JP2017178275A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用空調装置の吸込口が車両の窓側とセンター側に配設され、それぞれの吸込口における吸込量を異ならせ、窓際に多く空調風を流すことで、車両の窓側とセンター側の寒暖差を緩和する車両用空調装置。
【解決手段】本発明の車両用空調装置は、例えば、助手席シート5に対して配設され、シートクッション5Aに配置された吹出口6R、6Lから吹き出される空調風の大部分が、シートバック5Bの上端部に配置された吸込口25R、25Lから吸い込まれる。そして、吹出口6R、6Lから吹き出される空調風の風量を異ならせることができ、同様に、吸込口25R、25Lから吸い込まれる空調風の風量も異ならせることができる。この空調風の風量を制御することで、空調風の流れを調整し、車室内の寒暖差対策を行うことができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両用空調装置に関し、熱の放出や熱の流入が多くなる窓際等に対して、空調風の流れを調整し車両の窓側とセンター側の寒暖差を緩和する車両用空調装置に関する。
従来の車両用空気調和システムとして、以下のシステムが知られている。図8(A)では、冷房時のベント吹き出しモードにおける空調風の流れを示している。車両100の運転席シート101のヘッドレスト103を挟むように上方吸込口104が設けられ、上方吸込口104は車両前方の上方吹出口105から吹き出された空調風を吸い込んでいる。このシステムにより、運転席シート101に着座する運転手106の上半身の周囲を通るような空調風が形成されている。
一方、図8(B)では、暖房時のフット吹き出しモードにおける空調風の流れを示している。車両100の運転席シート101の下方には下方吸込口107が設けられ、下方吸込口107は車両前方のフット吹出口108から吹き出された空調風を吸い込んでいる。このシステムにより、運転席シート101に着座する運転手の足元等の下半身の周囲を通るような空調風が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
従来の自動車用の熱機能構造体として、以下の構造が知られている。図9では、自動車用の熱機能構造体を適用した断熱車両の概略図を示している。車両121のサイドガラス122の外側には断熱部材123が設置され、車室内への熱の侵入を防ぎ、車室内の温度上昇を低減している。断熱部材123の材料としては、例えば、織布、不織布、発泡材、真空断熱材から選ばれる少なくとも1つが用いられている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2013−86705号公報 特開2005−112108号公報
図8(A)及び(B)に示す如く、従来の車両用空気調和システムでは、冷房時には運転手106の上半身の周囲を通る空調風が形成され、暖房時には運転手の下半身の周囲を通る空調風が形成されている。そして、どちらのモードの場合でも、運転席シート101の前方から吹き出された空調風を上方吸込口104または下方吸込口107から吸い込むシステムである。そのため、夏場の冷房時や冬場の暖房時等、運転手106の体全体を冷やし、あるいは、暖めたい場合に、例えば、運転手106の大腿部から胴部や頸部までを包み込むような空調風を発生させることが難しい。
特に、車両100の窓際に位置する運転手106右側の頸部、肩部や上腕部周辺に空調風を流すことが難しく、車室内の寒暖差の厳しい領域に対して、空調風により運転手106を冷やし、あるいは、暖めることが難しいという課題がある。
具体的には、冬場には、通常、車室内を暖房して走行するが、車室内の熱は窓を介して車室外に放出され易く、車両100のセンター側は暖かいが、車両100の窓際は寒くなり、車室内に寒暖差が発生する。特に、車両100の走行時には、車両100の周囲に発生する空気の流れにより、窓を介して車室内の熱が車外に放出され易い。その結果、窓際に位置する運転手106の頸部、肩部や上腕部周辺が寒くなり易い状態である。
一方、夏場には、通常、車室内を冷房して走行するが、車室外の熱が窓を介して車室内に流入し易く、車室内のセンター側は冷やされるが、車両100の窓際は暑くなり、車室内に寒暖差が発生する。特に、車両100の窓際では、直射日光が差し込むこともあり、窓際に位置する運転手106の頸部、肩部や上腕部周辺が暑くなり易い状態である。
つまり、車両100の窓際では、車室内の熱の放出や車室外からの熱の流入が発生し易く、窓際に位置する運転手106の頸部、肩部や上腕部周辺に対する寒暖対策が求められている。尚、助手席シート(図示せず)や後部座席シート等、窓際に近い位置に着座する乗員に対しても上記同様な課題があり、その解決が求められている。
また、図9に示す如く、車両121の窓際対策として、車両121のサイドガラス122の外側に断熱部材123を設置することも可能である。しかしながら、運転席や助手席のサイドガラス122に断熱部材123としてフィルム等を貼り合せる際には、自動車窓ガラスに関する保安基準の可視光線の透過率の問題からも、使用材料が限定される。また、上記フィルム等を準備するため、材料コストや作業コスト等の余計なコストも発生する等、上記寒暖対策に対してあまり有効な対策ではないという課題がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、車両用空調装置の吸込口が車両の窓側とセンター側に配設され、それぞれの吸込口における吸込量を異ならせ、窓際に多く空調風を流すことで、車両の窓側とセンター側の寒暖差を緩和する車両用空調装置に関する。
