以下、本発明の実施の形態に係る緩衝器を、車両用の油圧緩衝器に適用した場合を例に挙げて、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図7は第1の実施の形態を示している。図1において、油圧緩衝器1は、外筒2、内筒6、ピストンロッド8、ピストン9、減衰力発生機構17を含んで構成されている。
外筒2は、油圧緩衝器1の外殻をなし、円筒体として形成されている。この外筒2は、その一端側としての基端側(図1中の下端)がボトムキャップ3によって閉塞された閉塞端となり、他端側としての先端側(図1中の上端)は開口端となっている。外筒2の開口端(先端)側には、径方向内側に屈曲して形成されたかしめ部2Aが設けられ、該かしめ部2Aは、外筒2の開口端側を閉塞する蓋体4を抜止め状態で保持している。
蓋体4は、外筒2の開口端側に位置して、環状円板により形成されている。この蓋体4は、外筒2の開口端(先端)側を閉塞するため後述のロッドガイド14に当接した状態で、その外周側が外筒2のかしめ部2Aにより固定されている。蓋体4の内周側には、弾性材料からなるロッドシール5が取付けられ、該ロッドシール5は、後述のピストンロッド8と蓋体4との間をシールしている。このロッドシール5には逆止弁5Aが設けられている。この逆止弁5Aは、後述の油溜め室14C内に漏出油が増えて溢れた場合に、この溢れた油液(特に、油液中に混入したガス)が後述の連通路14D(リザーバA)側に向けて流れるのを許し、逆向きの流れを阻止する弁である。
内筒6は、外筒2内に同軸をなして設けられ、シリンダを構成している。この内筒6の一端(基端)側は、ボトムキャップ3側にボトムバルブ7を介して嵌合、固定されている。一方、内筒6の他端(先端)側である開口端側内周には、後述のロッドガイド14が嵌合して取付けられている。内筒6内には、油液を含んだ作動流体が封入されている。この作動流体には、油液(オイル)に限らず、例えば添加剤を混在させた水等の流体を用いることができる。
内筒6と外筒2との間には環状のリザーバ室Aが形成され、このリザーバ室A内には、前記油液と共にガスが封入されている。このガスは、大気圧状態の空気であってもよく、また圧縮された窒素ガス等の気体を用いてもよい。リザーバ室A内のガスは、ピストンロッド8の縮小時(縮み行程)に当該ピストンロッド8の進入体積分を補償すべく圧縮される。
ピストンロッド8は、基端側が内筒6内に挿入され、先端側が後述のロッドガイド14、蓋体4等を介して内筒6の外部へと伸縮可能に延出している。ピストンロッド8の基端側には、後述のピストン9が連結されている。また、ピストンロッド8には、ピストン9の取付位置から予め決められた寸法だけ上方に離間した位置に環状溝8Aが設けられている。この環状溝8Aには、後述のストッパ16が嵌合して固定されている。
ピストン9は、ピストンロッド8の基端側に設けられ、内筒6内に摺動可能に嵌装されている。このピストン9は、内筒6内を下側のボトム側室Bと上側のロッド側室Cとの2室に画成している。ピストン9は、上端側が閉塞部9Aとなり下端側が開口端9Bとなった有蓋円筒状のカップ部材として形成されている。この場合、ピストン9内には、後述の減衰力発生機構17が収容されて設けられ、該減衰力発生機構17のフリーピストン18によりピストン内部上室9Cとピストン内部下室9Dとに画成されている。
ここで、閉塞部9Aの径方向中央には、軸方向に貫通する貫通孔9A1が設けられている。この貫通孔9A1の内周面にはねじ溝が切られており、これにより、ピストン9の閉塞部9Aはピストンロッド8の基端側(下端側)に螺着されている。また、閉塞部9Aの内周面は段付状に形成され、後述の上側ばね部材19Aを支承する環状の段差部9A2が設けられている。一方、ピストン9の開口端9Bの内周面にはねじ溝が切られており、これにより、ピストン9の開口端9Bには後述のピストン蓋11が螺着されて設けられている。
上側油路10は、ピストン9の閉塞部9Aに位置して複数設けられている。上側油路10は、閉塞部9Aを軸方向斜めに貫通して、ロッド側室Cとピストン内部上室9Cとを常時連通している。即ち、上側油路10は、ピストン9の移動により、内筒6内のロッド側室Cからピストン内部上室9Cに向けて、または、ピストン内部上室9Cからロッド側室Cに向けて作動流体が流れ出す通路を構成している。
ピストン蓋11は、ピストン9の開口端9B側に位置して設けられている。このピストン蓋11は、ピストン9の下端側内周面に螺着され、開口端9B側を閉塞するものである。この場合、ピストン蓋11をピストン内部下室9Dに向けて押し込むことにより、後述のばね部材19A,19Bのたわみ量を調節して、油圧緩衝器1の減衰力特性を変化させることができる。ピストン蓋11の上端面には、後述の下側ばね部材19Bが径方向にガタ付くのを規制する環状のばね受溝11Aが設けられている。また、ピストン蓋11の径方向中央には、ピストン蓋11の上端面と下端面とを連通する下側油路12が設けられている。
