以下、本発明に係る方向制御弁の実施の形態を、油圧ショベルの制御弁装置を構成する方向制御弁に適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図8は、第1の実施の形態を示している。図1において、建設機械(作業機械、作業車両)の代表例としての油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられたフロント装置とも呼ばれる作業装置4とを含んで構成されている。下部走行体2と上部旋回体3は、油圧ショベル1の車体を構成している。
下部走行体2は、例えば、履帯2Aと、該履帯2Aを周回駆動させることにより油圧ショベル1を走行させる左,右の走行油圧モータとを含んで構成されている。一方、作業装置4は、例えば、ブーム4A、アーム4B、アタッチメント(作業具)としてのバケット4Cと、これらを駆動するブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、作業具シリンダ4Fとを含んで構成されている。この場合、ブームシリンダ4Dは、上部旋回体3に対してブーム4Aを回動(俯仰動)する。アームシリンダ4Eは、ブーム4Aに対してアーム4Bを回動する。作業具シリンダ4Fは、アーム4Bに対してバケット4Cを回動する。
なお、図1は、作業装置4のアタッチメントがバケット4Cの油圧ショベル1を示している。即ち、図1は、例えば、作業装置4のアタッチメントとしてバケット4Cが取付けられた工場出荷時の油圧ショベル1を示している。また、図2は、アタッチメントがバケット4Cのときの油圧ショベル1の油圧回路を示している。これに対して、図3は、作業装置4のアタッチメントを、バケット4Cから別のアタッチメント、例えば、圧砕機4Gに変更(交換)したときの油圧回路を示している。
即ち、図3は、例えば、整備工場等でアタッチメントをバケット4Cから圧砕機4Gに変更すると共に、工場出荷時から取付けられている油圧ポンプ9A,9Bに加えて、追加の油圧ポンプ10を後付け(アドオン)で取付けた場合を示している。この場合、圧砕機4Gには、例えば、アタッチメントの油圧アクチュエータとなる作業具駆動シリンダ4Hが設けられている。作業具駆動シリンダ4Hは、圧砕機4Gを駆動(開閉駆動)する。
油圧シリンダからなるブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、作業具シリンダ4F、作業具駆動シリンダ4H、および、油圧モータからなる左,右の走行油圧モータ、後述の旋回油圧モータ5(図2,3参照)は、それぞれ圧油の供給に基づいて駆動(作動)する油圧アクチュエータ(油圧機器、油圧装置)となるものである。なお、図2および図3では、図面が複雑になることを避けるために、左,右の走行油圧モータを省略して表している。
上部旋回体3は、下部走行体2に対して上部旋回体3を旋回駆動する旋回油圧モータ5(図2,3参照)、作業装置4との重量バランスをとるためのカウンタウエイト6に加え、キャブ7、エンジン8、油圧ポンプ9A,9B、必要に応じて取付けられる追加の油圧ポンプ10、制御弁装置21を含んで構成されている。
キャブ7は、運転室を画成するもので、上部旋回体3の前部左側に設けられている。キャブ7内には、オペレータが着席する運転席が設けられている。また、運転席の周囲には、オペレータが操作する走行用の操作レバー・ペダル装置および作業用の操作レバー装置が設けられている。これら操作レバー・ペダル装置および作業用の操作レバー装置は、オペレータの操作に応じたパイロット信号(パイロット圧)を、制御弁装置21に出力する。
エンジン8は、カウンタウエイト6の前側に横置き状態で配設されている。エンジン8は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関により構成されている。エンジン8は、後述の油圧ポンプ9A,9Bおよび追加の油圧ポンプ10の駆動源(原動機)となるものである。駆動源は、内燃機関の他、例えば、電動モータ、または、内燃機械と電動モータとにより構成することができる。
図2に示すように、エンジン8の左,右方向の一側には、標準の油圧ポンプ9A,9B(以下、単に油圧ポンプ9A,9Bという)が取付けられている。また、図3に示すように、エンジン8の一側には、油圧ポンプ9A,9Bに加えて追加の油圧ポンプ10が取付けられている。ここで、図2および図3に示す油圧ポンプ9A,9Bは、例えば、工場出荷時から取付けられている既存の油圧ポンプに対応する。即ち、油圧ポンプ9A,9Bは、例えば、油圧ショベル1の製造工場で、作業装置4のアタッチメントがバケット4Cの油圧ショベル1に標準的に搭載されるものである。これに対して、図3に示す追加の油圧ポンプ10は、例えば、作業装置4のアタッチメントをバケット4Cから圧砕機4Gに変更するときに、油圧ショベル1の製造工場とは別の工場となる整備工場で、後から搭載されるものである。即ち、追加の油圧ポンプ10は、後付けの油圧ポンプに相当する。
油圧ポンプ9A,9Bおよび追加の油圧ポンプ10は、エンジン8によって駆動される。油圧ポンプ9A,9Bは、作動油タンク13と共に一の油圧源を構成している。この場合、油圧ポンプ9Aの吐出側は、センタバイパス管路11Aを介して作動油タンク13に接続されている。油圧ポンプ9Bの吐出側は、センタバイパス管路11Bを介して作動油タンク13に接続されている。一方、図3に示すように、追加の油圧ポンプ10は、作動油タンク13と共に、一の油圧源とは別の油圧源となる他の油圧源を構成している。追加の油圧ポンプ10の吐出側は、外部管路となる追加管路12を介して後述の予備用方向制御弁26に接続されている。
油圧ポンプ9A,9Bおよび追加の油圧ポンプ10は、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータ(左,右の走行油圧モータ、各シリンダ4D,4E,4F,4H、旋回油圧モータ5等)を駆動するための動力源となるものである。油圧ポンプ9A,9Bおよび追加の油圧ポンプ10は、作動油タンク13内の作動油を昇圧して制御弁装置21に向けて吐出する。
