JP2017177065A - 吸水剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機化合物の塩を用いた新規な吸水剤の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る吸水剤の製造方法は、有機化合物の塩を溶解又は分散させた添加液を吸水性樹脂に含浸させる含浸工程を有し、添加液CRCが、5g/g以上30g/g以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は吸水剤の製造方法に関する。
紙オムツ及び生理用ナプキン等のいわゆる失禁パッド等の衛生材料には、体液を吸収させることを目的として、パルプ等の親水性繊維と吸水性樹脂とをその構成材料とする吸水剤が幅広く利用されている。
近年、これらの衛生材料は、高機能化が進んでおり、種々の添加剤を利用して高機能な吸収剤の開発が行われている。
例えば、吸水剤が吸湿するような高湿下での取扱い性に優れ、かつ、加圧下の吸収特性に優れる吸水剤を提供する技術として、特許文献1には、非高分子水溶性有機化合物(無機酸化物微粒子)を特定量ないし特定割合で使用したポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤が記載されている。
特開2015−16450号公報
ところで、本願発明者らは、特許文献1に記載の技術以外にも、有機化合物を添加した吸水性樹脂の開発を行っている。このとき、吸水性樹脂の粉体流動性を損ねることなく、吸水性樹脂の表面近傍に有機化合物又はその塩を均一に分布させて、当該有機化合物又はその塩の持つ機能を十分に発揮させることが重要な技術的課題であることを独自に見出した。特許文献1では、この点については検討されていない。
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、有機化合物の塩を添加する新規な吸水材の製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、以下の本発明を完成させた。
本発明に係る吸水剤の製造方法は、有機化合物の塩を溶解又は分散させた添加液を表面架橋処理された吸水性樹脂に含浸させる含浸工程を有し、上記添加液500gを上記吸水性樹脂0.2gに30分間含浸させ、遠心分離機を用いて250Gで水切りした後の上記吸水性樹脂の吸収倍率である、添加液CRCが5g/g以上30g/g以下であることを特徴とする。
本発明に係る吸水剤の製造方法では、上記添加液の溶媒又は分散媒は、水とアルコール類との混合物であることが好ましい。
本発明に係る吸水剤の製造方法では、上記アルコール類は、多価アルコールであることが好ましい。
本発明に係る吸水剤の製造方法では、上記多価アルコールは、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
本発明に係る吸水剤の製造方法では、上記添加液中のアルコール類の濃度は、30重量%以上50重量%以下であることが好ましい。
本発明に係る吸水剤の製造方法では、上記添加液中の有機化合物の塩の濃度は、5重量%以上15重量%以下であることが好ましい。
本発明に係る吸水剤の製造方法では、上記添加液のpHが6以上であることが好ましい。
本発明に係る吸水剤の製造方法では、上記添加液の粘度が1mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。
本発明に係る吸水剤の製造方法では、上記有機化合物の塩は、アニオンとして有機アニオンを含むものであることが好ましい。
本発明に係る吸水剤の製造方法では、上記有機アニオンは、アミノカルボン酸誘導体アニオン、アミノアルコール誘導体アニオン、ヒドロキサム酸誘導体アニオン、ヒドロキシカルボン酸誘導体アニオン又はポリアミン誘導体アニオンであることが好ましい。
本発明によれば、吸水性樹脂の粉体流動性を損なうことなく、吸水性樹脂の表面近傍に有機化合物の塩を均一に分布させて、当該有機化合物の塩の持つ機能を十分に発揮させ得る吸水剤を提供することができる。
〔1〕用語の定義
(1−1)吸水剤
本明細書において、「吸水剤」とは、吸水性樹脂を主成分(好ましくは全体の60重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上)とする水性液のゲル化剤であり、その他に、任意成分として水、無機微粒子、カチオン性高分子化合物、水溶性多価金属カチオン含有化合物、界面活性剤、着色防止剤、耐尿性向上剤、消臭剤、香料、抗菌剤、発泡剤、顔料、染料、肥料、酸化剤及び還元剤等を、それぞれ0重量%以上10重量%以下、好ましくは0.1重量%以上1重量%以下含有してもよい。
(1−2)「吸水性樹脂」
本明細書における吸水性樹脂とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味する。尚、「水膨潤性」とは、ERT441.2−02で規定するCRC(無加圧下吸収倍率)が5g/g以上であることをいい、また、「水不溶性」とは、ERT470.2−02で規定するExtr(水可溶分)が0重量%以上50重量%以下であることをいう。
(1−3)「添加液CRC」
「添加液CRC」における「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、無加圧下吸収倍率を意味する。ここで、添加液CRCは、後述する添加液500gを吸水性樹脂0.2gに30分間含浸させ、遠心分離機を用いて250Gで水切りした後の上記吸水性樹脂の吸収倍率である。すなわち、通常のCRCと異なり、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)に対してではなく、実際に吸水性樹脂に含浸させる添加液500gを不織布中の吸水性樹脂0.2gに30分間含浸させ、吸水性樹脂を自由膨潤させた後、遠心分離機を用いて250Gで水切りした後の吸水性樹脂の吸収倍率(単位;g/g)である。
〔2〕吸水剤の製造方法
本発明に係る吸水剤の製造方法は、有機化合物の塩を溶解又は分散させた添加液を表面架橋処理された吸水性樹脂に含浸させる含浸工程を有している。
(2−1)含浸工程
本工程は、有機化合物の塩を溶解又は分散させた添加液を表面架橋処理された吸水性樹脂に含浸させる工程である。
(添加液)
添加液は、有機化合物の塩を溶解又は分散させた液であり、表面架橋工程後の吸水性樹脂に含浸するための液である。
添加液は、溶質又は分散質として、有機化合物の塩を含む。
溶媒又は分散媒としては、例えば、水とアルコール類との混合物、水とケトン類との混合物、水とエーテル類との混合物、及び、水とスルホキシド類との混合物等が挙げられ、水とアルコール類との混合物及び水とケトン類との混合物等が挙げられ、水とアルコール類との混合物、及び、水とケトン類との混合物が好ましく、水とアルコール類との混合物がより好ましい。特に、水とアルコール類との混合物を溶媒又は分散媒として用いた場合、有機化合物の塩を、より均一に吸水性樹脂に含浸させやすくなる。
また、添加液CRCは、5g/g以上30g/g以下であり、5g/g以上25g/g以下が好ましく、10g/g以上25g/g以下がより好ましい。
