JP2017177500A - ガラス繊維織物複合不燃シート材及びそれを用いた膜構造の建築物 - Google Patents

ガラス繊維織物複合不燃シート材及びそれを用いた膜構造の建築物 Download PDF

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Abstract

【課題】テント倉庫用膜材料に用いる際に、フォークリフトや積荷がテント倉庫に接触しても、その損傷ダメージをより小さいものとする効果を有するような、高い引張強さと高い引裂き強さを併せもつガラス繊維織物複合不燃シート材の提供。【解決手段】樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物の少なくとも片面にメッシュが接着剤または樹脂で固着されているガラス繊維織物複合不燃シート材を用い、特にガラス繊維織物の経糸方向、緯糸方向の織り糸を150tex以下、かつ特定のカバー・ファクターK値を具備するメッシュを使用する。【選択図】なし

Description

本発明は膜構造の建築物に使用されるガラス繊維織物複合不燃シート材であって、好ましくは膜構造の建築物のテント倉庫建築物用の膜材料に好適なガラス繊維織物複合不燃シート材に関するものである。
膜構造の建築物に使用される膜材料の基布は、ガラス繊維織物やポリアミド系、ポリアラミド系、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系又はオレフィン系樹脂の合成繊維の織物が使用されている。テント倉庫建築物は、主に工場敷地内に建設され、資材や原料、中間品や製品などを一時的に保管するための施設で、屋根部分、側壁部分とも膜材料で構成された建築物である。それ故、テント倉庫建築物に出入りするフォークリフトの衝突や積荷の接触によるテント倉庫建築物の穴開き破損が度々生じている。
特に、基布にガラス繊維織物を使用した膜材料はガラス繊維糸が不燃性能に優れるという防災上の安全性を活かし、膜構造の建築物やテント倉庫建築物の膜材料に広く使われるようになってきている。
ガラス繊維糸を経糸及び緯糸に用いたガラス繊維織物を基布としたシート材は、ガラス繊維糸が高い引張強さ持つため膜材料も高い引張強さを持つ。しかし、ガラス繊維糸は折り曲げに弱いため膜材料の引裂強さに劣る欠点があり、そのためフォークリフトや積荷の衝突で、テント倉庫建築物の破損が鍵裂き状に伝播して、その補修を大掛かりなものとしている。現在テント倉庫建築物の膜材料の基布のガラス繊維織物は、最低限の引裂強さを確保するため、経糸方向、緯糸方向の織り糸の番手が135tex以上の糸が用いられ、このような破損事故に対するガラス繊維織物による対応が行われているが、ガラス繊維糸は折り曲げに弱いという固定観念によりこれ以上何ら検討もなされていない。
基布のガラス繊維織物の織り糸の更に詳しくは、番手が67.5texで25mm当り1.0回のZ撚りの単糸のガラス繊維糸を用い、これを25mm当り4.0回のZ撚りの追撚りを加えたものを2本撚り合わせ25mm当り3.8回のS撚りの合撚糸の織り糸の番手135texを用いるのが殆どである。しかしこの場合、合撚糸を織り糸とするため、合撚工程が必要となり、合撚工程での織り糸への汚れ付着が、透光率の高い膜材料の場合は織り糸汚れが美観を損ねるという問題が生じ、近年のテント倉庫建築物は、日中、内部の照明の省エネルギーの観点より、透光率の高い膜材料が求められることが多いので大きな問題となってきている。また合撚という余分な1工程が必要で、経済合理性の観点でも好ましくはないが、前記記載の通りガラス繊維糸は折り曲げに弱いという固定観念によりこれ以上何ら検討もなされていない。
特開2011−213093号公報 特開2002−86641号公報 特開2005−169655号公報
本発明は膜構造の建築物に使用されるガラス繊維織物複合不燃シート材であって、特にガラス繊維糸が不燃性能に優れるという特徴を活かし、膜構造の建築物のテント倉庫建築物に用いる際に、フォークリフトや積荷がテント倉庫に接触しても、その損傷ダメージをより小さいものとする効果を有するような、高い引張強さと高い引裂強さを併せもち、かつ不燃性能も優れたガラス繊維織物複合不燃シート材を提供することを課題とする。
本発明者等は、両面に樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物の両面または片面にメッシュが接着剤または樹脂で固着されているシート材とすることで、高い引張強さと高い引裂強さを併せもち、かつ不燃性能も優れたガラス繊維織物複合不燃シート材が得られることを見出し、発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物を基材に、この基材の少なくとも片面にメッシュが固着された複合シート材であって、ASTM−E1354に規定される発熱性試験において、前記複合シート材に50kW/mの輻射熱を照射した時の、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であることを特徴とするガラス繊維織物複合不燃シート材。
