材13と、基材13の一方の面に設けられたエネルギー線硬化型の粘着剤層14とを備えるリワーク用粘着シート15を、粘着剤層14を介して貼り合わせる工程と、裏面保護フィルム11及び粘着剤層14にエネルギー線を照射して硬化させる工程と、半導体ウエハ10から、硬化した裏面保護フィルム11をリワーク用粘着シート15とともに剥離する工程とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、半導体ウエハに一旦貼付した裏面保護フィルムを剥離して、半導体ウエハを再使用できるようにするリワーク方法に関する。
従来、フェースダウン方式と呼ばれる実装法を用いた半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、半導体チップの回路形成面上にバンプ等の電極が形成されるとともに、回路形成面上の電極が、チップに対向して設けた基板等に接合される。一方で、半導体チップにおいて回路形成面の反対側の面(すなわち、半導体ウエハの裏面)は、剥き出しとなるため、ウエハを保護するための裏面保護膜を形成することがある。裏面保護膜は、バインダー成分、硬化性成分、フィラー等を含有する裏面保護フィルムを、ウエハ裏面に貼付して硬化することにより形成することが知られている。
半導体ウエハは、一般的には高価であるため、裏面保護フィルムを誤って貼付した場合や、貼付時にエアを噛み込んでしまったりシワが生じたりした場合には、裏面保護フィルムを半導体ウエハから剥離して、半導体ウエハを再利用するリワークを行うことがある。リワークを適切に行えるようにするため、従来、裏面保護フィルムの組成を適宜設計することで、硬化前の裏面保護フィルムの半導体ウエハに対する剥離力を低くすることが知られている(例えば特許文献1、2参照)。
特許5144433号公報 特開2011−228637号公報
しかしながら、特許文献1、2に開示されるように、硬化前の裏面保護フィルムの半導体ウエハに対する剥離力を低くすると、硬化後の裏面保護膜の半導体ウエハに対する接着力が低下する要因になるため、半導体チップの信頼性が低下することがある。また、硬化前の裏面保護フィルムの剥離力を低くするために、裏面保護フィルムの組成に制限が生じて、信頼性以外の各種性能も低下することがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明は、裏面保護フィルムの各種性能を良好に維持しつつ、裏面保護フィルムを剥離してリワークする際のリワーク性を向上させることが可能なリワーク方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、所定の工程を経て、半導体ウエハの裏面に積層されたエネルギー線硬化型の裏面保護フィルムをリワーク用の粘着シートを用いて剥がすことで上記課題が解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。本発明は、以下の(1)〜(8)を提供する。
(1)半導体ウエハの回路が形成された面の反対側の面に積層された、エネルギー線硬化型の裏面保護フィルムに、基材と、基材の一方の面に設けられたエネルギー線硬化型の粘着剤層とを備えるリワーク用粘着シートを、前記粘着剤層を介して貼り合わせる工程と、
前記裏面保護フィルム及び粘着剤層にエネルギー線を照射して硬化させる工程と、
前記半導体ウエハから、硬化した前記裏面保護フィルムを前記リワーク用粘着シートとともに剥離する工程と
を備えるリワーク方法。
(2)前記粘着剤層が、粘着性樹脂(X)と、エネルギー線硬化性化合物(Y)とを含有する粘着剤組成物により形成される上記(1)に記載のリワーク方法。
(3)前記粘着剤組成物におけるエネルギー線硬化性化合物(Y)の含有量が、粘着性樹脂(X)100質量部に対して、60質量部以上である上記(2)に記載のリワーク方法。
(4)前記裏面保護フィルムが、非エネルギー線硬化性重合体成分(A)とエネルギー線硬化性化合物(B)とを含有し、又はエネルギー線硬化性重合体成分(C)を含有する裏面保護フィルム組成物から形成される上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のリワーク方法。
(5)エネルギー線硬化性化合物(B)が、モノマー及び重量平均分子量100000未満のオリゴマーからなる群から選択される少なくとも1種である上記(4)に記載のリワーク方法。
(6)非エネルギー線硬化性重合体成分(A)又はエネルギー線硬化性重合体成分(C)が、重量平均分子量10000以上のアクリル系樹脂である上記(6)又は(7)に記載のリワーク方法。
(7)前記裏面保護フィルムが、非エネルギー線硬化性重合体成分(A)とエネルギー線硬化性化合物(B)とを含有する裏面保護フィルム組成物から形成される上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のリワーク方法。
(8)半導体ウエハの回路が形成された面の反対側の面に積層された、エネルギー線硬化型の裏面保護フィルム上に貼り合わされ、その後、前記裏面保護フィルムをリワーク用粘着シートとともに前記半導体ウエハから引き剥がすために使用されるリワーク用粘着シートであって、
基材と、基材の一方の面に設けられたエネルギー線硬化型の粘着剤層とを備えるリワーク用粘着シート。
本発明では、裏面保護フィルムの各種性能を良好に維持しつつ、リワーク性を向上させることが可能なリワーク方法を提供する。
裏面保護フィルムが積層された半導体ウエハを示す模式的な断面図である。 工程(I)の一態様を示す模式的な断面図である。 工程(II)の一態様を示す模式的な断面図である。 工程(III)の一態様を示す模式的な断面図である。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語につても同様であり、例えば、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。
また、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値を意味する。
以下、本発明の実施形態に係るリワーク方法ついて、図1〜4を参照しつつ具体的に説明する。
本方法において使用される半導体ウエハ10は、特に限定されないが、シリコンウエハでもよいし、セラミック、ガラス、サファイア系等のウエハであってもよい。半導体ウエハ10の一方の面(すなわち、表面10A)は、回路が形成される回路形成面であり、バンプ等の電極部が設けられる。また、半導体ウエハ10は、いわゆるWL−CSP(Wafer Level Chip Size Package)により、予めパッケージされたものであってもよく、例えば、半導体ウエハ10の回路形成面が樹脂封止等されていてもよい。
また、本発明では、図1に示すように、半導体ウエハ10の回路形成面(表面10A)とは反対側の面(すなわち、裏面10B)に裏面保護フィルム11が積層されている。
裏面保護フィルム11は、正常なプロセスでは、半導体ウエハから剥がされることはなく、エネルギー線が照射され硬化されることで、半導体ウエハ10(又は、半導体チップ)の裏面10Bを保護するための保護膜となるものである。また、裏面保護フィルム11が裏面10Bに積層された半導体ウエハ10は、正常なプロセスでは、ダインシングにより個片化され、その後、ピックアップされることで半導体チップとなる。半導体チップは、その裏面に、裏面保護フィルム11を硬化して形成した保護膜を有するものであるが、裏面保護フィルム11の硬化は、通常、ダイシングをする前に行う。また、ダイシングは、通常、半導体ウエハ10の裏面側(すなわち、裏面保護フィルム11の上)にダイシングシートを貼付した状態で行うものである。
一方で、半導体ウエハ10に一旦裏面保護フィルム11を貼付した後であっても、場合によっては、裏面保護フィルム11を半導体ウエハ10から剥がす必要があることがある。例えば、裏面保護フィルム11をウエハ10に貼付する際にエアや異物を噛み込んだり、シワが発生したりした場合や、裏面保護フィルム11を本来貼付すべきでない半導体ウエハ10に誤って貼付した場合などである。これらの場合に、本発明のリワーク方法を利用する。本発明のリワーク方法は、一旦貼付された裏面保護フィルム11を剥がして、裏面保護フィルム11を剥がした後の半導体ウエハ10を再利用できるようにする。
本発明のリワーク方法は、具体的には、少なくとも以下の工程(I)〜(III)を備える。
(I)半導体ウエハ10の裏面10Bに積層されたエネルギー線硬化型の裏面保護フィルム11に、基材13と、基材13の一方の面に設けられたエネルギー線硬化型の粘着剤層14とを備えるリワーク用粘着シート15を、粘着剤層14を介して貼り合わせる工程;
(II)裏面保護フィルム11及び粘着剤層14にエネルギー線を照射して硬化させる工程;
(III)半導体ウエハ10から、硬化した裏面保護フィルム11をリワーク用粘着シート15とともに剥離する工程
以下、本実施形態のリワーク方法について工程ごとに詳細に説明する。
[工程(I)]
半導体ウエハ10の裏面10Bに積層された裏面保護フィルム11は、上記したように、半導体ウエハ10から剥がす必要のあるものである。裏面保護フィルム11は、エネルギー線を照射することにより硬化するエネルギー硬化型のフィルムである。なお、エネルギー線とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、電子線等が挙げられる。
