JP2017179057A - 熱伝導性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、高い熱伝導性と耐熱性、耐湿熱性、耐ヒートサイクル性を有する熱伝導性シートを提供することを目的とする。【解決手段】 多塩基酸単量体とポリアミン単量体との重合体であり、側鎖にフェノール性水酸基を有し、炭素数20〜60の炭化水素基を有する特定のポリアミド(A)と、前記フェノール性水酸基と反応し得る、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物等の3官能以上の化合物(B)と、熱伝導性フィラー(C)とを含有する熱伝導性シート。【選択図】 なし

Description

本発明は、高い熱伝導性と耐熱性、耐湿熱性および耐ヒートサイクル性とを満足する熱伝導性シートに関する。
近年、エレクトロニクス分野の発展が目覚しく、特に電子機器の小型化、軽量化、高密度化、および高出力化が進み、これらの性能に対する要求がますます高度なものとなっている。電子回路の高密度化のために高絶縁性信頼性および小型化が求められている。また、電子機器の高出力化に伴う発熱による電子機器の劣化防止のための放熱性向上が求められている。
発熱する電子機器に対して施される従来の放熱構造としては、高分子材料からなるシート中に熱伝導性の粒子を配置し、熱伝導性を向上させた熱伝導性シートなどが開発されている。
熱伝導性シートは高い熱伝導性と耐熱性、耐湿熱性、耐ヒートサイクル性が求められている。特に自動車電装部品などの電気部品用途においては、温度変化による熱膨張係数の違いによる熱応力の発生によって、接着部で剥がれやクラック(ひび割れ)の発生し、その結果、絶縁性や熱抵抗が低下することが問題視されていることから、高い耐ヒートサイクル性が要求されている。
そこで、これら要求を解決するために、例えば、特許文献1ではアクリル系ウレタン樹脂を使用した柔軟性の高い熱伝導性シートが提案されている。特許文献2では、面方向の熱伝導性および凹凸追従性が優れる熱伝導性シートが提案されている。特許文献3では、柔軟性を付与するために、ダイマー酸を共重合させたポリエステル樹脂が提案されている。
また、特許文献4ではエポキシ樹脂を用いた熱伝導性シートが、
特許文献5ではフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド(A)とエポキシ樹脂(B)を含有する接着剤の硬化物層を介し、回路基板が放熱板に積層された積層物が、それぞれ提案されている。
さらに、特許文献6ではエポキシ樹脂とフェノール樹脂とフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミドとを含有するエポキシ樹脂組成物を、封止材料、接着剤、塗料等に用いる旨、提案されている。
また、特許文献7には、溶融粘度低下剤(C)を利用し、射出成型時などの加工時の溶融流動性に優れる、熱可塑性樹脂(A)と充填剤(B)と溶融粘度低下剤(C)とを含有する樹脂組成物が記載されている。前記充填剤(B)として熱伝導性充填剤(B1)が、前記溶融粘度低下剤(C)はダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)であり、前記ダイマー酸ベース熱可塑性樹脂(C2)としてポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂が記載されている。
さらに、熱伝導性シートではなく、プリント配線板の技術分野ではあるが、屈曲性に富み、誘電率や誘電正接の低い硬化物を形成し得る熱硬化性樹脂組成物として、側鎖にフェノール性水酸基と、特定の構造とを有するポリアミド、および前記フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物を含むものが開示されている。
特開2002−30212号公報 特開2013−179277号公報 特開2012−117044号公報 特開2008−189818号公報 WO2011/114665 特開2000−313787号公報 WO2010/08485 WO2016/001949
しかしながら、特許文献1ではウレタン樹脂を使用しているため、耐熱性・耐湿熱性が不十分である。また特許文献2は、厚み方向の熱伝導性が十分とは言えず、さらに柔軟性付与のためにゴム成分を加えているため、耐熱性が不足している。また特許文献3では耐加水分解性の低いポリエステル樹脂を使用しているため、耐湿熱性が不十分である。また特許文献4〜6では、使用しているエポキシ樹脂や芳香族ポリアミドが非常に硬く柔軟性に欠けているため、温度変化での熱膨張係数の違いによる熱応力を緩和することができず、ヒートサイクルによる剥がれやクラックの問題が発生してしまう。
また、特許文献7に樹脂組成物は、射出成型に用いるためのものであり、使用される樹脂(A)や溶融粘度低下剤(C)はいずれも熱可塑性であり、樹脂組成物に耐熱性は期待できない。
本発明の目的は高い熱伝導性と耐熱性、耐湿熱性および耐ヒートサイクル性を両立した熱伝導性シートを提供することである。
本発明者らは、前記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、特定のフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂を利用することにより、高い熱伝導性と耐熱性・耐湿熱性および耐ヒートサイクル性を両立した熱伝導性シートを見出した。
すなわち、本発明の熱伝導シートは、多塩基酸単量体とポリアミン単量体との重合体であり、側鎖にフェノール性水酸基を有するポリアミド(A)と、前記フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)と熱伝導性フィラー(C)とを含有する熱伝導性シートであって、前記ポリアミド(A)は、以下の(i)および/または(ii)であり、更に、(iii)〜(vi)を満足し、前記化合物(B)は以下の(vii)を満足する熱伝導シート。
(i)ポリアミド(A)は、前記フェノール性水酸基および炭素数20〜60の炭化水素基(但し、前記フェノール性水酸基が結合する芳香環は含まない)が同一ポリマー内に含まれるポリアミド(A−1)である。
(ii)ポリアミド(A)は、側鎖にフェノール性水酸基を含むポリアミド(a−1)と、炭素数20〜60の炭化水素基を含むポリアミド(a−2)とを混合したポリアミド(A−3)である。
(iii)ポリアミド(A−1)を構成する単量体として、フェノール性水酸基を具備する単量体および炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体を含む。
(iv)ポリアミド(a−1)を構成する前記多塩基酸単量体または/および前記ポリアミン単量体に、フェノール性水酸基を具備する単量体を含み、且つ前記多塩基酸単量体および前記ポリアミン単量体に、炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体を含まない。
(v)ポリアミド(a−2)を構成する前記多塩基酸単量体または/および前記ポリアミン単量体に、炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体を含み、且つ前記多塩基酸単量体および前記ポリアミン単量体に、フェノール性水酸基を具備する単量体を含まない。
(vi)炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体の少なくとも一部が、炭素数5〜10の環状構造を具備する化合物を含む。
(vii)化合物(B)が、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、金属キレート、金属アルコキシドおよび金属アシレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
汎用の有機溶剤に可溶で、かつ耐熱性、耐加水分解性および柔軟性に優れたフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂と熱伝導性フィラーとを使用することで、高い熱伝導性をもち、かつ耐熱性、耐湿熱性および耐ヒートサイクル性の高い熱伝導性シートを得ることができる。
本発明の熱伝導性シートは、前述の通り、熱伝導性フィラー(C)と樹脂成分とを含む組成物であって、樹脂成分が、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)と前記フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)とを含有する。
以下に本発明に利用される耐熱性樹脂成分について説明する。
本発明では、特定のフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂(A)と、前記フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)とを耐熱性樹脂成分として用いる。これらを用いることによって、耐熱性を低下せずに、熱応力を緩和できる。
<フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)>
本発明の接合剤に使用されるフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂(A)は、側鎖にフェノール性水酸基を含有するポリアミド(A)(以下、「フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)」とも称する)と、前述のフェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)(以下、「化合物(B)」とも称する)とを含有するものである。ポリアミド(A)の合成法は限定されないが、単量体として、通常、2価以上の多塩基酸および/または酸無水物および/またはこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物と、2価以上のポリアミン化合物とを用いて合成される。ポリアミド(A)中のフェノール性水酸基は、3官能以上の化合物(B)と熱硬化させることによって架橋構造を形成できる。
本発明におけるポリアミド(A)は、(i)フェノール性水酸基および炭素数20〜60の炭化水素基(但し、前記フェノール性水酸基が結合する芳香環は含まない)が同一ポリマー内に含まれるポリアミド(A−1)、および/または(ii)側鎖にフェノール性水酸基を含むポリアミド(a−1)と、炭素数20〜60の炭化水素基(但し、前記フェノール性水酸基が結合する芳香環は含まない)を含むポリアミド(a−2)とを混合したポリアミド(A−3)である。汎用性溶剤への溶解性および生産性の点からは、前者のポリアミド(A−1)が好ましい。なお、以降の説明において、炭素数20〜60の炭化水素基(但し、前記フェノール性水酸基が結合する芳香環は含まない)の括弧書きを省略するが、「炭素数20〜60の炭化水素基」というときは、前記括弧書きの条件を満たすものとする。また、「炭素数20〜60の炭化水素基」を「C20〜60炭化水素基」とも表記する。また、炭素数20〜60の炭化水素基とは、単量体の重合に寄与する官能基以外の残基の全部または一部に含まれる炭素数20〜60の炭化水素基をいい、炭素・水素以外の元素が含まれない連続した構造の炭素数をカウントする。より好ましくは、単量体の重合に寄与する官能基以外の残基の全部が炭素数20〜60の炭化水素基であることが好ましい。即ち、得られるポリアミド(A−1)に対して主鎖および当該主鎖に直結する側鎖を含めた連続する炭化水素基の炭素の総数をいい、脂肪族(脂環式を含む)の他、芳香環もカウント対象とする。但し、フェノール性水酸基が結合している芳香環は含まないものとする。また、このフェノール性水酸基が結合する芳香環を介して結合された炭化水素基は、其々、別の炭化水素基としてカウントするものとする。