本発明の車両用空調装置では、車両に配設されるシートに着座する乗員の肩部または前記肩部よりも上方の前記車両に配設され、前記シートの中心よりも前記車両の車幅方向の外側及び内側に複数配置される吸込口または吹出口のいずれか一方と、前記乗員の肩部よりも下方の前記車両に配設される前記吸込口または前記吹出口のいずれか他方と、前記外側の吸込口からの吸込量と前記内側の吸込口からの吸込量とを、または前記外側の吹出口からの吹出量と前記内側の吹出口からの吹出量とを、調整可能な流量調整手段と、を有し、前記流量調整手段により前記吸込量または前記吹出量を前記車両の車幅方向の外側と内側とで異ならせることを特徴とする。
また、本発明の車両用空調装置では、前記吸込口は前記肩部よりも上方の前記車両に配設され、前記流量調整手段は前記吸込量を調整可能であり、前記流量調整手段により前記吸込量を前記車両の車幅方向の外側と内側とで異ならせることを特徴とする。
また、本発明の車両用空調装置では、前記流量調整手段による前記吸込量を制御する吸込制御部と、を有することを特徴とする。
また、本発明の車両用空調装置では、前記流量調整手段により前記外側の吸込口からの前記吸込量が前記内側の吸込口からの前記吸込量よりも多くなることを特徴とする。
また、本発明の車両用空調装置では、前記吸込口と前記吹出口とを繋ぐ循環風路と、を有し、前記吸込口から吸い込まれた空気は、前記循環風路を経由して前記吹出口から吹き出されることを特徴とする。
また、本発明の車両用空調装置では、前記吸込口が前記肩部または前記肩部よりも上方の前記車両に配設され、前記吹出口が前記肩部よりも下方の前記車両に配設されることを特徴とする。
また、本発明の車両用空調装置では、前記吸込口が前記シートのシートバックの上端部またはヘッドレストに配設され、前記吹出口が前記シートのシートクッションに配設されることを特徴とする。
また、本発明の車両用空調装置では、前記流量調整手段は、前記吸込口の開口面積を可変させるシャッタを有することを特徴とする。
また、本発明の車両用空調装置では、前記流量調整手段は、前記外側の吸込口及び前記内側の吸込口の夫々に繋がる前記循環風路の分岐箇所に前記循環風路の流路面積を調整する開閉部材を有することを特徴とする。
また、本発明の車両用空調装置では、前記吹出口は、前記肩部よりも下方の前記車両において前記車両の車幅方向の外側及び内側に複数配置され、前記流量調整手段は前記吹出量を調整可能であり、前記流量調整手段により前記吹出量を前記車両の車幅方向の外側と内側とで異ならせることを特徴とする。
また、本発明の車両用空調装置では、前記吹出口から吹き出される空気の風向を調整する吹出風向調整手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明の車両用空調装置では、少なくとも前記流量調整手段による前記吹出量または前記吹出風向調整手段を制御する吹出制御部と、を有することを特徴とする。
また、本発明の車両用空調装置では、前記流量調整手段は、前記吹出口の開口面積を可変させるシャッタを有することを特徴とする。
本発明の車両用空調装置では、空調装置の吹出口及び吸込口が、乗員が着座するシートの中心に対して車幅方向の外側及び内側にそれぞれ配設され、吹出口から吹き出された空調風の大部分は吸込口から吸い込まれる。そして、吸込口には流量調整手段が設けられ、外側の吸込口からの空調風の吸込量と内側の吸込口からの吸込量を異ならせることができる。同様に、吹出口には流量調整手段が設けられ、外側の吹出口からの空調風の吹出量と内側の吹出口からの吹出量を異ならせることができる。この車両用空調装置により、空調風の流れを調整することができ、窓際等の熱の放出や流入の多い領域に対して空調風を多く流し、空調風による車室内の寒暖差対策を行うことができる。
また、本発明の車両用空調装置では、吸込口がシートに着座した乗員の肩部または肩部よりも上方の車両に配設され、外側の吸込口からの空調風の吸込量と内側の吸込口からの吸込量を異ならせることができる。そして、乗員の肩部及びその周辺部に空調風が確実に供給され、状況に応じて空調風の流れが調整され、乗員の快適性が向上される。
また、本発明の車両用空調装置では、車両に取り付けられた各種センサからの検出情報や乗員による操作情報等に応じて、空調風の流れが、適宜、自動制御され、乗員の快適性が向上される。
また、本発明の車両用空調装置では、窓側に位置する外側の吸込口からの空調風の吸込量が多くなることで、窓際の乗員の肩部及びその周辺部に空調風が多く供給される。そして、窓際の乗員の体の一部が積極的に暖められ、または、冷やされることで、乗員の快適性が向上される。
また、本発明の車両用空調装置では、吹出口から吹き出された空調風の大部分は吸込口から吸い込まれ、吸い込まれた空調風は空調装置内にて温度調整された後、再び、吹出口から吹き出される。そして、空調風がシート周囲にて空調装置を介して循環することで、空調装置の負荷が低減され、車両の省エネ運転が実現される。
また、本発明の車両用空調装置では、吸込口がシートに着座した乗員の肩部または肩部よりも上方に配設されることで、窓際の乗員の肩部及びその周辺部に空調風が確実に供給される。そして、窓際の乗員の体の一部が積極的に暖められ、または、冷やされることで、乗員の快適性が向上される。
また、本発明の車両用空調装置では、吸込口がシートバックの上端部またはヘッドレストに配設されることで、窓際の乗員の肩部及びその周辺部に空調風が確実に供給される。そして、窓際の乗員の体の一部が積極的に暖められ、または、冷やされることで、乗員の快適性が向上される。
また、本発明の車両用空調装置では、吸込口にシャッタが配設され、シャッタをスライド移動させることで吸込口の開口面積が調整される。そして、シャッタによる簡易な構造により、吸込口からの吸込量が調整され、空調風の流れが調整される。
また、本発明の車両用空調装置では、吸込口が設けられる循環風路内にその流路面積を調整する開閉部材が配設されている。そして、開閉部材の位置に応じて吸込口からの吸込量が調整され、空調風の流れが調整される。