(2)前記ガラス繊維織物の経糸方向、緯糸方向の織り糸の番手が150tex以下であることを特徴とする上記(1)のガラス繊維織物複合不燃シート材。
(3)前記メッシュが、下記(1)式の経糸のカバー・ファクターと、下記(2)式の緯糸のカバー・ファクターの和による下記(3)式のカバー・ファクターのK値が、5 < K < 500の範囲にあることを特徴とする上記(1)〜(2)のいずれかのガラス繊維織物複合不燃シート材。
[但し上記式中
は経糸の密度(単位 本/cm)を表し、
は経糸の繊度(単位 dtex)を表し、
は緯糸の密度(単位 本/cm)を表し、
は緯糸の繊度(単位 dtex)を表す。]
(4)前記メッシュの経糸と緯糸が、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、オレフィン系、アラミド系、炭素繊維系、及びステンレス系から選ばれた1種以上のヤーンである上記(1)〜(3)のいずれかのガラス繊維織物複合不燃シート材。
(5)前記樹脂被覆層が、ふっ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムから選ばれた1種以上である上記(1)〜(4)のいずれかのガラス繊維織物複合不燃シート材。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかのガラス繊維織物複合不燃シート材を用いることを特徴とする膜構造の建築物。
本発明によれば、建築物に使用されるガラス繊維織物複合不燃シート材であって、特にガラス繊維糸が不燃性能に優れるという特徴を活かし膜構造の建築物の膜材料に用いた場合、高い引張強さと高い引裂強さを併せもつ、特にテント倉庫建築物の膜材料に好適なガラス繊維織物複合不燃シート材が提供される。
本発明を以下の好適例により説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明において、樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物、に用いるガラス繊維織物は、ガラス繊維糸を使用し、そのフィラメント径は3〜13μmでガラスフィラメントは50〜2000本集束した無撚糸、または必要に応じて撚りを掛けた弱撚糸や強撚糸、及び合撚糸などを適宜用いる。また、ガラス繊維糸の組成は特に限定されず、Eガラス、Sガラス、Rガラス、Tガラス、NEガラス、Lガラス等のガラス組成のガラス繊維糸を用いることができる。
本発明に用いるガラス繊維織物のガラス繊維糸の番手は、1.5〜500texの無撚糸、または必要に応じて撚りを掛けた弱撚糸や強撚糸、及び合撚糸などを適宜用いるが、好ましくは1.5tex以上150tex以下が好ましく、更に好ましくは撚数が25mm当りに1.5回以下の弱撚糸の単糸が好ましい。また、ガラス繊維織物の織り組織は、平織、綾織、朱子織の基本組織、あるいは、これら3つの基本組織から誘導し、変化および混合させてつくった織り組織を用いることができる。
本発明はガラス繊維糸の優れた不燃性能と高い引張強さの特徴を活かし、ガラス繊維糸の折り曲げに弱いという欠点を、メッシュで補うという新規な概念を具現化した発明で、樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物を基材に、この基材の少なくとも片面にメッシュが固着されたガラス繊維織物複合不燃シート材であり、このメッシュのカバー・ファクターのK値が5 < K < 500の範囲、特に10 < K < 350の範囲であることが好ましい。カバーファクターのK値が5より少ない場合はメッシュで補う効果は発現せず、500を超える場合はガラス繊維織物複合不燃シート材としての不燃性能が損なわれてしまう。この不燃性能の指標としては、ASTM−E1354に規定される発熱性試験において、シート材に50kW/mの輻射熱を照射した時の、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であれば、不燃性能が優れるとされている。
本発明のメッシュの経糸及び緯糸は、モノフィラメントヤーン、テープヤーン、マルチフィラメントヤーン、コーテッドヤーン(樹脂含浸糸条、または樹脂被覆糸条)の何れであってもよいが、高い引裂強度を得るためにはマルチフィラメントヤーンを用いるのが好ましく、メッシュの経糸と緯糸が、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、オレフィン系、アラミド系、炭素繊維系、及びステンレス系(単線、またはマルチフィラメント)から選ばれた1種以上が好ましく、特にマルチフィラメントヤーン、あるいはマルチフィラメントヤーンを芯とするコーテッドヤーンであることが好ましい。
本発明のメッシュの形態は、ネット状の織物(平織物、からみ織物、摸紗織物など)、経糸と緯糸を直線状に配列できるネット状のラッセル編物、または経糸と緯糸を格子状に重ねて樹脂固定してなるネット状の直交布、たとえば倉敷紡績株式会社製:商品名「クレネット」、及び2軸延伸ネットなどが好ましく、さらにステンレスネット(金網)なども用いることができる。