ポリアミド(A)は、以下の(iii)〜(vi)を満足するものである。即ち、(iii)ポリアミド(A−1)を構成する単量体として、フェノール性水酸基を具備する単量体および炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体を含む。なお、同種単量体内に、フェノール性水酸基と炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体を用いてもよいことは言うまでもない。(iv)ポリアミド(a−1)を構成する多塩基酸単量体または/およびポリアミン単量体に、フェノール性水酸基を具備する単量体を含み、且つ多塩基酸単量体およびポリアミン単量体に、炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体を含まない。(v)ポリアミド(a−2)を構成する多塩基酸単量体または/およびポリアミン単量体に、炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体を含み、且つ多塩基酸単量体およびポリアミン単量体に、フェノール性水酸基を具備する単量体を含まない。(vi)炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体が、炭素数5〜10の環状構造を具備する化合物を含む。なお、「炭素数5〜10の環状構造を具備する化合物を含む」とは、炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体の少なくとも一部に、炭素数5〜10の環状構造を具備する単量体が含まれるという意味である。
炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体は、溶解性や屈曲性を効果的に引き出す観点から、炭素数24〜56の炭化水素基を具備する単量体がより好ましく、炭素数28〜48の炭化水素基を具備する単量体が更に好ましく、炭素数36〜44の炭化水素基を具備する単量体がさらに好ましい。
≪ポリアミド(A−1)≫
ポリアミド(A−1)は、多塩基酸単量体(m1)とポリアミン単量体(m2)とを重合してなり、側鎖にフェノール性水酸基を有し、且つ、同一ポリマー内にフェノール性水酸基およびC20〜60炭化水素基を有するものである。上記条件を満たせばよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の構造を有する多塩基酸単量体、ポリアミン単量体を適宜用いることができる。即ち、多塩基酸単量体(m1)は、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物、C20〜60炭化水素基を含む多塩基酸化合物およびその他の多塩基酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種から、ポリアミン単量体(m2)は、フェノール性水酸基を有するポリアミン化合物、C20〜60炭化水素基を含むポリアミン化合物およびその他のポリアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種から、ポリマー中にフェノール性水酸基およびC20〜60炭化水素基が含まれるように選定すればよい。C20〜60炭化水素基を含む化合物およびフェノール性水酸基を有する化合物は、同種単量体内に含むように若しくは別の単量体に含むように、多塩基酸単量体(m1)および前記ポリアミン単量体(m2)を選定して重合することによりフェノール性水酸基含有ポリアミド(A−1)を得ることができる。
即ち、「同種の単量体内に含むように」とは、多塩基酸単量体(m1)としてフェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物と、C20〜60炭化水素基を含む多塩基酸化合物とを用いてもよいし、ポリアミン単量体(m2)としてフェノール性水酸基を有するポリアミン化合物と、C20〜60炭化水素基を含むポリアミン化合物とを用いてもよい、との意である。また、「別の単量体に含むように」とは、多塩基酸単量体(m1)としてフェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物を含み、且つポリアミン単量体(m2)としてC20〜60炭化水素基を含むポリアミン化合物を含むようにしてもよいし、多塩基酸単量体(m1)としてC20〜60炭化水素基を含む多塩基酸化合物を含み、且つポリアミン単量体(m2)としてフェノール性水酸基を有するポリアミン化合物を含むようにしてもよい、との意である。いずれの場合においても、その他の多塩基酸化合物やその他のポリアミン化合物は適宜用いることができる。
多塩基酸単量体(m1)とポリアミン単量体(m2)との重合により生成される主鎖に対し、側鎖に導入されたフェノール性水酸基は、架橋点としての機能を担う。即ち、ポリアミド(A−1)と、後述するフェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)とを熱硬化することにより密な架橋構造を形成できるようになる。
二塩基酸単量体とジアミン単量体を用いてポリアミド(A)を得た場合には、下記一般式(1)の構造単位を有する。

一般式(1)中、Rは、構造単位毎に独立の構造を有していてもよい多塩基酸化合物残基である2価の連結基であり、Rは、構造単位毎に独立の構造を有していてもよいポリアミン化合物残基である2価の連結基であり、RおよびRの少なくとも一方は、フェノール性水酸基を有する連結基を含み、且つRおよびRの少なくとも一方は、C20〜60炭化水素基を有する連結基を含む。ポリアミド(A−1)は、−CO−R−CO−NH−R−NH−で示される構造単位が少なくとも2以上繰り返されたものである。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、一般式(1)の構造単位を1つ有し、且つ末端が封止された化合物が含まれてもよい。
フェノール性水酸基含有単量体およびC20〜60炭化水素基含有単量体は、二塩基酸化合物およびジアミン化合物のいずれかの単量体に少なくとも含まれていればよく、二塩基酸化合物およびジアミン化合物の両者にこれらの基が其々含まれていてもよい。例えば2種の二塩基酸化合物R1−1、R1−2および2種のジアミン化合物R2−1、R2−2を用いる場合、−CO−R1−1−CO−NH−R2−1−NH−、−CO−R1−1−CO−NH−R2−2−NH−、−CO−R1−2−CO−NH−R2−1−NH−、−CO−R1−2−CO−NH−R2−2−NH−の構造単位が含まれ得る。
<多塩基酸単量体(m1)>
[フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物]
本発明で用いられるフェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物は特に限定されないが、2−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等のヒドロキシイソフタル酸、2,5−ジヒドロキシイソフタル酸、2,4−ジヒドロキシイソフタル酸、4,6−ジヒドロキシイソフタル酸等のジヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、2,3−ジヒドロキシテレフタル酸、2,6−ジヒドロキシテレフタル酸等のジヒドロキシテレフタル酸、4−ヒドロキシフタル酸、3−ヒドロキシフタル酸等のヒドロキシフタル酸、3,4−ジヒドロキシフタル酸、3,5−ジヒドロキシフタル酸、4,5−ジヒドロキシフタル酸、3,6−ジヒドロキシフタル酸等のジヒドロキシフタル酸などが挙げられる。更にこれらの酸無水物や例えば多塩基酸メチルエステルのようなエステル誘導体なども挙げられる。遊離多塩基酸や酸無水物の場合は脱水反応、エステル誘導体の場合は対応する脱アルコール反応となるという違いが生じるだけである。なかでも、共重合性、入手の容易さなどの点から、5−ヒドロキシイソフタル酸が好ましい。なお、5−ヒドロキシイソフタル酸を用いた場合、一般式(1)におけるR1、即ち多塩基酸化合物残基である2価の連結基とは、前記5−ヒドロキシイソフタル酸から2つのカルボキシル基を除いた部分である。
[C20〜60炭化水素基を含む多塩基酸化合物]
本発明で用いられるC20〜60炭化水素基を含む多塩基酸化合物としては、好適な例として、炭素数10〜24の二重結合あるいは三重結合を1個以上有する一塩基性不飽和脂肪酸を反応させて得た、炭素数5〜10の環状構造を有する多塩基酸化合物を挙げることができる。反応の一例としては、ディールス−アルダー反応が挙げられる。例えば、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸、菜種油脂肪酸等の天然の脂肪酸およびこれらを精製したオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸等を原料に用いてディールス−アルダー反応させて得た二量体化脂肪酸(ダイマー酸)を含む多塩基酸化合物が好適に用いられる。
環状構造は1つでも2つでもよく、2つの場合、2つの環が独立していてもよいし、連続していてもよい。環状構造としては、飽和の脂環構造、不飽和の脂環構造、芳香環が挙げられる。カルボキシル基は環状構造に直接結合することもできるが、溶解性向上、柔軟性向上の観点から、カルボキシル基は脂肪族鎖を介して環状構造と結合していることが好ましい。カルボキシル基と環状構造との間の炭素数は2〜25であることが好ましい。また、C20〜60炭化水素基を含む多塩基酸化合物は、溶解性向上、柔軟性向上等の観点から、環状構造以外の部分として自由度および疎水性の高い鎖状のアルキル基を有することが好ましい。アルキル基は1つの環状構造に対し2つ以上であることが好ましい。アルキル基の炭素数は2〜25であることが好ましい。
C20〜60炭化水素基を含む多塩基酸化合物は、通常ダイマー酸(二量体化脂肪酸)から誘導されるダイマーを残基として含む単量体を主成分とし、他に、原料の脂肪酸や三量体化以上の脂肪酸の組成物として得られるものである。中でも、C20〜60炭化水素基を含む単量体100質量%中に、ダイマー酸(二量体化脂肪酸)から誘導されるダイマーを残基として含む単量体の含有量が70質量%以上、好ましくは95質量%以上とすることが好ましい。また、ダイマーに対して水素添加(水添反応)して不飽和度を下げたものが、耐酸化性(特に高温域における着色)や合成時のゲル化抑制の観点から特に好適に用いられる。C20〜60炭化水素基を有する多塩基酸化合物としては、炭素数10〜24の一塩基性不飽和脂肪酸から誘導されるダイマーを残基として含む単量体(多塩基酸化合物)を用いることが好ましい。さらにC20〜60炭化水素基を有する多塩基酸化合物の一部として、炭素数10〜24の一塩基性不飽和脂肪酸から誘導される、トリカルボン酸であるトリマーを残基として含む単量体を用いることが好ましい。
前記C20〜60炭化水素基を有する多塩基酸化合物は公知の反応によって得ることができるが、市販品を用いることもできる。市販品の例としては例えば、クローダジャパン社製の「プリポール1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」、「プリポール1015」、「プリポール1017」、「プリポール1022」、「プリポール1025」、「プリポール1040」や、BASFジャパン社製の「エンポール1008」、「エンポール1012」、「エンポール1016」、「エンポール1026」、「エンポール1028」、「エンポール1043」、「エンポール1061」、「エンポール1062」などが挙げられる。これらの多塩基酸化合物は単独若しくは併用して用いることができる。
[その他の多塩基酸化合物]
フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物およびC20〜60炭化水素基を有する多塩基酸化合物以外の多塩基酸化合物としては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において特に限定されないが、二塩基酸化合物や3官能以上の多塩基酸化合物が挙げられる。二塩基酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族二塩基酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、りんご酸、酒石酸、チオりんご酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジオン酸、ジグリコール酸などの脂肪族二塩基酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族二塩基酸などが挙げられる。3官能以上の多塩基酸化合物としては、トリメリット酸、水添トリメリット酸、ピロメリット酸、水添ピロメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸などが挙げられる。
これらの多塩基酸化合物は、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物やC20〜60炭化水素基を有する多塩基酸化合物に対し、単独で使用してもよいし、複数を併用して用いてもよい。なかでも、イソフタル酸や1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、より耐熱性に優れる強靭なポリアミドが得られるという点から好適に用いることができる。また、3官能以上のものを使用することにより、ポリアミドに分岐構造を導入し、高分子量化でき、得られるポリアミドの凝集力を大きくできる。その結果、柔軟性に悪影響を与えずに、耐熱性を向上させることができる。
さらに、本発明では、一官能のものも使うことができる。一官能のものを使用することにより、ポリアミドの末端官能基となりうるカルボキシル基やアミノ基を減らすことができ、得られるポリアミドの分子量を制御できる。その結果、特にポリアミド樹脂の経時安定性を向上させることができる。一塩基酸化合物としては、安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2-エチルヘキサン酸などが挙げられる。
<ポリアミン単量体(m2)>
フェノール性水酸基を有するポリアミン化合物は特に限定されないが、下記一般式(2)で表されるポリアミンが挙げられる。

式中Rは、直接結合、または炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、またはハロゲンからなる基を示し、例えば、炭素数1〜30の2価の炭化水素基またはハロゲン原子によって水素の一部若しくは全部が置換されている炭素数1〜30の2価の炭化水素基、−(C=O)−、―SO−、−O−、−S−、―NH−(C=O)−、―(C=O)−O−、下記一般式(3)で表される基および下記一般式(4)で表される基が挙げられる。式中、rおよびsはそれぞれ独立に1〜20の整数を示し、R4は水素原子またはメチル基を示す。


上記Rは、直接結合が好ましい。
なお、一般式(2)の化合物を用いた場合、一般式(1)におけるR、即ちポリアミン化合物残基である2価の連結基とは、一般式(2)の化合物から2つのアミノ基を除いた部分である。
[C20〜60炭化水素基を含むポリアミン化合物]
C20〜60炭化水素基を含むポリアミン化合物としては、前述のC20〜60炭化水素基を有する多塩基酸化合物のカルボシキル基をアミノ基に転化した化合物が挙げられ、市販品の例としては例えば、クローダジャパン社製の「プリアミン1071」、「プリアミン1073」、「プリアミン1074」、「プリアミン1075」や、BASFジャパン社製の「バーサミン551」などが挙げられる。これらのポリアミン化合物は単独または併用して用いることができる。なかでも三量体であるトリアミン成分を約20〜25質量%含有する「プリアミン1071」を用いるとポリアミドの凝集力を向上することができ、耐熱性向上の点から好適に用いることができる。なお、ポリアミドの生産安定性の点から、ポリアミドの形成に供する全単量体100質量%中、三量体であるトリアミンおよび前述の三量体であるトリカルボン酸は合計で0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
[その他のポリアミン化合物]
次に、フェノール性水酸基を有するポリアミン化合物およびC20〜60炭化水素基を有するポリアミン化合物以外のポリアミン化合物としては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で特に限定されないが、ジアミン化合物やトリアミン化合物等が挙げられる。ジアミン化合物としては、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノー1,2−ジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ジアミン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、メタキシレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’―ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジンなどの脂環族ジアミン、などが挙げられる。3官能以上のポリアミン化合物としては、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,4,4’−トリアミノジフェニルエーテル、などが挙げられる。なお、芳香環を有していてもアミノ基が直結していない場合は脂肪族等に分類する。
これらのポリアミン化合物は、フェノール性水酸基を有するポリアミンやC20〜60炭化水素基を有するポリアミンに対し、単独で使用してもよいし、複数を併用して用いてもよい。なかでも、イソホロンジアミンやノルボルナンジアミンは、より耐熱性に優れる強靭なポリアミドが得られるという点から好適に用いることができる。
また、3官能以上のものを使用することにより、ポリアミドに分岐構造を導入し、高分子量化でき、得られるポリアミドの凝集力を大きくできる。その結果、接着性、耐熱性等を向上させることができる。
さらに、本発明では、一官能のものも使うことができる。一官能のものを使用することにより、ポリアミドの末端官能基となりうるカルボキシル基やアミノ基を減らすことができ、得られるポリアミドの分子量を制御できる。その結果、特にポリアミド樹脂の経時安定性を向上させることができる。一方で、末端官能基となりうるカルボキシル基やアミノ基を1官能の化合物で減らさない場合、樹脂中にフェノール基とカルボキシル基および/またはアミノ基が混在することになり、フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)を併用した際に、それぞれの反応性の違いを利用して、加工性や接着性を向上できるため望ましい。一官能のアミン化合物としては、アニリン、4−アミノフェノール、2−エチルヘキシルアミンなどが挙げられる。
本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A−1)は、接着性、耐熱性、等、特に向上させたい性能に応じて、前記の多塩基性単量体(m1)、ポリアミン単量体(m2)を適宜選択して得ることができる。
なお、重合によって得られるポリアミド(A−1)は、フェノール性水酸基を有する成分とC20〜60炭化水素基を有する成分とをランダムに重合してなるものであってもよいし、ブロック重合体であってもよい。即ち、複数種の多塩基酸単量体化合物の混合物と1種のポリアミン化合物を重合してもよいし、複数種の多塩基酸化合物の混合物と複数種のポリアミン化合物の混合物と重合してもよいし、1種の多塩基酸化合物と複数種のポリアミン化合物の混合物とを重合してもよいし、1種の多塩基酸化合物と1種のポリアミン化合物とを重合した後、末端に残る官能基に応じ、さらに他の多塩基酸化合物や他のポリアミン化合物を重合してもよい。
本発明のポリアミド(A−1)は、形成に用いられる全単量体、即ち、多塩基酸単量体(m1)、ポリアミン単量体(m2)、および必要に応じて用いられる一塩基酸や一官能のアミン化合物の合計100mol中に、C20〜60炭化水素基を含む化合物を40〜98mol%含むことが好ましく、45〜96mol%含むことがより好ましく、50〜94mol%含むことがさらに好ましい。一方、範囲外で使用すると割合が少ない場合、十分な柔軟性が得られない可能性がある。また、使用する割合が多すぎる場合、耐熱性や熱伝導性が低下する恐れがある。
C20〜60炭化水素基を含む単量体のモル数の計算方法について説明する。まず、C20〜60炭化水素基を含む単量体の分子量(M)を下記式により求める。
M=(56.11×F×1000)/E
F:C20〜60炭化水素基を含む単量体の官能基数
E:C20〜60炭化水素基を含む単量体の酸価(mgKOH/g)
次いで、重合に供したC20〜60炭化水素基を含む化合物の質量を、前記分子量(M)で除することによって、重合に供したC20〜60炭化水素基を含む化合物のモル数を求める。同様にして重合に供した各単量体のモル数を求め、それらを合計し重合に供した全単量体のモル数を求める。そして、C20〜60炭化水素基を含む化合物のモル数を全単量体のモル数で除することによって、C20〜60炭化水素基を含む化合物の占める割合(mol%)を求めることができる。
≪ポリアミド(A−3)≫
ポリアミド(A−3)は、ポリアミド(a−1)と(a−2)を混合してなるポリアミドである。ポリアミド(a−1)は、多塩基酸単量体(m3)とポリアミン単量体(m4)とを重合してなり、側鎖にフェノール性水酸基を有し、且つ、C20〜60炭化水素基は有さないものである。上記条件を満たせばよく、その他の多塩基酸単量体、ポリアミン単量体を適宜用いることができる。即ち、多塩基酸単量体(m3)は、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物およびその他の多塩基酸化合物(但し、C20〜60炭化水素基を含む多塩基酸化合物は除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種から、ポリアミン単量体(m4)は、フェノール性水酸基を有するポリアミン化合物およびその他のポリアミン化合物(但し、C20〜60炭化水素基を含むポリアミン化合物は除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種から、ポリマー中にフェノール性水酸基が含まれるように選定すればよい。多塩基酸単量体(m3)またはポリアミン単量体(m4)の少なくとも一方がフェノール性水酸基を有する。2価の単量体と3価以上の単量体を組み合わせて、枝分かれ構造を導入しつつ、適切な分子量を調整してもよい。また、1価の単量体を用いて、分子量を適切に保つことも可能である。即ち、ポリアミド(a−1)は、側鎖にフェノール性水酸基を有するが、C20〜60炭化水素基は有しないポリアミドである。
一方、多塩基酸単量体(m5)は、C20〜60炭化水素基を含む多塩基酸化合物およびその他の多塩基酸化合物(但し、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物は除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、ポリアミン単量体(m6)は、C20〜60炭化水素基を含むポリアミン化合物およびその他のポリアミン化合物(但し、フェノール性水酸基を有するポリアミン化合物は除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、多塩基酸単量体(m5)または前記ポリアミン単量体(m6)の少なくも一方が、C20〜60炭化水素基を含む。即ち、ポリアミド(a−2)は、C20〜60炭化水素基を有するが、側鎖にフェノール性水酸基は有しないポリアミドである。
つまり、ポリアミド(A−3)は、側鎖にフェノール性水酸基を有するが、C20〜60炭化水素基は有しないポリアミド(a−1)と、C20〜60炭化水素基を有するが、側鎖にフェノール性水酸基は有しないポリアミド(a−2)との混合物である。
