JP2017177012A - 重金属等不溶化材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
更に、石炭灰を路盤材として用いているが、石炭灰には炭種によりホウ素等の重金属等を含有しているものも存在し、これらの重金属等の溶出が問題となっている。
またヒトだけでなく、周辺の生態系へ及ぼす影響も無視できるものではなく、社会的な問題として、大きく注目されている。
特開2012−157834号公報(特許文献1)には、ドロマイトを焼成して得られた、遊離酸化カルシウムの含有量が1.2重量%以下であって、遊離酸化マグネシウムの含有量が8重量%以上である半焼成ドロマイトと、水可溶性の鉄化合物との配合物からなる排水中のフッ素および/または重金属イオンの除去剤が開示されている。
また、本発明の他の目的は、半焼成ドロマイト、高炉スラグ及び普通ポルトランドセメントを必須成分として含有し、ホウ素等の重金属等吸着除去能に優れる重金属等不溶化材を製造するための配合設計を予め決定することができる、重金属等不溶化材の製造方法を提供することである。
特に、石炭灰を路盤材に用いたときにはアルカリ性環境が形成されるので、かかるアルカリ環境下において、重金属等であるホウ素の吸着除去能に優れる重金属等不溶化材及び重金属等不溶化材の製造方法を提供することである。
本発明は以下の技術的特徴を有するものである。
(2)上記(1)の重金属等不溶化材法において、重金属等は、ホウ素であることを特徴とする。
(6)上記(3)乃至(5)のいずれかの重金属等不溶化材の製造方法は、pHが8以上となる環境下で重金属等不溶化材を用いるための製造であることを特徴とする。
また、本発明の重金属等不溶化材の製造方法は、半焼成ドロマイト、高炉スラグ及び普通ポルトランドセメントを必須成分として含有して、ホウ素等の重金属等吸着除去能に優れる重金属等不溶化材の配合設計を、予め決定することができるため、ホウ素等に対して、優れた重金属等吸着性能を有する不溶化材の製造を容易にすることができる。
特に、石炭灰を路盤材に用いた際のアルカリ性環境において、ホウ素等の重金属等吸着除去能に優れる重金属等不溶化材を製造するための配合設計を予め決定して、製造することが可能となる。
従って、半焼成ドロマイト、高炉スラグ、普通ポルトランドセメント中の各ケイ素含量とマグネシウム含量とを予め測定することで、半焼成ドロマイト、高炉スラグ、普通ポルトランドセメントを配合する最適な配合決定を予め設計することが可能となる。
本発明の重金属等不溶化材は、pHが8以上となる環境下で用いる重金属等不溶化材であって、半焼成ドロマイト、高炉スラグ及び普通ポルトランドセメントを必須成分とし、ケイ素含量が23質量%以上で且つマグネシウム含量が5質量%以上である、重金属等不溶化材である。
かかる含量で、ケイ素とマグネシウムとを含むことにより、pHが8以上のアルカリ環境下においても、ホウ素等の重金属等を効率的に吸着除去することが可能となる。
ドロマイトは、石灰石CaCO3とマグネサイトMgCO3のモル比が1:1となる複塩構造をとっており、CO3 2−基を挟んでCa2+イオンとMg2+イオンが交互に層を成しており、一般に、炭酸マグネシウムの割合が10〜45質量%のものをいう。ドロマイトは、国内に多量に存在しており、ドロマイトを使用した重金属等吸着材は、コストや環境負荷の点からも有利である。
これは、半焼成ドロマイト中に含まれるCaMg(CO3)2相を定量して、上記範囲内の残留量とすることで、原料となるドロマイト鉱石の産地による組成の相違や、焼成温度等の焼成条件の設定などに関係なく、ドロマイトが最大に優れた重金属等吸着性能を有することが可能となるからである。
特に、ドロマイトを焼成した半焼成ドロマイト中のドロマイト相(CaMg(CO3)2相)の残留量を粉末X線回折によるリートベルト法により解析して、残留CaMg(CO3)2相の含量が、0.4≦x≦35.4(質量%)、好ましくは1.8≦x≦17.4(質量%)となる半焼成ドロマイトであれば、該ドロマイトが、より優れた重金属等不溶化性能を得ることができることとなる。
残留CaMg(CO3)2相の含量が、上記範囲内とすることで、重金属等をより良好に不溶化することを実現することが可能となるものである。
ドロマイトを焼成する温度は、特に限定されず、通常ドロマイトを焼成して半焼成ドロマイトを製造する温度、例えば650〜1000℃で焼成することができる。残留CaMg(CO3)2相の含量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成すれば焼成時間も制限されるものではない。
例えば、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ等を例示することができる。
