以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に記載されている装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
図1及び図2を参照して、こんろ1の外観構造を説明する。図1及び図2に示すように、こんろ1は、グリル付きテーブルこんろである。こんろ1は、筐体2と天板3を備える。筐体2は、上面に開口部(図示せず)を備えた略直方体状に形成されている。天板3は、平面視略矩形状に形成され、筐体2の開口部の上部に螺子(図示せず)で固定されている。天板3の種類は限定しないが、例えばホーロー素材等を採用できる。天板3の右側には右バーナ5、左側には左バーナ6が設けられている。天板3の左右方向の中央部の後端側には、排気口部9が設けられている。排気口部9は、平面視左右方向に長い略矩形状に形成されている。排気口部9は、筐体2内に設置されたグリル庫500(図2参照)内の燃焼によって生じた燃焼ガスを外部に排出する。排気口部9には、複数のスリット191を備える安全カバー190が上側から装着されている。
筐体2は、筐体本体部20、前板部24の二つの板金部材を互いに組み付け、螺子(図示せず)で固定することによって構成されている。筐体本体部20は、前側が開口する平面視略U字形状に形成されている。筐体本体部20の開口する前側に、正面視略矩形状の前板部24が螺子(図示せず)で組み付けられている。前板部24の左右方向の中央部には、グリル用の開口部241(図2参照)が設けられている。開口部241の内側には、グリル庫500の前側に設けられたグリル開口501(図2参照)が配置されている。開口部241には、グリル扉10が前後方向に移動可能に設けられている。ユーザがグリル扉10を手前側に引き出すと、グリル扉10の背面下部に連結した受皿(図示せず)及び焼き網(図示せず)を、グリル庫500内から同時に取り出すことができる。
前板部24の前面において、グリル扉10の右側には、ツマミ11,12が設けられている。グリル扉10の左側には、ツマミ13が設けられている。ツマミ11〜13は押し回し式である。ツマミ11は、右バーナ5を点火する場合に、正面視反時計回りに約90°押し回しされる。点火後は、時計回りに回動させることによって、火力が大火力から小火力に調節される。ツマミ11を点火前の位置に戻すと、右バーナ5が消火される。なお、ツマミ12と13の操作方法は、ツマミ11と同じである。ツマミ12は、グリル庫500内に設置されるグリルバーナ(図示せず)を点火する場合に押し回しされる。ツマミ13は、左バーナ6を点火する為に押し回しされる。ツマミ13の左側には、電池ボックス15が設けられている。電池ボックス15は、こんろ1に電源を供給する乾電池(図示せず)を格納する。
図3及び図4を参照して、グリル扉10の概略構成について説明する。グリル扉10は、枠部31、下側部32、ガラス板33、及び、カバー部34を備えている。枠部31は、グリル扉10の本体部を構成する金属製の部材である。枠部31は、例えば、板金をプレス加工すること等によって形成される。枠部31は、枠部31に形成される後述する空間部319にガラス板33を配置することで、ガラス板33の前面がグリル扉10の前側に配置された状態で、ガラス板33を支持する。
下側部32は、グリル扉10の正面視略下半分を占める合成樹脂製の部材である。下側部32の略中央には、取っ手部321が設けられている。取っ手部321は、下側部32の上下方向における略中央を左右方向に延び、且つ、前方に突出して設けられている。ユーザは、取っ手部321を把持してグリル扉10を引き出すことで、グリル開口501を開閉できる。
ガラス板33は、耐熱性を有する板状のガラスによって構成される。ガラス板33は、正面視で横長の長方形状である。ガラス板33は、パターン部331と、透過部332とを備える。パターン部331は、黒色のパターン印刷が施されることで形成された部分である。透過部332は、パターン部331の略中央に設けられた、パターン印刷が施されず、透明に形成された部分である。
