JP2017177543A - 積層体およびその製造方法、ならびに熱転写シート - Google Patents

積層体およびその製造方法、ならびに熱転写シート Download PDF

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Yasushi Yoneyama
山 泰 史 米
下 裕 之 山
Hiroyuki Yamashita
下 裕 之 山
昌 長谷川
Akira Hasegawa
昌 長谷川
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Abstract

【課題】不可視光線吸収材料含有層に起因する積層体表面の凹凸を認識することを困難なものとすることができ、偽造や改造等をより一層防止することができる積層体の製造方法を提供する。【解決手段】本発明による積層体は、被転写体と、被転写体上の不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層と、被転写体上であって、不可視光線吸収材料含有層が形成された部分以外の部分に色材層と、を備え、色材層が、不可視光線吸収材料含有層の厚さの2倍より大きく、3倍以下の厚さの領域(A)、不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍より大きく、2倍以下の厚さの領域(B)および不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍以下の厚さの領域(C)を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は積層体およびその製造方法、ならびに熱転写シートに関する。
ICカードや、カードゲーム等で使用されるカードの中には、赤外線等の不可視光線吸収性のインキを用いて、カード固有の情報が記録され、特定の装置により読み取ることのできる不可視光線吸収材料含有層(コードパターン)が形成された積層体が使用されている(特許文献1)。
特許文献1で提案されているような、不可視光線吸収材料含有層が形成された積層体またはカードをそれら表面から観察すると、カード表面には画像が印刷されているにもかかわらず、不可視光線吸収材料含有層に起因する凹凸が目視により観察されてしまい、従来から、カードの偽造や改造が行われるといった問題があった。
上記のような問題を解決するために、不可視光線吸収材料含有層上に、隠蔽層を形成し、容易に情報が読み取られないようにすることが提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、単に隠蔽層を形成させただけでは、やはり、不可視光線吸収材料含有層に起因する凹凸は観察されてしまい、コードパターンの位置および形状が認識されてしまっていた。
さらに、特許文献1において提案される積層体は、その外面の画像情報が、オフセット印刷などを用いて形成させたものであり、オンデマンドによる製造には適していなかった。
特開2004−155081号公報 特開昭58−45999号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、不可視光線吸収材料含有層に起因する積層体表面の凹凸を認識することを困難なものとすることができ、偽造や改造等をより一層防止することができる積層体およびその製造方法を提供することを主たる課題とする。また、オンデマンドによる製造に適性した積層体を提供することを課題とする。
本発明による積層体は、被転写体と、
被転写体上の不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層と、
被転写体上であって、不可視光線吸収材料含有層が形成された部分以外の部分に色材層と、を備え、
色材層が、不可視光線吸収材料含有層の厚さの2倍より大きく、3倍以下の厚さの領域(A)、不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍より大きく、2倍以下の厚さの領域(B)および不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍以下の厚さの領域(C)を有することを特徴とする。
上記態様においては、不可視光線吸収材料含有層の色と、色材層の色とが同系色であることが好ましい。
上記態様においては、不可視光線吸収材料含有層および色材層上に、受容層をさらに備えることが好ましい。
上記態様においては、受容層上に、保護層をさらに備えることが好ましい。
本発明による上記積層体の製造方法は、
被転写体を準備する工程と、
被転写体上に、不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層を形成する工程と、
被転写体上であって、不可視光線吸収材料含有層を形成した以外の部分に、色材層を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
上記態様においては、不可視光線吸収材料含有層と色材層の少なくともいずれか一方がぼかし印刷法を用いて形成されたものであることが好ましい。
上記態様においては、不可視光線吸収材料含有層および色材層上に、受容層を形成する工程と、受容層上に、画像を形成する工程とをさらに含むことが好ましい。
上記態様においては、画像が形成された受容層上に、保護層を形成する工程をさらに含むことが好ましい。
本発明による上記積層体の製造に使用する熱転写シートは、
基材と、
基材上に、不可視光線吸収材料含有層および基材側に凹凸部を有する色材層を面順次備え、