制御弁装置21は、複数の方向制御弁22,23,24,25,26の集合体からなるコントロールバルブユニットである。制御弁装置21は、キャブ7内に配置された走行用の操作レバー・ペダル装置および作業用の操作レバー装置の操作に応じて、油圧ポンプ9A,9Bおよび追加の油圧ポンプ10から各種の油圧アクチュエータ4D,4E,4F,4H,5に供給される圧油の方向を制御する。これにより、油圧アクチュエータ4D,4E,4F,4H,5は、油圧ポンプ9A,9Bおよび追加の油圧ポンプ10から供給される圧油によって駆動される。
ここで、制御弁装置21は、ブーム用方向制御弁22と、アーム用方向制御弁23と、作業具用方向制御弁24と、旋回用方向制御弁25と、予備用方向制御弁26とを含んで構成されている。これらブーム用方向制御弁22、アーム用方向制御弁23、作業具用方向制御弁24、旋回用方向制御弁25、予備用方向制御弁26は、それぞれ6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成されている。なお、図2および図3は、左,右の走行油圧モータと共に、左,右の走行用方向制御弁も省略して表している。
ブーム用方向制御弁22は、例えば、センタバイパス管路11Bの途中で油圧ポンプ9Bとブームシリンダ4Dとの間に設けられている。ブーム用方向制御弁22は、ブームシリンダ4Dに対する圧油の供給と排出を制御する。アーム用方向制御弁23は、例えば、センタバイパス管路11Aの途中で油圧ポンプ9Aとアームシリンダ4Eとの間に設けられている。アーム用方向制御弁23は、アームシリンダ4Eに対する圧油の供給と排出を制御する。
作業具用方向制御弁24は、は、例えば、センタバイパス管路11Aの途中で油圧ポンプ9Aと作業具シリンダ4Fとの間に設けられている。作業具用方向制御弁24は、作業具シリンダ4Fに対する圧油の供給と排出を制御する。旋回用方向制御弁25は、例えば、センタバイパス管路11Bの途中で油圧ポンプ9Bと旋回油圧モータ5との間に設けられている。旋回用方向制御弁25は、旋回油圧モータ5に対する圧油の供給と排出を制御する。
これらブーム用方向制御弁22と、アーム用方向制御弁23と、作業具用方向制御弁24と、旋回用方向制御弁25は、一の油圧源となる油圧ポンプ9A,9Bの圧油を切換え制御する方向制御弁、即ち、一の油圧源用の方向制御弁である。これらブーム用方向制御弁22と、アーム用方向制御弁23と、作業具用方向制御弁24と、旋回用方向制御弁25は、図4に示す第1の方向制御弁31に対応する。
一方、予備用方向制御弁26は、センタバイパス管路11Aの途中に設けられている。図2に示すように、アタッチメントがバケット4Cのときは、予備用方向制御弁26は、例えば、いずれの油圧アクチュエータにも接続されない。なお、予備用方向制御弁26に、図示しない油圧アクチュエータを接続する構成としてもよい。即ち、油圧ポンプ9Aからの圧油を、予備用方向制御弁26を介して図示しない油圧アクチュエータに供給できるように構成してもよい。これらの場合、即ち、予備用方向制御弁26に油圧アクチュエータを接続しない場合、および、予備用方向制御弁26を油圧ポンプ9A用の方向制御弁として用いる場合は、予備用方向制御弁26は、例えば、図4に示す第1の方向制御弁31に対応する。
これに対して、図3に示すように、アタッチメントが圧砕機4Gのときは、予備用方向制御弁26は、圧砕機4Gの作業具駆動シリンダ4Hに対する圧油の供給と排出を制御する。即ち、アタッチメントをバケット4Cから圧砕機4Gに変更すると共に追加の油圧ポンプ10を後付けで取付けたときは、予備用方向制御弁26は、圧砕機4Gの作業具駆動シリンダ4Hに接続される。これと共に、予備用方向制御弁26は、追加管路12を介して追加の油圧ポンプ10と接続される。このとき、予備用方向制御弁26は、図4に示す第1の方向制御弁31から、図5に示す第2の方向制御弁51に変更(改造)する。具体的には、後述するように、図4の第1の方向制御弁31から蓋体39とチェック弁41と付勢部材42とを取外し、図5の蓋体59と流路遮断部材61と弁座部材64とチェック弁65と付勢部材66とを取付けることにより、図4の第1の方向制御弁31を図5の第2の方向制御弁51に変更する。
これにより、予備用方向制御弁26は、油圧ポンプ9A用の第1の方向制御弁31から追加の油圧ポンプ10用の方向制御弁となる。即ち、予備用方向制御弁26は、他の油圧源となる追加の油圧ポンプ10の圧油を切換え制御する他の油圧源用の方向制御弁となる。このように、第1の実施の形態では、アタッチメントがバケット4Cのときは、第1の方向制御弁31のみにより制御弁装置21を構成することができる。一方、アタッチメントが圧砕機4Gのときは、第1の方向制御弁31と第2の方向制御弁51とにより制御弁装置21を構成することができる。
次に、図4に示す第1の方向制御弁31について説明する。第1の方向制御弁31は、図2および図3のブーム用方向制御弁22、アーム用方向制御弁23、作業具用方向制御弁24、または、旋回用方向制御弁25に対応する。また、第1の方向制御弁31は、図2の予備用方向制御弁26、即ち、アタッチメントがバケット4Cのときの予備用方向制御弁26に対応する。これに対して、後述の図5に示す第2の方向制御弁51は、アタッチメントが圧砕機4Gのときの予備用方向制御弁26に対応する。
第1の方向制御弁31は、スプール35を図4に示す中立位置から左,右方向に摺動変位させることにより、油圧アクチュエータ(例えば、ブームシリンダ4D)に供給・排出する圧油の方向および流量を制御するものである。第1の方向制御弁31は、第1の弁ケーシングとしての弁ケーシング32と、第1の油圧源側油路としての油圧源側油路33,33と、第1のアクチュエ−タポートとしてのアクチュエ−タポート34,34と、第1のスプ−ルとしてのスプール35と、第1の一側供給通路としての一側供給通路36と、第1の一側接続ポートとしての一側接続ポート37と、第1の他側接続ポートとしての他側接続ポート38と、第1のチェック弁としてのチェック弁41とを含んで構成されている。
