JP2017181544A - 表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法 - Google Patents

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誠治 坪井
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剛之 山田
旭希 星野
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旭希 星野
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Abstract

【課題】安全に位相シフトマスクを作製できる位相シフトマスクの製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス基板2と、ガラス基板2上に形成された、ガラス基板2をエッチングするウェットエッチング液に対してエッチング耐性を有する材料からなるエッチングマスク膜パターンとを備えたエッチングマスク膜パターン付き基板を作製する工程と、エッチングマスク膜パターンをマスクとして、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いたウェットエッチングによって、ガラス基板2を所定量掘り込むことにより位相シフト部8を形成する工程と、を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、フラットパネルディスプレイなどの液晶表示装置を製造するために用いられる表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法に関する。
現在、液晶表示装置に採用されている方式として、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In Plane Switching)方式がある。これらの方式を適用することにより、液晶の反応が速く、十分な視野角を与える優れた動画を提供できる。また、これらの方式による液晶表示装置の画素電極部には、透明導電膜によるライン・アンド・スペースのパターン(ライン・アンド・スペース・パターン)を用いることによって、応答速度、視野角の改善を行っている。
近年、液晶表示装置の応答速度及び視野角をさらに向上させるために、例えば、特許文献1に記載されているように、上記導電膜のライン・アンド・スペース・パターンの線幅CD(Critical Dimension)などを微細化することが検討されている。
一般的に、液晶表示装置の画素部などのパターン形成には、フォトリソグラフィー工程が利用されている。フォトリソグラフィー工程は、エッチングされる被加工体上に形成されたレジスト膜に対して、フォトマスクを用いて所定のパターンを転写し、現像してレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクとして被加工体のエッチングを行うものである。例えば、画素電極をくし型状に形成する(透明導電膜にライン・アンド・スペース・パターンを形成する)フォトマスクとしては、いわゆるバイナリマスクが用いられている。バイナリマスクは、透明基板上に形成された遮光膜をパターニングすることにより、光を遮光する遮光部(黒)と、光を透過する透光部(白)とを有する2階調のフォトマスクである。バイナリマスク、及びポジ型フォトレジストを用いてライン・アンド・スペース・パターンを形成する場合には、透明基板上に形成されるラインパターンを遮光部として形成し、スペースパターンを透光部として形成したフォトマスクを用いることができる。
しかし、ライン・アンド・スペース・パターンの線幅(ピッチ幅)が小さくなると、フォトマスクの透光部を介して被加工体上に形成されたレジスト膜に照射される透過光の強度が低下し、コントラストが低下するため、十分な解像度が得られなくなる。その結果、被加工体のエッチング加工が困難になるという問題が生じる。特に、ライン・アンド・スペース・パターンのピッチ幅が7μmより小さくなると、被加工体のエッチング加工条件が厳しくなり、パターニングが困難となる。
特開2013−205428号公報
近年、フラットパネルディスプレイの配線パターンの微細化が望まれている。そしてこうした微細化は、フラットパネルディスプレイの明るさの向上、反応速度の向上といった画像品質の高度化のみならず、省エネルギーの観点からも、有利な点があることに関係する。これに伴い、フラットパネルディスプレイの製造に用いられるフォトマスクにも、微細な線幅精度の要求が高まっている。しかし、フォトマスクの転写パターンを単純に微細化することによって、フラットパネルディスプレイの配線パターンを微細化しようとすることは容易ではない。
解像度を上げ、より微細なパターニングを行う方法としては、従来LSI製造用の技術として開発されてきた、露光機の開口数拡大、短波長露光、適用が考えられる。しかし、これらの技術を適用する場合には、莫大な投資と技術開発を必要とし、市場に提供される液晶表示装置の価格との整合性が取れなくなる。さらに、LSI製造とは異なり、液晶表示装置の被加工体のサイズは大きく、例えば、一辺が1000mm以上の方形のものが用いられている。そのため、LSI製造はドライエッチングが適用されているのに対し、液晶表示装置の被加工体の加工には、ウェットエッチングを適用することが有利である。したがって、液晶表示装置の製造では、例えば露光光はi線〜g線の範囲の波長を使用するという条件で、ウェットエッチングを適用しつつ、その一方でより微細なパターンを転写できる技術の開発が望まれている。
解像度の高いライン・アンド・スペースパターンのパターン転写が行える位相シフトマスクとして、露光光に対して透明な透明基板上に、露光光を遮光する遮光膜からなる遮光膜パターンで形成された遮光部と透光部とを有し、且つ、前記遮光部を介して隣接する透光部の位相差が略180度となるように前記透光部の透明基板部をウェットエッチングにより掘り込んだ位相シフト部を有する、基板掘り込み型のレベンソン型位相シフトマスクが提案されている。(特許文献1)
また、別なタイプの位相シフトマスクとしては、露光光に対して透明な透明基板をウェットエッチングにより掘り込んだ位相シフト部と、掘り込んでいない非位相シフト部を有する、クロムレス位相シフトマスクがある。
特許文献1には、以下に示す位相シフトマスクの製造方法が記載されている。即ち、透明基板上に遮光膜が形成された位相シフトマスクブランクを用い、まず、遮光膜上にレジスト膜を形成し、所望のパターンを描画・現像してレジストパターンを形成する。次に、レジストパターンをマスクにして、遮光膜をウェットエッチング液でエッチングすることにより、透明基板上に遮光膜パターンを形成する。
次に、レジスト剥離液によりレジストパターンを剥離した後、再度、レジスト膜を形成し、所望のパターンを描画・現像して、基板に掘り込み部を形成したい場所を開口部にしたレジストパターンを形成する。
次に、レジストパターン及び遮光膜パターンをマスクにして、フッ酸、ケイフッ酸、バッファードフッ酸等のフッ酸水溶液により透明基板を所定量エッチングして掘り込み、その後、レジスト剥離液によりレジストパターンを除去する。
最後に、洗浄処理を行って、基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクを作製する。
また、一般的に、クロムレス位相シフトマスクを製造する場合、先ず、レベンソン型位相シフトマスクと同様に、透明基板上に遮光膜パターンを形成する。
次に、レジスト剥離液によりレジストパターンを剥離した後、遮光膜パターンをマスクにして、フッ酸、ケイフッ酸、バッファードフッ酸等のフッ酸水溶液により透明基板を所定量エッチングして掘り込む。
次に、レジスト剥離液によりレジストパターンを剥離した後、再度、レジスト膜を形成し、遮光膜パターンを除去したい場所を開口部にしたレジストパターンを形成する。
次に、レジストパターンをマスクにして、遮光膜パターンをウェットエッチング液でエッチングすることにより、新たな遮光膜パターンを形成し、その後、レジスト剥離液によりレジストパターンを除去する。
