JP2017176798A - ゴルフショット表示装置 - Google Patents

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万也 福田
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Abstract

【課題】現実のゴルフ場でショットを行うプレイヤーの視点に対応する見え方の画像を表示することが可能なゴルフショット表示装置を提供すること。【解決手段】仮想空間内のゴルフ場の二次元投影画像、およびゴルフ場に設定された目標位置に向かって移動するボールを表示装置6に表示するゴルフショット表示装置は、駆動機構と、投影範囲特定部と、駆動制御部とを備える。駆動機構は、表示装置6の上下位置、前後位置、回転角度または傾斜角度のうち少なくともいずれか一つを変化させる。投影範囲特定部は、仮想空間のうち二次元投影画像として表示装置6に表示させる投影範囲を、少なくとも目標位置に基づいて特定する。駆動制御部は、表示装置6を視認するユーザの視点と表示装置6との相対的な位置関係を示す視点位置情報と投影範囲とに基づいて駆動機構を制御する。【選択図】図2

Description

本発明は、ゴルフショット表示装置に関する。
従来、ゴルフのパッティングについてシミュレーション等を行う装置が種々提案されている。
特許文献1に開示されている技術によれば、パッティングで打ち出されたゴルフボール(以下、ボールという)の速度および方向を検出し、検出した情報に基づいて、表示装置に表示されたグリーン上におけるボールの運動をシミュレーションする。シミュレーション結果は、画像処理されてモニタに表示される。
また、特許文献2には、グリーンを立体的に表示する鳥瞰図の画像及びグリーンの二次元的テレビ画像に対して画像処理を施すことにより、二次元的テレビ画像からボールの三次元位置情報を検出する技術が開示されている。この技術によれば、二次元的テレビ画像からパッティングラインが予測される。
特開平7−328172号公報 特開平8−71194号公報
ところで、特許文献1や特許文献2のようにグリーン上を転がるボールを表示装置に表示させることによってパッティングのシミュレーション結果をユーザに提示する場合、当該グリーンが現実空間において実際のグリーン(以下、実グリーンと呼称する場合がある)として存在すると仮定したときに当該実グリーン上でアドレスするゴルファーが目視するときの光景に極力近い画像を表示することが好ましい。また、パッティングに限らずアプローチショットやドライバーショットなどで打ち出されるボールをシミュレーションする場合にも、同様にゴルフ場でアドレスするゴルファーが目視する光景に極力近い画像を表示装置に表示することが好ましい。
このような光景を表示する画像は、例えば透視投影による遠近図法で生成することができる。そのように生成された画像が現実感を持って視認されるには、ゴルファーが目視する光景を十分に表示するだけの巨大な表示領域が求められるところ、市販されている液晶ディスプレイなどの表示装置の表示領域は必ずしも十分な大きさを有しているとはいえない。このため、ゴルファーが目視する光景が現実感を持って視認される画像を表示装置で表示することは困難である。
なお、上述の特許文献1および特許文献2に代表される従来の技術では、シミュレーション結果をユーザに提示する画像の現実感についてまでは考慮されていない。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、現実のゴルフ場でショットを行うプレイヤーの視点に対応する見え方の画像を表示することが可能なゴルフショット表示装置を提供するものである。
本発明によれば、仮想空間内のゴルフ場の二次元投影画像、および前記ゴルフ場に設定された目標位置に向かって移動するボールを表示装置に表示するゴルフショット表示装置であって、前記表示装置の上下位置、前後位置、回転角度または傾斜角度のうち少なくともいずれか一つを変化させる駆動機構と、前記仮想空間のうち前記二次元投影画像として前記表示装置に表示させる投影範囲を、少なくとも前記目標位置に基づいて特定する投影範囲特定部と、前記表示装置を視認するユーザの視点と前記表示装置との相対的な位置関係を示す視点位置情報と前記投影範囲とに基づいて前記駆動機構を制御する駆動制御部と、を備えることを特徴とするゴルフショット表示装置が提供される。
本発明によれば、表示装置を視認するユーザの視点と投影範囲とに基づいて駆動機構が制御されて表示装置の上下位置、前後位置、回転角度、傾斜角度のうち少なくとも一つを変化させる。このため、初期の上下位置、前後位置、縦横の向きおよび傾斜角度の表示装置では現実感を持って投影範囲を表示することができない場合も、表示装置の上下位置、前後位置、回転角度または傾斜角度の少なくとも一つを変化させることで、現実のゴルフ場でショットを行うプレイヤーの視点に対応する見え方の画像を表示してユーザの視点から目視させることが可能なゴルフショット表示装置が提供される。
本発明の実施形態に係るゴルフショット表示装置の構成例を示す外観図である。 透視投影による投影範囲と、表示装置の配置との関係を示す模式図であり、(a)は表示装置を上方に駆動する態様を示し、(b)は表示装置を下方に駆動する態様を示す。 駆動機構による表示装置の上下位置の変更の態様を示す図である。 駆動機構による表示装置の上下位置および縦横の向きの変更態様を示す図である。 駆動機構による表示装置の前後位置および傾斜角度の変更態様を示す図である。 表示装置の配置を3通りに変えた場合における、遠方限界の近傍の投影状態を示す模式図である。 (a)は横長向きに配置された表示装置を示す模式図であり、(b)は(a)の表示装置を面直軸まわりに回転させて斜め傾斜させた状態を示す模式図である。 ゴルフショット表示装置のシステム構成例を示す図である。 グリーンに係る情報が格納されたグリーンデータベースの構成例を示す図である。 実施形態におけるカップおよび仮想カップの表示例を示す図である。 カーブフィッティングによって特定された回帰曲線の例を示す図である。 ボールの軌道を示す図である。 仮想カップの表示処理のフローチャートを示す図である。 仮想カップ位置の演算処理(図13に示すステップS5の処理)のフローチャートを示す図である。 軌道表示処理のフローチャートを示す図である。 タッチパネル式表示部における詳細情報に係る表示例を示す図である。 グリーン情報表示画面の表示例を示す図である。 カップ情報表示画面の表示例を示す図である。 仮想カップ情報表示画面の表示例を示す図である。 ショット情報表示画面の表示例を示す図である。 軌道情報表示画面の表示例を示す図である。 表示装置の駆動処理のフローチャートを示す図である。 表示装置の駆動処理のフローチャートを示す図である。 透視投影による投影範囲と、表示装置の配置との関係を示す模式図である。 透視投影による投影範囲と、表示装置の配置との関係を示す模式図である。 透視投影による投影範囲と、表示装置の配置との関係を示す模式図である。 透視投影による投影範囲と、表示装置の配置との関係を示す模式図である。 透視投影による投影範囲と、表示装置の配置との関係を示す模式図である。 表示装置の表示例を示す図である。 表示装置の表示例を示す図である。 表示装置の表示例を示す図である。 アプローチショットの場合の透視投影による投影範囲と、表示装置の配置との関係を示す模式図である。 アプローチショットの場合の透視投影による投影範囲と、表示装置の配置との関係を示す模式図である。 アプローチショットの場合の透視投影による投影範囲と、表示装置の配置との関係を示す模式図である。 駆動機構の一構成例を示す模式図である。 駆動機構を駆動させた状態を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」とは、特に断りのない限り、表示装置を正面側(ユーザ側)から見た状態で指称するものとする。
<発明の概要>
まず、本実施形態に係るゴルフショット表示装置10の概要について、図1から図10を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るゴルフショット表示装置10を適用したゴルフショット表示装置の構成例を示す外観図である。図2(a)および図2(b)は、後述する投影範囲と表示装置6の配置との関係を示す図である。図3から図5は、ゴルフショット表示装置10による表示装置6の上下位置、縦横の向き、ならびに前後位置と傾斜角度の変更の態様をそれぞれ示す図である。図6は表示装置の配置を3通りに変えた場合における、遠方限界の近傍の投影状態を示す模式図である。図7(a)は横長向きに配置された表示装置6を示す模式図であり、図7(b)は図7(a)の表示装置6を面直軸まわりに回転させて斜め傾斜させた状態を示す模式図である。図8はゴルフショット表示装置10のシステム構成例を示す図である。図9はグリーン90に係る情報が格納されたグリーンデータベース109の構成例を示す図である。図10はグリーン90、カップ60および仮想カップ70の表示例を示す図である。
ゴルフショット表示装置10は、仮想空間内のゴルフ場の二次元投影画像、およびこのゴルフ場に設定された目標位置に向かって移動するボール80を表示装置6に表示する。本実施形態では、ゴルフ場におけるグリーン90の二次元投影画像およびこのグリーン90上を転がるボール80を表示装置6に表示する。
ゴルフショット表示装置10は、駆動機構156と、投影範囲特定部153と、駆動制御部155とを備える。
駆動機構156は、表示装置6の上下位置、前後位置、回転角度または傾斜角度の少なくともいずれか一つを変化させる。
投影範囲特定部153は、仮想空間のうち二次元投影画像として表示装置6に表示させる投影範囲を、少なくとも目標位置に基づいて特定する。本実施形態では、投影範囲特定部153はカップ60の位置(以下、カップ位置と称することがある)または後述する仮想カップ70の位置(以下、仮想カップ位置と称することがある)を目標位置とし、当該目標位置に基づいて投影範囲を特定する。
駆動制御部155は、表示装置6を視認するユーザの視点と表示装置6との相対的な位置関係を示す視点位置情報と、上記で特定された投影範囲とに基づいて駆動機構156を制御する。
「グリーン90」は仮想空間内のゴルフ用グリーンであり、実際のゴルフ場で用いられるグリーンを模した(仮想化した)三次元的に湾曲する面のみならず、単なる水平面および一様な傾斜を有する面などボールが転がる状態を仮想表示するための面が含まれる。
「二次元投影画像」とは、表示装置6の表示領域を介して仮想空間(グリーン90)と現実空間とが連続する一の空間を構成していると仮定したときに、仮想空間(グリーン90)を透視投影などの遠近図法で表して成る画像である。以下、二次元投影画像を単に画像と略記する場合がある。
「投影範囲」とは、二次元投影画像として表示装置6に表示される仮想空間内の領域である。例えば透視投影による遠近図法を用いて二次元投影画像を生成する場合、仮想空間における透視投影の対象となる範囲が投影範囲である。
本実施形態において、表示装置6に表示されるグリーン90上およびその近傍上での距離に関する言及は、表示装置6の表示画面上における距離(長さ)を示すものではなく、表示装置6に表示される仮想空間における距離を意味するものである。
<ゴルフショット表示装置10の構成について>
本実施形態に係るゴルフショット表示装置10は、ユーザ50がゴルフショット動作によって実際のボール180を打ち出すか、または摸擬的なゴルフショット動作をしたことを検知し、仮想のボール80の軌道を演算して表示装置6に表示する装置である。ゴルフショットには、パッティングまたはアプローチショット(以下、あわせて短距離ショットという)のほか、ドライバーショットなどの遠距離ショットが有るが、ゴルフショット表示装置10はいずれのゴルフショットを対象にしてもよい。以下では短距離ショットとしてパッティングを例に挙げて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るゴルフショット表示装置10は、上述した表示装置6および駆動機構156に加え、本体10aと、第一撮影部20と、第二撮影部21と、ボール回収部24と、マット55と、センサ131、133、135、137と、反射板141、143、145、147とを備える。
図1に示すように、打ち出し位置PPを含むマット55の長手方向をx方向と称し、マット55の幅方向(短手方向)をy方向と称し、マット55の法線方向をz方向と称する。換言すれば、x方向はユーザ50と表示装置6とを結ぶ方向であり、y方向はx方向に対して垂直を成す方向であり、z方向はxy平面に対して垂直を成す方向である。マット55は実質的に水平に設置され、z方向は鉛直上下方向にあたる。なお、x方向のうちユーザ50から表示装置6に表示される仮想空間の奥行側に向かう側を+x側と呼称し、逆に表示装置6に表示される仮想空間の奥行側からユーザ50に向かう側を−x側と呼称する。
ここで、「打ち出し位置PP」とは、ユーザ50が短距離ショットを行う位置である。短距離ショットがパッティングである場合、打ち出し位置PPはグリーン90上の位置に対応する。短距離ショットがアプローチショットである場合、打ち出し位置PPはグリーン90の外部の位置に対応する。マット55上には異なる位置に複数の打ち出し位置PPが設定されていてもよい。
本実施形態では、第一撮影部20、第二撮影部21、センサ131、133、135、137、および本体10aは、不図示の短距離無線通信部を備え、短距離無線通信によってデータの送受信が可能に構成されている。
また、図1に示す例では、本体10aと表示装置6とは有線によりデータの送受信を可能に接続されている構成を採るが、短距離無線通信によって接続される構成としてもよい。同様に、本体10aと駆動機構156とは有線によりデータの送受信を可能に接続されている構成を採るが、短距離無線通信によって接続される構成としてもよい。
表示装置6は、表示領域が打ち出し位置PPに対面するようにしてマット55の長手方向の前方に設置される。表示装置6には横長型の液晶表示装置を用いることができる。表示装置6の横方向の長さLyと縦方向の長さLzとの比は、例えば16対9である。図1に示すように、表示装置6は、一般的なテレビ受像器と同様に、初期状態においては横長かつ鉛直に設置することができる。ただし、表示装置6を初期状態において縦長向きかつ鉛直に配置してもよい。以下、表示装置6を横長向きまたは縦長向き、かつ鉛直に設置した状態を初期状態と称する場合がある。また、表示装置6を横長向きかつ鉛直に設置することを「正置する」と称する場合がある。表示装置6を正置した場合、表示装置6の横方向はマット55のy方向と一致し、縦方向はマット55のz方向と一致している。なお、表示装置6は液晶表示装置に限られず、どのような画像表示機器を用いてもよく、プロジェクタ装置を用いてもよい。
図1に示すように、本実施形態において表示装置6の上下位置、前後位置、回転角度、傾斜角度は、表示する画像に応じて駆動制御部155により制御される駆動機構156によって下記のように変更されうる。
(i)矢印a1で示されるz方向(上下方向)への平行移動。すなわち、表示装置6の上下位置の変更である。
(ii)表示装置6の表示領域上の回転中心を通り表示領域に対して面直な軸まわりに、yz平面に対して平行に回転(矢印a2で示す回転)する回転移動。回転中心は、例えば表示領域の中心(画面中心)cとすることができる。すなわち、当該回転移動は、表示装置6の面直軸まわりの回転角度を変更する移動である。本明細書において特に断りなく回転角度と呼称する場合は、表示装置6の面直軸まわりの回転角度を意味する。なお、縦長向きまたは横長向きに配置された表示装置6を面直軸まわりに90度の回転角度で駆動すれば、表示装置6の縦横の向きが変更される。
(iii)矢印a3で示されるx方向への平行移動。すなわち、表示装置6の前後位置の変更である。
(iv)矢印a4で示される回転軸ax1まわりの回転移動。回転軸ax1は、例えば表示装置6の下端部E2(図5参照)を通りy方向に平行な軸である。すなわち、表示装置6の傾斜角度の変更である。表示装置6の傾斜角度とは、表示装置6が縦長向きまたは横長向きかつ鉛直に配置された初期状態から、表示装置6の表示領域に沿って延在するいずれかの回転軸まわりに表示装置6を回転させる場合の回転角度をいう。上記のように表示装置6の幅方向にあたるy方向を回転軸として表示装置6を後傾させる場合は、表示装置6の仰角が傾斜角度にあたる。そして表示装置6の傾斜角度には、表示装置6の表示領域に沿う上下方向を回転軸として表示装置6を初期状態から回転させた角度も含む。すなわち、表示装置6を縦長向きまたは横長向きに鉛直に配置した初期状態から、z方向を回転軸として表示装置6を回転させる場合も表示装置6の傾斜角度を変更させる駆動となる。更に、表示装置6の幅方向と上下方向とを組み合わせた方向を回転軸として表示装置6を初期状態から回転させる駆動も表示装置6の傾斜角度の変更である。すなわち、例えば表示装置6の表示領域の対角線を回転軸として表示装置6を回転駆動してもよい。
駆動制御部155は、表示装置6の上下位置、前後位置、回転角度、および傾斜角度のうち複数を組み合わせて駆動してもよい。
表示装置6には、グリーン90が現実空間において実際のグリーン(以下、実グリーンと呼称する場合がある)として存在すると仮定したときにゴルファー(ユーザ50)が目視する光景が表示される。より具体的には、グリーン90に対応する実グリーンに立つゴルファーが、打ち出し位置PPに対応する当該実グリーン上の位置においてアドレスしてグリーン90に対応する実グリーンを目視するときの光景が表示装置6に表示される。当該光景は、現実空間と同様の遠近感をもって表現された画像として表示装置6に表示される。このような画像は遠近図法により生成され、本実施形態では透視投影により生成される。
詳細は後述するが、ユーザ50の視点を基準とした透視投影による画像を生成するには、仮想空間中の透視投影の対象とする範囲である投影範囲と、ユーザ50の視点と表示装置6との相対的な位置関係と、が特定される必要がある。これにより、打ち出し位置PPでアドレスするユーザ50の視点からみたときに現実感をもって視認される画像として上記の投影範囲を表示装置6に表示することができる。
このため、透視投影により生成された画像を表示する表示装置6は、ユーザ50の視点を基準として、仮想空間中の透視投影の対象とする投影範囲の全体を表示可能な位置(以下、透視可能位置と呼称することがある)に配置される必要がある。仮に表示装置6が透視可能位置に配置されなかった場合、当該表示装置6に表示される画像から目標位置(例えばカップ位置)が欠落するか、表示装置6に表示される目標位置が実グリーン上で目標位置を視認する視線方向とは異なる視線方向に配置されるか、または現実感の無い縮尺で投影範囲を表示装置6に表示することとなるため、いずれにしてもゴルファーがグリーン90を目視するときの光景として視認されず、当該画像により表示される光景の現実感が喪失または低減する。
そこで、本実施形態では、表示装置6を透視可能位置に配置すべく、表示装置6の上下位置、前後位置、回転角度、傾斜角度の少なくとも一つを変更する駆動機構156が設けられている。
図2(a)および図2(b)は、透視投影による投影範囲と、表示装置6の配置との関係を示す模式図である。
表示装置6の表示領域(画面)が設置されている設置面wを境に−x側が現実空間を示し、+x側が仮想空間を示している。ユーザ50の視点eは現実空間内に存在し、目標位置Pg1〜Pg3は仮想空間内に設定されている。本実施形態では、設置面wを介して仮想空間(グリーン90)と現実空間とが連続する一の空間を構成するように、仮想空間(グリーン90)を透視投影による遠近図法で表した二次元投影画像を生成する。この画像が、後述する透視可能位置に配置された表示装置6に表示され、ユーザ50に視点eから視認されると、打ち出し位置PPに対応する実グリーン上の位置においてアドレスするゴルファーがグリーン90に対応する実グリーン上の目標位置(カップ位置、または仮想カップ位置)を目視するときの光景として視認される。
ここで、図2(a)および図2(b)に示す打ち出し位置PPと設置面wとの間のx方向における距離Lxは、図1に示すマット55の一方端側に設けられた打ち出し位置PPから、マット55の他方端側に設けられたボール回収部24までの距離(4p)に対応する。また、図2(a)および図2(b)に示す基準面rpはz座標の値が零の面であり、現実空間においてはマット55の表面を示している。また、ここでは簡単のためグリーン90が平坦であって目標位置Pg1〜Pg3が仮想空間における基準面rp上に配置されている場合について説明する。グリーン90がユーザ50からみて上り傾斜している場合は目標位置Pg1〜Pg3は基準面rpよりも上方に配置され、逆にグリーン90がユーザ50からみて下り傾斜している場合は目標位置Pg1〜Pg3は基準面rpよりも下方に配置される。
まず、図2(a)について説明する。基準面rp上の目標位置Pg1、Pg2は、パッティングによってユーザ50がボール80を転がして停止させる目標とする位置(例えば後述する仮想カップ70の位置)である。
ここで、図2(a)に示すように、視点eに対応する打ち出し位置PPから目標位置Pg1までのx方向における距離をL1とすると、位置P11は、距離L1の30%に相当する距離だけ目標位置Pg1から+x側(奥行側)に離間した位置である。同様に、視点eに対応する打ち出し位置PPから目標位置Pg2までのx方向における距離をL2とすると、位置P12は、距離L2の30%に相当する距離だけ目標位置Pg2から+x側に離間した位置である。位置P11や位置P12を表示装置6に表示することにより、目標位置Pg1、Pg2をオーバーする強めのショットであってもボール80が停止する位置を表示装置6で表示することができる。
位置P11は、目標位置Pg1に基づいて決定される投影範囲の+x側の限界位置として設定することができる。同様に、位置P12は、目標位置Pg2に基づいて決定される投影範囲の+x側の限界位置として設定することができる。
従って、目標位置Pg1に対応する表示装置6の配置は、位置P11および目標位置Pg1を表示できるよう、位置P11と視点eとを結ぶ直線で示される遠方限界RU2が、表示装置6における表示領域の最も高い位置(以下、表示上限位置という)PUと一致するかまたは表示上限位置PUよりも低い位置を通過するような配置である。
同様に、目標位置Pg2に対応する表示装置6の配置は、位置P12および目標位置Pg2を表示できるよう、位置P12と視点eとを結ぶ直線で示される遠方限界RU1が、表示上限位置PUと一致するかまたは表示上限位置PUよりも低い位置を通過するような配置である。
ここで、図2(a)に示すように、目標位置Pg2と視点eに対応する打ち出し位置PPとの間のx方向における距離L2は、目標位置Pg1と視点eに対応する打ち出し位置PPとの間のx方向における距離L1よりも長い。このように、目標位置が視点eに対応する打ち出し位置PPから遠くなるほど遠方限界を高い位置に表示する必要があるため、表示装置6の表示上限位置PUの位置を高くする。この場合に、本実施形態では、図3および図4に示すように、表示装置6を上方に移動させるかまたは回転させることで、表示上限位置PUの位置を高くする。