半導体ウエハ10に貼付される際、裏面保護フィルム11は、通常、その一方の面11A上に支持シート(図示せず)が貼付されており、支持シートにより担持されている。裏面保護フィルム11は、他方の面11Bが露出した状態で、他方の面11B側が半導体ウエハ10の裏面10Bに貼り合わされる。その後、支持シートは、裏面保護フィルム11から剥離されることで、図1に示すように、裏面保護フィルム11が、半導体ウエハ10の裏面10B上に残されることになる。
また、半導体ウエハ10に貼付される前、裏面保護フィルム11は、他方の面11B上に、さらに剥離フィルム(図示せず)が設けられたものであってよい。この剥離フィルムにより、裏面保護フィルム11を保護等することが可能になる。剥離フィルムは、裏面保護フィルム11を半導体ウエハ10に貼付する際には、裏面保護フィルム11から剥離され、他方の面11Bを露出させる。
支持シートは、樹脂フィルム単体等からなる基材フィルムであってもよいが、裏面保護フィルム11から容易に剥離できるように、剥離フィルムであることが好ましい。すなわち、裏面保護フィルム11は、半導体ウエハ10に貼付される前には、その両面11A,11B上に剥離フィルムが設けられ、2枚の剥離フィルムにより保護されていてもよい。
また、支持シートは、基材フィルムと、基材フィルムの一方の面上に設けた粘着剤層を有する粘着シートであってもよい。なお、支持シートは、粘着シートである場合、粘着剤層を介して裏面保護フィルム11の一方の面11Aに貼り合わされる。
このように、支持シートが、粘着シートである場合等には、支持シートは、ダイシング時に半導体ウエハ10を支持するダイシングシートとして使用することがある。そのような場合、支持シートは、正常なプロセスでは、半導体ウエハ10をダイシングするまで裏面保護フィルム11上に積層されたままとなる。
ただし、本リワーク方法を利用して、半導体ウエハ10に一旦貼付した裏面保護フィルム11を半導体ウエハ10から剥がす場合には、裏面保護フィルム11を剥がす前に、支持シート(ダイシングシート)を剥がす必要がある。すなわち、まず、工程(I)の前に、支持シート(ダイシングシート)を裏面保護フィルム11から剥離し、その後、工程(I)〜(III)を行う必要がある。
さらに、図1では、裏面保護フィルム11と、半導体ウエハ10の大きさが同じであるが、これらの大きさは互いに異なるものであってもよい。また、支持シートも、裏面保護フィルム11及び半導体ウエハ10と同じ大きさを有してもよいが、これらと異なる大きさを有してもよい。ただし、裏面保護フィルム11は、半導体ウエハ10と略同形状又はウエハの形状をそっくり含むことのできる形状を有することが好ましい。
また、裏面保護フィルム又は支持シートには、ダイシング工程にて、半導体ウエハを保持するための冶具(例えば、リングフレーム)に接着しやすいように、これらの外周領域に環状の冶具用接着剤層、環状の両面テープ等をさらに設けてもよい。
図2に示すように、本発明で使用するリワーク用粘着シート15は、基材13と、基材13の一方の面に設けられた粘着剤層14とを備え、粘着剤層14がエネルギー線硬化型のものである。リワーク用粘着シート15において、粘着剤層14の表面14A上には、通常、剥離フィルム(図示せず)が設けられており、粘着シート15は、剥離フィルムを剥がした後、粘着剤層14を介して、裏面保護フィルム11に貼り合わせる。
なお、リワーク用粘着シート15は、半導体ウエハ10及び裏面保護フィルム11のいずれか又は両方と同じ大きさを有するものであってもよいが、異なる大きさを有するものであってもよい。
[工程(II)]
工程(II)では、図3に示すように、半導体ウエハ10上に積層された裏面保護フィルム11、及びリワーク用粘着シート15の粘着剤層14に対して、エネルギー線を照射する。エネルギー線は、上記のように、紫外線、電子線等が挙げられるが、紫外線が好ましい。紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ又はLED等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
エネルギー線は、特に限定されないが、通常、図3に示すように、半導体ウエハ10の反対側、すなわち、粘着シート15の基材13を介して粘着剤層14及び裏面保護フィルム11に照射する。エネルギー線の照射量は、裏面保護フィルム11及び粘着剤層14を硬化できる程度であればよく、例えば、紫外線の場合は5〜1200mJ/cm2が好ましく、50〜500mJ/cm2がより好ましく、電子線を用いる場合は、10〜1000kradが好ましく、50〜500kradがより好ましい。
ここで、裏面保護フィルム11は、上記したようにエネルギー線が照射されて硬化されることで半導体ウエハ10や半導体チップを保護するための保護膜となるものであり、通常、硬化されることで半導体ウエハ10に対する接着性は高くなる。
一方で、裏面保護フィルム11及び粘着剤層14は、上記エネルギー線により一体的に硬化され、それにより、裏面保護フィルム11の粘着剤層14に対する接着力も高くなる。本発明では、工程(III)において、裏面保護フィルム11を粘着シート15とともに、半導体ウエハ10から一体的に剥離することができるように、硬化後の裏面保護フィルム11の粘着剤層14に対する接着力は、硬化後の裏面保護フィルム11の半導体ウエハ10に対する接着力よりも高くなる。
(工程(III)
工程(III)では、エネルギー線により硬化された粘着剤層14を有するリワーク用粘着シート15を、図4に示すように、エネルギー線により硬化された裏面保護フィルム11とともに、半導体ウエハ10から剥離する。ここで、硬化された裏面保護フィルム11は、上記したように、粘着剤層14に対する接着力が高くなるものであり、リワーク用粘着シート15を引き剥がすことで、リワーク用粘着シート15とともに容易に半導体ウエハ10から引き剥がされる。
本工程(III)により、半導体ウエハ10に貼付されていた裏面保護フィルム11は、半導体ウエハ10から剥がされ、半導体ウエハ10を再利用することが可能になる。
また、本発明では、単に裏面保護フィルム11を半導体ウエハ10から引き剥がすのではなく、リワーク用粘着シート15と裏面保護フィルム11とを接着させ、これらの積層体を半導体ウエハ10から剥離するものである。そのため、裏面保護フィルム11が半導体ウエハ10に高い接着力で接着しているような場合であっても、裏面保護フィルム11はスムーズに剥離され、リワーク性が良好になる。そして、半導体ウエハ10上に裏面保護フィルム11の残渣が残りにくくなり、また半導体ウエハ10が破損等しにくくなる。
さらに、裏面保護フィルム11の組成を調整して、裏面保護フィルム11と半導体ウエハ10との剥離性を特段高める必要もない。したがって、裏面保護フィルム11の組成設計の制約が少なくなるため、裏面保護フィルム11の各種性能を良好にしやすくなる。
なお、上記方法においては、裏面保護フィルム11を半導体ウエハ10に貼付する前に、ウエハの表面10Aにバックグラインドシートを貼付し、半導体ウエハ10の裏面10Bは研削してもよい。
また、工程(III)において、リワーク用粘着シート15を剥離するとき、半導体ウエハ10は、その表面10A側が例えば、吸着テーブル等によって吸着され保持されることが好ましい。半導体ウエハ10は、吸着テーブル等により保持されることで、リワーク用粘着シート15の剥離を適切に行いやすくなる。なお、半導体ウエハ10は、表面10A上に貼り付けられている上記バッククラインドシートを介して吸着テーブルに吸着されてもよい。
次に、上記リワーク方法にて使用される各部材について以下詳細に説明する。
[リワーク用粘着シート]
リワーク用粘着シートは、半導体ウエハの裏面上のエネルギー線硬化型の裏面保護フィルム上に貼り合わされ、その後、裏面保護フィルムを該粘着シートとともに半導体ウエハから剥がすために使用される。リワーク用粘着シートは、基材と、基材の一方の面に設けられた粘着剤層とを備えるものである。
<粘着剤層>
リワーク用粘着シートにおける粘着剤層は、エネルギー線の照射により硬化することが可能なエネルギー線硬化型の粘着剤層である。粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤等の各種粘着剤が挙げられる。
粘着剤は、通常、アクリル系樹脂、ゴム成分、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ビニルアルキルエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン−ジエンブロック共重合体等の粘着性樹脂(X)を少なくとも含有する粘着剤組成物からなる。なお、粘着性樹脂(X)とは、ポリマー自体は実質的に粘着性を有していないが、可塑化成分、粘着剤付与剤の添加等により粘着性を発現するポリマー等も含む。また、粘着性樹脂(X)は、1種単独で使用してもよいが、2種以上を併用してもよい。粘着剤は、アクリル系粘着剤が好ましく、すなわち、粘着性樹脂(X)としてアクリル系樹脂を使用することが好ましい。