最後に、洗浄処理を行って、基板掘り込みタイプのクロムレス位相シフトマスクを作製する。
上記2つの位相シフトマスクの製造方法の場合、透明基板をエッチングする際、ウェットエッチング液として、安全性に問題があるフッ酸水溶液を使用するという課題があった。また、透明基板をフッ酸水溶液でウェットエッチングにより掘り込むにあたり、透明基板に対するフッ酸水溶液の接触の仕方や、基板面内におけるフッ酸水溶液の滞留時間の変動等によって、基板面内での掘り込み量を一定にし、位相シフト量を均一にすることが難しいという課題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。
本発明は、フッ酸水溶液を使用せず、安全に基板掘り込み型の位相シフトマスクを作製できる位相シフトマスクの製造方法を提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、比較的大きなサイズのガラス基板であっても、ガラス基板を掘り込み形成された位相シフト部の位相シフト量を、基板面内に渡って均一にできる位相シフトマスクの製造方法を提供することを第二の目的とする。
本願発明者は、鋭意検討の結果、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液がガラス基板のウェットエッチング液として有効に機能し得るものであることを見出した。キレート剤は水中の金属イオンを封鎖するために使用されるものであるが、本願発明者は、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液がエッチングマスク膜パターンに影響を与えることなくガラス基板を掘り込むことができることを見出した。
本発明は、本願発明者の上記知見に基づいてなされたものであり、下記の構成1〜8であることを特徴とする表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法である。
(構成1)
本発明の構成1は表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法であって、
ガラス基板と、該ガラス基板上に形成された、該ガラス基板をエッチングするウェットエッチング液に対してエッチング耐性を有する材料からなるエッチングマスク膜パターンとを備えたエッチングマスク膜パターン付き基板を作製する工程と、
前記エッチングマスク膜パターンをマスクとして、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を前記ウェットエッチング液として用いたウェットエッチングによって、前記ガラス基板を所定量掘り込むことにより位相シフト部を形成する工程と、
を有することを特徴とする表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法である。
構成1の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法によれば、ガラス基板をウェットエッチングにより所定量掘り込む際に使用するウェットエッチング液として、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いる。従って、従来のようなフッ酸水溶液を使用しないので、安全に基板掘り込み型の表示装置製造用位相シフトマスクを作製することができる。
(構成2)
本発明の構成2は、前記位相シフト部を形成する工程が、前記エッチングマスク膜パターン付き基板を、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液中に浸漬する工程を有することを特徴とする構成1記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法である。
構成2の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法によれば、エッチングマスク膜パターン付き基板を、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液中に浸漬することにより、位相シフト部を形成する。このため、ガラス基板に対する前記水溶液の接触を基板面内に渡って均一にすることができる。従って、基板面内における前記水溶液の滞留時間の変動等による基板面内での掘り込み量のばらつきを抑制することができ、位相シフト部の位相シフト量を均一にすることができる。
(構成3)
本発明の構成3は、前記水溶液中に浸漬する工程が、前記エッチングマスク膜パターン付き基板を、水中に浸漬する工程と、無機アルカリで中和されたキレート剤を前記水中に添加し、前記水溶液を形成する工程と、を有することを特徴とする構成2に記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法である。
構成3の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法によれば、無機アルカリで中和されたキレート剤を水中に添加して無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を形成する前に、エッチングマスク膜パターン付き基板を水中に浸漬する。このため、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液によりガラス基板をウェットエッチングする前に、エッチングマスク膜パターン付き基板の温度を基板面内に渡って均一にすることができる。従って、基板面内での掘り込み量のばらつきを抑制することができ、位相シフト部の位相シフト量を均一にすることができる。
(構成4)
本発明の構成4は、前記水溶液が、熱エネルギーを付与されていることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法である。
構成4の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法によれば、熱エネルギーが付与された水溶液を使用して位相シフト部を形成する。従って、ガラス基板のエッチング速度が高くなり、ガラス基板を所定量掘り込む際の処理時間を短くすることができる。
(構成5)
本発明の構成5は、前記キレート剤が、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法である。
構成5の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法によれば、キレート剤として、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤からなる群から選択される少なくとも一種を含むものを用いる。このため、キレート剤を含む水溶液によりガラス基板をウェットエッチングしやすい。
(構成6)
本発明の構成7は、前記エッチングマスク膜パターン付き基板を作製する工程が、前記ガラス基板と、該ガラス基板上に形成された、該ガラス基板をエッチングするウェットエッチング液に対してエッチング耐性を有するエッチングマスク膜とを備えた位相シフトマスクブランクを準備する工程と、前記エッチングマスク膜上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜に所望のパターンの露光・現像を行うことによりレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして、エッチングにより前記エッチングマスク膜パターンを形成する工程と、を有することを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法である。
構成6の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法によれば、ガラス基板上に形成されたエッチングマスク膜を、エッチングマスク膜上に形成されたレジストパターンをマスクとして、エッチングしてエッチングマスク膜パターンを形成する。このため、エッチングマスク膜パターン付き基板を容易に形成することができる。
(構成7)
