JP2017181545A - 表示装置製造用フォトマスクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全かつ安価にフォトマスクを作製できるフォトマスクの製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス基板1と、ガラス基板1主表面上の金属シリサイド系材料から構成される機能膜2と、機能膜2上のクロム系材料から構成されるエッチングマスク膜3と、エッチングマスク膜3上にレジスト膜4が形成されたフォトマスクブランクを準備し、レジストパターン41を形成し、レジストパターン41をマスクとして、エッチングによりエッチングマスク膜パターン31を形成する工程と、レジストパターン41及びエッチングマスク膜パターン31の少なくとも一方をマスクとして、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液からなるエッチング液を用いて、機能膜2をウェットエッチングによりパターニングして、機能膜パターン21を形成する工程とを有する。
【選択図】図3
【解決手段】ガラス基板1と、ガラス基板1主表面上の金属シリサイド系材料から構成される機能膜2と、機能膜2上のクロム系材料から構成されるエッチングマスク膜3と、エッチングマスク膜3上にレジスト膜4が形成されたフォトマスクブランクを準備し、レジストパターン41を形成し、レジストパターン41をマスクとして、エッチングによりエッチングマスク膜パターン31を形成する工程と、レジストパターン41及びエッチングマスク膜パターン31の少なくとも一方をマスクとして、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液からなるエッチング液を用いて、機能膜2をウェットエッチングによりパターニングして、機能膜パターン21を形成する工程とを有する。
【選択図】図3
Description
本発明は、フラットパネルディスプレイなどの表示装置を製造するために用いられる表示装置製造用フォトマスクの製造方法に関する。
現在、液晶表示装置に採用されている方式として、VA(Vertical alignment)方式やIPS(In Plane Switching)方式がある。これらの方式により、高精細、高速表示性能、広視野角の液晶表示装置の実現が図られている。これらの方式を適用した液晶表示装置では、透明導電膜によるラインアンドスペースパターンで画素電極を形成することによって、応答速度、視野角を改善することができる。最近では、応答速度および視野角の更なる向上や、液晶表示装置の光利用効率の向上、すなわち、液晶表示装置の低消費電力化やコントラスト向上の観点から、ラインアンドスペースパターンのピッチ幅の微細化が求められている。例えば、ラインアンドスペースパターンのピッチ幅を6μmから5μmへ、さらに5μmから4μmへと狭くすることが望まれている。
また、液晶表示装置や有機EL表示装置の製造の際には、必要なパターニングが施された、複数の導電膜や絶縁膜を積層することによってトランジスタなどの素子を形成する。その際、積層される個々の膜のパターニングに、フォトリソグラフィー工程を利用することが多い。例えば、これらの表示装置に用いられる薄膜トランジスタには、フォトリソグラフィー工程によって、絶縁層にコンタクトホールを形成し、上層のパターンと下層のパターンとを接続する構成を有するものがある。最近では、このような表示装置において、明るく、精細な像を、十分な動作速度を持って表示し、かつ、消費電力を低減させるニーズが高まっている。こうした要求を満たすために、表示装置の構成素子を、微細化し、高集積化することが求められている。例えば、コンタクトホールの径を2μmから1.5μmへと小さくすることが望まれている。
このような背景から、ラインアンドスペースパターンやコンタクトホールの微細化に対応できる表示装置製造用のフォトマスクが望まれている。
ラインアンドスペースパターンやコンタクトホールの微細化を実現するに当たり、従来のフォトマスクでは、表示装置製造用の露光機の解像限界が3μmであるため、十分な工程尤度(Process Margin)なしに、解像限界に近い最小線幅の製品を生産しなければならない。このため、表示装置の不良率が高くなる問題があった。
例えば、コンタクトホールを形成するためのホールパターンを有するフォトマスクを使用し、これを被転写体に転写することを考えた場合、直径が3μmを超えるホールパターンであれば従来のフォトマスクで転写することができた。しかしながら、直径が3μm以下のホールパターン、特に、直径が2.5μm以下のホールパターンを転写することは非常に困難であった。直径が2.5μm以下のホールパターンを転写するためには、例えば高NAを持つ露光機へ転換することも考えられるが、大きな投資が必要となる。
そこで、解像度を向上させて、ラインアンドスペースパターンやコンタクトホールの微細化に対応するため、表示装置製造用のフォトマスクとして、位相シフトマスクが注目されている。
最近、表示装置製造用のフォトマスクとして、金属シリサイド系位相シフト膜を備えた位相シフトマスクが開発された。
特許文献1には、透明基板と、透明基板上に形成された金属シリサイド系材料から構成される位相シフト膜と、クロム系材料から構成されるエッチングマスク膜とを有する位相シフトマスクブランク上に、レジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、前記レジストパターンをマスクにして、前記エッチングマスク膜をウェットエッチングしてエッチングマスク膜パターンを形成するエッチングマスク膜パターン形成工程と、前記エッチングマスク膜パターンをマスクにして前記位相シフト膜をウェットエッチングして位相シフト膜パターンを形成する位相シフト膜パターン形成工程と、を有する位相シフトマスクの製造方法が記載されている。
また、表示装置製造用のフォトマスクとして、表示装置を製造する際にマスク枚数を削減する目的として、グレートーンマスク(階調マスク)が、特許文献2に提案されている。
特許文献2に記載されたグレートーンマスク(階調マスク)の製造方法では、先ず、透明基板と、透明基板上に形成されたMoSi化合物からなる半透光膜と、半透光膜上に形成されたCr遮光膜とを有するマスクブランク上に、レジストを塗布してレジスト膜を形成した後、描画・現像してレジストパターンを形成する。その後、該レジストパターンをマスクにして、前記Cr遮光膜をウェットエッチングしてCr遮光膜パターンを形成し、レジストパターン等をマスクとして、前記半透光膜をウェットエッチングして半透光膜パターンを形成する。その後、残存するレジストパターンを、濃硫酸などを用いて除去する。その後、再びレジストを塗布してレジスト膜を形成した後、描画・現像してレジストパターンを形成する。その後、該レジストパターンをマスクとして、半透光部となる領域のCr遮光膜をウェットエッチングにより除去する。最後に、残存するレジストパターンを、濃硫酸などを用いて除去する。
特許文献2に記載されたグレートーンマスク(階調マスク)の製造方法では、先ず、透明基板と、透明基板上に形成されたMoSi化合物からなる半透光膜と、半透光膜上に形成されたCr遮光膜とを有するマスクブランク上に、レジストを塗布してレジスト膜を形成した後、描画・現像してレジストパターンを形成する。その後、該レジストパターンをマスクにして、前記Cr遮光膜をウェットエッチングしてCr遮光膜パターンを形成し、レジストパターン等をマスクとして、前記半透光膜をウェットエッチングして半透光膜パターンを形成する。その後、残存するレジストパターンを、濃硫酸などを用いて除去する。その後、再びレジストを塗布してレジスト膜を形成した後、描画・現像してレジストパターンを形成する。その後、該レジストパターンをマスクとして、半透光部となる領域のCr遮光膜をウェットエッチングにより除去する。最後に、残存するレジストパターンを、濃硫酸などを用いて除去する。
また、上記以外のフォトマスクとして、透光部の透過光量を補助する機能を有する半透光膜パターン(透過補助膜パターン)と、該半透光膜パターン(透過補助膜パターン)上に形成された遮光膜パターンとを有する透過補助型マスクがある。この透過補助型マスクは、露光装置の照射光量を増加させるのと同様な作用効果を有し、省エネルギー、或いは露光時間の短縮、生産効率の向上に寄与するフォトマスクである。
上記位相シフト膜や半透光膜をウェットエッチングするエッチング液としては、従来、弗化水素酸、珪弗化水素酸、および弗化水素アンモニウムから選ばれた少なくとも一つの弗素化合物と、過酸化水素、硝酸、および硫酸から選ばれた少なくとも一つの酸化剤とを含むエッチング液が用いられている。
上述した従来のウェットエッチング液には、弗素化合物が含まれているため、エッチング条件によってはガラス基板に対してダメージが発生することがある。このため、位相シフト膜パターンや半透過膜パターンを形成する際のウェットエッチングは、レジストパターンやエッチングマスク膜パターン(遮光膜パターン)が形成されている側からウェットエッチング液を供給して行われる(シャワー方式、スピン方式等)。また、位相シフト膜パターンや半透過膜パターンの断面形状の制御性の観点から、このウェットエッチングは、ウェットエッチング液の濃度や温度等が一定に保たれた状態で行われることが好ましい。また、このウェットエッチングは、ウェットエッチング液を掛け捨てで行われるのが一般的である。