粘着剤層を形成するための粘着剤組成物(すなわち、粘着剤)は、エネルギー線硬化型であるが、粘着性樹脂(X)に加えて、エネルギー線硬化性化合物(Y)を含有することが好ましい。粘着剤層は、このように粘着性樹脂(X)以外にエネルギー線硬化性化合物(Y)を含有することで、裏面保護フィルム上に積層した状態でエネルギー線により硬化されると、裏面保護フィルムとの接着力を高くしやすくなる。
ただし、エネルギー線硬化型の粘着剤組成物は、粘着性樹脂(X)自体がエネルギー線硬化性を有するものであってもよい。この場合、粘着剤組成物は、粘着性樹脂(X)以外のエネルギー線硬化性化合物(Y)を含有してもよいし、含有しなくてもよい。
(アクリル系樹脂)
以下、粘着性樹脂(X)がアクリル系樹脂である場合について詳細に説明する。
粘着剤に使用されるアクリル系樹脂としては、粘着性のアクリル系共重合ポリマー(XA)が挙げられる。ここで、粘着性とは、ガラス転移温度(Tg)が10℃以下であることを意味する。また、Tgは、粘着性を高めるために、−50〜−10℃であることが好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg)は、Foxの式を用い、共重合するモノマーのモノマー比率とそのモノマーによるホモポリマーのTgの値から算出できる。
アクリル系共重合ポリマー(XA)は、種々のモノマーの組み合わせにより製造することができるが、アルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル〔成分(X1)〕と、官能基含有モノマー〔成分(X2)〕、又は、成分(X1)及び(X2)に加え、これら成分(X1)及び(X2)以外の共重合性モノマー〔成分(X3)〕とを共重合したものが好ましい。
ここで、成分(X1)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数が4以上のものであるが、その炭素数は4〜18が好ましく、4〜10がより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシルなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルであってもよい。これらの中では、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(X2)の官能基含有モノマーとしては、重合性の二重結合と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を分子内に有するモノマーであり、好ましくはヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物が用いられる。
官能基含有モノマーの具体的な例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸アセトアセトキシメチル;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらの単量体は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合ポリマー(XA)は、官能基含有モノマー(X2)由来の構成単位を有することで、後述する架橋剤と反応して、粘着剤層に三次元状の架橋構造を形成させることが可能になる。そのため、粘着剤層の凝集力や耐熱性等を向上させやすくなる。
成分(X3)の共重合性モノマーとしては、アルキル基の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸プロピルや、アクリロニトリル、アクリルアミド、酢酸ビニル、酪酸ビニル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル等のビニルエステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、アルキル基の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましい。アルキル基の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することで、ポリマー(XA)のガラス転移温度を適切な値にしやすくなる。
アクリル系共重合ポリマー(XA)における、アルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル〔成分(X1)〕由来の構成単位の含有割合は、40〜99.9質量%が好ましく、50〜99.5質量%がより好ましい。
成分(X1)の質量割合をこれら範囲内とすることで、ガラス転移温度を適切な範囲として、粘着剤層の粘着力を適切な大きさに調整しやすくなる。
また、官能基含有モノマー〔成分(X2)〕由来の構成単位の含有割合は、好ましくは0.01〜30質量%であり、より好ましくは0.1〜20質量%である。このような範囲内とすることで、粘着剤層の凝集力や耐熱性を適切なものとしやすくなる。
さらに、ポリマー(XA)における成分(X3)由来の構成単位の含有割合は、50質量%未満であればよいが、好ましくは40質量%以下である。
本発明では、上記アクリル系共重合ポリマー(XA)を粘着性樹脂(X)として使用することが好ましく、すなわち、粘着性樹脂(X)は非エネルギー硬化型であることが好ましい。
一方で、上記したように、粘着性樹脂(X)(すなわち、アクリル系樹脂)自体が、エネルギー線硬化型である場合、粘着性樹脂(X)(アクリル系樹脂)としては、上記アクリル系共重合ポリマー(XA)を、エネルギー線重合性基を有する化合物(M)と反応させて得たエネルギー線硬化型アクリル系共重合ポリマー(XB)を使用する。
この場合、ポリマー(XA)の官能基含有モノマー(X2)由来の構成単位の一部は、化合物(M)と化学結合し、それにより、ポリマー(XB)は側鎖にエネルギー線重合性基が導入されたものとなる。側鎖にエネルギー線重合性基が導入されたポリマー(XB)は、エネルギー線が照射されることにより、硬化(重合)することが可能になる。
上記化合物(M)は、官能基含有モノマー(X2)の官能基と反応しうる置換基を有するが、化合物(M)の置換基は、官能基含有モノマー(X2)の官能基の種類に応じて適宜選択される。例えば、官能基含有モノマー(X2)の官能基がカルボキシル基、アミノ基または置換アミノ基の場合、化合物(M)の置換基としてはイソシアナート基、エポキシ基等が好ましく、官能基がヒドロキシル基の場合、置換基としてはイソシアナート基等が好ましく、官能基がエポキシ基の場合、置換基としてはカルボキシル基等が好ましい。このような置換基は、化合物(M)1分子毎に一つずつ含まれている。
また、エネルギー線重合性基は、エネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合を有するものが挙げられ、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
化合物(M)には、エネルギー線重合性基が、1分子毎に1〜5個、好ましくは1〜2個含まれている。
化合物(M)の具体例としては、例えばメタクリロイルオキシエチルイソシアナート(MOI)、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアナート、メタクリロイルイソシアナート、アリルイソシアナート;ジイソシアナート化合物又はポリイソシアナート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアナート化合物;ジイソシアナート化合物又はポリイソシアナート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアナート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
化合物(M)の上記ポリマー(XA)100g当りの導入量は、硬化性を十分に高めるために、35ミリモル以上であることが好ましく、より好ましくは40〜300ミリモル、さらに好ましくは60〜200ミリモルである。
また、粘着剤樹脂(X)に使用されるアクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、粘着性能、粘着剤層の皮膜性、塗工性などを考慮すると、10万〜200万が好ましく、より好ましくは20〜150万である。
(エネルギー線硬化性化合物(Y))
粘着剤組成物に含有されるエネルギー線硬化性化合物(Y)は、エネルギー線の照射により硬化(重合)することが可能な成分である。エネルギー線硬化性化合物(Y)は、エネルギー線硬化性のモノマー及びオリゴマーが使用される。オリゴマーである化合物(Y)は、その重量平均分子量(Mw)が10000未満となるものである。モノマー又はオリゴマーのエネルギー線硬化性化合物(Y)は、硬化時に裏面保護フィルム側の化合物に反応しやすくなるため、硬化時に裏面保護フィルムとの接着性を高めやすくなる。
エネルギー線硬化性化合物(Y)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
エネルギー線硬化性化合物(Y)は、一分子中にエネルギー線重合性基を1個又は2個以上有する重合性化合物が挙げられる。エネルギー線重合性基としては、エネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合を有するものが挙げられ、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
