JP2011156466A - 汚染成分除去材、汚染成分除去材の製造方法及び汚染成分の除去方法 - Google Patents

汚染成分除去材、汚染成分除去材の製造方法及び汚染成分の除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】種々の汚染成分を含有した媒体に対して優れた汚染成分除去性能を有することに加えて、低コストで製造できる汚染成分除去材及びその製造方法、並びに、その汚染成分除去材を用いた汚染成分の除去方法を提供する。
【解決手段】波長1.5418Åにおける粉末X線回折スペクトルの2θ=36.5±0.5°での酸化マグネシウムの(111)面に対応するピークの半値幅が0.3以上でかつ、110℃以下での乾燥重量を基準として1000℃で加熱したときの重量減少率が2〜15%の範囲であるマグネシウム化合物を含有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、水や土壌等に含有される汚染成分を吸着除去するための汚染成分除去材、特に、低コストで、高い汚染成分除去性能を有する汚染成分除去材及びその製造方法、並びに、汚染成分除去材を用いた汚染成分の除去方法に関する。
従来、フッ素やヒ素等の汚染成分を含有した媒体(土壌、灰など)の処理方法としては、汚染した土壌を掘削・除去したり、汚染土壌を固定化したり、薬剤等を用いて前記汚染成分を水に溶けにくく拡散しにくい形態に変化させる等の各種方法がある。
例えば、特許文献1では、調整した酸化マグネシウムを汚染土壌に添加・混合することにより、該汚染土壌を固化し、汚染成分の不溶化を行う方法が開示されている。また、特許文献2では、鉛を含有する汚染土壌に対して、不溶化が可能なpHを維持しつつ、一定の強度を有することを目的として、酸化マグネシウム、適正化を図った水硬性アルミナ及び炭酸リチウムを含有する固化材が開示されている。
さらに、特許文献3では、重金属含有廃棄物に水酸化マグネシウム及び/又は酸化マグネシウムを添加し、水の存在下で混練処理することで、酸性の環境にさらされても長期にわたって重金属の溶出を防止することができる廃棄物の安定化処理方法が開示されている。
また、特許文献4では、所定のハイドロタルサイト微粒子及びその表面に存在するX線回折で非晶質の多価金属化合物からなる吸着剤を用いることで、汚染媒体中に共存する陰イオン等の妨害をさほど受けずに硝酸イオン、ヒ素イオン及びリン酸イオンを吸着除去する方法が開示されている。
さらに、特許文献5では、セリウム、ランタン等の希土類金属の水酸化物を主剤とするヒ素不溶化処理剤を用いることで、ヒ素の不溶化を図るという技術が開示されている。
特許第4109017号公報 特開2006−297285号公報 特開2001−334227号公報 特開2009−178682号公報 特開2001−200236号公報
しかしながら、特許文献1〜5の技術については、以下の問題がある。
特許文献1及び2の技術では、酸化マグネシウムは土壌の固化を目的としているため、汚染成分の除去性能としては十分ではなく、大量の酸化マグネシウムを用いなければ所望の効果を得ることができないという問題がある。
特許文献3の技術は、汚染媒体のpHや酸化還元電位が変化して酸性域となった場合、汚染成分の除去性能が低下し、汚染成分が再溶出する恐れがある。また、大量の酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムを用いた場合には、処理コストが増大するという問題がある。
特許文献4の技術は、吸着剤中のハイドロタルサイトが酸性域で溶解するため、汚染媒体の環境によっては、一旦吸着した汚染成分が媒体中に再溶出する恐れがある。また、ハイドロタルサイトを含有する吸着剤の製造は、その工程が煩雑なことに加えて、100℃以上での水熱合成を必要とすることから大量生産できないという問題がある。
特許文献5の技術は、ヒ素の不溶化を図るという点では一定の効果を奏するものの、中和処理のため大量のアルカリを用いることから、中和時に塩が大量に発生して薬剤中に残存し、該薬剤を汚染土壌に用いた際、前記塩による悪影響が発生する恐れがある。また、セリウム等を大量に要するため、処理コストが増大するという問題がある。