カバー部34は、枠部31の上端部を覆う部材である。本実施形態では、カバー部34は、耐熱性を有する硬質の合成樹脂により構成されている。グリル扉10は、カバー部34を備えることで、グリルバーナの使用等によって高温になった枠部31に、ユーザが接触することを防止できる。また、カバー部34は、グリル扉10の金属の部分のうち、ユーザの視界に入りやすい上端部を覆う。したがって、グリル扉10は、カバー部34を設けることで、例えば、グリル扉10の上端部の金属の部分がむき出しにされているような場合に比較して、グリル扉10の美観を向上できる。
図4から図9、及び図11を参照して、枠部31及びカバー部34の形状について説明する。枠部31は、開口部241に対応する大きさの矩形状に形成されている。枠部31の左右方向の長さは、ガラス板33の左右方向の長さと略同じに設けられている。枠部31の上下方向の長さは、ガラス板33の上下方向の長さよりも長く設けられている。
枠部31は、第一面部311、突出部312、窓開口314、第二面部313、第三面部315、第一当接部316、左側面部317、右側面部318、及び、空間部319を主に備える。第一面部311は、枠部31の最も後側において、前後方向において略同じ位置で延びる平面部である。第一面部311は、グリル扉10が開口部241に配置された状態で、グリル開口501に対向配置する。本実施形態では、グリル開口501の外縁部501A(図2参照)が、前後方向において略同じ位置でグリル開口501を取り囲んでいる。グリル開口501に対向配置する第一面部311は、外縁部501Aにぴったりと当接して、グリル開口501を閉塞する。したがって、調理中等に、グリル庫500内の温度が保たれやすい。
第一面部311の下部の左右方向における略中央には、連結部31Aが取り付けられる。連結部31Aは、グリル庫500内に配置される受け皿を、グリル扉10の後面下部に連結するための部材である。連結部31Aは、第一面部311の下部に設けられた取付孔部31B(図7,8参照)に対して係止され、又は、螺子31Cを用いて螺子止めされることで、第一面部311の後面下部に取り付けられる。
図5及び図7に示すように、突出部312は、第一面部311から一段前方に突出して設けられた部分である。図4及び図8では、突出部312は、第一面部311から紙面後方側に一段窪んだ部分である。図7では、突出部312は、第一面部311から紙面前方側に一段突出した部分である。突出部312は、第一面部311のやや上部、且つ、左右方向における略中央位置に設けられている。
窓開口314は、突出部312を前後方向に貫通して設けられた開口部である。第二面部313は、突出部312における窓開口314の周縁部に設けられた平面部である。図5及び図7に示すように、第二面部313は、第二面部313の上側が第二面部313の下側よりも第一面部311に近接するように延びる。言い換えると、第二面部313は、前側から後方に向けて斜め上方に延びる。グリル扉10において、第二面部313は、ガラス板33の後面側からガラス板33に当接する。このため、ガラス板33は、グリル扉10において、前側から後方に向けて斜め上方に延びるように配置された状態で、第二面部313に支持される。このとき、窓開口314の縁部が、ガラス板33の後面に当接することで、窓開口314は、ガラス板33の所定の領域を取り囲む。図4に示すように、ガラス板33の透過部332は、窓開口314の内側に配置される。この場合、窓開口314に取り囲まれた領域を含むガラス板33が、窓開口314の内側に透過部332を備えた状態で、前側から後方に向けて斜め上方に延びるように配置される。したがって、こんろ1の前方に立ったユーザは、例えばガラス板33が前後方向において同じ位置で延びる場合よりも腰をかがめずに、透過部332を介して、グリル庫500内のグリルバーナ(図示せず)の燃焼状態や、被調理物の焼け具合等を確認できる。このようにして、透過部332は、グリル扉10にガラス窓部を形成する。
図5及び図9に示すように、第三面部315は、第一面部311の上端部に沿って配置される平面部である。第三面部315は、前側から後方に向けて僅かに斜め下方に延びて、枠部31の上端部を構成する。第三面部315の前後方向の長さは、ガラス板33の前後方向の厚みよりもやや長く設けられている。第三面部315には、第三面部315を上下方向に貫通する5つの孔部315Aが、第三面部315の左右方向に略等間隔で設けられている。後述するが、第三面部315の前端は、第二面部313よりも前方に配置されている(図11のW1領域内参照)。第三面部315の前端と、第二面部313の前面との間の前後方向の長さは、ガラス板33の前後方向の厚みに対応している。なお、図11のW1領域内に示すように、枠部31において、前側から後方に向けて僅かに斜め下方に延びる第三面部315は、前側から後方に向けて斜め上方に延びる第二面部313と直交するように構成されている(直線M,N参照)。