下側油路12は、ピストン蓋11の径方向中央部に位置して、ピストン蓋11の上端面と下端面とを軸方向に貫通する六角孔として形成されている。即ち、下側油路12は、ボトム側室Bとピストン内部下室9Dとを常時連通し、ピストン9の移動により、内筒6内のボトム側室Bからピストン内部下室9Dに向けて、または、ピストン内部下室9Dからボトム側室Bに向けて作動流体が流れ出す通路を構成している。この場合、下側油路12にレンチ等の工具を差し込み、ピストン蓋11を押し込むことにより、トルク管理をすることができる。
シール部材13は、ピストン9の外周面に嵌着されて設けられている。このシール部材13は、例えばフッ素系樹脂材料を用いて円筒状に形成されている。シール部材13は、ロッド側室Cとボトム側室Bとの間を液密にシールしている。また、シール部材13は、ピストン9が内筒6内を摺動するときに、摩擦を抑制するためのものである。
ロッドガイド14は、外筒2の開口端側に嵌合されると共に、内筒6の開口端側にも固定して設けられている。これにより、ロッドガイド14は、内筒6の開口端側を外筒2と同軸となるように位置決めすると共に、その内周側でピストンロッド8を軸方向へと摺動可能に案内(ガイド)するものである。また、ロッドガイド14は、蓋体4を外筒2のかしめ部2Aにより外側からかしめ固定するときに、該蓋体4を内側(軸方向下側)から支持する支持構造物を構成している。
ロッドガイド14は、例えば焼結金属材料等を用いて段付筒状体として形成されている。即ち、ロッドガイド14は、図1に示すように、上側に位置して外筒2の内周側に挿嵌される大径部14Aと、該大径部14Aの下側に位置して内筒6の内周側に挿嵌される小径部14Bとにより段付円筒状に形成されている。この小径部14Bの内周側には、ピストンロッド8を軸方向に摺動可能に案内するガイド部15が設けられている。
また、大径部14Aの上面側には、環状の油溜め室14Cが設けられている。この油溜め室14Cは、ロッドシール5及びピストンロッド8を径方向外側から取囲む環状の空間部として形成されている。そして、油溜め室14Cは、ロッド側室C内の油液(または、この油液中に混入したガス)がピストンロッド8とガイド部15との僅かな隙間等を介して漏出したときに、この漏出した油液等を一時的に溜めるための空間を提供するものである。
さらに、大径部14Aには、外筒2側のリザーバ室Aに常時連通した連通路14Dが設けられ、この連通路14Dは、前記油溜め室14Cに溜められた油液(ガスを含む)を外筒2側のリザーバ室Aへと導くものである。
ストッパ16は、ピストン9とロッドガイド14との間に位置して、ピストンロッド8の外周側に設けられている。このストッパ16は、ピストンロッド8が外筒2及び内筒6から大きく突出するように伸長して伸び切り位置に達したときに、クッション作用を発揮してピストンロッド8の伸長動作を停止させ、所謂伸び切り防止を行うものである。即ち、ストッパ16は、ピストンロッド8の伸び切り時に、ロッドガイド14及びピストンロッド8に発生する衝撃を緩和する。
減衰力発生機構17は、ピストン9の内周側に位置して、ピストン9の閉塞部9Aとピストン蓋11との間に設けられている。この減衰力発生機構17は、フリーピストン18と、ばね部材19A,19Bと、凸部20とを備えて構成されている。この減衰力発生機構17は、ピストンロッド8が内筒6内を縮小方向および伸長方向に摺動変位するときに、フリーピストン18と凸部20との間を流通する油液に抵抗力を与えて所定の減衰力を発生させるものである。
フリーピストン18は、ピストン9内に位置して、閉塞部9Aとピストン蓋11との間に変位可能に設けられている。フリーピストン18は、全体として断面H字状に形成され、外周筒18Aと、中実な環状部18Bと、鍔部18Cとにより大略構成されている。このフリーピストン18は、ピストン9内に上下方向(軸方向)に移動可能に設けられ、上側油路10および下側油路12を介した作動流体の流れを制限するものである。この場合、フリーピストン18は、ピストン9の閉塞部9Aの下端面とピストン蓋11の上端面とに当接することにより、上下方向の移動が制限される。また、フリーピストン18は、ピストン9内をピストン内部上室9Cとピストン内部下室9Dとに区画している。
ここで、外周筒18Aは、中実な環状部18Bの外周側に位置して設けられている。外周筒18Aの上下方向寸法は、環状部18Bの上下方向寸法よりも長く形成されている。図4に示すように、外周筒18Aの上端側には、作動流体の流れを絞るための上側切欠き18A1が複数(例えば、2個)設けられ、外周筒18Aの下端側には、作動流体の流れを絞るための下側切欠き18A2が複数(例えば、2個)設けられている。この外周筒18Aの上下両端は、ピストンロッド8の伸縮時にフリーピストン18の最大変位量(ストローク)を規制するストッパとなっている。
