JP2017182966A - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法、電子デバイスの製造方法 - Google Patents

プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法、電子デバイスの製造方法 Download PDF

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智洋 奥村
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Abstract

【課題】短時間の加熱や高速な処理が可能で、かつ、プラズマを安定的に利用することができるプラズマ処理装置及び方法、電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】誘導結合型プラズマトーチユニットTにおいて、コイル3a及び3b、第一セラミックスブロック4及び第二セラミックスブロック5が配置され、チャンバ7は環状である。プラズマPは、チャンバ7における開口部8において基材2に照射される。開口部8の長手方向に対して垂直な向きに、チャンバ7と基材2とを相対的に移動させる。開口部8が、基材載置台1に向かって末広がりとなる形状となっているため、プラズマPの揺動が防止され、また、第二ガス供給穴14から下方に向けてガスを噴出することでプラズマPを基材2に押し付ける構成となっているため、より短時間・高速なプラズマ処理が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ処理装置及び方法、電子デバイスの製造方法に関する。
従来、多結晶シリコン(poly−Si)等の半導体薄膜は薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)や太陽電池に広く利用されている。これを安価に形成する方法として、非晶質シリコン膜にレーザー光を照射して結晶化するものがある。レーザープロセスは、イオン注入やプラズマドーピングによって半導体基板に導入した不純物原子の活性化などにも適用しうる。しかしながら、このレーザーアニール技術には、被加熱物の光吸収の大小によって到達温度がばらついたり、継ぎ目が発生するなどの課題があり、また非常に高価な設備を要する。
そこで、基材の近傍に線状の熱プラズマを発生させ、一方向にのみ走査することで、被加熱物の光吸収に依存しない加熱が可能で、また、継ぎ目なく、安価に熱処理を行う技術が検討されている(例えば、特許文献1〜3、及び、非特許文献1を参照)。
特開2013−120633号公報 特開2013−120684号公報 特開2013−120685号公報
T.Okumura and H.Kawaura,Jpn.J.Appl.Phys.52(2013)05EE01
しかしながら、半導体の結晶化など、ごく短時間だけ基材の表面近傍を高温処理する用途に対して、従来例に示した特許文献1〜3に記載の線状の熱プラズマを発生させる技術では、以下の問題点が生じる。
1)プラズマの照射強度を上げるために高周波電力を増大しすぎると、プラズマ源が熱により損傷してしまうので、高周波電力を抑制せざるを得ず、結果として処理時間を十分に短くできないという問題点。
2)処理速度(単位時間当たりに処理できる基板数)が小さくなる問題点。
3)基材に照射される線状のプラズマが、線の方向に垂直な向きに揺動することがあり、処理が不安定化する問題点。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、基材の表面近傍をごく短時間だけ均一に高温熱処理するに際して、或いは、反応ガスによるプラズマまたはプラズマと反応ガス流を同時に基材へ照射して基材を低温プラズマ処理するに際して、短時間の加熱や高速な処理が可能で、かつ、プラズマを安定的に利用することができるプラズマ処理装置及び方法、電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本願の第1発明のプラズマ処理装置は、線状の開口部を備え、前記開口部以外が誘電体部材に囲まれた前記開口部に連通する環状のチャンバと、前記チャンバ内にガスを導入するためのガス供給配管と、前記チャンバ近傍に設けられたコイルと、前記コイルに接続された高周波電源と、基材載置台とを備え、誘導結合型プラズマトーチを利用するプラズマ処理装置であって、前記開口部の前記基材載置台に対向する面の少なくとも一部が、前記基材載置台がなす面に対して傾斜していること、を特徴とする。
このような構成により、プラズマの揺動が抑制され、安定なプラズマ処理装置を実現できる。
本願の第1発明のプラズマ処理装置において、好適には、前記開口部を前記開口部がなす線に垂直な面で切った断面において、前記開口部が、前記基材載置台に向かって末広がりとなる形状をもつこと、が望ましい。
このような構成により、より安定なプラズマ処理装置を実現できる。
また、好適には、前記開口部近傍において、前記プラズマトーチから前記基材載置台に向けてガスを噴出させるガス噴出口を供えたこと、が望ましい。
このような構成により、高パワーでも誘電体部材が損傷しにくいため、高速な処理が可能なプラズマ処理装置を実現できる。