すなわち、目標位置Pg1に基づいて決定されるとともに遠方限界RU2を最遠位点とする投影範囲が特定されている状態を基準状態とし、目標位置Pg1よりもユーザ50からみて奥行側にある目標位置Pg2に基づいて決定されるとともに遠方限界RU1を最遠位点とする投影範囲が特定されている状態を第一状態としたときに、駆動制御部155は、第一状態においては基準状態よりも、表示装置6における表示領域の表示上限位置PUが上方となるように駆動機構156を制御する。
一方、図2(b)を参照して後述するように、目標位置Pg1に基づいて決定されるとともに近方限界RL1を最近位点とする投影範囲が特定されている状態を基準状態とし、目標位置Pg1よりもユーザ50からみて手前側にある目標位置Pg3に基づいて決定されるとともに近方限界RL3を最近位点とする投影範囲が特定されている状態を第二状態としたときに、駆動制御部155は、第二状態においては基準状態よりも、表示装置6における表示領域の表示下限位置PLが下方となるように駆動機構156を制御する。
表示領域を介して仮想空間と現実空間とが連続する一の空間を構成していると仮定し、現実空間と仮想空間とを結ぶ方向をx方向とし、視点eに対応する打ち出し位置PPと目標位置(図2(a)および図2(b)に示す例では目標位置Pg1)とのx方向における距離が所定値(L1)である状態が基準状態である。
一方、視点eに対応する打ち出し位置PPと目標位置(図2(a)に示す例では目標位置Pg2)とのx方向における距離が上記の所定値(L1)よりも大きい状態が第一状態(x方向距離:L2)である。そして、視点eに対応する打ち出し位置PPと目標位置(図2(b)に示す例では目標位置Pg3)とのx方向における距離が上記の所定値(L1)よりも小さい状態が第二状態(x方向距離:L3)である。
図2(b)について説明する。視点eに対応する打ち出し位置PPから目標位置Pg1までのx方向における距離をL1(基準状態)とすると、位置P21は、距離L1の30%に相当する距離だけ目標位置Pg1から−x側(近位側)に離間した位置である。同様に、視点eに対応する打ち出し位置PPから目標位置Pg3までのx方向における距離をL3(第二状態)とすると、本実施形態では位置P23は、距離L3の30%に相当する距離だけ目標位置Pg3から−x側に離間した位置である。位置P21や位置P23を表示装置6に表示することにより、目標位置Pg1,Pg3をショートする弱めのショットであってもボール80が停止する位置を表示装置6で表示することができる。なお、図2(b)に示す例では、位置P23のx方向の座標の値は、設置面wと基準面rpとが交わる点を示す位置P0のx方向の座標の値と同じ値となっている。
また、位置P21は、目標位置Pg1に基づいて決定される投影範囲の−x側の限界位置である。同様に、位置P23は、目標位置Pg3に基づいて決定される投影範囲の−x側の限界位置である。
従って、目標位置Pg1に対応する表示装置6の配置は、位置P21および目標位置Pg1を表示できるよう、位置P21と視点eとを結ぶ直線で示される近方限界RL1が、表示装置6における表示領域の最も低い位置(以下、表示下限位置という)PLと一致するかまたは表示下限位置PLよりも高い位置を通過するような配置である。
同様に、目標位置Pg3に対応する表示装置6の配置は、位置P23および目標位置Pg3が表示できるよう、位置P23と視点eとを結ぶ直線で示される近方限界RL3が、表示装置6の表示下限位置PLと一致するかまたは表示下限位置PLよりも高い位置を通過するような配置である。
ここで、図2(b)に示すように、目標位置Pg3と視点eに対応する打ち出し位置PPとの間のx方向における距離L3は、目標位置Pg1と視点eに対応する打ち出し位置PPとの間のx方向における距離L1よりも短い。このように、目標位置が視点eに対応する打ち出し位置PPに近くなるほど近方限界を低い位置に表示する必要があるため、表示装置6の表示下限位置PLの位置を低くする。この場合に、本実施形態では、図3および図4に示すように、表示装置6を下方に移動させるか、または縦横の向きを変更することで、表示下限位置PLの位置を低くする。
図3は、上下方向(z方向)への表示装置6の移動を示す図である。ここで、z方向における上方向を+z側、下方向を−z側と呼称する。同図に示すように正置された表示装置6を初期状態から+z側に移動させることで、表示装置6の表示上限位置PUが+z側にΔz1だけ移動している。また、表示装置6を初期状態から−z側に移動させることで、表示装置6の表示下限位置PLが−z側にΔz2だけ移動している。
図4は、表示装置6における表示領域の中心cの位置を回転中心としてyz平面に平行に反時計回りに90°だけ回転(以下、面内回転という場合がある)させて表示装置6の縦横の向きを変更する様子を示す図である。ただし、面内回転させる回転方向は反時計回りに限られない。
上述したように表示装置6は初期状態で横長型で設置されており、この縦横の向きの変更によって表示領域が上下方向に縦長となるように回転して表示上限位置PUが+z側にΔz3だけ移動する。また、この回転により表示下限位置PLが−z側にΔz5だけ移動する。表示装置6の面内回転の回転中心は中心cに限られるものではない。回転中心の位置を変更させることでΔz3、Δz5は変化する。
なお、図4に示すように、表示装置6を面内回転させることによる縦横の向きの変更に加えて表示装置6自体を+z側へ移動させることで、表示上限位置PUの位置をさらに+z側に移動させることができる。同図に示す例では、表示上限位置PUが+z側にさらにΔz4だけ移動している。
駆動制御部155は、基準状態と比較して、奥行側の目標位置Pg2に対応する位置P12を含むように投影範囲を特定する第一状態においては、表示装置6を上方向(+z側)に移動させることによって、または、表示領域が上下方向に縦長となるように、表示領域の中心cを回転中心として表示装置6を回転させることで、表示上限位置PUを上方向(+z側)に移動させる。
図5は、駆動機構156による表示装置6の傾斜角度の変更態様を示す図である。具体的には、表示装置6を全体的に−x側(図中右方)に移動させ、移動させた表示装置6の下端部E2の位置を固定した状態で、表示装置6の表示領域がyz平面に対して角度θ1を成すように、下端部E2を通りy方向に平行な軸を回転軸として表示装置6を回転させた状態を示している。表示下限位置PLはユーザ50の視点eよりも下方に位置している。そして表示装置6の上端部E1を+x側に倒すことで、表示装置6に正の仰角が付与され、表示画面が上を向く。このように表示装置6の−x側への位置移動と、yz平面に対して傾斜させる傾斜角度の変更とによって、表示上限位置PUの位置はΔz5だけ低くなり、かつ、表示装置6の表示下限位置PLのx方向における位置はΔxだけユーザ50に近づく。そして、表示装置6が鉛直に設置されている初期状態と比較して、表示装置6に正の仰角を付与することで、ユーザ50からみた表示領域の見かけの上下長さを長くすることができる。なお、表示装置6に正の仰角を付与するにあたり表示装置6を全体的に−x側に平行移動させておくことで、表示装置6の上端部E1が初期状態よりも+x側に進むことがない。このため、表示装置6をユーザ50が室内の壁近傍に設置している場合でも、表示装置6が壁と干渉することなく表示装置6に正の仰角を付与することができる。
なお、表示装置6を単に−x側のみに移動させることで、投影範囲の+x側の限界位置と−x側の限界位置とを共に、視点eに対応する打ち出し位置PPに近づく側に移動させてもよい。
図6は、表示装置6の傾斜角度を3通りに変化させた状態における遠方限界RUの近傍の投影状態を示す模式図である。表示装置6aは基準面rpに対して直立しており表示領域はyz平面と平行に配置されている。表示装置6aの表示下限位置PLaのx方向の座標は位置P0であり、表示上限位置PUaは位置P0よりも高さhUだけ上方にある。
表示装置6bは、表示領域がyz平面に対して成す角度θ1が約60度となるように表示装置6に正の仰角を付与した状態である。表示装置6bの表示上限位置PUbは位置P0の上方に位置し、表示下限位置PLbは基準面rp上に位置している。
表示装置6cは、表示領域がyz平面に対して成す角度θ1が90度となるように表示装置6に正の仰角を付与し、表示領域を基準面rpと平行にした状態である。表示装置6cの表示上限位置PUcおよび表示下限位置PLcは表示装置6bの表示上限位置PUbと同高さとしている。
位置P1は、目標位置Pgよりも+x側(奥行側)に離間した位置であり、表示装置6で表示すべき仮想空間における+x側の限界位置である。位置P0から位置P1までのx方向の長さは、表示装置6の高さhUと同じであるとする。この位置P1の近傍に、x方向の長さL4の仮想領域Vを設定する。この仮想領域Vに関する遠方限界RUと近方限界RL4を図6に破線で示す。表示装置6aから6cを通過する遠方限界RUと近方限界RL4との間が、仮想領域Vの投影範囲となる。表示装置6aから6cにおける仮想領域Vの投影範囲を、それぞれ両側矢印で示す。表示装置6cの表示領域は水平に配置されており、表示装置6cでの仮想領域Vの表示長さL4cは、表示上限位置PUcの高さにおける遠方限界RUと近方限界RL4との水平方向の間隔にあたる。一方、起立して配置された表示装置6aにおける仮想領域Vの表示長さL4aは、位置P0における遠方限界RUと近方限界RL4との垂直方向の間隔にあたり、これは図6に示すように表示長さL4cよりも短くなる。また、斜めに傾斜して配置された表示装置6bにおける仮想領域Vの表示長さL4bは、表示装置6bに沿う傾斜方向に見た遠方限界RUと近方限界RL4との間隔であり、これは表示装置6aにおける表示長さL4aよりも長いが、表示装置6cにおける表示長さL4cよりも短くなる。これは、遠方限界RUと基準面rpとの成す角度θが45度よりも一般に小さいことに因る。
このように、表示装置6に付与する正の仰角を大きくして表示領域を水平に近づけることで、表示装置6が有する多数の画素のうち遠方の投影範囲を表示するのに用いられる画素の数を増大させることができる。このため、駆動制御部155は、表示装置6が45度を超える正の仰角をもつように駆動機構156を制御するとよい。表示装置6cのように90度の正の仰角を与える態様に代えて、90度を超える正の仰角、すなわち表示上限位置PUcが表示下限位置PLcよりも基準面rpに近い低位に位置するように表示装置6cを配置してもよい。90度を超える仰角を表示装置6に付与することで、表示装置6において遠方の仮想領域Vを表示するための画素数を増大させることができる。また、表示装置6に付与する正の仰角を増大させるタイミングは、ユーザ50がボール180を打ち出す前でもよく、ユーザ50がボール180を打ち出した後でもよく、また打ち出し前と打ち出し後の両方でもよい。すなわち、後述する検出部がボール180を検出する前に駆動機構156は表示装置6を駆動してもよく、または検出部がボール180を検出した後に駆動機構156は表示装置6を駆動してもよい。駆動機構156は、表示装置6に付与する仰角が増大するように、y方向に平行な回転軸まわりに複数回に亘って表示装置6の傾斜角度を変化させてもよい。複数回に亘って表示装置6を駆動する場合、一回目または前のタイミングの駆動動作を第一駆動と呼称し、二回目または後のタイミングの駆動を第二駆動と呼称する。表示装置6を多数回に亘って駆動する場合は、或るタイミングの駆動が第一駆動にあたり、その次のタイミングの駆動が第二駆動にあたる。
本実施形態においては、表示装置6が鉛直に配置された初期状態から第一駆動として表示装置6に所定の正の仰角を付与し、第二駆動としてこの正の仰角を増大させてもよい。例えば、ユーザ50がボール180を打ち出す前に表示装置6に45度などの所定の正の仰角を付与する第一駆動を行って表示装置6を静止させておき、ユーザ50がボール180を打ち出した後に第二駆動を行ってもよい。第二駆動を行うタイミングは特に限定されないが、例えば、後述するように当該ボール180がボール80として表示装置6に表示されるまでは第一駆動後の表示装置6の静止状態を維持しておき、ボール80が表示装置6に表示されてグリーン90上を遠方に移動していくタイミングに合わせて、すなわち後述する表示制御部117が予測軌道POの少なくとも一部を表示装置6に表示するタイミングで、駆動機構156は表示装置6に付与する正の仰角を45度から増大させる第二駆動を行ってもよい。ゴルフショット表示装置10では、正の仰角が付与された状態で表示装置6の表示領域に仮想空間(グリーン90)を表示する。そして駆動制御部155および駆動機構156は、初期状態から傾斜角度を変化させて表示装置6に所定の正の仰角を付与した後に、この正の仰角を増大させるように傾斜角度を更に変化させることができる。これにより、ユーザ50がボール180を打ち出すタイミングにおいては表示装置6にグリーン90を表示しておき、そしてユーザ50がボール180を打ち出してから表示装置6の正の仰角を増大させることで、表示装置6において比較的上方に表示される目標位置Pgの周囲を表示する画素数を増大させてボール80を精細に表示することができる。
また上記形態に代えて、ユーザ50がボール180を打ち出す前は、表示装置6に正の仰角を付与することなく表示装置6を鉛直の初期状態で配置しておき、ユーザ50がボール180を打ち出して検出部がボール180を検出した後であってかつ表示制御部117が予測軌道POを表示装置6に表示する前に、表示装置6に所定の正の仰角を付与してもよい。この場合、駆動制御部155は一度の駆動によって表示装置6に上記所定の正の仰角を付与してもよく、または複数回に亘る多段階の駆動によって表示装置6に上記所定の正の仰角を付与してもよい。
以上説明したように、本実施形態のゴルフショット表示装置10は、仮想空間内のゴルフ場(グリーン90)の二次元投影画像、およびゴルフ場を移動するボール80を表示装置6に表示する。ゴルフショット表示装置10は、表示装置6の上下位置、前後位置、回転角度または傾斜角度のうち少なくともいずれか一つを変化させる駆動機構156と、仮想空間のうち二次元投影画像として表示装置6に表示させる投影範囲に基づいて駆動機構156を制御する駆動制御部155と、を備えている。
そして駆動制御部155は、表示装置6を視認するユーザ50の視点eと表示装置6との相対的な位置関係を示す視点位置情報に基づいて駆動機構156を制御して表示装置6の傾斜角度を変化させることにより、二次元投影画像の投影範囲のうちユーザ50から遠い側にあたる領域(仮想領域V)を表示するのに用いられる表示装置6の画素数を増大させる。
本実施形態のゴルフショット表示装置10においては、表示装置6に第一駆動を行って正の仰角を付与した状態で表示装置6の表示領域に平坦なグリーン90を表示して、さらに第二駆動によって表示装置6の正の仰角を変更することにより、このグリーン90が上りまたは下り傾斜しているようにユーザ50に視認させることができる。より詳細には、第二駆動により表示装置6に付与する仰角を第一駆動により表示装置6に付与する仰角より小さくする、言い換えると第二駆動にて表示装置6の仰角を減少させることで、グリーン90が上り傾斜しているようにユーザ50に視認させることができる。また、第二駆動で表示装置6に付与する仰角を第一駆動により表示装置6に付与する仰角よりも大きくする、言い換えると第二駆動にて表示装置6の仰角を増大させることで、グリーン90が下り傾斜しているようにユーザ50に視認させることができる。ここで、平坦なグリーン90を表示するとは、表示装置6に正の仰角を付与した状態で平坦なグリーン90としてユーザ50に目視される画像を表示することである。また、90度を超え、かつ比較的水平に近い状態、例えば120度以下の仰角を付与して表示装置6を配置することで、グリーン90が下り傾斜しているようにユーザ50に視認させることができる。
以上説明したように、本実施形態のゴルフショット表示装置10は駆動制御部155を用いて表示装置6の傾斜角度を大きくすることで、ボール80の遠方の軌道や停止位置を表示するための表示装置6の画素数をより多くしてパットやショットの結果をより精細に表示することができる。
図6では、y方向を回転軸として表示装置6を回転駆動して傾斜角度を変化させることにより、yz平面に対して表示装置6の表示領域が成す角度を3通りに変化させる態様を例示した。ゴルフショット表示装置10においては、表示装置6をxz平面に対して左右に傾斜させてもよい。すなわち、表示装置6の表示領域に沿う上下方向を回転軸として表示装置6を左方または右方に傾斜させるように回転駆動してもよい。また、y方向を回転軸として表示装置6を回転駆動して正の仰角を付与するとともに、表示領域に沿う上下方向を回転軸として表示装置6を左方または右方に傾斜させてもよい。y方向を回転軸として正の仰角を付与した表示装置6に平坦なグリーン90を表示して、表示装置6を左方または右方に傾斜させれば、このグリーン90が当該左方または右方に下り傾斜しているようにユーザ50に視認させることができる。例えば表示装置6に90度の仰角を付与した状態で、表示領域に沿う上下方向を回転軸として表示装置6を左方または右方に傾斜させれば、グリーン90が左右方向を最大傾斜線として傾斜しているようにユーザ50に視認させることができる。y方向を回転軸とする表示装置6の駆動と、表示領域に沿う上下方向を回転軸とする表示装置6の駆動とは、少なくとも一部時間が互いに重複するタイミングで行ってもよく、または一方の駆動を他方の駆動の後に行ってもよい。また、表示装置6を、表示領域の対角線方向など表示領域に沿う上下方向および幅方向に対して斜めに交差する方向を回転軸として傾斜駆動してもよい。これにより、グリーン90が斜め手前または斜め奥に傾斜するようにユーザ50に視認させることができる。
図7(a)は横長向きに配置された表示装置6を示す模式図であり、図7(b)は図7(a)の表示装置6を面直軸まわりに回転させて斜め傾斜させた状態を示す模式図である。具体的には、図7(b)の表示装置6をユーザから見て右下がりに斜め傾斜させた状態を表している。ここで、表示装置6の面直軸は、表示領域に対して直交する軸であり、図7(a)および図7(b)における紙面前後方向に延在する軸である。表示装置6が鉛直に起立している場合、面直軸はx方向に延在する(図1参照)。
図7(b)に示すように表示装置6を右下がりに斜め傾斜させることで、表示装置6の表示領域を目視するユーザは、表示装置6に表示されているグリーン90が右下がりに傾斜しているかのように認識する。このように表示装置6自体を傾斜させることにより、グリーン90の傾斜を表現することができる。
ゴルフショット表示装置10において駆動機構156は、縦長向きまたは横長向きに配置された表示装置6を面直軸まわりに90度未満の回転角度で回転させることにより斜め傾斜させて配置する。すなわち、面直軸まわりに90度だけ回転させると、表示装置6は縦長向きから横長向きに、またはその逆に変化し、縦横の向きが変わる。これに対し、表示装置6を90度未満、好ましくは15度以下の回転角度で面直軸まわりに回転させることで、グリーン90の微妙な傾斜状態を、より現実に近い傾斜面としてユーザに実感させることができる。図7(a)および図7(b)に図示されている直進軌道SO、予測軌道PO、ボール80(80a)については後述する。
なお、表示装置6を面直軸まわりに回転駆動するにあたり、表示装置6には平坦面の画像を表示してもよく、または傾斜面の画像を表示してもよい。ここで平坦面の画像とは、表示装置6を縦長向きまたは横長向きに配置した状態で平坦に目視される画像である。表示装置6に表示される傾斜面の傾斜方向は限定されず、上り、下り、右傾斜、左傾斜、上りの右傾斜、上りの左傾斜、下りの右傾斜、下りの左傾斜など、いずれの傾斜方向でもよい。また、表示装置6を回転駆動する方向も特に限定されない。
すなわち、表示装置6で傾斜面の画像を表示した状態で、表示装置6を面直軸まわりに回転駆動して、右下がりまたは左下がりに斜め傾斜させて配置してもよい。また、傾斜面の画像を表示装置6に表示し、表示装置6をその傾斜面とは異なる方向に傾斜させてもよい。
表示装置6を面直軸まわりに回転駆動する処理は、表示装置6に正の仰角を付与した状態で行ってもよい。すなわち、y方向を回転軸として表示装置6を回転駆動して傾斜角度を変更するとともに、表示装置6を面直軸まわりに回転駆動してもよい。表示装置6の傾斜角度を変更する駆動と、表示装置6を面直軸まわりに回転させる駆動とは、少なくとも一部時間が互いに重複するタイミングで行ってもよく、または一方の駆動を他方の駆動の後に行ってもよい。表示装置6の傾斜角度を変更するにあたっては、上述したように、y方向を回転軸として表示装置6を回転駆動して正の仰角を付与するとともに、表示領域に沿う上下方向を回転軸として表示装置6を左方または右方に傾斜させてもよい。すなわち、表示装置6に正の仰角を付与するとともに、表示装置6の表示領域の幅中央を通る縦断線を回転軸として表示装置6を左方または右方に傾斜させ、更に表示装置6を面直軸まわりに回転駆動してもよい。一例として、表示装置6に正の仰角として45度以上90度以下の仰角を付与して平坦なグリーン90を表示するとともに、表示装置6の表示領域の幅中央を通る縦断線を回転軸として表示装置6を右方に5度以上30度以下の傾斜角度で傾斜させ、更に表示装置6を面直軸まわりに5度以上30度以下の回転角度で右方に回転駆動するとよい。これにより右斜め方向に傾斜するグリーン90をユーザ50に視認させることができる。
本実施形態においては、第一駆動によって表示装置6に75度以上90度以下の仰角を付与して平坦なグリーン90を表示し、第二駆動にて表示装置6の傾斜角度または面直軸まわりの回転角度を変化させるとよい。表示装置6に75度以上の仰角を付与することで、表示領域が実質的に水平に近い状態になるため平坦なグリーン90を自然な態様で表示することができる。ゴルフショット表示装置10の駆動制御部155は、仮想空間(グリーン90)の傾斜の向きに基づいて、表示装置6の回転角度と傾斜角度のうち少なくともいずれか一つを変化させる。なお、正の仰角を付与した表示装置6には、平坦なグリーン90に代えて傾斜したグリーン90を表示してもよい。
仮想空間(グリーン90)の傾斜の向きに基づいて表示装置6の回転角度と傾斜角度のうち少なくともいずれか一つを変化させるタイミングは、ユーザ50がボール180を打ち出す前でもよく、ユーザ50がボール180を打ち出した後でもよく、また、打ち出し前と打ち出し後の両方でもよい。すなわち、打ち出されたボール180に対応するボール80を、後述するように表示装置6に表示されるグリーン90上を転がって移動するように表示するにあたり、移動するボール80の時々刻々の位置に対応するグリーン90の傾斜の変化に合わせて表示装置6の回転角度と傾斜角度を変化させてもよい。例えば、グリーン90の傾斜が、ユーザ50に近い側にあたる打ち出し当初の領域では右傾斜しており、その後、ユーザ50から遠い側にあたる領域では左傾斜に変化する場合、ユーザ50がボール180を打ち出す前は第一駆動により表示装置6を右に傾斜させておき、そしてボール180の打ち出し後、ボール80がグリーン90の左傾斜する領域に移動するタイミングで表示装置6を左に傾斜するように第二駆動してもよい。または表示装置6を、表示領域の対角線方向など表示領域に沿う上下方向および幅方向に対して斜めに交差する方向を回転軸として一回または複数回の動作により傾斜駆動してもよい。