本発明の構成7は、前記表示装置製造用位相シフトマスクが、前記エッチングマスク膜パターンから形成される遮光膜パターンを有する遮光部と、該遮光部に隣接して位置する、前記ガラス基板が掘り込まれた位相シフト部及び前記ガラス基板が掘り込まれていない非位相シフト部を含む透光部とを備えるレベンソン型位相シフトマスクであり、前記位相シフト部を形成する工程が、前記位相シフト部を透過する露光光と、前記非位相シフト部を透過する露光光との位相差が略180度となるように、前記ガラス基板を掘り込む工程を有することを特徴とする構成1から6のいずれかに記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法である。
構成7の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法によれば、本発明の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法を、レベンソン型位相シフトマスクに適用できる。
(構成8)
本発明の構成8は、前記表示装置製造用位相シフトマスクが、前記ガラス基板が掘り込まれた位相シフト部と、前記ガラス基板が掘り込まれていない非位相シフト部とを備えるクロムレス位相シフトマスクであり、前記位相シフト部を形成する工程が、前記位相シフト部を透過する露光光と、前記非位相シフト部を透過する露光光との位相差が略180度となるように、前記ガラス基板を掘り込む工程を有し、前記位相シフト部を形成する工程の後、前記エッチングマスク膜パターンを除去する工程を有することを特徴とする構成1から6のいずれかに記載の位相シフトマスクの製造方法である。
構成8の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法によれば、本発明の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法を、クロムレス位相シフトマスクに適用できる。
本発明により、ガラス基板をエッチングするエッチング液として、フッ酸水容液を使用せず、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を使用するので、安全に表示装置製造用位相シフトマスクを作製することができる。
また、本発明により、ガラス基板のエッチングを、熱エネルギーが付与された前記水溶液中にガラス基板を浸漬することにより行うことによって、表示装置製造用の比較的大きなサイズのガラス基板であっても、ガラス基板を掘り込み形成された位相シフト部の位相シフト量を、基板面内に渡って均一にした表示装置製造用位相シフトマスクを作製することができる。
本発明の表示装置製造用位相シフトマスク(レベンソン型位相シフトマスク)の一例を示す断面図である。 本発明の表示装置製造用位相シフトマスク(クロムレス位相シフトマスク)の一例を示す断面図である。 本発明の表示装置製造用位相シフトマスク(レベンソン型位相シフトマスク)の製造方法の工程の一例を示す工程図である。 本発明の表示装置製造用位相シフトマスク(クロムレス位相シフトマスク)の製造方法の工程の一例を示す工程図である。
まず初めに、本発明の製造方法を適用することができる表示装置製造用位相シフトマスクブランクについて説明する。
この表示装置製造用位相シフトマスクブランクは、ガラス基板2と、ガラス基板2上に形成され、ガラス基板2をエッチングするウェットエッチング液に対して耐性を有するエッチングマスク膜を有する。このエッチングマスク膜は、通常、エッチングマスクとしての機能を有する遮光膜1が用いられる。なお、通常、遮光膜1の成膜の際、ガラス基板2の上向き表面に遮光膜1が形成されるので、「遮光膜1の下部」とは、遮光膜1のガラス基板2側の方向を意味する。なお、ガラス基板2と、遮光膜1とを有し、さらに遮光膜1上にレジスト膜3が形成されたものも表示装置製造用位相シフトマスクブランクとしてみなす場合があるが、以下の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法の説明では、この場合のエッチングマスク膜は、マスクブランク上に形成されたものであるとみなす。
上記の位相シフトマスクブランクを用いて製造することのできる、基板掘り込み型の表示装置製造用位相シフトマスク(例えば、レベンソン型位相シフトマスク、クロムレス位相シフトマスク)について説明する。ここで説明する表示装置製造用位相シフトマスクは、i線、h線及びg線のうち少なくとも1つを含む露光光を用いて表示装置を製造するためのものである。
図1は、基板掘り込み型の表示装置製造用位相シフトマスクの一つであるレベンソン型位相シフトマスクを示す断面図である。このレベンソン型位相シフトマスクは、露光光に対して透明なガラス基板2と、ガラス基板2上に露光光を遮光する遮光膜1からなる遮光膜パターン5によって形成された遮光部と、遮光部に隣接して位置する、位相シフト部8及び非位相シフト部12を含む透光部とを有する。
レベンソン型位相シフトマスクは、露光光に対して透明なガラス基板2を有し、このガラス基板2上に遮光部を有する。遮光部は、露光光を遮光する遮光膜1のパターン(遮光膜パターン5)によって形成される。遮光部に所定の波長の露光光が入射すると、露光光は吸収されるため、露光光は遮光部を透過しない。レベンソン型位相シフトマスクは、遮光部に隣接する透光部を有する。透光部には、遮光膜1が形成されていないため、透光部に所定の波長の露光光が入射すると、露光光が透過する。透光部のうち位相シフト部8は、位相シフト部8のガラス基板2をエッチングにより掘り込むことにより形成されている。また、遮光部5aを介して位相シフト部8と隣接する透光部は、非位相シフト部12である。非位相シフト部12には、エッチングによる掘り込みは形成されていない。
レベンソン型位相シフトマスクは、いわゆる基板掘り込み型の位相シフトマスクの代表例である。すなわち、レベンソン型位相シフトマスクでは、位相シフト部8を透過する露光光と、遮光部を介して位相シフト部8と隣接する非位相シフト部12を透過する露光光との位相差が略180度となるように、位相シフト部8の掘り込みが形成されている。レベンソン型位相シフトマスクでは、位相シフト部8を透過する露光光と、非位相シフト部12を透過する露光光との位相差が略180度となるために、二つの透過した露光光の振幅は打ち消し合うことになり、露光光の解像性能は向上する。
レベンソン型位相シフトマスクでは、位相シフト部8が、ウェットエッチングにより形成される。位相シフトマスクブランクは、遮光膜1の材料を、位相シフト部8を形成する際に使用するエッチャント(ウェットエッチング液)に対して耐性を有する材料とする。例えば、クロムまたはタンタルを主成分とする材料を使用することができる。
図1に示すレベンソン型位相シフトマスクの位相シフト部8は、ウェットエッチングにより、基板表面に対して垂直方向に掘り込み深さDを有する。掘り込み深さDは、表示装置を製造する際の露光光の波長によって異なる。例えば、露光光としてi線を用いる場合の掘り込み深さDは380nmであり、g線を用いる場合の掘り込み深さDは460nmである。
なお、レベンソン型位相シフトマスクにおいては、遮光部を介して隣接する透光部間(位相シフト部8と非位相シフト部12との間)で、波長λの透過光に対して、〔λ(2m−1)/2〕(mは、自然数)の光路長差を生じさせることにより、これら透過光の間に180度の位相差を生じさせることができる。このような光路長差を生じさせるためには、遮光部を介して隣接する透光部間におけるガラス基板2の厚さの差D(掘り込み深さD)を、ガラス基板2の屈折率をnとしたとき、〔D=λ(2m−1)/2n〕が成立するようにすればよい。
上述のように、掘り込み深さDは、使用する露光光源の波長、及び用途に応じて適宜設定される。露光波長としては、i線、h線及びg線のうち、複数の露光波長が含まれたマルチ波長の場合には、個々の露光装置の特性(各波長のスペクトル強度等)や用途に応じて、複数の露光波長の中から一つの波長(例えば、i線)を選択して、掘り込み深さDを決定することができる。レベンソン型位相シフトマスクにおいては、位相シフト部8と非位相シフト部12との透過光の位相差を、略180度、例えば175度〜185度の範囲に設定することが解像性の観点から好ましい。しかしながら、レベンソン型位相シフトマスクを用いての所定の転写が可能であれば、位相シフト部8と非位相シフト部12との透過光の位相差は、上記範囲から外れることができる。