環状部18Bは、外周筒18Aの内周側に位置して、外周筒18Aの内周側を閉塞する円柱体として形成されている。環状部18Bの上端面には、上側ばね部材19Aが径方向にガタ付くのを規制する環状のばね受溝18B1が設けられている。一方、環状部18Bの下端面には、下側ばね部材19Bが径方向にガタ付くのを規制する環状のばね受溝18B2が設けられている。
鍔部18Cは、外周筒18Aの外周面に位置して、外周筒18Aの軸方向略中央部位に設けられている。この鍔部18Cは、外周筒18Aの外周面から径方向外向きに突出し、外周筒18Aよりも大きな外径寸法をもって形成されている。鍔部18Cの外周側には、鍔部18Cの外周面を部分的に僅かに切欠いて形成されたオリフィス18C1が設けられている。具体的には、鍔部18Cの径方向の両側には、半円形状のオリフィス18C1がそれぞれ設けられている(図3参照)。各オリフィス18C1は、作動流体の流れを絞る絞り通路を構成し、ピストンロッド8の伸縮時に作動流体の流れを抑制して減衰力を発生させるものである。
上側ばね部材19Aは、ピストン9の閉塞部9Aとフリーピストン18の環状部18Bの上端面との間に位置して、外周筒18Aの内周に設けられている。具体的には、上側ばね部材19Aの上端側は閉塞部9Aの段差部9A2に支承され、上側ばね部材19Aの下端側は環状部18Bのばね受溝18B1に支承されている。この上側ばね部材19Aは、例えばコイルばねにより構成され、フリーピストン18をピストン内部下室9D側に向けて常時付勢している。即ち、上側ばね部材19Aは、フリーピストン18をピストン9の閉塞部9Aからピストン蓋11側に離間する方向に付勢している。
一方、下側ばね部材19Bは、フリーピストン18の環状部18Bの下端面とピストン蓋11の上端面との間に位置して、外周筒18Aの内周に設けられている。具体的には、下側ばね部材19Bの上端側は環状部18Bのばね受溝18B2に支承され、下側ばね部材19Bの下端側は、ピストン蓋11のばね受溝11Aに支承されている。この下側ばね部材19Bは、例えばコイルばねにより構成され、フリーピストン18をピストン内部上室9C側に向けて常時付勢している。即ち、下側ばね部材19Bは、フリーピストン18をピストン蓋11から閉塞部9A側に離間する方向に付勢している。
ここで、上側ばね部材19Aと下側ばね部材19Bとは、フリーピストン18をピストン9内で所定の中立位置に向けて付勢している。この所定の中立位置とは、鍔部18Cと後述の凸部20のオーバラップ部20Cとが径方向で対向する位置のことをいう。ピストンロッド8が伸長行程にある場合、ロッド側室C内の作動流体がピストン9内を介してボトム側室Bに向けて流通するので、下側ばね部材19Bは、フリーピストン18がピストン蓋11に向けて変位するのを許す(図5参照)。一方、ピストンロッド8が縮小行程にある場合、ボトム側室B内の作動流体がピストン9内を介してロッド側室Cに向けて流通するので、上側ばね部材19Aは、フリーピストン18が閉塞部9Aに向けて変位するのを許す(図6参照)。
凸部20は、ピストン9の内周側に位置して、ピストン9の軸方向略中央部位に全周にわたって設けられている。凸部20は、ピストン9の内周面から径方向内向きに突出し、フリーピストン18の鍔部18Cよりも僅かに大きな径方向寸法(内径)をもって形成されている。この凸部20は、上側テーパ面20Aと、下側テーパ面20Bと、オーバラップ部20Cとにより、断面山形状に形成されている。凸部20は、フリーピストン18の鍔部18Cの外周面とピストン9の内周面との隙間の面積を狭めて小さくし、ピストンロッド8の伸縮時に作動流体の流れを抑制して減衰力を発生させるものである。
上側テーパ面20Aは、凸部20の上端側に位置し、ピストン9の内周面から径方向内側へ斜め下向きに漸次縮径する環状の傾斜面として形成されている。一方、下側テーパ面20Bは、凸部20の下端側に位置し、ピストン9の内周面から径方向内側へ斜め上向きに漸次縮径する環状の傾斜面として形成されている。この場合、上側テーパ面20Aは、下側テーパ面20Bよりも軸方向寸法が短く、大なる傾斜角(テーパ角)をもって形成されている。
オーバラップ部20Cは、上側テーパ面20Aと下側テーパ面20Bとの間に位置して設けられている。具体的には、このオ―バラップ部20Cは、上側テーパ面20Aの下端と下側テーパ面20Bの上端との間で均一な内径寸法をもって軸方向に延びる内壁面(内周面)として形成されている。この場合、オーバラップ部20Cは、フリーピストン18が中立位置にある場合に、鍔部18Cと対向する位置に設けられている。また、オーバラップ部20Cの軸方向寸法は、鍔部18Cの軸方向寸法よりも大きく形成されている。これにより、オーバラップ部20Cは、鍔部18Cがオーバラップ部20Cの軸方向寸法内で上下動する場合に、比較的大きな減衰力を発生させ、これをほぼ一定に保つ機能を有している。