本願の第2発明のプラズマ処理方法は、誘電体部材で囲まれた環状のチャンバ内にガスを供給しつつ、前記チャンバに連通する線状の開口部から基材に向けてガスを噴出すると共に、コイルに高周波電力を供給することで、前記チャンバ内に高周波電磁界を発生させてプラズマを発生させ、前記基材の表面を処理する、誘導結合型プラズマトーチを利用するプラズマ処理方法であって、前記開口部の前記基材に対向する面の少なくとも一部が、前記基材がなす面に対して傾斜していること、を特徴とする。
このような構成により、プラズマの揺動が抑制され、安定なプラズマ処理を実現できる。
本願の第3発明の電子デバイスの製造方法は、本願の第2発明のプラズマ処理方法を用いることを特徴とする。
このような構成により、プラズマの揺動が抑制され、安定な電子デバイスの製造を実現できる。
本発明によれば、基材の表面近傍をごく短時間だけ均一に高温熱処理するに際して、或いは、反応ガスによるプラズマまたはプラズマと反応ガス流を同時に基材へ照射して基材をプラズマ処理するに際して、短時間の加熱や高速な処理が可能となる。
本発明の実施の形態1におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図 本発明の実施の形態1におけるプラズマ処理装置の構成を示す斜視図 本発明の実施の形態1における開口部付近の拡大断面図 本発明の実施の形態2におけるプラズマ処理装置の構成を示す断面図 本発明の実施の形態2におけるプラズマ処理装置の構成を示す平面図 本発明の実施の形態2におけるプラズマ発生領域を示す斜視図 本発明の実施の形態2におけるコイルの構成を示す斜視図 本発明の実施の形態2における開口部付近の拡大断面図 本発明の実施の形態2における開口部付近の拡大断面図 本発明の実施の形態3における開口部付近の拡大断面図 本発明の実施の形態4における開口部付近の拡大断面図
以下、本発明の実施の形態におけるプラズマ処理装置について図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図1〜図3を参照して説明する。
図1(a)は、本発明の実施の形態1におけるプラズマ処理装置の構成を示すもので、誘導結合型プラズマトーチユニットTを、開口部8がなす線方向に垂直な面で切った断面図である。図1(b)は、誘導結合型プラズマトーチユニットTを、開口部8がなす線方向に平行で、かつ、基材に垂直な面で切った断面図である。
詳細には、図1(a)は図1(b)の破線で切った断面図、図1(b)は図1(a)の破線で切った断面図である。また、図2は、図1に示した誘導結合型プラズマトーチユニットTの組立構成図であり、各部品(一部)の斜視図を並べたものである。また、図3は、図1における開口部8付近の拡大断面図である。
図1及び図2において、基材載置台としての基材ステージ1上に基材2が載置されている。誘導結合型プラズマトーチユニットTにおいて、導体製のコイル3a及び3bが、誘電体製の第一セラミックスブロック4及び第二セラミックスブロック5の近傍に配置される。コイル3は、断面が円形の銅管である。第一セラミックスブロック4、第二セラミックスブロック5及び基材2の表面によって囲まれた空間により、誘電体製のチャンバ7が画定される。
チャンバ7は、基材ステージ1がなす面に垂直な面に沿って設けられている。また、コイル3a及び3bの中心軸は、基材ステージ1に平行で、かつ、チャンバ7を含む平面に垂直な向きになるよう構成される。すなわち、コイル3a及び3bの一巻きが構成する面は基材ステージ1がなす面に垂直な面に沿って、かつ、チャンバ7を含む平面に沿って設けられている。
誘導結合型プラズマトーチユニットTは、全体が接地された導体製のシールド部材(図示しない)で囲われ、高周波の漏洩(ノイズ)が効果的に防止できるとともに、好ましくない異常放電などを効果的に防止できる。
チャンバ7は、第一セラミックスブロック4の一つの平面と、第二セラミックスブロック5に設けた溝に囲まれている。また、これらの誘電体部材としての2つの誘電体ブロックは貼り合わされている。つまり、チャンバ7は、開口部8以外が誘電体で囲まれている構成である。
また、チャンバ7は環状である。ここでいう環状とは、一続きの閉じたヒモ状をなす形状を意味し、円形に限定されるものではない。本実施の形態においては、長方形(2つの長辺をなす直線部と、その両端に2つの短辺をなす直線が連結されてなる、一続きの閉じたヒモ状の形状)のチャンバ7を例示している。チャンバ7に発生したプラズマPは、チャンバ7における長尺で線状の開口部8において、基材2の表面に接触する。また、チャンバ7の長手方向と開口部8の長手方向とは平行に配置されている。
第二セラミックスブロック5の内部に第一ガスマニホールド9が設けられている。第一ガス供給配管10より第一ガスマニホールド9に供給されたガスは、第二セラミックスブロック5に設けられたガス導入部としての第一ガス供給穴11(貫通穴)を介して、チャンバ7に導入される。このような構成により、長手方向に均一なガス流れを簡単に実現できる。第一ガス供給配管10へ導入するガスの流量は、その上流にマスフローコントローラなどの流量制御装置を備えることにより制御される。