色材層が、不可視光線吸収材料含有層の厚さの2倍より大きく、3倍以下の厚さの領域(A)、不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍より大きく、2倍以下の厚さの領域(B)および不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍以下の厚さの領域(C)を有することを特徴とする。
上記態様においては、基材と、色材層との間に、離型層をさらに備えることが好ましい。
上記態様においては、離型層が、色材層側に領域(A)乃至(C)に対応する凹凸部を有することが好ましい。
本発明によれば、不可視光線吸収材料含有層に起因する積層体表面の凹凸を認識することを困難なものとすることができ、偽造や改造等をより一層防止することができる。また、本発明に係る積層体は、備える各層が熱溶融転写または昇華転写により形成させることができるため、オンデマンド印刷に適する。
一実施形態における本発明の積層体を示す図である。 一実施形態における本発明の積層体を示す図である。 一実施形態における熱転写シートの断面模式図である。
(積層体)
本発明による積層体10は、図1に示すように、
被転写体11と、
被転写体11上の不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層12と、
被転写体11上であって、不可視光線吸収材料含有層12が形成された部分以外の部分に色材層13と、を備えてなり、
色材層13が、不可視光線吸収材料含有層の厚さの2倍より大きく、3倍以下の厚さの領域13a(以下、場合により領域(A)と表す)、不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍より大きく、2倍以下の厚さの領域13b(以下、場合により領域(B)と表す)および不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍以下の厚さの領域13c(以下、場合により領域(C)と表す)を有することを特徴とする。
また、一実施形態において、図2に示すように、積層体10は、受容層14を備える。さらに、この受容層14上に保護層15を備えていても良い。
また、一実施形態において、積層体は、剥離層を備えていても良い(図示せず)。
以下、積層体が備える各層について詳細に説明する。
(被転写体)
一実施形態において、本発明の方法に用いられる被転写体は、天燃繊維紙、上質紙、アート紙、軽量コート紙、微塗工紙、コート紙、キャストコート紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等からなるものであり、単層からなるものであっても、複数層からなるものであっても良い。
被転写体がプラスチックフィルムからなる場合、プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン等の各種プラスチックフィルムおよびシートを挙げることができる。
プラスチックフィルムは、上記した樹脂を主成分とする共重合樹脂若しくは混合体(アロイを含む)であっても良い。
また、被転写体は、その一方の面または両面に受容層を備えるものであっても良い。また、後述するように、不可視光線吸収材料含有層を設ける面とは反対の面に画像を形成しても良い。
被転写体の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、3μm以上、800μmであることが好ましく、100μm以上、600μm以下であることがより好ましい。
(不可視光線吸収材料含有層)
不可視光線吸収材料含有層は、不可視光線吸収材料を含み、不可視光線吸収材料としては、例えば、赤外線吸収材料や紫外線吸収材料を挙げることができる。
本明細書において、赤外線とは、吸収波長領域が、750nm以上、2500nm以下であるものをいう。また、紫外線とは、吸収波長領域が、280nm以上、400nm以下であるものをいう。
不可視光線吸収材料含有層における不可視光線吸収材料の含有量は、1質量%以上、60質量%以下であることが好ましく、5質量%以上、40質量%以下であることがより好ましい。不可視光線吸収材料の含有量を上記数値範囲とすることにより、不可視光線吸収材料含有層を熱溶融転写する際のコードパターンの転写性と積層体固有の情報の読取を両立することができる。
赤外線吸収材料としては、例えば、ジイモニウム系化合物、アミニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ジチオール系有機金属錯体、シアニン系化合物、アゾ系化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、オキソール系化合物およびカーボンブラック等が挙げられ、不可視光線吸収材料含有層は、上記のような赤外線吸収材料を1種または2種以上含んでいても良い。
紫外線吸収材料としては、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾエート系化合物等の有機系紫外線吸収材料や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄および硫酸バリウム等の無機系紫外線吸収材料が挙げられ、不可視光線吸収材料含有層は、上記のような紫外線吸収材料を1種または2種以上含んでいても良い。
不可視光線吸収材料含有層は、バインダー樹脂を含むことができる。バインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂およびポリウレタン系樹脂等の公知の樹脂、並びにこれらの共重合体を挙げることができる。
不可視光線吸収材料含有層におけるバインダー樹脂の含有量は、40質量%以上、99質量%以下であることが好ましく、60質量%以上、95質量%以下であることがより好ましい。