そのため、本発明の目的は、除去材の含有成分の適正化を図ることで、種々の汚染成分を含有した媒体に対して優れた汚染成分除去性能を有することに加えて、低コストで製造できる汚染成分除去材及びその製造方法を提供し、さらに、その汚染成分除去材を用いた汚染成分の除去方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく汚染成分除去材の鋭意研究を行った。その結果、波長1.5418Åにおける粉末X線回折スペクトルの2θ=36.5±0.5°での酸化マグネシウムの(111)面に対応するピークの半値幅が0.3以上でかつ、110℃以下での乾燥重量を基準として1000℃で加熱したときの重量減少率が2〜15%の範囲であるマグネシウム化合物を含有させることによって、高い汚染成分除去性能を有する除去材を、低コストで製造できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)波長1.5418Åにおける粉末X線回折スペクトルの2θ=36.5±0.5°での酸化マグネシウムの(111)面に対応するピークの半値幅が0.3以上でかつ、110℃以下での乾燥重量を基準として1000℃で加熱したときの重量減少率が2〜15%の範囲であるマグネシウム化合物を含有することを特徴とする汚染成分除去材。
(2)前記マグネシウム化合物は、波長1.5418Åにおける粉末X線回折スペクトルの2θ=37.5±0.5°での水酸化マグネシウムの(101)面に対応するピークの半値幅が0.5以上である上記(1)に記載の汚染成分除去材。
(3)前記マグネシウム化合物は、水酸化マグネシウムを375〜750℃で加熱してなる上記(1)又は(2)に記載の汚染成分除去材。
(4)水を10〜30重量%の範囲で含有する上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の汚染成分除去材。
(5)希土類化合物、鉄化合物、カルシウム化合物、ベントナイト、シリカ、及び粘土鉱物のうちから選択された1種以上をさらに含有する上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の汚染成分除去材。
(6)水酸化マグネシウム粉末を、375〜750℃で加熱してマグネシウム化合物を得る工程と、該マグネシウム化合物と、希土類化合物、鉄化合物、カルシウム化合物、ベントナイト、シリカ、及び粘土鉱物から選択された1種以上とを混合する工程とを備えることを特徴とする汚染成分除去材の製造方法。
(7)前記混合工程は、水溶液中で行われるか、又は、乾燥雰囲気下で行われた後に水溶液を添加する工程をさらに備える上記(6)に記載の汚染成分除去材の製造方法。
(8)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の汚染成分除去材を、汚染成分を含有する媒体に接触させることで汚染成分の除去を行うことを特徴とする汚染成分の除去方法。
(9)前記汚染成分は、ヒ素、フッ素、ホウ素、セレン、鉛、クロム、カドミウム、マンガン、アンチモン及びニッケルから選択された1種以上の成分である上記(8)に記載の汚染成分の除去方法。
本発明によれば、種々の汚染成分を含有した媒体に対して優れた汚染成分除去性能を有することに加えて、低コストで製造できる汚染成分除去材及びその製造方法、並びに、その汚染成分除去材を用いた汚染成分の除去方法を提供することが可能となった。
水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、本発明によるマグネシウム化合物、酸化マグネシウム(MgO)及び水酸化マグネシウムと酸化マグネシウムとを1:1に混合した混合物(Mg(OH)2+MgO)について、それぞれの粉末X線回折スペクトルを示した図である。 水酸化マグネシウムを加熱したとき(加熱速度:10℃/min)の重量減少を示したグラフである。 実施例及び比較例の各サンプルについての粉末X線回折スペクトルを示した図である。
本発明による汚染成分除去材及びその製造方法について説明する。
本発明の汚染成分除去材は、波長1.5418Åにおける粉末X線回折スペクトルの2θ=36.5±0.5°での酸化マグネシウムの(111)面に対応するピークの半値幅が0.3以上でかつ、110℃以下での乾燥重量を基準として1000℃で加熱したときの重量減少率が2〜15%の範囲であるマグネシウム化合物を含有することを特徴とする。