図2は、基板掘り込み型の表示装置製造用位相シフトマスクの一つであるクロムレス位相シフトマスクを示す断面図である。このクロムレス位相シフトマスクは、露光光に対して透明なガラス基板2と、ガラス基板2を掘り込むことにより形成された位相シフト部8とガラス基板2を掘り込まない非位相シフト部12とを含む透光部とを有する。尚、図示しないが、非位相シフト部12を構成するガラス基板2上に、露光光を遮光する遮光膜1からなる遮光膜パターン5が形成された遮光部を有する構造としても良い。
図2に示したクロムレス位相シフトマスクは、ガラス基板2をエッチングにより掘り込むことにより形成された位相シフト部8と、掘り込まれていない非位相シフト部12を透過する露光光との位相差が略180度となるように、位相シフト部8の掘り込みが形成されている。クロムレス位相シフトマスクでは、位相シフト部8を透過する露光光と、非位相シフト部12を透過する露光光との位相差が略180度となるために、位相シフト部8と非位相シフト部12の境界部分に対応する露光光の振幅は打ち消し合うことになる。
上述と同様に、クロムレス位相シフトマスクにおいても、位相シフト部8は、ウェットエッチングにより形成される。位相シフトマスクブランクは、遮光膜1の材料を、位相シフト部8を形成する際に使用するエッチャント(ウェットエッチング液)に対して耐性を有する材料とする。例えば、クロムまたはタンタルを主成分とする材料を使用することができる。
図2に示すクロムレス位相シフトマスクの位相シフト部8も、ウェットエッチングにより、基板表面に対して垂直方向に掘り込み深さDを有する。掘り込み深さDは、表示装置を製造する際の露光光の波長によって異なる。例えば、露光光としてi線を用いる場合の掘り込み深さDは380nmであり、g線を用いる場合の掘り込み深さDは460nmである。また、上述のレベンソン型位相シフトマスクと同様に、掘り込み深さDは、使用する露光光源の波長、及び用途に応じて適宜設定される。露光波長としては、i線、h線及びg線のうち、複数の露光波長が含まれたマルチ波長の場合には、個々の露光装置の特性(各波長のスペクトル強度等)や用途に応じて、複数の露光波長の中から一つの波長(例えば、i線)を選択して、掘り込み深さDを決定することができる。クロムレス位相シフトマスクにおいては、位相シフト部8と非位相シフト部12との透過光の位相差を、略180度、例えば175度〜185度の範囲に設定することが解像性の観点から好ましい。しかしながら、クロムレス位相シフトマスクを用いての所定の転写が可能であれば、位相シフト部8と非位相シフト部12との透過光の位相差は、上記範囲から外れることができる。
本発明の表示装置製造用の位相シフトマスクに用いることのできるガラス基板2としては、合成石英ガラス基板、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス基板などを挙げることができる。これらの中でも、合成石英ガラス基板を用いることが好ましい。合成石英ガラス基板を用いたフォトマスクを使用して被転写体となる基板上へのパターン転写を行う場合、合成石英ガラス基板の平坦度及び平滑度が高いため、転写パターンの歪みが生じにくく、高精度のパターン転写を行うことができるためである。
本発明の表示装置製造用位相シフトマスクに用いるガラス基板2の大きさは、特に制限はない。具体的には、大型基板用の330mm×450mm以上(例えば、330mm×450mmの大きさから1620mm×1780mmまで)の大きさのもの、並びに5インチ、6インチ、7インチ、9インチなどの小型のガラス基板2を用いることができる。
本発明の位相シフトマスクの遮光膜1からなる遮光膜パターン5の膜厚は、露光光の波長において、光学濃度が2.8以上なるのに必要な膜厚にすることが好ましい。例えば、遮光膜パターン5の膜厚は、100nm以上450nm以下であることが好ましい。遮光膜パターン5の膜厚が100nm未満だと、露光光の波長において、光学濃度が2.8以上とすることが難しい。また、遮光膜パターン5の膜厚が450nmを超えると、エッチングによる掘り込みの際に垂直なパターンが得られにくくなり、また、遮光膜パターン5を形成するのにエッチング時間が長くなるという問題が生じる。また、遮光膜パターン5の膜厚を厚くして、必要以上に光学濃度を高くする必要はない。すなわち、遮光膜パターン5の膜厚が450nmを超えると、光学濃度が4.5を超え、断面形状が制御しにくくなるという問題が生じる。上述のことから、遮光膜パターン5の膜厚の範囲は、100nm以上450nm以下であることが好ましく、光学濃度の範囲は、2.8以上4.5以下であることが好ましい。
本発明の基板掘り込み型の表示装置製造用位相シフトマスクにおいて、ガラス基板2上に形成される遮光膜パターン5は、位相シフト部8を形成する際に使用するエッチャント(ウェットエッチング液)に対して耐性を有する材料からなる。すなわち、遮光膜パターン5の材料は、ガラス基板2(合成石英ガラス、ソーダライムガラスなど)をエッチングするエッチャント(ウェットエッチング液(本発明においては、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液))に対して耐性を有する材料であれば良い。具体的な遮光膜パターン5の材料としては、クロムを主成分とする材料や、タンタルを主成分とする材料を使用することができる。クロムを主成分とする材料としては、クロム又はクロム化合物を挙げることができる。クロム化合物としては、クロムに酸素、窒素、炭素、フッ素及び水素から選ばれる少なくとも一つの元素を含むクロム化合物を挙げることができる。また、タンタルを主成分とする材料としては、タンタル又はタンタル化合物を挙げることができる。タンタル化合物としては、タンタルに酸素、窒素、炭素、フッ素及び水素から選ばれる少なくとも一つの元素を含むタンタル化合物を挙げることができる。遮光膜パターン5の材料としては、クロムを主成分とする材料又はタンタルを主成分とする材料に他の元素を添加した材料を用いることもできる。
ガラス基板2との密着性を考慮すると、遮光膜パターン5の材料は、クロムを主成分とする材料又はタンタルを主成分とする材料であることが好ましい。
本発明の表示装置製造用位相シフトマスクにおいて、遮光膜パターン5が、クロムを主成分とする材料の場合、クロムと窒素とを含み、膜厚方向全体に渡ってクロムと窒素とを含むことが好ましい。機械的耐久性を高めるために、クロムと窒素とを含み、膜厚方向全体に渡ってクロムと窒素とを含むことにより、遮光膜パターン5の機械的耐久性を高めることができる。
本発明の表示装置製造用位相シフトマスクでは、遮光膜パターン5が、ガラス基板2側から主に露光光を遮光する機能を有する遮光層と、主に露光光の反射を抑制する機能を有する反射防止層とを有し、遮光層が、主にクロムと窒素とからなり、反射防止層が、主にクロムと酸素と炭素と窒素とからなることが好ましい。
本発明の表示装置製造用位相シフトマスクは、転写時の、被転写体とマスクとの多重反射によるフレアを防止するため、遮光膜パターン5の表面に反射防止層を形成することが好ましい。この場合、本発明の表示装置製造用位相シフトマスクの遮光膜パターン5は、遮光層と反射防止層との積層構造を有することになる。遮光膜パターン5の表面に反射防止層を形成する場合、遮光層は主にクロムと窒素とからなり、反射防止層は主にクロムと酸素と炭素と窒素とからなる材料であることが好ましい。
また、転写時の、露光装置と位相シフトマスク(ガラス基板2)との多重反射を防止するために、遮光膜1のガラス基板2側に裏面反射防止層を設けることもできる。なお、反射防止層及び裏面反射防止層は、各層の組成が段階的に変化した積層膜とすることができ、各層の組成が連続的に変化した組成傾斜膜とすることもできる。
本発明の表示装置製造用位相シフトマスクは、遮光膜パターン5の遮光層に含まれる窒素の含有量が、30原子%以上70原子%以下であることが好ましい。遮光層に含まれる窒素の含有量が、所定の割合であることにより、機械的強度を向上することができる。また、遮光層に含まれる窒素の含有量が、所定の割合であると、ウェットエッチングによる遮光膜パターン5の断面形状が適切な形状となり、さらに、ウェットエッチング後のガラス基板2表面のクロムの残留を防止することができる。