本発明のガラス繊維織物複合不燃シート材において、その構成成分であるガラス繊維織物、及び/またはメッシュには、必要に応じて予め撥水剤の処理を施して、雨水などの浸透を防止する吸水防止処理を施すことができる。この吸水防止処理に際し、ガラス繊維織物の樹脂被覆層、及び/またはメッシュを固着するのに使用する接着剤または樹脂との接着性向上を図るために、助剤の添加を行ってもよく、フッ素系撥水剤に、助剤としてシランカップリング剤を併用した吸水防止処理を施すことが好ましい。また、ガラス繊維織物に予め接着剤等を塗布し、樹脂被覆層との接着性を高める処理を施してもよく、この接着剤としては塩化ビニル系、ウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系などが使用でき、イソシアネート系化合物、オキサゾリン系化合物などの架橋剤との併用が特に好ましい。
本発明のガラス繊維織物複合不燃シート材において、樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物による基材の、樹脂被覆層に用いる樹脂については、使用される用途によって、適宜選択すればよいが、特に膜構造の建築物の膜材料に使用する場合は、ふっ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム等の耐候性と難燃性を兼ね備えたハロゲン含有樹脂及びゴムの単独使用、または併用が好ましい。本発明のガラス繊維織物複合不燃シート材において、加工性やシート材の風合い、耐久性などを調整する必要があれば、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂(共重合体を包含する)を適宜併用することができる。
本発明のガラス繊維織物複合不燃シート材において、樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物の樹脂被覆層にふっ素系樹脂を用いる場合は、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(PETFE)、二フッ化エチレンとフッ素ゴムとの共重合体を始めとする軟質ふっ素樹脂、及び熱可塑性ふっ素樹脂等を、公知の樹脂被覆方法、例えば、コーティング法、フィルム接着法、カレンダートッピング法、押し出しラミネート法などで行うことができる。
本発明のガラス繊維織物複合不燃シート材において、樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物の樹脂被覆層に塩化ビニル系樹脂を用いる場合は、塩化ビニル系樹脂を主成分として含み、さらに可塑剤と無機系難燃剤とを含むものが使用できる。すなわち、塩化ビニル系樹脂に可塑剤又は可塑化作用を有する重合体と、無機系難燃剤とを含み、さらに必要により無機充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、防カビ剤、及び/又は接着剤などを配合した軟質塩化ビニル系樹脂組成物を使用することが好ましい。軟質塩化ビニル系樹脂は、防水性、屈曲性、耐候性、耐寒性、及び着色性に優れ、また所望の意匠を容易に付与することができる。
この主成分の塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル重合体、並びに塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・アクリル酸エステル共重合体、及び塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体などを包含し、これらを単独に、或いは2種類以上を混合したものなどが用いられる。
また、可塑剤について特に制限は無いが、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジヘブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジ−n−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、及びブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル系可塑剤、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルなどの非フタル酸エステル系可塑剤が使用され、また、ポリエステル系可塑剤として、アジピン酸を2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−エチルヘキサノール、及びn−オクタノールなどのグリコール類の1種以上によりエステル化した生成物などを用いることができ、更にトリメリット酸系可塑剤としては、トリ2−エチルヘキシルトリメリレート、及びトリイソデシルトリメリレートなどを用いることができ、その他の可塑剤として、2−エチルヘキシルピロメリレートなどのピロメリット酸系可塑剤なども使用できる。又、可塑化作用を有する重合体としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体、及び/又はエチレン−アクリル酸エステル共重合体に一酸化炭素を導入した重合体が使用できる。この様な重合体には、三井デュポンケミカル社製のエルバロイ742(商標)が包含される。