図5及び図7に示すように、第一当接部316は、第三面部315の前端から第二面部313に平行に屈曲して、斜め下方に延びる平面部である。第一当接部316は、第二面部313に支持されたガラス板33の前面側を、第二面部313に平行に延びる(図13のW3領域参照)。したがって、ガラス板33は、第一当接部316と第二面部313との間において、枠部31に支持される。
図5及び図9に示すように、左側面部317は、第一面部311の左端から前方に屈曲して延びる平面部である。右側面部318は、第一面部311の右端から前方に屈曲して延びる平面部である。左側面部317の前端及び右側面部318の前端は、第二面部313よりも前方の位置まで前方に延びている。したがって、ガラス板33は、左側面部317と右側面部318とによって、左右方向において挟持された状態で、枠部31に支持される。左側面部317の下部の前端、及び、右側面部318の下部の前端には、枠部31の内側に向けて突出する爪状の第二当接部317A,318Aが、それぞれ設けられている。第二当接部317A,318Aは、第二面部313に支持されたガラス板33の前面側を、第二面部313に平行に延びる(図12参照)。したがって、ガラス板33は、第二当接部317A,318Aと第二面部313との間において、枠部31に支持される。
図5に示すように、空間部319は、第二面部313の前面側、且つ、第三面部315の下面側において、左側面部317と右側面部318との左右方向の間の位置に形成される空間部分である。図11のW1領域内に示すように、第三面部315の前端は、第二面部313よりも前方に配置されており、第三面部315の前端と、第二面部313の前面との間の前後方向の長さは、ガラス板33の前後方向の厚みに対応している。枠部31が空間部319を形成することで、ガラス板33の後面を第二面部313に当接させた状態で、枠部31の前面側にガラス板33が配置される。
図5及び図6に示すように、カバー部34は、本体部341、挿通部342、及び、前側部343を備える。本体部341は、所定の厚みを備えて左右方向に長さを有して延びる長尺細板状である。本体部341の前後方向及び左右方向の長さは、第三面部315の前後方向及び左右方向の長さに対応している。本体部341は、カバー部34が枠部31の上端部を覆った状態で、第三面部315の上側に配置される部分である。
挿通部342は、本体部341の下面から下方に突出する5つの突起部である。5つの挿通部342は、本体部341の左右方向に略等間隔で設けられている。挿通部342同士の左右方向の間隔は、第三面部315の孔部315A同士の左右方向の間隔に対応している(図5参照)。図11のW1領域内に示すように、5つの挿通部342は、カバー部34が枠部31の上端部を覆った状態で、第三面部315の上側に配置された本体部341の下面から突出して、第三面部315の5つの孔部315Aのそれぞれを上側から下側に挿通する。本実施形態では、このようにして枠部31の上端部に対してカバー部34が位置決めされた状態で、第三面部315の5つの孔部315Aのそれぞれと、本体部341の5つの挿通部342のそれぞれとが接合されて、カバー部34が枠部31の上端部に固定される。第三面部315の5つの孔部315Aと、本体部341の5つの挿通部342との接合は、5つの挿通部342を溶融させることよって行われる。5つの挿通部342を溶融させる手法として、熱溶着、レーザー溶着、超音波溶着等の種々の溶着技術を採用できる。本実施形態では、超音波溶着を行うための棒状の工具K(図12参照)を用いて、5つの挿通部342のそれぞれが溶融される。なお、孔部315Aと挿通部342との接合において、挿通部342の表面の少なくとも一部が溶融されればよい。