また、本発明の車両用空調装置では、吹出口は乗員の肩部よりも下方の車両の車幅方向の外側及び内側に複数配置されている。吹出口には流量調整手段が設けられ、外側の吹出口からの空調風の吹出量と内側の吹出口からの吹出量を異ならせることができる。この車両用空調装置により、空調風の流れを調整することができ、窓際等の熱の放出や流入の多い領域に対して空調風を多く流し、空調風による車室内の寒暖差対策を行うことができる。
また、本発明の車両用空調装置では、吹出口には吹出風向調整手段が設けられ、吹出口から吹き出される空気の風向が調整され、乗員の体を包み込み易い空調風を発生させる等、空調風の流れが調整される。
また、本発明の車両用空調装置では、車両に取り付けられた各種センサからの検出情報や乗員による操作情報等に応じて、空調風の流れが、適宜、自動制御され、乗員の快適性が向上される。
また、本発明の車両用空調装置では、吹出口にシャッタが配設され、シャッタをスライド移動させることで吹出口の開口面積が調整される。そして、シャッタによる簡易な構造により、吹出口からの吹出量が調整され、空調風の流れが調整される。
本発明の一実施形態の車両用空調装置が配設された車両を説明するための概略図である。 本発明の一実施形態の車両用空調装置の構成を説明する概略図である。 本発明の一実施形態の車両用空調装置が配設された助手席シートを説明するための(A)斜視図、(B)上面図である。 本発明の一実施形態の車両用空調装置における空調風の流れの第1実施例を説明する(A)正面図、(B)上面図、(C)断面図である。 本発明の一実施形態の車両用空調装置における空調風の流れの第2実施例を説明する(A)正面図、(B)上面図、(C)断面図である。 本発明の一実施形態の車両用空調装置における空調風の流れの第3実施例を説明する正面図である。 本発明の一実施形態の車両用空調装置における空調風の流れの第4実施例を説明する正面図である。 従来の車両用空気調和システムを説明する(A)概略側面図、(B)概略側面図である。 従来の自動車用の熱機能構造体を適用した断熱車両を示す概略縦断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る車両用空調装置を図面に基づき詳細に説明する。尚、一実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
図1は、本実施形態の車両用空調装置3が配設された車両を説明するための概略側面図である。図2は、本実施形態の車両用空調装置3を説明するための概略構成図である。
図1に示す如く、車両1のダッシュボード2の奥方には車両用空調装置3の空調ユニット7が配設されている。空調ユニット7内にて冷却または加熱された空調風が、助手席シート5に設けられた吹出口6R、6Lを介して車室内へと吹き出される。吹出口6R、6Lは、シートクッション5Aの車幅方向の内側及び外側に一対配置されている。そして、車両用空調装置3は、例えば、助手席シート5等に配設され、シート用空調装置として用いられる。尚、空調ユニット7に代えて現存のHVAC(暖房換気空調装置)を用いると共に、上記HVACに繋がるダクトを助手席シート5まで延在することにより循環風路を形成しても良い。
詳細は後述するが、助手席シート5のシートバック5Bの上端面であり、ヘッドレスト5Cの両側には一対の吸込口25R、25L(図3(B)参照)が配置されている。吹出口6R、6Lから吹き出された空調風は、乗員Pの大腿部に沿って車両1の上方へと向かった後、吸込口25R、25Lから吸い込まれる。そして、吸込口25R、25Lから吸い込まれた空調風は、シートバック5Bに配設された吸込ダクト8を介して空調ユニット7へと帰還する。一方、帰還した空調風は、空調ユニット7内にて温度調整され、あるいは、その温度状態のまま、再び、送風ダクト9を介して吹出口6R、6Lから吹き出される。
つまり、吹出口6R、6Lから吹き出された空調風の大部分は直ぐに吸込口25R、25Lから吸い込まれることで、車室内の空調風が循環し、車両用空調装置3の負荷が低減され、車両1の省エネ運転が実現される。
尚、以下の説明では、車両用空調装置3が、助手席シート5に配設される場合について説明するが、この場合に限定されるものではなく、車両用空調装置3が運転席シートや後列シートに配設される場合でも良い。
図2に示す如く、車両用空調装置3は、主に、吹出口6R、6Lと、吸込ダクト8と、送風ダクト9と、吸込口25R、25Lと、空調ユニット7と、制御部11と、日射センサ16、室温センサ17、外気温センサ18等の各種センサと、操作スイッチ19とを有している。また、空調ユニット7には、チャンバ4と、吸気ダクト12と、ブロア13と、エバポレータ14と、ヒートコア15と、が配設されている。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有して構成され、車両空調制御のための各種の演算等を実行する電子制御ユニット(ECU)である。そして、制御部11は、例えば、日射センサ16、室温センサ17、外気温センサ18等の各種センサから検出された情報に基づき各種の演算等を行うことで、車室内の室温状況等の現状を判別し、吸込口25R、25Lからの空調風の吸込量や各吹出口6R、6Lからの空調風の吹出量や風向等を調整する。
チャンバ4は、例えば、車両1のダッシュボード2(図1参照)の奥方に配設され、チャンバ4の上流側にはブロア13及び吸気ダクト12が配設されている。吸気ダクト12は外気を取り込む外気吸気ダクト12Aと内気を取り込む内気吸気ダクト12Bに分岐している。そして、外気吸気ダクト12Aと内気吸気ダクト12Bとは切替ダンパ20により切替られ、チャンバ4内へと取り込まれる空気が選択される。例えば、ブロア13及び切替ダンパ20は制御部11により制御され、モータ駆動によりブロア13が駆動し、モータ駆動により切替ダンパ20が外気吸気ダクト12Aを閉塞した場合には、内気吸気ダクト12Bから車室内の空調風が取り込まれる。