弁ケーシング32は、第1の方向制御弁31の弁本体を構成するもので、例えば、弁ハウジング、弁ブロック、ハウジングブロックとも呼ばれている。弁ケーシング32には、左,右方向に延びるスプ−ル摺動穴32Aが設けられている。弁ケーシング32には、スプ−ル摺動穴32Aの周壁側に環状の油溝32B,32Cが軸方向に離間して形成され、該油溝32B,32Cの間には、他の環状の油溝32D,32Dが形成されている。また、スプ−ル摺動穴32Aの周壁には、油溝32B,32Cよりも軸方向外側となる位置に別の油溝32E,32Eが形成されている。
これら油溝32B,32C,32D,32Eのうち油溝32B,32Cは、圧油の供給・排出側の油溝であり、それぞれアクチュエ−タポート34,34と連通している。一方、油溝32D,32Dは、高圧側の油溝であり、それぞれ油圧源側油路33,33と連通している。油溝32E,32Eは、低圧側の油溝であり、それぞれ作動油タンク13と連通する。
一対の油圧源側油路33,33は、弁ケーシング32に設けられている。一対の油圧源側油路33,33は、スプ−ル摺動穴32Aの軸方向に離間している。油圧源側油路33,33は、一側が油溝32D,32Dと連通しており、他側が一側接続ポート37および他側接続ポート38に連通している。油圧源側油路33,33は、チェック弁41および一側供給通路36を介して一の油圧源となる油圧ポンプ9A,9Bと接続される。
一対のアクチュエ−タポート34,34は、弁ケーシング32に設けられている。一対のアクチュエ−タポート34,34は、一対の油圧源側油路33,33を挟んでスプ−ル摺動穴32Aの軸方向に離間している。アクチュエ−タポート34,34は、一側が油溝32Bまたは油溝32Cと連通し、他側が弁ケーシング32の側面に開口している。
アクチュエ−タポート34,34の他側は、油圧アクチュエータに接続される。例えば、油圧アクチュエータがブームシリンダ4Dであり、第1の方向制御弁31がブーム用方向制御弁22の場合は、一方のアクチュエ−タポート34の他側がブームシリンダ4Dのボトム側油室に接続され、他方のアクチュエ−タポート34の他側がブームシリンダ34Dのロッド側油室に接続される。
スプ−ル35は、スプ−ル摺動穴32A内に摺動可能に挿嵌されている。スプ−ル35は、一対の油圧源側油路33,33と一対のアクチュエ−タポート34,34との間をそれぞれ連通、遮断する。例えば、油圧アクチュエータがブームシリンダ4Dであり、第1の方向制御弁31がブーム用方向制御弁22の場合は、ブーム4A操作用の操作レバー装置から後述の油圧パイロット部44,47に供給されるパイロット圧に従って、スプ−ル35がスプール摺動穴32A内を軸方向に変位する。これにより、一対の油圧源側油路33,33を一対のアクチュエ−タポート34,34に対して連通、遮断することができる。
一側供給通路36は、弁ケーシング32に設けられている。一側供給通路36は、スプ−ル摺動穴32Aに対して直交する方向に延びている。一側供給通路36は、一の油圧源を構成する油圧ポンプ9Aまたは油圧ポンプ9Bに接続され、油圧ポンプ9Aまたは油圧ポンプ9Bから圧油が供給される。
一側接続ポート37は、一対の油圧源側油路33,33と一側供給通路36とを接続するものである。一方、他側接続ポート38は、一側接続ポート37に対向して弁ケーシング32に設けられている。他側接続ポート38は、弁ケーシング32の外面に開口している。他側接続ポート38の開口は、蓋体39によって覆われている。蓋体39は、例えば、弁ケーシング32に対してボルト40により固定されている。
チェック弁41は、一側が一側接続ポート37に対して離着座可能に設けられると共に、他側が他側接続ポート38に挿嵌されている。チェック弁41と蓋体39との間には、第1の付勢部材としての付勢部材42が設けられている。付勢部材42は、コイルばね等のばね部材により構成され、チェック弁41を一側接続ポート37側に向けて付勢する。これにより、チェック弁41は、一側供給通路36から一対の油圧源側油路33,33への流れを許し、一対の油圧源側油路33,33から一側供給通路36への流れを遮断する。
即ち、スプール35が中立位置から変位することにより、一方または他方のアクチュエ−タポート34と油圧源側油路33とが連通しているときに、油圧アクチュエータに加わる負荷の変動等に伴って、油圧源側油路33の圧力が一側供給通路36の圧力よりも高くなると、チェック弁41が一側接続ポート37に着座した遮断位置となる。これにより、油圧アクチュエータから油圧ポンプ9A,9Bに圧油が逆流することを阻止することができる。
第1の一側カバーとしての一側カバー43は、弁ケーシング32の一側面(左側面)に設けられている。一側カバー43は、例えば筒状に形成されている。一側カバー43は、スプール摺動穴32Aと同軸になっており、第1の方向制御弁31の油圧パイロット部44を構成している。一側カバー43内には、スプール35を常時中立位置に向けて付勢するスプリング45が配設されている。
一方、第1の他側カバーとしての他側カバー46は、弁ケーシング32の他側面(右側面)に設けられている。他側カバー46は、例えば筒状に形成されている。他側カバー46は、スプール摺動穴32Aと同軸になっており、第1の方向制御弁31の油圧パイロット部47を構成している。第1の方向制御弁31は、例えば、作業用の操作レバー装置から油圧パイロット部44,47に供給されるパイロット圧に従ってスプール35をスプール摺動穴32Aの軸方向に変位させ、油圧アクチュエータ側の油溝32B,32Cを高圧側の油溝32D,32Dまたは低圧側の油溝32E,32Eに対して選択的に連通、遮断する。これにより、第1の方向制御弁31は、中立位置から切換わる。