分析方法としては、これらの各材料を分析して、含有されるケイ素含量及びマグネシウム含量を測定することができれば、任意の分析方法で測定することができ、好ましくは、半焼成ドロマイトの各成分の含量は、JIS M 8851「ドロマイトの分析方法」に準じて分析した値、高炉スラグ及び普通ポルトランドセメントの各成分の含量は、JIS R 5202[セメントの化学分析方法]を用いて分析した値等を用いることができ、予め上記各材料中のケイ素含量及びマグネシウム含量を分析測定する。
上記各材料中のケイ素の含量及びマグネシウムの含量を予め測定しておくことにより、ホウ素等の重金属等を吸着除去するための最適な配合割合の設計を決定することが容易となる。
このように最適な配合割合を設計して決定することで、ホウ素等の重金属等を効率的に吸着除去できる重金属等不溶化材を得ることができる。
本発明の重金属等不溶化材、具体的には本発明の製造方法により設計製造された重金属等不溶化材は、かかるアルカリ性環境下において、重金属等であるホウ素を効率的に吸着除去できる重金属等不溶化材とすることができる。
半焼成ドロマイト、高炉スラグ及び普通ポルトランドセメントに含まれる各成分を分析して測定する。その結果を例えば下記表1に示す。
なお、表1に示す半焼成ドロマイトの各成分の含量は、JIS M 8851[ドロマイトの分析方法]に準じて分析した値、高炉スラグ及び普通ポルトランドセメントの各成分の含量は、JIS R 5202[セメントの化学分析方法]に準じて分析した値を示す。
上記式中、Ci=吸着試験における初期濃度(mg/l)、Cf=吸着試験における最終濃度(mg/l)を示す。
その結果を下記表4に示す。
その結果を上記表4に示す。
なお、ろ液のpHが12以上の高アルカリの状態は、石炭灰を路盤材として利用した場合の環境と同様の環境を示す。
従って、ホウ素を有効に吸着除去するためには、重金属等不溶化材中のケイ素含量を23質量%以上で且つマグネシウム含量が5質量%以上となるように、好ましくはケイ素含量が23質量%以上で且つマグネシウム含量が6質量%以上となるように、重金属等不溶化材を設計すればよいことがわかる。
具体的には、まず、下記6に示す各Good’s Bufferを、超純水に1M添加し、その後NaOH(試薬:和光純薬工業(株))を用いて、表6に示す各pHに調整し、原子吸光分析用ホウ素標準液(関東化学(株):1000mg/l)を用いて、各ホウ素1mg/l標準液を調製する。
次いで、24時間経過後、0.45μmメンブランフィルターを用いて吸引濾過を実施し、固液分離を行い、各標準液中のホウ素濃度を「ICP発光分光分析法」(JIS K 0102:2013)により測定して定量し(Cf)、下記式より吸着除去率を算出する。
吸着除去率(%)=(Ci−Cf)/Ci×100
上記式中、Ci=吸着試験における初期濃度(mg/l)、Cf=吸着試験における最終濃度(mg/l)を示す。
その結果を、表6に示す。
その結果を表6及び図1に示す。
従って、本発明の重金属等不溶化材、特に本発明の製造方法を適用して設計製造された重金属等不溶化材は、かかるアルカリ性環境下において、有効にホウ素等の重金属等を効率的に吸着除去できる重金属等不溶化材を得ることができることが明らかである。
Claims (6)
- pHが8以上となる環境下で用いる重金属等不溶化材であって、半焼成ドロマイト、高炉スラグ及び普通ポルトランドセメントを必須成分とし、ケイ素含量が23質量%以上で且つマグネシウム含量が5質量%以上であることを特徴とする、重金属乙不溶化材。
- 請求項1記載の重金属等不溶化材法において、重金属等は、ホウ素であることを特徴とする、重金属等不溶化材。
- 半焼成ドロマイト、高炉スラグ及び普通ポルトランドセメントを必須成分とする重金属等不溶化材であって、前記重金属等不溶化材中のケイ素含量が23質量%以上で且つマグネシウム含量が5質量%以上となるように、半焼成ドロマイト、高炉スラグ及び普通ポルトランドセメントの配合を予め決定して配合することを特徴とする、重金属等不溶化材の製造方法。
- 請求項3記載の重金属等不溶化材の製造方法において、半焼成ドロマイト、高炉スラグ及び普通ポルトランドセメント中のケイ素含量及びマグネシウム含量をそれぞれ予め測定しておくことを特徴とする、重金属等不溶化材の製造方法。
- 請求項3又は4記載の重金属等不溶化材の製造方法において、重金属等は、ホウ素であることを特徴とする、重金属等不溶化材の製造方法。
- 請求項3乃至5のいずれかの重金属等不溶化材の製造方法は、pHが8以上となる環境下で重金属等不溶化材を用いるための製造であることを特徴とする、重金属等不溶化材の製造方法。
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