添加液CRCが5g/g以上であることにより、吸水性樹脂が添加液を十分に吸収できるため、吸水性樹脂の表面に添加液が残存しなくなる。その結果、吸水性樹脂の粉体流動性を損ねることがない。また、添加液CRCが30g/g以下であることにより、添加液の吸収が速すぎず、添加液中の有機化合物の塩が吸水性樹脂全体に拡散することで添加液を吸収させた部分に局所的に存在することがなくなり、有機化合物の塩を樹脂表面近傍に均一に分布させることができる。その結果、有機化合物の塩の持つ機能を十分に発揮させ、付加的な効果を与えることができる。
添加液のpHとしては、6以上が好ましく、7以上がより好ましく、8以上がさらに好ましい。pHが6以上であることにより、有機化合物の塩の溶解度を向上させ得るとともに、吸水性樹脂の変質を抑えることができる。
添加液の粘度としては、1mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、1mPa・s以上15mPa・s以下がより好ましく、1mPa・s以上10mPa・s以下がさらに好ましい。粘度が上述の好ましい範囲にあることにより、吸水性樹脂に対する添加液の均一な散布が容易である。
また、吸水性樹脂に含浸させる添加液の量としては、吸水性樹脂100重量部に対し、0.1重量部以上10重量部以下が好ましく、0.1重量部以上5重量部以下がより好ましく、0.5重量部以上2重量部以下がさらに好ましい。含浸させる量が上述の好ましい範囲にあることにより、吸水性樹脂の十分な吸水性能が得られる。
(水とアルコール類との混合物)
添加液の溶媒又は分散媒として、水とアルコール類との混合物を用いる場合、アルコール類の濃度としては、添加液中(すなわち、有機化合物の塩と、水と、アルコール類との合計量を100重量%としたときに)、30重量%以上50重量%以下が好ましく、30重量%以上45重量%以下がより好ましく、35重量%以上40重量%以下がさらに好ましい。
有機化合物の塩は難溶性であるため、添加液の溶媒(分散媒)として水を使用すると、添加液が懸濁液にある。そのため、吸水性樹脂の表面近傍に均一に有機化合物の塩を含浸させることができない。これに対し、上述のように、アルコール類の量が30重量%以上50重量%以下であることにより、有機化合物の塩を、水とアルコール類との混合物に溶解させることができる。その結果、有機化合物の塩を吸水性樹脂に均一に含浸させることができる。
(アルコール類)
アルコール類としては、例えば、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール及びt−ブチルアルコール等の低級アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオール、ポリプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びグリセリン等の多価アルコール;並びにエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール化合物等が挙げられ、多価アルコール及びアミノアルコール化合物が好ましく、多価アルコールがより好ましい。多価アルコールを用いることにより、有機化合物の塩を、水とアルコールとの混合物に、より溶解させやすくなる。
多価アルコールとしては、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール及びグリセリン等が好ましく、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール及びグリセリンがより好ましく、プロピレングリコールがさらに好ましい。プロピレングリコールをアルコール類として用いることにより、有機化合物の塩を、水とアルコール類との混合物により溶解させやすくなる。なお、多価アルコールは、1種又は2種以上を併用してもよい。
アルコール類の沸点は、100℃以上が好ましく、より好ましくは150℃以上である。100℃以上であることにより、吸水剤の製造中に揮発しにくい。
(水とケトン類との混合物)
添加液の溶媒又は分散媒として、水とケトン類との混合物を用いる場合、ケトン類の濃度としては、アルコール類と同様に、添加液中(すなわち、有機化合物の塩と、水と、ケトン類との合計量を100重量%としたときに)、30重量%以上50重量%以下が好ましく、30重量%以上45重量%以下がより好ましく、35重量%以上40重量%以下がさらに好ましい。
上述のように、ケトン類の量が30重量%以上50重量%以下であることにより、有機化合物の塩を、水とケトン類との混合物に溶解させることができる。その結果、有機化合物の塩を吸水性樹脂に均一に含浸させることができる。
(ケトン類)
ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノン及びベンゾフェノン等が挙げられ、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましく、アセトンがより好ましい。アセトンを用いることにより、有機化合物の塩を、水とケトン類との混合物に、より溶解させやすくなる。
(有機化合物の塩)
有機化合物の塩は、添加液に分散又は溶解されるものである。
有機化合物の塩は、汎用性の観点から、アニオンとして有機アニオンを含むことが好ましい。ここで、有機化合物の塩がアニオンとして有機アニオンを含むとは、塩が解離したときに有機アニオンが生じるという事を意味する。有機アニオンとしては、例えば、ポリリン酸誘導体アニオン、アミノカルボン酸誘導体アニオン、アミノアルコール誘導体アニオン、1,3−ジケトン誘導体アニオン、アセト酢酸アニオン、ヒドロキサム酸誘導体アニオン、ヒドロキシカルボン酸誘導体アニオン、ポリアミン誘導体アニオン、芳香族複素環式塩基類、フェノール誘導体アニオン、オキシム誘導体アニオン、シッフ塩基、テトラピロール誘導体アニオン、イオウ化合物及びホスホン酸誘導体アニオン等が挙げられ、アミノカルボン酸誘導体アニオン、アミノアルコール誘導体アニオン、ヒドロキサム酸誘導体アニオン、ヒドロキシカルボン酸誘導体アニオン及びポリアミン誘導体アニオンであることが好ましく、アミノアルコール誘導体アニオン及びヒドロキサム酸誘導体アニオンであることがより好ましい。
有機化合物の塩の分子量としては、添加液の調製が容易であることから、50以上800以下が好ましく、50以上600以下がより好ましく、50以上400以下がさらに好ましい。
具体的な有機化合物の塩としては、消臭剤、金属石鹸、抗菌剤、着色防止剤、耐尿性向上剤、酸化剤及び還元剤等が挙げられる。
金属石鹸としては、具体的には、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸アルミニウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸アルミニウムを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、任意の有機酸と金属塩とを組み合わせることができる。また、該金属石鹸は、1種又は2種以上を併用してもよい。
また、着色防止剤及び耐尿性向上剤として、キレート剤(特に有機リン系キレート剤及びアミノカルボン酸系キレート剤)、α−ヒドロキシカルボン酸誘導体、ヒドロキサム酸誘導体、並びに、無機又は有機還元剤(特に硫黄系無機還元剤)から選ばれる着色防止剤又は耐尿性向上剤を含むことが好ましい。なお、表面積の大きい吸水性樹脂は、一般的に着色及び劣化し易い傾向にある。