次に、図5に示す第2の方向制御弁51について説明する。第2の方向制御弁51は、図3の予備用方向制御弁26、即ち、アタッチメントが圧砕機4Gのときの予備用方向制御弁26に対応する。この場合、第2の方向制御弁51は、第1の方向制御弁31の蓋体39とチェック弁41と付勢部材42を、後述の蓋体59と流路遮断部材61と弁座部材64とチェック弁65と付勢部材66とに取り換えたものである。
第2の方向制御弁51は、スプール55を図5に示す中立位置から左,右方向に摺動変位させることにより、油圧アクチュエータ(より具体的には、作業具駆動シリンダ4H)に供給・排出する圧油の方向および流量を制御するものである。第2の方向制御弁51は、第2の弁ケーシングとしての弁ケーシング52と、第2の油圧源側油路としての油圧源側油路53,53と、第2のアクチュエ−タポートとしてのアクチュエ−タポート54,54と、第2のスプ−ルとしてのスプール55と、第2の一側供給通路としての一側供給通路56と、第2の一側接続ポートとしての一側接続ポート57と、第2の他側接続ポートとしての他側接続ポート58と、他側供給通路59Aと、流路遮断部材61と、弁座部材64と、第2のチェック弁としてのチェック弁65とを含んで構成されている。
弁ケーシング52は、第2の方向制御弁51の弁本体を構成するもので、第1の方向制御弁31の弁ケーシング32と同様のものである。即ち、弁ケーシング52には、弁ケーシング32と同様に、左,右方向に延びるスプ−ル摺動穴52A、圧油の供給・排出側の油溝52B,52C、高圧側の油溝52D,52D、低圧側の油溝52E,52Eが設けられている。油溝52B,52Cは、それぞれアクチュエ−タポート54,54と連通している。油溝52D,52Dは、それぞれ油圧源側油路53,53と連通している。油溝52E,52Eは、それぞれ作動油タンク13と連通する。
一対の油圧源側油路53,53は、弁ケーシング52に設けられている。一対の油圧源側油路53,53は、スプ−ル摺動穴52Aの軸方向に離間している。油圧源側油路53,53は、一側が油溝52D,52Dと連通しており、他側が一側接続ポート57および他側接続ポート58に連通している。油圧源側油路53,53は、チェック弁65、他側供給通路59Aおよび追加管路12を介して他の油圧源となる追加の油圧ポンプ10と接続される。
一対のアクチュエ−タポート54,54は、弁ケーシング52に設けられている。一対のアクチュエ−タポート54,54は、一対の油圧源側油路53,53を挟んでスプ−ル摺動穴52Aの軸方向に離間している。アクチュエ−タポート54,54は、一側が油溝52Bまたは油溝52Cと連通し、他側が弁ケーシング52の側面に開口している。
アクチュエ−タポート54,54の他側は、油圧アクチュエータに接続される。具体的には、一方のアクチュエ−タポート54の他側は、作業具駆動シリンダ4Hのボトム側油室に接続され、他方のアクチュエ−タポート54の他側は、作業具駆動シリンダ4Hのロッド側油室に接続される。
スプ−ル55は、スプ−ル摺動穴52A内に摺動可能に挿嵌されている。スプ−ル55は、一対の油圧源側油路53,53と一対のアクチュエ−タポート54,54との間をそれぞれ連通、遮断する。より具体的には、スプ−ル55は、例えば、圧砕機4G用の操作レバー装置から後述の油圧パイロット部68,71に供給されるパイロット圧に従って、スプール摺動穴52A内を軸方向に変位する。これにより、一対の油圧源側油路53,53を一対のアクチュエ−タポート54,54に対して連通、遮断することができる。
一側供給通路56は、弁ケーシング52に設けられている。一側供給通路56は、スプ−ル摺動穴52Aに対して直交する方向に延びている。一側供給通路56は、第1の方向制御弁31の一側供給通路36と同様に、一の油圧源を構成する油圧ポンプ9Aまたは油圧ポンプ9Bに接続され、油圧ポンプ9Aまたは油圧ポンプ9Bから圧油が供給される。
一側接続ポート57は、一対の油圧源側油路53,53と一側供給通路56とを接続するものである。一方、他側接続ポート58は、一側接続ポート57に対向して弁ケーシング52に設けられている。他側接続ポート58は、弁ケーシング52の外面に開口している。他側接続ポート58の開口は、蓋体59によって覆われている。蓋体59は、例えば、弁ケーシング52に対してボルト50により固定されている。
ここで、蓋体59には、貫通孔となる他側供給通路59Aが設けられている。他側供給通路59Aは、他側接続ポート58に接続されている。他側供給通路59Aは、外部入力ポートとなるもので、他側接続ポート58とは反対側が、外部管路となる追加管路12に接続される。即ち、他側供給通路59Aは、追加管路12を介して他の油圧源を構成する追加の油圧ポンプ10と接続される。これにより、他側供給通路59Aには、一の油圧源とは別の他の油圧源から圧油が供給される。
流路遮断部材61は、一側接続ポート57と他側接続ポート58とにわたって設けられている。即ち、流路遮断部材61は、一側が弁体61Aとなると共に他側がスリーブ61Bとなり、これら弁体61Aとスリーブ61Bとは連結部61Cで接続されている。弁体61Aは、一側接続ポート57に設けられている。スリーブ61Bは、他側接続ポート58に挿嵌されている。そして、スリーブ61Bの内径側および連結部61Cの内径側は、有底のチェック弁支持穴61Dとなっている。チェック弁支持穴61D内には、付勢部材66と共にチェック弁65が挿入されている。
ここで、弁体61Aは、一対の油圧源側油路53,53から一側供給通路56への流れを遮断する。即ち、流路遮断部材61は、弁体61Aが一側接続ポート57を塞いだ状態で、蓋体59と弁座部材64とにより軸方向の変位が阻止される。このため、一側供給通路56の圧油は、弁体61Aによって、一対の油圧源側油路53,53に流出することが阻止されている。即ち、流路遮断部材61の弁体61Aは、一対の油圧源側油路53,53から一側供給通路56への流れを常時遮断し、かつ、一側供給通路56から一対の油圧源側油路53,53への流れを常時遮断する構成となっている。この場合、弁体61Aの周囲には、全周にわたってシール溝61A1が設けられており、該シール溝61A1には、シール部材となるOリング61A2が装着されている。Oリング61A2は、弁体61Aと一側接続ポート57との間で油密(液密)に封止する。
