JP2017177989A - 車両用グリル - Google Patents

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【課題】車両用グリルにおいて、車両が歩行者に衝突した場合に、歩行者の支持面積を増やし、従来以上に歩行者の保護を図る。
【解決手段】表側から裏側に向けて外気を通過可能とする開口3aを有する網状部3と、網状部3の表側に対して固定されると共に網状部3から突出する突出部4とを備えるラジエータグリル1であって、網状部3の裏面に固定されると共に突出部4を囲うスリット10aを有する補強シート10と、網状部3のスリット10aを挟んだ中央領域R1と周囲領域R2とに架設される脱落防止帯11とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用グリルに関するものである。
例えば、特許文献1に開示されているように、車両には、フロントグリル等の車両用グリルが装着されている。特許文献1には、万が一、車両が歩行者に衝突した場合であっても、歩行者への衝撃を緩和すべく、フロントグリルが受けた荷重を水冷エンジン用ラジエータに伝達させる構成が開示されている。
特開2003−81034号公報
ところで、車両用グリルは、車両の前面に配置され、車両の外観を印象付けるものであることから、エンブレム等が設置される場合がある。このようなエンブレム等は、車両の外側から内側に向けて外気を通気可能とするベース部から車両の前方に突出するようにして設けられることが一般的である。このように、エンブレム等の突出部が車両用グリルに設置されている場合には、衝突時に歩行者に対して突出部が当たり、車両用グリルにおける歩行者の支持面積が小さくなることが考えられる。歩行者への衝突時の衝撃を従来以上に緩和し、歩行者をより適切に保護するためには、極力、車両用グリルにおける上記支持面積を広く確保できることが好ましい。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、車両用グリルにおいて、車両が歩行者に衝突した場合に、歩行者の支持面積を増やし、従来以上に歩行者の保護を図ることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、表側から裏側に向けて外気を通過可能とする開口を有するベース部と、当該ベース部の表側に対して固定されると共に上記ベース部から突出する突出部とを備える車両用グリルであって、上記ベース部の裏面に固定されると共に上記突出部を囲うスリットを有する補強シートと、上記ベース部の上記スリットを挟んだ一方側領域と他方側領域とに架設される脱落防止具とを備えるという構成を採用する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記脱落防止具が、上記突出部の設けられた上記一方側領域に一端が接続され、上記他方側領域に他端が接続され、湾曲状態で取り付けられる帯状体であるという構成を採用する。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記脱落防止具の一端から他端までの長さ寸法は、上記突出部の表側の面と上記他方側領域の上記ベース部の表側の面とが面一となるまで上記一方側領域が上記他方側領域に対して後退した場合に、上記脱落防止具の全体が張る長さ寸法に設定されているという構成を採用する。
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記脱落防止具が、上記ベース部よりもヤング率が大きな材料により形成されているという構成を採用する。
第5の発明は、上記第1〜第4いずれかの発明において、上記補強シート及び上記脱落防止具の少なくともいずれか一方が炭素繊維を含む複合材料から形成されているという構成を採用する。
本発明によれば、表側から裏側に向けて外気を通過可能とする開口を有するベース部の裏面に対して補強シートが固定され、この補強シートがベース部から突出するようにして設けられる突出部を囲うスリットを有している。このため、歩行者が衝突した場合には、その衝撃力により、ベース部がスリットを境に分割されるようにして割れる。この結果、ベース部の突出部が設けられた領域が、ベース部の周囲の領域に対して、車両の後方に向けて後退する。
さらに、本発明によれば、ベース部のスリットを挟んだ一方側領域と他方側領域とに架設される脱落防止具を備えている。このため、上述のように、ベース部がスリットを境として分割されるようにして割れた場合に、ベース部の突出部が設けられた領域が脱落することなく、歩行者を支持する支持部として機能する。
このような本発明によれば、歩行者が衝突した場合に、ベース部の突出部が設けられた領域を後退させ、さらに突出部が設けられた領域が、その周囲の領域と共に歩行者を支持する。したがって、本発明によれば、車両用グリルにおいて、車両が歩行者に衝突した場合に、歩行者の支持面積を増やし、従来以上に歩行者の保護を図ることが可能となる。