キレート剤としては、米国特許第6599989号、同第6469080号、欧州特許第2163302号等に開示されたキレート剤、例えば、非高分子キレート剤、有機リン系キレート剤及びアミノカルボン酸系キレート剤が挙げられる。α−ヒドロキシカルボン酸誘導体としては、米国特許出願公開第2009/0312183号等に開示されたリンゴ酸塩、琥珀酸塩及び乳酸塩が挙げられる。ヒドロキサム酸誘導体としては、国内特許出願公開第1989/15045号等に開示されたアセトヒドロキサム酸塩及びベンゾヒドロキサム酸塩が挙げられる。無機又は有機還元剤としては、米国特許出願公開第2010/0062252号等に開示された硫黄系還元剤、例えば、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩等が挙げられる。
着色防止剤又は耐尿性向上剤の使用量は、吸水性樹脂100重量部に対して0重量部以上3重量部以下が好ましく、0.001重量部以上1重量部以下がより好ましく、0.05重量部以上0.5重量部以下がさらに好ましい。
添加液に含まれる有機化合物の塩の量は、有機化合物の塩と、水とアルコール類との合計量を100重量%としたときに、1重量部以上20重量部以下であることが好ましく、5重量部以上20重量部以下であることがより好ましく、5重量部以上15重量部以下であることがさらに好ましい。上述の好ましい範囲にあることにより、添加液CRCが好適な範囲に収まりやすくなる。
(吸水性樹脂)
吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物又はこれらの架橋体、カルボキシル基含有架橋ポリビニルアルコール変性物及び架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができ、これらの1種を用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
製造方法は後述する。
(含浸方法)
吸水性樹脂に添加液を含浸させる方法としては、例えば、添加液と吸水性樹脂とを撹拌下で混合させる方法、添加液に吸水性樹脂を浸漬させる方法、及び、添加液を流動過程の吸水性樹脂に散布する方法等が挙げられ、吸水性樹脂に均一に添加液を含浸させることができるという観点から、添加液を吸水性樹脂に撹拌下で混合させる方法及び添加液に吸水性樹脂を含浸させる方法が好ましい。
また、添加液を添加する前の吸水性樹脂の温度は、室温(23℃)以上200℃以下が好ましく、50℃以上200℃以下が好ましく、50℃以上100℃以下がさらに好ましい。
(その他の工程)
なお、本発明に係る吸水剤の製造方法は、添加液を含浸後の吸水性樹脂を、乾燥したり加熱したりする乾燥工程等をさらに有してもよい。加熱することで、吸水性樹脂への添加液中の溶媒又は分散媒の浸透が促進されて、表面が乾燥して迅速に粒子状となりうる。加熱温度は30℃以上250℃以下が好ましく、50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。また、時間も1秒以上3時間以下が好ましく、1分以上1時間以下がより好ましい。
また、本発明に係る吸水剤の製造方法は、加熱されることで粒子状となった吸水剤をさら解砕、分級又は造粒する解砕工程を有していてもよい。
(2−3)吸水性樹脂の製造方法
上述した吸水剤の製造方法で用いた吸水性樹脂の製造方法は、以下の重合工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、表面架橋工程、及び、その他の添加剤添加工程を含む。
(2−3−1)重合工程
本工程は、不飽和単量体を含む水溶液を重合して、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含
水ゲル」と称する)を得る工程である。
(不飽和単量体(架橋剤を除く))
吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物又はこれらの架橋体、カルボキシル基含有架橋ポリビニルアルコール変性物及び架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができ、これらの1種を用いてもよく、2種以上を併用することもできる。つまり、吸水性樹脂を得るために用いる不飽和単量体としては、所望する物性を得ることができる単量体を選択すればよい。なお、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、吸水性樹脂としては、ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体(同義語:ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂)を用いることが特に好ましい。
ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体を用いる場合、不飽和単量体として、アクリル酸(塩)を主成分として使用すればよいが、アクリル酸(塩)以外の単量体(以下、「他の単量体」と称する)を共重合成分として用いてもよい。これによって、最終的に得られる吸水剤に対して、抗菌及び消臭等の吸水性能とは別の性能を与えることができ、吸水剤をより安価に製造することができる。かかるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は任意にグラフト成分(例えば、澱粉、ポリビニルアルコールなど)を好ましくは0重量%以上50重量%以下、より好ましくは0重量%以上40重量%以下で含んでいてもよく、かかるグラフト重合体もポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂と総称する。
他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソブチレン及びラウリル(メタ)アクリレート等の水溶性又は疎水性の不飽和単量体を挙げることができる。
また、これら他の単量体の使用量は、不飽和単量体全体の総モル数に対して、0モル%以上50モル%以下、好ましくは0モル%以上30モル%以下、より好ましくは0モル%以上10モル%以下、さらに好ましくは0モル%以上5モル%以下である。換言すれば、主成分としてのアクリル酸(塩)の使用量は、70モル%以上100モル%以下が好ましく、90モル%以上100モル%以下がより好ましく、95モル%以上100モル%以下がさらに好ましいが、得られる吸水剤の吸水性能(AAP等)の観点から実質的に100モル%が最も好ましい。
なお、不飽和単量体(上述の他の単量体を含む)として、酸基を有する単量体を用いる場合、該不飽和単量体の塩として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩を用いればよい。これらのうち、得られる吸水剤の性能、並びに、不飽和単量体塩の工業的な入手容易性及び安全性等の観点から一価塩、特に一価金属塩、なかでもナトリウム塩及びカリウム塩を用いることが好ましい。
また、不飽和単量体としてアクリル酸(塩)を用いる場合、アクリル酸とアクリル酸塩との合計のモル数に対し、アクリル酸は0モル%以上50モル%含まれ、アクリル酸塩は50モル%以上100モル%以下(但し、両者の合計は100モル%以下)含まれることが好ましく、アクリル酸は、10モル%以上40モル%以下含まれ、アクリル酸塩は、60モル%以上90モル%以下含まれることが好ましい。すなわち、アクリル酸及びアクリル酸塩の合計量に対するアクリル酸塩のモル比である「中和率」は、50モル%以上100モル%以下が好ましく、60モル%以上90モル%以下がより好ましい。