チャンバ4内には、その上流側からクーラーユニットとしてのエバポレータ14と、ヒータユニットとしてのヒータコア15とが配設されている。エバポレータ14はチャンバ4のほぼ全断面に対して配置され、ヒートコア15はチャンバ4の約上半分の断面に対して配置されている。そして、エバポレータ14とヒートコア15との間には風路調整ダンパ21が配設され、風路調整ダンパ21によりヒートコア15を通過する風量が調整されている。例えば、風路調整ダンパ21は制御部11により制御され、モータ駆動により風路調整ダンパ21がチャンバ4の上方側を多く塞ぎ、ヒートコア15を通過する風量が減少することで、車室内へと吹き出す空調風の温度は低くなる。
チャンバ4の下流側には送風ダクト9が接続され、送風ダクト9はシートクッション5A(図1参照)内にて右側送風ダクト9Rと左側送風ダクト9Lに分岐し、その先端にはそれぞれ吹出口6R、6Lが設けられている。送風ダクト9の分岐箇所には風量調整ダンパ22が配設され、風量調整ダンパ22は送風ダクト9の流路面積を調整し、吹出口6R、6Lから吹き出される空調風の風量が調整されている。例えば、風量調整ダンパ22は制御部11により制御され、モータ駆動により吹出口6R側の右側送風ダクト9R側が多く塞がれた場合には、吹出口6Lから吹き出される空調風の風量が多くなる。
送風ダクト9と同様に、吸込ダクト8もシートバック5B(図1参照)内にて右側吸込ダクト8Rと左側吸込ダクト8Lに分岐し、その先端にはそれぞれ吸込口25R、25Lが設けられている。吸込ダクト8の分岐箇所には風量調整ダンパ23が配設され、風量調整ダンパ23は吸込ダクト8の流路面積を調整し、吸込口25R、25Lから吸い込まれる空調風の風量が調整されている。例えば、風量調整ダンパ23は制御部11により制御され、モータ駆動により吸込口25R側の右側吸込ダクト8R側が多く塞がれた場合には、吸込口25Lから吸い込まれる空調風の風量が多くなる。
尚、詳細は後述するが、風量調整ダンパ22、23は必ずしも両ダクト8、9内に配設されている場合に限定するものではなく、例えば、吹出口6R、6L及び吸込口25R、25Lに風量を調整するシャッタやルーバが配設される場合には、風量調整ダンパ22、23は配設されない場合でも良い。また、風量調整ダンパ22、23及びシャッタやルーバを組み合わせて風量が調整される場合でも良い。
日射センサ16、室温センサ17、外気温センサ18等の各種センサが車両1に配設され、各センサ16、17、18が制御部11に接続している。日射センサ16は太陽からの日射量を検出するセンサであり、室温センサ17は車室内の空気温度を検出するセンサであり、外気温センサ18は車室外の空気温度を検出するセンサである。制御部11は、各センサ16、17、18等から検出された情報に基づき各種の演算等を行い、例えば、切替ダンパ20、風路調整ダンパ21、風量調整ダンパ22、23を駆動するモータを制御し、空調風の温度や風量等を調整する。
操作スイッチ19が、押しボタン、回転ボタンやタッチパネル等から構成され、例えば、インストルメントパネルに配設されている。乗員P(図1参照)は、操作スイッチ19を操作することで、空調モードや空調温度、風向や風量等を調整することができる。そして、操作スイッチ19は制御部11に接続し、乗員Pによる操作スイッチ19の操作に応じて、制御部11が各種制御を行い、吸込口25R、25Lからの吸い込まれる空調風の風量や風向等、吹出口6R、6Lから吹き出される空調風の風量や空調風の温度等が調整される。
図3(A)は本実施形態の車両用空調装置3が配設された助手席シート5を説明するための斜視図であり、図3(B)は本実施形態の車両用空調装置3が配設された助手席シート5を説明するための上面図である。
図3(A)に示す如く、助手席シート5は、乗員P(図1参照)が着座するシートクッション5Aと、シートクッション5Aの後方から上方に延び乗員Pの背面を支持するシートバック5Bと、シートバック5Bの上端部に配設されるヘッドレスト5Cとを有している。
シートクッション5Aの上面側には一対の吹出口6R、6Lが配置されている。一点鎖線は助手席シート5の車幅方向の中心線24を示すが、一対の吹出口6R、6Lは助手席シート5の中心線24に対して車幅方向に左右対称に配置されている。尚、吹出口6R、6Lは車両1の前後方向に延在した開口部として形成されているが、この形状に限定するものではない。例えば、上記開口部よりも小さい円形状の吹出口6R、6Lが車両1の前後方向に一定間隔にて複数並んで配置される場合でも良く、シートクッション5Aの上面全体に上記開口部よりも小さい円形状の吹出口6R、6Lが複数配置される場合でも良い。
送風ダクト9はシートクッション5A内に配設され、空調ユニット7(図2参照)により冷却または加熱された空調風が送風ダクト9を介して吹出口6R、6Lから車室内へと吹き出される。吹出口6R、6Lは、例えば、シートクッション5Aの上面側の端部近傍であり、中心線24側へと傾斜した面に配置されている。そして、空調風は乗員Pの大腿部に沿って乗員Pの下半身を包み込むように、吹出口6R、6Lから車両1の上方へ向けて吹き出される。
図3(B)に示す如く、一対の吸込口25R、25Lが配置される高さは、助手席シート5に着座する乗員Pの体型を基準として決定される。上記高さを決定する際の乗員Pの体型としては、規格化された体型モデルAM50、AM95等を適宜採用して基準とする。