第二セラミックスブロック5の内部に第二ガスマニホールド12が設けられている。第二ガス供給配管13より第二ガスマニホールド12に供給されたガスは、第二セラミックスブロック5に設けられたガス導入部としての第二ガス供給穴14(貫通穴)を介して、開口部8の近傍に導入される。つまり、第二ガス供給穴14の最下部が、誘導結合型プラズマトーチユニットTから基材ステージ1に向けてガスを噴出させるガス噴出口となっている。このような構成により、長手方向に均一なガス流れを簡単に実現できる。第二ガス供給配管13へ導入するガスの流量は、その上流にマスフローコントローラなどの流量制御装置を備えることにより制御される。
第一ガス供給穴11及び第二ガス供給穴14は、ともに長尺のスリットであるが、丸い穴状のものを長手方向に複数設けたものであってもよい。また、第一ガスマニホールド9及び第二ガスマニホールド12の内部に多孔質セラミックスなどを配置して、第一ガスマニホールド9及び第二ガスマニホールド12内での放電を防止することができる。
コイル3a及び3bの内部は冷媒流路となっている。また、コイル3a及び3bは、セラミックスカバー15に設けた溝と、第一セラミックスブロック4及び第二セラミックスブロック5とによって囲まれた冷媒流路としての水路6内に配置される。水路6に水などの冷媒を流すことで、コイル3a及び3b、第一セラミックスブロック4及び第二セラミックスブロック5の冷却が可能である。
また、コイル3a及び3bは、第一セラミックスブロック4の外側、第二セラミックスブロック5の外側に各一つずつ配置され、かつ、チャンバ7から離れた位置で並列に接続され、高周波電力を印加した際に、チャンバ7に発生させる高周波電磁界の向きが互いに等しくなるようになっている。コイル3a及び3bは、これら二つのうちのどちらか一方だけでも機能しうるが、本実施の形態のように、チャンバ7を挟んで二つを設けた方が、チャンバ7内に発生する電磁界の強度を強めることができるという利点がある。
長方形の線状の開口部8が設けられ、基材2は、開口部8と対向して配置されている。事前にチャンバ7内にガスを供給しつつ、開口部8からガスを噴出させながら、図示していない高周波電源よりコイル3a及び3bに例えば13.56MHzの高周波電力を供給することにより、チャンバ7にプラズマPを発生させておき、その後、基材2を誘導結合型プラズマトーチユニットTの近傍に移動させ、開口部8付近のプラズマを基材2の表面に曝露することにより、基材2をプラズマ処理することができる。
開口部8がなす線の方向に対して垂直な向きに、チャンバ7と基材ステージ1とを相対的に移動させることで、基材2を処理する。つまり、図1(a)の左右方向へ、図1(b)の紙面に垂直な方向へ、誘導結合型プラズマトーチユニットTまたは基材ステージ1を動かす。
チャンバ7内に供給するガスとして種々のものが使用可能だが、プラズマの安定性、着火性、プラズマに暴露される部材の寿命などを考えると、不活性ガス主体であることが望ましい。なかでも、Arガスが典型的に用いられる。Arのみでプラズマを生成させた場合、プラズマは相当高温となる(10,000K以上)。Hガスを僅かに加えることで、より高温のプラズマを得ることができる。
プラズマ発生の条件としては、走査速度=50〜3000mm/s、ガス総流量=1〜100SLM、Ar+Hガス中のH濃度=0〜10%、高周波電力=0.5〜50kW程度の値が適切である。ただし、これらの諸量のうち、ガス流量及び電力は、開口部8の長さ100mm当たりの値である。ガス流量や電力などのパラメータは、開口部8の長さに比例した量を投入することが適切と考えられるためである。
図3に示すように、第一セラミックスブロック4における、開口部8の基材ステージ1に対向する面17と、第二セラミックスブロック5の基材ステージ1に対向する面18が、基材ステージ1がなす面に対して傾斜しており、開口部8が、基材ステージ1に向かって末広がりとなる形状をもつように構成されている。このような構成では、開口部8の左右方向の中央部にプラズマPがとどまりやすくなる。何故なら、プラズマPが接触する壁としての開口部8の基材ステージ1に対向する面と、基材2との距離が、開口部8の中央部で最も広くなり、少しでも左右にプラズマが動くとエネルギー状態が上がってしまうため、もとの中央部に戻ろうとする力が働くためである。すなわち、このような構成により、プラズマの揺動が抑制され、安定なプラズマ処理を実現できる。
さらに、開口部8近傍において、第二ガス供給穴14から図の矢印方向(下方)にガスを噴出させることで、プラズマPを基材2の方へ押し付けることができる。このことは、開口部8の基材ステージ1に対向する面からプラズマPが遠ざかることを意味するので、高パワーを供給した場合においても誘電体部材が損傷しにくいため、高速な処理が可能なプラズマ処理を実現できる。また、同時に、第二ガス供給穴14から下方にガスを噴出させない場合に比べて、プラズマPが基材2に近づくことを意味するので、同一パワーで運転した場合にも、基材2の表面をより高温に処理することが可能となり、高速な処理が可能なプラズマ処理を実現できる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図4〜図9を参照して説明する。