本実施の形態による油圧緩衝器1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
油圧緩衝器1は、ピストンロッド8の先端側を自動車の車体側に取付け、外筒2の基端側を車軸(いずれも図示せず)側に取付ける。そして、自動車の走行時に振動が発生した場合には、ピストンロッド8が外筒2、内筒6から軸方向に縮小,伸長するときに、通路としてのフリーピストン18の鍔部18Cの外周面と凸部20の内周面との間の隙間を作動流体が通過する。これにより、伸長側,縮小側の減衰力が特性線51,52の如く発生し、車両の上下方向の振動を減衰するように緩衝することができる。この場合、減衰力発生機構17は、中立位置からのフリーピストン18の変位量に応じて、鍔部18Cの外周面と凸部20の内周面との間の隙間の面積を変化させることにより、減衰力特性を変化させる。
即ち、図5に示すように、ピストンロッド8が伸長行程にある場合には、ロッド側室C内が高圧状態となるから、ロッド側室C内の油液が上側油路10を介してピストン9内のピストン内部上室9Cへと流入し、上側ばね部材19Aの径方向内側から外側を通じてピストン内部下室9Dに向けて流通する。そして、ピストン内部下室9Dに流入した油液は、下側ばね部材19Bの径方向外側から内側を通じて、下側油路12に向けて流通し、ボトム側室Bへと流出する。
この場合、ピストン内部上室9C内の油液がピストン内部下室9Dに流通する際に、通路としての鍔部18Cの外周面と凸部20の内周面との間の隙間により絞り作用が与えられて、伸長側の減衰力が特性線51の如く発生する(図7参照)。これにより、減衰力発生機構17は、ピストンロッド8の伸長動作を抑えるように減衰力を発生することができる。また、ピストンロッド8の伸長行程では、内筒6から進出したピストンロッド8の進出体積分に相当する分量の油液が、リザーバ室A内からボトムバルブ7を介してボトム側室B内に流入する。
ここで、ピストン速度(ピストンロッド8が伸長するときの速度)の低速域では、フリーピストン18は、ロッド側室Cから流入する油液の圧力によりピストン蓋11に向けて押圧される。この場合、鍔部18Cの外周面は、凸部20のオーバラップ部20Cと径方向に対向している。そして、ピストン内部上室9C内の油液は、鍔部18Cのオリフィス18C1と凸部20のオーバラップ部20Cとの間の隙間を介して、ピストン内部下室9Dに流通する。この場合、オリフィス18C1とオーバラップ部20Cとの間の隙間は小さいため、ピストン内部上室9Cとピストン内部下室9Dとの間で差圧が発生し、特性線51Aで示すように、オリフィス域の減衰力が得られる。
次に、ピストン速度中速域では、フリーピストン18は、ロッド側室Cから流入する油液の流量が増加することにより、ピストン速度低速域よりもピストン蓋11に向けて押圧される。この場合、鍔部18Cの外周面は、凸部20の下側テーパ面20Bと径方向に対向している。そして、ピストン内部上室9C内の油液は、鍔部18Cのオリフィス18C1と凸部20の下側テーパ面20Bとの間の隙間を介して、ピストン内部下室9Dに流通する。この場合、鍔部18Cの上端面がオーバラップ部20Cの下端(下側テーパ面20Bの上端)を通過するときに、減衰力は特性線51の如く開弁点α1となる(図7参照)。また、開弁点α1後の減衰力は、特性線51Bで示すように、下側テーパ面20Bの傾斜角に依存して、ピストン速度が増すにつれて減衰力も増加するバルブ特性となる。
次に、ピストン速度高速域では、フリーピストン18は、ロッド側室Cから流入する油液の流量がさらに増加することによりピストン蓋11に向けて最大ストローク位置にまで押圧される。この場合、鍔部18Cの外周面は、凸部20の下側テーパ面20Bと径方向に対向している。また、外周筒18Aの下側切欠き18A2は、ピストン内部上室9Cから下側油路12に向けて流出する油液の流れを抑制して、フリーピストン18がピストン蓋11に当接する衝撃を緩和する。しかも、下側ばね部材19Bは最大撓み状態となり、フリーピストン18を上向きに大きな力で付勢している。
さらに、ピストン内部上室9C内の油液は、鍔部18Cの外周面と凸部20の下側テーパ面20Bとの間の隙間を介して、ピストン内部下室9Dに流通する。また、ピストン内部下室9D内の油液は、外周筒18Aの下側切欠き18A2を介して、下側油路12およびボトム側室Bに向けて流出する。この場合、図5、図7に示すように、フリーピストン18の外周筒18Aの下端がピストン蓋11の上端面と当接するとき、減衰力は特性線51の如く開弁点α2となる。また、開弁点α2後の減衰力は、特性線51Cで示すように、上側油路10および下側切欠き18A2により油液の流量を絞ることにより、ポート域の減衰力となる。