アクリル酸塩を形成するには、重合前の単量体状態でのアクリル酸を中和する、重合途中又は重合後に重合体の状態で中和する、あるいは、これらの操作を併用することが挙げられる。また、アクリル酸及びアクリル酸塩を混合することで、アクリル酸(塩)を形成してもよい。
(内部架橋剤)
本発明における吸水性樹脂は、水膨潤性及び水不溶性を有していれば、内部架橋構造を有していると考えることができる。従って、内部架橋剤を用いずに不飽和単量体の自己架橋によって得られるものであってもよいが、好ましくは、不飽和単量体と内部架橋剤とを共重合又は反応させて得られるものがよい。なお、該内部架橋剤としては、一分子内に2以上の重合性不飽和基及び2以上の反応性基を有するものが挙げられる。
内部架橋剤として具体的には、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン及びグリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの内部架橋剤は1種のみを単独で用いてもよく、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。また、内部架橋剤は、反応系に一括して添加してもよく、分割して添加してもよい。さらに最終的に得られる吸水剤の吸水性能等を考慮して、2以上の重合性不飽和基を有する内部架橋剤を重合時に用いることが好ましい。
内部架橋剤の使用量は、吸水性樹脂の良好な物性を得る観点から、架橋剤を除く単量体に対して、0.001モル%以上2モル%以下が好ましく、0.005モル%以上0.5モル%以下がより好ましく、0.01モル%以上0.2モル%以下がさらに好ましく、0.03モル%以上0.15モル%以下が特に好ましい。内部架橋剤の使用量が、0.001モル%以上2モル%以下である場合、吸水性樹脂の十分な吸水性能が得られるため、好ましい。
内部架橋剤を用いて、内部架橋構造を吸水性樹脂内部に導入する場合には、内部架橋剤を、不飽和単量体の重合前若しくは重合途中、又は重合後、あるいは中和後に反応系に添加するようにすればよい。
(重合開始剤)
重合工程において使用される重合開始剤は、重合形態によって適宜選択され、特に限定されないが、例えば、光分解型重合開始剤、熱分解型重合開始剤及びレドックス系重合開始剤等を例示することができる。
光分解型重合開始剤として、例えば、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アゾ化合物等が挙げられる。また、熱分解型重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム)、過酸化物(過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド)、アゾ化合物(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、及び、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド等)等を例示することができる。また、レドックス系重合開始剤としては、過硫酸塩や過酸化物にL−アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム等の還元性化合物を併用し、両者を組み合わせた系を例示することができる。また、光分解型開始剤と熱分解型重合開始剤とを併用することも、好ましい形態として挙げることができる。
これらの重合開始剤の使用量は、単量体に対して、0.001モル%以上2モル%以下が好ましく、0.01モル%以上0.1モル%以下がより好ましい。重合開始剤の使用量が0.001モル%以上であることにより、残存モノマー量を増加させるおそれがない。重合開始剤の使用量が2モル%を超えないことにより、重合の制御が困難とならない。
(重合方法)
重合工程において、不飽和単量体を重合するに際して、バルク重合又は沈殿重合を行うことも可能ではあるが、得られる吸水性樹脂の性能、重合制御の容易性、及び含水ゲルの吸水性能等の観点から、不飽和単量体を水溶液として重合を行う水溶液重合又は逆相懸濁重合が好ましく採用される。なお、該不飽和単量体には、上述した他の単量体及び内部架橋剤を含むものとする。
不飽和単量体を水溶液とする場合、該水溶液中の単量体濃度としては、水溶液の温度及び単量体の種類によって決まり、特に限定されるものではないが、10重量%以上70重量%以下が好ましく、20重量%以上60重量%以下がより好ましい。
不飽和単量体の重合は、重合開始剤の添加、紫外線や電子線、γ線等の活性エネルギー線の照射、又はこれらの併用によって開始する。なお、重合反応における反応温度としては、使用する重合開始剤及び活性エネルギー線の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、15℃以上130℃以下が好ましく、20℃以上120℃以下がより好ましい。上述の好ましい範囲にあることにより、得られる吸水性樹脂の残存モノマー量が増加したり、自己架橋反応が過度に進行したりせず、吸水性樹脂の吸水性能が低下するおそれがないため、好ましい。
なお、逆相懸濁重合とは、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させて重合を行う方法であって、例えば、米国特許第4093776号、同第4367323号、同第4446261号、同第4683274号及び同第5244735号等に開示されている。
また、水溶液重合とは、分散溶媒を用いずに単量体水溶液を重合する方法であって、例えば、米国特許第4625001号、同第4873299号、同第4286082号、同第4973632号、同第4985518号、同第5124416号、同第5250640号、同第5264495号、同第5145906号、同第5380808号等、欧州特許第0811636号、同第0955086号及び同第0922717号等に開示されている。なお、水以外の溶媒を必要に応じて併用してもよく、その種類等は特に限定されない。
従って、不飽和単量体及び重合開始剤等を各特許文献に開示された重合方法に適用することで、吸水性樹脂を得ることができる。
(2−3−2)乾燥工程
本工程は、重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル)を乾燥する工程である。なお、重合工程が水溶液重合である場合には、含水ゲルの乾燥前及び/又は乾燥後に、通常、粉砕化処理を行う。
乾燥は、目的の含水率とすることができれば、特に限定されず、種々の手法を採用することができる。具体的には、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、疎水性有機溶媒との共沸による脱水、及び、高温の水蒸気を用いた高湿乾燥等を用いればよい。これらの中で熱風乾燥を行う場合、その熱風温度としては、通常60℃以上250℃以下であり、好ましくは100℃以上220℃以下、より好ましくは120℃以上200℃以下である。また、乾燥時間としては、含水ゲルの表面積及び含水率並びに乾燥装置の種類に依存するため、目的とする含水率となるように、例えば、1分間以上5時間以下の範囲内で適宜選択すればよい。