駆動制御部155は、三次元的に湾曲する仮想空間(グリーン90)の傾斜情報(グリーン傾斜情報)に基づいて、表示装置6を駆動させるための回転角度および/または傾斜角度を決定するとよい。仮想空間の傾斜情報(グリーン傾斜情報)は、後述するようにグリーンデータベース109(図8,図9参照)に記憶されている。
駆動制御部155は、表示装置6が縦長または横長かつ鉛直に起立して設置された初期状態からの回転角度および/または傾斜角度の変化量として、表示装置6の回転角度および/または傾斜角度を決定してもよい。または駆動制御部155は表示装置6に対して傾斜角度として予め所定の正の仰角を付与しておき、表示装置6では平坦なグリーン90を表示しておく。その状態から、駆動制御部155は仮想空間の傾斜情報(グリーン傾斜情報)に基づいて、表示装置6の傾斜角度の増大量もしくは減少量、または回転角度の付与量を決定してもよい。例えば、45度以上の正の仰角を表示装置6に予め付与した状態で概略平坦なグリーン90を表示装置6で表示する。かかる状態から、駆動制御部155は目標位置Pgの近傍におけるグリーン傾斜情報に基づいてグリーン90の傾斜の向きおよび強さを特定し、かかる傾斜の向きおよび強さにてユーザ50がグリーン90を視認するよう駆動機構156にて表示装置6を駆動させる。具体的には、グリーン90の傾斜の向きがユーザ50から見て上り傾斜であれば表示装置6の傾斜角度(仰角)を減少させ、逆にグリーン90の傾斜の向きがユーザ50から見て下り傾斜であれば表示装置6の傾斜角度(仰角)を増大させる。また、グリーン90の傾斜の向きがユーザ50から見て右傾斜であれば表示装置6の表示領域に沿う上下方向を回転軸として表示装置6を右下がりに回転させ、グリーン90の傾斜の向きがユーザ50から見て左傾斜であれば表示装置6の表示領域に沿う上下方向を回転軸として表示装置6を左下がりに回転させる。また、グリーン90の傾斜の向きがユーザ50から見て左手前から右奥に向かって斜めに傾斜している場合は、表示装置6を表示領域の面直軸まわりに時計回りに回転させるか、または上記の右下がりの傾斜と時計回りの回転を複合させるとよい。グリーン90の傾斜の向きがユーザ50から見て右手前から左奥に向かって斜めに傾斜している場合は、表示装置6を表示領域の面直軸まわりに反時計回りに回転させるか、または上記の左下がりの傾斜と反時計回りの回転を複合させるとよい。
駆動制御部155は、表示装置6の傾斜角度の増大量または減少量を決定し駆動機構156により当該決定に基づいて表示装置6を駆動させる工程を複数回に亘って繰り返してもよい。また、駆動制御部155は、表示装置6の面直軸まわりの回転角度の変更量を決定し駆動機構156により当該決定に基づいて表示装置6を駆動させる工程を複数回に亘って繰り返してもよい。また、かかる複数回に亘る傾斜角度の増大量もしくは減少量の決定または回転角度の変更量の決定、ならびに表示装置6の駆動を、ユーザ50がボール180を打ち出した後に行なってもよい。その一態様として、駆動制御部155は、表示制御部117が予測軌道POを算出してボール80を表示装置6に表示することと連動させて、時々刻々のボール80の表示位置に対応するグリーン90上の位置における傾斜の向きおよび強さを取得する。すなわち駆動制御部155は、傾斜情報(グリーン傾斜情報)を参照して、予測軌道POを転がるように表示されるボール80の複数箇所の表示位置にそれぞれ対応するグリーン90上の位置における傾斜の向きおよび強さを取得する。そして駆動制御部155は、当該位置における傾斜の向きおよび強さに基づいて、当該位置でグリーン90が傾斜しているようにユーザ50が視認可能となる表示装置6の回転角度および/または傾斜角度の変化量を、予め特性データベース107などに記憶された換算式に基づいて算出するとよい。そして駆動機構156は、駆動制御部155が決定した回転角度および/または傾斜角度にて表示装置6を駆動する。予測軌道PO上の多数箇所でグリーン90の傾斜の向きおよび強さを取得しボール80の表示位置に応じて表示装置6を駆動することで、グリーン90上を転がるボール80の時々刻々の位置に応じてグリーン90の傾斜が変化するようにユーザ50に視認させることができる。
表示装置6に平坦面または傾斜面を表示するタイミングと、表示装置6を面直軸まわりに回転駆動するタイミングとの先後は任意であり、または同時でもよい。例えば、縦長向きまたは横長向きに配置された表示装置6に平坦面を表示した状態から、この表示装置6を面直軸まわりに回転駆動して斜めに傾斜させてもよい。または、縦長向きまたは横長向きに配置された表示装置6を面直軸まわりに回転駆動して斜めに傾斜させてから、この表示装置6に上記の平坦面を表示してユーザに斜めに視認させてもよい。
本実施形態では、上述の上下位置、前後位置、回転角度、傾斜角度の変更、またはそれらの組合せによって、表示装置6を透視可能位置に配置させる。
上述の表示装置6の透視可能位置への配置変更を実現する駆動機構156は、従来存する種々の機構を組み合わせて実現することができる。なお、駆動機構156の構造については図35および図36を参照して後に具体例を説明する。
以下、本実施形態のゴルフショット表示装置10についてより詳細に説明する。
ゴルフショット表示装置10は、検出部、速度演算部112、軌道演算部114および表示制御部117を備えている。
検出部は、表示装置6が設置された現実空間内で所定の打ち出し位置PPからユーザ50によってパッティングにより打ち出されて表示装置6に向かって転がるボール180を検出する。本実施形態ではセンサ131、133、135、137ならびに任意で第一撮影部20および第二撮影部21を組み合わせて実現される。なお、後述するようにゴルフショット表示装置10でアプローチショットを表示する場合は、ユーザ50によって打ち出されたボール180を、第一撮影部20および第二撮影部21を用いて検出する。
図11はカーブフィッティングによって特定された回帰曲線の例を示す図である。図12はボール80の軌道を示す図である。
速度演算部112は、検出部による検出結果に基づいてボール180の速度を算出する。軌道演算部114は、このボール180に対応する仮想のボール80が仮想空間内のゴルフ場におけるグリーン90上で転がると仮定したときの軌道である予測軌道POを演算する。表示制御部117は、予測軌道POを二次元投影画像とともに表示装置6に表示させる。
表示装置6にはユーザ50が目視するグリーン90上の目標位置Pgおよびその近傍が表示される。ユーザ50がボール180を打ち出すための打ち出し位置PPに対応するグリーン上の打ち出し位置は表示装置6には表示されない。また、ユーザ50に打ち出された直後のボール180はマット55上を転がる様子がユーザ50から視認されるため、その時点ではボール180に対応する仮想のボール80は表示装置6には表示されない。
表示装置6には、打ち出し位置PPから表示装置6までの距離4pだけ、打ち出し位置PPから+x側に進んだ位置から先のグリーン90が表示されるとよい。すなわち、グリーン90のうち表示領域の下限に表示されている仮想空間内の位置は、打ち出し位置PPから表示装置6までの距離4pに相当している。
第一撮影部20は、パッティングを行うユーザ50を表示装置6側(ボール回収部24側)から撮影する。第一撮影部20による撮影で取得される画像は、(i)パッティングによって転がるボール180の、マット55の幅方向(y方向)における位置を検出することと、(ii)パッティングにおけるパター185のフェース面とボール180とのインパクト時の接触角度(以下、フェース角度という)を特定することとに用いられる。
なお、第一撮影部20による撮影で取得された画像は、短距離無線通信によって本体10aに送信される。
第二撮影部21は、パッティングを行うユーザ50を、当該ユーザ50に対して正対する方向から撮影する。第二撮影部21による撮影で取得される画像はフェース角度を特定することに用いられる。また、打ち出された直後のボール180の速度を、第二撮影部21による撮影結果に基づいて算出してもよい。
なお、第二撮影部21による撮影で取得された画像は、短距離無線通信によって本体10aに送信される。
すなわち、本実施形態において、パッティングにおけるインパクト時のフェース角度を特定するための画像は、第一撮影部20と第二撮影部21とにより複数の視点からの撮影で取得される。これにより、一つの視点からの撮影で取得した画像のみからインパクト時のフェース角度を特定する場合と比較して、より正確にフェース角度を特定することができる。
ボール回収部24は、ユーザ50によって打ち出されたボール180を回収するための部材である。パッティングにより打ち出されたボール180は、マット55上を転がってボール回収部24に入球することで、ボール180がユーザ50から掩蔽されるとともにボール回収部24によって回収される。
センサ131、133、135、137は、ボール180の通過を検知するための光を、パッティング領域であるマット55の上面に沿ってその幅方向に向けて出射すると共に、ボール180からの反射光を受光する光センサである。すなわち、センサ131、133、135、137は、ボール180の通過による光路遮断を検知することで、所定時刻におけるボール180の位置を検出するセンサである。
センサ131、133、135、137は、ボール180が各センサ131、133、135、137に対応するx方向における位置を通過したことと、マット55の幅方向(y方向)におけるボール180の位置とを検出する。具体的には、センサ131、133、135、137は、各々対向する反射板141、143、145、147に向かう方向(マット55の上面に沿ってその幅方向に)に光を照射し、照射した光がボール180によって反射されたときの反射光を受光する。センサ131、133、135、137は、ボール180からの反射光に基づいて、ボール180の通過を検出するとともに、マット55の幅方向(y方向)におけるボール180の位置を検出する。
詳細には、センサ131、133、135、137は、照射した光の位相を基準として、ボール180からの反射光の位相のずれに基づいて、マット55の幅方向(y方向)におけるボール180の位置を検出する。
ここで、反射板141は、図1に示すようにセンサ131の光出射口に対向して設けられている。反射板143は、センサ133の光出射口に対向して設けられている。反射板145は、センサ135の光出射口に対向して設けられている。反射板147は、センサ137の光出射口に対向して設けられている。
すなわち、センサ131と反射板141とは一つの組みを構成し、図1に示すようにマット55の長手方向(x方向)における同じ位置(同図に示す位置B)に配置されている。
また、センサ133と反射板143とは一つの組みを構成し、図1に示すようにマット55の長手方向における同じ位置(同図に示す位置C)に配置されている。
また、センサ135と反射板145とは一つの組みを構成し、図1に示すようにマット55の長手方向における同じ位置(同図に示す位置D)に配置されている。
また、センサ137と反射板147とは一つの組みを構成し、図1に示すようにマット55の長手方向における同じ位置(同図に示す位置E)に配置されている。
ボール180がセンサ131、133、135、137に対応する位置を通過する時以外は、センサ131、133、135、137は、それぞれ対応する反射板141、143、145、147からの反射光を検出している状態に保たれる。よって、ボール180がセンサ131、133、135、137に対応する位置を通過しない時は、センサ131、133、135、137により検出される被測定物の位置は、一定の値(センサ131、133、135、137と反射板141、143、145、147との間の距離)となる。すなわち、各センサ131、133、135、137に対応する位置を通過して初めて各センサ131、133、135、137による検出値が変化する。
このように構成することで、ボール180の通過以外の光路遮断によるセンサ131、133、135、137の誤動作を防止できる。
なお、反射板141、143、145、147としては、センサ131、133、135、137からの照射光を反射して、その位置がセンサ131、133、135、137によって検出されうるものであれば任意の部材を用いることができる。
また、互いに対向するセンサ131、133、135、137と反射板141、143、145、147との距離は適宜設定することができ、例えば50cm〜2m程度とすることが好ましい。
ところで、図1に示すようにマット55の長手方向(x方向)における打ち出し位置PPの位置を位置Aとする。また、マット55の長手方向におけるボール回収部24の位置を位置Eとする。
本実施形態では、図1に示すように、位置A−B間の距離、位置B−C間の距離、位置C−D間の距離、および位置D−E間の距離は、いずれも距離pである。
<ゴルフショット表示装置10のシステム構成について>
図8は、ゴルフショット表示装置10のシステム構成例を示す図である。同図に示すように、ゴルフショット表示装置10の本体10aは、操作入力部101と、記憶部105と、特性データベース107と、グリーンデータベース109と、CPU110と、タッチパネル式表示部126と、RAM118と、ROM119と、を有する。
操作入力部101は、ユーザ50による入力操作を受け付け、当該入力操作に基づく操作信号を生成してCPU110に出力する。具体的には、操作入力部101としては、例えばキーボードやマウス装置などを挙げることができる。
タッチパネル式表示部126は、画像を表示する表示部としての機能と、ユーザ50による入力操作を受け付け、当該入力操作に基づく操作信号を生成してCPU110に出力する操作入力部としての機能とを有する。
CPU110は、ゴルフショット表示装置10の各部を統括的に制御する。
CPU110は、仮想目標演算部111と、速度演算部112と、軌道演算部114と、軌道補正部115と、回転軸演算部116と、表示制御部117と、視点位置情報特定部151と、投影範囲特定部153と、駆動制御部155と、を実現する。
CPU110は、ROM(Read Only Memory)119に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能ブロックに係る機能を実現するとともに、当該ゴルフショット表示装置10の種々の機能を実現する。
記憶部105は、グリーンデータベース109から取得した情報や、当該ゴルフショット表示装置10の設定に係る情報などを記憶する。また、記憶部105は、個々のユーザごとに(ユーザごとに付与されるユーザIDに対応づけて)短距離ショットの結果および傾向を示す情報を記憶するユーザ情報記憶部105aを備える。ここで、短距離ショットの結果および傾向を示す情報には、ボール80の停止位置を示す情報およびその傾向を示す情報、並びに、打ち出しのフェース角度を示す情報およびその傾向を示す情報などが含まれる。
RAM(Random Access Memory)118は、種々の情報の一時記憶に用いられる。
グリーンデータベース109は、グリーン90に係る種々の情報が格納されている。
図9は、グリーン90に係る情報が格納されたグリーンデータベース109の構成例を示す図である。グリーンデータベース109は、少なくとも、グリーン識別子(以下、グリーンIDという)と、三次元形状データと、グリーン傾斜情報と、表示画像データと、グリーンスピード情報と、カップ位置情報とが対応付けられて記憶されたデータベースである。
「グリーンID」は、当該グリーンデータベース109に登録されるグリーン90を管理するための識別子である。各グリーン90はグリーンIDによって一意的に識別可能に管理される。
「三次元形状データ」は、グリーン90の表面の三次元形状を示すデータである。グリーン90の表面上の各点は、三次元形状データにおいて三次元座標系で特定される。三次元形状データは、グリーン90の表面の各位置を水平面に投影した二次元座標と、当該各位置における高さを示す情報とで構成されている。上記の二次元座標を定義する二次元直交座標系はグリーン90ごとに個別に設定されていてもよく、複数のグリーン90に亘って共通のものを用いてもよい。以下、グリーン90上の各位置を定義する二次元直交座標系を「第1の二次元直交座標系」と呼称する場合がある。
「グリーン傾斜情報」は、三次元的に湾曲するグリーン90の表面の各位置における傾斜の向きおよび強さを示す情報であり、三次元形状データに基づいて算出されるデータである。
「表示画像データ」は、表示装置6にグリーン90を表示させる画像データであり、当該グリーン90を見る視点を示す視点情報に応じて存在し、設定されている視点情報に対応する画像データが選択されて表示装置6に表示処理される。
「グリーンスピード情報」は、グリーン90上でのボールの転がりやすさを示す指標に関する情報であり、グリーンIDで管理されるグリーン90ごとに設定されている。グリーンスピード情報としては、グリーン90に係るグリーンスピードを用いてもよく、グリーン90上で転がるボールの減速特性を示す情報を用いてもよく、またはこれらの両者を用いてもよい。グリーンスピードは通常「フィート(ft)」で表され、その値が大きいほど、当該グリーン90上でボール80が転がりやすい。また、減速特性とは、打ち出し位置から打ち出されてグリーン90の動摩擦力により減速していくボール80の速度に関する経過時間的な変化を示す情報である。
通常、グリーン面に係るグリーンスピードの特定にはスティンプメータが使用される。例えば、種々のグリーンスピードに対応するグリーン面をサンプルとしてスティンプメータを使用してグリーンスピードをそれぞれ特定し、かつ、当該種々のグリーンスピードに対応するグリーン面に係る減速特性を算出することで、グリーンスピードと減速特性との対応関係を求めることができる。かかる対応関係を示す関係情報もグリーンデータベース109に格納しておくとよい。
本実施形態では、ボール80の速度の減速特性として、例えば、下記の式(1)で示される減衰率λを使用することができる。
v=A・exp(−λt) ・・・(1)
上記の式(1)においてvはボール80の速度を示す。tは時刻を示す。λは減衰率を示す。Aは打ち出しの強さに依存する係数であり、打ち出されたボール80の初速に対応する。
グリーンスピードと減速特性(本実施形態では減衰率λ)とは密接に関連する概念であり、各グリーンスピードに対して減衰率λはそれぞれ固有に定まる。従って、同一のグリーンスピードのグリーン上であれば、当該グリーン上で打ち出されたボール80の初速に関わらず同一の減衰率λとなる。したがって、グリーンデータベース109を参照してグリーン90のグリーンスピード情報を読み出すことで、後述するようにボール80がグリーン90から受ける動摩擦力を考慮してボール80の速度の時間変化を算出することができる。また、グリーンスピードと減速特性との対応関係を示す関係情報をグリーンデータベース109に格納しておくことで、後述するようにユーザの操作によりグリーン90のグリーンスピードを変更した場合に、当該変更後のグリーンスピードに対応する減速特性(減衰率λ)を取得することができる。
「カップ位置情報」は、グリーン90においてカップ60が設けられている位置(以下、カップ位置と称することがある)を示す情報である。なお、カップ位置は可変であり、ユーザ50が所望する位置をカップ位置とすることができる。
なお、本実施形態のゴルフショット表示装置10においては、グリーン90に係る情報としてグリーン90の芝目を示す「芝目情報」を更に設定してもよい。
仮想目標演算部111は、仮想目標を算出する。具体的には、本実施形態において仮想目標は仮想カップであり、仮想目標演算部111は仮想カップ70を表示する位置(以下、仮想カップ位置という)を算出する。
本実施形態において仮想目標とは、表示装置6に表示されるカップ60にボール80を入れるために要する短距離ショットに係る打ち出しの方向および強さを示す表示である。仮想目標は、例えば、任意の図形、記号、文字、またはそれらの組合せなどによって表すことができる。
具体的には、仮想目標の一例である仮想カップ70は、カップ60にカップインする理想的なパッティングによる打ち出しの方向および強さで打ち出されたときのボール80が、仮想水平面上で転がると仮定した場合における当該仮想水平面上での、ボール80の停止位置の目安となる指標である。
なお、仮想カップ70の表示位置は、ボール80の停止位置に限られず、当該ボール80の軌道上の位置、または当該ボール80の軌道の延長上の位置であってもよい。
上述した実施形態では、仮想カップ位置は、仮想水平面上で転がるボール80の停止位置としているが、仮想カップ位置はこの例に限られない。例えば、上記の停止位置から所定距離だけ手前の位置(軌道上の位置)、または通過した位置(軌道の延長上の位置)を、仮想カップ位置としてもよい。ここで、「所定距離」は例えば、カップの直径をdと表したときにd乃至10dの範囲内の距離とすることができる。なお、カップの直径は通常10.8センチメートルである。
このように、仮想目標として仮想カップ70を表示することで、ユーザ50はグリーン90上のカップ60と、仮想水平面上の仮想カップ70との位置関係を容易に習得することができる。ユーザ50はカップ60と仮想カップ70との位置関係を習得することで、グリーン90の傾斜にとらわれることなく仮想水平面上で仮想カップ70に向かって真っ直ぐにボールを打ち出すよう専心することでボールをカップインさせることができる。
ここで、仮想水平面とは、表示装置6に表示されるグリーン90に対応するグリーンスピードを有する水平面をいう。仮想水平面のグリーンスピードがグリーン90のグリーンスピードに対応するとは、これらのグリーンスピードが互いに同一であるか、または異なるとしても略同一であってどちらのグリーンスピードを用いても直進軌道SOに有意な差を生じない程度の小さな差異であることをいう。
ここで、「打ち出しの強さ」は、打ち出し位置から仮想カップ位置までの距離に対応する。また、「打ち出しの強さ」は、表示装置6に表示されるグリーン90においてカップ60にボール80を入れるために要する短距離ショットによる打ち出しでボール180に付与すべき初速に対応する。
すなわち、「打ち出しの強さ」は、打ち出し位置から仮想カップ位置までの距離、またはボール180に付与すべき初速などによって表すことができる。
なお、「打ち出しの強さ」は、他にも、例えばパター185とボール180との衝突音を模した擬音語などによっても表すことができる。
「打ち出しの強さを示す表示」とは、例えば仮想水平面上における打ち出し位置から仮想カップ70の位置までの距離を示す表示である。
本実施形態では、マット55のグリーンスピードがグリーン90のグリーンスピードとして設定されている。これにより、当該マット55を水平に載置することで、打ち出し位置PPから打ち出されてマット55上を転がるボール180と、仮想水平面上を転がるボール80とは、速度、方向および位置が常に一致することになる。すなわち、当該マット55の上面は仮想水平面の一部であると捉えることができ、ユーザ50はマット55を仮想水平面の一部であると認識して短距離ショットを行うことができる。
本実施形態に係るゴルフショット表示装置10は、図10に示すように仮想カップ70を表示する仮想カップ表示モードを有する。仮想カップ表示モードは、操作入力部101またはタッチパネル式表示部126を用いたユーザの入力操作で設定される。