具体的には、一対の吸込口25R、25Lが、シートバック5Bの上端面であり、ヘッドレスト5Cの両側に配置されている。そして、一対の吸込口25R、25Lは助手席シート5の中心線24に対して車幅方向に左右対称に配置されている。吸込口25R、25Lは、それぞれ車両1の車幅方向に延在した開口部として形成され、その開口面積も同じである。
吸込ダクト8はシートバック5B内にて右側吸込ダクト8Rと左側吸込ダクト8Lに分岐し、両吸込ダクト8R、8Lの先端はそれぞれ吸込口25R、25Lが設けられている。詳細は後述するが、吸込口25R、25Lではシャッタによりその開口面積が調整され、それぞれの吸込口25R、25Lから吸い込まれる空調風の風量を異ならせることが可能となる。例えば、車両1の窓際に近い吸込口25Lからの吸込量を多くすることで、乗員Pの上半身左側に流れる空調風の風量を多くし、夏場には乗員Pの窓際の肩部やその近傍をより積極的に冷やし、冬場には乗員Pの窓際の肩部やその近傍をより積極的に暖めることができる。
尚、乗員Pの肩部の高さとは、腕部の付け根、即ち胴部と腕部との接続部の下部である脇の下近傍から、首の付け根近傍までの高さであり、換言すれば、肩甲骨近傍から首の付け根近傍までの高さに相当する。
先ず、図4(A)〜(C)を用いて本実施形態の車両用空調装置3から吹き出される空調風の流れの第1実施例を説明する。図4(A)は、本実施形態の車両用空調装置3から吹き出される空調風の流れを説明する正面図であり、図4(B)は、本実施形態の車両用空調装置3の吸込口25R、25Lを説明する上面図である。図4(C)は、図4(B)に示す吸込口のA−A線方向の断面図を示している。
図4(A)に示す如く、助手席シート5には乗員Pが着座しており、乗員Pの車両1の車幅方向の外側と内側には車両用空調装置3の吹出口6R、6Lが配置されている。詳細は後述するが、吹出口6R、6Lから吹き出された空調風は、吹出口6R、6Lに設けられたルーバ37(図5(C)参照)により乗員Pの中心に向かって斜め上方へと吹き出される。そして、矢印26にて示すように、空調風は乗員Pの下半身を包み込むように大腿部に沿って流れ、乗員Pの中心の大腿部上方にて合流する。その後、矢印27にて示すように、合流した空調風は乗員Pの中心に沿って車両1の上方へと流れる。このとき、乗員Pから発せられる熱により乗員Pの周囲には上昇気流が起り、乗員Pに沿って吹き出された空調風は、車両1の上方へと流れ易くなっている。
図4(B)に示す如く、シートバック5Bの上端面には、ヘッドレスト5Cを挟むように吸込口25R、25Lが、車両1の車幅方向の外側と内側に配置されている。そして、吸込口25R、25Lにはそれぞれ可動式のシャッタ28R、28Lが配設され、シャッタ28R、28Lは車両1の車幅方向にスライドする。シャッタ28R、28Lには、それぞれ、例えば、砂状ハッチングにて示す略矩形形状の開口部29R、29Lが形成されている。尚、シャッタ28R、28Lは手動にてスライドする場合でも、制御部11(図2参照)により制御され、モータによりスライドする場合でも良い。
図示したように、吸込口25Rでは、シャッタ28Rを車両1の車幅方向の左側(車両外側)へスライドさせ、吸込口25Rにはシャッタ28Rの開口部29Rの一部が配置されている。この状態では、吸込口25Rの開口面積は縮小され、吸込口25Rから吸い込まれる空調風の風量は減少する。一方、吸込口25Lでは、シャッタ28Lの開口部29Lが全て吸込口25L内に位置している。この状態では、吸込口25Lの開口面積が最も大きくなり、吸込口25Lから吸い込まれる空調風の風量が最大となる。
ここで、車両1の窓32の近くは、夏場は直射日光や外部熱の流入により暑くなり易く、冬場は車室内の熱が放出されることで寒くなり易い環境下にあり、車両1のセンター側との寒暖差が大きくなり易い領域である。そこで、図4(A)に示すように、乗員Pの中心にて合流し上昇した空調風の大部分が、矢印30にて示すように、吸込口25Lから吸い込まれるように流れる。その結果、車両1の窓32に近い乗員Pの左側の肩部及びその周辺に対して空調風を多く流し、乗員Pの左側の肩部及びその周辺を積極的に暖めたり、または、冷やしたりすることで、乗員Pの快適性が向上される。
その一方、矢印31にて示すように、乗員Pの中心にて合流し上昇した空調風の一部が、吸込口25Rから吸い込まれるようにしても良い。上述したように、空調風を車両1の窓際へ偏らせて吸い込ませながら、空調風の一部は乗員Pの右側にも流れることで、乗員Pの体全体に空調風が行き届き、乗員Pの快適性が高められる。
更には、図4(C)に示す如く、吸込口25R、25Lのシャッタ28R、28L下方の両吸込ダクト8R、8Lには、例えば、車両1の前後方向に回動自在なルーバ34が配設されている。ルーバ34を車両の前方へと傾斜させることで、矢印30にて示すように、乗員Pの前方に沿って上昇する空調風を吸込口25R、25Lから吸込み易くなる。そして、矢印30にて示すように、空調風が乗員Pの頸部、肩部や上腕部周辺を包み込むような流れとなり、乗員Pの快適性が高められる。尚、ルーバ34は手動にて動く場合でも、制御部11(図2参照)により制御され、モータにより駆動する場合でも良い。
上述したように、車両用空調装置3では、吹出口6R、6Lから吹き出された空調風が、乗員Pを包み込むように流れた後、吸込口25R、25Lから吸い込まれる。吸込口25R、25Lから吸い込まれた空調風は、空調ユニット7内にて温度調整等された後、再び、吹出口6R、6Lから吹き出される。そして、車両1の各シート毎に車両用空調装置3が配設された場合には、各シート毎に空調温度を調整して利用することが可能となる。また、空調ユニット7内にて温度調整された空調風の大部分が循環することで、温度調整された空調風の発散量を低減し、繰り返し空調風を循環させ、車両用空調装置3の負荷が低減され、車両1の省エネルギ運転が実現される。