塩化ビニル系樹脂に対する可塑剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して30〜160重量部であることが好ましく、35〜120重量部であることがより好ましい。可塑剤の添加量が30重量部を下回ると、得られる塩化ビニル樹脂被覆層が過度に硬くなり、屈曲等の動きに追従できなくなり、亀裂が発生しやすくなることがある。また、可塑剤の添加量が160重量部を超えると、得られる塩化ビニル樹脂被覆層の樹脂強度の低下や、可塑剤が塩化ビニル樹脂被覆層の表面に移行して、表面に汚れが付着しやすくなるなどの問題を発生することがある。
塩化ビニル系樹脂被覆層には無機系難燃剤が含まれており、無機系難燃剤の配合量は塩化ビニル系樹脂100重量部に対し0.5〜170重量部であることが好ましく、1〜130重量部であることが更に好ましい。無機系難燃剤の配合量が0.5重量部未満の場合は、塩化ビニル樹脂被覆層の難燃性が不十分となり、また、170重量部を越える場合には、塩化ビニル樹脂被覆層の柔軟性及び樹脂強度が低下し、被膜の耐屈曲性の低下や、基布のガラス繊維織物と塩化ビニル樹脂被覆層との間の剥離強度の低下がある。
塩化ビニル系樹脂被覆層に使用される無機系難燃剤としてはアンチモン化合物、モリブデン化合物、ほう酸亜鉛、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ポリリン酸アンモン、赤リンなどを単独で或いは2種類以上の混合物として使用できる。これらの中で特に、無機系難燃剤として好ましいものは三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどのアンチモン化合物及びモリブデン化合物である。アンチモン化合物は、塩化ビニル系樹脂に高い難燃性を付与し、燃え広がりを防止する作用が強く、またモリブデン化合物は燃焼熱を低く抑え、発煙量を抑え有害燃焼ガスを低減する。モリブデン化合物としては、モリブデン酸カルシウム亜鉛、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸炭酸カルシウム、モリブデン酸アンモン等が挙げられる。また、無機系難燃剤には、あらかじめシランカップリング処理を施し塩化ビニル系樹脂被覆層との密着性を高めておいても良い。また他の難燃剤、例えばブロム系防炎剤、リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、塩素化パラフィンなども適宜使用できる。ブロム系防炎剤としてはデカブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモメチルベンゼン、ヘキサブロモベンゼンなどが使用できる。リン酸エステルとしてはトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等が使用できる。
塩化ビニル系樹脂被覆層に含まれる安定剤としては、カルシウム・亜鉛系、バリウム・亜鉛系、カドミウム・バリウム系、鉛系、有機錫ラウレート系、及び有機錫メルカプタイト系、及びエポキシ系などの安定剤を単独或いはその2種以上を混合して使用できる。
本発明のガラス繊維織物複合不燃シート材において、ガラス繊維織物に塩化ビニル系樹脂層を設ける場合は、それを予めフィルム化し、これをガラス繊維織物に熱ラミネートする方法、ガラス繊維織物上に樹脂を溶融コーティングする方法、ガラス繊維織物上に液状樹脂をコーティングする方法、及びガラス繊維織物を液状樹脂中にディッピングする方法などを単独または組み合わせて行われる。また、その表面最外層に熱可塑性樹脂を主成分として含む、汚れ防止層を形成することができる。この目的に用いられる熱可塑性樹脂としてはアクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びウレタン系樹脂などが使用できる。
本発明のガラス繊維織物複合不燃シート材において、ガラス繊維織物にクロロプレンゴム、若しくはクロロスルフォン化エチレンゴムの樹脂被覆層を設ける場合は、公知の樹脂被覆方法、例えばコーティング法、カレンダートッピング法、押し出しラミネート法などで行うことができる。
本発明のガラス繊維織物複合不燃シート材において、樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物による基材の少なくとも片面にメッシュを接着剤または樹脂で固着する場合の、接着剤または樹脂は、ガラス繊維織物の両面に設けられる樹脂被覆層との相容性を考慮し、適宜選択すれば良いが、接着剤としては塩化ビニル系、ウレタン系、ポリエステル系、アクリル系などの柔軟性のある接着剤が好ましく、イソシアネート系化合物、オキサゾリン系化合物などの架橋剤との併用が特に好ましい。また、樹脂としては、ガラス繊維織物の両面に設けられる樹脂被覆層の樹脂と同じものを用いるのが好ましい。