エネルギー線硬化性化合物(Y)は、一分子中にエネルギー線重合性基(例えば、(メタ)アクリロイル基)を2個以上有することが好ましく、2〜6個有することが好ましい。また、エネルギー線硬化性化合物(Y)としては、具体的には、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、(メタ)アクリレートオリゴマーの具体例としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの中では、モノマーが好ましく、中でもジペンタエリスリトールヘキサアクリレートがより好ましい。
粘着剤組成物における、成分(Y)の含有量は、粘着性樹脂(X)(例えば、アクリル系樹脂)100質量部に対して、60質量部以上であることが好ましい。成分(Y)の含有量を60質量部以上とすることで、粘着剤層及び裏面保護フィルムを積層してこれらをエネルギー線により硬化すると、これらの層間の接着力を高めやすくなる。成分(Y)の含有量は、成分(X)100質量部に対して、より好ましくは75〜250質量部、さらに好ましくは90〜180質量部である。
粘着剤組成物は、上記成分(X)及び成分(Y)に加え、架橋剤(Z)を含有することが好ましい。架橋剤(Z)は、粘着剤層において、上記成分(X)等を架橋する成分である。このように、粘着剤層に架橋構造があると、粘着剤層の凝集力や耐熱性等を向上させやすくなる。
架橋剤(Z)としては、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン樹脂などが挙げられるが、これらの中ではイソシアネート系架橋剤が好ましい。
イソシアネート系架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素化トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの有機多価イソシアネート化合物及びこれらの多価イソシアネートと多価アルコールの付加物、例えば、トリメチロールプロパン変性TDI(TDI−TMP)、トリメチロールプロパン変性XDI(XDI−TMP)などが挙げられる。
エポキシ系架橋剤の例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミンなどが挙げられる。
金属キレート系架橋剤の例としては、アルミニウム、銅、鉄、スズ、亜鉛、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウムなどの二価以上の金属のアセチルアセトンやアセトン酸エステルからなるキレート化合物が挙げられる。
アジリジン系架橋剤の例としては、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)などが挙げられる。
これらの架橋剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。粘着剤組成物における架橋剤の含有量は、成分(X)100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、1〜25質量部が好ましい。
(光重合開始剤(Q))
粘着剤組成物は、さらに光重合開始剤(Q)を含有してもよい。エネルギー線として紫外線を用いる場合には、光重合開始剤(Q)を配合することで、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
光重合開始剤(Q)としては、具体的には、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
粘着剤組成物における光重合開始剤(Q)の含有量は、成分(X)100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部であり、特に好ましくは0.5〜5質量部である。0.1質量部以上とすることで、高い硬化性を得やすくなる。また、10質量部以下とすることで、粘着剤の性能を低下させずに、配合量に見合った光重合開始剤の効果を発揮させるやすくなる。
粘着剤組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により粘着剤に慣用されている各種添加剤成分を含有させることができる。 添加剤成分としては、粘着剤付与剤、酸化防止剤、可塑剤、充填剤、帯電防止剤等が挙げられる。
また、粘着剤層の厚さは、通常1〜100μm、好ましくは2〜60μm程度の範囲である。
[基材]
リワーク用粘着シートの基材としては、従来、粘着シートの基材フィルムとして慣用されているものを適宜選択して用いることができるが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルムなどのポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンナフタレートフィルムなどのポリエステル系フィルム;エチレン・酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルムなどのエチレン共重合体系フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、フッ素樹脂フィルムなどの樹脂フィルムが用いられる。
基材は、これらの樹脂フィルムの複層フィルムであってもよいし、架橋されたフィルムであってもよい。また、使用するエネルギー線に対し透過性を有していれば、有色でも無色でもよい。
また、基材として樹脂フィルムを用いる場合、基材の上に設けられる粘着剤層との接着性を向上させる目的で、所望により、サンドブラストや溶剤処理などによる凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理などの酸化処理などを施すことができる。また、易接着性処理等の各種のプライマー処理を施すこともできる。
基材の厚さは、使用目的や状況に応じて適宜定めればよいが、通常30〜300μm、好ましくは40〜200μmの範囲である。
また、リワーク用粘着シートの粘着剤層側の面上に設けられる剥離フィルムとしては、剥離フィルム用基材の一方の面をシリコーン樹脂等によって剥離処理したものが例示される。剥離フィルムは、剥離処理面を粘着剤層に接触するようにして粘着剤層に貼り合わされる。なお、剥離フィルム用基材としては、上記した粘着シートの基材に使用可能なものとして例示された各種樹脂フィルムが使用可能である。
上記基材の上に粘着剤層を形成する方法としては、例えば基材の一方の面に、粘着剤組成物を、必要であれば有機溶剤等で希釈した上で、公知の方法で直接塗布し、加熱することで粘着剤層を形成する方法、あるいは剥離フィルム上に同様に粘着剤層を形成した後、これを基材の片面に貼り合わせることで、粘着剤層を基材に転写する方法などを用いることができる。また、粘着剤層の形成において使用する剥離フィルムは、粘着剤層を保護するための剥離フィルムとしてそのまま使用することが可能である。
粘着剤組成物の塗布方法としては、例えばグラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いる方法を挙げることができる。
[裏面保護フィルム]
裏面保護フィルムは、エネルギー線の照射により硬化可能なエネルギー線硬化型である。
裏面保護フィルムは、通常、重合体成分を有する裏面保護フィルム組成物により形成されるものである。重合体成分は、重合性化合物が重合反応されて形成された成分であり、裏面保護フィルムに造膜性や、可撓性等を付与するための重合体化合物である。ここでいう重合反応には、重縮合反応も含まれる。
裏面保護フィルム組成物は、重合体成分として、エネルギー線硬化性を有さない非エネルギー線硬化性重合体成分(A)を含有することが好ましい。
(非エネルギー線硬化性重合体成分(A))
非エネルギー線硬化性重合体成分(A)としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー、フェノキシ樹脂、ポリスチレン等が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。なお、非エネルギー線硬化性重合体成分(A)は、エネルギー線重合性基を有さない化合物である。
非エネルギー線硬化性重合体成分(A)として使用されるアクリル系樹脂としては、公知のアクリル重合体を用いることができる。そのアクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000以上であり、10000〜2000000であることが好ましく、100000〜1500000であることがより好ましい。
非エネルギー線硬化性重合体成分(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非エネルギー線硬化性重合体成分(A)として使用するアクリル系樹脂(非エネルギー線硬化性アクリル系樹脂)のガラス転移温度(Tg)は、−60〜70℃であることが好ましく、−30〜50℃であることがより好ましい。アクリル系樹脂のTgがこれら範囲内となることで、裏面保護フィルムの粘着性が良好となり、信頼性等が向上する。