なお、逆相懸濁重合によって得られる含水ゲルは、特に粉砕化処理を行うことなく、以下の手順で乾燥することができる。すなわち、例えば、ヘキサン等の炭化水素系の有機溶媒中に含水ゲルを分散させた状態で共沸脱水をし、含水ゲルの含水率を40重量%以下、好ましくは30重量%以下とする。その後、デカンテーション又は、蒸発によって、有機溶媒と含水ゲルとを分離することで、吸水性樹脂が得られる。この場合でも、必要に応じてさらに乾燥処理を行ってもよい。なお、これら乾燥工程中に、乾燥と同時に表面架橋を行ってもよい。
乾燥工程後の含水率は、乾燥減量(粉末又は粒子1gを180℃で3時間加熱)から求められ、乾燥後の樹脂固形分(100−含水率)は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上99重量%以下、さらに好ましくは90重量%以上98重量%以下の範囲に調整され、乾燥重合体を得ることができる。
(2−3−3)粉砕工程、分級工程
本工程は、乾燥工程で得られた乾燥重合体を、粉砕及び/又は分級して、吸水性樹脂を得る工程であり、粉砕工程後に得られる吸水性樹脂を粉砕物と称することもある。
なお、逆相懸濁重合においては、分散重合時に粒子径の制御が行われるため、粉砕工程は任意であるが、必要により、粉砕又は凝集物を解砕(凝集をほぐす操作)を行ってもよい。また、水溶液重合においても、重合時及び重合後のゲル細分化の程度によって、乾燥後の粉砕工程を省略することも可能ではあるが、さらに粉砕及び分級を行うことが好ましい。
すなわち、乾燥工程で得られた乾燥重合体を、そのまま吸水性樹脂とすることもできるが、本発明の吸水剤を得るため、好ましくは粉砕及び分級によって、特定粒度に制御することが好ましい。粒度制御は、本粉砕工程及び分級工程に限らず、重合工程、微粉回収工程及び造粒工程等で適宜実施することができる。以下、粒度は標準篩(JIS Z8801−1(2000))で規定する。
(2−3−4)表面架橋工程
以上のように、架橋重合及び乾燥処理が施され、必要に応じて粉砕されて吸水性樹脂が得られる。その後、さらに、該吸水性樹脂の表面に架橋(二次架橋)処理を施して吸水性樹脂とすることによって、表面近傍の架橋密度を高めて、吸水性樹脂の諸物性の改良を行うことが好ましい。
以下、吸水剤の製造方法において、好適に使用される表面処理組成(表面架橋原料)について述べる。
吸水剤の製造方法において、上述の表面架橋工程で使用される表面架橋剤として、得られる吸水性樹脂の物性を良好なものとするものであれば、特に限定されないが、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物、多価アミン化合物とハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、モノオキサゾリジノン化合物、ジオキサゾリジノン化合物、ポリオキサゾリジノン化合物、多価金属塩及びアルキレンカーボネート化合物等から選択される1種又は2種以上を併用することが好ましい。
より具体的には、米国特許第6228930号、同第6071976号及び同第6254990号等に開示されている表面架橋剤を用いることができる。すなわち、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,2−シクロヘキサンジメタノール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン及びポリアミドポリアミン等の多価アミン化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン及びα−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;多価アミン化合物とハロエポキシ化合物との縮合物;2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン化合物;並びにエチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート化合物等を挙げることができる。
また、表面架橋剤に加えて、イオン結合性表面架橋剤、多価金属塩及びポリアミンポリマーを使用してもよい。また、有機表面架橋剤以外に無機表面架橋剤を使用して通液性等を向上させてもよい。使用される無機表面架橋剤は2価以上、好ましくは3価若しくは4価値の多価金属の塩(有機塩若しくは無機塩)又は水酸化物が例示できる。使用できる多価金属としてはアルミニウム及びジルコニウム等が挙げられ、アルミニウムとしては、乳酸アルミニム及び硫酸アルミニムが挙げられる。
これらの表面架橋剤のうち、吸水性樹脂の各種特性をできるだけ良好なものとするために、共有結合性の表面架橋剤が好ましく、表面処理時の含水率低下を防ぐために(吸水性樹脂の耐衝撃安定性を高めるために)、低温で反応可能なエポキシ化合物、ハロエポキシ化合物及びオキサゾリジノン化合物が好ましく、少なくとも、エポキシ化合物及びハロエポキシ化合物の両方を用いることがさらに好ましい。
なお、アルキレンカーボネート及び多価アルコールから選ばれる脱水反応性表面架橋剤を使用して高温で表面架橋を行う場合、表面架橋後に適宜水をさらに添加して後述の含水率に調整する。脱水反応性表面架橋剤に多価アルコールを使用する場合は、該多価アルコールとして、炭素数2以上10以下、好ましくは炭素数3以上8以下の多価アルコールを用いることが好ましい。
表面架橋剤の使用量は、用いる表面架橋剤の種類、及び、吸水性樹脂前駆体と表面架橋
剤との組み合わせ等にもよるが、吸水性樹脂100重量部に対して、0.001重量部以上10重量部以下が好ましく、0.01重量部以上5重量部以下がより好ましい。
表面架橋処理に際しては、表面架橋剤とともに、水を用いることが好ましい。このときに使用される水の量は、使用する吸水性樹脂の含水率にもよるが、通常、吸水性樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上20重量部以下、好ましくは0.5重量部以上10重量部以下の水を用いることが好ましい。
表面架橋剤又はその水溶液を混合する際には、親水性有機溶媒又は第三物質を混合助剤として用いてもよい。
親水性有機溶媒を用いる場合には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール及びt−ブチルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン及びメトキシ(ポリ)エチレングリコール等のエーテル類;ε−カプロラクタム及びN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;並びに、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール及びソルビトール等の多価アルコール等が挙げられる。
なお、多価アルコールは、吸水性樹脂と反応する条件の場合、表面架橋剤に分類され、反応しない場合、親水性有機溶媒に分類される。反応の有無は多価アルコールの残存量又はエステル(IR分析等)の増加で容易に判別できる。
親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂の種類、粒径及び含水率等にもよるが、吸水性樹脂の固形分100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、0.1重量部以上5重量部以下がより好ましい。また、第三物質として、欧州特許第0668080号明細書に示された無機酸、有機酸又はポリアミノ酸等を存在させてもよい。これらの混合助剤は表面架橋剤として作用させてもよいが、表面架橋後の吸水性樹脂の吸水性能を低下させないものが好ましい。特に沸点が150℃未満の揮発性アルコール類は表面架橋処理時に揮発してしまうので、残存物が残存せず望ましい。