尚、吸込口25R、25Lから吸い込まれる空調風の風量が、シャッタ28R、28Lによる吸込口25R、25Lの開度により調整される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、シャッタ28R、28Lに替えて、図2に示すように、吸込ダクト8の風量調整ダンパ23により吸込口25R、25Lから吸い込まれる空調風の風量が調整される場合でも良い。また、3枚のルーバ34が水平状態となることで両吸込ダクト8R、8Lが塞がれるため、シャッタ28R、28Lに替えて、ルーバ34により吸込口25R、25Lから吸い込まれる空調風の風量が調整される場合でも良い。また、シャッタ28R、28L、風量調整ダンパ23またはルーバ34のいずれかを組み合わせることで、吸込口25R、25Lから吸い込まれる空調風の風量が調整される場合でも良い。
また、後述する第2実施例のように、吹出口6R、6Lから吹き出される空調風の風量を異ならせる場合でも良い。この時、吹出口6Rから吹き出される風量を吹出口6Lよりも多くすることで、空調風が乗員Pの右側から左側へと流れ、乗員Pの体全体を包み込むような流れが実現される。
また、車両1を始動した後、制御部11(図2参照)が車両1の日射センサ16(図2参照)等から検出された情報に基づき冬場であると判断した場合には、先ず、吸込口25Rからの空調風の吸込量を吸込口25Lからの空調風の吸込量よりも多くし、車両1のセンター側に暖められた空調風を多く流す場合でも良い。通常、冬場の車両1の始動時には車室内は全体的に冷えた状態であるが、直射日光が入り込むことで、車両1のセンター側よりも窓際の方が温かい場合がある。このような場合において、車両1の始動直後は、乗員Pの車両1のセンター側を空調風により積極的に暖めることも出来る。そして、空調風により車室内全体が一定温度になる等、始動開始後一定時間経過した後は、上述したように、吸込口25Lからの空調風の吸込量を吸込口25Rからの空調風の吸込量よりも多くすることで、乗員Pの快適性が実現される。
次に、図5(A)〜(C)を用いて本実施形態の車両用空調装置3から吹き出される空調風の流れの第2実施例を説明する。図5(A)は、本実施形態の車両用空調装置3から吹き出される空調風の流れを説明する正面図であり、図5(B)は、本実施形態の車両用空調装置3の吹出口6R、6Lを説明する上面図である。図5(C)は、図5(B)に示す吹出口のB−B線方向の断面図を示している。尚、第2実施例の説明の際に、上述した第1実施例を、適宜、参照する。
図5(A)に示す如く、乗員Pが着座する助手席シート5には、乗員Pの両側に吹出口6R、6L及び吸込口25R、25Lが配置されている。そして、吹出口6R、6Lから吹き出される空調風の風量は調整が可能であり、図示したように、吹出口6Rを塞ぎ、吹出口6Lからのみ空調風を吹き出すことも可能である。
ここで、図5(B)に示す如く、吹出口6R、6Lにはそれぞれ可動式のシャッタ35R、35Lが配設され、シャッタ35R、35Lは車両1の前後方向にスライドする。シャッタ35R、35Lには、それぞれ、例えば、砂状のハッチングにて示す略矩形形状の開口部36Lが形成されている。尚、シャッタ35R、35Lは手動にてスライドする場合でも、制御部11(図2参照)により制御され、モータによりスライドする場合でも良い。
図示したように、吹出口6Rでは、シャッタ35Rによりその開口部が完全に塞がれ、吹出口6Rからは空調風が吹き出されない状態となる。一方、吹出口6Lでは、シャッタ35Lの開口部36Lが全て吹出口6L内に位置している。この状態では、吹出口6Lの開口面積が最も大きくなり、吹出口6Lから吹き出される空調風の風量が最大となる。
また、図5(C)に示す如く、吹出口6R、6Lのシャッタ35R、35L下方の送風ダクト9R、9Lには、例えば、車両1の車幅方向に回動自在なルーバ37が配設されている。ルーバ37を車両の車幅方向へと傾斜させることで、吹出口6R、6Lから吹き出される空調風の風向を調整することができる。
そして、吹出口6Rはシャッタ35Rにより完全に塞がれ、吹出口6Lでは、3枚のルーバ37が車両1の上下方向に向くことで、矢印38にて示すように、空調風は吹出口6Lから車両1の上方へと吹き出される。一方、吸込口25Rはシャッタ28R(図4(B)参照)により完全に塞がれ、吸込口25Lでは、シャッタ28L(図4(B)参照)の開口部29L(図4(B)参照)が全て吸込口25L内に位置し、吸込口25Lから吸い込まれる空調風の風量が最大となる。
その結果、矢印38にて示すように、吹出口6Lから車両1の上方へと吹き出された空調風は、乗員Pの左側を上昇し、矢印39にて示すように、その大部分が吸込口25Lから吸い込まれる。つまり、乗員Pと窓32との間に空調風による空気層が形成された状態となり、夏場には窓32から外部熱が流入しても、外部熱が乗員Pまで届き難くなり、乗員Pの左側の肩部及びその周辺が暑くなり過ぎることが防止される。また、窓32を介して直射日光が当たる乗員Pの左側の肩部及びその周辺には、冷房による空調風が流れることで、乗員Pの体が冷やされ、乗員Pの快適性が向上される。そして、車両内の窓側とセンター側の寒暖差も解消され易くなる。
同様に、冬場には、上記空気層により窓32から車室内の熱が放出され難くなり、乗員Pの左側の肩部及びその周辺が寒くなり過ぎることが防止される。また、乗員Pの左側の肩部及びその周辺には、暖房による空調風が流れることで、乗員Pの体が暖められ、乗員Pの快適性が向上される。特に、車両1の走行時には、車両1の周囲に発生する空気の流れにより、窓32を介して車室内の熱が車外に放出され易いが、上記空気層により車両1内の窓側とセンター側の寒暖差も解消され易くなる。