一実施形態において、本発明による積層体が備える不可視光線吸収材料含有層は、赤外線や紫外線を用いた光学的読取装置を使用することにより、積層体固有の情報を読み取ることができるコードパターンを形成している。
不可視光線吸収材料含有層の厚さは、0.1μm以上、5μm以下であることが好ましく、0.3μm以上、2μm以下であることがより好ましい。
不可視光線吸収材料含有層の厚さの測定は、不可視光線吸収材料含有層を塗布、乾燥した基材を20枚重ね、マイクロメーター(SONY製、商品名:Digital Micrometer M−30)にて厚みを測定し、ステルス層を塗布、乾燥する前の基材厚みの測定結果との差分を算出し、さらに1枚の厚みに換算することにより行うことができる。
(色材層)
本発明による積層体は、被転写体上であって、不可視光線吸収材料含有層が形成された部分以外の部分に色材層を備える。
色材層は、不可視光線吸収材料含有層の厚さの2倍より大きく、3倍以下の厚さの領域(A)、不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍より大きく、2倍以下の厚さの領域(B)および不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍以下の厚さの領域(C)を有する。
色材層は、領域(A)乃至(C)が規則正しく連続するものであっても、ランダムに連続するものであってもよい。
また、図1および2に示されるように、色材層は、領域(A)乃至(C)からなるものであってもよいが、これに限定されるものではなく、領域(A)乃至(C)に該当しないその他の領域を有するものであってもよい。
積層体が、このような領域(A)乃至(C)を有する色材層を備えることにより、積層体における不可視光線吸収材料含有層により形成されるコードパターンの位置や形状の認識を困難なものとすることができ、偽造や改造等を防止することができる。
色材層の厚さは、不可視光線吸収材料含有層の厚さ同様、色材層を塗布、乾燥した基材を20枚重ね、マイクロメーター(SONY製、商品名:Digital Micrometer M−30)にて厚みを測定し、色材層を塗布、乾燥する前の基材厚みとの差分を算出し、さらに1枚の厚みに換算することにより測定することができる。
色材層は、不可視光線吸収材料含有層において使用することができるバインダー樹脂と同様の樹脂を含むことができる。
色材層におけるバインダー樹脂の含有量は、20質量%以上、99.9質量%以下であることが好ましく、60質量%以上、99質量%以下であることがより好ましい。
色材層は、不可視光線非吸収性の着色剤を含むことができる。着色剤としては、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック等の着色剤を使用することができるが、色材層の色が、不可視光線吸収材料含有層の色と同系色となるように適宜調節して着色剤を使用することが好ましい。
色材層における着色剤の含有量は、0.1質量%以上、80質量%以下であることが好ましく、1質量%以上、40質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、色材層の色は、不可視光線吸収材料含有層の色と同系色の色であることが好ましい。これにより、不可視光線吸収材料含有層と、色材層との境目の認識を困難なものとすることができると共に、積層体における不可視光線吸収材料含有層により形成されるコードパターンの位置や形状の認識を困難なものとすることができ、偽造や改造等を防止することができる。
なお、本明細書において、同系色とは、色相、明度、彩度および光沢度の全て、あるいはいずれかにおいて同一または類似の色のことを意味する。例えば、銀色と灰色とは同系色である。
より具体的には、色材層と、不可視光線吸収材料含有層との色差(ΔE*ab)は、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、1以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、色差(ΔE*ab)とは、2色間の差異または距離であり、JIS Z8730:2009に準拠するものである。
色差(ΔE*ab)は、例えば、分光測定器(グレタグマクベス社製、商品名:spectrolino)を使用することにより測色し、国際証明委員会のL*a*b*表色系における数値で定義するものである。なお、ΔE*ab=((ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2で表される値であり、値が大きいほど目視したときの色の違いが著しい。なお、(ΔL*)、(Δa*)、(Δb*)は、不可視光線吸収材料含有層と、色材層とのL*、a*およびb*の値の差である。
(受容層)
本発明による積層体は、不可視光線吸収材料含有層および色材層上に、受容層を備えていても良い。
この受容層は、被転写体全体を覆う様に設けても良く、不可視光線吸収材料含有層および色材層が存在する部分のみに設けても良い。
受容層は、不可視光線非吸収性であることが好ましい。
受容層を形成するための材料としては、昇華性染料または熱溶融性インキ等の熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、PETもしくはPBT等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、これらの中でも、塩化ビニル−酢酸ビニル系重合体、またはポリ塩化ビニル樹脂が好ましく、塩化ビニル−酢酸ビニル系重合体が特に好ましい。
受容層の厚さは、0.2μm以上、10μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、5μm以下であることがより好ましい。