なお、ピストンロッド8が伸長行程にある場合では、ロッド側室C内が高圧状態となるから、ロッド側室C内の油液は、例えばピストンロッド8とガイド部15との僅かな隙間等を介して油溜め室14C内に漏出することがある。また、油溜め室14C内に漏出油が増えると、溢れた油液は、蓋体4とロッドガイド14との間に設けた逆止弁5Aを介してロッドガイド14の連通路14D側に導かれ、徐々にリザーバ室A内に還流される。
一方、図6に示すように、ピストンロッド8の縮小行程では、ピストン9の下側に位置するボトム側室B内がロッド側室Cよりも高圧になるから、ボトム側室B内の油液が下側油路12を介してピストン9内のピストン内部上室9Cへと流入し、下側ばね部材19Bの径方向内側から外側を通じてピストン内部上室9Cに向けて流通する。そして、ピストン内部上室9Cに流入した油液は、上側ばね部材19Aの径方向外側から内側を通じて、上側油路10に向けて流通し、ロッド側室Cへと流出する。
この場合、ピストン内部下室9D内の油液がピストン内部上室9Cに流通する際に、通路としての鍔部18Cの外周面と凸部20の内周面との間の隙間により絞り作用が与えられて、縮小側の減衰力が特性線52の如く発生する(図7参照)。これにより、減衰力発生機構17は、ピストンロッド8の縮小動作を抑えるように減衰力を発生することができる。また、内筒6内へのピストンロッド8の進入体積分に相当する分量の油液が、ボトム側室Bからボトムバルブ7を介してリザーバ室A内に流入し、リザーバ室Aは内部のガスが圧縮されることにより、ピストンロッド8の進入体積分を吸収する。
ここで、ピストン速度(ピストンロッド8が縮小するときの速度)の低速域では、フリーピストン18は、ボトム側室Bから流入する油液の圧力により閉塞部9Aに向けて押圧される。この場合、鍔部18Cの外周面は、凸部20のオーバラップ部20Cと径方向に対向している。そして、ピストン内部下室9D内の油液は、鍔部18Cのオリフィス18C1と凸部20のオーバラップ部20Cとの間の隙間を介して、ピストン内部上室9Cに流通する。この場合、ピストンロッド8の伸長行程と同様に、ピストン内部上室9Cとピストン内部下室9Dとの間で差圧が発生し、特性線52Aで示すように、オリフィス域の減衰力が得られる。
次に、ピストン速度中速域では、フリーピストン18は、ボトム側室Bから流入する油液の流量が増加することにより、ピストン速度低速域よりも閉塞部9Aに向けて押圧される。この場合、鍔部18Cの外周面は、凸部20の上側テーパ面20Aと径方向に対向している。そして、ピストン内部下室9D内の油液は、鍔部18Cのオリフィス18C1と凸部20の上側テーパ面20Aとの間の隙間を介して、ピストン内部上室9Cに流通する。この場合、鍔部18Cの下端面がオーバラップ部20Cの上端(上側テーパ面20Aの下端)を通過するとき、減衰力は特性線52の如く開弁点β1となる。また、開弁点β1後の減衰力は、特性線52Bで示すように、上側テーパ面20Aの傾斜角に依存して、ピストン速度が増すにつれて減衰力も増加するバルブ特性となる(図7参照)。なお、上側テーパ面20Aは、下側テーパ面20Bよりも大なる傾斜角をもっているので、ピストン速度中速域では、縮小側の減衰力(特性線52B)は伸び側の減衰力(特性線51B)よりも小さくなる。
次に、ピストン速度高速域では、フリーピストン18は、ボトム側室Bから流入する油液の流量がさらに増加することにより閉塞部9Aに向けて最大ストローク位置にまで押圧される。この場合、鍔部18Cの外周面は、凸部20の上側テーパ面20Aと径方向に対向している。また、外周筒18Aの上側切欠き18A1は、ピストン内部下室9Dから上側油路10に向けて流出する油液の流れを抑制して、フリーピストン18が閉塞部9Aに当接する衝撃を緩和する。しかも、上側ばね部材19Aは最大撓み状態となり、フリーピストン18を下向きに大きな力で付勢している。なお、フリーピストン18が閉塞部9Aに当接する衝撃を緩和するため、閉塞部9Aの当接部にゴムなどを焼き付けるようにしてもよい。
さらに、ピストン内部下室9D内の油液は、鍔部18Cの外周面と凸部20の上側テーパ面20Aとの間の隙間を介して、ピストン内部上室9Cに流通する。また、ピストン内部上室9C内の油液は、外周筒18Aの上側切欠き18A1を介して、上側油路10およびロッド側室Cに向けて流出する。この場合、図6、図7に示すように、フリーピストン18の外周筒18Aの上端が閉塞部9Aの下端面と当接するとき、減衰力は特性線52の如く開弁点β2となる。また、開弁点β2後の減衰力は、特性線52Cで示すように、上側油路10および上側切欠き18A1により油液の流量を絞ることにより、ポート域の減衰力となる。