仮想カップ表示モードに設定されると、仮想目標演算部111は仮想カップ70を表示する位置を算出し、表示制御部117はカップ60が設けられたグリーン90の画像と共に仮想カップ70の画像を表示させる。
図10に示すように、本実施形態において仮想カップ70は、星印が付加されたカップとして表示される。なお、仮想カップの表示態様はこの例に限られず、ユーザ50がカップ60と区別して仮想カップであることを認識可能な表示態様であればどのような表示態様で仮想カップ70を表してもよい。すなわち、仮想カップ70は、任意の図形、記号、文字、またはそれらの組合せなどによって表すことができる。なお、仮想カップ70を、カップ60と同じ形状で異なる色彩を付与した標識として表示してもよい。
仮想カップ70は、打ち出し位置と同一平面上(上述の仮想水平面上)に存在するので、仮に仮想カップ70の位置がグリーン90の地中や空中にある場合には、仮想カップ70を表示装置6に表示するにあたって、グリーン90の地中または空中に表示してもよいが、本実施形態では、仮想カップ70は、図10に示すように、表示装置6のグリーン90上に表示される。
また、表示装置6に表示されるグリーン90とともに仮想水平面を表示装置6に表示し、仮想カップ70をその仮想水平面上に表示してもよい。
さらに、グリーン90および仮想水平面を垂直方向から切断したグリーン90の断面と仮想水平面の断面を表示装置6に表示し、その仮想水平面の断面に仮想カップ70を表示してもよい。この断面は、仮想水平面に対して垂直で打ち出し位置および仮想カップ70を共に通過する垂直面でグリーン90および仮想水平面を切断した断面である。これにより、グリーン90の湾曲形状にかかわらず、仮想水平面上における仮想カップ70の位置をユーザは正確に把握することができる。
ユーザ50は、表示装置6に表示された仮想カップ70を、打ち出し位置PPと同一平面上に存在するものと認識し、その仮想カップ70にボール80を入れるようにマット55上でボール180を打ち出す。換言すれば、ユーザ50は、表示装置6に表示されたグリーン90の傾斜が無いものと想定し、打ち出し位置PPと同一平面(仮想水平面)上に存在する仮想カップ70へのカップインを狙ってボール180を打ち出す。打ち出されたボール180はマット55の上を転がってボール回収部24に収容され、そのタイミングに同期させてグリーン90上にボール80(80a、80b)が表示される。
直進軌道SOを転がるボール80をボール80aと呼称し、予測軌道POを転がるボール80をボール80bと呼称する場合がある。
表示装置6に初期表示されたボール80aは、仮想カップ70に向かって直進軌道SOを転がる。一方、表示装置6に初期表示されたボール80bは、カップ60に向かって予測軌道POを転がるように更に表示される。仮想カップ70へのカップインが実現するパッティングは、当該仮想カップ70に対応するカップ60へのカップインが実現するパッティングである。
「予測軌道PO」とは、マット55上でユーザ50により打ち出されたボール180に対応するボール80が、表示装置6に表示されたグリーン90の三次元形状(起伏)に起因して湾曲した軌道を描いて転がるときの当該軌道である(図12参照)。
「直進軌道SO」とは、マット55上で打ち出されたボール180に対応するボール80が、表示装置6に表示されたグリーン90に対応するグリーンスピードを有する仮想水平面上で転がる場合の軌道である(図12参照)。
ここで、本実施形態では、表示装置6の横方向(長手方向)における中点の位置が、マット55の幅方向(y方向)における中点の位置に対応している。また、打ち出し位置PPは、マット55の幅方向(y方向)における中点に位置している。そして、表示装置6には、現実のゴルフ場での打ち出し位置からグリーンを見たときの見え方に対応する画像が、表示制御部117による制御で表示される。
図10に示す例では、ボール80は、グリーン90の傾斜に起因して、ボール80とカップ60とを直線で結ぶラインL1に対して湾曲した軌道COを描いてカップ60に入る。
この場合、図10に示すように、軌道COを表す曲線の打ち出し位置における接線方向、すなわちパッティングによる打ち出しでボール80に付与した初速の方向に延びるラインL2上に、仮想カップ70が表示されることとなる。なお、具体的な仮想カップ70の表示位置の算出方法については、図13および図14を参照して後述する。
ここで、図10に示す軌道COは、カップ60にカップインする場合の軌道であるカップイン予測軌道CIPOである。また、図10に示すラインL2は、カップインする場合の直進軌道であるカップイン直進軌道CISOである。本実施形態のゴルフショット表示装置10は、表示制御部117がカップイン予測軌道CIPOまたはカップイン直進軌道CISOの少なくとも一方をグリーン90と共に表示装置6に表示させるカップイン軌道表示モードを有する。
このカップイン予測軌道CIPOまたはカップイン直進軌道CISOを参照することで、ユーザ50は、実際に打ち出し位置PPからボール180を打ち出す前に、グリーン90の状態に応じた正しいパッティングラインを知ることができる。これにより、仮にユーザ50がグリーン90の状態に不慣れであっても、パッティングの練習においてあてずっぽうにボール180を打ち出すのではなくカップ60にカップインさせるための理想的なパッティングラインを狙ってパッティングをすることができるため、練習効率が向上する。
なお、具体的な予測軌道POおよび直進軌道SOの算出方法については、図15を参照して後述する。
速度演算部112は、センサ131、133、135、137による検出結果に基づいて、打ち出し位置PPから打ち出されたボール180の速度(初速)とともにボール180の方向を算出する。軌道演算部114は、算出された上記の速度および方向とグリーン90の状態とに基づいて、予測軌道POおよび直進軌道SOを演算する。
速度演算部112は、まず、センサ131、133、135、137の検出情報に基づいて、ボール180がx方向における位置B,C,D,Eに位置(通過)した時刻を特定する。
そして、速度演算部112は、位置B−C間の距離pを、位置B−C間を移動するのに要した時間で除して、位置B−C間の平均速度である速度v1を算出する。同様に、速度演算部112は、位置C−D間の距離pを、位置C−D間を移動するのに要した時間で除して、位置C−D間の平均速度である速度v2を算出する。同様に、速度演算部112は、位置D−E間の距離pを、位置D−E間を移動するのに要した時間で除して、位置D−E間の平均速度である速度v3を算出する。
また、速度演算部112は、センサ131、133、135、137による検出結果に基づいて、ボール180が転がる方向(打ち出しの方向)を算出する。具体的には、速度演算部112は、マット55の長手方向(x方向)の各位置B、C、D、Eの通過時におけるマット55の幅方向(y方向)におけるボール180の位置に基づいて、当該ボール180が転がる方向(打ち出しの方向)を算出する。
仮にボール180がx方向に真っ直ぐ転がらずに、x方向に対して角度を成して転がる場合、当該ボール180が位置B−C間、位置C−D間、位置D−E間において実際に転がる距離pxは、距離pよりも長くなる。
従って、この場合は、上述の処理で算出した速度v1、v2、v3を補正することが好ましい。具体的には、速度v1、v2、v3をpで除してpxを乗じればよい。なお、距離pの代わりに距離pxを用いて、速度v1、v2、v3を再計算してもよい。
ここで、距離pxは、打ち出し位置PPと、各位置B,C,D,Eでのボール180のy方向における位置と、距離pとに基づいて幾何学的に算出することができる。なお、各位置B,C,D,Eでのボール180のy方向における位置は、上述したようにセンサ131、133、135、137で検出した反射光の位相のずれに基づいて算出してもよく、またはボール180が進む方向を第一撮影部20による撮影で取得される画像から特定し、当該ボール180が進む方向がx方向に対して成す角度と距離pとに基づいて幾何学的に算出してもよい。
すなわち、速度演算部112は、検出部(センサ131、133、135、137)による検出結果に基づいて、対象面(マット55)上を転がるボール180の方向を算出し、この方向に基づいて、マット55上を転がるボール180の速度v1、v2、v3を補正する。
ただし、本実施形態に代えて、速度演算部112は、ボール180の方向については算出せずボール180の速度のみを算出し、軌道演算部114はボール180の方向にかかわらずボール180の速度とグリーン90の状態とに基づいて予測軌道POおよび直進軌道SOを演算してもよい。
さらに、速度演算部112は、速度v1と速度v2と速度v3とに基づいて、ボール180の速度がどのように減少していくかを示す減速特性を算出する。具体的には、速度演算部112は、マット55上におけるボール180の速度vの経時的な変化を示す曲線を、カーブフィッティング(曲線あてはめ)を行うことで算出する。カーブフィッティングの具体的な手法は何ら限定されないが、例えば内挿、外挿、および回帰分析などを挙げることができる。
本実施形態では上述した式(1)で示される減衰曲線を回帰曲線(近似曲線)とし、当該式(1)中の減衰率λをマット55の減速特性として算出する。ここで減衰率λはマット55に固有の値である。すなわち、同一のマット55であればボール180の打ち出し態様が異なる場合であっても、同一の減衰率が得られる。本実施形態においては、パッティングにより打ち出されたボール180の初速を算出する場合は、カーブフィッティングにより算出した減衰曲線に基づいて特定することができる。
なお、近似する減衰曲線は式(1)に示すものに限られず、他の減衰曲線であってもよい。
図11は、カーブフィッティングによって特定された回帰曲線の例を示す図である。図11には、減衰率がλのときの減衰曲線C1と、減衰率がλのときの減衰曲線C2とが示されている。
ここで、v=A・exp(−λt)で表される減衰曲線C1における経時的な減速の割合は、v=A・exp(−λt)で表される減衰曲線C2におけるそれよりも小さい。すなわち、v=A・exp(−λt)で表される減衰曲線C1に対応するマット55は、v=A・exp(−λt)で表される減衰曲線C2に対応するマット55よりも、ボール180が転がりやすい。つまり、減衰曲線C1に対応するマット55は、減衰曲線C2に対応するマット55よりもグリーンスピードが大きい。
このように、減速特性(本実施形態では減衰率λ)は、グリーンスピードと密接に関連する概念であり、減衰率λはマット55に固有の値である。速度演算部112は、カーブフィッティングによってマット55の減衰率λを算出するとともに、減衰曲線に基づいてボール180の初速を算出する。
特性データベース107は、速度演算部112によって算出された減衰率λと、グリーンスピードとが対応付けられて記憶されたデータベースである。
特性データベース107は、例えば、予め種々の対象面をサンプルとしてスティンプメータを使用してグリーンスピードを特定し、かつ、それら対象面に係る減衰率λを算出し、それらグリーンスピードの値と減衰率λの値とを対応付けて格納することで生成される。
なお、特性データベース107には、例えば7フィートから15フィートの範囲のグリーンスピードについて、グリーンスピードの値と減衰率λの値とが対応付けられたデータが格納されていればよい。
グリーンスピードは、例えば0.5フィート刻みでサンプリングされて特性データベース107が生成されていてもよい。
軌道演算部114は、図12に示す直進軌道SOおよび予測軌道POを算出する。軌道演算部114は、速度演算部112により算出されたボール180の初速と、グリーン90に設定されたグリーンスピードに対応する減衰率λと、に基づいて、ボール180に対応するボール80がグリーン90上を転がって停止するまでの予測軌道POと、仮想水平面上を転がって停止するまでの直進軌道SOを算出する。
ここで、予測軌道POには所定の補正が成された補正予測軌道POCが含まれ、直進軌道SOには所定の補正が成された補正直進軌道SOCが含まれる。なお、補正予測軌道POC、補正直進軌道SOCについては後述する。
図12に示す例では、表示装置6においてグリーン90上を転がるボール80の画像を表示することで当該ボール80の各軌道を表示するとともに、当該ボール80が転がる経路を示す矢印表示によっても各軌道を明示している。図示の便宜上、図12においては各軌道に係る符号を矢印表示に対して付している。
なお、ボール80の軌道の表示としては、グリーン90上を転がるボール80の画像と矢印表示との双方を表示する必要はなく、少なくともいずれか一方を表示すればよい。
また、ボール80の軌道は、グリーン90上を転がるボール80の画像や矢印表示に限られず、ユーザ50がボール80の軌道であると認識できる表示であれば、どのような表示によって軌道を示してもよい。
マット55の打ち出し位置PPからボール180が打ち出されたことを速度演算部112が検出すると、軌道演算部114は、仮想水平面上を転がるボール80aと、グリーン90上を転がるボール80bとについて、微小単位時間ずつ時間が経過した各時点での速度、方向、および位置をそれぞれ演算していく。これにより、軌道演算部114は、直進軌道SOと予測軌道POとを求める。また軌道演算部114は、演算されたボール80aとボール80bの位置が、表示制御部117が表示装置6に表示させているグリーン90の領域(表示領域)内に入っているか否かを判定する。そして、ボール80aおよびボール80bがそれぞれグリーン90の表示領域に入った場合、表示制御部117は当該ボールを表示装置6に初期表示する。
なお、図10および図12では、表示装置6に表示されるグリーン90上に初期表示されるボール80aとボール80bは、一つのボール80として表示されている。図10および図12は、例えば10メートルから15メートル程度の長距離のパットを想定したボールの軌道の表示例を示している。長距離のパットを打つ場合、打ち出された当初はボールの速度が大きいのでグリーンの傾斜の影響を受ける程度が小さく、打ち出し方向にほぼ直進するため、ボール80aとボール80bは一つのボール80として初期表示されやすい。逆に、例えば短距離のパットや大きな傾斜の場合など、ボール80aとボール80bの軌道が表示装置6に初期表示される時点で異なる場合には、ボール80aとボール80bを異なる位置に初期表示するとよい。
なお、グリーン90のグリーンスピードがマット55のグリーンスピードと共通に設定され、かつマット55が水平に設置されている場合、打ち出し位置PPから打ち出されてマット55上を転がるボール180と、仮想水平面上を転がるボール80aとは、その速度および位置が常に一致する。
他方、予測軌道POを転がるボール80bが表示装置6に初期表示されるタイミングは、グリーン90のグリーンスピードに加えてグリーン90の傾斜も勘案されて演算される。このため、ボール80aとボール80bが表示装置6にそれぞれ初期表示されるタイミングは互いに相違しうる。
ここで、本実施形態に係るゴルフショット表示装置10では、直進軌道SOまたは予測軌道POのいずれか一方のみを表示装置6に表示させる一軌道選択表示モードを有する。CPU110により一軌道選択表示モードに設定されている場合、表示制御部117は、ユーザ50により設定された直進軌道SOまたは予測軌道POのいずれか一方のみをグリーン90とともに表示装置6に表示させる。
なお、タッチパネル式表示部126の表示については後に詳述するが、タッチパネル式表示部126に表示される事項は、表示装置6に表示される事項に対応するものである。例えば、表示装置6において予測軌道POまたは直進軌道SOのいずれか一方のみが表示されるのであれば、タッチパネル式表示部126においても当該一方のみの軌道が表示される。
以下、軌道演算部114による演算処理を詳細に説明する。軌道演算部114は、速度演算部112により算出されたボール180の速度および方向と、表示装置6に表示されたグリーン90に対応するグリーンスピードとに基づいて、直進軌道SOを算出する。
ここで、水平に設置されたマット55上を転がるボール180は、打ち出しの方向に直進し、グリーン90のグリーンスピードに対応する減速特性(減衰率λ)に従って減速していく。よって、直進軌道SOの算出において軌道演算部114は、速度演算部112により算出されたボール180の初速および方向と、グリーン90のグリーンスピードに対応する減速特性(減衰率λ)を勘案して演算を行う。
すなわち、軌道演算部114は、打ち出し位置を起算位置とし、ボール180が打ち出された時刻から微小単位時間ずつ時間が経過した各時点での仮想水平面上におけるボール80(80a)の位置を、ボール80aが減速して速度が零となるまで算出していく。具体的には、仮想水平面上の二次元直交座標系の各座標軸方向について、ボール80aの打ち出し速度を初速として、減衰率λに従って減速していくボール80aの速度を、ボール80aが打ち出された時刻から微小単位時間ごとに算出する。以下、仮想水平面を構成する二次元直交座標系を「第2の二次元直交座標系」と呼称する場合がある。本実施形態では、第2の二次元直交座標系の各座標軸および座標は、グリーン90上の座標を定義する上述の第1の二次元直交座標系の各座標軸および座標と一致させている。ただし、本発明はこれに限られず、第2の二次元直交座標系は第1の二次元直交座標系と異なるものでもよい。
軌道演算部114は、減衰率λに従って減速する速度幅である減速量を微小単位時間ごとに算出し、ボール80aの初速から上記の減速量を微小単位時間ごとに減算していくことで、減速していくボール80aの経時的な速度を算出する。一方、軌道演算部114は、上記の微小単位時間ごとにボール80aが転がる転がり長さを、上記にて算出されたボール80aの経時的な速度に基づいて、各座標軸方向について算出する。軌道演算部114は、速度が零となってボール80aが停止するまでかかる演算を繰り返す。そして軌道演算部114は、算出された微小単位時間ごとの転がり長さを、ボール80aの打ち出し位置を起算位置として各座標軸方向に積算することでボール80aの通過位置および停止位置を算出する。このようにして算出されるボール80aの位置の軌跡が第2の二次元直交座標系上でのボール80aの軌道である。ボール80aは仮想水平面上を転がるものであるが、本実施形態では、ボール80aは表示装置6のグリーン90上を転がるものとして表示するため、軌道演算部114はさらに以下の演算を行う。
はじめに、第2の二次元直交座標系が第1の二次元直交座標系と異なる場合には、軌道演算部114は、上記で算出されたボール80aの通過位置および停止位置に関する第2の二次元直交座標系上の各座標を、公知の座標変換により第1の二次元直交座標系上での二次元位置に変換する。ただし、本実施形態では上述のように第1と第2の二次元直交座標系は共通としているためこの座標変換は不要である。
つぎに軌道演算部114は、グリーン90の三次元形状データと上記のボール80aの二次元位置とに基づいて、グリーン90上でのボール80aの高さ位置を求める。このように算出されるボール80aの位置の軌跡が直進軌道SOとして表示装置6のグリーン90上に表示される。
なお、本実施形態では、直進軌道SOの軌道をグリーン90上に表示しているが、これに代えて、表示装置6にグリーン90とともに仮想水平面を表示して、この仮想水平面上に直進軌道SOを表示してもよい。
このようにして算出されるボール80aの位置の軌跡が直進軌道SOである。
また、軌道演算部114は、速度演算部112により算出されたボール180の速度および方向と、表示装置6に表示されたグリーン90の状態とに基づいて、予測軌道POを算出する。
ここで、グリーン90に対応する面形状を有する実グリーンを仮定し、当該実グリーン上で転がるとした場合のボール180は、当該グリーン90のグリーンスピードに対応する減速特性(減衰率λ)に従って減速すると共に、当該グリーン90の傾斜に起因して減速または加速する。
従って、予測軌道POの算出において軌道演算部114は、速度演算部112により算出されたボール180の初速および方向と、グリーン90のグリーンスピードに対応する減速特性(減衰率λ)と、グリーン90の傾斜とを勘案して演算を行う。
すなわち、軌道演算部114は、打ち出し位置を起算位置とし、ボール180が打ち出された時刻から微小単位時間ずつ時間が経過した各時点でのグリーン90上におけるボール80(80b)の位置を、速度が零となってボール80bが停止するまで算出していく。具体的には、例えば三次元的に湾曲するグリーン90上の各位置を上記の第1の二次元直交座標系上で表現し、ボール80bの初速に関する当該座標系の各座標軸方向の成分について、微小単位時間に対応する微小単位区間ごとに減衰率λに従った減速量を減算していく。
軌道演算部114はこれと並行して、グリーン90の傾斜に起因する減速量(または加速量)を各座標軸方向の成分についてボール80bの速度から減算(または当該速度に加算)していく。更に軌道演算部114は、上記の微小単位時間ごとにボール80bが転がる転がり長さを、上記にて算出されたボール80bの経時的な速度に基づいて、各座標軸方向について算出する。軌道演算部114は、速度が零となってボール80bが停止するまでかかる演算を繰り返す。そして軌道演算部114は、算出された微小単位時間ごとの転がり長さを、ボール80bの打ち出し位置を起算位置として各座標軸方向に積算することでボール80bの通過位置および停止位置を算出する。このようにして算出されるボール80bの位置の軌跡が第1の二次元直交座標系上でのボール80bの軌道である。
グリーンデータベース109には、上述したようにグリーン傾斜情報が格納されている(図9参照)。本実施形態のグリーン傾斜情報は、グリーン90上の各位置を上記の第1の二次元直交座標系で表現した二次元座標と、上記各位置における各座標軸方向へのグリーン90の傾斜の強さを示す情報と、が対応づけられた情報である。グリーン90の傾斜の強さを示す情報としては、例えば、三次元的に湾曲するグリーン90上の各位置における接平面に関する単位法線ベクトル(三次元ベクトル)の値を用いることができる。この場合、第1の二次元直交座標系のある座標軸方向に向かってグリーン90が急峻に上り傾斜している場合は当該座標軸方向に関するグリーン90の傾斜の強さは−1に近い値をとり、逆に急峻に下り傾斜している場合は+1に近い値をとり、平坦な場合は0となる。このほか、グリーン90の傾斜の強さを示す情報としては、上記の単位法線ベクトルから換算可能な傾斜角度を用いてもよい。
軌道演算部114の上述した演算について補足する。軌道演算部114はグリーン90の傾斜に関する情報として、グリーンデータベース109のグリーン傾斜情報を参照し、グリーン90上を転がるボール80bに対して微小単位時間ごと作用する重力の方向および大きさを求める。そして、グリーン90の傾斜に起因するボール80bの減速量または加速量を、各座標軸方向の成分について算出する。第1の二次元直交座標系上でのボール80bの位置(二次元位置)が特定されれば、グリーン90の三次元形状データと上記の二次元位置とに基づいて、軌道演算部114はグリーン90上でのボール80bの高さ位置を求めることができる。このようにして算出される位置の軌跡が予測軌道POである。軌道演算部114は、ボール80bの速度が零となってボール80bが停止するまで上記の演算を繰り返すことでボール80bの停止位置を算出する。