一方、スリーブ61Bには、スリーブ61Bの周方向の2個所位置にスリーブ開口62が設けられている。スリーブ開口62は、スリーブ61Bの内面61B1と外面61B2との間を常時連通するものである。スリーブ開口62は、スリーブ61Bを切欠くことにより構成している。これにより、スリーブ61Bの切欠いた部分(スリーブ開口62)と他側接続ポート58の内周面との間には、油路63(図7参照)が形成されている。この場合、他側接続ポート58の内周面とスリーブ開口62とにより形成される油路63の流路面積は、他側供給通路59Aの流路面積(および弁座部材64の内径側の油路面積)以上となっている。
弁座部材64は、他側接続ポート58に設けられている。弁座部材64は、円筒部材として形成され、他側接続ポート58に挿嵌されている。弁座部材64は、一側が蓋部材59に当接し、他側が流路遮断部材61のスリーブ61Bに当接している。また、弁座部材64の他側は、チェック弁65が離着座する弁座64Aとなっている。
ここで、弁座部材64は、流路遮断部材61の位置を規制する。即ち、弁ケーシング52に蓋体59をボルト60で固定した状態で、弁座部材64は、流路遮断部材61の軸方向位置を規制する。具体的には、弁座部材64の軸方向寸法は、弁ケーシング52に蓋体59をボルト60で固定した状態で、流路遮断部材61の弁体61Aが一側接続ポート57を塞ぎ、かつ、流路遮断部材61の軸方向の変位が阻止されるように設定されている。換言すれば、弁座部材64によって、流路遮断部材61の弁体61Aが一側接続ポート57を塞いだ状態が維持される。
チェック弁65は、弁座部材64に対して離着座可能に設けられている。即ち、チェック弁65は、一側が弁座部材64の弁座64Aに対して離着座可能に設けられると共に、他側が流路遮断部材61のチェック弁支持穴61Dに挿嵌されている。チェック弁41とチェック弁支持穴61Dの底部との間には、第2の付勢部材としての付勢部材66が設けられている。付勢部材66は、コイルばね等のばね部材により構成され、チェック弁65を弁座部材64側に向けて付勢する。これにより、チェック弁65は、他側供給通路59Aから一対の油圧源側油路53,53への流れを許し、一対の油圧源側油路53,53から他側供給通路59Aへの流れを遮断する。
即ち、スプール55が中立位置から変位することにより、一方または他方のアクチュエ−タポート54と油圧源側油路53とが連通しているときに、油圧アクチュエータ(より具体的には、作業具駆動シリンダ4H)に加わる負荷の変動等に伴って、油圧源側油路53の圧力が他側供給通路59Aの圧力よりも高くなると、チェック弁65が弁座部材64に着座した遮断位置となる。これにより、油圧アクチュエータ(より具体的には、作業具駆動シリンダ4H)から追加の油圧ポンプ10に圧油が逆流することを阻止することができる。
なお、第2の一側カバーとしての一側カバー67、油圧パイロット部68、スプリング69、第2の他側カバーとしての他側カバー70、油圧パイロット部71は、第1の方向制御弁31の一側カバー43、油圧パイロット部44、スプリング45、他側カバー46、油圧パイロット部47と同様のものである。第2の方向制御弁51は、例えば、圧砕機4G用の操作レバー装置から油圧パイロット部68,71に供給されるパイロット圧に従ってスプール55をスプール摺動穴52Aの軸方向に変位させ、油圧アクチュエータ側の油溝52B,52Cを高圧側の油溝52D,52Dまたは低圧側の油溝52E,52Eに対して選択的に連通、遮断する。
本実施の形態による油圧ショベル1および第2の方向制御弁51は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
油圧ショベル1のオペレータは、キャブ7に搭乗する。図1および図2に示すように、アタッチメントがバケット4Cの場合は、エンジン8を起動させると、エンジン8によって油圧ポンプ9A,9Bが駆動される。油圧ポンプ9A,9Bから吐出した圧油は、キャブ7内に設けられた走行用の操作レバー・ペダル装置および作業用の操作レバー装置の操作に応じて、左,右の走行油圧モータ、旋回油圧モータ5、作業装置4のブームシリンダ4D,アームシリンダ4E,作業具シリンダ4Fに供給される。これにより、油圧ショベル1は、下部走行体2による走行動作、上部旋回体3の旋回動作、作業装置4による掘削作業等を行うことができる。
また、図3に示すように、アタッチメントが圧砕機4Gの場合は、エンジン8を起動させると、エンジン8によって油圧ポンプ9A,9Bおよび追加の油圧ポンプ10が駆動される。追加の油圧ポンプ10から吐出した圧油は、圧砕機4G用の操作レバー装置の操作に応じて、作業具駆動シリンダ4Hに供給される。これにより、油圧ショベル1は、圧砕機4Gによる解体作業等を行うことができる。
ここで、第2の方向制御弁51のスプール55が中立位置から左,右方向に変位すると、追加の油圧ポンプ10から追加管路12を介して他側供給通路59A側に供給される圧油の圧力に基づいて、チェック弁65が付勢部材66の付勢力に抗して弁座部材64の弁座64Aから離座する。これにより、他側供給通路59A側の圧油が、弁座部材64とチェック弁65との間から流路遮断部材61のスリーブ61B側に流入し、流路遮断部材61のスリーブ開口62を通じて油圧源側油路53,53側に流出する。
そして、油圧源側油路53の圧油は、該油圧源側油路53と連通するアクチュエータポート34を通じて作業具駆動シリンダ4H側に供給される。このとき、作業具駆動シリンダ4Hに加わる負荷の変動等に伴って、油圧源側油路53の圧力が他側供給通路59Aの圧力よりも高くなると、その圧力負荷と付勢部材66の付勢力とに基づいて、チェック弁65が弁座部材64の弁座64Aに着座する。これにより、作業具駆動シリンダ4Hから追加の油圧ポンプ10側に圧油が逆流することを阻止できる。