後述するフェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)は、フェノール性水酸基と反応し得る他、カルボキシル基ないしアミノ基の少なくともいずれか一方とも反応し得る場合が多い。混合物(A−3)とフェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物を熱硬化する際、フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)としてカルボキシル基ないしアミノ基の少なくともいずれか一方とも反応し得るものを用いると、混合物(A−3)中のフェノール性水酸基含有ポリアミド(a−1)およびC20〜60炭化水素基を有するポリアミド(a−2)の有する、末端のカルボキシル基や末端のアミノ基も熱硬化反応に活用することができる。
フェノール性水酸基含有ポリアミド(a−1)と、C20〜60炭化水素基を有するポリアミド(a−2)との混合比は、(a−1)のフェノール性水酸基価や分子量にもよって適宜調整することが可能であるが、フェノール性水酸基含有ポリアミド:C20〜60炭化水素基を有するポリアミド=5:95〜80:20(質量比)であることが好ましく、10:90〜50:50であることが好ましい。
なお、ポリアミド(A−3)についていう「混合物」、「混合」とは、以下の場合を含む意である。即ち、前記ポリアミド(a−1)と前記ポリアミド(a−2)から予め混合物を得た後、後述するフェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)を配合する場合や、前記ポリアミド(a−1)と前記ポリアミド(a−2)と後述するフェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)とを配合する場合や、前記ポリアミド(a−1)と後述するフェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)とを配合した後、前記ポリアミド(a−2)を配合する場合や、その逆を含む意である。
多塩基酸単量体(m3)としては、多塩基酸単量体(m4)のうち、C20〜60炭化水素基を含む多塩基酸化合物以外のものを挙げることができる。また、一塩基性化合物も併用できる。ポリアミン単量体(m4)としては、ポリアミン単量体(m2)のうち、C20〜60炭化水素基を含むポリアミン化合物以外のものを挙げることができる。また、一官能のアミン化合物も併用できる。
多塩基酸単量体(m5)としては、多塩基酸単量体(m1)のうち、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物以外のものを挙げることができる。また、一塩基性化合物も併用できる。ポリアミン単量体(m6)としては、ポリアミン単量体(m2)のうち、フェノール性水酸基を有するポリアミン化合物以外のものを挙げることができる。また、一官能のアミン化合物も併用できる。
本発明のポリアミド(A−3)は、形成に用いられる全単量体、即ち、多塩基酸単量体(m3)、ポリアミン単量体(m4)、多塩基酸単量体(m5)、ポリアミン単量体(m6)および必要に応じて用いられる一塩基酸や一官能のアミン化合物の合計100mol中に、C20〜60炭化水素基を含む化合物を40〜98mol%含むことが好ましく、45〜96mol%含むことがより好ましく、50〜94mol%含むことがさらに好ましい。
<フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のスペック>
続いて、本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のスペック(フェノール性水酸基価、質量平均分子量、ガラス転移温度)について説明する。
本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)は、ポリアミドの側鎖にフェノール性水酸基を含んでいれば、末端がカルボキシル基であってもアミノ基であってもよいし、末端に官能基を有さなくてもよい。ポリアミドの側鎖に含まれるフェノール性水酸基の量は、フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)の種類および量によって適宜調整することができる。
[フェノール性水酸基価]
具体的には、本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のフェノール性水酸基価は、1〜60mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは3〜50mgKOH/g、更に好ましくは5〜45mgKOH/gである。フェノール性水酸基価が1mgKOH/g以上のポリアミドを用いることによって、密な架橋構造を形成でき、硬化後の塗膜の耐性を向上することができる。また、フェノール性水酸基価が60mgKOH/g以下のポリアミドを用いることによって、硬度、耐久性、柔軟性の良好な硬化塗膜を得ることができる。また、フェノール性水酸基価が1〜60mgKOH/gの範囲内において、1mgKOH/gに近い範囲のポリアミドを用いる場合、得られる塗膜の接着性や屈曲性が向上し、一方、60mgKOH/gに近い範囲のポリアミドを用いる場合、架橋点が多くなることから、最終的に得られる塗膜の耐熱性が向上する。このように、本発明においてフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のフェノール性水酸基価は、1〜60mgKOH/gの範囲内で目的に応じて調整することが可能である。
上記フェノール性水酸基価は、(i)の場合には、単量体のうちのフェノール性水酸基を有する単量体の仕込み比(重合組成)によって調整可能である。また、(ii)の場合には、ポリアミド(a−1)、(a−2)のうちの全単量体のうちのフェノール性水酸基を有する単量体の比率によって調整可能である。
なお、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のうち、混合物(A−3)の場合は、混合物のフェノール性水酸基価をフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のフェノール性水酸基価とする。
[質量平均分子量]
フェノール性水酸基有ポリアミド(A)のうち、ポリアミド(A−1)の質量平均分子量は、取扱い性および熱硬化物にした際の柔軟性、耐熱性の点から10,000〜500,000であることが好ましく、13,000〜450,000であることがより好ましく、15,000〜400,000であることがさらに好ましい。フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のうち、ポリアミド(a−1)の質量平均分子量は、後述する汎用性溶剤への溶解性の点から500〜30,000であることが好ましく、1000〜20,000であることがより好ましく、1,000〜10,000であることがさらに好ましい。また、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のうち、ポリアミド(a
−2)の質量平均分子量は、ポリアミド(A−1)の場合と同様の範囲であることが好ましい。
[フェノール性水酸基有ポリアミド(A)のガラス転移温温度]
本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のガラス転移温度は、−40℃〜60℃であることが好ましく、より好ましくは、−30℃〜50℃である。フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のガラス転移温度を−40℃〜60℃の範囲に調整することで、優れた耐熱性を発現することができ、さらには柔軟性が付与され、耐ヒートサイクル性を向上することができる。
ガラス転移温度の調整は、C20〜60炭化水素基を有する多塩基酸化合物またはC20〜60炭化水素基を有するポリアミン化合物の比率を適宜設定することによって可能となる。例えば、C20〜60炭化水素基を有する多塩基酸化合物またはC20〜60炭化水素基を有するポリアミン化合物の配合比率を高くすることにより、吸水率の高いアミド結合の濃度を低くすることや二量化脂肪酸特有の柔軟屈曲性を付与することができるため、ガラス転移温度は−40℃に近い範囲で調整することができる。
なお、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のうち、混合物(A−3)の場合は、混合物のガラス転移温度をフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)のガラス転移温度とする。
[フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)の有機溶剤可溶性]
本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)は、汎用性の有機溶剤に広範囲に可溶である。可溶であるとは、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤およびエステル系溶剤等の汎用の溶剤の混合溶剤95質量部に対して、25℃において、5質量部以上溶解することをいう。特にトルエン/イソプロパノール=50/50(質量比)の混合溶剤95質量部に25℃で5質量部以上溶解することが好ましい。炭化水素系溶剤としてはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン等が挙げられる。アルコール系溶剤としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。エステル系溶剤としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
<フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)の合成>
続いて、本発明のフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)の合成方法について説明する。本発明に用いるフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)の重合条件は特に限定されるものではなく、溶融重合、界面重合、溶液重合、塊状重合、固相重合、およびこれらの方法を組み合わせた公知の条件を利用することができる。一般に工業的には、触媒存在下あるいは非存在下において150〜300℃で1〜24時間程度の反応を行う。脱水あるいは脱アルコール反応を促進し、高温による着色、分解反応を避けるために、180〜270℃で大気圧以下の減圧下で反応を行うのが好ましい。
なお、有機溶剤への溶解性より高めたり、硬化物の柔軟性を高めたりするために、ポリエステルも併用できる。ここでいう併用とは、ポリアミドとポリエステルとの混合の他、ポリアミドを合成する際、ジオール成分に代表されるポリオールを共存させておき、アミド結合とエステル結合の混在したポリエステルポリアミドをも含む意である。
但し、エステル結合はアミド結合に比して加水分解されやすいので、本発明ではポリアミドが主であることが必要である。即ち、アミド結合とエステル結合の合計100モル%中、エステル結合は0〜20モル%であることが重要であり、0〜10モル%であることが好ましい。
フェノール性水酸基含有のポリアミド(A−1)を合成する場合には、例えば、窒素充填したフラスコに、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物または/およびフェノール性水酸基を有するポリアミン化合物、C20〜60炭化水素基を有する多塩基酸化合物または/およびC20〜60炭化水素基を有するポリアミン化合物、イオン交換水を所定量仕込み、20〜100℃で加熱・撹拌することで均一溶解ないし分散する。その後、前記イオン交換水および反応により生ずる水を除去しながら230℃まで徐々に昇温し、230℃に達したら15mmHg程度まで減圧し、1時間程度保持することでフェノール性水酸基含有のポリアミド(A−1)を得ることができる。なお、多塩基酸化合物とポリアミン化合物とを混合すると、塩を形成し固まり易くなる。イオン交換水の存在下に両者を混合すると形成された塩が、イオン交換水に溶解ないし分散するので、安全性等の点からイオン交換水を利用することが好ましい。