また、この受容層上へ画像を形成してもよい。なお、本明細書において、画像には、絵柄だけではなく、文字等も含まれる。画像の形成方法については後述する。
(保護層)
本発明による積層体は、受容層上に、保護層を備えていても良い。
保護層は、不可視光線非吸収性であることが好ましい。
保護層を形成するための材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、これら樹脂をシリコーン変性させた樹脂、活性光線硬化樹脂等を挙げることができる。
なお、本明細書において、活性光線硬化性樹脂とは活性光線を照射する前の前駆体または組成物を意味し、活性光線線を照射して活性光線硬化性樹脂を硬化させたものを活性光線硬化樹脂というものとする。
保護層の厚さは、0.2μm以上、10μm以下であることが好ましく、0.3μm以上、5μm以下であることがより好ましい。
(剥離層)
本発明による積層体は、例えば、不可視光線吸収材料含有層や保護層上へ、剥離層を備えていても良い。
本明細書において、剥離層とは熱転写の際、熱転写シートから不可視光線吸収材料含有層等と共に被転写体上へ転写される層のことを指す。
剥離層は、不可視光線非吸収性であることが好ましい。
剥離層は、バインダー樹脂および離型性材料を含むことができる。
バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
離型性材料としては、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂、タルク、シリカ、界面活性剤等が挙げられる。
剥離層の厚さは、0.2μm以上、10μm以下であることが好ましく、0.4μm以上、5μm以下であることがより好ましい。
(積層体の製造方法)
本発明による積層体の製造方法は、
被転写体を準備する工程と、
被転写体上に、不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層を形成する工程と、
被転写体上であって、不可視光線吸収材料含有層が形成された部分以外の部分に色材層を形成する工程と、を含む
また、一実施形態において、不可視光線吸収材料含有層および色材層上に受容層を形成する工程を含むことができる。
また、一実施形態において、受容層上に画像を形成する工程を含むことができる。
また、一実施形態において、画像を形成した受容層上に保護層を形成する工程を含むことができる。
また、一実施形態において、剥離層を形成する工程を含むことができる。
以下、上記各工程について詳細に説明する。
(被転写体を準備する工程)
積層体の製造に使用する被転写体は上記した通りである。
(不可視光線吸収材料含有層の形成工程)
不可視光線吸収材料含有層は、熱転写シートが備える不可視光線吸収材料含有層を、積層体を構成する被転写体上に溶融熱転写することにより、形成することができる。
不可視光線吸収材料含有層は、ぼかし印刷法、例えば、ディザ法等により溶融熱転写することが特に好ましい。これにより、不可視光線吸収材料含有層の輪郭をぼかすことができ、不可視光線吸収材料含有層の形状の認識をさらに困難なものとすることができ、偽造や改造等をより一層防止することができる。
(色材層の形成工程)
色材層は、熱転写シートが備える色材層を、被転写体上であって、不可視光線吸収材料含有層が形成された部分以外の部分に、熱溶融転写することにより、形成することができる。
色材層が有する領域(A)乃至(C)は、例えば、以下の様な方法により形成することができる。
(1)熱転写シートから色材層を熱溶融転写する際のサーマルヘッドからの熱エネルギーを変更する方法、
(2)熱転写シートにおいて、色材層を、領域(A)乃至(C)に対応する凹凸部を有する離型層上に形成させ、これを被転写体上に熱溶融転写する方法
(3)熱転写シートにおいて、色材層を領域(A)乃至(C)に対応する凹凸部を有する印刷版を用いて、色材層を形成させ、これを被転写体上に熱溶融転写する方法
色材層は、不可視光線吸収材料含有層同様、ぼかし印刷法、例えば、ディザ法等により形成させることが特に好ましい。これにより、不可視光線吸収材料含有層と、色材層との境目をぼかすことができ、不可視光線吸収材料含有層の形状の認識をさらに困難なものとすることができ、偽造や改造等をより一層防止することができる。さらに、不可視光線吸収材料含有層および色材層がともにぼかし印刷法により形成させることにより、この性能をより顕著に向上させることができる。
(受容層の形成工程)
受容層は、熱転写シートが備える受容層を、積層体を構成する不可視光線吸収材料含有層および色材層上に溶融熱転写することにより形成することができる。このとき、受容層は、被転写体全面を覆うように形成させてもよく、不可視光線吸収材料含有層および色材層上のみに存在するように形成させてもよい。
(受容層上への画像形成工程)
受容層上への画像の形成は、熱転写シートが備える染料層を、受容層上に昇華熱転写することにより行うことができる。
また、一実施形態において、画像を印刷した受容層上に金銀の箔を押したり、ホログラムを付けたり等の加工処理を施してもよい。
(保護層の形成)
保護層は、熱転写シートが備える保護層を、受容層上に溶融熱転写することにより、形成することができる。
(プライマー層の形成)
プライマー層は、熱転写シートが、任意の層間(例えば、不可視光線吸収材料含有層と、剥離層と間)に備えるプライマー層を、これら層と共に熱溶融転写することにより、形成することができる。
(剥離層の形成)
剥離層は、不可視光線吸収材料含有層や保護層等と共に、熱転写シートから、熱溶融転写することにより形成することができる。
(熱転写シート)
一実施形態において、上記した積層体が備える不可視光線吸収材料含有層等の形成は、熱転写シートを用いて行われる。