図4(a)は、本発明の実施の形態2におけるプラズマ処理装置の構成を示すもので、誘導結合型プラズマトーチユニットTを、開口部8がなす線方向に垂直で、かつ、図4(b)〜(e)及び図5の点線A−A‘を通る面で切った断面図である。図4(b)〜(e)は、誘導結合型プラズマトーチユニットTを、開口部8がなす線方向に平行で、かつ、図4(a)の点線を通る面で切った断面図である。図4(b)は図4(a)の点線B−B’で切った断面図、図4(c)は図4(a)の点線C−C’で切った断面図、図4(d)は図4(a)の点線D−D’で切った断面図、図4(e)は図4(a)の点線E−E’で切った断面図である。図5は、図4に示した誘導結合型プラズマトーチユニットTを図4の下方から上方を見た平面図である。図6は、プラズマの発生領域を示す斜視図であり、図4(a)の右手前から斜め下方向を見た図である。図7は、コイルの構成を示す斜視図であり、図6と同様、図4(a)の右手前から斜め下方向を見た図である。また、図8は、図4における開口部8付近の拡大断面図である。図9は、比較例における開口部8付近の拡大断面図である。
図4において、基材載置台としての基材ステージ1上に基材2が配置されている。誘導結合型プラズマトーチユニットTにおいて、導体製のコイル3c及び3dが、第一セラミックスブロック4、第二セラミックスブロック5及び基材2によって囲まれた空間により画定される長尺で環状のチャンバ7の近傍に配置される。より具体的には、コイル3(3c及び3d)はともに線状であり、基材ステージ1から遠い側のコイル3cは、第二セラミックスブロック5に設けられた溝内に配置され、基材ステージ1に近い側のコイル3dは、セラミックス管31の内部に配置される。基材ステージ1がなす面に概ね垂直な面に沿ってコイル3及びチャンバ7が配置されている。
誘導結合型プラズマトーチユニットTは、全体が接地された導体製のシールド部材(図示しない)で囲われ、高周波の漏洩(ノイズ)が効果的に防止できるとともに、好ましくない異常放電などを効果的に防止できる。
チャンバ7は、第一セラミックスブロック4及び第二セラミックスブロック5に設けた溝が一続きとなった環状の溝に囲まれている。つまり、チャンバ7全体が誘電体で囲まれている構成である。また、チャンバ7は環状である。ここでいう環状とは、一続きの閉じたヒモ状をなす形状を意味している。本実施の形態において、チャンバ7は、第一セラミックスブロック4に設けた長辺をなす直線部、第一セラミックスブロック4に設けた、前記直線部の両端に配された2つの短辺をなす直線部、及び第二セラミックスブロック5の最下部に設けた長辺をなす直線部が連結されてなる、一続きの閉じたヒモ状の形状である。言い換えると、チャンバ7は、線状の開口部8に隣接した線状の領域(第二セラミックスブロック5の最下部に設けた長辺をなす直線部)と、これと平行に配置された線状の領域とからなる2つの線状の領域(第一セラミックスブロック4に設けた長辺をなす直線部)を含んでいる。また、開口部8を構成する環状のチャンバ7の内壁面は、セラミックス管13が開口部8の方向に露出している部分であり、線状をなしている。従って、基材2にプラズマが照射される領域(開口部8付近)においては、基材ステージ1または基材2とチャンバ7の内壁面との距離が一定であるので、均一な処理を行うことができる。また、チャンバ7は扁平であり、開口部8は、チャンバ7を囲う誘電体の一部を直線状に切除する(云い換えると、平面で分割する)ことによって開口されている。
また、コイル3は、2つの線状の領域のみに沿って配置された2本の線状の導体からなる。つまり、コイル3は、2つの短辺をなす直線部に沿っては設けられていない。旧来の誘導結合型プラズマトーチにおいては、円筒形のチャンバを取り巻くように螺旋状のコイルが設けられるのが通常であった。つまり、チャンバの全体に沿ってコイルが配置される。また、非特許文献1に開示されている新しい細長いタイプ(ライン状のプラズマ処理を実現するもの)の誘導結合型プラズマトーチにおいても、コイルはチャンバの全体に沿って配置されていた。
本実施の形態のような、2つの長辺と2つの短辺からなるチャンバにおいては、より長い領域となる長辺に沿ってのみコイルを配置するだけで、所望のプラズマを得ることができる。従来のような螺旋形やスパイラル形のコイルでは、円筒内にコイルを配置できなかったが、本実施の形態で説明するように、コイルが線状なので、これを回転する円筒内に配置できるという大きな利点がある。
なお、図7に示すように、コイル3cと3dには、開口部8の長手方向に沿って逆向き(逆位相)の高周波電力を印加する。ここでは、1つの高周波電源を分岐する場合を例示したが、2台の高周波電源を、フェーズシフターなどを適宜用いて同期運転させてもよい。コイル3c及び3dが並列回路を構成しているため、合成インダクタンスが小さくなり、駆動電圧が小さくて済むという利点もある。コイル3cの両端には、コイル3cとは垂直方向に連続した接続部としての銅棒24が設けられ、後で詳しく述べる冷媒流路16と第二セラミックスブロック5を貫通して外部との電気的接続がなされる。一方、コイル3dはセラミックス管31を貫通して、ロータリージョイントなどで構成された回転機構を貫通して外部との電気的接続がなされる。