次に、アタッチメントをバケット4Cから圧砕機4Gに変更するときに、予備用方向制御弁26を、図4に示す第1の方向制御弁31から図5に示す第2の方向制御弁51に変更する作業の手順(方法)について説明する。
まず、図4に示す第1の方向制御弁31から、蓋体39とチェック弁41と付勢部材42とを取外す(第1の工程)。次いで、蓋体39とチェック弁41と付勢部材42を取外した状態の第1の方向制御弁31に、図5に示す蓋体59と流路遮断部材61と弁座部材64とチェック弁65と付勢部材66とを取付ける(第2の工程)。そして、蓋体59の他側供給通路59Aと追加の油圧ポンプ10とを追加管路12により接続する(第3の工程)。これにより、図4に示す第1の方向制御弁31から図5に示す第2の方向制御弁51に変更する。このように、第1の実施の形態では、予備用方向制御弁26を油圧ショベル1から取外さなくても、予備用方向制御弁26を、油圧ポンプ9A用のチェック弁41が内蔵された第1の方向制御弁31から、追加の油圧ポンプ10用のチェック弁65を内蔵した第2の方向制御弁51に変更することができる。
かくして、第1の実施の形態によれば、既存の弁ケーシングとなる第1の方向制御弁31の弁ケーシング32に、油圧ポンプ9A,9B用のチェック弁41に代えて、追加の油圧ポンプ10用のチェック弁65を内蔵できる。
即ち、図5に示す第2の方向制御弁51は、一側接続ポート57および他側接続ポート58内に、流路遮断部材61と弁座部材64とチェック弁65とが設けられている。この場合、流路遮断部材61は、他側接続ポート58に設けられた弁座部材64によって位置が規制されており、かつ、流路遮断部材61の一側は弁体61Aとなると共に他側はスリーブ61Bとなっている。さらに、流路遮断部材61と弁座部材64との間、換言すれば、流路遮断部材61の内径側には、弁座部材64に対して離着座可能にチェック弁65が設けられている。
このため、油圧ポンプ9A,9B用のチェック弁41を組込むことができる一側接続ポート57(37)および他側接続ポート58(38)内に、流路遮断部材61および弁座部材64と共に、追加の油圧ポンプ10用のチェック弁65を組込むことができる。この場合、流路遮断部材61、弁座部材64、および、チェック弁65は、弁ケーシング32(52)に新たな加工を施さなくても、一側接続ポート37(57)および他側接続ポート38(58)内に組込むことができる。換言すれば、一側供給通路36(56)を通じて供給される圧油を制御する第1の方向制御弁31の弁ケーシング32の形状と、他側供給通路59Aを通じて供給される圧油を制御する第2の方向制御弁51の弁ケーシング52の形状とを、共通化できる。これにより、第1の方向制御弁31と第2の方向制御弁51との両方を製造するときに、弁ケーシング32,52の形状を共通化できることによる製造コストの低減を図ることができる。
さらに、第1の方向制御弁31を第2の方向制御弁51に変更するときに、弁ケーシング32(52)を加工する作業(穴形状を変更する作業)を省略できる。このため、例えば、第1の方向制御弁31を取付け対象となる油圧ショベル1に取付けたまま、第1の方向制御弁31から第2の方向制御弁51に変更することができる。即ち、第1の方向制御弁31を油圧ショベル1に取付けたまま、その第1の方向制御弁31からチェック弁41を取外し、その取外した部位に、チェック弁65を、流路遮断部材61および弁座部材64と共に組込むことができる。これにより、チェック弁65を内蔵する作業を容易に行うことができる。即ち、第1の方向制御弁31を第2の方向制御弁51に変更する作業を容易に行うことができる。
さらに、流路遮断部材61のスリーブ61Bにはスリーブ開口62が設けられている。このため、弁座部材64とチェック弁65との間から流路遮断部材61のスリーブ61B側に流入した圧油は、流路遮断部材61のスリーブ開口62を通じて油圧源側油路53,53に流出する。即ち、チェック弁65を通過した後の圧油の流路を、流路遮断部材61の内部孔ではなく外周側とすることができ、スリーブ開口62によって圧油の通路を確保できる。
従って、他側接続ポート38(58)の内径を大きくする等の加工をしなくても、スリーブ開口62の大きさを確保することにより、圧力損失を低減することができる。この結果、この面からも、弁ケーシング32(52)に新たな加工を施さずに(即ち、穴形状を変更せずに)、一側接続ポート37(57)および他側接続ポート38(58)内に、流路遮断部材61、弁座部材64、および、チェック弁65を組込むことができる。即ち、弁ケーシング32(52)に新たな加工を施さなくても、チェック弁65を内蔵することと圧力損失を低減することとを両立できる。
第1の実施の形態によれば、流路遮断部材61のスリーブ開口62は、スリーブ61Bを切欠くことにより構成しており、該スリーブ61Bの切欠いた部分と他側接続ポート58の内周面との間に油路63が形成される構成としている。このため、油路63の断面積(流路面積)を確保し易くでき、圧力損失を低減できる。
第1の実施の形態によれば、流路遮断部材61の弁体61Aは、油圧源側油路53,53から一側供給通路56への流れを常時遮断し、かつ、一側供給通路56から油圧源側油路53,53への流れを常時遮断する構成としている。これにより、油圧源側油路53,53には、追加の油圧ポンプ10からのみ圧油を供給することができる。
第1の実施の形態によれば、他側接続ポート58の内周面とスリーブ開口62とにより形成される油路63の流路面積は、他側供給通路59A(および弁座部材64の内径側)の流路面積以上に構成している。これにより、他側供給通路59A(および弁座部材64の内径側)から油路63を通じて油圧源側油路53,53に流れる圧油の圧力損失を低減できる。
次に、図9および図10は、第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、流路遮断部材のスリーブにスリーブ開口としての溝部を複数設ける構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