アクリル系樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が鎖状で炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロアルキル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イミド等の、環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル等、各種の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
また、アクリル系樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、N−メチロールアクリルアミド等の、(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーを含んでいてもよい。
アクリル系樹脂を構成するモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
アクリル系樹脂は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。前記官能基は、後述する架橋剤(H)を介して他の化合物と結合していてもよいし、架橋剤(H)を介さずに他の化合物と直接結合していてもよい。アクリル系樹脂が前記官能基により他の化合物と結合することで、裏面保護フィルムを用いて作製する半導体装置のパッケージ信頼性が向上しやすくなる。
(エネルギー線硬化性化合物(B))
裏面保護フィルム組成物は、重合体成分として非エネルギー線硬化性重合体成分(A)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性化合物(B)を含有する。この場合、上記粘着剤組成物は、上記したように、粘着性樹脂(X)に加えてエネルギー線硬化性化合物(Y)を含有することが好ましい。裏面保護フィルム及び粘着剤層が、いずれも成分(A)、(X)以外に、エネルギー線硬化性化合物(成分(B)、(Y))が配合されることで、これら2層がエネルギー線により硬化されると、これら2層に含有されるエネルギー線硬化性化合物がともに重合して、これら2層間の接着力が高めやすくなる。
エネルギー線硬化性化合物(B)は、エネルギー線の照射により硬化(重合)することが可能な成分である。また、エネルギー線硬化性化合物(B)は、裏面保護フィルムを硬化させて、硬質の保護膜を形成するための成分であり、モノマー及びオリゴマーのいずれであってもよい。なお、オリゴマーである化合物(B)は、その重量平均分子量(Mw)が100000未満となるものであり、裏面保護フィルム組成物の重合体成分の一部を構成するものである。
本発明では、エネルギー線硬化性化合物(B)として、上記のようなモノマーまたはオリゴマーを使用することで、裏面保護フィルムと粘着剤層とを積層した状態でエネルギー線によって硬化すると、これら2層間の接着力が高めやすくなる。
エネルギー線硬化性化合物(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
エネルギー線硬化性化合物(B)としては、例えば、一分子中にエネルギー線重合性基を1個又は2個以上有する重合性化合物が挙げられる。エネルギー線重合性基は、エネルギー線の照射により重合反応する基であれば、特に限定されないが、炭素−炭素二重結合を有する基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
エネルギー線硬化性化合物(B)は、一分子中に有するエネルギー線重合性基(例えば、(メタ)アクリロイル基)の数が2個以上である多官能化合物であることが好ましい。
そして、裏面保護フィルム組成物が含有するエネルギー線硬化性化合物(B)のうち、前記多官能化合物が占める割合は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%、すなわち、裏面保護フィルム組成物が含有するエネルギー線硬化性化合物(B)はすべて前記多官能化合物であってもよい。
エネルギー線硬化性化合物(B)の分子量(式量)は、1000以下であることが好ましく、100〜1000であることがより好ましく、150〜800であることがさらに好ましく、200〜550であることが特に好ましい。エネルギー線硬化性化合物(B)の分子量がこのような範囲であることで、形成される保護膜は保護作用及び信頼性が高くなる。また、上記したリワーク用粘着シートが積層されて、裏面保護フィルムとともに硬化される場合には、該粘着シートの粘着剤層に対する接着性を高めやすくなる。なお、分子量1000以下となる化合物(B)は、通常はモノマーである。
エネルギー線硬化性化合物(B)は、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、一分子中にエネルギー線重合性基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましく、一分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート化合物であることが特に好ましい。なお、「(メタ)アクリレート化合物」とは、(メタ)アクリル酸エステル又はその誘導体を意味する。そして、「誘導体」とは、元の化合物の1個以上の水素原子が水素原子以外の基(置換基)で置換された化合物を意味する。
化合物(B)として使用される(メタ)アクリレート化合物としては、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。
より具体的には、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートモノマーとして、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート(トリシクロデカンジメチロールジアクリレート)、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレートモノマー;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレートモノマー;
ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレートモノマー;
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能(メタ)アクリレートモノマー;
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
また、(メタ)アクリレートオリゴマーとして、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの中では、(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、特に、トリシクロデカンジメチロールジアクリレートが好ましい。
エネルギー線硬化性化合物(B)は、一分子中に有するエネルギー線重合性基の数が2〜4個であるものが好ましく、2〜3個であるものがより好ましい。このようなエネルギー線硬化性化合物(B)を用いることで、形成される保護膜は保護作用及び信頼性がより高くなる。
なお、裏面保護フィルム組成物において、エネルギー線硬化性化合物(B)の総含有量に対する、一分子中にエネルギー線重合性基を2〜3個有するエネルギー線硬化性化合物の総含有量の割合は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、100質量%、すなわち、前記裏面保護フィルム組成物が含有するエネルギー線硬化性化合物(B)が、すべて一分子中にエネルギー線重合性基を2〜3個有するエネルギー線硬化性化合物であってもよい。
裏面保護フィルム組成物においてエネルギー線硬化性化合物(B)の含有量は、非エネルギー線硬化性重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、1〜150質量部であることが好ましく、5〜130質量部であることがより好ましく、10〜110質量部であることが特に好ましい。エネルギー線硬化性化合物(B)の含有量が前記下限値以上であると、形成される保護膜は、大きな温度変化に晒されても高い保護作用を維持し、信頼性が高くなる。また、エネルギー線硬化性化合物(B)の前記含有量が前記上限値以下であることで、硬化後の裏面保護フィルムの接着力が適度な範囲に抑制されやすくなる。
(エネルギー線硬化性重合体成分(C))
以上では、裏面保護フィルム組成物が、非エネルギー線硬化性重合体成分(A)と、エネルギー線硬化性化合物(B)とを含む場合を説明したが、裏面保護フィルム組成物は、重合体成分としてエネルギー線硬化性重合体成分(C)を含有するものであってもよい。以下、そのような場合の好適な態様を説明する。
裏面保護フィルム組成物が、エネルギー線硬化性重合体成分(C)を含む場合、エネルギー線硬化性重合体成分(C)は、エネルギー線重合性基を有するものであるが、アクリル系樹脂(エネルギー線硬化性アクリル系樹脂)を好ましく使用する。