上記構成を採用すれば、前記マグネシウム化合物の結晶構造の制御によって、従来の酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムに比べて、顕著に優れた汚染成分除去性能を発揮することができ、さらに、マグネシウム化合物を含有する汚染成分除去材であることから、セリウムやランタン等の希土類金属化合物のみからなる汚染成分除去材等に比べて、低コストで製造することが可能となる。
また、前記マグネシウム化合物の結晶構造の制御をさらに良好に図ることができるという点から、前記マグネシウム化合物は、波長1.5418Åにおける粉末X線回折スペクトルの2θ=37.5±0.5°での水酸化マグネシウムの(101)面に対応するピークの半値幅が0.5以上であることが好ましい。前記マグネシウム化合物は、酸化マグネシウムに加えて水酸化マグネシウムと類似した結晶構造についても有しているため、水酸化マグネシウムの(101)面に対応するピークの半値幅を規定すれば、結晶構造のさらに高い制御が可能となる。
ここで、図1は水酸化マグネシウム、本願の発明によるマグネシウム化合物、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムと酸化マグネシウムとを1:1に混合した混合物について、それぞれのX線回折スペクトルを示したものである。図1に示すように、本発明に係るマグネシウム化合物は、2θ=36.5±0.5°での酸化マグネシウムの(111)面に対応するピークの半値幅が0.3以上でかつ、2θ=37.5±0.5°での水酸化マグネシウムの(101)面に対応するピークの半値幅が0.5以上である。θ=36.5±0.5°でのピークの半値幅が0.3未満の場合や、2θ=37.5±0.5°でのピークの半値幅が0.5未満の場合には、所望の汚染成分除去性能を発揮することができない恐れがある。
なお、前記X線の波長を1.5418Åとしたのは、本願発明によるマグネシウム化合物の前記半値幅を、一般的に用いられる波長で示すためである。また、本発明のマグネシウム化合物を判断する基準として、2θ=36.5±0.5°での酸化マグネシウムの(111)面に対応するピークの半値幅、及び、2θ=37.5±0.5°での水酸化マグネシウムの(101)面に対応するピークの半値幅を選択したのは、これらのピークを用いれば、本願発明によるマグネシウム化合物と、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムとの差異を最も明確に把握できるからである。
また、前記マグネシウム化合物は、110℃以下での乾燥重量を基準として1000℃で加熱したときの重量減少率が2〜15%の範囲である。この理由としては、重量減少率が2%未満の場合、水酸化マグネシウムからの結晶構造の変化が過度に進行する結果、酸化マグネシウムとほぼ同様の物質となり、汚染成分除去性能が低下し、一方、重量減少率が15%超えの場合、加熱による水酸化マグネシウムの結晶構造の変化が十分に進行しておらず、前記マグネシウム化合物の汚染成分除去性能が低下するからである。
さらに、前記マグネシウム化合物は、水酸化マグネシウムを375〜750℃で加熱してなることが好ましい。水酸化マグネシウム以外の材料から前記マグネシウム化合物を得ようとする場合には、所望のマグネシウム化合物を得ることができない恐れがあるためである。また、水酸化マグネシウムの加熱温度が375℃未満の場合には、加熱による結晶構造の変化が十分に進行せず、マグネシウム化合物の汚染成分除去性能が低下する恐れがあり、一方、加熱温度が750℃を超える場合には、水酸化マグネシウムからの結晶構造の変化が進行しすぎる結果、酸化マグネシウムとほぼ同様の物質となり、汚染成分除去性能が低下する恐れがあるからである。また、前記マグネシウム化合物の汚染性分除去性能をさらに高めようとする場合には、加熱温度を400〜725℃の範囲にすることがより好ましく、500℃近傍とすることが最も好適である。