熱転写シート20は、図3に示すように、基材21と、不可視光線吸収材料含有層12と、色材層13とを面順次に備える。
また、不可視光線吸収材料含有層12等と面順次となるように受容層14を備えていても良い。
また、染料層22や保護層15を不可視光線吸収材料含有層12等と面順次に備えていても良い。
さらに、プライマー層23や剥離層24任意の層間に備えていても良い。
また、基材21と色材層14との間に離型層を備えていても良い(図示せず)。
また、不可視光線吸収材料含有層等を形成した側とは反対の面に背面層25を備えていても良い。
以下、熱転写シートを構成する各層について説明する。
(基材)
基材としては、不可視光線吸収材料含有層等を積層体の被転写体へ転写する際の熱エネルギー(例えば、サーマルヘッドの熱)に耐え得る耐熱性を有し、不可視光線吸収材料含有層等を支持できる機械的強度や耐溶剤性を有しているものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。
基材は、上記した樹脂を主成分とする共重合樹脂若しくは混合体(アロイを含む)、または複数層からなる積層体であっても良い。また、基材は、延伸フィルムであっても、未延伸フィルムであっても良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸されたフィルムを使用することが好ましい。
基材は、厚みが2.5μm以上、50μm以下であることが好ましい。基材の厚さを上記数値範囲とすることにより、機械的強度を維持しつつ、不可視光線吸収材料含有層等の転写性を向上させることができる。
基材には、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理および帯電防止層付与等の易接着処理を行っても良い。また、基材には、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤および帯電防止剤等の添加剤を加えても良い。
(不可視光線吸収材料含有層)
熱転写シートは、基材上に不可視光線吸収材料含有層を備える。不可視光線吸収材料含有層に含まれる材料等については上記した通りである。
不可視光線吸収材料含有層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材等の上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
(色材層)
熱転写シートは、基材上に、基材側に色材層を備える(図3参照)。色材層に含まれる材料等については上記した通りである。
一実施形態において、熱転写シートが備える色材層は、領域(A)乃至(C)を有する。
色材層の領域(A)乃至(C)の形成方法としては、上記したように、色材層の下に、領域(A)乃至(C)に対応する凹凸部を有する離型層を予め形成しておく方法および領域(A)乃至(C)に対応する凹凸部を有する印刷版を用いて色材層を形成する方法等が挙げられる。
色材層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材等の上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
(受容層)
熱転写シートは、基材上に受容層を備えていても良い。受容層に含まれる材料等については上記した通りである。
受容層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを遮蔽層等の上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
(染料層)
熱転写シートは、不可視光線吸収材料含有層等と面順次となるように染料層を備えていても良い。
染料層は昇華型の染料を含むことが好ましく、例えば、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、メチン系染料、インドアニリン系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料等が挙げられ、より具体的には、MSRedG(三井東圧化学社製)、Macrolex Red Violet R(バイエル社製)、CeresRed 7B(バイエル社製)、Samaron Red F3BS(三菱化学社製)等の赤色染料、ホロンブリリアントイエロー6GL(クラリアント社製)、PTY−52(三菱化成社製)、マクロレックスイエロー6G(バイエル社製)等の黄色染料、カヤセットブルー714(日本化薬社製)、ワクソリンブルーAP−FW(ICI社製)、ホロンブリリアントブルーS−R(サンド社製)、MSブルー100(三井東圧化学社製)、C.I.ソルベントブルー22等の青色染料を使用することができる。
染料層における染料の含有量は、後述するバインダー樹脂の固形分総量100質量部に対し、50質量部以上、350質量部の範囲内であることが好ましく、80質量部以上、300質量部の範囲内であることがより好ましい。昇華性染料の含有量が、上記範囲未満であると印画濃度が低下する傾向にあり、上記範囲を超えると保存性等が低下する傾向にある。
染料層は、上記染料を担持するためのバインダー樹脂を含むことが好ましく、例えば、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等が挙げられる。
染料層におけるバインダー樹脂の含有量は、20質量%以上、80質量%以下であることが好ましい。
染料層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材等の上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
(保護層)
熱転写シートは、不可視光線吸収材料含有層等と面順次となるように保護層を備えていても良い。保護層に含まれる材料等については上記した通りである。