ここで、グリーン90のグリーンスピードとして用いられる値は、マット55のグリーンスピードの値、表示装置6に表示されるグリーン90のグリーンスピードとして予め設定されている値、または操作入力部101またはタッチパネル式表示部126の操作を通じてユーザにより任意で設定されるグリーンスピードの値などが挙げられる。なお、これらグリーンスピードの値は、記憶部105、RAM118、またはROM119に記憶される。
ところで、短距離ショットにおいてボール180の軌道に大きな影響を与える要素は、打ち出しの速度および方向であるが、その他にも例えば短距離ショットのインパクト時のフェース角度もボール180の軌道に影響を与えうる。そこで、本実施形態では、インパクト時のフェース角度をも考慮に入れたボール80、180の軌道をユーザに提示可能としている。
回転軸演算部116は、上述の第一撮影部20および第二撮影部21により取得された画像に基づいて、短距離ショットにおけるインパクト時のフェース角度を特定する。そして、回転軸演算部116は、特定したフェース角度からボール180の回転軸を特定する。ボール180の回転軸は、当該フェース角度に応じてボール180に力が加わる位置等から導出される。
そして、軌道補正部115は、回転軸演算部116により算出されたボール180の回転軸に基づいて、軌道演算部114により算出された直進軌道SOおよび予測軌道POを補正する。
すなわち、ゴルフショット表示装置10は、短距離ショットに用いられるゴルフクラブのフェースとボール180との接触角度に基づいて予測軌道POを補正して成る補正予測軌道POC、および、接触角度に基づいて直進軌道SOを補正して成る補正直進軌道SOCのうち少なくとも一方を生成する軌道補正部115を備える。
ここで表示制御部117は、補正予測軌道POCを予測軌道POとして表示装置に表示させると共に、補正直進軌道SOCを直進軌道SOとして表示装置6に表示させる。
なお、予測軌道PO、補正予測軌道POC、直進軌道SO、および補正直進軌道SOCのうち少なくともいずれか一つの軌道を表示装置6に表示させる表示モードを設けてもよい。
インパクト時のフェース角度を考慮した軌道(補正予測軌道POCおよび補正直進軌道SOC)と、考慮しない軌道(予測軌道POおよび直進軌道SO)とを対比して把握することで、ミスショットのためカップインしなかった場合に、当該ミスショットが、そもそも狙った打ち出しの方向自体が誤っていたのか、狙った打ち出しの方向自体は正しいがフェース角度に起因してミスショットが生じたのかを判別することが可能となる。
図12に示す補正予測軌道POCは、予測軌道POが軌道補正部115によって補正されて成る軌道である。また、補正直進軌道SOCは、直進軌道SOが軌道補正部115によって補正されて成る軌道である。
表示制御部117は、転がるボール80の表示を単位時間刻みで固定していくことで、当該ボール80の速度が零となるまでの当該ボール80の軌道を表示装置6に表示させる。このようなボール80の残像表示によって軌道を示す態様によれば、当該ボール80が減速していく様子も表されるため、ユーザはボール80の軌道のみならず、当該ボール80の速度に関する情報も得ることができる。
換言すれば、本実施形態では、表示装置6においてグリーン90上を転がるボール80の画像を表示することによって当該ボール80の軌道を表示するところ、転がるボール80について単位時間間隔で残像を表示させることで、所定時間に進む距離の変化(ボール80の速度の変化)を表示することができる。
図12に示す例では、表示制御部117は、ボール80の速度に関する情報を示す表示を、予測軌道PO、直進軌道SO、補正予測軌道POC、および補正直進軌道SOCと共に表示装置6に表示させている。
なお、表示制御部117は、ボール80の速度に関する情報を示す表示を、予測軌道POおよび直進軌道SOのうち少なくとも一方と共に表示装置6に表示させてもよい。また表示制御部117は、ボール80の速度に関する情報を示す表示を、補正予測軌道POCおよび補正直進軌道SOCのうち少なくとも一方と共に表示装置6に表示させてもよい。
<仮想カップに係る表示処理および演算処理について>
図13は、仮想カップ70の表示処理のフローチャートを示す図である。
まず、仮想目標演算部111は、仮想カップ70の表示処理の対象となるグリーン90のグリーンIDを特定する(ステップS1)。すなわち、ステップS1は、グリーンID特定工程である。
続いて、仮想目標演算部111は、ステップS1で特定したグリーンIDに対応するグリーン90に係る情報を、グリーンデータベース109から読み出して記憶部105に記憶させる(ステップS3)。すなわち、ステップS3は、グリーン90に係る情報を取得する情報取得工程である。
そして、ステップS3で取得したグリーン90に係る情報に基づいて、仮想カップ70の位置を算出する(ステップS5)。すなわち、ステップS5は、仮想カップ位置を算出する仮想カップ位置演算工程である。
以下、図14を参照して、ステップS5の処理を詳細に説明する。
図14は、仮想カップ位置の演算処理(図13に示すステップS5の処理)のフローチャートを示す図である。
仮想目標演算部111は、ステップS3でグリーンデータベース109から取得して記憶部105に記憶させた情報のうち、三次元形状データおよびグリーンスピード情報を読み出す(ステップS21)。すなわち、ステップS21は、三次元形状データおよびグリーンスピード情報を読み出す情報読出し工程である。
続いて、仮想目標演算部111は、ステップS21で取得した三次元形状データで示されるグリーン90におけるカップ60の位置と、マット55の打ち出し位置PPに対応するグリーン90における打ち出し位置とを取得する(ステップS23)。すなわち、ステップS23は、グリーン90におけるカップ位置とボールの打ち出し位置とを取得する位置情報取得工程である。
具体的には、仮想目標演算部111は、記憶部105、RAM118、またはROM119に記憶された打ち出し位置の座標を取得し、打ち出し位置を特定する。また、仮想目標演算部111は、グリーンIDに対応するカップ位置またはユーザによる操作入力部101やタッチパネル式表示部126の操作で入力されたカップ位置の座標を取得する。ここで、打ち出し位置やカップ位置の座標は、上述した第1の二次元直交座標系で定義することができる。打ち出し位置およびカップ位置はグリーン90の表面上に位置しているため、打ち出し位置およびカップ位置の二次元座標を取得すれば、グリーン90の三次元形状データを参照することで打ち出し位置およびカップ位置の三次元位置を特定することができる。
仮想目標演算部111は、グリーン90における打ち出し位置から打ち出されるボール80が、カップ位置で速度が所定値以下となるような、打ち出し位置からのボール80の軌道COを算出する(ステップS25)。すなわち、ステップS25は、ボール80の軌道COを算出する軌道算出工程である。
ここで、「カップ位置で速度が所定値以下となるような軌道CO」とは、グリーン90上の打ち出し位置から打ち出されるボール80が、カップ位置を「所定距離」だけ越えた対象位置TP(図10参照)において速度が零となるような軌道COである。「所定距離」とは本実施形態においては例えば30乃至50センチメートルである。実際のゴルフにおいては、通常、カップの位置よりも例えば30乃至50センチメートル程度先の位置でボールが停止するような強さでパッティングを行うことが多い。このことを鑑み、本実施形態ではカップ60の位置を例えば30乃至50センチメートルだけ越えた対象位置TP(図10参照)において速度が零となるような軌道COを算出する。
以下、ステップS25の処理について詳細に説明する。仮想目標演算部111は、ボール80が打ち出し位置で打ち出されてから、所定の速度以下でカップ位置を通過した後に対象位置TP(図10参照)において速度が零となるような軌道COを、例えば下記の処理によって算出する。
まず、仮想目標演算部111は、対象位置TP(図10参照)において速度が零となるような軌道COを、カップ位置を起算位置として、その周囲360度の全方向について所定角度(例えば1度)刻みで探索(算出)する。
詳細には、この探索においては、仮想目標演算部111は、起算位置であるカップ位置をボール80が所定の低速の転がり速度で通過する時刻から微小単位時間ずつ時間を遡った時点のボール80の位置を、各微小単位時間に対応する各微小区間でボール80が受ける力を考慮して推定していく。ここでボール80が受ける力としては、グリーン90から受ける力と重力とが挙げられる。なお、各微小区間におけるボール80の転がる速度(移動速度)は一定であるとする。並行して、仮想目標演算部111は、微小区間ごとに、グリーン90との間の動摩擦力と重力とが合成されて成る力によるボール80の減速量Δvを算出し、全ての微小区間に係る減速量Δvを足し合わせていく。なお、減速量Δvのうち、グリーン90の動摩擦力に起因する成分は当該グリーン90のグリーンスピードから算出することができ、重力に起因する各座標軸方向の成分はグリーンデータベース109に格納されている上記のグリーン傾斜情報から算出することができる。仮想目標演算部111は、第1の二次元直交座標系の各座標軸方向について上記の演算を行う。これにより、仮想目標演算部111はボール80の速度および方向と位置を、カップ位置から遡って算出していく。
上記の探索の結果、第1の二次元直交座標系におけるボール80の二次元位置が打ち出し位置の二次元位置と一致または略一致するに至ったボール80が見つかった場合、当該ボール80の軌道が、打ち出し位置から打ち出されたボール80がカップ60に入る軌道COであると特定(決定)される。そして、当該ボール80に関する上記のΔvの総和が、打ち出し位置から打ち出されたボール80がカップ60に入る軌道COを実現するための初速となる。
これにより、対象位置TPにおいて速度が零となるような(打ち出し位置から対象位置TPに至ることが可能な)、ボール80の軌道COおよび初速が求まる。
そして、上記の探索においては、このように算出した初速を打ち出し位置での打ち出しでボール80に付与される初速とする。また、カップ位置を低速で通過するボール80の上記所定の速度は、対象位置TPにおいて速度が零となるような値に設定する。
ここで、仮に、打ち出し位置から打ち出されたボール80がカップ60に入る軌道COが検出されなかった場合、すなわち打ち出し位置に到達するに至ったボール80の軌道が存在しなかった場合には、(i)より小さい角度(例えば0.5度)刻みで上記の探索を行う、(ii)打ち出し位置での打ち出しでボール80に付与される初速の値を変更して上記の探索を行う、(iii)カップ位置におけるボール80の速度を変更して上記の探索を行う等により、軌道COを再度探索(算出)する。なお、厳密に打ち出し位置に至る軌道COが検出されなくとも、打ち出し位置の近傍の位置に至る軌道COが検出された場合には、その検出された軌道COを採用してもよい。
上述のステップS25の処理によって軌道COを算出すると、仮想目標演算部111は、当該軌道COの算出に用いたボール80の初速を特定し、軌道COが描く曲線の打ち出し位置における接線方向を打ち出し方向として特定する(ステップS27)。但し、上記ボール80に関する最後の微小区間の延在方向は打ち出し方向を示しているので、当該最後の微小区間の延在方向を判定することでも、打ち出し方向を特定できる。上記の演算により特定されたボール80の打ち出し方向および初速は、第1の二次元直交座標系上での打ち出し方向および初速である。すなわち、ステップS27は、打ち出し方向および初速を特定する打ち出し態様特定工程である。
本実施形態では、仮想水平面を定義する第2の二次元直交座標系の各座標軸および座標は、グリーン90上の座標を定義する第1の二次元直交座標系の各座標軸および座標と共通である。このため、上記の演算により特定されたボール80の打ち出し方向および初速は、第2の二次元直交座標系における打ち出し方向および初速でもある。本実施形態に代えて、第1と第2の二次元直交座標系が互いに異なる場合は、仮想目標演算部111は、ボール80に関する第1の二次元直交座標系上での打ち出し方向および初速を、公知の座標変換により第2の二次元直交座標系における打ち出し方向および初速に変換する。
さらに、仮想目標演算部111は、第2の二次元直交座標系上で以下の演算を行う。すなわち仮想目標演算部111は、ステップS27で算出した打ち出し方向および初速でボール80を打ち出した場合であって、当該ボール80がステップS21で取得したグリーンスピードを有する仮想水平面上で転がると仮定した場合の、当該ボール80の停止位置を算出する(ステップS29)。当該停止位置は、仮想水平面を定義する第2の二次元直交座標系上での停止位置であり、本実施形態ではすなわち第1の二次元直交座標系上での停止位置である。仮想目標演算部111は、グリーンデータベース109に記憶されている三次元形状データに基づき、当該停止位置のグリーン90上の三次元位置に置き換える。本実施形態に代えて、第1と第2の二次元直交座標系が互いに異なる場合は、仮想目標演算部111は第2の二次元直交座標系上での停止位置を第1の二次元直交座標系上での停止位置に座標変換した上で、グリーン90の三次元形状データを参照してボール80の停止位置に関する三次元位置を算出する。
すなわち、ステップS29は、仮想水平面上でのボール80の停止位置を算出する仮想停止位置算出工程である。仮想目標演算部111は、具体的には、ボール80の打ち出し位置を起算位置とし、ステップS27で算出された初速で打ち出されたボール80が減衰率λに従って減速していく速度を、ボール80が打ち出された時刻から微小単位時間ごとに算出する。具体的には、仮想目標演算部111は、減衰率λに従って減速する速度幅である減速量を微小単位時間ごとに算出し、ボール80の初速から上記の減速量を微小単位時間ごとに減算していくことで、減速していくボール80の速度を算出する。一方、仮想目標演算部111は、上記の微小単位時間ごとにボール80が転がる転がり長さを、上記にて算出された減速するボール80の速度に微小単位時間を乗じることにより算出する。仮想目標演算部111は、ボール80の速度が零となるまで上記の演算を繰り返し、こうして算出された微小単位時間ごとの転がり長さを、ボール80の打ち出し位置を起算位置として積算していくことでボール80の停止位置を算出する。そして仮想目標演算部111は、当該停止位置を三次元位置に変換する。
そして、仮想目標演算部111は、ステップS29で算出したボール80の停止位置を、表示装置6の表示画像に対応する二次元座標に変換する(ステップS31)。すなわち、ステップS31は、グリーン90上で停止するボール80の三次元座標系における停止位置を表示装置6にて画像で表示するため、表示装置6における表示画像に対応する二次元座標に変換する座標変換工程である。この変換工程は、透視投影などの公知の遠近図法に基づく演算処理により行われる。そしてこの変換工程により、目標位置に基づいて特定される仮想空間内の投影範囲を包含する二次元投影画像が生成される。
ここで、仮想目標演算部111は、ステップS31による変換で算出した表示画像上の二次元座標に対応する位置を、表示装置6の表示画像上の仮想カップ位置として決定する(ステップS33)。すなわち、ステップS33は、仮想カップ位置を決定する仮想カップ位置決定工程である。
説明を図13に示すフローチャートに戻す。
上述したステップS21乃至ステップS33の一連の処理を完了すると、表示制御部117は、ステップS33で決定された仮想カップ位置に仮想カップを表示させる(ステップS7)。すなわち、ステップS7は、仮想カップ70を表示させる仮想カップ表示工程である。
そして、CPU110は、打ち出し位置、グリーン90の状態、またはカップ位置を変更する操作信号が入力されたか否かを判定する(ステップS9)。これらを変更する操作は、例えば図8に示す操作入力部101やタッチパネル式表示部126を用いて行われる。すなわち、ステップS9は、仮想カップ位置の算出に係る情報を変更するか否かを判定する変更判定工程である。
ここで、変更されうるグリーン90の状態としては、グリーンスピード情報、および「グリーンの傾斜に係る情報」を挙げることができる。「グリーンの傾斜に係る情報」は、グリーンデータベース109に格納されたグリーン90の傾斜を示す情報であり、上述したグリーン傾斜情報を変更の対象とすることができる。このほか、グリーン90の表面上の各点における高さを示す三次元形状データを変更の対象としてもよい。本実施形態に係るゴルフショット表示装置10は、例えば図8に示す操作入力部101やタッチパネル式表示部126を用いた操作で、グリーン90の傾斜を例えば0.5度刻みに変更可能に構成されている。これにより、グリーンIDで識別可能に管理されているグリーン90の三次元形状を初期状態として、当該グリーン90の傾斜を変化させることができる。
操作入力部101やタッチパネル式表示部126がグリーン90の三次元形状を変更する入力を受け付けると、仮想目標演算部111は当該変更後のグリーン90の各位置における傾斜の向きおよび強さを演算してグリーン傾斜情報を更新し、更新後のグリーン傾斜情報をグリーンデータベース109に格納する。
なお、グリーン90の三次元形状を変化させるとは、上記のようにグリーンIDで管理される任意のグリーン90の形状を、グリーンデータベース109に保存されている初期状態から変化させることにかぎられない。表示装置6に表示されている任意のグリーンIDに対応するグリーン90から、他のグリーンIDに対応する別のグリーン90をグリーンデータベース109から呼び出して表示を変更することによって、表示装置6に表示されるグリーン90の状態を変化させてもよい。
打ち出し位置、グリーン90の状態、またはカップ位置を変更する操作が入力されていない場合(ステップS9のNO)、表示装置6における表示を維持する。他方、打ち出し位置、グリーン90の状態、またはカップ位置を変更する操作が入力されている場合(ステップS9のYES)、CPU110は、当該変更する操作信号に基づいて仮想カップ位置を再計算する(ステップS11)。このステップS11における再計算は、上述した図14に示す一連の処理を、変更された情報を用いて再度実行する処理である。すなわち、ステップS11は、仮想カップ位置を再計算する仮想カップ位置再計算工程である。
そして、表示制御部117は、ステップS11における再計算の結果に基づいて、グリーン90および仮想カップ70の表示を更新処理する(ステップS13)。すなわち、ステップS13は、仮想カップ70の表示を更新処理する仮想カップ表示更新工程である。
上述したように、ゴルフショット表示装置10は、グリーン90におけるカップ60にボール80を入れる短距離ショットに係る打ち出しの方向および強さを示す表示であって、当該打ち出しの方向および強さで打ち出し位置から打ち出されたボール80が、表示装置6に表示されるグリーン90に対応するグリーンスピードを有する水平面(実水平面)上で転がるボール80の停止位置、当該ボール80の軌道上の位置、または当該ボール80の軌道の延長上の位置を示す仮想目標(仮想カップ70)を算出する仮想目標演算部111を備える。
上述の実施形態では、打ち出し位置、グリーン90の状態、またはカップ位置を変化させて仮想カップ位置を再計算しているが、本発明はこれに限られず、打ち出し位置、グリーン90の状態、または仮想カップ位置を変化させてカップ位置を再計算するようにしてもよい。
すなわち、仮想目標表示制御部(表示制御部117)は、打ち出し位置、表示装置6に表示されるグリーン90の状態、または、グリーン90におけるカップ60の位置もしくは仮想カップ70の表示位置という4つのショット条件のうちの少なくとも一つを変化させ、変化させたショット条件である更新ショット条件に少なくとも基づいて、仮想目標の表示(仮想カップ70の表示位置)またはグリーン90におけるカップ60の位置を変化させる。より詳細には、表示制御部117は、打ち出し位置、グリーン90の状態、グリーン90におけるカップ60の位置および仮想カップ70の表示位置という4つのショット条件のうち、変化させてないショット条件と更新ショット条件とに基づいて仮想カップ70の表示位置またはグリーン90におけるカップ60の位置を再計算する。表示制御部117は、ショット条件の一部のみを変化させて仮想カップ70の表示位置またはグリーン90におけるカップ60の位置を変化させてもよく、またはショット条件の全部を同時に変化させて仮想カップ70の表示位置またはグリーン90におけるカップ60の位置を変化させてもよい。
ここでグリーン90の状態には、表示装置6に表示されるグリーン90の傾斜またはグリーンスピードの少なくとも一つが含まれる。よって、表示制御部117は表示装置6に表示されるグリーン90の傾斜の態様またはグリーンスピードという更に2つのショット条件のうちの少なくともいずれか一つを変化させ、当該変化させた後のショット条件である更新ショット条件に少なくとも基づいて、仮想カップ70またはカップ60の位置を変化させる。
上述のように構成することで、ユーザ50は、グリーン90に係る種々のパラメータであるショット条件のうちの一つを変化させたときのカップ位置または仮想カップの表示位置の変化を体得することが可能となる。これにより、ボール80の打ち出し位置、グリーン90の状態、およびカップ60の位置と、仮想カップ70の位置との関係性をユーザに習得させることができる。
<軌道表示処理について>
上述したように、本実施形態に係るゴルフショット表示装置10は、打ち出し位置PPから打ち出されたボール180の予測軌道PO、直進軌道SO、補正予測軌道POC、および補正直進軌道SOCを算出して、表示装置6に表示させる軌道表示処理を行う。図15は、軌道表示処理のフローチャートを示す図である。
まず、速度演算部112は、センサ131、133、135、137から出力された検出情報(検出信号)を取得する(ステップS51)。続いて、速度演算部112は、ステップS51で取得した検出情報に基づいて、上述の処理によってボール180の速度および方向を算出する(ステップS53)。そして、軌道演算部114は、速度演算部112の算出結果に基づいて、上述の処理によって予測軌道POおよび直進軌道SOを算出する(ステップS55)。
ここで、CPU110は、インパクト時のフェース角を考慮した軌道を表示させる設定が成されていると判定すると(ステップS57のYES)、軌道補正部115は、回転軸演算部116によって算出されたボール180の回転軸に基づいて、予測軌道POおよび直進軌道SOを補正して、補正予測軌道POCおよび補正直進軌道SOCを算出する(ステップS59)。
そして、表示制御部117は、予測軌道PO、直進軌道SO、補正予測軌道POC、および補正直進軌道SOCを表示装置6に表示させる(ステップS61)。
他方、インパクト時のフェース角を考慮した軌道を表示させる設定が成されていない場合(ステップS57のNO)には、表示制御部117は、予測軌道POおよび直進軌道SOを表示装置6に表示させる(ステップS61)。
上述の軌道表示処理において、マット55上でパッティングにより打ち出されるボール180がボール回収部24に進入するタイミングと、ボール80を表示装置6に表示させるタイミングとを同期させることが好ましい。