エネルギー線硬化性アクリル系樹脂は、側鎖にエネルギー線重合性基を有するものが好ましい。エネルギー線重合性基は、エネルギー線の照射により重合反応する基であれば、特に限定されないが、炭素−炭素二重結合を有する基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。エネルギー線硬化性アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000以上であり、10000〜2000000であることが好ましく、100000〜1500000であることがより好ましい。
側鎖にエネルギー線重合性基を有するエネルギー線硬化性アクリル系樹脂は、例えば、上記した非エネルギー線硬化性アクリル系樹脂に、エネルギー線重合性基を有する化合物(MA)を反応させて得たものを使用する。非エネルギー線硬化性アクリル系樹脂としては、上記で(A)成分として例示したアクリル系樹脂のうち、官能基を有するものを使用可能である。官能基としては、水酸基が好ましい。
エネルギー線重合性基を有する化合物(MA)は、エネルギー線重合性基に加えて官能基と反応し得る置換基を有する化合物であり、上記した化合物(M)として列挙した各化合物を使用可能である。
なお、エネルギー線硬化性アクリル系樹脂としては、アクリル樹脂を構成するモノマーが水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを含むとともに、エネルギー線重合性基を有する化合物(MA)として、上記化合物(M)として列挙されたもののうち、イソシアナート基を有するものが好ましい。化合物(MA)としては、中でもメタクリロイルオキシエチルイソシアナート(MOI)が特に好ましい。
裏面保護フィルム組成物が、エネルギー線硬化性重合体成分(C)としてエネルギー線硬化性アクリル系樹脂を含む場合、重合体成分は、上記した非エネルギー線硬化性重合体成分(A)を含有しなくてもよいが含有してもよい。また、重合体成分が(C)成分に加えて非エネルギー線硬化性重合体成分(A)を含有する場合には、重合体成分以外のエネルギー線硬化性化合物(B)を含有してもよい。さらに、裏面保護フィルム組成物は、非エネルギー線硬化性重合体成分(A)を含有しない場合でも、(C)成分に加えて重合体成分以外のエネルギー線硬化性化合物(B)を含有してもよい。
なお、裏面保護フィルム組成物が、重合体成分としてアクリル系樹脂(エネルギー線硬化性アクリル系樹脂、非エネルギー線硬化性アクリル系樹脂、又はこれら両方)を含有する場合、裏面保護フィルム組成物におけるアクリル系樹脂の含有量は、裏面保護フィルム組成物全量に対して5〜50質量%であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましい。アクリル系樹脂の前記含有量がこのような範囲であることで、裏面保護フィルム及び該フィルムを硬化して得られる保護膜に適度な接着力を付与することが可能である。
また、重合体成分がアクリル系樹脂を含有する場合、上記した粘着性樹脂(X)はアクリル系樹脂であることが好ましい。重合体成分及び粘着性樹脂(X)がいずれもアクリル系樹脂である場合、粘着剤層と裏面保護フィルムとの接着力が高めやすくなる。
また、重合体成分としては、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂(以下、単に「熱可塑性樹脂」と略記することがある)を単独で用いてもよいし、アクリル系樹脂と併用してもよい。この熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1000〜100000であることが好ましく、3000〜80000であることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−30〜150℃であることが好ましく、−20〜120℃であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(光重合開始剤(D))
裏面保護フィルム組成物は、さらに光重合開始剤(D)を含有することが好ましい。光重合開始剤(D)は、エネルギー線の照射によりラジカルを発生し、エネルギー線硬化性化合物(B)のラジカル重合による硬化反応を開始させるための成分である。
光重合開始剤(D)は、公知のものでよく、具体的には、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のα−ケトール系化合物;アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン系化合物;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;p−ジメチルアミノ安息香酸エステル;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド;アシルホスフォナート、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]等が挙げられる。
裏面保護フィルム組成物における光重合開始剤(D)の含有量は、重合体成分の含有量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜7質量部であることがより好ましく、0.2〜5質量部であることが特に好ましい。光重合開始剤(D)の前記含有量が前記下限値以上であることで、裏面保護フィルム組成物における硬化反応がより効率的に進行する。また、光重合開始剤(D)の前記含有量が前記上限値以下であることで、形成される保護膜は保護作用及び信頼性がより高くなる。
(充填材(E))
裏面保護フィルム組成物は、充填材(E)を含有することが好ましい。裏面保護フィルム組成物は、充填材(E)を含有することにより、熱膨張係数の調整が容易となる。したがって、裏面保護フィルムの硬化後の保護膜の熱膨張係数を半導体チップに対して最適化することで、パッケージ信頼性を向上させることができる。また、硬化後の保護膜の吸湿率を低減したり、保護膜の熱伝導性を向上させたりすることもできる。
充填材(E)は、有機充填材及び無機充填材のいずれでもよいが、無機充填材であることが好ましい。好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末;これらシリカ等を球形化したビーズ;これらシリカ等の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。これらの中でも、無機充填材は、シリカフィラー又はアルミナフィラーであることが好ましい。充填材(E)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
充填材(E)を用いる場合、裏面保護フィルム組成物における充填材(E)の含有量は、裏面保護フィルム組成物全量に対して、5〜80質量%であることが好ましく、7〜65質量%であることがより好ましい。充填材(E)の含有量が前記下限値以上であることで、充填材(E)を用いたことによる効果が得られやすくなる。また、充填材(E)の含有量が前記上限値以下であることで、形成される保護膜は保護作用及び信頼性が高くなる。
(着色剤(F))
裏面保護フィルム組成物は、着色剤(F)を含有していてもよい。着色剤(F)としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等、公知のものが挙げられる。
前記有機系顔料及び有機系染料としては、例えば、アミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素(金属錯塩染料)、ジチオール金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、トリアリルメタン系色素、アントラキノン系色素、ジオキサジン系色素、ナフトール系色素、アゾメチン系色素、ベンズイミダゾロン系色素、ピランスロン系色素及びスレン系色等が挙げられる。
前記無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、コバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素、白金系色素、ITO(インジウムスズオキサイド)系色素、ATO(アンチモンスズオキサイド)系色素等が挙げられる。
着色剤(F)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤(F)を用いる場合、裏面保護フィルム組成物における着色剤(F)の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよいが、裏面保護フィルム組成物全量に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.4〜7.5質量%であることがより好ましく、0.8〜5質量%であることが特に好ましい。
(カップリング剤(G))