流路遮断部材61のスリーブ81には、スリーブ81の周方向の6個所位置にスリーブ開口としての溝部82が設けられている。溝部82は、スリーブ81の内面81Aと外面81Bとの間を常時連通するものである。溝部82は、スリーブ81を切欠くことにより構成しており、溝部82と他側接続ポート58の内周面との間には、油路83が形成されている。この場合、油路83の流路面積は、他側供給通路59Aの流路面積(および弁座部材64の内径側の油路面積)以上となっている。
第2の実施の形態は、上述のような溝部82をスリーブ81に複数設けたもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。特に、第2の実施の形態は、スリーブ81と弁座部材64との当接位置が周方向に偏ることを抑制することができる(周方向にわたって均等に当接させることができる)。
次に、図11は、第3の実施の形態を示している。第3の実施の形態の特徴は、蓋体と弁座部材とを一体に形成したことにある。なお、第3の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
蓋体91は、本体部91Aと、該本体部91Aから流路遮断部材61側に向けて突出した弁座部材としての突出部91Bとを備えている。本体部91Aと突出部91Bとには、これらを貫通する他側供給通路としての貫通孔91Cが設けられている。突出部91Bは、他側接続ポート58に挿通されており、突出部91Bの突出端は、チェック弁65が離着座する弁座91Dとなっている。
第3の実施の形態は、上述のような蓋体91の突出部91Bをチェック弁65の弁座部材としたもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。特に、第3の実施の形態は、蓋体91が弁座部材を兼ねているため、部品点数を低減できる。
次に、図12は、第4の実施の形態を示している。第4の実施の形態の特徴は、流路遮断部材に一の油圧源用のチェック弁の機能をもたせたことにある。なお、第4の実施の形態では、上述した第1の実施の形態および第3の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第4の実施の形態の流路遮断部材101は、第1の実施の形態の流路遮断部材61と同様に、弁体101Aとスリーブ101Bと連結部101Cとチェック弁支持穴101Dとを備えている。この場合、第4の実施の形態の流路遮断部材101のスリーブ101Bは、第1の実施の形態の流路遮断部材61のスリーブ61Bよりも軸方向寸法を短くしている。そして、弁座部材を兼ねた蓋体91の突出部91Bと流路遮断部材101との間には、別の付勢部材102が設けられている。別の付勢部材102は、コイルばね等のばね部材により構成され、流路遮断部材101を一側接続ポート57に向けて付勢する。
これにより、流路遮断部材101の弁体101Aは、一側接続ポート57に対して離着座可能に設けられている。即ち、流路遮断部材101の弁体101Aは、油圧源側油路53,53から一側供給通路56への流れを遮断し、かつ、一側供給通路56から一対の油圧源側油路53,53への流れを許す構成となっている。なお、弁座部材としての突出部91Bは、流路遮断部材101の位置、即ち、軸方向の変位量(ストローク量)を規制する。また、別の付勢部材102は、省略することもできる。即ち、付勢部材66のみによって、チェック弁65を突出部91B側に付勢すると共に、流路遮断部材101を一側接続ポート57側に付勢するようにしてもよい。
第4の実施の形態は、上述のような流路遮断部材101によって一側供給通路56から一対の油圧源側油路53,53への流れを許す構成としたもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。特に、第4の実施の形態では、油圧源側油路53,53に油圧ポンプ9A,9Bと追加の油圧ポンプ10との両方からの圧油を供給することができる。即ち、一側接続ポート57および他側接続ポート58内に、油圧ポンプ9A,9Bのチェック弁(流路遮断部材101)と追加の油圧ポンプ10用のチェック弁65との両方を内蔵することができる。この場合には、油圧アクチュエータ(より具体的には、作業具駆動シリンダ4H)に対する圧油の供給流量を増やすことができ、油圧アクチュエータの動作速度の増速が可能になる。
なお、各実施の形態では、制御弁装置21を構成する各方向制御弁22,23,24,25,26の弁ケーシング32,52を、方向制御弁22,23,24,25,26毎に別体とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、アーム用方向制御弁23の弁ケーシング(第1の方向制御弁31の弁ケーシング32)と予備用方向制御弁26の弁ケーシング(第1の方向制御弁31の弁ケーシング32または第2の方向制御弁51の弁ケーシング52)とを、一体の弁ケーシングとしてもよい。即ち、複数の方向制御弁の弁ケーシングを、一体の弁ケーシングとして形成してもよい。
各実施の形態では、工場出荷のときの油圧ショベル1のアタッチメントをバケット4Cとし、その後、整備工場でアタッチメントをバケット4Cから圧砕機4Gに変更すると共に追加の油圧ポンプ10を後付けで取付ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、工場出荷のときからアタッチメントを圧砕機4Gにすると共に追加の油圧ポンプ10を取付ける構成としてもよい。この場合は、第1の方向制御弁を第2の方向制御弁に変更する作業を行う必要がない(第2の方向制御弁を製造すればよい)。この場合には、第1の方向制御弁と第2の方向制御弁の弁ケーシングの形状を共通化できるため、製造コストの低減を図ることができる。さらに、バケットとは別のアタッチメントとしては、圧砕機4Gの他、ブレーカ、カッタ、破砕機等の圧油を必要とする各種のアタッチメントを用いることができる。