保護層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを隠蔽層等の上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。また、保護層が活性光線硬化性樹脂を含む場合は、塗工液と塗布した後、活性光線を照射することが好ましい。
(離型層)
熱転写シートは、基材と、色材層との間に離型層を備えていても良い。
なお、本明細書において、離型層は、熱転写際、基材側に留まる層のことを指す。
一実施形態において、離型層は、基材とは反対側に、領域(A)乃至(C)に対応する凹凸部を有する。離型層が領域(A)乃至(C)に対応する凹凸部を有することにより、この離型層上に形成される色材層には、領域(A)乃至(C)が形成されることとなり、被転写体上に熱溶融転写した後、所望の効果を発揮することができる。
離型層が有する凹凸部は、例えば、以下の様な方法により形成することができる。
(a)離型層中にフィラーを含有させる方法、
(b)凸凹柄のグラビア印刷板を用いて離型層を形成する方法
離型層は、離型性を有する材料により形成することが好ましく、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン系樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコールおよびアクリル系樹脂などが挙げられる。
離型層は、フィラーを含んでいても良く、これにより、離型層表面に凹凸部を形成することができる。
フィラーの平均粒子径は、0.1μ以上、10μm以下であることが好ましく、0.2μm以上、5μm以下であることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製等)を用いて公知の方法により測定することができる。
使用するフィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、珪藻土、ゼオライト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ガラスビーズ等の公知の無機フィラー、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ワックス等からなる有機フィラーが挙げられる。
離型層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
また、一実施形態において、離型層は、グラビア印刷板を用いて形成することができる。これにより、離型層表面に凹凸部を形成させることができる。
(プライマー層)
熱転写シートは、基材と染料層との間等、任意の層間にプライマー層を備えても良い。プライマー層に含まれる材料等については上記した通りである。
プライマー層は、不可視光線吸収材料含有層に含まれるバインダー樹脂と同様の樹脂を含むことができる。
また、プライマー層は、無機微粒子を含んでいてもく、例えば、シリカ(コロダイルシリカ)、アルミナまたはアルミナ水和物(アルミナゾル、コロダイルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物またはその水和物)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。
無機微粒子の平均粒子径は、0.01μm以上、5μm以下であることが好ましい。無機微粒子の平均粒子径は、0.01μm以上、3μm以下であることがより好ましい。
プライマー層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材等の上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
(剥離層)
熱転写シートは、基材と任意の層との間に剥離層を備えていても良い。熱溶融転写シートが剥離層を備えることにより、熱転写シートから被転写体へ転写される各層の基材から剥離性を向上させることができる。また、剥離層は転写後、被転写体の最表層に位置することになる。
剥離層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
(背面層)
熱転写シートは、不可視光線吸収材料含有層等を形成した面とは反対の面(裏面)に背面層を備えていても良い。背面層は、熱転写する際の基材の裏面側からサーマルヘッド等によって加熱される際に熱融着、スティキングやシワ等の悪影響を防止するために、所望により設けられる層である。
背面層の材料について限定はなく、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性又はフッ素変性ウレタン等の天然又は合成樹脂の単体又は混合物等を挙げることができる。
また、背面層は、滑り剤を含むことが好ましく、例えば、金属石鹸、ワックス、シリコーンオイル、脂肪酸エステル、フィラー、タルク、界面活性剤等が挙げられる。
背面層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<熱転写シートの作製>
基材として厚さ4.5μmPETフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時の塗工量が、1.0μmになるように塗工し、乾燥し、背面層を形成させた。
(背面層用塗工液)
・ポリビニルブチラール樹脂 1.8質量部
(積水化学工業(株)製、商品名:エスレックBX−1)
・ポリイソシアネート 5.5質量部
(DIC(株)製、商品名:バーノックD750)
・リン酸エステル系界面活性剤 1.6質量部