吸水性樹脂と表面架橋剤とをより均一に混合するため、非架橋性の水溶性無機塩基類(好ましくは、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカリ金属水酸化物、及び、アンモニア又はその水酸化物)、又は、非還元性アルカリ金属塩pH緩衝剤(好ましくは炭酸水素塩、リン酸二水素塩又はリン酸水素塩等)を、吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する際に共存させてもよい。これらの使用量は、吸水性樹脂の種類及び粒径等にもよるが、吸水性樹脂の固形分100重量部に対して、0.005重量部以上10重量部以下が好ましく、0.05重量部以上5重量部以下がより好ましい。
(表面架橋剤の添加方法)
表面架橋剤の添加は、種々の手法で行うことができる。例えば、吸水性樹脂が水溶液重合で得られる場合には、乾燥工程中又は乾燥工程後の吸水性樹脂に、表面架橋剤を必要に応じて水及び/又は親水性有機溶媒と予め混合して、吸水性樹脂に滴下混合する方法が好ましく、噴霧する方法がより好ましい。噴霧される液滴の大きさは、平均液滴径として0.1μm以上300μm以下が好ましく、1μm以上200μm以下がより好ましい。
吸水性樹脂、表面架橋剤、水及び親水性有機溶媒を混合する際に用いられる混合装置としては、これらの化合物を均一に且つ確実に混合するために、大きな混合力を備えているものが好ましい。このような混合装置としては、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型ニーダー、粉砕型ニーダー、回転式混合機、気流型混合機、タービュライザー、バッチ式レディゲミキサー及び連続式レディゲミキサー等が好適に用いられる。
表面架橋剤と吸水性樹脂とを混合した後、好ましくは加熱処理が施される。加熱処理を行う際の条件として、吸水性樹脂の温度若しくは加熱処理に用いる熱媒の温度が、好ましくは60℃以上250℃以下であり、より好ましくは60℃以上150℃以下、さらに好ましくは80℃以上120℃以下であるとよい。また、加熱処理の加熱時間は、好ましくは1分以上2時間以下の範囲である。加熱温度と加熱時間との組み合わせの好適例として、180℃で0.1時間以上1.5時間以下、100℃で0.1時間以上1時間以下を挙げることができる。
なお、表面架橋剤にアルキレンカーボネート又は多価アルコールを使用する場合は、吸水性樹脂の温度又は加熱処理に用いる熱媒体の温度が、好ましくは100℃以上250℃以下であり、より好ましくは150℃以上250℃以下、さらに好ましくは170℃以上210℃以下であるとよい。表面架橋剤にアルキレンカーボネート又は多価アルコールを使用し、該温度範囲で加熱する場合は、表面架橋後、後述する粒子状吸水剤の含水率に調整する。
また、吸水性樹脂が逆相懸濁重合で得られる場合には、重合終了後の共沸脱水途中及び/又は共沸脱水終了後等の、例えば、含水ゲルの含水率が50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下(下限は好ましくは5重量%以上さらに好ましくは10重量%以上、特に好ましくは15重量%以上)であるときに、逆相懸濁重合で用いられる疎水性有機溶媒中に表面架橋剤、好ましくはグリシジルエーテル化合物を分散させることにより、表面架橋された吸水性樹脂を得ることができる。
(2−3−5)その他の添加剤添加工程
本工程は表面架橋後の吸水性樹脂に種々の機能を与えるために、その他の添加剤を添加する工程であり、一つ又は複数の工程から構成される。添加剤としては、無機微粒子、界面活性剤、香料、発泡剤、顔料、染料及び肥料等の添加物を含有し、機能を付与したり高めたりするものであってもよい。
添加剤の量は、特に断りがない限り、表面架橋後の吸水性樹脂100重量部に対して10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満である。また、これらの添加剤は、表面架橋工程と同時に、又は別工程で行ってもよい。
(界面活性剤)
吸水性樹脂は、界面活性剤を含んでいてもよく、本発明の製造方法がいずれかの工程で界面活性剤を混合する工程を含むことが好ましい。
吸水性樹脂の表面を界面活性剤で被覆することで、高吸水速度及び高通液性の吸水性樹脂が得られる。なお、界面活性剤としては特に限定されないが、国際公開第97/017397号及び米国特許第6107358号に開示された界面活性剤、即ち、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は吸水性樹脂との重合性又は反応性を有するものであってもよい。
使用する界面活性剤の種類や使用量は適宜決定されるが、好ましくは吸水性樹脂に対して0重量部以上0.5重量部以下の範囲で使用され、より好ましくは0.00001重量部以上0.1重量部以下の範囲で使用され、さらに好ましくは0.001重量部以上0.05重量部以下の範囲で使用される。これらの界面活性剤のなかでも、効果の観点から、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、又はシリコーン系界面活性剤を用いることが好ましく、ノニオン性界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤を用いることがさらに好ましい。
その他、国際公開2009/093708号パンフレット記載の水溶性ポリシロキサン、国際公開2008/108343号パンフレット記載の1〜3級アミン化合物等も添加剤として好ましく使用することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
(吸水剤の製造)
[製造例1]
中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム水溶液5500g(単量体濃度35重量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)2.8g(0.025モル%:対アクリル酸)を溶解させ反応液とした後、当該反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。
次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液の液温を30℃に保ちながら反応器内を窒素ガスで満たした。続いて、上記反応液を攪拌させながら、当該反応液に対して、過硫酸ナトリウム2.46g及びL−アスコルビン酸0.10gを、それぞれ個別に添加したところ、約1分後に重合が開始した。次に、重合反応を30℃〜90℃で行いながら、当該重合反応によって生成した含水ゲル状架橋重合体を粉砕し、重合が開始して60分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。
得られた含水ゲル状架橋重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュ(目開き300μm)の金網上に広げ、180℃で35分間熱風乾燥し、乾燥物とした。