本発明の一実施形態におけるラジエータグリルを車両の正面側から見た正面図である。 (a)が本発明の一実施形態におけるラジエータグリルを裏側から見た拡大斜視図であり、(b)が図1のA−A断面を示す模式図である。 本発明の一実施形態におけるラジエータグリルに対して歩行者が衝突した場合の動きを示す模式図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用グリルの一実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本実施形態のラジエータグリル1(車両用グリル)を車両の正面側から見た正面図である。本実施形態のラジエータグリル1は、車両の前面側に露出するように設置される樹脂製の外装部品であり、図1に示すように、フレーム2と、網状部3(ベース部)と、エンブレム4(突出部)とを備えている。
フレーム2は、網状部3を囲うように設けられた略矩形状の環状部であり、網状部3やエンブレム4を直接的にあるいは間接的に支持する。このようなフレーム2の裏側には、車体フレームに対して固定される不図示の車体取付部が設置されている。
網状部3は、フレーム2に囲まれた領域に形成されており、ラジエータグリル1よりも車両の内側に異物が侵入することを抑止しつつ外気を取り込み可能としている。すなわち、網状部3は、表側(車両外側)から裏側(車両内側)に向けて外気を通過可能とする開口3aを多数有している。なお、網状部3の形状はあくまでも一例である。網状部3は、車両の外観印象への寄与が大きな部分であり、車両の種類ごとに様々な形状が採用される。また、網状以外の形状の部材をフレーム2の内側に配置する場合もある。
エンブレム4は、図1に示すように、網状部3の中央に配置されている。このエンブレム4は、網状部3の表側に固定されており、網状部3から車両の前方(網状部3を通過する外気の流れ方向における上流側)に向けて突出して設けられている。
図2(a)は、ラジエータグリル1を裏側から見た拡大斜視図である。また、図2(b)は、図1のA−A断面を示す模式図である。これらの図に示すように、本実施形態のラジエータグリル1は、補強シート10と、脱落防止帯11(脱落防止具)とを備えている。
補強シート10は、網状部3の裏面側に接着剤等により貼付されることで固定されるシート部材である。この補強シート10は、網状部3よりも伸びない材料(すなわちヤング率が大きな材料)により形成されている。例えば、網状部3がABS樹脂により形成されている場合に、補強シート10は、炭素繊維を含む複合材料であるCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等により形成することができる。また、CFRPに限られず、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)等の他のFRP(繊維強化プラスチック)によって補強シート10を形成することも可能である。
また、本実施形態において補強シート10は、図1で示す環状の仮想線Lに沿って形成されるスリット10a(図2(a)参照)を有している。なお、図1に示すように、環状の仮想線Lはエンブレム4を囲うように設けられている。つまり、本実施形態において、補強シート10は、エンブレム4を囲うスリット10aを有している。このような補強シート10は、スリット10aが配置される領域を除いて、網状部3を裏面側から支えることにより、ラジエータグリル1の強度を向上させている。
なお、以下の説明においては、表側(すなわち車両の前方側)から見て、スリット10aにより囲まれた網状部3の領域を中央領域R1(一方側領域)と称し、スリット10aの外側の領域を周囲領域R2(他方側領域)と称する。つまり、本実施形態においては、網状部3の中央領域R1にエンブレム4が形成されている。
脱落防止帯11は、一端が網状部3の中央領域R1に接続され、他端が網状部3の周囲領域R2に接続された帯状体であり、中央領域R1の周方向に複数配置されている。これらの脱落防止帯11は、接着剤等により補強シート10に固着されており、補強シート10を介して網状部3と接続されている。つまり、脱落防止帯11の一端は、補強シート10を介して網状部3の中央領域R1と接続されている。また、脱落防止帯11の他端は、補強シート10を介して網状部3の周囲領域R2と接続されている。このように脱落防止帯11は、スリット10aを挟んで網状部3の中央領域R1と網状部3の周囲領域R2とに架設されている。
このような脱落防止帯11は、網状部3よりも伸びない材料(すなわちヤング率が大きな材料)により形成されている。例えば、補強シート10と同一材料により形成することができ、CFRPやGFRP等のFRPにより形成することができる。