なお、従来から、酸化マグネシウムは、汚染土壌の不溶化材として用いられ、セメント系固化材の代替として用いられ、強度性能を有するため、固化材として用いられることが多く、一方、水酸化マグネシウムは、十分な強度性能を有していないため、これまでは用いられていなかった。さらに、本発明のように、水酸化マグネシウムを原料として、375〜750℃の温度範囲で加熱することによって、水酸化マグネシウムでも酸化マグネシウムでもなく、結晶構造の適正化が図られた高い汚染成分除去性能を有するマグネシウム化合物を得るという技術は、これまでにはない。
なお、前記水酸化マグネシウムの加熱雰囲気は、前記水酸化マグネシウムを有効に加熱でき、所望のマグネシウム化合物を得ことができる雰囲気であれば、特に限定はせず、任意の雰囲気とすることができる。例えば、大気圧雰囲気での加熱などが挙げられる。
ここで、図2は、水酸化マグネシウムを加熱したとき(加熱速度:10℃/min)の重量減少率(重量%)について示したグラフである。図2から、およそ350℃付近から重量の大きな減少が始まり、400℃前後で水酸化マグネシウムの重量が最も大きく減少し、750℃を超えたぐらいで重量変化がほぼなくなっていることがわかる。これによって、水酸化マグネシウムをおよそ375〜750℃で加熱することによって、水酸化マグネシウムとは別の物質に変化していることがわかる。
また、本発明による汚染成分除去材は、水を10〜30重量%の範囲で含有することが好ましい。前記汚染媒体が汚染土壌である場合には、汚染成分除去剤を均一に混合することができ、さらに安全性が高くなるからであり、水の含有量が10重量%未満又は30重量%超えの場合、汚染土壌への均一混合性の悪化や、安全性の確保ができない恐れがある。
また、本発明による汚染成分除去材は、希土類化合物、鉄化合物、カルシウム化合物、ベントナイト、シリカ、及び粘土鉱物のうちから選択された1種以上をさらに含有することが好ましい。その理由としては、前記希土類化合物及び鉄化合物については、酸性域での汚染成分に対する高い吸着性能を有するため、マグネシウム化合物は酸性域で溶解し、取り込んだ汚染成分が再溶出することを防止でき、汚染媒体のpHや酸化還元電位の変動に対しても安定した除去性能を発揮できることに加え、汚染媒体の環境を適したpH域に制御することもできるからである。また、カルシウム化合物は、媒体を高pH領域に調整でき、コスト的にも低減できるためである。さらに、ベントナイト、シリカ及び粘土鉱物は、汚染媒体を処理する際には、媒体との接触効率を高める効果があることに加えて、pHや酸化還元電位の変動を低減する干渉機能を有するためである。さらにまた、前記ベントナイト及び粘土鉱物は、酸化鉄やゼオライト等の汚染成分除去成分についても含有している。
また、前記希土類化合物、鉄化合物、カルシウム化合物、ベントナイト、シリカ、及び粘土鉱物の状態や含有量等については特に限定はせず、汚染媒体の性状(pH、酸化還元電位等)や、汚染成分の種類、汚染成分除去後の媒体の処理方法(そのまま放置する、放流する、中和処理する等)に応じて、適宜選択することができる。
なお、前記希土類化合物としては、例えば、セリウム、ランタン等の希土類元素の酸化物、水酸化物及び水和物が挙げられる。前記鉄化合物としては、例えば、各種オキシ水酸化物のα−FeOOH、β−FeOOH、γ−FeOOH、水酸化鉄(Fe(OH)3)、酸化鉄(Fe3O4、Fe2O3、α−Fe2O3、β−Fe2O3、γ−Fe2O3)、シュベルトマナイト等が挙げられる。前記カルシウム化合物としては、例えば、消石灰、生石灰、炭酸カルシウム、ドロマイト等が挙げられる。また、前記ベントナイトは、層状の結晶構造をもつ粘土鉱物であるモンモリロライトを主成分とし、石英、クリストパライト、ゼオライト、長石、その他の粘土鉱物等を含有する天然粘土物質の総称であり、モンモリロライトの層間イオンの種類によって、Na型、Ca型又はMg型がある。このうち、Na型は膨潤性が強く、汚染成分除去材を含水状態で維持する場合には好適である。Ca型及びMg型は、フッ素に対して難溶性の塩を形成するカルシウムイオンやマグネシウムイオンが溶解し、汚染媒体中のフッ素と結合することで、汚染成分の溶出や流出を抑制できる。
さらに、前記希土類化合物は、水酸化セリウム、酸化セリウム、水酸化ランタン、酸化ランタン及びこれらの水和物から選択される1種以上であることが好ましい。これらの希土類化合物は、重金属に対する優れた吸着性能を有し、さらに、酸性域においても高い汚染成分除去性能を有することから、本発明の汚染成分除去材に含有させることで、さらに高い汚染成分除去性能を実現できるためである。