<タッチパネル式表示部126における詳細情報の表示について>
タッチパネル式表示部126は、詳細情報の表示に用いられる。詳細情報は、表示装置6に表示されている事象を定量的に説明する情報を含む情報であり、表示装置6に表示されている事象をより詳細に説明する情報である。
図16は、タッチパネル式表示部126における詳細情報に係る表示例を示す図である。同図において、グリーン平面視図Gは、グリーン90を上空から平面視した場合のグリーン90の形状を示す。グリーン平面視図Gには、表示装置6に表示されたグリーン90におけるカップ60、仮想カップ70、および打ち出し位置PPの位置が表示される。具体的には、同図において、アルファベット「C」が付されたカップ標識CLはカップ60の位置を示す。また、アルファベット「V」が付された仮想カップ標識VLは仮想カップ70の位置を示す。また、アルファベット「P」が付された打ち出し位置標識PPLは打ち出し位置PPの位置を示す。
ここで、図16に示す表示範囲標識drは、グリーン90のうち表示装置6に表示されている範囲を示している。すなわち、表示範囲標識drは、上述の投影範囲に対応している。
図16に示すタッチパネル式表示部126の表示画面は、詳細情報のメニュー画面であり、ユーザ50は当該メニュー画面に表示された各ボタンb1〜b5をタッチ操作することで、タッチ操作したボタンb1〜b5に対応する詳細情報が、タッチパネル式表示部126に表示される。
換言すれば、タッチパネル式表示部126から入力された操作信号に基づいて、CPU110が、タッチ操作されたボタンb1〜b5に対応する詳細情報をタッチパネル式表示部126に表示させる。
詳細情報には、グリーン情報と、カップ情報と、仮想カップ情報と、ショット情報と、軌道情報とが含まれる。各情報については、後に詳細に説明する。
ここで、ボタンb1はグリーン情報に対応する。ボタンb2はカップ情報に対応する。ボタンb3は仮想カップ情報に対応する。ボタンb4はショット情報に対応する。ボタンb5は軌道情報に対応する。
図17は、図16に示すメニュー画面においてボタンb1がタッチ操作されると遷移するグリーン情報表示画面の表示例を示す図である。
グリーン情報とは、表示装置6に表示されているグリーン90のグリーンスピード、および傾斜を示す情報である。そして、グリーン情報表示画面は、図17に示すように、グリーン平面視図Gと共に、表示装置6に表示されているグリーン90のグリーンスピード情報gi1と、検出対象カーソルTDの表示位置に対応するグリーン90上の位置に係るグリーン傾斜情報gi2とが表示される画面である。図17に示す例では、検出対象カーソルTDに係る傾斜は+2度の上り傾斜である。
ここで、検出対象カーソルTDとは、ユーザ50によるタッチ操作で移動可能なカーソルである。
図18は、図16に示すメニュー画面においてボタンb2がタッチ操作されると遷移するカップ情報表示画面の表示例を示す図である。
カップ情報とは、表示装置6に表示されているグリーン90における打ち出し位置PPを基準としたときのカップ60の位置を示す情報である。そして、カップ情報表示画面は、図18に示すように、グリーン平面視図Gと共に、打ち出し位置PPからカップ60の位置までの距離を示すカップ位置情報ciが表示される画面である。
図18に示す例では、カップ60の位置は、打ち出し位置から17m先の位置である。
図19は、図16に示すメニュー画面においてボタンb3がタッチ操作されると遷移する仮想カップ情報表示画面の表示例を示す図である。
仮想カップ情報とは、表示装置6に表示されているグリーン90における仮想カップ70の位置を示す情報である。そして、仮想カップ情報表示画面は、図19に示すように、グリーン平面視図Gと共に、カップ位置を基準とした仮想カップ位置を示す仮想カップ位置情報vi1と、打ち出し位置PPを基準とした仮想カップ位置を示す仮想カップ位置情報vi2とが表示される画面である。
図19に示す例では、仮想カップ位置は、カップ位置を基準とすると、2.5メートルだけカップ位置から奥側の位置であり、かつ、3.6メートルだけカップ位置から右側の位置である。また、仮想カップ位置は、打ち出し位置PPを基準とすると、打ち出し位置PPからカップ位置に向かう方向に対して15度を成す方向に20.5メートル先の位置である。
図20は、図16に示すメニュー画面においてボタンb4がタッチ操作されると遷移するショット情報表示画面の表示例を示す図である。
ショット情報とは、表示装置6に表示されたグリーン90においてカップ60にボール80を入れるのに要するパッティングに係る打ち出しの方向および強さを示す情報である。そして、ショット情報表示画面は、図20に示すように、グリーン平面視図Gと共に、打ち出し位置PPからカップ位置へ向う方向を基準とした打ち出しの方向を示す情報si1と、打ち出し位置PPから仮想カップ位置までの距離によって打ち出しの強さを示す情報si2と、打ち出しによりボール180に付与する初速によって打ち出しの強さを示す情報si3とが表示される画面である。
図20に示す例では、打ち出しの方向は、打ち出し位置PPからカップ位置に向かう方向に対して15度を成す方向であり、打ち出しの強さは距離で示すと20.5メートルであり、初速で示すと9メートル毎秒である。
図21は、図16に示すメニュー画面においてボタンb5がタッチ操作されると遷移する軌道情報表示画面の表示例を示す図である。
軌道情報とは、上述した予測軌道POまたは直進軌道SOの少なくとも一方を示す情報である。そして、軌道情報表示画面は、グリーン平面視図G上に予測軌道POまたは直進軌道SOの少なくとも一方が表示される画面である。図21に示す軌道情報表示画面では、グリーン平面視図G上に予測軌道POと直進軌道SOとが共に表示されている。
なお、図21に示す例では、直進軌道SOの方向を示す情報oi1および予測軌道POに係る停止位置を示す情報oi2が、グリーン平面視図Gと共に表示されている。図21に示す例では、直進軌道SOの方向は打ち出し位置PPからカップ位置へ向う方向に対して15度を成す方向であり、ボール80の停止位置はカップ60に対して1メートルだけ手前の位置である(1メートルのショート)。
すなわち、表示制御部117は、予測軌道POまたは直進軌道SOに係るボール80の停止位置とグリーン90に設けられたカップ60との相対的な位置関係を定量的に示す情報(直進軌道SOの方向を示す情報oi1、予測軌道POに係る停止位置を示す情報oi2)を、タッチパネル式表示部126に表示させる。
なお、タッチパネル式表示部126に表示させる各種詳細情報については、表示装置6に表示させてもよい。具体的には、例えば、表示装置6における表示画面の横方向または縦方向の端部近傍に詳細情報を表示させる構成が挙げられる。
以上説明したように、操作入力部101やタッチパネル式表示部126をユーザ50が操作して各種詳細情報を入力することで表示装置6に表示されるグリーン90におけるカップ位置や仮想カップ位置などの表示内容が変化する。また、本実施形態のゴルフショット表示装置10においては、操作入力部101やタッチパネル式表示部126を操作することで、ユーザ50の視点eの高さ位置heを示す情報、打ち出し位置PPと設置面wとの間のx方向における距離Lxを示す情報(図2参照)および表示装置6の縦方向の長さLzと横方向の長さLy(図1参照)を入力可能に構成されている。
パッティングにおいては、ボール80は実質的にグリーン90の表面に沿って転がるため、ボール80の二次元座標とグリーン90の表面の三次元形状とに基づいてボール80の三次元座標を特定することができる。そしてゴルフショット表示装置10では、目標位置Pgである仮想カップ位置(またはカップ位置)を基準とする遠方限界RUと近方限界RLから投影範囲を特定し、当該投影範囲に対応する透視可能位置に表示装置6を配置することで、目標位置Pgの近傍に現れるボール80を表示装置6に表示することができる。
以上の説明では短距離ショットとしてパッティングを表示する場合を例示したが、本実施形態のゴルフショット表示装置10では、パッティングに限らず、高さ方向にボール180を打ち出すアプローチショットを表示してもよい。本実施形態のゴルフショット表示装置10で好適に表示されるアプローチショットは、打ち出し位置から落下地点までの距離が例えば20メートル以下のアプローチショットである。
アプローチショットには種々のショットがあり、ボールの軌道の最高到達点がアドレスした時のユーザの視点の高さより低い低弾道のアプローチショットや、ユーザの視点の高さより高い高弾道のアプローチショット、打ち出し位置から落下地点までの距離が例えば10メートル以下の短距離のアプローチショット、打ち出し位置から落下地点までの距離が10メートルを超える長距離のアプローチショットなどがある。アプローチショットの打ち出し位置はグリーンの外部の位置である。現実のゴルフ場でのアプローチショットでは、グリーン周りのフェアウェイやラフが打ち出し位置であり、この打ち出し位置から打ち出したボールを、フェアウェイ、ラフまたはバンカーを超えてグリーン上、またはグリーン近傍に落下させる。
表示装置6には、打ち出し位置PPに対応する現実のゴルフ場の打ち出し位置でアドレスするユーザ50が視認する光景が表示される。表示装置6には打ち出し位置PPから表示装置6までのx方向における距離4pを超える+x側の仮想空間内のゴルフ場が表示される。より具体的には、打ち出し位置PPに対応する現実のゴルフ場の打ち出し位置から視認されるフェアウェイ、ラフ、バンカーなどが表示され、フェアウェイ、ラフ、バンカーなどを超えた位置(+x側の位置)にグリーンが表示される。
アプローチショットを表示装置6に表示するための具体的な処理については後述する。
<表示装置の駆動処理について>
上述したように、表示装置6がその投影範囲に対応する位置に配置されることにより、当該表示装置6に表示された画像が、打ち出し位置PPに対応する実グリーン上の位置においてアドレスするゴルファーがグリーン90に対応する実グリーンを目視するときの光景として視認される。
ゴルフショット表示装置10は、ユーザ50により実際にパッティングが行われる前に、図22および図23に示すフローチャートの処理(表示装置6の駆動処理)を行うことで表示装置6の上下位置、前後位置、回転角度または傾斜角度を変更し、表示装置6をその投影範囲に対応する位置に配置する。
図22および図23は、表示装置6の駆動処理のフローチャートを示す図である。図24から図28は、透視投影による投影範囲と表示装置6との関係を示す模式図である。図22および図23に示すフローチャートの処理(表示装置6の駆動処理)が実行されることによって、表示装置6が、その投影範囲に対応する位置に配置される。
図24は初期状態の表示装置6を示している。表示装置6を横長かつ鉛直に設置されている。図25および図27は、目標位置Pgに基づいて決定される投影範囲の遠方限界RUと基準面rpとの成す角度θが例えば10度未満となる程度に位置P1が打ち出し位置PP(視点e)から離間している場合(いわば目標位置Pgまで遠距離の場合)を示している。図26および図28は、遠方限界RUと基準面rpとの成す角度θが例えば10度を超える程度に位置P1が打ち出し位置PP(視点e)から離間している場合(いわば目標位置Pgまで近距離の場合)を示している。
まず、表示装置6の配置態様と投影範囲との関係を説明する。最初に、図24から図28に示す模式図に共通の事項について説明する。なお、図2を参照して上述した説明と重複する事項は適宜省略する。
表示装置6が設置されている設置面wを境に−x側が現実空間を示し、+x側が仮想空間を示している。ゴルフショット表示装置10は、表示装置6が設置されている設置面wを介して、仮想空間(グリーン90)と現実空間とが連続する一の空間を構成していると仮定し、表示装置6に表示させる二次元投影画像として、仮想空間(グリーン90)を透視投影による遠近図法で表した画像を生成する。
投影範囲Lvのうち、基準面rp上の位置P1から位置P2までの範囲は、表示装置6に少なくとも表示される投影範囲である。投影範囲Lvのうち、この少なくとも表示装置6に表示される投影範囲を投影範囲Lvmと呼称する場合がある。投影範囲Lvおよび投影範囲Lvmは、目標位置Pgに基づいて投影範囲特定部153により特定される。
目標位置Pgは、パッティングによってユーザ50がボール80を停止させる目標位置(仮想カップ位置、またはカップ位置)である。目標位置Pgは、ユーザ50が操作入力部101やタッチパネル式表示部126を操作して決定してもよく、または仮想目標演算部111が算出した仮想カップ70の位置を目標位置Pgとして設定してもよい。
打ち出し位置PPから目標位置Pgまでのx方向における距離をLとすると、本実施形態では位置P1は、距離Lの30%に相当する距離だけ目標位置Pgから+x側に離間した位置である。また、位置P2は、距離Lの30%に相当する距離だけ目標位置Pgから−x側に離間した位置である。
換言すれば、本実施形態では、位置P1から位置P2までの投影範囲Lv(投影範囲Lvm)は、目標位置Pgを中心として距離Lの30%の長さを半径とする範囲を含むように設定される。
図24に示すように、表示装置6では、少なくとも、位置P1と視点eとを結ぶ直線で示される遠方限界RUと、位置P2と視点eとを結ぶ直線で示される近方限界RLとによって囲まれた領域である投影範囲Lv(投影範囲Lvm)を表示する。上記の投影範囲Lv(投影範囲Lvm)の全体を少なくとも表示可能な表示装置6の配置が、上述した透視可能位置である。表示装置6が、ユーザ50の視点eから延びる直線で示される遠方限界RUと近方限界RLとに跨って配置されていれば、当該表示装置6には位置P1から位置P2までの投影範囲Lv(投影範囲Lvm)が少なくとも表示されうる。
図25および図26に示すように、設置面wと基準面rpとが交わる点を位置P0とすると、視点eと位置P0とを結ぶ直線上に表示装置6の表示下限位置PLが位置していれば、ボール回収部24にボール180が回収されるタイミングと同期させてボール80を表示装置6に表示開始することで、ユーザ50はボール180とボール80とが連続的に繋がって転がるように視認することができる。
ここで、表示上限位置PUのz方向における位置(高さ)をhUとし、表示下限位置PLのz方向における位置(高さ)をhLとする。そして、視点eと位置P1とを結ぶ直線と基準面rpとが成す角度をθとする。
図24に示す例では、表示装置6は背面が設置面wに沿って横長の向きに設置され、かつ、基準面rpから高さhLの位置に載置されているため、位置P0から位置P2までの非表示範囲Lnが生じているが、図25および図26に示す例では、図24で生じていた非表示範囲Lnが消滅している。
そして、本実施形態では、図22および図23に示すフローチャートの処理(表示装置6の駆動処理)が実行されることによって、表示装置6が、その投影範囲Lvに対応する位置に配置される。
具体的には、表示装置6の配置態様としては、下記の例を挙げることができる。
(i)図25および図26に示すように、遠方限界RU上に表示装置6の表示上限位置PUを位置させ、かつ、視点eと位置P0とを結ぶ直線で示される近方限界RL上に表示装置6の表示下限位置PLを位置させるような表示装置6の配置を挙げることができる。
本実施形態では、表示装置6を横長かつ鉛直に配置した初期状態において透視可能位置に配置されているか否かを判定し、初期状態の表示装置6が透視可能位置に配置されている場合には、まず上記(i)の配置態様を試みる。但し、遠方限界RUと基準面rpとの成す角度θが例えば10度未満となる程度に位置P1が打ち出し位置PP(視点e)から離間している場合(いわゆる遠距離を表示する場合)には、遠方限界RUと位置P0に対応する近方限界RLとの間の距離に対して、表示装置6の長さが不充分となりうる。この場合には、先に遠方限界RU上に表示上限位置PUを決定してから表示下限位置PLを決定する構成を採ることで、上述したように目標位置Pgを中心として距離Lの30%の長さを半径とする範囲を投影範囲Lv(投影範囲Lvm)として少なくとも表示し、その手前側(−x側)の投影範囲は表示装置6の表示領域の長さを限度として表示する。
次に、ゴルフショット表示装置10は、(ii)図27および図28に示すように、遠方限界RU上に表示装置6の表示上限位置PUを位置させ、かつ、位置P0よりも−x側の位置Paに対応する近方限界Ra上に表示下限位置PLを位置させるように表示装置6を配置することができる。
ここで、上記(ii)の配置態様によれば、上記(i)の配置態様と比較して、より大きな表示装置6が必要となる一方、位置Paから位置P0までに対応する仮想空間の範囲も表示装置6に透視投影されるので、表示装置6におけるボール80の表示開始時が早まる。これにより、表示装置6の表示下限位置PLで予測軌道POと直進軌道SOの表示を開始する時点において、ボール80aとボール80bとの離間幅を精細に表示することができるため、より自然な軌道表示が可能となる。
さらに、ゴルフショット表示装置10は、表示装置6を縦長向きの状態にして上記の(i)または(ii)の配置を実行することにより、横長向きの状態と比較して、さらに投影範囲Lvを大きくすることができる。
図29は正置時(横長向きの状態)の表示装置6におけるグリーン90の表示例を示す図である。同図に示すように、正置時の表示装置6によれば横長に二次元投影画像を表示することができるため、縦長向きでは仮想カップ70とカップ60とを共に表示することができない程度にそれらの間の距離が離間している場合であっても、それらを共に表示することができる。
図29に示す表示例では、所定間隔ごとに表示されて打ち出し位置PPからの距離を示す標識として、距離標識dm1〜dm4の4つが表示されている。
図30は正置時の表示装置6をユーザ50からみて後傾するようにyz平面に対して傾斜させて表示装置6に正の仰角を与えたときの、当該表示装置6におけるグリーン90の表示例を示す図である。図30に示す表示例は、図29に示す表示例と同様のグリーン90、仮想カップ70、およびカップ60についての表示例である。
具体的には、まず位置P1に対応する遠方限界RU上に表示上限位置PUを決定することにより、目標位置Pg(仮想カップ70)を基準とした+x側の限界位置を決定する。次に表示下限位置PLが−x側(打ち出し位置PP側)に移動するように、表示装置6の表示領域(主平面)を傾斜させることにより、−x側の投影範囲Lvを拡大する。これにより、仮想空間を目標位置Pg(仮想カップ70)に向かって移動するボール80の軌道に対応する表示装置6の画素数をより多く使えるため、仮想空間を転がっていくボール80をより精細に表示することができる。すなわち、表示装置6に表示されるボール80の軌道は、表示下限位置PLに初期表示され、表示領域を上方に向かって移動し、表示領域の上限近くに表示される目標位置Pg(仮想カップ70)までに至る軌道として表示されるため、ボール80の軌道に対応する表示装置6の縦方向の画素数をより多く使うことができる。
図30に示す表示例では、目標位置Pgである仮想カップ70の表示位置が図29に示す表示例よりも表示装置6の表示領域の上限近くに配置され、また、非表示範囲Ln(図24参照)であった領域90nが表示装置6において可視化されることにより、距離標識dm1〜dm5の5つの距離標識が表示されている。
図30に示す表示例は例えば図27および図28に示す表示装置6の配置に対応し、図24に示す表示例で生じていた非表示範囲Lnが消滅し、さらに位置P0より−x側の位置である位置Paまで投影範囲Lvが拡大する。
すなわち、駆動制御部155は、まず遠方限界RU上に表示上限位置PUを決定し、表示下限位置PLを−x側(打ち出し位置PP側)に近づけるように駆動機構156を制御する。これにより、図24に示す表示例で生じていた非表示範囲Lnが消滅し、さらに位置P0よりも−x側の位置である位置Paまで投影範囲Lvが拡大する。
図30に示すように、仮想カップ70は表示装置6の中央の上方に表示され、カップ60は横長に正置された表示装置6の右端部近傍に表示されている。このように表示装置6を正置することで、仮想カップ70とカップ60とが幅方向(y方向)に大きく離間している場合にも、仮想カップ70およびカップ60を共に表示することができる。投影範囲特定部153は、仮想カップ70、カップ60およびカップイン予測軌道CIPO(図10参照)の全体を含む投影範囲Lvを特定し、表示装置6において当該投影範囲Lvの全体を表示可能であるか否かを判定する。この結果、表示装置6を縦長向きにした場合は当該投影範囲Lvの全体は表示不可であり、かつ表示装置6を横長向きにした場合は当該投影範囲Lvの全体を表示可能であると判定された場合、駆動制御部155は表示装置6が横長向きとなるよう、必要により表示領域の中心cを回転中心として表示装置6を回転させる。
ところで、表示装置6の正置時(横長向きの状態)の縦方向の長さが、位置P1に対応する遠方限界RU上に表示装置6の表示上限位置PUを位置させ、かつ、投影範囲Lv(投影範囲Lvm)の−x側の限界位置である位置P2に対応する近方限界RL上に表示装置6の表示下限位置PLを位置させることができないような長さである場合、正置時の表示装置6を表示領域の中心cを回転中心としてyz平面に対して平行を保ったまま90度回転させることで、縦長向きにすればよい。この縦横の向きの変更により、正置時と比較して、より大きな投影範囲Lvに対応する。
図31は縦長向きの状態の表示装置6におけるグリーン90の表示例を示す図である。同図に示すように、正置時の表示(図30参照)と比較してより広範な投影範囲Lvに対応するため、仮想空間を目標位置Pg(仮想カップ70)に向かって移動するボール80の軌道に対応する表示装置6の画素数をより多く使えるため、仮想空間を転がっていくボール80をより精細に表示することができる。また、縦長向きに配置することより、距離標識dm1〜dm6の6つの距離標識が表示可能となっている。
なお、表示装置6のz方向における下限の位置を−z側に移動させる場合であっても、当該表示装置6の表示下限位置PLと基準面rp(マット55)との間に、少なくともボール180が通過できるだけの空間(以下、最小クリアランスという)が存在するよう、表示装置6を基準面rp(マット55)よりも上空(例えば高さ10cmの位置)に設置することが好ましい。
図27および図28に示したように、表示装置6の表示上限位置PUを、視点eと位置P1とを結ぶ直線で示される遠方限界RUと一致させるとともに、表示装置6の表示下限位置PLを、基準面rpから最小クリアランスだけ上空に位置させるとよい。これにより、位置Paをユーザ50に最接近させることにより、目標位置Pg(例えば仮想カップ)を表示装置6の表示領域の上限近くに配置した状態で、投影範囲Lvを近方側(−x側)に最大化することができる。
以下、図22および図23に示すフローチャートを参照して、表示装置6の駆動処理について具体的に説明する。
ユーザ50が実際に打ち出し位置PPでパッティングを行う前に、操作入力部101やタッチパネル式表示部126を用いて、表示装置6の駆動処理を実行させる操作(最適表示モードに設定する操作)を行うと、当該フローチャートの処理が実行される。これにより、表示装置6の上下位置、前後位置、回転角度、または傾斜角度の少なくともいずれか一つが変更され、表示装置6がその投影範囲Lvに対応する位置に配置される。