前側部343は、本体部341の前端から第二面部313に平行に屈曲して、斜め下方に延びる部分である。図11のW1領域内に示すように、前側部343は、カバー部34が枠部31の上端部を覆った状態で、第一当接部316の前面を覆う部分である。前側部343の上下方向の長さは、第一当接部316の上下方向の長さよりも、やや長くされている。したがって、カバー部34が枠部31の上端部を覆った状態で、前側部343の下端は、第一当接部316の下端よりも下方に位置する。このように、前側部343は、グリル扉10の前側に位置する第一当接部316の前面の全てを覆うので、高温になった第一当接部316にユーザが接触することを防止できる。また、第一当接部316が、正面から見たグリル扉10の上部を縁取るので、グリル扉10の美観が向上される。
図10から図14を参照して、グリル扉10の製造工程について説明する。図10に示すように、グリル扉10の製造工程は、位置決め工程(S1)、固定工程(S2)、配置工程(S3)、下側部取付工程(S4)を備える。
位置決め工程(S1)について説明する。図11に示すように、位置決め工程(S1)では、枠部31の上端部に対して、カバー部34が位置決めされる。位置決め工程では、まず、枠部31の第三面部315の上面と、カバー部34の本体部341の下面とが対向配置される。その後、第三面部315の上面と、カバー部34の本体部341の下面とが近接されて、本体部341の5つの挿通部342が、第三面部315の5つの孔部315Aに挿通される。これにより、挿通部342が孔部315Aを上方から下方に貫通した状態で、本体部341の下面と第三面部315の上面とが当接する。このとき、カバー部34の前側部343は、第三面部315の上側に配置される。このようにして、枠部31の第三面部315とカバー部34とが、相互に位置決めされる。
次いで、固定工程(S2)について説明する。図12に示すように、固定工程では、位置決め工程において相互に位置決めされた第三面部315とカバー部34とが固定される。まず、作業者は、孔部315Aを上方から下方に貫通した挿通部342に対して、工具Kを接触させる。このとき、作業者は、空間部319に工具Kを配置した後、工具Kを第二面部313に沿って下方から上方に、孔部315Aに当接するように移動させる。そして、作業者は、工具Kの先端を、孔部315Aの下方に突出している挿通部342の下端部に押し付ける。これにより、工具Kの先端が押し付けられた挿通部342の下端部が溶融する。挿通部342の溶融した部分は、工具Kの先端によって、孔部315Aの径よりも大きくなるように押し広げられる。その後、挿通部342の押し広げられた部分の温度が低下することで、挿通部342の下端部が孔部315Aから抜けなくなった状態で、挿通部342の溶融した部分が固化し、挿通部342と孔部315Aとが接合される(図13のW3領域参照)。このようにして、第三面部315に対してカバー部34が固定される。
溶着用の工具は、工具Kのように、所定の長さを有する棒状又は板状に形成されることがある。本実施形態では、枠部31に空間部319が設けられているので、ガラス板33が枠部31に配置される前には、空間部319に工具Kを配置することができる。また、本実施形態では、枠部31において、第三面部315と、第二面部313とが直交する(図11のW1領域参照)。したがって、工具Kが所定の長さを有していても、第二面部313に沿って工具Kを配置することで、工具Kの先端を第三面部315に向けて移動させることができる。また、第三面部315と、第二面部313とが直交するので、工具Kの先端が挿通部342の下端部に押し付けられる際に、工具Kの進行方向と、第三面部315とが直交する。これにより、工具Kの先端が挿通部342の下端部に対してまっすぐに押し付けられるので、挿通部342の溶融が確実に行われる。さらに、第一当接部316は、空間部319を挟んで第二面部313に平行に延びているので、工具Kが第三面部315に向けて進行する際に、第一当接部316が工具Kの進路を邪魔することがない。したがって、十分に溶融された挿通部342が工具Kの先端によって押し広げられた状態で、挿通部342の溶融した部分が固化するので、第三面部315に対してカバー部34が強固に固定される。すなわち、枠部31における第二面部313、第三面部315、及び空間部319の配置の工夫により、固定工程における、第三面部315に対するカバー部34の固定の精度が向上する。なお、工具Kの前後方向の幅は、ガラス板33の厚みと同程度か、又はガラス板33の厚みよりも薄く、且つ、孔部315Aよりも厚く設けられていることが好ましい。