チャンバ7に発生したプラズマPは、チャンバ7の最下部をなすプラズマ噴出口(第二セラミックスブロック5の最下部に設けた長辺をなす直線状の開口部8)より基材2に向けて噴出する。また、チャンバ7の長手方向と開口部8の長手方向とは平行に配置されている。
第一セラミックスブロック4に設けた長方形の溝は第一ガスマニホールド9である。第一ガス供給配管10より第一ガスマニホールド9に供給されたガスは、第一セラミックスブロック4に設けられた溝と第二セラミックスブロック5の平面部との間に位置するガス導入部としての第一ガス供給穴11を介して、チャンバ7に導入される。このような構成により、長手方向に均一なガス流れを簡単に実現できる。第一ガス供給配管10へ導入するガスの流量は、その上流にマスフローコントローラなどの流量制御装置を備えることにより制御される。
第二セラミックスブロック5の内部に第二ガスマニホールド12が設けられている。第二ガス供給配管13より第二ガスマニホールド12に供給されたガスは、第二セラミックスブロック5に設けられたガス導入部としての第二ガス供給穴14(貫通穴)を介して、開口部8の近傍に導入される。つまり、第二ガス供給穴14の最下部が、誘導結合型プラズマトーチユニットTから基材ステージ1に向けてガスを噴出させるガス噴出口となっている。このような構成により、長手方向に均一なガス流れを簡単に実現できる。第二ガス供給配管13へ導入するガスの流量は、その上流にマスフローコントローラなどの流量制御装置を備えることにより制御される。
第一ガス供給穴11及び第二ガス供給穴14は、ともに長尺のスリットであるが、丸い穴状のものを長手方向に複数設けたものであってもよい。また、第一ガスマニホールド9及び第二ガスマニホールド12の内部に多孔質セラミックスなどを配置して、第一ガスマニホールド9及び第二ガスマニホールド12内での放電を防止することができる。
第一セラミックスブロック4と第二セラミックスブロック5の間に、円筒状のセラミックス管31が設けられ、チャンバ7の最下部の上面がセラミックス管31により構成される配置となっている。つまり、チャンバ7を囲む誘電体部材のうち、基材ステージ1に相対する面を構成する部位が、開口部8の線方向と平行に配置された円筒からなっている。また、セラミックス管31を、その軸を中心に回転させる回転機構が備えられている。さらに、セラミックス管31は、内部に空洞をもつ管であり、その内部の空洞に冷媒を流す機構が備えられている。
また、図1(e)に示すように、セラミックス管31は開口部8の線方向の長さよりも長く、チャンバ7から十分離れた位置に回転機構(図示しない)を配置している。回転機構としては、セラミックス管31の回転によってチャンバ7の形状が変化しないよう、高精度の回転ガイドを設けることが望ましく、ベルトドライブやギアなどの機構によってモータなどの回転動力が伝達される。また、内部に冷媒を流しつつ回転できるよう、回転継手(ロータリージョイント)を用いることができる。
回転する円筒状のセラミックス管31の内部に、円筒の軸に沿って線状のコイル3dが設けられている。このような配置は、コイル3dと、開口部8と連通しこれに隣接するチャンバ7の直線部との距離を小さくできる。つまり、コイル3とチャンバ7の距離を近づけた配置が可能となる。このことは、プラズマ生成効率の向上に大きく寄与する。つまり、高速で効率的なプラズマ処理が実現できる。
第一セラミックスブロック4と第三セラミックスブロック21に囲まれた冷媒流路16が設けられ、第一セラミックスブロック4の冷却がなされる。また、コイル3cは、断面が円形の銅棒を、第二セラミックスブロック5と第四セラミックスブロック22に囲まれた冷媒流路16の内部に配置したものである。コイル3を中空の管とし、冷媒流路16とは別系統で冷媒を給排してもよい。このように、冷媒流路16に水などの冷媒を流すことで、コイル3及び各セラミックス部品の冷却が可能である。第一セラミックスブロック4及び第二セラミックスブロック5には優れた耐熱性が求められるので、窒化シリコンを主成分とするセラミックス、または、シリコン、アルミニウム、酸素、窒素を主成分とするセラミックスが適している。
第三セラミックスブロック21及び第四セラミックスブロック22にはさほどの耐熱性は必要ないので、酸化アルミニウム(アルミナ)などの比較的安価なセラミックスを用いることができる。銅棒24は、図示しない継ぎ手によって第四セラミックスブロック15に固定され、冷媒が漏れないように構成することが可能である。第一セラミックスブロック4と第三セラミックスブロック21、及び、第二セラミックスブロック5と第四セラミックスブロック22の間には、外部オーリング19及び内部オーリング20が配置され、冷媒が漏れないように構成されている。
冷媒流路16は、図4(b)に示すように、仕切り23により内部で仕切られており、一続きの流路をなす。コイル3に流れる高周波電流の向きと冷媒流路16に流れる冷媒の流れの向きが平行している構成である。また、図5及び図6からわかるように、発生するプラズマPは開口部8の線方向の長さが等しい2つの長方形がL字状に接合された立体の外縁と同じような形状となる。このように、従来例と比べてプラズマPが若干いびつな形状となっているのは、チャンバ7をセラミックス管31と干渉しないように配置する必要があるためである。