さらにまた、本発明による汚染成分除去材は、シリカやアルミニウムを含んだ無機材料を、必要に応じて含有することもできる。シリカやアルミニウムを含んだ無機材料が、前記マグネシウム化合物や希土類化合物等の含有量を調整するための緩衝材としての役目を果たすためであり、さらに、汚染成分を含有する媒体に対し、汚染成分除去材を混合する際に、均質に混合するほど、効率的に汚染成分の除去効果が得られ、汚染媒体中の汚染成分の含有量(溶出量)により、混合に必要な前記マグネシウム化合物や希土類化合物等の量が決まることから、前記無機材料を適切に調整することで、最適な混合条件が設計できるからである。
次に、本発明による汚染成分除去材の製造方法について説明する。
本発明による汚染成分除去材の製造方法は、水酸化マグネシウム粉末を、375〜750℃で加熱してマグネシウム化合物を得る工程と、該マグネシウム化合物と、希土類化合物、鉄化合物、カルシウム化合物、ベントナイト、シリカ、及び粘土鉱物から選択された1種以上とを混合する工程とを備えることを特徴とする。
水酸化マグネシウム粉末を375〜750℃で加熱することで、従来の水酸化マグネシウム及び酸化マグネシウムに比べて優れた汚染成分除去性能を有するマグネシウム化合物を得ることができ、該マグネシウム化合物と、希土類化合物、鉄化合物、カルシウム化合物、ベントナイト、シリカ、及び粘土鉱物から選択された1種以上とを混合させることで、高い汚染成分除去性能を有する除去材を低コストで製造することが可能となる。
さらに、前記混合工程は、水溶液中で行われるか、又は、乾燥雰囲気下で行われた後に水溶液を添加する工程をさらに備えることが好ましい。含水状にすることで、取扱い性や、汚染媒体との混合性が向上するからである。
次に、本発明による汚染成分の除去方法について説明する。
本発明による汚染成分除去材を、汚染成分を含有する媒体に接触させることで汚染成分の除去を有効に行うことができる。さらに、従来の水酸化セリウムや水酸化ランタン等からなる汚染成分除去材を用いた場合よりも、低コストで汚染成分の除去が可能となる。
ここで、前記汚染成分除去材と、前記汚染媒体との接触方法は、特に限定はせず、汚染媒体の種類によって適宜選択することができる。例えば、汚染媒体が土壌の場合には、前記汚染成分除去材を汚染土壌中に混入させることができるし、汚染媒体が水の場合には、前記汚染成分除去材を汚染水中に混入する方法や、前記汚染成分除去材からなる層を設け、前記汚染水を通過させる方法が挙げられる。
なお、前記汚染成分とは、前記汚染土壌中に含まれる人体に悪影響を与える成分のことであり、例えば、ヒ素、フッ素、ホウ素、鉛、カドミウム、水銀、アンチモン、クロム、モリブデン、セレン、リン、タリウム、インジウム及びビスマスの群から選択される1種以上の成分をいう。本発明による汚染成分の除去方法を用いれば、これらの汚染成分に対して、有効に除去を行え、汚染土壌中などでの拡散を抑制することができる。
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
本発明の実施例について説明する。
(サンプル1〜5)
サンプル1〜5として、水酸化マグネシウム粉末(宇部マテリアルズ(株)製 UD−653)を、表1に示す温度で6時間焼成(ただし、サンプル1については焼成処理を行っていない。)することによって得られたマグネシウム化合物からなる汚染成分除去材を製造した。
なお、水酸化マグネシウムの焼成温度(℃)、得られたマグネシウム化合物の波長1.5418Åにおける粉末X線回折スペクトルの、2θ=36.5±0.5°での酸化マグネシウムの(111)面及び2θ=37.5±0.5°での水酸化マグネシウムの(101)面に対応するピークの半値幅、並びに、マグネシウム化合物の重量減少率(%)については表1に示す。
また、サンプル1〜5の各マグネシウム化合物の粉末X線回折スペクトルについて図3に示す。
(サンプル6、7)
また、サンプル6については、所定のマグネシウム化合物に代えて、酸化マグネシウム(宇部マテリアルズ(株)製 UC−95ST)を含有させたこと、サンプル7については、700℃で焼成した酸化マグネシウムを用いたこと以外は、サンプル1〜5と同様の条件によって、汚染成分除去材を製造した。