図12のW2領域に示すように、本実施形態では、本体部341の前部の厚みよりも、本体部341の後部の厚みの方が厚くなるようにされている。したがって、第三面部315に対して固定されたカバー部34の本体部341の上面は、上下方向において同じ高さで延設される(直線H参照)。本体部341の厚みをこのように構成されることで、カバー部34の上面が同じ高さで保たれるので、グリル扉10が引き出されたとき等に、グリル扉10の上端部を見たユーザに対して、グリル扉10の上端部が傾斜した印象がユーザに与えられることがない。すなわち、本体部341の厚みの工夫により、グリル扉10を含むこんろ1全体の美観が向上する。
次いで、配置工程(S3)について説明する。図13に示すように、配置工程では、固定工程において第三面部315に対してカバー部34が固定された枠部31の空間部319に対して、ガラス板33が配置される。空間部319に配置されたガラス板33の後面側は、第二面部313に支持される。よって、ガラス板33は、前側から後方に向けて斜め上方に延びるようにして、枠部31に支持される。ガラス板33の上部の前面側には、第一当接部316が左右に亘って当接する(W3領域参照)。また、ガラス板33の下部の前面側には、左端部においては第二当接部317Aが、右端部においては第二当接部318A(図5等参照)が、それぞれ当接する。したがって、ガラス板33は、第一当接部316、第二当接部317A,318Aと、第二面部313とによって、前後方向に挟持される。また、第三面部315によって、ガラス板33の上方向の移動が規制される。なお、ガラス板33の左右の端部は、左側面部317と右側面部318(図5等参照)とによって、左右方向において挟持される。このようにして、枠部31におけるガラス板33の配置が定まる。
次いで、下側部取付工程(S4)について説明する。図14に示すように、下側部取付工程では、カバー部34が固定され、且つ、ガラス板33が配置された枠部31に対して、下側部32が取り付けられる。まず、下側部32が、枠部31の前側において位置決めされる。このとき、枠部31の後側においては、第一面部311の取付孔部31Bに対して、連結部31Aが位置決めされる。その後、下側部32、枠部31、及び、連結部31Aが螺子31Cによって共締めされる。これにより、グリル扉10の製造工程が終了する。下側部32の上端は、第二当接部317A及び第二当接部318A(図5等参照)よりも上方の位置に位置決めされた状態で、枠部31に対して取り付けられる。したがって、グリルバーナの使用等によって高温になった第二当接部317A,318Aにユーザが接触することが防止される。
以上説明したように、こんろ1において、グリル扉10の枠部31における第一面部311が、グリル開口501の前側に対向配置する。枠部31において、第二面部313の前面側、且つ、第三面部315の下面側に設けられる空間部319に、ガラス板33が配置される。したがって、ガラス板33の後面側が第二面部313の前面に当接した状態で、且つ、ガラス板33の上端が第三面部315の下面側に配置された状態で、ガラス板33が枠部31に支持される。第二面部313には窓開口314が設けられている。第二面部313は、上側が下側よりも第一面部311に近接するように傾斜して延びている。このため、グリル扉10は、第一面部311でグリル開口501前側を閉塞しつつ、第一面部311に対して傾斜する透過部332からグリル庫500の内部を視認しやすくできるので、グリル扉10の機能が保たれる。第三面部315には、カバー部34の挿通部342を挿通させる孔部315Aが設けられている。このため、孔部315Aを挿通する挿通部342を、工具Kを用いて溶融させることで、カバー部34が第三面部315に対して固定される。この場合、例えば、第三面部315にカバー部34を螺子止めするのに比べて、第三面部315の幅を小さくできるので、グリル扉10が薄型化され、グリル扉10の美観が保たれる。第二面部313と第三面部315とは、直交するように構成されている。このため、空間部319を利用して工具Kを第二面部313に沿って、第三面部315に対して直交するように向かわすことで、工具Kの先端を、挿通部342に対してまっすぐに突き当てることができる。よって、カバー部34が、第三面部315に対して確実に固定される。したがって、こんろ1は、グリル扉10の美観及び機能を保ちつつ、グリル扉10にカバー部34を精度よく取り付けることができる。