フェノール性水酸基含有のポリアミド(A−1)を得るにあたり、使用されうる触媒の具体例としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物や、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルなどの亜リン酸エステル、テトラブチルオルソチタネート、テトライソプロピルオルソチタネートなどのチタン系触媒、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、モノブチルヒドロキシスズオキシドなどのスズ系触媒、テトラブトキシジルコニウム、酢酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウムなどのジルコニウム系触媒などが挙げられる。
これらは2種類以上を混合して用いることもできる。また、これらの触媒がフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)中に含有されていても本発明を実施する上で差し支えない。
また、副生物は使用した触媒の分解物、分解物の酸化物又はそれらの変性物や、オリゴマー等のアミド化合物等の副生物等の無機塩類の触媒であるが、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)に含有されていても差し支えない。
<フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)と、フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)とを含むものである。フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)について説明する。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上述したフェノール性水酸基含有ポリアミド(A)の硬化剤として、化合物(B)を使用する。なお、3官能以上の化合物(B)に加えて、フェノール性水酸基と反応し得る2官能の化合物(D)[以下、「化合物(D)」とも称する]も本発明の趣旨を逸脱しない範囲で加えることができる。化合物(D)を加える場合には、化合物(B)100質量部に対して、架橋密度を効果的に高める観点から100質量部以下とすることが好ましく、60質量部以下とすることがより好ましい。
[エポキシ基含有化合物]
本発明において化合物(B)として用い得る3官能以上のエポキシ基含有化合物としては、エポキシ基を分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、グリジシルエーテル型エポキシ樹脂、グリジシルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、又は環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を用いることができる。特に、25℃で粘度が10〜1000000mPa・Sであるエポキシ基含有化合物が、ポリアミド(A)との相溶性が良好であるため、優れた熱伝導性と耐久性を有する熱伝導シートを得られる点で非常に好ましい。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又はテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。エポキシ基含有化合物としては、高接着性および耐熱性の点から、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、又はテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンを用いることが好ましい。
化合物(D)として用い得るエポキシ基含有化合物としては、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、又はジグリシジルテトラヒドロフタレート等が挙げられる。環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂としては、例えば、3’,4’―エポキシシクロへキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどが挙げられる。エポキシ基含有化合物としては、化合物(B)を単独もしくは二種以上を併用して、或いは化合物(B)に化合物(D)を組み合わせて用いることができる。
[イソシアネート化合物]
化合物(B)として用い得るイソシアネート基含有化合物としては、イソシアネート基を分子内に3個以上有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。イソシアネート基はブロック化剤でブロックされているもの、されていないもの、いずれも用いることができるが、ブロック化剤でブロックされているものが好ましい。
フェノール性水酸基と反応し得る2官能の化合物(D)として用い得るイソシアネート基含有化合物としては特に限定されないが、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルレンジイソシアネート、2,6−トルレンジイソシアネートの芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)として用い得る、イソシアネート基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、前記で説明したジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体が挙げられる。
ブロック化イソシアネート化合物しては、前記イソシアネート基含有化合物中のイソシアネート基がε−カプロラクタムやMEKオキシム等で保護されたブロック化イソシアネート基含有化合物であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、前記イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基を、ε−カプロラクタム、MEKオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、フェノール等でブロックしたものなどが挙げられる。特に、イソシアヌレート環を有し、MEKオキシムやピラゾールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート三量体は、本発明に使用した場合、保存安定性は勿論のこと、耐熱性に優れるため、特に好ましい。
[カルボジイミド基含有化合物]
フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)として用い得る、カルボジイミド基含有化合物としては、日清紡績社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。その中でもカルボジライトV−01、03、05、07、09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
[金属キレート化合物]
フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)として用い得る、金属キレート化合物としては、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物が挙げられるが、中心金属が鉄やコバルト、インジウム、など種々の金属でもキレート結合を形成しうるため、特に限定されるものではない。なお、ここでの金属キレート、および後述する金属アルコキシドと金属アシレートの官能基数は中心金属の価数として計算され、3官能以上、即ち、中心金属の価数が3以上のものが化合物(
B)として用い得る。
ここで本発明に用いられるアルミニウムキレート化合物としては、代表的なものとして、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムエチルアセトアセテート等が挙げられる。
また、チタンキレート化合物としては、代表的なものとして、チタンアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ポリチタンアセチルアセチルアセトナート等が挙げられる。
また、ジルコニウムキレート化合物としては、代表的なものとして、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセチルアセトネート、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩、等が挙げられる。
[金属アルコキシド]
金属アルコキシド化合物としては、アルミニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物が挙げられるが、中心金属が鉄やコバルト、インジウム、など種々の金属でもアルコキシド結合を形成しうるため、特に限定されるものではない。
また、アルミニウムアルコキシド化合物としては、代表的なものとして、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート、アルミニウムエチレート等が挙げられる。
また、チタンアルコキシド化合物としては、代表的なものとして、イソプロピルチタネート、ノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、ターシャリーアミルチタネート、ターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート等が挙げられる。
また、ジルコニウムアルコキシド化合物としては、代表的なものとして、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート等が挙げられる。
[金属アシレート]
金属アシレート化合物としては、アルミニウムアシレート化合物、チタンアシレート化合物、ジルコニウムアシレート化合物が挙げられるが、中心金属が鉄やコバルト、インジウム、など種々の金属でもアルコキシド結合を形成しうるため、特に限定されるものではない。
3官能以上の化合物(B)は、一分子中に同種の官能基が3官能以上含まれている他、官能基が合計で3官能以上含まれている官能基も含む。例えば、キレート、アルコキシドおよびアシレートが1つの分子中に混在したものも好適に用いることができる。
本発明において、化合物(B)は一種のみを単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。複数を併用した場合、フェノール基とカルボキシル基および/またはアミノ基が混在したポリアミド(A)を用いた際、それぞれの反応性の違いを利用した、接着性等が向上するといった相乗効果が発揮されるため、望ましい。中でも、「金属キレート、金属アルコキシド、金属アシレートからなる群より選ばれる少なくとも一つ」と「3官能以上のエポキシ基含有化合物」は反応性が大きく違うこと、また、向上できる物性の特徴が違うことから、大きな相乗効果が期待できるため、好ましい。化合物(B)の使用量は、本発明の熱伝導性シートの用途等を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、フェノール性水酸基含有ポリアミド(A)100質量部に対して、0.5〜100質量部の割合で加えることが好ましく、1〜80質量部の割合で加えることがより好ましい。化合物(B)を使用することにより、本発明の熱伝導性シートの架橋密度を適度な値に調節することができるので熱硬化物の各種物性をより一層向上させることができる。