次に、本発明の基板掘り込み型の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法について、図3を用いて、第1の態様を説明する。第1の態様は、基板掘り込み型の表示装置製造用位相シフトマスクの一つであるレベンソン型位相シフトマスクの製造方法である。
本発明の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法では、まず、上記説明した表示装置製造用位相シフトマスクブランクを用意する。すなわち、合成石英ガラス基板などのガラス基板2に、クロム(Cr)などの所定の材料を用いた遮光膜1を、所定の膜厚になるように、スパッタリング法などによって形成する。この結果、ガラス基板2と、ガラス基板2上に形成された遮光膜1とを有する表示装置製造用位相シフトマスクブランクを得ることができる。
本発明の位相シフトマスクの製造方法では、次に、遮光膜1の表面にレジストを塗布することにより、第1のレジスト膜3を形成する(図3(a))。第1のレジスト膜3は、塗布後、ベークされる。
次に、遮光膜1上に第1レジストパターン4を形成し、第1レジストパターン4をマスクにして、遮光膜1をエッチングして遮光膜パターン5を形成する。すなわち、図3(b)に示すように、第1のレジスト膜3に対し、遮光膜パターン5を形成するための露光を行い、現像して、第1レジストパターン4を形成する。この第1レジストパターン4をマスクとして、遮光膜1に対してエッチング処理を施して、遮光膜パターン5を形成する。この遮光膜パターン5において、遮光膜1がエッチング処理によって除去された領域は、透光部となる。
遮光膜パターン5を形成するに当たっては、通常、遮光膜1上に形成した第1レジストパターン4をマスクにしてウェットエッチング又はドライエッチングを行いパターニングする。製造コストを考慮すると、遮光膜パターン5を形成する際には、ウェットエッチングを行ってパターニングをすることが好ましい。ウェットエッチング液としては、クロムを主成分とする材料の場合には、硝酸第二セリウムアンモニウム及び過塩素酸を含む水溶液を用いることができる。また、タンタルを主成分とする材料の場合には、ウェットエッチング液として、NaOH、KOH、LiOH、Ca(OH)及びCsOHのいずれか一つを含む水溶液を使用することができる。
次に、図3(c)に示すように、第1レジストパターン4を剥離する。この結果、ガラス基板2と、ガラス基板2上に形成された遮光膜パターン5とを備えた遮光膜パターン付き基板を得ることができる。
次に、遮光膜パターン5上に第2のレジスト膜6を形成し、位相シフト部8を形成する部分のガラス基板2が露出するように第2レジストパターン7を形成する。すなわち、図3(d)に示すように、第2のレジスト膜6を塗布して、ベークする。次に、図3(e)に示すように、第2のレジスト膜6に対し、位相シフト部8を形成するための露光を行い、現像して、第2レジストパターン7を形成する。図3(e)に示す例では、第2レジストパターン7の開口部は、遮光膜パターン5の開口部より大きく形成されている。すなわち、第2レジストパターン7は、遮光膜パターン5のエッジからはみ出さないように形成されている。
次に、少なくとも遮光膜パターン5をマスクとして、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いたエッチング(ウェットエッチング)によりガラス基板2を掘り込むことにより、位相シフト部8を形成する。
具体的には、図3(f)、図3(g)に示すように、遮光膜パターン5及び第2レジストパターン7をマスクとして、ガラス基板2に無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いてウェットエッチング処理を施して、位相シフト部8を形成する。このようにして形成された位相シフト部8は、遮光膜パターン5の下部のアンダーカット部14を有して凹状に形成される(図3(g))。
次に、図3(h)に示すように、第2レジストパターン7を除去する。さらに、図3(i)に示すように、一般に、ペリクル9を貼り付けて、位相シフトマスク(レベンソン型位相シフトマスク)が完成する。
尚、上述の第1の態様の製造方法の図3(e)の工程を、第2レジストパターン7が、遮光膜パターン5のエッジから、後にエッチング処理を施すガラス基板2上にはみだして覆うように形成し、第2レジストパターン7をマスクとして、ガラス基板2に無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いてウェットエッチング処理を施して、位相シフト部8を形成することも考えられる。ここで説明した位相シフトマスクの製造方法としては、以下の構成(構成A)とすることができ、本発明と同様の効果を得ることができる。
(構成A)
表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法であって、
ガラス基板と、該ガラス基板上に形成された、該ガラス基板をエッチングするウェットエッチング液に対してエッチング耐性を有する材料からなるエッチングマスク膜パターンとを備えたエッチングマスク膜パターン付き基板を作製する工程と、
前記エッチングマスク膜パターン上に、位相シフト部を形成する部分の前記ガラス基板が露出するように前記ガラス基板を掘り込む際のマスクとなる(第2)レジストパターンを形成する工程と、
前記(第2)レジストパターンをマスクとして、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を前記ウェットエッチング液として用いたウェットエッチングによって、前記ガラス基板を所定量掘り込むことにより前記位相シフト部を形成する工程と、を有することを特徴とする表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法。
この構成Aの場合、本発明の効果に加えて、第2レジストパターン7が、遮光膜パターン5を覆うため、次の工程での等方性ウェットエッチングの際の遮光膜パターン5に対するダメージを防止することができる。
次に、本発明の液晶表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法の第2の態様について、図4を用いて説明する。第2の態様は、基板掘り込み型の表示装置製造用位相シフトマスクの一つであるクロムレス位相シフトマスクの製造方法である。
上述の第1の態様と同様に、まず、表示装置製造用位相シフトマスクブランクを用意する。
本発明の位相シフトマスクの製造方法では、次に、遮光膜1の表面にレジストを塗布することにより、第1のレジスト膜3を形成する(図4(a))。第1のレジスト膜3は、塗布後、ベークされる。
次に、遮光膜1上に第1レジストパターン4を形成し、第1レジストパターン4をマスクにして、遮光膜1をエッチングして遮光膜パターン5を形成する。すなわち、図4(b)に示すように、第1のレジスト膜3に対し、遮光膜パターン5を形成するための露光を行い、現像して、第1レジストパターン4を形成する。この第1レジストパターン4をマスクとして、遮光膜1に対してエッチング処理を施して、遮光膜パターン5を形成する。
遮光膜パターン5を形成するに当たっては、通常、遮光膜1上に形成した第1レジストパターン4をマスクにしてウェットエッチング又はドライエッチングを行いパターニングする。製造コストを考慮すると、遮光膜パターン5を形成する際には、ウェットエッチングを行ってパターニングをすることが好ましい。ウェットエッチング液としては、クロムを主成分とする材料の場合には、硝酸第二セリウムアンモニウム及び過塩素酸を含む水溶液を用いることができる。また、タンタルを主成分とする材料の場合には、ウェットエッチング液として、NaOH、KOH、LiOH、Ca(OH)及びCsOHのいずれか一つを含む水溶液を使用することができる。
次に、図4(c)に示すように、第1レジストパターン4を剥離する。この結果、ガラス基板2と、ガラス基板2上に形成された遮光膜パターン5とを備えた遮光膜パターン付き基板を得ることができる。
次に、遮光膜パターン5をマスクとして、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いたエッチング(ウェットエッチング)によりガラス基板2を掘り込むことにより、位相シフト部8を形成する。