ゴルフショット表示装置10が最適表示モードに設定されると、視点位置情報特定部151は、予めユーザ50による操作入力部101やタッチパネル式表示部126を用いた操作で設定されて記憶部105に記憶された視点位置情報を読み出す(ステップS101)。
本実施形態では、視点位置情報は、具体的には打ち出し位置PPでアドレスするユーザ50の眼球のz方向における位置he(図24参照)である。なお、x方向およびy方向におけるユーザ50の眼球の位置は、打ち出し位置PPの鉛直上方に位置するものとする。
また、予めユーザ50による操作入力部101やタッチパネル式表示部126を用いた操作により、打ち出し位置PPと設置面wとのx方向における距離Lx(図24参照)および表示装置6の縦方向の長さLzと横方向の長さLy(図1参照)も視点位置情報として設定される。
続いて、投影範囲特定部153は、仮想目標演算部111により決定された仮想カップ位置、または、ユーザ50によって操作入力部101やタッチパネル式表示部126によって指定されたカップ位置を、目標位置Pgとして設定する(ステップS103)。
本実施形態に係るゴルフショット表示装置10は、ユーザ50自身が上述のグリーン90の状態とカップ位置とに基づいて仮想カップ位置を推測する仮想カップ位置推測モードを備える。この仮想カップ位置推測モードでは、ユーザ50は自身が推測した仮想カップ位置を、タッチパネル式表示部126に表示されたグリーン平面視図G上でタッチ操作によって指定し、投影範囲特定部153は、当該指定された仮想カップ位置を目標位置Pgとして設定する。
そして、投影範囲特定部153は、ステップS103で設定した目標位置Pgに基づいて投影範囲Lvを特定する(ステップS105)。具体的には、目標位置Pgを基準位置とし、距離Lの30%に相当する距離だけ+x側に離間した位置P1を+x側の限界位置として設定すると共に、距離Lの30%に相当する距離だけ−x側に離間した位置P2を−x側の限界位置として設定することで投影範囲Lv(投影範囲Lvm)を特定する。
続いて、駆動制御部155は、ステップS105で特定された投影範囲Lv(投影範囲Lvm)に基づいて表示装置6の透視可能位置を特定する(ステップS107)。具体的には、駆動制御部155は、投影範囲Lv(投影範囲Lvm)に対応する位置P1と視点eとを結ぶ直線で示される遠方限界RUと、位置P2と視点eとを結ぶ直線で示される近方限界RLとを特定することで、透視可能位置を特定する。
そして、駆動制御部155は、当該時点における表示装置6の位置(例えば初期状態における位置)が透視可能位置に対応する位置であるか否かを判定する(ステップS109)。具体的には、駆動制御部155は、表示装置6が投影範囲Lv(投影範囲Lvm)に対応する遠方限界RUと近方限界RLとを跨ぐように配置されているか否かを判定する。
表示装置6の位置が透視可能位置に対応する位置である場合(ステップS109のYES)、駆動制御部155は、当該時点における表示装置6の位置が、さらに投影範囲Lvを拡大することが可能な位置であるか否かを判定する(ステップS115)。そして、当該時点における表示装置6の位置が、さらに投影範囲Lvを拡大することが可能な位置でない場合(ステップS115のNO)、当該駆動処理のフローを終了する。
なお、ステップS115の処理は任意の処理であって、必ずしも実行する必要はなく、表示装置6の位置が透視可能位置に対応する位置であれば、ステップS115の処理を実行しないで、当該駆動処理のフローを終了する構成としてもよい。
他方、表示装置6の位置が透視可能位置に対応する位置でない場合(ステップS109のNO)、またはさらに投影範囲Lvを拡大することが可能な位置である場合(ステップS115のYES)、駆動制御部155は表示装置6の上下位置、前後位置、縦横の向きおよび傾斜角度を変更する(ステップS111)。このほかステップS115においては、仮想空間(グリーン90)の傾斜の向きに基づいて、表示装置6の回転角度と傾斜角度のうち少なくともいずれか一つを変化させてもよい。一例として、表示装置6に表示されるグリーン90が右下がりに5度の傾斜角度を有している場合、表示装置6には平坦なグリーン90を表示するとともに、表示装置6を面直軸まわりかつ時計回り(すなわち表示装置6が右下がりとなるように)5度の回転角度で回転駆動するとよい。このほか、表示装置6に右下がりのグリーン90を表示するとともに、さらに表示装置6を上記のように右下がりに斜め傾斜するように回転駆動してもよい。これにより、ユーザに対してグリーン90の下り傾斜を現実の傾斜面に近い印象をもって目視させることができる。
また、ステップS115においては、表示装置6に付与する正の仰角を初期状態から増大させて、表示領域を水平に近づけるように表示装置6を駆動してもよい。これにより、表示装置6で遠方の投影範囲を表示するための画素数を増大させることができるため、目標位置Pgの近傍のボール80の軌道や、ボール80の停止位置を精細に表示することができる。
図23は図22のステップ111の処理(表示装置の位置等の変更)のフローチャートを示す図である。駆動制御部155は、投影範囲Lvの+x側の限界位置である位置P1に対応する遠方限界RU上に、表示装置6の表示上限位置PUを決定する(ステップS121)。続いて、駆動制御部155は、表示装置6の表示領域における短辺方向の長さに基づいて表示下限位置PLを決定する(ステップS123)。
本実施形態では、ステップS121とステップS123とによって、まず遠方限界RU上に表示装置6の表示上限位置PUの位置を決定し、次に表示装置6の表示下限位置PLの位置を決定する。
上述のように先に表示上限位置PUを決定してから表示下限位置PLを決定する構成を採ることで、目標位置Pgに対応する位置P1に係る表示を確保しつつ、表示装置6の大きさに応じた投影範囲Lvに対応する最適な表示装置6の配置が可能となる。例えば、ステップS121とステップS123において、先に位置P1に対応する遠方限界RU上に表示上限位置PUを決定することにより、目標位置Pg(例えば仮想カップ位置)を表示装置6の表示領域の上限近くに配置し、次に非表示範囲Ln(図24参照)を低減あるいは消滅させ、さらに位置P0よりも−x側の投影範囲Lvを拡大するような位置を表示下限位置PLとして決定する構成が挙げられる。このように構成することで、仮想空間を目標位置Pgに向かって移動するボール80の軌道に対応する表示装置6の画素数をより多く使うことができる。
なお、表示装置6の表示領域における短辺方向の長さが不充分であるために表示下限位置PLを透視可能位置に決定できない場合には、表示領域の中心cを回転中心として表示装置6を回転させて、表示装置6の長辺方向の長さに基づいて表示下限位置PLを決定する。
そして、駆動制御部155は、設置面wと表示装置6の表示領域(主平面)とが成す角度である表示装置6の傾斜角度φを算出する(ステップS125)。
さらに、駆動制御部155は、現在の表示装置6の上下位置、前後位置、縦横の向き、および傾斜角度と、ステップS121からステップS125の算出結果から導出される表示装置6の上下位置、前後位置、縦横の向き、および傾斜角度との差異を算出し、駆動機構156により表示装置6を駆動する駆動量を算出する(ステップS127)。
説明を図22のフローチャートに戻す。駆動制御部155は、ステップS127の処理で算出した表示装置6の駆動量に基づいて駆動機構156を制御し、ステップS121からステップS125の処理で決定された上下位置、前後位置、縦横の向き、および傾斜角度となるように表示装置6を駆動する(ステップS113)。
ゴルフショット表示装置10は、表示装置6の駆動処理が終了したのちに画像表示処理を実行することができるが、これに限られない。
画像表示処理において表示制御部117は、透視投影による遠近図法を用いて、表示装置6に表示する投影範囲Lvの二次元投影画像を生成する。より詳細には、表示制御部117は、ユーザ50の視点eを原点として、投影範囲特定部153が特定した投影範囲Lvを、上下位置、前後位置、縦横の向き、または傾斜角度が駆動処理された表示装置6の表示画面に透視投影することにより二次元投影画像を生成する。
投影範囲Lvにはカップ60または仮想カップ70の少なくとも一方が含まれており、表示装置6には二次元投影画像としてカップ60または仮想カップ70の少なくとも一方が表示される。
表示制御部117は、上述したように軌道演算部114が演算した予測軌道POおよび直進軌道SOを表示装置6に表示する。表示制御部117は、ユーザ50の視点eを原点として表示装置6の表示画面に予測軌道POおよび直進軌道SOを透視投影することにより、表示装置6に表示する予測軌道POおよび直進軌道SOの二次元投影画像を生成する。そして表示制御部117は、投影範囲Lvの二次元投影画像と重畳させて予測軌道POおよび直進軌道SOの二次元投影画像を表示装置6に表示する。
表示制御部117は、表示装置6に向かって転がるボール180が表示装置6の下方に掩蔽されるタイミングに同期させて、表示下限位置PLから表示領域の上方に向かって予測軌道POを表示させる。より詳細には、表示制御部117は、ユーザ50が打ち出し位置PPからボール180を打つ前に、投影範囲Lvにおける近方限界RLを示す情報を、表示装置6の上下位置、前後位置、縦横の向き、および傾斜角度に基づき算出しておく。そして、打ち出されたボール180が、この近方限界RLと基準面rpとが交差する位置を通過する瞬間に、表示装置6の表示下限位置PLにボール80を表示させ、かつ表示領域の上方に向かってボール80を移動表示させる。これにより、ユーザ50は、自ら打ち出したボール180が表示装置6によって掩蔽されるタイミングで表示下限位置PLに初期表示される仮想のボール80を目視することができるため、基準面rp(マット55)上を転がるボール180と表示装置6で表示されるボール80が、あたかも一つのボールが一連の転がり動作をしているように体感することができる。
上記の実施形態では、予め表示装置6を駆動処理した後にユーザ50がボール180を打ち出し、この打ち出されたボール180を検出部であるセンサ131、133、135、137により検出して表示装置6にボール80として表示することを説明した。上記実施形態に代えて、ユーザ50が打ち出したボール180を検出部が検出したことに基づいて、その後に駆動制御部155が表示装置6を駆動するようにしてもよい。
この場合、図22のフローチャートに変更はなく、ステップS111まで実行したうえで、表示装置6が設置された現実空間内で所定の打ち出し位置PPからユーザ50によってパッティングにより打ち出されて表示装置6に向かって転がるボール180を検出部が検出したことを実行契機として、ステップS113を実行すればよい。これにより、駆動機構156は、検出部がボール180を検出した後に表示装置6を駆動することとなる。
このように、ボール180を打ち出した後に表示装置6を駆動することで、より臨場感のある表示が可能になる場合がある。例えばユーザ50がボール180を打ち出す前は表示装置6を直立させて配置(図6の表示装置6aを参照)するとともに、グリーン90の全体を表示装置6に表示しておき、ユーザ50がボール180を打ち出してから表示装置6を後傾させる(図6の表示装置6cを参照)とよい。すなわち、ユーザ50がボール180を打ち出す前はグリーン90全体や更にグリーン90の後方の景色までを表示装置6に表示しておき、そしてユーザ50がボール180を打ち出してから当該ボール180に対応するボール80が目標位置Pgに到達する迄の間に駆動制御部155は表示装置6を駆動する。これにより、ボール180を打ち出す前のユーザ50にはグリーン90の全体像を目視させることができ、そしてボール180が打ち出されてユーザ50の視線がカップ60または仮想カップ70などの目標位置Pgに集中する際には、表示装置6を後傾させることで多くの画素を用いて目標位置Pgの周囲を精細に表示することができる。
このほか、ユーザ50がボール180を打ち出してから表示装置6を面直軸まわりに回転駆動してもよい。この場合、例えば表示装置6に平坦面を表示しておき、ボール180が打ち出された後に、グリーン90の傾斜の向きにあわせて表示装置6を斜め傾斜させるように回転駆動するとよい。これにより、打ち出された直後にボール180(ボール80)が直進する様子と、このボール180(ボール80)が減速してグリーン90の傾斜方向に大きく逸れていく様子を、よりリアルに表示することができる。また、まず表示装置6を駆動処理することにより表示装置6を透視可能位置に配置し、次にユーザ50がボール180を打ち出し、そして打ち出したボール180を検出部が検出したことに基づいて、表示装置6の傾斜角度や回転角度を変更してもよい。
以上、打ち出し位置PPから目標位置Pgまでのx方向における距離Lが、打ち出し位置PPと設置面wとの間のx方向における距離Lxよりも長い場合を例に説明した。本実施形態のゴルフショット表示装置10は、上記の距離Lが距離Lxよりも短いショット、すなわち目標位置Pgがマット55上に設定されるショットについても、目標位置Pgを表示装置6に良好に表示することが可能である。この場合、表示装置6を初期位置から打ち出し位置PPに向かって−x側に移動させるとよい。特に、距離Lが、距離Lxから表示装置6の表示領域の縦寸法(長辺寸法)を差し引いた長さよりも短いようなごく短距離のショットの場合には、表示装置6が初期位置にあるかぎり、仮に表示装置6を水平に横倒しにしても目標位置Pgを表示装置6に表示することはできない。このため、距離Lが距離Lxよりも短い場合、駆動制御部155は駆動機構156を制御して表示装置6を初期位置から−x側に移動させる。あわせて、駆動制御部155は駆動機構156を制御して表示装置6の上端部E1(図5参照)を+x側に倒すように傾斜(後傾)させて表示装置6に正の仰角を付与する。かかる仰角は45度以上90度以下程度とすることができる。これにより、上記のようなごく短距離のショットの場合でも、表示装置6を透視可能位置に配置することができ、更に表示装置6の表示領域の比較的上部に目標位置Pgを表示することができる。
つぎに、図32から図34を用いて、アプローチショットを表示装置6に表示する場合の処理について説明する。
アプローチショットを表示装置6に表示するにあたっては、打ち出し位置PPから斜め上方に打ち出されるボール180がグリーン90上に落下する位置(以下、落下地点と呼称する)を仮想空間内の目標位置Pgとするとよい。そして投影範囲特定部153は、当該落下地点と打ち出し位置PPとのx方向における距離の30%に相当する距離だけ落下地点から+x側に離間した位置を+x側の限界位置と定め、当該限界位置とユーザ50の視点eとを結ぶ直線を遠方限界RUとして特定するとよい。
また投影範囲特定部153は、目標位置Pgである落下地点と打ち出し位置PPとのx方向における距離の30%に相当する距離だけ落下地点から−x側に離間した位置を、−x側の限界位置と定め、当該限界位置とユーザ50の視点eとを結ぶ直線を近方限界RLとして特定するとよい。
ユーザ50は、タッチパネル式表示部126や操作入力部101を操作して、アプローチショットにより打ち出されるボール180の最高到達点の高さ、および打ち出し位置PPから落下地点までのx方向における距離を設定入力する。投影範囲特定部153は、かかる最高到達点の高さ、および打ち出し位置PPから落下地点までのx方向における距離に関するユーザ50からの設定入力を受け付ける。目標位置Pgである落下地点は、グリーン90上の位置としてもよく、または目標位置Pgである落下地点をグリーン90の近傍の位置としてもよい。
投影範囲特定部153は、設定入力された上記の最高到達点の高さ、および打ち出し位置PPから落下地点までの距離に基づいて、上記のように遠方限界RUおよび近方限界RLを特定し、ボール180の最高到達点および落下地点を共に含むように投影範囲を特定する。ここで、最高到達点の高さおよび打ち出し位置PPから落下地点までの距離は、ユーザ50がこの後に行うアプローチショットにおいて目標とする値である。投影範囲特定部153は、落下地点を基準として投影範囲Lvの遠方限界RUと近方限界RLを特定する。
投影範囲特定部153は、打ち出し位置PPから斜め上方に打ち出され、最高到達点を通過してから落下するボール180の軌道である放物線Prと、ユーザ50の視点eを通過するとともに上記放物線Prに接する直線(接線)Ltを算出する。図32に示すように、この接線Ltは、ボール180の軌道である放物線Prをユーザ50が目視するときの目線の上限ラインとなる。また、投影範囲特定部153は、上記放物線Prに接線が接する点(接点)Ptを算出する。上記の放物線Pr、接線Ltおよび接点Ptは、ユーザ50から設定入力されたボール180の最高到達点の高さ、および打ち出し位置PPから落下地点までのx方向における距離と、視点位置情報とに基づいて算出することができる。
投影範囲特定部153は、上記接点Ptを基準として、基準面rpから当該接点Ptまでのz方向における距離の30%に相当する距離だけ上方向に(+z側に)離間した位置Ptaを上方の限界位置と定め、当該限界位置Ptaとユーザ50の視点eとを結ぶ直線を上方限界ULとして特定するとよい。このように上方限界ULを特定することにより、ユーザ50が目標とする最高到達点の高さより高く打ち上げたボール80の軌道も表示装置6に表示することができる。また、ユーザ50の視点eと表示装置6の表示上限位置PUとを結ぶ直線LLが基準面rpと交差する点を位置P3と呼称する。図32に示す例では、ユーザ50の視点eと限界位置Ptaとを結ぶ上方限界ULが直線LLと一致し、かつ表示装置6の表示上限位置PUおよび位置P3を通過する。位置P3は、遠方限界RUと基準面rpとが交差する位置P1よりも遠方側(+x側)にある。位置P3は打ち出し位置PPからみて投影範囲Lvの最遠方の位置にあたり、位置P3よりも更に遠方側(+x側)は非表示となる。
アプローチショットを表示装置6で表示するにあたっては、以下の順序で投影範囲Lvの特定、表示装置6の配置の決定、および表示装置6の駆動処理を行うとよい。
(1)表示装置6が横長かつ鉛直に設置されている初期状態において、上述のようにして特定された上方限界UL、遠方限界RUおよび近方限界RLのすべてが、表示装置6の表示領域において表示されるか否かを判定する。より詳細には、図32に示すように、ユーザ50の視点eから延びる3本の直線で示される上方限界UL、遠方限界RUおよび近方限界RLが表示装置6の表示領域の内部をいずれも通過する場合は、上方限界UL、遠方限界RUおよび近方限界RLが表示装置6で表示可能であると判定される。
(2)上記(1)の判定結果が肯定の場合は、初期状態の表示装置6で上方限界UL、遠方限界RUおよび近方限界RLをすべて表示可能であるとして、処理を終了する。ただし、投影範囲Lvの拡大処理を行う場合は(3)に進む。
(3)図33に示すように、表示装置6の表示上限位置PUを上方限界ULに決定し、表示装置6の表示下限位置PLを−x側(打ち出し位置PP側)に移動させることにより、投影範囲Lvを近方側(−x側)に拡大する。ユーザ50の視点eと表示装置6の表示上限位置PUとを結ぶ直線LLが上方限界ULと一致する点で図32と図33とは共通している。このため、打ち出し位置PPから、投影範囲Lvの最遠方にあたる位置P3までのx方向の距離は、図32と図33とで共通である。更に、投影範囲Lvの最大化処理を行う場合は(4)に進む。
(4)表示装置6を表示領域の中心cを回転中心として回転させて縦長向きにする。縦長向きの表示装置6の表示上限位置PUを上方限界ULに決定し、(3)と同様の駆動処理を行い、投影範囲Lvを近方側(−x側)に最大化する。
(5)上記(1)の判定が否定の場合、横長かつ鉛直に設置されている表示装置6を上下に移動させて、上方限界UL、遠方限界RUおよび近方限界RLのすべてが表示装置6の表示領域において表示されるか否かを判定する。
(6)上記(5)の判定が肯定の場合は、処理を終了する。ただし、投影範囲Lvの拡大処理や最大化処理を行なう場合は、上記(3)、(4)の処理を行なう。
(7)上記(5)の判定が否定の場合は、表示装置6を表示領域の中心cを回転中心として回転させて縦長向きにする。そして縦長向きの表示装置6を上下に移動させて、上方限界UL、遠方限界RUおよび近方限界RLのすべてが表示装置6の表示領域において表示可能か否かを判定する。
(8)上記(7)の判定が肯定の場合は、処理を終了する。ただし、投影範囲Lvの最大化処理を行う場合は上記(4)の処理を行なう。
(9)上記(7)の判定が否定の場合は、縦長向きにした表示装置6を上下に移動させ、表示下限位置PLを近方限界RLに決定する。このとき、表示装置6の表示領域は設置面wと平行(すなわち鉛直)に配置にするとよい。図34に示すように、表示装置6を縦長向きにしても、上述の上方限界UL、遠方限界RUおよび近方限界RLのすべてを投影範囲Lvとして表示できない場合には、近方限界RLを最優先して表示する。具体的には、先に近方限界RL上に表示下限位置PLを決定してから表示上限位置PUを決定する構成を採ることで、上述したように目標位置Pg(落下地点)を中心として距離Lの30%の長さを半径とする投影範囲Lv(投影範囲Lvm)を少なくとも表示し、縦長向きの表示装置6の表示上限位置PUとユーザ50の視点eとを結ぶ直線LLよりも上方の仮想空間は非表示とする。図34に示す例では、接線Ltおよび上方限界ULは直線LLよりも上方に位置しているため、放物線Prの上方の一部は表示装置6において非表示となる。
また、アプローチショットにおいても、表示装置6に付与する正の仰角を大きくして表示領域を水平に近づけるようにしてもよい。これにより表示装置6において遠方の投影範囲を表示するために用いられる画素数を多くすることができるため、ボール80の落下地点である目標位置Pgの周囲を精細に表示することができる。また、仮想空間(グリーン90)の傾斜の向きに基づいて、表示装置6の回転角度と傾斜角度のうち少なくともいずれか一つを変化させてもよい。これにより、ユーザ50に対してグリーン90の傾斜を現実の傾斜面に近い印象をもって目視させることができる。
なお、アプローチショットに代えてドライバーショットをゴルフショット表示装置10で表示する場合には、一般に上方限界ULがユーザ50の視点eよりも高くなるので、ユーザ50が打ち出したボールの高さを確認したい場合などは、近方限界RLではなく上方限界ULを最優先して表示してもよい。この場合、表示装置6の表示領域を設置面wと平行(すなわち鉛直)に配置した状態で、表示装置6を縦長向きに配置するとともに、上方限界ULが表示上限位置PUと一致するように表示装置6を配置するとよい。
駆動制御部155は駆動機構156を制御して、表示装置6の上下位置、前後位置、縦横の向きまたは傾斜角度を変化させる。一方、ユーザ50は、その投影範囲Lvに対応する位置に配置された表示装置6を目視しながら、打ち出し位置PPからボール180をアプローチショットにより打ち出す。打ち出されるボール180は、第一撮影部20および第二撮影部21により撮影される。
打ち出されたボール180が表示装置6に接触することを防止するため、格子状のネット(図示せず)を打ち出し位置PPと表示装置6との間に設けるとよい。当該格子状のネットは、ユーザ50が表示装置6の画面を透視できるような形状のものを用いるとよい。