例えば、カバー部34の本体部341が、第三面部315の上面に沿って同じ厚みで設けられると、本体部341の上面がグリル扉10の後方に向けて下り傾斜した形状となることがある。こんろ1では、本体部341の上面が、上下方向において同じ高さで延設される(直線H参照)。したがって、こんろ1は、グリル扉10の上端部が傾斜した印象をユーザに与えることなく、グリル扉10の美観を保つことができる。
こんろ1では、第一当接部316が、第三面部315の前端から屈曲して、ガラス板33の前面側を斜め下方に延びるので、ガラス板33の上端部が枠部31に対して確実に支持される。また、第一当接部316は、第二面部313に平行に延びているので、工具Kが第二面部313に沿って第三面部315に向けて進行する際に、第一当接部316が工具Kの進路を邪魔することがない。したがって、こんろ1は、第三面部315の前端に第一当接部316を設けても、カバー部34を第三面部315に対して確実に固定することができる。
こんろ1では、カバー部34の前側部343が、第一当接部316の前側を覆うので、第三面部315の前端に第一当接部316を設けても、グリル扉10の美観を保つことができる。また、高温になった第一当接部316にユーザが接触することが防止されるので、グリル扉10の安全性が保たれる。
本実施形態において、こんろ1が、本発明の「こんろ」に相当する。グリル庫500が、本発明の「グリル庫」に相当する。グリル開口501が、本発明の「グリル開口」に相当する。グリル扉10が、本発明の「グリル扉」に相当する。ガラス板33が、本発明の「ガラス板」に相当する。枠部31が、本発明の「枠部材」に相当する。第一面部311が、本発明の「第一面部」に相当する。突出部312が、本発明の「突出部」に相当する。窓開口314が、本発明の「窓開口」に相当する。第二面部313が、本発明の「第二面部」に相当する。第三面部315が、本発明の「第三面部」に相当する。孔部315Aが、本発明の「孔部」に相当する。空間部319が、本発明の「空間部」に相当する。第一当接部316及び第二当接部317A,318Aが、本発明の「当接部」に相当する。透過部332が、本発明の「ガラス窓部」に相当する。カバー部34が、本発明の「樹脂部材」に相当する。本体部341が、本発明の「本体部」に相当する。挿通部342が、本発明の「挿通部」に相当する。S1の工程が、本発明の「位置決め工程」に相当する。S2の工程が、本発明の「固定工程」に相当する。S3の工程が、本発明の「配置工程」に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態では、第三面部315に対して固定されたカバー部34の本体部341の上面を、上下方向において同じ高さで延設されるようするために、本体部341の前部の厚みよりも、本体部341の後部の厚みの方が厚くなるようにされている。このような本体部341の上面は、上下方向において同じ高さで延設されるように構成されていればよく、例えば、本体部341の内側に空洞があってもよい。
第一面部311は、前後方向において略同じ位置で延びる平面部として設けられているが、グリル開口501の外縁部501Aの延びる方向に応じて、前方から後方に上り傾斜又は下り傾斜する面部として設けられてもよい。
ガラス板33に、パターン部331が設けられず、透過部332のみが設けられていてもよい。この場合、ガラス板33の窓開口314によって取り囲まれる部分の全体が、本発明の「ガラス窓部」に相当する。
上記実施形態では、枠部31がプレス加工によって形成されているが、この他、枠部31が、複数の部材を組み合わせて構成されていてもよい。
カバー部34の挿通部342の個数、挿通部342の形状、第三面部315の孔部315Aの個数、孔部315Aの形状は、上記実施形態に限らず、任意に変更可能である。
上記実施形態のこんろ1はグリル付きテーブルこんろであるが、ビルトインタイプのこんろであってもよい。また、こんろ1は、右バーナ5と左バーナ6の2つのバーナを備えるが、バーナの数は2つに限らず、1つでもよく、3つ以上であってもよい。