チャンバ7内にプラズマガスを供給しつつ、開口部8から基材2に向けてガスを噴出させながら、高周波電源30よりコイル3に高周波電力を供給することにより、チャンバ7にプラズマPを発生させ、開口部8からプラズマPを基材2に照射することにより、基材2をプラズマ処理することができる。開口部8の線方向(長手方向)に対して垂直な向きに、チャンバ7と基材ステージ1とを相対的に移動させることで、基材2を処理する。つまり、図4の左右方向へ誘導結合型プラズマトーチユニットTまたは基材ステージ1を動かす。
基材2を効率的に処理するために誘導結合型プラズマトーチユニットTと基材2との距離を小さくしていったとき、最も大きな熱量を受けるのは、基材ステージ1近傍のチャンバ7の、基材ステージ1とは反対側の部分(基材ステージ1に相対する部分)の内壁面である。従って、損傷を抑制するためには、この部分をより効果的に冷却する必要がある。そこで、本実施の形態においては、冷媒流路16を内部に備えたセラミックス管31を用いる構成とした。セラミックス管31を円筒状とすることで高い強度が確保でき、内部の水圧を高められるので、より多くの冷却水を流すことが可能となる。
また、セラミックス管31を回転させることで、プラズマPから熱を受ける面が常に入れ替わる構成としている。つまり、プラズマPから熱を受けて高温になった部分は、回転によって速やかにプラズマPから熱を受けない位置に移動し、急速に冷却される。従って、従来例と比べて飛躍的に高い高周波電力を印加できるようになり、高速のプラズマ処理が可能となる。
このように、本実施の形態によれば、高い高周波電力を投入することができる。つまり、基材の表面近傍をごく短時間だけ均一に高温熱処理するに際して、或いは、反応ガスによるプラズマまたはプラズマと反応ガス流を同時に基材へ照射して基材を低温プラズマ処理するに際して、高速な処理が可能で、かつ、プラズマを安定的に利用することができる。つまり、大きな電力で運転できるため、プラズマの照射強度が上げられ、結果として処理速度(単位時間当たりに処理できる基板数)が大きくなる。
図8に示すように、第一セラミックスブロック4における、開口部8の基材ステージ1に対向する面25と、第二セラミックスブロック5の基材ステージ1に対向する面26が、基材ステージ1がなす面に対して傾斜しており、開口部8が、基材ステージ1に向かって末広がりとなる形状をもつように構成されている。このような構成では、開口部8の左右方向の中央部にプラズマPがとどまりやすくなる。
何故なら、プラズマPが接触する壁としての開口部8の基材ステージ1に対向する面と、基材2との距離が、開口部8の中央部近傍で最も広くなり、左右にプラズマが動くとエネルギー状態が上がってしまうため、もとの中央部に戻ろうとする力が働くためである。すなわち、このような構成により、プラズマの揺動が抑制され、安定なプラズマ処理を実現できる。
さらに、開口部8近傍において、第二ガス供給穴14を介して、セラミックス筒31と第一セラミックスブロック4及び第二セラミックスブロック5との隙間から、図の矢印方向(斜め下方)にガスを噴出させることで、プラズマPを基材2の方へ押し付けることができる。このことは、開口部8の基材ステージ1に対向する面からプラズマPが遠ざかることを意味するので、高パワーを供給した場合においても誘電体部材が損傷しにくいため、高速な処理が可能なプラズマ処理を実現できる。
また、同時に、セラミックス筒31と第一セラミックスブロック4及び第二セラミックスブロック5との隙間から下方にガスを噴出させない場合に比べて、プラズマPが基材2に近づくことを意味するので、同一パワーで運転した場合にも、基材2の表面をより高温に処理することが可能となり、高速な処理が可能なプラズマ処理を実現できる。
なお、比較例として、図9に示すように、開口部8が、基材ステージ1に向かって末広がりとなる形状でない場合について説明する。開口部8の中央部における、プラズマPが接触する壁としての開口部8の基材ステージ1に対向する面と、基材2との距離25よりも、開口部8の中央部より左または右の位置における、プラズマPが接触する壁としての開口部8の基材ステージ1に対向する面と、基材2との距離26の方が広くなっている。
従って、開口部8の左右方向の中央部に一旦、プラズマPが生成されても、プラズマPが接触する壁としての開口部8の基材ステージ1に対向する面と、基材2との距離が広い方にプラズマが移動しやすく(その方がエネルギー状態が低い)、もとの中央部に戻ろうとする力が働かない。すなわち、このような構成では、基材に照射される線状のプラズマが、線の方向に垂直な向きに揺動しやすくなり、処理が不安定化する。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について、図10を参照して説明する。
図10は、本発明の実施の形態3におけるプラズマ処理装置の構成を示すもので、誘導結合型プラズマトーチユニットTを、開口部8がなす線方向に垂直な面で切った断面図における、開口部8付近の拡大断面図であり、実施の形態2の図8に相当する。
図8においては、セラミックス管31の最下部が開口部8に露出していたため、厳密には開口部8の中央部よりも少し左右に寄った位置において、プラズマPが接触する壁としての開口部8の基材ステージ1に対向する面と、基材2との距離が広くなっている構成であった。