アプローチショットでは、第二撮影部21によって撮影された画像により、打ち出し位置PPから打ち出されたボール180の初速、および打ち出し角度を検出する。また第一撮影部20によって撮影された画像によって、打ち出し位置PPから打ち出されたボール180の打ち出し方向を検出する。
軌道演算部114は、第二撮影部21によって検出されたボール180の初速および打ち出し角度と、第一撮影部20によって検出された打ち出し方向とを示す情報に基づいて、運動方程式を解くことによりアプローチショットの軌道を演算する。本実施形態では、ボール180の初速と、打ち出し角度と、打ち出し方向とによってアプローチショットの軌道を演算するが、さらに第二撮影部21によってボール180のスピン量や回転軸を検出してもよい。そして、第二撮影部21によって検出されたスピン量や回転軸によって、軌道補正部115がアプローチショットの軌道を補正する構成としてもよい。スピン量や回転軸の向きとアプローチショットの軌道の補正量との関係を示す情報を特性データベース107に予め記録しておくとよい。軌道補正部115は特性データベース107を参照し、第二撮影部21によって検出されたスピン量や回転軸に対応する補正量を取得して、アプローチショットの軌道を補正するとよい。
表示制御部117は、軌道演算部114によって演算されたアプローチショットの軌道を表示装置6に表示する。現実のゴルフ場でアプローチショットを行う場合、ボールの落とし場所(落下地点)と、ボールの弾道の高さをイメージしてショットを行うため、本実施形態において軌道演算部114が演算し、表示制御部117が表示装置6に表示するアプローチショットの軌道は、打ち出し位置PPから打ち出されて放物線を描いて現実空間を飛ぶボール180と同じ軌道で仮想空間内を移動する仮想のボール80が仮想空間内
のグリーン90上に落下するまでの軌道とする。なお、実際に打ち上げられたボール180の高さがz軸方向における透視投影可能な範囲を超える場合には、この超える部分は非表示となる。
なお、表示装置6に表示するアプローチショットの軌道を、打ち出し位置PPから打ち出されたボール180が放物線を描き、グリーン90の近傍に落下し、さらに、グリーン90の近傍およびグリーン90上を転がって停止する位置までの軌道としてもよい。この場合、グリーン90上でボール80が停止する位置を目標位置Pgとして設定してもよい。また、表示装置6に表示するアプローチショットの軌道を、打ち出し位置PPから打ち出されたボール180が放物線を描き、グリーン90上に落下し、さらにグリーン90上を転がって停止するまでの軌道としてもよい。この場合、グリーン90上でボール80が停止する位置を目標位置Pgとして設定してもよい。
表示制御部117は、アプローチショットの軌道を示す三次元データと、ゴルフ場の三次元データとを重畳させたうえで、遠近図法などの技法に基づいて二次元投影画像(表示画像データ)を生成して表示装置6に表示させる。「表示画像データ」は、表示装置6に仮想空間内のゴルフ場とアプローチショットの軌道を表示させる画像データであり、当該ゴルフ場やアプローチショットを見る視点を示す視点情報に応じて存在し、設定されている視点情報に対応する画像データが選択されて表示装置6に表示処理される。
上述の表示装置6の上下位置、前後位置、回転角度、傾斜角度の変更を実現する駆動機構156について、図35および図36を参照して一例を挙げる。
図35および図36は、駆動機構156の一構成例を示す模式図である。図35は表示装置6が正置時の状態を示しており、図36は表示装置6が設置面wに対して傾斜している時の状態を示している。設置面wは、例えば室内の壁面などに相当する。
まず、z方向における移動は、例えばラックアンドピニオン構造によって、上下駆動機構701に対してz方向に移動する上下移動フレーム703によって実現する。
また、x方向における移動は、例えば上下移動フレーム703上に設けられたx方向に延びるレール705と、レール705に案内されてx方向に移動するx方向移動部材706とによって実現する。
ここで、x方向移動部材706は、転動部材709を介して保持部材708と接続され、保持部材708は転動部材709の転動によってyz平面に対して傾斜可能である。これにより、表示装置6をyz平面に対して傾斜させることが実現する。
また、保持部材708には、保持部材708に対して回転可能な回転部材707が設けられている。保持部材708に対する回転部材707の回転軸の方向は一または複数であり、表示装置6の面直方向を当該回転軸として含むことが好ましい。このほか、上述したように表示装置6の表示領域の幅中央を通る縦断線を回転軸として表示装置6を左方または右方に傾斜させる駆動を行う場合は、表示装置6の表示領域に沿う上下方向を、上記の回転軸として含むとよい。回転部材707は表示装置6の背面に固設されている。すなわち、表示装置6は保持部材708に対して回転可能に構成されている。
なお、表示装置6は、面直軸まわりの回転角度を変化させて縦横の向きを変えるときにレール705と干渉しないように配置され、保持部材708に保持されている。また、上下移動フレーム703、レール705、x方向移動部材706は、マット55上を転がるボール180と接触しないように、表示装置6の幅方向における両側に配置されている。より具体的には、上下移動フレーム703、レール705およびx方向移動部材706は、表示装置6の下方かつ幅方向の両側であって、表示装置6の面直軸まわりの回転角度を90度変化させるときに表示装置6が通過する領域の外部に配置されている。レール705等の部材を表示装置6の中央の下方ではなく表示装置6の幅方向の両側の下方に配置することで、縦長向きに配置された状態の表示装置6とレール705等の高さ位置が重複していても、表示装置6の面直軸まわりの回転角度を90度変化させるときに表示装置6のコーナー部がレール705等と干渉することが避けられる。このため、表示装置6を基準面rp(マット55)に比較的近い低位に配置した状態でも、レール705等と干渉することなく表示装置6を縦横に回転駆動することができる。
<本発明の変形例について>
ここまで図1から図36を用いて説明される実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
上述の実施形態では、ユーザ50が打ち出し位置PPで実際に短距離ショットを行い、短距離ショットによって打ち出されたボール180を検出し、検出結果に基づいてボール80の軌道を演算しているが、必ずしも実際に短距離ショットを行うことを要しない。例えば、加速度センサが設けられた棒体をパターなどのゴルフクラブに見立てて、ユーザ50が短距離ショットの動作を行い、当該動作に起因して加速度センサから出力された信号に基づいてボール80の軌道を演算してもよい。すなわち、パターなどのゴルフクラブに見立てられた棒体に設けられた加速度センサからヘッドスピードに相当するデータを取得し、当該データに基づいてボール80の軌道を演算してもよい。
また、ゴルフショットがパッティングである場合の図24から図28に示す実施形態では表示装置6の表示上限位置PUを投影範囲Lv(投影範囲Lvm)に対応する遠方限界RUと一致させるように駆動することを例示したが、これに限られない。表示上限位置PUが遠方限界RUよりも高い位置になるように表示装置6を移動させてもよい。そのように配置した場合、表示装置6にはグリーン90の背後の光景や空などを表示することができる。
さらに、上述の実施形態では仮想カップ70およびカップ60がともに表示装置6の表示領域に表示されることを例示したが、必ずしも仮想カップ70とカップ60とが共に表示装置6に表示される必要はなく、いずれか一方のみが表示装置6に表示される構成を採ってもよい。
さらに、仮想カップ70やカップ60を表示装置6に表示することなく、ユーザ50が任意に目標距離を設定し、当該目標距離を目標位置Pgとしてもよい。
また、上述の実施形態では、投影範囲Lv(投影範囲Lvm)の限界位置として、目標位置Pgを基準として、打ち出し位置PPと目標位置Pgのx方向における距離Lの30%に相当する距離だけ目標位置Pgから+x側に離間した位置と、−x側に離間した位置とを設定しているが、当該パーセントは30%に限らず、ユーザ50の短距離ショットの技量に応じて任意のパーセントを設定してもよい。
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)仮想空間内のゴルフ場の二次元投影画像、および前記ゴルフ場に設定された目標位置に向かって移動するボールを表示装置に表示するゴルフショット表示装置であって、前記表示装置の上下位置、前後位置、縦横の向きまたは傾斜角度のうち少なくともいずれか一つを変化させる駆動機構と、前記仮想空間のうち前記二次元投影画像として前記表示装置に表示させる投影範囲を、少なくとも前記目標位置に基づいて特定する投影範囲特定部と、前記表示装置を視認するユーザの視点と前記表示装置との相対的な位置関係を示す視点位置情報と前記投影範囲とに基づいて前記駆動機構を制御する駆動制御部と、を備えることを特徴とするゴルフショット表示装置。
(2)前記投影範囲特定部が前記仮想空間内の所定位置に前記投影範囲を特定する基準状態と、前記投影範囲特定部が前記ユーザからみて前記仮想空間内で前記所定位置よりも奥行側に前記投影範囲を特定する第一状態と、前記投影範囲特定部が前記ユーザからみて前記仮想空間内で前記所定位置よりも手前側に前記投影範囲を特定する第二状態と、を有し、前記駆動制御部は、前記第一状態においては、前記基準状態よりも、前記表示装置における表示領域の表示上限位置が上方となるように前記駆動機構を制御し、前記第二状態においては、前記基準状態よりも、前記表示領域の表示下限位置が下方となるように前記駆動機構を制御することを特徴とする上記(1)に記載のゴルフショット表示装置。
(3)前記駆動制御部は、前記第一状態においては、前記表示装置を上方向に移動させ、または前記表示領域が上下方向に縦長となるように前記表示装置を回転させる上記(2)に記載のゴルフショット表示装置。
(4)前記駆動制御部は、前記表示下限位置が前記ユーザの前記視点よりも下方に位置する前記表示装置が正の仰角をもつように前記駆動機構を制御する上記(2)または(3)に記載のゴルフショット表示装置。
(5)前記表示装置が設置された現実空間内で所定の打ち出し位置から前記ユーザによってパッティングにより打ち出されて前記表示装置に向かって転がるボールを検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて前記ボールの速度を算出する速度演算部と、前記ボールが前記仮想空間内の前記ゴルフ場におけるグリーン上で転がると仮定したときの軌道である予測軌道を演算する軌道演算部と、前記予測軌道を前記二次元投影画像とともに前記表示装置に表示させる表示制御部と、をさらに備えることを特徴とする上記(2)から(4)のいずれか一つに記載のゴルフショット表示装置。
(6)前記表示制御部は、前記表示装置に向かって転がる前記ボールが前記表示装置の下方に掩蔽されるタイミングに同期させて前記表示下限位置から表示領域の上方に向かって前記予測軌道を表示させることを特徴とする、上記(5)に記載のゴルフショット表示装置。
(7)前記投影範囲特定部は、アプローチショットにより打ち出されるボールの最高到達点の高さおよび落下地点までの距離に関するユーザからの設定入力を受け付け、設定入力された前記高さおよび前記距離に基づいて、前記ボールの前記最高到達点および前記落下地点を共に含むように前記投影範囲を特定する上記(1)から(4)のいずれか一つに記載のゴルフショット表示装置。
上述した実施形態では、視点位置情報特定部151がユーザ50の視点eと表示装置6との相対的な位置関係を示す視点位置情報を読み出し、駆動制御部155はこの視点位置情報と投影範囲とに基づいて駆動機構156を制御して表示装置6を駆動することを説明した。しかしながら、本発明はこれに限られず、駆動制御部155はユーザ50の視点eによらず、表示装置6に表示させる投影範囲やゴルフ場(グリーン90)の傾斜情報に基づいて駆動機構156を制御して表示装置6を駆動してもよい。
すなわちゴルフショット表示装置10は、仮想空間のうち二次元投影画像として表示装置6に表示させる投影範囲に基づいて表示装置6を駆動してもよい。そして、表示装置6を第一駆動して75度を超える正の仰角を付与して実質的に水平に横倒しにした状態でグリーン90を表示し、更に表示装置6に表示するボール80の移動に伴って、表示装置6を第二駆動して傾斜角度や回転角度を調整してもよい。これにより、傾斜したグリーン90をボール80が転がっていく状態をリアルに表示することができる。
すなわち本実施形態は更に以下の技術思想を包含する。
(i)仮想空間内のゴルフ場の二次元投影画像、および前記ゴルフ場を移動するボールを表示装置に表示するゴルフショット表示装置であって、前記表示装置の上下位置、前後位置、回転角度または傾斜角度のうち少なくともいずれか一つを変化させる駆動機構と、前記仮想空間のうち前記二次元投影画像として前記表示装置に表示させる投影範囲に基づいて前記駆動機構を制御する駆動制御部と、を備えることを特徴とするゴルフショット表示装置。
(ii)前記駆動制御部は、前記駆動機構を制御して前記傾斜角度を変化させることにより、前記投影範囲のうちユーザから遠い側にあたる領域を表示するのに用いられる前記表示装置の画素の数を増大させる上記(i)のゴルフショット表示装置。
(iii)前記駆動制御部が、前記表示装置を視認するユーザの視点と前記表示装置との相対的な位置関係を示す視点位置情報に更に基づいて前記駆動機構を制御して前記傾斜角度を変化させる上記(ii)のゴルフショット表示装置。
(iv)前記駆動制御部は、前記仮想空間の傾斜の向きに基づいて、前記表示装置を面直軸まわりに回転駆動して前記回転角度を変化させる上記のゴルフショット表示装置。
(v)前記駆動制御部は、三次元的に湾曲する前記仮想空間の傾斜情報(グリーン傾斜情報)に基づいて、前記表示装置を駆動させるための前記回転角度または前記傾斜角度を決定する上記のゴルフショット表示装置。
(vi)前記駆動制御部は、前記表示装置の表示領域に沿う上下方向を回転軸として、または前記表示領域の幅方向に対して斜めに交差する方向(対角線方向を含む)を回転軸として、前記表示装置の前記傾斜角度を変化させる上記のゴルフショット表示装置。
(vii)前記駆動制御部は、前記仮想空間の傾斜の向きに基づいて、前記上下方向を回転軸として、または前記斜めに交差する方向(対角線方向を含む)を回転軸として、前記表示装置の前記傾斜角度を変化させる上記(vi)に記載のゴルフショット表示装置。
(viii)前記駆動制御部は、前記傾斜角度を変化させて前記表示装置に正の仰角を付与した後に、前記傾斜角度を更に変化させるかまたは前記回転角度を変化させるように前記駆動機構を制御する上記のゴルフショット表示装置。
(ix)前記正の仰角が付与された状態で前記表示装置の表示領域に前記仮想空間(グリーン)を表示する上記(viii)のゴルフショット表示装置。
(x)前記駆動制御部は、前記表示装置の表示領域に表示する前記仮想空間の傾斜情報(グリーン傾斜情報)に基づいて、前記傾斜角度または前記回転角度の変化量を決定する上記(ix)のゴルフショット表示装置。
(xi)前記駆動制御部は、前記表示装置が45度を超える(または75度以上の)正の仰角をもつように前記駆動機構を制御する上記のゴルフショット表示装置。
(xii)前記駆動機構が、縦長向きまたは横長向きに配置された前記表示装置を面直軸まわりに90度未満の回転角度で回転させることにより斜め傾斜させて配置する上記のゴルフショット表示装置。
(xiii)前記表示装置が設置された現実空間内で所定の打ち出し位置から前記ユーザによってパッティングにより打ち出されて前記表示装置に向かって転がるボールを検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて前記ボールの速度を算出する速度演算部と、をさらに備える上記のゴルフショット表示装置。
(xiv)前記駆動機構は、前記検出部が前記ボールを検出する前に前記表示装置を駆動する上記のゴルフショット表示装置。
(xv)前記駆動機構は、前記検出部が前記ボールを検出した後に前記表示装置を駆動する上記のゴルフショット表示装置。
(xvi)前記ボールが前記仮想空間内の前記ゴルフ場におけるグリーン上で転がると仮定したときの軌道である予測軌道を演算する軌道演算部と、前記予測軌道を前記二次元投影画像とともに前記表示装置に表示させる表示制御部と、をさらに備え、
前記駆動機構は、前記検出部が前記ボールを検出した後であって前記表示制御部が前記予測軌道を前記表示装置に表示する前に前記表示装置を駆動する上記のゴルフショット表示装置。
(xvii)前記ボールが前記仮想空間内の前記ゴルフ場におけるグリーン上で転がると仮定したときの軌道である予測軌道を演算する軌道演算部と、前記予測軌道を前記二次元投影画像とともに前記表示装置に表示させる表示制御部と、をさらに備え、
前記駆動機構は、前記検出部が前記ボールを検出した後であって更に前記表示制御部が前記予測軌道の少なくとも一部を前記表示装置に表示した後に前記表示装置を駆動する上記のゴルフショット表示装置。
(xviii)前記駆動制御部は、前記傾斜情報(グリーン傾斜情報)を参照して、前記予測軌道を転がるように表示される前記ボールの複数箇所の表示位置にそれぞれ対応するグリーン上の位置における傾斜の向きおよび強さを取得し、取得した前記傾斜の向きおよび強さに基づいて前記傾斜角度または前記回転角度の変化量を決定する上記(x)に従属する(xvii)のゴルフショット表示装置。
6,6a〜6c 表示装置
10 ゴルフショット表示装置
10a 本体
20 第一撮影部
21 第二撮影部
24 ボール回収部
50 ユーザ
55 マット
60 カップ
70 仮想カップ
80,80a,80b,180 ボール
90 グリーン
101 操作入力部
105 記憶部
105a ユーザ情報記憶部
107 特性データベース
109 グリーンデータベース
110 CPU
111 仮想目標演算部
112 速度演算部
114 軌道演算部
115 軌道補正部
116 回転軸演算部
117 表示制御部
118 RAM
119 ROM
126 タッチパネル式表示部
131、133、135、137 センサ
141、143、145、147 反射板
151 視点位置情報特定部
153 投影範囲特定部
155 駆動制御部
156 駆動機構
185 パター
701 上下駆動機構
703 上下移動フレーム
705 レール
706 x方向移動部材
707 回転部材
708 保持部材
709 転動部材
PO 予測軌道
SO 直進軌道
POC 補正予測軌道
SOC 補正直進軌道
CIPO カップイン予測軌道
CISO カップイン直進軌道
L1 ライン
L2 ライン
Lt 接線
LL 直線
CO 軌道
PP 打ち出し位置
Pr 放物線
Pt 接点
Pta 限界位置
RL 近方限界
RU 遠方限界
TP 対象位置
UL 上方限界
V 仮想領域

Claims (10)

  1. 仮想空間内のゴルフ場の二次元投影画像、および前記ゴルフ場に設定された目標位置に向かって移動するボールを表示装置に表示するゴルフショット表示装置であって、
    前記表示装置の上下位置、前後位置、回転角度または傾斜角度のうち少なくともいずれか一つを変化させる駆動機構と、
    前記仮想空間のうち前記二次元投影画像として前記表示装置に表示させる投影範囲を、少なくとも前記目標位置に基づいて特定する投影範囲特定部と、
    前記表示装置を視認するユーザの視点と前記表示装置との相対的な位置関係を示す視点位置情報と前記投影範囲とに基づいて前記駆動機構を制御する駆動制御部と、
    を備えることを特徴とするゴルフショット表示装置。
  2. 前記投影範囲特定部が前記仮想空間内の所定位置に前記投影範囲を特定する基準状態と、前記投影範囲特定部が前記ユーザからみて前記仮想空間内で前記所定位置よりも奥行側に前記投影範囲を特定する第一状態と、前記投影範囲特定部が前記ユーザからみて前記仮想空間内で前記所定位置よりも手前側に前記投影範囲を特定する第二状態と、を有し、
    前記駆動制御部は、
    前記第一状態においては、前記基準状態よりも、前記表示装置における表示領域の表示上限位置が上方となるように前記駆動機構を制御し、
    前記第二状態においては、前記基準状態よりも、前記表示領域の表示下限位置が下方となるように前記駆動機構を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載のゴルフショット表示装置。
  3. 前記駆動制御部は、前記第一状態においては、前記表示装置を上方向に移動させ、または前記表示領域が上下方向に縦長となるように前記表示装置を回転させる請求項2に記載のゴルフショット表示装置。
  4. 前記駆動制御部は、前記表示装置における表示領域の表示下限位置が前記ユーザの前記視点よりも下方に位置する前記表示装置が正の仰角をもつように前記駆動機構を制御する請求項1から3のいずれか一項に記載のゴルフショット表示装置。
  5. 前記駆動制御部は、前記表示装置が45度を超える正の仰角をもつように前記駆動機構を制御する請求項4に記載のゴルフショット表示装置。
  6. 前記駆動機構が、縦長向きまたは横長向きに配置された前記表示装置を面直軸まわりに90度未満の回転角度で回転させることにより斜め傾斜させて配置する請求項1から5のいずれか一項に記載のゴルフショット表示装置。
  7. 前記表示装置が設置された現実空間内で所定の打ち出し位置から前記ユーザによってパッティングにより打ち出されて前記表示装置に向かって転がるボールを検出する検出部をさらに備え、
    前記駆動機構は、前記検出部が前記ボールを検出した後に前記表示装置を駆動する請求項6に記載のゴルフショット表示装置。
  8. 前記表示装置が設置された現実空間内で所定の打ち出し位置から前記ユーザによってパッティングにより打ち出されて前記表示装置に向かって転がるボールを検出する検出部と、
    前記検出部による検出結果に基づいて前記ボールの速度を算出する速度演算部と、
    前記ボールが前記仮想空間内の前記ゴルフ場におけるグリーン上で転がると仮定したときの軌道である予測軌道を演算する軌道演算部と、
    前記予測軌道を前記二次元投影画像とともに前記表示装置に表示させる表示制御部と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のゴルフショット表示装置。
  9. 前記表示制御部は、前記表示装置に向かって転がる前記ボールが前記表示装置の下方に掩蔽されるタイミングに同期させて前記表示装置における表示領域の表示下限位置から前記表示領域の上方に向かって前記予測軌道を表示させることを特徴とする請求項8に記載のゴルフショット表示装置。
  10. 前記投影範囲特定部は、アプローチショットにより打ち出されるボールの最高到達点の高さおよび落下地点までの距離に関するユーザからの設定入力を受け付け、設定入力された前記高さおよび前記距離に基づいて、前記ボールの前記最高到達点および前記落下地点を共に含むように前記投影範囲を特定する請求項1から6のいずれか一項に記載のゴルフショット表示装置。
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