このような従来の位相シフト膜パターン等を形成する際のウェットエッチングでは、ウェットエッチング液として、弗素化合物と酸化剤を含むエッチング液を使用しているため、作業者の安全性の確保が必要である。
また、位相シフト膜パターン等を形成する際、レジストパターンやエッチングマスク膜パターン(遮光膜パターン)が形成されている側からウェットエッチング液を供給するため、位相シフト膜等に対するウェットエッチング液の接触の仕方、基板面内におけるウェットエッチング液の滞留時間の変動、基板面内でのエッチング液の厳密な温度管理の困難性等によって、基板面内での位相シフト膜パターン等の断面形状バラツキや、位相シフト膜パターン等の線幅バラツキが発生し、高いCD均一性を得ることが難しかった。
また、位相シフト膜パターン等の断面形状の制御性の観点から、ウェットエッチング液を掛け捨てで行う場合、ディップ法で行うウェットエッチングと比べてコスト面においても有利であるとは必ずしも言えなかった。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の第一の目的は、弗素化合物を含むウェットエッチング液を使用せず、安全かつ安価に金属シリサイド系材料から構成される機能膜をパターニングしてフォトマスクを作製できるフォトマスクの製造方法を提供することである。
また、本発明の第二の目的は、比較的大きなサイズのガラス基板を使用したフォトマスクブランクであっても、基板面内での機能膜パターンの断面形状バラツキや、機能膜パターンの線幅バラツキを抑え、高いCD均一性を有するフォトマスクの製造方法を提供することである。
また、本発明の第二の目的は、比較的大きなサイズのガラス基板を使用したフォトマスクブランクであっても、基板面内での機能膜パターンの断面形状バラツキや、機能膜パターンの線幅バラツキを抑え、高いCD均一性を有するフォトマスクの製造方法を提供することである。
本願発明者は、鋭意検討の結果、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液が金属シリサイド系材料から構成される機能膜のウェットエッチング液として有効に機能し得るものであることを見出した。一般に、キレート剤は水中の金属イオンを封鎖するために使用されるものであるが、本願発明者は、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液がクロム系材料から構成されるエッチングマスク膜パターンに影響を与えることなく、金属シリサイド系材料から構成される機能膜をエッチングできることを見出した。
本発明は、上述した課題を解決するために、本願発明者の上記知見に基づいてなされたものであり、以下の構成を有する。
本発明は、上述した課題を解決するために、本願発明者の上記知見に基づいてなされたものであり、以下の構成を有する。
(構成1)本発明の構成1は、
ガラス基板と、該ガラス基板の主表面上に形成された露光光の光学特性を調整する機能を有しかつ金属シリサイド系材料から構成される機能膜と、該機能膜上に形成されたクロム系材料から構成されるエッチングマスク膜と、該エッチングマスク膜上にレジスト膜が形成されたフォトマスクブランクを準備し、前記レジスト膜に所望のパターンの露光・現像を行うことにより、レジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして、エッチングによりエッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記レジストパターン及び前記エッチングマスク膜パターンの少なくとも一方をマスクとして、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液からなるエッチング液を用いて、前記機能膜をウェットエッチングによりパターニングして、機能膜パターンを形成する工程と、
を有することを特徴とする表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
構成1の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、機能膜パターン形成時のウェットエッチング液として、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いる。従って、従来のような弗素化合物を使用しないので、安全かつ安価にフォトマスクを作製することができる。特に、後述する構成5のように機能膜が、露光光に含まれる代表波長に対し2〜90%の透過率を有し、かつ、前記代表波長に対する位相シフト量が180°である位相シフト膜の場合、300nm以上500nm以下の波長範囲の露光光を使用するとき、その露光光に対する位相差(例えば、略180°)を得るために必要な膜厚は100nmから130nm程度である。このため、該位相シフト膜をウェットエッチングでパターニングする際のエッチング時間が比較的長い。従って、安全かつ安価にフォトマスクを作製できるという効果は、機能膜が位相シフト膜である位相シフトマスクにおいて特に効果を発揮する。
ガラス基板と、該ガラス基板の主表面上に形成された露光光の光学特性を調整する機能を有しかつ金属シリサイド系材料から構成される機能膜と、該機能膜上に形成されたクロム系材料から構成されるエッチングマスク膜と、該エッチングマスク膜上にレジスト膜が形成されたフォトマスクブランクを準備し、前記レジスト膜に所望のパターンの露光・現像を行うことにより、レジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして、エッチングによりエッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記レジストパターン及び前記エッチングマスク膜パターンの少なくとも一方をマスクとして、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液からなるエッチング液を用いて、前記機能膜をウェットエッチングによりパターニングして、機能膜パターンを形成する工程と、
を有することを特徴とする表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
構成1の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、機能膜パターン形成時のウェットエッチング液として、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いる。従って、従来のような弗素化合物を使用しないので、安全かつ安価にフォトマスクを作製することができる。特に、後述する構成5のように機能膜が、露光光に含まれる代表波長に対し2〜90%の透過率を有し、かつ、前記代表波長に対する位相シフト量が180°である位相シフト膜の場合、300nm以上500nm以下の波長範囲の露光光を使用するとき、その露光光に対する位相差(例えば、略180°)を得るために必要な膜厚は100nmから130nm程度である。このため、該位相シフト膜をウェットエッチングでパターニングする際のエッチング時間が比較的長い。従って、安全かつ安価にフォトマスクを作製できるという効果は、機能膜が位相シフト膜である位相シフトマスクにおいて特に効果を発揮する。
(構成2)本発明の構成2は、
前記機能膜パターンを形成する工程が、前記機能膜上にエッチングマスク膜パターンが形成されたエッチングマスク膜パターン付き基板を、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液に浸漬する工程を有することを特徴とする構成1記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
構成2の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、前記機能膜上にエッチングマスク膜パターンが形成されたエッチングマスク膜パターン付き基板を、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液に浸漬することにより、機能膜パターンを形成する。このため、機能膜に対する無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液からなるウェットエッチング液の接触を基板面内に渡って均一にすることができる。従って、基板面内におけるウェットエッチング液の滞留時間の変動等による基板面内での機能膜パターンの断面形状バラツキや、機能膜パターンの線幅バラツキを抑え、高いCD均一性を有するフォトマスクを得ることができる。
前記機能膜パターンを形成する工程が、前記機能膜上にエッチングマスク膜パターンが形成されたエッチングマスク膜パターン付き基板を、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液に浸漬する工程を有することを特徴とする構成1記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