本発明では、フェノール性水酸基と反応するかやや不明確ではあるが、カルボキシル基と反応し得る化合物や、アミノ基と反応し得る化合物を、前記化合物(B)と併用することができる。カルボキシル基と反応し得る化合物としては、アジリジン化合物、β―ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物、ジシアンジアミドが挙げられる。アミノ基と反応し得る化合物としては、マレイミド化合物が挙げられる。
特に、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]は、本発明に使用した場合、熱プレスのはみ出しを抑制でき、且つ硬化物の柔軟性を保持したまま耐熱性を向上できるため、本発明において好ましく用いられる。
本発明では、硬化促進剤として硬化反応に直接寄与する化合物を含有することができる。硬化促進剤としては、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩、イミダゾール化合物、3級アミン化合物等が挙げられる。
<熱伝導性フィラー(C)>
本発明において熱伝導性フィラー(C)は、熱伝導性シートに熱伝導性を付与する化合物である。熱伝導性フィラー(C)は、具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素など金属酸化物、金属窒化物、水和金属化合物や結晶性シリカ、非結晶性シリカ、炭化ケイ素などが好ましい。これらの中でも酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素がより好ましく、窒化ホウ素が耐熱性、熱伝導性の観点から特に好ましい。
熱伝導性フィラー(C)は、レーザー回折散乱法により算出した平均粒子径(D50)が0.1〜250μmであることが好ましく、0.5〜100μmがより好ましい。なお、粒子形状は、球状、針状、フレーク状、樹枝状などのいかなる形状でもよい。
本発明の熱伝導性シートは、ポリアミド(A)と化合物(B)熱伝導性フィラー(C)との合計100質量%中に、熱伝導性フィラー(C)を30〜90質量%以上含むことが好ましく、32〜85質量%含むことがより好ましく、35〜75質量%含むことがさらに好ましい。熱伝導性と、接着特性や柔軟性とのバランスの点から、熱伝導性フィラー(C)は前記範囲内で使用することが好ましい。
本発明の熱伝導性シートは、樹脂の酸化を防止する観点でヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、銅系酸化防止剤などの酸化防止剤を含有してもよい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、公知の化合物が使用可能である。これらの化合物は単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。このようなヒンダードフェノール系酸化防止剤の中でも、2官能以上のフェノールが好ましく、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(IRGANOX245)などのセミヒンダードタイプが変色しにくさの点で好ましい。
リン系酸化防止剤としては、無機系及び有機系のリン系酸化防止剤から選ばれる少なくとも一種である。無機リン系酸化防止剤としては、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸塩、亜リン酸塩などが挙げられる。
有機リン系酸化防止剤としては、ホスファイト系の市販されている有機リン系酸化防止剤を用いることができるが、熱分解でリン酸を生成しない有機系リン含有化合物が好ましい。かかる有機系リン含有化合物としては、公知の化合物が使用可能である。
本発明で用いることができるアミン系酸化防止剤としては、公知の化合物が使用可能である。また、第2級アリールアミンもアミン系酸化防止剤として挙げることができる。第2級アリールアミンとは、窒素原子に化学結合した炭素ラジカル2個を含有するアミン化合物であって、少なくとも1つ、好ましくは両方の炭素ラジカルが芳香族である、アミン化合物を意味する。
本発明において用いることができる硫黄系酸化防止剤としては、公知の化合物が使用可能である。
本発明において用いることができる銅系酸化防止剤としては、銅塩とアルカリ金属のハロゲン化物及び/又はアルカリ土類金属のハロゲン化物との混合物を含む安定剤のことであり。例えば、ヨウ化銅(I)と、ヨウ化カリウムの混合物を含む安定剤が挙げられるが、これに限定されない。
本発明の熱伝導性シートは、発熱体と放熱材との間に挟まれ、効率よく熱を逃がすために性能劣化を防ぐ役割を果たす。放熱対象の物品としては、集積回路、ICチップ、ハイブリットパケージ、マルチモジュール、パワートランジスター、およびLED(発光ダイオード)用基板等の電子部品に用いられる。
本発明の熱伝導性シートは、基材上に溶剤を含有する熱伝導性樹脂組成物を塗工・乾燥し、加熱または加圧しながら加熱することで形成できる。加熱前を前駆部材ないし前駆シートという。なお、熱伝導性シートは熱伝導性フィルムと称されることもある。
溶剤を含有する熱伝導性樹脂組成物は、ポリアミド(A)と、化合物(B)と、熱伝導性フィラー(C)と、溶剤とを撹拌混合することで製造することが好ましい。
撹拌混合には一般的な撹拌方法を用いることができ、例えば、スキャンデックス、ペイントコンディショナー、サンドミル、らいかい機、メディアレス分散機、三本ロール、ビーズミル等が挙げられ、これらを組み合わせて行うことができる。
なお、ここでいう溶剤とは分散媒の意である。
撹拌混合後は、熱伝導性樹脂組成物から気泡を除去するために、脱泡工程を経ることが好ましい。脱泡の方法については特に限定されず、一般的な手法を用いて行うことができるが、例えば、真空脱泡、超音波脱泡等が挙げられる。
熱伝導性樹脂組成物には、必要に応じて慣用の各種添加剤を加えることができる。各種添加剤としては、例えば、基材密着性を高めるためのカップリング剤、熱伝導性フィラーとバインダー樹脂の分散性を高める分散剤、吸湿時の絶縁信頼性を高めるためのイオン捕捉剤、レベリング剤等が挙げられる。これらは1種を用いてもよいし、複数種を併用することもできる。
塗工方法としては、特に限定されず、公知の手法を用いることができ、例えば、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ロールコート、カーテンコート、バーコート、グラビアコート、フレキソコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート等が挙げられる。また、金型に流し込みキャストしてもシートは作成できる。
基材は、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムや、前記プラスチックフィルムに離型処理したフィルム(以下、剥離フィルムという)等を使用することができる。さらに、アルミニウム、銅、ステンレス、ベリリウム銅などの金属や、これらの合金の箔状物を基材として使用することができる。
次いで、前駆シートの熱伝導層の表面に他の基材を重ね、加熱下で加圧プレスすることによって、前駆シートの熱伝導性を高め、熱伝導性シートとすることができる。
剥離フィルムに熱伝導性樹脂組成物を塗工・乾燥した場合には、熱伝導層の表面に他の剥離フィルムを重ね、加熱下で加圧プレスし、2枚の剥離フィルムに挟まれた熱伝導性シートを得て、剥離フィルムを剥がし、熱伝導性シートを単離できる。あるいは熱伝導層の表面に、同一の熱伝導層を重ね、加熱下で加圧プレスし、熱伝導性シートの積層物を得ることもできる。
加圧プレス処理は、特に限定されず、公知のプレス処理機を使用することができる。また、プレス時の温度は適宜選択することが出来るが、熱硬化性接着シートとして使用するのであれば、バインダー樹脂と硬化剤の熱硬化反応が起こる温度以上で加熱することが望ましい。
プレス時の圧力は、熱伝導性無機粒子同士が接触する程度の圧力を適宜選択することができる。
また、熱源体を金型で覆い、その隙間に溶剤を含有しない熱伝導性樹脂組成物を流し込み、加圧下で成型することによって、高熱伝導の成型物を得ることもできる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。部は質量部の意である。
<質量平均分子量(MW)の測定方法>
Mwの測定は昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「GPC-101」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「KF−805L」(昭和電工社製:GPCカラム:8mmID×300mmサイズ)を直列に2本接続して用い、試料濃度1wt%、流量1.0ml/min、圧力3.8MPa、カラム温度40℃の条件で行い、重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。データ解析はメーカー内蔵ソフト内蔵を使用して検量線および分子量、ピーク面積を算出し、保持時間17.9〜30.0分の範囲を分析対象として質量平均分子量を求めた。
<酸価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、シクロヘキサノン溶媒100mLを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。酸価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(mL)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<フェノール性水酸基価の測定方法>
フェノール性水酸基価は、フェノール性水酸基含有ポリアミド1g中に含まれるフェノール性水酸基の量を、フェノール性水酸基をアセチル化させたときにフェノール性水酸基と結合した酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)で表したものである。フェノール性水酸基価は、JIS K0070に準じて測定した。本発明において、末端カルボン酸のフェノール性水酸基含有ポリアミドのフェノール性水酸基価を算出する場合には、下記式に示す通り、酸価を考慮して計算する。
<フェノール性水酸基価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、シクロヘキサノン溶媒100mLを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mLとした溶液)を正確に5mL加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.05}/S]+D
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(mL)
b:空実験の0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(mL)
F:0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
<アミン価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、シクロヘキサノン溶媒100mLを加えて溶解する。これに、別途0.20gのMethyl Orangeを蒸溜水50mLに溶解した液と、0.28gのXylene Cyanol FFをメタノール50mLに溶解した液とを混合して調製した指示薬を2、3滴加え、30秒間保持する。その後、溶液が青灰色を呈するまで0.1Nアルコール性塩酸溶液で滴定する。アミン価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
但し、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性塩酸溶液の消費量(mL)
F:0.1Nアルコール性塩酸溶液の力価
<ガラス転移温度の測定>
溶剤を乾燥除去したポリアミド(A)について、メトラー・トレド社製「DSC−1」を使用し、サンプル量約5mgをアルミニウム製標準容器に秤量し、温度変調振幅±1℃、温度変調周期60秒、昇温速度2℃/分の条件にて、−80〜200℃まで測定し、可逆成分の示差熱曲線からガラス転移温度を求めた。
合成例1