なお、各サンプルについて、酸化マグネシウムの焼成温度(℃)、酸化マグネシウムの波長1.5418Åにおける粉末X線回折スペクトルの、2θ=36.5±0.5°での酸化マグネシウムの(111)面及び2θ=37.5±0.5°での水酸化マグネシウムの(101)面に対応するピークの半値幅、並びに、酸化マグネシウムの重量減少率(%)については表1に示す。
また、サンプル6の酸化マグネシウムの粉末X線回折スペクトルについて図3に示す。
(サンプル8〜11)
また、サンプル8〜11については、所定のマグネシウム化合物に代えて、水酸化マグネシウム(宇部マテリアルズ(株)製 UD−653)と酸化マグネシウム(宇部マテリアルズ(株)製 UC−95ST)を、表1に示す重量比で混合した混合物を用いたこと以外は、サンプル1〜5と同様の条件によって、汚染成分除去材を製造した。
なお、サンプル8の混合物について、波長1.5418Åにおける粉末X線回折スペクトルの、2θ=36.5±0.5°での酸化マグネシウムの(111)面及び2θ=37.5±0.5°での水酸化マグネシウムの(101)面に対応するピークの半値幅、並びに、混合物の重量減少率(%)については表1に示す。
Figure 2011156466
(評価1)
上記サンプルについて、汚染成分であるヒ素及びフッ素の除去性能についての評価を行った。
各汚染成分(ヒ素、フッ素)を100mg/Lの濃度(初期汚染成分量)で含有する400mLの汚染水溶液中に、各サンプルの汚染成分除去材1gを添加し、24時間揺動させた。その後、フィルターを用いて、水溶液をろ過し、ろ液中に含有される汚染成分濃度を、ICP又はイオンメータによって定量分析し、下式に従いヒ素及びフッ素の除去率(%)を算出した。
除去率(%)=(初期汚染成分量−ろ液中の汚染成分量)×100/初期汚染成分量
各サンプルの汚染成分除去率(%)については表2に示す。
Figure 2011156466
表2によれば、本願発明の実施例である所定のマグネシウム化合物を含有するサンプル3及び4は、水酸化マグネシウムを含有するサンプル1、酸化マグネシウムを含有するサンプル6及び7に比べて、ヒ素及びフッ素のいずれの除去率についても高い値を示すことがわかった。
さらに、サンプル3及び4は、水酸化マグネシウムと酸化マグネシウムの混合物であるサンプル8〜12に比べても、ヒ素及びフッ素の除去率が高く、水酸化マグネシウムと酸化マグネシウムを単純に混合するだけでは、本願発明と同等の効果を奏することができないことがわかった。
さらにまた、2θ=37.5±0.5°での水酸化マグネシウムの(101)面に対応するピークの半値幅が本願発明の範囲に属さないサンプル2、及び、1000℃で加熱したときの重量減少率が2%未満であるサンプル5は、本願発明によるサンプル3及び4に比べて、ヒ素及びフッ素の除去率が低いことから、水酸化マグネシウムの適正な加熱処理が行われなければ、本願発明によるマグネシウム化合物と同等の汚染成分除去効果を得ることができないことがわかった。
(評価2)
次に、サンプル13〜19として、表3に示す割合で化合物を含有する汚染成分除去剤を製造し、所定のpH(表5参照。)における試験廃水中の各汚染成分(ヒ素、フッ素、セレン、ボロン、鉛)に対する除去率(%)及び汚染成分除去剤の分散性についての評価を行った。評価結果を表5に示す。
なお、試験廃水については、表4に示す濃度で各汚染成分を含有したものを用い、汚染成分除去前後の汚染成分濃度を、ICP(島津製作所社製、ICP-1000IV)を用いた定量分析により測定(ただし、フッ素についてはイオンメーターを用いて測定)することで、各サンプルによって除去した汚染成分量を算出し、その結果から汚染成分の除去率(%)を算出した。
また、分散性については、各サンプルの汚染成分除去材と、水を20質量%含有する試験土壌とを混合したときの、土壌中の汚染成分除去材の均一性を目視によって確認し、以下の基準によって評価を行った。
○:全て均一に混合されている
△:部分的に偏っているが、大部分は均一に混合されている
×:多くの部分で偏りが見られる
Figure 2011156466
Figure 2011156466
Figure 2011156466