構成2の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、前記機能膜上にエッチングマスク膜パターンが形成されたエッチングマスク膜パターン付き基板を、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液に浸漬することにより、機能膜パターンを形成する。このため、機能膜に対する無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液からなるウェットエッチング液の接触を基板面内に渡って均一にすることができる。従って、基板面内におけるウェットエッチング液の滞留時間の変動等による基板面内での機能膜パターンの断面形状バラツキや、機能膜パターンの線幅バラツキを抑え、高いCD均一性を有するフォトマスクを得ることができる。
(構成3)本発明の構成3は、
前記水溶液が、熱エネルギーが付与されていることを特徴とする構成1又は2記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
構成3の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、熱エネルギーが付与された前記エッチング液を使用して機能膜パターンを形成する。従って、機能膜のエッチング速度が高くなり、機能膜パターンを形成する際の処理時間を短縮することができる。
前記水溶液が、熱エネルギーが付与されていることを特徴とする構成1又は2記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
構成3の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、熱エネルギーが付与された前記エッチング液を使用して機能膜パターンを形成する。従って、機能膜のエッチング速度が高くなり、機能膜パターンを形成する際の処理時間を短縮することができる。
(構成4)本発明の構成4は、
前記キレート剤が、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする構成1乃至3の何れか一に記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
構成4の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、キレート剤としては、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤からなる群から選択される少なくとも一種を含むものを用いる。このため、キレート剤を含む水溶液により機能膜をウェットエッチングしやすい。
前記キレート剤が、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする構成1乃至3の何れか一に記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
構成4の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、キレート剤としては、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤からなる群から選択される少なくとも一種を含むものを用いる。このため、キレート剤を含む水溶液により機能膜をウェットエッチングしやすい。
(構成5)本発明の構成5は、
前記機能膜が、露光光に含まれる代表波長に対し2〜90%の透過率を有し、かつ、前記代表波長に対する位相シフト量が略180°の位相シフト膜であることを特徴とする構成1乃至4の何れか一に記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
構成5の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、本発明の表示装置製造用フォトマスクの製造方法を、前記機能膜が、露光光に含まれる代表波長に対し2〜90%の透過率を有し、かつ、前記代表波長に対する位相シフト量が略180°の位相シフト膜である位相シフトマスクに適用できる。
前記機能膜が、露光光に含まれる代表波長に対し2〜90%の透過率を有し、かつ、前記代表波長に対する位相シフト量が略180°の位相シフト膜であることを特徴とする構成1乃至4の何れか一に記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
構成5の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、本発明の表示装置製造用フォトマスクの製造方法を、前記機能膜が、露光光に含まれる代表波長に対し2〜90%の透過率を有し、かつ、前記代表波長に対する位相シフト量が略180°の位相シフト膜である位相シフトマスクに適用できる。
(構成6)本発明の構成6は、
前記機能膜が、露光光に含まれる代表波長に対し2〜60%の透過率を有し、かつ、前記代表波長に対する位相シフト量が0°以上90°以下の透過率制御膜であることを特徴とする構成1乃至4の何れか一に記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
構成6の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、本発明の表示装置製造用フォトマスクの製造方法を、前記機能膜が、露光光に含まれる代表波長に対し2〜60%の透過率を有し、かつ、代表波長に対する位相シフト量が0°以上90%以下の透過率制御膜であるグレートーンマスク(階調マスク)や透過補助型マスクに適用できる。
前記機能膜が、露光光に含まれる代表波長に対し2〜60%の透過率を有し、かつ、前記代表波長に対する位相シフト量が0°以上90°以下の透過率制御膜であることを特徴とする構成1乃至4の何れか一に記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
構成6の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、本発明の表示装置製造用フォトマスクの製造方法を、前記機能膜が、露光光に含まれる代表波長に対し2〜60%の透過率を有し、かつ、代表波長に対する位相シフト量が0°以上90%以下の透過率制御膜であるグレートーンマスク(階調マスク)や透過補助型マスクに適用できる。
(構成7)本発明の構成7は、
前記エッチングマスク膜が、露光光に対して遮光性を有する遮光膜であり、前記機能膜パターンを形成した後、前記レジストパターンをマスクとして、前記エッチングマスク膜パターンをサイドエッチングして、前記機能膜パターン上に遮光膜パターンを形成する工程と、を有することを特徴とする構成1乃至6のいずれか一に記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
機能膜パターン上に遮光膜パターンが形成されるフォトマスク(位相シフト膜パターン上に遮光膜パターンが形成される位相シフトマスクや、半透光膜パターン上に遮光膜パターンが形成される透過補助型マスク)の場合、位相シフト膜パターンの位相シフト機能や半透光膜パターンの透過率制御機能が設計通りに効果を発揮させるために、機能膜パターンの中心に遮光膜パターンを形成することが重要である。構成7の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、機能膜パターンを形成した後、レジストパターンをマスクとして、エッチングマスク膜パターンをサイドエッチングして、機能膜パターン上に遮光膜パターンを形成する。このため、1回のレジストパターンの形成により、機能膜パターンと遮光膜パターンを形成することができる。従って、容易に機能膜パターンの中心に、遮光膜パターンを形成することができる。
前記エッチングマスク膜が、露光光に対して遮光性を有する遮光膜であり、前記機能膜パターンを形成した後、前記レジストパターンをマスクとして、前記エッチングマスク膜パターンをサイドエッチングして、前記機能膜パターン上に遮光膜パターンを形成する工程と、を有することを特徴とする構成1乃至6のいずれか一に記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法である。
機能膜パターン上に遮光膜パターンが形成されるフォトマスク(位相シフト膜パターン上に遮光膜パターンが形成される位相シフトマスクや、半透光膜パターン上に遮光膜パターンが形成される透過補助型マスク)の場合、位相シフト膜パターンの位相シフト機能や半透光膜パターンの透過率制御機能が設計通りに効果を発揮させるために、機能膜パターンの中心に遮光膜パターンを形成することが重要である。構成7の表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、機能膜パターンを形成した後、レジストパターンをマスクとして、エッチングマスク膜パターンをサイドエッチングして、機能膜パターン上に遮光膜パターンを形成する。このため、1回のレジストパターンの形成により、機能膜パターンと遮光膜パターンを形成することができる。従って、容易に機能膜パターンの中心に、遮光膜パターンを形成することができる。