各実施の形態では、予備用方向制御弁26に追加の油圧ポンプ10を接続すると共に、予備用方向制御弁26を第2の方向制御弁51とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、旋回用方向制御弁25に追加の油圧ポンプ10を接続すると共に、旋回用方向制御弁25を第2の方向制御弁51としてもよい。また、ブーム用方向制御弁22やアーム用方向制御弁23を第2の方向制御弁51としてもよい。即ち、制御弁装置を構成する複数の方向制御弁のうちのいずれを第1の方向制御弁とするか第2の方向制御弁とするかは、例えば、油圧ショベルの仕様、必要な性能、効率等に応じて選択することができる。
各実施の形態では、建設機械として油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、油圧クレーン、ホイールローダ、フォークリフト等の建設機械を含む各種の産業機械、換言すれば、油圧回路に方向制御弁(制御弁装置)が設けられる各種の機械に広く適用することができる。さらに、各実施の形態は例示であり、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。
以上の実施の形態によれば、既存の弁ケーシングに他の油圧源用のチェック弁を内蔵できる。
(1).即ち、既存の弁ケーシングは、一側接続ポートおよび他側接続ポートに、一の油圧源用のチェック弁を内蔵することができる。これに対し、実施の形態では、一側接続ポートおよび他側接続ポート内に、流路遮断部材と弁座部材とチェック弁とが設けられている。この場合、流路遮断部材は、他側接続ポートに設けられた弁座部材によって位置が規制されており、かつ、流路遮断部材の一側は弁体となると共に他側はスリーブとなっている。さらに、流路遮断部材と弁座部材との間、換言すれば、流路遮断部材の内径側には、他側供給通路から油圧源側油路への流れを許し油圧源側油路から他側供給通路への流れを遮断するチェック弁が、弁座部材に対して離着座可能に設けられている。
このため、一の油圧源用のチェック弁を組込むことができる一側接続ポートおよび他側接続ポート内に、流路遮断部材および弁座部材と共に、他の油圧源用のチェック弁を組込むことができる。この場合、流路遮断部材、弁座部材、および、チェック弁は、既存の弁ケーシングに新たな加工を施さなくても、一側接続ポートおよび他側接続ポート内に組込むことができる。換言すれば、一の油圧源用の方向制御弁(即ち、一側供給通路を通じて供給される圧油を制御する方向制御弁)の弁ケーシングの形状と、他の油圧源用の方向制御弁(即ち、他側供給通路を通じて供給される圧油を制御する方向制御弁)の弁ケーシングの形状とを、共通化できる。これにより、一の油圧源用の方向制御弁と他の油圧源用の方向制御弁との両方を製造するときに、弁ケーシングの形状を共通化できることによる製造コストの低減を図ることができる。
さらに、一の油圧源用の方向制御弁を、他の油圧源用の方向制御弁に変更するときに、既存の弁ケーシングを加工する作業(穴形状を変更する作業)を省略できる。このため、例えば、方向制御弁を取付け対象(例えば、建設機械)に取付けたまま、一の油圧源用の方向制御弁から他の油圧源用の方向制御弁に変更することができる。即ち、方向制御弁を取付け対象に取付けたまま、その方向制御弁から一の油圧源用のチェック弁を取外し、その取外した部位に、他の油圧源用のチェック弁を、流路遮断部材および弁座部材と共に組込むことができる。これにより、他の油圧源用のチェック弁を内蔵する作業を容易に行うことができる。即ち、一の油圧源用の方向制御弁を他の油圧源用の方向制御弁に変更する作業を容易に行うことができる。
さらに、流路遮断部材のスリーブには、スリーブの内面と外面との間を常時連通するスリーブ開口が設けられている。このため、弁座部材とチェック弁との間から流路遮断部材のスリーブ側に流入した圧油は、流路遮断部材のスリーブ開口を通じて油圧源側油路に流出する。即ち、チェック弁通過後の圧油の流路を、流路遮断部材の内部孔ではなく外周側とすることができ、スリーブ開口によって圧油の通路を確保できる。
従って、他側接続ポートの内径を大きくする等の加工をしなくても、スリーブ開口の大きさを確保することにより、圧力損失を低減することができる。この結果、この面からも、既存の弁ケーシングに新たな加工を施さずに(即ち、穴形状を変更せずに)、一側接続ポートおよび他側接続ポート内に、流路遮断部材、弁座部材、および、チェック弁を組込むことができる。即ち、既存の弁ケーシングに新たな加工を施さなくても、他の油圧源用のチェック弁を内蔵することと圧力損失を低減することとを両立できる。
(2).実施の形態によれば、スリーブ開口は、スリーブを切欠くことにより構成しており、該スリーブの切欠いた部分と他側接続ポートの内周面との間に油路が形成される構成としている。このため、油路の断面積(流路面積)を確保し易くでき、圧力損失を低減できる。
(3).実施の形態によれば、流路遮断部材の弁体は、油圧源側油路から一側供給通路への流れを常時遮断し、かつ、一側供給通路から油圧源側油路への流れを常時遮断する構成としている。これにより、油圧源側油路には、他の油圧源からのみ圧油を供給することができる。
(4).実施の形態によれば、流路遮断部材の弁体は、油圧源側油路から一側供給通路への流れを遮断し、かつ、一側供給通路から一対の油圧源側油路への流れを許す構成としている。これにより、油圧源側油路には、一の油圧源と他の油圧源との両方からの圧油を供給することができる。即ち、一側接続ポートおよび他側接続ポート内に、一の油圧源用のチェック弁と他の油圧源用のチェック弁との両方を内蔵することができる。この場合には、油圧アクチュエータに対する圧油の供給流量を増やすことができ、油圧アクチュエータの動作速度を速くできる。
(5).実施の形態によれば、他側接続ポートの内周面とスリーブ開口とにより形成される油路の流路面積は、他側供給通路の流路面積以上に構成している。これにより、他側供給通路から油路を通じて油圧源側油路に流れる圧油の圧力損失を低減できる。