また、これらの脱落防止帯11は、図2に示すように、弛んだ状態(すなわち湾曲状態)で、一端が網状部3の中央領域R1に接続され、他端が網状部3の周囲領域R2に接続されている。このような脱落防止帯11の一端から他端までの長さ寸法は、網状部3が中央領域R1と周囲領域R2とに分割されて中央領域R1が周囲領域R2に対して後退した場合に、エンブレム4の表側の面4a(図2(b)参照)が周囲領域R2の表側の面3bと同位置となった場合に中央領域R1の後退を規制する長さ寸法に設定されている。
つまり、脱落防止帯11の長さ寸法は、エンブレム4の表側の面4aと、周囲領域R2の表側の面3bとが面一となるまで、中央領域R1が周囲領域R2に対して、外気の流れ方向における下流側に後退した場合に、全体が張る長さ寸法に設定されている。
図3は、本実施形態のラジエータグリル1に対して歩行者が衝突した場合の動きを示す模式図である。この図に示すように、本実施形態のラジエータグリル1に対して歩行者が衝突すると、まず突出したエンブレム4に歩行者が当たり、エンブレム4に対して荷重が掛かる。このとき、補強シート10のスリット10aの形成領域が他の領域に対して強度が低いため、網状部3がスリット10aを境として割れる。つまり、網状部3の中央領域R1と周囲領域R2とが分離される。その後、網状部3の中央領域R1は、車両の後方に後退し、エンブレム4の表側の面4aと、周囲領域R2の表側の面3bとが面一となったときに、脱落防止帯11によって移動が規制される。このとき、本実施形態のラジエータグリル1は、エンブレム4の表側の面4aと、周囲領域R2の表側の面3bとによって歩行者を支持する。
以上のように、本実施形態のラジエータグリル1によれば、表側から裏側に向けて外気を通過可能とする開口3aを有する網状部3の裏面に対して補強シート10が固定され、この補強シート10が網状部3から突出するようにして設けられるエンブレム4を囲うスリット10aを有している。このため、歩行者が衝突した場合には、その衝撃力により、網状部3がスリット10aを境に分割されるようにして割れる。この結果、網状部3の中央領域R1が、周囲領域R2に対して、車両の後方に向けて後退する。さらに、本実施形態のラジエータグリル1によれば、網状部3の中央領域R1と周囲領域R2とに架設される脱落防止帯11を備えている。このため、上述のように、網状部3がスリット10aを境として分割されるようにして割れた場合に、網状部3の中央領域R1が脱落することなく、歩行者を支持する支持部として機能する。
したがって、本実施形態のラジエータグリル1によれば、歩行者が衝突した場合に、網状部3の中央領域R1を後退させ、さらに中央領域R1が、周囲領域R2と共に歩行者を支持する。よって、本実施形態のラジエータグリル1によれば、車両が歩行者に衝突した場合に、歩行者の支持面積を増やし、従来以上に歩行者の保護を図ることが可能となる。
また、本実施形態のラジエータグリル1によれば、脱落防止帯11によって網状部3の中央領域R1が脱落することを防止することができる。このため、網状部3の中央領域R1が落下して予期せぬ箇所に当たることを防止することが可能となる。
また、本実施形態のラジエータグリル1においては、脱落防止帯11が、網状部3の中央領域R1に一端が接続され、網状部3の周囲領域R2に他端が接続され、湾曲状態で取り付けられる帯状体とされている。このため、極めて簡易な構造にて、中央領域R1の脱落を防止することができる。
また、本実施形態のラジエータグリル1においては、脱落防止帯11の長さ寸法は、エンブレム4の表側の面4aと、周囲領域R2の表側の面3bとが面一となるまで、中央領域R1が周囲領域R2に対して、外気の流れ方向における下流側に後退した場合に、全体が張る長さ寸法に設定されている。このため、確実に歩行者からの荷重をエンブレム4の表側の面4aと、周囲領域R2の表側の面3bとで分散して受けることが可能となり、より従来以上に歩行者への局所的な衝撃を緩和することが可能となる。また、中央領域R1が周囲領域R2に対して後退した場合であっても、図3に示すように、破断面が外側に向けて露出することがなく、より適切に歩行者を保護することができる。
また、本実施形態のラジエータグリル1においては、補強シート10が網状部3よりも伸びにくい材料により形成されている。このため、補強シート10を設置しない場合と比較して、衝突時の網状部3の予期せぬ変形を抑え、確実にスリット10aを境として網状部3を分断することが可能となる。