上述したように、本発明に係る表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、金属シリサイド系材料から構成される機能膜パターン形成時のウェットエッチング液として、弗素化合物を含むウェットエッチング液を使用せず、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いるので、安全かつ安価に機能膜をパターニングして表示装置製造用フォトマスクを作製することができる。
さらに、上述したように、本発明に係る表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、金属シリサイド系材料から構成される機能膜のパターニングを、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液中に浸漬することにより行う場合、比較的大きなサイズのガラス基板を使用したフォトマスクブランクであっても、基板面内での機能膜パターンの断面形状バラツキや、機能膜パターンの線幅バラツキを抑え、高いCD均一性を有する表示装置製造用フォトマスクを作製することができる。
さらに、上述したように、本発明に係る表示装置製造用フォトマスクの製造方法によれば、金属シリサイド系材料から構成される機能膜のパターニングを、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液中に浸漬することにより行う場合、比較的大きなサイズのガラス基板を使用したフォトマスクブランクであっても、基板面内での機能膜パターンの断面形状バラツキや、機能膜パターンの線幅バラツキを抑え、高いCD均一性を有する表示装置製造用フォトマスクを作製することができる。
まず初めに、本発明の製造方法を適用することができる表示装置製造用フォトマスクブランク10、20について説明する。この表示装置製造用フォトマスクブランク10、20は、例えば、i線、h線及びg線のうち少なくとも1つを含む露光光を用いて表示装置を製造するための、位相シフトマスクを製造するために使用される。
この表示装置製造用フォトマスクブランク10、20は、露光光に対して透明なガラス基板1と、ガラス基板1上に形成され、露光光の光学特性を調整する機能を有しかつ金属シリサイド系材料から構成される機能膜2と、該機能膜上に形成されたクロム系材料から構成されるエッチングマスク膜(もしくは遮光膜)3を有する。なお、本発明の製造方法を適用することができる表示装置製造用フォトマスクブランクとして、ガラス基板1と、機能膜2と、エッチングマスク膜(もしくは遮光膜)3とを有し、さらにエッチングマスク膜(もしくは遮光膜)3上にレジスト膜4が形成されたものも含まれる。
図1は第1の実施形態の表示装置製造用フォトマスクを示す断面図である。第1の形態の表示装置製造用フォトマスク100は、露光光に対して透明なガラス基板1上に、金属シリサイド系材料からなる機能膜パターン21が形成されたフォトマスクである。機能膜パターン21が位相シフト膜パターンの場合、フォトマスクは位相シフトマスクとなる。
図2は第2の実施形態の表示装置製造用フォトマスクを示す断面図である。第2の形態である表示装置製造用フォトマスク200は、露光光に対して透明なガラス基板1上に、金属シリサイド系材料からなる機能膜パターン21と、機能膜パターン21の周辺部を除く中央部に遮光膜パターン32が形成されたフォトマスクである。機能膜パターン21が位相シフト膜パターンの場合、フォトマスクは位相シフトマスクとなる。また、機能膜パターン21が半透光膜などの透過率制御膜の場合、フォトマスクはグレートーンマスク(階調マスク)や透過補助型マスクとなる。
上述の機能膜2及び機能膜パターン21は、露光光の光学特性を調整する機能を有する。光学特性とは、位相差(位相シフト量)や透過率などをいう。位相差(位相シフト量)を調整する機能膜としては、位相シフト膜があり、透過率を調整する機能膜としては、透過率制御膜がある。
上記位相シフト膜は、例えば、露光光に含まれる代表波長に対して2〜90%の透過率を有し、位相差(位相シフト量)が略180°となるような膜とすることができる。上記位相シフト膜の透過率としては、好ましくは、2〜60%、さらに好ましくは2〜30%とすることが望ましい。また、略180°とは、180°±20°をいい、好ましくは180°±10°とする。
上記透過率制御膜は、例えば、露光光に含まれる代表波長に対して2〜60%の透過率を有し、位相差(位相シフト量)が0°以上90°以下となるような膜とすることができる。上記透過率制御膜の透過率としては、好ましくは10〜45%、さらに好ましくは10〜30%とすることが望ましい。また、位相差(位相シフト量)は、好ましくは5〜60°、さらに好ましくは5〜45°とすることが望ましい。
表示装置の製造に使用される露光装置の露光光としては、300nm以上500nm以下の波長範囲の光を含む複合光や単色光を使用することができる。例えば、露光光としてはi線、h線およびg線を含む複合光や、i線、h線およびg線の単色光が挙げられる。
上記位相シフト膜は、例えば、露光光に含まれる代表波長に対して2〜90%の透過率を有し、位相差(位相シフト量)が略180°となるような膜とすることができる。上記位相シフト膜の透過率としては、好ましくは、2〜60%、さらに好ましくは2〜30%とすることが望ましい。また、略180°とは、180°±20°をいい、好ましくは180°±10°とする。
上記透過率制御膜は、例えば、露光光に含まれる代表波長に対して2〜60%の透過率を有し、位相差(位相シフト量)が0°以上90°以下となるような膜とすることができる。上記透過率制御膜の透過率としては、好ましくは10〜45%、さらに好ましくは10〜30%とすることが望ましい。また、位相差(位相シフト量)は、好ましくは5〜60°、さらに好ましくは5〜45°とすることが望ましい。
表示装置の製造に使用される露光装置の露光光としては、300nm以上500nm以下の波長範囲の光を含む複合光や単色光を使用することができる。例えば、露光光としてはi線、h線およびg線を含む複合光や、i線、h線およびg線の単色光が挙げられる。
機能膜2や機能膜パターン21を構成する金属シリサイド系材料は、露光光に対して所定の透過率及び/又は位相差が生じるものであれば、金属と、ケイ素とを含んでいればよく、さらに他の元素を含んでも構わない。他の元素としては、露光光における屈折率(n)、消衰係数(k)を制御可能な元素であればよく、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、フッ素(F)から選ばれる少なくとも一種の元素から選択される。例えば、金属シリサイドの酸化物、金属シリサイドの酸化窒化物、金属シリサイドの窒化物、金属シリサイドの炭化窒化物、金属シリサイドの酸化炭化物、金属シリサイドの炭化酸化窒化物などが挙げられる。また、ウェトエッチングによるパターン制御性の観点から、機能膜2や機能膜パターン21を構成する金属シリサイド系材料は、金属と、ケイ素と、機能膜2のウェットエッチング速度を遅くする成分とを含む材料とすることが好ましい。機能膜2のウェットエッチング速度を遅くする成分として、例えば、窒素(N)、炭素(C)が挙げられる。金属として、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)などの遷移金属が挙げられる。機能膜2や機能膜パターン21を構成する金属シリサイド系材料として、例えば、金属シリサイドの窒化物、金属シリサイドの酸化窒化物、金属シリサイドの酸化炭化物、金属シリサイドの炭化窒化物、金属シリサイドの炭化酸化窒化物が挙げられる。具体的には、モリブデンシリサイド(MoSi)の窒化物、タンタルシリサイド(TaSi)の窒化物、タングステンシリサイド(WSi)の窒化物、チタンシリサイド(TiSi)の窒化物、ジルコニウムシリサイド(ZrSi)の窒化物、モリブデンシリサイドの酸化窒化物、タンタルシリサイドの酸化窒化物、タングステンシリサイドの酸化窒化物、チタンシリサイドの酸化窒化物、ジルコニウムシリサイドの酸化窒化物、モリブデンシリサイドの酸化炭化物、タンタルシリサイドの酸化炭化物、チタンシリサイドの酸化炭化物、タングステンシリサイドの酸化炭化物、ジルコニウムシリサイドの酸化炭化物、モリブデンシリサイドの炭化窒化物、タンタルシリサイドの炭化窒化物、チタンシリサイドの炭化窒化物、ジルコニウムシリサイドの炭化窒化物、タングステンシリサイドの炭化窒化物、モリブデンシリサイドの炭化酸化窒化物、タンタルシリサイドの炭化酸化窒化物、チタンシリサイドの炭化酸化窒化物、タングステンシリサイドの炭化酸化窒化物、ジルコニウムシリサイドの炭化酸化窒化物が挙げられる。
機能膜2や機能膜パターン21を構成する金属、ケイ素、窒素の組成は、露光光に対する所望の位相差、透過率、ウェットエッチング特性(機能膜パターン21の断面形状やCDばらつき)、耐薬性の観点から調整する。金属とケイ素の比率は、金属:ケイ素=1:1以上1:9以下が好ましい。窒素の含有量は、好ましくは、25原子%以上55原子%以下、さらに好ましくは、30原子%以上50原子%以下である。
機能膜2や機能膜パターン21を構成する金属、ケイ素、窒素の組成は、露光光に対する所望の位相差、透過率、ウェットエッチング特性(機能膜パターン21の断面形状やCDばらつき)、耐薬性の観点から調整する。金属とケイ素の比率は、金属:ケイ素=1:1以上1:9以下が好ましい。窒素の含有量は、好ましくは、25原子%以上55原子%以下、さらに好ましくは、30原子%以上50原子%以下である。
機能膜2は1つの層から構成される場合および複数の層から構成される場合のいずれであってもよい。