次いで、得られた乾燥物を、ロールミルを用いて粉砕した後、目開きが850μmと150μmのJIS標準篩で分級することにより、重量平均粒子径が360μmの不定形破砕状の吸水性樹脂粉体(a)を得た。吸水性樹脂粉体(a)の遠心分離機保持容量(CRC)は49.0g/g、固形分は5.1重量%であった。なお、ここでいうCRCとは、添加液CRCのことではなく、通常のCRCのことを指す。すなわち、0.9重量%の生理食塩水を不織布中の吸水性樹脂0.2gに30分間含浸させ、吸水性樹脂を自由膨潤させた後、遠心分離機を用いて250Gで水切りした後の吸水性樹脂の吸収倍率のことを指す。また、以下、遠心分離機保持容量(CRC)と記載した場合は、通常のCRCのことを示すものとする。
得られた吸水性樹脂粉体(a)100重量部に、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル0.03重量部、炭酸エチレン0.3重量部、プロピレングリコール0.5重量部、及び、水2重量部からなる表面処理剤を均一に混合した後、190℃で45分間加熱処理をし、表面架橋された吸水性樹脂粒子(a)を得た。
上記加熱処理後、目開きが850μmのJIS標準篩を通過するまで吸水性樹脂粒子(a)を解砕した。次に、この粒子に上記ペイントシェーカーテストを行った。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(A)を得た。吸水性樹脂粒子(A)の遠心分離機保持容量(CRC)は38.3g/g、含水率は4.1重量%であった。
[製造例2]
製造例1において、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)2.4g(アクリル酸に対して0.021モル%)に変更した以外は同様の操作を行い、砕状の吸水性樹脂粉体(b)を得た。吸水性樹脂粉体(b)の遠心分離機保持容量(CRC)は55.1g/g、固形分は5.0重量%であった。
得られた吸水性樹脂粉体(b)100重量部に、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル0.020重量部、炭酸エチレン0.1重量部、プロピレングリコール0.2重量部、及び、水1重量部からなる表面処理剤を均一に混合した後、190℃で45分間加熱処理をし、表面架橋された吸水性樹脂粒子(b)を得た。
上記加熱処理後、目開きが850μmのJIS標準篩を通過するまで吸水性樹脂粒子(b)を解砕した。次に、この粒子に上記ペイントシェーカーテストを行った。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(B)を得た。吸水性樹脂粒子(B)の遠心分離機保持容量(CRC)は46.8g/g、含水率は3.6重量%であった。
[実施例1]
製造例1で得た吸水性樹脂粒子(A)100重量部に対し、ベンゾヒドロキサム酸ナトリウム0.1重量部、プロピレングリコール0.36重量部及び水0.54重量部からなる添加液を撹拌下で添加し、吸水性樹脂(A)と、添加液とを混合した。混合後、混合物を60℃で1時間乾燥させた。得られた乾燥物を目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、吸水剤(1)を得た。結果を表1に示す。
なお、表1における「ベンゾヒドロキサム酸Na」は、ベンゾヒドロキサム酸ナトリウムのことを指す。
また、上述と同様に吸水性樹脂(A)と、添加液とを混合し、添加液500gを吸水性樹脂(A)に含浸させ、室温(23℃)で30分間自由膨潤させた後、遠心分離機を用いて250Gで3分間水切りしたときの吸水性樹脂の添加液CRCを測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
プロピレングリコール0.36重量部の代わりに、グリセリン0.36重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、吸水剤(2)を得、吸水性樹脂(A)の添加液CRCを測定した。吸水剤(2)及び添加液CRCの結果を表1に示す。
[実施例3]
吸水性樹脂(A)の代わりに、製造例2で得た吸水性樹脂(B)を用い、プロピレングリコール0.36重量部の代わりに、1,3−プロパンジオール0.36重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、吸水剤(3)を得、吸水性樹脂(B)の添加液CRCを測定した。
吸水剤(3)及び添加液CRCの結果を表2に示す。
[比較例1]
プロピレングリコール0.36重量部及び水0.54重量部の代わりに、プロピレングリコール0.27重量部及び水0.63重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、比較吸水剤(1)を得、吸水性樹脂(A)の添加液CRCを測定した。
比較吸水剤(1)及び添加液CRCの結果を表2に示す。
[比較例2]
プロピレングリコール0.36重量部及び水0.54重量部の代わりに、プロピレングリコール0.54重量部及び水0.36重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、比較吸水剤(2)を得、吸水性樹脂(A)の添加液CRCを測定した。結果を表1に示す。
比較吸水剤(2)及び添加液CRCの結果を表2に示す。
[比較例3]
1,3−プロパンジオール0.36重量部及び水0.54重量部の代わりに、1,3−プロパンジオール0.27重量部及び水0.63重量部を用いた以外は、実施例3と同様の方法により、比較吸水剤(3)を得、吸水性樹脂(B)の添加液CRCを測定した。結果を表1に示す。
比較吸水剤(3)及び添加液CRCの結果を表2に示す。
[比較例4]
1,3−プロパンジオール0.36重量部及び水0.54重量部の代わりに、1,3−プロパンジオール0.54重量部及び水0.36重量部を用いた以外は、実施例3と同様の方法により、比較吸水剤(4)を得、吸水性樹脂(B)の添加液CRCを測定した。結果を表1に示す。
比較吸水剤(4)及び添加液CRCの結果を表2に示す。
(粉体流動性評価)
粉体流動性の評価は、実施例1〜3及び比較例1〜4の吸水剤の安息角、スパチュラ角、圧縮度及び均一度をホソカワミクロン社製パウダーテスターPT−Xを用いて測定し、DR.Carrが提案する粉体流動性指数式から算出することで行った。測定は、室温(23℃)、湿度40%の雰囲気条件下で行った。実施例1〜3及び比較例1〜4の吸水剤の粉体流動性指標と、粉体流動性評価を表1に示す。粉体流動性指数と粉体流動性の評価との関係は以下の通りである。
粉体流動性指数:粉体流動性の評価
80以上:粉体流動性は極めて良好
70〜79:粉体流動性は良好
60〜69:粉体流動性はやや不良
59以下:粉体流動性は不良
粉体流動性指数と粉体流動性の評価との関係及び表1から、添加液CRCが5g/g以上30g/g以下である吸水剤(1)〜(3)の粉体流動性が極めて良好であることがわかった。一方、添加液CRCが5g/g未満である比較吸水剤(2)及び(4)の粉体流動性は、やや不良又は不良であることがわかった。
(耐尿性(劣化可溶分)の評価)
Fe(II)が0.00004重量%、L−アスコルビン酸が0.02重量%となるように、予め調製した生理食塩水に各成分を添加し、劣化試験液を作成した。具体的には、生理食塩水999.99gに、FeSO・7HO0.01gを溶解して、Fe(II)が0.0002重量%の硫酸鉄水溶液を作成し、Fe(II)が0.0002重量%の硫酸鉄水溶液60gと、L−アスコルビン酸0.06gとを、生理食塩水299.94gに溶解させ、劣化試験液を調製した。