図10においては、セラミックス管31を開口部8に露出させない構成とし、セラミックス管31の最下部と開口部8を繋ぐスリット状のガス噴出部29を設けている。そして、第一セラミックスブロック4における、開口部8の基材ステージ1に対向する面27と、第二セラミックスブロック5の基材ステージ1に対向する面28が、基材ステージ1がなす面に対して傾斜しており、開口部8が、基材ステージ1に向かって末広がりとなる形状をもつように構成されている。
このような構成にすることで、プラズマPが接触する壁としての開口部8の基材ステージ1に対向する面と、基材2との距離が、開口部8の中央部で最も広くなり、少しでも左右にプラズマが動くとエネルギー状態が上がってしまうため、もとの中央部に戻ろうとする力が働く。よって、開口部8の左右方向の中央部にプラズマPがとどまりやすくなる。すなわち、このような構成により、プラズマの揺動が抑制され、安定なプラズマ処理を実現できる。
さらに、開口部8近傍において、ガス噴出部29から図の矢印方向(下方)にガスを噴出させることで、プラズマPを基材2の方へ押し付けることができる。このことは、開口部8の基材ステージ1に対向する面からプラズマPが遠ざかることを意味するので、高パワーを供給した場合においても誘電体部材が損傷しにくいため、高速な処理が可能なプラズマ処理を実現できる。また、同時に、ガス噴出部29から下方にガスを噴出させない場合に比べて、プラズマPが基材2に近づくことを意味するので、同一パワーで運転した場合にも、基材2の表面をより高温に処理することが可能となり、高速な処理が可能なプラズマ処理を実現できる。
この構成では、セラミックス管31が第一セラミックスブロック4及び第二セラミックスブロック5で構成された円筒状の空間内に収納されているので、セラミックス管31を回転させる効果は得られないが、ガス噴出によってプラズマを基材2の方へ押し付ける効果は、ガスを斜め下方に噴出する実施の形態2よりも高いので、条件によっては、より高速な処理が可能なプラズマ処理を実現できる。
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4について、図11を参照して説明する。
図11は、本発明の実施の形態4におけるプラズマ処理装置の構成を示すもので、誘導結合型プラズマトーチユニットTを、開口部8がなす線方向に垂直な面で切った断面図における、開口部8付近の拡大断面図であり、実施の形態1の図3に相当する。
図11に示すように、第一セラミックスブロック4における、開口部8の基材ステージ1に対向する面17と、第二セラミックスブロック5の基材ステージ1に対向する面18が、基材ステージ1がなす面に対して傾斜しているが、これらは全体として蒲鉾状となっている。なお、第一セラミックスブロック4における、開口部8の基材ステージ1に対向する面17と、第二セラミックスブロック5の基材ステージ1に対向する面18は、ともに楕円弧である。このような形状の場合も、開口部8が、基材ステージ1に向かって末広がりとなる形状をもつように構成されているといえる。
このような構成によっても、開口部8の左右方向の中央部にプラズマPがとどまりやすくなり、プラズマの揺動が抑制され、安定なプラズマ処理を実現できる。さらに、開口部8近傍において、第二ガス供給穴14から図の矢印方向(下方)にガスを噴出させることで、プラズマPを基材2の方へ押し付けることができる。
以上述べたプラズマ処理装置及び方法は、本発明の適用範囲のうちの典型例を例示したに過ぎない。
例えば、誘導結合型プラズマトーチユニットTを、固定された基材ステージ1に対して走査してもよいし、固定された誘導結合型プラズマトーチユニットTに対して、基材ステージ1を走査してもよい。
また、本発明の種々の構成によって、基材2の表面近傍を高温処理することが可能となる。それにより、従来例で述べたTFT用半導体膜の結晶化や太陽電池用半導体膜の改質に適用可能である。勿論、シリコン半導体集積回路の酸化、活性化、シリサイド形成などのアニール、プラズマディスプレイパネルの保護層の清浄化や脱ガス低減、シリカ微粒子の集合体からなる誘電体層の表面平坦化や脱ガス低減、種々の電子デバイスのリフロー、固体不純物源を用いたプラズマドーピングなど、様々な表面処理に適用できる。
また、太陽電池の製造方法としては、シリコンインゴットを粉砕して得られる粉末を基材上に塗布し、これにプラズマを照射して溶融させ多結晶シリコン膜を得る方法にも適用可能である。
また、説明においては簡単のため「熱プラズマ」という言葉を用いているが、熱プラズマと低温プラズマの区分けは厳密には難しく、また、例えば、田中康規「熱プラズマにおける非平衡性」プラズマ核融合学会誌、Vol.82、No.8(2006)pp.479−483において解説されているように、熱的平衡性のみでプラズマの種類を区分することも困難である。
本発明は、基材を熱処理することを一つの目的としており、熱プラズマ、熱平衡プラズマ、高温プラズマなどの用語にとらわれず、高温のプラズマを照射する技術に関するものに適用可能である。前述のとおり、誘導結合型プラズマトーチにおいては、弱い放電と強い放電の2つのモードが存在しうるが、本発明は強い放電を効果的に利用するためのものであるということもできる。