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<ガラス繊維織物>
ガラス繊維糸の番手67.5texで撚り数0.7Zの弱撚糸の単糸を、経糸の密度17.3本/cm、緯糸の密度13.0/cm、織り組織を平織としたガラス繊維織物を製織した。このガラス繊維織物をフッ素系撥水剤3%、シランカップリング剤1%を含む水系処理浴中にディッピングしピックアップ率45%になるようゴムマングルで絞り、これを180℃の乾燥機中で2分間乾燥し、吸水防止処理が施されたガラス繊維織物を得た。
<両面に樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物>
前記吸水防止処理が施されたガラス繊維織物に、下記組成(i):
塩化ビニル樹脂 100.0重量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート 85.0重量部
三酸化アンチモン 50.0重量部
Ba−Zn系安定剤 3.0重量部
紫外線吸収剤 0.5重量部
イソシアネート系接着剤 5.0重量部
顔料(酸化チタン) 3.0重量部
の塩化ビニル樹脂ペーストゾルをディッピングし、185℃の乾燥機中で2分間ゲル化熱処理し、塩化ビニル樹脂ディッピングガラス繊維織物を得た。
次に、下記組成(ii):
塩化ビニル樹脂 100.0重量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート 40.0重量部
Ba−Zn系安定剤 2.0重量部
紫外線吸収剤 0.3重量部
顔料(酸化チタン) 3.0重量部
をバンバリーミキサーで混練しカレンダーでフィルムを作成し、このフィルムを前記塩化ビニル樹脂ディッピングガラス繊維織物の片面に熱ラミネート処理し、両面に樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物を得た。
<メッシュ>
カバー・ファクターのK値が135である、経糸緯糸ともポリエステルフィラメントの番手560dtexを経糸緯糸とも密度2.85本/cmの直行布の倉敷紡績株式会社製クレネットの商品名E3590のメッシュを用いた。
<ガラス繊維織物複合不燃シート材>
次に、前記、両面に樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物のフィルム層がない面に、メッシュを配置し、さらには前記組成(ii)のフィルムをメッシュを包含するように配置した後、熱ラミネート処理を行い、ガラス繊維織物複合不燃シート材を得た。
[実施例2]
<ガラス繊維織物>
実施例1と同様にして吸水防止処理が施されたガラス繊維織物を得た。
<両面に樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物>
実施例1と同様にして両面に樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物を得た。
<メッシュ>
カバー・ファクターのK値が341である、経糸緯糸ともポリエステルフィラメントの番手278dtexを経糸緯糸とも密度10.2本/cmの平織をメッシュとし用い、このメッシュに、
組成(iii):
塩化ビニル樹脂 100.0重量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート 85.0重量部
三酸化アンチモン 50.0重量部
Ba−Zn系安定剤 3.0重量部
紫外線吸収剤 0.5重量部
顔料(酸化チタン) 3.0重量部
の塩化ビニル樹脂ペーストゾルをディッピングし、185℃の乾燥機中で2分間ゲル化熱処理し、塩化ビニル樹脂ディッピングメッシュを得た。
<ガラス繊維織物複合不燃シート材>
次に、前記、両面に樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物のフィルム層がない面に、前記塩化ビニル樹脂ディッピングメッシュを配置し、熱ラミネート処理を行い、ガラス繊維織物複合不燃シート材を得た。
[比較例1]
<ガラス繊維織物>
実施例1と同様にして吸水防止処理が施されたガラス繊維織物を得た。
<両面に樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物>
実施例1と同様にして両面に樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物を得た。
<有機繊維メッシュ>
カバー・ファクターのK値が557である、経糸緯糸ともポリエステルフィラメントの番手556dtexを経糸緯糸とも密度11.8本/cmの平織をメッシュとし用い、このメッシュに、
前記組成(iii)の塩化ビニル樹脂ペーストゾルをディッピングし、185℃の乾燥機中で2分間ゲル化熱処理し、塩化ビニル樹脂ディッピングメッシュを得た。
<ガラス繊維織物複合不燃シート材>
実施例2と同様にしてシート材を得た。
[比較例2]
実施例1と同様にして吸水防止処理が施されたガラス繊維織物を得た。