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、炭素数36の多塩基酸化合物としてプリポール1009を198.4部(二塩基酸換算で0.34mol)、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物として5−ヒドロキシイソフタル酸(以下、5−HIPAともいう)を119.7部(0.66mol)、炭素数36のポリアミン化合物としてプリアミン1074を504.1部(ジアミン換算で0.94mol)、イオン交換水を100部仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、質量平均分子量27800、酸価8.1mgKOH/g、アミン価0.3mgKOH/g、フェノール性水酸基価45mgKOH/g、ガラス転移温度20℃のフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂1を得た。なお、反応に供した全単量体100mol%中、C20〜60炭化水素基を有する単量体は、66.2mol%である。
合成例2
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、炭素数36の多塩基酸化合物としてプリポール1009を300.8部(二塩基酸換算で0.52mol)、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物として5−ヒドロキシイソフタル酸を87.4部(0.48mol)、炭素数36のポリアミン化合物としてプリアミン1074を504.1部(ジアミン換算で0.94mol)、イオン交換水を100部仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、質量平均分子量30300、酸価7.3mgKOH/g、アミン価0.3mgKOH/g、フェノール性水酸基価30.3mgKOH/g、ガラス転移温度5℃のフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂2を得た。なお、反応に供した全単量体100mol%中、C20〜60炭化水素基を有する単量体は、75.3mol%である。
合成例3
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、炭素数36の多塩基酸化合物としてプリポール1009を425.2部(二塩基酸換算で0.74mol)、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物として5−ヒドロキシイソフタル酸を48.3部(0.27mol)、炭素数36のポリアミン化合物としてプリアミン1074を523.9部(ジアミン換算で0.98mol)、イオン交換水を100部仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、質量平均分子量98000、酸価2.3mgKOH/g、アミン価0.2mgKOH/g、フェノール性水酸基価15mgKOH/g、ガラス転移温度―15℃のフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂3を得た。なお、反応に供した全単量体100mol%中、C20〜60炭化水素基を有する単量体は、86.6mol%である。
合成例4
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、その他の多塩基酸化合物としてドデカン二酸184.93部(0.80mol)、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物として5−ヒドロキシイソフタル酸を35.88部(0.20mol)、炭素数36のポリアミン化合物としてプリアミン1074を515.66部(ジアミン換算で0.96mol)、イオン交換水を100部仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、質量平均分子量40000、酸価5.3mgKOH/g、アミン価0.3mgKOH/g、フェノール性水酸基価15mgKOH/g、ガラス転移温度25℃のフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂4を得た。なお、反応に供した全単量体100mol%中、C20〜60炭化水素基を有する単量体は、49.1mol%である。
合成例5
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、炭素数36の多塩基酸化合物としてプリポール1009を455.2部(二塩基酸換算で0.79mol)、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物として5−ヒドロキシイソフタル酸を38.8部(0.21mol)、その他のポリアミン化合物としてイソホロンジアミン98.7部(0.58mol)、炭素数36のポリアミン化合物としてプリアミン1074を313.9部(ジアミン換算で0.39mol)、イオン交換水を100部仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、質量平均分子量45000、酸価4.9mgKOH/g、アミン価0.3mgKOH/g、フェノール性水酸基価15mgKOH/g、ガラス転移温度15℃のフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂5を得た。なお、反応に供した全単量体100mol%中、C20〜60炭化水素基を有する単量体は、59.7mol%である。
合成例6
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、フェノール性水酸基を有する多塩基酸化合物として5−ヒドロキシイソフタル酸を72.6部(0.40mol)、その他の多塩基酸化合物としてドデカン二酸138.2部(0.60mol)、その他のポリアミン化合物としてイソホロンジアミン164.5部(0.97mol)、イオン交換水を100部仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、質量平均分子量20000、酸価11.2mgKOH/g、アミン価0.4mgKOH/g、フェノール性水酸基価60.0mgKOH/g、ガラス転移温度100℃のフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂6−a―1を得た。
さらに、撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、炭素数36の多塩基酸化合物としてプリポール1009を578.5部(二塩基酸換算で1.00mol)、炭素数36のポリアミン化合物としてプリアミン1074を516.2部(ジアミン換算で0.97mol)、イオン交換水を100部仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、質量平均分子量20600、酸価10.9mgKOH/g、アミン価0.4mgKOH/g、ガラス転移温度−40℃のC20〜60炭化水素基を有するポリアミド樹脂6−a―2を得た。
最後に、撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、上記で合成したフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂6−a―1を100部、C20〜60炭化水素基を有するポリアミド樹脂6−a―2を400部仕込み、180℃で30分溶融混練を行い、質量平均分子量20500、酸価11mgKOH/g、アミン価0.4mgKOH/g、フェノール性水酸基価12mgKOH/g、ガラス転移温度−3℃のフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂6を得た。なお、反応に供した全単量体100mol%中、C20〜60炭化水素基を有する単量体は、56.2mol%である。
合成例7
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、フェノール性水酸基を有する多塩基酸として5−ヒドロキシイソフタル酸87.4部(0.48mol)、炭素数36の多塩基酸化合物としてプリポール1009を300.8部(二塩基酸換算で0.52mol)、炭素数36のポリアミン化合物としてプリアミン1074(ジアミン換算で0.8mol)を428.5部、炭素数36のポリオールとしてプリポール2033を75.3部(ジオール換算で0.14mol)仕込み、窒素気流下、撹拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いて、これに触媒としてテトラブチルオルソチタネートを0.77部投入し、110℃で3時間反応させた。その後、230℃まで昇温し、約2kPaの真空下で、1時間保持し、さらに約1kPaの真空下で2〜3時間反応させ、最後に、酸化防止剤を添加し、質量平均分子量30300、酸価7.3mgKOH/g、フェノール性水酸基価30.3mgKOH/g、ガラス転移温度−20℃のフェノール性水酸基含有ポリエステルアミド樹脂7を得た。前記ポリエステルアミド樹脂7中のアミド結合とエステル結合の合計100モル%中、エステル結合は7.3モル%である。
比較合成例1
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、エチレングリコール15.8部、1.6−ヘキサンジオール5.3部、トルエンジイソシアネート49.8部、を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いて、これに触媒としてジブチル錫ジラウレート0.006部を投入し、110℃で3時間反応させた。その後、温度を低下し、無水トリメリット酸5.5部を添加し、110℃で3時間反応させ、質量平均分子量14900、酸価42mgKOH/g、ガラス転移温度5℃のポリウレタン樹脂1を得た。
比較合成例2
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、炭素数36の多塩基酸化合物としてプリポール1009を289.2部、その他の多塩基酸化合物としてドデカン二酸を115.2部、炭素数36のポリアミン化合物としてプリアミン1074を523.9部、イオン交換水を100g仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、質量平均分子量91100、酸価2.4mgKOH/g、アミン価0.3mgKOH/g、ガラス転移温度−10℃のポリアミド樹脂2を得た。
比較合成例3
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、フェノール性水酸基を有する多塩基酸として5−ヒドロキシイソフタル酸10.9部、その他の多塩基酸化合物としてドデカン二酸を216.5部、その他のポリアミン化合物としてイソホロンジアミンを166.9部、イオン交換水を100g仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、質量平均分子量36600、酸価6.1mgKOH/g、アミン価0.4mgKOH/g、フェノール性水酸基価8.5mgKOH/g、ガラス転移温度55℃のポリアミド樹脂3を得た。
比較合成例4
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、フェノール性水酸基を有する多塩基酸として5−ヒドロキシイソフタル酸18.2部、その他の多塩基酸化合物としてイソフタル酸を149.5部、その他のポリアミン化合物として4,4−ジアミノジフェニルエーテルを198.9部、イオン交換水を100g仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、質量平均分子量98000、酸価2.3mgKOH/g、アミン価0.3mgKOH/g、フェノール性水酸基価15.4mgKOH/g、ガラス転移温度200℃の全芳香族ポリアミド樹脂4を得た。