(第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフA208N)
・タルク 0.35質量部
(日本タルク工業(株)製、商品名:ミクロエースP−3)
・トルエン 18.5質量部
・メチルエチルケトン 18.5質量部
上記基材の背面層を設けた側とは反対の面の一部に、下記組成の不可視光線吸収材料含有層用塗工液を乾燥時の塗工量が、0.4μmになるように塗工し、乾燥し、不可視光線吸収材料含有層を形成させた。
(不可視光線吸収材料含有層用塗工液)
・アクリル樹脂 8.5質量部
(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR−87)
・ジイモニウム塩 1.5質量部
(日本カーリット(株)製、商品名:CIR−RL)
・トルエン 45質量部
・メチルエチルケトン 45質量部
次いで、不可視光線吸収材料含有層と面順次となるように、色材層用塗工液を乾燥時の塗工量が、0.2μm、0.4μm、1.2μmになるようなセル形状が不規則に設けられた版を用いて塗工し、乾燥し、色材層を形成させた。
(色材層用塗工液)
・アクリル樹脂 8.5質量部
(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR−87)
・ソルベントイエロー93 0.4質量部
・ソルベントブルー63 0.2質量部
・トルエン 45質量部
・メチルエチルケトン 45質量部
上記基材の背面層を設けた側とは反対の面の一部に、上記のようにして形成させた不可視光線吸収材料含有層と面順次となるように、下記組成の受容層用塗工液を乾燥時の塗工量が、0.8μmになるように塗工し、乾燥し、受容層を形成させた。
(受容層用塗工液)
・塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体樹脂 15.8質量部
(日信化学工業(株)製、商品名:ソルバインCNL)
・塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体樹脂 1.0質量部
(日信化学工業(株)製、商品名:ソルバインC)
・有機変性シリコーンオイル 1.2質量部
(信越化学工業(株)製、商品名:X−22−3000T)
・有機変性シリコーンオイル 1.2質量部
(信越化学工業(株)製、商品名:X−24−510)
・有機変性シリコーンオイル 0.8質量部
(信越化学工業(株)製、商品名:KF−352A)
・メチルエチルケトン 40質量部
・トルエン 40質量部
上記のようにして形成させた受容層と面順次となるように、上記組成のプライマー層用塗工液を乾燥時の塗工量が、0.1μmになるように塗工し、乾燥し、プライマー層を形成させた。このプライマー層上へ、下記組成のイエロー染料層用塗工液(Y)、マゼンタ染料層用塗工液(M)、およびシアン染料層用塗工液(C)を、グラビア印刷機により、各層の乾燥時塗工量が0.7μmになるように塗工、乾燥して、この順に面順次に繰返して染料層を形成させた。
(プライマー層用塗工液)
・アルミナゾル 2.5質量部
(日産化学工業(株)製、商品名:アルミナゾル200)
・ポリビニルピロリドン樹脂 2.5質量部
(ISPジャパン(株)製、商品名:PVP K−60)
・水 47.5質量部
・イソプロピルアルコール 47.5質量部
(イエロー染料層用塗工液(Y))
・ソルベントイエロー93 2質量部
・ディスパースイエロー201 4質量部
・ポリビニルアセタール樹脂 5質量部
(積水化学工業(株)製、商品名:KS−5)
・トルエン 50質量部
・メチルエチルケトン 50質量部
(マゼンタ染料層用塗工液(M))
・ディスパースレッド60 2質量部
・ディスパースバイオレット26 4質量部
・ポリビニルアセタール樹脂 5質量部
(積水化学工業(株)製、商品名:KS−5)
・トルエン 50質量部
・メチルエチルケトン 50質量部
(シアン染料層用塗工液(C)
・ソルベントブルー63 3質量部
・ディスパースブルー354 3質量部
・ポリビニルアセタール樹脂 5質量部
(積水化学工業(株)製、商品名:KS−5)
・トルエン 50質量部
・メチルエチルケトン 50質量部
上記のようにして形成させたプライマー層と面順次となるように、下記組成の剥離層用塗工液を乾燥時の塗工量が、0.8μmになるように塗工し、乾燥し、剥離層を形成させた。この剥離層上に上記組成のプライマー層塗工液を乾燥時の塗工量が、0.1μmになるように塗工し、乾燥し、プライマー層Cを形成させた。このプライマー層C上に下記組成の保護層用塗工液を乾燥時の塗工量が、0.8μmになるように塗工し、乾燥し、保護層を形成させ、熱転写シートを得た。
(剥離層用塗工液)
・アクリル樹脂 20質量部
(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールBR−87)
・メチルエチルケトン 40質量部
・トルエン 40質量部
(保護層用塗工液)
・ポリエステル樹脂 24質量部
(東洋紡績(株)製、商品名:バイロン700)
・紫外線吸収剤 6質量部
・トルエン 35質量部
・メチルエチルケトン 35質量部
<積層体の作製>
被転写体として、昇華型転写プリンター(株式会社DNPフォトルシオ製 DS−40)の純正ペーパーを準備した。
上記のようにして作製した熱転写シートが備える不可視光線吸収材料含有層を下記テストプリンターを用いて、被転写体上へ、コードパターンを形成するように熱溶融転写した。被転写体上の不可視光線吸収材料含有層の厚さは、0.4μmであった。
(テストプリンター)
サーマルヘッド:KEE−57−12GAN2−STA(京セラ(株)製)
発熱体平均抵抗値:3303(Ω)
主走査方向印字密度:300dpi
副走査方向印字密度:300dpi
印画電圧:18(V)
1ライン周期:1.5(msec.)