表5によれば、本願発明の実施例である所定のマグネシウム化合物を含有するサンプル13〜16は、その他の化合物のみからなるサンプル17〜19に比べて、高い汚染成分除去性能を有することがわかった。これは、サンプル17〜19については陰イオンによる阻害によって汚染成分の有効な吸着が行われておらず、サンプル13〜16については、所定のマグネシウム化合物によって阻害要因となる陰イオンの処理が行われているため、有効に汚染成分の除去が行われていると考えられる。
また、サンプル15、16については、酸性域での汚染除去性能が優れているセリウム系吸着剤やシュベルマナイトを組み合わせているので、広いpH領域で良好な汚染成分の除去性能を有することが可能となっている。
なお、100%マグネシウム化合物からなるサンプル13については、汚染媒体と混合した後にマグネシウム化合物が凝集するため、他のサンプルに比べて多少分散性に劣ることがわかった。
本発明によれば、種々の汚染成分を含有した媒体に対して優れた汚染成分除去性能を有することに加えて、低コストで製造できる汚染成分除去材及びその製造方法、並びに、その汚染成分除去材を用いた汚染成分の除去方法を提供することが可能である。

Claims (9)

  1. 波長1.5418Åにおける粉末X線回折スペクトルの2θ=36.5±0.5°での酸化マグネシウムの(111)面に対応するピークの半値幅が0.3以上でかつ、110℃以下での乾燥重量を基準として1000℃で加熱したときの重量減少率が2〜15%の範囲であるマグネシウム化合物を含有することを特徴とする汚染成分除去材。
  2. 前記マグネシウム化合物は、波長1.5418Åにおける粉末X線回折スペクトルの2θ=37.5±0.5°での水酸化マグネシウムの(101)面に対応するピークの半値幅が0.5以上である請求項1に記載の汚染成分除去剤。
  3. 前記マグネシウム化合物は、水酸化マグネシウムを375〜750℃で加熱してなる請求項1又は2に記載の汚染成分除去材。
  4. 水を10〜30重量%の範囲で含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚染成分除去材。
  5. 希土類化合物、鉄化合物、カルシウム化合物、ベントナイト、シリカ、及び粘土鉱物のうちから選択された1種以上をさらに含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚染成分除去材。
  6. 水酸化マグネシウム粉末を、375〜750℃で加熱してマグネシウム化合物を得る工程と、該マグネシウム化合物と、希土類化合物、鉄化合物、カルシウム化合物、ベントナイト、シリカ、及び粘土鉱物から選択された1種以上とを混合する工程とを備えることを特徴とする汚染成分除去材の製造方法。
  7. 前記混合工程は、水溶液中で行われるか、又は、乾燥雰囲気下で行われた後に水溶液を添加する工程をさらに備える請求項6に記載の汚染成分除去材の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の汚染成分除去材を、汚染成分を含有する媒体に接触させることで汚染成分の除去を行うことを特徴とする汚染成分の除去方法。
  9. 前記汚染成分は、ヒ素、フッ素、ホウ素、セレン、鉛、クロム、カドミウム、マンガン、アンチモン及びニッケルから選択された1種以上の成分である請求項8に記載の汚染成分の除去方法。
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JP2012184388A (ja) * 2011-02-14 2012-09-27 Ube Industries Ltd 不溶化剤およびその製造方法
JP2015208691A (ja) * 2014-04-24 2015-11-24 東亞合成株式会社 吸着材または不溶化材、およびそれらの製造方法
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KR101849726B1 (ko) * 2016-08-05 2018-04-17 안경진 성능이 개선된 폐수 처리 및 배출수 관리 시스템

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