比較合成例5
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、炭素数36の多塩基酸化合物としてプリポール1009を295.0g、フェノール性水酸基を有する多塩基酸として5−ヒドロキシイソフタル酸89.2部、炭素数36のポリオールとしてプリポール2033を522.3部、トルエン139.3部を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いて、これに触媒としてテトラブチルオルソチタネートを0.77部投入し、110℃で3時間反応させた。その後、230℃まで昇温し、約2kPaの真空下で、1時間保持し、さらに約1kPaの真空下で2〜3時間反応させ、最後に、酸化防止剤を添加し、質量平均分子量100700、酸価2.2mgKOH/g、フェノール性水酸基価30.3mgKOH/g、ガラス転移温度−15℃のフェノール性水酸基含有ポリエステル樹脂5を得た。
(化合物B)
化合物B1:TETRAD−X(4官能)三菱ガス化学社製、2000mPa・s(25℃)
化合物B2:jER604(4官能)三菱化学社製、7500mPa・s(25℃)
化合物B3:エポトートYD−171(4官能)新日鐵化学社製、650mPa・s(25℃)
(熱伝導性フィラーC)
窒化ホウ素1:Agglomerates100(3M社製)
窒化ホウ素2:PTX60(モメンティブ製)
球状アルミナ1:アドマファインAO−509(アドマテックス製)
(溶剤)
溶剤1:トルエン/イソプロパノール=50/50(質量比)
溶剤2:N−メチルピロリドン
実施例1(前駆シートの調製)
合成例1で得られた樹脂1を50.0部、化合物B1を5.0部、トルエン/イソプロパノール=50/50(質量比)の混合溶剤55.0部を混ぜ合わせた中に、窒化ホウ素1を45.0部加え、ディスパー撹拌したのち、超音波攪拌機に2分かけて脱泡して得られた塗液を、6MILのブレードコーターを用いて、剥離シート(厚さ75μmの離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム)に塗布し、100℃で2分間、乾燥して、膜厚が120μmの前駆シートの一方の面が剥離シートで覆われた、剥離シート付き前駆シートを得た。
実施例2〜15、比較例1〜7
表2〜4に示す組成に従って、実施例1と同様に前駆シートを調製した。
実施例および比較例で得られた前駆シートについて、熱伝導率、初期接着力、耐湿熱性、耐熱性、耐ヒートサイクル性を以下の方法で評価した。
<評価>
<熱伝導率>
前記剥離シート付き前駆シートの剥離性シートで覆われてはいない方の面を前記と同様の剥離性シートで覆い、1MPaの圧力で180℃1時間熱プレスを行った後、剥離性シートを剥がすことで、熱伝導性シートを単離した。得られた熱伝導性シートを15mm角に切り出し、サンプル表面を金蒸着しカーボンスプレーでカーボン被覆した後、キセノンフラッシュアナライザーLFA447 NanoFlash(NETZSCH社製)にて、試料環境25℃での熱拡散率を測定した。
また、比熱容量はエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の高感度型示差走査熱量計DSC220Cを用いて測定した。さらに、密度は水中置換法を用いて算出した。熱伝導率は、下記式に基づいて熱伝導率を求め、結果を次の基準で判断した。
伝導率(W/m・K)=密度(g/cm)×比熱(J/kg・K)×熱拡散率(mm/s)。
◎:「10(W/m・K) < 熱伝導率」
〇:「5(W/m・K) < 熱伝導率 ≦ 10(W/m・K)」
△:「3(W/m・K) < 熱伝導率 ≦ 5(W/m・K)」
×:「熱伝導率 ≦ 3(W/m・K)」
[接着力]
<初期>
剥離シート付き前駆シートから剥離性シートを剥離し、単離した前駆シートを、アルミウム板と銅箔との間に挟み、1MPaの圧力で180℃1時間熱プレスを行った後、23℃相対湿度50%の雰囲気下で、引っ張り速度300mm/minで180°剥離試験を行い、初期接着力(N/cm)を測定した。この試験は、常温使用時における接着層の初期の接着強度を評価するものであり、結果を次の基準で判断した。
◎:「15(N/cm) < 初期接着力」
○:「10(N/cm) < 初期接着力 ≦ 15(N/cm)」
△:「5(N/cm) < 初期接着力 ≦ 10(N/cm)」
×:「初期接着力 ≦ 5(N/cm)」
<耐熱性試験>
初期接着力測定と同様に、1MPaの圧力で180℃1時間熱プレスを行った後、175℃大気雰囲気下で1000h保管した後、接着力(N/cm)を測定した。そこから下記式に基づいて接着力保持率を求め、結果を次の基準で判断した。
接着力保持率(%)=[100−(初期接着力−試験後接着力)/初期接着力]×100。
〇:「90(%) < 接着力保持率」
△:「70(%) < 接着力保持率 ≦ 90(%)」
×:「接着力保持率 ≦ 70(%)」
<耐湿熱試験後>
初期接着力測定と同様に、1MPaの圧力で180℃1時間熱プレスを行った後、85℃相対湿度85%の雰囲気下で1000h保管した後、接着力(N/cm)を測定した。そこから上記と同様にして試験後の接着力保持率を求め、同様の基準で判断した。
〇:「90(%) < 接着力保持率」
△:「70(%) < 接着力保持率 ≦ 90(%)」
×:「接着力保持率 ≦ 70(%)」
<ヒートサイクル試験>
初期接着力測定と同様に、1MPaの圧力で180℃1時間熱プレスを行った後、高温側150℃〜低温側−40℃、各30分保持、1000周期分のヒートサイクルを作用させ、アルミニウム板や銅箔からの熱伝導性シートのはがれやクラックの有無を観察した。熱伝導性シートの剥がれ、クラックの有無は超音波深傷装置( S A T ) を用いて観察を行った。結果を次の基準で判断した。
〇:クラック、剥がれ無し。
×:クラック、あるいは剥がれ有り。
表2〜4をみてわかるとおり、比較例に示した熱伝導性シートでは高い熱伝導率、接着力、耐湿熱性、耐熱性、耐ヒートサイクル性のすべてを満足するものはなかった。
一方、実施例に示した熱伝導性シートでは、すべての物性においてバランスよく良好な結果が得られ、特に比較例で二律背反の関係にあった耐湿熱性、耐熱性と耐ヒートサイクル性の両立、高い熱伝導率と耐ヒートサイクル性の両立を実現することが出来た。これは、本発明の特徴である、側鎖にフェノール性水酸基を有するポリアミド(A)と化合物(B)を用いることで耐湿熱性、耐熱性を向上させ、また、ポリアミド(A)が炭素数20〜60の炭化水素基を有することで高い柔軟性を示し、耐ヒートサイクル性が向上したためであると思われる。

Claims (12)

  1. 多塩基酸単量体とポリアミン単量体との重合体であり、側鎖にフェノール性水酸基を有するポリアミド(A)と、前記フェノール性水酸基と反応し得る3官能以上の化合物(B)と、熱伝導性フィラー(C)とを含有する熱伝導性シートであって、
    前記ポリアミド(A)は、以下の(i)および/または(ii)であり
    、更に、(iii)〜(vi)を満足し、
    前記化合物(B)は以下の(vii)を満足する熱伝導性シート。
    (i)ポリアミド(A)は、前記フェノール性水酸基および炭素数20〜60の炭化水素基(但し、前記フェノール性水酸基が結合する芳香環は含まない)が同一ポリマー内に含まれるポリアミド(A−1)である。
    (ii)ポリアミド(A)は、側鎖にフェノール性水酸基を含むポリアミド(a−1)と、炭素数20〜60の炭化水素基を含むポリアミド(a−2)とを混合したポリアミド(A−3)である。
    (iii)ポリアミド(A−1)を構成する単量体として、フェノール性水酸基を具備する単量体および炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体を含む。
    (iv)ポリアミド(a−1)を構成する前記多塩基酸単量体または/および前記ポリアミン単量体に、フェノール性水酸基を具備する単量体を含み、且つ前記多塩基酸単量体および前記ポリアミン単量体に、炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体を含まない。
    (v)ポリアミド(a−2)を構成する前記多塩基酸単量体または/および前記ポリアミン単量体に、炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体を含み、且つ前記多塩基酸単量体および前記ポリアミン単量体に、フェノール性水酸基を具備する単量体を含まない。
    (vi)炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体の少なくとも一部が、炭素数5〜10の環状構造を具備する化合物を含む。
    (vii)化合物(B)が、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、金属キレート、金属アルコキシドおよび金属アシレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
  2. ポリアミド(A)と化合物(B)と熱伝導性フィラー(C)との合計100質量%中に熱伝導性フィラー(C)を30〜90質量%以上含む、請求項1記載の熱伝導性シート。
  3. 熱伝導性フィラー(C)が窒化ホウ素である、請求項1または2に記載の熱伝導性シート。
  4. 化合物(B)が25℃で粘度が10〜1000000mPa・Sのエポキシ化合物である、請求項1〜3いずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  5. ポリアミド(A)のフェノール性水酸基価が、1〜60mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  6. ポリアミド(A)を構成する全単量体100mol%中に、炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体を40〜95mol%含む請求項1〜5いずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  7. 炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体が、炭素数10〜24の一塩基性不飽和脂肪酸から誘導されるダイマーを残基として含む単量体である、請求項1〜6いずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  8. ポリアミド(A)のガラス転移温度が−40〜60℃ である、請求項1〜7いずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  9. ポリアミド(A−1)の質量平均分子量が10,000〜500,000である請求項1〜7いずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  10. ポリアミド(a−2)の質量平均分子量が10,000〜500,000である請求項1〜9いずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  11. ポリアミド(a−1)の質量平均分子量が500〜30,000である請求項1〜10いずれか1項に記載の熱伝導性シート。
  12. ポリアミド(A)が、さらに(viii)〜(ix)を満足する請求項1〜11いずれか1項に記載の熱伝導性シート。
    (viii)ポリアミド(A−1)を構成する単量体として含まれる炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体の一部が、3官能以上の多塩基酸化合物および3官能以上のポリアミン化合物の少なくともいずれかである。
    (ix)ポリアミド(a−2)を構成する単量体として含まれる炭素数20〜60の炭化水素基を具備する単量体の一部が、3官能以上の多塩基酸化合物および3官能以上のポリアミン化合物の少なくともいずれかである。
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