具体的には、図4(d)に示すように、遮光膜パターン5をマスクとして、ガラス基板2に無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いてウェットエッチング処理を施して、位相シフト部8を形成する。このようにして形成された位相シフト部8は、遮光膜パターン5の下部のアンダーカット部14を有して凹状に形成される(図4(d))。
次に、遮光膜パターン5上に第2のレジスト膜6を形成し、転写パターン形成領域のガラス基板2の中央部が露出するように第2レジストパターン7を形成する。すなわち、図4(e)に示すように、第2のレジスト膜6を塗布して、ベークする。次に、図4(f)に示すように、第2のレジスト膜6に対し、ガラス基板2の外周部に第2のレジスト膜6が残存するように露光を行い、現像して、第2レジストパターン7を形成する(図4(f))。
次に、第2レジストパターン7をマスクにして、ウェットエッチング又はドライエッチングを行い、不要な遮光膜パターン5を除去する。
次に、第2レジストパターン7を除去する。さらに、図4(g)に示すように、一般に、ペリクル9を貼り付けて、位相シフトマスク(クロムレス位相シフトマスク)が完成する。
なお、上述の第2の態様の製造方法では、第1レジストパターン4を除去した後、遮光膜パターン5をマスクとして、ガラス基板2に無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いてウェットエッチング処理を施して、位相シフト部8の形成を行ったが、遮光膜パターン5上に第1レジストパターン4が形成された状態で、遮光膜パターン5及び第1レジストパターン4をマスクとして、ガラス基板2に無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いてウェットエッチング処理を施して、位相シフト部8の形成を行っても構わない。
尚、上述の第2の態様の製造方法の図4(d)の工程を、上述で説明した構成Aに記載の位相シフトマスクの製造方法とすることもできる。この場合、図4(c)の工程の後に、第2レジストパターンを遮光膜パターン5のエッジから、後にエッチング処理を施すガラス基板2上にはみだして覆うように形成する。
上記第1の態様および第2の態様で説明した本発明の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法の特徴は、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を用いてガラス基板をエッチングして所定量の深さ掘り込むことである。上記第1の態様および第2の態様で説明した本発明の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法では、従来のようなフッ酸水溶液を使用しないので、安全に表示装置製造用位相シフトマスクを作製することができる。無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを使用することができる。キレート剤は、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤からなる群から選択された少なくとも一種を含むものが好ましい。代表的なアミノカルボン酸系キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA(Ethylene Diamine Tetraacetic Acid))がある。また、代表的なホスホン酸系キレート剤としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP(Hydroxyethylidene Diphosphonic Acid))がある。
キレート剤の濃度は、0.0002mol/L以上することが好ましい。キレート剤の濃度が0.0002mol/L未満の場合、ガラス基板のエッチングレートが遅くなるので好ましくない。実用上の観点から、キレート剤の濃度は、0.0002mol%以上0.1mol/L以下とすることが好ましい。また、無機アルカリは、上記キレート剤に対して0.2倍以上4倍以下の濃度(mol/L)になるように中和するのが好ましい。また、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液のpHは、6.0以上11.0以下が好ましい。さらに好ましくは、pHが6.0以上9.5以下、さらに好ましくは、pHが6.0以上8.0以下が望ましい。
上記水溶液を使用してガラス基板に所定量掘り込んで位相シフト部を形成する際は、上記水溶液中に浸漬する(ディップ(DIP))方法が好ましい。ガラス基板上にエッチングマスク膜パターンが形成されたエッチングマスク膜パターン付き基板を、上記水溶液中に浸漬することにより、ガラス基板に対する上記水溶液の接触を基板面内に渡って均一にすることができる。従って、基板面内における上記水溶液の滞留時間の変動等による基板面内での掘り込み量のばらつきを抑制することができ、位相シフト部の位相シフト量を均一にすることができる。
また、上記水溶液として、熱エネルギーが付与された水溶液を用いることが好ましい。熱エネルギーが付与された上記水溶液を使用することにより、ガラス基板に対するエッチング速度が高くなり、ガラス基板を所定量掘り込む際の処理時間を短くすることができるからである。具体的には、上記水溶液の液温としては、60℃以上100℃以下とすることが好ましく、更に好ましくは80℃以上100℃以下とすることが好ましい。
ディップ法により位相シフト部の形成する際には、以下の手順で行うと良い。以下の手順で行うと、無機アルカリで中和されたキレート剤を水中に添加して、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を形成する前に、エッチングマスク膜パターン付き基板を水中に浸漬する。このため、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液によりガラス基板をウェットエッチングする前に、エッチングマスク膜パターン付き基板の温度を基板面内に渡って均一にすることができる。従って、基板面内での掘り込み量のばらつきを抑制することができ、位相シフト部の位相シフト量を均一にすることができる。
(1)ガラス基板が浸漬可能な容器に水を入れし、エッチング時の温度条件まで加熱する。(例えば、90℃の温水)
(2)次に、ガラス基板上にエッチングマスク膜パターンが形成されたエッチングマスク膜パターン付き基板を浸漬し、エッチング時の温度条件になるまで保持する(例えば、90℃で安定するまで温水中にエッチングマスク膜パターン付き基板を保持する。)。このとき、90℃の温水にガラス基板を浸漬しても実質エッチングダメージは起きない。
(3)次に、温水に、無機アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)で中和した所定量のキレート剤を添加し、ガラス基板のエッチングを開始する。尚、エッチングが進行して欲しくないガラス基板2の裏面や端面については、エッチングの進行を抑制するエッチング阻止膜をガラス基板2の裏面や端面に形成して、エッチングを行っても構わない。
ガラス基板のエッチングは、予めキレート剤の種類と濃度、水溶液(無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液)の温度、無機アルカリの種類と濃度、浸漬時間と、ガラス基板のエッチング量(掘り込み深さ)との関係を把握しておき、ガラス基板の掘り込み深さが略180°となるエッチング条件を決定し、その決定したエッチング条件で行われる。
なお、予め無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液をエッチング時の温度条件まで加熱しておき、その後、上記エッチングマスク膜パターン付き基板を浸漬しても構わない。この場合、エッチングマスク膜パターン付き基板を浸漬する際に、上記水溶液の温度低下が発生する場合は、前処理として温水槽に浸漬することで、上記水溶液の温度低下を抑制することができる。