エッチングマスク膜3は、遮光性を有する場合および光半透過性を有する場合のいずれであってもよい。遮光性を有する場合は、エッチングマスク膜3は遮光膜となる。エッチングマスク膜3を構成するクロム系材料は、クロム(Cr)を含むものであれば、特に制限されない。エッチングマスク膜3を構成するクロム系材料として、例えば、クロム(Cr)、クロムの酸化物、クロムの窒化物、クロムの炭化物、クロムのフッ化物、それらを少なくとも一つ含む材料が挙げられる。
エッチングマスク膜3は1つの層から構成される場合および複数の層から構成される場合のいずれであってもよい。エッチングマスク膜3が複数の層から構成される場合として、例えば、機能膜2側に形成される遮光層と遮光層上に形成される反射防止層とから構成される積層構造の場合や、機能膜2と接するように形成される絶縁層と絶縁層上に形成される遮光層と遮光層上に形成される反射防止層とから構成される積層構造の場合がある。遮光層は1つの層から構成される場合および複数の層から構成される場合のいずれであってもよい。遮光層として、例えば、クロム窒化膜(CrN)、クロム炭化膜(CrC)、クロム炭化窒化膜(CrCN)が挙げられる。反射防止層は1つの層から構成される場合および複数の層から構成される場合のいずれであってもよい。反射防止層として、例えば、クロム酸化窒化膜(CrON)が挙げられる。絶縁層は、例えば、Crを50原子%未満含むCrCOまたはCrCONから構成され、10nm以上50nm以下の厚さを有する。クロム系材料から構成されるエッチングマスク膜3をウェットエッチングするとき、金属シリサイド系材料から構成される機能膜2から金属イオンが溶け出す。その際、電子が生じる。機能膜2と接するように絶縁層を形成する場合、機能膜2から金属イオンが溶け出す際に生じた電子がエッチングマスク膜3に供給されることを防止することができる。このため、エッチングマスク膜3をウェットエッチングする際の面内でのエッチング速度を均一にすることができる。
本発明の表示装置製造用のフォトマスクに用いることのできるガラス基板1としては、合成石英ガラス基板、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス基板、フッ化カルシウム基板、フッ化マグネシウム基板などを挙げることができる。これらの中でも、合成石英ガラス基板を用いることが好ましい。合成石英ガラス基板を用いたフォトマスクを使用して被転写体となる基板上へのパターン転写を行う場合、合成石英ガラス基板の平坦度及び平滑度が高いため、転写パターンの歪みが生じにくく、高精度のパターン転写を行うことができるためである。
本発明の表示装置製造用フォトマスクに用いるガラス基板1の大きさは、特に制限はない。具体的には、大型基板用の330mm×450mm以上(例えば、330mm×450mmの大きさから1620mm×1780mmまで)の大きさのもの、並びに5インチ、6インチ、7インチ、9インチなどの小型のガラス基板1を用いることができる。
次に、本発明の第1の実施形態の表示装置製造用フォトマスク100の製造方法について、図3を用いて説明する。第1の実施形態の表示装置製造用のフォトマスクの代表例としては、位相シフトマスクが挙げられ、この場合、以下に説明する機能膜2、機能膜パターン21は位相シフト膜、位相シフト膜パターンと読み替える。
本発明の表示装置製造用フォトマスク100の製造方法では、まず、上記説明した表示装置製造用フォトマスクブランク10を用意する。すなわち、合成石英ガラス基板などのガラス基板1に、モリブデンシリサイドの窒化物などの所定の材料を用いた機能膜2と、クロム窒化物などの所定材料を用いたエッチングマスク膜3を、スパッタリング法などによって形成する。この結果、ガラス基板1と、ガラス基板1上に形成された、金属シリサイド系材料からなる機能膜2と、機能膜2上に形成された、クロム系材料からなるエッチングマスク膜3とを有する表示装置製造用フォトマスクブランク10を得る。
本発明の表示装置製造用フォトマスク100の製造方法では、次に、エッチングマスク膜3の表面にレジストを塗布することにより、レジスト膜4を形成する(図3(a))。レジスト膜4は、塗布後、ベークされる。
次に、エッチングマスク膜3上にレジストパターン41を形成し、レジストパターン41をマスクにして、エッチングマスク膜3をエッチングしてエッチングマスク膜パターン31を形成する。すなわち、図3(b)に示すように、レジスト膜4に対し、エッチングマスク膜パターン31を形成するための露光を行い、現像して、レジストパターン41を形成する。その後、図3(c)に示すように、このレジストパターン41をマスクとして、エッチングマスク膜3に対してエッチング処理を施して、エッチングマスク膜パターン31を形成する。
エッチングマスク膜パターン31を形成するに当たっては、通常、エッチングマスク膜3上に形成したレジストパターン41をマスクにして、ウェットエッチング又はドライエッチングを行いパターニングする。製造コストを考慮すると、エッチングマスク膜パターン31を形成する際には、ウェットエッチングを行ってパターニングすることが好ましい。ウェットエッチング液としては、クロム系材料の場合には、硝酸第二セリウムアンモニウム及び過塩素酸を含む水溶液を用いることができる。
次に、図3(d)に示すように、エッチングマスク膜パターン31及びレジストパターン41の少なくとも一方をマスクとして、機能膜2に対して、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いたエッチング(ウェットエッチング)処理を施して、機能膜パターン21を形成する。
次に、図3(e)に示すように、レジスト剥離液を用いてレジストパターン41を剥離する。その後、エッチングマスク膜3のパターニングの際に使用したウェットエッチング液(硝酸第二セリウムアンモニウム及び過塩素酸を含む水溶液)を用いてエッチングマスク膜パターン31を剥離して、表示装置製造用フォトマスク100を得る。
尚、この表示装置製造用フォトマスク100に、ペリクルを貼りつけたペリクル付きの表示装置製造用フォトマスクとしても良い。
尚、この表示装置製造用フォトマスク100に、ペリクルを貼りつけたペリクル付きの表示装置製造用フォトマスクとしても良い。
次に、本発明の第2の実施形態の表示装置製造用フォトマスク200の製造方法について、図4を用いて説明する。第2の実施形態の表示装置製造用のフォトマスクの代表例としては、位相シフトマスクや透過補助型マスクが挙げられ、この場合、以下に説明する機能膜2は位相シフト膜、半透光膜、透過率制御膜と読み替え、機能膜パターン21は位相シフト膜パターン、半透光膜パターン、透過率制御膜パターンと読み替える。
本発明の表示装置製造用フォトマスク200の製造方法では、まず、上記説明した表示装置製造用フォトマスクブランク20を用意する。すなわち、合成石英ガラス基板などのガラス基板1に、モリブデンシリサイドの窒化物などの所定の材料を用いた機能膜2と、クロム窒化物やクロム炭化物などの所定材料を用いたエッチングマスク膜3(この場合、エッチングマスクとしての機能を有し、露光光に対して遮光性を有する遮光膜)を、スパッタリング法などによって形成する。この結果、ガラス基板1と、ガラス基板1上に形成された、金属シリサイド系材料からなる機能膜2と、機能膜2上に形成された、クロム系材料からなるエッチングマスク膜(遮光膜)3とを有する表示装置製造用フォトマスクブランク20を得る。
本発明の表示装置製造用フォトマスク200の製造方法では、次に、エッチングマスク膜(遮光膜)3の表面にレジストを塗布することにより、レジスト膜4を形成する(図4(a))。レジスト膜4は、塗布後、ベークされる。
次に、エッチングマスク膜(遮光膜)3上にレジストパターン41を形成し、レジストパターン41をマスクにして、エッチングマスク膜(遮光膜)3をエッチングしてエッチングマスク膜パターン31を形成する。すなわち、図4(b)に示すように、レジスト膜4に対し、エッチングマスク膜パターン31を形成するための露光を行い、現像して、レジストパターン41を形成する。その後、図4(c)に示すように、このレジストパターン41をマスクとして、エッチングマスク膜(遮光膜)3に対してエッチング処理を施して、エッチングマスク膜パターン31を形成する。
エッチングマスク膜パターン31を形成するに当たっては、通常、エッチングマスク膜3上に形成したレジストパターン41をマスクにして、ウェットエッチング又はドライエッチングを行いパターニングする。製造コストを考慮すると、エッチングマスク膜パターン31を形成する際には、ウェットエッチングを行ってパターニングすることが好ましい。ウェットエッチング液としては、クロム系材料の場合には、硝酸第二セリウムアンモニウム及び過塩素酸を含む水溶液を用いることができる。
次に、図4(d)に示すように、エッチングマスク膜パターン31及びレジストパターン41の少なくとも一方をマスクとして、機能膜2に対して、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いたエッチング(ウェットエッチング)処理を施して、機能膜パターン21を形成する。
次に、図4(e)に示すように、レジストパターン41をマスクにして、ウェットエッチング液を用いてエッチングマスク膜パターン31をサイドエッチングして、機能膜パターン21上に遮光膜パターン32を形成する。