裏面保護フィルム組成物は、カップリング剤(G)を含有していてもよい。裏面保護フィルム組成物は、カップリング剤(G)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを含有することにより、被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(G)が配合された裏面保護フィルムから形成された保護膜は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
カップリング剤(G)は、重合体成分(A)、(C)、エネルギー線硬化性化合物(B)等が有する官能基と反応可能な官能基を有するものが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、(3−ウレイドプロピル)トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
カップリング剤(G)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤(G)を用いる場合、裏面保護フィルム組成物におけるカップリング剤(G)の含有量は、成分(A)〜(C)の総含有量100質量部に対して、0.03〜20質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。カップリング剤(G)の含有量が前記下限値以上であることで、カップリング剤(G)を用いたことによる効果が得られやすくなる。また、カップリング剤(G)の含有量が前記上限値以下であることで、アウトガスの発生が抑制される。
(架橋剤(H))
重合体成分として、他の化合物と結合可能な、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有する、上述のアクリル系樹脂を用いる場合、この官能基を他の化合物と結合させて架橋するために、架橋剤(H)を用いることができる。架橋剤(H)を用いて架橋することにより、裏面保護フィルムの初期接着力及び凝集力を調節できる。
架橋剤(H)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤等が挙げられる。
架橋剤(H)として使用可能なイソシアネート系架橋剤としては、例えば、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物並びにこれら化合物の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体(各種有機多価イソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物)や、各種の有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。
架橋剤(H)として使用可能なイソシアネート系架橋剤としては、より具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて若しくは一部の水酸基に、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートの少なくとも1つが付加した化合物等が挙げられる。
イミン系架橋剤としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
架橋剤(H)としてイソシアネート系架橋剤を用いる場合、重合体成分であるアクリル系樹脂としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(H)がイソシアネート基を有し、アクリル系樹脂が水酸基を有する場合、架橋剤(H)とアクリル系樹脂との反応によって、裏面保護フィルムに架橋構造を簡便に導入できる。
架橋剤(H)を用いる場合、裏面保護フィルム組成物における架橋剤(H)の含有量は、重合体成分の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。
(汎用添加剤(I))
裏面保護フィルム組成物は、上述の成分以外に、汎用添加剤(I)を含有していてもよい。汎用添加剤(I)としては、例えば、公知の可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤、増感剤等が挙げられる。
裏面保護フィルムは、上記した裏面保護フィルム組成物により構成されるものであるが、裏面保護フィルムは、例えば、裏面保護フィルム組成物を、適宜希釈溶媒で希釈した上で、支持シートの表面に塗工して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることで形成できる。あるいは、剥離フィルム上に、裏面保護フィルム組成物を同様に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることで、裏面保護フィルムを形成し、その裏面保護フィルムを支持シートに転写することで形成することもできる。
裏面保護フィルム組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ロールナイフコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
また、裏面保護フィルム組成物の塗膜を乾燥させる温度は、80〜130℃であることが好ましく、乾燥時間は10秒〜10分であることが好ましい。
裏面保護フィルム組成物を希釈するために用いる希釈溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶媒が挙げられる。
希釈溶媒を配合した場合の裏面保護フィルム組成物の希釈液の固形分濃度は、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、更に好ましくは30〜65質量%である。なお、上記した各説明における裏面保護フィルム組成物全量は、裏面保護フィルム組成物の固形分全量(すなわち、裏面保護フィルム組成物から希釈溶媒を除いた量)を意味する。
裏面保護フィルムの厚さは、特に限定されないが、1〜100μmであることが好ましく、5〜75μmであることがより好ましく、5〜50μmであることが特に好ましい。裏面保護フィルムの厚さは、前記下限値以上であることで、半導体ウエハ又は半導体チップに対する接着力が高くなり、信頼性が向上しやすくなる。また、裏面保護フィルムの厚さが前記上限値以下であることにより、裏面保護フィルムの硬化物である保護膜を切断しやすくなり、半導体ウエハを半導体チップに個片化しやすくなる。
(支持シート)
裏面保護フィルムを担持するための支持シートは、上記したように樹脂フィルム等からなる基材フィルム、剥離フィルム、粘着シート等のいずれでもよいが、剥離フィルムであることが好ましい。
また、裏面保護フィルムに使用する剥離フィルムとしては、剥離フィルム用基材の一方の面をシリコーン樹脂等によって剥離処理したものが例示される。剥離フィルムは、剥離処理面が裏面保護フィルムに接触するように、裏面保護フィルムに貼り合わされる。
なお、基材フィルムや剥離フィルム用基材としては、上記した粘着シートの基材に使用可能なものとして例示された各種樹脂フィルム等が使用可能である。
また、支持シートとして使用される粘着シートは、例えば、ダイシングシートとして使用される公知の粘着シートから適宜選択可能である。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
以下の実施例、比較例において、重量平均分子量(Mw)は以下に示す方法により測定されたものである。
<重量平均分子量(Mw)>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8220GPC」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL−H」「TSK gel GMHXL(×2)」「TSK gel G2000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
[実施例1]
(リワーク用粘着シートの作製)
アクリル酸ブチル(BA)とアクリル酸(AA)とを、質量比(BA/AA)91/9で共重合して得たアクリル系共重合ポリマー(重量平均分子量(Mw):60万、Tg:−45℃)100質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製,製品名「KAYARAD DPHA」)120質量部と、光重合開始剤であるα−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア(登録商標)184」)3質量部と、架橋剤であるトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(東ソー株式会社製、製品名「コロネートL」)22質量部とからなる粘着剤組成物を、表面を易接着処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm、東洋紡株式会社製、製品名「PET50A4100」)の易接着処理面に塗布して、加熱乾燥することにより、厚さ30μmの粘着剤層を形成し、リワーク用粘着シートを得た。
(裏面保護フィルムを有する積層シートの作製)