このようにして、減衰力発生機構17は、鍔部18Cのオリフィス18C1と凸部20との間の隙間を介して油液を流通させることにより、伸び側および縮み側の減衰力を特性線51,52の如く発生させている。この場合、凸部20の上側テーパ面20Aは下側テーパ面20Bよりも大なる傾斜角をもって形成され、凸部20の内周面の形状は、全体として断面山形状に形成されている。これにより、減衰力発生機構17は、凸部20の形状に基づいて、縮小側の減衰力(特性線52)よりも伸長側の減衰力(特性線51)を大きくしている。また、減衰力発生機構17は、フリーピストン18の鍔部18Cにオリフィス18C1を設けることにより、開弁点α1,α2,β1,β2を調整して、所望の減衰力を特性線51,52の如く発生させている。
かくして、第1の実施の形態によれば、減衰力発生機構17は、フリーピストン18の外周側に鍔部18Cを設け、ピストン9の内周面に凸部20を設ける構成としている。これにより、減衰力発生機構17は、凸部20の内周面と鍔部18Cの外周面との間の隙間を介して作動流体を流通させ、作動流体の流通を絞ることにより減衰力を発生させることができる。この結果、減衰力発生機構17は、複数枚のディスクバルブを用いることなく、所望の減衰力特性を発生することができるので、油圧緩衝器1全体の部品点数が少なくなり、部品の管理コストを抑制することができる。
また、減衰力発生機構17は、フリーピストン18を中立位置から変位させることにより、凸部20の内周面とフリーピストン18の鍔部18Cの外周面との間の隙間の面積を変化させている。これにより、減衰力発生機構17は、隙間の面積を変化させることにより、減衰力特性を変化させることができる。即ち、減衰力発生機構17は、隙間の面積を小さくすることにより、作動流体の流通量を減らして減衰力を大きくすることができる。また、減衰力発生機構17は、隙間の面積を大きくすることにより、作動流体の流通量を増やして減衰力を小さくできる。この結果、ピストン速度の変化に応じて、滑らかな減衰力特性を発生させることができる。
また、減衰力発生機構17は、凸部20の内周面の形状を全体として断面山形状に形成している。具体的には、減衰力発生機構17は、凸部20の上側テーパ面20Aを下側テーパ面20Bよりも大なる傾斜角をもって形成している。これにより、減衰力発生機構17は、凸部20の形状に基づいて、縮小側の減衰力よりも伸長側の減衰力を大きくすることができる。
また、減衰力発生機構17は、フリーピストン18の鍔部18Cにオリフィス18C1を設けると共に、凸部20に上側テーパ面20Aと下側テーパ面20Bとを設けることにより、開弁点α1,α2,β1,β2を調整して、所望の減衰力特性を発生させている。これにより、減衰力発生機構17は、フリーピストン18の形状と凸部20の形状とに基づいて、所望の減衰力を発生させることができる。
次に、図8、図9は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、フリーピストンの鍔部にオリフィスを設けずに単純な形状とし、また、凸部にテーパ面を設けない単純な形状としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
ここで、油圧緩衝器31は、前記第1の実施の形態で述べた油圧緩衝器1とほぼ同様に構成され、外筒2、内筒6、ピストンロッド8、ピストン9、減衰力発生機構32を含んで構成されている。
減衰力発生機構32は、ピストン9の内周側に位置して、ピストン9の閉塞部9Aとピストン蓋11との間に設けられている。この減衰力発生機構32は、第1の実施の形態の減衰力発生機構17と同様に、フリーピストン33と、ばね部材19A,19Bと、凸部34とを備えて構成されている。この減衰力発生機構32は、ピストンロッド8が内筒6内を縮小方向および伸長方向に摺動変位するときに、フリーピストン33と凸部34との間を流通する油液に抵抗力を与えて所定の減衰力を発生させるものである。
フリーピストン33は、ピストン9内に位置して、閉塞部9Aとピストン蓋11との間に変位可能に設けられている。フリーピストン33は、全体として断面H字状に形成され、第1の実施の形態のフリーピストン18と同様に、外周筒33Aと、環状部33Bと、鍔部33Cとにより大略構成されている。このフリーピストン33は、ピストン9内に上下方向に移動可能に設けられ、上側油路10および下側油路12を介した作動流体の流れを制限するものである。
ここで、外周筒33Aの上端側には、作動流体の流れを絞るための上側切欠き33A1が複数設けられ、外周筒33Aの下端側には、作動流体の流れを絞るための下側切欠き33A2が複数設けられている。
また、環状部33Bの上端面には、上側ばね部材19Aが径方向にガタ付くのを規制する環状のばね受溝33B1が設けられている。一方、環状部33Bの下端面には、下側ばね部材19Bが径方向にガタ付くのを規制する環状のばね受溝33B2が設けられている。