最後に、図4(f)に示すように、レジスト剥離液を用いてレジストパターン41を剥離して、表示装置製造用フォトマスク200を得る。
尚、この表示装置製造用フォトマスク200に、ペリクルを貼りつけたペリクル付きの表示装置製造用フォトマスクとしても良い。
尚、この表示装置製造用フォトマスク200に、ペリクルを貼りつけたペリクル付きの表示装置製造用フォトマスクとしても良い。
上記第1の実施形態および第2の実施形態で説明した本発明の表示装置製造用フォトマスク100、200の製造方法の特徴は、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いて機能膜2をエッチングしてパターニングすることである。上記第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した本発明の表示装置製造用フォトマスクの製造方法では、従来のような弗素化合物を含むウェットエッチング液を使用しないので、安全かつ安価に表示装置製造用フォトマスクを作製することができる。キレート剤は、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤から選択された少なくとも一種を含むものが好ましい。代表的なアミノカルボン酸系キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA(Ethylene Diamine Tetraacetic Acid))が挙げられる。また、代表的なホスホン酸系キレート剤としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP(Hydroxyethylidene Diphosphonic Acid))が挙げられる。
取扱う上で安全性が高く、また機能膜2に対するエッチング速度が速いキレート剤が好ましい。キレート剤の濃度は、0.0002mol/L以上とすることが好ましい。キレート剤の濃度が0.0002mol/L未満の場合、機能膜のエッチングレートが遅くなるので好ましくない。実用上の観点から、キレート剤の濃度は、0.0002mol/L以上0.1mol/L以下とすることが好ましい。
また、無機アルカリとして、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを選定することができる。これら無機アルカリは、上記キレート剤に対して0.2倍以上4倍以下の濃度(mol/L)になるように中和するのが好ましい。また、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液のpHは、6.0以上11.0以下が好ましい。さらに好ましくは、pHは6.0以上9.5以下、さらに好ましくは、pHは6.0以上8.0以下が望ましい。
取扱う上で安全性が高く、また機能膜2に対するエッチング速度が速いキレート剤が好ましい。キレート剤の濃度は、0.0002mol/L以上とすることが好ましい。キレート剤の濃度が0.0002mol/L未満の場合、機能膜のエッチングレートが遅くなるので好ましくない。実用上の観点から、キレート剤の濃度は、0.0002mol/L以上0.1mol/L以下とすることが好ましい。
また、無機アルカリとして、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを選定することができる。これら無機アルカリは、上記キレート剤に対して0.2倍以上4倍以下の濃度(mol/L)になるように中和するのが好ましい。また、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液のpHは、6.0以上11.0以下が好ましい。さらに好ましくは、pHは6.0以上9.5以下、さらに好ましくは、pHは6.0以上8.0以下が望ましい。
上記無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液からなるエッチング液を使用して機能膜パターン21を形成する際は、該エッチング液中に浸漬する(ディップ(DIP))方法が好ましい。機能膜2上に、エッチングマスク膜パターン31、又は、エッチングマスク膜パターン31及びレジストパターン41が形成されたガラス基板1を、上記エッチング液中に浸漬することにより、機能膜2に対するエッチング液の接触を基板面内に渡って均一にすることができる。従って、基板面内におけるエッチング液の滞留時間の変動等による基板面内での機能膜パターン21の断面形状バラツキや、機能膜パターン21の線幅バラツキを抑制することができ、高いCD均一性を得ることが可能となる。
さらに、上記無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液として、熱エネルギーが付与された水溶液を用いることが好ましい。熱エネルギーが付与された水溶液を使用することにより、機能膜2に対するエッチング速度が高くなり、機能膜2をパターニングする際の処理時間を短くすることができるからである。具体的には、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液の液温としては、60℃以上100℃以下とすることが好ましく、80℃以上100℃以下とすることがさらに好ましい。
ディップ法により機能膜パターン21を形成する際には、以下の手順で行うと良い。以下の手順で行うと、無機アルカリで中和されたキレート剤を水中に添加して、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を形成する前に、エッチングマスク膜パターン付き基板を水中に浸漬する。このため、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液により機能膜をウェットエッチングする前に、エッチングマスク膜パターン付き基板の温度を基板面内に渡って均一にすることができる。従って、基板面内での機能膜パターンの断面形状バラツキや、機能膜パターンの線幅バラツキを抑え、高いCD均一性を得ることができる。
(1)ガラス基板1が浸漬可能な容器に水を入れし、エッチング時の温度条件まで加熱する(例えば、90℃)。
(2)次に、ガラス基板1上に機能膜2と、エッチングマスク膜パターン31が形成されたエッチングマスク膜パターン付き基板を浸漬し、エッチング時の温度条件になるまで保持する(例えば、90℃で安定するまで温水中にエッチングマスク膜パターン付き基板を保持する。)。
(3)次に、温水に、無機アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)で中和した所定量のキレート剤を添加し、機能膜2のエッチングを開始する。
(1)ガラス基板1が浸漬可能な容器に水を入れし、エッチング時の温度条件まで加熱する(例えば、90℃)。
(2)次に、ガラス基板1上に機能膜2と、エッチングマスク膜パターン31が形成されたエッチングマスク膜パターン付き基板を浸漬し、エッチング時の温度条件になるまで保持する(例えば、90℃で安定するまで温水中にエッチングマスク膜パターン付き基板を保持する。)。
(3)次に、温水に、無機アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)で中和した所定量のキレート剤を添加し、機能膜2のエッチングを開始する。
機能膜2のエッチングは、予めキレート剤の種類と濃度、ウェットエッチング液(無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液)の温度、無機アルカリの種類と濃度、浸漬時間と、機能膜2のエッチング量(エッチング速度)との関係を把握しておき、最適な機能膜パターン21の断面形状と、CD均一性が得られるエッチング条件を決定し、その決定したエッチング条件で行われる。
なお、予め無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液をエッチング時の温度条件まで加熱しておき、その後、上記エッチングマスク膜パターン付き基板を浸漬しても構わない。この場合、エッチングマスク膜付きパターンを浸漬する際に、上記水溶液の温度低下が発生する場合は、前処理として温水槽に浸漬することで、上記水溶液の温度の低下を抑制することができる。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1は、上記実施の形態1に係る位相シフトマスクの製造方法の実施例である。
まず、位相シフトマスクブランクの作製では、ガラス基板1として大型ガラス基板(合成石英ガラス、10mm厚、サイズ850mm×1200mm)を用いた。このガラス基板1上に、大型インライン型スパッタリング装置を使用し、機能膜2である位相シフト膜及びエッチングマスク膜3の成膜を行った。
(実施例1)
実施例1は、上記実施の形態1に係る位相シフトマスクの製造方法の実施例である。
まず、位相シフトマスクブランクの作製では、ガラス基板1として大型ガラス基板(合成石英ガラス、10mm厚、サイズ850mm×1200mm)を用いた。このガラス基板1上に、大型インライン型スパッタリング装置を使用し、機能膜2である位相シフト膜及びエッチングマスク膜3の成膜を行った。