また、本実施形態のラジエータグリル1においては、脱落防止帯11も伸びにくい材料により形成されている。このため、エンブレム4の表側の面4aと、周囲領域R2の表側の面3bとが面一となったときに、中央領域R1の移動を確実に停止させることができ、確実に歩行者の支持面積を増やし、従来以上に歩行者の保護を図ることが可能となる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、スリット10aがエンブレム4を中心として一重にのみ形成される構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、エンブレム4を中心として環状のスリット10aを同心状に複数形成される構成を採用することも可能である。また、上記実施形態において、スリット10aの外側領域に線状のスリットを形成する構成を採用することもできる。このように、複数のスリットを形成することにより、歩行者が衝突した場合のラジエータグリル1の割れ方を細かく調整することができる。なお、このような構成を採用する場合であっても、スリットを挟む各々の領域同士が脱落防止具により連結する。これによって、衝突した歩行者を広い面で受け止めることができる。
また、上記実施形態においては、スリット10aが、仮想線Lに重なる領域の全域に形成された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、仮想線Lに重なる領域において、間欠的に複数配列されるように形成することも可能である。つまり、補強シート10が上記実施形態におけるスリット10aを横断するようなブリッジ部を有する構成を採用することも可能である。
また、上記実施形態においては、本発明の車両用グリルをラジエータグリル1に適用した構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、他の車両用グリルに適用することも可能である。例えば、車両がラジエータグリルと、このラジエータグリルの上部に配置されるフロントグリルとを備え、フロントグリルに対してエンブレムが設置される場合には、フロントグリルに本発明を適用することも可能である。
また、上記実施形態においては、本発明における突出部がエンブレム4である構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、他の突出部(例えば、装飾用の突出部)が形成された車両用グリルに本発明を適用することも可能である。
また、上記実施形態においては、脱落防止具が帯状の脱落防止帯11である構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、エンブレム4を中心とした周方向の全域に亘って連続的に設けられる環状のシート状の脱落防止具を採用することも可能である。
また、上記実施形態においては、脱落防止帯11が湾曲状態で網状部3の中央領域R1と周囲領域R2とに架設される構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、脱落防止帯11を屈曲状態で網状部3の中央領域R1と周囲領域R2とに架設される構成を採用することも可能である。また、脱落防止帯11を蛇腹状に折り畳んだ構成を採用することもできる。このように、脱落防止帯11を蛇腹状に折り畳んだ場合には、通常時において、脱落防止帯11がラジエータグリル1の裏側において垂れ下がることを防止し、風圧により脱落防止帯11が振動して音が生じることを防止することができる。
1……ラジエータグリル(車両用グリル)、2……フレーム、3……網状部、3a……開口、4……エンブレム、10……補強シート、10a……スリット、11……脱落防止帯(脱落防止具)、R1……中央領域(一方側領域)、R2……周囲領域(他方側領域)

Claims (5)

  1. 表側から裏側に向けて外気を通過可能とする開口を有するベース部と、当該ベース部の表側に対して固定されると共に前記ベース部から突出する突出部とを備える車両用グリルであって、
    前記ベース部の裏面に固定されると共に前記突出部を囲うスリットを有する補強シートと、
    前記ベース部の前記スリットを挟んだ一方側領域と他方側領域とに架設される脱落防止具と
    を備えることを特徴とする車両用グリル。
  2. 前記脱落防止具は、前記突出部の設けられた前記一方側領域に一端が接続され、前記他方側領域に他端が接続され、湾曲状態で取り付けられる帯状体であることを特徴とする請求項1記載の車両用グリル。
  3. 前記脱落防止具の一端から他端までの長さ寸法は、前記突出部の表側の面と前記他方側領域の前記ベース部の表側の面とが面一となるまで前記一方側領域が前記他方側領域に対して後退した場合に、前記脱落防止具の全体が張る長さ寸法に設定されていることを特徴とする請求項2記載の車両用グリル。
  4. 前記脱落防止具は、前記ベース部よりもヤング率が大きな材料により形成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の車両用グリル。
  5. 前記補強シート及び前記脱落防止具の少なくともいずれか一方が炭素繊維を含む複合材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の車両用グリル。
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