尚、第2実施例においても、吹出口6Lから吹き出された空調風が吸込口25Lから吸い込まれ、車両用空調装置3内を循環する効果が上述した第1実施例と同様に得られる。また、吹出口6Lからのみ空調風が吹き出され、吸込口25Lからのみ空調風が吸い込まれる場合について説明したがこの場合に限定するものではない。例えば、吹出口6R及び吸込口25Rの開度がシャッタ28R、35Rにより調整され、第1実施例と同様に空調風の一部が乗員Pを包み込むように流れる場合でも良い。また、第1実施例と同様に、吹出口6Rを塞ぐ手段としては、シャッタ35R、ルーバ(図示せず)または風量調整ダンパ22(図2参照)のいずれか1つか、あるいは、その組み合わせにより行われる場合でも良い。
次に、図6を用いて本実施形態の車両用空調装置3から吹き出される空調風の流れの第3実施例を説明する。図6は、本実施形態の車両用空調装置3から吹き出される空調風の流れを説明する正面図である。尚、第3実施例の説明の際に、上述した第1実施例及び第2実施例を、適宜、参照する。
図6に示す如く、乗員Pが着座する助手席シート5には、乗員Pの両側に吹出口6R、6Lが配置されている。一方、吸込口40R、40Lが、助手席シート5に着座した乗員P上方の車両1のルーフ41に配設されている。例えば、吸込口40Rは、助手席シート5の中心線24よりも車両センター側のルーフ41に配設され、吸込口40Lは、中心線24よりも車両1の窓32側であり、ルーフサイドレール42近傍のルーフ41に配設されている。
そして、吸込口40R、40Lの構造は、上述した吸込口25R、25Lと同様であり、車両1の側壁33内に配設された吸込ダクト(図示せず)を介して車両用空調装置3の空調ユニット7に接続している。また、吸込口40R、40Lには、シャッタ(図示せず)及びルーバ(図示せず)が配設され、吸込ダクトの分岐箇所には風量調整ダンパ(図示せず)が配設される場合でも良い。尚、吸込口40R、40Lが、助手席シート5に着座した乗員Pの肩部周辺及び肩部よりも上方の車両1のピラー(図示せず)、ルーフサイドレール42やヘッドレスト5Cに配設される場合でも良い。
図示したように、吹出口6R、6Lから吹き出された空調風は、図4(A)を用いて上述した第1実施例と同様に、乗員Pの大腿部を包み込むように流れた後、大腿部上方で合流し、矢印27にて示すように上昇する。そして、図4(B)に示す場合と同様に、吸込口40Rではシャッタによりその開口面積は縮小され、吸込口40Rから吸い込まれる空調風の風量は減少する。一方、吸込口40Lでは開口面積が最も大きくなり、吸込口40Lから吸い込まれる空調風の風量が最大となる。
そして、乗員Pの中心にて合流し上昇した空調風の大部分が、矢印43、44にて示すように、乗員Pの左側の肩部及びその周辺を通り吸込口40Lから吸い込まれる。その結果、車両1の窓32に近い乗員Pの左側の肩部及びその周辺へ空調風を多く流し、窓際の影響を大きく受ける乗員Pの左側の肩部及びその周辺を積極的に暖めたり、冷やしたりすることで、乗員Pの快適性が向上される。
その一方、矢印45、46にて示すように、乗員Pの中心にて合流し上昇した空調風の一部が、吸込口40Rから吸い込まれるようにしても良い。上述したように、空調風を車両1の窓際へ偏らせて吸い込ませながら、空調風の一部は乗員Pの右側にも流すことで、乗員Pの快適性が高められる。
尚、第3実施例においても、第1実施例や第2実施例と同様に、空調風の循環、シャッタ等による風量の調整を行うことができる。
次に、図7を用いて本実施形態の車両用空調装置3から吹き出される空調風の流れの第4実施例を説明する。図7は、本実施形態の車両用空調装置3から吹き出される空調風の流れを説明する正面図である。尚、第4実施例の説明の際に、上述した第1実施例から第3実施例を、適宜、参照する。
図7に示す如く、乗員Pが着座する助手席シート5には、乗員Pの両側に吹出口6R、6Lが配置されている。一方、吸込口40Rは、助手席シート5の中心線24よりも車両センター側のルーフ41に配設され、吸込口40Lは、中心線24よりも車両1の窓32側であり、ルーフサイドレール42近傍のルーフ41に配設されている。
図5(A)〜図5(C)を用いて説明した第2実施例と同様に、吹出口6Rはシャッタ35Rにより完全に塞がれ、吹出口6Lでは、3枚のルーバ37が車両1の外側上方を向くことで、図7の矢印47にて示すように、空調風は吹出口6Lから車両1の上方であり、車両1の側壁33へ向けて吹き出される。一方、吸込口40Rはシャッタ(図示せず)により完全に塞がれ、吸込口40Lでは開口面積が最も大きくなり、吸込口40Lから吸い込まれる空調風の風量が最大となる。
その結果、矢印48、49にて示すように、吹出口6Lから車両1の斜め上方へと吹き出された空調風は、車両1の側壁33及び窓32に沿って車両1の上方へと流れ、その大部分が吸込口40Lから吸い込まれる。つまり、車両1の側壁33及び窓32に沿って空調風による空気層が形成された状態となる。そして、上記空気層が形成されることでの効果は、第2実施例と同様であり、ここではその説明を省略する。
尚、第4実施例においても、第1実施例から第3実施例と同様に、空調風の循環、シャッタ等による風量の調整を行うことができる。
上述したように、車両用空調装置3から吹き出される空調風の流れを説明する第1実施例から第4実施例では、吹出口6R、6Lが車両1の下方に配設され、吸込口25R、25L、40R、40Lが車両1の上方に配設され、空調風が車両1の下方から吹き出され、車両1の上方にて吸い込まれる場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、吹出口6R、6Lの位置と吸込口25R、25L、40R、40Lの位置が入れ替わり、吹出口6R、6Lが車両1の上方に配設され、吸込口25R、25L、40R、40Lが車両1の下方に配設され、空調風が車両1の上方から吹き出され、車両1の下方にて吸い込まれる場合でも良い。この場合でも、上述したように、空調風による窓際対策の他、車室内の寒暖差対策を行うことができ、同様な効果を得ることができる。