(実施例1)
実施例1はレベンソン型位相シフトマスクの製造方法の実施例である。
まず、位相シフトマスクブランクの作製では、ガラス基板2として大型ガラス基板(合成石英ガラス、10mm厚、サイズ850mm×1200mm)を用いた。このガラス基板2上に、大型インライン型スパッタリング装置を使用し、遮光層及び反射防止層で構成される遮光膜1の成膜を行った。
遮光膜1の成膜は、次のように行った。まず、大型インライン型スパッタリング装置内に連続して配置された各スペース(スパッタ室)にCrターゲットを各々配置した。次に、Arガス及びNガスをスパッタリングガス(Ar:90sccm、N:45sccm)として、CrNからなる遮光層を175nm成膜した。なお、遮光層を成膜する際のスパッタリング装置の電力は9.6kWとした。
次に、ArガスとNガスとCOガスとをスパッタリングガス(Ar:60sccm、N:60sccm、CO:10sccm)として、膜厚25nmのCrCONからなる反射防止層を連続成膜して形成した。なお、反射防止層を成膜する際のスパッタリング装置の電力は2.0kWとした。このようにして、合成石英ガラスからなる大型ガラス基板上に、遮光層及び反射防止層で構成される遮光膜1を形成した。
上述のようにして成膜した、実施例1の遮光層及び反射防止層の各層は、それぞれ組成傾斜膜であった。また、CrN層(遮光層)及びCrCON層(反射防止層)は、成膜時に使用したNガスによりN(窒素)が含まれていた。すなわち、遮光層及び反射防止層によって構成される遮光膜1の膜厚方向全体に渡ってクロム及び窒素が含まれていることが確認された。
上述のように、実施例1のCrNからなる遮光層は膜厚175nm、CrCONからなる反射防止層は膜厚25nmであり、遮光膜1全体の膜厚は200nmであった。したがって、遮光膜1の膜厚を1としたときの遮光層の割合は、0.875であった。なお、遮光層及び反射防止層を成膜するときの基板搬送速度は300mm/分とすることにより、上述の膜厚を得ることができた。
実施例1の遮光膜1について、ラザフォード後方散乱分析法により組成分析を行った。その結果、遮光層の組成は、クロム(Cr)65原子%及び窒素(N)は35原子%であった。また、反射防止層の組成は、クロム(Cr)37原子%、炭素(C)5原子%、酸素(O)30原子%及び窒素(N)28原子%であった。実施例1の遮光膜1の反射率(波長436nm)は12%であり、光学濃度ODは3.0であった。
以上のようにして製造した位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1のレベンソン型位相シフトマスクを製造した。以下、図3を用いてレベンソン型位相シフトマスクの製造方法を説明する。
まず、遮光膜1上にスリットコーターを用いてノボラック系のレーザー描画用フォトレジストを塗布し、加熱・冷却して膜厚1000nmのレジスト膜(第1のレジスト膜3)を形成した(図3(a))。
次に、レジスト膜に、レーザー描画でライン・アンド・スペース・パターンをパターン描画し、現像によってレジストパターン(第1レジストパターン4)を形成した。
次に、レジストパターンをマスクにして、上記遮光膜1を、一体的にウェットエッチング液(硝酸第二セリウムアンモニウム、過塩素酸及び純水の混合液)でエッチングすることにより、遮光膜パターン5を形成した(図3(b))。
次に、レジスト剥離液により、第1レジストパターン4を剥離した(図3(c))。このようにして、ガラス基板2と、ガラス基板2上に形成された遮光膜パターン5とを備えた遮光膜パターン付き基板を得た。
次に、再度、レジスト膜(第2のレジスト膜6)を形成した(図3(d))。
次に、基板掘り込み部(位相シフト部8)を形成したい場所を開口部にしたレジストパターン(第2レジストパターン7)を形成した(図3(e))。
次に、i線、h線及びg線の複数の露光波長が含まれたマルチ波長の露光装置を想定し、第2レジストパターン7及び遮光膜パターン5をマスクにして、水酸化ナトリウムで中和されたキレート剤(HEDP・4Na)を含む水溶液(ディップ法、液温:90℃、HEDP濃度:0.01mol/L、NaOH濃度:0.04mol/L、pH:9.5)によりガラス基板を430nmエッチングして掘り込み、基板掘り込み部(位相シフト部8)を形成した(図3(f)、図3(g))。
水酸化ナトリウムで中和したキレート剤を含む水溶液によるガラス基板への掘り込みは、以下のようにして行った。
まず、エッチング槽内の水を90℃まで加熱し、図3(e)の状態のガラス基板を90℃に加熱した温水に浸漬した。温水投入前のガラス基板は、室温状態で保管されていたため、ガラス基板投入直後のエッチング槽内の温水の温度は低下するが、90℃の状態になるまで待機した後、キレート剤(HEDP・4Na)を添加し(HEDP濃度:0.01mol/L、NaOH:0.04mol/L、pH:9.5)、ガラス基板のエッチングを開始した。エッチング時間は、ガラス基板を430nm掘り込む時間に設定した。
次に、レジスト剥離液により第2レジストパターン7を除去した(図3(h))。さらに、ぺリクル9を貼り付けた(図3(i))。
最後に純水を用いたメガソニック洗浄(物理洗浄)を行い、基板掘り込みタイプのレベンソン型位相シフトマスクを作製した。メガソニック洗浄は、1MHzの超音波が印加された洗浄液を、位相シフトマスクの表面に供給して洗浄を行った。
上述のようにして得られた実施例1のレベンソン型位相シフトマスクの面内25箇所の位相シフト量を、分光エリプソメーターを使用した位相差シミュレーションにより測定したところ、位相シフト量の面内バラツキは、180°±5°に収まっており良好な結果が得られた。
また、レベンソン型位相シフトマスクの遮光膜パターン5の反射率(波長436nm)は 10.0%であり、また、光学濃度ODも3.0となっており、無機アルカリ(NaOH)で中和されたキレート剤を含む水溶液による遮光膜パターンの光学特性も、位相シフトマスクブランクの遮光膜1の状態と比較してほぼ変化していないことが確認された。
(比較例1)
上述の実施例1において、図3(f)、図3(g)におけるガラス基板のエッチングを、バッファードフッ酸(40℃)によりガラス基板を380nmエッチングして掘り込んだ以外は、実施例1と同様にしてレベンソン型位相シフトマスクを作製した。
以上のようにして得られた比較例1のレベンソン型位相シフトマスクの面内25箇所の位相シフト量を、分光エリプソメーターを使用した位相差シミュレーションにより測定したところ、位相シフト量の面内バラツキは、180°±11°となり、レベンソン型位相シフトマスクに要求される位相シフト量バラツキの仕様を逸脱する結果となった。
(実施例2)
実施例2はクロムレス位相シフトマスクの製造方法の実施例である。
まずは、実施例1と同じ位相シフトマスクブランクを準備し、実施例2のクロムレス位相シフトマスクを製造した。以下、図4を用いてクロムレス位相シフトマスクの製造方法を説明する。
まず、遮光膜1上にスリットコーターを用いてノボラック系のレーザー描画用フォトレジストを塗布し、加熱・冷却して膜厚1000nmのレジスト膜(第1のレジスト膜3)を形成した(図4(a))。
次に、レジスト膜に、レーザー描画でライン・アンド・スペース・パターンをパターン描画し、現像によってレジストパターン(第1レジストパターン4)を形成した。
次に、レジストパターンをマスクにして、上記遮光膜1を、一体的にウェットエッチング液(硝酸第二セリウムアンモニウム、過塩素酸及び純水の混合液)でエッチングすることにより、遮光膜パターン5を形成した(図4(b))。
次に、レジスト剥離液により、第1レジストパターン4を剥離した(図4(c))。このようにして、ガラス基板2と、ガラス基板2上に形成された遮光膜パターン5とを備えた遮光膜パターン付き基板が形成された。
次に、i線、h線及びg線の複数の露光波長が含まれたマルチ波長の露光装置を想定し、遮光膜パターン5をマスクにして、水酸化ナトリウムで中和されたキレート剤(HEDP・4Na)を含む水溶液(ディップ法、液温:90℃、HEDP濃度:0.01mol/L、NaOH濃度:0.04mol/L、pH:9.5)によりガラス基板を430nmエッチングして掘り込み、基板掘り込み部(位相シフト部8)を形成した(図4(d))。