また、基材の表面近傍をごく短時間だけ均一に高温熱処理する場合について詳しく例示したが、反応ガスによるプラズマまたはプラズマと反応ガス流を同時に基材へ照射して基材を低温プラズマ処理する場合においても、本発明は適用できる。プラズマガスに反応ガスを混ぜることにより、反応ガスによるプラズマを基材へ照射し、エッチングやCVDが実現できる。
或いは、プラズマガスとしては希ガスまたは希ガスに少量のHガスを加えたガスを用いつつ、シールドガスとして反応ガスを含むガスを供給することによって、プラズマと反応ガス流を同時に基材へ照射し、エッチング、CVD、ドーピングなどのプラズマ処理を実現することもできる。プラズマガスとしてアルゴンを主成分とするガスを用いると、実施例で詳しく例示したように、熱プラズマが発生する。
一方、プラズマガスとしてヘリウムを主成分とするガスを用いると、比較的低温のプラズマを発生させることができる。このような方法で、基材をあまり加熱することなく、エッチングや成膜などの処理が可能となる。エッチングに用いる反応ガスとしては、ハロゲン含有ガス、例えば、C(x、yは自然数)、SFなどがあり、シリコンやシリコン化合物などをエッチングすることができる。反応ガスとしてOを用いれば、有機物の除去、レジストアッシングなどが可能となる。CVDに用いる反応ガスとしては、モノシラン、ジシランなどがあり、シリコンやシリコン化合物の成膜が可能となる。
或いは、TEOS(Tetraethoxysilane)に代表されるシリコンを含有した有機ガスとOの混合ガスを用いれば、シリコン酸化膜を成膜することができる。その他、撥水性・親水性を改質する表面処理など、種々の低温プラズマ処理が可能である。容量結合型大気圧プラズマを用いた従来技術に比較すると、誘導結合型であるため、単位体積あたり高いパワー密度を投入してもアーク放電に移行しにくく、より高密度なプラズマが発生可能であり、その結果、速い反応速度が得られ、基材の所望の被処理領域全体を短時間で効率よく処理することが可能となる。
以上のように本発明は、さまざまな電子デバイスの製造に利用可能で、例えば、TFT用半導体膜の結晶化や太陽電池用半導体膜の改質に適用可能である。
勿論、半導体の活性化アニール、プラズマディスプレイパネルの保護層の清浄化や脱ガス低減、シリカ微粒子の集合体からなる誘電体層の表面平坦化や脱ガス低減、種々の電子デバイスのリフロー、固体不純物源を用いたプラズマドーピングなど、様々な表面処理において、基材の表面近傍をごく短時間だけ均一に高温熱処理するに際して、高速な処理が可能で、かつ、プラズマを安定的に利用することができる有用な発明である。
また、種々の電子デバイスなどの製造における、エッチング・成膜・ドーピング・表面改質などの低温プラズマ処理において、基材の所望の被処理領域全体を短時間で効率よく処理する上で有用な発明である。
T 誘導結合型プラズマトーチユニット
1 基材ステージ
2 基材
3,3a,3b,3c,3d コイル
4 第一セラミックスブロック
5 第二セラミックスブロック
6 水路
7 チャンバ
8 開口部
9 第一ガスマニホールド
10 第一ガス供給配管
11 第一ガス供給穴
12 第二ガスマニホールド
13 第二ガス供給配管
14 第二ガス供給穴
15 セラミックスカバー
P プラズマ

Claims (5)

  1. 線状の開口部を備え、前記開口部以外が誘電体部材に囲まれた前記開口部に連通する環状のチャンバと、前記チャンバ内にガスを導入するためのガス供給配管と、前記チャンバ近傍に設けられたコイルと、前記コイルに接続された高周波電源と、基材載置台とを備え、誘導結合型プラズマトーチを利用するプラズマ処理装置であって、
    前記開口部の前記基材載置台に対向する面の少なくとも一部が、前記基材載置台がなす面に対して傾斜していること、
    を特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記開口部を前記開口部がなす線に垂直な面で切った断面において、前記開口部が、前記基材載置台に向かって末広がりとなる形状をもつこと、
    を特徴とする、請求項1記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記開口部近傍において、前記プラズマトーチから前記基材載置台に向けてガスを噴出させるガス噴出口を供えたこと、
    を特徴とする、請求項1記載のプラズマ処理装置。
  4. 誘電体部材で囲まれた環状のチャンバ内にガスを供給しつつ、前記チャンバに連通する線状の開口部から基材に向けてガスを噴出すると共に、コイルに高周波電力を供給することで、前記チャンバ内に高周波電磁界を発生させてプラズマを発生させ、前記基材の表面を処理する、誘導結合型プラズマトーチを利用するプラズマ処理方法であって、
    前記開口部の前記基材に対向する面の少なくとも一部が、前記基材がなす面に対して傾斜していること、
    を特徴とするプラズマ処理方法。
  5. 請求項4のプラズマ処理方法を用いることを特徴とする、
    電子デバイスの製造方法。
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