鍔部33Cは、外周筒33Aの外周面に位置して、外周筒33Aの軸方向略中央部位に設けられている。この鍔部33Cは、外周筒33Aの外周面から径方向外向きに突出し、外周筒33Aよりも大きな外径寸法をもって形成されている。ここで、鍔部33Cは、鍔部33Cの外周面を部分的に僅かに切欠いたオリフィスを形成しない点で、第1の実施の形態のフリーピストン18の鍔部18Cと異なっている。
凸部34は、ピストン9の内周側に位置して、ピストン9の軸方向略中央部位に全周にわたって設けられている。凸部34は、ピストン9の内周面から径方向内向きに突出し、フリーピストン33の鍔部33Cよりも僅かに大きな径方向寸法(内径)をもって形成されている。この凸部34は、上端面34Aと、下端面34Bと、オーバラップ部34Cとにより、断面矩形状に形成されている。凸部34は、フリーピストン33の鍔部33Cの外周面とピストン9の内周面との隙間の面積を狭めて、ピストンロッド8の伸縮時に作動流体の流れを抑制して減衰力を発生させるものである。
上端面34Aは、凸部34の上端側に位置し、ピストン9の内周面から径方向内側へ突出して形成されている。一方、下端面34Bは、凸部34の下端側に位置し、ピストン9の内周面から径方向内側へ突出して形成されている。この場合、凸部34は、上端面34Aと下端面34Bとが傾斜面ではなく平坦面として形成されている点で、第1の実施の形態の凸部20とは異なっている。
第2の実施の形態による油圧緩衝器31は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
自動車の走行時に振動が発生した場合には、ピストンロッド8が外筒2、内筒6から軸方向に縮小,伸長するときに、通路としてのフリーピストン33の鍔部33Cの外周面と凸部34の内周面との間の隙間を作動流体が通過する。これにより、伸長側,縮小側の減衰力が特性線101,102の如く発生し、車両の上,下方向の振動を減衰するように緩衝することができる。この場合、減衰力発生機構32は、中立位置からのフリーピストン33の変位量に応じて、鍔部33Cの外周面と凸部34の内周面との間の隙間の面積を変化させることにより、減衰力特性を変化させる。
具体的には、減衰力発生機構32は、フリーピストン33の鍔部33Cにオリフィスとしての切欠きを形成していないので、第1の実施の形態の減衰力発生機構17に比べて、鍔部33Cの外周面と凸部34の内周面との間の隙間の面積を狭くしている。これにより、減衰力発生機構32は、ピストン内部上室9Cとピストン内部下室9Dとの間を流通する作動流体を絞ることにより、所望の減衰力を発生させている。
また、減衰力発生機構32は、凸部34を、上端面34Aと、下端面34Bと、オーバラップ部34Cとにより、断面矩形状に形成している。これにより、図9に示すように、伸長側の減衰力(特性線101)と縮小側の減衰力(特性線102)において、同程度の減衰力を発生させている。また、上端面34Aと下端面34Bとを傾斜面ではなく平坦面として形成しているので、傾斜面を用いた場合に比べて、減衰力を小さくすることができる。即ち、減衰力発生機構32は、凸部に傾斜面を用いた場合に比べて、減衰力の変化を抑えることができる。このように、凸部34の形状により、減衰力可変幅の調整をすることができる。
かくして、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。第2の実施の形態によれば、フリーピストン33の鍔部33Cにオリフィスとしての切欠きを形成せず、単純な形状としているので、鍔部33Cの外周面と凸部34の内周面との間の隙間の面積を狭くしている。これにより、減衰力発生機構32は、フリーピストン33の鍔部33Cの形状に基づいて、ピストン内部上室9Cとピストン内部下室9Dとの間を流通する作動流体を絞ることにより、所望の減衰力を発生させている。
また、減衰力発生機構32は、凸部34の上端面34Aと下端面34Bとを傾斜面ではなく平坦面として形成している。これにより、減衰力発生機構32は、傾斜面を用いた場合に比べて減衰力を小さくすることができ、凸部34の内周面の形状に基づいて、減衰力を調整(調節)することができる。
なお、前記第1の実施の形態では、フリーピストン18の外周筒18Aの上端側に上側切欠き18A1を2個設け、外周筒18Aの下端側に下側切欠き18A2を2個設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、ピストンの閉塞部に上側切欠きを設けて、ピストン蓋に下側切欠きを設ける構成としてもよい。また、上側切欠きおよび下側切欠きを1個ずつ設けてもよいし、3個以上それぞれ設ける構成としてもよい。また、上側切欠きおよび下側切欠きを設けない構成としてもよい。これらのことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、前記第1の実施の形態では、フリーピストン18の鍔部18Cに2個のオリフィス18C1を設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、オリフィスを1個設けてもよいし、3個以上設ける構成としてもよい。また、オリフィスを設けない構成としてもよい。