また、吹出口6R、6Lがシートクッション5Aに配設され、吸込口25R、25Lがシートバック5Bの上端面やヘッドレスト5Cに配設される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、インテグレーテッドシートベルトが配設されたシートの場合には、シート上方側に設けられるシートベルトを挿通するための開口部を吸込口として用い、一方、シート下方側に設けられるシートベルト固定するための機構を配置する開口部を吹出口として用いる場合でも良い。また、吹出口6Rがセンターコンソールに配設され、吹出口6Lがピラーに配設される場合でも良い。
また、吸込口25R、25Lが、シートバック5Bの上端面とほぼ同一面となるように配設される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、両側の吸込ダクト8R、8Lの先端側がシートバック5Bの上端面から突出し、その先端に設けられる吸込口25R、25Lが助手席シート5の前方側を向くように配設される場合でも良い。この場合には、更に、助手席シート5の前方側を流れる空調風を吸い込み易くなる効果が得られる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
1 車両
3 車両用空調装置
5 助手席シート
6R、6L 吹出口
7 空調ユニット
8 吸込ダクト
9 送風ダクト
11 制御部
16 日射センサ
19 操作スイッチ
20 切替ダンパ
22、23 風量調整ダンパ
24 中心線
25R、25L 吸込口
28R、28L シャッタ
29R、29L 開口部
32 窓
33 側壁
34 ルーバ
35R、35L シャッタ
36L 開口部
37 ルーバ
40R、40L 吸込口
41 ルーフ

Claims (13)

  1. 車両に配設されるシートに着座する乗員の肩部または前記肩部よりも上方の前記車両に配設され、前記シートの中心よりも前記車両の車幅方向の外側及び内側に複数配置される吸込口または吹出口のいずれか一方と、
    前記肩部よりも下方の前記車両に配設される前記吸込口または前記吹出口のいずれか他方と、
    前記外側の吸込口からの吸込量と前記内側の吸込口からの吸込量とを、または前記外側の吹出口からの吹出量と前記内側の吹出口からの吹出量とを、調整可能な流量調整手段と、を有し、
    前記流量調整手段により前記吸込量または前記吹出量を前記車両の車幅方向の外側と内側とで異ならせることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記吸込口は前記肩部よりも上方の前記車両に配設され、
    前記流量調整手段は前記吸込量を調整可能であり、前記流量調整手段により前記吸込量を前記車両の車幅方向の外側と内側とで異ならせることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記流量調整手段による前記吸込量を制御する吸込制御部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記流量調整手段により前記外側の吸込口からの前記吸込量が前記内側の吸込口からの前記吸込量よりも多くなることを特徴とする請求項1から請求項3にいずれか1項に記載の車両用空調装置。
  5. 前記吸込口と前記吹出口とを繋ぐ循環風路と、を有し、
    前記吸込口から吸い込まれた空気は、前記循環風路を経由して前記吹出口から吹き出されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
  6. 前記吸込口が前記肩部または前記肩部よりも上方の前記車両に配設され、前記吹出口が前記肩部よりも下方の前記車両に配設されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
  7. 前記吸込口が前記シートのシートバックの上端部またはヘッドレストに配設され、前記吹出口が前記シートのシートクッションに配設されることを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置。
  8. 前記流量調整手段は、前記吸込口の開口面積を可変させるシャッタを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
  9. 前記流量調整手段は、前記外側の吸込口及び前記内側の吸込口の夫々に繋がる前記循環風路の分岐箇所に前記循環風路の流路面積を調整する開閉部材を有することを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
  10. 前記吹出口は、前記肩部よりも下方の前記車両において前記車両の車幅方向の外側及び内側に複数配置され、
    前記流量調整手段は前記吹出量を調整可能であり、前記流量調整手段により前記吹出量を前記車両の車幅方向の外側と内側とで異ならせることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
  11. 前記吹出口から吹き出される空気の風向を調整する吹出風向調整手段と、を有することを特徴とする請求項10に記載の車両用空調装置。
  12. 少なくとも前記流量調整手段による前記吹出量または前記吹出風向調整手段を制御する吹出制御部と、を有することを特徴とする請求項11に記載の車両用空調装置。
  13. 前記流量調整手段は、前記吹出口の開口面積を可変させるシャッタを有することを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
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