印字開始温度:35(℃)
パルスDuty比:85%
次いで、熱転写シートが備える色材層を、上記テストプリンターを用いて、不可視光線吸収材料含有層が形成された部分以外の被転写体上へ、同時に熱溶融転写した。この色材層は、1.2μmの厚さを有する領域(A)、0.4μmの厚さを有する領域(B)および0.2μmの厚さを有する領域(C)からなるものであった。
さらに、上記テストプリンターを用いて、不可視光線吸収材料含有層および色材層上に受容層を熱溶融転写し、次いで、染料層から、イエロー、マゼンダおよびシアン染料を受容層上へ移行させ、64/255階調グレー画像を形成させた。
さらに、画像を形成させた受容層上へ、熱転写シートが備える保護層を熱溶融転写し、積層体を得た。
(比較例1)
熱転写シートの作製において、乾燥時の塗工量が、0.2μm、0.4μm、1.2μmになるようなセル形状が不規則に設けられた版に代え、乾燥時の塗工量が、0.4μmになるようなセル形状が設けられた版を用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写シートおよび積層体を作製した。
(比較例2)
熱転写シートが備える色材層を、不可視光線吸収材料含有層が形成された部分を含め、被転写体全体に熱溶融転写した以外は、比較例1と同様にして積層体を作製した。
<目視認識試験>
実施例および比較例において作製した積層体を目視により観察し、不可視光線吸収材料含有層の位置および不可視光線吸収材料含有層が形成するコードパターンを認識することができるかを、下記評価基準に従い、評価した。評価結果を表1に表す。
(評価基準)
A:予め不可視光線吸収材料含有層の位置を知っている人が見ても、その位置、形状を認識することができなかった。
B:予め不可視光線吸収材料含有層の位置を知っている人が見ると、その位置、形状を認識することができたが、知らない人が見た場合、その位置、形状を認識できなかった。
C:予め不可視光線吸収材料含有層の位置、形状を知らない人が見ても、その位置、形状を認識することができた。
Figure 2017177543
10:積層体
11:被転写体
12:不可視光線吸収材料含有層
13:色材層
13a:領域A
13b:領域B
13c:領域C
14:受容層
15:保護層
20:熱転写シート
21:基材
22:染料層
23:プライマー層
24:剥離層
25:背面層

Claims (11)

  1. 被転写体と、
    前記被転写体上の不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層と、
    前記被転写体上であって、前記不可視光線吸収材料含有層が形成された部分以外の部分に色材層と、を備え、
    前記色材層が、前記不可視光線吸収材料含有層の厚さの2倍より大きく、3倍以下の厚さの領域(A)、前記不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍より大きく、2倍以下の厚さの領域(B)および前記不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍以下の厚さの領域(C)を有することを特徴とする、積層体。
  2. 前記不可視光線吸収材料含有層の色と、前記色材層の色とが同系色である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記不可視光線吸収材料含有層および前記色材層上に、受容層をさらに備える、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記受容層上に、保護層をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体の製造方法であって、
    被転写体を準備する工程と、
    前記被転写体上に、不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層を形成する工程と、
    前記被転写体上であって、前記不可視光線吸収材料含有層を形成した以外の部分に、色材層を形成する工程と、を含むことを特徴とする、積層体の製造方法。
  6. 前記不可視光線吸収材料含有層と前記色材層の少なくともいずれか一方がぼかし印刷法を用いて形成されたものである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記不可視光線吸収材料含有層および前記色材層上に、受容層を形成する工程と、前記受容層上に、画像を形成する工程とをさらに含む、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記画像が形成された受容層上に、保護層を形成する工程をさらに含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体の製造に使用する熱転写シートであって、
    基材と、
    前記基材上に、不可視光線吸収材料含有層および前記基材側に色材層を面順次備え、
    前記色材層が、前記不可視光線吸収材料含有層の厚さの2倍より大きく、3倍以下の厚さの領域(A)、前記不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍より大きく、2倍以下の厚さの領域(B)および前記不可視光線吸収材料含有層の厚さの0.5倍以下の厚さの領域(C)を有することを特徴とする、熱転写シート。
  10. 前記基材と、前記色材層との間に、離型層をさらに備える、請求項9に記載の熱転写シート。
  11. 前記離型層が、前記色材層側に前記領域(A)乃至(C)に対応する凹凸部を有する、請求項10に記載の熱転写シート。
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