また、前記第1の実施の形態では、オーバラップ部20Cを均一な内径寸法をもって軸方向に延びる内壁面として形成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、オーバラップ部は、均一な内径寸法を有さず、僅かに凹凸を有する内壁面として形成してもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、前記第1の実施の形態では、上側ばね部材19Aと下側ばね部材19Bとをコイルばねを用いて構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、上側ばね部材と下側ばね部材とを、コイルばねに限らず、例えばガスばね、またはゴム等の弾性体を用いて構成してもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、前記第1の実施の形態では、外筒2と内筒6とを備えた複筒式の油圧緩衝器1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば単一のシリンダ内にピストンを摺動可能に挿嵌して設ける単筒式の油圧緩衝器に適用してもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、車両の車重に応じて緩衝器が受ける振動周波数は異なるので、該振動周波数に応じてフリーピストンの質量を変えることにより、減衰力を調整する構成としてもよい。
さらに、前記第1の実施の形態では、4輪自動車の各車輪側に取付ける油圧緩衝器1を緩衝器の代表例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば2輪車に用いる油圧緩衝器であってもよく、車両以外の種々の機械、建築物等に用いる油圧緩衝器に用いてもよいものである。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
次に、前記各実施の形態に含まれる発明について記載する。本発明の減衰力発生機構は、凸部の内周面とフリーピストンの外周面との間の隙間の面積にて、減衰力特性を変化させる構成としている。また、隙間の面積は、中立位置からのフリーピストンの変位量に応じて変化する構成としている。これにより、減衰力発生機構は、フリーピストンを中立位置から変位させて隙間の面積を変化させることにより、減衰力特性を変化させることができる。
また、減衰力発生機構は、凸部の内周面の形状に基づいて、減衰力を発生させる構成としている。これにより、減衰力発生機構は、凸部の形状に基づいて、所望の減衰力を発生させることができる。
また、減衰力発生機構は、フリーピストンの形状に基づいて、減衰力を発生させる構成としている。これにより、減衰力発生機構は、フリーピストンの形状に基づいて、所望の減衰力を発生させることができる。
以上説明した実施形態に基づく緩衝器として、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
緩衝器の第1の態様としては、作動流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装され、該シリンダ内を2室に区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、前記ピストンの移動により前記シリンダ内の一方の室から他方の室に向けて作動流体が流通する通路と、前記ピストンに設けられ減衰力を発生させる減衰力発生機構と、を備えた緩衝器において、前記減衰力発生機構は、前記ピストン内に移動可能に設けられ前記通路を介した作動流体の流れを制限するフリーピストンと、該フリーピストンを中立位置に保持するばね部材と、前記ピストンの内周面から径方向の内向きに突出する凸部と、を有し、前記凸部と前記フリーピストンとの間で減衰力を発生させる。
第2の態様としては、第1の態様において、前記減衰力発生機構は、前記凸部の内周面と前記フリーピストンの外周面との間の隙間の面積にて、減衰力特性を変化させる。
第3の態様としては、第2の態様において、前記隙間の面積は、前記中立位置からの前記フリーピストンの変位量に応じて変化する。
第4の態様としては、第1の態様ないし第3の態様のいずれかにおいて、前記減衰力発生機構は、前記凸部の内周面の形状に基づいて、減衰力を発生させる。
第5の態様としては、第1の態様ないし第4の態様のいずれかにおいて、前記減衰力発生機構は、前記フリーピストンの形状に基づいて、減衰力を発生させる。