尚、水酸化ナトリウムで中和されたキレート剤を含む水溶液によるガラス基板への掘り込みは、実施例1と同様の手順で行った。
次に、図4(e)に示すように、第2のレジスト膜6を塗布して、ベークした後、図4(f)に示すように、ガラス基板2の外周部に第2のレジスト膜6が残存するように描画し、現像して、第2レジストパターン7を形成した。(図4(f))
次に、第2レジストパターン7をマスクにして、遮光膜パターン5をウェットエッチング液(硝酸第二セリウムアンモニウム、過塩素酸及び純水の混合液)でエッチングすることにより、不要な遮光膜パターン5を除去した。
次に、レジスト剥離液により第2レジストパターン7を除去た。さらに、ぺリクル9を貼り付けた(図4(g))。
最後に純水を用いたメガソニック洗浄(物理洗浄)を行い、基板掘り込みタイプのクロムレス位相シフトマスクを作製した。メガソニック洗浄は、1MHzの超音波が印加された洗浄液を、位相シフトマスクの表面に供給して洗浄を行った。
上述のようにして得られた実施例2のクロムレス位相シフトマスクの面内25箇所の位相シフト量を、分光エリプソメーターを使用した位相差シミュレーションにより測定したところ、位相シフト量の面内バラツキは、180°±4°に収まっており良好な結果が得られた。
(実施例3)
上述の実施例1において、図3(f)、図3(g))におけるガラス基板のエッチングを、水酸化カリウムで中和されたキレート剤(HEDP・4K)を含む水溶液(ディップ法、液温:90℃、HEDP濃度:0.01mol/L、KOH濃度:0.04mol/L、pH:10.0)とした以外は、実施例1と同様にしてレベンソン型位相シフトマスクを作製した。
実施例1と比べてガラス基板のエッチング速度が約1.4倍となった。また、位相シフト量の面内バラツキは実施例1と同程度で、遮光膜パターンの光学特性も、位相シフトマスクブランクの遮光膜1の状態と比較してほぼ変化していないことが確認された。
(実施例4)
上述の実施例1において、図3(f)、図3(g)におけるガラス基板のエッチングを、水酸化ナトリウムで中和されたキレート剤(EDTA・4Na)を含む水溶液(ディップ法、液温:90℃、EDTA濃度:0.07mol/L、NaOH濃度:0.28mol/L、pH:9.5)とした以外は、実施例1と同様にしてレベンソン型位相シフトマスクを作製した。
実施例1と比べてガラス基板のエッチング速度が約0.7倍となった。また、位相シフト量の面内バラツキは実施例1と同程度で、遮光膜パターンの光学特性も、位相シフトマスクブランクの遮光膜1の状態と比較してほぼ変化していないことが確認された。
(実施例5)
上述の実施例3において、図3(f)、図3(g))におけるガラス基板のエッチングを、水酸化カリウムで中和されたキレート剤(HEDP・4K)を含む水溶液(ディップ法、液温:90℃、HEDP濃度:0.002mol/L、KOH濃度:0.008mol/L、pH:7.5)とした以外は、実施例3と同様にしてレベンソン型位相シフトマスクを作製した。
実施例3と比べてガラス基板のエッチング速度が約0.5倍となった。また、位相シフト量の面内バラツキは実施例3と同程度で、遮光膜パターンの光学特性も、位相シフトマスクブランクの遮光膜1の状態と比較してほぼ変化していないことが確認された。
1 遮光膜
2 ガラス基板
3 第1のレジスト膜
4 第1レジストパターン
5 遮光膜パターン
5a 遮光部
6 第2のレジスト膜
7 第2レジストパターン
8 位相シフト部(掘り込み部)
9 ペリクル
12 非位相シフト部
14 アンダーカット部

Claims (8)

  1. 表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法であって、
    ガラス基板と、該ガラス基板上に形成された、該ガラス基板をエッチングするウェットエッチング液に対してエッチング耐性を有する材料からなるエッチングマスク膜パターンとを備えたエッチングマスク膜パターン付き基板を作製する工程と、
    前記エッチングマスク膜パターンをマスクとして、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液を前記ウェットエッチング液として用いたウェットエッチングによって、前記ガラス基板を所定量掘り込むことにより位相シフト部を形成する工程と、
    を有することを特徴とする表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法。
  2. 前記位相シフト部を形成する工程は、前記エッチングマスク膜パターン付き基板を、無機アルカリで中和されたキレート剤を含む水溶液中に浸漬する工程を有することを特徴とする請求項1記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法。
  3. 前記水溶液中に浸漬する工程は、
    前記エッチングマスク膜パターン付き基板を、水中に浸漬する工程と、
    無機アルカリで中和されたキレート剤を前記水中に添加し、前記水溶液を形成する工程と、
    を有することを特徴とする請求項2に記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法。
  4. 前記水溶液は、熱エネルギーを付与されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法。
  5. 前記キレート剤は、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法。
  6. 前記エッチングマスク膜パターン付き基板を作製する工程は、
    前記ガラス基板と、該ガラス基板上に形成された、該ガラス基板をエッチングするウェットエッチング液に対してエッチング耐性を有する材料からなるエッチングマスク膜とを備えた位相シフトマスクブランクを準備する工程と、
    前記エッチングマスク膜上にレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜に所望のパターンの露光・現像を行うことによりレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして、エッチングにより前記エッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
    を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法。
  7. 前記表示装置製造用位相シフトマスクは、前記エッチングマスク膜パターンから形成される遮光膜パターンを有する遮光部と、前記遮光部に隣接して位置する、前記ガラス基板が掘り込まれた位相シフト部及び前記ガラス基板が掘り込まれていない非位相シフト部を含む透光部とを備えるレベンソン型位相シフトマスクであり、
    前記位相シフト部を形成する工程は、前記位相シフト部を透過する露光光と、前記非位相シフト部を透過する露光光との位相差が略180度となるように、前記ガラス基板を掘り込む工程を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法。
  8. 前記表示装置製造用位相シフトマスクは、前記ガラス基板が掘り込まれた位相シフト部と、前記ガラス基板が掘り込まれていない非位相シフト部とを備えるクロムレス位相シフトマスクであり、
    前記位相シフト部を形成する工程は、前記位相シフト部を透過する露光光と、前記非位相シフト部を透過する露光光との位相差が略180度となるように、前記ガラス基板を掘り込む工程を有し、
    前記位相シフト部を形成する工程の後、前記エッチングマスク膜パターンを除去する工程を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の表示装置製造用位相シフトマスクの製造方法。
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KR102282273B1 (ko) * 2020-01-17 2021-07-27 주식회사 에프에스티 극자외선 리소그래피용 펠리클의 제조방법

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