劣化試験液25mlを蓋付きのポリプロピレンカップ250mlに加え、そこに吸水剤1.0gを添加することにより膨潤ゲルを形成させた。この容器に蓋をして密閉し、膨潤ゲルを37℃の雰囲気下に16時間静置した。
16時間後、生理食塩水175mlと、長さ30mmで太さ8mmの円筒型攪拌子とを容器内に投入し、10分間攪拌して劣化させた含水ゲルから可溶分を抽出した。攪拌後、濾紙(トーヨー濾紙(株)製、No.2、JIS P 3801で規定された保留粒子径5μm)を用いて濾過し、濾液を得た。
得られた濾液20ml(=F(ml)として記録)を100mlのガラスビーカーに計り取り、生理食塩水で50mlにメスアップして滴定用濾液とした。
Fe(II)が0.000005重量%、L−アスコルビン酸が0.0025重量%となるように、予め調製した生理食塩水に各成分を添加し、ブランク溶液を作成した。具体的には生理食塩水溶液87.5gに劣化試験液12.5gを添加し、ブランク溶液を調製した。
滴定前の準備として、pH4.0、pH7.0、pH10.0の緩衝液で、pH電極を校正した。次に、ブランク溶液として予め調整された生理食塩水50mlを100mlのガラスビーカーに計り取り、長さ30mmのスターラーチップで攪拌しながら、pH10になるまで0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してブランク溶液に対する水酸化ナトリウム水溶液滴下量Vab(ml)を求めた。引き続き攪拌しながら、pH2.7になるまで0.1mol/Lの塩酸水溶液を滴下して、ブランク溶液に対する塩酸滴下量Vbb(ml)を求めた。
その後、測定用濾液を長さ30mmで太さ8mmの円筒型攪拌子で攪拌しながら、pH10になるまで0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を測定用濾液に滴下して水酸化ナトリウム水溶液滴下量Va(ml)を求めた。引き続き攪拌しながら、pH2.7になるまで0.1mol/Lの塩化酸水溶液を測定用濾液に滴下して、塩酸水溶液滴下量Vb(ml)を求めた。
求めたVa(ml)、Vab(ml)、Vb(ml)及びVbb(ml)、並びに、下記式(1)及び(2)をもとに、濾液中に含まれる可溶分のうち酸基のモル数Na(mol)及び濾液中に含まれる可溶分のうちアルカリ金属によって中和されたカルボキレート基のモル数Nb(mol)を求めた。
[数1]
Na(mol)=(VaーVab)/1000×0.1・・・(1)
Nb(mol)=N−Na・・・(2)
なお、N(mol)は測定用濾液中に含まれる可溶分のモル総数であり、以下の式(3)により求められる。
[数2]
(mol)=(Vb−Vbb)/1000×0.1・・・(3)
次に、求めたNa(mol)及びNb(mol)と、以下の式(4)及び(5)とを元に、吸水剤の可溶分のうち酸基を有するユニットの相対重量Wa(g)、及び、吸水剤に含まれている可溶分のうちアルカリ金属によって中和されたカルボキレート基を有するユニットの相対重量Wb(g)を求めた。
[数3]
Wa(g)=Na×72×200/F・・・(4)
Wb(g)=Nb×94×200/F・・・(5)
ここで、72はアクリル酸ポリマーの繰り返しユニット1モルあたりの重量であり、アクリル酸以外の酸基を有するモノマーを共重合させる場合には、該モノマーを含めた繰り返しユニットの平均重量の値に変更される。
また、94はアクリル酸ナトリウムポリマーの繰り返しユニット1モルあたりの重量であり、アクリル酸以外の酸基を有するモノマーを共重合させる場合、また、アルカリ金属塩としてナトリウム以外にカリウム及びリチウム等を用いた場合には、適宜、変更される。
次に、求めたWa(g)及びWb(g)及び以下の式(6)から、実施例1〜3及び比較例1〜4の劣化可溶分(重量%)を求めた。
[数4]
劣化可溶分(重量%)=((Wa+Wb)/m)×100・・・(6)
また、劣化可溶分(重量%)の値と、耐尿性の評価との関係は以下の通りである。
劣化可溶分:耐尿性の評価
10重量%以下:耐尿性は極めて良好
10重量%より大きく30重量%以下:耐尿性は良好
30重量%より大きく60重量%以下:耐尿性はやや不良
60重量%より大きい:耐尿性は不良
耐尿性の評価と耐尿性の評価との関係及び表1から、吸水剤(1)〜(3)の耐尿性が極めて良好又は良好であることがわかった。
一方、添加液CRCが30g/gを超える比較吸水剤(1)及び(3)は、各々対応する吸水剤(1)及び(3)と比較して、劣化可溶分が高いことから、耐尿性向上効果の面で劣ることがわかる。耐尿性向上効果は、ベンゾヒドロキサム酸ナトリウムのキレート効果によるものである(耐尿性悪化要因の鉄イオンを捕捉する)が、吸水剤(1)〜(3)では、添加液CRCが適切となる範囲であるため、吸水性樹脂粒子表面に、ベンゾヒドロキサム酸ナトリウムを均一に添加させることができたため、効果が向上したものと推測される。
Figure 2017177065
本発明は、紙オムツ、生理用ナプキン及び失禁パット等の衛生材料の吸水剤の製造に適している。

Claims (10)

  1. 有機化合物の塩を溶解又は分散させた添加液を表面架橋処理された吸水性樹脂に含浸させる含浸工程を有し、
    上記添加液500gを上記吸水性樹脂0.2gに30分間含浸させ、遠心分離機を用いて250Gで水切りした後の上記吸水性樹脂の吸収倍率である、添加液CRCが5g/g以上30g/g以下であることを特徴とする、吸水剤の製造方法。
  2. 上記添加液の溶媒又は分散媒は、水とアルコール類との混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の吸水剤の製造方法。
  3. 上記アルコール類は、多価アルコールであることを特徴とする、請求項2に記載の吸水剤の製造方法。
  4. 上記多価アルコールは、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール及びグリセリンからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項3に記載の吸水剤の製造方法。
  5. 上記添加液中のアルコール類の濃度は、30重量%以上50重量%以下であることを特徴とする、請求項2〜4の何れか1項に記載の吸水剤の製造方法。
  6. 上記添加液中の有機化合物の塩の濃度は、5重量%以上15重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の吸水剤の製造方法。
  7. 上記添加液のpHが6以上であることを特徴とする、1〜6の何れか1項に記載の吸水剤の製造方法。
  8. 上記添加液の粘度が1mPa・s以上20mPa・s以下であることを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の吸水剤の製造方法。
  9. 上記有機化合物の塩は、アニオンとして有機アニオンを含むものであることを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の吸水剤の製造方法。
  10. 上記有機アニオンは、アミノカルボン酸誘導体アニオン、アミノアルコール誘導体アニオン、ヒドロキサム酸誘導体アニオン、ヒドロキシカルボン酸誘導体アニオン又はポリアミン誘導体アニオンであることを特徴とする、請求項9に記載の吸水剤の製造方法。
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