位相シフト膜の成膜は、次のように行った。まず、スパッタリング装置内にMoSiターゲット(Mo:Si=1:4)を配置し、Arガス及びN2ガスの混合ガスをスパッタリングガス(Ar:50sccm、N2:90sccm)として、MoSiNからなる位相シフト膜を膜厚110nm成膜した。この位相シフト膜の透過率は5.2%(波長:365nm)、位相差は180°(波長:365mn)であった。
次に、スパッタリング装置内にCrターゲットを配置し、ArガスとN2ガスの混合ガスをスパッタリングガス(Ar:50sccm、N2:10sccm)として、CrNからなるエッチングマスク膜3を膜厚15nm成膜した。
次に、スパッタリング装置内にCrターゲットを配置し、ArガスとN2ガスの混合ガスをスパッタリングガス(Ar:50sccm、N2:10sccm)として、CrNからなるエッチングマスク膜3を膜厚15nm成膜した。
以上のようにして製造した位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1の位相シフトマスクを製造した。以下、図3を用いて位相シフトマスクの製造方法を説明する。
まず、エッチングマスク膜3上にスリットコーターを用いてノボラック系のレーザー描画用フォトレジストを塗布し、加熱・冷却して膜厚1000nmのレジスト膜4を形成した(図3(a))。
次に、レジスト膜4にレーザー描画でライン・アンド・スペース・パターン(ラインパターン:2.0μm、スペースパターン:2.0μm)を描画し、現像によってレジストパターン41を形成した(図3(b))。
次に、レジストパターン41をマスクにして、上記エッチングマスク膜3を、ウェットエッチング液(硝酸第二セリウムアンモニウム、過塩素酸及び純水の混合液)でエッチングすることにより、エッチングマスク膜パターン31を形成した(図3(c))。
次に、エッチングマスク膜パターン31及びレジストパターン41をマスクにして、水酸化ナトリウムで中和したキレート剤(HEDP・4Na)を含む水溶液(ディップ法、液温:90度、HEDP濃度:0.01mol/L、NaOH濃度:0.04mol/L、pH:9.5)により位相シフト膜をエッチングして、位相シフト膜パターンを形成した(図3(d))。
位相シフト膜パターンの形成は、以下のようにして行った。
まず、エッチング槽内の水を90℃まで加熱し、図3(d)の状態のガラス基板を90℃に加熱した温水に浸漬した。温水投入前のガラス基板は、室温状態で保管されていたため、ガラス基板投入直後のエッチング槽内の温水の温度は低下するが、90℃の状態になるまで待機した後、キレート剤(HEDP・4Na)を添加し(HEDP濃度:0.01mol/L、NaOH濃度:0.04mol/L、pH:9.5)、位相シフト膜のエッチングを行った。
まず、エッチング槽内の水を90℃まで加熱し、図3(d)の状態のガラス基板を90℃に加熱した温水に浸漬した。温水投入前のガラス基板は、室温状態で保管されていたため、ガラス基板投入直後のエッチング槽内の温水の温度は低下するが、90℃の状態になるまで待機した後、キレート剤(HEDP・4Na)を添加し(HEDP濃度:0.01mol/L、NaOH濃度:0.04mol/L、pH:9.5)、位相シフト膜のエッチングを行った。
位相シフト膜パターンを形成した後、レジスト剥離液でレジストパターン41を剥離し、エッチングマスク膜パターン31を硝酸第二セリウムアンモニウム、過塩素酸及び純水の混合液からなるクロムエッチング液により剥離した。
最後に純水を用いたメガソニック洗浄(物理洗浄)を行い、位相シフトマスクを作製した。メガソニック洗浄は、1MHzの超音波が印加された洗浄液を、位相シフトマスクの表面に供給して洗浄を行った。
以上のようにして得られた実施例1の位相シフトマスクの位相シフト膜パターンの線幅均一性をセイコーインスツルメンツナノテクノロジー社製SIR8000で測定したところ、0.085μmとなり良好な結果が得られた。
また、位相シフト膜パターン形成時のウェットエッチング液として、NaOHで中和されたHEDPを含む水溶液を使用しているので、安全かつ安価に位相シフトマスクを作製することができた。
また、位相シフト膜パターン形成時のウェットエッチング液として、NaOHで中和されたHEDPを含む水溶液を使用しているので、安全かつ安価に位相シフトマスクを作製することができた。
(比較例1)
上述の実施例1において、図3(d)における位相シフト膜のエッチングを、弗化水素アンモニウムと過酸化水素を含むエッチング液(スプレー方式、液温:23℃)を使用してパターニングした以外は、実施例1と同様にして位相シフトマスクを作製した。なお、エッチング液の供給は、ガラス基板を水平に保持し、ガラス基板面内にわたって均一に供給できるようにスプレー方式で行った。
以上のように得られた比較例1の位相シフトマスクの位相シフト膜パターンの線幅均一性(CD均一性)をセイコーインスツルメンツナノテクノロジー社製SIR8000に測定したところ、0.190μmとなり、位相シフトマスクに要求されるCD均一性の仕様を逸脱する結果となった。
また、位相シフト膜パターンを形成する際のウェットエッチング液として、弗素化合物と酸化剤を含むエッチング液を使用しているので、安全性とコスト面においては実施例1と比べて必ずしも良いとは言えない。
上述の実施例1において、図3(d)における位相シフト膜のエッチングを、弗化水素アンモニウムと過酸化水素を含むエッチング液(スプレー方式、液温:23℃)を使用してパターニングした以外は、実施例1と同様にして位相シフトマスクを作製した。なお、エッチング液の供給は、ガラス基板を水平に保持し、ガラス基板面内にわたって均一に供給できるようにスプレー方式で行った。
以上のように得られた比較例1の位相シフトマスクの位相シフト膜パターンの線幅均一性(CD均一性)をセイコーインスツルメンツナノテクノロジー社製SIR8000に測定したところ、0.190μmとなり、位相シフトマスクに要求されるCD均一性の仕様を逸脱する結果となった。
また、位相シフト膜パターンを形成する際のウェットエッチング液として、弗素化合物と酸化剤を含むエッチング液を使用しているので、安全性とコスト面においては実施例1と比べて必ずしも良いとは言えない。
(実施例2)
実施例2は、上記実施の形態2に係る位相シフトマスクの製造方法の実施例である。
上述の実施例1において、エッチングマスク膜3を遮光膜としての機能を持たすために以下のようにして成膜した。
スパッタリング装置内にCrターゲットを配置し、ArガスとCH4ガスとN2ガスの混合ガスをスパッタリングガス(Ar:75sccm、CH4:10sccm、N2:20sccm)として、CrCNからなる遮光層(膜厚105nm)を成膜した後、ArガスとNOガスの混合ガスをスパッタリングガス(Ar:50sccm、NO:20sccm)として、CrONからなる反射低減層(膜厚25nm)を成膜して、位相シフト膜上に遮光膜(合計膜厚130nm)を成膜した。この遮光膜の光学濃度ODは、波長365nmで5.0を有している。
実施例2は、上記実施の形態2に係る位相シフトマスクの製造方法の実施例である。
上述の実施例1において、エッチングマスク膜3を遮光膜としての機能を持たすために以下のようにして成膜した。
スパッタリング装置内にCrターゲットを配置し、ArガスとCH4ガスとN2ガスの混合ガスをスパッタリングガス(Ar:75sccm、CH4:10sccm、N2:20sccm)として、CrCNからなる遮光層(膜厚105nm)を成膜した後、ArガスとNOガスの混合ガスをスパッタリングガス(Ar:50sccm、NO:20sccm)として、CrONからなる反射低減層(膜厚25nm)を成膜して、位相シフト膜上に遮光膜(合計膜厚130nm)を成膜した。この遮光膜の光学濃度ODは、波長365nmで5.0を有している。
以上のようにして製造した位相シフトマスクブランクを用いて、実施例2の位相シフトマスクを製造した。以下、図4を用いて位相シフトマスクの製造方法を説明する。
まず、エッチングマスク膜3上にスリットコーターを用いてノボラック系のレーザー描画用フォトレジストを塗布し、加熱・冷却して膜厚1000nmのレジスト膜を形成した(図4(a))。
次に、レジスト膜4にレーザー描画でライン・アンド・スペース・パターン(ラインパターン:2.0μm、スペースパターン:2.0μm)を描画し、現像によってレジストパターン41を形成した(図4(b))。
次に、レジストパターン41をマスクにして、上記エッチングマスク膜3を、ウェットエッチング液(硝酸第二セリウムアンモニウム、過塩素酸及び純水の混合液)でエッチングすることにより、エッチングマスク膜パターン31を形成した(図4(c))。
次に、エッチングマスク膜パターン31及びレジストパターン41をマスクにして、水酸化ナトリウムで中和したキレート剤(HEDP・4Na)を含む水溶液(ディップ法、液温:90度、HEDP濃度:0.01mol/L、NaOH濃度:0.04mol/L、pH:9.5)により位相シフト膜をエッチングして、位相シフト膜パターンを形成した(図4(d))。位相シフ膜パターンの形成は、実施例1と同様に行ったため説明は省略する。
次に、レジストパターン41をマスクにして、ウェットエッチング液(硝酸第二セリウムアンモニウム、過塩素酸及び純水の混合液)でエッチングマスク膜パターン31をサイドエッチングすることにより、位相シフト膜パターン上の中心位置に線幅が1.0μmの遮光膜パターン32を形成した(図4(e))。
次に、レジスト剥離液でレジストパターン41を剥離した。