前記吸水防止処理が施されたガラス繊維織物に前記組成(i)の塩化ビニル樹脂ペーストゾルをディッピングし、185℃の乾燥機中で2分間ゲル化熱処理し、塩化ビニル樹脂ディッピングガラス繊維織物を得た。
次に、前記組成(ii)のフィルムを、前記塩化ビニル樹脂ディッピングガラス繊維織物の両面に配置し熱ラミネート処理し、シート材を得た。
[比較例3]
ガラス繊維糸の番手135texで撚り数3.8Sの合撚糸を、経糸の密度11.2本/cm、緯糸の密度11.8本/cm、織り組織を平織としたガラス繊維織物を用いた以外は、比較例2と同様にしてシート材を得た。
上記、実施例1、2、及び比較例1、2、3で得られたシート材の結果を表1に示す。尚、厚さ、質量、引張強さ、伸び率、引裂強さ、総発熱量は以下の方法で測定を行った。
[厚さ]
JIS L1096(2010年)に従いシート材の厚さを測定した。
[質量]
JIS L1096(2010年)に従いシート材の質量を測定した。
[引張強さ]
JIS L1096(2010年)のA法(ストリップ法)に従いシート材の経糸方向と緯度糸方向の引張強さを測定した。
[伸び率]
JIS L1096(2010年)のA法(ストリップ法)に従いシート材の経糸方向と緯度糸方向の伸び率を測定した。
[引裂強さ]
JIS L1096(2010年)のA法(シングルタング法)に従いシート材の経糸方向と緯度糸方向の引裂強さを測定した。
[総発熱量]
シート材の表面に、輻射電気ヒ−タ−を用い50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験(ASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験)において、加熱開始後20分間の総発熱量を測定した。
本発明のガラス繊維織物複合不燃シート材を膜構造の建築物のテント倉庫建築物用の膜材料に用いる場合は、平成14年7月23日、国土交通省告示第667号に適合していなければならず、以下、主要項目を列記すると、
(1)厚さ 0.45mm以上、かつ、質量 400g/m2以上
(2)引張強さ 1200N/3cm以上
(3)伸び率 40%以下
(4)引裂強さ(シングルタング法) 78N以上
である。
現在、ガラス繊維織物を基布としたテント倉庫用膜材料は比較例3に類するものが多く使われておりシート材の質量が780〜850g/mのシート材が殆どであり、本発明のガラス繊維織物複合不燃シート材は質量は700g/m未満と軽量となり、シート材の縫製時の作業性向上や施工性の向上に繋がる。
また本発明のガラス繊維織物複合不燃シート材を膜構造の建築物の鉄骨部材等に定着させる場合に、メッシュ側を鉄骨部材に定着させることでも施工性の向上に繋がり、さらには膜構造の建築物の耐久性の向上にも繋がる。
本発明のガラス繊維織物複合不燃シート材を、特にガラス繊維糸が不燃性能に優れるという特徴を活かして膜構造建築物の膜材料に用いた場合、高い引張強さと高い引裂強さを併せもつので、特にテント倉庫用膜材料に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 樹脂被覆層が設けられたガラス繊維織物を基材に、この基材の少なくとも片面にメッシュが固着された複合シート材であって、ASTM−E1354に規定される発熱性試験において、前記複合シート材に50kW/mの輻射熱を照射した時の、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であることを特徴とするガラス繊維織物複合不燃シート材。
  2. 前記ガラス繊維織物の経糸方向、緯糸方向の織り糸の番手が150tex以下であることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維織物複合不燃シート材。
  3. 前記メッシュが、下記(1)式の経糸のカバー・ファクターと、下記(2)式の緯糸のカバー・ファクターの和による下記(3)式のカバー・ファクターのK値が、5 < K < 500の範囲にあることを特徴とする請求項1〜2に記載いずれか1項のガラス繊維織物複合不燃シート材。
    [但し上記式中
    は経糸の密度(単位 本/cm)を表し、
    は経糸の繊度(単位 dtex)を表し、
    は緯糸の密度(単位 本/cm)を表し、
    は緯糸の繊度(単位 dtex)を表す。]
  4. 前記メッシュの経糸と緯糸が、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、オレフィン系、アラミド系、炭素繊維系、及びステンレス系から選ばれた1種以上のヤーンである請求項1〜3に記載いずれか1項のガラス繊維織物複合不燃シート材。
  5. 前記樹脂被覆層が、ふっ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムから選ばれた1種以上である請求項1〜4に記載いずれか1項のガラス繊維織物複合不燃シート材。
  6. 請求項1〜5に記載いずれか1項のガラス繊維織物複合不燃シート材を用いることを特徴とする膜構造の建築物。
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