剥離フィルム(厚さ:38μm、リンテック株式会社製、製品名「SP−PET381031」)の上に、以下の配合を有する裏面保護フィルム組成物を、ナイフコーターで塗工して120℃で加熱乾燥して、剥離フィルムの上に厚さ25μmの裏面保護フィルムを形成した。次いで、上記剥離フィルムとは別途用意した剥離フィルム(厚さ:38μm、リンテック株式会社製、製品名「SP−PET381031」)を、裏面保護フィルムの露出面に貼り合わせて、剥離フィルム/裏面保護フィルム/剥離フィルムからなる積層シートを作製し、ロール状に巻き取った。
[裏面保護フィルム組成物の配合]
裏面保護フィルム組成物は、非エネルギー線硬化性重合体成分(A)32質量部、エネルギー線硬化性化合物(B)10質量部、光重合開始剤(D)0.6質量部、充填剤(E)56質量部、着色剤(F)2質量部、及びカップリング剤(G)0.4質量部からなるものである。各成分の詳細は、以下のとおりである。
・非エネルギー線硬化性重合体成分(A):アクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、及びメタクリル酸グリシジルを質量比で10/70/15/5の割合で共重合して得たアクリル系樹脂(重量平均分子量(Mw):80万、Tg:−1℃)
・エネルギー線硬化性化合物(B):トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(日本化薬株式会社製「KAYARAD R−684」、2官能紫外線硬化性化合物、分子量304)
・光重合開始剤(D):エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(BASF製「イルガキュア(登録商標)OXE02」)
・充填材(E):シリカフィラー(溶融石英フィラー、平均粒径8μm)
・着色剤(F):フタロシアニン系青色色素(Pigment Blue 15:3)32質量部と、イソインドリノン系黄色色素(Pigment Yellow 139)18質量部と、アントラキノン系赤色色素(Pigment Red177)50質量部を混合し、色素成分/スチレンアクリル樹脂=1/3(質量比)となるように顔料化して得られた顔料
・カップリング剤(G):3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM−503」、シランカップリング剤)
上記で得た裏面保護フィルムを有する積層シート、及びリワーク用粘着シートを用いて、以下の手順でリワーク性を評価した。
(裏面保護フィルムの貼付)
直径8インチ(20.32cm)のシリコンウエハを研削装置(株式会社ディスコ製、製品名「DFG8760」)により300μm厚まで研削し、研削面を鏡面に仕上げたウエハを準備した。次に、上記で得た積層シートから一方の剥離フィルムを剥がし、剥離フィルム(支持シート)/裏面保護フィルムからなる積層シートを、裏面保護フィルム側がシリコンウエハに接触するように、貼付装置(リンテック株式会社製、製品名「RAD3510F/12」)を用いて、貼付速度20mm/sec、貼付温度25℃、貼付圧力0.5MPaの条件で、シリコンウエハの研削面へ貼付した。その後、シリコンウエハ上の積層シートをウエハと同サイズに切り取った。
<リワーク用粘着シートの貼付>
上記シリコンウエハに貼付した積層シートから剥離フィルムを剥がし、その後、ウエハ上に残った裏面保護フィルム上に、リワーク用粘着シートを、上記貼付装置で貼付速度20mm/sec、貼付温度25℃、貼付圧力0.5MPaの条件で貼付した。
<紫外線照射>
リワーク用粘着シートをシリコンウエハに貼付して20分放置した後、紫外線照射装置(リンテック株式会社製、製品名「RAD−2000m/12」)を用いて、リワーク用粘着シート側から、照度230mW/cm2、光量170mJ/cm2で紫外線照射を行い、粘着シートの粘着剤層、及び裏面保護フィルムを硬化させた。
<粘着シートの剥離>
シリコンウエハを吸着テーブルに固定し、リワーク用粘着シートを剥離角度180°、剥離速度2mm/minで剥離した。
<リワーク性の評価>
次いで、上記のようにリワーク用粘着シートを剥離した際に、粘着シートともに裏面保護フィルムが剥離できるか否かを評価した。剥離できたものを“A”、剥離できなかったものを“B”と評価した。
<ウエハ上の残渣物の評価>
リワーク用粘着シートを裏面保護フィルムとともに剥離後、ウエハ面上を目視にて観察し、裏面保護フィルム、及び粘着シートの残渣物がウエハ上に存在するか否かを目視にて確認した。n=3回の実験を行い、残渣物を全てのウエハで確認できない場合を“A”、いずれかのウエハで残渣物が確認できた場合を“B”と評価した。
[実施例2]
粘着剤組成物を、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)を質量比(2EHA/MA/HEA)60/30/10で共重合して得たアクリル系共重合ポリマー(重量平均分子量(Mw):60万、Tg:−46℃)100質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製,製品名「KAYARAD DPHA」144質量部と、光重合開始剤であるα−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤であるトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(東ソー株式会社製、製品名「コロネートL」)14質量部とからなる粘着剤組成物に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
[比較例1]
粘着剤組成物を、アクリル酸ブチル(BA)とアクリル酸(AA)とを、質量比(BA/AA)99/1で共重合して得たアクリル系共重合ポリマー(重量平均分子量(Mw):60万、Tg:−54℃)100質量部と、架橋剤であるトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(東ソー株式会社製,製品名「コロネートL」)3質量部からなる粘着剤組成物に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例1、2、比較例1の評価結果を以下の表1に示す。
※なお、表1において、“−”は、裏面保護フィルムが剥離できなかったため、評価できなかったことを示す。
表1の結果から明らかなように、実施例1、2では、リワーク用粘着シートとして、エネルギー線硬化型の粘着剤層を備えるものを使用することで、シリコンウエハから裏面保護フィルムを容易に剥離することができた。また、裏面保護フィルム剥離後に、シリコンウエハ上に残渣物がなかったため、シリコンウエハを再利用することが可能になる。一方で、比較例1では、リワーク用粘着シートとして、非エネルギー線硬化型のものを使用したため、シリコンウエハから裏面保護フィルムを剥離することができなかった。
10 半導体ウエハ
11 裏面保護フィルム
13 基材
14 粘着剤層
15 リワーク用粘着シート

Claims (8)

  1. 半導体ウエハの回路が形成された面の反対側の面に積層された、エネルギー線硬化型の裏面保護フィルムに、基材と、基材の一方の面に設けられたエネルギー線硬化型の粘着剤層とを備えるリワーク用粘着シートを、前記粘着剤層を介して貼り合わせる工程と、
    前記裏面保護フィルム及び粘着剤層にエネルギー線を照射して硬化させる工程と、
    前記半導体ウエハから、硬化した前記裏面保護フィルムを前記リワーク用粘着シートとともに剥離する工程と
    を備えるリワーク方法。
  2. 前記粘着剤層が、粘着性樹脂(X)と、エネルギー線硬化性化合物(Y)とを含有する粘着剤組成物により形成される請求項1に記載のリワーク方法。
  3. 前記粘着剤組成物におけるエネルギー線硬化性化合物(Y)の含有量が、粘着性樹脂(X)100質量部に対して、60質量部以上である請求項2に記載のリワーク方法。
  4. 前記裏面保護フィルムが、非エネルギー線硬化性重合体成分(A)とエネルギー線硬化性化合物(B)とを含有し、又はエネルギー線硬化性重合体成分(C)を含有する裏面保護フィルム組成物から形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載のリワーク方法。
  5. エネルギー線硬化性化合物(B)が、モノマー及び重量平均分子量100000未満のオリゴマーからなる群から選択される少なくとも1種である請求項4に記載のリワーク方法。
  6. 非エネルギー線硬化性重合体成分(A)又はエネルギー線硬化性重合体成分(C)が、重量平均分子量10000以上のアクリル系樹脂である請求項4又は5に記載のリワーク方法。
  7. 前記裏面保護フィルムが、非エネルギー線硬化性重合体成分(A)とエネルギー線硬化性化合物(B)とを含有する裏面保護フィルム組成物から形成される請求項1〜6のいずれか1項に記載のリワーク方法。
  8. 半導体ウエハの回路が形成された面の反対側の面に積層された、エネルギー線硬化型の裏面保護フィルム上に貼り合わされ、その後、前記裏面保護フィルムをリワーク用粘着シートとともに前記半導体ウエハから引き剥がすために使用されるリワーク用粘着シートであって、
    基材と、基材の一方の面に設けられたエネルギー線硬化型の粘着剤層とを備えるリワーク用粘着シート。
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