最後に純水を用いたメガソニック洗浄(物理洗浄)を行い、位相シフトマスクを作製した。メガソニック洗浄は、1MHzの超音波が印加された洗浄液を、位相シフトマスクの表面に供給して洗浄を行った。
以上のようにして得られた実施例2の位相シフトマスクの位相シフト膜パターンの線幅均一性をセイコーインスツルメンツナノテクノロジー社製SIR8000で測定したところ、0.115μmとなり良好な結果が得られた。
また、位相シフト膜パターン形成時のウェットエッチング液として、NaOHで中和されたHEDPを含む水溶液を使用しているので、安全かつ安価に位相シフトマスクを作製することができた。
また、位相シフト膜パターン形成時のウェットエッチング液として、NaOHで中和されたHEDPを含む水溶液を使用しているので、安全かつ安価に位相シフトマスクを作製することができた。
(比較例2)
上述の実施例2において、図4(d)における位相シフト膜のエッチングを、弗化水素アンモニウムと過酸化水素を含むエッチング液(スプレー方式、液温:23℃)を使用してパターニングした以外は、実施例2と同様にして位相シフトマスクを作製した。なお、エッチング液の供給は、ガラス基板を水平に保持し、ガラス基板面内にわたって均一に供給できるようにスプレー方式で行った。
以上のように得られた比較例2の位相シフトマスクの位相シフト膜パターンの線幅均一性(CD均一性)をセイコーインスツルメンツナノテクノロジー社製SIR8000に測定したところ、0.225μmとなり、位相シフトマスクに要求されるCD均一性の仕様を逸脱する結果となった。
また、位相シフト膜パターンを形成する際のウェットエッチング液として、弗素化合物と酸化剤を含むエッチング液を使用しているので、安全性とコスト面においては実施例2と比べて必ずしも良いとは言えない。
上述の実施例2において、図4(d)における位相シフト膜のエッチングを、弗化水素アンモニウムと過酸化水素を含むエッチング液(スプレー方式、液温:23℃)を使用してパターニングした以外は、実施例2と同様にして位相シフトマスクを作製した。なお、エッチング液の供給は、ガラス基板を水平に保持し、ガラス基板面内にわたって均一に供給できるようにスプレー方式で行った。
以上のように得られた比較例2の位相シフトマスクの位相シフト膜パターンの線幅均一性(CD均一性)をセイコーインスツルメンツナノテクノロジー社製SIR8000に測定したところ、0.225μmとなり、位相シフトマスクに要求されるCD均一性の仕様を逸脱する結果となった。
また、位相シフト膜パターンを形成する際のウェットエッチング液として、弗素化合物と酸化剤を含むエッチング液を使用しているので、安全性とコスト面においては実施例2と比べて必ずしも良いとは言えない。
(実施例3)
上述の実施例2において、位相シフト膜パターンを形成する際のウェットエッチング液として、水酸化カリウムで中和されたキレート剤(HEDP・4K)を含む水溶液(ディップ法、液温:90℃、HEDP濃度:0.01mol/L、KOH濃度:0.04mol%、pH:10.0)とした以外は、実施例2と同様にして位相シフトマスクを作製した。
実施例2と比べて位相シフト膜のエッチング速度が約1.5倍となった。また、位相シフト膜パターンの線幅均一性は実施例2と同程度であった。位相シフト膜パターン形成時のウェットエッチング液として、KOHで中和されたHEDPを含む水溶液を使用しているので、安全かつ安価に位相シフトマスクを作製することができた。
上述の実施例2において、位相シフト膜パターンを形成する際のウェットエッチング液として、水酸化カリウムで中和されたキレート剤(HEDP・4K)を含む水溶液(ディップ法、液温:90℃、HEDP濃度:0.01mol/L、KOH濃度:0.04mol%、pH:10.0)とした以外は、実施例2と同様にして位相シフトマスクを作製した。
実施例2と比べて位相シフト膜のエッチング速度が約1.5倍となった。また、位相シフト膜パターンの線幅均一性は実施例2と同程度であった。位相シフト膜パターン形成時のウェットエッチング液として、KOHで中和されたHEDPを含む水溶液を使用しているので、安全かつ安価に位相シフトマスクを作製することができた。
(実施例4)
上述の実施例2において、位相シフト膜パターンを形成する際のウェットエッチング液として、水酸化ナトリウムで中和されたキレート剤(EDTA・4Na)を含む水溶液(ディップ法、液温:90℃、EDTA濃度:0.07mol/L、NaOH:0.28mol/L、pH:9.5)とした以外は、実施例2と同様にして位相シフトマスクを作製した。
実施例2と比べて位相シフト膜のエッチング速度が約0.8倍となった。また、位相シフト膜パターンの線幅均一性は実施例2と同程度であった。位相シフト膜パターン形成時のウェットエッチング液として、NaOHで中和されたEDTAを含む水溶液を使用しているので、安全かつ安価に位相シフトマスクを作製することができた。
上述の実施例2において、位相シフト膜パターンを形成する際のウェットエッチング液として、水酸化ナトリウムで中和されたキレート剤(EDTA・4Na)を含む水溶液(ディップ法、液温:90℃、EDTA濃度:0.07mol/L、NaOH:0.28mol/L、pH:9.5)とした以外は、実施例2と同様にして位相シフトマスクを作製した。
実施例2と比べて位相シフト膜のエッチング速度が約0.8倍となった。また、位相シフト膜パターンの線幅均一性は実施例2と同程度であった。位相シフト膜パターン形成時のウェットエッチング液として、NaOHで中和されたEDTAを含む水溶液を使用しているので、安全かつ安価に位相シフトマスクを作製することができた。
なお、上記実施例では、透過補助型マスクやグレートーンマスク(階調マスク)の例について説明しなかったが、本発明の表示装置製造用フォトマスクの製造方法が適用できることは言うまでもない。
1 ガラス基板
2 機能膜
3 エッチングマスク膜
4 レジスト膜
10、20 フォトマスクブランク
21 機能膜パターン
31 エッチングマスク膜パターン
32 遮光膜パターン
41 レジストパターン
100、200 表示装置製造用フォトマスク
2 機能膜
3 エッチングマスク膜
4 レジスト膜
10、20 フォトマスクブランク
21 機能膜パターン
31 エッチングマスク膜パターン
32 遮光膜パターン
41 レジストパターン
100、200 表示装置製造用フォトマスク
Claims (7)
- ガラス基板と、該ガラス基板の主表面上に形成された露光光の光学特性を調整する機能を有しかつ金属シリサイド系材料から構成される機能膜と、該機能膜上に形成されたクロム系材料から構成されるエッチングマスク膜と、該エッチングマスク膜上にレジスト膜が形成されたフォトマスクブランクを準備し、前記レジスト膜に所望のパターンの露光・現像を行うことにより、レジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして、エッチングによりエッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記レジストパターン及び前記エッチングマスク膜パターンの少なくとも一方をマスクとして、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液からなるエッチング液を用いて、前記機能膜をウェットエッチングによりパターニングして、機能膜パターンを形成する工程と、
を有することを特徴とする表示装置製造用フォトマスクの製造方法。 - 前記機能膜パターンを形成する工程は、前記機能膜上にエッチングマスク膜パターンが形成されたエッチングマスク膜パターン付き基板を、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液に浸漬する工程を有することを特徴とする請求項1記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法。
- 前記水溶液は、熱エネルギーが付与されていることを特徴とする請求項1又は2記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法。
- 前記キレート剤は、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法。
- 前記機能膜は、露光光に含まれる代表波長に対し2〜90%の透過率を有し、かつ、前記代表波長に対する位相シフト量が略180°の位相シフト膜であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法。
- 前記機能膜は、露光光に含まれる代表波長に対し2〜60%の透過率を有し、かつ、前記代表波長に対する位相シフト量が0°以上90°以下の透過率制御膜であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法。
- 前記エッチングマスク膜は、露光光に対して遮光性を有する遮光膜であり、
前記機能膜パターンを形成した後、前記レジストパターンをマスクとして、前記エッチングマスク膜パターンをサイドエッチングして、前記機能膜パターン上に遮光膜パターンを形成する工程を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の表示装置製造用フォトマスクの製造方法。
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